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民事信託手続準則案4
2019年12月26日

民事信託手続準則案[1]

 

4 親族受託者等の権限乱用や不正への対策

 

司法書士は、信託登記代理の附随業務として、または、法務局等提出書類作成業務として、あるいは簡裁訴訟代理等関係業務として、高齢者の福祉や認知症対策を目的とする親族間信託の組成を支援する場合、高齢者である委託者兼受益者の利益を擁護するため、信託当事者および当該信託に関係する親族に対して、受託者の権限乱用や不正を防止するためのしくみを備えるべきことの助言を行うものとする。また、受託者の権限乱用や不正を防止するための助言を行うものとする。

 

また、受託者の権限乱用や不正が、背任罪や横領罪などの犯罪の構成要件に該当する可能性について警告しなければならない。そして、司法書士は、法律家としての法令順守確認義務の観点から、受託者や受益者代理人等の権限濫用や不正が生じないよう、受託者に対する牽制や監督が可能な信託が組成されるよう支援するものとする。

 

なお、当該司法書士は、自らが組成を支援した親族間信託に対しては、特段の事由がない限り、信託開始以降も適法かつ適切に受託者の信託事務が遂行されていることの確認に努めるとともに、現に、受託者等の権限濫用や不正の危険を生じ、受益者の利益が害されるような急迫性を生じた場合、これを当該司法書士が知ったときは、速やかに、受益者の利益を守るため、司法書士の法令順守義務の履行として、信託当事者に対して助言、警告するものとして、現に不正等に至ったことを当該司法書士が知った場合、捜査機関等への相談、届出や告発その他、委託者兼受益者または受益者の損害を最小化するためのしかるべき措置をとるものとする。

 

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渋谷陽一郎「民事信託支援業務の手続準則試論(1)~(3)」『市民と法』№113~№115(株)民事法研究会

 

―高齢者である委託者兼受益者の利益を擁護するため、信託当事者および当該信託に関係する親族に対して、受託者の権限乱用や不正を防止するためのしくみを備えるべきことの助言を行うものとする。―

 

 

例えば、任意後見契約にならって信託監督人を就ける、高齢者である委託者兼受益者が信託契約に加えて任意後見契約も締結しておき、任意後見契約書の中の代理権目録に、受託者に対する監督権を明示して持たせる、などを考えることが出来ます。

 

 

 

―また、受託者の権限乱用や不正を防止するための助言を行うものとする。―

 

 

信託契約書作成時、終了時は司法書士が関わるので助言できる(する義務がある)のに対して、何もない時でも(何もないからこそ)受託者や受益者と定期的に連絡を取って様子を聞く必要があります。

 

 

―なお、当該司法書士は、自らが組成を支援した親族間信託に対しては、特段の事由がない限り、信託開始以降も適法かつ適切に受託者の信託事務が遂行されていることの確認に努める―

 

 

特段の事由としては、受託者とともに受益者(またはその成年後見人)と支援業務契約の解除を行った場合を挙げることが出来ます。

 

 

―とともに、現に、受託者等の権限濫用や不正の危険を生じ、受益者の利益が害されるような急迫性を生じた場合、これを当該司法書士が知ったときは、速やかに、受益者の利益を守るため、司法書士の法令順守義務の履行として、信託当事者に対して助言、警告するものとして、現に不正等に至ったことを当該司法書士が知った場合、捜査機関等への相談、届出や告発その他、委託者兼受益者または受益者の損害を最小化するためのしかるべき措置をとるものとする。―

 

 

この部分は、司法書士が法定後見人、(任意)後見監督人に就任する場合の業務に近く、注意していれば比較的馴染みやすいのではないかと思います。

 

 

親族間信託支援業務だけが特別ではない、という意味で記載がされていると理解しています。