〒903-0114沖縄県中頭郡西原町字桃原85番地 TEL098-945-9268 受付時間平日9:00~17:00

司法書士宮城事務所 > お便り > 家族信託・民事信託 > 2016年加工編 法制審議会信託法部会 第28回会議 議事録

2016年加工編 法制審議会信託法部会 第28回会議 議事録
2016年03月31日

2016年加工編
法制審議会信託法部会
第28回会議 議事録

第1 日 時  平成18年1月12日(木)   自 午後1時00分
至 午後4時55分

第2 場 所  法曹会館 高砂の間

第3 議 題  信託法の見直しについて

第4 議 事  (次のとおり)

議        事
● それでは時間になりましたので,法制審議会の信託法部会第28回会議を開催したいと思います。
それでは,本日の資料につきまして,○○幹事から説明をお願いします。

● それでは本日の資料でございますが,また直前になりまして恐縮でございますけれども,一部資料,6項目につき事前に配布させていただきまして,あと2項目,1つは利益取得行為の禁止と利益吐き出し責任についてという資料,それからもう1つは,いわゆる後継ぎ遺贈型の受益者連続についてという資料,この2点を追加させていただきました。
議論の順序でございますけれども,本日も項目がまとめにくいものでございますので,まずは事前に配布した資料に基づきまして,1つずつ順次やらせていただきまして,その後,利益取得行為の問題,最後に受益者連続の問題という順序でやりたいと思います。

● それでは,また順次やっていきたいと思います。
● それでは,まず第1に,第3,詐害信託の取消しについてというところでございます。
これにつきましては,新たに3としてアンダーラインの部分をつけ加えた以外には,前回の提案からの変更はございません。今回,新たに提案した3の規律でございますが,これは詐害信託の設定の排除を目的とした1と2の趣旨を徹底する観点から,債務者たる委託者があえて不当な目的をもって無償の受益者を配置することによっては,詐害信託取消権または受益権譲渡請求権の行使を免れるということができないということを,いわば条理の問題ではございますが,確認的に規定することとしたものでございます。
それからもう1つは,この資料の説明中の上の方に書いてある点でございますけれども,破産法161条と同様に,相当の対価を得てした信託設定行為については,原則として取り消されない旨の規定を設けるべきであるという指摘がございました。
しかし,この規定といいますのは,民法424条の債務行為取消権について,その信託における適用のあり方を示したもの,この今回の提案の規定でございますが,そういうものですので,民法424条に破産法161条のような規定が明文で設けられておりません以上は,解釈レベルでの影響があることは別論といたしましても,信託法においてのみ破産法161条と同内容の規定を設けることは難しいと思われますので,そのような規律は入れないということにしているものでございます。
以上です。
● それでは,これについて御議論お願いいたします。
○○委員。
● 新たに入ったところが,本来の1項とか,上の方の規定とある意味では矛盾するような感もあるんですけれども,それはこの説明でもありますように,権利濫用の一対応について記載したものであるということで,特に矛盾しないような解釈論をするという理解,言いかえると,善意の受益者を保護するのが上の方の規定ですけれども,下の方では善意の受益者でも保護されないと書いてあるものですから,てすから,その悪意性について,下の方の今度新たに入ったところは「不当に免れる目的」というふうに書いてあるんですけれども,こういう規定は,時にいろいろな形で解釈されますけれども,ここにおける不当に免れる目的というのは,かなり強い悪意性とか強い害悪性を意味していると。
したがって,424条にはこういう規定はないけれども,424条でも同じようなことをするとしたら,やはり90条の規定によって権利濫用になるような対応を規定しているんであると,こんな理解で整合性がとれるということでよろしいんでしょうか。そうでないと,矛盾した規定が存在するような外見を呈することになってしまうんだと思います。
● 御指摘のとおりに考えておりまして,ここの目的というのは,単なる詐害意思よりは強固なものでありまして,かつ民法424条でも,仮にこういう詐害行為取消権を免れる目的で善意者に権利を取得させた場合には,やはり解釈上取消権の行使もあり得るであろうということと平仄を合わせて,ここでもこのような記述を入れたということでございます。

● ○○委員。
● 先ほどの○○委員と同種のことを述べると思うんですけれども,まず,そもそも相当価格売買についての破産法類似の規定の導入ということについては,従前から私どもも主張しておりましたけれども,それがなかなか立法論としては難しいということでございました。それは仕方がないと思っております。

 

 

ただ,今回の提案の3については,今さっき申し上げた理由,つまり予見可能性の向上という観点からすると,同様にこの3ということを設定するというのは,債権者の立場からすると望ましいのかなというふうに思っております。
ただ,先ほどの○○委員のお話と同じですけれども,この規定の意味合いというのが確認規定ということであるということが○○幹事からお話がありましたけれども,その確認規定ということの意味合いをもう一度確認したいという意味で,確認でございますけれども,つまりここで書かれたことによって,ある意味反対解釈といいましょうか,これを書いたことによって,ではこれにないような類型というのがなかなか詐害行為取消しが難しくなるとか,そういうようなことにはならないという,あくまでも3の規定というのは,ある種ネガティブリストとして例示的に述べてらうことに過ぎないのであって,そもそもは,本則としては1,2というのが適用されるという,そういう趣旨であるということをこの場で確認したいと思います。
● そういう御理解でよろしいと思います。
● あえて申し上げることはないと思いますけれども,本来の原則は1,2に書いてあるように,この3との関係でいえば受益者が善意であれば,それは保護されると。

