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相続に関する法律 韓国⑨
2015年12月28日

 

第5部 韓国法

淑明女子大学 郭 珉希

各国の相続法制に関する調査研究業務報告書より

平成26 年10 月公益社団法人 商事法務研究会

法制審議会-民法(相続関係)部会資料より

 

 

 

※特別受益者があるときの具体的相続分の算定方法

① 具体的相続分=(相続財産価額+生前贈与)×法定相続率-(生前贈与+遺贈)

② 相続財産分配額=具体的相続分÷各共同相続人の具体的相続分の総合×(相続財産-遺贈額)

③ 相続利益=相続財産分配額+生前贈与+遺贈

④ 消極財産は特別受益を考慮せず法定相続分の割合で共同相続人が負担

 

(2) 寄与分

 

韓国民法1008 条の2(寄与分) ①共同相続人の中に相当の期間において同居・看護その他の方法により被相続人を特別に扶養し、又は被相続人の財産の維持又は増加について特別に寄与をした者があるときは、相続開始の当時の被相続人の財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第1009 条及び第1010 条により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

 

 

②前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭法院は、前項に規定する寄与者の請求により、寄与の時期・方法及び程度と相続財産の額その他の一切の事情を考慮して、寄与分を定める。

 

③寄与分は相続開始時の被相続人の財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

 

④第2 項の規定による請求は第1013 条第2 項の規定による請求があった場合又は第1014 条に規定する場合にすることができる。

 

(a) 寄与分制度の意義と他の制度との関係

 

寄与分制度は、共同相続人の中、被相続人の財産の維持や増加に寄与し、又は特別に被相続人の扶養した者があるとき、相続分の算定においてそのような寄与あるいは扶養を考慮することで、共同相続人間の公平を図るために、1990 年の韓国民法の改正により新設されたものである。特別受益制度と趣旨をともにするが、寄与分は特別受益に優先して考慮されるというのが通説である。

 

 

したがって、寄与分を算定してこの価額を控除した相続財産に基づいて特別受益者の相続分が決まることになる。他方、寄与分は相続財産の価額から遺贈の価額を控除した額を超えることができないので(1008 条の2)。

 

また、遺贈は遺留分に劣後するという関係にある。ここで、寄与分と遺留分との関係では、どれが優先して考慮されるかが問題となっている。言い換えると、問題は遺留分を侵害する寄与分を認めることができるかに帰する。

 

これに関して、韓国民法では、寄与分と遺留分との関係を直接に定める規定はないが、民法1115 条が遺留分返還請求権の対象に寄与分を規定していないことから、遺留分が寄与分に劣後するというのが通説である。

 

元々遺留分制度は被相続人の遺産処分の事由を制限するための制度であり、寄与分は共同相続人の協議で決められるか又は家庭法院の審判によって決せられるにすぎなく、被相続人の意思によるものではないので寄与分を遺留分によって制限するのは妥当ではないという。

 

さらに寄与分は本来寄与者に帰すべき財産が被相続人の財産に含まれているだけで、本質的には遺留分の返還対象とはならないからである。

 

通説によると、遺留分算定の基礎財産は寄与分を控除したものであるとされる。寄与分を被相続人が遺言で指定することができるかについては、遺言は法定事項に限ってすることができるので、寄与分を指定した遺言は無効である。

 

 

 

寄与分の請求は寄与をした相続人がすることであり、相続財産分割の請求があるとき、相続財産分割後に認知又は裁判の確定によって共同相続人となった者が価額請求することをしたときにすることができる。このような請求なくして寄与分のみを定める審判を請求することは不適法であるとして却下される。

 

 

(b) 共同相続人の寄与行為

 

特別受益者の相続分と寄与分制度は「共同相続人間」の相続分の公平な調整制度であるので、共同相続人たりえない者の寄与は評価されない。例えば、事実婚の配偶者、共同相続人ではない包括的受贈者などは寄与分権利者ではないとされる。

