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民事信託・家族信託における遺留分に関する整理
2017年07月24日

 

 

1、遺言代用信託・後継ぎ遺贈受益者連続型信託における遺留分の考え方

(1)遺留分を侵害する「行為」に焦点を当てる[1][2]

この場合、遺留分を侵害する「行為」は、当初の受益者の死亡のとき1回のみとなる。受益権は、受益者の死亡を始期とした始期付き権利と考える。

遺留分侵害行為は、委託者(被相続人)から受託者に、信託財産の所有権が形式的に移転した行為。

 

(2)信託法は民法の特別法であるから、遺留分請求権は発生しない[3]

信託法は、民法の特別法であり民法に優先するので受益権の移動(移転)は相続ではない。相続ではないから遺留分は発生しない。

 

(3)委託者(被相続人)が信託行為により、受益者に対して受益権という信託財産の実質的な利益を与える行為が遺留分侵害行為である。

 

(4)受益権は存続期間の不確定な権利とし、新たな受益者はその権利を取得する[4]

存続期間の不確定な権利、というのがどのようなものなのか、現在のところよく分かりません。存続期間の不確定な受益権と考えると、遺留分の適用は委託者の死亡時1回のみと記載されていますが、なぜなのか分かりませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

2、遺留分減殺請求の順序

(1)遺言信託

遺贈と捉え、1番最初に請求される(民法1031条)。

 

(2)信託契約(遺言代用信託、後継ぎ遺贈型の受益者連続信託)

死因贈与と捉え、遺贈の次、生前贈与の前に請求される(民法1033条、東京高判平成12年3月8日)。

 

・備考

遺言により、遺留分減殺請求について順序指定、割合指定をすることが可能(民法第1034条)。

 

3、遺留分減殺請求の効果

(1)民法改正後

金銭債権が発生する、と改正された場合

・受益債権でも良いか。

・分割給付の受益債権でも良いか。

 

 

[1] 能見善久「財産承継的信託処分と遺留分減殺請求」トラスト未来フォーラム研究叢書『信託の理論的深化を求めて』2017 P121

[2] 伊庭潔『信託法からみた民事信託の実務と信託契約書例』2017 日本加除出版P288

[3] 他に生命保険との類似性も指摘する。河合保弘『家族信託活用マニュアル』2015日本法令 P50~

[4]平川忠雄ほか『民事信託実務ハンドブック』2016日本法令 P153