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ネパール 財産法 不動産 登記7
2016年04月11日

2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋
第4項 財産法に関する現行法のその他の特色
(1)贈与・寄付について

 

 

 

物の所有者はその物を特定の相続人または第三者に贈与し,あるいは不特定の者に 対して寄付することができる。その物が共同所有者(coparcener(s))による所有の客体であるときは,他の共同所有者の同意を得なければならない(「国法」第Ⅲ部・第 19 章・1 条)。 すでにある者に贈与または寄付した動産または不動産について,別の者に贈与また は寄付した者は,500ルピー以下の罰金に処するものとされている(「国法」第Ⅲ部・ 第 19章・4条)。このように二重贈与はまずは刑事罰の対象とされており,そのような行為自体が否定される一方,その民事上の効果がどうなるかということは,直接には規定されていない。
このことは,第 2 の贈与・寄付はなしえず,したがって,当然に無効であるという理解を前提にしているように思われる。ここにも,第一次的には 行為規制的なネパール法の特色が現れているように思われる。

 

 

 

もっとも,すでにある者に贈与または寄付した場合でも,それが死因贈与または寄付の効果をもつものであるときは,贈与者または寄付者は何時でもその証書を無効にすべく,管轄登記所に申立てをすることができる。この撤回の申立てが行われたときは,ただちに当該贈与または寄付の証書にそれが撤回されたことを示し,その所長が署名した付箋またはメモを挿入し,かつそのことを 7日以内(通知の伝達に必要な期 間を除く)に申立人に通知しなければならない。この申立てに必要な費用は 500 ルピ ーである(「国法」第Ⅲ部・第 19章・2 条)。
(2)担保について

 

債権担保の手段として,自己が所有する動産または不動産の占有を債権者に移して設定される担保(収益担保)と,担保目的物の占有を債権者に移さずに設定される担保(非占有担保)の 2種類がある。いずれも証書によって設定される。
収益担保の場合は,担保設定時から目的物から得られる収益(果実)を債権者が享 受し,弁済に充てることができる。これに対し,非占有担保の場合は,弁済期到来時から目的物の占有を債権者に移し,それ以後債権者が目的物から得られる収益(果実)を享受し,それを弁済に充てることができる。この収益(果実)の取得ができる期間は,収益担保の場合には担保実行時から2年間,非占有担保の場合には弁済期が到来し,債権者が占有を取得して 2年間に制限されている(「国法」第Ⅲ部・第 17章・3 条)。

 

その一方で,債務者は,収益担保の場合は設定後 10 年間は,債務および利息を弁済し,目的物を買い戻すことができる(「国法」第Ⅲ部・第 17 章・14条)。また,非占有担保は設定後 5年間は有効である(「国法」第Ⅲ部・第 17 章・15条)。
また,収益担保または非占有担保が設定された場合,その債権額の範囲内であれば, 転担保も可能である(「国法」第Ⅲ部・第 17章・29 条) 。
さらに,すでに担保が設定されている物件について,再度担保が設定されたときは, 第二の担保設定は効力をもたない。その前後は,担保設定の証書の日付によって判断される(「国法」第Ⅲ部・第 17章・25 条)。すなわち,二重の担保設定は認められない。二重担保の設定をした者は罰金の支払義務を負う。

 

 

その額は,担保設定時に(違約罰として)定められていればそれによる(まずは第二担保の設定契約に定められていればそれにより,その定めがないときは,第一担保の設定契約に定められていれば,その定めによる),そうした定めがない場合は 500 ルピー以下である(「国法」第Ⅲ部・ 第 17章・28 条)。

 

 

 

もっとも,二重の担保設定であることを知らずに第二担保の設定 を受け,かつその担保の実行として担保目的物の所有権を取得した債権者は,第一担保権者に対して被担保債権を弁済することにより,その目的物の所有権を取得することが認められる(「国法」第Ⅲ部・第 17章・26 条)。このように,担保取引の実情に わせて,低限の取引安全の保護が図られていることが注目される。

このような担保制度は,
①所有者が担保流れによって所有権を失うリスクを抑制し ようとする傾向をもつ。また,
②担保権の実行方法として,競売による競売代金から 債権を回収する方法ではなく,債権者に占有を許可してその収益(果実)から債権を回収する方法を採用している。これは,担保物の競売市場が形成されていないという現実の中で,可能な限り費用を節約し,かつ実効的な担保物権の実行手続を経験的に模索した結果であるとも考えられる。いずれにせよ,担保権に対しては相当に強い規制が加えられていることが窺われる。

 

 

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