しかし,○○委員が確認されましたように単なる詐害の意思ではなくて,それを不当に免れる目的という,いわば脱法的な行為があったときには,これはその3のルールでもって,やはり取り消されると,そういう意味での確認的な規定であるということですね。
ほかに御意見はございますでしょうか。
○○幹事。
● この二重線の新たな部分なんですが,ここに無償で受益者として指定されるという概念が出てくるわけなんですが,その受益者として指定されるということの有償,無償関係というのをどこでとらえるのかがよくわからないんです。
その受益権の譲渡の場合には,受益権を現在持っている人が,それを一定の対価を得て売買するということになるんだと思うんですが,そこでその売買契約が有償であるというだけの話なんですけれども,何らかの対価をどこに払って,受益者として指定してもらうのか。そしてまた,そうだといたしましても,それは信託という行為の一部なのか,それとも外部にあるものなのかというのが,無償で受益者として指定されるという概念を置くことによって問題が生じてくるような気がいたしまして,私,十分に詰め切れていないまま発言しておりますので,だからこうすべきだということがないので恐縮なんですけれども,何か若干心配があるような気がするんですが。
● 今の○○幹事の御質問に必ずしも直接お答えするわけではありませんけれども,典型的な無償は,恐らく他益信託という言葉を使いますけれども,他益信託で受益者が受益権を取得するというのは,受益者自身は何ら対価を払っていないので無償になるのであろうというふうに思います。
ですから,ある者が自分の親族などにその債権者からの執行を免れることを目的として,信託を設定して自分の親族に受益権を与えるという形をとると,これは形式上ここに該当するのであろうと。
ただ,先ほど申し上げましたように,本来の原則はこの1で,善意である場合。善意と無償とは違う概念だと思いますが,善意であれば,それは詐害信託としては取り消されないというのが原則ですから,そういう意味でこの3のルールが適用されるというのは,ある意味で慎重に考えなくてはいけないわけで,不当にこれを免れる目的という,そのある意味で加重された要件のもとで初めて今のような無償の受益権というものが否定される,そういうものを設定する信託が否定される,そういうことになるのではないかと思います。

● 無償は相当いいかもしれないんですが,有償で受益者に指定されるというのはどういう形態なんでしょうか。

 

 

 

 

● この信託の構造からは,直ちに有償というのは,受益者に関しては余り出てこないのかもしれませんね。ですから,何らかの負担をするとか,何らかの出費をするということがあれば,その信託の枠内ではなくてもそういう出費があれば,それはある種の有償と,負担つき贈与の場合の負担みたいなものが1つの例として考えられるのではないでしょうか。

● そうすると,有償の向きは設定者に対してある一定の額を支払って受益者として指定してもらうというもの以外にも,第三者に対して何らかの給付をするということを条件に受益者としてもらうというのも含むということなんでしょうか。

● そこまではちょっと私もそれがいいのかどうかわかりませんけれども,負担つき贈与なんかですとそういう場合もあるかもしれませんね。負担つき贈与の場合にもそういう負担があると,ある種単純な無償の場合とは違って一定の保護を受けると,これは瑕疵担保だとか,そういう関係だとかの点ですけれども。

 

 
すみれ
「負担の方向、か。」

そういう意味で,一定の負担をしている受益者であれば単純な無償とは同じように扱わないという意味では,その負担の方向が設定者でなくてもいいのではないかというふうに私は思いますけれども,これはここではちょっと言い過ぎかもしれない,原案をつくった段階では必ずしもそこまで議論していないのではないかと思いますが。

 
● もう一言だけ。
これというのは,例えば私がいっぱい借金を抱えているときに,私が設定者となって信託をつくるという際に,私から財産が逸失するかわりに,私のもとに財産が入ってくるというのならばともかくということなのか,それとも受益者の悪性というものに着目して,債権者を害すべき事実を知らなかったんだけれども,しかし無償で,何の出捐も,どこに出しもしなくて受益者になったんならば奪われたって仕方がないではないかというふうに考えるのかによって,有償というときにどこに出捐行為が向いているかということの限定がかわってくるような気がいたしまして,多少その概念として,信託に本当になじんでいるのだろうかというのが気になるところですけれども。

 

 

 

 

 

● おっしゃる点はよくわかりますが,むしろ今の部分は多少白紙というか,何か原案を考えたときに,もし考えた点があれば伺うとして,そうでなければ少し議論したいと思いますが,いかがでしょうか。
では,今の点について,もし御意見があれば。
○○委員,どうぞ。
● 普通は贈与型を考えてしまうかと思うんですけれども,実際に住宅金融公庫のABSで,担保目的で他益信託を設定しているんですね。これは現に何兆円という発行高になっていると思うんですけれども。

ポリー
「すごい金額ですね。割と利用されているんですね。」

ですからその場合も,私の理解ではもっと広い意味でこの有償,無償をとらえていると理解していたものですから,その担保設定について,別に担保設定代を払ったわけではありませんけれども,債権者,住宅金融公庫債を出して,その担保設定を住宅金融公庫へもってローンを信託に入れて,それを他益信託という形で担保の設定をしているんですけれども,そういう場合には実質,債権者としての担保設定なので,いずれにしても不当な目的ではないと思うんですけれども,ここでいう有償には該当しないのかなと思っていたんですが,そういう例もございます。
● 今のも1つの例かもしれませんね。
ほかに御意見ございますか。
必ずしも設定者に対価が入ってくるからというふうに限定しなくていいのではないかという気はしたんですけれどもね。あるいは,それだけを有償というふうに考えるのではなくて,もうちょっと広く有償,ある種の負担をする……
すみれ
「ここから負担付きの受益権の考え方が来たのかな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○関係官。
● 議論の流れを把握しておりませんでしたら大変恐縮なんでございますが,ここで書かせていただいておりますのは,例えば受益者がほとんど悪意なんだけれども,これだと詐害信託で取消しをされてしまうなと。したがって,だれか善意の人を,ちょっとあなた入ってくれるというような形で善意者を1人使えば,その取消権の行使をシャットアウトできるというようなことが何となく定型的に予想されやすいだろうと。
したがって,そういうものは本来であれば一般則にゆだねられるのかもしれませんけれども,そういうことが予想されることが多い状況にかんがみ,不当に免れる目的でやるという前提をつけた上で,その場合には取消権を止めるというようなことはできませんよというような,1つの適用の際の指針となる規定を設けたということでございます。
したがって,原案の段階におきましては,その委託者にとって有償か無償かということが,それが定型的に予想されるということで考えましたので,委託者が有償か無償かということを,まずもって原則として考えたというところが正直なところでございます。
ただし,○○委員も御説明されたのかと思いますけれども,仮に,確かに委託者はその取引だけを見れば無償ではなくても,したがって,受益者というのは,だれかに何かものを第三者に対価を払っているというようなときであったとしても,それが何か取引の性格から見たら,受託者がその第三者から何らかの形で間接的に利益を受けるとかいうような,実質的に委託者は有償ではないんだけれども,取引全体を考えてみると,実質的に見ますと有償と見られるというような場合ですとか,そういうような場合だって,それはあり得るかもしれません。
ただ,どういう形態をとろうとしたのであれ,そういう濫用目的でとにかくやったというようなときは,それは一般則で取り消されるだろうということでありまして,その先,どういうものが定型的に見られるかというのは,それはちょっとこの規定の解釈になっていくというふうに言わざるを得ないのかなと思います。

