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2016年加工    第165回国会 法務委員会 第7号
2016年04月16日

2016年加工    第165回国会 法務委員会 第7号
平成十八年十一月七日(火曜日)
午前十時三分開議
出席委員
委員長 七条  明君
理事 上川 陽子君 理事 倉田 雅年君
理事 棚橋 泰文君 理事 早川 忠孝君
理事 松浪 健太君 理事 高山 智司君
理事 平岡 秀夫君 理事 大口 善徳君
赤池 誠章君    井上 信治君
稲田 朋美君    近江屋信広君
奥野 信亮君    笹川  堯君
柴山 昌彦君    杉浦 正健君
絵20160416      三ッ林隆志君    宮腰 光寛君
武藤 容治君    森山 眞弓君
矢野 隆司君    保岡 興治君
柳本 卓治君    石関 貴史君
大串 博志君    河村たかし君
細川 律夫君    横山 北斗君
伊藤  渉君    保坂 展人君
今村 雅弘君    滝   実君
山口 俊一君
…………………………………
法務大臣         長勢 甚遠君
内閣府副大臣       渡辺 喜美君
法務副大臣        水野 賢一君
法務大臣政務官      奥野 信亮君
最高裁判所事務総局経理局長            小池  裕君
政府参考人
(警察庁長官官房長)   安藤 隆春君
政府参考人
(金融庁総務企画局審議官)            畑中龍太郎君
政府参考人
絵20160416   (金融庁総務企画局参事官)            山崎 穰一君
政府参考人
(法務省民事局長)    寺田 逸郎君
政府参考人
(法務省刑事局長)    小津 博司君
政府参考人
(法務省人権擁護局長)  富田 善範君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 西  正典君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官)           立岡 恒良君
法務委員会専門員     小菅 修一君
―――――――――――――
委員の異動
十一月一日
辞任         補欠選任
近江屋信広君     盛山 正仁君
武藤 容治君     鍵田忠兵衛君
同日
辞任         補欠選任
鍵田忠兵衛君     武藤 容治君
盛山 正仁君     中川 泰宏君
同日
辞任         補欠選任
中川 泰宏君     近江屋信広君
同月七日
辞任         補欠選任
近江屋信広君     井上 信治君
同日
辞任         補欠選任
井上 信治君     近江屋信広君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
信託法案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第八三号)
信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第八四号)
――――◇―――――
○七条委員長 これより会議を開きます。
第百六十四回国会、内閣提出、信託法案及び第百六十四回国会、内閣提出、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長安藤隆春君、金融庁総務企画局審議官畑中龍太郎君、金融庁総務企画局参事官山崎穰一君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長小津博司君、法務省人権擁護局長富田善範君、外務省大臣官房審議官西正典君、経済産業省大臣官房審議官立岡恒良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○七条委員長 次に、お諮りいたします。
本日、最高裁判所事務総局小池経理局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○七条委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村たかし君。

○河村(た)委員 河村たかしです。
まず、信託銀行が、結構、例のバブル期にいろいろマンション事業に手を出して損害を与えて訴えられておるという話を聞くんですけれども、その総数はどのぐらいになるんですか。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
一般的に信託銀行を当事者とする訴訟があることは承知しておりますが、御指摘のような、バブル崩壊で委託者から訴えられているという類型の裁判の件数につきましては、その訴訟の事由がさまざまでございまして、その要因を特定することは困難であるというふうに考えられますことから、お答えすることは困難であることを御理解いただきたいというふうに存じます。
○河村(た)委員 何を言っておるんですか。そんなもの、これがバブル崩壊という、別に決められた用語があるわけじゃないけれども、常識的にあの時期に、私のところに預けてください、必ずもうけさせますよということになったぐらいのことはあるわけでしょう。だからそういう、法律用語で言うと立法事実ですか、要は、そういうものがあってこういう法律をつくっていくわけでしょう。その件数も答えられないなんてとんでもないですよ。では、そういうことがあるのかないのかをまず言ってくださいよ。

○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
私どもで把握しておりますのは、金融機関が訴訟の当事者となったとき、信託銀行が訴訟の当事者となった件数ということでお答え申し上げますと、例えば大手信託銀行四行で、平成十七年度で約九十件、それから十八年度、これは現在まででございますが、約三十件というふうに把握してございます。
ただ、おっしゃいますような、その類型化をすることが困難だというふうにお答え申し上げているところでございます。
すみれ
「すくないのかな、多いのかな。」

 

 

 

 

 

○河村(た)委員 類型化といっても、バブルか何かは別としても、要は、信託によってもうかりますよ、そういうことなら言えるわけでしょう。今、九十とか三十と言うんだけれども、大体そういうやつですか。そうでない、例えば、銀行員が暴力を振るったというのは余りないと思うけれども、そういうのは全く関係ないのか、損害を与えたのか、そういうやつか、どうですか。
○山崎政府参考人
お答え申し上げます。
この中にはさまざまなものがございますが、これは信託銀行が当事者となっているものでございますから、例えば、信託銀行が相手方に明け渡しを求めたとか、こういうものも含まれておりまして、必ずしもそういうものばかりであるということではないということでございます。

○河村(た)委員 要するに、今度の法律のときには、信託にまつわる利害関係のことの調整でしょう。だから、今みたいな話じゃなくて、やはりうまいこと言って損害を与えたというのは、そのくらいはわかっておらないかぬのじゃないの。本当にわかっておらぬのですか、それは。
○山崎政府参考人 そこは、おっしゃられるような、訴訟の内容を類型化して示すということはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、印象で申し上げますと、必ずしも今申し上げた件数のほとんどがそういうものであるというふうには考えてございません。

○河村(た)委員 しかし、いずれにしろ、それはあることはあるんだね、損害を与えたやつが。これは意外と、まだ余り報道されておらぬのです。実際は知っておるんじゃないか、隠しておるんじゃないですか。
○山崎政府参考人 どこまで知っているかということでございますが、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律施行規則というのがございまして、信託業務を営む金融機関は、信託業務に関する訴訟の当事者となったときは、その旨を金融庁長官に届け出る、こういうことになってございます。その届け出はございますが、その一本一本の訴訟の内容につきまして、詳しく我々の方で類型化してこれをお答えするということは困難であるということでございます。
○河村(た)委員 そんなことないだろう、これは。金融庁はやらないかぬのじゃないか。報告というのは何か、私のところが原告になりましたということだけ聞いておるわけですか。それが報告ですか。そんなのアルバイトより要領悪いよ。本当は知っておるんじゃないの。どこどこの銀行がどれだけ信託財産を預けられて、そこでマンションをつくったけれども、いろいろな事情で大損させてしまった、それで委託者から訴えられておると。知っておるんじゃないですか、それ。
○山崎政府参考人 この届け出に従いまして、こういう訴訟であるという、原告がだれで被告がだれでというようなことはもちろん把握してございます。内容につきましてもある程度はもちろんわかっておりますが、これを、おっしゃるように、繰り返しになりまして恐縮でございますが、バブル崩壊で委託者から訴えられている、金融庁がこういうふうな類型化をすることはちょっと差し控えさせていただきたいということでございます。
○河村(た)委員 何で差し控えるんですか。バブルという言葉はどうか別としても、信託行為によって損害を与えたことを類型化というか統計的に出すことが何でいかぬわけ。委員長、こんなのどう思う。
○七条委員長 山崎参事官、今の説明ができますか、なぜ差し控えるかということ。
○山崎政府参考人 まことに繰り返しになって恐縮でございますが、訴訟の事由というのはさまざまでございます。それで、それを私どもが類型化してということは、例えば、形式的に原告がだれ、被告がだれとかそういうことはできますが、おっしゃるように、バブル崩壊で委託者から訴えられているというふうなことはちょっと差し控えさせていただきたい、こういう趣旨でございます。
○河村(た)委員 どうしても信じられぬですね。
原告がだれか、そんなものは報告にも入らぬじゃないですか。まあええわ、こんなことばっかりやっていてもしようがない。隠しておるとしか思えぬな。これは意外と相当あるんじゃないですかね、信託銀行は。
それなら、一遍私たち理事会に資料を出してちょうだいよ、もっとまともなもの。信託行為によってどういう問題が起きているのかということの一つの大きな原因になりますよ、これは。委員会としてはこれは知る義務がありますよ、法案審議の。どうですか、ちょっと委員長、命じてちょうだい。

○七条委員長 今資料が出せるかということでございますが、資料が出せるか出せないかも含めて御答弁いただけますか。
○山崎政府参考人 もちろん可能な範囲のものを、先ほど申しましたように形式的な分類ということであればまた可能な範囲で御提出することにやぶさかではございませんが、今おっしゃいましたような分類は、これはむしろ行政当局としてやるべきではないというふうに考えてございます。また可能な範囲で資料は提出させていただきます。

○河村(た)委員 これは、どこどこの信託銀行がどういう信託行為によって例えば五十億損害を与えてしまった、そういうような抽象的なことも言ってはいかぬということですね、係争中であろうと。名前は出さぬでもいいですよ。だめなんですね、これは。審議する方はわからぬわけだな。(発言する者あり)そうそう、今いいこと言っておるがね。裁判は公開の法廷じゃないですか。何が秘密だ、一体これ。そんなデータのもとでここで審議しろといって何をやろうというの、それなら。
○山崎政府参考人 もちろん個々の信託銀行、どこの銀行がどういう訴訟をやっているかということを私どもから公開することは差し控えさせていただきたいと思いますが、もう一つ、その問題のほかに、おっしゃるような類型で、これがバブル崩壊で委託者から訴えられている、バブル崩壊で訴えられているんだ、こういうことを金融庁が……(河村(た)委員「それじゃバブルじゃなくてもいいですよ、信託行為によって」と呼ぶ)ですから、大変申しわけございません。信託銀行が当事者となっている訴訟の件数はわかっておりますが、その分類が不可能であるというふうに御理解をいただきたいんです。例えばバブル崩壊によって委託者が被害を受けたとか、そういう類型化をすることは金融庁として差し控えさせていただきたいということでございます。(発言する者あり)
○河村(た)委員 どういうものを出せるかといっても、形式的なものしか出せぬと言ったよ、今。内容には踏み込まぬということだったら、信託銀行におけるそういうことですね、いろいろ。
金融のときにも、たしかいろいろなことをやったんじゃないかな。それぞれの銀行で不良債権、やりましたね、全部。不良債権がどうで、どういう分類でというのをやったじゃないですか。たしか相手方の会社まで出てきましたよ。不良債権の格付でずっと、やったじゃないですか。そうしたら、あなたのところだって損害を与えたと。出して当たり前じゃないかな、これ。どうですか。

○七条委員長 信託法、信託業法を含めていろいろなことがあろうと思いますけれども、では、山崎参事官。
○山崎政府参考人 私ども、その中身につきまして、繰り返しになりますけれども、そういうふうな類型の御指定でということは、まずそういう分類はしてございませんし、これは訴訟に関する話でございますので、訴訟に関する話を金融庁が一定の分類で、これがこういう原因の訴訟である、こういう原因の訴訟が何件ある、こういう原因の訴訟が何件あるということを出すのは、私どもとしては不適切であろうというふうに考えてございます。
○河村(た)委員 ちょっと時間もないので、しかし一遍、では、とりあえず出
せるところの資料をうちへ持ってきてちょうだい。
○七条委員長 資料出せますね。

 

 
○山崎政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、可能な範囲のものにつきましては努力させていただきます。
○河村(た)委員 では、今ちょっと筆頭の方からアドバイスをいただきましたので、どういうものなら出せるかというのは、一遍理事会で協議してもらいたい、こういうことです。どういうものなら出せるかということです。

○七条委員長 これについては、出せるものについて先に精査をしていただいて、そしてそれが出てきたことに対して河村委員とお話しいただき、そしてそのことでどうだということがあれば理事会で協議をさせていただこうと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。それで整理をさせていただこうと思います。
○河村(た)委員 それでは、一応そういうことでお願いします。
それと、信託銀行というのは、あれは実際、自分のところの稼ぎというのはほとんど通常の金融業務なんですね。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
大手信託銀行四行の十八年三月末決算で、経常収益一兆七千三百七十三億円のうち信託報酬は二千六百九十八億円でございまして、経常収益に占める信託報酬の割合は一五・五%ということでございます。

○河村(た)委員 それが多いのか少ないのかようわからぬけれども、どうも信託銀行みたいな大それたものはそもそも要らぬのじゃないかという気がしますけれどもね。
そうしたら、これはちょっと法務大臣に聞こうかな。たまには聞かぬといかぬね、眠たそうにしていらっしゃるけれども。
日本は、余り公益信託とかがそう発達しておらぬですね。そのほかに、財産を持っておる人は、自分でそれをいわゆる公益法人にして、自分でその理事におさまって一応給料をいただくというふうになっておるんですけれども、これは何でだね。
ちょっと待って、これは大臣に何かしゃべってもらわぬといかぬ。
○長勢国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、公益信託は昨年の十月一日現在で五百六十九件でございます。これはいろいろな理由があろうかと思いますが、同一の機能を持つ公益法人が日本で比較的発達しているということと、まだ公益信託についての浸透がおくれてきておるというようなことが背景にあるのではないかと思います。

○河村(た)委員 何を言っておるかさっぱりわからぬけれども、やはり公益法人になると所管庁の下に入って、天下りシステムの中で、頼む方も若干お上ということで安心感がある。当然役所も天下り先ができますので、そういう構造で実際は導いておるんじゃないの、どうですか。
○長勢国務大臣 公益信託をしないで公益法人にせいという指導をしているという意味であれば、そういう話は私は聞いたことがありません。
○河村(た)委員 当然そう言うに決まっておるんだけれども、実際は構造がそういうふうになっておりはせぬかということです。本当は信託をやった方がコンパクトでスリムにやれるんですけれども、わざわざ別個の法人をつくって大げさにやるということの裏には役人の御都合が隠されておって、実際は誘導しておるんだろうと私は思っております。
それから、信託、これをやっておりますけれども、経済界からも要請が来ておると思うけれども、この法案が通ると、実際見積もりでどのくらい経済規模が拡大するんですか。

○立岡政府参考人 お答え申し上げます。
自己信託制度が入った場合に、実際どう使われていくか、さまざまな可能性があろうかと思いますけれども、例えば申し上げますと、手持ちの債権を流動化して資金調達するといったことでありますとか、あるいは企業内の特定の事業部門を切り離してその収益を引き当てに資金調達をするといったようなニーズがあろうかと思います。
債権の流動化の方では、例えば十七年度のリース・クレジット業界の取扱高が十五兆八千億円ございますけれども、現在は、信託銀行に受託したり、あるいは特別目的会社を設立して流動化いたしておりますけれども、流動化をしている額が三兆三千億円程度ございます。したがいまして、今後どういう手段を使っていくか、これは企業の判断でございますけれども、手段が多様化することによりましてこういったマーケットが活性化するというふうに思ってございます。

 

 
それから、もう一つのパターンといたしまして、事業会社がある事業を切り離して資金調達するという場合もございますけれども、これも、例えば鉄鋼業、電子電機工業でございますと、設備投資額がそれぞれ四千億、五千億ございます。もちろんこれは資金調達は自己資金、社債等々で行いますけれども、自己信託もこの一部に使われるようになりますと、そういった多様化する手段で活用されると思います。

今後どう使われるかは、これは企業の判断でございますので、今この場で幾らということを申し上げるのはなかなか……(河村(た)委員「全体でわからぬわけ」と呼ぶ)そこはこれからの企業の判断だと思っておりまして、私どもとしては幾らということをなかなか申し上げられる状況ではございません。
○河村(た)委員 何か盛んに言っておるけれども、大抵普通、会社をやる場合でも、全体的な、一応このくらいまず売り上げはふえるだろうとか、そういうものだね。盛んに大げさなことを言っておるけれども、どうもその将来像というか具体的な数字はわからぬ、そういうことですね。
○立岡政府参考人 自己信託によって資金調達手段が多様化すると思っております。したがいまして、どの手段を使っていくかはこれからの企業戦略だと思っておりまして、そういった意味で、具体的金額は私どもとして幾らというふうには申し上げかねるところでございます。
○河村(た)委員 それはそれとして、今度はちょっと違う方なんですけれども、警察庁の方に来てもらっておりますが、証人に出ていくと日当が出ますけれども、これは初めに最高裁に聞こうかな、裁判所が払うお金ですね。あのお金というのは放棄する人もおると聞いておるんですけれども、本当ですか。
○小池最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
実務上、放棄される方もおられます。
○河村(た)委員 比率でどのくらいですか、もらう人と。警察官と検察官と二つあると思いますけれども、それぞれで。
すみれ
「あまり関係がないような。」

○小池最高裁判所長官代理者 まず、それが統計的にどのくらい放棄されているかというものはとってございません。また、警察官の方が証人に出られたときにどのくらい放棄されているかということも、統計の形では把握してございません。

○河村(た)委員 これは警察庁に聞きたいけれども、本当は法務省だから検察に聞いてもよかったけれども、どういうことかというと、要するに、調書なんかを否認されますと、警察官が出てきて、検察もそうですけれども、いやいや、そんな、私はおどしたことはありませんと言って、とんでもない話をしたりしておるんですけれども、そういうことに出てくるわけですね。そういう場合は、検察はきょうはいいですけれども、警察庁は当日はどういう身分で出てくるんですか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。
警察庁では、もちろん、各都道府県の職員がいろいろな形で裁判所に証人として出頭する場合があるわけでありますが、その取り扱いのすべてについて個別にはもちろん承知しておりませんが、一般論として申し上げますと、警察官が、御指摘のように、職務の執行に当たり取り扱った事件に関しまして裁判所に証人として出頭するときは、これは大多数、公務として出張しているというのが各県の運用であります。
ただ、中には、少数でありますが、特別休暇を取得している例もございます。これはあくまでその県の条例でそういう扱いになっているということで、それに従って、これは県警の職員だけではなくて、県の職員全体に適用されるということであります。

○河村(た)委員 日当というのは、大体平均幾らぐらい出ておるんですか。時間によっては半日とかあるかわからぬけれども、これは二重払いになりはせぬかね。まずちょっと裁判所に、どのくらい出ておるんですか。

○小池最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
日当の上限額は、法律を受けまして規則で定めておりますけれども、一日上限八千円、あとは、尋問の時間あるいはどのくらい尋問前にお待ちいただいていたか、尋問の中身等を考えて決めるということになっております。
○河村(た)委員 旅費とかそういうものとは違うね。旅費とは違って、いわゆる普通だったら、民間の人だったら一日仕事を休んでいただくのでその分のお金、そういうことですね。

