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2016年加工 第165回国会 法務委員会 第6号
2016年05月02日

2016年加工

第165回国会 法務委員会 第6号

平成十八年十二月七日(木曜日)

午前十時開会     ─────────────

委員の異動  十二月五日     辞任

補欠選任  富岡由紀夫君     前川 清成君

十二月六日     辞任         補欠選任

     浜四津敏子君     浮島とも子君

十二月七日     辞任         補欠選任

     青木 幹雄君     野村 哲郎君

─────────────   出席者は左のとおり。

委員長 山下 栄一君

理 事 岡田  広君

    松村 龍二君

    簗瀬  進君

    木庭健太郎君

委 員

    山東 昭子君

            陣内 孝雄君

    関谷 勝嗣君

    谷川 秀善君

    野村 哲郎君

    江田 五月君

      千葉 景子君

    前川 清成君

    松岡  徹君

    浮島とも子君

    仁比 聡平君

    近藤 正道君

国務大臣

法務大臣     長勢 甚遠君

副大臣

法務副大臣    水野 賢一君

大臣政務官

法務大臣政務官  奥野 信亮君

事務局側

常任委員会専門員  田中 英明君

政府参考人

金融庁総務企画局審議官     畑中龍太郎君

金融庁総務企画局参事官     山崎 穰一君

法務省民事局長  寺田 逸郎君

財務大臣官房審議官       佐々木豊成君

厚生労働省社会・援護局長    中村 秀一君

    ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○信託法案(第百六十四回国会内閣提出、第百六  十五回国会衆議院送付) ○信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する  法律案(第百六十四回国会内閣提出、第百六十  五回国会衆議院送付)     ─────────────

 

 

○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、松下新平君、富岡由紀夫君及び浜四津敏子君が委員を辞任され、その補欠として千葉景子君、前川清成君及び浮島とも子君が選任されました。     ───────────── 委員長(山下栄一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

 

 

 

信託法案及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局審議官畑中龍太郎君、金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、法務省民事局長寺田逸郎君、財務大臣官房審議官佐々木豊成君及び厚生労働省社会・援護局長中村秀一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 

───────────── 委員長(山下栄一君) 信託法案及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。

 

 

○岡田広君 自由民主党の岡田広でございます。  前日の委員会質疑で残した点がありますので、そういう点につきまして、大臣始め寺田局長にお尋ねをしたいと思っております。
 

 

一点目のポイントである受託者の義務の合理化や受益者の権利に関する規定の整備についての質問はさせていただいたわけであります。そこで、今日は二点目のポイントであります信託法案において新たに設けられた諸制度について質問をしたいと思っております。
 

新たに設けられた信託の類型については、今までの委員会でも、あるいは昨日の連合審査でも大臣答弁をされておりますが、もう一度この点についてお尋ねをしたいと思います。新たに創設された信託の類型にはどのようなものがあるのか、そしてその概要について簡潔に御答弁をお願いをしたいと思います。
 

 

 

○国務大臣(長勢甚遠君) 今回の信託法の改正では、多様な信託の利用ニーズにこたえるために新たな信託の類型を創設をすることといたしております。

 

 

このような新たな類型の信託としては、第一に受益証券発行信託を創設しております。これは、受益権の流通性を高めるために広く受益権について有価証券を発行することを認めるものでございます。第二に、限定責任信託を創設をいたしております。これは、受託者が第三者と信託に関して取引を行った際に生ずる債務の責任財産の範囲を信託財産に限定をする信託でございます。第三に、自己信託を創設しております。これは、委託者が自ら受託者となることができるという信託でございます。第四に、受益者の定めのない信託を創設しております。これは、受益者の存在が予定されていない新しい類型の信託でございます。
 

今回の法案では、それぞれの新しい類型に応じた規定を設けることによりまして利用の適正を図っておるところでございます。 岡田広君 新たな類型の信託のうち、受益者の定めのない信託についてお尋ねをしたいと思っております。
受益者の定めのない信託とは、まずどのようなものであり、どのようなニーズがあるのかについても、これは寺田局長にお尋ねをしたいと思います。 政府参考人(寺田逸郎君) 大臣から今御説明申し上げましたとおり、今回の信託法案に新たに受益者の定めのない信託という類型を設けたわけでございますが、これは現行法の下でも公益信託においてはこのような信託が認められていたわけでございますけれども、公益に至らない、より一般的な目的を持つ信託については受益者が確定していないと信託として成立していないという規律でしたから、これは認められておりませんでした。
 

しかし、英米法においてはこれは伝統的にも信託の一つの形態でございまして、公益でない例といたしまして、例えば自分の死後お墓を管理するという場合に、これは具体的には利益を受ける受益者というのはいないわけでございますけれども、自分が生前にそれを設定しておいて、そういう目的のために信託を動かしていくということは行われてきているわけでございます。
 

我が国においても、この信託法の改正の過程でこのような信託が一つのニーズがあるということが各方面から言われました。その第一は、老人の介護、子育ての支援、地域の警備など、営利事業ではありませんけれども、しかし公益と言い切るにはちょっとその手前でとどまってしまうというような、そういう目的のために財産を拠出してこれを信託として運用をし、その目的を達成したい、こういうことがございましたし、特定の企業の発展に功績のある人に奨励金を出そうといたしますと、新たに別の会社をつくるというのはいささか大げさでございますので、こういう信託というのを利用できるんではないかと。あるいは特定目的会社、SPCでございますけれども、その株式をその会社の倒産から隔離しておきたいというようなときにこれを利用することも考えられないわけではないというような声があったわけでございます。
 

そこで、信託法案においては、法の二百五十九条等において受益者の定めのない信託の定めを置きまして、その存続期間を二十年という限定を付して、受託者に対する監督権限というのは、受益者がおりませんので、委託者がこれを行うということにして手当てを講じた上で新たに一つの類型としてこれを設けたものでございます。
 

 

 

 

 

○岡田広君 ありがとうございました。  今、日本が抱えているいろんな政治課題ありますが、その中で少子化対策というのはもう中長期的な大変重要な課題であろうと、そう思っています。
 

私の地元の企業で、大変企業活動を通じまして地域貢献をしている企業があります。その企業の社員で子供が生まれますと、三人目が生まれると出産お祝い金ということで百万円を出します。四人目は二百万円、五人目三百万円ということで、社員の子供が生まれるとそういうお祝い金を出すと。あるいは第一子から、社員の子供が高校に入りますと月七千円の教育奨励金、大学に入りますと月一万円ということで、そういうお金を出す企業があるわけなんですが、正に、少子化対策ももう行政だけではなくて企業ぐるみで、地域ぐるみでこれ対応していかないとなかなか解決していかないんではないだろうかと思うわけであります。で、そこの企業ではまた、子供に夢を持たせようということで、小学校、中学校、理科の実験校の、理科でいろんな研究をした学校に対して毎年、小学校三校、中学校三校で優秀校に百万円ずつ、年間六百万円の予算を使って出しています。もう二十年以上やっていますから、もう一億二千万以上出しているということであります。私も何回か表彰式に出席をさせていただいたわけであります。そういう中で、大変に企業活動を通じて地域貢献をしていると。
 

 

こういう会社があるわけですが、一つの例として社員が、あるいは従業員の子供、従業員の本人あるいは奥様が子供を産んだ場合にこのお祝い金を出すという、こういうことで具体的な例でお尋ねをしたいと思いますが、今答弁の中にありましたように、法人も委託者として受益者の定めのない信託をすることができるとの答弁がありました。そういうことであれば、ある会社が信託銀行に金銭を信託して、従業員が子供を産んだら信託財産である金銭の中からお祝い金を交付することとして、受益者の定めのない信託を利用することが考えられるわけであります。もっとも、このような場合について信託を使うメリットがないのであれば、わざわざ信託を利用することはないと思いますけれども、このような場合などに受益者の定めのない信託を利用することのメリットについては具体的にどのようなことが考えられるのか、これも寺田局長にお尋ねをしたいと思います。
 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるような仕組みというのを実現しようといたしますと、まず法人を設立するということが考えられるわけであります。これは現行法では中間法人、新しい法律では一般財団法人等ということになろうかと思いますけれども、その場合には必ず新たに事務所を定めなきゃならない、あるいは評議員、評議員会、理事、理事会というような組織をつくらなきゃならないということでございまして、非常に言わば大掛かりなことになるわけでございます。それを避けようと思いますと、この信託というのは一つの有効なスキームということになります。
 

 

信託が、単にだれかがお金を持っていて、それを定期的にそういう、お祝い事があれば、あるいは援助の必要があれば拠出するというのとどこが違うかと申しますと、それは例えば会社が持っているということになりますと、会社が少し経営が危なくなりますと、それは債権者の脅威に絶えず金銭がさらされるわけであります。しかし、信託を設定しておきますと、その分は会社の業績のいかんにかかわらずその目的のために用いることができるということでございますので、潜在的な対象者にとりましては、そういう意味では非常に有意義なお金の設定がされるということが確定するわけでございます。そういうメリットがあろうかと考えております。
 

 

 

 

 

 

○岡田広君 現代では企業の社会貢献の重要性が認識をされつつあります。そういう中で、先ほど申し上げた企業は一つの例として挙げたわけでありますが、企業はいろんな、少子化ばかりではなくて男女共同参画、いろんな面で社会貢献をしている企業であります。
 

これは私、市長当時に男女共同参画都市を議会に諮って宣言をしました。そうしたら、すぐ一年後にはもう女性だけのお店を開店をしたという、そういうこともあるわけでありますけれども、正にこれからは企業の社会貢献、これが大変私は大事なんだろうと、そう思っているところであります。  例えば、大企業が所有する精密機械を特定の企業を受託者として信託し、受託者の所在する地域の中小企業がその精密機械を自由に使用することができる信託を設定する場合のように、受益者の定めのない信託は、社員の福利厚生だけではなく、企業の社会貢献のツールとして利用の可能性があるのではないかと思うわけであります。
 

こういうことにつきまして、ほかにも具体的な活用方法等があるようでしたら、是非教えていただきたいと思います。 政府参考人(寺田逸郎君) これは様々に考えられるわけでございますけれども、今委員がお示しなさった例で申し上げれば、中小企業でその精密機械を使える者があらかじめ特定していれば、その者が受益者ということになりますので、これは一般の信託を設定するということで可能なんでありますけれども、絶えずこれ入れ替わる可能性がある。その地域に入ってくる人、潜在的にいろんな方がおいでになる、そういう方をあらかじめ特定せずに信託を設定するということになりますと、やはりこの目的信託というのは有効な手だてということになるわけでございます。
 

同じことは財産が仮に特許権のような知的財産権である場合も、あるいは単なる一般の金銭であるという場合も考えられるわけでございまして、例えば創業、起業アイデアを有する応募者に奨励金を出すというようなことを目的として経済団体の会員企業が金銭を拠出して信託を設定すると、これは目的信託になるわけでございますけれども、そういうものが考えられますし、あるいは福祉の場面でも、社会福祉法人等を受託者として金銭を信託いたしまして、特定の地域に居住する高齢者、リタイアした方のためにいろいろな施設を運営するというようなことにもこの目的信託は利用できる。
 

要するに、受益者が特定できない場合で、公益には至らないけれども、しかし非常に有効な目的を達成するためのそういう状況というのがある、一つの手段が必要である、そういう場合に用いられるというふうに考えております。
 

 

 

 

 

○岡田広君 今答弁の中にありましたように、受益者の定めのない信託は、ビジネスだけではなく、従業員の福利厚生や企業の社会貢献にも利用可能な極めて有用な制度であると考えるものであります。しかし、新たな制度をつくるに当たっては、メリットだけではなくデメリットにも十分な注意を払わなければならないと思います。
 

そこで、受益者の定めのない信託のデメリットについて考えてみますと、まず、受益者がいないことから受託者の監視、監督が十分に行われないんではないかということが考えられるわけであります。そこで、信託法案ではこの受益者の定めのない信託についてだれが受託者を監督、監視することを想定しているのか、寺田局長にお尋ねしたいと思います。
 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、監督をだれがするかということは全体的に信託において非常に重要なことでございますので、この受益者の定めがない場合には一般のように受益者でない方を想定しなければなりません。この信託法案ではそれを委託者ということにいたしております。すなわち、委託者というのは、この受託者の解任権あるいは損失てん補の請求権、権限違反行為があった場合の取消し権など、通常受益者が有している権限をこの目的信託について有しているということになります。
 

なお、遺言信託の場合にはこの委託者がおりませんので、これは信託監督人というのを別に必ず選任して、その者が監督するということになります。
 

 

○岡田広君 一般の信託とは異なって、委託者が受託者を監視、監督することにより受託者の権限の濫用を防ぐということは分かりました。  しかし、受益者の定めのない信託では、公序良俗に反するようなことになるような目的である場合を除いて、信託の目的に特段の制限は存しないようでありますから、例えばある財産を現状のまま管理しておくという受益者の定めのない信託がされることもあり、定められた信託目的に従って永久に信託財産の管理、処分が拘束されることとなりますと、財産の流通や合理的な利用が妨げられ、国民経済上の利益に反することになるおそれがあるとの懸念があるんではないかと思います。
 

この受益者の定めのない信託によって物資の流通や合理的な利用を妨げるのではないかという点について、法制審議会の信託部会ではどのような議論がされたのか、また、信託部会での議論を踏まえて信託法案ではどのような手当てをしているのか、講じているのか、寺田局長にお尋ねをしたいと思います。
 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、英米におきましても、その所有権に対する一種の拘束が掛かっている状態が永久に続くということが果たしていいかどうかということは議論がありまして、基本的にはコモンロー上の原則として永久権禁止原則というのがございますので、一定の期間内に受益者が確定しない信託は無効とされるわけであります。

 

 

これに倣いまして我が国でどうするかということが法制審議会でも当然議論になったわけでございます。このような状態が永続いたしますと、財産の流通や合理的な利用が妨げられるので、結果的に国民経済にとって望ましくないという御意見、あるいは差押禁止財産というのをつくり出してしまって、それを固定化してしまうというような御議論があったわけでございます。そこで、一定の時間的な制限を設けるという方向に議論がなりまして、この信託法案においてはその存続期間を二十年に限定するということにいたしているわけでございます。
 

なお、何年でこれを限定するかについてもいろいろ御議論があり得るわけでございますけれども、その所有権についての一つの永続的な期間というのが、取得時効が成立する期間あるいは賃貸借の存続期間というようなものが考えられるわけでございまして、それが民法ではいずれも二十年とされておりますので、長期利用の一つの区切りとしては二十年が適当であろうというようなことでこの二十年が設定されたわけでございます。
 

 

 

 

 

 

