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加工 ラオスにおける民事関係法制に関する調査研究6
2016年04月26日

加工 ラオスにおける民事関係法制に関する調査研究

法務省HPより

 

 

Ⅴ 家族法制

 

1.家族法の法源と歴史

 

ラオスの家族法に関連する法源として,親族関係については,「2008 年ラオス家族法」(以下,家族法に関しては断りのない限り 2008 年家族法を扱う)があり,そこには婚約,婚姻,離婚,親子関係一般,認知,養子縁組および一部の国際私法規定が定められている。この家族法は 1990 年ラオス家族法を改正したものであり,家族法は 1990 年法を部分的に受け継いでいる。相続関係については,「2008 年相続法」がある。この法律も「1990 年遺産及び相続財産基準法」を改正したものである。

 

 

さらに,国際条約を批准し,国内法化した「2004 年女性の発展及び保護法」,および「2006 年児童人権保護法」がある。家事事件の手続については,1990 年民事訴訟法,それを改正した 2004 年民事訴訟法を経て「2012 年民事訴訟法」が規定し,ラオス在住の内外国人に義務づけられる家事登録については 1991 年家事登録法を改正した「2008 年家事登録法」が規定をしている。

なお,民法典自体が存在しないことから,上記に挙げた法律以外の他の法典にも,それぞれ内容の重複する規定が存在している。これらの間については,民法典改正作業における 1 つの課題でもある。
現在における親族問題に関する中心的法典は 2008 年家族法である。しかしその内容はラオスの伝統的慣習を現在でも幾つか受け継いでいる。歴史的にラオスはフランス植民地であり,それ以前は純粋に慣習法であった。フランス植民地時代に各種の近代的な法典が整備されていった。家族法もその 1 つであり,ルアンパバーン王国やヴィエンチャン王国において 19 世紀に用いられていた慣例集から示唆を受けて(慣例集の大部分は戦争,火災および洪水等で消失したようである),1908 年に最初の家族法が成立している。この法典は,ラオスの慣習とフランス私法の一般原理との間での一種の妥協を実現したものとされる 。

 

 

その後1927年法典が現在の社会主義体制になるまでの主要な家族問題に関する法典であり,その内容を 1965 年に修正・補足されている。ここに記載されている内容は現在の 2008 年法においてもいくつか維持されている。

 

 

2.家事登録制度

 

(1)家事登録制度の概要

 

ラオスでは,家族関係につき一定の登録が求められる。この家族登録制度は,ラオスの家族法において極めて重要な役割を果たしている。家族登録制度に関する法規定が,家事登録法(訳語によっては家族登録法と訳される。以下,条文を表す際には「家事」とする。)である。家事登録法は 1991 年に施行されていたが,この法律をもととしながら,大幅に加筆修正した形の改正が 2008 年(全 59 条)に行われ,現在は後者が施行されている。

 

 

家事登録は省庁として,司法省と治安維持省の双方がかかわっている。司法省は出生,死亡,婚姻,離婚などの身分関係を中心とした登録を管轄し,治安維持省(91 年法制定当時は内務省)はラオスに居住するラオス国民のみならず外国人も対象として出生をはじめとする身分事項,家(家族) の所在地,国籍などラオスに居住するすべての人民を,一元的な登録制度のもとに管理把握している(外国人につき,家事 7 条)。実際の生活に関連する内容のものは村の行政当局単位でそれぞれ管理されている。

 

 

村民は,例えばそれぞれ村の運営に関する費用分担や大掃除などの勤労奉仕分担を担っており,その際に「家事登録簿」が用いられる。原則として同一の家(家族)に同居する者が使用人を含めて同一の「家事登録簿」に掲載され,成人に関しては顔写真と証印と共に登録事項が列記されている。銀行口座開設,不動産取引,自動車運転免許証交付等につき日本の戸籍抄本のように「家事登録簿」のコピーの呈示やその提出をすることにより公的な身分関係および登録事項の証明書として用いることができる。