○小池最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、旅費とは別のものでございます。

○河村(た)委員 警察庁に伺いたいけれども、これは何ですか。自分が担当した事件で出ていって、これは自分の仕事そのものじゃないですか、出ていくことも。それが日当をもらうというのは明らかに二重取りじゃないですか。そのもらった金はみんなどうしておるんですか。
○安藤政府参考人 まず、その質問に対しましてお答えする前に、警察官が公務で証人として出廷する場合に大多数は公務出張であるということをお答えしましたが、二重取りという点で二つ観点がございまして、一つは、いわゆる県警の職員として出張するということになると当然出張旅費が出るわけでありますが、他方、この場合、裁判所の方からも日当が出るという形式上重なる場合がある、これは条例等の規定によりまして、二重取りにならないように運用がされておりますというのが一点でございます。
それからもう一つ、今御指摘の点につきましては、給与をもらいながらさらに日当をもらうことについては二重取りではないかという御質問でありますけれども、我々としては、主管官庁でないので、日当の性格について直接有権的にお答えするのは適当ではないかもしれませんが、一般論として申し上げれば、この日当というのは、いわゆる実費弁償という性格を有する点におきまして、国の旅費法に定められている日当と同様の性格を有しているものだと思います。
すなわち、旅費法に定められた日当というのは、旅行をする場合、この関連の中で昼食費とかこれに伴う諸雑費等を賄うものとして手当てをされておるわけでありますが、こうした実費の弁償に該当するものとしては、これは旅費法の世界では給与に含まれないものと解されておるということを承知しております。したがいまして、給与の二重取りという御指摘は当たらないものと考えております。

○河村(た)委員 最高裁はそうではないんでしょう、これは。今、実費だと言ったけれども、これは実費弁償じゃないでしょう。
○小池最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
日当につきましては、根拠は法律にございます。普通、その日当の性質につきまして、私どもが解釈しているところでは二つの性質がある。一つは出頭雑費と申します、弁当代とかお茶代とかというものと、もう一つはいわゆる逸失利益の補償という二つの性質を兼ねているものというふうに理解して運用しております。
○河村(た)委員 しかし、どうもこれはおかしい。一つの実質補償ですか、給料の補償の分もあると言われておるので二つ。これは実際は裏金のベースキャンプになっておりはせぬかな。
○安藤政府参考人 そのようなことは承知しておりません。
○河村(た)委員 承知しておらぬというのとなっておるというのは違うんですね。なっておるけれども私は承知しておらぬということじゃないですか。
○安藤政府参考人 先ほども申しましたように、各県の方で二重払いとか、あるいは今言いましたような、このお金につきましてはきちっと運用されているということを事実として承知している上で、承知しておりませんと申し上げたわけであります。
○河村(た)委員 一遍、どういう数になっておって、お金がどうなっておってどうかというのを、後で資料を僕のところへ持ってきてくださいね。ちょっと答弁してください。
○安藤政府参考人 各県の実情について、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、調べまして御報告いたしたいと思います。
○河村(た)委員 では最後に、この間やりました名古屋刑務所の問題で、資料が皆さんのお手元にあると思います。
ここにありますように、これはどういうことかといいますと、何遍もやっておりますけれども、全党そろって、平成十三年の十二月に起きた名古屋刑務所の放水事案につきまして、暴行だという質問をしました。その原因が、法務省からの説明によりまして、法務大臣、それから当時の刑事局長が、加圧された水を大量に放水した、そういう暴行によって、肛門が切れ、それから直腸が切れ、それで死んだんだということをこの委員会でやりまして、きょうはおらぬけれども、当時やってきたのは私とそれから保坂さんが質問しております。それはたまたま二人おるだけで、あと全員、全党、自民党も含めて、自民党も高圧放水、殺人だということを言ったんですが、その水圧というのは、皆さん、これはぜひ資料を見てください。
放水圧比較表の一番下にある名古屋刑務所事案の放水圧、〇・六キロ、二百一リッター、これがいわゆる、裁判は関係ないですよ、裁判とは別個に法務委員会に報告されて、こちらの方は再発防止義務があるからこういうことをやってきたわけです。〇・六キロ。実はこれは、何でこんなことが起きてしまったかといったら、十年ほど前ですか、圧力の単位が一けた変わりまして、一けた間違えたということはほぼ確実です。
それで、委員会挙げて大人権侵害を行ったということで、その水と、次のページを見てください。これは実は、あるところのいわゆる健康ランドの打たせ湯です。これが、前に戻って放水圧比較表、下から五番目、木更津の温泉で採用されている打たせ湯の一例その一、その二、これがその写真です。これは両方一キロ、八百リッター。だから、名古屋刑務所事案の〇・六のほぼ倍、それで水量も四倍とかそういう水量です。
これから見て、どこが一体加圧された多量の放水なんですか。
○七条委員長 時間が来ていますから、簡潔明瞭に。
○小津政府参考人 それでは、ただいま御指摘のございました平成十五年当時の大臣、刑事局長の答弁で、加圧した水あるいは多量というふうに申し上げましたのは、その際の逮捕事実の要旨あるいは公訴事実の要旨をそのまま申し上げたというふうに承知しております。

 

 

 
○河村(た)委員 時間がありませんから終わりにしますが、要するに、逮捕が間違っておったらとんでもないことだったわけですな、これは。だから、この間から七条さんにお願いしておりますけれども、こういうことなんです、実際が。私はこの木更津の温泉に行こうと思っていますけれども、これは暴行じゃないですよ、気持ちいいことをやりに行くんですよ、言っておきますけれども。アメニティーバスですから、それが一キロですから。名古屋刑務所は〇・六、これは一キロ。放水量が何と、今言いましたように、これは何倍ですか、ちゃんと言っておかないかぬ。本当にとんでもない数字だな。八百リッターか九百リッター、このアメニティーバスが。名古屋刑務所のは二百ですよ。何が一体これが暴行なんだ。
こんなとんでもない説明をして、これは法務委員会、本当に考えないかぬですよ。なぜ我が党の永田さんはメール事件でああいう目に遭ったのか。彼は、幹事長の息子だからやめたんですか。では、刑務官は名もない人たちだから許されるんですか、ここでめちゃくちゃ言っても。そういうことですよ、これは。
申し上げまして、あとは理事会でぜひ、本当にきちっと党を超えて協議していただきたいということです。
○七条委員長 この問題については、前回もお話がありましたとおり、理事会で現在協議中でございますから、継続して協議をさせていただこうと思っております。
○河村(た)委員 終わります。

○七条委員長 次に、高山智司君。
○高山委員 民主党の高山智司でございます。
それでは、信託法案の質問をさせていただきますけれども、まず、自己執行義務の緩和について伺いたいんです。今回の改正案で自己執行義務が緩和ということですけれども、それはどういう場合に緩和できるのか、まず教えてください。

○寺田政府参考人 この法案におきまして、自己執行義務に対する例外として第三者にこれを委託することができると定められていますのは、第一に、信託行為自体に信託事務の処理を第三者に委託する旨あるいは委託することができる旨の定めがあるという場合、第二に、信託行為に信託事務の処理の第三者への委託に関する定めがない場合でありまして、しかし、信託事務の処理を第三者に委託することが信託の目的に照らして相当であると認められる場合、第三に、信託行為に信託事務の処理を第三者に委託してはならないというむしろ禁止の規定がある場合において、しかし、信託事務の処理を第三者に委託することにつき信託の目的に照らしてやむを得ない事由があると認められるとき、この三つが例外として第三者に委託できる場合として規定されているところでございます。

○高山委員 では、まず、信託行為に第三者に委託できるということですけれども、いわゆる丸投げは可能なんでしょうか。丸投げ、完全に再委託するということは可能なんですか。

○寺田政府参考人 これはもちろん解釈になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、そこにはおのずから信託による一定の限界があるというように解しております。
ただ、法文上は基本は自分でやる、しかし、例外として、今申し上げたように、信託行為について第三者に委託することができるというふうに定めがある場合、こう書いてありますので、その構造はおのずから明らかでありますけれども、しかし、では、どこまで自分でやらなくていいかということは量的な限界はないというように規定しているわけでございます。

○高山委員 今の量的な限界はないという答弁の意味がわからないので、もう一度答弁してください。

○寺田政府参考人 丸投げと申しますのは、いわゆる一〇〇%、全部第三者に執行をゆだねるということでございますので、それは基本的にはこの信託という概念に反するというように私どもは理解をいたしております。
ただしかし、部分的に少しずつそれを委託していった場合に、結果として、では何%を超えればいけないかというようなことについての量的な意味での限界というのをお示しするのは難しい、こういう意味で申し上げたわけでございます。
○高山委員 だって、パーセントでそんな、九八%は信託を再委託しますとか八〇%まではということじゃないんじゃないんですか。やはりこの信託という趣旨からここまではいいとかという判断であって、量の問題というのは、ちょっと今の民事局長の答弁はおかしいなという気はしましたけれども、大臣に伺いたいんですけれども、つまり丸投げは禁止されている、こういう理解でいいんですか。
○長勢国務大臣 今局長から答弁したとおりでございまして、当事者の自治がある程度尊重されると思いますが、基本的に、信託の性格上、そういう特別の取り決めが行われるということは基本的にはないと思っております。

○高山委員 丸投げが信託の趣旨からないというような今大臣のお話でしたけれども、その信託の趣旨から丸投げが禁止されている理由というのは何なんでしょうか。その禁止をされている理由をお願いします。

○寺田政府参考人 ここは難しいところでございますけれども、信託においては、基本的に、受託者に対する信認というものがその制度の本質になっているわけでございます。したがいまして、受託者がその信託における基本的な職務の執行をするというのを原則としてやはりとらえなければならない。そこから私ども、先ほど申し上げたようなところでございます。

○高山委員 それでは、民事局長に伺いますけれども、今、現行法の段階でも、例えば切手を張って出すとか、そういう本当の事務作業のようなものはどういう扱いになっているんでしょうか。

○寺田政府参考人 現行法は、先ほど私が御説明した三つの場合のうち、第二の場合を欠いているわけであります。したがいまして、基本的に、何も定めがない場合に自分で全部やらなきゃならないという解釈が基本でございますが、ただ、実務においては、実際におやりになること、今委員は切手を張って通知を出すようなことを例に挙げられましたけれども、そのような信託にとってまことに事務の処理上本質的でない部分はそもそも信託事務には当たらないという解釈で、これを第三者に委託しても構わないという解釈がとられているようでございます。
ただしかし、それは、何が信託事務にとって本質的かということをむしろ解釈上明らかにするのはなかなか難しいということで、実務家の間でも、自分で執行するということを逆に外していただいて、その限界をむしろ画していただく方がいい、そういう御判断でございますので、私どもは、今度の立法に当たりましてそういう方向で議論をしてまいって、このように法案をお出ししているわけでございます。

○高山委員 今の実務家からの要望で、限界を画してほしいというお話でしたけれども、その限界を教えてください。
○寺田政府参考人 信託においては、先ほど受託者に対する信認が基本になるというふうに申し上げましたけれども、それを具体的に画しているその法律の要素というのは、やはり信託の目的ということになるわけでございます。どういう目的でその信託が行われているか、例えば障害者のお子さんを養うということを目的とするというようなことが決まるわけでございます。そういう目的とその委託者との関連において、委託者がみずからやるべきかどうかということが判断されるわけで、具体的には新しい規定の二十八条の二号で申しますと、信託の目的に照らして相当かどうかということでそれが決まる、そういう構成をこの新しい法案ではしているわけでございます。

 

 

 

 

 

○高山委員 いや、ちょっと大臣も、今伺っていて、実務で今それほどすごい不都合があるわけではなくて、いろいろ実務の中での仕事を積み重ねていく中で、ただ法律によって限界を画してもらった方がいいというようなことで、今回この二号、これを入れたということなんですけれども、それが入った文言が「信託の目的に照らして相当」ということですけれども、この限界事例、先ほど聞きましたら、一〇〇%丸投げはいかぬというお話でした。信託の目的に照らして相当というものの限界はどういうことが考えられますか。これは事務方で結構ですけれども。
○寺田政府参考人 これは、先ほど申し上げましたように、信託の目的というのがあくまで本質でございますので、例えば障害のお子さんを養うための資産の管理をされるということであれば、その全体の資産の運用が本当にお子さんのためになるかということを受託者が御判断になるということは非常に重要なポイントであります。これに対しまして、具体的な個々の行為、例えば大学での入学手続をするとかいうようなことをなさる、これは第三者に委託しても構わないということになるわけでございます。

では、なぜこのような構成を新たにとるようになったのかということとの関連でこのことは考えなきゃいけないわけでございますけれども、今までのように信託銀行が中心で、信託銀行にお任せして、信託銀行なら通常このぐらいのことを信託銀行はし、第三者にはこのぐらいのことをお任せしてもいいという、いわば定型的な御判断が実務上は可能であったというように関係者の間では理解されているわけでございますけれども、これからはいろいろな方がむしろ受託者になられるわけでございます。
先ほど私が申し上げた子供の養育をするについても、必ずしもそれは信託銀行ではない方が登場されるわけでございまして、そういうこれからの信託を考えた場合に、やはりどこまでをその受託者御本人がされるかということを、条文上も建前と例外というのをはっきりさせた方がわかりやすい、それで例外の場合をあえて新たに立てられた仕組みの中で判断していく方が適切である、こういうことで法制審議会でも議論を経てこういうようになっているわけでございます。
○高山委員 しかし、これは今、実務上、実際、その信託の本質からしてできないことはもうできないんだということで実務的にやっているわけですよね。そうすると、別にほかの業界の人が入ってきてもそれでよくて、私が言いたいのは、つまり、この二号の規定というのはそんなに意味がない規定なんじゃないんですか。しかもこれでは、だって明らかになっていないですもの。信託の目的に照らして相当というのは、先ほどから信託の本質に反しない限りできますというのと言いかえにすぎないじゃないですか。この規定をわざわざ置いた意味というのをもう一度説明してください。
○寺田政府参考人 おっしゃるとおり、では、これが今までの実務をどのぐらい実際に具体的な行為として変えるようになるかということになりますと、それはおっしゃるような評価もあるいは可能かもしれません。つまり、これまで許されてきたものはこの新しい基準のもとでも許されるということになり、これまで禁じられていることはやはり新しい基準でも禁じられるということになるかもしれません。
ただ、先ほど申しましたように、これからはいろいろな形の信託が出てくる可能性があるわけでございます。そのときに、今までのような信託銀行にとっての信託の定型的な処理というものから、やはり考え方自体をお示しして、これはどういう場合に許されるかというようなことをどなたにも判断の抽象的なレベルでわかっていただかなきゃならないという使命があるというように考えまして、私どもはあえてこれは、原則はこういうことで、こういう場合には例外として認められるんだという法律の立て方を採用しているわけでございます。
○高山委員 実際、私は、こういう信託の目的に照らして相当という抽象的レベルで理解してもらうより、むしろ、これは定型的に今まで実務で決まっていたわけですから、これはいい、これは悪いというのを列挙した方がよっぽどいいんじゃないのかなという気もしますけれども、そこはこれからどんどん信託が自由化されていくということで、それは使い勝手がよくなる反面、またやはり、きょう村上ファンド解散とか出ていましたけれども、そういうお金もうけの、しかも脱法的な行為に使われるおそれも出てくるだろうし、ここの自己執行義務に関しては、もともと、信託の受託者と委託者の間あるいは受益者の間ではすごい知識の差があるわけですよね。それをさらに自己執行義務をどんどん緩和していくとなると、私、あの人を信用してやっていたと思ったのに、見たら、私の財産を全然ほかの人が運用しているわということになりはしないかなということで、問題が全くないとは言えないなと私は思うんです。

私はこの説明を受けたときに、受託者が財産を運用するに当たり、例えば、アメリカの債権に特別強い投資銀行があるからそこに再委託するとか、そういうことが許されるような話を聞いたんですけれども、そのような運用がさらに得意な分野があるところに運用そのものを全部任せてしまうというようなことも今後可能なんでしょうか。

○寺田政府参考人 それは、あくまで信託の目的との関連で考えるべきでありまして、例えば、一定の資金を運用する、それをどこのマーケットで運用するということをとりわけその信託としては問題にしないということであれば、何も決めなくても、それは外国で運用しても構わない。その場合に、どうしても国内であなたにやってほしいということで、信託の行為の中で受託した者でない場合には、それは第三者に得意な分野としてお譲りして、その者に委託をして、外国でそういう債権の売買、運用などをするということも十分に考えられるわけでございます。
要するに、設定された信託の目的との相対的な関係で、どこまで第三者に委託することができるかどうかが決まる、こういう構造になるわけでございます。

○高山委員 この自己執行義務にまだこだわりたいんですけれども、例えば、民事信託であれば、あの団体とかあの人にお願いできるから安心だわと思ってお願いしている、ところが全然違う人がやっちゃっているということになると、これは趣旨に反するなと思うかもしれない。あるいは、年金の基金みたいな場合でも、年金だからそんなに冒険はしないでもそこそこの運用ができればいいということで、何とか信託銀行であるとか、そういう大手に任せていたら、よく聞いたことのない何とかケイマン投資銀行とかで運用されていた。こうなると、これは趣旨に反していると思う委託者あるいは受益者がいると思うんですけれども、この場合に受益者の事前の承認というのは要るんですか、再委託する場合に。
○寺田政府参考人 今おっしゃったことが信託行為で特に決められておらず、それから信託の目的に反しないということであれば、事前の承認というのは不要です。
○高山委員 これは大臣に伺いたいんですけれども、では結局、信託行為に反するか反しないかというのは受益者が決めているんじゃないじゃないですか。受託者が自分の判断で、これは私がやらなくてもいい、ここの人にやってもらおう、この方が合理的だというふうに判断しているわけですね。
そうすると、これは、委託者がちゃんと委託したときの思惑と違ってくることというのも当然出てくるし、その危険が大きいんじゃないですか。どうですか。
○長勢国務大臣 目的に照らして相当であるという規定でありますので、目的の遂行のために、具体的に必要なものを基本的には想定しておるんだと思っております。

また、御心配のような問題といいますか、受益者保護と委託者の意思に反しないようにするために、今回の法案でも、受託者は委託先については選任監督責任を負うということにしておりますし、また、信託の目的に照らして相当でないのに委託した場合や、信託の目的に照らして適切な委託先の選任をせずまたは委託先の監督を怠ったときには、受託者は、原則として、信託財産に生じた損失または変更について、損失のてん補または原状の回復の責任を負うということにいたしておるところでございます。

 

 

 

 

○高山委員 これも大臣に伺いたいんですけれども、事後的にそういういろいろ回復ですとかできるんですけれども、これは事前に、再委託だなんだする際に、もともとの委託者と相談したり、受益者と相談したり、あるいは承認を求めたり、こういう必要はないですか。
○長勢国務大臣 そういう必要があるケースもあるかもしれません。そのためには、当然、信託契約の中でその趣旨のことが書き込まれるのが通常ではないかと思います。
○高山委員 いや、大臣、これは、信託行為だとか信託契約に書いてあるケースはもちろん除いているんですよ。信託の定めのない場合、しかも、これから業法じゃないような人たちもどんどん入ってくるという中で、いろいろな契約事由の中で想定されるわけですよね。その中で、そんな事後的救済でもう取り返しがつかないぞということは十分考えられると思うんですけれども、これは事前に承認をとるなり相談をするなり、何かそういうものを入れる必要はないですか。
○長勢国務大臣 詳細はまた局長から答弁させますが、現実に実務が便宜にできるようにということを今回明確にしておるわけでありますので、余りぎちぎちにしたことにしてしまっては、目的とはまた違ったことになるのではないでしょうか。

