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相続に関する法律 韓国⑱
2015年12月28日

 

第5部 韓国法

淑明女子大学 郭 珉希

各国の相続法制に関する調査研究業務報告書より

平成26 年10 月公益社団法人 商事法務研究会

法制審議会-民法(相続関係)部会資料より

 

(3) 配偶者の寄与行為を寄与分の算定に考慮(法定)する法案

 

2007 年7月に61 人の議員が提案した民法改正案(廃棄)では、離婚時財産分割の割合は50%とし、被相続人の配偶者にして被相続人の婚姻中に取得した財産について、均等な割合で寄与分請求のできる配偶者の寄与分を新設しようとの主張があった。

 

この改正案によると、被相続人の配偶者は相続財産の中、均等な割合で算定した寄与分を優先して取得し、あまりの相続財産について共同相続人と均分で相続することとなる。実際に提案された立法案は次のようである。

 

韓国民法1009 条(法定相続分)①同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は均分とする。(現行法と同様)

 

 

②被相続人の配偶者は、相続財産から被相続人が婚姻中に取得した財産について均等な割合で寄与分の請求をすることができる。

韓国民法839 条の2(財産分割請求権)①協議上離婚した者の一方は、他の一方に対して財産の半分の分割を請求することができる。

 

これは、離婚時財産分割において、均等に婚姻中の取得財産を分割のと同様に相続の場合も婚姻中に取得した財産に寄与した事実を十分考慮しようとする点で意義がある。

 

しかし、寄与分制度は、共同相続人の中、被相続人の財産の維持や増加に寄与し、又は特別に被相続人の扶養した者があるとき、相続分の算定においてそのような寄与あるいは扶養を考慮することで、共同相続人間の公平を図るために、1990 年の韓国民法の改正により新設されたものである。

 

したがって、寄与の程度を考慮せずに一律に配偶者に均等な割合の寄与分を認めるのは制度の趣旨に相応しくないという批判99がある。なお、婚姻期間中に新しく取得した財産がなければ、配偶者の寄与分は認められないので、結局、このような場合には、共同相続人と均分相続することとなり、むし

ろ現行法より配偶者に不利になるとの指摘もある。

 

 

(4) 生活の基盤となっている財産の確保

 

配偶者の相続権の強化は、相続分や相続順位などによる保障という観点ももちろん意味があるが、今の韓国社会においての現実的な要請を十分に考慮に入れるなら、そこにはフランス法のような住宅や今までの生活をともにしてきたことに基づく財産の用益権の確保などの配偶者の生活の実質的な保障が求められる。

 

 

 

 

もし、韓国民法の改正においてそのようなのコンセンサスがあるとなると、配偶者の相続権の改善・強化の中核な権利として念頭に置くべきは、生存配偶者が被相続人の死亡のときに有していた生活基盤と生活の諸条件をその後の余生を通じて安全に確保できるようにすることである。

 

 

しかし、今の韓国の相続法全体において法定相続分や財産分割制度、夫婦財産制度のあり方などを考えて、配偶者の生活保障の具体的な態様をどうするかという問題に入ると、その具体的な姿を決めるのは相当難しいことであろう。

 

すみれ

「難しいですか。」

 

 

例えば、住宅のように、生存配偶者の生活の基盤になる財産については、完全な所有権をみとめることにするか、それともせめて生存までの用益権を認めることにするか、相続法上の遺留分権や寄与分の制度によるものとして強行性を付与するものにするか、それとも、とくに住宅を中核とする生活基盤と生活水準の維持保存保障できるような、相続財産に対する一個の債権的な権利のよるべきかなど、様々な問題がある。このような規定の仕組みをとるには、フランス法のように複雑な規定になるおそれがあるが、そこまで相続法が複雑となる必要があるかという批判もありうる。

 

4 結論

 

配偶者の相続分に関する議論と夫婦財産制度とは密接な関係にあり、その夫婦共同財産の清算という観点からみても夫婦財産制度との関係を考慮に入れなければならない。

 

単なる相続分の強化という見方ではその理論性と問題の的確な分析に欠けることになるだろう。しかも、議論の方向が形式的な「相続分」の強化・増加の議論に向かうのは本来の相続制度の存在意義や制度の趣旨(血族相続人と配偶者との利益の衡量)、現在社会の意識や事情の変化、紛争の妥当な解決への要請からも望ましくない。

 

したがって、夫婦財産制度と配偶者相続権とは連携して考えるべきである。さて、配偶者の相続権に関する議論の正当性は、夫婦共同財産の一方の死亡による合理的な清算にもあるが、現在の社会の要請は、相続における配偶者の住居権ないし生活保障の必要性の方にもあるといえる。

 

ただ、これには韓国民法の全体の構成や体系などを、十分に考えて理論的・実務的な検討をなすべきだと思う。最近まで、このような多様な観点からの配偶者相続権の強化を目指す立法上の議論が、法務部をはじめとして多くの学者からなされているので、近いうち、その立法的な成果が得られると思う。

 

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