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相続に関する法律 アメリカ⑬
2015年12月25日

 

第4 部 アメリカ法

横浜国立大学 常岡史子

各国の相続法制に関する調査研究業務報告書より

平成26 年10 月公益社団法人 商事法務研究会

法制審議会-民法(相続関係)部会資料より

 

 

3 その他の諸州

 

1 フロリダ州

 

(1) 相続人と相続分

 

内容に独自の修正を加えつつも、ほぼUPC の諸規定に相当する規定を備える州としてフロリダが上げられる。Florida Statutes のTitle XLII Estates and Trusts にその諸規定が置かれている。無遺言相続については、被相続人に直系卑属がいない場合、被相続人の配偶者が全無遺言遺産を取得する。

 

 

生存配偶者とともに一人又は複数の直系卑属がいてこれらの卑属がすべて被相続人と生存配偶者の子であり、被相続人にも生存配偶者に他に直系卑属がいない場合には、生存配偶者が全無遺言遺産を取得する。生存配偶者とともに一人又は複数の直系卑属がいてこれらの卑属がすべて被相続人と生存配偶者の子であるが、被相続人又は生存配偶者に他に直系卑属がいる場合には、生存配偶者は無遺言遺産の2 分の1 を取得し、被相続人の直系卑属が他の2 分の1 を取得する(§732.102)。

 

被相続人に生存配偶者がいないが、一人又は複数の直系卑属がいる場合には、被相続人の無遺言遺産はこれらの直系卑属の間で分割される。代襲相続がなされる場合には、株分け方式(per stirpes)による(§732.104)。

 

 

 

被相続人に生存配偶者も直系卑属もいない場合には、被相続人の親が全無遺言遺産を取得し、親がいない場合には、被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹がいないときはその直系卑属)が取得する。

 

さらに、これらの者がいないときは、祖父母又はその直系卑属が取得する。祖父母又はその直系卑属もない場合には、被相続人の最後の配偶者(被相続人より先に死亡)の親族に全遺産が行く(§732.103)。

 

 

 

なお、フロリダは、半血の親族は全血の親族の2 分の1 の無遺言相続分のみを有するとしている(§732.105)。養子については、継親の養子となった場合又は近い親族(兄姉、祖父母、伯父伯母)の養子となった場合には、無遺言相続について実方の親との間の関係は終了しない(§732.108(b)(c))。

 

婚外子は、無遺言相続に関して父及び母との間の親子関係が認められているが、父については、父母の挙式、裁判による父性の確立、父による書面での認知が必要とされている(§732.108(2))。

 

(2) 配偶者と子の保護

 

フロリダでは、寡婦産及びかん夫産は廃止されている(§732.111)。

 

 

一方、家産については、生存配偶者は被相続人の不動産たる家産に生涯財産権等を有する(§732.401)。さらに、フロリダ憲法のもとで、被相続人に生存配偶者又は未成年の子がいる場合には家産は遺贈には服さないとされている(ただし、未成年の子がいない場合に生存配偶者に遺贈することは許される)(§732.4015)。

 

免除財産は財産の種類とその上限額について規定が置かれており(§732. 402)、家族手当についても総額18,000 ドルまで認められている(§732.403)。選択的相続分に関しては、一般に選択的相続分遺産(検認財産とともに非検認財産も含む)の30%に等しい額とされている(§732.2065)。

 

なお、無遺言相続分、選択的相続分、家産に関する権利、家族手当、免除財産等を放棄する旨の婚姻前契約又は婚姻後契約も有効である(§732.702)。

 

 

 

 

 

2 ルイジアナ州

 

ルイジアナは、他州と異なり、フランスとスペインを通じてもたらされた大陸法系の法を持つという特徴を有する145。相続については、ルイジアナ民法典第3 編(「財の所有権を取得する異なる諸方法」)第1 章に規定が置かれている(§§871-1466)。

 

ルイジアナの相続法は包括承継原則をとっており、被相続人の死亡とともに相続が開始し、包括承継人は遺産の所有権(ownership(大陸法よりも広範な意味で用いられる))を、特定承継人は遺贈されたものの所有権を取得する。そして、遺産代理人(succession representative)が選任される前は、包括承継人が遺産に関する権利及び被相続人の義務を代表する(§§934,935)。

 

遺産の分配については、ルイジアナは夫婦財産制について共有財産制をとっており、まず被相続人の当該財産が夫婦の共有財産か特有財産かが区別されなければならない。この点は、同じく第3 編第6 章の夫婦財産制(§§2325-2437)によって定まるが、それによれば、婚姻中に各配偶者がその稼働等により取得した財産、共有財産から得られた収益、共有財産ないし共有財産と特有財産によって取得された財産(特有財産の方がウエイトが非常に大きい場合を除く)等が共有財産となる(Civil Code§2338)。