○寺田政府参考人 実際は、今委員のおっしゃったように、事前に、そんなことはやめてくださいという相談がされるようなことは大いにあり得ることだと思います。

それは何を背景にしているかといいますと、一番究極的な場合には、新しい法律でいいますと四十四条に規定がございますが、受託者が本来の趣旨に反するようなことをして損害が生じる場合には差しとめられるという規定があるわけでございます。また、もっと極端な場合には、これは委託者と相談して受益者の側から受託者を解任することができるという規定があるわけでございます。
そういう最終的手段を背景にして、今まさに委員がおっしゃったように、事前に、そういうことをやめてはどうかというような相談、協議がなされる、こういう構造になるのではないかと思います

○高山委員 あともう一つ、受託者が複数いる場合、これはどういう扱いになりますか。
○寺田政府参考人 受託者が複数ある場合というのも今後は大いに考えておかなきゃならないところでございますけれども、七十九条以下に特別の規定を置いておりまして、基本的には、信託事務の処理は受託者の過半数をもって決するということにしているわけでございます。

○高山委員 この次、ちょっと簡単というかあれなんですけれども、自己執行義務が緩和されるわけですね。これは受益者保護で、今この新しい改正案の中でどういう手当てをしておりますか。
○寺田政府参考人 一部、先ほど申し上げたことの繰り返しになるわけでございますけれども、もともと、法律の規定上、一定の場合にしか第三者への委託は許されないということになっているわけでございますけれども、委託先について選任監督責任をそもそも負っているわけでございます。
それから、もし、信託の目的に照らして相当でないのに委託した場合、あるいは適切な委託先の選任をしない、監督を怠ったというようなことになりますと、原則として、損失についてのてん補責任あるいは原状回復の責任を負うもの、こういうようにされているわけでございますから、いわばそういうことを背景にいたしまして受託者は行動をしなきゃならない、こういうことになるわけでございます。
○高山委員 その損失の立証責任みたいなものも受託者の方にあるわけですけれども、これはかなり立証が困難だと思うんですけれども、通常の、損害賠償を請求する方がこれは幾らぐらい損害があったと言うならわかりやすいんですけれども、損失が出なかったことというんですか、これを証明するというのはかなり困難だと思うんですけれども、現実的にはこういうことは考えられるんでしょうか。

○寺田政府参考人 今の第三者への委託でいえば、別に、第三者が委託によって事務を執行した場合と、自分がこの事務をやってその結果が出た場合とで、非常に定型的な行為の場合は結果は同じだということを立証されればいいわけでございます。

 

 

 

一番、ややわかりやす過ぎる例で申し上げますと、先ほど申し上げましたような、いわば通知のような機械的な事務を第三者に委託する場合をとってみれば、これは、自分で改めてそういうようなことをするよりも専門の業者に頼んで機械的にやってもらう方が結果としては安くついたというようなことを立証すればいいわけでございますけれども、この場合は、もともとそれが許される場合ということになることが多いというようにも思われるわけでございます。
○高山委員 そうしますと、受益者の方は、あなたが第三者に委託したから損害が生じたということを指摘さえすればいい、こういうことですか。

○寺田政府参考人 特別な規定を幾つか置いているわけでございます。
それで、今の二十八条の第三者への委託に関して言えば、四十条の二項に規定を置いておりまして、二十八条の規定に違反して信託事務の処理を第三者に委託した場合において信託財産に損失が生じたときは、第三者に委託しなかったとしてもその損失が生じたということを証明しなければ責任を免れないということでございますから、立証責任は受託者側にあるということになっているわけでございます。
○高山委員 そうすると、受益者はどういうことを指摘すればいいんでしょうか。

○寺田政府参考人 受益者といたしましては、もともと二十八条に受託者がなされたことが違反しているということを指摘する必要があるわけでございます。
次に、このことによって損害が生じたということも主張はされないとまずいとは思いますけれども、その具体的な立証は相手方がする必要があるということになる、そういう構造になっているわけでございます。
○高山委員 そうしますと、損害の有無に関しては、これは受託者が、額というか、こんな損害が生じたとか生じていなかったということを言うのはわかりましたけれども、信託の目的に照らして相当であるかどうかというのは、受託者が決めるのではなくて、受益者が、これは信託の目的に照らして相当でないと思えばすぐ指摘できる、こういうことですね。
○寺田政府参考人 これもややテクニカルな説明になって恐縮でございますけれども、この二十八条は、原則としては、信託の事務の処理は、本人、受託者がやらなきゃいけないということを前提にいたしまして、しかし、一定の場合に例外的にこれが許されるという構造をとっておりますから、この許されることの立証そのものは、これは受託者の方で最終的にはなさらなきゃいけないという構造になっております。

○高山委員 だから、これはある意味受益者保護になっているんですけれども、そうすると、受託者の方はかなり、いつ、自分が第三者委託していることが、おまえ、それは信託の趣旨に反するぞと言われるかどうか確定しないで委託しなきゃいけない、こういうことになりますね。それでいいんでしょうか。
○寺田政府参考人 それこそが私どもの望んでいるところで、こういう構造をとっているわけでございます。
基本的に信託というのは、先ほど申しましたような原則のもとで動くべきものでありまして、これを第三者に委託することのリスクというのはやはり受託者の方でとっていただかなきゃならない。ただ、受託者というものは一般的には非常に信頼を得てなっておられるわけでございますから、通常の事務のやり方であれば、それぐらいは自分に任されているだろうということでおやりになるべきような関係でないと、もともと信託というのは難しいのかもしれません。
しかし、いずれにいたしましても、ぎりぎりのところを申し上げれば、先ほど申したように、受託者の方でそのリスクを負っていただくべきものであります。

○高山委員 その信託の目的に照らして相当であるかどうかというのを指摘するのは、受益者が多数いる場合にはどのような方法で行われるのでしょうか。

○寺田政府参考人 これもまた、受益者が多数である場合にどういう意思決定をするかということが、まさに現行法で明らかでなかった部分であります。

 

この点につきまして、新しい規定では、受益者が複数の場合のための方法の特例というのを百五条以下に置いているわけでございます。これによりますと、原則は受益者の全員一致でございますけれども、信託行為でその他の定め方ができますし、また、受益者集会というような規定も置いておりますので、多数決の原理も一部取り入れられている、こういうことになるわけでございます。

○高山委員 そうしますと、第三者に委託しているのが信託の目的に照らして相当かどうかは、今言った百五条の規定に従って決められるということになるのでしょうか。
○寺田政府参考人 受益者がこの点についての受託者の行為を問題にされ、その責任を追及される場合には、この百五条以下での意思決定に基づいて受益者全体としてはどうなさるかということをお決めいただくわけでございます。

○高山委員 そうしますと、今この委員会だけでもなかなか明らかにならなかったこの信託の目的に照らして相当というので、これは受益者の方が何人も集まって、あの第三者委託したのは相当だった、いや、そうじゃないということをやるわけですよね。なかなかこれはちょっと難しいなという気もいたしますけれども、きょうは時間が来たので終わります。
○七条委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時八分休憩
――――◇―――――
午後二時三十八分開議
○七条委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。石関貴史君。

○石関委員 民主党の石関貴史です。
私自身は、財産も何にもありませんので、今まで信託ということについてはほとんど無関心でもありました。今回、この法務委員会で信託法改正ということになりましたので、にわか勉強しているところでありますが、素人的な質問ですとか、これまでにも十分議論をされている部分もありますので、重複する部分もあるかと思いますが、一般の国民の皆さんに説明するつもりで、ぜひわかりやすい御答弁、御説明をお願いしたいと思います。特に、具体的な事例をいろいろ挙げていただいて御教示いただければありがたいと思います。
まず、信託の民事的な活用ということについてお尋ねをいたします。
信託については、一般に、民事的な信託と商事的な信託という二通りのものがあるということでありますが、日本においては、商事的な信託の利用を中心に発展をしてきた、民事的な信託の利用は少ないというふうに承知をしております。また、実際のところ、民事の分野では今現在どのような使われ方をされてきているのか、具体的な事例を挙げて御説明をまずお願いいたしたいと思います。
○寺田政府参考人 委員が今御指摘になりました民事的な信託、商事的な

信託でございますが、これは、概念上は法律の条文の上で特にそういう規定があるわけじゃありませんし、講学上そういうようなことは言われておりますけれども、必ずしも、どこからどこまでときれいに線が引けるわけではありません。
ただ、一般的に申し上げますと、民事的な信託というのは、家族、親族の内部における財産の管理、移転等を目的とする信託のように、委託者あるいは受益者にとりまして営利性が比較的乏しい信託、これを民事的な信託というように呼んでいると思われます。
これは、今委員も御指摘のとおり、我が国の信託の利用の中では必ずしも幅広く利用されているわけではありませんが、最近では、この信託というのも民事的にも利用できるということが少しずつ知られるようになりまして、かつ、高齢化社会も意識されるようになりましたので、受託者は信託銀行というところに比較的限られているわけではございますけれども、高齢者の財産管理を目的とする信託、あるいは障害者の扶養のための信託、子や孫の養育、教育のための信託というようなものがそろそろ出てきたというように言われております。

もっとも、戦前においてもこういうものが全くなかったわけではありません。ただ、今の信託法が必ずしも高齢者の財産管理にぴったり適応できるような仕組みにまだ至っていないというところもございまして、このようなものはごく範囲が限られて存在している、こういう状況だと思われます。

○石関委員 今のところ、今御説明があったとおりで了解をいたしましたが、高齢化社会というふうになってきておりまして、大変な勢いで高齢化が進んでいるという社会であります。こういった状況のもとで、高齢者が自分の財産をきちんと守っておきたい、保全をしておきたい、こういったニーズは一層高まってきているし、この先もますますこれはさらに高まっていくものだろうというふうに思います。現に、平成十六年に行われました信託業法の全面改正案における審議に際しては、衆議院の財務金融委員会において、「来るべき超高齢社会をより暮らしやすい社会とするため、高齢者や障害者の生活を支援する福祉型の信託等を含め、幅広く検討を行う」、この附帯決議がされているようであります。
今お話のありました高齢者の財産管理のための信託、いわゆる民事的な信託、この活用でありますが、具体的に高齢者の財産管理のための信託というのはどのようなものがあるんでしょうか。
○寺田政府参考人 おっしゃる高齢者の財産管理のための信託でございますが、委託者としては、自分が意思能力のあるうちに自分の財産というのをだれかに管理をゆだねて、それを安心した状態にして、その後、自分がやや意思能力が危なくなっていくというような状態になっても、あるいは最後は死亡しても、その財産管理をゆだねただれか、この場合、信託ですと受託者ということになるわけでございますけれども、そういった者に継続してやっていただきたいという希望を持っているわけでございますが、そういうものにかなった信託がこの高齢者の財産管理のための信託と言われるものでありまして、先ほど申し上げましたように、意思能力が衰える前に、将来の自分の能力がなくなったという場合に備えての資産の利用方法として一つ大きく考えられるわけであります。

具体的に申し上げますと、このような信託を設定いたしますと、仮に自分が将来老人ホーム等の、高齢化した後に住居を構える、だれかに面倒を見てもらう、そういう式の契約をする際に、その契約を全部受託者の方で賄ってやってくれる、日々の利用料の支払い等も、その預かっている財産の管理の一環として支払いが行われる、また、自分の意思能力が危なくなっても、財産管理が非常に瑕疵があっておれおれ詐欺にひっかかってしまう、いわゆる極端な例ではございますけれども、そういうようなこともなく安心して暮らしていける、そういうメリットがあるんだろうと思います。

○石関委員 これまでは、今御説明のあったような高齢者の財産管理のための信託というものは利用できたんでしょうか、それとも、今度の法改正によって初めてそういうものができるようになるのか、いずれでしょうか。
○寺田政府参考人 今申し上げたような、自分の財産を受託者に管理のためにゆだねて老後の面倒を見てもらうようなことを考える、これは現行の信託法でも仕組みの上では全く問題なくできるものです。

問題は、そういうことを引き受けてくれる人がいるかどうかということがまず一つございますし、引き受けてもらう方が本当に一〇〇%信用できるかということになりますと、自分の意思能力が仮に欠けても、その人に一〇〇%ゆだねてしまうのではなくて、何かありましたらその人を監視してくれる役目の人、こういう人がいてほしい、そうすればもう少し制度としてはスムーズに動くのではないかというようなことが考えられるわけでありますけれども、そういった仕組みが現行の信託法の中には欠けているわけでございます。ですから、今回そういう仕組みを補充して、現行法のもとでもできるような高齢者のための財産管理の信託をより使いやすくするという意味があるのではないかと思われます。
○石関委員 それを使いやすくする仕組みを入れるということでありますけれども、現行法のもとで、今るる御説明をいただいたような高齢者の財産管理の信託というのは、現時点ではどのくらい使われているんですか。
○寺田政府参考人 これは、私どもは統計的には承知しておりませんが、十年ぐらい前から信託銀行等でそういう高齢者の財産管理ということが、成年後見制度のもとでいろいろなビジネスが考えられるということと並行して考えられるようになりまして、一部そういうものが実際の運用として出てきつつあるということを承知はいたしております。
○石関委員 もう一度整理をしてお答えいただきたいと思いますが、今のところの利用状況はよくわからないということであるのか確認をしたいということと、今後、こういったものがふえていく見込みというのはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
○寺田政府参考人 数字としては把握しておりませんが、例えば、英米に比べますと、こういうようなものの利用度は非常に低いだろうと言われておりますので、私どももそう承知をしているところでございます。
ただ、今後は、先ほど申しました今度の信託法の改正等、あるいは信託業法等の改正も相まって、あるいはこの先もさまざまな工夫がされることになると思われますけれども、そういったことと相まって、信託というのが高齢者の財産管理の手段として大きな位置を占めていくというように、これは学者の先生もそう言われておりますし、関連業界といってはなんですけれども、現在の信託銀行を初めとしていろいろな事業者の間でも、そういうものも一つ考えられる。あるいは弁護士、司法書士の皆さんなども、そういうものが今後非常に有力な手段ではないかとおっしゃっておられますので、利用度はかなり高まっていくものというように期待をし、考えているわけでございます。
すみれ
「司法書士だ。」
○石関委員 英米ではこういった利用が多いということでありまして、比較して日本は少ないんだということでありますが、英米が多くて日本が少ないというのは、主たる要因は何なんでしょうか。英米の方は非常に整備がされていて、日本は未整備だったりとか、なかなかそういった利用があるということが知られていないということなのか。どういうことが要因なんでしょうか。

○寺田政府参考人 これは幾分かは推測ということになるわけでございますけれども、基本的にはやはり歴史的な背景があろうかと思います。
もともと信託というのは、前の審議で申し上げたとおり、英米で財産の管理の不自由さというものを脱却する手段として登場して、基本的にはファミリーの間で財産管理をするものという認識が今非常に強いわけです。したがいまして、それを扱う信託会社に相当するものも非常に広範囲におられますし、あるいは会社でなくても、個人のそういう専門家というのはおられるように伺っております。

これに対しまして、我が国は、どちらかといいますと、信託は、先ほどもお話が出ましたように、信託銀行中心の金融の世界というので戦前からもともとスタートし、戦後はまさに信託銀行のもとで金銭信託、貸付信託等で大きく花開いている制度であって、どうも個人が用いるということについては、それをお引き受けになる信託銀行そのものも、余り定型化されないような、いろいろなオーダーが個人を相手にする場合には考えられるわけでございますけれども、その用意が余りなされていないために、したがいまして、利用者の側も余りそういうものも利用する一つの手段としては考えてこなかったということがあります。

それに、ここから先はややこういう法律の議論としては難しいところではございますけれども、大体において、そもそも、高齢化した後の財産管理を第三者にいわばビジネスとして頼むという観念そのものが我が国にはやや乏しかった。つまり、家庭内でそういうものは処理してきたという伝統もまた一つ相まって、全体として信託の利用がそれほどではない。ですから、言いかえれば、実質的にだれかに財産を管理してもらっているという状態はあったわけでございましょうけれども、それを信託という制度の上に乗っけるということは余り考えられてこなかったというようなことではないかと思われます。
○石関委員 少なかった理由ということを御説明いただきました。
ただ、先ほど申し上げた、私もそう思いますけれども、いわゆる高齢者福祉型のこういった信託のニーズが高まってくるという中で、今回の改正案でそれについてどのような手当てをされているんでしょうか。
○長勢国務大臣 今民事局長からいろいろ答弁を申し上げましたが、一つの問題は、現行信託法のもとでは、判断能力の衰えた受益者、いわゆる高齢者ですけれども、高齢者にかわってだれかが受託者を監督するという仕組みがありません。そのために、高齢になって判断能力が落ちてきますと、だれかに信託をするということについて少なからず不安があるということが一つの大きな原因ではなかったのかなと言われております。

そこで、今回の改正では、受益者のために第三者が受託者を監視、監督するという信託監督人という制度を設けることといたしました。具体的には、この信託監督人が、受託者が信託違反行為をしようとしている場合の差しとめ請求権を設ける、また、受託者が信託財産に損害を与えた場合の損失てん補、原状回復請求権を与える、また、裁判所に対する受託者の解任申し立て権を受益者にかわって行使するということができるということにいたしました。これによって高齢者の方々も受託者を監視、監督することが可能になりますので、この福祉型信託というものが伸びるんじゃないかな、利用しやすくなるんじゃないかなと思っております。
また、こういう信託を高齢者の方々が設定される場合に、自分が死んだ後の財産分配のあり方もみずから決めておきたいと考える人も多いわけでありますが、そこで、こういうニーズにこたえるために、一つは、いわゆる後継遺贈型の信託の制度を創設することにいたしました。後継遺贈型の信託というのは、例えば、委託者Aさんが、自分の生存中は自分が受益者になる、自分が死んだらBさんが第一受益者となる、さらにBさんが亡くなった場合にはCが第二受益者となるというように受益者が連続して移っていくという信託のことをいうわけでございますが、現行の信託法ではこういうことができるのかどうか議論があったところでありましたが、今回の法案では、一定の期間に限ってこのような信託も有効であるということを法律上明確化いたしましたので、そういう意味でも使いやすくなった。

それからまた、第二に、受益者が、高齢者が、自分が亡くなった後はだれかに受益権を与えるということにするわけでありますけれども、その場合に、今の現行法では、Aさんと決めた場合、受益者をこの人に渡すということにした場合に、それを途中でやはり別の人にかえたいということが起こるわけでありますが、現行の制度ではこの受益者を変更するという制度がありません。それで今度の法案では、このような信託においては、信託行為に特別に決めておかなくても委託者が受益者変更権を有するということにして、将来、事後的に受益者を変更できるということにいたしましたので、そういうニーズも満たすことができますので、そういう点からも使われやすくなるというふうに考えております。

