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東京地裁 平30.10.23民事第32部判決 請求棄却〔確定〕
2019年10月23日

 

委託者兼受益者(父) と受託者(子) との 問の信託契約について、委託者兼受益者による詐欺取消し、 錯誤無効、債務不履行解除、信託目的の不透成または委託者兼受益者の合意による同信託の 終了の主張がいずれも認められなかった事例

 

 

東京地裁 平30.10.23民事第32部判決 請求棄却〔確定〕

平成29年(ワ)第25091号 所有権移転登記等抹消登記請求権

 

委託者兼受益者(父)と受託者(子)との問で締結された信託契約について、認定した事実関係のもとでは、委託者兼受益者による詐欺取消し、錯誤無効および債務不履行解除ならび信託目的不達成による同信託の終了の主張は認められず、また、委託者と受託者との合意により信託を終了することができるとの同契約の定めがあるから、信託法164条3項により同条1項の適用は排除され、委託者兼受益者が任意の時期に同信託を終了させることはできず、委託者兼受益者の合意による同信託の終了の主張も認められない。

 

 

 

【参照法条】信託法3条、163条、164条、民法95条、96条、415条、543条

 

 

 

 

 

[当事者]( 一部仮名)
原告
同訴訟代理人弁護士羽鳥徹夫
被告
同訴訟代理人弁護士伊東大祐

 

 

・主文・
1 原告の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

 

 

 

・ 事実及び理由・

 

第1 請求

 

1 主位的請求

 

I 被告は、原告に対し、別紙物件目録1記載の各土地につき、東京法務局a出張所平成29年2月21日付受付第〈略〉号の所有権移転及び信託登記の抹消登記手続をせよ。

(2)被告は、原告に対し、別紙物件目録2記載の土地及び建物につき、東京法務局b出張所平成29年2月27日受付第〈略〉号の所有権移転及び信託登記の抹消登記手続をせよ。

(3)被告は、原告に対し、別紙物件目録3記載の各建物につき、東京法務局b出張所平成29年2月27日受付第〈略〉号のX持分全部移転及び信託登記の抹消登記手続をせよ。

 

 

 

 

2 予備的請求
(1) 被告は、原告に対し、別紙物件目録1記載各土地につき、平成29年10月13日信託財産引継を原因とする所有権移転努記手続及び信託登記抹消登手続をせよ。
(2) 被告は、原告に対し、別紙物件目録2記載の土地及び建物につき、平成29年10月13日信託財産引継を原因とする所有権移転登記及び信託登記の抹消登記手続をせよ。
(3)被告は、原告に対し、別紙物件目録3記載の各建物につき、平成29年10月13日信託財産引継ぎを原因とするY持分全部移転登記手続及び信託登記抹消登記手続をせよ。

 

 

 

 

 

第2 事案の概要

本件は、原告が、原告と被告との聞で、平成28年11月16日、原告を委託者兼受益者、被告を受託者とする信託契約(以下「本件信託契約」という。)が締結され、これに基づき、別紙物件目録1及び2記載の各不動産につき原告から被告への所有移転及び信託登記が、別紙物件目3記載の各不動産につき原告から被告への持分全部移転及び信託登記が、それぞれなされていることについて、1、主位的に本件信託契約は、詐欺によるものであるから取消し、要素の錯誤があるから無効であり、債務不履行があるから解除する旨を主張して、被告に対し、別紙物件目録1及び2記載の各不動産の所有権及び別紙物件目録3記載の各不動産の共有持分権による妨害排除請求権、又は信託契約の解除による原状回復請求権に基づき、別紙物件目録1ないし3記載の各不動産(以下「本件各不動産」という。)につき所有権移転(持分全部移転)及び信託登記の抹消登記手続をすることを求め、2、予備的に、本件信託契約は、信託の目的を達成することができなくなった(信託法163条1号)か、平成29年10月13日、委託者兼受益者である原告の意思による(同法164条1項)などの事由により終了した旨を主援して、被告に対し、信託の終了による原状回復請求権に基づき、本件各不動産につき同日信託財産引継を原因とする所有権移転(持分令部修転)登記手続及び信託後記抹消登記手続をすることを求める事案である。

 

 

 

 

1 前提事実(当事者間に争いがないか、文中記載の証拠等及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)

 

 

(1)当事者等(甲10、23)
ア 原告(昭和11年ll月〈日付略〉生)は、P(父)及びQ(母)の次男であり、昭和37年9月5日、R(父)及びS(母)の長女であるA(昭和15年1月〈日付略〉生。以下、単に「A」という。)と婚姻した。
イ 被告(昭和40日40年9月〈日付略生>は、原告及びAの次男である。
ウ B(以下「B」という。)は、原告及び被告の長男であり、平成16年に、中国国籍を有する女性であるD(1963年10月〈日付略〉生。以下「D」という。)と婚姻し、平成26年5月<日付略>に死亡した。

