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相続に関する法律 台湾⑮(終)
2015年12月31日

 

第6部 台湾法

国立台湾大学 黄 詩淳

各国の相続法制に関する調査研究業務報告書より

平成26 年10 月公益社団法人 商事法務研究会

法制審議会-民法(相続関係)部会資料より

 

 

 

2 寄与分

 

次に、共同相続人のうち、被相続人の療養看護や財産の維持と増加に特別な寄与をした者に対して、遺産分割の際に評価すべきなのかという問題がある。中華民国民法立法当時、1930 年に開かれた国民党中央政治会議では、この問題が取り上げられたが、寄与分の条文化は否定された。

 

その理由は、「親族らは、同居する場合に共同で家産を維持する責任を負い、家産分割後でも、依然として互いに助け合い、協力し合う義務を有する」ため、仮に法律が相続時に子の寄与を評価し、報償を認めてしまえば、親族間の紛争を招きかねない66からである。

 

この考え方について、現在から25 年前に、研究者は、それが個人人格の独立と平等に反し、相続財産の合理的な配分を妨げるものであると批判していた67。その後、一部の学説は、それに賛同し、日本法を参考として寄与分制度を導入すべきであると主張している68が、主流を形成するに至らず、前述した2011年法務部改正草案では取り上げられてはいない。

 

しかし、家族形態の多様化に伴い、共同相続人全員は必ずしも同程度の寄与をするわけではない。相続の実質的な平等を図るためには、やはり

日本や韓国のように寄与分制度を導入すべきであろうと考えられる。

 

番人

「寄与分は、介護ではお金以外にプラスの面はないと思ってるのかな。

 

 

3 生存配偶者の居住権の保護

 

例えば、相続人が配偶者と子2 人で、相続財産が居住している建物のみの場合には、法定相続分どおりに相続し遺産分割すると、当該建物を売却する必要が生じ、配偶者が建物から退去する事態となりかねないとして、生存配偶者の居住権の保護は、日本では盛んに議論されている。

 

これに対して、台湾では、居住権の保護に関する議論は、ほとんど見られない。その理由はいくつかあると考えられる。まず、上述したとおり、配偶者間の贈与が非課税財産であるため、配偶者の居住に配慮する建物の所有者は、生前にいつでも税金を課されずに当該建物を配偶者に移転することができるからである(ただし、相続の開始前2 年以内に配偶者が被相続人から贈与により財産を取得した場合に、当該財産は遺産と見なされ、課税遺産総額に算入される)。

 

次に、生存配偶者が子(共同相続人)の母であれば、遺産分割のため生存配偶者の住居が売却されるという事態はほとんど生じない。それは、台湾の社会では「父母が生存すれば、子どもが家産を分割してはならない」という伝統的な認識が浸透しているからである。

 

 

番人

「いい伝統だと思うけどな。父母が生存すれば、子どもが家産を分割してはならない。それと現代的な税の保護。」

 

 

 

また、遺産分割(ないし共有物分割)の方法として、2009 年の物権法改正の際に、824 条3 項により全面価格賠償が認められるようになったため、具体的な遺産分割の事件において、例えば、建物を生存配偶者に帰属させるとともに、当該生存配偶者が他の共同相続人に持分の価格を賠償することが可能となった69。

 

以上のような諸要因からであろうか、相続にあたる生存配偶者の居住権を保護する必要性は台湾では特に注目されていない。

 

 

 

 

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すみれ

「長いよ。」

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