○石関委員 御丁寧に御説明ありがとうございました。

それでは次に、特に障害者の方の扶養を目的とする信託というものについてお尋ねをしたいと思います。
私の知り合いでも、障害者のお子様を抱えて、自分が亡くなった後のお子様の将来のことを大変心配されている方がいらっしゃいます。特に知的障害等を抱えるお子さんを持つ親御さん、今申し上げたように、自分たちが亡くなった後に、そのお子さんたちが経済的に自立をして本当にやっていけるんだろうかということを大変不安に思っていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。いわゆる親亡き後の子の問題というふうにも呼ばれているようでありますが、このような問題を解決するためには、具体的にどのような内容の信託が役立つというふうに、今回の法改正によってそういった部分も考えられているんでしょうか。

○寺田政府参考人 そのような場合に、いろいろな法律上のやり方がもちろんあろうかと思います。現在でも、それはどなたかにそういうことに備えた委任をされるとかいうようなことは可能であります。
ただ、やはり信託が一つの有力な手段だと思われますのは、ある時点でどなたかにその財産管理を全部ゆだねるということで、その時点で一種の譲渡の効力が生じますので、その譲渡された財産、例えば、自分が財産が一千万ある、しかし、子供が障害で、どうしてもその障害の子供のためにその三分の一ぐらいは必ず確保してやりたいという場合に、その三分の一を今ここで信託すれば、その財産には信託の趣旨にのっとって財産的な拘束がかかります。
つまり、その財産を受託した受託者は、障害を持ったお子さんのためにのみその財産を使わなきゃならない、そういう善管注意義務が出ますし、第三者は、その財産に対して係っていくためには、その財産自体の債権者でなければならないのであって、親御さんが例えば事業をされているという場合に、その親御さんの事業のための債権者というのは譲渡した三分の一の信託の財産については係っていけない、こういう効力が生ずるわけであります。
そこで適当な方がおられれば、三分の一をその方を受託者として信託をされ、障害を持ったお子さんのためにそれを以後利用していく、そういう組み立てができるわけでございますが、ただし、これからは実はわかりませんが、現状ではなかなか、数百万という規模の信託というものについて、これをビジネスとして受託をしていただける方がおられない問題もありますし、あるいは、本当にそういう家族的な細やかな運用を期待できるというのにもおのずから限界はあるわけであります。

 

 

 

 

そこで、今回、自己信託というものを御提案申し上げているわけでございますけれども、少なくともそういう比較的小規模な信託においては、親御さんが元気な間は自分が信託の受託者ということで自己信託を設定され、その財産については子供のためだけにこれを用いることができる、こういう法律関係が生じますので、これは、一部の、もう既に、私どもがこういう信託法の改正のための作業をしているということをお知りになって、そういうことであれば自己信託のような形で自分たちが利用したいと現におっしゃっておられる方が幾組かおいでになるわけであります。

したがって、それは一つの手段にはすぎませんけれども、しかし、期待できる一つの手段にはなるというように見られていることは確かでございます。
○石関委員 今のような形の自己信託ということと、例えば子供さんに財産を生前贈与しようという場合もあろうかと思うんですが、こういった場合と比較して、今のような自己信託というのは生前贈与に比べてどんなメリットが実際にはあるんでしょうか。お尋ねもこの改正の作業中にあったということでありますが。
○寺田政府参考人 先ほど、私は委任というのも一つのやり方としてあると申し上げましたけれども、他方、おっしゃるとおり、完全にその時点で贈与してしまうということももちろんあり得るわけです。この場合は、贈与された分の、先ほどの例で申し上げますと、三分の一の財産というのはお子さんのものになるわけでございますので、親御さんの債権者からは遠のいた財産ということになるわけです。

ただ、逆に、例えばお子さんは、今例を出されましたように、まず障害がおあ
りになる、あるいは幼い、いろいろな面で必ずしも法律的な能力が十分じゃないわけです。贈与になりますと、それにもちろん後見人等を別に将来お立てになることもあり得るわけでございますけれども、今その人のために財産管理をするということになりますと、やはり信託の受託者というのが一つの非常に有力な手段、そういう存在であります。
生前贈与だけですと、実際に管理する人が一体だれなのかということに大きくよってしまうわけでありますけれども、それを一つの仕組みとして、ある種の譲渡的なところのメリットというのを生かしつつ、しかし、管理する人のノウハウというのも生かせるというのがこの信託のメリットでございます。
○石関委員 今みたいなメリットもあるということですし、こういう型のものが盛んになるというのは、これからの日本の社会に大変有用なことだというふうに思います。

作業中にも問い合わせがあったりということでありますが、現在、今みたいな自己信託というのはないんでしょうけれども、今回の信託法の改正によっていろいろなチャンスも生まれるし、こういったものも盛んになっていくだろうと予測をされていると思うんですが、今みたいな型のものが今後どのくらい普及をしていくというような見込みというのはお持ちになっているんでしょうか。
○長勢国務大臣 民事的な信託は、お話しのように、日本で今まで余り使われていなかったという歴史的な経緯もありますし、また、制度的に使いにくいところもあったんだろうと思います。今回、先ほど来御説明いたしましたように、利用しやすくしておりますのと、また信託法全体をきちんと整備いたしましたので、社会全体の中で信託というものについての理解というものも進むことになると思います。
今具体的に、では、どういうふうにどうなるかという数字的なことは申し上げかねますけれども、これらの事情を考えますと、今回の法案によって福祉型の信託の利用というものも相当促進されることが期待されると思っております。
ちなみに、私どもが知っておりますのでは、盲人会連合会ですとか全日本手をつなぐ育成会さんなどから、ぜひこういう制度を整備してほしいという要望もありましたし、そういう方々は利用したいという思いだろうと思っております。
すみれ
「実際に要望があったんだ。」

○石関委員 ありがとうございます。
いろいろな関係の各団体とか、大変注意や関心を持っておられるところもあると思いますけれども、私も冒頭で申し上げましたけれども、一般の国民の皆さんの中に、法改正が行われて、そうだ、利用してみようというのも、なかなか、そう思われる方がどれだけいるかというのもありますので、せっかくの制度でありますから、できる限りの周知を図って、国民の皆さんに活用していただくように御努力をお願いしたいと思います。
それでは、今、民事のことについてお尋ねをしたんですが、次はいわゆる商事信託についてお尋ねをしたいと思います。
信託協会の統計を見ましたら、信託銀行や信託会社が受託者となっている信託の受託財産残高というものは、六百兆円を超えるという額になっているようであります。これはかなりの額であります。先ほども質問をさせていただきましたが、今後は福祉型の信託を初めとする民事的な場面での信託の利用も重要であるということでありますが、今日の商事的な場面における信託の利用の実態を考えた場合には、今回の信託法の改正というのは商事的な信託の利用をさらに促進させるものでなければならないんだろうというふうに思います。
このような観点から、商事的な信託の利用に関連する質問をさせていただきますが、まず、具体的なイメージというものを、私もはっきりわからないものですから、今のところの我が国における商事的な信託の利用の具体例について、幾つか例を挙げて御教示いただきたいと思います。
すみれ
「600兆円て。」
○寺田政府参考人 おっしゃるとおり、我が国の信託というのは基本的には商事信託中心で来たわけでございます。この商事信託というのも、先ほどの裏返しになるわけでございますけれども、必ずしも定義ははっきりしないところではございますが、一応、非常に営利性が委託者あるいは受益者にとってはっきりしているという信託を意味するというふうに解しますと、こういう商事的な信託の中心は、先ほども少し申し上げましたが、まず貸付信託というものがございます。これは、信託法の特別法に当たります貸付信託法に基づく信託でございまして、信託銀行が受託者になり、多数の顧客との信託契約によって金銭を受け入れて、これを主として貸し付けあるいは手形割引の方法によって運用し、受益者である多数の顧客にこれを分配する、こういうような形の信託でございます。

第二に、年金信託がございます。これは、年金資産について信託を設定いたしまして、これを有価証券等で投資をして運用するものでございまして、これも特別法に当たります厚生年金保険法や確定給付企業年金法等によって認められているところでございます。

第三が、証券投資信託でございます。証券投資信託は、投資信託法に基づく信託でございまして、多数の投資家から資金を集めた委託会社が、その資金を受託者である信託銀行等に信託をし、受託者はこれを委託者の指図に基づいて特定の有価証券で運用、利殖している、その利益は当然受益者である投資家に還元される、こういうものでございます。
以上の三つは、商事的な信託でも比較的伝統的なものでございますけれども、最近は、資産流動化のための信託というものがいわばニューフェースとして登場して、しばらくの時がたっている状況でございます。
この資産流動化のための信託というのは、委託者から不動産あるいは金銭債権等の資産を受託者が引き受けまして、その受益権は投資家に販売されるわけであります。具体的な委託者のメリットというのは、信用状態が悪化したときに、そういうものとは別に、リスクが切り離された形でその信託が運用されるということでもって、投資家から見ましても、リスクが切り離されているので、当然、商品としては十分に魅力があるものだ、こういうところでございます。
いずれも私どもの所管法ではございませんけれども、そういう形での特別法によって成り立っているところでございます。

 

 

 

 

 

○石関委員 今、具体的な例を挙げてわかりやすく説明をいただきました。
このようないわゆる商事的な信託というもの、先ほど申し上げたように、これを促進するような法改正であるべきだというふうに思いますが、こういった観点からは実際にどのような手直しと改正点があるんでしょうか。

○長勢国務大臣 商事的な信託について、その利用に資するような改正として今考えておるものは、次のとおりでございます。

一つは、受益者が複数に上る場合の意思決定方法の合理化というものを図っております。

商事的な信託におきましては受益者が多数に上るということが少なくございませんが、現行の信託法では、そういう複数の受益者の意思決定という場合のルールというものが不明確になっております。

そこで、今回の信託法案では、受益者が多数の場合であっても機動的な意思決定を可能にするため、信託行為に定めを置くことにより、受益者が多数決で意思決定することを許容するものとする、その方法として、受益者集会制度を新設することといたしました。また、同様の趣旨から、受益者代理人の制度も定めておるわけでございます。
すみれ
「受益者代理人は信託銀行とかで利用されることが想定されていたのかな。」

第二に、受益権の流通性を高めるために、受益権の有価証券化を一般的に許容する受益証券発行信託の制度を新設しております。
商事的な信託においては、信託の受益権を取得した者はその受益権を第三者に譲渡することにより換価することを望む場合が少なくないと考えられるわけでございますが、現行法の信託法では、この有価証券化に関する規定はないということで、こういうことが行われていないというのが今までの実情でございます。

そこで、信託法案では受益証券発行信託に関する制度を創設しておりまして、受益権の有価証券化を一般的に許容することとして、受益権の流通性を強化するということにいたしております。さらに、受益権が有価証券化された場合の法律関係を明確にするために、受益証券の発行に関する規定や受益権の譲渡等の特例に関する規定を設けるとともに、受託者の義務を強化するなど関係当事者の権利義務の特例に関する規定を設けておるわけであります。

その他、現行法においては、裁判所による信託財産の管理方法の変更に関する規定があるほかは、信託の変更、信託の中身を変えるという規定は存在しないわけでありますけれども、いろいろ経済社会が変化をしてきておりますので、信託がなされた時点においては予想されなかった事態が生ずる。そういう場合に信託を変更したいということが起きますので、今回の法改正によりまして、信託の変更に関する一般的な規定を設けて、より柔軟かつ迅速に信託の変更を行うことを可能としております。そういうことで、今まで以上に利用がしやすくなるものと思っております。

○石関委員 また御丁寧に御説明いただきましたけれども、今御答弁いただいたうちの最初のところ、受益者が複数の場合の意思決定の方法が合理化をされたということでありますが、これは受益者の多数決による意思決定を認めるということであります。信託というのは受益者のための制度というふうに考えていいでしょうかね、であるとすれば、信託法上で受益者に認められた権利を受益者が十分に行使できる規律の整備が重要であろうというふうに思います。
確かに、受益者の意思決定を常に受益者の全員一致で行わなければならないということになりますと不都合でありますので、受益者の多数決による意思決定を認めるという方向は合理性を持っているというふうに思います。

ただ、他方、多数決での意思決定を認めると、多数派の意思決定に拘束をされる少数派の受益者が必ず生まれてしまうということがありますので、この信託法案では、多数決によってされた意思決定の内容に反対する少数派の受益者の利益を保護するためにはどのような制度を設けて保護をしているんでしょうか。

○寺田政府参考人 おっしゃるとおり、今多数決で受益者の意思決定を行うということになりますと、ちょうど、会社において株主の多数決でいろいろなことが決まるわけでございますけれども、その場合の少数株主を保護すると同様に、ここでもやはり少数の受益権者を保護する必要があるわけであります。
そこで、今回の法改正によりまして、重要な信託の変更が行われて、それが多数決で決まりまして、少数派の受益者がそれには納得しない、こういう状況が生じた場合に、その変更に反対する少数派の受益者としては、受託者に対しましてみずからの受益権を公正な価格で取得することを請求する権利、これは受益権の取得請求権、ちょうど株式の取得請求権とパラレルに考えられるものでございますけれども、そういうものを百三条で認めているところでございます。対価は公正な価格ということになっておりますので、こういうことで、少数派の受益者で決定に納得ができない方というのは経済的に保護されるということになるわけでございます。
○石関委員 ありがとうございます。
それでは次に、受託者の義務の任意規定の部分についてお尋ねをしたいと思います。
今回の改正では、忠実義務など受託者の義務を任意規定にする、契約で受託者の義務を一定の要件のもとで軽減できるようにするという規定が入っております。しかし一方、信託業法の方では、忠実義務が強行規定のままになっているということでありますが、これはどうしてこういうことになっているのか、金融庁にお尋ねをします。

○畑中政府参考人 お答えいたします。
信託法の改正で、忠実義務など受託者の義務を任意規定にする一方で、業法の方で何ゆえこの忠実義務を強行規定のままにしているのかというお尋ねでございました。
信託法案では、御案内のように、忠実義務等につきまして、契約により軽減することを可能にするということで、受託者の義務の合理化、柔軟化が図られております。
一方、改正信託業法案におきましては、忠実義務につきましては、当事者間の契約による軽減を原則として認めないことにいたしております。この理由は、信託会社、業者でございますが、これと顧客との間では情報力、交渉力に格差が生じ得る、これにかんがみまして、契約により自由に信託会社の義務の軽減を認めることは顧客保護の観点から問題があるという判断をいたしたところでございます。

 

 

 

 
○石関委員 それでは、先ほどのいわゆる商事信託と言われる部分については、受託者に業規制がかかっているということであります。民事信託あるいは自己信託にあって業規制が届かないということですが、受託者責任の多くが任意規定化される信託法の規律によることとなっておりますので、受託者の義務を軽減した結果、受益者のリスクが増大することが考えられるのではないかと思います。
高齢者等の財産管理の有用な手法としての利用が期待をされていると先ほど申し上げましたし、御答弁もありました。高齢者が被害に遭うようなことがないようにしなければいけないと思いますが、このあたりについてはどのようにお考えになっているんでしょうか。

○寺田政府参考人 今御答弁のありました信託業法は、一定のレベルの受託者というのを想定しているわけでございますけれども、信託法本体の方は、これは先ほど来委員から御指摘がありましたような、高齢化された方の財産管理のための信託であろう、あるいは大きな企業同士の一対一の信託であろうと、さまざまなバリエーションが考えられ、能力はさまざまなものがあるわけでございます。

したがいまして、原則としては、いろいろな状況に対応できるように、できるだけそれを、義務自体も柔軟化するのはそれは正しい方策だろうと考えておりますけれども、ただ、おっしゃったように、受託者との関係で受益者が必ずしも十分な保護がされないようなおそれがある、そういう状況も当然考えておかなきゃならないわけであります。
そこで、先ほど大臣から申し上げましたように、民事信託においては、特にそれを想定しているわけでございますけれども、受益者のために信託の監督をする、具体的には、受託者を監視、監督するという立場の者として新たに信託監督人というものを置いているわけでございまして、これによって受託者が受益者との圧倒的な地位の差を利用して権限を濫用するというのをかなり防げるような仕組みになっているというように考えているわけでございます。

○石関委員 それでは、この義務の任意規定化の部分で、関連の条文について少し逐条的にお尋ねをしたいと思います。
まず、五十七条の関連です。
受託者の辞任と解任という部分でありますが、五十七条一項のただし書きにおいては、別段の定めがあれば、委託者、受益者の同意がなくとも受託者が辞任できるとする、こういう趣旨なんでしょうか。あるいは、同意があっても辞任ができない、こういう趣旨なのか、いずれでしょうか。二項により、裁判所の許可を得て辞任すれば足りるのではないかというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。このような規定を置いた理由、必要性についてお尋ねをします。
○寺田政府参考人 今お尋ねになられましたのは、五十七条の受託者の辞任でございますね。
これは、受託者は基本的には委託者と受益者の同意をもって辞任することができる、これは現在も信託法の四十三条の規定が、こういうものがあるわけでございますが、ただし書きで、別段の定めが信託行為にある場合にはそれを定めるところによるという任意規定化を図っているわけでございます。
これは、実際は、辞任する際に、その判断をする人というのはさまざまあり得るところでございまして、一番典型的には、おっしゃるとおり、委託者と受益者であろうと思われますけれども、しかし、例えば、受益者というのは、非常に若いあるいは幼い人で、そういう者に同意権を与えるよりは、むしろ、非常に頼りになると思われる人こそ、そういう同意を与える際の主体として考え得るときもあろうかと思います。
そういうようなケースを考えると、必ず委託者と受益者の同意ではなくて、むしろ当該第三者の同意があるときに辞任することができるような仕組みをつくっておいた方がスムーズな運用が可能になる、そういうケースも考えられるわけでございますので、あえて委託者と受益者に限らず、信託行為の定めというところによらしめるべき余地を残している、こういう趣旨でございます。
○石関委員 それでは、次の五十八条三項、こちらも、別段の定めがあれば、委託者、受益者間の合意がなくとも、その一方の意思により、受託者に損害賠償することなく受託者を解任できるとする、こういう趣旨なのか、あるいは、委託者、受益者が合意をしても受託者を解任できない、こういう趣旨なのか、いずれなのかということ。このような規定を置く理由について御説明をお願いします。

○寺田政府参考人 これは結論から申し上げますと、両方考えられるところではなかろうかと思います。
解任というのは、むしろ、原則よりは制限したい、こう考える場合もあろう、あるいは、解任というのを制限しておいてくれ、こういうように受託者が考える場合もありますし、あるいは、逆に解任をしやすいと申しますか、解任された後に、別に損害賠償みたいなものを払わなくても解任ができるようにするということも一方で考えられるわけであります。
商事信託において、例えば受託者が信託の措置について非常に専権的な地位にあると考えられたときに、解任はできるだけさせないでおいてほしい、こう考えるときは、そのような信託行為の定めをされればよいわけでありまして、そういう余地をここで残している、こうお考えいただきたいところでございます。
○石関委員 わかりました。ありがとうございます。
それでは、ちょっと戻りますけれども、二十九条の二項、こちらも、別段の定めがあれば、善良な管理者の注意を軽減できる、こういう規定になっていますが、こちらも必要性があるんでしょうか。理由についてお尋ねをします。