エ 原告とAとの間に、B及び被告以外の子はいない。
オ 原告は、Aとともに、平成27年12月2日、姪のC(以下「C」という。)を養子とする養子縁組をし、平成28年l月5目、Dを養子とする養子縁組をした。

 

 

 

 

 

(2)本件各不動産の状況等(甲1ないし9 、26)
ア 原告は、平成4年3月25日頃、別紙物件目録1記載1の土地 (以下「Cの土地」という。)を売買により取得した。同土地上では、平成6年から平成28年11月まで、ラーメン店の営業が行われていた
イ 原告は、平成27年12月28日、別紙物件目録1記載2 の上地(以下「Cの土地という。)を売買により取得した。
ウ 原告は、昭和35年 5 月17日頃、別紙物件目録2記載1の土地(以下「bの土地」という。)を先買により取得した。
エ 原告は、平成2年2月28頃、株式会社Hストーアと共同で、bの土地及びその隣地を敷地として、地下1階付き8階建てのピルを建築し、同ピルについて、別紙物件目録2記載2ないし5の各建物の区分所有権及び別紙物件闘録3載1及び2の各建物に係る共有持分権を、それぞれ有することとなった(以下、当該ビルにおいて原告が区分所有又は共有持分権を有する建物を総称して、「b のビル専有部分」という。)。

 

bのビル専有部分については、現在に至るまで賃貸されている。

 

 

 

 

 

 

(3) 原告の借入れ及び被告の連帯保証等(甲19、28、29)

 

ア 原告は、平成27年12月17目、I信用金庫(以下「I信金」という。)からは1200万円を借り入れ、A及び被告は、同日、当該借入れにつき連帯保証人となった。また、当該借入責務を担保するため、同日、I信金を根抵当権者として、本件各不動産を共同担保とする極度額5000万円の根低当権が設定された。

イ 原告は、平成28年4月、I信金から2850万円を借り入れ、被告は、当該借入れにつき連帯保証人となった。
ウ 原告は、平成28年4月I信金か475万2000円を借り入れ、被告は 、当該借入れにつき連帯保証人となった。

 

 

 

 

 

 

(4) 本件信託契約の締結等(甲1ないし9、12、乙19)

ア 原告及び被告は、平成28年11月16日、公正証書を作成して、原告を委託者兼受益者、被告を受託者とし、本件各不動産を信託財産とする信託契約(本件信託契約)を締結した。
イ 本件信託契約には、要旨、次の約定がある(以下、同契約に基づく信託を「本件信託」という。)。

(ア) 第1条 委託者Xは、受託者Yに対し、次条記載の信託の目的達成のため、次の財産(次の第l号及び第2号の土地上に本契約後新たに建築した建物を合む。)を信託財産として管理処分することを信託し、受託者Yは、これを引き受けた〔後略。本件各不動産が列挙されている。〕。

(イ) 第2条 本件信託は、前条の不動産を本件信託財産として管理及び処分(建物の建築を合む。)を行い、受益者の生活・介護・療養・借入金返済・納税等に必要な資金を給付して受益者の幸福な生活及び福祉を確保すること並びに資産の適正な管理・運用・保全・活用を通じて資産の円満な承継を実現することを目的として信託するものである。

(ウ)第8粂 本件信託は次の事由によって終了する。
1 委託者兼受益者であるXが死亡したとき。
2 本件信託財産が消滅したとき。

(エ)第9条第1項 受託者は、本件信託財産の管理運営及び建物の建築を行い、これを第三者に賃貸して、また受託者が相当と認めるときは、委託者の同意を得た上で信託不動産を換価処分して、売却代金及び同不動産から生ずる賃料その他の収益をもって、公租公課、保険料、管理費及び修繕積立金、敷金保証金等の預り金の返還金、管理委託手数料、登記費用、不動産売却・購入・交換・建設に要する費用、借入金の返済金その也の本件信託に関して生ずる一切の必要経費等を支払う。

(オ} 第9 条第2項
受託者は、受益者又はその成年後見人等の要望に応じ、受益者の生活・介護・療養・納税等に必要な費用を前項の収益から受益者に随時給付し、また、受益者の医療費、施設利用費等を銀行振込等の方法で支払う。

(カ)第11条 受益者は、受託者との合意により、本件信託の内容を変更し、若しくは本件信託を一部解除し、又は本件信託を終了することができる。

(キ) 第12条第1項本件信託の管理に必要な事項は、次のとおりとする。
1ないし4 略
5 受託者は、信託の目的に照らして相当と認めるときは、委託者の同意を得た上で、本件信託財産を換価処分し、また信託財産となる土地・建物の購入・交換をすることができるのものとし、不動産を購入・交換した場合は、速やかに所有権移転登記及び信託萩記を行うものとする。