家(家族)を移転すると新旧の所属「村」の行政当局に転出・転入を届け出て,転居先の村の行政当局から証明書を交付された上で郡の行政当局に届け出て,新しい「家事登録簿」の交付を受ける。新しい

「家事登録簿」には転居元の村名と転居年月日も記載される。ただし実際には「家事登録簿」記載の場所以外に移転していても一時的移転として移転先の村の行政当局に通知のみを行い,郡の行政当局における正式な手続を留保することもある。この場合には新しい村の行政当局において村民としての基本的な義務を果たすが,選挙人名簿など公的な扱いは「家事登録簿」に記載されている場所をもとに行われるようである。

 

 

 

 

 

家事登録を申請する者は,自己の居住する地区の村長により認証された申請書を家事登録局へ提出しなければならない。都市より離れている地方の場合には,自己の居住する村長に対して登録することができる(家事 12 条)。家事登録局は申請証を受理した後,30 日以内にそれらの申請書を審査しなければならない(家事 13 条)。ラオス市民,在留外国人,および無国籍者の家事登録は,彼らの居住する所の治安維持部門の家事登録局において手続がなされる(家事 16 条 1 項)。その登録の後,15 歳以上のラオス市民および在留外国人は,身分証明書を保持しなければならない(同条 2 項)。

これらの家事登録は,家族構成員の記録,国家の社会および経済の管理・発展のための基礎情報であり,また人口の統計を記録するためにもなされている(家事 10 条 1 項)。なお,家族法,国籍法および家事登録法などの法律で用いられる「永続的住所」または「住所」について法律上の定義の有無は現行法上不明である。日本の住所,居所,常居所,本籍地などの概念との一致があるのかについては定かではない。

 

 

外国における家事登録は,外務省の管轄にある当該国家のラオス人民民主共和国大使館または領事館における家事登録単位においてなされる(家事36条)。
以下では,家族法に関連する部分を中心として家事登録法の内容を確認する 102。

 

 

 

(2)家事登録項目

 

 

家事登録業務としては,1.家族登録簿の登録および身分登録証の発行,2.出生の登録,3.婚姻の登録,4.離婚の登録,5.失踪の登録,6.死亡の登録,7.養子縁組の登録,8.父性の認知または後見人選任の登録,9.姓および名の変更の登録,10.国籍変動の登録,11.転居の登録がある(家事 9 条)103。以下では,出生,失踪,死亡,婚姻,離婚,養子縁組,認知,姓名の変更,国籍変更,転居の順に見ていく。

 

 

(ア)出生登録

 

出生の登録は,出生率の統計を記録し,社会発展のための基礎情報である家族構成員の増加および人口の増加を記録するためにもなされるものである(家事 10 条 3 項)。
この登録は,子が家,病院,または出産に関連する施設で出生した場合,家長またはその代理人が病院等の証明書に基づき,彼らの居住するところの村長に文書または口頭でその出生を通知しなければならない(家事17条1項)。その他の場所で出生した場合には,出生地を管轄するところの村長へと通知をしなければならない(同条2項)。
102 なお,1991 年家事登録法の全訳については,小川監修/伊藤=大川 2012a: 48 頁,2012b: 49 頁以下参照。
103 1991 年法では住居建築・取壊しに関する登録もなされていた。

 

 

 

外国で出生した場合は,その国内におけるラオス人民民主共和国大使館または領事館における家事登録単位に通知を行う(同条3項)。これらの通知は,出生後30日を超えない期間中にしなければならない(同条4項)。保護者のいない子を発見した者は,速やかに発見地を管轄する村の村長または警察に通知しなければならない(同条5項)。以上の通知を受けた後,村長は5日以内に出生証明書を発行しなければならないとされる(同条6項)。この出生証明をもって,申請者はその交付後30日以内に,郡の家事登録を扱うこと登録官に出生証明記録と共に出生を届け出なければならない(家事18条1項)。外国における場合には,大使館または領事館における家事登録単位が通知を受けた後5日以内に出生に関する家事登録を行う(同条2 項)。

 

 

 

