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2016年加工編 法制審議会信託法部会 第11回会議 議事録
2016年01月23日

2016年加工編

法制審議会信託法部会

第11回会議 議事録

 

 

 

第1 日 時  平成17年3月11日(金)  自 午後1時04分

至 午後5時13分

 

第2 場 所   法務省第1会議室

 

第3 議 題

信託法の見直しに関する検討課題(8)について(続)

信託法の見直しに関する検討課題(9)について

 

第4 議 事   (次のとおり)

 

 

 

議    事

 

  •  それでは,今日の部会の審議を始めたいと思います。

最初に,意見書というものが出ておりますので,これは○○委員から御提出のものですが,これの御説明をいただいた後,また適宜議題を区切って審議していきたいと思います。

 

 

  •  まず,○○委員の方から,このペーパーの趣旨を簡単に御説明お願いいたします。

 

 

  •  本日,配布資料としてお配りさせていただいた資料ですけれども,これは流動化・証券化協議会準備会合・信託法制及び流動化ビークルワーキンググループによる,信託法の改正に関する意見を取りまとめたものです。内容はかなり多岐にわたっておりますし,ページ数も多いのですけれども,是非御一読いただければと思います。

 

 

すみれ

「流動化・証券化協議会準備会合・信託法制及び流動化ビークルワーキンググループ?長いね。」

 

 

 

多数の論点及び要望事項を挙げておりますが,信託法の改正による対応が望まれる部分については,おおむね前半に記載しております。

 

また,後半部分に挙げています論点の一部は,法改正ではなくて,解釈,運用ですとか,解釈上の指針の明確化といったことで対応されるべき問題かもしれません。

 

 

また,このワーキンググループですけれども,昨年の7月から何度か会合を持って,こういった意見を取りまとめておるのですけれども,本法制審議会の信託法部会における議論を踏まえたものにはなっておりませんことは御了承ください。

 

 

配布資料の一番最後のページに,このワーキンググループのメンバーの名簿が載っておりますので,そちらもちょっとあわせて御覧いただければと思うのですけれども,流動化・証券化協議会について,簡単に御説明申し上げますと,資産の流動化・証券化という取引は,ここ10年余りで本格的に伸びてきた分野だろうと思います。

 

 

また,現実には,大多数の流動化・証券化と呼ばれる取引に信託が用いられていることから,流動化と信託は現代においては非常に密接な関係にあるというふうに言えるかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ,流動化・証券化という金融取引が非常に大きく伸びてきたといっても,流動化・証券化業界といった業界が存在するわけではございません。

 

 

流動化・証券化に携わっている者は複数の業界にまたがって存在しているというのが現実でございます。

 

 

つまり,銀行,信託銀行,証券会社といった様々な金融機関に,現在は,ストラクチャードファイナンス部だとか証券化商品部といった流動化・証券化を専門に行う部署が存在するのが一般的ですけれども,金融機関のみならず,様々な業種の事業会社,ノンバンクといった業態の参加者がオリジネーターとして,あるいはアレンジャーとして,あるいは投資家として流動化・証券化市場に参加しているというのが現状でございます。

 

 

 

また,「流動化・証券化」という言葉とセットで,「倒産隔離」ですとか,「優先劣後構造」ですとか,あるいは「格付け」といった言葉が使われることにあらわれるように,取引の仕組みによって信用リスクを加工するというプロセスを含むということが一つの特徴でございまして,その関係で,多くの研究者ですとか弁護士,会計士等の専門家,あるいは格付会社といった方々も流動化には深く関与しております。

 

 

 

 

このように,関係者が様々な業界に散らばって存在しているということから,これまで流動化・証券化に関する様々な課題について,横断的に議論したり,意見を集約する場が余り存在しなかったという現実がございます。

 

 

流動化・証券化に携わるもののネットワークを形成する組織が必要とされまして,流動化・証券化協議会という場の設立の検討が準備会合の形でこれまで行われてきたというものです。この4月に,この流動化・証券化協議会は,正式な活動を開始する予定です。

 

 

 

本日配布させていただいた意見書の内容については,多岐にわたりますので,内容の御説明は割愛しますけれども,是非目を通していただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

  •  あとは,関連する場所でもって,この御意見など踏まえながら議論を進めていきたいと思います。

 

 

それでは,本日も幾つかの項目について,適宜分けながら○○幹事の方から説明をお願いします。

 

 

  •  それでは,審議に入らせていただきますが,前回積み残しとなっております「第5 受託者の不適格事由について」からはじめまして,「第6 受託者の利益享受の制限について」,「第7 受託者の職務の引受けについて」という3項目にわたりまして御説明をしたいと思います。

 

 

積み残し部分を前半にやりまして,休憩後に善管注意義務以降の新たな部分をやらせていただければという大まかな目安ですので,よろしくお願いいたします。

 

 

それでは,まず受託者の不適格事由でございますが,提案の本文自体は前回の提案から変わるところはございません。

 

 

なお,現行法の解釈としましては,不適格事由に該当する者を受託者として指定した信託は,絶対的に無効であると解されておりますが,前回,資料中におきましては,破産者であることを不適格事由から除外することのほかは基本的に現行の趣旨を維持する旨言及しておりました。

 

 

しかし,これに対しまして,第3回会議におきまして,特に遺言信託の場合において,委託者である遺言者の遺言作成時においては,受託者として指定された者が不適格事由に該当しない者であったとしても,その後,委託者である遺言者が死亡し,遺言信託の効力が発生した時点においては,この受託者として指定された者が不適格事由に該当することとなってしまっている可能性もあるところ,このような場合にまで信託自体を無効とする必要はなくて,むしろ当該信託を生かした上で,かわりの受託者を選任する方向で対処すべきではないかとの御指摘がございました。

 

 

 

このような御指摘を踏まえて改めて検討しました結果が,本資料の16ページに記載しておりますところでございまして,遺言信託については,その効力発生時点において受託者が不適格事由に該当する場合であっても,原則として当該信託は無効とする必要はなく,新受託者を選任して遺言信託の効力を存続させるのが適当であると考えるところでございます。

 

 

 

 

しかし,これに対しまして,生前の契約信託につきましては,信託契約時点において受託者が不適格事由に該当するのであれば,当該信託は無効として,新たな受託者との間で再度信託を設定し直せば足りると考えているというところでございます。

 

 

続きまして,次のページの「第6 受託者の利益享受の制限について」というところにつきましての御説明に移らせていただきます。

 

 

これは,現行9条に対応する受託者と受益者の兼任の禁止に関する提案でございます。

 

 

ところで,前回の提案におきましては,単独受託者が全益者である場合には,相当期間内に受益権処分義務を課すこととした上で,共同受託者の一人が全益者である場合にも受益権処分義務を課すか否かにつき,積極・消極の両案併記としておりました。

 

 

この2点に関しまして,今回の提案では,受益権処分義務を課すという方法のみをとることをやめますとともに,共同受託者の一人が全益者である場合にも,このような兼任状態を継続することは許されず,これを解消しなければならないことと結論したものでございます。

 

 

 

 

まず,<説明>の2に関する点でございますが,今回の提案では,単独受託者が全益者であるという状態が生じた場合には,かかる兼任状態が相当期間内に解消されない限り,当該信託は終了するものとする反面,その解消の方法ないし事由には,何ら制限を設けないことといたしました。

 

 

 

したがって,全益者となった単独受託者といたしましては,信託を終了させたくないのであれば,受益権の全部又は一部の処分をする方法により得ることはもちろんですが,受託者の地位を辞任する方法によることも可能でありますし,更には,今後兼任状態の新たな解消方法が考え出せれば,それによることも可能でありまして,また単独受託者兼受益者の自発的な行為に限らず,相続等の客観的事実の発生による場合であっても構わないことになると考えられます。

 

 

 

 

このように,信託が存続し得る場合を受益権の処分に限らず,より広く認めることとし,いわばより弾力的な規律に改めることといたしましたのは,資料17ページの2というところに書いてございますが,第3回会議におきまして受益権の全部を保有していたい場合であっても,その意に反して他人に受益権を譲渡せざるを得ない方法のみしか認められないというのは妥当ではないとの御指摘があったことを踏まえて再検討いたしました結果,信託の観点からは,要するに単独受託者が全益者を兼ねている状態が生じていることが問題なのであって,このような状態さえ解消されるのであれば,解消事由のいかんを問う必要はないと考えたからでございます。

 

 

 

次に,<説明>の1に関する点でございますが,共同受託者の一人が全益者であるという状態が生じている場合についても,同様に,かかる兼任状態が相当期間内に解消されない限り,当該信託は終了するものといたしました。

 

 

 

このような結論に至りましたのは,第3回会議におきまして,そのような場合には全益者としての立場に基づき,受託者としての自己の行為を常に承認できることになって,受益者に対する忠実義務を負わない受託者の存在を認めることになりかねないこと,あるいは全益者を兼ねない共同受託者が存在することをもって,信託の構造の存在を認めるに足りるだけの監督関係,この監督関係というのは全益者の他の共同受託者に対する監督関係を意図しておりましたが,このような監督関係の存在を肯定できるかは疑問であること,あるいは共同受託者の職務分掌の内容いかんによっては,実質的に判断すれば,単独受託者が全益者であるという場合と変わらないことがあり得ることなどの指摘があったことを踏まえたものでございます。

 

 

 

なお,実務上は,原信託の受託者が再信託を設定することがされておりますところ,この場合には,受託者が全益者ともなるという問題があることが指摘されております。

 

 

しかしながら,この再信託の場合につきましては,17ページの3に記載した理由から,今回の提案に係る規律の適用対象とはならないと考えているものでございます。

 

 

最後に,「第7 受託者の職務の引受けについて」というところでございますが,これは信託行為において受託者として指名された者に対する就職の諾否につきましての催告権等に関する規定を新たに設けることを提案するものでごさいまして,提案の本文自体は前回の提案から変わるところはございません。

 

 

もっとも,第3回会議におきまして,前回の提案本文及びその説明ぶりからは,1の催告権者の中に信託管理人は含まれないとの誤解を招き兼ねないとの指摘がされました。

 

 

この御指摘を踏まえまして,資料19ページに記載したような理由から,提案の本文自体は改めないこととした上で,催告権者には信託管理人等が含まれることを説明中において明らかにしたものでございます。

とりあえず,以上でございます。

 

 

 

  •  それでは,ここまでで御議論をお願いいたします。

いかがでしょうか。

 

 

 

この第5については,契約による設定の場合と遺言信託とで結局結論的には少し違ってくるいうことですね。

 

 

 

 

 

  •  はい。
  •  条文としては,後でもうちょっとその点を含めたような条文になる。

 

  •  規定振りについては将来検討いたしますが,考え方自体はこれでいいですかということでございます。

 

 

  •  わざわざ新受託者の選任手続に入らなくてはいけないということになると,多少面倒くさいということで,新たに受託者を委託者の方で定めて,簡単に有効な信託を設定できるようにするという趣旨ですね。

 

遺言信託の場合は,また逆な考慮があるけれども。

これは,こんなところでよろしいでしょうか。

 

 

  •  単純な話ですが,第6の「相当の期間」というの,これはどんなふうに考える……。

 

要するに,これ以上具体的に定めるのか,抽象的にこのままにするのか,その場合に,これに利害関係を持っている第三者から見て,信託が終了したかどうかの

判断をどうやってするのかという,そういう問題です。

 

 

番人

「不動産の家族信託だとどうなるだろ。1月1日に受託者が受益権の全部をもらったとして、来年の1月1日が終わったら信託も終了。信託目録の受益者の欄で日付確認するのかな。」

 

 

  •  なかなか具体的な規律は今までも決めにくかったのですけれども,何か御意見ございますでしょうか。

恐らく,信託を終了させるためには,だれか利害関係者が信託の終了しているということを言い出すことが通常なんだろうと思いますが,それを抜きにして,具体的にこのぐらいの期間がたつと当然に終了するという点について,相当の期間というものを定義するという形で,終了を明確にするというのがうまくできるのかどうか,なかなかそこは一つ難しい問題があるような気がしますが,いかがでしょうか。

 

実務的には,どうでしょうか。

 

  •  裁判所の立場からしますと,何度も同じようなことを申し上げて恐縮ですが,「相当の期間」と言われても,何を基準に,どう判断するのかということすらよく分からないということになってしまいますので,裁判所がどう判断できるかというところは非常に難しいということになるのではないかと。

 

 

終了しているかどうかによって信託債権者その他の利害関係人の利害というのは大きく変わってき得るということになると思いますので,ここは何か明確な規律というのを設けていただきたいというのが,まだ個人的な希望という段階ですが,そういうふうに思います。

 

 

  •  これも,「相当の期間」というものの考え方がなかなか……。

 

 

基本的な考え方ですけれども,本来こういう状態はあっては好ましくないと,つまり受託者が全受益権を取得しているという状態は好ましくないということであれば,本来,比較的短い期間の間にそういう状態を解消すべきであるというのが基本的な考え方なのでしょうが,ただ解消するために受益権を売却するとか,いろいろな形で解消するときに,どういう手段をとるかによって,また期間といいますか,時間のかかり方が違ったりするので,なかなか具体的な期間を定めにくいということがあるのではないかという気もします。

 

この辺は,実務の方の感覚も伺いたいと思いますが。

 

 

  •  この「相当の期間」でございますけれども,既に会社法の方ではほぼ同様の概念が使われておりまして,子会社による親会社株式の取得というのは原則として禁じられているのですが,例外に当たる場合は「相当ノ時期ニ……処分ヲ為スコトヲ要ス」というのが211条ノ2第2項に既にございますので,このような会社法の方の議論も若干参考になるのではないかということと,それから,これはちょっと論点が別になって恐縮ですけれども,第6が議論している対象について,ちょっと御確認させていただきたいと存じます。

 

ポリー

「会社法135条ですね。」

 

 

この受託者が受益権の全部を取得するというのは,これはあくまでも受託者が固有財産で取得する場合だけを念頭に置いているのか,それとも信託の計算--と言ったら変ですけれども,信託の計算で受益権を取得するということも含まれているのか。

 

 

つまり,後者の場合は,受益権が証券化された場合には信託の計算で受益権を持つということも論理的には可能になり得ると思われますので,この第6の射程について御教示いただければと存じます。

 

 

 

 

  •  私,個人は,必ずしも今の問題を深く考えてはいませんでしたけれども,というか,固有財産で取得するという場合を一応念頭に考えておりました。

そういう信託で取得するという場合,いかがでしょうかね。

 

 

 

 

 

  •  私自身は,ここのところの規律というのは固有勘定だけで取得した場合ということを念頭に置かれて規定したのだろうと思いまして,いわゆる再信託だとか二重信託のような状態の場合については,基本的には信託財産で別の信託の受益権を購入するということはよく行われていることですし,それについては基本的には運用の方法の一つとして行われておりますので,それを相当の期間で解消するということになりますと,ちょっと支障が出るということでございますので,そこについては固有勘定に限定していただかないと,なかなか実務上問題があるということだと思います。

 

 

 

  •  ○○幹事の御趣旨も,それはちょっと別に考えた方がいいということですね。

 

 

  •  むしろ,第6の射程が固有財産による取得だという旨を明確に確認した方がいいのではないかという趣旨でございます。

 

 

 

  •  先ほどから出ています「相当の期間」ですけれども,私も実務上の観点からいきますと,ここの「相当」というのはある程度相対的なものだというふうにとらえているのですけれども,そこはよろしいのでしょうか。

 

 

要するに,絶対的に例えば3か月ぐらいにとかということではなくて,例えば財産の種類によっても違いますし,それとその保有する意図というのは,そこがちょっと違うのかもしれませんけれども,例えば全部保有してから何かを変えようとしたり,全益になったところで何かをしましょうというような趣旨でやるときのある一定の要する期間とかいうのがあると思いますので,そこは相対的にということでよろしいのでしょうね。

 

 

 

  •  意図まで考慮してというのは,若干そこは微妙かもしれませんけれども,財産等によって違うということは当然あり得るのじゃないかと思いますね。

 

 

  •  まず,最初の○○幹事御指摘の点は,事務局としても固有財産で取得した場合を念頭に置いております。

 

 

それから,「相当の期間」についていろいろ御議論がございましたが,まずこれは相対的なものであって,財産の種類等は考慮できますが,今,○○委員から言われましたように,意図まで考慮できるかというのは,ちょっと客観性の問題がありますので難しいかなという気はしております。

 

 

ただ,相対的なものであるということは,こちらもそのような理解でおります。

 

 

ただ,期間を具体的に法文上決めるというのはなかなか難しいことでございまして,少なくとも事務局としては,「遅滞なく」としなかったのは,受益権を処分したりあるいは辞任するのに若干の期間は要るだろうということで,「遅滞なく」というふうにはしなかったと。

 

 

それから,商法の規定なども考慮して,「相当の期間」というふうに決めたというところまでは言えるのでございますが,それを具体化して,いろいろな事情を例えば法文上挙げるかというのは,なかなか難しくて,やはり諸般の事情を考慮して相当かどうかということで判断していくしかないのではないかなという気がしております。

 

 

 

 

 

  •  この規定の機能の仕方ですけれども,相当な期間を超えて保有していたので終了するというところに使うよりは,恐らく処分させるという行為規範的に使われることが多いのだろうと思うのですね。

 

 

しかし,そうは言ってもこういう形の条文を置けば,相当な期間を超えて保有していたときにはやはり信託は終了するということになるのでしょうけれども,ただこれも理論的にはなかなか難しいですね。

 

 

ある程度客観的な期間,本来このぐらいの期間でもって相当な期間を超えている,それでまだ保有しているけれども,その後処分したら,やはり何か瑕疵みたいなのが治癒されてもよさそうな気もするのですね。

 

 

そういうことで,ここでの「相当の期間」というのがどういう形で実際問題なのかというようなことも,少し考えなければいけないという気がいたします。

 

 

それから,「相当の期間」というのは,これ期間の具体的な定めは難しいでしょうけれども,私のこれまた個人的な感覚ですけれども,やはり1年とか何とかというのは長過ぎる,恐らく1か月とか3か月とか,何かそのぐらいの感覚なのではないかと思いますけれども,これもどの程度処分しやすい財産なのかというようなことも関係くると思います。

 

 

すみれ

「1年は長かったんだ。」

 

 

 

  •  先ほど,当事者の意図というのはちょっとなかなか難しいだろうというお話がありましたけれども,これ,書いてしまえば何かちょっと変わってくるのでしょうか。信託契約に。

 

 

  •  書くというのは。

 

 

  •  ある程度信託の形態によっては,かなりの時間取得するような可能性があるような,そういう類型の信託であれば,例えば一般に言う「相当の期間」より長いぐらいの期間を保有することも認めるような形の信託契約でのメリットといいますか……。

 

 

  •  それは,この規定の相当な期間,客観的には相当な期間とされるものを超えて保有していいということを書くということになると,それはこの規定は強行規定だというふうに考えると難しいのでしょうね。

 

 

 

  •  相当性を考慮するに当たっての……。

 

 

  •  その判断してもらう要素として書いておくと,多少は影響するかもしれないけれども……。この辺は,少し考えさせてください。

 

 

  •  信託契約に書いて,だれとだれの話なのか,全部自分になったときの話ですよね。

 

そうすると,委託者はいるわけですけれども,受益権を私が取得したときには,私は文句は言いませんという,そういう約束になってしまうわけであって,それはちょっとおかしいのじゃないかというのが第1点で,それは感想です。

 

 

 

第2点は,先ほどから固有財産で取得した場合であるということが前提になっているというふうな話でございましたけれども,○○委員がおっしゃったのは,二重信託であると,つまりある信託の受益権を他の信託の財産として購入するという場合じゃないかと思うのですけれども,そのA信託の受益権をA信託の財産として購入するという場合も,この第6には入ってこないということでしょうか。

だから,自己株式みたいな話ですね。

 

 

 

 

 

  •  そのときには,受益者というのは何になるのだろうな。受益権を信託財産で買うという意味ですよね。そのときの受益者というのは,どこかにいるのですか。

 

 

 

  •  会社法の議論ですと,会社が自己株式を取得した場合に,当該自己株式にどのような権利が認められるのか,どこまで権利が認められるのかということについては,立法上の解決と,それから解釈論にゆだねられている部分がございまして,例えば現行法上は利益配当請求権ですとか残余財産分配請求権はないということが明定されております。

 

 

 

私の先ほどの質問の趣旨も,もし信託財産自身で受益権を取得するようなケース,これは有価証券化されると本当にそういう場合が生ずることが十分に考えられると思うので,その場合についての規律というのは,もしかしたらまた別途考える必要があるかもしれないということもちょっと念頭には置いていたのですけれども,自己株式の取得と同様に信託財産が受益権を取得した場合に,それに対してどの範囲で権利が認められるかということについては,自己株式との対比でいってもなかなか議論がある難しい問題であり,できればやはり立法的に解決するということが望ましいかもしれません。

 

 

 

 

  •  信託財産の中に受益権が入っていて,受託者が信託財産を管理する上でその受益権をある程度行使できるのでしょうけれども,何か信託全体の目的などがあると,一定の行使の制限がかかっている。

 

 

それに対して,固有財産が受益権を取得してしまうと,それは受託者がある意味で自由にできるところがあって,そこはやはりちょっと違うのかなという気はしますね。

 

 

  •  恐らく,ちょっと比喩的な言い方で恐縮ですけれども,固有財産で信託の受益権を取得するというのは,あたかも会社でいえば取締役がその会社の株を持っているような場合であって,これは現行商法上も全く禁止されているところではございません。規制はされておりません。

 

 

これに対して,信託財産で受益権を買うというのは,正に会社が自己株式を取得するというケースに当たりますので,その二つは,一応理論的には区別されるべきではないかと思います。