○岡田広君 この趣旨説明によりますと、公益信託でなくても受益者の定めのない信託を一定の要件の下に許容とあります。  したがって、公益信託は受益者の定めのない信託の一類系ということになると思いますが、この受益者の定めのない信託と公益信託の共通点あるいは相違点について局長にお尋ねしたいと思います。
 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) 今御指摘がありましたとおり、この新たな目的信託というのは、要素として考えてみますと、これは従前ある公益信託のうちのその公益部分がないものということになるわけでございまして、公益信託との共通点はしたがって受益者の定めのない自己信託の方法によってもすることができない、信託の変化によって受益者の定めを設けることができないというような特色があるわけでございます。
 

しかし、このように整理をすると、結局のところ受益者の定めのないうちの公益という目的が積み重なった部分がその公益信託であると、こういう整理ができるわけでございまして、それで今後、公益信託についてもこのような整理をいずれさせていただかなきゃならないことになろうかと思います。
 

公益信託は、現在の規定の上では、引受けにわたって主務官庁の許可を要する、信託期間中も主務官庁の監督を受けると、その反面で存続期間の制限がないと、こういう違いが出ているわけでございますけれども、本質的な信託の構造としては同じと、こういうことになるわけでございます。
 

○岡田広君 今回の信託法案の改正では、関連する整備として旧信託法の一部改正が行われ、現行信託法の第六十六条以下の規定が公益信託に関する法律として残されているようです。しかし、その内容を見てみますと、現行法の内容とは若干内容が変わっているようにも見えるわけでありますが、公益信託に関する法律の内容に関して、現行信託法の規定と異なる点を説明をしていただきたいと思います。 政府参考人(寺田逸郎君) この公益信託については、先ほど申し上げましたように、いずれ公益法人改革との関係でいろいろ整理をいたしますが、この現在の信託法案を作ろうとしていることとの関係では、新たに信託の変更、併合、分割というような制度ができましたので、これを受益者の定めがない信託においてはどういう形で実現するかということが問題になるわけでございます。

 

 

 

そこで、現行法に手当てをいたしまして、委託者と受託者の合意によってこのような信託の変更が行われるわけでございますけれども、これに主務官庁の許可を要するということを先ほど申しましたようないろいろな規定との平仄を合わせる意味で設けました。  それから、罰則が新たに信託法案において作られておりますので、公告の形態等について百万円以下の過料が科せられるわけでございますけれども、公益信託においても同様の罰則を設けると、こういう二つの点で大きく変更をいたしております。

 

 

 

 

岡田広君 現行法の下では公益信託の受託者の監視、監督は信託管理人が行っているということでありますけれども、信託管理人がどのように選任されて、そしてどのような者が実際に就任しているのか聞きたいと思います。  そしてさらに、この受託者について権限の濫用のおそれがあると同時に、信託管理人についても権限の濫用のおそれがあると考えられます。このことは弁護士が信託管理人になるとしても否定し切ることはできないと考えるものでありますけれども、公益信託においてこの信託管理人の権限が濫用された場合に備えて、公益信託に関する法律等ではどのような手当てがされているのか、これを一括してお尋ねしたいと思います。

 

 

 

 

政府参考人(寺田逸郎君) まず、信託管理人の選任でございますけれども、現行法の下ではこれを信託行為の定める方法と主務官庁の命令という二つの方法を用意いたしておりまして、実際には信託行為あるいは主務官庁の命令においてどういう人を信託管理人にするかという、氏名、住所等を特定して選任すると、こういう形を取っているというように理解をいたしております。多くのケースでは弁護士、公認会計士、大学教授等有識者の方、学識経験者の方が信託管理人に就任されているというような実情にあるようでございます。

 

 

 

それで、次にその信託管理人の権限が濫用された場合にどうなるかということでございます。先ほど来申し上げてもおりますように、公益信託においては監督権限としては大幅に主務官庁がこれを有しているということになっておりまして、改正後の公益信託に関する法律でも同様でございます。  したがいまして、この主務官庁は信託管理人に対しましても一般的な監督を行うということでございまして、具体的な濫用行為があれば主務官庁がこの信託管理人を解任するという設定になっております。

 

 

 

 

なお、信託管理人が違法な行為を行うあるいは主務官庁の命令処分に違反するというようなことでこれをもはやその場合は放置できないというようなことになりますと、これについて処分を求めるという措置が取られるのは通常でございまして、百万円以下の過料を新たに科するということができることとされております。
したがいまして、信託管理人の権限濫用はこの罰則と主務官庁の権限行使、監督ということで担保されていると、濫用をチェックするというような仕組みになっているわけでございます。

 

 

岡田広君 ありがとうございました。

福祉型信託についても聞きたいところでありますが、時間が来ました。

最後に、大臣にお尋ねをしたいと思います。

これまで信託の利用というのは商事的なものが大部分を占めていたと思います。今回の信託法の改正によりまして、社員の福利厚生あるいは企業の社会貢献、高齢者の福祉など様々な目的で信託が利用されることになるのではないかと期待をしているところであります。しかし、信託が国民の間で幅広く利用されるためには信託法の施行までに一般の国民に対しての周知徹底が必要であると考えるものであります。
 

このような国民への周知徹底が十分にされることのために、大臣の決意を最後にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

国務大臣(長勢甚遠君)信託法が施行になって活用をされるためには、おっしゃるとおり、国民の皆様に十分に御理解をいただくことが必須条件でございます。

法務省といたしましては、ポスター等を利用して新しい信託法ができたということをまず国民の皆様によく認識をしてもらわなければならないと思っておりますし、また、分かりやすくまとめたパンフレットを作成し配布する、あるいはホームページ掲載をする、また、法律雑誌等に解説をするとか説明会を開催するというようなことを考えていかなければならないと思っておりますが、いわゆる商事信託についてはその担当の方々、今のような形で御理解いただけると思いますが、問題は民事信託だろうと思います。まずあることを知ってもらうということと、いろいろ関係団体等もあるわけでございますので、その方々とも連携をして利用していただくように周知を図っていきたいと思っておる次第であります。

岡田広君 ありがとうございました。

 

 

 

すみれ

「問題は民事信託か。」

 

 

 

○簗瀬進君 おはようございます。民主党の簗瀬進でございます。信託法についての議論が大詰めを迎えております。私は、特に我々の記憶にしっかりととどめておかなければならないのは、あのライブドア事件だったのではないのかと思っております。あるいは、村上ファンドの事件もございました。正に資産の流動化と、そういう目的のために、何といいますか、ツールの方がどんどん先行しまして、市場のルールがきちんと整備をされる前にどんどんどんどん資産流動化の方を先行させていくと。

 

 

すみれ

「ツールとルールか。」

 

 

その結果として、その制度の間隙をついた大変な不法な行為が行われる。結果として、非常に知識のある意味で少ない投資家あるいは会社債権者等に対して迷惑を掛けていくと。こういうふうな、言うならば、いたずらに市場を自由化することを先行させて、一方でその市場のルールを整備をしないで進めていった結果、たまたまその結果として、非常な市場の混乱を呼び起こしてくると、どうもこれと同じような結果をこの信託法改正が作り出しはしないかという、そういう懸念をずっと持ち続けております。

 

 

 

特に、議論をずっと見ておりますと、やはり自己信託の扱いというようなものが非常に難しい問題点がそこにあるんではないのかなということは、これは与野党の議員が指摘をするところでございます。自己信託が行われる、委託者と受託者が同じ、また地位の兼併というようなことで受託者と受益者が同じ、そしてまた委託者とそれから受益者が一体であるという、いわゆる受益信託という形が日本の信託では非常に多いという形になりますと、自己信託と地位の兼併と受益信託というようなものが同時に行われたときには、一つの主体の中にこの信託財産が入った形になっている。そして、それが証券化をされて、その証券が転々流通をしていく、こういうふうなプロセスを取ったときに様々なトラブルがどうも起こりかねないんではないのかなと、そういう懸念を持っておるわけでございます。

 

 

ライブドア事件をちょっと振り返ってみますと、どういうふうなメカニズムをたどってあの不正が行われたかといいますと、まず会社本体の財務諸表から一定の財産を切り離して、そして投資事業組合というようなものを作る。正に、それは自己信託の中で委託会社と受託会社が、例えば連結の親子会社の間で行われるというふうなことを考えると、同じようにライブドアのときに投資事業組合ができたと同じような形がまずは自己信託の関係の中で発生をするわけでございます。そして、ライブドア事件の場合にどうしたかというと、実態は自社株の売買であるにもかかわらず、それを投資事業組合がやった結果として、そこで利益が生じたものを親会社の方にバックをしてしまうという形の粉飾が行われるという、そういうプロセスをたどって投資家をだましていくと、こういうふうなことが延々と行われていったというのが、あのライブドアの本体であったのではないかなと思います。

 

 

 

 

そういう意味で、今回は自己信託についてちょっと深掘りをさせていただきたい。質問通告では大臣に対する質問が先に来ておりますけど、大臣は最後の締めのところで御答弁をお願いをするという、そういうふうな質問の仕方をさせていただければと思っております。一番先に問題提起をさせていただきまして、どうも信託の実態というようなものは、日本で現時点でどうなっているのかということがなかなか分かりづらいというところがございますので、まず質問に入る前提として、我が国の信託の現状、利用実態といいますか、それがどういう状況にあるのかということを、金融庁もお見えでございますので、ちょっとまずはそこから入らさせていただければと思っております。

 

 

 

 

信託財産、信託協会の発表するところでは六百五十二・八兆円と、ということは前回の前川質問で答弁を得たところでございますけれども、私は、まずは信託協会の発表をしている財産の中で六百五十二兆円何がしのこの中身、内訳が財産的にどんな構成を取っているのかなということについて、ちょっと御説明をいただければと思います。 政府参考人(山崎穰一君) 信託協会の信託統計便覧によりますと、信託勘定の内訳は、大きい方から申し上げますが、有価証券が二百六十・六兆円、信託受益権が百九十六・三兆円、金銭債権が三十五・七兆円、投資信託有価証券が二十三・六兆円、動産、不動産が十九・六兆円などとなってございます。

 

 

 

 

 

○簗瀬進君 受益証券が百九十兆円というふうな御答弁だったと思いますけれども、具体的に言うと、その受益証券の裏付けになっている財産はどんなものなんでしょうか。統計では明らかになっていないとしたら、知り得る範囲で結構でございますので教えていただければと思います。

 

 

 

 

政府参考人(山崎穰一君) この信託受益権の中身でございますが、これはいわゆる再信託に出しているものがほとんどでございまして、さらにその再信託に出しているものの中身ということになりますと、先ほど申し上げました有価証券とかこういうものが中身になっていると。統計上、再信託に出しているものも含めて合計しています関係上、ここに信託受益権というものが出てくるということでございます。

 

 

 

 

 

 

簗瀬進君 そうすると、現時点での我が国の信託の現状という形になりますと、今のその受益証券信託の場合も、結果として裏付けになっているのは再信託という形で有価証券という形になってくるという形になると、それも有価証券の中に入っちゃうという感じになりましょうかね。そうすると、有価証券絡みという形でくくってみると、圧倒的に有価証券が信託財産の対象になっているというのが現状かと、そういうふうな印象を持つんですけれども、いかがでしょうか。

 

 

政府参考人(山崎穰一君) 再信託の中身について詳しく統計はございませんが、それ以外のものについて有価証券が、有価証券というのは、具体的に言いますと国債がかなりの、国債とか株式とかこういうのが占めてございますが、有価証券が多くを占めているということは事実でございます。

 

 

 

 

簗瀬進君 ついでに今、有価証券の中身についてちょっとお触れになりましたけれども、分かっているのがあれば中身どうなっているのか、有価証券です。

 

 

 

 

政府参考人(山崎穰一君) お答え申し上げます。  有価証券、二百六十・六兆円の中身でございますが、国債が八十六・三兆円、地方債が約四・六兆円、社債が二十三・七兆円、株式が六十六・三兆円、外国証券が五十七・一兆円ということで、概数でございますが、そういうことでございます。

 

 

 

 

 

簗瀬進君 そして、もう一つ教えていただきたいんですけど、再信託で、有価証券を再信託をしているという形になりますと、言うならば単位の大きい、ロットの大きい有価証券を受益証券化することによって細分化して流通しやすくしているという、そういうメカニズムを持っているということなんですか。

 

 

 

 

○政府参考人(山崎穰一君) 必ずしも全部そういうものとは考えておりませんで、これは再信託でございますから、他の、例えば年金におきまして、その年金信託を受けたところが、他の信託銀行等にそれを再信託して、そこで運用をすると、こういうものでございますので、必ずしもそういうものではないというふうに理解してございます。

 

 

 

簗瀬進君 それから、信託銀行がメーンの受託者として出てくるのは、前回の前川質問でも九九%が信託銀行が担い手だったというふうな、それは信託協会の資料からそうなることは当然予想されるんですけれども、それ以外の担い手として、現在動いているものとしてはどんな受託者がいるんですか。

 

 

 

 

 

政府参考人(山崎穰一君) 現在、信託銀行以外に信託の受託者となっておりますのは、信託銀行と同様の業務を兼営しております二十五の金融機関、これを除きますと、改正信託業法に基づきまして運用型信託会社として免許を受けた四社と管理型信託会社として登録を受けた七社でございます。  どういうことをやっているかということでございますが、その改正信託業法に基づき免許又は登録を受けた信託会社の実例といたしましては、例えば、著作権を中心とする知的財産権の管理運用を行う会社、高齢者の財産管理や死亡時における相続人への財産の分配等を行う会社、受託者と同一会社グループの保有する資産の流動化業務を行う会社、不動産や住宅ローン等の金銭債権の流動化業務を行う会社、マンション等の賃貸収益物件の維持管理、賃貸運営の業務を行う会社などとなってございます。

 

 

 

○簗瀬進君 いわゆる信託を業としてなさっているという、そういうお話であったんですけれども、それ以外に、ここでもたくさん議論になった、担い手として弁護士がなり得るかとか、NPOがどう、あるいは自治体の話も出てまいりました。現状としては、例えば弁護士が株式会社をつくった形で信託をやっていると、受託会社になっているというふうな例なんかはあるんでしょうか。

 

 

 

 

政府参考人(山崎穰一君) 弁護士が加わっているという意味でございましたら、ございます。

 

 

 

簗瀬進君 加わっているでも結構ですけど、どんな例なんでしょうか、それは。

 

 

政府参考人(山崎穰一君) 個々の会社でございますので、詳細はあれで、名前はちょっと省略いたしますが、株式会社でございまして、業務の内容といたしましては、オーナー企業の代表者や個人参加などの個人を対象といたしまして、扶養型信託でありますとか遺産分割型信託でございますとか、こういうものを対象にしているというふうに承知してございます。

 

 

 

 

簗瀬進君 NPOが従前の信託を使って、いわゆる受託を受けた形で活動をしているという例はあるんでしょうか。これは法務省でも結構です。 政府参考人(寺田逸郎君) 個別にそういうことをしたいというお話を伺っていることはございますけれども、現にどのような形で行われているかについては承知しておりません。

 

 

 

簗瀬進君 いわゆる福祉型信託ということも随分議論に出ました。福祉型信託の実態について、これは同じような質問あったかもしれませんけれども、もう一回確認の意味で聞かせていただければと。

