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相続に関する法律 台湾⑥
2015年12月31日

 

第6部 台湾法

国立台湾大学 黄 詩淳

各国の相続法制に関する調査研究業務報告書より

平成26 年10 月公益社団法人 商事法務研究会

法制審議会-民法(相続関係)部会資料より

 

 

 

 

4 共同相続財産の登記

 

相続財産を構成する不動産は、共同相続人の合有に属しており、各共同相続人は具体的な持分を有しない。土地法73 条1 項は、「土地の権利を変更する登記は、権利者および義務者が共同で申請しなければならない。義務者がないときは、権利者が申請する。

 

それが相続登記であるときは、各相続人は全体の相続人のために申請することができる。但し、その申請は、他の相続人の相続放棄又は限定承認の権利に影響を与えない」と定めている。

 

土地登記規則120 条は、「相続人が二人以上いる場合に、一部の相続人は他の相続人と共に相続登記を申請することができないときは、その中の一人または数人が全共同相続人の利益のために、被相続人の土地について公同共有の登記を申請することができる。全共同相続人の同意を得た場合に、共有の登記を申請することができる」と規定している。

 

すなわち、土地法73 条1 項の「相続登記」は「公同共有の登記」(合有の登記)であり、相続人全員の同意がなくても、共同相続人の一人の単独で可能である。

 

 

最高法院69 年台上字第1166 号判例は、「土地の相続登記については、土地法第七三条の規定により、すべての相続人は全体の相続人のために申請でき、訴訟上請求する必要がない…本件被上告人は上告人に対して相続登記の登記協力を請求したが、これは上告人に対して一般の共有に関す

る登記を求めたのであろうか。

 

仮にそうではなく、ただ合有の登記で足りるならば、なぜ原審は、上告人の四分の一の持分を被上告人に登記移転せよと命じたのか。被上告人の請求は不明瞭である。原審が釈明権を行使しその補充を促しておらず、直ちに被上告人の請求を容認し勝訴判決を下したことは違法である」と述べて、土地法73 条の「相続登記」(合有の登記)を相続人の一人で行いうると明言している。

 

5 日本との比較

 

遺産を構成する個々の財産に対する共同相続人の権利についていえば、日本では共同相続人は自らの相続分を自由に処分でき、しかも、遺産の一部(可分債権と債務)は相続分に応じて共同相続人に分割帰属する。そのため、遺産の結合は比較的ルーズである。

 

これに対して、台湾では共同相続人は自由に相続分を処分できず、共同相続人に分割帰属することがないため、遺産は比較的団体性と結合性が強い。次に、第三者との関係についていえば、日本の共有説の下では遺産を対象とする商品の交換が円滑に行われ、取引の安全が保護される。他方で、台湾の合有説の下では持分の処分が禁止されおり、取引の安全が妨げられると思われるが、不動産の登記に公信力があるため、取引の安全はそこで配慮されることになる。

 

 

番人

「登記に対する信頼が厚いですね。」

 

 

合有である遺産共有の法律状態は、暫定的・一時的な状態にすぎず、永続的な安定したものとはいえない。次には遺産分割手続が必要となる。すなわち、相続財産を構成するどの財産が、どの相続人に帰属するかは、最終的には遺産分割手続で確定される。

 

但し、遺産分割の際に、考慮すべき要素は極めて多岐にわたる。単に民法の定めている法定相続分に従い分割すればよいというわけではない。そのため、遺産分割の過程で、本来の法定相続分に修正を与えうる様々な要素を丁寧に検討すべきである。

 

法定相続分に対する修正とは被相続人の遺言による処分である。遺言自由の大原則に基づき、確かに被相続人は自由に遺言によって、法定相続分の内容と異なる処分を行うことができるが、その自由には「遺留分」という制限がある。

 

遺留分は、一定範囲の法定相続人に留保すべき最小限の相続財産であり、「相続の法定原則に対する被相続人の意思による攻撃を法定原則の側からいわば巻き戻すためもの」27とも言われている。よって、遺産分割の過程で配慮しなければならない「遺言による財産処分」を検討する前に、「遺言による財産処分」に制限を加える「遺留分制度」を検討する。

 

 

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