ただ,この規定に当てはまらないときであったとしても,それは濫用であれば,それは取り消されるということは間違いないのかなということかなと思いますけれども。
● ○○幹事。

 

 

 

 

 

 

 

● 考えてこなかった問題ですので,余りまとまりのない発言で申しわけございませんけれども,この3の規定というのは,単に濫用なときだけではなくて,やはり無償であるというところと目的とがあわさって,このような形になっているのかなという気がしておりまして,近い制度を探していくと,濫用目的というところが非常に加重されていますのでまたちょっと違うんですけれども,無償否認のような規定のような性格も持っているのかなという気がしております。
無償否認の場合に,破産者にとって無償であることを要するのか,相手方にとっても無償である必要があるのかというのは,大変に議論のあるところのようで,判例,学説分かれているところというふうに理解しております。
否認まで強くないとしますと,詐害行為はそこまで否定される場面は限定されても構わないんだということを考えますと,目的で限定しているからいいんだという考え方もあるでしょうけれども,無償性のところでも,否認の場合はともあれ,詐害行為については少なくとも相手方にとっては有償であるならば,そこは構わないという規律にすることは十分考えられるのかなというふうには考えております。
ただ,それも結局目的の認定のところで,相手方にとって有償であるものを濫用目的で果たしてやるだろうかということがあると思われますので,実際にどういうものが出てくるかというのは,直ちには思いつきません。

もう1つは,無償でということになりますと,前者は悪意者と見なされるということになるのですが,その場合,取り消された後は,返還の範囲ですとか,そういうものについても全く悪意者と同じ取り扱いがされるということでよろしいのでしょうか。これは別の問題かと思うんですけれども,可能であれば確認させていただければと思います。

● 前者はさっきから議論になっている点ですけれども,後者についてはどうでしょうか。
● 後者の点は,悪意者と見なされまして,その後は悪意者と同様な法律効果になるのだと考えているところでございます。

● 現存利益に限るとかそんな規定は全くなくて,すべて効果面でも悪意者と同じと。

 

 
● ちょっと難しいところですね,どっちがいいのか。
ただ,この3のルールのつくり方自体は,先ほどからの説明だと,本来権利濫用タイプであって,1のルールをそういう権利濫用タイプについていわば確認しただけだというので,1によって取り消されたと同じになるというのは,何か論理的な帰結のようには思いますけれども,しかし,現にこの受益者が善意である場合に取り消すので,そこは少し違った配慮があってもいいという考え方はあり得るかもしれませんね。
それからもう1点,○○幹事が触れられた第1の点,それから先ほどから議論になっている点ですけれども,これは3のルールの要件をどういうふうに規定したらいいかということで,不当に免れる目的というのと,それから無償というのを,いわばそれぞれ独立の要件として規定するのか,あるいは不当に免れる目的,それを判断する一要素にするのかというようなこととも関係いたしますね。

○○幹事も信託において受益者が有償だとか無償だとかというのは,本来なじまないのではないかという御意見も,不当に免れる目的という中で,実質的に無償か有償かをあわせて判断するという考え方であればそれなりに説明がつくんだろうと思いますけれども,ちょっと私の,今,皆さんの御議論を伺っての感想めいたことを申し上げましたが。

何かこれはという御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
○○幹事。
● 確認というか,質問をさせていただきたいんですが,この第3の詐害信託取消しについての1の詐害行為の取消しの特則で,要するに原則系の場合はどうかということですが,この場合は取り消すためには,(1)の(a)ですね。
委託者がその債権者を害することを知って信託を設定したということを主張,立証する,そして取り消すことができる,取消しの意思表示をするということで,(1)の(a)のただしで,そういうときにおいて受益者がこうしたことを知らなかったときはこの限りではない。ですから,取消しの訴えがあったときに,その相手方の方がこのただし書きの事情を主張,立証すればその取消しの主張を退けることができるという構造になっていると思います。
この原則系に対して,今,問題になっています下の3ですね。この濫用への対処という部分,これはそれをどう修正するという位置づけになっているんでしょうか。つまり,どちらの当事者が何をどういうというふうにお考えなのかというのを,ちょっと確認させていただければと思います。
● ではお願いします。
● 今の○○幹事の文脈で申しますと,まず最初,債権者が委託者に詐害事実がありましたということを言いまして,そうすると受託者の方は,いや,善意の人,この人いますよというふうに受託者が言って,その後,もう一回債権者の方で,そんなことを言ったって,それ,濫用であなた無償で指定しただけでしょうというふうに言うと。そういう流れになるのかなと思いますけれども。
● そのときに,その適用を不当に免れる目的であるということと,それと同時に無償であるということも主張,立証する必要があるというお考えだということですか。
わかりました,どうもすみません。
● いかがでしょうか。
どうぞ。
● とすると,要するに善意であるという抗弁を排除するということのみにこの3の部分というのは目的があって,つまり害することを知って信託を設定したという要件そのものは当然の前提であって,善意のみを排除するという御趣旨だということですね。
わかりました。
● 全体の構造は今の議論でまた明確になったと思いますが。
いかがでしょうか。
○○幹事。
● 同じ問題,丸2年間考えてわからなかったことですので,ちょっと今,余りいい答えできないですが,全く同じ構造は,行為の相手方と受益者が分裂しているときに無償性を,例えば無償否認なんかのコンテクストをどう考えるかという問題なんです。