 

 

すみれ

「たしかに。」

 

 

  •  御指摘のとおり,自己株式の取得というのと類似する局面がございますので,ここでの規律はあくまでも固有財産で取得した場合を念頭に置いておりましたが,また信託財産で受益権を取得した場合の規律はどうなるかというのは,別途検討させていただきたいと思います。

 

  •  ほかの点ではいかがでしょうか。

 

  •  言葉遣いだけのことですけれども。

二人の共同受託者が,二人で受益権全部を取得したという場合は,この対象にはならないだろうと思いますけれども,ちょっと表現だけ見ると,そこが不明確かなと思いますが。

 

 

  •  そうですね。二人でまたがっているので,一応受益権が分散しているということになるわけですね。入らないのだろうというふうに考えますけれども。

 

 

  •  その場合は入らないと認識しておりますが,提案ぶりが不明確かどうか,検討させていただきたいと思います。

 

 

  •  確認ですけれども。前回の提案との比較において,この提案というのは受託者の処分義務を課していないということでしょうか。

 

 

例えば,仮の例として,帰属権利者が別にいて,受託者が相当期間に処分しなかったために信託財産が下落したと,そうした場合に,帰属権利者は受託者の処分義務がもしあるのであれば,その違反ということを理由として何らかの損害賠償請求とかすることができるのかという話なのですけれども,この規定ぶりからだけ見れば,それが判然としないものですから,あえて御確認する次第でございます。

 

 

 

  •  これは,処分義務を課すということは考えておりません。結果的に,処分しない場合に終了するという結果は招きますけれども,前回の提案と違って,義務として処分しなければいけないということではないというふうに提案を改めております。

 

 

 

  •  今の御質問との関係で確認させていただきたいのですが,この第6の規律というのは,そういう意味では現行の信託法9条の特則といいますか,例外に当たるという,そのような位置づけでよろしゅうございますでしょうか。

 

 

 

 

 

  •  9条そのものを改めたということですので,例外というか,9条はなくなります。

 

 

  •  9条にかわる規律であると。

 

  •  はい,そういうことでございます。

 

 

  •  第5ですけれども,細かなことですし,かつ余り現実的ではないと思うのですけれども,この違反の効果について,生前信託の場合と遺言信託で分けるということなのですが,それに関連して,生前信託で共同受託者の一人について不適格事由があった場合にどう考えたらいいかということと,あと,例えば未成年者というので設定してしまったのだけれども,その受託者が成年になったとか,能力を回復したというようなときに,治癒というようなことがあり得るのかどうかという2点が少し気になっておりまして,もしお考えが明らかでしたらお聞かせ願えればと思います。

 

 

  •  ちょっとロジックはなしに,ただ直感だけ申し上げると,後者の治癒はあってよさそうな気がしますね。

 

 

  •  決定時点ではまだ未成年だったけれども,ちょっともたもたしていたら成年になったとか,そういう場合ですか。

 

 

民事ですから,改めてやり直さなくても,その人がいいと思ってやったわけですので,治癒ということで有効にしていいのではないかなという気がしております。

 

 

それから,能力を回復した場合も,当初は委託者がその人を受託者としてやったところが,不幸にも当時は能力がなかった,しかし少々期間がたったら能力を回復したというのであれば,当初の委託者の意思にかなうものですので,そこは信託は有効ということを認めて差し支えないのじゃないかなという気がしております。

 

 

番人

「ちょっと受託者としては危なっかしい感じがする。」

 

 

あともう一つ,共同受託者の一人が不適格の場合には,何かほかの人にいくか,そのまま単独受託者の信託として有効としていいのではないかなという気が直感的にはしておりますけれども,ちょっと御意見があれば伺いたいですし,なお必要があれば検討したいと思っていますが。

 

 

  •  共同受託者とかの趣旨によって,そこは有効だけれども,あるいは選任ということが出てくるのかなという気がしたものですから。

 

 

  •  確かに,相互牽制とか相互干渉を重視すると,一人でもそのまま有効というのは問題かもしれません。一応有効としておいて,追加して選任すると,そういうことでしょうか。

 

 

委託者の方から選任請求をするとかですね,そういう方法で複数にするということがあり得るのかなとは思いますが。

 

 

  •  特別な御意見がなければ,少し先に進んでよろしいでしょうか。

7についてもよろしいですね。

それでは,少し先に行きましょうか。

 

 

  •  それでは,次に「第9 信託財産の範囲について」,「第10 信託財産の添付について」,「第11 信託財産と固有財産との識別不能について」を順次御説明をいたします。

 

 

まず,第9でございますが,これは前回の提案と同じく,信託財産の範囲に関する現行法第14条の規定を維持することを提案するものでごさいまして,具体的には,現行法における解釈と同様に,信託財産の文字通りの代位物に限らず,信託財産を引当てとした借入れにより,受託者が取得した金銭等も含まれますし,また受託者が信託事務処理により処分した場合に限らず,法令又は信託行為の定めに違反して信託財産を処分した場合において,受託者が取得した反対給付なども含まれると考えているところでございます。

 

 

 

 

 

次に,第10の「信託財産の添付について」でございますが,これも前回の提案と同じく,信託財産の添付に関する現行法第30条の規定を維持することを提案するものでございます。

 

 

 

具体的には,不可抗力ですとか,受託者の分別管理義務違反に起因しまして,ある受託者に属する信託財産と,これと同一の受託者に属する固有財産又は他の信託財産とが物理的に混交し,分割することが社会経済上著しく不利益である場合ですとか,事実上これを弁別することが不可能となったような場合におきましては,各信託財産と固有財産とが各別の所有者に属するものとみなした上で,原則として主たる財産の方に財産全体の所有権が帰属し,所有権を失った従たる財産の方に償金請求権が帰属することになると考えるものでございます。

 

 

 

 

次に,「第11 信託財産と固有財産等との識別不能について」というところでございます。

 

これも,大枠について第3回会議では御異論はございませんでしたが,そのときの審議を踏まえて,次の2点を取り上げ,改めております。

 

 

まず,信・信間の識別不能につきまして,各信託の受託者が同一である場合,こういう場合が往々にしてありそうですが,この場合には,原則として各信託の受益者の協議によって共有財産を分割する旨の提案をしておりました。

 

 

これに対しましては,受益者の協議は特にその人数が多数に上る場合には現実的ではないから,受託者の関与を認めるべきではないかという指摘がございました。

 

 

しかし,ここに記載した理由にございますように,受益者間の分割に事実上関与するということであればともかくとして,分割方法を決定するということになりますと,利益相反の典型的な局面でございますし,また利益相反行為の禁止の例外といたしまして,信託行為に定めのある場合や,各信託の受益者の利益を害しないことが明らかである場合には,受託者のみで分割ができるということで,信託事務の円滑な遂行に対する配慮もされていると考えておりますので,今回もこのような受益者間の協議を原則とするということは維持しているというところでございます。

 

 

 

 

 

 

また,第2点といたしまして,例えば甲信託の受託者Aが有する信託財産Xと,乙信託の受託者Bが有する信託財産Yとが識別不能になった場合に,このような場合は単にAの財産とBの財産とが識別不能になったと見ればよくて,信託法による特段の手当ては不要であるのではないかという指摘がございました。

 

 

この点,検討いたしましたが,前回の提案は確かにそのような場合も対象とするかのように読めるのではないかということで,今回は受託者の異なる信託財産間で識別不能が生じた場合は,単に所有者が異なる財産が識別不能状態になった場合と同じく,民法の規律する局面であると。

 

 

これに対して,同一受託者の中で識別不能状態が生じたときは,信託法の規律する局面であるという考えのもとに,特に1の(1)とか(4)あたりで,その趣旨がより明確化されるように記載ぶりを変えたということでございます。

以上で,とりあえず終わります。

 

 

  •  それでは,ここまででいかがでしょうか。

 

 

  •  第11のところの識別不能のところの規律でございますが,前回のときに先ほどの○○幹事の方からお話がありましたように,信託財産間の受益者が多数に上るような場合についてはなかなか現実に難しいのじゃないかというふうに申し上げましたけれども,それで御検討いただきまして,最終的には,一つは当然別段の定めというものが認められているということと,あとは受益者を害する恐れがないときについては構わないという,(注)のところでそのところの説明も書かれておりますので,実務上,多分この二つがある限りにおいては,大体のところは対応できるのかなと思っておりますので,特段反対するというようなことはなく,賛成したいと思います。

 

 

 

その中で,ちょっと確認ですけれども,一つは,信託契約で書くときのイメージなのですけれども,ある程度抽象的なものでいいのかどうか,例えば「受託者が公正と判断する割合及び方法により分割する」とかいうふうに書かれた場合,この程度でもいいのでしょうか。済みません,ちょっと仮定の話なので申し訳ないのですけれども。

 

 

そういうことと,もう一つは裁判所の方に分割を請求するに当たって,例えばですけれども,数百人ぐらい受益者がいるときには,要するに協議をすることなく,非常に現実の問題としては難しいので,裁判所に直接請求ができるかどうか,この二つを確認したいのですけれども。

 

 

 

  •  まず,前者の御質問につきましては,信託行為の定めということがあれば,利益相反行為の禁止の例外になるということですので,そのぐらいの定め方でも受益者は受託者がやるということが分かりますので,いいのではないかなという感触を持っております。

 

 

 

それから,受益者が多数いてというときで,民法の共有物分割の判例でも,実際に協議をしなくても,およそ協議をする意思がないというようなときには「協議調わざるとき」というふうに解していいという解釈がございますので,その範囲がどこまで及ぶかということですが,400人いるから直ちに当たるのかどうか,ちょっとそこら辺は解釈問題ですので,たくさんいたら常にいきなり裁判所に行けるというのか……。意向を聞いてなかなか難しそうだったぐらいの話ではないかという気がいたします。

 

 

 

  •  別にそんなにこだわるものではありませんけれども,そこは常識の範囲内で考えていくということであれば……。

 

 

  •  今の点について,ちょっと質問させていただきたいのですが。

 

 

 

通常の共有物の場合ですと,その分割や持分の割合云々などについて,約定によって何かを決めるという場合には,共有者間の合意によって決めるということなのだろうと思うのですね。

 

 

 

そうしますと,今,信託行為に別段の定めを置くということによって,何が行われたことになるとお考えなのでしょうか。

 

 

すみれ

「受託者が単独で分割できるって考えているんじゃないの。」

 

 

要するに,それによって,信託行為の約定を置くことによって,なぜ分割なり何なりができるようになると考えるのかという点の正当化の理由はなんなのでしょうか。その点について,ちょっと御説明いただければと思います。

 

 

 

  •  今の点でございますが,信・信間の信託財産が混合したときにどう分けるかという話でございますけれども,基本的には信託財産というのは受託者が管理処分する対象でございますので,受益者の意向を直接聞くというのは非常に例外的な場合かと思います。

 

 

この場合に,受託者ではなくて受益者の意向を聞かなくてはいけないというのが出てくるのは,基本的には利益相反に当たるからであるというのが私どもの考え方ですので,その利益相反の桎梏というのを取り除くということをしていただければ,受託者が決めることになるのだということなのではないかというふうに思っております。

 

 

 

つまり,直接受益者が共有者であるということからここの話がスタートしているということでは,一応はないという前提なのですが。

 

 

 

 

 

  •  関連してよろしいでしょうか。

 

 

この1と2ですが,2の方は分割の方法について信託に別段の定めがあるときは,定めることができるというふうになっているのですが,1の方は,これは強行法規であるという前提での理解ということでよろしいのでしょうか。

 

 

つまり,別段の定めができるのは,分割のこの方法についてであって,1の識別財産の割合ですとか,そういった問題については強行法規であるという理解でよろしいのかどうかということですけれども。

 

 

 

  •  ここは,受益権の物権的救済という観点もございますので,強行的なものだということで事務局は理解しております。

 

 

 

  •  そうすると,信託行為に割合について別段の定めを置いても,それは効力はないということになるのでしょうか。

 

 

 

  •  はい,そこは信託財産と固有財産の価格の割合によるということですので,信託行為で別に定めを置いても,それはだめではないかというふうに考えます。

 

 

 

  •  2の(1)のアの②,「受益者の利益を害しないことが明らかである場合」ですが,この明らかであるかどうかについて,受益者が異議を述べてきたときにはどういうことになるのでしょうか。

 

 

このままですと,いつまででもそれを争えるという可能性があって,かえって不安定かなという気もするのですが。

 

 

 

  •  どんな異議でもいいというわけではないのだとは思いますけれども,しかし異議があるということは,利益を害しないことが明らかであるとは言えないという可能性があって,そういう意味で争えるかと。

 

 

 

手続の安定性という観点からも多少疑義があるということですね。

ほかによろしいでしょうか。

 

 

 

 

  •  まず,第9のところから。ちょっと言いっぱなしになるかもしれませんが,一言だけ申し上げたいと思うのですが。

 

 

 

確かに第9というのは,法律家的には問題のない規定ではないかというふうに思います。

 

 

しかし,この現行法の14条でしたか,ここの条文というのは,すごく適用範囲が広い条文で,信託の受託者が通常の取引行為をして普通に運営していると,そのときに取得した株式とか不動産とかが信託財産になるというのもこの条文によって説明するし,管理が悪くて,というよりは,違反で売却してしまった,そこで金銭が入ってきたりかわりのものが入ってきた,そのものが当然に信託財産になることによって救済されるというのも14条とか第9によるわけですし,燃えてしまったという場合の救済についても,それが信託財産になるという,オートマチックに信託財産になるという救済が第9によって与えられるわけですね。

 

 

 

法律家としては非常によく分かるものなのですが,もし仮に,より分かりやすい信託を作るという観点からしますと,通常の信託の運用によって信託事務の執行によって得られた財産が信託財産になるという話と,非常に例外的な,ないしは好ましからざる事態によって得られた代償物が信託財産になるというのを,本当に同一の条文で規定していいのかというのは,何か問題になるような気がします。

 

 

 

これは,前回申し上げないことを急に今申し上げて大変恐縮なのですが,もし御検討くださるようなことがありましたら,お願いしたいというのが第1点です。

 

 

 

第2点は,先ほどから出ております第11の問題でございますけれども,いま一歩私も理解できていないところがありまして,あるいは説明中におっしゃったのかもしれないのですが,私が聞き漏らしているだけかもしれないのですが,ある種の株式が1万株なら1万株ある,それは実は6,000株が信託財産であって4,000株が固有財産であると。

 

 

 

しかし,一応株券に番号がついていて特定性があるというときに,じゃ6対4だよねと。

 

 

あるいは,6,000株を信託財産にしまして,場合によっては分別管理しましょうなんていうのは,2の(1)のアの②でできる。

 

 

つまり,受益者の利害を害しないことが明らかであるという場合にできると。どういうことによってできるという理解でいいのかというのが,第1点です。

 

 

 

第2点は,ある不動産が信託財産部分と固有財産部分が一緒になった,というか,一つの不動産中にあると。

 

 

 

これは,通常の共有ですと,6対4の共有ですと,ある単独の共有持分権者が全体を売却するということはできないですよね。

 

 

 

 

自らの持分だけを売却できるということになります。

 

 

そうではない,共有状態を解消しようということになりますと,これは分割をしたり,ないしは共有者の連名で第三者に売却をしていくということになると思うのですが,ただある不動産が6対4の信託財産と固有財産の共有になっているというときには,受託者は売ってしまえばいいのかなと思ったりするのですね。

 

 

すみれ

「でも自宅だったら。」

 

 

売ってしまえば,金銭になって,6対4になって,そうすると(1)のアの②になって,1億円で売れたとしますと6,000万円と4,000万円に分けるということになると。

 

 

不動産が,例えばそういうふうになっているときに,売却するということ自体は,禁じられるのかどうなのかということについてもお聞かせいただければと思うわけであります。

ちょっと長くなりましたが……。

 

 

 

 

 

  •  9の方は,確かにおっしゃるように信託義務違反で処分がされたようなときに,何かかわりの財産が入ってきた。

 

 

今のところ,14条でも--14条からそれは余りはっきりしないけれども,そういう場合の財産も信託財産に一応入ってくるというふうに考えられていると思いますけれども,その場合の信託財産に入ってくるというのは,何かある種の担保みたいなものなのですね。

 

 

 

損失てん補とかあるいは原状回復はともかくとして,損失あるいは受託者に対する損害賠償請求権が一方であって,受益者からすると損害賠償の方を選ぶのか,あるいは入ってきた財産の方がどうもよさそうだというのでそっちを選ぶ,そういう意味である種の担保みたいなところがあるので,本来の正当な処分行為によって入ってくるのと少し違ってもいいのかなという気はしないではないのですけれども,しかし違いを設けるとして,何か具体的な違いを明らかにしたような条文が必要なのかどうかですね。

 

 

 

  •  法律家的には不要なんだと思うのですよ。規律は多分同じでいいと思うのですけれども,それを一つの条文でやっているのが本当に分かりやすいのかというのが若干私には気になると,それだけの話です。

 

 

 

  •  あるいは,説明のところでも少し注意すべきことかもしれません。また少し検討してみたらと思いますけれども。

 

 

もう一つの,11の方はどうですか。あるいは9の方についても何か御意見がありましたら……。

 

 

  •  9につきましては,今の○○幹事の御指摘と,○○委員の御意見なども踏まえまして,説明文中で書くか,あるいは規律をもう少し分けて書くかというところは検討させていただきたいと思っております。

 

 

それから,11に関して2点御質問があったのですが,一つは1万株のうち6,000株と4,000株が分かれているときに,2の(1)のアの②でいいかというのは,これは分別管理義務を果たしているわけですし,受益者の利益を害しないことは明らかである場合だとして,受託者は,この6対4の割合で分けることができるということで,この規律の適用対象だと考えるところでございます。

 

 

それから,あと,では不動産だった場合には,これは受託者は売ってしまえばいいじゃないかとおっしゃった点につきましては,これは確かに売ってしまえばいいのではないかというのがこちらの考えでございます。

 

 

ただ,売るに当たっては,もちろん受託者が善管注意義務のもとで,かつ,権限の範囲内でという縛りはかかりますが,売ったことによって金銭になれば,それを6対4で分割するということでいいのではないかという考えでございます。

 

 

 

  •  ほかにいかがですか。

 

 

  •   最後の不動産の問題ですが,今の話は,例えば10分の6と10分の4の共有持分になっていて,一方が固有財産で他方が信託財産,そういうような事例なんでしょうか。

 

 

それは,そもそも識別不能の話なのでしょうか。その問題とは別にというお答えだったという理解でよろしいですか。

 

 

 

  •  識別不能ではないと。やり方としてはそういうやり方でもいいかなと。

 

 

  •  識別不能には当たらない。共有持分権が財産になっているから,識別可能であると。その例なんですか,不動産の例は。

 

 

  •  はい。

 

 

  •  そうすると,株式が1万株あって,それを一つのプールと考えたときに,それと共有持分という考え方は……。やはり1株1株に番号があって個性があるととれないので,ということなんですか。

 

 

  •  株式は識別不能になる……。どれに帰属するか分からないということで,識別不能になるのではないかなと思ったのですが。不動産1個というときには,識別不能というのでしょうか。

 

 

番人

「株式は、ちょっとわかんないな。識別できそうだけど。不動産1個は持分が登記されていれば、識別可能といえると思うんだけど。」

 

 

1個のものなので,およそどの物がだれに帰属するか不明になったという識別不能の定義から外れてしまうのではないかなという気がいたしました。

 

 

 

  •  共有持分権というものがはっきりして,共有持分権を信託財産である,固有財産であるというふうに言えるのならば,識別不能ではないというふうに仮に仮定したときに,2の(1)のアみたいなのが働く場面……。1の(1)ですかね。

 

 

 

 

  •  補足させていただきますと,今,○○幹事がおっしゃったのがここで言う識別不能ではないのではないかというふうに申し上げましたのは,言われていた例が二つの不動産が一つになったということをおっしゃっているのかなと思いまして,それですと添付そのものの方なんですが,こちらの方は複数の財産が,複数の財産であるにもかかわらず,帰属が分からなくなったというのを11の識別不能だと呼んでいるという前提でおりましたので,それが違うと。

 

ポリー

「合筆したということですかね。信託不動産と受託者個人の不動産は、一旦どちらかに統一しないと合筆できないんじゃないでしょうか。」

 

 

 

つまり,1万株の株の方は株自体は1万個あると,その間で帰属が分からない,ですからこれは11の識別不能ですと。

 

 

それに対してこちらの方は,不動産ですか,一つになっているわけですので,それは識別不能というよりは添付ですか,現行法であるあちらの問題なのかなという気がしております。

 

 

 

 

  •  二つの不動産があって,そのどちらが信託財産でどちらが固有財産か分からなくなったというふうにおっしゃいましたけれども,そのときには共有になるのでしょう。1の規律によって。違うのですか。甲不動産,乙不動産とあって……。

 

 

  •  今,実は幹事がおっしゃられた例を取り違えていたのかもしれなくて,それだと申し訳ないのですが,物理的に1個になってしまったというような話ではないわけでございますか。不動産が一つになったというのは。

 

 

  •  ある不動産が共有であるという,それだけの話なんですが。

 

 

  •  一つの不動産が共有状態になっていると。

 

 

  •  二つというか,複数の財産があって,固有財産がどれか,信託財産がどれかというのが分からない状態,これがここで言う識別不能。

 

 

  •  甲不動産,乙不動産とあったときに,1の(1)の規律を入れたときに,6対4だと仮定しますと,甲不動産も6対4,乙不動産も6対4,共有になるわけでしょう。
  •  そうですね。

 

 

  •  そうすると,もうそれで……。

 

 

  •  1の規律でそうなるわけね。

 

