ポリー
「ご主人がアパートを持っていて、土地を3つに分けたあと、娘3名に一つずつあげようかっていう話をしていました。」
すみれ
「子ども想いだね。」
番人
「いいご主人だね。3つの土地も大事にされるよ。3人で共有にすると、あとでややこしくなるかもしれないから考えてくれたんだろうな。もし大規模な修繕が必要な場合や、売ることになった場合、3人の意見が一致しないといけないし、孫、曾孫と続いていくと共有者もたくさん増えるかもしれないしさ。
俺も娘のために呉屋ストアーでチキンを買ってくるよ。」
すみれ
「番人さよなら。気をつけて。」
番人
「おー、そうだそうだ。忘れてた。一つ、他の方法もあるよ。その前にちょっとバニラアイスをたべようか。よいしょ。よいしょ。」
すみれ
「いいの?ありがと。」
ポリー
「番人さん。ありがとうございます。」
番人
「気にするなよ。おかわりもあるよ。いや、ないな。
土地を信託して、管理できる1人の娘さんに名義変更するんだ。ご主人が亡くなった後は、3人の娘さん全員に賃料をもらう権利をそれぞれ移動させる。」
すみれ
「何が違うの?」
番人
「まず、土地を分筆しない。他に、所有権の共有を防ぐ。ご主人が認知症などになったとしても、名義人の1人が管理・修繕する。3名の意見が一致したら、売却することもできる。」
すみれ
「うーん。」
ポリー
「うーん。なかなか。」
番人
「まぁ、アイスも食べたし、帰ろうか。
牛飼いが歌よむ時に世の中の新しき歌大いにおこる(伊藤 左千夫)ってね。」
参考:
「逐条解説 新しい信託法」 2007 寺本 昌広 (株)商事法務
「信託 実務のための法務と税務」
2008 税理士法人山田&パートナーズ
「増補 新しい家族信託」 2013 遠藤 英嗣 日本加除出版(株)
「民事信託超入門」 2014 河合保弘 日本加除出版(株)
「相続対策で信託・一般社団法人を使いこなす」
2014 宮田 房枝 (株)中央経済社