 

 

 

政府参考人(山崎穰一君) 現在、信託銀行ではいわゆる福祉型信託といたしまして、例えば特別障害者扶養信託でありますとか特約付金銭信託を受託してございます。

それで、この特別障害者扶養信託と申しますのは、親族や篤志家等の個人が委託者となりまして、重度の心身障害をお持ちの方を受益者といたしまして、信託銀行に金銭等を信託するものでございます。この特別障害者扶養信託では六千万円を限度として贈与税が非課税とされておりまして、その取扱残高は平成十八年三月末で千三百二件、二百九十一億円となっており、特別障害者の方の生活の安定のニーズにこたえているものと考えてございます。  それから、特約付金銭信託でございますが、これは配偶者や親族等が委託者となりまして、高齢者や障害者等が受益者となることを想定しておりまして、信託目的、信託期間、財産の受取人、信託財産の交付時期、交付額、交付方法等を自由に定めることができるものでございます。これによりまして、資産の管理運用を専門家たる第三者にゆだねることにより、資産の有効活用を図るとともに、詐欺的商法からの自衛等を図る、それから自己の生前又は死後の財産の使用目的、処分方法を定め、これに従って第三者が信託財産の管理処分を行うことにより、自己の望む目的に向けて資産を活用するといったニーズにこたえているものというふうに考えてございます。

 

 

 

 

 

○簗瀬進君 これは、法務省の方にちょっと通告外かもしれませんけれども、常識問題なので聞かせていただきたいんですが、いわゆる信託法の倒産回避機能というのがあるんですけど、今の例えば一千件以上の福祉型の信託があるんですけれども、そのときに、委託者が倒産をした場合は、委託者がその信託をした金銭についてはどのような扱いになるんでしょうか。

 

 

 

 

政府参考人(寺田逸郎君) この金銭は既に受託者の下にあるわけでございますので、これについては、委託者の倒産は、委託者の債権者はこの金銭にはかかっていけません。  ただし、再三申し上げておりますとおり、詐害行為の可能性が、今申し上げたようなところであるかどうか分かりませんが、理論的にはあり得るわけでございますけれども、その場合には詐害行為取消し、あるいは自己信託の場合ですとそのまま強制執行できるということになりますけれども、そういう例外はございますけれども、原則としては、先ほど申し上げましたとおり、委託者の倒産は受託者の下にある金銭には影響を与えないということでございます。

 

 

 

 

簗瀬進君 それから、これからの自己信託の話に入っていく前提として、よく我が国は委託者が受益者を兼ねているという受益信託の例が非常に多いと、こういうふうな話を聞くんですけれども、実態的にはこの受益と他益という言葉が、他益という言葉があるかどうか私は存じませんが、受益信託の全体の中で占める割合というとどういうふうな認識をしておいた方がよろしいんでしょうかね。どちらでも。

 

 

 

政府参考人(寺田逸郎君) これは、おっしゃるとおり、投資信託あるいは貸付信託というのが今の信託の中ではメーンに当たるような信託でございますけれども、こういうような信託は受益も他益もあるわけでございますけど、一般的には、貸付信託は受益信託であり、投資信託は他益信託であるということが多いというように私どもは理解をいたしております。

 

 

 

 

簗瀬進君 それから、今回の法律でも、たしかあれは九条だったでしょうか、地位の兼併というようなものが、八条ですね、地位の兼併という規定がございます。受託者は受益者として信託の利益を享受する場合を除きというふうなことで、そこにいわゆる受託者イコール受益者と、こういうふうな地位の兼併の場合が認められているわけでございますけれども、実態として、このような受託者イコール受益者という形になっているのも実例としては相当あるんでしょうか。これはどちらでも。 政府参考人(寺田逸郎君) 私は、これ現状としてはないものと理解をいたしております。

 

 

 

○簗瀬進君 以上、大体その信託の我が国の実態について聞かせていただきましたので、金融庁、結構です。

 

今の話を前提にいたしまして、自己信託についてちょっと聞かせていただければと思うんですけれども、問題は、いわゆる自己信託が信託宣言等で行われました。委託者イコール受託者になっている。それから、今のような地位の兼併も法律で認められるということで、実情はないけれども、やろうと思えば受託者が受益者になることもできる。そして、委託者は、先ほど来お話にあるように、受益者であることもできると。という話になりますと、一つの人格の中に委託者、受託者、それから受益者と三つの顔を持ってしまう三重人格者みたいな状況がまずは誕生するんですね。そのまま静かにしていてくれればもちろん何もないんですけれども、そこに受益証券というようなものが、発行することが認められるようになってまいりました。そうしますと、受益権を受益証券化して、そして受益証券のままで委託者兼受託者が持っている状況というようなものもスタートラインにはあるわけです。まず、それが出発点になると思うんですね。そこから先ほどのライブドア的な話で、これを悪用しようと思うと、いろいろな形で悪用できるのかなという感じに私はなってくるのではないのかなという、そういう懸念を持っておりますんで。

 

 

 

 

まず第一番目に、今のような状況の場合に、いわゆる信託財産の対象、これの一番スタートラインにおける帰属関係というのはどういうふうに見ておいたらよろしいのかなということを聞かせていただければなと思います。

 

 

信託財産の中にもいろいろありますよ。もう何でもありの信託法という感じですから。だから、例えば、動産もあれば不動産もあれば、あるいは新しい法律でいわゆる動産担保法ができましたんで、集合動産もある、それから集合債権もある、それから、もちろん特定の債権もある。それから、事業という形では事業体もあり得る。こういうようなものが全部信託の対象になり得ると、こういうふうな状況になってきて、そこに自己信託あるいは業務信託、先ほどの地位の兼併、受益者イコール受託、委託者と、こういうふうな三当事者が一体になっているような関係になってきたときに、まず最初は、それはだれが持っていても構わないんですけれども。

 

 

 

 

 

そこで、ちょっと質問を、これは金融庁の企画官はまだお残りですよね。まず、そこから聞かせていただきたいんですけれども。  最初に、動かさない状況であれば、これは受益証券を発行したとします、受益権が受益証券化しているということを前提にしますけれども、そうしたときに、その受益証券をどこの勘定に書いておったらいいのかなという会計基準の問題が出るだろうと思うんですね。

 

 

 

 

 

これは、衆議院の実は参考人の質疑でも、橋上参考人がその問題を指摘したところでございます。すなわち、例えば今の自己信託の場合に、委託者を連結親会社、それから受託者を連結子会社、こういうふうにしたときに、例えば発行した受益証券をどの時点でいわゆる親会社の方の財務諸表に計上しておいたらいいのか。それをどの時点でいわゆる信託先の受託会社に入ったと認めたらいいのか、それを外部的に何でチェックしたらいいのかなという問題が出るわけですよ。それについては金融庁、どう考えていますか。

 

 

 

 

政府参考人(畑中龍太郎君) お答えを申し上げます。

 

一般的に、会社が財産を信託した場合には、その会社が当該財産に係ります信託受益権を第三者へ売却等をしないまま自ら保有する場合には、信託財産について貸借対照表からオフバランス、切り分けといいますか、切離しは認められないことになります。

今御指摘の自己信託やいわゆる事業信託につきましても、その会計上の取扱いは通常の信託における取扱いと基本的には同様であると考えておりまして、オフバランスが認められない場合には委託者の財務諸表に信託財産が計上されることになるというふうに考えております。また、受益権の売却先が委託者の子会社や関連会社である場合には、委託者の連結財務諸表に当該信託財産が反映されることになるものと考えております。

 

 

 

簗瀬進君 連結子会社に売却した場合は、それでも連結財務諸表の方に載せられるということですか。いわゆる信託勘定の方には載らないんですか。

 

○政府参考人(畑中龍太郎君) お答えいたします。  連結財務諸表には計上されることになりますが、そのタイミング、今御指摘のどの時点かということにつきましては、企業会計基準委員会、ASBJにおいて現在検討が行われているところでございます。
 

 

○簗瀬進君 現在検討が行われているということは、どの時点で親会社から子会社に移ったのか外部的には明らかになる時点を立法者としては特定できないにもかかわらず、この法律の制定を進めているということになるわけですよね。そうお聞きしてよろしいんですか。
 

 

○政府参考人(畑中龍太郎君) この点についてはこれまでも御質疑がございましたけれども、自己信託をめぐります会計上の取扱い、連結の問題も含めまして、これは民間でございますところの企業会計基準委員会が検討をし、その結果を待つということでございますので、この法案が施行されるまでにそういった結論が得られることを期待しているところでございます。
 

 

○簗瀬進君 受益証券が出ました、それを、受益権を受益証券化して、それを例えば信託勘定にやっぱり最終的には載せるべきだと思うんですよ。  受益証券の裏付けになっているのは、言うならば信託対象の財産、それが受益証券のある意味での引き当てですから。それがどの時点ではっきりと表に出るようになるんですか。あるいは、どの時点で財務諸表あるいは信託勘定の上からチェックできるようになるんですか。投資家、債権者はそこを見ているわけですよ。どうなんですか、それは。
 

 

○政府参考人(畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、会社が信託財産、財産を信託した場合に、その会社が当該財産に係る信託受益権を第三者に売却等をしないまま自ら保有する場合につきましては、信託財産について貸借対照表からのオフバランスは認められません。また、他方、信託受益権を第三者に売却等をした場合についてはオフバランスが認められるということでございます。
 

これは委託者と受託者が同一である自己信託等についても、その会計上の取扱いは通常の信託と同様であると考えておりますが、その具体的な細目については、先ほど申し上げましたように、企業会計基準委員会で検討が行われるということでございます。

 

 

 

 

○簗瀬進君 正に第三者じゃないわけですよ。委託者イコール受託者なんですよ。  私の質問は、連結親会社と連結子会社という形でそれなりに分けられるような質問をさせていただきましたけれども、これが事業信託という形になりますと、外部的には親子会社の形を取っていない場合だってあるわけじゃないですか。だから、その時点では信託勘定というようなものを立てて、そこにきちんと受益証券というようなものを位置付けるというふうな手続が行われないと、外部的にはチェックできないんですよね。第三者じゃないんですよ、今の質問は。自己信託ですから、第三者とは言えないんですよ。
 

 

だから、どちらなんですか。自己信託の場合に、受益権があって、それが証券化されて受益証券ができましたと。受益証券をどの勘定に載せるんですか。委託会社の勘定に載せるんですか、受託会社の勘定に載せるんですか。どの時点でその手続をするんですか。

 

 

 

委員長(山下栄一君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕

 

委員長(山下栄一君) 速記を起こして。 政府参考人(畑中龍太郎君) お答えいたします。  信託財産は信託勘定に載ることになりますが、実質的な受益権の保有者については、先ほど申し上げましたように、オフバランスされるかどうかということで判断をされるわけでございます。 簗瀬進君 やっぱり答えになってないですね。実質的というのはどういうことですか。

 

 

 

政府参考人(畑中龍太郎君) これが正に今、企業会計基準委員会で議論されているところでございますが、通常の信託でまいりますと、これは実質的な支配を及ぼしているかということで様々な基準があるところでございます。  土地の場合のように不可分性のものについてどうかと、あるいは金銭債権のように可分性のものについてどうかということについて、実質的な支配の観点から基準が定められておりますが、これは現在の信託についての取扱いでございまして、今回新しく導入される自己信託については、先ほどから申し上げておりますように、現状の取扱い、あるいは国会等での御審議を踏まえて、現在ASBJで検討を開始したということでございます。

 

 

 

 

 

○簗瀬進君 今の設問に対して、立法を担当なさった法務省の民事局長、どう考えます。
 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) まあ、会計上の扱いでございますので、信託法の民事法的側面から申し上げますと、これは自己信託が設定されますと、その設定されたのが効力を生ずるのは、当然のことながら公正証書が交わされたとき、あるいはその確定日付で通知がなされたときでございますので、その瞬間に実質的に、財産の帰属ということになりますと、信託側に財産の帰属が行われることになるわけでございます。

 

それで、今委員のお話のように、そこで受益証券が発行されますと、その受益証券を持っている人というのがその瞬間にその財産を実質的に持っているかどうかという議論になりまして、それは会計上は、先ほど畑中審議官の方から御説明申し上げているように、従前の信託と基本的には変わりないというように考えられるわけでございます。

 

 

ただ、それをどのような形で外部的に会計上、つまり投資家の保護の上で明らかにしていくかということは、これはいろいろな方法が考えられるわけでございまして、基本的には私どもは会計監査人等がそこでも一定の機能を持つんではないかと考えておりますけれども、いずれにいたしましてもASBJの方で御議論がなされるということでございますので、私どももその動きというものを注視してまいりたいと、このように考えているところでございます。
 

 

 

 

○簗瀬進君 答弁が明瞭に食い違っているじゃないですか。法務省は公正証書という一種の、外部的にきちんとできる、そういう瞬間で、言うならば受益証券、これが移動するというお考えですよ。だけれども、金融庁は実質というふうにおっしゃっている。どっちなんですか。

 

 

 

委員長(山下栄一君) どっちが答えるのかな。

 

簗瀬進君 金融庁どうなの、金融庁。法務省はああ答弁しているけれども。

委員長(山下栄一君) 答弁できますか。  速記止めてください。    〔速記中止〕

委員長(山下栄一君) 速記を起こして。

政府参考人(畑中龍太郎君) お答えいたします。

それぞれの側面からお答えをしておりまして、法律上は今法務省から御説明がございましたように、公正証書等でその確認をするということでございまして、会計上は、先ほど委員も御指摘になりましたように、実質的な支配といいますか、そこの観点からどの者が所有をしているかということを判定していくということでございます。

簗瀬進君 まだ食い違いは僕は全く取れていないなと思うんですよ。

公正証書に書かれていることは、実質を明らかにするのが公正証書でしょう。公正証書を作る意味がないじゃないですか、それは。  法務省、どうなんですか。

政府参考人(寺田逸郎君) 私が申し上げております財産権の移転というのは、それによりましてどちらの債権者がどういう権利関係に立つかということが一番の分かりやすい徴表でございますけれども、そういう時点はどこかということについて申し上げているわけでございます。

 

 

 

これを、実質的に財産権が帰属している者を更に会計上どう把握していくかということになりますと、これは今申し上げた観点だけからは決まらない問題でございますので様々な御審議が行われていると、このように私どもは理解をいたしておりますので、もちろん自己借地権の設定の効力が法律上生ずる、先ほど申しました公正証書がなされて、それが受益証券化されているんであれば、受益証券が発行された時点以前にそのような帰属の関係が移動するというような問題は生じないことは私どもも法律上の観点からも言えるわけでございますけれども、それ以後、じゃどこの時点で実質的にその会計上どちらの勘定に移すべきかというようなことは、これは会計の立場から独自にお考えになる余地が十分にあろうかと思っておりますので、私どもはここの一点をもってその全体の構図にそごが生じているというようには考えてはおりません。

