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ネパール 財産法 不動産 登記2
2016年04月11日

2016年加工編

法務省調査研究報告 ネパールにおける現行民事法の現状と今後の立法動向より抜粋

 

 

 

 

1. 土地の収用に対する損失補償

 

 

(1)1977年土地取得法の特色

 

 

ある国で財産(権)がどの程度尊重され,保護されているのかを測定する指標と して,土地の公用収用の制度とその運用は有力な手がかりになる。なぜなら,国家 (政府)が強制権力を背景に,公益の実現を理由にして国民の財産権を強制的に収用または使用しようとする場合に,公共事業による公益の実現と,制限されようとしている国民の財産権の調整を図るために,どれだけ慎重な手続を履み,かつどれだけ損失補償をしているかということが,その国家(政府)が国民の財産権をどれ だけ尊重しているかを如実に示しているからである。

 

 

 

 

ネパールにおける現在の用地取得は,1961 年土地取得法に代わる 1977 年土地取得法に基づいて行われている。かつて政府は国民の土地を自由に取得することができたが,その後,財産権保障の要請が高まるに従い,法定手続の遵守および損失補償の支払いが求められるようになってきた。

 

 

 

同法は,公益目的を実現するために 土地を強制的に取得する制度の中核であるが,「公益目的」とは,一般公衆の利益・ 便益・利用のほか,ネパール政府によって引き受けられた機能(例えば,政府が同 意したプロジェクト,様々なレベルの地方公共団体によって引き受けられたプロジ ェクト)を含むものとして,比較的緩やかに捉えられている(2 条 b 項)。

 

 

 

 

他方,ネパールでは「土地」には土地に継続的に設置された建物,樹木,壁等も含むと観念されていること(2条 a項)に留意する必要がある。 土地収用権限の主体は,あくまでもネパール政府(3条)であり,政府自身の必 要性によるほか,事業主体(地方政府の開発委員会,会社,国有企業)の要請(例 えば,労働者の宿舎,製造物や原材料を貯蔵する倉庫の建設,国有企業のプロジェ クトなど)に応える形で,ネパール政府が土地収用権限を発動することも可能とさ れている(4 条)。

 

 

 

その際,事業主体の要請に基づく土地取得手続は,
①土地取得 に必要な費用の政府への支払い,
②建設期間,利用形態などを記した証書の作成(4 条 2項)に基いて行われる。
政府は,本法の実施を目的とする規則制定権をもつとされているが(42条),規則は未制定で,代わりに各地方のプロジェクトごとの移転政策(Resettlement Policy)が策定されている。

 

 

 

(2)土地の任意取得

政府は土地所有者との任意の交渉により,「いかなる土地も,いかなる目的のためにも,取得することができる」ものとされ(27 条),この場合は土地取得法に規定された手続に従う必要はないものとされている。

 

その結果,とくに政府・国有企業以外の事業主体(会社等)が政府に要請しては,一般的に任意交渉を行うとされる。任意交渉で合意に至らなかったときは,関連する政府機関に強制取得の手続を要請することになる。

 

 

例えば,ネパール石油会社が販売店の建設用地を取得するた めに地権者と任意交渉したが,合意に至らなかったときは,商業省に申請し,商業省が当該地方における郡行政事務所に土地取得(収用)手続の開始を要請することになる。これに対し,政府や国有企業が土地を必要とするときは,比較的早期に強制取得の手続がとられるようである。

 

 

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