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信託の終了
2018年02月21日

 

民事信託契約書のうち、信託の終了を取り上げる。

 

1     信託の終了

 

1―1   条項例

 

チェック方式

(信託の終了)

1 本信託は、次の各号のいずれかの事由が生じた場合に終了する。

□(1)信託の目的に従って受益者と受託者の合意があったとき[1]

□(2)信託財産責任負担債務につき、期限の利益を喪失したとき。

□(3)受益者と受託者が、○○県弁護士会の裁判外紛争解決機関を利用したにも関わらず、和解不成立となったとき。ただし、当事者に法定代理人、保佐人、補助人または任意後見人がある場合で、その者が話し合いのあっせんに応じなかった場合を除く[2]

□(4)受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したとき。

□(5)受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年間継続したとき。

□(6)信託財産が無くなったとき。

□(7)その他信託法で定める事由が生じたとき。

□【(氏名)の死亡・                 

□2 本信託において、信託法164条1項は適用しない[3]

 

1―2   解説

 

1項は、信託が終了し清算手続きに入る要件を規定する[4]。1号は信託法164条3項の定めであるが、信託法163条1項1号前段を準用し、受益者と受託者の合意によって終了を明確にする。2号は改正民法541条、542条を参考にしている。

信託の終了に関するリスクとして、(1)信託法、信託行為の定めにない方法による終了、(2)終了により、信託財産を引き渡すことができない、(3)信託債権者が貸金を誰に請求すれば良いか分からない、(4)信託債権者からの信託財産差押え、(5)受益者(受益債権者)からの信託財産差押え、(6)残余財産の受益者、残余財産の帰属権利者からの信託財産の引き渡し請求(7)受益者の相続人からの遺留分請求(8)清算受託者が決まらない、決まっても仕事をしない。亡くなった後、後任を決める定めがない、などを挙げる。

 

信託財産責任負担債務について期限の利益を喪失した場合、信託債権者が債権回収のために採り得る主な方法は次のとおりとなる。

 

また、受益権に質権を設定している場合には、別途債権回収の手段がある。

2項は、信託法164条の但し書を利用している。委託者兼受益者の場合に1人でいつでも信託の終了をなし得ることから、信託の安定を図るための定めである。

 

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[1] 信託法164条3項。

[2] 信託法163条1項9号、166条、信託業法85条の7。

[3] 信託法164条1項但し書。

[4] 信託の併合及び信託財産の破産手続を除く(信託法175条)。