○○幹事が最初に言われた問題というのは。全く同じような,例えば保険に入って,大量の保険料を一括で払って,受取人が別に指定されて,受取人は善意であると言ったときに,何をもって否認みたいなものが,どの行為が適用されるかという問題,全く同じ形で存在しています。

 

 

 

そのときは,本当に議論がよくわからないんですが,恐らくは委託者,保険で言えば加入者と,受益者,保険で言えば受取人との間の関係,実質関係,原因関係ですね。それに着目して無償性を判断して無償否認を適用するというのが普通の考え方なんだと思います。
それでいくと,指定との関係でいうと,無償で譲渡の場合は譲渡行為そのものなんですけれども,この無償で指定されの無償性の判断というのは,専ら委託者と受益者の間の実質関係に従って判断するということで,この規定は適用,運用できると思いますし,委託者の主幹的要件などで,それで十分合わせてきちんとしたルールとして働くものだと思います。
実は,この無償性の判断は難しくて,親族みたいな場合,扶養義務みたいなものが無償性とのコンテクストでどう評価されるかとかやっかいな問題はありますが,それはただ,全部いずれにせよ解釈として出てくる問題ですので仕方ない,これ以上書きようがないんですが,ここのいう無償の,どこの関係をとらえての話かということは,今申し上げたような整理なんだと思います。

● それがそういう委託者との関係で有償性があれば,少なくともこの3のルールは適用されないということは非常に明確だと思いますけれども,そこがそんなに限定した方がいいのか,もうちょっと少し漠然としたゆるゆるの方がいいのかというところだけが問題なんだと思いますけれどもね,実質的には。

これはルールとして,今,この場でもって確定しなくてはいけないのかどうかも必ずしも明確ではなくて,将来,同じような問題はほかにもあるわけですから,そういうところと同じように無償性という基準のもとでもってどう考えるかというのは,今後の判例等あるいは学説等にゆだねられていると。しかし,無償という位置を,基準をここで設けるということについては構わないということであれば,この原案でいければと思いますけれども。
先ほどのお話からしても,この無償をどういうふうに判断するかということ自体は非常に難しい,争われているということですから,ここで決めなくてもいいのではないかと思います。
よろしゅうございますか。--では,ほかに御意見がなければ一応原案のとおり確定させていただきたいと思いますが。

● 私,ちょっと今,破産法の条文をめくろうと思ってあれなんですが,解釈が分かれて,実質的に判断するというのならばそれはそれで構わないんですが,これは条文そのものではありませんので何か言ってもあれなのかもしれませんが,現在のこの文章というのは,主語はないんですが,「債権者を害すべき事実を知らない者を指定し」ということは,委託者が,隠れた主語になっていますよね。
すみれ
「隠れた主語、か。」

 
それに「無償で」という副詞句がついていますので,委託者が対価を得ていないとしか文法上は読めないということにはならないんですか。このままでも,私は○○幹事や○○幹事がおっしゃるように,実質的に判断していくということで全然構わないし,そうあるべきだというふうに思いますけれども,もし文言を整理されるときには,そういった他の諸条文との関係で,そういう解釈ができるようにしていただければというのが,つけ加えだけです。
● 分かりました。では,今の件も含めて御注意いただいた点を,条文にする際にはそういうことを考えていきたいと思いますが。
よろしいですか。--それでは,この詐害信託の取消しについては認めいただいたということにいたしたいと思います。
それでは,次にいきましょうか。
● それでは,次が第19,忠実義務についてというところでございます。
これは前回の提案から2点変更を加えております。

まず,利益相反行為の禁止の例外の②につきまして,「き」のところだけ線が引いてありますが,これは一部消したという意味でございまして,前回は受託者が複数の場合には,受益者の承認に代えて,利益相反関係に立たない他の受託者の承認をもって禁止の例外を認めることを提案しておりましたが,この禁止の例外を認めるのは受益者を保護するためですので,他の受託者の承認をもって受益者の承認に代替できることとすべきではないという指摘が多数出されたところでございます。

そこで,この指摘を入れまして,他の受託者の承認による例外を認めていた部分を削除したというのがこの②のところでございまして,この点は競合行為の禁止の例外の②についても同様に妥当するものと考えております。

また,前回の提案におきましては,利益相反行為の禁止の例外の④につきまして,「受託者が当該行為をすることが合理的に必要と認められ」とのみしておりましたところ,この合理的必要性の判断基準を明らかにすべきであるという指摘が出されましたので,この必要性が信託の目的達成の観点から判断されるべきことを明文で明らかにしているものでございます。
以上の2点のみでございます。
● それでは,この忠実義務,利益取得禁止の問題はまた別途やりたいと思いますけれども,ここまでで御意見お願いいたします。--これはよろしいですか。

皆さんの御意見を踏まえてこういうふうに直したものでございますので,恐らく御異論はないと思いますが。
よろしいですね。それでは,これは御承認いただいたということで,次にまいりましょう。