 

 

 

 

○簗瀬進君 善解をすれば、公正証書が作るところがスタートラインだと。だけれども、それからじわじわと外部的に動いていくような、そういうお話で、それを見ているのが金融庁かなというふうな、そういうふうに善解を、優しくしてあげますとね。  じゃ、その次の質問が来るわけですよね、委託と受託。それで、受益証券出ていますと、受益証券はまだ束として現物はあるけれども、それが委託者、受託者、これは同一ですよ、そこにあったとして、それが実質的にどういう形で移っていくというふうに見るんですか、金融庁は。証券化されているんですよ。例えば、信託財産に十億の債権や土地の物件があったとする、それを裏付けにして信託証券が一千億株出ていると、そういう例で答えてくださいよ。はい、金融庁。
 

 

 

○政府参考人(畑中龍太郎君) 先ほどからお答え申し上げておりますように、財産権等の法律上の権利の帰属という観点から法務省からお答えがございました。会計上は、それのみならず、実質上のどのような支配が生じているかということでございますので、今お尋ねのケースにつきましても、実質上どのような支配が生じているのかという観点から検討するということになると思います。

 

 

 

簗瀬進君 それじゃ、実質上の支配の移り変わりというのは、自己信託の場合は委託者から受託者というような、その関係の中ではあるんですか。財産が動かない、証券がそのまま残っている、そういう状況の中で実質的に委託から受託者に動くということは前提としてあるということお考えになっているの。

 

 

 

政府参考人(畑中龍太郎君) 信託財産は委託者と受託者の間で当然動かないわけでございますが、信託受益権は委託者イコール受託者から受益者の方に動くわけでございます。そこでの実質的な支配が移動しているかどうかということを申し上げているところでございます。

 

 

 

簗瀬進君 そうすると、受益者と委託者、言うならば一体の中で持ち合っている間は、例えばその財務諸表上の挙げ方をいわゆる委託会社の財務諸表から信託勘定の方に移すことはないということですね。それでいいんですね、そういう考え方で。
 

 

○政府参考人(畑中龍太郎君) 御指摘のとおり、委託者イコール受託者の中にとどまっている場合には同一の同じ表示になるということでございます。

 

 

簗瀬進君 その場合は、もう一回確認しますけれども、委託者の方の財務諸表に載せられているということですね。

政府参考人(畑中龍太郎君) 委託者の方でございます。

簗瀬進君 やがて受託者の方には信託勘定が立ちますね。

政府参考人(畑中龍太郎君) 御指摘のとおりでございます。

 

 

 

○簗瀬進君 その次の質問になるんだけれども、受益証券が一千株と先ほど言いましたね、十億の裏付けで一千株。一千株が少しずつ売られていく、一千株が同時に例えば第三者にばあんと売られればそれは簡単なんだけれども、じわじわと売られていく例が普通じゃないですか。一〇%、二〇%、三〇%と売られていく。そういう状況で、じゃ信託勘定はいつ立つんですか。また、信託財産はそこにどう記載されるんですか。そこをどう見るんですか。
 

 

 

○政府参考人(畑中龍太郎君) 現行の会計上の取扱いについてまず御説明申し上げますが、信託財産が不動産である場合につきましては、委託者が五%以上の受益権を有する場合には、原則、当該不動産全体について委託者の貸借対照表にそのまま計上されることとされ、いわゆるオフバランスは認められておりません。信託財産が金融財産である場合には、原則としまして、委託者が受益権を有する部分に限って当該金融資産の一部を委託者の貸借対照表に計上することとされ、受益権を売却した部分については、当該金融資産の残りの部分のオフバランスが認められるということになっております。
 

なお、自己信託についてこれがどのような取扱いになるかというのは、先ほど申し上げましたように、現在ASBJで検討が進められているということでございます。

 

簗瀬進君 今の例のように、不動産とか動産とかというのはもう物ですから、共有という関係はありますけれども、一つとしてまとまってどんと動くという、それは昔ながらの所有権の考え方の中で処理できるんですよ。ところが、受益証券という形になるとそうじゃないでしょう。これは有価証券です。すなわち、これ資産の流動化という、そういう何というか、プロセスの一番の肝心な部分は何かといえば細分化なんですよね。十億の例えば物件を証券化することによって、細かく割って買いやすくしてみんなに買ってもらう、それが言うならば資産流動化の意味じゃないですか。
 

正に、資産の流動化を図るという形は、一挙に移るということじゃなくて、じわじわと移っていくということを前提にした物の考え方なんですよ。にもかかわらず、その部分についての基本的な見解が示せない。どうなんですか、そういうふうな転々譲渡といいますか、じわじわと移っていく場合の移り変わりの場合にどの時点で支配の離脱というようなものが起こるか、明瞭に答えてくださいよ。それじゃなきゃ、会計基準にしても課税にしても、はっきりとできませんよ。一番のポイントなんです、ここが。
 

 

○政府参考人(畑中龍太郎君) お答え申し上げます。 今御指摘ございました受益権を徐々に売却していくような場合、これは現在の会計上の取扱いであれば、その徐々に売却したその時点ごとにオフバランスをするという形で処理されております。
 

繰り返しですが、この新しい信託類型については、こういった現状の取扱いも含めて、今企業会計基準委員会でということでございます。 簗瀬進君 オフバランスにするということは、逆に言えば信託勘定の方が増えていくということなんですか、それは。 政府参考人(畑中龍太郎君) 御指摘のとおりでございます。

 

 

簗瀬進君 正にそのような、非常に、じゃ日々変わっていくような状況というのを開示はどういうふうにするんですか、外部開示は。信託勘定の開示基準というようなものは何かあるんですか。
 

 

○政府参考人(畑中龍太郎君) お答えいたします。  開示は一定の時点、例えば期末等に開示をするわけでございます。

 

 

簗瀬進君 言いたいのは、受益証券がある。受益証券が出されるのは結構だけれども、それを期待して投資をする投資家がいる。その投資家はどこを信頼をして投資をするかといえば、受益証券の裏付けになっている信託財産があるだろうって期待しているんですよ。ところが、今の御答弁でも明らかなように、その信託財産がきちんと開示をされていないという、それを前提にしてこの信託法を作るわけですね。私は非常に問題だと思っております。  それで、この信託勘定というようなものを、受益証券の信頼性を高めるためにも、きちんとやっぱり当然外部監査の対象にしなければならないと思っておるんですけれども、その信託勘定についての外部監査は今度の改正法ではどうなっているんですか。
 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、外部監査が必要な類型の信託というのも当然登場してきているわけでございます。  信託には、再三申し上げているとおり、親戚同士でやっているものもございますけれども、おっしゃるとおり、受益者を保護するというようなタイプ、私どもは、これを受益証券発行され、しかも責任が限定されている信託ということで想定いたしておりますけれども、そのようなものについては、最終の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であるものにおいては会計監査人を必ず置かなきゃならないと、こういう規定を二百四十八条の第二項に置いているわけでございます。

 

 

 

 

 

○簗瀬進君 今、二百四十八条の第二項という規定が出ました。確かに、外部監査の対象として信託勘定を、この限定受益信託ということでそれを立法化している、そこは評価をします。

 

 

しかしながら、法律でこれは普通、政令に任せる、あるいは省令に任せる書き方が、書きぶりが多いところが、ここは二百億円以上となっているんですよ、法文の中で。二百億円以上って、庶民感覚からいうとすごい巨大なお金ですよね。そういうものにしか外部監査の対象にしないというのは、何かハードルが余りにも高過ぎて、逆からいえば投資家を危険にさらす、そういう機会が増えてしまうんではないのかなと。もっと二百億円じゃなくて低くしたらいいんじゃないですか、外部監査の基準というようなものは。どうですか。

 

 

 

政府参考人(寺田逸郎君) これはおっしゃるとおり、ハードルを低くいたしますと、当然のことながら外部監査によって明らかになる、その対象になる会社が増えるわけでございまして、それは投資家の保護には当然寄与するわけでございますけれども、反面、非常にコストが掛かるということになりまして、それだけのコストに耐え得ることがかえって会社の業績にとってどうかというようなことを含めまして、いろいろと御批判も逆に出てこようというところでございます。
 

 

そういたしますと、私どもといたしましてはどうしても、これを信託以外の制度はどうなっているかという平仄の面から考えなきゃならないわけでございまして、法人、会社を始めといたします法人においては、この二百億円というのがもう会計監査人を置くべき基準として設定されておりますので、法人におけるこの基準と信託における基準を変えるべき特段の事情もないんではないかなというように考えてきているわけでございます。 簗瀬進君 まあ自己信託、この辺で切り上げますけれども、いずれにしても、未消化のままで立法をなぜ急ぐのか。正に、先ほど冒頭ライブドアの問題に触れられたように、ルールをきちんと整備せずに流動化だけ先行させていくことの危険性というようなものは、もうライブドア事件で見事に立証されているわけですよ。それと同じ轍を今度の信託法でやろうとしているんではないのかなと、こういう懸念を強く申し上げておきたいなと思っております。

 

 

 

 

実は、今回質問に当たりましていろんなインターネット等を探しましたら、ある税理士さんが作っているメルマガがありまして、なるほどな、こういう見方なのかと思いました。ちょっと読んでみますと、信託さえ掛ければ何であっても他人の財産を自分の財産のようにして運用することができます。不動産証券化ばかりではなく、信託の領域は広いものですと。こういうふうな認識の部分もあるのかなということで。

 

 

 

 

この税理士さんのメルマガの中で、ダイナスティー信託というアメリカの例が紹介されておりました。ダイナスティーというのは、英語で言うと王朝という意味だそうであります。ダイナスティー信託というのはアメリカでどういうふうな実態になっているのかと。これはこのメルマガに書いてあることなんで、本当かどうか分からないんで、それも確認をさせていただければなということで、このくだんの税理士さんがアメリカの弁護士さんに聞いてきた。ダイナスティー信託というのはどういうものかというと、所有名義を信託事業者に移したまま永遠に信託され続け、利益のみ相続人に分配され続けるようですと。そしてこのようにすると、資産の名義は信託を受託した業者名になるので、アメリカでは永遠に相続税の対象とならないとのことのようですと。

 

 

 

こういうダイナスティー信託、これと同じようなことが日本で行われたら、これは相続税、もう全くもう回避されてしまうのかなという感じがしますし、財産をお持ちの人は非常にうれしい信託法ができることにもなるのかなというふうな感じがするんですけれども、こういうことは今度の信託法の改正でできるようになるんでしょうか。
 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、ダイナスティートラストと申しますのは、基本的には相続税対策として英米法で認められているようでございまして、一般的な特徴は、非常に長期間、百年以上の期間で信託をして子供、孫、そのまた子供というように代々財産が実質的に引き継がれ、しかし相続財産は相続税の対象にならないという形になりますし、財産分与の対象ともならないということで、独立した財産をつくるという効果があるわけでございます。  これは、我が国においては、現行法の下においてはそういう規定がございませんので、まあ有効だという学説もないわけではございませんけれども、基本的には認められないのではないかという考えも相当ございまして、疑いがあってなかなかできないという、実際上はできないという、そういう現状にございました。
これにつきまして、財産を子供あるいは孫にきちっと確保したいというような観点から、後継ぎ遺贈というようなものが一般に提唱されておるわけでございますけれども、遺贈ではこのようなものは認められないのでこれを信託としてはどうかと、これは信託の場合には財産そのものではなくて受益権というのが子、孫に行くわけでございますけれども、そういう議論がありまして、結局、限定された範囲でこれを認めてはどうかということに落ち着いたわけでございます。それが九十一条にございます、三十年を経過した後に、その時点で存する受益者が受益権を取得すると、こういう信託においては、受益者が死亡するまであるいは受益権が消滅するまでの間その効力を認めていくということにいたしたわけでございます。

 

 

 

これについてはその中間試案の段階でもいろいろ御意見を伺いましたけれども、余りに長期なものはやはり、今委員が御指摘になりましたようにいろんな観点から適当でないという御意見がございます一方、しかしこれからは、やはり中小企業の方のそういう営業の継続というようなことも併せ考えますと、やはり一定の範囲では認めるのがいいのではないかというお考えが強かったものですから、その一定の範囲を三十年にして、このように新たに登場させているものでございます。

 

 

 

 

 

 

○簗瀬進君 時間も迫ってまいりました。  財務省、お見えになっていると思うんですけれども、いわゆる今回の法改正で認められた後継ぎ遺贈型受益者連続と、そういう場合の相続税はどういうふうなお考えでございましょうか。
 

○政府参考人(佐々木豊成君) お答え申し上げます。  現在の相続税法におきましては、ただいま御議論になりましたような後継ぎ遺贈型受益者連続信託というものを念頭に置いた規定がございません。現状におきましては、こういう信託に対して相続税の課税ができないという可能性がございますので、相続税の、場合によっては租税回避に用いられるという懸念があると考えております。  これにつきましては、今度、十九年度税制改正におきまして議論がございます、改正におきまして適切なる対応をしてまいりたいと考えております。

 

 

 

簗瀬進君 会計基準やら税制改正にみんな先送りをしながら、なぜ信託法を急ぐんでしょうかね。ちょっと私は理解はできない部分はございます。ただ、福祉型信託等のそういう新しい分野を開拓をすべきだと、こういうことについても、それは十分な理解もあるわけでございますけれども。  そこで、弁護士の皆さん、参考人でお立ちになった際も言われておりましたけれども、いわゆる業法三条との関係で、弁護士がそのままの形ではなかなか信託の担い手になれないという形になっております。この業法改正が、やはりある意味では福祉型信託というようなものを拡大をしていくために喫緊の課題なんではないのかなと思っております。
 

そういうポイントから言ってみると、この業法改正、もうこれは本当に急ぐべきなんではないのかな、あるいはもうその方向性を明らかにしながら期待にこたえるべきなんではないのかなと思っておるんですけれども、これについては金融庁はどうでしょうか。 政府参考人(畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  高齢者等の将来の生計を維持するために一定の財産を信託するといったいわゆる福祉型信託につきましては、今後、高齢化社会が進む中でニーズの増加が予想されるところでございまして、これらの担い手を弁護士やNPO等にも拡大すべきとの御指摘があることはよく承知をしております。

 

 

 

 

これを、民事信託ではなくて、今ございましたように一般に営業として行う場合どう考えるかということでございますが、これはすべての信託に共通する考え方でございますが、当該業者と多数の顧客との間には情報量や交渉力の差が生じ得ると。これに加えまして、信託は実質的に顧客のものである信託財産を業者が自己名義で管理運用するという特質がございますので、事業者側に特に高い信頼性が求められるところでございます。したがいまして、多数の受益者保護のため、受託者に管理運用上の義務を確実に遂行させるよう、参入規制でありますとか行為規制を課す必要がございます。

 

 

 

 