 

 

 

 

無遺言相続において、特有財産は、まず被相続人の子が均分に取得する。子が死亡している場合には代襲相続によりその子が株分け方式(by roots:per stirpes)により相続する(§§885,888.日本の代襲相続と同様)。直系卑属がいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続するが、被相続人の親には被相続人の特有財産につき生涯用益権 (usufruct for life)が与えられる。

 

被相続人に直系卑属も親もいない場合、兄弟姉妹が被相続人の特有財産を相続する(§892)。ただし、兄弟姉妹の中に半血の兄弟姉妹がいる場合には、父方の兄弟姉妹と母方の兄弟姉妹がそれぞれ被相続人の特有財産の2 分の1 ずつを相続し、全血の兄弟姉妹は父方・母方両方を通じて相続するこ

とになる。

 

なお、代襲相続は全血の兄弟姉妹にのみ認められ、半血の兄弟姉妹の子(甥・姪)には代襲相続権はない(§884)。被相続人に直系卑属、兄弟姉妹はいないが親がいる場合、親が被相続人の特有財産を相続する(§892)。直系卑属、親、兄弟姉妹、兄弟姉妹の直系卑属がいない場合、被相続人の配偶者(ただし司法上の別居をしている場合は除く)が被相続人の特有財産を相続する(§894)。

 

直系卑属、親、兄弟姉妹、兄弟姉妹の直系卑属、配偶者の誰もいない場合には、被相続人の特有財産は、直系尊属が親等の近い順に相続する(§895)。直系卑属、親、兄弟姉妹、兄弟姉妹の直系卑属、配偶者、直系尊属の誰もいない場合には、傍系血族が親等の近い順に相続する(§896)。

 

 

 

共有財産については、その被相続人の共有持分を、配偶者及び直系卑属が各2 分の1 ずつ相続する。ただし、配偶者は、共有財産における被相続人の全持分につき生涯用益権(usufruct: lifeestate)を与えられる。この生涯用益権は、生存配偶者が死亡するか再婚した場合には終了し(§890)、その際当該財産は完全に被相続人の直系卑属に移転する。

 

配偶者がいるが直系卑属がいない場合、全共有財産は配偶者が取得する(§889)。それに対して、配偶者はいないが直系卑属があるという場合には、そもそも共有財産は存在していないといえる。

 

 

 

なお、不動産に関しては特則があり、不動産の贈与は、他の無遺言遺産とは異なった扱いをされる。不動産が被相続人の直系尊属によって被相続人に与えられたものであって、被相続人に子や直系卑属がいない場合、当該不動産が遺産の中にあるときは、その不動産は被相続人の死亡によりその尊属に返還される。

 

なお、当該不動産が売却された場合にも、いまだ代金が一部又は全部支払われていないときは、被相続人の直系尊属はその代金を受領する権利を有し、また復帰権(reversion)があるときはそれを相続する(§897)。

 

 

また、ルイジアナは一定の相続人(forced heir)に遺留分(legitime:義務分)を認めている(§1494 以下)。legitime を有する相続人(forced heir)は§1493 で定められており、被相続人の第一順位の直系卑属で、被相続人の死亡時に、23 歳以下の者又は、年齢を問わず精神的無能力や身体的耗弱により永続的にその心身の世話や財産の管理をなすことができない者を言う(§1493(A))。

 

また、これらの者が被相続人より先に死亡している場合には、一定の要件のもとlegitime の代襲が認められる(§1493(B)(C))。

 

 

 

ポリー

「ルイジアナ州だけ遺留分のようなものがあるのですね。大陸法系というのは、持つ国が多いのでしょうか。これからの生活に不安がある人のみ権利を持たせるのは心強い気がします。」

 

 

 

legitime の割合については、生前贈与及び死因贈与は、原則としてforced heir が1 人の場合は被相続人の財産の4 分の3 を超えてはならず、forced heir が2 人以上いる場合は被相続人の財産の2 分の1 を超えてはならないとされている(§1495)。

 

legitime に条件や負担を課すことは許されないが、法律の明文で例外が定められているときはこの限りでなく、生存配偶者の生涯用益権146や、legitime が信託に付された場合がこれにあたる(§§1496, 1499)。legitime の減殺請求(reduction)は、遺産の承継人又は受贈者の選択に従い、現物返還若しくは価額弁償によって行われ、当該財産が承継人や受贈者のもとにもはやないときは、価額弁償による(§1513)。

 

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