6ないし10略
(ク)第12条第2項 この契約条項にない事項は、信託法その他の法令に従うもとのする。
(ケ)第15条 本件信託終了後、残余の信託財産については、受託者に帰属させる。

ウ 原告は、被告に対し、本件信託契約に基づき、平成29年 2月21日、別紙物件目録1記載の各動産につき、所有機移転及び信託登記手続をし、同月27日、 別紙物件目録2記載の各不動産につき、所有権移転及ぴ信託登記手続をするとともに、別紙物件目録3記載の各不動産につき、持分全部移転及び信託登記手続をした。

 

 

 

 

 

(5)本件訴訟経過等(甲13、14、記録上明らかな事実)
ア 原告は、平成29年5月17日、被告に対し、本件信託契約を詐欺により取り消すとの意思表示をした。
イ 原告は、平成29年7月26日、本件訴えを提起した。
ウ 原告は、本件訴状により、本件信託契約を被告の債務不履行により解除するとの意思表示をし、本件訴状は、平成29年8月9日被告に送達された。

エ 原告は、平成29年10月13日の本件第1回弁論準備手続期日において、被告に対し、委託者兼受益者として、信託法164条1項により、本件信託契約を終了させるとの意思表示をした。

 

2 争 点

本件の争点は、1本件信託契約の締結が詐欺によるものか否か(主位的請求関係)2本件信託契約が錯誤無効となるか否か(主位的請求関係)、3本件信託契約に債務不履行解除の事由があるか否か(予備的請求関係)、4本件信託契約に終了事由があるか否か(予備的請求関係)である。

 

 

 

 

3 争点1(本件信託契約の締結が詐欺によるのか否か〔主位的請求関係〕)に関する当事者の主張

 

原告の主張の要旨
ア 原告は、平成26年10月頃、cの隣地が売りに出されていることを知り、自己の所す有るcの土地と合わせて敷地とした上、建物を新築し、自宅兼賃貸物件として有効活用する計両(以下「c新築計画」という。)を立てた。
そこで、原告は、I信金から、cの土地を購入するための資金として、平成27年12月に1200万円の融資を受け、次いで同土地上の借地権付き建物を購入する資金として、平成28年4月に2850万円の追加融資を受けた。平成27年12月の融資の際、原告は、本件各不動産を共同担保として、極度額5000万円の根抵当権を設定した。また、被告は、これらの融資に係る借入れの連帯保証人となった。

 

 

 

 

 

その後、原告は、同年11月にI信金から475万円の追加融資を受け、平成29年1月25日、株式会社Mとの間で代金7884万円の工事請負契約を締結し、同月26日、a区との間で一時使用賃貸借契約を締結して、A及びDと共に仮住いに転居し、同年3月4日までに、cの土地及びcの隣地を更地とした。

 

 

 

 

 

イ原告は、前記自宅兼賃貸物件の建築資金を調達するため、上記根抵当権の極度額を1億7000万円に引き上げるとともに、I信金から1億0500万円の追加融資を受けることを考えており、被告も、原告の考えを理解して、当該追加融資の際には、借入れの連帯保証人となることを了承していた。

 

 

 

 

 

ウ ところで、原告は、長男のBが若い頃に統合失調症に罹患して、ほとんど拗かない中、その妻であるDが、平成26年にBが死亡するまで同人の面倒を見ながら、非定型精神病で入退院を繰り返すAの面倒も見てきており、かつ、Dが、原告の経営するラーメン店の仕事をほとんど一人で行って、更にBの死亡後も、原告及びAと同居し、その世話をしていることを踏まえ、Dの長年の労苦に報いるため、同人を養子として原告の財産を相殺させる考えであった。
しかし、被告は、兄のBの死亡後は、原告夫婦の唯一の相統人として、その財産を全て相続できると思っていたため、Dが原告らの養子となることに対し、大いに不満であった。

 

 

 

被告は、平成27年12月31日、原告の当時の住居を訪れた際、Dから原告夫婦
との養子縁組の話を聞いて激高し、Dに対し激しい暴行を加え、原告宅のガラス戸を破壊するなどしたため、逮捕・勾留された。

 

 

 

 

工 原告夫婦は、平成27年12月2日、姪のC(膠原病に罹患しており、病弱で、跡継ぎがいなかった。)と養子縁組をし、平成28年1月5日、Dと養子縁組をした。
被告は、原告夫婦がDと養子緑組をしたことを知り、原告の財産を独り占めするため、原告が知識を有しない信託を利用することを考えた。

 

 

 

 