○寺田政府参考人 これも規定を明確化した際に、果たしてどこまで当事者のいろいろなニーズに対応できるような余地を残しておくかということは、いろいろ議論があったところでございます。
これは、やはり信託の本質からいいますと、こういう義務が与えられるというのは非常に原則的には正しいところでありますので、なるべくそれを制限したい、こう考える考え方と、いや、これはもう全く自由でいいと考える考え方とあり得るわけでございますけれども、とにかく義務はあるけれども、その義務のレベルは下げてもいいということで考え方がまとまったわけであります。
これは、義務を非常に高くするということになりますと、営利的でない信託、例えば、無償で、今おじさんが受託者になってあげようというような信託の場合に、常にそこまで義務のレベルを要求するのか、そういう疑問も出ましょうし、あるいは、営利的な、営業的な信託であっても、義務を高くすれば高くするだけ当然報酬が高くなるという経済原則が働きますので、あえてそこまでされなくても、この程度でいいやという折り合い方というのは一つのビジネスとしてはあり得るわけでございますので、いわばそういう交渉の余地というのは当然あってしかるべきだという考えで、このような一定の範囲で任意規定化した、こういう形で認めているわけでございます。
すみれ
「義務が高いと報酬が高くなるのか。」

○石関委員 午前中の審議で、二十八条の関連で、高山委員から丸投げができるのかどうかという御質問があったというふうに思いますが、この関連で、三十五条の三項の一号、信託行為で指名された第三者に委託をするとき受託者による監督義務を免除するということになっておりますけれども、これはどうしてですか。
○寺田政府参考人 三十五条の三項の一号とおっしゃいましたですか。(石関委員「はい」と呼ぶ)
この三十五条は、信託行為の定めに基づいて信託事務をした場合には、受託者がみずから第三者を選任していない、そこで選任、監督の義務は負わないこととして、そのかわりに、第三者が不適任であることが判明した場合等に受益者への通知やあるいは第三者への委任契約の解除などの必要な措置をとるべきものとしているところでございます。
したがいまして、ここで、一号のような第三者についてもそのことが言えるということを規定しているわけでございます。
○石関委員 それでは、三十五条から戻って、利益相反行為の関係で三十一条の二項、三十二条の二項、いずれも、別段の定めがあれば受託者は利益相反行為をすることができるという規定が置かれているということですが、この理由をお尋ねしたいんですけれども、別段の定めがあっても受益者の利益を害する場合には許されないものというふうにしておくべきではないかと思ってお尋ねをするんですが、理由をお尋ねします。
○寺田政府参考人 利益相反の行為をどうするかということは、今度の改正法案を出すときも非常に議論になったところの一つでございます。
それで、現行法はこの利益相反自体が余りはっきりしない規定でございますが、どういう場合に利益相反になるかということを三十一条の一項で明らかにして、それが許される場合というのを三十一条の二項で決めているわけでございます。
今言われたことは、三十一条の二項も一定の範囲でこれがさらに任意規定化されているという部分があるわけでございますけれども、それは、そもそも信託行為にそれを許されるということであれば、当事者の意図といたしましては、利益相反的な立場があっても自分たちはそういうことは許すという意思が示されているわけですから、それはそれでいいということになるわけであります。
また、仮に信託行為について何も定めがない場合にあらかじめ受益者の承認を得たときということがこの二号で決められているわけでございますけれども、こういった場合に、しかし、信託の定めでこういう重要な事実が開示されてもおよそ利益相反というのは許さないんだという非常にかたい意思が双方で示されている場合には、これはまた、仮にこういう事情があってもそういう行為をすることができないということで、任意規定化ということではありますけれども、方向としては逆に厳しく定めているところでございます。
○石関委員 冒頭で申し上げたんですけれども、何となくしかわからないので、こういう例のときにこうだというような形で少し明示的に御説明いただけるとありがたいのですが。
○寺田政府参考人 信託行為でもって利益相反を許すということは基本的にはこれまでも考えられてきたわけでございますけれども、例えば、非常に高度な企業がありまして、ここでも例が出たと思いますけれども、特許等をまとめて管理するというような状況が生ずることがあるわけであります。そのときに、その特許権等の管理を受託した会社は、それをみずから使うということが当事者間で予定をされ、そのためにあらかじめ、こういう信託行為で受託者である会社も受託された特許権を自分のために使っても構わないんだ、そういうことが実際に状況としてはどうもあるようでございまして、そういったときに備えて、そもそもこの規定を任意規定化しておく必要があると考えられるわけであります。

○石関委員 これは関連ですけれども、同じ三十一条の三項、三十二条の三項、別段の定めがあれば受託者は利益相反行為をしたことについての重要な事実を受益者に通知しなくてもよいという規定になっていますけれども、通知しなくてもいいのはどうしてですか。
○寺田政府参考人 一般的には、そういうことが行われたということを当然知りたいわけでございますので、そこで、受益者へのこういう受託者からの通知義務を課しているわけでございます。
ただし、受益者が非常に多数おいでになる、あらかじめどの程度のことであれば通知をしなくても済むということが当事者間に了解されているというようなケースはあり得るわけであります。むしろ、一回一回利益相反行為をするたびに絶えず通知をしているということになりますと非常にコストがかかるというようなことも考えられるわけでございますので、これを強行規定としてはちょっと窮屈であるということがございます。
一番典型的には、今のような通知でありますとかあるいは送金のような行為でございますけれども、そういったことについて通知を不要とするだけのニーズというのは一定の程度にはあろうか、そう言われるものでございますから、私どもも、このような事情を考慮いたしまして、この限度で通知義務というのを必ずしも課さなくてもいい、そういう信託行為の定めを、効力を認める、こういうことにしているわけでございます。
○石関委員 もうちょっと聞きたいんですけれども、時間がなくなってきましたので。
四十一条、法人である受託者と連帯して責任を負う者という部分ですが、法人である受託者の理事、取締役、執行役と並んで、これらに準ずる者の連帯責任というのが規定をされています。これらに準ずる者というのはどういった範囲の方々になるのか、不明確だと思うんですね。ですから、こういう書き方をするのではなくて、せめて政令などに書き込むということがよろしいのではないかと思うんですが、そもそも、これらに準ずる者というのは、何でこういう書き方をしてしまっているんですか。

○寺田政府参考人 これは、今の現行法の規定も「理事又ハ之ニ準スヘキ者」、こうされているわけでございまして、私どもとしては、それをもう少し具体化して、理事、取締役、執行役、それに準ずる者、こうしているつもりでございます。
これらに準ずる者の具体的な例でございますけれども、社団法人における仮理事、株式会社における一時役員の職務を行うべき者、こういったものがこれに該当するわけでございます。
この場合に、どこまで細かく書き込むかというのは、一つの立法技術上の、いつも難問でございまして、私どもとしては、例えば、平成十六年にできました破産法の三十九条の規定で「破産者の理事、取締役、執行役及びこれらに準ずる者」という表現をとっておりますので、ここもこれに倣って、完全な解決かどうかはわかりませんが、そういうようにさせていただいたところでございます。
○石関委員 わかりました。
次に行きます。いわゆる事業信託についてお尋ねをします。
今回の信託法の改正で、新たにというか、新たな類型ではないという御答弁が既にありましたけれども、この事業信託というのが認められることになる。具体的にこの事業信託というのがどういうものなのか、本当に簡単に御説明をお願いします。
○寺田政府参考人 簡単に申し上げますと、この事業信託自体も積極財産、つまり、例えば土地ですとか工場、そういうようなものを信託するわけでございます。
ただし、この事業信託と言われるものにおいては、積極財産のほかに、それまでその積極財産に関連する事業について生じた債務というものをあわせて引き受けることを、今回新たに明文で認めているわけでございます。これをともに実施すれば、財産と債務が一つの信託の中に共存するという状態が生じます。これを事業信託と呼んで差し支えないのではないかと考えておりますけれども、これは、その事業の全体の資産状況を示すには非常に適当だろうというように評価されるのではないかと考えているわけでございます。

○石関委員 それでは、ちょっと具体例を挙げますけれども、例えば新日鉄という会社がありますね。この新日鉄さんが行った事業の再編、事業の信託が活用できればより簡便な手続によることができたという報道がされておりました。
その場合、この事業の中には労働契約債務というものも含まれているということになると思うんですが、事業の信託に伴う労働契約の承継ということについては手当てがされているんでしょうか。
○寺田政府参考人 結論から申しますと、この信託法においては、その点については何も触れておりません。
労働契約をどう承継するかということは、今おっしゃったように、それも一つの債権と債務でございますので、それを承継するような措置をおよそ取り得ないかといえば、それは取り得るわけでございます。ただ、その場合に、もちろん労働協約上いろいろ問題がございまして、個々の労働者の同意権がどうなるかというような問題が生じますので、それを承継した方が得かどうかというようなことをいろいろ考えるわけでございます。
原則としては、労働契約でいろいろ難しい問題がございますので、労働契約は引き継がないのを原則とする。むしろ、いわゆる事業信託と称されるものにおいては、積極財産と労働契約でない貸し金債務等あるいは売り掛け代金債務等のものは引き継がれるけれども、労働者の状況は前と変わらず、例えば新日鉄を例に挙げられましたけれども、それはその会社の労働者ということで、そのまま引き継がれるのがむしろメリットであるというように考えられているところでございます。

 

 

 

 

 

 

○石関委員 駆け足で申しわけありませんけれども、次に目的信託。
これは目的信託というものも導入されるということであって、ここでも既に質問や答弁をされておりますけれども、ここで議論になったのも、いわゆる財産隠しに悪用されてしまうんじゃないか、そういう懸念を各委員からも表明をされました。
でも、そういう懸念がある制度を導入するということですから、それなりの理由がある、ニーズがあるということだと思いますが、具体的にどんなニーズがあって、入れてください、こういうのをつくってくださいと。どんなニーズがあって、こういったものを入れることになったんですか。

○寺田政府参考人 目的信託と言われるものは、現行法では公益信託のみが認められているところでございますけれども、具体的な受益者がいないタイプの信託でございます。これを公益信託以外の一般的なものとして認めることが可能かどうかということが議論されたわけでございまして、その際に挙げられました具体的な例というのは、例えば、長年会社において非常にお世話になったという趣旨で、自分の退職金をその会社の関係者の福利厚生に使ってくれというような例でありまして、そういうものは具体的にはだれが受益者になるかわかりませんので、これは目的信託ということになるわけでございます。また、同じように、大学の卒業生が財産を大学に拠出して、目的信託を設定して、それをその大学の具体的な研究活動に使ってほしいということもあるわけでございます。
ほかにもさまざまございますけれども、少し例を挙げれば、以上のとおりでございます。
○石関委員 ここの部分、附則において、「当分の間、政令で定める法人以外の者を受託者としてすることができない。」とされておりますけれども、政令でどういった者を規定しているのかが一点と、当分の間というのはどれぐらいの期間を想定されているのか。
○寺田政府参考人 この目的信託については御議論がありまして、結局のところ、この目的信託は具体的な受益者がいないということで、どうも反社会的な目的で使われる可能性があり得るということが指摘されたわけでございます。
それは、より直接的には税務その他の問題になるわけでございますけれども、そういった点から考えますと、やはり一定の、社会的な信用がある、レベルが保てるという会社でなければならないだろうということで一定の法人に限っているわけでございますので、当然のことながら、その会社を構成する役員の皆さんの資質と、それからその会社の一定の財産的な健全性というものが指標になるだろうと考えているところでございます。

これをどの程度、当分の間、こういう暫定的な措置にしておかなきゃならないのかということは、今後、この新しい信託はいろいろな面で、会計上も税務上も問題をしょいながらスタートするわけでございますので、そういった利用状況とその濫用のされぐあいというようなことを見ないと、社会的にそういった目的信託をより一般的なものに開放していくかどうかということの決断ができないところでございますので、確たることは申し上げられないわけでございます。しかしながら、私どもとしては、環境の整備が整ったと判断する段階でこのことを改めて国会にお諮りして、これを決めていただきたいなと考えているところでございます。

○石関委員 実態を見ながらということだと理解いたします。
既にこれは答弁されたところですが、二十五日ですか、遺言にて目的信託を設定した場合、委託者の相続人は委託者の権限を承継しない、ですからこの点に関しては何らかの措置を検討するという御答弁をされていると承知をしておりますが、その方向性をお尋ねしたいと思います。
問題意識としては、仮にそれが受託者、信託財産そのものに納税義務を課すということであれば、それは所得の分割を招いて、そのことが新たな租税回避の温床となってしまうのではないかという問題意識があります。まさに金持ちとか勝ち組のための税制の優遇につながっていってしまうのではないか、こういう問題意識からお尋ねをいたします。

○寺田政府参考人 これは委員も今御指摘になられましたように、また先ほど私も申しましたように、基本的には税務上の考慮をどうするかということでございますので、今後、税務当局とも十分にいろいろな協議をさせていただいて、具体的に、相続の関係の税制秩序というものを乱さないということでその具体的なあり方を決めさせていただきたい、政府全体としてはそういうことになろうかと考えております。

○石関委員 それでは、事務方には最後の質問をさせてもらいますけれども、施行時期ですね。これは全面改正ということですから十分な期間が必要だというのはわかるんですが、一方で、できるだけ早い時期に施行したいということも答弁をされております。準備を行うに必要な政省令、これの整備に関して、大体このくらいであろうというスケジュール感はもちろんお持ちだというふうに思いますが、どれぐらいのスケジュール、スピード感をお持ちでしょうか。
○寺田政府参考人 これは先ほど申しました自己信託の部分を除いては、公布の日から一年六月を超えない範囲内において政令で定める日ということになっているわけでございます。このように施行までにやや時間を要するのは、いろいろ周知徹底でございますとか政省令の準備等がございます。
しかし、他方、経済界を初めとして、いろいろなニーズをここでも御説明申し上げましたけれども、それはできるだけ早く施行してほしいという方もおいでになるわけでございますので、政府全体としては、先ほど申しましたいろいろな税務上の問題その他もございますけれども、必要な措置を速やかに講じた上で、できるだけ早くというスタンスで臨みたいと考えているところでございます。

○石関委員 最後に大臣にお尋ねをします。
けさの朝日新聞朝刊にもこの信託法のことが記事になっています。「新ビジネス創出期待」という見出しもあるし、目的信託によって草野球の育成もできますと。最後のところは「悪用への懸念」というのが見出しになっています。この審議の中でも、それぞれにわたっていろいろな質問がなされたというふうに思いますが、当初これを提出されたときとこれまでの審議の内容を踏まえて、現在の大臣のこの法案に対する思いをお尋ねいたします。

 

 

 

 

 

 

○長勢国務大臣 大変御熱心に審議をいただいておりまして、ありがたく思っております。
新聞の記事の趣旨、正確にはわかりませんけれども、当然、濫用、悪用があってはならないことはたびたび申し上げてきたとおりでありまして、そのための手だてもいろいろな議論を踏まえて講じておるつもりでありますので、ぜひ早期に成立させていただいて、早期に施行し、適正に運用していくように努めてまいりたいと思います。
○石関委員 ありがとうございました。
○七条委員長 次に、平岡秀夫君。
○平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。
きょうは、信託法そしてその関係整備法の審議ということではありますけれども、緊急な問題がありまして、ちょっと時間をおかりして、先にその件について少し質問をさせていただきたいというふうに思っております。
課題は部落差別問題に関してでありますけれども、十月の二十七日にいろいろな全国紙の中に掲載された記事でありますけれども、ネット上に部落地名総鑑が掲載されたという報道がありまして、それに関連して、法務省の人権擁護局の方が、この問題については、同和問題について誤った印象を与えかねないとして調査を始めたというふうに報道されているわけでありますけれども、この件に関しては調査をどういう方法でやっておられ、そしてその結果がどうであったのかということについて御答弁いただきたいと思います。

○富田政府参考人 お答えいたします。
経緯としましては、本年十月二十三日、当局に対し、部落地名総鑑の表題の付されたファイルがインターネット上のホームページに掲載されたとの情報提供がありましたので、同日、東京法務局において調査を開始しました。それで、削除要請をすることにしたわけですが、情報提供のされたホームページのファイルについては、同月二十五日、既に削除されて閲覧できない状態になっているのを確認しております。現在、さらに調査を進めているところでございます。
○平岡委員 削除されてしまったということで調査が余り進んでいないようでありますけれども、そもそもこの部落地名総鑑がネット上に掲載されるようになった経緯というのは何か思い当たるようなことはあるんでしょうか。

○富田政府参考人 まだ現在調査中というところで、判明はしておりません。
○平岡委員 この問題については過去からいろいろな経緯がある問題でもありますけれども、新しく、ネットに掲載されるという形態でいろいろ問題が起こっているということ、これはかなり影響力といいますか、波及力といいますか、あることでありますので、この点については徹底的に調査をしていただいて、こういうことが二度と起こらないように法務省人権擁護局としてもしっかりと監視していただきたいというふうに思いますけれども、大臣、そういう方向、方針で臨んでいただけることをお約束していただけますでしょうか。
○長勢国務大臣 部落地名総鑑の問題については経緯のある問題でございますし、なおかつ、現在もこういうものがあるということであれば大変遺憾なことでありますので、今局長から申し上げているとおり、今回の事件については調査中でございますが、今後とも、このような事件といいますか、差別事件が起こらないように啓発に努めるとともに、こういう差別図書の発行や販売等の事実が新たに判明したときは、積極的に取り組んで対処してまいりたいと考えております。
○平岡委員 いろいろ努力していただくということの中に、事実関係の徹底的な調査、解明ということもぜひ含めていただきたいというふうに思います。
それで、さらにこれに関連してでありますけれども、ちょっと古い話になってしまいましたけれども、関連する話として、ことしの六月、やはり同じくインターネットのサイト上に非常に深刻な差別落書きと言われるものが多発をしたということがありました。この件については、小山市の方で宇都宮地方法務局の栃木支局に削除要請を行ったということでありますけれども、この点については、当時、宇都宮地方法務局としてはどういう対処をされたというふうに聞いておられるのか、まず宇都宮地方法務局の対処の事実関係について御説明いただきたいというふうに思います。
○富田政府参考人 宇都宮地方法務局は、本年六月二十八日、栃木県小山市から、インターネット上の掲示板に特定の地域を同和地区として摘示するなどの悪質な差別書き込みがされているので、同掲示板の管理者に対し削除要請ができないかとの申し出を受けております。同法務局は、伏せ字や隠語を用いて書き込みがされていたことから、このような表記では特定の地域を同和地区として摘示しているものとは言い切れないと判断し、本年七月七日、小山市に対し、同掲示板の管理者への削除要請を行わない旨回答いたしました。

