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ネパール 民法典草案7 不動産登記
2016年04月11日

2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋
第4項 所有権と占有の区別

 

 

所有者は財産の使用,売却・その他の方法による権原の移転,担保化,果実の取得 等をする権原をもつ(草案 286 条)。

他方,法律に従って財産を占有する意図をもつ者は,占有権をもつことが認められる(草案 287 条)。ただし,所有者でない者は,占有者の同意または法律の規定によって占有権を取得できる。占有権は,平穏,公然かつ善意で取得されたのでない限り,合法的に取得されたものとはみなされない(草案 288 条)。

 

 

 

占有は代理人によっても取得することができる(草案 289条)。占有権をもつ者は,法律によるのでなければ占有を妨げられない。

また,目的物から生じる便益を利用することができる。さらに,善意の占有者は目的物の維持・管理に要した費用を所有者に償還請求することができ,償還を受けるまでは目的物を留置することができる(草案 290条)。

 

 

 

 

このように占有権は所有権からひとまず区別されている。そして,強暴,隠秘または悪意で占有(権)を奪った者は,占有(権)を奪われた者に対し,目的物およびその占有から得た利益を返還しなければらなず,自己の過失によって生じさせた損害があれば,それを賠償しなければならない(草案 293条)。

占有権の効果として,反対占有権(adverse possessory right)が認められている。すなわち,動産の場合は 3 年間,土地の場合は 30 年間占有を継続することにより,反 対占有権を取得する。これは所有権と同様の機能をもつものであり,取得時効に相当する。ただし,政府財産,公共財産,コミュニティ財産に対しては,反対占有権は成立しない(時効取得は認められない)。また,契約があればそれが優先する。さらに,強暴または隠秘に行われた占有によっては,反対占有権は取得することができない (草案 292条)。

 

 

 

番人
「反対占有権、か。」

 

 

第5項 財産の使用に関する一般規定

 

 

所有権の効果として,目的物の使用権が認められる(草案 295 条)。ただし,ネパ ール政府が公益のために法律に従って個人の財産を取得することは認められる(草案 295 条)。
何ぴとも他人の財産(権)を侵害してはならない。民法典草案は,この点について 細かな行為規範を定めている(草案 295条 3項・4 項,草案 296 条)。そして,財産 (権)の侵害を予防するための措置(security measure)をとるべき義務まで規定している。もっとも,隣の土地または建物から生じるガス,臭気,煙,騒音は,それが事業によるものでない限り(日常生活上生じるものである場合),自己の土地・建物に 対する侵害とはみなされない(草案 297条) 。

 

 

財産(権)不可侵義務の一環として,何ぴとも土地所有者の書面による同意なしには,他人の土地の上に建物を建築することができないものとされる。もし書面による同意なしに他人の土地の上に建物を建築したときは,以下のように処理される(草案 298 条) 。

①土地所有者は,もし望むならば,その建物を市場価格よりも 25%安い値段で買い取ることができる。
②土地所有者が①の買取権を行使しないときは,建物所有者は,土地所有者の同意を得て,当該土地を市場価格よりも 25%高い値段で買い取ることができる。
③土地所有者も建物所有者も①・②の買取権を行使しないときは,建物所有者は当該建物を建築から 6か月以内に収去しなければならない。
④建物所有者が③の収去義務を履行しないときは,当該建物は土地所有者に帰属する。

以上の規定は,民法典草案が,土地と建物を別不動産と捉えていることを前提とし ている。 建物を建築する際に,窓を設置するときは,建物を境界から 5フィート以上離さなければならない(草案 299 条)。

 

 

 

何人も雨水や排水を他人の土地や公道に直接に流してはならないほか,トイレ用タ ンクの掘削,井戸の掘削,樹木の植栽等について,相隣関係規定が定められている(草 案 300条~303 条)。例えば,A所有地に植栽された樹木の枝または根がB所有地を 侵害しているときは,「植栽者」は当該枝または根を切除しなければならず,もし植 栽者がそのようにしないときは,Bが自ら当該枝または根を切除することができる。また,Bはその費用を植栽者に対して償還請求することができる(草案 303 条)。も っとも,Aが植栽した土地をCに譲渡した場合は,Cが切除義務を負うと解すべきで あろう。

なお,相隣関係に関する規定は,次に述べる第 4 章(草案 306 条以下)にも存在する。

 

 

 

 

第6項 土地の耕作,使用および登記

 

 

 

土地所有者Aがその土地の耕作のために通水路を設ける必要があるときは,Aは通 水路の設置を求める土地の所有者Bに同意を求めることができる。その際,Aは代わりの土地の提供,当該土地の市場価格,または合理的な損害の賠償をしなければならない。
ただし,Bの土地が公共財産または政府財産の場合は,この限りでない(無償で利用できる)(草案 307 条)。このほか,流水の利用,通水路の利用に関し,詳細な規定が置かれている(草案 308 条~314条)。河川に隣接する土地の所有者は,河川が流れを変えた場合,その結果生じた土地を取得し,その土地を耕作することができる(草案 314 条)。
土地の登記に関して,他人の土地を自己の名前で登記してはならない旨が,あえて規定されている(草案 315 条)。そして,土地の所有名義人が死亡した場合,または土地に対する権利が移転したときは,関係者は35日以内に登記の移転を申請しなければならない。35 日を経過したときは,100ルピーを支払わなければならない(草案 316 条) 。

 

 
すみれ
「あえて規定されているのか。やる人も多い事情があるのかな。」

 

ハガキ1120151216