  •  そうすると,もはや2は働かないのですか。識別不能性がなくなることによって。

 

 

  •  1によって一応共有という形でもって処理されたときに,それを分割するときの規定が2なんだというふうに理解していたけど。

 

 

  •  だから,1の規定によって6対4の共有になった場合と,最初不動産が6対4の共有であるというのと,違うのですか。同じですよね。

 

 

  •  分割させるという点においてはね。

 

 

  •  とりわけ,2を利益相反の問題が中心なんだというふうに考えるならば,そこに違いがあると思えないですけれどもね。

いや,どこかで大きな勘違いをしているのかもしれないので……。

 

 

  •  およそそれは,今,共有物の分割の問題ですね,共有持分権が信託財産になっているときの話一般にすべてかかるのじゃないかということですね。

 

 

  •  それだと,つまり2の方法によって分割しましょうという話は,確かにおっしゃるとおりで,1によって生じた共有だけではないという理解が正しいのではないかなという気がいたします。

 

 

つまり,これは共有物の分割に関して利益相反を具体化したような条文ということになりますので,そういう意味ではおっしゃるとおりなのではないかと。

御指摘をちょっと取り違えていたようで,失礼いたしました。

 

 

 

  •  今,○○関係官がおっしゃっていただいたとおりだと思います。したがって,第11の2というのは,識別不能の中の具体的な手続ルールというか,出口のルールだけでない位置づけをした方がいいように思われるということになるのじゃないでしょうか。

 

 

 

ただ,ずっと識別不能から出発して出口を考えていたので,別の入口から入って共有になる場合が,本当にこの識別不能の第11の2の出口でいいのかどうかというのは,今すぐにはよく分からないのですけれども,出口としては別の入口から入った共有の出口があり得るだろうということなのだろうと思います。

 

 

 

 

  •  今,○○幹事が言われたように,一般的な識別不能から始まったのじゃない共有状態のときに,その共有状態を解消する方法としてこれでいいのかどうかということについては,もう一回そういう観点から検討しなければいけない。

 

 

 

  •  添付というのが○○関係官がおっしゃったようにありますのとともに,それから恐らく固有財産と信託財産両方の資金を使って何か一つの物を購入するとか,そういう抽象的な問題はあり得ると思うのですけれども,難しいことを考えなければ可能だと思いますので,そういうことによって共有状態というのは生じ得るのだろうと思います。

 

 

 

  •  そういう観点から,少しもう一回検討してください。

それでは,ここまでよろしいでしょうか。

では,先に進ませていただきます。

 

 

 

 

  •  それでは,第12から第14まで,これは基本的には信託財産の独立性に関するものでごさいますので,まとめて御説明をしたいと思います。

 

 

 

 

まず第12でございますが,信託財産が受託者の相続財産に属しないことを規定した現行法第15条の規定を削除することを提案するものでございまして,前回提案から変更はございません。

 

 

すなわち,受託者の死亡から新受託者の選任までの間の信託財産の所有者についての規定のない現行法と異なりまして,この間の信託財産を法人とみなす旨の規定を設けることとした場合,なおこのような規定を設けることについては第6回会議においては特段異論がなかったと思われますが,これを前提といたしますと,信託財産が受託者の相続財産に含まれないことは明らかと言えるから,削除するということでございます。

 

 

 

次に,「第13 信託財産に対する強制執行等について」というところでございますが,これは信託財産に対してかかっていける債権の類型を限定し,信託財産の独立性を確保する規定でありまして,その提案の本文自体は前回提案と変わるところはございません。

 

 

 

ここで問題となるのは,受託者が信託事務の処理につき,不法行為を行った場合において,損害賠償債権者が信託財産にかかっていけるかという点でございます。

 

 

第3回会議では,少なくとも受託者の過失によってなされた不法行為に係る損害賠償請求権については可能という考えを示しましたところ,信託事務処理上の不法行為につき,債務不履行構成であれば信託財産にかかっていけるが,不法行為構成であれば信託財産にかかっていけないのでは均衡を失することですとか,受託者が不法行為を行ったリスクの負担については,その故意・過失にかかわらず,被害者ではなくて信託財産,最終的には損失てん補請求を受ける受託者が負担するのは公平であるということから積極的な御意見と,他方,受託者の資力によっては受益者が信託財産に対して受託者から十分な求償を受け得ない場合があり得るので,信託財産の独立性,ひいては受益者の利益を害するおそれがあるから,より慎重な配慮が望まれるとして,消極的な意見とが示されております。

 

 

 

 

 

 

この点につきまして,資料中にも記載しましたが,法人の理事や組合員が不法行為を行った場合には,被害者は,法人財産や組合財産に対してかかっていけると考えられていることとの整合性等も考慮しつつ,いかなる結論をとるべきかというところを御審議いただければと思っております。

 

 

 

次に,第14の「受託者倒産の場合における信託と倒産手続との関係について」というところでございます。

 

 

第14につきましては,大枠について御異論はございませんでしたが,前回の御審議を踏まえまして,次の2点を取り上げております。

 

 

 

まず,一般に破産管財人等は双方未履行双務契約の解除権を有するわけですが,受託者が破産した場合には,その破産管財人が双方未履行双務契約の解除権を行使することにより,信託契約を解除することが可能か否かという点が議論がございました。

 

 

 

審議の中では,その理由はいろいろございましたが,結論としては皆様,信託契約については双方未履行双務契約の解除権の規定は適用されない,すなわち解除することはできないというお考えであったかと存じます。

 

 

 

こちらでも検討いたしましたが,信託財産は破産財団に属しないとしておりますので,信託契約はいわば自由財産関係の契約に類似するということができます。

 

 

そこで,以前の会議で御示唆もいただきましたとおり,双方未履行双務契約の解除権の規定は適用されないものと整理することになるのではないかと考えております。

 

 

 

また,この点は,再建型の手続においても変わりがないと一応整理できるのではないかということで,その旨記載しております。

 

 

ただ,他方で再建型については管財人が受託者の職務を行うなどの点において,別の考慮をすべきではないかとの御指摘などもおありかもしれませんので,御意見をちょうだいできればと思うところでございます。

 

 

 

 

次に,第2点といたしまして,再生手続又は更生手続におきましては,受託者の職務等を管財人が行うこととしておりますが,その報酬についてどのように考えるべきかという御指摘がございました。

 

 

 

この点,検討いたしましたが,資料にも記載しておりますとおり,まず信託財産の管理処分は再生手続又は更生手続上の管財人が行うべき職務そのものでございますので,その対価はいわゆる管財人報酬に含まれまして,管財人はこれを受けることになると思います。

 

 

 

他方で,受託者の固有財産に属する信託報酬の請求権は,再生債務者財産又は更生会社財産に属する財産でございますので,機関としての管財人は信託財産から報酬を受けることができることとなりまして,報酬として受けた金銭は再生債務者財産又は更生会社財産に属することになります。

 

 

このように,管財人報酬と信託報酬という二段階の構造になるのではないかと考えておりますので,この点も御意見をちょうだいできればというところでございます。

 

 

 

 

 

 

その他は,前回説明で記載していたものを,ゴシック体の本文のアステリスクで記載しているところでございます。

以上で,とりあえず終わります。

 

 

  •  それでは,ここまでで御意見いかがでしょうか。

 

 

  •  信託財産に対する強制執行のところですけれども,これについては第3回のときでもちょっと意見として申し上げましたけれども,不法行為を行った場合に,信託財産にかかっていけるかどうかということですけれども,この前の議論で,取引的な不法行為とかについては,正に債務不履行との関係で議論を聞いていますとそういうことかなという感じはするのですけれども,やはり一般的な不法行為の場合,余り例としてふさわしくないかもしれませんけれども,例えば不動産を建設するような形の信託事務をやっている際に,誤って人を傷つけてしまったとか,そういうような場合について信託財産に果たしてかかっていっていいのだろうかと。

 

 

やはりこれについては,受託者個人の責任としておさめた方が,そこら辺は相当なのじゃないかなという意見を持っております。

 

 

  •  今,13の不法行為のところですね。なかなか,これも大きな考え方のところで,どういう考え方をとるかということとも関係すると思いますけれども。

 

 

単純に法人と比較すると,不法行為がすべて法人財産に帰属するわけではなくて,信託の場合も同じように,事業の執行につきとか,いろいろな制約はあるわけですけれども,それでも事故型というのでしょうか,今のような建設する際に受託者の過失があるけれども,それによって生じた損害というのは,いわば第三者に事故として生じたようなものである,取引とは関係ないという場合ですね。

 

 

私も,ある程度信託財産にかかっていけるべきだと思うのですけれども,どういう制約が適当なのかというところは,ちょっと悩んでいるところです。

 

 

 

今のような取引的な不法行為と事故的なものと,うまく分けることができれば,それも一つの考え方だと思いますけれども,取引的不法行為とそうでないというのと分けるのが,今の事例は比較的簡単かもしれませんけれども,なかなか境界線は難しいかもしれない。

 

 

 

すみれ

「そうだよね。分けるのは難しそう。」

 

 

これは,○○委員は御意見があったと思いますけれども。

 

 

 

 

  •  ○○委員がおっしゃっているように,一般的な債務関係におけるところの信託財産への掴取力みたいなところとの権衡があるので,日本の場合,一層難しいと思いますね。

 

 

アメリカの場合は,とにかく今度の統一信託法典では,今までにない規定を入れて,受託者の責任をこの点でも限定しようとしたのですが,それは,いわゆる故意・過失が受託者に認められない場合,厳格責任があるようなものであれば信託財産にかかっていけるという話なので。

 

 

 

今日ここで議論されているのは,当然受託者個人にしかいけないという部分なんですね。

 

 

だから,日本で今議論されている話とは少し落差というのですか--少しだけではないと思いますが,スタートラインが少し違うので,比較するのも難しいような状況だと思います。

 

 

 

 

  •  私自身も悩んでいるところですけれども,求償関係も視野に入れて,最終的にも過失があって,受託者に,例えば信託財産が一遍責任を負うにしても最終的には受託者が責任を負うべき場合であるというようなときになると,何か信託財産に責任を負わせるというのは余り適当じゃないのかもしれないという気もしますし,逆に今度,受託者にも過失があるけれども,信託財産のために行った行為で,観念的には従来の議論からすると求償権はそういう場合でもあるのかもしれませんけれども,むしろ内部的な負担の問題としては求償権を制限して,信託財産の方で本来負担すべき場合であると,法人の場合にも求償権を制限する議論がありますけれども,それと同じように考えて,信託財産の方で負担すべき場合であるということになると,信託財産のところまでいけるというのがよさそうな気がしますし,なかなか悩ましいところですね。

 

 

 

 

これ,アメリカの信託法は確かに無過失責任の場合に受託者に対する責任を負わせるのも適当でないし,日本でいえば工作物責任みたいな場合ですね,そこで信託財産について責任を負わせるという規定になっていることはおっしゃるとおりだと思いますけれども,普通,受託者に過失がある場合についても,今度の統一信託法典は信託財産にいけるようにしたのじゃなかったでしたっけ。

 

 

 

 

  •  ちょっとそれは,私の理解ではやはりいけない。やはり信託財産には,基本的にはいかないで,伝統的なルールは受託者の個人責任という話でしたから,それをまず契約の方では信託財産による,責任財産は信託財産ですよということを明らかにして取引をすれば,それは受託者の個人財産のところには行かないという,まずそこで一つルールができますね。

 

 

 

不法行為の方は,故意も過失もないような厳格責任についてまでは受託者--だから,伝統的なルールを維持するのはどうかという話で,その場合だけは信託財産へという話にしたので,だから信託財産へいける事例を,アメリカの信託法典というのも従来から比べればふやしているけれども,日本のように普通の取引では当然いけるのだというところからまずスタートしているところと,スタートラインが甚だしく異なっているわけですね。

 

 

 

 

 

 

  •  何か御意見があればと思いますが,まだちょっと私も十分詰めていないのですけれども,もしかしたらこの問題は,受託者の個人的な責任の問題とも少し比較しながら議論していかなければいけない問題なのかもしれないという気がいたしております。

 

 

 

ちょっとまだ,どういうところに問題点があるかもまだ私も考えていない,単なる思いつきですけれども,例の受託者の責任制限とか,そういうこととも多少影響する問題かもしれないし,どこかでもう一回,すべての問題を少し関連させて議論した方がいいのかなということだけ思っています。

 

 

 

  •  幾つかの要素を考えていく中の一つとして,不法行為によって得た利得が信託財産に含まれる場合とのバランスも考える必要があるかなと思います。

 

 

 

  •  そうですね,分かりました。

それでは,この点についてはちょっとまだ少し詰めるべき点があるということで,更に検討させていただくということで……。

 

 

 

  •  この今の条文のまま置いておきますと,これはどういう解釈になりますのでしょうか。これは,不法行為は一切含まれないという解釈になるのか,それとも,そうとは限らないのか,いずれなんでしょうか。御趣旨としては。

 

 

 

 

  •  これは,従来の解釈を16条のもとでどうしていたかということともちょっと関係しますね。そこははっきりしていませんからね。

 

 

 

 

 

  •  あともう一つ,ついでに言いますと,余り関係ないですが,言葉だけの問題ですが,例えば商法23条で名板貸しの責任について,「取引ニ因リテ生ジタル債務」について名板貸し人が連帯責任を負うと,そんな条文があるのですが,「取引ニ因リテ生ジタル」の解釈に,取引的不法行為に基づく損害賠償請求権を含むとか含まないとか議論があって,判例は含むと言っているみたいなのですけれども,ほっておきますと,この条文はむしろ取引的不法行為みたいなものを含む条文として起草されているようにも読めるし,何かちょっと出発点だけ確認したかったのですけれども。

 

 

 

具体的に細かく書けなかった場合が,どういうルールになるかということにかかわるものですから。

 

 

 

  •  この文章自体は事務局でつくりましたので,それなりの何か一つの考え方はあるかもしれませんけれども,繰り返しになりますけれども,従来の信託法16条のもとでも全く同じ問題があったわけですから,ここでは議論として不法行為の場合について書いてありますけれども,一応文言自体は従来の信託法の条文とほぼ同じことを書いておりますので,そこは解釈によってということを考えているのじゃないかと思います。

 

 

 

 

 

  •  従来も,この文言に当たらないという,信託事務の処理につき生じたる権利に当たらないというような解釈はありましたが,その背後には,そもそも不法行為について信託財産は責任適用はないという価値判断があって,この文言の解釈をそれによって言っているのじゃないかなという気がいたしております。

 

 

 

 

ここは,文言をどうするかというか,価値判断としてそもそも信託財産に対して責任を負わせるべきかどうかということをまず考えたいと思っております。

 

 

 

前回の審議会の議論は,大きく分けて肯定説と否定説がありまして,さらに肯定説の中でも,取引的不法行為に限るのか事実的不法行為も含むのかという点で,例えば,利益とかリスクの分配というところを重視しますと,取引的不法行為に限らないし,過失も含むと。

 

 

 

しかし,債務不履行との平仄ということを重視すると,どうも取引的不法行為に限るし,場合によっては故意に限るということになるように思われます。つまり,否定説・肯定説の中での広義説と狭義説という三つぐらいの分け方ができるのかなという気がしております。

 

 

 

  •  第14の方について,ちょっとコメントさせください。

 

 

第14の方の説明文の中で,双方未履行双務契約の解除規定が適用されるかどうかという話なのですけれども,私は受託者破産の場合のみならず,会社更生,民事再生の場合においても,解除規定は適用されないというルールを作るということに賛成したいと思います。

 

 

 

また同様に,ここでは受託者の場合を述べているわけですけれども,委託者の場合においても同様に,委託者破産,あるいは会社更生,民事再生の場合を含め,双方未履行双務契約の解除規定は適用されないということにしてはどうかなというふうに思います。

 

 

 

本日,最初に配布されています流動化・証券化協議会の意見書の6ページのBの1にこの問題を取り上げているわけですけれども,特にアセットバックド・ローン,ABLと呼ばれるようなスキームの,ABLあるいは信託借入れと呼ばれるようなスキームの流動化スキームにおいては,とにかく信託が解除されたり終了しないということが非常に重要でございまして,委託者ないし受託者の倒産によって容易に解除され得るとすれば,これは取引の予見可能性を損なうことになるかと思いますので,ほかに支障がないのであれば,受託者のみならず委託者の倒産の場合においても,信託契約が双方未履行の双務契約とされて,解除の対象になることがないような手当てがあった方がいいのではないかなというふうに考えております。

 

 

 

  •  ○○委員の後半の委託者の倒産の話について,同じ趣旨で述べたいと思いますが。

 

 

 

そもそも双務契約かどうかという問題提起については,私の方から第3回の会議で,倒産時の双方未履行解除権が生じないかどうかということを問題提起したわけでして,その点については本審議でも議論をいただき,また今回の資料でも御説明をいただきまして,非常にそれは有り難いと思っております。

 

 

 

ただやはり,特に流動化などを考えますと,倒産隔離は受託者の倒産のみならず,委託者からの倒産というのも非常に重要でございます。

 

 

 

これは,例えば先般の破産法の改正で,いろいろ委託者からの倒産隔離という観点で,一種の関連してということですけれども,相当価格売買の否認の特例を設けて,なるべく委託者のオリジネーターからの倒産リスクを解除していこうという方向性もあるわけですから,それに加えてここでも明確にしていただければと思います。

 

 

 

また,民事信託においても,やはり委託者のその後の破産等によって受益者に影響が及ぶということであれば,安定的な信託とは言えないと思いますものですから,よって,やはり実務上は委託者の倒産の場合も解除権の対象外であることが望ましいというふうに考えるわけです。

 

 

すみれ

「民事信託も出てきたよ。」

 

 

 

それで,本点についても受託者倒産と同様,まずその解釈ないしは機能の整理によって解決できないかというふうに思うわけですが,この点,第3回の審議の事務局の御見解では,双務契約ではないとは言い切れないということだったかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では,どう考えるべきかということですけれども,これは議論のたたき台として私見を述べさせていただきますと,委託者が帰属権利者でなければ,受託者倒産の議論と同様に,信託財産が破産財団の外にあると整理され,結果として倒産隔離が図られるという議論になろうかとは思います。

 

 

 

ただ,委託者が帰属権利者の場合というのは,なお疑問が残るということになろうかと思います。

 

 

 

ただこの場合,例えば委託者が全部の帰属権利者ということであれば,経済的には解除権を認めてもよい思われますが,例えば一部の帰属権で,受益権も一部持っているとかいうことも含みますけれども,この場合,当該一部の解除ということで全部信託が壊れてしまうということは,やはり問題が残ると思います。

 

 

 

とすれば,他の整理が必要になるかと思うわけですけれども,これもまた私見ですが,第3回で申し上げたことを若干敷えんいたしますと,例えばこう考えることができるのじゃないかということで御紹介したいと思うのですが。

 

 

例えば,信託を委任の性質を有する部分と,それから財産移転を有する部分に概念的に分けて,信託の存続に関するものについては後者,つまり財産権の移転がもう信託設定の際に終わっているということで,その分については双務未履行にはならない,双務未履行があったとしても,報酬請求権とかそういうことで,どちらかというと委任に当たる管理の部分であるから,解除権にたとえ服するとしても,管理部分であって,それはちょっとこれはどうかとは思いますけれども,例えば更迭の問題にも収斂されるということであって,いずれにしても委託者が倒産しても信託は壊れないというふうに考えられないかどうかということです。

 

 

 

 

 

ほかにもいろいろな考え方がございますけれども,是非ともこの点について御意見の整理を願いたいなというふうに思っております。

 

 

仮に,もし解釈上は困難であるということであれば,やはりお願いとしては,立法的に解決するということも御検討いただきたいなというふうにも思っております。

 

 

 

  •  解除の対象にならないということについては,大体御賛同はされているのだろうと思いますけれども,なお皆さんの御意見を……。

 

 

  •  2点ございますが,まず14の53条の解除権の話ですけれども,受託者破産の場合に,53条の解除権の適用がないというのは,これはそれでよろしいのだと思うのですが,この30ページの説明の書きぶりですと,委託者破産の場合に53条が及ばない説明がなかなか難しくなるのかなと思います。

 

 

 

現在のところの私の試論,つまり試みの論としては,やはり委託者破産の場合に53条が働くというのは何かおかしくないかなという気がしまして,解釈でやるとすれば,近時判例法で種々展開されております解除権を制約する法理がいろいろな形で働いてくるということがあるのかもしれません。

 

 

 

ただ,それで不明確だということであれば,あるいは立法が必要だということになるのかもしれません。

 

 

この辺はまだ引き続き考えられると思いますが,いずれにしてもこの30ページの上の方に書いてあるのですが,2の①について書いてある理由だけですと,委託者破産の場合に53条の適用がないことは説明し切れないのかなという気がしております。以上が第1点です。

 

 

 

それから第2点ですが,同じく30ページの「3 ②について」の,これは前回の私が申し上げたところに関係するわけですけれども,この説明を読ませていただきまして,整理としてはこういうのでいいのかなと。

 

 

 

つまり,いったん受託者の固有財産から共益費用として上がっておいて,あと受託者の固有財産は信託報酬の請求権を持つというふうな二段階の構成でいいのだろうと思います。

 

 

 

前回,管財人報酬という形でお話をしましたが,それで説明もそういう話に合わせて,管財人報酬に合わせて書いてありますけれども,結局信託財産の管理に必要な費用は,全部多分入ってくることになって,前回はその一つの例として管財人報酬を取り上げたのであって,管理に必要な費用は多分全部入ってきて,同じような説明が当てはまることになるのじゃないかと思いますので,その点はつけ加えさせていただきたいと思います。

 

 

 

