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相続に関する法律 台湾⑤
2015年12月31日

 

第6部 台湾法

国立台湾大学 黄 詩淳

各国の相続法制に関する調査研究業務報告書より

平成26 年10 月公益社団法人 商事法務研究会

法制審議会-民法(相続関係)部会資料より

 

3 共同相続財産の管理、使用収益と処分

 

相続財産は共同相続人の合有に属するゆえに、民法物権編における「公同共有」(合有)に関する規定は相続財産に適用される。合有物の管理、使用収益と処分に関わる最も重要な条文は、民法828 条2 項における「820 条、821 条、826 条の1 の規定は、公同共有に準用される」という規

定21、および同条3 項における「公同共有物の処分及びその他の権利行使は、公同共有者全体の同意を得なければならない」という規定である。

 

(1) 所有権に基づく権利の行使

 

民法821 条は、(狭義の)共有における所有権に基づく請求について、「各共有者は、第三者に対して共有物の全部について所有権に基づく請求をすることができる。但し、共有物回復の請求は、共有者全体の利益に基づいてのみ行うことができる」と定めている。

 

2009 年の物権編改正前は、現在の828 条2 項の準用規定がなかったため、合有財産の所有権に基づく請求には、821 条の多数決が準用されるのか、または旧828 条2 項(現行法の828 条3 項)の全体行使の原則が適用されるのかが問題であった22。現行法は、明確に821 条の準用を認めており、すなわち合有において所有権に基づく請求を各共同所有者で単独で行えること、つまり、かつての通説の主張を取り入れている。

 

(2) 管理と使用収益

 

合有の相続財産の管理と使用収益には、上述した828 条2 項により、共有の820 条の規定が適用される。したがって、相続財産の管理と使用収益は、相続人の人数および潜在的な持分の多数決により行われる。また、裁判所は一定の要件の下で、相続人の管理と使用収益に干渉し、管理と使用収益の方法を変更する権限を持つ23。

 

(3) 処分

 

828 条3 項は、「公同共有物の処分及びその他の権利行使は、公同共有者全体の同意を得なければならない」と定めている。

 

(a) 共有物の処分――共有者全体同意の原則

 

共同相続人は、合有関係の下で、持分(相続分)が潜在的なものにすぎないため、相続財産を構成する個々の財産に存在する自己の持分を処分することができない。当然ながら、(自己の持分を超えて)特定の財産を処分することもできない。ただ相続人は他の共同相続人全体の同意(授権)を得れば、特定の財産を処分することができる。

 

(b) 全体同意原則の緩和――不動産の場合

 

土地法は、民法の「公同共有者全体同意の原則」に関する特別な規定を設けている。すなわち、土地法第34 条の1 第1 項は「共有土地又は建築改良物の処分、変更、および地上権、永小作権、地役権又は不動産質権の設定をする場合は、共有者の過半数のおよびその持分合計の過半数の同

意をもってしなければならない。

 

但し、その持分合計が三分の二を超えるときは、その人数は計算に入れない」とし、同条5 項は「前四項の規定は、公同共有に準用する」と定めている。これによって、共同相続人が相続財産に属する不動産を処分する場合には、全体の同意を得なくてよいとされた。

 

土地法の適用により、相続不動産の処分(分割は別)は多数決で行ないうるのに対して、通常はその価値が不動産より安価な動産の処分は、かえって共同相続人全体の同意が必要である。この結果がアンバランスだという理由で立法的な検討を要すると主張した学説もある24。

 

(c) 相続分の処分

 

特定の財産の処分ではなく、共同相続人が自らの相続分そのものを一括して処分することができるか。法律上の明文の規定と判例は存在しないが、学説は、相続分の処分は認められないと解している25。

 

(4) その他の権利行使

 

民法828 条3 項の「その他の権利行使」は、優先購買権の行使、時効利益の放棄がこれに該当し、共同相続人全体の同意を要する26。

 

 

 

 

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