(イ) 失踪登録 失踪とは,家族との音信が 2 年以上ない場合,または事故による場合には 6 か月間音信がない場合において,裁判所の判断によりなされるものである(家事 3 条 3 項)。この失踪の登録は,失踪者の財産,権利,利益および義務を保護し,ならびに失踪者に対して請求をなす者のためになされる(家事 10 条 5 項,民事訴訟法 337 条 2 項)。
失踪の登録は,裁判所の判断が後 30 日以内に,その者の居住する司法部門の家事登録局においてなされる(家事 21 条 1 項)。在留外国人,外国人,または無国籍者の失踪の場合,司法部門はその受理につき治安維持省まで報告を行わなければならない(同条 2 項)。

 

 

 

 

(ウ) 死亡登録
死亡の登録は,相続開始の根拠として,また死亡率を記録するためになされるものである(家事 10 条 6 項)。
この登録につき,家族の構成員が死亡した場合,家族の代理人が村長に報告を行う(家事22条1項)。死体を発見した者は,村長または警察に死体の場所を速やかに通知しなければならず(同条2項),この場合は村長または警察が5日以内に死亡を認定する。重症患者の治療にあたった医師,助産師などの医療従事者は,その患者または新生児が死亡した場合には死亡証明記録を交付しなければならない(同条3項)。

 

 

裁判所が死亡宣告を行った場合には,その者の代理人が裁判所の判断を受けた後,または裁判所の判断を知った日から5日以内に,その者の居住する所の司法部門の家事登録局に通知を行う(家事23条)。この死亡宣告は,当該人物が戦争または自然災害における場合において,それらの事態が終了してから2年後に,裁判所によりなされるものである(民事訴訟法337条2項)。なお,民事訴訟法には「通常の失踪を理由とする死亡宣告」に関する規定が存在せず,家事登録法3条4号においてそれに関する規定があり,それによると,当該死亡宣告は,家族との音信が3年以上ない者に対してなされる。

 

 

 

 

(エ) 婚姻登録
婚姻の登録は,夫婦もしくはその一方,または夫婦の両親もしくはその一方の居住する郡または市における家事登録局へなされる(家事19条1項)。この認定は3日以内に行われる(同条2項)。ラオス市民と外国人との婚姻の登録は,県または中央直轄市の家事登録局においてなされる(同条3項)。外国におけるラオス市民間の婚姻の登録は,当該国のラオス人民民主共和国大使館または領事館の家事登録単位においてなされる(同条4項)。

 

 

 

すみれ
「新しい建物に住まなかったら、新しい家族登録にはならないのかな。」

 

 

 

(オ) 離婚登録
離婚の登録は,離婚の統計をとるためであり,独身者の状況の確認,再婚の可能性の確保,離婚増加に対する政策,ならびに家族を強固な社会的集団とするためになされるもの
とされる(家事 10 条 4 項)。
任意離婚および裁判離婚は,離婚前にその夫婦が居住していた郡または市の家事登録局において登録される(家事 20 条 1 項)。ラオス市民と外国人との離婚の登録は,県および中央直轄市の家事登録局においてなされる(同条 2 項)。家事登録局は,申請を受けた後30 日以内に登録し,ならびに両者に対して離婚証明書を交付する(同条 3 項)。

 

 

 

 

(カ) 養子縁組登録
養子縁組の登録は,縁組を確証するため,ならびに養親子関係を保障するためになされるものである(家事 10 条 7 項)。
この登録は,子の両親または後見人の居住する所の司法部門の家事登録局になされる。受理後 30 日以内に認証,登録される(家事 24 条 1 項)。ラオス市民の子を養子にしようとする外国人は,審理のために司法省へ申請書を提出しなければならず,その提出を受けた司法大臣は受理後 30 日以内に審理を行わなければならない。司法大臣より許可が下りた場合には,司法省は 5 日以内に養子縁組の登録および認証をしなければならないとされる(同条 2 項)。

 

 

 