  •  恐らく,余りここは対立点はないのだろうと思いますけれども,説明の仕方,あるいは信託法の中でどこまで規定できるのかとか,そういう問題があるのだと思いますね。

 

 

 

  •  ○○委員から,先ほど委託者の破産の場合に,破産管財人の解除権というお話がございまして,双方未履行の双務契約と言えるかどうかというので,一つは報酬がという話がありました。

 

 

ただ,報酬については信託財産からというのが,少なくとも今度の新しい提案ではそういうことになっているということでして,報酬は委託者が負担するという意味で双務契約になるということはないのかなという感じがしております。

 

 

それとは別に,先ほど少しおっしゃっていたかと思いますが,帰属権利者としての権利,これがあることによって双務契約と見られるおそれがあるのではないかというのが主たるお考えということでよろしいのでございましょうか。

 

 

 

  •  前者の場合でも,仮に信託行為等で委託者が報酬を払うといった場合に,同じような問題が起こるのではないかとは思うのですけれども。

 

 

  •  それが,つまり債務引受けみたいなものを第三者がした場合と見るなどして,それは双務契約というよりかは信託契約の外側でやったのだというふうに整理することも可能かなと思いますが。

そういったあたりを御懸念されるということですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  •  そうですね。

 

 

 

 

  •  具体的な中身について,念のため確認させていただきたいのですけれども。

 

 

委託者の倒産の場合で,同じ資料の第1の「信託の定義等」のところで,「信託契約の効力」ということがございまして,合意によって効力が発生する,その際には信託財産の引渡しというのはその後ついてくるということですから,信託契約自体がまだ財産を引き渡さない段階でなされているという場合に,その場合についてもやはり双方未履行双務契約であるということで解除の対象にはならないということも手当てをすべきなのかと。

 

 

 

それから,追加して出すというような約定になっていたような場合どうか。

 

財産権の移転関係自体が履行されてないというところも含めて,解除権を排除すべきなのか,そこはいいということなのか,ちょっとそこだけ少し確認させていただければと思います。

 

 

 

  •  先ほどの○○委員の御意見だと,追加のやつは別として,当初の設定の段階でまず最初に移転していないようなときは,これは双務未履行と言われてもしようがないだろうと。

 

 

  •  それは,もちろんできればということがありますけれども,そこまではちょっと難しいかなというふうには思っております。

 

 

  •  そこも含めて,じゃもうちょっと検討していただきたいと思います。

 

 

  •  あわせて検討いたします。

 

 

 

  •  よろしゅうございますでしょうか。

それでは,もうちょっと先まで進めさせていただきたいと思います。

 

 

  •  では第15から第17までを御説明申し上げます。

 

まず相殺でございますけれども,資料の32ページになりますが,まず<説明>の2,3に関する点から先に御説明いたしますと,これは前回提案におきましては,この資料の33ページの1(2)ですとか,2にありますとおり,信託の債権と信託外債務,固有財産あるいは別の信託に属する債務について,受託者から法定相殺をすること,及び相殺契約を締結することがいずれも原則として禁止されることを明示していたことに関するものでございます。

 

 

前回の提案は,このような相殺は,受託者と受益者の利益相反関係が生じる典型的な場合と考えられることから,定型的に原則相殺禁止に当たる類型であるということを明らかにする処置でありまして,受託者の忠実義務の内容を相殺の場面で具体化した場合の考え方を明らかにしたものでございましたが,第3回会議におきましては,相殺の規律の中で,利益相反行為の禁止に関する規律を提案すると,両者の関係が不明確になるおそれがあるとの指摘がございました。

 

 

 

 

 

そこで,今回の提案では,このような指摘ですとか,あるいは前回の提案内容には明示されておりませんが,信託債務と固有財産に属する債権との受託者からの相殺につきましても,固有財産からと信託財産からとの競合貸付けがされている場合など,結局は利益相反行為の禁止に関する規律によらざるを得ない場合があり得ることなどを踏まえまして,資料の32ページの2,3に記載しましたとおり,考え方自体は前回提案の内容を維持しつつも,実際の条文化に当たりましては,受託者が行う法定相殺及び相殺契約につきましては,相殺が問題となる場面であるとはいえ,いずれも受託者の行為に関するものであることを中心的にとらえまして,受託者の利益相反行為の禁止に関する規定の方に一本化することを明らかにすべく,相殺に関する提案の内容にはあえて含めないことといたしました。

 

 

 

ただし,今回の提案の1において,ただし書として,受託者の承認というものを含めておりますが,これも利益相反行為の規律に関連する受託者の行為ではありますものの,受託者の行う相殺については利益相反行為の規律に従ってその効力が定まることが比較的明らかであると考えられることに比べまして,第三者からの相殺が効力を生じない場合においても,受託者がこれを承認することによって相殺の効力を生じさせることができるかについては,利益相反行為の禁止の規律からは必ずしも明らかではないと考えられますことから,これができるとの考え方をとることについて,実際に条文化するか否かはともかく,ルールとして明示しておくことが妥当であると考えたからでございます。

 

 

次に,資料31ページの1に関する点でございますが,これは信託債権と信託外債務,例えば固有財産における債務につきまして,第三者が法定相殺をした場合に受託者がこれを承認した場合の相殺の効果と,承認前に自働債権であります信託債権を差し押さえた債権者の差押えとの優先関係に関するものでございます。

 

 

 

この点に関しましては,前回提案時には,相殺の効果は相殺適状時にさかのぼり,差押えにも優先するとの説明をいたしましたが,債権譲渡と相殺の優先関係に関する平成9年の最高裁判例との関係を検討する必要があるとの指摘がございました。

 

 

そこで,再検討いたしました結果,最高裁の事案も本件の場合も,いずれも本来効力が認められない行為が事後的に有効となる場合である点において共通するものであること等にかんがみれば,同様に解すべきものと考えられますことから,前回提案時の説明を改めまして,差押えが優先することになると考えるものでございます。

以上が,相殺に関する変更点の説明でございます。

 

 

 

次に,「第16 信託財産との混同について」でございますが,これは信託財産と固有財産との間では混同が生じないことを規定した現行法第18条,それから第22条第2項の規定の内容を,解釈上のみならず明文上も広げ,ある信託財産とこれと同一の受託者に属する固有財産又は他の信託財産との間では,物権の混同も債権の混同もおよそ生じないことを明文化することを提案するものでごさいまして,前回提案から変更はございません。

 

 

 

それから,第17の「委託者の占有の瑕疵の承継について」ございますが,これは受託者が委託者の占有の瑕疵を承継する旨を規定した現行法第13条の規定を削除することを提案するものでごさいまして,前回提案の方向性を進めるものでございます。

 

 

 

 

現行法の趣旨は,信託を利用して占有の瑕疵を治癒するという濫用の危険をあらかじめ定型的に排除しておくとの観点から,民法第187条の特則を設けたものと思われますが,受託者が一律に委託者の占有の瑕疵を承継するとの,いわば硬直的な規定を設けるよりは,民法の原則を前提とした上で,信託の濫用の危険に対しては,受益者の主観的態様等も考慮した上で,脱法信託ですとか公序良俗等の規定によって柔軟に対応できることとする方が望ましいと考えるものでございます。

以上で終わります。

 

 

 

 

  •  それでは,ここまででお願いします。

 

 

  •  相殺のところでございますけれども,相殺の方の規定につきましては,基本的な方向性については賛成ということですが,2点ばかり確認させていただきたいと思います。

 

一つは,現行の実務では貸付信託とかの損失補てん契約のある信託につきましては,第三者と相殺に係る契約を締結してもいいですよということを信託契約の方に書いた上で,それで第三者との相殺についての--相殺の予約契約ですけれども,それを締結して,第三者に預金保険事故が発生時に予約の完結権を与えるというような形のものをやっているのですけれども,信託勘定で借入れを行っている第三者からの相殺についての予約完結権が行使される前に,信託債権者から差押えがあっても……。

 

 

済みません,相殺が差押債権者に優先するというふうに考えていいかどうか,それをちょっと確認させていただきたいと思います。これが1点目です。

 

 

 

もう1点は,第8回の会議で,受益債権というのが他の信託債権に常に劣後しますというようなお話がありましたけれども,ある信託で,他の信託債権がある場合でも,ここで言う2番の相殺ができるのかどうかということで,多分これはできるのだと思うのですけれども,その場合は受託者が承認を行うというような要件が入っていますので,そのときに承認を行ってしまうと,債権者が損害を受けたというような形で,受託者が損害賠償請求を受けることがあるのかどうか。この2点,ちょっと確認させていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

  •  ちょっと後の方はよく分からないけれども,最初の方は,いわば相殺の契約が最初からあるという場合ですね。

最初から相殺の契約があって,それが利益相反行為には当たらないという場合に,改めて受託者の承認というのは必要になるのですか。

 

 

  •  必要ないと思いますので……。

 

 

  •  相殺が勝つのじゃないですかね。

 

 

  •  1のところの規定というのは,基本的に法定相殺のところの部分のことを考えていて,相殺契約についてはここの中から外れてしまったところでの話ということ。

 

 

 

  •  利益相反行為の禁止の例外に当たれば相殺契約はできますので,ここに書いてあることとは違います。

 

 

  •  後者の方は,直ちにはよく理解しなかったけれども,2との関係ですか,受益債権……。ごめんなさい,十分理解していなくて。どこを問題とされたのでしたっけ。

 

 

 

  •  例えば信託の受益権があって,その人に対してお金を貸していましたというようなときに,先方から,要するに債務者の方から相殺の申出があって,そのときに基本的には普通の一般債権が別にある場合については,劣後するということであったとしたら,相対劣後する債権であっても,果たしてそれ相殺してもいいのかどうか。

 

 

 

多分,何かそれはできるのではないかなという気がするのですけれども,ただ相殺するに当たって受託者が承認するというふうな要件が入っていますので,それによって,受益者ではなくて第三の信託の債権者を害することが起こり得るのではないかなと思うのですけれども,そのときに承認を与えたということで債権者の方から何らかの形で損害賠償請求を受けるとか,そういうようなことはあるのかなと。

 

 

 

 

  •  そうですね,信託債権者一般と受益債権を持っている者とでもって,受益債権の方が劣後するというふうに考えたときの話ですね。

 

 

 

直ちに結論は出ないけど,まず相殺がだめだとは恐らく言えないですよね。受託者が承認したという条件が入るために,その責任を問われるかということですけれども……。

どうですかね,ほかに何かちょっと御意見があれば……。

 

 

 

 

  •  難しい問題にかかわるので自信がないのですけれども,受益債権者が持っている受益債権がどれだけの量であるのかという問題にかかわってくるように思うのです。

 

 

信託債権の方が優先しなければ困る場合というのは,要するに十分に信託財産がない,信託の負っている債務を弁済するだけの財産が信託財産,積極財産にない場合に,そういう問題が生ずるのだろうと思うのですね。

 

 

そうすると,そのときに果たして受益債権が相殺をするに足るだけのものがあるのかどうかということが問題になってくるのではないかと思うのです。

 

 

ただ,常にリアルタイムで評価をして,受益債権というものの経済的価値とともに,いわゆる法律上の額面というのでしょうか,それが出さないようなタイプの信託がもしあるとすると,おっしゃっているような問題が出てくるのだと思うのですが,常に抽象的にはその段階でのいわゆるバランスシート上の純資産に当たる部分を受益債権は表象しているものなんだというふうに考えるならば,そこに額があるならば信託が負っている債務の債権者を害するような相殺というのにはならないし,信託が負っている債務の債権者を害するような相殺になる場合には,受益債権はゼロだから,結局相殺の意思表示をしても空振りなんだということになる,それが基本なのではないかなというふうに思います。

 

 

 

したがって,承認を与えたがゆえに損害が生じているじゃないかというような問題には,本来はならないのではないかと思います。

 

 

すみれ

「相殺にも空振りってあるんだね。」

 

 

  •  相殺ですからね,現実にお金を受益者に渡すわけではないので,受益権の価値がその場合には,いわば信託財産が足りないために債権者の方が持っていった残りしか受益権がないというふうに考えると,受益権との相殺をしても,債権者が害されることはないと。

 

 

そういうふうに整理できれば,問題ないのかもしれませんね。

とりあえずは私も納得したけれども……。

 

 

  •  今おっしゃっていた純資産の額で変動するというのは,例えば金銭債権の額面そのものが変動するということになるわけでしょうか。

 

 

 

 

つまり,その時点で裁判をしようと思ったときに,私が持っている債権というのは金幾ら幾らですと,支払えという前提として,認識するその債権の内容そのものが変動するということですか。

 

 

 

 

  •  実質的にはそうではないかと思うのですが,ただ余計なことは言わない方がいいのかもしれませんが,会計年度があって,年度末にある一定の操作,というか,作業をした,手続をした上で,受益債権の額を認識して,しかしその後生じた財産の減少というものを,今のような場合にどういうふうに反映させるのかという問題はあるのだろうと思うのです。そこはよく分かりません。

 

 

 

  •  それは,信託の受益債権一般にそういう性質があるというお話なのか,あるいは合同運用なんかを典型例とするような,期間収益を計って受益の内容を定めるという契約がされている場合にはということなのでしょうか。

 

 

つまり,ある時点においてある種の財産,株式を渡しますというような債権が仮にあるとた場合には,純資産額で決めると申しましても恐らく決め難いのではないかと思いますし……。

 

 

ポリー

「相殺できないんじゃないでしょうか。」

 

 

 

  •  揚げ足をとるようですけれども,そういうときには相殺はどういう形で問題になりますでしょうか。

 

 

  •  それでは相殺はできないということです。

ただ,○○幹事が先ほどおっしゃったのが,受益債権一般の性質として変動するというお話……。

 

 

  •  限定を付して,相殺が問題になるような場合の考え方の基礎に置いたらどうかというにとどめておいてください。

 

 

 

  •  よく理解できないのですが,受益債権が,例えば額が決まった,毎月なり毎年なり幾ら払うという受益債権で,しかし流動性が低くて今は払えないので,そこで受託者の固有財産の方から受益債権を払うということはあり得るわけですよね。

 

 

 

この相殺の2の局面というのは,固有財産からの支出で相殺をするという話ですから,受託者が相殺ではなくて,自分の現金で受益債権をとりあえず月々払わなければいけないので払ったと,だけどその段階で流動性の資産だけじゃなくて,取った後もばあんと下落していて,信託財産の方の借入金も実は払えないような状態であったというような局面が問題なるかと思うのですが,そのときに,月々幾ら払う,毎年幾ら払うという受益債権であったときに,総財産全体からするともはや払えないのだから,受益債権のこの金額は切り捨てられるということは,やはりないのじゃないかという気がするのですけれども。そうだとすると,相殺はやはり額面で起こり得る話ではなかろうかと。

 

 

 

 

その場合なのですけれども,結局その後どうなるのかを考えますと,固有財産から支出しているわけですから,信託財産に対して求償権が立つと。

 

 

この求償権と,それから受益債権代位構成でいく可能性があり得るわけですけれども,そのときに例の受託者の求償権の優先関係がどうなるのかということで,もとの債権者に対して,支払いをすることによって求償権を取得した場合には,もとの債権者の地位と同じ立場に入るという仕組みにしているのではないかと思いますので,そうすると求償権自体は受益債権者と同じ立場でしか行使できないということになるのだとすると,そもそも受託者が信託財産から取っていくときに,既に劣後するという形になるはずで,もしそうだとすると,受益債権の相殺を認めたことによって,信託債権者より優先してより取っていけるという地位が認められるわけではないので,その意味で損害賠償というような話にはならない,そういう説明になるのじゃないかと思ったのですが。

 

 

ただそこは,求償権の優先関係等についての規律が決まらないと,この関係で例えば代位的な構成と求償権本体と二本立てみたいに考えて,こっちは同列でいくのだみたいなことになると,劣後するものに払うことによってより優先的な債権をつけているということになり得ますので,損害賠償の話は出てき得るのかと思いますが,そうでない扱いをするのであれば,そこの問題はないのじゃないかと感じたのですが。

 

 

 

 

  •  恐らく,劣後する方の債権を優先的に弁済するという関係にはしないというふうに理解していましたけれどもね。今の,○○幹事の話のとおりだと思いますけれども。

 

 

 

  •  受益債権が求償権に変わるだけで,順位は変わらないという話ではないでしょうか。

 

 

ポリー

「債権の状態が変わっただけですし。」

 

 

  •  なかなか複雑な問題なので,もう一回求償関係の問題も含めて考えたいと思いますけれども。

 

 

 

 

どうも先ほどのお二人の意見は,多少違った局面を問題にされてはいますけれども,少なくとも債権者を害するような形でもって弁済されることはないだろうということでは一致しているのではないかと思います。

 

 

ほかの点も考えなければいけないので,少し今の局面に関連してもうちょっと検討してもらうことにいたしますけれども,ほかの点についてはいかがでしょうか。

 

 

 

  •  ちょっと相殺から離れてしまって申し訳ありません。混同ですが,難しいことではないと思うのですけれども,今日の早い方でありました第6との関係について,ちょっと申し上げたいと思います。

 

 

 

先ほど,○○幹事から,信託の受益権を当該信託財産が取得したらどうなるかというような話がありましたが,それは恐らくこの第16で混同によって消滅しないというものに当たらないので,本則に戻って混同によって消滅するという原則的な規律のもとに置かれるのではないかなと思います。

 

 

しかし,先ほど○○幹事が繰り返し注意を喚起してくださったように,有価証券化しているような場合には,また別の考え方があり得るとすると,信託財産の中に当該信託の受益権が,極端な場合ですと全部入ったままになってしまうという場合に,恐らく第6と同じような,あるいはより強いものなのかもしれませんが,規律を設ける必要が生じてくるのではないかと。何かそういうことになるのではないかと思います。

 

 

 

 

第6については,先ほど御検討してくださるということでしたが,第16との関係で今のような位置関係になるのじゃないかなと思います。御参考になれば幸いです。

 

 

 

  •  今のは気がつきませんでしたけれども,16との関係ですね。

さっき言われたように,信託財産でもって受益権を取得したときというのは,本則に戻るのかな。

 

 

 

  •  債権及び債務の場合という,第16の2。債権・債務そのものではないのかもしれませんが,信託受益権というのを債権あるいはそれに準ずる権利としますと,それに応じて受託者が負っている義務というのは,ここで言う債務又はそれに準ずるものになろうかと思いますので,それが固有財産で受益権を持っているときにはこの第16の2の考え方に基づいて混同しないと。

 

 

しかし,それを全部持っている場合には,そのまま放置するのは,正に第6の説明にあるような理由で適切ではないので,相当期間で終了するという効果を与えることによってそれを解消させようとしていると,そういうふうに位置づけられるのではないかと思います。

 

 

 

  •  固有財産でもって受益権を取得した場合の話ですか,今のは。

 

 

  •  最後に申し上げたのはそれで,しかし当該信託財産で受益権を持っている場合というのは,第16で混同によって消滅しないというのに当たらないのだろうと思います。

 

 

 

  •  後の方から言うと,信託財産で受益権を取得した場合には,そもそも混同の原則に入ってこない。

 

 

 

受益権というのが何に対する権利かということでもありますけれども,信託財産に対する権利,というか,信託財産を引当財産として受託者に対して請求できる権利だというふうに考えると,信託財産が取得したからといって,債権・債務が混同している状態が生じているわけでもないのじゃないかという気がするのですね。

 

 

番人

「たしかにですね。」

 

 

  •  分かりました。混同になるというところから出発するというのは……。

 

 

  •  信託財産で取得した場合にはね。

ただ,そういうふうに今度考えたときに,では固有財産で取得した場合はどうかと。今までは混同に当たるか考えていなかったのだけれども,今の説明からすると,今度こっちは混同になりそうな気もしてきて……。

 

 

  •  私は,強いて言うならば第16のような考え方で,固有財産が持っている場合には消滅しないと。

 

 

 

  •  結論はいいのですけれども,その説明の仕方としてね。

どなたか御意見があれば……。

ちょっと説明の仕方は検討させてください。結論はおっしゃるとおりでよろしいと思いますけれども。--よろしゅうございますか。

ではここで休憩いたしましょうか。

 

(休     憩)

 

  •  それでは再開したいと思います。

 

 

あと資料11の方ですね。それでは,これも○○幹事の方からお願いします。

  •  それでは,まず善管注意義務と分別管理義務,それから信託事務処理の委託というところの三つにつきましての御説明をしたいと思います。

 

 

 

まず,善管注意義務でございますが,前回提案から特に変更はございません。

 

なお,第4回会議におきまして,受益者の立場からすれば善管注意義務に関する個別的な規定も設けた方が望ましいのではないかという意見も示されました。

 

 

 

しかしながら,第1回会議と第4回会議で御説明したことにも関連いたしますが,まず善管注意義務の個別具体的な内容は,信託目的,信託条項その他の当該信託に係る諸事情によって異なり得るところを,どこまで具体的な内容の規定を設けるべきかについては,明確な基準にならないということ,それから信託に特有の柔軟性を生かして今後様々な新形態の信託スキームの発展があり得ることからしても,個別具体的な内容の規定を設けることについては,そもそも限界がありまして,かえって信託スキームの発展の足かせにもなりかねないということ。

 

 

更に,受益者の利益の観点からいたしましても,個別具体的な規定を設けることは,かえって善管注意義務の内容がその点のみに集約されるかのように制限的に解釈されるよすがとなるおそれもありまして,このような危険を招くよりは,むしろ一般的な規定を設けるにとどめた方が,様々な信託スキームの内容に応じて柔軟かつ適切な注意義務を受託者に課すことが可能となり,受益者の利益にも資するのではないかと思われることなどにかんがみまして,受託者の善管注意義務については,やはり一般的な規定を設けるにとどめ,それ以上に個別具体的な内容の規定を設けることとはせず,解釈に委ねることが相当と結論したものでございます。

