〒903-0114沖縄県中頭郡西原町字桃原85番地 TEL098-945-9268 受付時間平日9:00~17:00

司法書士宮城事務所 > お便り > お便り > ネパール 民法典草案12

ネパール 民法典草案12
2016年04月11日

2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

 

 

 

第14項 寄付および贈与

寄付(donation)とは,ある財産の所有者が他人または他の組織に対し,宗教的・社会的・公益的な利益またはコミュニティの利益のために,当該財産を譲渡するもので ある。
それは,相続人に対して行うことはできない(草案 424条 1項)。

 

 

 

他方,贈与(gift)とは,ある財産の所有者が他人または他の者に対し,その功績を讃えたり,贈与者の利益(見返り)を期待したり,家族員に対する愛情等に基づいて,当該財産を譲渡するものである。それ

は,相続人に対しても行うことができる(草案 424 条)。

 

寄付・贈与は,現金または 1,000 ルピーの価値を超えない動産を除き,証書を作成して行わなければならない(草案 432 条) 。いずれにせよ,寄付・贈与は合意に基づくものであるから,相手方が寄付・贈与の 受領を拒絶したときは,贈与は無効である(草案 435 条)。

 

 

寄付者は,相手方が寄付者に対して犯罪を犯したときは,寄付を撤回することがで きる(草案 437 条 a号)。また,贈与者は,受贈者が贈与者に対して誤った申立てや告訴をしたときは,贈与を撤回することができる(草案 437 条 b号)。さらに,受贈 者が贈与の証書に規定された義務履行等をしなかったときも,贈与者は贈与を撤回す ることができる(草案 437 条 c号) 。

 

 

興味深いことに,民法典草案は,他人物寄付・贈与および二重寄付・贈与を禁止している。他人物寄付・贈与はしてはならないものとされ(草案 425条),二重寄付・ 贈与行為が行われたときは,第一寄付・贈与のみが有効で,第二寄付・贈与は法的に 無効であるとされる(草案 426 条)。

 

 

 

 

 

第15項 建物の賃貸借

 

建物の賃貸借に関する規定が第Ⅳ部・第 9章に編入されている点に,民法典草案の 1 つの特色が認められる。
建物賃貸借の長存続期間は5年間とされている(合意による更新は何度でも可能) (草案 403条)。 賃貸人の義務としては,賃借人に利用させる義務,特別の合意がない限り,水道・ 電気・下水道のサービスを供給し,衛生状態を維持する義務,住居の安全を確保する義務,その他合意を遵守する義務がある(草案 407条)。また,土地および建物の税金は,所有者(賃貸人)が支払義務を負う(草案 410 条)。

 

 

 

賃借人の義務としては,約定通りに賃料を支払う義務,自己の所有物と同じように建物の安全,衛生状態を保ち,損傷しないように注意する義務,隣接居住者の安全を脅かさない義務,その他合意を遵守する義務がある(草案 408条)。

 

 

 

また,事業のために建物を賃借する者は,損害保険契約を締結する義務を負う(草案 411条)。もし この賃借人が損害保険に加入していなかったときは,建物に生じた損害は,自然災害 や暴動,放火等によるものであっても,その危険は賃借人が負担すべきことになる。 また,建物の修繕義務は,別段の合意がないときは,賃借人が負担する(草案 412条) 。

 

 

賃借人は,賃貸人の同意がある場合にのみ,目的建物の全部または一部を第三者に転貸することができる(草案 413条)。 賃借人は存続期間の満了前であっても賃借権を放棄して建物から退去することはできるが,少なくとも 35 日前に書面で賃貸人に通知しなければならない。他方,賃借人は,賃貸人が当該建物を自ら使用する必要が生じ,少なくとも 35 日前に文書で明渡しを請求してきたときは,明け渡さなければならない(草案 419 条 1 項 c 号))。

 

 

 

また,賃借人が賃料を支払わずに 3 か月以上行方不明のときは,賃貸人は賃借人が建 物に置き去った物を留置し,地方政府の代表者,警察官または警察官が利用困難なと きは当該地方の 2 人の者を証人として,その物を自己に帰属させることにより,未払賃料(の一部)を回収することができる(草案 422条)。 以上のように,概して,賃貸人の権利・義務と賃借人のそれらとを比較すると,賃貸人に相対的に有利な規定であると考えられる。

 

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA