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夫婦間契約の代替としての自己信託
2017年05月18日

 

参考

(大垣尚司「自己信託―もうひとつの民事信託」『民事信託の理論と実務』2016  日本加徐出版 P285~)

 

1、自宅の購入にあたり、夫婦共働きなら具体的な返済の分担額に応じて土地建物を共有にすることもある。

 

2、何らかの理由で夫婦関係が上手くいかず離婚すると、家の所有・使用関係、債務負担関係の三者にネジレが生ずる。

 

3、夫(妻)の単独名義の場合、住宅ローン貸主の了解を得て夫が自己信託を設定し、住宅・土地を信託財産、住宅ローンを信託財産責任負担債務、夫婦をそれぞれ受益者として信託目的において、離婚時の住宅の権利関係、居住権、ローンの内部負担関係等を定め、信託登記を行う。

 

4、万が一離婚した場合、名義を持っていない人の住む場所などが守られる。

 

 

自己信託設定公正証書

 

(目的)

第○条 本信託は、次の事項を目的として、第○条記載の信託財産を受託者が管理、運用、処分する。

(1)受益者の安定した生活

(2)受益者の共同財産である自宅の権利義務を明確にすること

 

(信託財産)

第○条

1 本信託設定日の信託財産は、次の第1号から第2号までとする。設定後に第3号から第4号によって発生した財産も信託財産とする。

(1) 別紙1記載の不動産の所有権(以下、「信託不動産」という。)

(2) 金銭○○万円(今後、「信託金銭」という。)

(3) 受益者から追加信託を受けた財産

(4) その他の信託財産より生じる全ての利益

2 設定者は、本信託について特別受益の持戻しを免除する。

 

(信託設定者)

第〇条 自己信託を設定する者は、次のとおりである。

住所                       

氏名 甲 生年月日

 

(後任の受託者)

第○条 受託者の任務が終了した場合の後任受託者は、次の者とする。

住所

氏名 配偶者 生年月日

 

 

(信託財産責任負担債務)

第○条 別紙2記載の債務は、信託財産責任負担債務とする。

 

(信託財産の管理方法)

第○条

1 受託者は、信託不動産について次の信託事務を行う。

(1)所有権の権利の変更登記と信託登記の申請

(2)信託不動産の性質を変えない修繕・改良行為

2 受託者は、信託金銭について次の信託事務を行う。

(1)信託に必要な表示または記録

(2)受託者個人の財産と分けて、性質を変えずに管理

(3)信託財産責任負担債務の返済

3 受託者は、信託財産から次の費用を支出することができる。

(1)登記申請費用

(2)その他の本信託に必要な諸費用

4 受託者が信託事務処理費用を信託財産から支出する場合、支出の前に受益者に対して前払いを受ける額及びその算定根拠を通知する必要はない。

 

(計算期間)

第○条 本信託の計算期間は、毎年1月1日から12月31日までとする。最初の計算期間は信託の設定日から始まり、最後の計算期間は信託の終了した日までとする。

 

(公租公課の精算)

第○条 本信託の税金や保険料などは、設定日の前は甲、設定日以後は、信託財産から支払う。

 

(信託財産に関する報告)

第○条 受託者は計算期間に行った計算を、固定資産税の納税通知書及び領収書と信託口通帳を受益者へ提示する方法により受益者へ報告する。

 

(受益者)

第〇条 本信託の受益者は、次の者とする。受益権の割合は均等とし、甲の扶養義務の範囲を超えない。

(1)住所

氏名 甲 生年月日

(2)住所

氏名 配偶者 生年月日

 

(受益権)

第○条

1 次のものは、元本とする。

(1)信託不動産の所有権

(2)信託不動産への居住権

(3)信託金銭

2 次のものは、収益とする。

(1)信託財産から発生した利益

3 元本又は収益のいずれか不分明なものは、受託者が判断する。

4 受益者が離婚した場合の権利義務関係は、次のとおりとする。

(1)信託不動産の所有権は、甲

(2)信託不動産の居住権は、○○

(3)信託金銭の所有権は、甲

(4)信託財産責任負担債務は内部での取り決めとして、甲が引き受ける。

(5)○○は、信託不動産の受益権を甲から毎年金60万円の割合で購入する。

5 受益者全員が合意した場合、受益権を処分することできる。

 

(委託者の地位)

第○条 委託者は、追加信託をする権利義務のみを受益者に移転し、その他の信託行為に記載のある権利は、亡くなったときに委託者の地位は消滅する。

 

(信託の変更)

第○条 本信託の変更は、受託者と受益者の合意による。

 

(信託の期間)

第○条 本信託の期間は、設定日から終了した日までとする。

 

(信託の終了)

第○条 本信託は、次の場合に終了する。

(1)受託者と受益者が合意したとき

(2)信託財産責任負担債務の期限の利益を喪失したとき

(3)受益者が1人となったとき

 

(清算受託者)

第○条 この信託が終了したときの受託者は、引き続き清算の事務を行う。

 

(残余財産の引渡し方法)

第○条 清算受託者が、残余財産の帰属権利者に、信託財産の全てをその債権関係とともに引き渡し、最終計算の承認を得たときに、清算手続は終了する。

 

(残余財産の帰属権利者)

第○条 本信託における残余財産の帰属権利者は、終了時の受益者とする。

 

(契約に定めのない事項)

第○条 本信託に定めのない事項は、受託者と受益者が協議の上決定する。

 

 

別紙1

 

信託財産目録

 

第1 信託不動産

(1)土地

所在

地番

地目

地積

 

(2)建物

所在

家屋番号

種類

構造

床面積㎡

 

 

第2 信託金銭

金○○万円

 

 

以上

 

 

別紙2

 

信託財産責任負担債務

 

本店

商号 ○○銀行

取扱い支店 ○○支店

設定時の債務 金○○万円(平成○○年○○月○○日付け住宅ローン契約)

 

以上