 

 

 

 

続きまして,第21の「分別管理義務について」でございますが,これも前回の提案から実質的な変更はございません。

 

 

なお,実務的な観点から,第1回会議におきましては,どのようにすれば分別管理義務が果たされているのか規定上明確であった方が望ましいとの意見がありまして,更に第4回会議におきましては,提案の規律ぶりからは信託の登記・登録をすべきこととされている財産については,常に必ず登記・登録をしなければならないようにしか読めないが,受託者とされるべきものが経済的苦境に陥ったときには,遅滞なく信託の登記・登録をすることが約されているのであれば,なお分別管理義務が果たされているのであるとの趣旨が,規定上も明確になることが望ましいとの意見もございました。

 

 

 

しかしながら,信託財産の種類ごとの具体的な分別管理義務の履行の在り方について,私法上の基本法たる信託法において,一々規律を設けることは,際限もなく困難であると言わざるを得ず,信託法上の規律としては提案内容にとどめ,登記・登録の具体的な意味内容が常に必ず登記・登録をすべきというわけではなく,指摘のような趣旨にとどまること,あるいは登記・登録すべきこととされていない信託財産については,当該信託の性質に応じて最善の状態で分別管理すべきこととする場合のその最善の状態がどのようなものであるかにつきましては,いずれも解釈によって対応することが望ましいと考えるものでございます。

 

 

 

また,第4回会議におきましては,信託財産間においては,信託行為の定めがなくても分別管理を要しないという例外を認めてほしいとの意見もあることが紹介されましたが,受託者個人の債権者から信託財産を隔離することのみならず,受託者が複数の信託を受託している場合には,ある信託の信託財産を他の信託の信託債権者から隔離することも,信託制度の中核をなすものと考えるものでごさいまして,たとえ信・信間におきましても分別管理義務の例外を認めるためには,信託財産が金銭でない限り,信託行為の定めを要するものと考えております。

 

 

なお,前回資料で,要検討事項としておりました信託財産に帰属する債権を固有財産に帰属する債権等とあわせて被担保債権とする担保物権を取得すること等についての規定を設けるものとするかという点につきましては,忠実義務との関連で検討することとしたいと考えております。

 

 

 

すみれ

「債務者は誰だっけ。」

 

 

 

それから,第4回会議で指摘のあった預託株券や振替株式等の取扱いについては,信託の公示と関連して,追って検討することとしたいと考えておりますことを付言させていただきます。

 

 

 

最後に,「信託事務処理の委託について」というところにつきまして御説明をいたします。

 

 

第22でございますが,これは第三者に対する信託事務処理の委託に関しまして,現行法26条より広く,相当な場合には可能とすることを基本に据えつつ,第4回会議における事務局の提案,及びこれに対する批判を踏まえまして,更に新たな修正案を提示するものでございます。

 

 

まず,1につきまして,5ページに,前回の提案が書いてありますが,前回提案から,「ただし,信託行為に別段の定めがある場合には,この限りでないものとする。」を削除いたしました。

 

 

この点に関しまして,第4回会議におきましては,他人の信託事務の処理を委託することが相当な場合であるか否かの判断に当たりましては,信託契約における委託者と受託者との合意内容,これは委託された信託事務の内容からも明示的又は黙示的に認められ,あるいは合理的な意思解釈が可能な場合もあると思うわけですが,このような合意内容が極めて重要な意味内容を持ってくると思われる,そうすると相当な理由の有無と別段の定めとは大幅に内容的に重なるのではないか,しかるに,本文で「相当な場合」という要件を書き,ただし書で「信託行為に別段の定めがある場合」という要件を書くと,両者の関係が分かりにくくなるのではないかとの指摘がございました。

 

 

このような指摘は正当と思われますので,今回の新たな提案におきましては,信託事務処理の委託に関する別段の定めの有無及び内容,これは委託の可能性をより緩めているものと狭めているものと両方向あると思われますが,このような別段の定めの有無及び内容も,相当性の判断の一環として考慮されるべきものであると位置づけ,ただし書を削除することとしたものでございます。

 

 

 

 

信託行為における定めの内容が,委託の相当性の判断においてどのように考慮されるかについての事務当局の考え方の一端につきましては,4ページの上の方に記載したとおりでございます。

 

 

 

 

続きまして,2でございますが,これは前回提案から変更はございません。

 

受託者としては,善管注意義務のもとではあれ,自由に第三者に信託事務処理を委託できるというわけではなくて,委託することが相当な場合であることを要するのでありますから,このような要件をクリアして,適法に委託がなされたものである以上,受託者の責任を原則として選任監督責任に限ったとしても不合理ではないこと,他方,相当な場合でもないのに,違法に委託がなされた場合には,既にこの点において受託者の義務違反があるわけでありますから,受任者の故意・過失の有無にかかわらず,かかる違法な委託と因果関係のある損害については責任を免れないというべきこと,以上の考え方を明文化したものでございます。

 

 

 

ただし,受託者の責任が選任監督責任であるというのは,委託が適法になされた場合の委託者,受託者の通常の意思を推測したデフォルト・ルールにとどまるものでございますので,具体的な事案に応じまして,委託者,受託者の属性ですとか,信託事務の内容と委託された事務の内容との比較対照などから推測される委託者の通常の期待内容,あるいは委託者,受託者間の合意内容,すなわちどこまで約束していたかなどの事情によって変動すべきものと思われます。

 

 

 

したがって,これらの事情によりましては,受託者は,最終的な履行まで責任を負うべきであり,すなわち受任者の故意・過失についてまですべて責任を負うべき場合,逆に受託者としては適切な受任者に依頼すれば足り,すなわち選任責任にとどまるような場合,あるいは受任者に選択の余地はなく,あとは監督責任といってもせいぜいモニタリング責任にとどまるような場合などもあり得ることになると思われるところでございます。

 

 

すみれ

「ありそう。」

 

 

 

最後に,3につきましては,前回提案のうち,第三者たる受任者の責任に関しては,何ら規定を設けないという方の案を提案するものでございます。

 

受託者の責任に関しましては,会議当初にお配りいたしました報告書のみならず,前回提案におきましても何ら規定を設けないという今回の提案のほかに,6ページに書いてございますが,受任者が信託事務処理の全部又は重要な一部であることを知って委託を受けた場合には,受託者と同一の責任を負うことを原則としつつ,正当な理由があれば,受託者は,受任者との間でこの責任を減免する特約を締結することができるとの案も併記してまいりました。

 

 

 

しかし,後者の案に対しましては,第1回会議及び第4回会議におきまして,理論的な観点から,受任者に対して,委託契約に直接の相手方たる受託者を超えて,その背後にある受益者に対する責任までも負担させるためには,委託を受けた事務が信託事務であることを受任者が認識しているというだけでは足りず,職務の一部を受託することを通じて,自らも受託者としての任務を分担するのだという,いわば客観的にも主観的にも受託者と受任者が共同受託に類するような積極的な関係が認められることが必要ではないか。

 

 

 

また,実務的な観点からも,受益者と相対しているのは受託者の方であるから,委託先の責任についても受託者が前面に立って追求していくのが実務感覚に適するという意見ですとか,重要な一部とか受託者と同一の責任という内容は不明確であるなどの種々の問題点が指摘されたところでございます。

 

 

 

 

このような指摘を踏まえて検討いたしました結果,そもそも不明確な内容の責任を,単なる受任の認識のみをもって負担させることは,受任者に対する萎縮効果を招き,信託事務の効率的な処理のためにも有益ではないと観念されることを考慮いたしまして,受任者の受益者に対する責任の規定は設けないことといたしました。

 

 

 

その結果,受任者の責任内容は,受託者との委託契約によって定めるべきこととなりまして,現行法と異なり,受益者としては,この委託契約の中に,例えば受任者は信託財産に生じた損失をてん補する責任を受益者に対しても負担するといった条項があることによって,受任者に対して直接に受益者が責任を追及することができる場合,このような条項はいわば第三者のためにする契約としての性質を有するものと見て,ここで第三者にあたる受益者は契約から生じる利益を享受して,受任者に対する責任追及をすることができると解することができると思われるわけでございますが,委託契約の中に特別の条項がない場合には,受任者に対する責任を追及することはできなくなると思われるわけでございます。

 

 

 

 

そこで,このような結論をとることは,受益者の保護の後退につながりはしないかとの懸念があり得るわけですが,しかし受益者の利益は資料の5ページに記載しましたとおり,その責任の内容に応じまして,受託者がしかるべく受任者の責任を追及し,あるいは受益者が受託者に対して善管注意義務違反の責任を追及することによって,遺漏なく図ることができると考えるものでございます。

以上でございます。

 

 

 

  •  それでは,ここまでで御議論をお願いします。

 

 

 

 

 

  •  幾つかあるのですけれども,まず確認の質問をさせていただければと思います。

 

 

第22の「信託事務処理の委託について」の部分で,3ページの一番上の1で,「信託事務処理の委託をする権限」で,「相当な場合には,他人に委託をすることができるものとする」とされているわけで,この点について現行法で言われていることとの関係で,これをどう理解されているかという点についての質問ですが,現行法では信託法26条の解釈として,26条が適用されるような,いわゆる代人というものと,現行法26条が適用されない類型である狭義の履行補助者というのでしょうか,手足として使うようなものですね,この二つを分けて,26条が定めているのは代人についてであって,その狭義の履行補助者は26条は適用されない,つまり狭義の履行補助者はいつでも使ってよいと,そのかわりに受託者は,狭義の履行補助者の行為についてはすべて責任を負うのだというような議論が行われていたかと思います。

 

 

この新しい第22の説明において,この代人と狭義の履行補助者の区別というのは,今後も維持されるという前提で考えておられるのでしょうか。それとも,そうではないとお考えなのでしょうか。この点をまずお聞かせいただければと思います。

 

 

  •  御指摘の点につきましては,そのような区別は維持するものと考えております。

 

 

若干敷えんいたしますと,ここでは信託事務処理の委託に当たる,何が委託に当たるかというのは,原則として定義は設けないということで,例えば専門家に委託する場合,あるいは運送業者に委託する場合,それから例えば中央集中的なカストディーに委託する場合,これも本条の適用対象からは外しません。

 

 

 

しかし,そのような独立性のある法主体に対して委託する場合は本条の適用対象と考えますが,独立性がない狭義の履行補助者,典型的には会社の使用人ですとか,そういうものにつきましては,本条の適用対象からは外れるわけでして,その辺については受託者は全責任を負うと,そういう独立性のある法主体である受任者につきましては,本条の適用対象になる。このような区別で考えているものでございます。

 

 

 

  •  つまり,狭義の履行補助者というのは,常に利用することができるという前提で,それ以外の信託事務の処理を委託することというのは,本来は常にできるわけではないのだけれども,そのような委託をすることが相当な場合にはできると。

 

 

そのかわり,相当な場合という,特別な場合なのだから,選任監督の責任に限定するというのが御趣旨だということですね。

 

 

  •  そういう流れでございます。

 

 

 

  •  これは,第1回のときから指摘させていただいていることで,そして第1回で言われていたことに比較しますと,これははるかによくお考えになったロジックかなというふうには思うわけですが,その上で,しかしなお本来の質問といいますか,意見を述べさせていただきますと,他人に信託事務の処理を委託することが相当な場合には,いろいろな場合があり得るだろうと思うのですが,そういう場合に,常に選任監督について責任を負うというので本当にいいのだろうかというのが聞きたいポイントなのですが。

 

 

要するに,委託者ないし受益者の方から見ますと,受託者自身が信託事務を行うのではなくて,他人を使うということは別にあってもいいだろうと,そして信託事務の性格からすると,そのような他人を使うということは合理的な理由があるし,使ってもよいだろうという場合に,そういう場合に常に選任監督についてのみ責任を受託者が負うというだけなのかというと,きっとそうではなくて,他人を使ってもいいけれども,それはその受託者が使われた他人の行為についても責任を負ってくれるからそれで構わないのだというふうに考えるというのがあり得るだろうと思いますし,そして先ほどの御説明の中も,そういう可能性自体は排除されていなかっただろうと思うのですね。

 

 

すみれ

「家族信託の場合はそんなに責任をってことはないと思うけど。商事信託の場合は、委託者や受益者は、受託者が全部責任取ってくれるからっていう期待はありそう。」

 

 

 

 

 

そういった点から見ますと,この2の(1)のデフォルト・ルールという言い方をされましたけれども,本当にこれでいいのだろうかというのが,今なおちょっと私,よく分からないところでして,他人を使うことが相当な場合に常に選任監督の責任に限定されるというよりは,むしろ--言い方がなかなか難しいのですけれども,他人を使ってよく,かつその他人を選び,かつ監督するということをその受託者にゆだねたような場合には,正に選任し監督することについて過失がある場合についてのみ,その受託者というのは責任を負うということにとどまる。

 

 

 

 

つまり,他人を使ってよいかどうかということだけではなくて,その受託者に他人を選び,かつ監督することを委ねるというのですかね,そういう信託行為・信託契約である場合に,初めて選任監督についてのみ責任を負うというデフォルト・ルールが出てくるのかなというふうに私自身は理解していました。

 

 

 

そういう観点からしますと……,これ,どう書くかというのは本当に難しいというのはよく分かるのですけれども,あくまでも基準になるのはどういう信託契約が行われたかということであり,そしてその信託契約に基づいて,受託者に何がゆだねられたか,そのゆだねられた内容が他人を選び,かつ監督するということにとどまるというような場合であれば,選任監督上の過失に限定されると。

 

 

 

そうではない,他人を使ってもよいということだけであるとするならば,本来はその受託者が信託事務を遂行しないといけないわけでして,何か免責される,減責されるような理由というのは直ちには出てこないのじゃないかなという気がいたします。

 

ちょっとまとまりのない表現で申し訳ありませんが,以上です。

 

 

 

 

 

  •  ○○幹事の場合,どちらを……。今の,他人を使っていい場合,原則はむしろ選任監督だけでなくて,それ以外の全部の責任を負うと。法定代理人の場合の復代理の場合と同じ。あれがむしろ受託者の場合はデフォルトであると,そういう考え方ですね。

 

 

 

  •  一番分かりやすいのは,例えば請負人が下請を使うというのは,民法で言われているところ--解釈論にすぎませんけれども--からしますと,仕事の完成が目的なのであって,だれを使って仕事を完成するかというのは,二次的な事柄であると。

 

 

 

したがって,下請というのは使ってよいのだと。丸投げまでいくとちょっと問題ですけれども,下請というのは使っていいのだと。

 

 

 

そのかわり,下請人が実際に行った行為によって債務不履行状態が発生したというような場合については,その故意・過失については全部責任を負うのだというような説明方法がとられているのですね,請負に関しては。

 

 

 

これが,本来からするとデフォルト的な理解であって,つまりこれこれこういうことを頼んだ,その際に他人を使うということはいいかもしれないけれども,そのかわりにその行為については全部責任を負うと。

 

 

ただ,単に他人を使うというだけではなくて,他人を選任し,監督するということのみを引き受けたのだと言えるようなタイプの契約の場合については,正に契約上,その範囲で責任が限定されるというのが出てくるのかなと。というのが,一応の理解です。

 

 

 

  •  御趣旨はよく分かりました。

 

基本的には契約の趣旨によって決まるけれども,その場合のいわばはっきりしないときのデフォルトは,むしろ今の請負の下請みたいなので,選任監督だけでなくて,すべてについての責任を負うというのがデフォルトであるべきではないかと。

 

 

 

 

  •  もう一言だけ,念のためにつけ加えますと,例えば海外のカストディアン等を使うというようなことが,当然に想定されているような契約ですと,適切なカストディアンを選任し,監督もできるのかどうか,やや怪しいですが,必要な範囲で監督を行うというようなことが,その契約の趣旨から出てくるであろうと思われるので,こういうタイプの契約については選任監督上の過失に責任は限定されるのかなと思うのですが,しかしそういうタイプの契約でないような場合についてまで,常に同じようにデフォルトとしてこう言えるかというと,ちょっと疑問かなと。

 

 

 

  •  これは,なかなか難しい問題で……。

 

 

 

  •  今の○○幹事の御指摘との関係で,ちょっとこの資料の読み方を教えていただきたいのですが。

 

 

1項で「相当な場合」と定義されていますけれども,これは,2項と連動する可能性があるかどうかなんですね。つまり,選任監督のみ責任を負うことを前提にすれば,「相当な場合」とは言えないけれども,全責任を負うという形での委託をするのであれば「相当な場合」に当たるといった形で,相当性の判断が委託の形態によって左右される可能性があると考えていいか,1項はもう最初に決まって,独自に決まるということなのか。

 

 

 

もし連動すると考えるのであれば,実は○○幹事が言われたことはかなり解釈論でいろいろな対処ができるようになり得ると思うのですけれども。

 

 

 

  •  これは,少なくとも条文ではないけれども,考え方として今のような連動するような考え方をとるのか,切り離して考えるかという問題ですね。

 

 

 

  •  一応事務局としては,切り離して考えておりまして,委託できるかどうかという問題と,責任というのは別の問題であると。

 

 

相当な場合であれば委託できるとして,委託したときにどのような責任を負うかということになると,いろいろ御指摘のように当事者の意思内容,特に契約内容によって定まるものであって,委託したときの責任が選任監督でいいというような合意であれば,それは選任監督責任だけれども,最終的な履行まで責任を負うべきだというような合意内容であれば,それは全責任を負うし,選任だけでいいというような合意であれば,選任責任にとどまるということで,相当性の判断と責任とは連動しないということでどうかという考えでございます。

 

 

 

 

もちろん,連動するという考え方もあり得ますが,分けて考える方が明確ではないかということで,とりあえずそのような考え方でおります。

 

 

 

 

 

  •  今の○○幹事の御説明のところで,ちょっと確認なのですけれども。

 

 

先ほど,○○委員の方から紹介がありました流動化・証券化協議会の意見書の12ページ,13ページにもちょっと触れてあるのですけれども,債権の流動化等であれば信託法もビークル,箱として考えておりまして,基本的に信託のスキームを使うだけで,実際はオリジネーターであるクレジット会社等が債権回収等の業務は最初から行うように仕組まれているわけですね。

 

 

 

番人

「信託法が箱なんだ。信託法のスキームを使うだけなんだ。」

 

 

 

そういったときに,18の受託者の善管注意義務の問題にも関係するのですけれども,信託銀行さんの方に過大な責任を負わせる,例えば債権回収を受託しているクレジット会社が信託事務の受任を受けているというふうに考えますと,この間改正された信託業法の中では,その委託をする信託銀行について,最終的にそこの委託者の方の不始末については責任を負わないといけないということもありますし,そもそも委託するときに,的確な遂行能力とか分別管理をきちんとやらないといけないというようなところを見られるということになって,かなり重たい実務上の要請がオリジネーターの方に来てしまうと。

 

 

 

それと,実際上何十万件,何百万件という債権回収が,オリジネーターは自分の業務とそのサービサーとしての業務としてやっているわけですけれども,それを信託銀行さんの方で管理するというのは,実務上できないわけでございます。

 

 

 

そういった中で,選任の責任と,今の監督の責任というところで,特に選任自体はこれはせざるを得ないわけですからこれ自体はもう外すわけにはいかないのですけれども,監督の方の責任で,過去のというか,今までの考え方の中では,監督の責任についても例えば免除するとか,そういう形にしないと,先ほど言いましたように信託銀行の方にいろいろな責任が発生してしまうので,やっていただけないような問題というのも発生しかねないということがありますので,例えばこの信託法の中で,今説明がありましたように選任と監督のところを分けて,例えば監督責任についても負わないというような,そういう定めとか,そういったものについても有効なのかどうなのか,そのあたりについても,そういう定めが可能なのかどうなのか,そのあたりをちょっとお伺いしたいと思います。

 

 

 

 

  •  先ほどの○○幹事とはちょっと逆といいますか,何を結局デフォルトにするかという問題だと思いますけれども。

 

事務局の説明はまた後であると思いますけれども,基本的には,これは信託契約で受託者の責任を決めることができて,一方で--この原案をもとにすれば--重い責任,つまり選任監督についてだけでなくて,すべての責任を負わせるようなこともできるし,選任についてだけ責任を限定するということもできると。

 

 

 

ここは,選任監督についての責任を負うというのがデフォルトで,重くする方と軽くすることができると。

 

 

そういう案ですので,今の○○委員の御質問のような中身は,できるというのが前提だと思います。

 

 

 

その上で,しかしどこら辺をデフォルトにしたらいいかというのが,一つの難しい問題なのじゃないでしょうか。デフォルトというのは,その責任の中身を,ですね。

 

 

○○幹事が言われたようなところにするのか,ここに書いてある原案のようにするのか,あるいは更に,逆に選任だけを責任を負うというのをデフォルトにするか,そこら辺ですね。

 

何か,ほかの御意見はございますでしょうか。

 

 

 

番人

「選任だけ責任を負うのが基準、っていうのは厳しい感じがするな。」

 

 

  •  今のに関連した話なのですけれども,狭義の履行補助者という位置づけですけれども,これは別段の定めで定めて,そういう形にするというわけではないのですね。

 

 

もともとその状態が狭義の履行補助者という形態,例えば受託者の支配下にあるようなものとか,そういうようなものをイメージされているのでしょうか。

 

 

 

  •  履行補助者は,一応ここの規定とはまた別に,いわゆる履行補助者の過失の理論でもって考えるという前提です。

 

 

 

 

  •  そういうことでよろしいわけですね。

それで,現在の御提案でいったら,デフォルトとしてはそういう本当に狭義のものは別にして,選任監督責任だけを負うということが今の御提案の趣旨だということですね。

 

