〒903-0114沖縄県中頭郡西原町字桃原85番地 TEL098-945-9268 受付時間平日9:00~17:00

司法書士宮城事務所 > お便り > お便り > 加工 ラオスにおける民事関係法制に関する調査研究5

加工 ラオスにおける民事関係法制に関する調査研究5
2016年04月26日

加工 ラオスにおける民事関係法制に関する調査研究

法務省HPより

 

 

 

(3)担保法関連

 

 

(ア)関連法規 債権担保についての規定は,契約法 5 章(24 条~31 条)/契約内外債務法第Ⅱ部・第 1章・D節(34 条~36 条)(実体法と手続法の未分離。ただし,法理論の上では区別が意識されている)のほか,担保取引法が 1994 年に制定され,2005 年に改正された。

 

 

2005 年担保取引法は,無体物,将来確実に生じることが証明できる事業または活動の財産や果実,物に対する権利またはその果実も,担保の客体としうることを定めた(担保取引法19条)。経済活動の活性化による担保財産の拡大の要請を背景とするものであろうか。 担保取引法の特色の 1 つとして,あらゆる種類の担保契約は登記所において登録しなければならず,不動産による担保契約は当該不動産の所在地の土地管理事務所で登記しなければならないとされている(担保取引法 31 条 1 項)。このような包括的な担保登録制度は,欧州復興開発銀行(EBRD)による「担保取引に関するモデル法」(Model Law on Secured Transactions)の影響を受けているものと考えられる。そのようなモデル法をラオスの取引実務に導入することが可能かつ適切であるかは,今後引き続き検証すべき重要な課題である。

 

 

 

ちなみに,不動産の担保(抵当)の場合は,土地権原証書の裏面に担保取引の内容が記載することができるように,記載欄が変更されている 。したがって,不動産の担保(抵当)に関しては,現行制度上は,登録と土地権限証書の裏面記載という 2 重の担保記載がされることになる。

担保取引法によれば,担保契約は登録日以降に正式なものとなり,登録をしない担保契約は,契約者間で効果をもつものの,登録をした担保契約と同様の優先権をもたないものと規定されている。さらに,登記事務所または土地管理事務所で行われた担保契約の登録は公開され,閲覧可能にしなければならないとも規定されている(担保取引法 31 条 2 項・4 項・5 項)。これは,当該不動産について取引関係に入ろうとする第三者が,担保取引の内容についても容易に確認できるようにすることにより,担保不動産の流通を促すための規定とも解される。しかし,実際には,担保権付きで取り引きされることは,現在の実務においてはまだ存在しないようである 。

 

 

 

 

(イ)担保権の設定手続

 

不動産に関する担保とは,債権者に対する債務の返済,その他義務の履行を確保するために,例えば,土地の区画,建物もしくは工場といった債務者の不動産,他人の不動産に対する債務者の使用権,またはこれら所有権や使用権を証明した書類を担保として設定されるものである 。それは,①公証人または三人の証人を伴う村長立会いの下,または②3 人の証人立会いの下,書面で締結されなければならず ,その際には,当該不動産の評価,区分,種類,大きさ,品質,数量,所在等,その特性に関する明確な記述を含まなければならない 。

 

 

 

すみれ
「不動産の品質もなんだ。」

 

 

その際,同一不動産に複数の担保権を設定することは,理論上は可能であるが,実際には土地の登記書を債権者に渡すことが多いので,後順位担保権の設定は事実上困難である(先順位担保権者が承認する場合に限られる)。また,被担保債権の合計額が目的不動産の価額を超えてはならないという制約がある 。
動産に関する担保は,①物質的(有形の)品目 ,②所有権の証書・株券・債券等の書類,③倉庫物品,④知的財産,銀行貯蓄口座,契約上の権利,売掛金を含む無形資産,事業運営を行うための承認・許可・権利に基づく利益,⑤将来的に発生し得るプロジェクトや活動からの資産または利得に設定される 。このうち,②・④・⑤は法的性質としては権利質に当たるというべきであろう。
また,③は流動動産 ,⑤は将来の集合債権譲渡担保を含むものと解される 。①について,債務者が目的動産を占有する非占有担保も ,債権者または両当事者が合意した第三者による占有も ,いずれも「動産に関する担保」として認められる。債務者が合意期間内に債務の返済を怠った場合,物質的品目は債権者の財産となるが,物質的品目の価額が債務よりも高い場合は,債権者が差額を支払うか,債務者と合意したとおり物質的品目を売却するか,オークションにかけることができる 。

 

 

 

 

重要なことは,不動産であれ,動産であれ,担保契約は政府の財務担当部局の登録事務所で登録されなければならず,不動産に関わる担保契約は,当該不動産の所在する土地管理事務所で登録されなければならない。担保契約は,この登録日から法的効力をもつ(効力要件主義)ことに注意する必要がある 。

 

 

 

すみれ
「動産や債権の場合は、証明書の裏に記載とかないのかな。」

 

 

なお,担保目的で買戻し特約付き売買が用いられることもある 。この場合,目的物は債権者が占有することになる。

 

 

 

(ウ)担保権の効力
債務者が約定期間内に債務の返済を怠ったときは,①債権者は,金利を含めた債務の返済を求め,そのために当該不動産を担保設定者(所有者)が売却するためのオークションを提案する権利をもつ 。それが行われた場合,担保権を設定した債権者は,当該不動産から,遅れて担保契約を設定した債権者および担保権をもたない債権者に優先して弁済を受ける権利をもつ。また,②債権者は,担保財産の所有権を獲得する権利をもち,これを行使することにより,設定者はその所有権を失う。さらに,③債権者は,担保契約で合意したとおり,担保財産を売却ないしは保有することができる 。

他方,債務者は担保の対象となっている不動産を売却または譲渡する権利をもたず,また,担保権設定契約に従い,当該不動産を債務者が占有しうる場合でも,債務者は当該不動産を契約条件に従って「適切に使用および保護し,当初の状態に保たなければ」ならず,「債権者からの承認なしに,当該不動産について評価減を生じさせることはできない」 。 担保不動産を無権原で妨害する第三者に対しては,まずは所有者が明渡しを請求することができ ,所有者が明渡請求しないときは,担保権者(債権者)が債権者代位権を用いて,明渡請求権を行使することができる 。