○平岡委員 七月七日に回答を行った際に、宇都宮地方法務局の見解というようなことで、今局長が答弁されたようなことも入っているわけでありますけれども、そこには、例えば、伏せ字とか隠語とかというようなことがあったものですから、書き込みが特定の地域や姓を表しているということは推測できるが、伏せ字や隠語を用いた表現のため断定ができないんだとか、あるいは、読む側の解釈によっては逆に差別していると非難される可能性もあるということで、手口が巧妙である、だから、何もしないんだ、何もしないというか削除要請なんかもできないんだ、こういうような見解を示しているわけですよね。どうも、私、これは読んでいて何か非常に変な感じがしたわけであります。
こういう宇都宮地方法務局の対応に対して、法務本省としてはどういうふうに受けとめられ、そして、どういう行動をとられてきたのか、この点について、これは大臣に答弁していただけますでしょうか。
○長勢国務大臣 今回、宇都宮地方法務局が当初削除要請を行わないという判断をしたことにつきましては、不適切であるというふうなことですので、これを是正させたところでございます。
インターネット上に流通する特定の地域を同和地区であるなどと摘示する書き込みは、同和地区出身者に対する差別的取り扱いを助長、誘発するものであり、人権擁護上看過できないものでありますので、今後も全国の法務局及び地方法務局への指導監督を徹底して、こういう問題の生じないように厳正に対処してまいりたいと考えております。

○平岡委員 法務本省の方では、非常に問題のあるケースだということで、適切な対処をとっていきたいということでありますから、それはそれとして、しっかりと対応していただきたいというふうに思うのであります。
ただ、ずっと振り返ってみるとというか、根源的な問題というのを考えていくと、どうも、先ほど私がちょっと紹介しましたように、宇都宮地方法務局の見解というのが出されて、それが非常に、ある意味では当局側の偏見といいますか、当局側の一方的な思いというようなものが語られているという気がするんですよね。
こうした問題について、やはり第三者的な判断がしっかりと示されていかなければいけないということだろうと思うんですね。そうなってくると、今の人権擁護の仕組み、制度というものが果たして本当にこれでいいのかという問題意識が当然に生まれてくるというふうに思います。
これまでも、人権擁護法案の提出あるいは審議といったことがこの委員会で
も取り上げられてきております。私は、できるだけ早く、第三者的な判断が可能となる委員会制度というものを盛り込んだ人権擁護法案を提出すべきである、そして、それによって人権擁護の体制というものを確立していくべきではないかというふうに従来からも申し上げておるわけでありますけれども、今回も、こうした問題が起こったことを踏まえてみれば、なおさら一層その思いを強くするわけです。
大臣、この点について、大臣としてどのようにお考えになっておられるか。前もちょっと聞いたかもしれませんけれども、改めて、こういう問題が発生したことを踏まえて、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○長勢国務大臣 人権擁護の体制について、きちんと対応できるようにしていくことは必要なことだと考えております。
今御指摘の人権擁護法案については、先生も経過は御存じのとおりでございまして、平成十四年に国会に提出したわけでございますけれども、廃案となり、その後、与党内でもさまざまな議論があり、現在に至っておるのが事実でございます。そういうことを踏まえて、与党や関係方面の意見や動向も踏まえまして、法務省において十分に検討を尽くしてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、今起きたような事案が生ずることは許しがたいことでございますので、人権擁護行政がきちんといくように、今後ともしっかりと指導し、取り組んでまいりたいと思っております。
○平岡委員 今の体制でもしっかりと取り組んでいくこと、それは当然のことだと思いますけれども、先ほど言いましたような問題点もあります。それから、国際的にも、独立した第三者機関としての人権擁護機関というものの設立も求められています。そういうことを踏まえて、できるだけ早く法務省としての、政府としての見解が示せる法案を提出していただきたいということを要請しておきたいというふうに思います。
少しお時間をいただきましたので、本題の信託法案に早く入れという声がそばから聞こえておりますので、入りたいというふうに思います。
まず、自己信託の問題について、若干この前議論をさせていただいたので、それを踏まえた議論をさせていただきたいというふうに思います。
皆さんも御存じのように、この自己信託については、附則の第二項で、一年間は適用しないんだということで適用の延期が行われているわけでありますけれども、この点について、なぜ延期がされるのかというような議論の中でいろいろなことが言われていまして、何が真実なのかというのが実際よくわからないんですよね。
弊害があるからというような議論が自民党の合同部会でも出された。では、弊害というのは一体何なんですかと聞いてみたら、必ずしも当局の方はそれに納得しておられるわけでもない、こういう状況なんですけれども、ただ、当局の方でも認めておられるのは、会計のあり方とか、あるいは税制のあり方、これについてはしっかりと検討していかなければいけないという課題が残されているんだ、そのために、それを検討し、そしてその検討結果を周知していくために一年間の適用延期が必要なんだ、こんな説明をされておられるわけですね。

税制についてはここで議論しまして、前回も財務副大臣の方から、十九年度税制改正の中でしっかりと取り組んでいきますということで、これは政府がやられる話ですから、時間が足りなければ徹夜を繰り返してでもやっていただくというようなことなのかもしれませんけれども。
もう一つの、会計の方についてどういうふうなことになるのかというところを、少し私も事務当局からも話を聞いてみました。説明もしてもらいました。
そのときに、会計については、会計基準の設定主体である企業会計基準委員会、ASBJにおいて検討をしてもらうということになるんだというふうに説明されていますけれども、この企業会計基準委員会というのは一体どういう組織なんでしょうか。逆に言うと、政府当局がこの組織、この委員会に対して何らかの指示、命令等をすることができるようなものになっているのか。この点について、金融担当副大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
○渡辺(喜)副大臣 平岡委員御案内のように、昔は、会計基準というのは、大蔵省企業財務課でしたでしょうか、そこでつくっていたわけでございます。しかし、グローバル資本主義のもとで、政府が会計基準をつくっている国なんというのは、社会主義の国じゃあるまいし、あるのかい、そういう議論が起こってまいりまして、五年ぐらい前だったと記憶しておりますが、会計基準の設定主体は民間に任せようということになったわけでございます。
そういう流れの中で、財団法人財務会計基準機構の中に企業会計基準委員会、ASBJ、これができまして、十五人の専門委員がこの中に入って基準設定をしているところでございます。
こうした民間機関に対して当局が指示、命令できるのか、こういうことでございますが、これはやはり民間が独立して行っているわけでございますから、金融庁がASBJに対して指示、命令を行うわけではございません。金融庁としても、ASBJに対して、必要に応じて会計基準の明確化等は要請はしてきておるところでございます。
例えば、ライブドア事件が起こりまして、投資事業組合の連結の基準が非常に不明確ではないかという御議論がございました。こうした問題のときにも、ASBJに対して、より具体的な基準を設定するよう要請したところでございます。
ASBJにおきましては、こうした要請も踏まえ、この信託法関係の会計基準につきましては、去る十月二十四日、会計処理基準について検討していくことを決定したと聞いております。
○平岡委員 ASBJというのはアカウンティング・スタンダーズ・ボード・オブ・ジャパンというんだそうですけれども、それはそれとして、今、いみじくも、十月の二十四日に信託に関する検討を行う旨を決定したというふうに言われたわけでありますけれども、具体的には何を決定したんですか。もっと具体的に、何をいつまでにどうこうしてどうだこうだという、その決定の中身というのをもっと詳しく教えてもらえますか。
○渡辺(喜)副大臣 具体的に会計基準を作成していくのはこれからでございまして、ASBJにおきましては、自己信託などの新たな信託制度の導入を初めとする信託法の改正案がまさに今議論されていること、また、さきの国会で成立いたしました金融商品取引法におきまして信託受益権が新たに有価証券として位置づけられ、その公募に当たって開示規制が課されることなどを踏まえて、これから信託関係の会計処理基準のあり方について作成をしていこうということを決めたということでございます。
○平岡委員 今言われたように、これから決めていこうということを決めたということですよね。
だから、そういう意味では、先ほど言われましたように、当局の方で指示、命令することができるような組織ではなくて、要請はする、お願いはする、こんなことをやってほしいということの情報提供みたいなことは当然するとしても、指示、命令ができるものではないということになると、一体、ASBJによる信託に関する会計処理についての検討というのは、今後どういうタイミングで取りまとめが行われるというふうに我々としては理解したらよろしいんでしょうか。
○渡辺(喜)副大臣 信託法の施行が来年の夏と聞いておりますし、また、自己信託につきましては再来年の夏ということになろうかと思います。そういたしますと、それまでには会計基準がきちんとつくられていなければなりません。会計基準をつくるに当たっては、パブリックコメントなどに付す必要もございますでしょうから、当然、そういったスケジュール感はあろうかと思います。

いずれにいたしましても、民間の機関とはいえ、これは非常に大事なルールをつくる機関でもございますので、例えばライブドア事件のときにも、当時、私は自民党の企業会計小委員長というのをやっておりまして、会計基準委員会の斎藤委員長に国会にお越しをいただいたこともございます。私が呼んで、平岡先生が呼んで、来ないということはあり得ないと思いますので、当然、今呼んでも全然お答えできないと思いますので、来年の通常国会ぐらいになりましたら、お呼びになられれば来られるのではなかろうかと存じます。

○平岡委員 今の段階では具体的なことは何も言えないような状況だというようなお話がありました。その話もその話として、大変貴重な情報だとは思いますけれども。

もう一つ、せんだって参考人で来ていただいた橋上参考人が、公認会計士ですから、会計監査の話をいろいろされていったんですよね。
そのときに、どうも、この自己信託制度の導入について言えば、財務諸表の信頼性が損なわれるおそれがあるというような指摘もされていると同時に、監査のあり方について、信託勘定あるいは信託受益権勘定の監査のあり方についてもまだ決まっていないことがたくさんあるというようなことで、これからどういうことになっていくかということについてある意味では非常に関心を持ち、ある意味では要するに疑問視をしている、こういう状況だったんですね。
この監査のあり方については、これはどういうことになるんでしょうかね。
○寺田政府参考人 この監査のあり方そのものも、今お話のありました会計のさまざまな原則と密接にリンクするところでございますので、最終的には、後にこの点が非常に詳しく検討されるということになろうと思いますけれども、原則的な考え方を申し上げれば、私どもが理解している範囲では、まず、会社にとっての会計監査、信託勘定の面で申し上げますと、この自己信託がされますと、形式的にはこれは受託者の財産ではございますが、しかし、実質的には受益者の財産になる、そういう拘束がかかった財産ということになるので、基本的には、この信託受益権を第三者に売却した場合には、委託者兼受託者となったこの会社の会計からオフバランスとなって会社の貸借対照表から外れる、こう理解をしているところでございます。
これは、今言った実質の面に着目すれば、会社の財産から外れるわけでございますので、そういうような扱いが当然になるのではないかなと考えているわけでございます。実質がそうでございますので、会社の株主にとっては、別に不利益のあるところではないのではないかと。

逆に、受益者にとっての信託受益権勘定の面から見ますと、自己信託の対象財産は、実質的には受益者の財産としての性格があるわけでございますので、自分の有する受益債権の引き当て財産である。そこで、受益証券が発行されて受益権が転々流通をするような信託であって、つまり、だれが権利者となるかということが非常に流動的になる、そういう財産であって、かつ、受益者の信託財産の給付に一定の制限がかかる限定責任信託である場合には、信託財産がどのぐらいになるかということは、受益者にとって非常に重要な要素になるわけであります。
そこで、このような信託については、会計の適正を確保するために会計監査人を設置することを可能にし、さらに、一定規模以上、具体的には最終の貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上である、こういうものにつきましては会計監査人は必ず置かなきゃならない、こういう形で会計監査の仕組みを決めているところでございます。
基本的な考え方は、いつオフバランスになるかということでございますが、自己信託においては、それは受益権が第三者の手に渡ったときであろうという理解のもとにこのような考え方にしているわけでございます。
○平岡委員 信託受益権というのがいつ第三者の手に渡ったのか。それは、一遍にぱっと渡ることもあるかもしれませんけれども、徐々に渡っていって、何%渡った段階ではどうなのかとか、いろいろな難しい問題があるんだろうと思います。
いずれにしても、この問題について言えば、当局が命令、指示できる話ではないということで、いつちゃんとしたものができ上がるのかということについても不透明であるということになれば、適用を一年間延期するということが、制度的に見たら、私は非常に奇妙な感じがするんですね。
そういう意味では、法制度的には、こういうものがしっかりとできるまでは適用を延期するという考え方で本来あるべきだというふうに考えるんですけれども、大臣、この点についてはどう思われますか。
〔委員長退席、倉田委員長代理着席〕
○長勢国務大臣 自己信託についても、ニーズが高いところから、今回の法改正にしておるところでございます。御懸念はよく以前から聞かされておりますけれども、法務省といたしましては、税の問題、また会計に関する問題、今予定しておる期間内に鋭意関係者の御理解をいただいて作成できるものと思っておりますので、これをずっと延期していくということは適当ではないというふうに考えております。

○平岡委員 大臣には、この一年間の実施延長で対応が可能なのかというような形でお聞きするということであったので、そういう答弁になっているのかもしれませんけれども。
会計問題についても、本当に当局がコントロールできない問題であるということがまずあるわけでありますし、それから、合同部会で指摘されている弊害とは一体どんなことがあるのかと聞いたら、ほとんど指摘はないんですよね。そんな弊害はないようにちゃんとできていますと言いながらも、与党の方では弊害があるんだ、あるんだと言われて、我々、実際問題としてどういう状況なのかよくわからぬ。
よくわからぬことなら、いつ適用するのかということをあらかじめかちっと
決めて、しかもそれは一年間というような短期間のもので決めてしまってスタートするんじゃなくて、そういう問題が払拭するまでは、与党の方で指摘されておられるような問題は発生しないんだ、発生するとしてもこういう形でちゃんと防げるんだというようなことがちゃんと確認できる、あるいは会計の問題についてもしっかりとしたものが、これで大丈夫なんだ、これでいいんだというようなものができるまではスタートさせないという意思をしっかりと示すという意味で、ここは一年間の適用延長という変な、何かよくわからない形での延長じゃなくて、当分の間適用を延長していただいて、それこそ先ほど民事局長さんが、当分の間というのは、改めて法律を出していただいて、それを解除するのが適当かどうかという判断の上でスタートするんだ、こういうふうに言われたのと同じように、そういうふうにすべきであるということを私としては申し上げさせていただきたいというふうに思います。
それから次に、これも前回質問させていただいた、目的信託についての当分の間の受託者の限定という部分であります。
前回の質問のときには、政令事項とか省令事項がたくさんあって、この具体的な中身がわからないままに審議するわけにはいかないということで、出していただくようにということで要請をさせていただきまして、ある程度のものは私はいただきました。いただいた上で、その中身を見させていただいた結果として、この目的信託について、当分の間、受託者を限定しようとする政令で定める法人というものが一体どういう法人なのかというふうに資料もいただいておりますので、その資料をもとに質問をさせていただきたいというふうに思うわけであります。

その前に、目的信託というのは一体どういうものに活用されると考えているのかという点については、先ほど同僚の石関議員が質問をいたしまして、その点について民事局長さんの方から答えていただいておりますので、具体的な中身はとりあえずそれを前提に議論をしていきたいと思います。
これらの目的信託とされているものについては、例えば、この前も議論になりましたけれども、一般財団法人であってもこれと同じようなことはできるのかという点について教えていただきたいというふうに思います。
○寺田政府参考人 先ほど申し上げました、一定の資金をお持ちの方が、具体的に受益者がおられるわけではないけれども、一定の抽象的な目的のために受託者をお探しになって信託を設定するということと同じことが一般財団法人で可能かと言われますと、それは、制度的な障害はないということになろうかと思います。同じような目的で一般財団法人をおつくりになればよろしいわけであります。
ただ、制度間の比較をいたしますと、それぞれ便利な点、便利でない点がございます。仮に一般財団法人をこれから設立しようとされると、これはまだ施行になっておりませんので、施行後のことを想定してでございますけれども、まず新たに事務所を定め、それから評議員、評議員会、理事、理事会、監事を置くというような手続をとらなきゃならないことがございます。
それから、一定の財産の拠出というのも、どちらかといいますと、一般財団法人の側ではある程度の額、具体的には三百万円というような額が出されているわけでございますけれども、こういうものを必要とされているわけでございますけれども、仮に先ほど申し上げましたような財産がそれに満たないということになりますと、これはなかなか一般財団法人にはなりにくいということになるわけでございます。

したがって、例えば拠出財産というのが小規模で、数年で使ってしまうというようなことが当初から予定されているとしますと、これは、一般財団法人というのはむしろ余り適当でないという御判断になるのではなかろうかと思います。
なお、そのほか手続といたしましては、一般財団法人を設立するためには、もちろん定款を作成して公証人の認証を受けなきゃならない、登記をしなければならないということがあるわけでございます。
○平岡委員 これは質問通告はしていない話なんですけれども、ちょっと教えてもらいたいと思うんですが、私の理解が正しいか正しくないかということなんですけれども。
一般財団法人については、準則主義ということで、登記をすることによって設立される。設立の登記というのが二十二条に書いてありますよね。そのときに、多分、設立の登記ですから、そこにどういう人が役員になっているのかということを書かれるんだろうと思うんですね。
そうすると、六十五条に役員の資格というのが書いてあって、こういう人は役員になれませんよというのが書いてあるんですね。例えば、法人はなれませんよとか、あるいは成年被後見人とか被保佐人のような人はだめですよとか、あるいは一定の法律の中で定められている犯罪を犯して刑に処せられた者はだめよとか書いてあるんですね。そういう者がその会社に含まれている、会社の役員になっているかどうかというのは、これは登記をする際に登記所の方で確認をして登記をするというふうな仕組みになっているんでしょうか。
○寺田政府参考人 そのうち、資格の一部については、例えば、成年後見に付されていないことということは証明書をとればすぐ出てくることでございますが、例えば犯罪を犯していないというようなことは、そういう手だてがございませんので、これは登記所の方では何の審査もいたしません。
○平岡委員 以上のことを前提に、この政令で定める法人についての議論をしていきたいと思います。
私は資料としてはいただいておるのでありますけれども、今、どういう法人が政令で定められるのか、これは先ほどの石関議員の質問の中にも、抽象的といいますか、一般的な方向性みたいな話として、財産的要件とか人的要件みたいなことは言っておられたようでありますけれども、具体的にどんなことを考えておられるのか、ここで私が資料としていただいた範囲でちょっと御答弁いただきたいというふうに思います。