 

  •  そうですね。

 

 

 

  •  基本的には○○幹事と同じような趣旨の発言になると思いますが,選任監督に責任を限定して,それで26条3項に当たる規定を削除するということになりますと,この5ページに正しく書いてあるとおり,受益者の保護が現行法と比べて後退すると思います。

 

 

それでいいのかどうかという問題なのかと思うのですが,この下に「しかしながら」ということで三つほど,そうではないのだということが書かれていますけれども,やはりこれは,それぞれ説得力に欠けるというか,これが後退させるのだけれども,それでもいいという判断がないと,なかなかこれでいいということにはならないのではないかという感想を持っております。

 

 

 

 

これをどうしたらいいのかというのは大変難しい問題だと思いまして,ちょっと私もよく分からないところがありますけれども,これらは既に比較法的な考察とか,そういうのは十分された後の結論ということでよろしいのでしょうか。その辺,ちょっと確認を……。

 

 

  •  比較法的な研究は,もちろん大分いたしました。

 

 

それから,今の○○委員の御意見というのは,関連はするけれども二つの点にわたっていると思いますけれども,一つは現行法上も26条の2項に当たるところで,選任監督についてのみ責めに任ずという形になっておりますけれども,これを○○幹事が言われたように,これに限らないすべての全面的な責任を負わせるのが原則であるべきではないかという,そういう御意見と,それから26条3項の,これは委託を受ける第三者といいますか,先ほどの説明の中では「受任者」という言葉を使っていましたけれども,それの責任を受託者と同一にするというこの26条3項の規定,これを削除していいかどうかという問題と,二つあったと思いますね。

 

 

 

 

ちょっと,26条3項の方は,関連はしますけれども,ちょっとまたこれは少し別な点を考慮しなければいけない点ですので,とりあえずはまずは先に26条の第2項に相当する部分,受託者の責任としてどうあるべきかということを御議論いただければと思いますけれども。

 

 

 

 

  •  今の点ですが,この問題は信託としてどういったものを想定するかによって,多少イメージが違ってくるのかという印象を持っておるのですけれども,少なくとも今後一般の民事信託が広がっていくということを考えた場合には,やはり一般の民事信託の場では受託者の責任としては選任監督だけではなくて,もう少しきちんとした責任を負うというふうにする方が,一般的な考え方に沿うのじゃないかなというふうな印象を持っております。

 

 

 

すみれ

「たまに出てくる民事信託。家族が受託者だと、責任追求って場面はあまり起こらないような気もするけど。」

 

 

 

それから,この御提案の趣旨の内容についてですけれども,恐らく問題となってきますのは,受任者のところで何か,受任者が故意・過失によって信託財産に損害を与えたような場合に,受益者の立場から受託者に対して責任を問うというような,損害賠償請求をするとか,そういった場合が考えられるのだと思うのですけれども,そういった場合に,この規律の仕方ですと,責任を追及する場合には委託が相当でないということを主張する場合と,それから委託が相当であるとしても,選任監督に問題があるという主張をする場合というのが多分考えられるのだろうと思います。

 

 

 

具体的にそういったことをとっていくということを考えた場合に,受益者の立場から非常に気になりますのが,立証責任の問題でして,こういった相当性ですとか,あるいは選任監督の点についてどちらが立証しなければならないのか,これがもし受益者が立証責任を負うという前提で考えられますと,非常に受益者にとっては酷なことになるのではないかと。

 

 

基本的に,その信託の関係では,情報が受託者の方に集中しているということがありますし,それからそもそも受託者が受益者に対して善管注意義務,あるいは忠実義務を負って信託事務を処理すべき立場にあると,それからその内容としてある程度説明義務等,情報提供の義務を負っているということを考えるのであれば,その辺の立証責任については,これは受託者の側に,こういった規律をするとしてもあると考えるべきではないかと思うのですけれども,その辺についてもし御検討されていることがあれば教えていただきたいということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  •  立証責任の点につきましてですが,基本的なこの委託についての考え方にも関係するわけですが,我々といたしましては,従来の法律の考え方を改めまして,原則として委託はできるのだと,ただ相当でない場合はできないということで,方針を変えております。

 

 

 

ですから,提案の文言はこう書いてありますが,ただ今申し上げた考え方をストレートにあらわすといたしますと,「受託者は第三者に対して信託事務処理を委託することができる,ただし次に挙げる場合はこの限りでない」として,「相当と認められない場合」,あるいは「信託行為で禁じられている場合」,こういう書き方になるのかなと。

 

 

 

そういたしますと,この方針に忠実にいくといたしますと,相当な理由の有無の立証責任というのは,現行法ではもちろんこれは受託者の側が抗弁として負っているわけですが,やはり受益者側で請求原因として相当な理由がなかったことというのを主張立証するという方向でいくのが筋ではないかと思います。

 

 

ポリー

「なかったことを証明していくのか。実際は信託財産が減ったことかな。」

 

 

そして,事務局としては,この方針転換ということを譲るというのはなかなか難しいことでございまして,立証責任の点についてはやはり相当の理由がなかったというのを受益者が言わざるを得ないというところは動かしにくいのではないかと思います。その反面,選任監督責任ではデフォルトとしてですが,軽いというのであれば,そこは多少の変更というのはあり得るのかなと思いますが,立証責任については今のようにいくべきではないかと考えているところでございます。

 

 

 

  •  そうしますと,受益者の立場からすると,厳しいなという印象を持ちますが,もしそのような形で立証責任を考えるのであれば,これはこの後のテーマということになろうかと思いますけれども,例えば23の帳簿作成義務のところにおいては,その受益者の方がきちんとそういったことをチェックできるような形での,これは後のテーマかと思いますけれども,そういった規律をお願いしたいというふうに思います。

 

 

 

  •  そこは配慮いたします。

 

 

 

 

 

  •  基本的なところからいきますと,やはり信託の現代化ということからしますと,特に商事信託というものを前提にする限りにおいて,信託事務が非常に高度化しているということがありますので,これはもう委託しないとどうしようもありませんねというところからは,原則として自己執行義務よりもどちらかというと他人に任せた方がいいだろうというところから,多分その考え方が出発しているのだろうなと思います。

 

 

 

とは言うものの,何でもかんでもというところではないので,「相当な」というところが入ったのだと思います。

 

 

当然,他人に委託するということを大原則にする限りにおいては,やはり選任監督責任というのがデフォルトになるということだろうと思います。

 

 

ただ,反面,受託者の義務が軽くなったかというと,果たしてそうかどうかはよく分からないところがありまして,やはりその反面,善管注意義務というのはどうしてもかぶってくるのではないかなというふうに思っておりますので,受益者保護にかなわないということも一概に言えないのじゃないかなというふうに考えております。

 

 

したがいまして,今回の御提案に,2番のところについても賛成というふうに考えております。

 

 

 

  •  1番の「相当な場合」ということについて,質問といいましょうか,意見になるわけですが。

 

 

 

私の理解では主に相当な理由と,それから信託行為,記載すべきというところとの関係の整理の結果,「相当な場合」ということに吸収されたというふうに理解しているわけです。

 

 

 

ただ,実務的な考え方としては,信託行為に書いたとして,それが否定されるということになりますとこれは非常に苦しい立場に置かれますものですから,できると書いたとしても,それが相当な場合でないというふうに言われないような保証が欲しいというふうに思っているわけです。

 

 

 

この点,今回の提案の説明では,4ページの1の御説明の最後の方に,定めがあっても,「その他の事情によっては,極めて例外的に……相当な理由がない」というふうに書かれているわけで,私の理解でいえば事務局はそういうことは余り可能性はないよというふうに思っているわけで,そこは推測するに,仮に例えば民法90条のような公序良俗とか,錯誤であるとか,そういったときにはそういうデフォルト・ローは働かないよという話というふうに理解しています。

 

 

もしそうであるのであれば,ここであえてこういうふうに説明するのはある意味でミスリーディングであって,何とならばそういった一般法理によって信託行為に書いたことが否定されるということは,ほかの規律においてもあり得るわけでして,そうするとあえてここで書かずに,信託行為で書かれたことはやはりここもデフォルト・ローということで,原則は認めてほしいというふうに思っております。

 

 

 

その観点から,例えば記載ぶりの話,先ほど事務局からこういう記載ではどうかという例を示されたところではございますけれども,それについて,例えばこうしてはどうかというふうに思うのですが。

 

 

 

例えば,「受託者は,信託行為に別段の定めを置く場合,その他,他人に信託事務処理を委託するのが相当な場合には」ということで,一応信託行為によって別段の定めがあるということを真っ正面から書いてほしいというふうに思っているわけです。

 

 

 

 

 

 

  •  私も,この22の1につきましては検討が必要ではないかと思っております。

 

 

信託法の現行の26条1項は,信託行為に別段の定めがあれば委託することができるということを定めてあるのに比べて,一見すると,もちろんこの「相当な場合」の解釈にもよりますけれども,規制が逆に強化されたかのように読めるので,やはりこの信託事務の処理を委託するというのは,○○委員も御指摘されましたけれども,専門化・分業化が進む世の中にあって,むしろ事務を委託することの方が受益者の利益を促進する,こういう世界的--しかも信託だけではない,いろいろな分野でアウトソーシングというのが進んでいる中で,この信託事務処理の委託について現行法よりも厳しくするような提案を,現代化の中で行うことには,大きな違和感がございます。

 

 

 

もう少し具体的に申しますと,信託契約に書いてあったときに,私は権限の行使の問題と,委託の権限を与える条項の有効性,無効性のレベルの議論は別に考えるべきであると考えておりまして,例えば「信託事務を委託することができる」と,そういう条項があったときに,実際にある委託をしたときに,これは委託自体が注意義務違反だったと,相当でなかったと,こういう整理をすべきであって,受託者に委託の権限を与えることと,それからその権限を不適正に行使した場合の責任とを区別して考え,ここでは信託契約に基づき,あるいは相当な場合に受託者に一般的にそういった委託権限が生ずるわけですけれども,それを行使するときの責任というのはまた別で,それは専ら注意義務違反で損害賠償の話になると。

 

 

 

 

このように,権限の問題と,それから繰り返しになりますけれども権限を注意義務に反して行使した場合とを区別することによって,もう少し,特に第22の1については見直す必要があるのではないかと。

 

 

また,2についても,選任のところで注意義務が生ずるのは当然だと思いますけれども,監督というのはやはり場合によっては非常にコストが高くなって,何のために委託していたのかコスト倒れになってしまうということも考えられないではないと思いますので,この監督責任については,もちろん一般的にはあると言えるとは思いますけれども,その具体的な内容についてはケース・バイ・ケースなのではないかという印象を持っております。

 

 

 

  •  確かに,1の方では事務局の案も別に現行法より狭める意図があったわけではなくて,広げるつもりだったので,今おっしゃったように現行法のもとでも……。

 

 

 

  •  信託行為に別段の定めがあっても,例外的にだめな場合があるというのは,私はそこは狭くなっているように感じたのですが。

 

 

 

  •  恐らく,ちょっと表現が適切じゃなかったのかもしれませんけれども,信託行為に別段の定めがあれば,現行法と同じように原則としてもちろんそれは構わないと。

 

 

それが狭められるというよりは,○○幹事が言われたように権限行使の仕方がまずいとか,あるいは……。実際上は,ほとんどないのだと思いますけれどもね。

 

 

 

これが公序良俗に反するようなこともないでしょうから,ここの部分は恐らく今の御意見のとおりでよろしいのじゃないでしょうか。

 

 

 

 

 

  •  今の1の点については,私もちょっと疑問を感じているところがあったので,フォローする方向になるだろうと思うのですが,言いたいことが一つあります。

 

多分一番大きいポイントは,「相当な場合」というのでかなり工夫してお書きになられたと思うのですが,この「相当な場合」の意味がもう一つよく分からなくて,信託契約とは外にあるような,外在的な,客観的な考慮から,相当か相当でないのかを決められるというニュアンスが出てくるために,信託契約で何を書こうがだめだと言われる場合が出てくるというのが懸念のもとではないかなと思います。

 

 

これを理論的に考えますと,信託事務の処理を他人に委託することができるかどうかを決める基準は,やはり信託契約に内在的に決まらないとおかしいだろうと思います。

 

 

 

要するに,こういう事務の処理を委託するから,こういう事務の処理の委託を,しかもこういう趣旨で委託するのであれば,他人は使っていいですよねと,でもこういう事務を受託者に委託するというその趣旨からすると,ほかの人間を使うというのは許されませんよねと。

 

 

つまり,あくまでも決め手になるのが,やはり信託契約の趣旨によるというふうに考えるべきではないかと。

 

 

 

信託行為の中で,明文でどう定めたかということももちろん重要なのですけれども,あくまでもその契約の趣旨から見て許されるか許されないかで決めるべき事柄ではないかなと思います。

 

 

ですから,あえて表現を選ぶとするならば,要するに他人に信託事務の処理を委託することはできるのだけれども,それが当該信託契約の趣旨に反するような場合にはできませんという書き方というのが,多分一番ふさわしいのではないかなと思います。

 

 

 

  •  長くなって恐縮ですが,比較法的な話と,ちょっと概念的な話なんですけれども。

 

 

この18のところに善管注意義務というのがあって,これについては細かな規定は置かないのだということなのですが,私の理解では,アメリカでもどこでもいいのですが,この22で問題になっているのは自己執行義務という形で,かの国でははっきり別な義務として立てられていたものが,それからここでもそうしようとしているのですが,自己執行義務はないのだよという形で覆そうとしているわけですね。

 

 

 

その結果,どうなったかというと,アメリカではプルーデント・インベスター・ルールの中に入れ込みましたから。

 

 

プルーデンスというのは注意義務なんですね。だから善管注意義務なんでね,結局のところは。そういうふうに彼らはもう頭中で考えていて,私も実はそう考えている。

 

 

そうすると,この信託事務の処理についての1というのも,信託事務の処理を委託することが相当なものかどうかは,正に善管注意義務の判断ですね,今,○○幹事がおっしゃったように,当該信託の--「本旨に従い」と前のところはそういう表現ですけれども,それにのっとって委託が適当なのかどうかという判断になる。

 

 

 

 

 

2のところも,その後選任及び監督について責任を負うのがデフォルトですが,どういう形で監督をすれば,選任すればいいのかも,やはり善管注意義務の話になるので,そうすると○○幹事がおっしゃったような1と2はリンクしていますかというと,リンクしているに決まっているのですね,結局のところは。

 

 

 

それぞれ別個に分けたところで,リンクしているといえばリンクしている。善管注意義務なんですから。

 

 

 

ただ,それで自己執行義務はやめて,善管注意義務一本にして,しかも善管注意義務もアメリカではデフォルト・ルールですから,ただそれは相当に今までのルールからすると,えいやっと飛び越えているわけですね。

 

 

 

実務に合わせているので,実務上はそんなにえいやっじゃないのかもしれないのだけれども,法理上はもう大逆転ですので,それでこの統一信託法典では,だから次のような点でちゃんと注意を払わないといけないのだよと。

 

 

 

これは選任監督の中身を少し詳しくしているだけなのですけれども,代行者としてだれを選任するか,それからその後ただ選任するだけではなくて,選任して,あなたには信託の趣旨,目的に従ってこういうようなことをやってもらいたいのですよという委任の条件と内容をちゃんと定めるということが受託者の責任ですよと。

 

 

 

 

三つ目には,定期的に検査しなさいとまで書いてあるのです。

 

 

しかしそれがデフォルトだから,最後のところで要望書にも出ていますが,ああいう特別の場合には監督は実際にはできないとか,そういうのでここは外しておきましょうということはできると思うのですけれども,更に統一信託法典でいうと,委任された任務を果たす受任者の方には,その委任の条件を遵守するよう合理的な注意を払う義務があると一応は書いてあるわけですよ,この法典の中に。

 

 

えいやっとやって,もちろんこれは現代の信託のところでは委託をした方がむしろ受益者のためにもなるのですよということですけれども,やはりそれは濫用する危険もあるというので,そういう形で少し--少しかどうか分かりませんけれども,やはり受益者の不安というのを解消するような手を打っていると思うのですが,ちょっとここの中身は結局のところそんなに違わないのかもしれないけれども,やはり弁護士の先生が懸念を覚えるような感じを,私も少し覚えているのです。

 

 

 

じゃ,どうすればいいのかいうのは,なかなか難しいことだとは思いますが。

ちょっと感想だけ申し上げました。

 

 

 

 

 

  •  長くなって本当に申し訳ないのですが,1点だけ質問をさせていただければと思います。というのは,積み残された質問の答えをお聞きしたいというだけなのですが。

 

 

証明責任で,1についての証明責任は,先ほどのお答えで分かったわけですけれども,2の(1)についての証明責任というのは,どのようにお考えなんでしょうか。

 

 

受託者から更に委任を受けた受任者に善管注意義務違反があって,その責任を問うというようなパターンで考えた場合。

 

 

  •  その場合,受任者が債務不履行がありましたと,それに対して,今度こちらは抗弁の方で,選任監督責任を果たしたということを受託者の方で言っていくのではないかと考えているところでございます。

 

 

  •  そうしますと,義務違反があったということは,受益者の方が主張立証する必要があると。

 

 

  •  受任者の義務違反ですよね。

 

 

  •  いや,受任者の義務違反というよりは,正確に言いますとあくまでも受託者が善管注意義務を負っていて,ただその善管注意義務を履行する上で,受任者を選任し,そしてその受任者がこの善管注意義務を実際に履行することになり,しかしその受任者が善管注意義務の違反に当たるような行為を行ったということを言えて,初めて信託契約上の善管注意義務違反が基礎づけられると。

 

 

  •  請求原因が立つということになると思います。

 

 

  •  ということですか。

 

  •  はい。

 

  •  それで,つまり受任者の義務違反というのは,今言われたような意味での義務違反というのは,証明しないといけない。

 

 

  •  こちらの請求原因ですとそうなります。

 

 

  •  しかし,それに対して,いや,選任監督上の義務を尽くしていたのだというのが抗弁で出てくるということになるのでしょうか。

 

 

  •  そうなると考えております。

 

 

  •  ただ,そうしますと,先ほどの話に若干戻るのですけれども,この種のケースでは選任監督上の義務に別に契約上限られているわけでも何でもなくて,そうではなくて,あくまでも受託者が自ら自分の選んだ受任者の行為についても責任を負うのだというタイプの契約なのだというのは,どういう形で出てくるのでしょうか。

 

 

 

  •  それは,選任監督以上の,最終的な履行まで責任を負うというような契約がされている場合。

 

 

 

  •  私の理解からすると,それは本来デフォルトなんですけれども,新たに信託事務を委託したのであって,その新たに善管注意義務違反があるのだから責任を問うというのが請求原因として出てくるわけなので……。

 

 

  •  それは抗弁が立たないというか,抗弁が主張できなくなる。

 

全責任を負うということですね。その場合には,それは受任者の故意・過失というか,債務不履行責任を争うことはできると思いますが,受託者側が何か注意義務違反はなかったというような抗弁というのは,できないのではないかということになると思います。デフォルトにすれば,ですね。

 

 

 

  •  そちらをデフォルトにすれば……。

 

  •  デフォルトでなくても,そういう約定があればということで。

 

 

  •  しかし,本来のデフォルトが,自分の選んだ者の行為についてもそうやって責任を負うのだというと,先ほどの請求原因が立つというのは,むしろすごく理解しやすいですね。

 

 

それに対して,抗弁として,いや選任監督に限るというような趣旨でこの信託契約というのは行われたのだと,かつ自分はその選任監督上の義務は尽くしているのだというのが抗弁に立つというのは,証明責任の分配からすると非常にすっといくなと私は思うのですが。

 

 

 

 

 

  •  それは,○○幹事のお考えだとそうなります。

 

 

  •  そちらがデフォルトだという場合には,何か証明責任の分配,うまくいかないのじゃないかというのが一番お聞きしたかったことです。

 

 

そもそも,なぜ請求原因で先ほどのような善管注意義務違反の事実を言えば請求が立つのかということ自体が,ちょっと分かりにくくなりはしないでしょうか。

 

 

デフォルトは逆の方がいいのじゃないかなと。理論的にもそう思いますし,証明責任の分配からいっても素直かなと。

 

 

 

  •  証明責任の問題が絡んでくると,ちょっとよく分からないけれども,この原案の立場でいったときに,選任監督だけでなくて,要するに受任者のところ,第三者のところに義務違反といいますかね。

 

 

何かの過失があって損害が生じた場合には,およそもう免責を認めない,受託者の免責を認めませんというもの,それは証明責任の分配から難しいということですか。

 

 

  •  デフォルトを事務局がおっしゃっているようにすると,ちょっと何か説明をもう一つ二つつけ加えないと,すっといかないなという……。

 

 

デフォルトはあくまでも全部責任を負うのだと,ただ信託契約の趣旨からすると,選任監督上の義務を尽くすことに限られる場合があるのだという説明をすると,抗弁にうまく立ってくるということです。

 

 

  •  分かりました。ちょっとその証明責任の分配も含めて,今日も大分その点に御議論がありましたので,その観点からももうちょっと詰めたいと思いますけれども。

 

 

何か逃げるようで申し訳ないけれども,実体法のルールとしてどうかという点についてももうちょっと御意見,もしおありであればいただければと思いますが。

 

 

 

それから,3の点,先ほど○○委員からは御意見がありましたけれども,受任者というのですかね,第三者,事務委託をされた第三者の責任についても現行法を削除するのは適当でないという御意見がありましたけれども,これについてももしどなたか御意見があれば……。

 

 

 

 

 