そこで、いわゆる福祉型信託を営業として行って、これに必要な業規制を課すという問題を検討する場合、例えば福祉型信託とそれ以外の信託をどのような基準で切り分けていくのかと。また、委託者、受益者が高齢者等でございますので、こういった方々である場合には、適切な委託者、受益者保護を図るためにどのような枠組みが必要かと。さらには、顧客の財産を自己名義で預かるということで、銀行業、保険業その他、他の金融業態に関する法制度との関係をどのように考えるかという問題もございます。

 

 

 

 

 

 

また、最低資本金要件等の参入主体以外の参入要件も多数ございますので、この辺りをどう考えるかといった多岐にわたる問題がございますので、実態をよく踏まえまして多角的に検討を行う必要があると考えているところでございます。  いずれにいたしましても、国会で附帯決議をいただいておりますし、また今回の法案の衆議院法務委員会における附帯決議でも、今委員御指摘ございましたように、弁護士、NPO等の参入の取扱い等を含め、幅広い観点から検討を行う旨の御指摘をいただいておりまして、前回、業法の改正法で予定しております施行後三年以内の検討の中で検討を深めてまいりたいと考えております。

 

 

 

 

 

 

簗瀬進君 正直申し上げますと、民主党の中でも、この信託法については、先ほど来もう答弁で明らかになっているように、自己信託で受益証券が出された場合に会計基準もできていない、そういう状況の中で本当の意味で投資家、債権者保護ができるんだろうか、市場にいたずらに混乱を与えることが分かり切っていながら資産の流動化だけ先行させていったという、言うならば、我々が繰り返してはならない過ちをまた繰り返すんではないのかなという議論がございました。

 

 

 

ただ、そういう議論が一方でありながら、やはり福祉型信託、また倒産回避のために、障害者のため、高齢者のため、あるいは子供たちのために新しいこの信託の世界を切り開くべきだ、こういうふうな思いも大変強いものがございました。結果として、まあその思いの方が勝って賛成というふうな方向に回っていったわけでございますけれども、そのポイントがこの担い手問題なんですよ。その点を重々御理解をいただきたいなと。でありますから、弁護士、NPO等々の福祉型信託が更に広がっていけるような、そういう業法改正を急いでいただきたいと思います。そういう意味では、法務大臣も、側面から是非とも援護射撃をお願いをしたいと。

 

 

 

 

それとともに、今申し上げたように、やはり立法者の態度として、新しい法制度をつくっていくというのは、それは重要ですし、それに取り組まれる勇気ある態度ということもこれは評価申し上げます。大変な御苦労の中でこの信託法を上げられたんだろうなと、こういうふうに思っております。ただ、今日の質疑、答弁の中で、答弁が再三止まりました。やっぱり見解が基本的な部分で固まっていない、だから答弁できない、会計基準に先送りをする、こういうふうな状況が続いているということは今日のやり取りでも明らかになったわけです。正にそういう意味ではライブドア事件が、この信託法絡みで受益証券でまた二、三年後につくられてしまうんではないのかなと、そういうふうな懸念も持っております。  そういう意味では様々なメリットとデメリット、これは岡田委員もまた私どもも指摘をさせていただいてきたところでございますけれども、こういうようなものをしっかりと把握しながら信託法の新しい世界を切り開いていく、いかなければならないと。そういう意味で大臣の決意を最後に聞かせていただいて、質問を終わりにしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

国務大臣(長勢甚遠君) 今回の信託法の改正は、各方面からの強い要望を踏まえて、専門家の方々の大変長い間の検討の結果立案をしたものでございます。また、当委員会を始め国会でも大変な御議論をいただいてきたわけであります。  これは一般論でございますが、どうしても生活の利便あるいは経済の活性化という目的が先行しますと、それの裏に潜むいろんな問題を見逃しがちでございますし、また私も役人経験がございますが、いろんな問題点を十分精査したつもりでも、世の中には相当、もっともっと、いい意味か悪い意味か分かりませんが、知恵のある人がたくさんおりますので、しまったということもなかったわけではありませんので、そういうことはやはり十分我々もまた立法府においても慎重に考えなければならない問題だと思います。

 

 

そういう意味で、先生の御指摘等々を我々十分踏まえて、これは大事なやらなければならない法律だと思いますので、こういう問題が生じないように万全を期していかなければならないと思っております。

 

 

 

 

 

 

○簗瀬進君 終わります。

 

 

 

 

 

木庭健太郎君 この信託法、なかなか一面では非常に難しい法律で分かりにくい、国民にとって分かりにくい面もあるんですけれども、様々な論議をして今日を迎えているわけでございまして、もちろん今回の信託法の一番の目的は八十年ぶりの大改正ということで、全面的な改正と。一方で、今もずっと議論がされましたが、事業信託というものを念頭に置きながら、言わば経済的な効果という意味でそういう面もいろいろ探りながらの大改正になっていると。ただ、そこには、今も御指摘があったように、様々なこれをやっていく上での問題点もあると。そこはもう是非、大臣も今決意表明されましたが、そういった方面については是非是非これからも検討を更に進めて、今、簗瀬委員がおっしゃったように、変な事件にこの改正がつながったというようなことが一言も言われないような形に仕上げていかなければならないということを痛感をしながら議論をさせていただきたいと。

 

 

 

 

その一方で、今日は、この信託の今回の改正の中で一番、ある意味じゃ国民、普通の人たちにとってみて一番どういう改正がメリットが出るかというと、それはこの福祉型という先ほどから皆さんがおっしゃっていただいた部門なんだろうと思います。言わばこれまでも、ある意味ではやりながら広がらなかったこの福祉型の信託というのがこれからこの改正によって具体的にどう広がっていくかという問題なんだろうと、こう思っております。

 

 

 

そこで今日は、私はこの福祉型信託の問題について整理をして御答弁をいただいて、今回の改正が言わばこの福祉型信託にどうつながっていくかというような点について是非御答弁をきちんといただければと思っております。  そこで、まず冒頭伺っておきたいのは、この信託を福祉の分野でも活用していくべきだという御指摘に関して、具体的にはどのような活用が提言されているのか、まず整理をしてこれをお答えをいただいておきたいと思います。
 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) この信託法案を立案する過程で、法制審議会を中心にいたしましていろいろ御議論いただいたわけでございますけれども、その中で出てまいりました御意見、あるいはその後中間試案に対するいわゆるパブリックコメントで出てきた御意見等を見ますと、比較的広く見られるのが高齢者の財産管理のための信託、すなわち将来自分が判断能力がなくなってしまうという事態にあらかじめ備えておく、あるいは自分が死んだ後に財産管理、先ほどお墓の管理も申し上げましたけれども、そういったことに備えてあらかじめ資産をどのように使うかということを決めておく、そういうことにまず一つ信託が利用できるのではないかと。

 

 

 

 

 

もう一つは、これは自分ではなくて自分の子でございますが、障害者をお持ちの方が、ケアを要するお子さんの扶養のために自分が事業をやっているその事業の影響を排して一定の財産を確保したい、あるいは自分の死後もその子の面倒がきちっと見られるようにしたいと。そういうことのために信頼できるだれかに財産を信託して、あるいはそういう方が見当たらない場合は自分がやってということで信託を利用したいと、こういうニーズがございます。
 

 

 

○木庭健太郎君 言わば、今局長が言われたことを整理してみると、一つは高齢者の財産管理のための信託であり、二つ目が親亡き後の子の財産を管理するための信託という問題であり、もう一つは障害者である子供に一定の財産を確保するというような形、これは自己信託に、論議のあったものにつながっていくんですけれども。

 

 

 

その今三つのちょっと言わば類型ということで整理をさせていただくと、まず最初の高齢者のための、高齢者の財産管理のための信託というものが、どういった形で設定をして、どんな形になるのかという一つの、言わば具体的にどんなふうな形になるかなという、仕組みが想定されるのかというのを教えていただきたいし、またそれをやることによってどんなメリットが出てくるのかという点も併せて御答弁をいただきたいと思います。
 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) これは例えば、御自分が少しもう意思能力がやや怪しくなってきたということが懸念される場合に、これが相当衰えてしまうという前に死後における資産の利用方法、これも併せて決めておきたいと、こういうようなことをお考えになって、自分の財産の全部を特定の受託者に信託をして、その管理運用にゆだねて、生きておられる間は毎月一定額のようなものを生活費として給付され、あるいは何か非常に管理が必要な場面ではその金銭を拠出して管理をしてもらい、それでさらに死後にも備えていくと、こういうようなことが想定されるわけでございます。

 

 

 

 

とりわけ、例えば老人ホームにお入りになりますと、自分が、そこに入居する老人ホームの月々の利用料をどうするかというようなことを、確実に払わなきゃならない。それから、これは非常に残念なことではありますけれども、老人をターゲットにする様々な悪徳商法等のようなものがございますが、こういうようなものから自分を切り離しておきたい。それから、自分の死後は自分の妻子がきちっと生活できるようにもしておきたい。こういうようなことをお考えになって、それに対する対応策として信託が設定されるわけでございます。

 

 

 

 

 

信託の利用としてこのような場面を想定すると、そのほかの場面よりは、一定の自分の既にある財産というものを、一定の目的を拘束して、期間も定め、どなたかに信用して預けるわけでございますけれども、制度設計が比較的自由にできるというメリットがまずございます。それから、第三者が資産運用の専門家であって信頼ができる方、こういう方が見付かれば非常にスムーズにこれが運用できるというそういうメリット、とりわけ、それほど非常に込み入った手続、あるいは高いお金を払わなくても利用できると、こういうメリットがあろうかと考えております。
 

 

 

○木庭健太郎君 今おっしゃったように、こういう信託をつくることで言わば財産をだまし取られたり、言わば訳分からなくなって浪費するというようなリスクは確かに回避できる問題になってくると思いますし、そういった意味では、この高齢者の財産管理をしっかりしていくということでは極めて有効な制度だと思うんですよ。  ただ、一方で、今おっしゃったみたいに、専門家に任せるという問題を御指摘されていただいたんですけれども、我々この委員会でも審議をして一つつくった制度の中に、成年後見人の制度というのを充実強化をさせたわけですけれども、言わばこの成年後見制度も、ある意味では高齢になって能力が衰えたときにはそういう人を選任して、きちんとそういう管理事務をやってもらうという意味で成年後見人という制度があるわけですよね。
 

じゃ、ある程度能力が衰えた人たちが、言わばこの福祉型信託も使う、そして成年後見人という制度もあると。この二つがダブった場合ですよ、言わば高齢者の生活とか監護とか財産管理ですか、こういった問題に対して、信託と成年後見という二つの制度がもしダブった場合ですよ、この二人の人が選任された場合、どういう関係になっていくのかなというのが分かりにくいところもあるものですから、この御説明もいただいておきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、成年後見制度ができておりまして、今かなりその利用が進んできているところでございます。この成年後見制度も、同じように、高齢化社会に対応して、その意思能力の足らざるところを補おうという目的でできているわけでございます。  ただ、この成年後見と、この今申し上げました信託との関係でいえば、成年後見の方は幅広く身上監護等にも目が行き届く、そういう可能性があるわけでございますけれども、この信託はあくまで財産管理ということを主としたものでございまして、しかも、その財産が本人の財産から切り分けられるという、独立しているというところに特徴があるわけでございます。
 

そういたしますと、二つ併存いたしますと、信託そのものは当然のことながらこの信託の受託者が管理をするということで財産管理が行われるわけでございますが、そこに成年後見のために後見人が付されるということになりますと、その後見人は、その場合は多分委託者兼受益者ということになる、その御本人というものの意思能力を受益者の立場から補うと、こういう立場に立たれる。つまり、平たく言えば、その高齢者の代理人的立場にお立ちになって、それに対して、受託者と受益者が対立関係にある場合にはその成年後見が非常に生きてくると、こういうことになろうかと考えております。
 

 

○木庭健太郎君 そして、もう一方の、親亡き後の子供、つまり障害者も含めてでございますが、そのために信託を行う。この仕組み、具体的にどういうものになるかと想定すると、まず、多分今、高齢者のケースでおっしゃっていただいたと同様に、言わば生存中に自己の財産を第三者に信託して、障害者の子供を受益者とする信託を設定をしまして、そして、その子供に対して毎月一定程度の給付をしていくというような、同じような仕組みになり、ある意味ではこれも、その障害者なり、その子供たちがだまし取られたり、浪費するリスクを回避するという意味での大きなメリットがあるんだろうと思います。
ただ、その中で、今回一つの事例として挙がってきているのが自己信託の問題でございます。特にその障害者のための信託の利用事例として、自己信託というこの新たな制度、今回つくる制度を利用する方法があるというのですけれども、これ、自己信託を利用して障害者のために役立てるというお話でございますが、この自己信託を利用した障害者のための役立てる仕組み、具体的にどういうことを想定をされていらっしゃるのか、そして、これについてもどういうメリットが、この障害者のための自己信託を組むということによってどういうメリットが出てくるのかと、その点についての御説明をいただいておきたいと思います。
 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) これはある程度の財産をお持ちの方が障害者のお子さんをどうやってその将来面倒見ていこうかという、そういう場合に考えられるわけでございますけれども、自らが委託者兼受託者となって自分の財産の一部について信託を設定して、子供を受益者にしておくと、こういう格好に信託の構成としてはなろうかと考えます。  この場合どういうメリットがあろうかということでございますが、当然、非常に裕福なお家庭で、第三者の例えば信託銀行のようなところにこれを信託を設定してと、お願いしてというようなことをできる方はそれでいいわけでございますけれども、そうでない方にとっては、やはりこういう、自分でこれをおやりになるということにメリットがあろうかと思いますし、また、この障害者の方がどういう状況にあってどういうことを実際してほしいかということを一番よく分かるのは、少なくともちゃんとしておられる限りではその親御さんだろうというふうに思われますので、そういう普通のケースを考えますと、やはり御自分で面倒見たいというお気持ちも当然分かるわけでございます。
 

 

しかし、自分の手の中にありますと、御自分が中小企業で事業なんかをなさっておられますと、倒産の可能性も全くないわけではない、その場合にでも子供が安心しておられるというのはやはりこの信託ということになろうかと思います。

 

 

 

 

 

○木庭健太郎君 そういう意味で、この自己信託というのは正に福祉分野で信託を活用するという意味において一つの大きなツールになるということでの御提案でもあるんだろうと思います。
 

つまり、この信託法そのものは八十年以上前にできた法律ですから、じゃ、福祉分野に活用するといっても様々にいろんな不十分な点もあったんだろうと思うんですよ。そういう意味で、今回の信託法案の中で、この福祉分野での信託の活用という面から見てどのような点でどんな見直しをなさったのか、その点についても説明をいただいておきたいと思います。
 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) 今までの信託法は、基本的には非常に規制色が強かったものですから、なかなか柔軟な設計ができなかったわけでございます。今度は、受託者の権利義務を見直しましたので、受託者がどれだけ義務を負うかということについて、信託行為によって幅広いレベルでのいろいろな設定をできるようにしておりまして、例えば、利益相反というようなことにおいても、実質的に利益相反しなければそれほど高い義務を課さないということは、例えば親が受託者になる場合を想定いたしますと十分にうなずけるところではないかと思います。
 

