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相続に関する法律 韓国①
2015年12月28日

 

 

第5部 韓国法

淑明女子大学 郭 珉希

各国の相続法制に関する調査研究業務報告書より

平成26 年10 月公益社団法人 商事法務研究会

法制審議会-民法(相続関係)部会資料より

第5 部 韓国法

 

序言

 

1960 年の韓国民法の制定と施行によって、それまでの相続関係に適用されていた旧慣習は以後、効力を失い、人の死亡により発生する権利義務の承継に関する法律関係は韓国民法第5 編の規定によることとなった。

 

立法起草者の考えは、親族・相続編の入案は「現行親族相続慣習法を古来の淳風良俗は弊風とならない限り、維持・助長すると同時に、時勢に相応しくない因習は揚棄することで、…修正・成文化すること」であった1。これと同様な趣旨で、親族相続編の内容について、日本民法及び他の近代民法の影響がわりと少なく、これは伝統的な慣習と民主主義の理念を妥協する過程から生まれた結果ともいわれる2。

 

 

 

 

しかし、これに対しては、韓国民法典を制定する当時にはまだ韓国固有の相続法制に関する的確な研究や認識が欠けていた時期であったから、その結果、韓国の相続法には朝鮮時代の法慣習や日本式の制度、近代式の制度が混在されているという指摘も存在する3。韓国相続法に関する様々な観点の違いが存するが、一般的に韓国の相続法の特徴及び比較法的位置づけに関しては、次のように説明することができる4。

 

 

韓国民法の制定が「ヨーロッパの諸国と日本及びその周辺国という限定的な観点から行われたものではあるが、一般的に比較法的作業の結果である」という韓国民法全体に関する評価5は、相続法においても正しいといえる。包括承継主義及び当然承継主義、相続債務に対する責任、共同相続の形態、遺言など死因処分の内容と形態、遺留分などに関する相続法の規定は確かに、日本民法を通じてフランス民法の構造に倣ったものであると評価することができるだろう。

 

しかし、その詳細な事項及び相続順位、配偶者の相続、財産分離などに関しては、韓国の立法者が独自的に案出した規定も含まれており、ドイツ民法、日本民法、中国民法などの規定に倣ったものも少なくないので、一概にどちらかの一つの国の相続法を継受したとはいいかねる。

 

 

ポリー

「ドイツ、日本、フランス、中国、いろいろな国の法律をみながら、韓国独自の相続法を作っていったのですね。」

 

 

従来、比較法学では、相続法は各国の慣習・価値体系などの影響で、固有の独自性を持つため、規定・制度の内容又はその機能を比較する研究の対象とはあまり望ましくないという認識があった。

 

しかし、世界のあらゆる流れから私法の統合というテーマで、従来債権法や動産物件などを中心に統合がなされているなか、相続法においても比較法的な観点から配偶者の相続権や寄与分、遺言制度、遺留分などの制度には認識を共通しているところもある

そのことから、今回の報告書は、現在の韓国の相続法の制度の概要をまとめてみるということと、その中からなされている様々な議論や実務の解釈を確認することに報告書の重点をおいたものである。今の韓国相続法の特徴を把握するためには、とりあえず韓国相続法の規定の内容が基礎となるべきであるので、その規定内容をともに掲げることにした。

 

なお、その規定、又は制度そのものや内容に関する様々な議論がなされているので、韓国民法の解釈という側面からその議論の内容や根拠などを説明しておいた。

 

 

ポリー

「世界の流れの中で、司法の統合も必要な部分があるのですね。国際結婚とかなんでしょうか。」

 

 

さらに、実際の規定と学説上の議論をふまえて、実務、とくに判例において、どのような判断や解釈が行われているのかも紹介することとした。各論点については、韓国と日本において共通する点もあるがそうではない点もあるので、重要な論点については日本と異なる部分を、できるだけ考慮して書く

ことにした。

 

以下の内容は大韓民国民法典(相続編)の構成と体系に従って作成したものである。

 

第5 編 相続

第1 章 相続

第1 節 総則(997 条〜999 条)

第2 節 相続人(1000 条〜1004 条)

第3 節 相続の効力(1005 条〜1018 条)

第1 款 一般的な効力

第2 款 相続分

第3 款 相続財産の分割

第4 節 相続の承認と放棄(1019 条〜1044 条)

第1 款 総則

第2 款 単純承認

第3 款 限定承認

第4 款 放棄

第5 節 財産の分離(1045 条〜1052 条)

第6 節 相続人の不存在(1053 条〜1059 条)

第2 章 遺言

第1 節 総則(1060 条〜1064 条)

第2 節 遺言の方式(1065 条〜1072 条)

第3 節 遺言の効力(1073 条〜1090 条)

第4 節 遺言の執行(1091 条〜1107 条)

第5 節 遺言の撤回(1108 条〜1111 条)

第3 章 遺留分(1112 条〜1118 条)

 

 

第1 章 相続

 

1 相続の意義

 

1 相続の開始原因

 

韓国民法997 条(相続開始の原因) 相続は死亡によって開始する。

韓国民法は財産相続の開始原因として死亡のみを規定している。相続開始の時期は相続人の資格・範囲・順位・能力を決する基準時になるのみならず、相続に関する権利の除斥期間や消滅時効の起算点にもなる。また、相続の効力発生、相続財産あるいは遺留分算定の基準として重要な意味を持っている。ここでの死亡には失踪宣告、認定死亡、不在宣告が含まれる。

 

それぞれ失踪宣告の場合には失踪期間満了時、不在宣告の場合には不在宣告の審判の確定時に死亡したことになる。また、認定死亡は家族関係登録簿に死亡と記載されることによって死亡が推定されるが、この場合、家族関係登録簿に記載された死亡の日時に相続が開始されると解される。他方、韓国

民法30 条によって同時死亡と推定される者の間には相続が開始されないとする。

 

 

 

ポリー

「韓国には家族関係登録簿というのがあるのですね。家族単位ではなく、個人別に家族関係を登録しています。2007年に戸籍制度はなくなりました。本籍という言葉がなくなりました。戸籍謄本などは、どこかに保存されているようです。

 

なお、戸籍については、1912年朝鮮民事令、1921年共通法、1945年ポツダム宣言受諾、1952年平和条約発効、などにより日本との関係があります。」

 

 

 

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