  •  3につきましては,第4回のときにも申し上げましたけれども,そのときには甲案・乙案という形で,今残っている部分が乙案ということだろうと思いますけれども,これにつきましては,やはり受託者が--そのときにも申し上げましたけれども--前面に立ってすべて解決するというのが非常に実務感覚に適合した考え方ですので,これについては賛成したいと考えております。

 

 

 

  •  この場合も,現行法は確かに26条の3項がありますけれども,第三者がどういう理由で受託者と全く同じ責任を受益者に対して負うのかという,その理論的根拠って必ずしも明確じゃないのですね。

 

 

確かに受益者にとっては有り難いことは確かなんですけれども,そこがやはりネックの一つだと思っていますけれども。

 

 

  •  私も,3についてはこの案,つまり削除するということに賛成の立場から申し上げたいのですが。

 

 

第4回でも申し上げましたけれども,「知って」ということについては意味の不明確さもありますし,また知るか知らないかということの偶然の結果として,受益者が救われるか救われないかということで左右されるのはいかがかなと思っております。

 

 

やはりそもそも論のことを考えますと,信託の基本的な構造というのは受託者が前に立ってということであれば,あえてここで第三者,受任者の義務ということを定める必要はないのではないかというふうに思っております。

 

 

 

  •  もちろんこれもケース・バイ・ケースで,さっきの資産流動化でオリジネーターがすべてを実際上やっているというようなときには,何かそのときには責任を負わされてもよさそうな気もいたしますけれどもね。これは,契約の趣旨によってそうなるということなのだと思いますけれども。

 

 

 

  •  1に関しまして,信託行為に別段の定めがある場合というものの位置づけというのが問題になっているのですが,希望なのですけれども,整理のときに信託行為に別段の定めがあるというものの在り方について,もうちょっと具体的に整理をしていただければというふうな気がします。

 

 

というのはどういうことかというと,例えば投資判断を第三者に委ねるという場合に,最初から信託行為においてある特定の投資顧問会社を指定して,「○○投資顧問の判断に従うものとする」と書いている場合がまず第1に考えられますね。

 

 

第2に,「投資については,適切な投資顧問会社を選任し,その指示に従わなければならない」と書いて,これは選任のところが裁量があるわけですが,選任をすべき義務というものは存在していると。

 

 

第3に,「投資判断については,投資顧問会社に委ねることができる」というあれが考えられますね。

 

 

そして第4に,何も書いていないというのがあって,それぞれによってやはり出方が違うような気がするのですが。

 

 

私が整理して,こうじゃないかというふうに申し上げられれば,それはそれでいいのかもしれないのですが,私もちょっとよく分からなくて,もう少し具体的な信託行為の定め方に……。

 

 

 

  •  2番目と3番目が対象になるのじゃないでしょうか。1番目は,もう信託行為でもって投資判断もほかにゆだねているわけですよね。それは,ここの対象とはならないのじゃないでしょうか。

 

  •  ならない。監督も関係ないと。

 

 

 

 

 

 

  •  それはもう,信託行為でもって,権限というか,投資判断を投資顧問業者に与えている。受託者の責任,というか,受託者が選んだ第三者ではない。

 

 

 

その場合にも,もちろん信託行為の中でもって監督責任というものを受託者に与えるということは,義務として負わせるということはあり得ると思いますけれどもね。

 

 

そこは信託の設計そのもので,すべて決まるのじゃないでしょうか。

 

ですから,○○幹事の2番めと3番目,「選ばなくてはいけない」でしたか,それとも「選ぶことができる」でしたか。

 

 

  •  そうですね,だから2番目に関しまして,選ばなければいけないというふうになっているときには,1って働かないのですよね,多分。1のルールというのは。

 

 

  •  そういう意味では,選ばなくてはいけない……。確かにそうですね。

 

  •  そのときも,しかしながら選任及び監督についてのみ責任を負うと。

 

  •  そこはだから,責任の問題はまた別に生じ得る。選任監督のみがいいのか,そこの中身で……。

 

 

  •  もちろんそれはそうだけれども,今の原案を前提にした場合には違うということですが。

済みません,ちょっと十分に整理ができていないのですが。

 

 

  •  一応,今お話を伺った限りでは,2番目,3番目が対象になるというふうに思います。

 

 

  •  ここの第22の3についてでございますけれども,先ほどの御発言との関係から申しますと,むしろ3のところはやはり少なくともフィデュシャリー・パワーの一端を担っているということを知っている者については,フィデュシャリー・デューティーを負わせるのが一環するのではないかと。

 

 

ポリー

「信認されて権利も持っていたら、義務も負うってことですね。」

 

 

 

すなわち,受託者はむしろ自己に与えられたフィデュシャリー・パワーをほかの者に委ねることが,信託全体の利益にとってプラスになるという,そういう前提であれば,ここはむしろ機能的にとらえて,フィデュシャリー・パワーを行使する者については基本的に受託者と同等の責任を与えると。この方が,理論的には一貫するのではないかと思っております。

 

 

 

 

 

 

  •  今の3についてですけれども,私もできればそういうふうにした方がいいとは思うのですけれども,もしこの事務局の御提案のような形でいった場合に,なおちょっと心配が残るのが,受託者の方が前に出るのがというふうにおっしゃっていただいて,それはそうだろうとは思うのですけれども,受託者がなかなか動いていただけない場合に,じゃ受益者はどうしたらいいのかというところがちょっと心配がありまして,例えば受託者が委託した先が受託者の関連会社であったりして,なかなか責任の追及がしにくいといった事態が生じた場合に,受益者が何ができるのかということを考えたときに,例えば債権者代位権みたいな形で,受託者が受任者に対して持つ請求権を行使するというこが考えられなくもないのですけれども,本当にそれできるのだろうかという気もちょっとしておりまして,これもし御提案の趣旨のような内容で検討されるのであれば,そういった受託者の持つ権限行使といいますか,そういった代位権的な行使的な制度というのも,ちょっと御検討いただくことはできないだろうかということを一言お伝えさせてください。

 

 

 

  •  それは,基本的にはできるのだというふうに私は個人的に考えていますけれども,むしろ問題は,受託者と受任者ですね,第三者との間の契約の内容によっては,受任者が責任を負う,軽減するような特約が入っていたり,そういうときにどうなるか。

 

 

債権者代位でいくと,なかなかできないわけですね。

 

 

  •  3の点について,本当に一言。

 

現行の26条3項の理論的な理由がよく分からないという○○委員の御指摘に対してですけれども,現行法26条3項がどういう考え方でできているかというのはかなり明白でして,それは26条2項で例外的な場合ではあるけれども選任監督上の責任に限られるべき場合があると,受託者の責任が。

 

 

そういう場合には,その責任限定を補う意味で26条3項を置き,受任者がその部分については受託者と同等の責任を負うというふうに言えたと。

 

 

つまり,26条2項と3項は抱き合わせでできた規定だということです。

 

 

 

そうしますと,今回の御提案というのが,26条2項では選任監督上の過失に限定し,しかし3項を外すというのは,もとの立法者の考えとは正反対の立場をとろうとしているという認識は,まず持つ必要があろうと思います。

 

 

 

つまり,○○幹事のおっしゃったような意味で26条3項が位置づけられるというのももちろんあることはあるわけですけれども,やはり2項をどうするかということと連動しているという側面が,やはり無視できない点だろうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

  •  ○○幹事の意見は全部一貫していると思いますけれども,そういう意味で,だれかがとにかく責任を負わなければいけないというあれですね。

 

 

  •  今の点について,信託実体法とは関係ないのですが,信託業法の観点からコメントしたいと思うのですけれども。

 

 

お話というのは,改正信託法において基本的にはアウトソーシングが認められることの一方,これは信託業法22条ですけれども,行為規制がかかって,基本的には受任者に対して信託の内容についての開示であるとか,またそれをした場合に,原則としては受託者と同様の責任を持つという形になっております。

 

 

そこで,この結果一体どうなっているかというと,非常に現場では混乱といいましょうか,非常に萎縮効果的なものが起こっていると私は思っています。

 

 

すみれ

「混乱と萎縮効果か。」

 

 

 

ただ,この信託業法に関していうと,一応解釈上事務ガイドラインでも明確になっていると思うのですけれども,例えば運送会社とか,ある意味裁量がないものについては及ばないとという話でございますので,そこはある程度切れているわけですが,ここで何を申し上げたいかと申しますと,二つありまして,一つは,仮に当初案に戻りますと,やはりそういう信託業法で一応対象外とされているような運送会社とか倉庫会社とか,そういうところまでも同じような義務が生じてしまうというようなことになっている,それはいかがなものかという話と,それから二つ目には,これはそもそもの話で信託業法自体もこの信託法の現代化,いわゆるデフォルト化等の柔軟化に伴って,やはりこの22条自体も見直ししていただきたいというふうに思っております。

 

 

 

 

  •  ちょっと,議論が大変隔たりがあって,なかなかうまくまとめることはできませんけれども,○○幹事の方から何か……。

 

 

  •  今,いろいろいただいた指摘を踏まえて検討いたしたいと思いますが,二,三点言っておきますと,まず代位の構成については,そういうのもあり得るかとは事務局でも考えておりましたが,問題点としては○○委員がおっしゃった受託者と受任者の間の契約で制限されることとか,あと無資力要件をどう考えるか,それから受益者としては,受託者のみならず受任者の資力まで当てにしていいのか,そこら辺の問題については検討する必要があるかなと考えております。

 

 

 

それから,○○幹事がおっしゃったのは,やはり受任者の責任は設けるべきではないかと。

 

 

あと,それは○○幹事もおっしゃった2項と3項のバランスというのと一致するのかと思いますが,その御趣旨は,ただ知っているだけではなくて,共同受託者と見られるような場合だということなのでしょうか。

 

 

共同受託者だったら当然注意義務とかを負うわけですが,この受任者ではなくて共同受託者と見てしまうということなのか,受任者ではあるけれどもやはり注意義務を負うような者がいるのではないかという御趣旨なのかというところあたりにつきまして,御教示いただければと思います。

 

 

あと,業法的な観点からの御指摘については,そこは信託法の見直しとあわせて信託業法も見直すということですので,必ずしも業法的な規制を前提に,こちらが見直すということにはならないということで御了解いただければと思いますが。

 

 

すみれ

「信託法が先ってことか。」

 

 

 

  •  先ほど,フィデュシャリー・パワーということを申し上げまして,この第22は信託事務処理の委託なのですけれども,やはり私がこのフィデュシャリー・デューティーを負う受任者というのは,運送業者や倉庫業者のことは全く念頭に置いておりませんで,むしろフィデュシャリー・パワー,これを日本の概念に持ってくるときに,どのように観念し直せばいいのかというのは問題があると思いますけれども,要するに信託事務処理を委託されたすべての者がこの責任を負うとは考えておらずに,日本でいえば重要なというような,ある程度限定された範囲で責任を負うようなイメージで先ほどは申し上げました。

 

 

 

 

 

 

 

 

  •  もちろん,私もそう理解していますけれども,なお「重要な」と言うと,例えば恐らく信託にとっては財産の管理というのが非常に重要なので,例えば預託機関とか,そういうのが何か入ってきそうな気もしますけれども,逆に,しかしフィデュシャリー・パワーということになると,裁量的な,投資の判断なんかするのは恐らく入ってくると思いますけれども,ただ管理していると言うと入ってきそうもないので,そこら辺の範囲を○○幹事はどう考えられているのか,ちょっと不明だったのですけれども。

 

 

 

 

  •  私,預託機関への預託は,これは管理の形態というふうに考えるべきであって,そういう意味ではフィデュシャリー・パワーの問題ではないのではないかと理解しております。

 

 

番人

「保管するのも結構大事な事務だと思う。」

 

 

  •  大変いろいろ御意見をいただきました。恐らくもう一回,事務局に少し今の意見をもとにして案を考えてもらうということになると思いますので,またこれは御議論……。やはり相当重要な問題ですので,もう一度ちゃんと議論したいと思っております。

 

 

  •  分別管理のことでよろしいでしょうか。
  •  分別管理,どうぞ。

 

 

 

 

  •  そもそも論の話になって,立ち戻って恐縮でございますけれども,2点ほど確認したいことがあります。

 

 

まず1点目でございますが,預金についてどう考えるべきなのかという話でございます。これについては,通常の預金となると金銭債権ということになりますので,この提案になりますと,多分①の規定になるのかなというふうに思っておりまして,よって信託行為に別段の定めがなければ,分別管理が必要であるというふうな理解だと思っております。

 

 

ただ,立法論として,預金とかコールとか,いわゆる技術化的なものというものについて,ほかの金銭債権と同じような取扱いをするべきなのかどうかということもあるのかなというふうに思っております。

 

 

例えば,そういうことの観点からすると,この預金というのは②の「信託財産が金銭であるとき」のこの「金銭」というものに当たると考えて規律するというのも,一つの考え方なのかなと思っております。

 

 

これを考えるときに,実務的な話で非常に恐縮なのですけれども,では預金等の金銭債権における分別管理というのが一体どういうものなのか,その実体を踏まえてどうあるべきなのかということを考えるべきだと思うのですけれども,考えますに,その金銭債権というのは物理的に分別管理はできないと思っております。

 

 

よって,識別不能の問題は別に生じると思いますが,それはちょっと別として,そもそも概念上分別管理はできないから,かような義務は生じないのだというふうな考え方が一つあると思いますし,またもう一つの考え方としては,受託者における財産の帳簿とかで,信託財産であるということ等,何らかの管理ができるならばそれで十分であるという考え方があるかと思います。

 

 

 

 

 

 

仮に,後者の場合に,更に言うと,では具体的にどういう分別管理で足りるのかということが実務上非常に気になるところでありますけれども,そこで例えば預金債権の場合,例えば預金口座を別にするなど,債権として別のものにしておく必要があるのかどうかということが関心があるわけです。

 

 

番人

「家族信託では委託者ごとに、口座を別にする必要がある。」

 

 

この場合,例えば普通預金,1個の債権と考えられるとされていますけれども--異論はあるかと思いますが--そうした場合に,複数の信託を一つの普通預金にまとめると,例えば信託口という形でまとめた口座を設定する,それを利用するということは無理なのかどうかということが議論の論点になると思います。

 

 

 

また,更に言うと,預金通帳などが出てくるときに,これは物理的な預金証書があるわけですけれども,ではその物理的な証書をやはり分別管理するところが出てくるのかと,いろいろ考えることがあるわけですけれども,そういったことを考えると,金銭債権についてはどう考えるのか,とりわけ預金みたいな現金に近いものということについて,特例的なことを,つまり②のようにするのかどうかということについて,まだ私の方では整理はできておりませんけれども,どう考えるべきかについて事務局の考え方がおありであれば,お聞きしたいところでございます。

 

 

 

 

 

  •  御指摘のありました金銭債権についてでございますが,まず事務局の考え方でございますが,金銭債権は金銭ではないので,②に当たらない。

 

 

したがいまして,①で原則どおり分別管理を必要とする,信託行為に定めがない限り分別管理を必要とすると。

 

 

それは,最善の状態ということでございますが,そこで御論考などには債権は二つにするべきだというようなものもございますけれども,事務局としては,そこは債権は一本でいいと,しかし帳簿上信託財産と固有財産の出所を明らかにしておくことによって,分別管理義務が果たされるというようなのが事務局の理解でございます。

 

 

 

 

 

  •  何らかの形で分かればいいという話。

 

  •  まず帳簿で分かればいいと。

 

 

  •  それであれば,実務的にも非常に柔軟な対応ができるというふうには思いますけれどもね。

 

 

  •  従来から,債権の場合には,分別がそういう形でできるという意見の方が多かったと思いますけれども,それを一応ここでも引き継いでいるということですね。

 

 

  •  変な話ですけれども,預金口座を分けて,預金通帳を別にしておくという,そういうところまでは金銭債権の性質からするとあえてする必要はないということ,そういう理解でよろしいのでしょうか。

 

 

 

  •  事務局の理解としては,分別管理としてそこまでする必要はないということで理解しております。

 

 

 

  •  分別管理としてどの程度のことをすべきかという問題,今のように次の問題としてもう一つあるのでしょうね。

 

 

原則として分別しなければいけないとなったときに,どういう形で分別するかという問題で。

 

 

債権の場合には,帳簿さえ明らかになっていれば,他方の,例えば固有財産と一緒であっても,固有財産全部持っていくということはできないので,そういう意味で分別管理としての目的は,帳簿さえちゃんとしていれば目的は達するという理解ですね。

 

 

 

 

  •  済みません,分別管理についてもう1点。御質問というか,コメントでございますが。

 

 

①の規律の中で,登記・登録すべきもの,不動産とかについて一時的な登記

猶予が認められるかどうか,それを法文上明確に書くべきなのかどうかということでございますけれども,その点については先ほどの事務局の御説明では,解釈論によるということでございましたけれども,ただ実務的なニーズからすると,やはりそこは何らかの形で明確にしていただきたいなというふうに思っているわけです。

 

 

それを申しますのも,ちょっと私の理解の混乱なのかもしれませんが,ここで言う分別管理と,それから登記・登録という公示ということの関係がもう一つよく分からないわけですが,やはり①の規律というのが登記・登録すべきものについては登記・登録すべき--最終的には登記・登録すべきものであるということでございますので,そうするとやはり登記・登録というのは,分別管理の必要条件であるというふうに考えているのかなと思っているわけですけれども,ただ考えてみますに,分別管理の機能というのはいろいろあるわけでして,例えば不動産の場合に,特定性機能ということだけ考えれば,あえて公示をする必要はないと。

 

 

 

識別不能になってしまうとか,そういうこともないわけですから。

 

 

そうしますと,あえて分別管理というところで登記・登録まで必要なのかどうかというところも,そもそもの問題として,ちょっと疑問には,というか,私の理解ができないのかもしれませんけれども,あるわけですが。

 

 

ちょっと話が混乱しましたけれども,もとに戻って,やはりそういった理解の問題もいろいろな考え方も出てきましょうので,実務的にはやはり一時的に猶予できるということであれば,それは何らかの形で明確にしていただきたいなというふうに思っております。

 

 

番人

「契約の形によって違うんじゃないかな。明確にすることは難しい感じがする。」

 

 

 

  •  今の点の関連してなのですが,分別管理というのは固有財産と信託財産を金銭債権の場合には一本でいいというお話でしたけれども,今日出てきた強制執行の禁止との関係で,固有財産の部分だけ差し押さえるということ,固有財産に対して受託者の債権者が差押えしていったときに,どこまでいったら差押えの競合を受けるかとか,それに関連して第三債務者は供託義務を負うかとか,分からないわけですね,第三債務者には。

 

 

つまり,一本の金銭債権なんだけれども,途中までが固有財産で,そこから先は信託財産だというときに,その境目というのは分別管理している人しか分からないわけですけれども,小口の差押えが何本か来たときに,どこまでいったら差押えの競合が起きているのかということが分からなくなってしまわないかということが,技術的には問題になりそうな気がします。

 

 

 

 

今突然お話を伺って思いついたことなので,問題意識としてあるいは生煮えなのかもしれませんが,技術的にはちょっと詰めておいた方がいいのじゃないかなと思うのですけれども,もし今何かお考えがあれば……。

 

 

 

 

 

  •  手続的には,例えば信託財産と固有財産を一緒にして貸し付けて,金銭的な割合は分かっているというときに……。

 

 

  •  第三債務者が分かっているという前提ですか。

 

 

  •  第三債務者にも割合が分かっているかという意味ですか。

 

 

  •  はい,分別管理している人にしか分からないのじゃないかという……。

 

 

その境目が常にこうやって動いているのだとすると,あるいは総額が動いてするとすると,いわば一本の金銭債権には二つのいろいろなものがあって,どっちがしたか,それは受託者の債権者というのは固有財産の部分にしかかかっていけないというときに,しかし差押えの競合があるかとか,あるいは供託義務を負うかとか,第三債務者にそれが分かっていないと困るのじゃないかというのが私の問題意識なんですが。

 

 

  •  第三債務者が全部供託してしまえば,これまた問題はない。

 

 

  •  もちろん権利供託はできるけれども,義務供託の場合ですね,差押えが競合しているというので。

 

あるいは,その前提として執行法の149条ですが,差押えを足していったら,その全額を超えるためには全部に差押えの効力が及ぶという規律があるわけですが,それはどこから発生するのかとかいうようなことがどうやって決まるのかということが,ちょっと今,一本でいいというふうに伺った瞬間,ちょっと気にはなったのですけれども。

 

 

 

  •  執行法の方まで必ずしも考えていませんでしたけれども,また第三債務者の方の供託まで十分考えていませんけれども,単純には固有財産と信託財産の中から仮に50・50でもって,それ一本にして貸し付けているときに,その債権が受託者の固有の債権者に差し押さえられたというときに,全部は差し押さえられないということを受託者が簡単に言えれば,そうすればいいのかなと思ったのですけれども,そういうわけではない。

 

 

 

  •  信託財産の方に申立てをして,それが及んでいるのでいるのであれば,今日やった第三者異議みたいなことで処理するのだと思いますけれども,固有財産の中でどういう取り合いになるのかということは,手続的に明らかにならないと困る場合が出てくるのじゃないかということです。

 

 

もうちょっと私も整理してみますけれども,少なくとも第三債務者の供託義務あたりは,ちょっと問題になりそうな気がします。

 

 

 

 

 

  •  必ずしも十分フォローしていませんけれども,ちょっと第三債務者の方の供託の関係とか,そういう問題はもうちょっと考えてみたいと思います。

 

 

それから,これは登記・登録ができる財産で,不動産なんかの場合,登記をしないという,一定の期間猶予しているというような場合も,場合によっては--場合によってはというか,信託財産であるということの登記をしていないので,仮に受託者の財産になっている,それがために受託者の債権者が差押えに来たと。

 