 

相続欠格者や相続放棄者も寄与分の権利を主張することができない。かえって、共同相続人が自分の寄与ではなく、その配偶者の寄与を主張することもできない。他方、多数説によると、代襲相続人は自分の寄与のみならず、被代襲者の寄与も主張できる。

 

 

ここでいう「特別な寄与」とは、相当の期間において同居・看護その他の方法により被相続人を特別に扶養し、又は被相続人の財産の維持又は増加について特別に寄与したことである。

 

簡単にいうと、被相続人に対する「特別な扶養」あるいは被相続人の「財産の維持又は増加に対する特別な寄与」が必要である。第1 に、「特別な扶養」というのは2005 年の民法改正により挿入された要件である。

 

相続財産の分割における寄与分の考慮は、寄与行為に対する対価としての意味をもっているので、共同相続人が既に寄与行為に対する相応の対価を得ていたり、法律上の義務が存在しその義務に基づいて寄与したのであるならば、寄与分として評価されるべきではないだろう。

 

そこで、法律上の扶養義務のある共同相続人の通常の扶養は特別な寄与と評価されるわけではないが、扶養義務の順位、扶養の時期・方法に照らして「特別な扶養」として寄与分が認められる場合もありうる。

 

判決には、成年の子が扶養の存否やその順位に関わらず長期間にわたって父母と同居し、生計維持のレベルを超える扶養をしてきた場合、扶養の時

期・方法及び程度に照らして特別な扶養として寄与分に考慮すべきであると判断したものがある50。

 

他方、相続人の被相続人に対する特別な扶養が認められたときは、それだけで民法上の寄与分の請求の要件を満たしたことになる。特別な扶養により被相続人の財産の維持や増加に寄与する必要はない。

 

つまり、扶養と相続財産の維持や増加との間に因果関係がなくても、特別な扶養という事実だけで寄与分の請求ができるということである。

 

第2 に、民法上「特別な寄与」として定められているもう一つの要件は被相続人の財産の維持又は増加に対する特別な寄与である。

例えば、労務の提供や財産上の給与などであるが、配偶者の家事労働は特別な寄与とは評価されない。但し、最近、寄与分制度は、被相続人の死亡時、夫婦財産制度のあり方と関わって、夫婦財産の清算という観点から配偶者の地位を強化するに活用できる制度として学説上、注目されている。

 

 

 

ポリー

「寄与分は実際に使われているのでしょうか。学説上注目されるのは良いと思うのですが。」

 

 

(c) 寄与分の決定

 

寄与分の決定はまず共同相続人の協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、寄与者の請求により、家庭法院が寄与分を定める。寄与分は法定相続分の修正要素であって相続財産分割の前提問題なので、寄与分請求は相続財産分割請求がある場合のみ提起できるとされる。

 

寄与分審判請求は相続財産分割事件が法院に継続中でしかすることができない。なお、相続財産の分割後に認知された子が共同相続人となって価額支給請求するとき(1014条)にも寄与分の請求ができる。

 

しかし、寄与相続人は遺留分返還請求訴訟で、民法による寄与分の決定がなされる前には、相続財産の中から、自分の寄与があることを根拠にその寄与分の控除を抗弁として主張することはできない51。相続財産分割請求がないものの遺留分返還請求があったという事由だけでは、寄与分決定請求は許容されないとしているのである52。

 

共同相続人たる寄与者は、他の共同相続人の全員を相手方にして寄与分を請求しなければならない。

 

 

寄与分は遺贈を超えることができないので(1008 条の2③)、相続開始の時に有している被相続人の財産価額から遺贈の価額を控除した残額を超える寄与分は認められない。具体的には被相続人の相続財産価額から寄与分を控除したものを相続財産とみなし相続分を算定する。

 

寄与分が定められた後には、譲渡や相続の対象となるが、寄与分決定の前は、譲渡はできないが相続は肯定される。寄与分の放棄も可能である。

 

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