● では,次,第22の信託事務処理の委託についてというところでございまして,これも前回の提案から,次にあります2点を追加しております。

まず,1の(3)でございますが,前回部会でのご審議ですとか現行法の解釈を踏まえまして,信託行為で信託事務処理の委託が禁止されている場合であっても,信託の目的に照らしてやむを得ない事由があると認められるときは委託することができるということを明記したものでございます。以上が第1点でございます。
それから第2点目は,2の(3)と(4)に関しましてでございますが,受託者が信託行為の定めですとか,受益者の指名に従って信託事務の処理を第三者に委託した場合につきましては,(4)にあるとおりで,デフォルト・ルールとしてではございますが,受託者の監督責任が通常の委託の場合よりも軽減されることを明記したものでございます。
以上でございます。

● それでは,これについて御議論お願いいたします。
どうぞ,○○幹事。

● 1点質問と,それから若干意見なんですけれども,この御提案の中の2の信託事務処理を委託した受託者の責任の,今回新しく提案されているといいますか,下線が引いてある部分等についてなんですけれども,まず,その前にこの(1)と(2)に関する部分についての御質問ですが,この(1)の方で「信託の目的に照らして適切な者に委託しなければならない」というふうにされておって,「信託の目的の達成に必要かつ適切な監督を行わなければならない」というのは(2)で規律されていますけれども,委託の方法の適正について,例えば委託契約を締結するときに,受任者に必要な注意を与えなかったとか,そういった場合というのは,(1)の方の問題になるのか(2)の方の問題になるのか,この点,ちょっと1点質問させていただければと思います。
それからもう1点は意見なんですけれども,この(3)ないし(4)も含めてということになるのかもしれませんけれども,この規律によりますと,信託行為に信託の事務処理を第三者に委託する旨又は委託できる旨の定めがある場合,または受益者がその委託先である第三者を指名した場合には,それだけで受任者に対する監督は行ってもらえないということにどうもなりそうなんですけれども,この点,特に受益者の立場からするとどうなのかなという気がしております。
信託行為に委託に関する定めがあったり,あるいは受益者が第三者を指名した場合でも,委託者や受益者としては,受託者がそう言った場合でも,監督を行ってもらえるというふうに期待するのがむしろ通常ではないかというふうに思われます。
すみれ
「たしかに。」

受益者の目線で言えば,信託の行為に委託の定めがある場合に,受託者に受任者の監督をしてもらえないと。あるいは受益者が指名した場合に受託者に監督してもらえないなどということは,通常,受益者の方は想定していないのではないかというような感じがしております。そうすると,ちょっとこの記述ですと,受益者に酷な結果にならないかということを懸念しております。

さらに,受託者に監督してもらえないということになれば,これは受益者がみずから受任者を監督するという必要が出てくるのかという,そういったこともあろうかと思いますけれども,信託では基本的に受託者が前に出て信託事務処理を行っていくという構造になっているということかと思いますけれども,この場面で突然,受益者が前に出なくてはならないという事態というのは,ちょっと信託の構造との関係でも違和感があるのではないかという感じがしております。

それから,実際上のことですけれども,信託事務処理の委託契約をするのはあくまで受任者と受託者ということになって,受益者は契約関係の当時者としては出てこない。
この委託関係からすると契約外の第三者ということになりますので,受任者が受益者から監督を受けるというようなことは,当然,受任者としても想定していないでしょうし,今回の提案で信託法26条3項を削除するという提案がされていることとの関係でも,受益者が監督するということは事実上,かなり困難なのではないかという気がしております。
そうすると,この規律によると,実際上,監督が行われない委託というものが広範に広がるのではないかというような懸念をしておりまして,この点についてはぜひ慎重に御議論いただけないかというふうに思います。

これは,あるいは選任監督責任ということで,従前甲案,乙案出されていた中で,選任監督責任ということで従来の甲案が選択されて,今回さらにこの新しい提案をされているということになろうかと思いますけれども,従来の議論との関係でもやや従来の案を踏み越えるものであって,若干印象としては唐突な印象を受けています。
あるいは,選任監督責任という責任でも重過ぎるというような類型のものがもしかしたらあるかもしれないという懸念が背景にあるのかもしれませんけれども,もしそういった懸念があるとしても,それは例えば信託行為で,具体的に責任の範囲をきっちり定めるとか,あるいはこの信託行為の解釈や(2)の解釈によって適切な対応を図るというのが,本来あるべき解決の方向なのではないかという気がしております。
以上です。
● どうもありがとうございました。
いかがでしょうか。
● 前段につきましての御質問でございますが,必要な注意を与えなかったというのは,恐らく考え方によって,そのような注意を与えなければならないような人を選んだということ自体をとらえれば,それは選任責任というふうにも考えられるでしょうが,一般的にはしかし,選任した者について必要な注意をするかどうかというのは,その者に対する監督の問題と考えるのがオーソドックスではないかなという気がいたします。

いずれにしても,どちらの責任ととらえるかは解釈問題に最終的にはゆだねられると。ただ,オーソドックスなのは監督責任かなという感じがしております。

それから,後段は確かに難しい問題でございまして,我々としてはあくまでデフォルト・ルールであるということと,それから一応委託者の意思あるいは受益者の意思によって選任された者である以上は,一定限度で受託者の責任は軽減されていいのではないかと。

しかしながら,一般的な善管注意義務というのは,もちろん信託目的達成の観点から負うものと思われますが,ただ,その監督責任という限度につきましては,この(3)の限度で軽減されるのをデフォルト・ルールとしていいのではないかという考えに基づいて記しているところでございます。
この点につきましては,御質問というよりも御意見かというふうに思いますので,皆様の御意見をまた拝聴できればと考えております。
● ○○委員。
● 実質的な部分においては○○幹事と重なってしまうんですけれども,民法との整合性なんですけれども,恐らくというか明らかに複代理の規定と同じことを書かれていると思うんです。

