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親なき後に備えて 親なき後支援信託と老子とラヴェル
2015年10月19日

 

親なき後に備えて 親なき後支援信託と老子

 

60年先を想像しながら、1つの方法

 

障がいを持つ子供へ、一生困らないような準備をしておいてやりたい。

 

私が財産を管理することができなくなったとしても、生活費を一定額、継続的に給付出来るようにしたい。

 

ユキさん、60歳。夫、ホシさんは既に他界されていらっしゃいます。お子さんは2人で、障がいを持つノボルさんが20歳、マキさんは28歳。ユキさんは賃貸アパートをお持ちです。ユキさんの一家は、今のところ、ユキ、ノボル、マキです。ユキさんの親族は遠くにいらっしゃいます。家族3人、ずっと楽しく暮らしていた状況でした。

 

ユキさんは60歳です。今の60歳といいますのは、会社では定年なのですけれどもまだまだお元気。頑張ったらあと20年ぐらいは普通に社会人として元気に頑張っていけます。また、ユキさんは賃貸アパートも持っていらっしゃいますので、財力もありますから、自分はこの運命を享受して、自分が生きている限りは彼の面倒も自分で見ようと思っています。ユキさんの子供はノボルさんだけではなく、マキさんがいます。26歳で独身です。

 

 

そのうち嫁に行くだろうし、弟を抱えて、おんぶにだっこで面倒を見なければいけないという状況になると、彼女自身の残りの人生が非常につらい。まだ26歳で、あと人生が約60年もありますので、それだけ背負うことになるのはちょっと気の毒です。とにかく、自分でやれるところまでやってみようと思ったわけです。

 

ところが、不幸というものは重なり。ユキさんも、ある日、ちょっと体の調子が悪いということで病院へ行ってみたら、実はステージⅢのがんであると告知されてしまいました。そうなりますと、自分の人生があと20年ではなくて、急に向こう数年のカウントダウンの音が聞こえてくるわけです。

 

彼女は、残された子どもノボルさんにしても、またマキさんにしても、その将来がとても不安になるわけです。これから、自分は入退院を繰り返すような人生で、財産管理も難しいかもしれない。だけど、自分が亡くなった後もノボルは生きていくだろう。ノボルの生活は何としてでも守り抜きたい。自分の死後、ノボルは、恐らく自分で稼ぐ能力は余りないだろう。今ある財産は何かというと、自分の賃貸用不動産、その他預貯金などの財産ということです。

 

私がいなくなったら、ノボルはどうするのか。そうすると、やはりマキに面倒を見てもらうことになるでしょう。でも、マキはただ働きで、残りの人生60年間、ただただノボルと寄り添うというのもこれは酷です。ノボルが亡くなったら、財産は全部あなたにあげるよといっても、もらうときには80歳では、どうしようもない。もしかしたら、マキの方が先に死んでしまうかもしれない。だから、ホシさんとしては、ノボルの面倒をマキに見てもらいたいけれども、マキにもちゃんと財産を渡してあげたい。

 

老子 第七十八章【任信】

天下莫柔弱於水。而攻堅強者、莫之能勝。以其無以易之。弱之勝強、柔之勝剛、天下莫不知、莫能行。是以聖人云、受國之垢、是謂社稷主、受國不祥、是謂天下王。正言若反。

弱之勝強、柔之勝剛

すでに、

柔らかで弱いものは命だと言ったが、

まことに

水ほど柔らかで弱々しいものはないよ。

でもね、

ひとたび水が

固くて強いものを攻めるとなると

どんな岩でも崖でもしまいに

崩して、こなごなにしてしまう。

その点では、他の

どんなものも及ばない力を発揮する。

これで分かるように

弱いものが強いものに勝ち

柔らかいものが固いものに勝つんだ

 

このことは、

言われてみれば誰も頷くんだがね、

さて実行する人となると、まず

ごく少ない。

 

こんな柔らかな力のものは

ゆっくり広くゆきわたる-。

たとえば川が流れくだるようにね。

そして低く低くゆきながら

汚いものを受け入れて、

平然としている。こうなれば

その人がいかにすぐれた力の者か、

誰にも分かるはずだ。

 

こういう柔らかな力の者が

ひとつの国の惨めさや悲しみを

すっかり受け入れて

平然としていれば

その人こそ

国の本当のリーダーと言えるじゃないか。

全世界の王者と言ってもいい。

 

柔らかでしなやかで弱々しいものが

世界の王者だなんて言ったって、

世の中の人は、

変なことを言うとしか思うまい。

だがね、

本当の言葉というものは、しばしば

世論とは正反対を言うように響くのさ。

(「タオ-老師 加島祥造 2002 筑摩書房」)

 

 

家族信託を利用した場合

 

(1)ユキさんの賃貸アパート及び金銭の遺言代用信託

・ユキさんの賃貸アパートを、マキさんを受託者として信託する。

・賃料収入から経費を差し引いた残りを受益者に分配する。

・ユキさんの生前はユキさんを受益者とする。

・ユキさんの死亡後は、マキさんとノボルさんを受益者とする。

・信託は、ノボルさんの死亡により、マキさんに受益権がすべて移転して終了する。

 