○寺田政府参考人 あくまで方向性ということで御理解いただきたいところでございますけれども、法人の具体的なあり方といたしましては、資本金の額が一定額以上、例えば数千万円程度というようなことがあり得る例と思われます。それが財産的な基礎ということでございます。それから今度は、具体的に法人を担っていかれる方の健全性という意味では、その法人自体が暴力団組織、あるいは理事、取締役等に、さっきおっしゃいましたように、罰金等刑に処せられて、執行を終わり、執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない、あるいは禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わって、刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない、あるいは暴力団の構成員というようなものが想定できるのではないかと考えているところでございます。
○平岡委員 ちょっと省略されているのかもしれませんけれども、私がいただいた資料の中には、法人の役員の中に暴力団の構成員等が入っていないことというのもありますけれども、そのほかにも、法人そのものが暴力団に該当しない、あるいは暴力団員等がその事業活動を支配する者に該当しないといったようなことも政令で定める法人の要件としていくんだ、そういうような御説明がありました。
そこで、ちょっといろいろ疑問に思うのでありますけれども、受託者となるべき法人というものが、今、政令で定めようとしている法人に該当しているのかどうか、この点については委託者の方はどれだけの調査義務というのがあるんでしょうか。
○寺田政府参考人 これは私人間の問題でございますが、具体的には、適格性がない者を受託者とする信託は無効だという解釈になろうかと思います。したがって、そのような無効な信託を創出させないようにするために、委託者としてはその要件に当たらないかどうかということを、具体的には、受託者となろう者から法人の登記簿謄本等を提出させ、あるいは理事、取締役等の属性を確認するというようなことで調査をしなければならないというように考えられるわけでございます。

○平岡委員 今度は逆に、適格性を欠く者、つまり、政令で定める法人に該当しているような場合にはその信託が無効になるという話であるとすると、第三者にとってみても、これがどういう法人であるのかということについては、しっかりとわかっていなければいけないというふうにも思うわけですけれども、先ほど来から言っている政令で定める法人、例えばこれが暴力団でないとか、あるいは暴力団員がその事業活動を支配する者でないというようなことについては、第三者にどうやってわかるというふうに考えておられるんでしょう。
○寺田政府参考人 これは一般に、その取引に入る相手方にとりましては、当該信託の受託者が有効な信託の受託者かどうかということをこの場合には調査する手段は簡単にはないだろうというふうに考えているところでございます。公示もございませんし、結局のところ、受託者となった者に確認するという以外に手段はないわけでございます。

もっとも、取引の場面では、この信託の場合には、それが信託財産のために行われた行為であっても、基本的には受託者本人がその責任を負うということでございますので、財産的な意味では第三者は損害を受けるということがないわけでございますが、確認という意味では、おっしゃったように、適切な手段というのは非常に限定的であろうというふうに考えております。
○平岡委員 先ほどの答弁の中で、委託者の方が受託者がどういう法人かということについて調べなければ、適格性のない者であったとするとその信託自体が無効になってしまうということなので、ある程度調査をしなければいけない、そういう御答弁がありましたけれども、先ほどちょっと私が申し上げました、あるいは民事局長から答弁もありましたような話として、例えば、委託者が、受託法人そのものが暴力団とか、あるいは暴力団員等がその事業活動を支配する者に該当するのかというのはどうやって判断したらいいのか。あるいは、委託者は、その法人の理事とか取締役等が禁錮以上の刑に処せられて五年を経過しない者であるとか、あるいは暴力団の構成員等に該当するのかしないのか、これはどうやって、どういう情報をもって判断するということになるんでしょうか。それは可能なんでしょうか。

○寺田政府参考人 先ほど申し上げましたように、ここでの要件として今私どもが提示申し上げましたのは、いわば方向性としてややわかりやすい概念をお示ししているところでございますので、おっしゃるとおり、ある法人が暴力団そのものかどうか、あるいは暴力団に支配されているかどうか、あるいは構成員が暴力団員かどうかということはなかなか判断の難しい事項であろうというふうに考えております。
したがいまして、私どもは、今はそのように概念上申し上げておりますけれども、政令を制定するに際しては、より明確な形、例えば暴力団については指定暴力団という形で限定をすることが一つ考えられるわけでございますし、そのほかにも、もう少し概念上、一義的な形でできないかということを工夫しなければならないというように感じております。
○平岡委員 この附則の第三項の中に、当分の間は政令で定める法人が受託者としては限定されるんだというのが書いてあるのとともに、逆に今度は、いわゆる公益信託に該当するようなものについてはそういう対象からは外すんだということで、当面の措置としては、既存の信託法の中に書いてある公益信託の制度というものを抜き出して別法として用意する、ただし、新しい公益法人に関する法制度が整った時点でそれを見直していくんだ、こういうような話でした。

 

 
それで、この件についてもどういうふうな仕組みが将来的に考えられるのか、つまり、新しい公益法人の制度改革に従って考えた場合には、新しい公益信託というものはどういうものになるのかということについてお話を聞かせていただいたわけでありますけれども、委員会の方でこの点についてもちょっと答弁をしていただきたいと思います。
目的信託のうちの公益信託の受託者というのは、現在の制度のもとではどのような限定というものがあるのか、そして、新しい公益法人制度というものがこの前の通常国会で法律として成立したわけではありますけれども、その制度というものを踏まえてみたら、今度は公益信託の受託者についてはどのような限定が付されるべきなのか、この点についてどういうふうにお考えになっているのかということについて御答弁いただきたいと思います。

○寺田政府参考人 現行法のもとでは、法律でごらんいただいたとおりでございまして、公益信託一般については、受託者について何らの限定はございません。
もっとも、現在は、その公益信託をつくるかどうかは許可制でございまして、公益信託の引き受けについて、許可基準というものが公益法人等指導監督連絡会議という政府の中の会議で共通事項として決められているところでございます。
そこでは、受託者は、適切な管理運営をなし得る能力を有するということ、社会的な信用を有するということ、かつ、知識及び経験が豊富であるということが要件とされているわけでございまして、実務の上では、この要件のもとで受託者が限定的に決められているということでございます。
今後これがどうなるかということは、公益信託自体をどう構成していくかということで、これはまだこれから、各省あるいは内閣府、政府全体で考えていかなければならない問題でございますので、これまた確たることは申し上げられないわけでございますけれども、認定を受けた公益信託には、恐らく税制上の優遇措置を付するという仕組みになるというふうに一応は考えられるわけでございます。
したがって、現行法のもとにおいて特定公益信託について受託者についての規制が設けられている趣旨を勘案するということで決めてまいりたいと思うわけでありますけれども、公益信託自体については、信託銀行等に必ずしも十分な活動の実施能力が現在のところでも備わっているとは限らない場合があるわけでありますし、公益信託の財産が小規模なものが多いところから、信託銀行等の営利事業者に委託した場合には、資産の運用等の収入から実費を差し引いてしまうと事実上原資がなくなってしまうというような、そういう事情もありますので、公益法人など公益助成活動の専門家、信託銀行でない方々にも公益信託の受託者となることができる道を開くべきであるという指摘もございますので、それらを勘案し、政府全体でこれについての考え方を決めていく、こういうことになろうかと考えております。
〔倉田委員長代理退席、委員長着席〕

○平岡委員 今ちょっとるる説明をしていただきましたけれども、この公益法人制度については、一応、法律として既に前の国会でできたということですよね。そうだとすると、いろいろ検討しなきゃいけないということが公益信託についてあるんだということは言われましたけれども、これはいつごろになったら大体考え方としてまとまって、そして法案として国会に提出することができるようになるのか、その辺の見通しは何かお持ちなんでしょうか。
○寺田政府参考人 先ほど申しましたように、現在のところは公益法人の仕組み、つまり、俗に二階建てと申しておりますけれども、一般的な信託があれば、それに税制上の優遇を受ける信託が新たな公益認定を受けるということが一つの考え方としてあり得るわけであります。
もし、その考え方で政府全体の共通認識ができれば、それは今の公益法人の改革の方向と同じように今後進めていけばよいわけでございますので、基本的な考え方が定まっている以上、それほど長い時間は必要ないだろうと思います。
したがって、そういう条件のもとででございますけれども、できるだけ早くこの検討を進めて、そう遠くない、何年も先というわけではない将来の法案の提出というものを期したい、このように考えているわけでございます。
○平岡委員 公益信託についても、今局長が答弁されたように、公益法人の制度との整合性を見ながら、これからつくっていくということになるわけだということですけれども、公益法人あるいは公益信託の上位概念といいますか、それをもっと包括した目的信託、あるいは一般の財団法人、一般の社団法人というものとの関係でいったときに、どうも、今回の政令で定める法人というものについては、ちょっと制度の整合性がとれていないんじゃないかなというふうに思うんですね。
そこで、大臣にお聞かせいただきたいというふうに思うわけでありますけれども、先ほど来からるる議論しているように、一般財団法人というのは、登記によって設立するという準則主義で法人格を取得することができるということで、先ほど来から議論しているような、暴力団がその会社を運営しているわけじゃない、あるいは暴力団の構成員が役員になっていないというようなことについての要件というのは特にない状態でこれから制度が出発するということになっている。
片や目的信託の受託者については、この附則があることによって、かなり制約的な、制限的なものとなっていく。しかも、その制限的になっていることが、世の中の人にとってみてよく判断がつけるようなものであるならばともかくも、どうやって調べていいかなかなかわからない、その法人がどういうものかもよくわからない、第三者も、これが本当に政令で定める法人に該当している受託者なのかもよくわからない、こんな状態で制度がスタートするというのは、私はやはり整合性に欠けているというふうに思うんですけれども、大臣としてはこの点についてどういうふうにお考えになりますか。
○長勢国務大臣 今回の法案では、附則におきまして、「当分の間、」という限定を付して、政令で法人を決めることにいたしておるわけであります。こういうふうに、受託者となる者を附則では限定的に書いておるわけですが、本則においては、制度本来のあり方として、受託者の資格を限定しているわけではございません。
ただ、この受益者の定めのない信託については、濫用の懸念もあるということを指摘する声もあることを踏まえまして、新たにこの制度を導入するに当たって慎重に対応するという必要のために、経過的な措置としてこの制限を設けたというものでありまして、逆に言えば、将来的には受託者の限定はないのは当然といいますか、望ましいという判断があるということも言えるわけで、そういうことから、附則において制限を加えるという法制を選択しておるわけであります。
そういう意味では、議員と同じ問題意識であるというふうに認識をしております。
○平岡委員 いみじくも大臣が、附則という形にしてしまった部分については、制度としての整合性というものについてはやはり疑問を持っておられるという点は共通だというふうに思うんですね。
そうであるとするならば、こんな形でスタートさせるんじゃなくて、やはり公益法人の仕組みに沿った公益信託のあり方というものをこれから議論をして、整合的なものとしてつくっていくんだということが方針として示され、しかもそれが、民事局長の答弁にあるように、別にそんなに時間がかかるものでもない、ある程度の期間があればそれは対応可能なんだ、こういうふうに言っておられるのであれば、やはり、この目的信託と一般財団法人、公益法人と公益信託、こういうような関係の中で整合的な制度としてスタートさせるということが必要じゃないか。

 

 

 
そうだとするならば、当分の間、政令で定める法人に受託者を限定するんだという、ある意味では非常にわかりにくい、仕組みとしてわかりにくい、整合性のとれていない仕組みでスタートさせるのではなくて、あそこの附則の部分は、公益信託に関する法律を手当てするときにあわせて目的信託についてもスタートをさせるんだということが、私はこれは筋が通っているというふうに思うんです。
これはあえて答弁は求めません。求めませんという趣旨は、我々としては、そういう趣旨の修正案というものを提出させていただいて、しっかりと政府側あるいは与党側とも議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひ、我々が意図しているというか趣旨としているところを酌み取っていただいて、修正協議においても真摯な対応をとっていただきたい。これは与党にお願いする話なのかもしれませんけれども、政府側においても、そういう趣旨に沿ったアドバイスを与党の方にしていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたしたいというふうに思います。
そこで、目的信託の話になっておりますので、目的信託についてちょっと付随的な点を確認させていただきたいというふうに思います。

 

 

 
目的信託について言えば、指摘されていることは、受益者がいないことから、受託者が本来の目的に沿わない管理処分を行うおそれがあるんだということが指摘されておりまして、その指摘に対し、ではどうこたえるのかと考えたときに、一つの方法としては、信託管理人制度のほかに、信託管理人制度というものもここは使えるということではありますけれども、このほかにも、公益、公益性と言った方がいいんだけれども、公益性もあるというのはちょっと進展したものとしてはあるわけですけれども、受益者がいない、多数に上る、そういうような意味からいったら、一人の信託管理人あるいは複数の信託管理人という形じゃなくて、財産管理委員会といったような、委員会制度みたいなものでそうした弊害を防止していくということも考えられるのではないかというふうに思うんですけれども、この点についてはどのようにお考えになるでしょうか。

 

 
○寺田政府参考人 委員がおっしゃる財産管理委員会というのがどういう趣旨のものか、必ずしも理解が共通するかどうかわからないところでございますが、仮に、それが、何らかの公的な意味があるから、公的な立場からコントロールするということになりますと、目的信託は公益ではないというところと若干整合的ではないかなという感じがするわけでございますし、また、これがそういう公的なものではなくて、通常の機関、私法上の信託の機関の一部だということになりますと、これは信託管理人というものとどう違うのかということで、またいろいろと御議論があり得るところだろうと思います。
私どもといたしましては、目的信託の受益者がいないという状態をどううまくマネージしていくかということにつきましては、基本的に受益者が監督権限を有するという今の新しい信託法案の仕組みにおける受益者の権限というのも、この場合には委託者に与えるということで解決しようと考えているところでございます。
したがいまして、具体的に申し上げますと、例えば受託者を解任する、あるいは損失が生じたときに損失のてん補を請求するという、先ほど来出ていますチェック、コントロールというような部分は、この場合には、受益者ではなくて委託者が行うということになるわけでございます。具体的には、信託法案の二百六十条、百四十五条に相当するところでございます。
さらに、受託者というのを複数にして、相互監視を行わせるというようなことも可能ですので、何らかの、そういういわば、委員がおっしゃるよりは少しコンパクトな工夫でこれを仕組みとして成り立たせられるのではないか、このように考えているところでございます。
○平岡委員 目的信託に関してはいろいろ、二百五十八条から二百六十一条までにかけて、その関連する規定があるわけでありますけれども、読んでいて不思議な感じというか、よくわからないところもあるので、ちょっと確認させていただきたいと思うんです。
まず、目的信託について、どうやったらそれがつくれるのかという点について、二百五十八条の第一項に書いてあるわけですね。ここは、もともと信託というのは、第三条の第一号から第三号までに掲げる方法によってすることができるというふうになっている中で、ここで目的信託については、「第三条第一号又は第二号に掲げる方法によってすることができる。」と書いてある。
この趣旨というのは、逆に言うと、信託宣言の方法では目的信託はできないという趣旨で規定してあるというふうに私としては思うんですけれども、それでいいのかどうかということがまず第一点と、では、どうして信託宣言の方法では目的信託ができないということにしているのか、この点について答弁をお願いしたいと思います。
○寺田政府参考人 委員の御理解はそのとおりでございます。具体的には、信託宣言の形によっては目的信託の設定はできないということを決めているわけでございます。
それは、信託宣言による信託、つまり自己信託においては、委託者と受託者が同一人物ということになるわけでございますけれども、目的信託は受益者がおりませんので、そういたしますと、AさんがAさんのために信託を設定して、その受益者がだれもいない、こういう状態でございます。これは、信託としての法律関係としては成り立ちませんので、そういうものは目的信託の設定の仕方としては許さない、そういう判断をしているわけでございます。
○平岡委員 成り立たないと言われると、そもそも自己信託そのものが成り立つのかというような問題とか、目的信託そのものが成り立つのか、そういう議論にちょっと発展してくるような気がするんです。
自己信託であり、かつ目的信託というものは認められないんだということをもうちょっとわかりやすく、成り立たないんだと言われたら、ある学者からいえば、自己信託そのものが自己矛盾だ、こんなものは信託では認められないんだという人もいれば、目的信託というのも認められないんだという学者もいるわけで、成り立たないという言葉だけで言われると、一般の人にはよくわからない。ちょっとそこを詳しく、これは質問通告をしてある中身の話ですから、なぜできないのかというところはもうちょっとわかりやすく説明していただけますか。
○寺田政府参考人 大変失礼いたしました。
もともと自己信託といいますのは、先ほど来も御説明しておりますとおり、第三者であります受益者のために信託財産を設定して、それに拘束をかけるということに意味があるわけであります。ところが、この場合には、その第三者というのは目的信託としてはないわけでございますので、そうすることの意味がまずないわけであります。
第二に、先ほど来御説明しておりますように、目的信託においては、これをどうやって監督するかという問題があるわけでございます。これは、先ほど御説明しましたとおり、本来、受益者が信託を監督すべきところを、受益者がいないので委託者が監督する、こういう仕組みになっておりますけれども、この委託者が受託者と同一人物だということになりますと、その監督のしようもないわけでございます。
そういったところから、機能的に自己信託兼目的信託というのは成り立たないものとするというのが合理的だろう、こう考えているわけでございます。

 

 
○平岡委員 それは、だから論理的に成り立たないというよりは、いろいろな弊害が考えられるというか、やってしまうと、今言われたように、では、だれがこれをちゃんと管理するのか、監督するのか、だれが見ていくのかというような点でもやはり実際上はできなくなってしまうとか、そんなことがあるからということだろうと思います。ある意味では、これを認めてくれという趣旨で私も質問しているわけではないので、それぐらいにとりあえずとどめておきたいというふうに思います。

 

 
もう一つ、目的信託について言うと、信託管理人の指定の話というのがこの二百五十八条の四項以下にずっとあるんですね。当初のところというのは、やはり信託管理人がいなければいけないということで、何らかの形で、こういうふうになっていればこういうふうにして選任するんだというようなことでずっと規定してあるという状況でスタートしていって、八項に行ったところで、「信託管理人が欠けた場合であって、信託管理人が就任しない状態が一年間継続したときは、当該信託は、終了する。」とぱっと書いてあるんですね。

 

 
そうすると、スタートするときは、一生懸命何らかの信託管理人を選任していくということをやりながら、それが一たん選任されてしまった後については、欠けちゃったら、一年間たったらもうこれはだめなんだというのは、何か制度として非常に整合性に欠けているというか、信託管理人が欠けた場合でも、信託管理人を選任していく、選んでいくということについてはもっとしっかりとした手当てがされているべきじゃないかというふうに思うんですけれども、その点についてはどういうふうにお考えになられますでしょうか。

 

 

 
○寺田政府参考人 これは、まず信託管理人が欠けますと、もともとどういう信託管理人を新たに選ぶかということがその信託で決まっていれば、その信託で決まっているとおりに新たな信託管理人が選ばれるわけであります。
しかし、それが決まっていないということになりますと、これはちょっと法制局みたいな話になりまして恐縮ではございますが、二百六十一条によりまして読みかえて適用される六十二条一項というものが、今度は百二十九条によって準用されるということになりますので、準用と読みかえをあわせて申し上げますと、委託者は、これこれこれこれで新信託管理人を選任することができるという規定として読めるわけでございます。

 