条文の書き方,そうなんですけれども。言うまでもなく,複代理の場合には本人に対して直接の権利義務を負うことになりますけれども,それが復活しないとすると,民法よりも緩い受託者の責任義務ということになってしまうと思うんですが,それはそれで立法論でいいのかもしれませんけれども,今し方,受託者は別途善管注意義務を負っていますという話であったと思うんですが,民法における善管注意義務と,信託法における受託者の善管注意義務の範囲がこの範囲内において変更されて,軽減されてしまうという理解かと思うので,それは何か不適切なような気がいたします。
善管注意義務はそれぞれ状況に応じての議論かと思いますけれども,類型的にこの委託の場合のこの規定によって,監督についてはこちらが適用になるということは,必ずしもそんなことはなくて,善管注意義務の方は善管注意義務で負っているはずだと思いますし,なおかつ複代理というのは,法律行為の代理ということになりますけれども,この場合の委託というのは履行補助者的なものも入るのかもしれませんし,委託の範囲というものがどこまでかという,現行の信託法の議論とも絡むかと思うんですけれども。

 

 

 

 

同じことの繰り返しになってしまうのでそろそろやめますけれども,複代理のパラレルの議論だとしても足りないところがあると思いますし,その足りないところを補う議論は,恐らく善管注意義務があるからという議論だと思うんですけれども,その善管注意義務がこれによって,やはり軽減されているんだという議論は,本来の信託法の善管注意義務にはそんなことは書いていないものですから,法律論としても必ずしも適切ではないのかなと,かように思う次第なんですけれども。
● どうぞ。
● ちょっと確認に過ぎないのかもしれませんが,その(3)とありますのは,モニタリングについて信託行為の定めなり受益者であるこの人に頼んでくださいねというふうに,受託者にお願いされたので,そのモニタリングについては不適任だとか不誠実だとかいうものがあったときについて報告をしない限りは,そこの報告を怠らない限りは監督責任を問われることはないですよという限度で書いているだけであります。

例えば,受託者と委託先との委任契約において,委託先が受託者との関係で何らかの債務不履行があったというようなときに,受託者がその責任を追及しなくていいということでは全然ございませんので,受益者との関係で受託者のモニタリングという観点でとらえていると。監督責任という観点でとらえているだけでありまして,受託者と委託先との間の債務不履行があって,委託先が何か受託者と委託者との間の委任契約について,債務不履行みたいなことをしたというときに,受託者が,ではその損害賠償請求権をそのままほっぽっておいたら,それはいいかというと,それはそんなことはないというのは,当然それは御理解いただいた上でということかどうかですけれども,改めて確認させていただきます。

● ○○委員,どうぞ。
● ちょっと私の方が誤解をしているのかもしれませんが,この規定の読み方なんですけれども,2の(3)で,受託者が,特に「受益者の指名に従い」というのは,受益者がはっきり,例えば○○委員なら○○委員に頼んでくださいよという話なので,今の話,全部適応するんですが,この信託行為の定めに従いというのが,どういう意味なのかというので,これはつまり信託行為で,つまり委託者が○○委員に頼んでくださいよと,こういった場合を差すと考えてよろしいんでしょうか。

つまり,1の(1)で信託行為に信託事務の処理を第三者に委託することができる旨の定めというので,そうすると一般的ですね。ある種の事務については一般的に委託してもいいですよと。それでここの部分についてはいろいろ考えてだれかにという,そういうことは考えていないわけですよね。ただ,この文章,やはりあいまいな感じを受けまして。
だから,信託行為の定めによって,はっきり第三者の名前が特定されているようなケースだけを考えているんだということを確認しておけば,少し議論が整理されるような気がしますが。いやいや,私だけがわかっていなかったのかもしれないんですけれども。

● 確かに文章の点では,そこは明確ではないと思いますので。
○○委員。
● そのことに関してなんですけれども,いわゆる固有名詞まで出して特定するという考え方と,もう1つは,例えば委託先のレベルみたいなものを明確にして,余り言いたくないんですけれども,認可を受けた信託銀行とか,そんなような,例えばある程度安心できるようなことが入っていればそれでいいというような考え方というのはないんでしょうか。

● それはここで,むしろお決めいただくことだと思いますけれども,そういう考え方もあり得るんだと思います。

この文章だけからはちょっとどちらの立場をとっているのかと明確ではないので,ここで御議論していただいて,どういうふうにここで理解するかということをお決めいただくということだと思います。

その点は,さらにまた御意見を伺うとして,先ほどから問題になっているのは,受益者が第三者を指名して,その者に委任しているというときに,受託者の責任というのが,この(2)の責任が外れるということでいいのかどうかということですね。

 

 

 

 

これはちょっと私も気になっている点ではございますけれども,先ほどからいろいろ出ていますように,複代理とはちょっと構造が違っていて,本人の方の権利義務というのは,義務はともかく権利の方が出てこないので,信託の場合には。

したがって,信託の構造上あるいは外部に事務処理を委託する,受益者の指名に従って第三者が信託処理を行うというときに,受益者が直接何か第三者を監督するということは,恐らく出てこない。また,それは必ずしも信託の構造上適当でもない。

 

 

 

 

そういう前提で,受託者の責任はどうあるべきかということを議論した方がいいんだと思います。○○委員が言われましたように,あるいはその中で議論に出てまいりましたが,善管注意義務というのはどう考えるかですね。
私は善管注意義務というものが,とにかく一般的にはかかっているので,それから○○関係官から説明がありましたように,一々モニタリングを必ずしなくてはいけないという義務は,受益者の指名によって第三者が事務処理を行うときには受託者に負わされないけれども,善管注意義務が一般的に及んでいる限りにおいては,いろいろ必要な行為をしなくてはいけないことは出てくるであろうということで,そういう意味で(2)よりは多少軽減されますけれども,善管注意義務の範囲内では責任を受託者は負っているということで,何とか説明はできるんであろうというふうには思います。