 
(キ) 認知または後見人選任の登録
認知または後見人選任の登録は,子の扶養および教育をする両親が不在の場合に,子のための後見人を確証,認証するためになされるものである(家事 10 条 8 項)。
認知または後見人選任の登録は,父の居住する所の,または認知もしくは後見人選任の裁判所の判断がなされた所の司法部門の家事登録局において手続がなされる(家事25条1 項)。家事登録局は,裁判所の判断が出た後に,または村長により後見人の指名がなされた日から10日以内に登録を行い,かつ認知または後見人に関する証明書を発行しなければならない(同条2項)。

 

 

 

 

(ク) 姓名変更の登録
姓名の変更の登録は,新たな姓名へ変更することが必要な理由を確証し,犯罪行為のような違法行為のために変更することを制限するためになされるものである(家事 10条 9項)。
この登録は,成年の場合には,申請者の居住する司法部門の家事登録局において手続がなされる。未成年の場合には,その両親の居住する所の家事登録局において手続がなされる(家事26条1項)。司法部門の家事登録局は,申請を受理後5日以内に登録し,かつ姓名の変更に関する証明書を発行しなければならない(同条2項)。

 

 

 

 

(ケ) 国籍変更の登録
国籍変更の登録は,元の国籍を確証し,新たな国籍を承認し,ならびに国籍を変更した者の生活を管理および助成するためになされるものである(家事 10 条 10 項)。
この登録は,国会委員会による国籍変更の承諾を受けた後に,申請書を受理した後 5 日以内に司法省の家事登録につき責任を有する部局において手続がなされる(家事 27 条)。

 

 

 

(コ) 転居の登録
転居の登録は,個人または家族の現住所を記録し,住所および職業を管理および編成し,ならびに社会の安全及び規制を保障するためになされるものである(家事 10 条 11 項)。 この登録は,家族の構成員または家族の全員が他の場所へ住居を変更する場合に,家長またはその代理人が自己の居住する所の村長へ 3 日以内に通知を行い,その後住居移動の申請書を司法部門へ提出する。住居の移動とは,同一郡内における村から村,同一県内における郡から郡,または他の県への移動のことをいう(家事 28 条 1 項)。新居に移動する
場合,到着後 24 時間以内にその居住する所の村長に通知しなければならない。村長はすべての文書が正確かつ完全であるかどうかを監査し,その者の通知を受けた日から 3 日以内にその者に対して新たな居住証を認証する(同 3 項)。転居の登録は,新たな居住者の居住する所の家事登録局において,新たな居住者に対して家事登録簿を作成するためのその地の村長による証明書が受理された後 5 日以内に手続がなされることとなる(同 4 項)104。

104 なお,家族法等の法令に「~日以内」という記載があるが,これらは原則として「労働日」を示しており,休日はその日数に含められないのが原則である。

 

 

 

 

 

3.家事事件の裁判手続
(1)裁判所における手続
つぎに,家族法制において重要な役割を果たしているもう 1 つの制度である家事事件裁判手続についても考察する。
ラオスにおける裁判所は,首都のヴィエンチャンにある最高裁判所,地域(パーク)裁判所(高裁),県・首都裁判所 17,地区(ケート)裁判所が存在する 。ラオスでは三審制がとられており,地域裁判所が第 1 審となる場合は県・首都裁判所が控訴審となり地域裁判所が上告審を担当し,県・首都裁判所が第 1 審となる場合は地域裁判所が控訴審となり最高裁が上告審を担当する。地区裁判所には,①民事部,②刑事部,③家事部が存在し,県・首都裁判所以上の裁判所には,①民事部,②刑事部,③家事部,④商事部,⑤少年部が存在する。家事問題が裁判となった場合には,この家事部が事件を担当することとなる。家事事件において 3 億キープを超えるものについては県・首都裁判所が第一審となり,3 億キープ以下または財産に関係しない事件は地域裁判所が第 1 審となる(2012 年民事訴訟法21 条,22 条)。家事に関する非訟事件は地区裁判所が第 1 審となる。

 

 

 

 

 

