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相続に関する法律 韓国②
2015年12月28日

 

第5部 韓国法

淑明女子大学 郭 珉希

各国の相続法制に関する調査研究業務報告書より

平成26 年10 月公益社団法人 商事法務研究会

法制審議会-民法(相続関係)部会資料より

 

 

 

2 相続開始の場所と費用

 

韓国民法 998 条(相続開始の場所)相続は被相続人の住所において開始する。

998 条の2(相続費用)相続に関する費用は相続財産の中から支弁する。

 

韓国民法は相続開始の場所についても被相続人の住所において開始すると定めている。相続費用には租税、あらゆる公課、管理費用、相続財産の管理のための訴訟費用6が含まれる。葬式費用は直接には相続に関する費用ではないが、被相続人のための費用であるとして相続費用と解される7。

 

 

2 相続人

 

相続人とは被相続人の相続財産を包括的に承継する資格を有する者である。この相続人となる一般的な資格を相続能力という。権利能力のある自然人なら国籍を問わず相続能力を持つが、法人には相続能力が認められない。

 

相続法は相続人の種類と順位を画一的に法定しており、被相続人は原則として、法律の定める相続人の種類や順位を変えることはできない。韓国は近代相続法の歴史がそれほど長くないし、国民の意識においても遺言が普遍のことではない。したがって、ドイツのように被相続人が遺言で優先的に相続人を定めたり、排除したりすることはできない。

 

 

ポリー

「韓国では法定相続が原則なのですね。遺言でできることも少し制限されています。」

 

 

 

このように、韓国は遺言で相続人を指定することができないから、遺言相続を認めていないと評価する見解もあるが、民法では、直接相続人指定に関する規定を設けているわけではないが、遺言の自由を認め被相続人が遺言で財産を自由に処分することができるので、韓国においても法定相続と遺言相続とが両方とも認められているといわれるのが一般である8。

 

韓国相続法が定める相続人は血族相続人と配偶者があり、相続におけるその順位は次のようである.

 

 

1 相続の順位

 

(1) 血族相続人

 

韓国民法1000 条(相続の順位) ①相続においては次に掲げる順位に従って相続人となる。

 

1.被相続人の直系卑属

2.被相続人の直系尊属

3.被相続人の兄弟姉妹

4.被相続人の4 寸以内の傍系血族

 

②前項の場合に同順位の相続人が数人であるときは最近親を先順位とし、同親などの相続人が数人であるときは共同相続人となる。

 

③胎児は相続については既に生まれたものとみなす。

 

血族相続人には1000 条による順位があり、先順位の血族相続人があれば後順位の血族相続人は相続できない。まず、第1順位の血族相続人は被相続人の直系卑属である(1000 条1 項1 号)。

直系卑属には被相続人の子であれば性別、年齢、国籍、長男・次男、既婚・未婚などは問わない。

 

 

ポリー

「長男、次男、既婚、未婚とことわり書きしているところが他の国と少し違うところだと思いました。」

 

 

さらに嫡出子であるか非嫡出子であるかも問わず、同じ順位で相続権を持ち、相続分にも変わりはない。養子の場合には親養子でない限り養親を相続するともに実親をも相続する。親養子の場合には実親との親族関係が終了するため養親のみを相続する。寸数が同じ場合には同順位で共同相続人となる。被相続人の子(先順位の直系卑属)が相続開始以前に全部死亡したとき、被相続人の孫子女が代襲相続するのかそれとも本位相続するのかについては韓国民法には明示的な規定がないため、学説上の争いがある。

 

 

 

判例は「被相続人の子が相続開始以前に全部死亡した場合、被相続人の孫子女は本位相続ではなく代襲相続する」9として代襲相続説を支持している。それによると孫は親の代わりに相続するため親の相続分のみを相続し、先順位直系卑属の配偶者も相続できる。胎児の場合には1000 条3 項によって相続能力が認められる。

 

次に第2順位の血族相続人は直系尊属である(1000 条1 項2 号)。直系尊属ならば父系であるか母系であるかは問わない。

 

離婚した父母も相続権が認められる。寸数が異なる場合には最近親が優勢し、同順位の相続人が多数であるときは共同相続人になる。未婚の孫が死亡した場合、相続開始以前にその父母が既に死亡し先順位の直系尊属がいないとき、祖父母が相続する場合がある。

 

そのとき、祖父母は代襲相続人となるか、本位相続人となるかについても争いがある。これについては、代襲相続に関する韓国民法1001 条が直系尊属には代襲相続権を認めていないため、祖父母の相続は代襲相続ではなく本人相続でしか解されないとされる。

 

 

つまり、先順位の直系尊属がみんな死亡した場合、次順位直系尊属が本位相続する。例えば、未婚の孫が死亡したが、その孫にとって父系には祖父

のみ生存しており、母系には祖父と祖母ともに生存しているとき、3人はそれぞれ3分の1の割合で孫(被相続人)から本位相続する。第3順位の血族相続人は兄弟姉妹である(1000 条1 項3号)。韓国民法は親族の範囲において父系と母系との差別を削除し、相続の順位や相続分に関しても男女あるいは父系・母系の差別を削除したことに照らして、1000 条1 項3 号の「被相続人の兄弟姉妹」とは父系か母系かを問わないと解すべきであるとしている

 

。さらに、判例は異姓同腹の兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)もこの規定による相続人であると判示した10。第4順位の血族相続人として4 寸以内の傍系血族も相続人となるが(1000 条1 項4 号)、彼らには遺留分権は認められない(1112 条)。いずれも、先順位の相続人があるときは、後順位相続人は相続できないのは先述した。

 

 

ポリー

「韓国の相続法は1990年、1979年、1960年、1912年と改正されています。」

 

 

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