オ 被告は、原告に対し、I信企が、原告が高齢なので信託をしないと融資できないと言っている旨の虚偽の事実を告げて原告を欺き、被告と信託契約を締結しなければ、前記自宅兼賃貸物件の建築資金の融資が下りず、c新築計画を実現できないと誤信させるとともに、本件信託によって、原告の死後は本件各不動産が全て被告のものとなって、DやCが相続から排除されることになるばかりか、原告の存命中も、bのビル専有部分の賃料収入を被告が管理し、原告が本件各不動産を処分するには被告との合意が必要であるという内谷を告げず、原告を欺き、被告と信託契約を締結しでも、本件各不動産の使用、処分につき上記の制約等が生じることはないと誤信させて、平成28年11月l6日、公正証書により原告に本件信託契約を締結させた(以下、この公正証書を「本件公正証書」という。)。

 

 

 

 

カ 原告は、本件公正証書の作成の際、事前の打ち合わせのないまま、作成日当日、被告と共に公証役場を訪れ、公証人から本件信託契約の条文を読み上げられることもなかったため、その内容を理解していなかったが、求められるままに本件公正証書に署名、押印した。

原告は、被告がDに対する暴力事件を起こした後、謝罪文を提出するなどして、謙虚な態度を示したことから、改心したものと思い、被告のことをすっかり信用してしまっていたのである。

 

 

 

 

 

(2) 被告の主張の要旨
ア 本件信託契約につき詐欺が成立するとの原告の主張は争う。

 

 

 

 

 

イ(ア)被告は、原告夫婦がDらと養子縁組を行ったことを告げられないまま、平成27年12月の融資、平成28年4月の追加融資及び同年11月の追加融資につき、原告の債務を連帯保証しており、将来において原告がI信金からl億0500万円の追加融資を受ける際は、同様に原告の債務を連帯保証する予定であった。

 

 

 

(イ) ところが、cの土地及びCの隣地上に新築する建物について、その一部に被告が居住する案が取りやめになる一方で、同建物の利用方法に関しDの声が大きくなっていった。

また、被告は、Dと飲酒した際、暴行・器物損壊に間擬される事件を起こしたが、泥酔していたため記憶がなかった。被告が原告とDとの養子縁組を知ったのは、平成28年10月19日であった。

 

(ウ)そこで、被告は、自己とA以外に原告の相続人が生ずると、相続が混乱し、被告が連帯保証人となっている原告の借入債務についても弁済に不安が生じると考え、その旨を原告に告げた上、家族信託という方法によってこの問題を解決できることを、家族信託に関する書面を示して説明し、原告の快諾を得た。

 

 

 

 

 

 

ウ 被告が、 原告に対し、I信金が、原告が高齢なので信託をしないと融資できないと言っている旨の虚偽の事実を告げたことはないし、被告は、原告に対し、本件信託の法的効果を説明して、原告の理解を得た。
また、本件信託契約上、原告の存命中は、被告が原作のために無償で財産を管理し、収益を原告に交付するのであって、被告が自身の利益を図ることはできないし、原告の死後は、原告の唯一の実子である被告が、資産と負債を引き継いで賃貸経営を継続するのであるから、本件信託の内容に何ら問題はない。

 

 

 

 

 

4 争点 2 (本件信託契約が錯誤無効となるか否か〔主位的請求関係〕)に関する当事者の主張

(1)原告の主張の要旨
ア仮に、被告による前記3(1)オの行為が、詐欺に当たらないとしても、原告、はI信金から融資を受けるために本件信託が必要でないと認識するか、被告と信託契約を締結すれば本件各不動産の使用、処分につき前記3(1)オの制約等が生じることを認識していれば、本件信託契約を締結しなかったから、本件信託契約の要素に錯誤がある。
イ この点に関し、I信金から融資を受けるために本件信託が必要であることが、本件信託の動機にすぎないとしても、その動機は表示されているものと解される。すなわち、本件信託契約l粂では、cの土地及びcの隣地上に「本契約後新たに建築した建物」を信託財産の対象としている一方で、契約当時に現存していた両土地の建物をその対象としておらず、このことによって、c新築計画が表示されたといえる。

 

 

 

 

 

(2) 被告の主張の要旨
前記3(2)イ及びウのとおり、本件信託契約の締結に当たり、被告が原告に虚偽の事実を述べたことはないし、原告において、本件信託の法的効果も理解していたのであるから、本件信託契約につき原告に要素の錯誤は認められない。

 

 

5 争点3 (本件信託契約に債務不厩解行除の事由があるか否か〔主位的請求関係〕)に関する当者の主張
(1) 原告の主張の要旨
本件信託契約は、c新築計画の推進を目的とすところ被告は同計画の推進を拒絶しており、同契約に係る債務不履行がある。
また、本件信託契約は、c新築計画のために、被告が、I信金による建築資金の融資につき借入れの連帯保証人となることの合意と一体の関係にあるところ、被告は、本件信託契約の締結後、上記融資につき借入れの連帯保証人となることを拒んでいるから、このことも、本件信託契約の解除事由に当たる。