さらに、今までの信託法は、基本的には当事者同士でおやりになっていて、非常に異常なことがあると裁判所に登場していただいて何かを処理していただくというような格好でございますが、これは非常に敷居が高いと言っては、私の方から申し上げるのはあれですけれども、やはり裁判所に行くまでのことはない場面でその裁判所に行かなければならないというのは非常に不便でございます。

 

 

 

そこで、今回は、そうでなくてもある程度回るようなことで、幾つか第三者を設定して、その第三者に監督していただく、あるいは代理人になっていただくというような仕組みを考えております。とりわけこの福祉の分野では信託監督人の制度というのを設けておりまして、受託者が信託違反をしようとしている場合にこれを差止めするというような監視をするのをこの信託監督人という制度でもってできるようにしようということで、実質的に受益者が意思能力を欠いていても、こういうような第三者が登場して、それを補ってくれると、これをこの信託の制度の枠内で制度化したと、こういうところに新しい工夫があるわけでございます。
 

 

 

○木庭健太郎君 これからこの福祉分野にどう信託という問題が広がってくるかという問題は、もう先ほどからこれも御議論が進んでいるとおり、何が一番大事かといえば、もう一つは、この信託を受託する受託者、この範囲をどう拡大していくかという問題であり、ここに様々な規制があった中でそれをどう広げていくかというのが一番の視点になっているんだろうと思います。
金融庁から先ほど御答弁はありましたが、是非とも、この受託者の要件に関するお取組というのを是非これは強めていただきたいし、できるだけ言わば幅広い形でこういった問題に取り組む人々が増えるという方向で検討を進めていかなければならないんではないかと思っておりますが、金融庁に、是非この受託者の要件に関する今後の取組について、御答弁をいただいておきたいと思います。
 

 

○政府参考人(畑中龍太郎君) 今御指摘の問題については、先ほども御答弁申し上げましたように、高齢化社会の中でいわゆる福祉型の信託のニーズが高まっていくということは十分認識をしておるところでございます。  他方、業としてこれを規制する場合にどういう枠組みがあり得るかということにつきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、この福祉型とそれ以外をどういう基準で切り分けていくかとか、あるいは受益者の方が高齢者でございますとか障害者という弱い立場にある方でございますので、こういった方々をどのように保護していくかということが他の信託以上に重要になってくると思われます。
 

また、これはやはりガバナンスということが大事でございます。他人の財産を自己名義で信頼に応じて管理運用するというのが信託の本質でございますので、やはり受託者義務の中核でございます分別管理義務でありますとか善管注意義務あるいは忠実義務、これらが確実に果たされるようなガバナンスが確保されているかどうかという観点が大変重要になってくると思います。こういった問題について、今御指摘ございましたように、多角的に今後検討を深めてまいりたいと考えております。
 

 

○木庭健太郎君 もう一つ、公益信託関係についてちょっとお伺いをしておきたいと思うんです。  信託法、まあ八十四年ぶり大改正ということを言っていますが、基本的な見直しの課題は今回終了ということになるんですが、他方で、この公益信託問題については今回の改正では見直しが行われておりませんし、先送りというのかどうなのかは分かりませんが、ここで公益信託についての制度の見直しというのをどうお考えになられているのか、将来どういう方向性でこれをやろうとしているのかというようなこともお伺いしておきたいし、その場合、公益信託についてはどのような点で見直しが検討されて、その見直しのポイントとなっていくものはどういうものになっていくのかと、こういったものも含めて御回答をいただいておきたいと思います。
 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) 公益信託は、現行法の下では祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他一定の公益目的のためという目的が示されて信託の制度の枠内に認められているものでございまして、先ほどから申し上げておりますとおり、監督機能ということについて一般の信託とは別の仕組みにいたしております。  信託法案においても、受益者の定めのない信託を一般にこれが許容しておりますので、これと独立した公益信託に関する法律では、この受益者の定めのない信託というものの枠組みとしてはそれを使って定義の仕方をしているわけでございます。

 

 

 

 

 

これについては、新たな公益法人改革等ができ上がっておりますので、これに沿って見直しをしなきゃなりません。とりわけ、今のスキームであります主務官庁によって許可、監督が行われるということは公益法人ではなくなっているというそういうことでございますので、それに沿って十分に検討しなきゃなりません。その場合に、もちろん信託と法人の違いは十分認識しておかなければなりませんが、整合性を図るということは最小限必要になろうかと思っております。  そこで、これからできるだけ早く、これは関係官庁相当多岐にわたりますので、そういうところと御相談しながら同じ方向での改正を目指してまいりたいと、このように考えております。

 

 

 

 

○木庭健太郎君 お話あったように、この公益信託そして公益法人というのが類似の制度であるとしますと、その両者についての法規制の在り方は基本的に同様のものであるべきではないかと私は思うんです。

したがって、何を言いたいかというと、公益法人の制度について改革の動向、つまりこれを見つつ公益信託制度の在り方を検討するといっても、言わば基本的な発想ですよね。つまり、同様の方向性であること、公益法人と同様に一定の機関が公益性を認定して、これを受けた信託は税制上の優遇を受けることができるようにするといったような、せめてそういう基本的な方向が望ましいというふうに私は考えるんですけれども。もちろん、今お話あったように、法人とこの信託というのは制度的にも社会的な実態見ても異なる面はあるんですけれども、その辺を含めていろいろと検討すべき点があると思うんですけれども、この点、どのような点を検討するのか、必要があるのかを伺っておきたいと思います。
 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) 私どもも、今委員が御指摘になられましたように、基本的には今の目的信託のベースとなるこういう構成の仕方を言わば一階にして、それから更に特別に公益目的がある場合については、何らかの認定行為によってこれを公益としての存在たらしめると、こういうことが一つの有力な方向ではないかと考えているところでございますが。

 

ただ、公益信託については、果たして公益法人と同様の経理的基礎等が必要になるかどうか、あるいは会計監査人が設置されるというように決まっておりますけれども、これを同様にするかどうかと、あるいは税法上の優遇が受けられる受託者という者をどういう範囲に限定するかというようなことで、相当いろいろな多方面にわたる検討はなお必要になろうかと考えているところでございます。
 

 

 

○木庭健太郎君 最後に大臣にお伺いして終わりたいと思うんですけれども、今回の改正、もう皆さんが議論しているように信託法全体見直すもので、その際は是非、その経済的な利用の側面だけでなくて、福祉あるいは慈善活動などを促進するという側面、これをきちんと頭に入れながら改正したものを運用していくということを考えていただきたいと思いますし。
 

一応これで信託法全体の問題は終わるわけですけれども、今ちょっと御議論を始めて、時間があればもうちょっとやりたかったんですけれども、言わば公益信託等こういう問題については更なる見直しが必要な状況もありますし、また、これもちょっと議論できなかったんですけれども、受益者の定めのない信託の受託者の制限という問題、これも見直しが必要な状況というふうに認識しております。  最後に大臣に、今後どのような姿勢で信託についての見直しというものは、全体の大きな改正は終わりましたが、これについての見直しというのはまだまだ必要な部分があると思いますし、そういった部分についてどういう決意で臨まれるのか、大臣にお伺いして質問を終わりたいと思います。
 

 

○国務大臣(長勢甚遠君) 今回の改正に関しまして、受益者の保護の観点、あるいは濫用の観点等々いろんな観点からの御議論をいただきました。我々としても相応の体制を取って御提案申し上げてきておるわけではございますが、まだまだ残されている問題もないわけではないということは承知をいたしております。

 

 

 

今先生から公益信託についてもお話がございました。局長から答弁したような論点、残っておるわけでございまして、おっしゃるように、福祉その他信託が利用されやすくするには公益信託をきちんとしていくということが大変大事な問題であると思っておりますので、速やかに検討を進めて対処していきたいと思っております。
 

また、いわゆる受益者の定めのない信託の受託者の制限に関する規定につきましては、いろんな議論があってああいうことになっておるわけでございますが、この信託が様々なニーズに対応できる発展可能性が高い信託であるということでもありますので、今後、公益信託の見直しの状況あるいは受益者の定めのない信託の利用状況等々をよく考慮して、今国会でたくさんの議論をいただいておりますので、それらを踏まえて適切に対処していきたいと考えております。

木庭健太郎君 終わります。

委員長(山下栄一君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会 委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、信託法案及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 

質疑のある方は順次御発言願います。

 

 

 

 

 

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  今日は、高齢者や障害のある方々の資産の管理や、あるいは日常的な金銭の管理の実情がどうなっているかというところからまずお伺いをしたいと思うんですけれども、お手元に資料をお配りをいたしました。これは厚生労働省の資料ですが、多くの先生方は余り御存じないかもしれませんけれども、地域福祉権利擁護事業という事業がございます。これは、二枚目ごらんいただきますとお分かりのように、平成十一年の十月から今日までの累計の数で、一番上の問い合わせ・相談件数でいいますと百五十万件を超えるという大変多くの相談をこの中で受けていらっしゃるわけです。
 

 

この事業の概要、それから実施状況について、まず中村局長にお尋ねをいたします。

 

政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  地域福祉権利擁護事業は、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等であって判断能力が不十分な方々が地域において自立した生活を送ることができるよう、利用者との契約に基づき福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理等を行う事業でございます。平成十一年十月から事業が実施されておりまして、それから、法律上は社会福祉法という法律で十二年四月から位置付けられております。相談件数、利用件数とも年々増加しておりまして、平成十八年九月末現在までに、延べ相談件数が約百五十一万件、利用契約件数、御利用者の方は、延べ件数でございますが約三万四千件となっております。なお、この中には平成十一年からでございますので、亡くなられた方などございまして、十八年九月末現在、利用契約されている方は約二万人となっていると、こういうことでございます。
 

 

 

援助内容につきましては、事業実施は都道府県の社会福祉協議会及び指定都市の社会福祉協議会で行われておりますが、福祉サービスの利用援助、苦情解決の利用援助、そのほか住宅改造とか金銭管理等々の援助をしているというものでございます。

 

 

仁比聡平君 この事業は、今御説明があったように、一枚目の右下の枠組みの中にありますが、サービスの中身として四つの柱が挙げられています。  支援の実際の内容として、この事業を通じて高齢者や障害のある方々のどんなニーズを感じていらっしゃるか、その辺り、局長お願いします。

 

 

 

 

 

政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  先ほど、法律で社会福祉法の方で位置付けられているというふうに申し上げましたが、特にこういう高齢者の方々あるいは障害者の方々、福祉サービスの利用ということが一つニーズとしてございます。そういう福祉サービスの利用、なかなか御自身で手続を取ったりそういったことが困難なケースが多いので、そういったことについていろいろ御相談に応じ調整するというようなことがメーンになっております。
 

また、日常的金銭管理については正に日常的な金銭管理に関する援助が大部分でございまして、具体的には預金の払戻しですとか解約、預け入れ等の手続を御本人からの依頼を受けて行う、あるいは入院や医療費、福祉サービスの利用料の支払手続、それから、中にはなかなか日常的な金銭管理が難しくなっている方もおられますので、計画的な支出、家計のやりくりのための相談援助などが実際のニーズになっております。

 

 

 

 

 

○仁比聡平君 高齢者や、あるいは障害がある方々の一つの課題といいますか実情として、御自身で金銭の管理も含めてどういうふうに自己決定をしていくのかという、そこの判断能力が恵まれないという、そういう状況も往々にしてあるわけで、実際私も弁護士として相談を受けたことも幾つもありますけれども、その高齢者の持っている預貯金を始めとした資産あるいは年金ですね、こういったものを自分のいいようにしたいというふうに手を出してくる例えば同居をしていない遠い親族だったり、あるいは高齢者のそういう弱さに付け込んだ悪質業者だったりというようなこともあろうかと思うわけですね。あるいは、入所施設で痴呆の進んでいる方が、認知症の進んでいる方々がいらっしゃって、その収入が年金なんだけれども、その年金を実際上施設の側で入出金などの管理をお手伝いをしなければ利用料の負担などもなかなかうまくいかないという実情があるんだけれども、それを縁のある方がそういうやり方はおかしいというふうにクレームを付けられたときに困るというような御相談も受けたことがあります。
 

先ほど御紹介いただいたこの実施状況、全国でのこれだけの数の実情の中にはいろんな御苦労や課題もあろうかと思うんですが、これはお答えできる範囲で結構ですので、局長、何か感想ありましたら。

 

 

政府参考人(中村秀一君) 私ども福祉を担当しておりますが、従来福祉は措置制度と申しまして、御利用も市役所や町村の役場がいろいろ利用者の声を聞いて役場が決定すると、こういう仕組みでございましたが、平成十二年に介護保険制度ができたり、それから障害者の福祉制度も変わりまして、御利用者が自己決定をするという、契約に基づいて決定をするという制度が整備されてきました。そういった中で、改めて福祉の課題として、御利用者のそういう判断ができるかどうか、あるいは判断に非常に困難のある方の問題が出てまいりました。
 

 

それから、そういう従来の福祉ニーズだけではなくて、先ほど委員からも御指摘ございました、そういった方々に対して例えば訪問販売とかそういった意味での権利侵害が出てくるとか、多く、家族内の問題とか、そういう問題が出てまいりまして、本当にこの判断ができない場合は成年後見制度などございますが、その中間にあるような、障害程度は重くないけれども、そういった生活自立がなかなかできないような方々というニーズがございまして、そういった方々に対しまして、ただいま申し上げました都道府県それから指定都市の社会福祉協議会に専門員や生活支援員という相談員を置いて御支援申し上げているというところでございますが、何分いろいろ個々の事例、それこそニーズが多岐にわたりますので、そういったニーズに個別に対応するということが現場で御苦労されていることと承知いたしております。
 

 

○仁比聡平君 現場で、今局長から御紹介があったその現場での苦労というのは、福祉の制度の中ですから法的な明確な権限がどうこうというのではなくて、福祉的にというかケースワーク的にといいますか、それぞれのトラブルに対していろいろ御苦労されながら解決をしていかれているということなのではないかと思うんですね。

 

 

 

私、地元が北九州ですけれども、この北九州市の成年後見センターという取組がございます。ここは弁護士やあるいは司法書士の方々を中心にしたネットワークをつくって、それが社協の皆さんが行うこの地域福祉権利擁護事業などの取組と一緒になって同じ窓口で成年後見の問題とこの福祉の取組とを統一的にやっているということかと思うんですけれども、御存じの範囲で、北九州でどんな体制でこの取組が行われて、そして実施の状況として、これまでの相談件数と利用契約の件数と、それから現時点での実利用者数、この数字を御紹介ください。    〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕

 

 

 

 

○政府参考人(中村秀一君) 先ほど私どもの地域権利擁護事業の御説明申し上げました。この事業は、契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる方を対象にしてやっているものでございますが、先ほども申し上げましたように、認知症など重度になれば本人の意思決定が困難、できないケースも出てまいりまして、そういった場合には成年後見制度にお願いするということになりますので、言わば連続的にニーズが変化していくというようなこともございます。