しかし,さらに御意見があるかと思いますので,皆さん,いかがでしょうか。
それから,先ほど○○委員と○○委員のところで出てきた,この信託行為で定めるというときに,どの程度の具体性を要求するかという問題ですね。これは何か事務局の方で御意見はありますか。
● 御議論をちょうだいすることかもしれませんが,私どもが原案を作成させていただいたときには,確かに○○委員に書き方は不明確だということを御指摘を受けましたが,委託者がだれそれということを信託行為でという,受益者の指名と同程度のものを書いているつもりで,ここは書かせていただいたつもりでおりました。

● ○○委員,いかがですか。--よろしいですか。
具体性を要求するという。
● 別に特定しなければいけないということであれば,それはそれでいいんだと思うんですけれども,その関係で信託事務の処理を第三者に委託したときの委託契約というものの考え方というのは,どういうふうに考えればよろしいんでしょうか。
その契約内容をどういうふうに決めるか。例えばモニタリングというのは,決めてしまった後のモニタリングをするというようなことなのか,例えば選任して,選任した後,どういような形の,相手先によって委託の契約内容とか,場合によってはそこにモニタリングの内容なんかも盛り込むということもあるかもしれませんので,そこの考え方というのはどういうふうにとらえればよろしいんでしょうか。
● どういうタイプの委託をすべきかという問題ですか。ちょっとごめんなさい,必ずしも御質問の趣旨が十分理解できなかったんですけれども。
● どういうふうな形の委託契約を締結するかというのは,モニタリングというような範疇で考えるんでしょうかということです。
● 私が答えるのは適切ではないかもしれませんけれども,先ほどモニタリングという言葉が出てきたのは,この2の(2)のところの適切な監督を行わなくてはいけないという,この部分ですね。これはモニタリングのようなことをすることを意図していると。これが受益者が第三者を指名した場合には落ちますよと。

一般的な善管注意義務の責任を受託者は負うだけだと,そういう説明だったと思います。
今,○○委員の御質問は,これは受益者が指名した場合とかいうことと関係なく,一般的に……

● いや,受益者が指名したときに……
● そのときにどういう契約をすべきかということですか。
● いや,これがこういうふうにしてくださいというのではないんですけれども,端的な例でいくと,例えば指名してしまったからどうでもいいような委託契約を締結すると,ということはよろしいんでしょうか。すみません,こんな極端な話というのはないんですけれども,わかりやすくしてそうして申し上げると,そういうことでしょうかということ。

● 指名したときの委任契約の中身ですね。どんなものをすべきことが要求されるかということですね。

 

 

 

 

 

● それは恐らくはどういう契約をしてもいいというわけではなくて,あくまで受託者の善管注意義務に基づいてしかるべき内容の契約をするのではないかなという気がいたしますが,そのいかなる契約をするかという問題と,それに基づいてどういう監督をするかというのは,一応理論的には別の問題のような気がいたしますので,ここで受託者が第三者を指名している場合にいかなる契約をするかというのは,直接は受託者が合理的に判断してする契約をすればいいのではないかなという気がしております。

● 影響はあるという考え……
● 第三者を指名している場合です。

 
● 第三者を指名した場合については,第三者を指名するに当たって,当然,契約としてきちっと入れがたいような人もいると思いますので,その場合については当然,軽減されるというふうに考えて……

● どういう契約をするかが軽減されるということですか。それは……
● 相手先を,受託者が選ぶんであれば,きっちりしたような契約を締結することはできますけれども,相手方を選定されてしまうと,当然,選定された相手がうんと言わない限りにおいてはそういう契約は締結できないわけですから。そういう意味合いにおいて,その部分は軽減されるというふうに考えて,そこは別に構わないんですか。

● そこは軽減されたものとするという限度でいいという意味では,軽減されるということでございます。
● どうしても余儀なくされるような場合というのは出てきますので。
● ○○幹事,どうぞ。
● モニタリングあるいは監督と言われる事項と善管注意義務との関係が,今さまざまに問題になっているかと思うのですが,例えば○○委員がおっしゃったような,通常だれを選んでもいいということであれば,もちろん適切な人を選任した上で,契約内容としても,例えば月々のレポートを課すとか,そういうことを入れて監督に必要な事項を約定の債務としても入れてしまうというのが通常であるというようなときに,しかしながら,どこどこ銀行さんをぜひ使ってくださいというときに,そういう場合と全然そういう能力もないけれども,不誠実とか不適任まではいけないけれども,受益者はこの人を望んでいるというようなときには,そもそもそういう契約を入れるのは難しいというときには,それは期待できないと思うんです。

自分たちが適切な人を選んだとしても同じような契約はするでしょうし,できるでしょうというときに月々のレポートですとか,そういうことを入れないということは,やはりそれは監督の問題ではないのかもしれませんが,善管注意義務は尽くしていないという評価になるのではないかと思われます。

 

 

 

 

 

さらにもう1つ,2の(2)の監督が,(3)によって適用しないとされていることの意味ですけれども,(3)のただし書きでは,「不適任又は不誠実であることを知ったときは」ということですから,当初から知っているときもあれば,後になってわかったというときもあるわけで,これはたまたま知るか知らないかというのを座して待てということではきっとなくて,やはり適任であるのかとか誠実にやっているのかとかというのは,これを発見する前提としての何らかの,広い意味での監督的な措置は,それは善管注意義務の内容として当然要求されると,そういう理解ではないかと私自身はこの御提案を理解していたのですが,そのような理解でよろしいかどうかというのを確認させていただきたいと思います。
● いかがですか。
● ○○幹事の御指摘いただいたのと同じことを申し上げているのかどうかなのですけれども,私は今,御見解を拝聴したとおりかなというふうに思いましたけれども,例えば受益者が指名すれば,指名されたんだから,これも個別の判断によると思うんですけれども,受託者としてはどんな委託契約をやってもいいよねとかいうことには,多分,それはならないんだというふうには思います。