 

 

 

 

 

 

(2)被告の主張の要旨
本信託契約の目的がC新築計画の推進を目的とするとの主張は否認する。同契約の目的は、N家の資産の管理承継にある。

また、被告が原告の追加融資につき連帯保証人なることを拒むことが、本件信託契約の解除事由に当たるとの主張は争う。被告は、両契約の不可分一体性を何ら主張立証していな。

 

 

 

 

 

6 争点4(本件信託契約に終了事由があるかか〔予備的請求関係〕)に関する当事者の主張
(l)原告の主張の要旨
ア信託法163条1号に基づく終了について
(ア)前記5(1)の事由は、仮に被告の債務不履行に当たらないとしても、本件信託契約の目的達成を不可能ならしめるもので、本件信託は、信託法163粂l号に基づき終了している。
この点に関し、被告は、原告に送付した被告代理人作成に係る平成29年6月28付け「ご連絡」と題する書面(以下「本件連絡書面」という。)において、本件信託が目的達成不能により終了しているこを自認していた。

(イ)本件信託契約15条は、同契約8条の信託終了事由を踏まえて、原告の死亡によって本件信託が終了した場合に、残余の財産が被告に帰属する旨を規定 しているにすぎず、原告の生存中に信託を託終了させる場合には適用されないと解される。なぜなら、本件信託は「遺言代用信託」であって、実質的に原告が死亡した場合に遺産を被告に承継させるという遺言の役目を果たすものであるところ、原告の生存中に信託が終了した場合は、受託者である被告において原告の財産を取得する理由を欠くことになるからである。

イ 信託法164粂1項に基づく終了について
(ア) 信託法161粂l 項は、委託者及び受益者が、いつでもその合意により信託を終了することができる旨を規定しているから、本件信託の委託者兼受益者である原告は、任意の時期に本件信託を終了させることができる。

この点に関し、被告は、原告に送付した本件連絡書面において、本件信託が信託法164条l項に基づき終了していることを自認していた。
仮に、伝託法164条 l 項に基づく信託の終了に受託者との合意が必要であるとしても、本件信託の受託者である被告は、上記のとおり信託の終了を自認したことによって、信託の終了に合意した。

(イ) 信託終了の法的効果につき前記ア(イ)に同じ。

 

 

 

 

 

 

(2)被告の主張の要旨
ア 信託法163粂1 号に基づく終了について
(ア)前記5(2)のとおり、本件信託契約の目的に関する原告の主張は否認する。同契約の目的が達成不能になったということはできない。
(イ)仮に、本件信託が終了しているとしても、本件信託契約15条により信託財産は被告に帰属するから、本件各不動産につき原告は被告に対する登記手続請求権を有しない。この点に関し、本件信託契約15条が、同契約8条の信託終了事由に対してのみ適用されると解すべき理由はない。

イ 信託法164条l項に基づく終了について
(ア) 信託法164条3項は、信託行為に同条1項の規定と異なる別段の定めがあるときは、その別段の定めが優先する旨を規定しているところ、本件信託契約11条は、上記別段の定めとして、本件信託の終了には、受益者(原告)と受託者(被告)との合意を要するものとしているから、原告の意思のみによって、本件信託を終了させることはできない。

(イ) 信託終了の法的効果につき上記ア(イ)に同じ。

 

 

 

 

 

第 3 当裁判所の判断

 

 

 

 

1 認定事実
(1) 被告は、平成28年夏頃、司法書士法人jの事務所を訪れ、同法人代表の司法書士E(以下「E司法書上」という。)から、同人作成に係る「民事信託・家族信託の説明書」と題する書面(以下「家族信託等説明書」という。)を交付されるとともに、家族信託に関する説明を受け、更に同年8月頃、再び同所でE司法書士と面談して、同人作成に係る「民事信託・家自主信託のご提案」と題する書面(以下「家族信託等提案書」という。)を交付されたが、E司法書士に家族信託の手続を委任すると、285万5000円の費用がかかるとの見積りを示されたことから、高額な費用の支出を避けるため、自ら信託の手続をわうことにした(乙1 、2 、9 、28)。

 

 

 

 

(2) 被告は、家族信託等提案書の一部をコピーして、I信金d支店のLに交付し、原告が被告に対し家族信託を行うことについて説明したところ、特段の異議は出なかった(甲30、乙2、10、28)。

 

 

 

 

(3) 被告は、インターネットを通じて公証役場の場所を調べ、平成28年8月及び同年9月14日、a公証役場を訪れて、東京法務局所属の公証人F(以下「公証人F」という。)に対し、信託契約書の作成について相談した。