 

 

 

北九州市の社会福祉協議会では、今お話がございましたように、そういった意味で弁護士や司法書士、社会福祉士など専門家の方々が参加して成年後見制度に関する相談を行う北九州成年後見センターとこの北九州市社会福祉協議会が連携を図ることによりまして、成年後見制度へのつなぎや新たな利用契約者の開拓に努めているというふうに承知をいたしております。
 

平成十五年四月の事業開始以降、相談件数、延べでございますが、千八百五十一件、利用契約件数百五十六件と聞いておりまして、現在、利用契約しておられる方が百五十一人と伺っております。

 

 

仁比聡平君 今数字が御紹介ありましたように、三年半で千八百件を超える相談件数なんです。これは月にならしますと四十四件ということになって、一日に一人以上の方々がそういう様々な御相談に実際にお見えになっていると。そのうちほぼ一割が利用の契約に至っておられるという、そういうことだと思うわけです。それだけ福祉的なこのような資産管理あるいは日常的な資金の管理に対するニーズが高いということかと思うわけですね。
 

 

それを踏まえて、この問題についてはいろんな課題がございます。先ほど申し上げたような、福祉的な対応の中で努力をしているけれども、もっと形が明確であればスムーズに問題が解決をするのではないかというふうに思われることもあるわけですけれども、そこで民事局長に、このような実情を踏まえて、信託という法形式を仮にここで活用するとすればどんなメリットがあるだろうかという点について、あるいは活用の可能性についてお聞きしたいと思いますが、どうですか。

 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) 今御指摘になりました地域権利福祉擁護協議会における取組、これは私どもも、日常的な金銭管理等のサービスが行われる、その意味では財産管理の側面があるというように承知しております。この仕組みは、現在のところはこの財産の管理に関する限り、具体的には預金通帳を預かるというような行為でございますので、寄託と委任と、そういう民法上の契約のベースで行われているというようにその部分については考えているわけであります。    〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
 

 

ただ、こういたしますと、個々の財産をそれぞれ独立させて債権者の手から守るというような面では必ずしも十分ではありませんし、これを信託で行わせればそのような不十分性は解消できるというメリットがまずあろうかと思います。つまり、協議会ということのいろいろな活動の中での債権債務からその部分の財産を独立させるという意味が出てくるわけであります。  第二に、信託形式でこれを行うというふうにいたしますと、善管注意義務、忠実義務、あるいは利益相反の禁止、競合行為の禁止、分別管理等の、人の財産を預かって独立させて一定の目的のために行為を行うというためのいろんな装置が働きますので、法律関係は一層明確になるというように考えられます。したがいまして、一つの利用形態としては十分に信託というのが活用できる場面であろうかというように考えております。
 

特に、高齢者においてはいろんな方からの被害というのが予想されるわけで、典型的には、非常に残念なことではありますけれども、例えば同居していない親族等から勝手に自分の財産を使われてしまう危険というようなことがあるわけでございますけれども、そういう面でも信託をしておけば極めて財産管理というのに制約が掛かりやすくなるので、それは有効であろうかと、このように考えているところでございます。 仁比聡平君 今実際にこの社協の現場で行われている事業というのは、今民事局長からお話があったような、利用者にとっての福祉の立場で、実際にはいろいろ御苦労があるけれども一生懸命やっていらっしゃるということだと思うわけです。そういう意味では、法的に信託という形式を取ってはいないけれども、今あるいは取れない状況にあるけれども、だけれども現実にはそういう機能を果たせるように御努力があっていると思うんですね。
 

その事業についてもいろいろ課題があると思いますから、そこは更に前進もしていただきたいと思うんですが、私が今日この点を取り上げたのは、ニーズがここにあるということなわけです。そして、そのニーズにこたえるために努力をしておられる方々がこんなにたくさんいらっしゃるということなんですね。そこにはもちろん弁護士も始めとした専門家もいますし、福祉の専門家もいらっしゃると。こういう方々の取組にこの福祉的な信託という法形式がより良い方向で活用ができるように私も努力をしなければならないと思うわけです。
 

具体的な信託のメリットとして少しお伺いをしたいと思うんですけれども、このような利用契約をされたんだけれども、そのときにはもちろん判断能力があったんですけれども、だけれどもその後に認知症が例えば進行して判断能力が失われたという状態、あるいは心神喪失の状態、意思能力がないというような状態になったという場合がございます。こういう場合にその利用契約の効力がどうなるのかということはやっぱりなかなか難しい問題を含んでいると思うわけですね。成年後見制度にすぐに移行できればいいんですけれども、ここはなかなかハードな要件もあって、加えて費用や報酬の問題もあって、その成年後見制度が十分にその場合にすぐに活用できるという状況にないということも一つの問題としてあると思うんです。
 

仮に信託形式を取っていた場合に、本人のそのような判断能力が失われた場合はどのようになりますでしょうか。

 

 

 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) これは民法上の契約でございますと、一方の当事者が意思能力が失われた場合に、その終了に影響がある場合とない場合、様々契約類型によってございます。しかし、この信託の場合には、この信託法案の百六十三条をごらんいただくとお分かりになりますとおり、受益者の意思能力の喪失というのは信託の終了原因ではございませんので、信託の関係がそのまま続く。むしろ、信託というのはそのような場合にも備えて有効な仕組みとしてむしろ広く知られているわけでございます。

 

 

 

すみれ

「意思凍結って163条からくるのかな。」

 

 

○仁比聡平君 成年後見との関係をもう一点、これちょっと通告していませんが、成年後見人としてすべての、後見を必要とされている方の身上監護の問題やあるいは資産管理の問題を成年後見人が自らすべてを行うと、これ相当大変な仕事になるんだと思うわけです。

そのような場合に、判断能力が失われて、成年後見人が選任をされたんだけれども、その資産管理の、日常的な資金管理のそこの部分については成年後見人が信託をして、そのことによって日常的な資産管理の実務は、例えばこのケースでいう社協のような立場の方、福祉的な立場の方あるいはNPOが行ってもらうというような形態になれば、成年後見ももっともっと進むんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、成年後見に付されている場合に、その成年後見の対象になる人の財産というのをどう管理するかということは、これは成年後見の後見人としては非常に重要な仕事の一部でございますが、その成年後見人が、これは法律の形式としては御本人の契約になりますけれども、主体となって財産というのを管理処分の一環として信託に付される、あるいは単なる委任でどなたかにお預けになる、これは法律としては当然できることでございます。むしろ、全部御自分でおやりにならずにそういういろいろな運用の仕方をお考えになるのも後見人の一つのお仕事であると思います。

 

 

 

 

 

○仁比聡平君 御案内のように、日本じゅう見ますと、そのような専門家ですね、弁護士や司法書士などの専門家になかなかアクセスすることが難しい地域に住んでいらっしゃる方々はもう本当に多いわけですね。ですから、成年後見だとか、あるいは裁判所だとかということを考えるのはちょっと思いも付かないという地域に住んでいらっしゃる、いわゆる司法過疎と言われる地域の方々がおられます。だけれども、福祉や自治体というのは、これはもちろんあまねくあるわけで、そこで頑張っていらっしゃるわけです。
 

 

そういう状況を考えますと、御親族がおられる限り、その高齢者のあるいは障害のある方の身上監護は御親族が一生懸命される。だけれども、資産の管理、財産の管理については、これはいろんな、まあ相続絡みなんかの問題もあったりして複雑になるので、ここはその利用者の方のための信託という形で財産管理を切り離してそういう担い手に任せるということも可能になるなら、専門家にアクセスがなかなか難しい地域でももっと高齢者の資産管理というのは良くなるのではないかなというふうに思いますが、そういう利用の形もあり得ますよね。
 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおりだと思います。現実には、確かに形としては身上監護を親族が行い、それから財産管理の方を信託を利用して行うというようなことでございます。実際には両者が相当連携していろいろな場面に対応していかなきゃなりませんが、そういう相互的な相まっての取組というのは非常に有効であろうというように考えております。

 

 

 

 

仁比聡平君 要は、そのような形での福祉型の信託が本当に必要とされているそのニーズのある方々のところに届いて、それを担っていく人たちが応援してもらえるのかどうかだということだと思うわけです。もう既に金融担当大臣にも私も昨日の連合審査で業法、信託業法の問題について改正をするようにということでお願いもしましたので今日は繰り返しませんけれども、結局一番ニーズがある方々のところにそれを受け止めることのできる担い手がいなければ、福祉型の信託というのは広がりようがないということになりますから、その点を改めて法務省としても是非強く政府の部内で検討をしていただきたいということをお願いをして、今日は質問を終わります。

 

 

 

 

 

○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。法案の最後の質問者になるんだろうというふうに思います。  午前中からいろいろ議論を聞かさしていただきまして、この改正法案の最大の問題点がやっぱり自己信託にあるんだなということを改めて感じましたし、また企業会計などの周辺のルールが必ずしも十分でない、未整備であると。こういう状況の下でどうしてそんなに急ぐのかなと、もう少しその辺の整備を待ってからでもいいんではないかなという思いが本当に強くなっております。
 

ダイナスティートラストなどというのは私は余りよく分かりませんでしたけれども、その問題点なども、まあ私は金がありませんのでこういうことは余り関係ありませんが、知りましたし、これに代表されるようないろんな問題、外国ではいろいろ行われていることがこれからこの法改正によって日本で実現されたときに、それに対応する様々なルールがまだ整備されていなくて、これから行われると、こういうことを聞くにつけても大変懸念をしております。
 

そこで、もうまとめ的な改めての質問のようで大変恐縮でございますが、そういう周辺の企業会計ルールなどが整備のないまま導入されますと、そういう中で受益権の流動化、これだけが急がれますと、脱税の問題だとかあるいは第二第三のライブドア事件の温床になりかねないという懸念、こういう懸念がこの間専門家だとかあるいは業界関係者から繰り返しなされ、今日の午前中来の議論を聞いておりますとそれが決して杞憂ではないというふうな思いがしてなりませんけれども、濫用の防止策、ちゃんと講じられているのか、条文上どのように配慮されているのか。  法務省から概括的な対策の話は何度も聞いているわけでありますが、本当に弊害や濫用を防止できると、大臣、自信を持っておっしゃることができるのか、お尋ねをしたいと思います。
 

 

○国務大臣(長勢甚遠君) 会計処理あるいは税務の取扱いについて非常にきちんとした体制をしなきゃならぬということはおっしゃるとおりでございまして、どういうところが問題かということも明らかになっておりますが、これらについては施行までにきちんとやるということでありますので、そういうことを我々は確信を持っておりますので、この会計処理、税制について専門家の方々においてきちんとした体制を取って施行されるというふうに御理解いただきたいと思います。
 

信託法案におきましても、当初からいろんな問題のないようにしなきゃならぬということは大きな論点でございまして、特に自己信託が濫用されて財産隠匿に利用されるというようなことのないようにしなきゃならぬということから幾つかのことを今までも御説明してまいりましたが、一つは信託法案第三条第三項及び第四条第三項において、一定の様式に従った公正証書等の書面によってするということを要求しております。また、信託法案第二十三条第二項において、委託者の債権者は詐害信託取消し訴訟を提起することなく、直ちに信託財産に対して強制執行等ができることとしており、さらに信託法案第十四条においては、不動産のような登記・登録制度のある財産については、信託財産である旨を登記、登録しなければ、信託財産であることを第三者に対抗できないこととして、濫用防止の措置を講じておるところであります。
 

加えて、信託法案第百六十六条において、脱税や財産隠匿といった不法な目的によって信託を設置した場合には、裁判所が利害関係人の申立てにより信託の終了を命ずることができることとしており、一般的に不法な目的による信託の利用への対策を講じております。
こういう考えられる対策を講じておりますので、脱税や財産隠匿といった自己信託の濫用は十分に防止をすることができるというふうに考えております。

 

 

近藤正道君 今ほど来のお話は、この間何度かお聞きをしました。そういう対策を取っているんで十分な立法上の配慮をなされているというふうに皆さんおっしゃるわけでありますが、ならば、なぜ自己信託だけ施行期日が一年先延ばしにされたのか。いろいろ与党の部会の中での議論もあったというふうに聞いておりますが、しかし、なぜその自己信託だけ一年先延ばしになったのか。政府の、法務省の方は周知期間、こういうふうにおっしゃっておられますが、その周知の徹底を超えた、やはり弊害の懸念がやっぱりあるんではないかと。ならば、一年などと言わぬで、もう少し時間を掛けてじっくり、先送りをして問題点をえぐり出してもよかったんではないかと、こういうふうに思えてなりません。
 

 

一番の問題は、民事信託にも自己信託を認めるということ、私はここがやっぱり大変気になるわけでありまして、金融庁の言わば監督でカバーし切れない部分がやっぱり一部あるわけでありまして、そういうことなどを考えますと、やはり問題は残らざるを得ないと。一年延期の裏にはそういう法務省としてもやっぱりこう埋め切れない部分があるんではないかと思えてならないんですが、重ねてお尋ねします。
 

 

○国務大臣(長勢甚遠君) 埋め切れないのではなくて、埋めるためにというか、そういう問題があるところをきちんとした議論をする必要があると、税法上あるいは会計上。ということで一年半後の更に一年、つまり二年半まで施行を延期をしておるという経過でありますから、その期間の中ではきちんとした対応が取れるということは専門家の先生方もおっしゃっているとおりでありますから、埋め切れないから長く掛かるんじゃなくて、埋め切るために長く掛かるというふうに御理解いただきたいと思います。

 

 

 

 

○近藤正道君 これも何度か出てきた話でありますが、信託についてはその法的な構造ということについて大きな学説上の対立があります。そういうことの学説の対立というものを背景にいろいろ議論がなされているわけでありますが、改正案の八条によって受託者と受益者との地位の兼併、これを一般的に今回承認したわけでございます。
 

 

これに対して、受益者保護、これを重視する、そういう立場の専門家の間から大変異論が出ております。受託者と受益者とは対立概念であって、信託のこれは基本なんだと、受託者と受益者が同一人であるというのは信託の否定にほかならないんではないかと、たとえ期間の限定を一年、こういうふうに定めたとしても、一般法である信託法で受託者と受益者の地位の兼併を認めるのは信託法のそもそもの否定だと、こういう指摘がありますし、しかも自己信託においては、午前中来繰り返し出ておりますけれども、委託者、受託者、受益者の地位を一人が担うという、こういう事態も許容されると、こういうことでございます。どうしてこれが信託と言えるのかと、これで受益者保護が果たして図れるのかと、こういう厳しい指摘が繰り返しなされているわけでありますが、最後でありますのでもう一度この点について民事局長の方からお答えいただきたいというふうに思います。
 

 

 