家事部は,2012 年民事訴訟法 44 条において裁判に関する管轄が,同 45 条において審判に関する管轄が規定されている 。裁判については,①離婚,婚姻資産(もしくは負債)の分割のような夫婦関係の事件,②子の養育に関する請求,③配偶者,親,または成年に達してはいるが労働できないもしくは無能力である子の扶養費用に関する請求,④親族関係の地位確認,⑤子の監護権に関する請求,⑥親権および養親の子に対する地位の終了,⑥里子としての地位,⑦子の認知または父の定め,⑧子の氏名・国籍の決定のような,子の利益に関する事件,⑨法律違反,婚約の拒絶,婚姻前の性的関係,その他の事由から生じる損害に関する事件について規定がある。審判については,①無効な婚姻または法律に従わない婚姻の解消に関する請求,②裁判所に対する協議離婚の認証請求,③協議離婚による婚姻財産の分割の認証の請求,④裁判所に対する離婚による子の監護権の変更の審判請求,⑤裁判所に対する離婚による子の監護権について父または母にその手段を実施することの請求,⑥その他家事事件に関する請求について規定がある。ただし,裁判所としては以上のような事案に対し,係争中であっても和解を勧めなければならないとされており(2012 年民事訴訟法 46 条 1 項),和解がうまく行かなかったとしてもそこからさらに 3 か月待つ必要がある(同条 3 項)。

なお,2012 年民事訴訟法 50 条には,家族の結束についての審理に関する規定があり,それによると,離婚,養子縁組,認知,親権,および扶養に関する審理は,家族法の定めるところによりなされるとある。

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)村落調停の手続
このような裁判手続以外に,村落調停 と呼ばれる調停制度が存在しており,家事事件に関してもまず村落調停を行うことが訴訟提起の要件とされている。ラオスでは伝統的に村長が村における紛争を解決するという慣習があり,現在の村落調停もそれに由来し,1997 年に政府の要請を受けて司法省が設置した 。全国の各村に村落調停のための村紛争調停機関が設置され,委員長1名,副委員長 1 名または 2 名およびその他の委員からなる。この調停機関の構成員となるには,法学教育を受けたかどうかは要件とはされておらず,調停委員会は①建国戦線の村支部,②村当局,③退役軍人会,④女性同盟の村支部,⑤青年同盟の村支部,⑥少数民族を代表する長老,⑦村の公安組織などの代表から選出される。調停費用は 10 万キープとされ,当事者が折半する。村落調停に付することが認められない事件として,原則として刑事事件,国家・集団の利益に関わる事件,既に裁判所または経済紛争解決センターで解決した事件などがあるが,家事事件に関しては村落調停が使われることが多い。なお,かつては,この村紛争調停機関において離婚を扱うことは認められていなかった。離婚は裁判所においてのみ認められていたことがその理由であるが,後述するように家族法により,それまで認められていなかった当事者の合意に基づく裁判所の関与を必要としない離婚手続(協議離婚)が認められることとなったため,村紛争調停機関においても離婚を取り扱うことが可能になった 。
村落調停の実際,評価,課題等については,各地で実地調査を積み重ねる必要がある 。

 

 

 

 

 

 

4.宗教と家族法制度との関係

ラオス人民民主共和国において,国教としての宗教が定められているわけではないが,なお国民の多くはラオス仏教を信仰する仏教徒である。社会主義体制の中において,宗教問題が歴史的には存在していたが,現在ラオス仏教はラオスの文化の中心をなすものとして尊重され,1991 年の以前の憲法の制定時には,ラオスの国旗に仏塔を冠することとなっ
た 。現在の憲法 9 条には,仏教徒その他の宗教の信者による合法的な活動を尊重・保護をするという規定を備え,また同 43 条に宗教の信仰または不信仰の権利・自由に関する規定も備えている。
以上のように,信仰の自由を保障し,また社会主義国家であることから,例えばインドやインドネシア などにみられるような信仰する宗教によって適用される法律や裁判手続が異なったり,宗教裁判所があったりするような人的不統一法国ではなく,ラオスでは上記に挙げた法律に基づいて問題が処理されることとなる。