 
したがいまして、この場合も、これで必ず終了するというわけではございませんで、新たな信託管理人の選任という道はきちっとつくられているわけでございます。
○平岡委員 よくわかりました。
ということで、ちょっと切りがいいので、きょうはこれぐらいにさせていただいて、これから第一章の総則というか総論、第一章関係、いろいろと聞きたいことがあって、最初の質疑のときに申し上げましたけれども、これは非常に基本的な法律でございまして、これからこの国会でどういう審議が行われたのかが運用に大きく影響をしてくるということでございますので、しっかりと第一章から審議をしていきたいというふうに思っています。
その前に修正協議というものがありますので、きょう、私、目的信託あるいは自己信託についての附則の部分について、我々としては修正案を今考えておるということで、いろいろとるる質問させていただきましたので、その質問の趣旨を酌み取っていただいて、しっかりと協議をしていただきたいというふうにお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○七条委員長 次に、保坂展人君。
○保坂(展)委員 社民党の保坂です。
ちょっと大臣と基礎の基礎のお話をさせていただきたいんですが、よろしいでしょうか。いいですか、お疲れだと思いますが。
信託ということは、そのまま読めば、信じて託するということであって、中身的には、委託者が受託者に財産の移転その他の処分をして、一定の目的に従って受益者のために財産の管理あるいは処分をゆだねていくということだと思いますが、それでよろしいですよね。
○長勢国務大臣 質問の趣旨が正確にはわかりませんが、おっしゃっていることはそのとおりだと思います。
○保坂(展)委員 先ほどからこの委員会でもたびたび問題になっている自己信託という言葉についてちょっと考えてみたんですが、託するというのは、預けるとか頼むとか、自分以外のだれかに託するというふうに使われる言葉なんですね。
そもそも信託というのを辞書で引けば、信用して委託すること、特に他人に一定の目的で財産の管理や処分をさせること、こう書いてあるんですね。
自己信託という言葉は、日本語としておかしくないですか。美しい日本語とかいろいろ言われますけれども、自己信託、自分が自分に自分で信託するというのは、これはどういうふうに説明できますかね。言葉としてちょっと矛盾するんじゃないかと思うんですが。
○長勢国務大臣 法律用語と制度の用語と通常使われる言葉とが若干食い違うということがありますので、先生言われるように、違うじゃないかといえば、一般用語としては違うという見方もあるかもしれませんが、これは制度としてつくっていくことですから、そういうふうに理解をしてやっていくということになるんでしょうし、そういうことは今まで学界等でもずっと議論されてきた言葉でありますから、そのことをもって一概にまずいとかいいとかという問題ではないと思います。
○保坂(展)委員 では、これから先は局長に伺いますけれども、これまでの信託法では、自分で自分に信託するというのは禁止をされていた、それはどういう理由で禁止をされていたのでしょうか。
○寺田政府参考人 現行の信託法の第一条に定義があるわけでございますけれども、現行の信託法においては、「信託ト称スルハ財産権ノ移転其ノ他ノ処分ヲ為シ他人ヲシテ一定ノ目的ニ従ヒ」と書いてございますので、通常は、これは当然のことながら、自己信託は認められなくて、受託者は委託者とは別の人でなければならない、こういう解釈が、どちらかというと通説でございます。
しかしながら、信託の本質からいいますと、これは、我が国における信託がこの信託法を通じて取り入れられた際に、委員もそのことを意識されておっしゃっていると思いますけれども、我が国においては、比較的大陸法的な概念で権利を考えていますので、自分から自分に権利が譲られるということについて、それは非常に抵抗感があったということは一つあろうかと思います。
したがいまして、ここでも第一条に決められているとおりなんですが、ただ、信託学者の中には、信託というのは、大陸法的な概念を純粋に貫くのではなくて、それにやや違う視点で権利関係が定められるというところに大きな意味があるんだということが、むしろかねてから強く叫ばれておりまして、この領域での最高権威であられる四宮博士、あるいは、最近では米倉教授でありますとか能見教授でございますが、いずれの方も、本質的には、自己信託、信託宣言というのは、英米で見られるように、あり得ないわけではない。
つまり、自分が自分に財産を譲渡するというのではなくて、一定の目的によって拘束がかかっている状態に財産を置く、この財産を置かれて管理を任された人が、それをきちっと管理運用して、何かの目的のためにその財産が使われるということがまさに信託の本質なのであって、そういう意味では、AさんからBさんに財産が移転するということを必ず信託の要件とする必要はないのではないかということが言われていたわけであります。
すみれ
「信託する資産が拘束されていれば、受託者は自分を含めて誰でもいいってことか。」

それで、今回の信託法の改正をするに当たりましても、そのような信託の大陸法的な構成から一歩脱却をいたしまして、このような自己信託、信託宣言というものが、信託の本質からすると認められないわけではないので、いろいろなニーズにも対応できる、むしろ信託の簡便さというものがここでこれからの社会に有益ではないかというような御意見も非常に強かったものですから、最終的に私どもとしてはこういう御提案をしているわけでございます。
○保坂(展)委員 先ほど平岡委員とのやりとりの中で、目的信託と信託宣言をセットで行うことはできないということでしたよね、その理由を述べられましたけれども。
その自己信託、信託宣言で目的信託をできないということと、その今述べられた概念をここで大きく変えるということとはどういう整理ができるんですか。
○寺田政府参考人 先ほど申しましたように、信託宣言そのものは、これまでの信託の本質からすると、決して異例なものではないという整理をしているわけでございます。他方、信託の中に、観念的には受益者がいるわけですけれども、具体的には受益者がいないタイプのものが想定されるわけでありまして、それが目的信託なわけです。
信託全体から考えますと、どちらかというと目的信託の方がむしろ、本筋の信託から見るとやや異質感があるものでございますけれども、しかしながら、これを公益信託を中心に認め、しかし、それを最近になって公益以外のところに拡張してきているというのが世の中の傾向になってきているわけであります。
ただ、先ほど申しましたように、この二つを組み合わせますと、登場人物が全く一人、AさんがAさんのためにある目的をしてそれを監視するものがだれもいないような状態で財産関係が成立してしまう。これはいかにも、ぎりぎり言いますと、頭の中で考えられないわけではないけれども、しかし、機能的にはそれを認めるのは適当でないという判断がございまして、したがって、一方では自己信託、信託宣言による一般の信託というものは認め、しかし、目的信託というものも非常に特殊な形として認めるけれども、その両者を結合させることは今回は避けよう。しかも、これは相当異例なことでございますので、その判断というのはかなり広く、法制審議会では異論のないところでございました。
○保坂(展)委員 本当に自己信託という四文字を考えただけで、いろいろ、言葉だけで考えてはいけないんでしょうけれども。今、目的信託は例外的なんだということでした。
今回、また新たに認められたスキームで、いわゆる消極財産ですね、負債の部分、ここも信託することができるんだというふうに変えられています。
これは民事局長に伺いたいんですが、なぜこれまではこれはだめだったのか、そして、これからはよしということなんですが、そのよしとするニーズというか立法事実というか、どんなイメージがあってこれをよしとしたのか。
例えば、資産が百あって負債が二十あるというような場合は問題ないでしょうけれども、その逆である場合、負債の方がずっと多いという場合でも信託ができる。しかも、自己信託、事業信託、組み合わせもできるということですから、かなり野方図になるのかなという懸念がずっと出されていると思いますが、その点、いかがでしょうか。

○寺田政府参考人 これも法律概念上は現行法と今度の新しい信託法案とで全く変わっておりませんで、あくまで、信託の可能な、対象となるそういう財産というのは積極財産、つまり、普通の意味でのプラスの、土地建物のような不動産であるとか、あるいは債権ですとか動産だとか、そういうものであります。
しかしながら、これは現行法でもそうだったわけでありますけれども、もともと現行法で信託を受託しているものが債務を引き受けられるかどうかという議論がありまして、それは、信託発足後の債務を引き受けられるということについては異論はない、あるかもしれませんが、普通は認められる考え方ではあるわけでございますけれども、信託発足前のもともと委託者が持っていた債務を引き受けることについては、これは明文の規定がないからできないという解釈が、どちらかというと有力説、多数説だったというように考えているわけでございます。
しかしながら、ある信託の財産を切り渡して、それを信託として運用する場合に、それに非常に密接不可分な債務というのを一体として管理することができれば、それはむしろ、それが一つの事業体としての評価を受けて、それが信託として受益者にとっての投資対象となり得るというような御議論が信託実務家あるいは事業家の間にありまして、それであれば、従来も本質的にはできないというわけではないので、現行法のもとで明文の規定がないからできなかったと解釈することが多かったものですから、それでは明文の規定をつけてそういうニーズにこたえましょう、つまりは、債権その他のプラスの財産と密接に関連するマイナスの財産があった場合に、それを新たに信託として引き受けるということを明文の規定で置いたことによって可能になったわけでございます。これは法案の二十一条の一項三号でございます。

もちろん、これをどこまで引き受けたらどうなるかという問題は、別途、その信託たり得るかどうかとは別に、受託者の善管注意義務等の問題で問題にはなるわけでございますから、全体としてマイナス財産ばかり持っていたらどうなるのかというようなことは、議論としてはあるわけでございますけれども、概念上はそういうものを認めるということに当然ニーズはあるわけでございまして、それについて法律的な障害はないということを今回明らかにしたわけでございます。
○保坂(展)委員 そうすると、莫大な借入金を抱えている事業本部などを自己信託で事業信託をして切り離す、そしてその信託受益権を販売するというようなことも、この信託法制の世界からは、何かそれをチェックしたり、監視したり、とめたりというような仕組みはないということでしょうか。
○寺田政府参考人 これは、それ自体として法律の中であり得るということを明らかにしたわけでございますけれども、しかし他方、財産の権利の移転ということが生ずるわけであります。
したがいまして、Aという法主体からその財産が切り分けられて、観念的にはBという法主体に移るわけでございますので、したがって、それが仮に事業上非常に重要な一部に該当するときは、これは会社であれば、株主総会の特別決議が必要になるという条件は当然のことながらクリアしなければならないわけであります。また、事業の重要な一部に該当しない場合でも、これが財産の処分としての重要性があれば、それ自体としては取締役会の決議も必要になるわけでございますので、自由にそういうことがやれるということではないことは言うまでもないわけでございます。

 

 

 

 
仮に、その面での、つまり今のは会社の株主にとっての問題でございますけれども、今度はその事業にとって、切り離された後、受益者との間でその関係がどうなるかというと、これは、先ほど申し上げましたように善管注意義務の問題になるわけでございますので、受益者から、切り分けられた財産の運用管理がそもそも適当なのかどうかということについてチェックを受けるわけでございます。

○保坂(展)委員 ちょっと感想なんですけれども、会社という世界というか、会社という社会的な仕組みとはまたもう一つ別に信託という仕組みがあらわれてくるのかなという感想を持つんですけれども、もうちょっと具体的に聞きたいと思います。
公正証書によらずに確定書面において、確定日付のある書面の送付ですか、こういうふうに書かれていますが、それは具体的にどういう書面で、どういうスタイルであったときに有効なんでしょうか。
○寺田政府参考人 今の委員の御質問は自己信託の設定方法についてでございまして、条文上は、公正証書のほかその他の書面でもよい、ただし、その場合には、指定された第三者に対する確定日付のある証書による通知によって効力が生ずる、こういう規定ぶりになっているわけでございます。

 
この規定は、もともと設定における信託の詐害性というのを防ぐという趣旨があるわけでございまして、公正証書は言うまでもありませんけれども、確定日付のある証書がそこに要件として課せられれば、日付をさかのぼらせて、債権者が債権をもって差し押さえをやってきたときに、いや、それはもう既に私は譲渡を受けています、信託が設定されていますということで、財産が移転されるということを事前に仮装しているというようなことでは、これは詐害性を帯びるわけでございますので、これを決めているわけでございます。
具体的な書面は、これは民法施行法の五条によりまして、内容証明郵便ということになろうかと考えております。
○保坂(展)委員 信託法で聞きたいことがもう少しあるんですけれども、ちょっと残りの数分を使って、この前一般質疑でお聞きをした件について、外務省からも来ていただいていますので、その後どうなったかを伺いたいのです。
十月二十日の法務委員会の質疑におきまして、アメリカが国際組織犯罪防止条約を留保していたということをテーマにしました。その留保の内容について具体的にどうなのかということをいろいろ見たところ、アメリカの州法、具体的には、答弁があったのは、アラスカ、バーモント、オハイオというのはわかったということなんですが、いわゆる共謀罪の規定がすべてはないというような話でしたね。
これに対して、大至急調べて回答させていただきたいというようなお答えだったんですが、二週間以上たちましたけれども、何らかわかったのであればお答えいただきたいと思います。
○西政府参考人 お答えを申し上げます。
今先生おっしゃられましたように、アラスカ、オハイオ及びバーモントの三州に関しましては、共謀罪が特定の犯罪類型についてだけ設けられている、こういう形の州と説明させていただきました。
しかるがゆえに、共謀罪の対象とならない犯罪についてどのようなものがあるのかということでございましたので、在外公館を通じて調査をかけておりますが、申しわけございません、まだ結果がまとまっておりませんので、いましばらく御容赦いただければと思っております。
○保坂(展)委員 これは一応日本の外務省ですからね、在外公館を通して大至急調べて回答させたいと、松島さん、大臣政務官も、そうさせます、そういう議論がありましたので。大至急ということは、二週間以上たっているわけで。
もう一点聞きますけれども、要するに、アメリカの留保によって、いわゆる条約には入ったけれども犯罪にならない、つまり、アメリカが留保しているから、その州法の改正はないわけですね。この三州において犯罪にならない行為、これは何かという質問でしたけれども、では、共謀罪が限定的にしかないというのは、どういう共謀罪があるんですか。
つまり、ないものを出せというのは難しいという話なんですよ。しかし、あるものというのはわかるでしょう。それはお答えできるんじゃないですか。例えば、オハイオ州、あるいはアラスカ州でもいいですよ、時間がありませんから、一州でもいいから、どんなものが共謀罪の対象になっているのか、それだけでも教えてください。なっていないものを確定するのは難しいというお話だったと思います。
○西政府参考人 今先生お尋ねになられました点、例えばアラスカ州でございますと、対象となる犯罪、共謀罪の規定及びその対象となる犯罪ということで私ども承知しておるのは、例えば殺人罪がございます。他方、こうした犯罪に含まれないものというものも出てまいりますが、同時に、連邦政府の方から、先生に先般御説明申し上げましたように、連邦法上、共謀罪が、まず法律集第十八編三百七十一条で、すべての連邦に対する犯罪はこれは共謀罪がかかるというふうになっております。それ以外にも、一般にRICO法と申しております法律集十八編千九百六十二条、これでありますと、殺人、誘拐、賭博などいろいろな犯罪が入っております。
こういうような形で、その州では共謀罪の対象ではなくても連邦法がかかってくるものというものが出てまいります関係上、申しわけございません、調査に手間取っておるような次第でございます。
○保坂(展)委員 アメリカで弁護士をされていた方の話によると、連邦法でかかる問題もあるでしょうけれども、ほとんどの犯罪は州法で裁かれているというふうに聞いています。
今、殺人という話が出ましたけれども、非常に限定されていますね。日本で提案されている六百種類以上の共謀罪とは雲泥の差なわけですけれども。
いつまでに回答できますか。ちょっと時間がないので、それだけ答えてください。もう二週間以上前の問いですから。
○西政府参考人 恐れ入ります。
私どももそのめどをきちんとさせないといけないと思っておりますので、その点もあわせまして、今、調査をかけているような次第でございます。御容赦くださいませ。
○保坂(展)委員 一応、こういう委員会で大至急調べますというときには、通常、そう答弁された省庁の担当の方は、今こんなぐあいですとか、ここまでわかっていますとかいうことは、連絡は大体くれるものなんですね。外務省は違うのかもしれませんけれども、しかし、全く連絡はない。
今のお話ですと、州法というのは法律としてあるわけですね。その州法を読んで、どんな共謀罪がかかっているのかなと。つまり、共謀罪がかかっている犯罪類型について幾つなんだというのは、これはあしたにでも出せるでしょう。このぐらいはできるんじゃないですか。

 

 
ここまで来れば、いつまでということをきちっと言ってほしい。もう二週間以上たっているんですから。答弁してください。
○西政府参考人 その折、私ども、調べなくてはいけないということで申し上げましたのは、州法で共謀罪がかかっておらなくても、その行為によって連邦法が適用されるものがある。そのような場合、例えば、先般御答弁申し上げましたように、詐欺的な行為を行うために郵便、電信などの利用があれば、郵便、電信等は連邦が扱う事業でございますので、それによっておのずと連邦法上の共謀罪が適用になってまいります。

 

 

 
ということで、具体的に個々の州法だけというわけにまいりませんで、しかも、国際的な組織犯罪ということに関して考えれば云々と先般御説明させていただきました米国政府の見解、これは犯罪の態様によって連邦法がかぶってくるということが説明にあったわけでございますので、その点を踏まえてお答え申し上げませんと十分なお答えにならないのではないかと恐れておる次第でございます。
○保坂(展)委員 とんでもない答弁ですね。では、問題を簡単にしましょう。
前回、ほとんどないという議論をした。要するに、今の西さんの答弁は、アメリカの州法の中に共謀罪がちょこっとしかない、しかし、他の類型については、ないということは、連邦法がみんなかかっているから、そこを精査しないと言えないんですということなんでしょう。違いますか。

 

 

 

 
つまり、連邦法がすべて、州法の中で共謀罪がないものについてもかかっているという理解でいいんですね。後で全然違う事実を出してもらいたくないので、それだけ確認します。
つまり、アメリカの州法に限定的にしか共謀罪がなくても、他の類型の犯罪の中に連邦法がすべてかぶさっているので、だから、ほとんどないんだ、例外化される行為はないんだというふうに断言できますか。
○西政府参考人 先生に御指摘ちょうだいしておりますように、連邦法、それから五十州のうち四十七州、これが一般的な共謀罪の規定を設けておるところでございます。それに対して、犯罪類型による共謀罪を設けているところが三州あると先般お答えさせていただきました。さらに、その三州で行う行為に関しましても、当該行為の態様によって連邦法がかかる場合については、これは連邦に対する犯罪ということで共謀罪がかかってまいります。(保坂(展)委員「かからないのはないんですかと聞いております」と呼ぶ)

 

 

 
申しわけございません。そのまさに、かかるもの、かからないもののところの調査をしております関係で、今手間取っておると申し上げたような次第でございます。
○保坂(展)委員 では、もう一問だけ。歩きながら聞いてください。
要するに、「ほとんどない」とホームページに書いてあるんですが、ほとんどないかどうかを調べているんですね。
○西政府参考人 先生、先般お尋ねがありましたのは、ほとんどないということは少しはあるんだろう、このようにお尋ねをちょうだいいたしました。そのほとんどないという対象が、では、少しあるとすればどういうものなのか。それが、先ほど申しましたように、犯罪の態様によって変わることも出てまいります。よって、今、そこを調べているような次第でございます。
時間がかかっている点、重ねておわび申し上げます。
○保坂(展)委員 時間が来ましたので、ぜひ、この点については重大なので、委員長にもお取り計らいをお願いします。
○七条委員長 今審議をいただきましたが、資料をできるだけ出せることがあれば出していただけるように要請いたしておきます。
次回は、明八日水曜日午前十時理事会、午後四時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
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すみれ・ポリー・番人
「お疲れ様でした。ある県の華僑の顧問司法書士って大人でした。」

 

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