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共有者間のたすきがけ自己信託
2017年05月29日

物権的自己信託

 

(『民事信託の理論と実務』2016  日本加徐出版 大垣尚司「自己信託―もうひとつの民事信託」P289~)

 

 

1、不動産の共有者が、共有物の分割請求(民法256条)を10年を超えて制限したい、共有物の使用方法について制限を設けたい(民法249条、252条など)、処分、変更について全員一致ではなく多数決を導入したい。

 

2、共有者が、それぞれ自己の持分について相手を受益者として同一内容の自己信託を設定する。

 

3、信託目的に反する持分の処分等ができなくなることから、ニーズに即した共有物の利用を図ることができる。

 

4、信託の内容は登記事項となるため、共有者間の取り決めを第3者にも対抗することができる。

 

 

自己信託設定公正証書

 

 

・今回、各共有者の持分は2分の1であることを前提にします。

 

(目的)

第○条 本信託は、次の事項を目的として、第○条記載の信託財産を受託者が管理、運用、処分する。

(1)受益者の安定した生活

(2)共有物の分割を15年間制限すること

(3)共有物の使用方法について制限を設けること

(4)共有物の変更、処分の意思決定について多数決を導入すること

 

(信託財産)

第○条 本信託設定日の信託財産は、次の第1号から第2号までとする。設定後に第3号から第4号によって発生した財産も信託財産とする。

(1) 別紙1記載の不動産の所有権(以下、「信託不動産」という。)

(2) 金銭○○万円(今後、「信託金銭」という。)

(3) 受益者から追加信託を受けた財産

(4) その他の信託財産より生じる全ての利益

 

(信託設定者)

第〇条 自己信託を設定する者は、次のとおりである。

住所                       

氏名 甲 生年月日

 

(後任の受託者)

第○条 受託者の任務が終了した場合の後任受託者は、次の者とする。

住所

氏名 ○○ 生年月日

 

 

信託財産の管理方法)

第○条

1 受託者は、信託不動産について次の信託事務を行う。

(1)所有権の権利の変更登記と信託登記の申請

(2)信託不動産の性質を変えない修繕・改良行為

2 受託者は、信託金銭について次の信託事務を行う。

(1)信託に必要な表示または記録

(2)受託者個人の財産と分けて、性質を変えずに管理

3 受託者が信託事務処理費用を信託財産から支出する場合、支出の前に受益者に対して前払いを受ける額及びその算定根拠を通知する必要はない。

 

(計算期間)

第○条 本信託の計算期間は、毎年1月1日から12月31日までとする。最初の計算期間は信託の設定日から始まり、最後の計算期間は信託の終了した日までとする。

 

(公租公課の精算)

第○条 本信託の税金や保険料などは、設定日の前は設定者、設定日以後は、信託財産から支払う。

 

(信託財産に関する報告)

第○条 受託者は、計算期間に行った計算を、固定資産税の納税通知書及び領収書と信託口通帳を受益者へ提示する方法により受益者へ報告する。

 

(受益者)

第〇条 本信託の受益者は、次の者とする。

住所

氏名 乙 生年月日

 

(受益権)

第○条

1 次のものは、元本とする。

(1)信託不動産の所有権

(2)信託不動産への居住権

(3)信託金銭

2 次のものは、収益とする。

(1)信託財産から発生した利益

3 元本又は収益のいずれか不分明なものは、受託者が判断する。

4 本信託の信託不動産と同一の不動産(以下、「共有信託不動産」という。)の権利関係および管理、運用、処分の方法は次のとおりとする。

(1)共有信託不動産の共有物分割請求は、本信託設定の日から15年を経過する日まですることができない。

(2)共有信託不動産について受益者の過半数が合意した場合、受益権を変更、処分することできる。

(3)共有信託不動産を共有者の配偶者、子、両親以外に使用させるには、受益者全員の同意を必要とする。

5 信託金銭は甲

 

(委託者の地位)

第○条 委託者は、追加信託をする権利義務のみを受益者に移転し、その他の信託行為に記載のある権利は、亡くなったときに委託者の地位と伴に消滅する。

 

(信託の変更)

第○条 本信託の変更は、受託者と受益者の過半数の合意による。

 

(信託の期間)

第○条 本信託の期間は、設定日から終了した日までとする。

 

(信託の終了)

第○条 本信託は、次の場合に終了する。

(1)受託者と受益者の過半数が合意したとき

(2)受益者の一親等親族が全員亡くなったとき

 

(清算受託者)

第○条 この信託が終了したときの受託者は、引き続き清算の事務を行う。

 

(残余財産の引渡し方法)

第○条 清算受託者が、残余財産の帰属権利者に、信託財産の全てをその債権関係とともに引き渡し、最終計算の承認を得たときに、清算手続は終了する。

 

(残余財産の帰属権利者)

第○条 本信託における残余財産の帰属権利者は、終了時の受益者とする。

 

(契約に定めのない事項)

第○条 本信託に定めのない事項は、受託者と受益者が協議の上決定する。

 

 

別紙1

 

信託財産目録

第1 信託不動産

(1)土地

所在

地番

地目

地積

(2)建物

所在

家屋番号

種類

構造

床面積㎡

第2 信託金銭金○○万円

以上