ユキさん自身の財産である賃貸アパートについては、遺言代用信託というのを利用しました。というのは、遺言だったら死亡時スタートですけれども、ホシさんは病院の入退院を繰り返しますので、資産管理というのが、これから後の残りの人生で難しくなる可能性があるわけです。そこでどうするかというと、こちらもマキさんを受託者として信託する。マキさんがノボルさんの生涯にわたって生活資金を管理し支払う。賃料収入と経費を差し引いた残りを、受益者に分配する。ホシさんの生前は、ホシさんを受益者とする。ノボルの人生を守るのには、彼の生活に応じて必要な時に出るというようにして、おかしな支出をしないようにするためには、信託が使えるのではないか。ホシさんの死亡後は、マキさんとノボルさんを2番目の受益者とする。信託は、ノボルさんの死亡でマキさんに受益権がすべて移転し、終了するということです。

 

ノボルさんの将来に何が起こるかわからず、急にお金が必要になった場合で、それまでにもらったお金で足りないような部分があった場合は、信託財産からマキさんがノボルさんに渡すとしました。

 

ノボルさんより先にマキさんが死亡した場合に備えて、予備の受託者を親族から定めました。というのは、個人の方が受託者の場合につきましては、だれが先に死ぬかという死亡リスクはわかりません。普通は、ノボルさんには障がいがあり、マキさんは健常だから、ノボルさんの方がきっと先に死ぬだろうという前提で見そうですが、相続だけは予想と外れてしまうことがあります。ノボルさんとマキさんの2人きりになりますので、そういう場合に受託者はどうなるかということを考えます。マキさんが先に死んだ場合でも、それがいつ起こるかわからない。ノボルさんもマキさんもまだ20代で、それが来年なのか、20年後なのか、50年後なのかわからない。そこで予備の受託者を定めました。

 

このケースで信託を利用することのメリットですが、遺言代用信託により、またユキさんに相続が発生しても、煩雑な手続きなくノボルさんに資金を渡せるというのが、メリットとしてあります。

 

他に、ユキさん自身の任意後見契約、遺言などが考えられます。

 

 

ラヴェル「マ・メール・ロワ」ピティナHPよりー

 

おとぎ話に基づく5つの小品を集めたもので、ラヴェルが親しくしていたゴドフスキ夫妻の2人の子供のために書かれたピアノ連弾曲。
この組曲を書くにあたってラヴェルはシャルル・ペロー(1628-1703)、ドーニア伯爵夫人マリー・カトリーヌ(1650-1705)、マリー・ルプランス・ド・ボーモン(1711-1780)ら三人の作家の子供向けの物語を参照した。タイトルは、ペローの作品『マ・メール・ロワ(フランス語で、「マザーグース」の意味)のお話(1697)』から採られたものである。
子供向けに作曲されたため、技巧的にも親しみやすいものになっているが、ラヴェルならではの語法や個性が、洗練された形で生きている。
この曲は、ラヴェルによって管弦楽用に編曲され、さらに、「紡ぎ車の踊り」と「間奏曲」の二曲を加えてバレエ音楽にも改作された。

 

 

 

参考:

 

「逐条解説 新しい信託法」寺本昌弘(立法担当者)2007 商事法務P256

遺言代用の信託とは、・・・・・・・・・・親なき後の障害者などケアを要する者の扶養のための信託(例えば、障害者を持つ親が、自己の死後も子の福祉の保障を維持するために、自己の財産を信頼できる受託者に信託するというもの)等において活用される余地が広いものということができる。

 

国連障害者権利条約 2014年批准

第十二条 法律の前にひとしく認められる権利

5 締約国は、この条の規定に従うことを条件として、障害者が財産を所有し、又は相続し、自己の会計を管理し、及び銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用を利用する均等な機会を有することについての平等の権利を確保するための全ての適当かつ効果的な措置をとるものとし、障害者がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。

 

第165回第10号 平成18年11月14日衆議院法務委員会

「信託法案及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議」

政府及び関係者は、法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 

二 来るべき超高齢化社会をより暮らしやすい社会とするため、高齢者や障害者の生活を支援する福祉型の信託について、その担い手として弁護士、NPO等の参入の取扱い等を含め、幅広い観点から検討を行うこと。

 

第165回第6号 平成18年12月7日 参議院法務委員会

「法案及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議」

政府及び関係者は、法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 

二 高齢者や障害者の生活を支援する福祉型の信託については、特にきめ細やかな支援の必要性が指摘されていることにも留意しつつ、その担い手として弁護士、社会福祉法人等の参入の取扱いなどを含め、幅広い観点から検討を行うこと。

 

 

アジア太平洋障害者の権利を実現するためのインチョン戦略(2013ー2022)

 

  1. 以下の各項を保障するように最大限の努力をはかる。

(a) 障害に基づく差別を削減するために、権利を実現する支えとなる司法、行政その他の対策を採択、実施、検証、強化する。

 

(h) 障害者は、ほかの人と同等の選択権を有し、メインストリーム〔主流〕のコミュニティ生活の一員となる。その選択には、本人が望む場合には自立して生活する選択肢も含まれる。

 

 

 

台湾における障害者・高齢者支援の信託

台湾大学助教授 黄詩淳 2012 実践 成年後見41

 

(1)障害者支援の信託と立法経緯

―「財産管理の能力のない心身障害者の財産権を保護するため、国の所轄官庁は地方の所轄官庁とともに、心身障害者信託の業務開始を信託業者に推進することとする」―

 

 

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