○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、この信託につきましては、所有権秩序から見ますと若干いろいろな工夫があるところでございますので、学説においてもいろいろな御見解がございます。  しかしながら、この信託の本質という点に関して見れば、基本的にはある一定の財産の譲渡というものが想定されていて、その財産の譲渡後にその財産に目的という面から見た拘束が掛かる。したがいまして、そこに、その目的に関連する受益者というのが登場すると、これが俗に本質としてかなり広く理解されているところでございますので。委託者と受益者が同一人になるということは、これは現実にもしばしばあり、また考え方の上でもそれほど異論があるところではありませんけれども、受益者と受託者が同一人になるということについては、これは相当信託の本質にかかわる問題だという御指摘もある、これは事実であります。
 

それはそのとおりでありますけれども、ただ、他方、現実の信託の利用の場面を考えてみますと、結局のところ、受益権というのをそれぞれ譲渡するという形が現実の姿でありまして、それには一瞬であれ自分はその受益権を持っているわけであります。それが一体いつまで許されるのかという非常に実務的な議論になりますと、それは二年、三年持っていても構わないんじゃないかと、こういう御意見から、まあそれはもうほんの形式的な一瞬でしか許されないんではないかという御議論までいろいろあるわけでございます。
 

 

そこで、ここは実務と信託の理論の一種の妥協ということになるわけでありますけれども、受益権を、こういう財産の保有した後にその受益権を売却、譲渡するということを可能にして、しかもそれほど弊害がない期間は何かというと、一年程度はやむを得ないんではないかという御議論に集約されたわけであります。  そこで、信託法は非常に暫定的な例外的な措置として、受託者が全部の受益権を取得しても信託は終了しないと、ただ、一年が経過した後は終了すると、こういう仕組みにしているわけであります。一時的に終了させないという限度での例外的措置で、信託の本質に真っ向から逆らおうということではございませんので、これを容認しようというところで意見がまとまったわけであります。  受益者がこの場合保護されるかどうかということでございますけれども、受託者と受益者が一致している場合には受益者を特に保護するという問題は生じないので、それを譲渡された後に受益者が監督すれば足りるということでこういう措置になっているわけでございます。
 

 

 

 

○近藤正道君 自己信託と同時に、大変濫用の危険、可能性を指摘されているもう一つの信託形態として目的信託というのがございますが、これについて衆議院でいろいろ議論した結果、修正が施されまして、別に法律で定める日まで受託者を財産的基礎、人的要件を満たす政令で定める者に限定する、こういうふうに修正が加えられました。これは評価したいというふうに思います。この修正のねらいでありますが、暴力団等の排除にあるというふうにいろいろ言われているようでございます。
 

 

確認の質問でございますが、政令で定める者の中に暴力団は含まれるのか、暴力団を確実に排除できるのか、お尋ねをしたいと思います。 政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、これは当初から一定の範囲の者でしか受託者になれないようなものとして構成するということで附則で掲げておりましたし、衆議院での御審議の結果、その趣旨をより明確化するものとして、先ほど委員が読まれましたような文言を付加することといたしたわけでございます。
 

私どもとしては、この財産的基礎という意味では、資本金等の額が一定以上の額を超える、そういう法人というものを想定しておりますし、その法人においては、その法人自体が暴力団である場合、あるいは暴力団等がその事業活動を支配するというものであるという以外にも、その理事、取締役等に暴力団の関係者がいるということを避けたいということで、具体的には罰金の刑に処せられて五年を経過しないという者でありますとか、あるいは禁錮以上の刑に処せられて五年を経過しない者というような数字的なものも加えますが、基本はそのような反社会的な勢力というものがこれに関与をすることのないように考えているわけでございます。
 

規定の上ではそのとおりでございますけれども、これは事前にそれをチェックするという仕組みではもちろんないわけでございます。ただ、この目的信託というのは、利用者として想定される委託者というのはそれほど広範囲な方、どなたでもこの目的信託を御利用されるということは想定されておりませんで、度々申し上げていますように、大きな会社でございますとか、あるいは地域社会でありますとか、そういう方々でございますので、こういう受託者について制限があるということを十分に周知徹底させる措置を私どもも考えていかなきゃならないというように考えております。

 

 

 

 

○近藤正道君 分かりました。  それでは最後に、福祉信託についてお尋ねしたいというふうに思います。  超高齢化社会をより安心して暮らせる社会にするために、高齢者や障害者の生活を支援する福祉型の信託、この必要性はますます高まってくるんだろうというふうに思っています。昨日、そして今日もこの福祉型信託についていろいろ質問がございました。重複するようでございますが、私も確認の意味でお聞きをしたいというふうに思っています。  弁護士、そしてNPOなど、福祉信託の担い手としてこういう人たちがふさわしいという、そういう期待の声が上がっているわけでございますが、現行ではこれができない。これから信託業法等を変えながら、これからやっていくわけでありますが、弁護士やNPO法人などの福祉信託の担い手としての見通し、展望、そして課題についてお答えをいただきたいというふうに思います。

 

 

 

 

 

政府参考人(畑中龍太郎君) お答え申し上げます。  高齢者等の将来の生計を維持するために一定の財産を信託するといった、いわゆる福祉型信託でございますが、今後、高齢化社会が進む中でニーズの増加が予想されるところでございまして、これらの担い手を弁護士、NPO等にも拡大すべきとの御指摘があることは承知をいたしております。  これを、民事信託ではなくて御指摘の、一般に営業として信託を行う場合どうかというお尋ねでございますが、御案内のように、業としてやる場合には、当該業者と多数の顧客、これとの間には情報量や交渉力の差が生じ得るわけでございます。

 

 

 

また、今回の信託法が改正されますと、いわゆる信託受益権というものが有価証券というふうに位置付けられますので、この信託受益権が第三者に譲渡されるということも制度的に可能になるわけでございまして、こうした多数の顧客、受益者なり投資家を保護するという要請がございます。  また、信託は、実質的には顧客のものでございます信託財産を業者が自己名義で管理運用するという特質があるわけでございまして、事業者側に特に高い信頼性が求められているわけでございます。したがいまして、多数の受益者保護のため、受託者に管理運用上の義務を確実に遂行させるよう、様々な参入規制でありますとか行為規制を課しておりまして、いわゆる私人間の契約の場合よりも、より高い規律を課す必要があるところでございます。

 

 

 

 

そこで、御指摘の、いわゆる福祉型信託を営業として行い、これに必要な業規制を課すという問題を検討する場合の課題ということで、例えば福祉型信託とそれ以外の信託をどのような基準で切り分けていくのかと。あるいは、受益者等が高齢者、障害者であるわけでございますので、適切な委託者、受益者保護を図るためにどのような枠組みが必要になるかと。さらには、顧客の財産を自己名義で預かるという非常に重要な業務を行うわけでございまして、銀行業と類似でございまして、こういう他の金融業態に関する法制度との関係をどのように整理するのかという課題もございます。さらには、最低資本金要件等の参入主体以外の参入要件についてどのように考えるか。あるいは、ガバナンスの確保、これをどのように図っていくのかと。こういった様々な論点がございまして、実態を踏まえつつ、多角的な検討を行う必要があると考えております。

 

 

 

 

いずれにいたしましても、こうした福祉型信託を業として行う場合の信託業法上の取扱いにつきましては、度々申し上げておりますが、平成十六年の衆参の委員会の附帯決議もいただいておりますし、先般の衆議院の法務委員会でも弁護士、NPO等の参入の取扱い等を含め、幅広い観点からの検討を行う旨の御指摘をいただいております。  私どもといたしましては、前回改正法で予定されております施行後三年以内の検討の中で、先ほど申し述べました論点も念頭に置きつつ、幅広い観点から必要な検討を深めてまいりたいと考えております。

 

 

 

 

 

○近藤正道君 よろしくお願いをいたします。  今ほどの御答弁の中にもありましたけれども、高齢化社会を迎えて、高齢者や障害者の財産管理にとって大変この福祉信託というのは有用な制度だというふうに思っておりますが、一方で、高齢者、障害者は、これは委託者、受託者、受益者の立場になるわけでありますが、この人たちがやっぱり意思能力が十分でないと、ここが非常に問題でありまして、ここでいろんな問題が懸念されるわけでございます。

 

 

 

衆議院の参考人質疑の中でも、筑波大学の新井先生、いろいろ言っておられまして、高齢者や障害者の財産管理が社会的に注目されている状況において、意思能力喪失者が信託当事者となった場合の法律関係、法定後見人や任意後見人が信託を利用するときの法律関係について全く検討が加えられていないんではないかと、こういう指摘をされております。これは同じような議論が法制審議会の中でも出ていたというふうに聞いておりますが、法務省はこの点についてどのような検討をしてこられたのかというのが一点。  もう一点、時間がありませんのでまとめてお尋ねをいたしますが、受託者の忠実義務が今回の改正で大幅に緩和される、こういうことになるわけでありますが、高齢者や障害者が結果として犠牲者になったり、あるいは食い物にされる危険、こういうものに対してどういうふうな歯止めを考えておられるのか、この二つをまとめてお尋ねしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

政府参考人(寺田逸郎君) 私どもといたしましては、新井参考人の御発言というのは重要性を強調される面においては誠にごもっともだと共感しておりますが、新井先生自身に実は法制審議会において御意見を伺ったりいたしておりますので、全く検討が加えられていませんというのは誠に心外な御発言でございます。

 

 

 

むしろ、高齢化社会というのが民事信託において非常に重要なポイントであるということで、法制審議会の中でも、この今の信託業法が中心になって動いている信託をむしろ一般の民事の手に取り戻そうということで、学者の先生等、非常に御努力をいただいたわけでございますし、司法書士会ですとか弁護士会でありますとか、あるいは消費者関係、労働関係の団体の方もこれについて非常に熱意を持って法制審議会の中でも取り組まれ、またパブリックコメントでも御意見を寄せられておられるわけであります。

 

 

 

 

それで、内容的に申しますと、確かに委員のおっしゃるように忠実義務等の義務のソフト化、柔軟化というのはあるわけでございますけれども、他方、受益者の方の権限の行使というものには非常にむしろ力を加えてこれを強化するということで、通知義務でありますとか、あるいは差止め請求権、それから計算書類等の開示など様々な新たな規定を置いているわけでございます。

 

 

 

ただ、委員もおっしゃいますとおり、これは規定としては受益者が行使をすることができる権限という形で書いておりますので、実際に受益者が意思能力に問題が生ずるような状況になられ、判断能力においていかがかということになりますと、これは実効性上の面で欠くことになります。  そこで、また、この点に備えるために、第三者が受託者を監視、監督するための信託監督人の制度を新たに設けたわけでございまして、この信託監督人が受益者に代わっていろんな監視を行うための権限を行使すると、こういう仕組みになっておりますので、二重の意味でいろんな手当てをしたつもりでございます。  ただ、これはあくまで法律の上での規定でございまして、実際は御利用いただく方に十分その趣旨を御理解いただかなきゃなりませんので、先ほど来御指摘もありましたように、周知徹底には十分意を尽くしたいと考えております。

 

 

 

 

近藤正道君 終わります。     ───────────── 委員長(山下栄一君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、青木幹雄君が委員を辞任され、その補欠として野村哲郎君が選任されました。     ───────────── 委員長(山下栄一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

 

 

仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、両法案に反対の討論を行います。  制定以来八十四年ぶりの改正に当たって、信託実務の中で熟してきたニーズにこたえて現代化を図ること、とりわけ福祉型信託を始め信認関係を基礎とする信託の多様な活用を期待する方向には賛成です。

しかしながら、本法案は資産の流動化や新たな資金調達を容易にし、会社法理によらない有限責任の仕組みをつくる点に大きな特徴があり、これが企業活動のガバナンスやコンプライアンス回避の温床、手段に濫用される強いおそれがございます。新たな規制緩和を進めるなら、本改正によって論理的、必然的に生ずる税制、会計上の問題についてもきちんと検証し、その弊害、歯止め策を一体として制度化すべきであるのに、しかしこの点は極めて不十分です。特に、いわゆる事業信託について、現行法、現行税制では信託された事業には課税できません。政府は法案審議の中で信託段階での課税を検討するとしましたが、その内容は何ら具体化されていません。

 

 

 

 

一方で、財界からは、信託段階課税を逃れようとする強い要請がなされており、今後の見通しは何ら定かではなく、これでは法人税制の大きな空洞化、大企業の税逃れを招く重大なおそれがあります。  また、企業は、事業信託により分社化、子会社化することなく、スピーディーに資金を調達し、事業を展開できるようになるといいますが、労働者はその下で転向、転籍や出向などにより、その権利や労働条件を脅かされる危険性を否定することはできません。

 

 

 

さらに、二年前の改正信託業法成立時の附帯決議がなされたにもかかわらず、福祉信託の担い手などの検討が十分尽くされていないことも大きな問題であるということを指摘して、反対討論といたします。

委員長(山下栄一君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、信託法案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

委員長(山下栄一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

委員長(山下栄一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、簗瀬進君から発言を求められておりますので、これを許します。簗瀬進君。

簗瀬進君 私は、ただいま可決されました信託法案及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     信託法案及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。  一 信託が、我が国の社会において、今後とも広く利用が見込まれることにかんがみ、受託者の任務が適切に遂行されるよう、信託法、信託業法等に基づく受託者の義務について十分な周知を図るなど必要な方策を講ずること。  二 高齢者や障害者の生活を支援する福祉型の信託については、特にきめ細やかな支援の必要性が指摘されていることにも留意しつつ、その担い手として弁護士、社会福祉法人等の参入の取扱いなどを含め、幅広い観点から検討を行うこと。  三 自己信託については、委託者と受託者が同一人であるという制度の特質を踏まえて特例が設けられた趣旨にかんがみ、その適正な運用に資するよう、適用が凍結された一年間が経過するまでに、その周知を図るとともに、会計上及び税務上の取扱い等について十分な検討を行い、周知その他の必要な措置を講ずること。特に、公証人の関与が予定されていることを踏まえ、公証人の在り方についても検討すること。  四 受益者の定めのない信託が制度の本旨に反して濫用されることのないよう、その制度の趣旨及び内容の周知徹底に努めるとともに、その利用状況等を踏まえて、信託法附則第三項の取扱いその他受託者等の規制の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずること。  五 公益信託制度については、公益法人と社会的に同様の機能を営むものであることにかんがみ、先行して行われた公益法人制度改革の趣旨を踏まえつつ、公益法人制度と整合性のとれた制度とする観点から、遅滞なく、所要の見直しを行うこと。  六 今般の信託法の改正が、従来の規制を大幅に緩和し、新たな制度を導入するものであることにかんがみ、その運用状況等を注視し、特に、制度の濫用等が行われていないかの把握に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。 委員長(山下栄一君) ただいま簗瀬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕 委員長(山下栄一君) 全会一致と認めます。よって、簗瀬君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、長勢法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。長勢法務大臣。 国務大臣(長勢甚遠君) ただいま可決されました信託法案及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。 委員長(山下栄一君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十八分散会

 

 

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すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。」