この相談の過程で、公証人Fは、死因贈与契約と任意後見契約を組み合わせる方法もある旨を説明して、その際の必要書類に関する手書きのメモを被告に交付するとともに、信託契約書のひな形を示して信託契約の条項に関する概略を説明しつつ、信託手続に必要な書類に関する手書きのメモを被告に交付した。〔乙11、12、19、28、証人F〔調書9ないし11頁〕、被告本人〔調書10頁〕〕

 

 

 

 

(4) 被告は、平成28年10月2日、〈コンビニエンスストア名略>d駅南店のイートインスペースにおいて、原告に対し、家族信託説明書及び家族信 等提案書を示して、信託を行った場合、原告所有の本件各不動産について、所有名義は受託者である被告に移転するが、不動産の賃料等は従前どおり原告が受け取ること、及び原告の死後、本件各不動産は被告の所有となることを説明した(乙13、14、28)。

 

 

 

 

(5)原告及び被告は、平成28年11月9目、a公証役場を訪れ、公証人Fと信託契約書の作成に関する打合せをした。その際、公証人Fは、本件信託契約に係る公正証書の草稿を印刷した書面を原告及び被告に示し、その要点の説明を行った。〔乙18、28、証人F〔調書15、16、20、22頁〕、被告本人〔調書28頁〕

 

 

 

 

(6)原告及び被告は、平成28年11月16日、I信金d支店を訪れ、手形貸付やその連帯保証に関する手続を済ませた後、いったん解散して再びa公証役場の近くで落ち合い、同公証役場を訪れ、その際、公証人Fから本件信託契約の各条文につき読み聞かされ、各自各条文を閲覧した上、公証人F作成に係る本件公正証書に署名、押印して、本件信託契約を締結した(前提事実(4)ア、乙17、19、28、証人F〔調書2、8、20、21頁〕、被告本人〔調査12頁〕。

 

 

 

 

(7)前記(6)の際、本件公正証書の正本の交付を受けたのは、被告のみであったところ、被告は、平成28年11月下旬ないし同年12月上旬頃、I信金d支店を訪れ、前記Lに対し、本件信託契約を締結した旨を報告した。この際、前記Lは、本件公正証書のコピーをとった。〔甲12、36、乙28、原告本人〔調書15頁〕〕

 

 

 

 

 

2 事実認定の補足説明
前記1の認定事実について、その認定に至った理由を補足して説明しておく。
(1)ア 公証人Fは、その立場上、被告のためにあえて虚偽の証言をする理由がない上、証言の際、記憶にない点は素直にそのように述べ、反対尋問を受けても動揺しておらず、証言内容にも不自然不合理な点は特段見当たらないのであるから、同人の証言は信用できる。
イ 被告の本人尋問における供述は、公証人Fの証言と符合し、他の客観証拠とも整合するものである上、被告は、自己の陳述書(乙28)に記載のない、平成28年11月9日に原告と共にa公証役場を訪れた際における、両名の待ち合わせの状況につき淀みなく答え(被告本人〔調書30、31頁〕)、本件信件託契約の粂文において、委託者である原告の同意なく本件各不動産の換価処分ができない旨が明示されている(前提事実(4)イ(エ)、(キ)理由を説明し(被告本人 調書32負〕)、記憶にない点は素直にそのように述べているのであって、被告の本人問尋おける供述は信用できる。同供述に沿う被告の陳述書の記載も同様である。

 

 

 

 

 

 

(2)アこれに対し、原告は、本件公正証書の作成経緯について、その作成前、被告から、原告が高齢なので信託をしないと融資できいとI信金が述べている旨の虚偽の説明を受けた上、同証書の作成に関し事前の打合せがないまま、作成日当日、公証人から本件信託契約の条文を読み上げられることなく、本件公正証書への署名、押印を求められた旨を本人尋問において供述し、これに沿う同人の陳述書(甲36)の記載もある。

 

 

 

 

イ しかし原告の前記供述は、信用できる公証人Fの証言と大きく食い違っている上、①原告が、本件信託を原因とする本件各不動産に係る所有権移転(持分令部移転)及び信託笠記手続について、平成29年2月に至って、自ら印鑑登録証明書及び住民票写しを取得して、司法書士Gに当該各登記手続を委任した(乙4の1ないし18、原告本人〔調書28頁〕)理的や、②本件公正証書の原案において、嘱託人当事者双方の請求により正本各l通を交付した旨の記載になっていたところ、本件公正証書において、正本1通を同人に交付した旨の記載に変更された(乙18、19)理由について、合理的な説明をなし得ていない。

 

 

 

 

 

 

また、原告は、亡長男の奏であり、自己の養子でもあるDと同居しており(前提事実(1)ウ、オ、原告本人〔調書7頁〕)、Dのために本件信託契約の成立に対し存定的な供述をする動機を有しているというべきであるし、本件信託を行わなければI信金が融資をしない旨の説明を被告から受けたとする点も、当該説明から本件公正証書の作成までに期間が空いていることからすると、被告において、原告がI信金の担当者に尋ねれば容易に真偽が判明する事項につき虚偽の事情を述べる理由に乏しいから、不自然であるといわざるを得ない。