これはしかし,対抗の問題が入ってくるので余りいい例じゃないのかな。

 

責任の問題と両方ごっちゃにしているかもしれませんけれども,私が言いたかったのは,たとえここでもって一定の猶予がされていても,そのために債権者が本来信託財産である財産を差し押さえて,そしてまたそれが結果的に信託事務を執行する上で障害となって受益者に損害を与えるというようなことが生じると,受託者の責任というのは何か生じるような気もしているのですね。

 

 

そういう意味で,ここの分別管理の問題と,それから後で出てくる責任の問題,分別管理義務を尽くさないというか,分別管理がされていないときの責任の問題というの,その問題はもうちょっと整理しなくてはいけないだろうという気がしています。

 

これは,また後の方でもって議論が出てきますけれども,とりあえずは今の○○幹事の点については,何か事務局の方で御意見は……。

 

 

 

  •  どこまで差押えの範囲が及ぶのかとか,しかし信託財産,固有財産全部に及んで受益者が異議を言うというスキームでもおかしいでしょうし,ちょっと検討させていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

  •  多分,どこかで第三者異議をかませないとうまくいかないような気がするのですが,それで全部うまくいくのかどうか,ちょっとよくまだ分からなくて……。

済みません,こちらでも少し考えてみます。

 

 

  •  全部に及んで,受託者が第三者異議を言うとか,そういうスキームもあるとは思いますけれどもね。第三債務者には分からないのですから。

 

 

  •  そこも前提にしなければいけないですね。

 

 

  •  前提として,預金債権についてはどういう法律関係になっているということなのですか。準共有。

 

 

  •  準共有だと考えて……。

 

 

  •  なかなか,預金についていろいろ議論があるけれども。

それから,ちょっとこれは前回の提案と少し表現が変わりしたけれども,前回の提案は信託財産について信託の登記の後で「登録ができない場合に」となっていたのを,今度は「登録をすべきこととされていないもの」というふうにちょっと変わりましたけれども,例えば今度法人の動産でしたか,登録ができるようになりますね。

 

 

しかし,そういうものはここに入らないという趣旨ですか。

 

 

 

そういうことなのだろうと思いますけれども,受益者からすると,分別管理をすることによって信託財産がとにかく守られて,分別管理するということが基本的に,あるいはそれを最大限尽くすということが受益者の利益になるときに,信託行為でもって別段の定めをすればともかくですけれども,今の場合,動産については結局全然しなくていいというルールになるわけですね。

 

 

 

 

 

  •  動産については,物理的な分別管理は当然しなければいけませんが,そもそも信託の登記が整備されておりませんので。

 

 

  •  そうか,今度は信託の登記はできないのか。分かりました。

よろしいでしょうか。

 

 

  •  済みません,2点ありまして,1点目はもう先ほどから議論になっていますけれども,登記・登録を外せるようなことも認めていただけるような規律にしていただきたい。

 

 

それが無理であれば,どこかで明らかにしていただきたいということ。○○委員の御意見と同じです。

 

 

 

2点目は,○○幹事からも御説明がありましたけれども,根担保のところの部分を,前回は入っていましたけれども今回外されたと。

 

 

この御趣旨というのは,基本的には忠実義務の問題なのでということで,私どもも基本的には忠実義務の問題だろうなと,共同根担保にとったものでどういう形で弁済するのかが一番なので,そういう問題だろうと思うのですが,その前の問題として,要するに共同で担保をとっているということについて,これは基本的には分別管理事務上の問題はないのですよということで外されたのか,それとも,これはやはり分別管理上の問題だから,契約に書きなさいということで外されたのか,そこら辺のところ,ちょっとお聞かせいただきたいと思うのですが。

 

 

 

 

 

  •  事務局側としては,そこは分別管理義務上は問題がないということで,忠実義務の問題に収斂して考えたいということでございます。

 

 

 

  •  今までは,信託の実務ではどっち--どっちといいますか,信託行為の中にちゃんと書いているのですか。

 

 

  •  いえ,書くことはないです。

 

 

  •  書くことには,障害というか,実務上の障害はありますか。

 

 

  •  業法で,「担保を取得することがあります」というようなことは書けると思うのですが,どういう状態でというのは,やはりどういう勘定がどういう形で担保を取得するかというのが非常に分かりづらいところですので,それを明示するというのは難しいのです。

 

 

 

今までは,基本的に担保権というもの自体が,どちらかというと債権に付着しているようなものというふうな認識がありましたので,余り強く認識されなかったのですが,これからは担保権自体が信託財産というような位置づけになりますと,そうするとそれの登記なんかどういうふうに考えるのだろうとかという問題も出てきまして,そこら辺について別途公示のところの方で議論させていただけたらなというふうに思っております。

 

 

番人

「たしかに。債権だけじゃなくて、担保権が信託財産になることもある。」

 

 

 

  •  確かに今のお話を伺っていると,分別管理のところ,完全に外して大丈夫なのかという感じがしないではないけれども,もう一回改めて,さっきの担保の信託なんかとも絡めて議論を……。

 

 

  •  出所は分かっているのですよね。根担保のうちの被担保債権というのでしょうか,それが信託財産の分がどれだけで,それから固有財産の……。

 

 

  •  根で設定するときには,どこの勘定からどれだけ出るかというのは全然分からない。

 

 

  •  担保はちょっと問題なんですね。債権の方は問題ないかもしれないけれどもね。

 

 

  •  何も置かないと,ちょっと……。忠実義務が非常に問題だと思っておりますが,分別管理上全く問題がないかというと,特約ぐらいはあった方がいいのかなという気もいたします。ちょっと検討させてください。

 

 

  •  よろしいでしょうか。

まだここもいろいろ議論がありそうですけれども,時間的に……。

帳簿はできますね。

 

 

 

 

 

 

 

  •  では,「第23 帳簿作成義務等について」につきまして,説明いたします。

前回の提案からの相違点は2点あります。

 

第1は,受託者が保存義務を負う書類及び受益者が閲覧・謄写請求権を有する書類につきまして,前回の提案ではいずれも帳簿と「信託事務に関する重要な書類」としておりましたのを1の(3)におきまして,受託者が保存義務を負う書類は,前回提案どおり帳簿及び信託事務に関する書類にとどめたのに対しまして,受益者が閲覧・謄写請求権を有する書類につきましては,3(2)のとおり,「帳簿,これに関する資料又は信託事務に関する重要な書類」というように広げる方向に改めたことでございます。

 

 

これは,受託者が保存義務を負う場合の書類については,これを余り広げると受託者の負担が重くなることが懸念されるのに対しまして,受益者が閲覧・謄写請求権を有する書類につきましては,あえてこれを狭める必要はないと思われるという実質的理由に加えまして,例えば現行商法におきましても,商業帳簿等の保存に関する36条におきましては,「商業帳簿及其ノ営業ニ関スル重要書類ヲ保存スルコトヲ要ス」と規定しているのに対しまして,株主の帳簿閲覧請求権に関する293条の6におきましては,「会計ノ帳簿及書類」と規定していることなどを参考としたものでございます。

 

 

 

 

第2に,資料8ページのアステリスクに関する事項でございますが,これは第4回会議におきまして,複数の受益者が存在する信託において,受益者がどこまでの書類を閲覧できるのかという点についての問題提起があったことを踏まえて検討したものでございます。

 

 

 

帳簿等の閲覧請求権につきましては,強行規定として提案しておりましたが,信託の当事者である委託者や受益者が一定の書類を開示しないことを望んだ場合には,これを許容すべきとも思われまして,信託法に関する論考の中には,特に書類の性質を問わず,受益者自身が同意している場合には,このような制限あるいは放棄を許容してもよいという記述があるものも見受けられます。

 

 

 

そこで,帳簿等閲覧請求権によって保護される受益者の利益とのバランスを図りつつ,このような制限を認めることが可能ではないかという考えもあり得るということにつきまして,賛否を含め,ご意見を伺えればと思います。

以上でございます。

 

 

 

 

 

 

  •  特に,最後に○○幹事が説明された部分が大きなところだと思いますけれども,いかがでしょうか。

 

 

 

  •  最後のアステリスクのところについて,意見を述べたいと思います。

基本的にはこの方向でお願いしたいということでございますけれども,前回もちょっと述べたかもしれませんが,やはり他の受益者から情報をのぞかれたくないということもございますし,また信託財産について適切に保護すべき情報があると思います。

 

 

例えば,住宅ローンの証券化などを考えますと,対象の金銭債権の債務者情報,例えば資産内容であるとか家族構成とかいうことのように,個人情報を含む場合は,やはり信託行為の定めにより制限するのが妥当だと思います。

 

 

 

また,不動産証券化においては,対象不動産のテナント名であるとか延滞率等の,ある意味で同様のセンシティブ情報のほか,賃料その他賃貸条件のような,営業秘密という情報もあるでしょう。

 

 

このようなことを考えますと,やはり閲覧対象からはデフォルトで外すことができるということが妥当だというふうに思っております。

 

 

ちょっと,質問が二つありますけれども,一つは,ここで言う,この本則であります「信託事務に関する重要な書類」というものが一体何なのかということですけれども,保存義務とか閲覧対象になるものですけれども,私の理解では現行法でこういう書きぶりはないということですので,この範囲をここで明確にしておく必要があると思います。

 

 

 

最終的には司法によって判断されるとは思いますけれども,例えば「信託事務に関する」とか,例えば「重要な」ということについて,具体的な事例をもって補足説明等で,少なくとも立法担当者としての見解が明らかになればなというふうに思っております。

 

 

 

例えば,その対象については,受託財産に関する資料であるとか,受託者が作成した稟議書などの意思決定書類,極端なのは交渉対話記録というものが対象になるのか,また重要に関していうとどういうものが重要なのか,その判断基準が一体何なのか,どのぐらいのものが重要なのかということについて,一定の指針を示していただければ有り難いというふうに思っております。

 

 

 

 

 

2点目の御質問ですけれども,若干テクニカルな話なのですが,3の(3)の①とかに「目的で請求が行われたとき」ということの規律がございますけれども,これはそういうおそれがあると受託者が感じたときに,そもそもおそれがあるということでこの理由に当てはまるのかどうか,また当てはまるということであれば,それの挙証責任がだれにあるのかということについてお尋ねしたいと思います。

 

 

 

 

  •  前者,この何がこの重要な書類に当たるかというのは,商法などでも教科書での解釈によられているところでして,法文上これを明らかにするということは困難だと思います。

 

 

あとはせいぜい解説の中で,主要なものについて触れることができるかどうかという程度で検討したいと思っております。

 

 

 

あと,拒否事由でございますが,立証責任が受託者側にあることは明らかでございます。

 

おそれというのは,これは規定上は「おそれ」ということを書いておりませんので,やはり相当な理由というのはいわばおそれでございますが,この要件に当たるということを受託者が相当な理由でもって判断すると,おそれというよりは相当な理由があると判断した場合には,初めて拒否できるということで,答えとしてはおそれはだめだと,相当な理由があればいいと,こういうことでございます。

 

 

 

 

  •  この帳簿作成義務について,まずアステリスクのところですけれども,これについてはこういった形で最初から除外できるというふうにするのはちょっと問題ではないかと考えております。

 

 

 

特に,この解説の中で挙げられておりますけれども,信託契約書につきましては,今回の立法の過程の中では,柔軟性を確保する観点から,信託行為に別段の定めを置くことによってデフォルト・ルールを外すというようなところが随所に見られ,そういった全体像からすると,受益者は結局信託契約書を見ないことには,どういった権利義務を自分が取得しているのか,負っているのかということを正確に把握することができないというふうに思われます。

 

 

したがって,この信託契約書については,こういったことで見られないようにするというのは,やはり問題が大きいと思います。

 

 

特に,もし訴訟等になったような場合には,これは恐らく文書提出命令との関係では,いわゆる法律関係文書というふうにおとりになるのではないかと思うのですが,こうした文書について,閲覧・謄写について制限をするというのはかなり違和感もあるところですので,これは慎重に検討をお願いしたいと思います。

 

 

すみれ

「おとりか。」

 

 

 

 

それから,説明の中では,自己が受益者であることを他に知られたくないという意思があるのではないかということが述べられていますけれども,信託契約書については,少なくとも契約書の作成の仕方によって工夫の仕方があり得るのではないかと思われますし,またほかの書類についても,個人情報については一部を隠して閲覧・謄写に供するというようなことも検討されてよろしいのではないかというふうに思われます。

 

 

 

それから,内容の異なった受益権を付与した場合に,他の受益者が有する内容を知られたくないと思う場合について記載されているのですけれども,これについてもそういった場合を許容する場合には,これが濫用的に用いられるということもあるのじゃないかということが懸念の声として出ておりまして,そもそもこういった内容の異なった受益権についても,きちんと受益者の監視監督といいますか,そういった機能を発揮させるということの必要性をむしろ考えるべきではないか,あるいはそういったことを制度として持つことによって,そういう濫用的な用い方がされないような形に持っていくべきではないかというふうに思います。

 

 

帳簿の閲覧について,全体的なところでちょっともう一言申し上げておきたいのですけれども,3の(2),(3)のところで,これは前回の議論の中でも,商法の規定を下敷きにして制度設計をされたという御説明があったかと思いますが,信託の受益者の地位と株主の地位というのはかなり違うということも一応念頭に置くべきではないかというふうに考えております。

 

 

 

信託の受益者というのは,信託契約関係の当事者ですし,受託者はその信託の受益者に対して忠実義務を負っておるという関係にもあります。

 

 

信託事務の処理の内容として,当然一定の説明義務も受益者に対して負っているという関係に恐らくなるのだろうと思います。

 

 

そうしますと,これと,株主等の立場というのは大分様相を異にするのではないかというふうに思われます。

 

 

そういったことの質の違いということも考えますと,やはり受託者が受益者に対して情報を提供する責任といいますか,義務については,これはきちんとできるだけ情報提供がうまくいくようにすべきではないかと,そういった観点から,この(2)と(3)で理由を明示して,かつ拒絶事由を挙げるという規律をしているということについては,やや厳し過ぎるのではないかという感想を持っております。

 

 

 

特に,これは集団信託の場合にはこういった規律が必要であるかなというのは分かるような気もするのですけれども,一般の民事信託とか,あるいは個別の例えば土地信託やなんかの場合を考えた場合に,こういった規律をすることが果たして妥当なのだろうか,一般の民事信託の場に,一般の人たちの感覚に合うのだろうかということを考えますと,ちょっと疑問がございますので,是非この辺は慎重に御検討いただけないかというふうに考えているところでございます。これについて,御検討,よろしくお願いいたします。

 

 

 

番人

「家族信託の場合は、受益者がちょっとみせてって言ったら見せるんじゃないかな。」

 

 

 

 

  •  今の点で,2点ほどお伺いしたいのですが。

一つは,受益者の情報入手権を重視するという観点から,制限するのはどうかという点に関してですが,これは,受益者自身が同意している場合でもだめということでしょうか。

 

 

信託行為で定めている場合は問題があるとしても,受益者が自分でいいよと言っている場合も果たしてだめなのかというあたりをどうお考えになるかというのが1点でございます。

 

 

それからもう一つ,3の(2)と(3)が厳し過ぎるという御意見でございましたが,ここは「理由を明示して」というのは,別に裏付け資料がある必要はなくて,とにかくどういう理由かということを主張だけすればいいということでございますし,相当な理由があって拒むというのは,これは受託者の立証責任でございまして,確かに株主と受益者は違うという,同視しているわけではないのですが,必ずしも厳し過ぎるということはないのではないかと思っておりまして,どういう点が厳しいのか,具体的な規律の中身でおっしゃっていただけると助かりますが。

 

 

 

  •  まず,後者の点ですけれども,理由を明示するといった場合に,どこまで言わなければいけないのかという問題だろうというふうには思うのですが,例えば土地信託やなんかの場合で,受益者で実質的に自分が持って--土地信託でも不動産の信託でもいいのですけれども--管理をゆだねた場合に,自分のゆだねた財産がどういう状況になっているのか知りたい,確認したいということで,その程度の理由で構わないということであれば,これは余り問題ないかなというふうに思いますし,でも逆に言うと,そうすると「理由を明示して」ということをわざわざ条文にうたう必要があるのかなというふうに考えておるところで,そういった点から,その程度であれば問題ないと思いますし,逆にそれ以上の,商法なんかは具体的な理由を明示しろというふうに規律されていると思うのですけれども,そことの関係,商法と同じような形で理由を具体的に明示しろということになると,ちょっと厳し過ぎるのではないかという感じを持っているというところと,それから前者の受益者の同意については,これは同意のとられ方だと思うのですけれども,もちろん受益者がその内容をきちんと理解して,了解しているということであれば,それは許容されることだろうとは思うのですが,それが一般の権利放棄の場合と同じで,あえて条文で規律をすることもないのではないかというふうに考えておるのですけれども。

 

 

 

 

 

  •  解釈の中で対応して,あとは信義則とか公序良俗の問題ではないかという御趣旨ですね。一律に,解釈上も否定されるわけではないということですね。

 

 

  •  はい。
  •  ごもっともな点もありますので,検討したいと思いますけれども。

 

私も,個別のといいますか,民事信託とか土地信託とか,そういう場合については例えば3の(3)の中の①から⑦までの中の幾つかは,やはり該当しない,そういうものについては当てはまらないという場合があるのだろうと思うのですね。

 

 

特に,ちょっといろいろあるけれども,⑦なんていうのは一般的な規定なので該当するかもしれませんけれども,ちょっと実際には解釈,当てはめの問題になると思いますけれども,集団信託でないような場合には拒否できる理由というものは相当制約されるのだろうというふうに思います。

ほかに,御意見……。

 

 

 

 

  •  受託者の情報提供義務,受益者から見れば帳簿等の閲覧・謄写請求権はやはり受益者に対して与えられている,特にいわゆる共益権的な権利,監督権的な権利を行使するための基礎となるものですので,その制約はやはり慎重に考えるべきではないかと思っております。

 

 

 

特に,例えば信託事務に関する重要な書類について,一切見ることができないというのは,重要な書類であるのにもかかわらずアクセスできないというのは,受益者の立場からすると非常に問題で,むしろこの3の(3)に挙げられております拒絶事由をもう少し見直すことによって,先ほど挙げられた幾つかの例がこの拒絶の理由にうまく入らないというようなものがあるときには,拒絶事由の方を見直すと,こういう考え方で進んでいくのが筋ではないかと思います。

 

 

 

特に,8ページの下から9ページの冒頭にかけて挙げられている部分については,受益者が自分が受益者であることを知られたくないという部分は,確かにそういう利益もあるかとは思いますが,他方で,例えば少数受益者権が認められていて,ほかの受益者に声を掛けて一定の持分割合に達するというような場合には,やはり必要性がある場合もありますので,一律にこういう利益だけで情報請求権を制約するということには,私も若干疑問があるように思われます。

 

 

 

 

 

  •  私は,信託法といいますか,信託といいますか,これは信託行為と信託契約という私的自治の枠組の中で行われるということが多分ネイチャーなんじゃないかなというふうに思いますので,自由度の高い設計ができるようになっているというのが原則であるべきじゃないかなと思う次第です。

 

 

したがいまして,余りこういうものも開示しなければいけない,ああいうものも開示しなければいけないというよりは,信託--信託といっても本当にいろいろなものがございますので,その信託のそれぞれ性格,あるいは受益者がだれになるかというようなことも含めた上で,それはそれぞれの信託契約,信託行為の中で適切に定められていくというふうに考えるべきであって,法律上の扱いといいますか,デフォルト・ルールといいますか,そういうものとしてはおおむねこういう内容のものでいいのではないかなという気がします。

 

 

 

すみれ

「受益者も他の人に見られたくなかったら、言っといた方がいいんだろね。」

 

 

 

  •  私も,○○委員の方からお話がありましたとおり,私的自治にゆだねられるのが一番いいのだろうと思うのです。

 

 

ただ,先ほど来お話に出ておりますように,例えば投資信託の受益者の方に対して,果たして開示しなくていいのかどうかとかいうような問題から,そういう観点から見る場合であるとか,正に一般の民事信託としてどうなのかという観点から見ると,やはり何らかの歯どめが必要なような気もします。

 

ただ,私どもが今扱っているような集団性のある信託ということを前提にする限りにおいては,やはりこの規律というのはぎりぎりのところかなというふうに考えていまして,これよりも受託者側にとって厳しいものが入りますと,やはりなかなか実務上対応が厳しいなというふうに感じておりますので,基本的には原案というものに賛成というふうに考えております。

 

 

 

 

 

  •  これ,信託法全体にわたることですけれども,商事で,かつ集団的な信託と,それから民事というのでしょうか,あるいは土地信託のような個別性の強い信託と,すべてにわたる一般法を議論しておりますので,なかなか難しいのですね。

 

 

 

この問題も,正に先ほどから幾つか御意見がありましたように,土地信託などについては果たしてこのルールでいいのかどうかというのは,若干私などももうちょっと検討した方がいいのではないかという点を感じてはおります。

 

 

しかし,集団信託になると,今,○○委員が言われたように,こんなところかなとも思いますので,そこら辺はほかの規定にも共通する問題ですけれども,どこら辺でどういう折り合いをつけるのか,あるいはデフォルト・ルールにして--集団信託とそれ以外とを分けるというのは,なかなかこれもテクニカルには難しいところがあって,どのぐらいになると集団信託なのかとか,なかなか線が引けないので,そこで苦慮しているわけですけれども,今,大体の御意見は出てきたと思いますので,そういう御意見を踏まえながら更に検討させていただければと思いますが,よろしゅうございますでしょうか。

それでは,本日はこれで終わります。

─了─

 

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すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。たよりになるのは雪ばかり。雪みてみたいな。」参考:宮沢賢治

 

 

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