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相続に関する法律 台湾⑭
2015年12月31日

 

第6部 台湾法

国立台湾大学 黄 詩淳

各国の相続法制に関する調査研究業務報告書より

平成26 年10 月公益社団法人 商事法務研究会

法制審議会-民法(相続関係)部会資料より

 

 

第4 章 今後の進展

 

1 相続編改正案

 

2011 年に法務部は新たな相続法(全般)改正草案65を行政院に提出した。現在はまだ行政院内にあり、立法院に送付されておらず、可決の目処はついていない。いずれにせよ、当該草案は、これまでの判例の見解を明文化し、紛争を減少させることを目標としており、家族の多様化や高齢社会に対応するものではない。その改正のポイントは、以下のようにまとめることができる。

 

まず、推定相続人の廃除方法について、現行法では被相続人の意思表示のみでよく、争いを惹起しやすいため、草案は、遺言、書面、録音、録画等の真意が確認しやすい方法によるべきであると定めている。

 

次に、草案は、相続回復請求権の消滅時効に関しては、現行の2 年と10 年から、相続財産を侵害された事実を知った時から15 年へと改めている。第三に、遺言による遺産分割禁止期間を、最長10 年から、5 年へと短縮した。

 

第四に、自筆証書遺言以外に筆記が必要な遺言については、自筆のほか、パソコンまたは他の機械によって製作される書類も効力を認められる。

 

 

第五に、口のきけない者と耳が聞こえない者のため、遺言方式中の「口述」には、通訳による申述または自書をも含めると明文で規定した。第六に、遺言における親族会議の役割を、すべて裁判所に移行させることである。

 

この草案は、世帯規模の縮小、家族連帯の弛緩、人口構造の高齢化が進んでいる台湾の社会の変化を視野に入れたものではない。そのため、残された課題は、第3 章の1で述べた配偶者の剰余財産分配請求権の一身専属化が、生存配偶者の保障にとっては不利であるほか、以下の2ではさらにいくつかの問題を指摘しておきたい。

 

2 残された課題

 

1 遺言の増加と遺留分の検討

 

法律の条文は変わっていないものの、遺言慣行を見る限り、相続の実情は確実に社会の変化と共に変わってきている。まず、遺言の絶対数及び死亡人口に対する割合は確実に上昇している。

 

一般の自筆証書遺言と代筆遺言等の数ははっきりしないが、公証人を経由した公正証書遺言および(自筆証書遺言と代筆遺言等に関する)認証を経た遺言の数に関しては、明確な統計資料がある。<表3>で示されたとおり、遺言の絶対数は、11 年の間にすでに3.6 倍にも増加している。

 

それに加えて、この数の毎年の死亡人口に対する割合も徐々に上昇してきているから、台湾社会における遺言利用者は増えつつあると言ってよいであろう。

 

<表3 省略>

また、第2 章の4で検討したように、遺言による財産処分の内容を実際に観察すれば、遺贈・相続分の指定・遺産分割方法の指定の区別が不要だったという伝統的な学説のイメージを超え、最近の裁判例と登記実務では、徐々に異なった類型の遺言による財産処分が形成され始めている。

 

このことは、法定された均分・共同相続というルールが被相続人のニーズに合致しなくなり、その結果、被相続人が積極的に遺言を用い遺産配分の内容と方法を変えていることを意味すると推測できる。その際に、現在の(特に兄弟姉妹にまで与えられる)遺留分制度は、再検討の余地があるのであろう。

 

 

 

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