 

 

 

 

さらに、原告は、「信託というのは、銀行の借金を私が亡き後スムーズに息子に引き継ぐことだと思っています。」(原告本人〔調書10頁〕)と述べたことを受けて、被告が承継した債務をどのように返済していくことになるのかを尋ねられた際、「賃貸の賃料で払っていくということです。」(原告本人〔調査18頁〕)と答えており、被告が賃貸不動産を承継することを前提とする供述をしていたのに、本件信託において財産を被告に引き継ぐつもりであったかを問われるや、「財産は渡すということが頭になかったです。」(原告本人〔調書27頁〕)と述べており、原告の供述は、重要部分において合理的な理由なく変遷している。

 

 

 

 

 

(3)以上をまとめると、公証人Fの証言、被告本人の供述及び被告の陳述書の記載は採用することができるが、原告本人の供述は採用することができない。そこで、前記1のとおり事実を認定した。

3 争点1 (本件信託契約の締結が詐欺によるものか否か〔主位的請求関係〕)について
前記1の認定事実のとおり、本件信託契約の締結前、被告が、原告に対し、原告が高齢であるので信託をしないと融資できないとI信金が述べてる旨を告げたとの事実は認められない。

 

 

また、前記1の認定事実(4)ないし(6)のとおり、原告は、本件各不動産に係る信託の内容につき繰り返し説明を受けたもので、80歳をすいた高齢者とはいえ、その判断能力が低下した様子もみられないから、原告において、本件信託によって、本件各不動産につき自己の所有権ないし共有持分権を自由に行使できなくなるなどの法的効果が生じることを認識していなかったと認めることはできない。

 

そうすると、本件信託契約の締結が詐欺によるものであるという原告の主張は前提を欠いており、採用することができない。

4 争点2(本件信託契約が錯誤無効となるか否か〔主位的請求関係〕)について
(1) 前記3で判示したとおり、原告において、本件信託によって、本件各不動産につき、自己の所有権ないし共有持分権を自由に行使できなくなるなどの法的効果が生じることを認識していなかったと認めることはできないから、この点に関する原告の錯誤無効の主張は、前提を欠く。

 

 

 

 

 

 

( 2)また、原告は、本件信託契約の締結の際、本件信託がc新築計画を推進するものであると誤信していた旨を主張するが、当該事情は、原告の動機に当たる。
意思表示における動機の錯誤が法律行為の要素に錯誤があるものとしてその無効を来すためには、当該動機が相手方に表示され、かつ当事者の意思解釈上、それが法律行為の内容とされたものと認められることを要すると解される(最高裁平成26年(受)第1351号同28年l月12日第三小法廷判決・民集70巻l号1頁)。しかるに、本件信託契約2条に本件信託の目的として規定されている内容(前提事実(4)イ(イ))は、抽象的なものにとどまり、他の規定をみてもc新築計画の具体的な内容に言及するものはない(甲12、乙16)から、C新築計画の推進という原告の動機が、本件信託契約の内容とされたとは認められない。

(2) 以上のとおり、本件信託契約が錯誤無効となるという原告の主張は、採用することができない。

 

 

 

 

 

 

 

5 争点3 (本件信託契約に債務不履行解除の事由があるか否か〔主位的請求関係〕)について
(1)前記4で判示したとおり、c新築計両の推進という原告の動機が、本件信託契約の内容とされたとは認められず、同計画の推進が本件信託契約の目的となっているとはいえないから、C新築計画の推進を拒絶する被告につき債務不履行となるという原告の主張は、前提を欠く。

 

 

2 また、同一当事者間の債権債務関係がその形式は甲契約及び乙契約といった二個以上の契約から成る場合であっても、それらの目的とするところが、相互に密接に関連付けられていて、社会通念上、甲契約又は乙契約のいずれかが履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合には、甲契約上の債務の不履行を理由にその債権者が法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することができると解される(最高裁平成8年(オ)第1056号同年11月12月第3小法廷判決・民集50巻10号・2673頁)
しかるに、上記(1)のとおりc新築計画の推進が契約の目的となっているとはいえない本件信託契約が、I信金による建築資金の融資につき被告が借り入れの連帯保証人になるという本件当事者間の合意と、その目的において相互に密接に関連付けられているということはできない。
したがって、被告において、被告が借入れの連帯保証人になることを内容とする上記合意の履行を拒んだからといって、それが本件信託契約の解除事由に当たるとはいえない。

 

 

 

 

 

3 以上のとおり、本件信託契約に債務不履行解除の事由があるという原告の主張は採用することができない。

6争点4(本件信託契約に終了事由があるか〔予備的請求関係〕)について
(1) 信託法163粂l号に基づく終了に関する検討
ア 時機に後れた攻撃方法となるか否かについて
被告は、本件信託契約が信託法163条l号に基づき終了した旨の原告の主張について、時機に後れた攻撃方法であって、却下されるべきものである旨を主張する。

 

 

 

 

しかしながら、上記終了事由は、人証調べ前である平成30年4月27日の本件第5回弁論準備手続期日において陳述された、原告の同日20日付け準備書面(4)において、既に主張されていたものと解する余地があり、現に被告は、同年8月13日付け被告準備書面(4)8頁以下において、「念のために指摘をしておく」として、当該終了事由につき反論しているし、当該終了事由の存否を判断するために新たな証拠調べを要したわけでもないから、原告の上記主張にいて、民訴法157条1項を適用して却下することが相当とは解されない。

 

イ そこで上記終了事由につき検討するに、前記5で判示したとおり、本件信託契約において、C新築計画の推進が契約の目的となっているとはいえないし、本件信託契約が、I信金による建築資金の融資につき被告が借入れの連帯保証人になるという本件当事者間の合意と、その目的において相互に密接に関連付けられているともいえない。
更に本件信託契約2条に規定されている内容(前提事実(4)イ(イ))も考慮すれば、本件信託について、その目的を達成することが出来なくなった(信託法163条1号)との事情は認められない。

 

 

この点に関し、原告は、被告が、本件連絡書面において、本件信託の目的を達成すこるとができなくなったことを自認していた旨を主張するが、信託目的達成の可否は、客観的に判断されるべきもので、本件当事者間における本件訴え提起前の交渉の際、被告代理人がどのように考えていたかという主観的事情に左右されるものではないから、原告の上 記主張は採用することができない。

 

 

 

 

(2) 信託法1641項に基づく終了に関する検討
信託法161条l項は、「委託者及び受益者は、いつでも、その合意により、信託を終了すことるができる。」と定めており、本件信託において、委託者及び受益者はいずれも原告であるから,本件信託に当該規定が適用されるならば、原告は、任意の時期にこれを終了させることができることになる。

 

 

 

 

 

イ しかし、信託法164条3項は、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによるとして、同条1項が任意規定である旨を明らかにしている。
本件信託契約11条は、「受益者は、受託者の合意により、本件信託の内容を変更し、若しくは本件信託を一部解除し、又は本件信託を終了することができる。」(前提事実(4))イ(カ))との規定であるところ、仮に、本件信託の受益者である原告が、任意の時期にこれを終了させることが出来るのだとすれば、本件信託の受託者である被告との合意によって本件信託を終了することができるとの上記規定は、無意味なものとなるから、本件信託契約11条は、信託法163条3項にいう信託行為における「別段の定め」であって、本件信託において、同法164条1項に優先して適用される規定であるというべきである。

 

 

 

 

ウ 原告は、本件信託において、本件信託契約11条の規定が適用され、信託法164条1項の規定が適用されないこととなるとしても、被告が、本件連絡書面において、本件信託の終了を自認したことにより、本件信託は、本件当事者聞の合意により終了した旨を主張する。

 

 

そこで検討するに、本件連絡書面には、「また、本件信託は目的達成不能により終了しているか、X氏からの内容証明郵便による抹消登記請求は委託者受益者合意による信託終了の意思表示と解することができるから、本件信託は終了していると考えています。」との記載があることが認められる(甲37)

 

 

 

前記(l)で判事したとおり、本件信託は、客観的にみて目的達成不能により終了したとはいえない上、上記イで判示したとおり、本件信託につき信託法164条l項は適用されず、委託者兼受益者である原告が任意の時期にこれを終了させることができないものである。本件連絡書面に係る前記記載のうち、本件信託が終了していると考えているとする点は、被告代理人の主観的詳細を述べたものにすぎず、前記のとおり、その評価の前提を欠くこととなる。そして、本件連絡書面に係る前記記載中のその余の点において、被告が本件信託を終了させる旨の意思を表示したと解することもできない。

 

 

 

 

そうすると、本件連絡書面が原告に送付されたことをもって、本件信託契約11条に基づく本件信託を終了させる旨の合意があったと認めることはできず、原告の前記主張は、採用することができない。

 

 

 

 

3 以上のとおり、本件信託契約について、信託法163条l号に基づく終了事由及び同法164条l項に基づく終了事由はいずれも認められず、同契約11条に基づく終了事由もこれを認めることはできない。

 

 

 

 

 

6 結論
よって、原告の請求は、主位的請求及び予備的請求のいずれも理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

裁判官下和弘

 

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[別紙]物件目録2 <略>
[別紙]物件目録3 <略>