 

 

 

 

それで,もちろんこういう契約でこういうフォーマットでやってくれと言われたら,それはもう従わざるを得ないと思うんですけれども,もう指名されたんだからどんなフォーマットでもやっていいということではなくて,それはもう一定の善管注意義務の範囲内で,委託先との関係の契約をきちんとつくっていくという義務は,それはかかっていると思いますし,そのときに向こうの指名された方が嫌だと,そんなきちんとしたものは嫌だというふうに言ったら,やはりそのときは,ものによりますけれども,受託者としては指名されたと言われたけれども,これをあなたに指名されたからといってこういう契約を締結してしまうと,どうせあなたは私に責任追及してくるんでしょう,したがって,これには応じられませんというふうに言わなくてはいけないことになるというような位置づけなのではないかというふうに思います。

 

 

 

 

 

それから,不適任,不誠実であることを知ったときはというふうに書いてあったから,通常の契約形態から要求されるような管理,監督なりがこれで免除されるということでは,それはなくて,善管注意義務の範囲内で,それはその委託先のところを見ていかなければいけないというのは,それはある。
これによって常に何もしなくてもいいということを書いたというわけではないのかなというふうに思いますので,御見解のとおりではないんでしょうかと申し上げて,違っていたらあれですけれども,そんなふうに私は理解させていただきました。

● ○○委員。
● この部会,余り出席できていないものですから抜けているかと思いますけれども,○○幹事がおっしゃったことも○○関係官がおっしゃったこともそのとおりだと思うんですけれども,私の理解では,2の(1),(2),(3)というのは何を決めているのかというと,今の善管注意義務の範囲内でどうこうというお話がありましたけれども,善管注意義務そのものの一部を具体化したルールということではないかと思います。
といいますのは,もしこれが信託でなくて,先ほど複代理というお話がありました,委任が2つあれば,AさんがBさんに委任し,BさんがCさんにさらに委任するかどうかというのは,Bさんの善管注意義務の範囲内というか,まさに中身で決める話なわけですよね。

それはどこまで何をするか,あるいは今,ここであるモニタリングだとか監督をどうするんですかという話は,当然,すなわちBの善管注意義務で決まるし,AB間の契約で具体的に規定をすれば,それに従って決まっていくわけです。

ですから,信託の場合,もともと自己執行義務というふうに言うのが何かというと,委託は禁止ですというのが原則ですというところから出発しているものですから,そこについている労務を受けなければいけないということだと思うんですけれども,今,ここにあるのは委託はしてよろしいというところから出発しているわけですから,もし何も規定がなければ委託をするかどうかした場合に,どういう義務を負うかはまさに善管注意義務のもとで,それはそれで判断されるべきものです。

 

 

 

 

 

ですから,時間をとって恐縮ですけれども,何かこれらは別に善管注意義務があって,その善管注意義務というのは大きな制約があって,その範囲内でここに書いていないものは,あるいはこれを具体的にここに書いてある義務を履行していく上には,さらに善管注意義務がかかりますというよりは,善管注意義務の内容を一部具体化してここに書いているんですということだと思いますので,さらにそれを信託契約で具体化していけば,そちらの方になるんでしょうし,その結果,先ほど○○委員がおっしゃった,例えば委託先との契約をどうするんですかということは,それは信託契約で何か書いてある場合にはその趣旨から明らかになっていけばいいでしょうし,なっていかなければ善管注意義務のもとで判断されることであるしということであって,決して外に善管注意義務があるというか,言い方の問題かもしれませんけれども,そもそもこの規定は,善管注意義務の一部というんでしょうか,を具体化した規定だということかと思うんですけれども。

ちょっと余計なことに時間をとってすみません。
● おっしゃるとおりですね。善管注意義務,今まで自己執行義務という言葉を使って信託の話,提案してきましたけれども,それも善管注意義務の問題とも関連があり,ただ善管注意義務だけで議論していても具体的なルールの中身が明らかになりませんので,それをここでは具体化したものであると。

 

 

 

ただ,細かいところで言えば,先ほど来問題となっておりますように,受託者が第三者に委任する場合と,自分のイニシアチブで委任するような場合と,受益者が指名した場合とで,その善管注意義務の具体化ではありますけれども,どういう監督の責任,あるいはその有無も含めてですけれども,そういう責任が受託者にはあるのかというところがまさに争点になっていて,このルールですと,(2)のように具体化されたものが(3)のときには,一応外れると。

 

 

外れるけれども,大もとの善管注意義務の問題であるというふうに理解するとすると,単純にただゼロになるわけではなくて,やはり善管注意義務という範囲内で何らかの責任は生じます。先ほど○○委員が言われたり,○○幹事が言われたりしたようなことが,結局中身としては残るんであろうというふうに思います。理論的な整理としては○○委員の言われたとおりだろうということだと思います。

ほかに,先ほど手を挙げられた……○○委員,どうぞ。

● 基本的な質問なんですけれども,受託者が信託行為の定めで第三者に委託したという場合の,この信託行為の定めということの理解なんですが,信託の設定,ただ,契約で信託が設定される場合のように,受託者もかかわって第三者に委託する第三者が決められたというような場合は含まないという,そういう大前提でよろしいですか。

要するに,一方的に委託者が決めた場合,あるいは受益者が指名した場合に限定されると,そういう条文ですか。

● そうではないのではないかと思うけれども,どうですか。

 
● 契約による場合も含まれると考えますが。
● 契約による場合というと,受託者の意向で第三者が選ばれている場合も幾らでもあることになりますよね。そういう場合に,監督義務をとってしまうという発想がちょっとよくわからないんですが。

● 信託行為,契約で信託を設定した場合であれば,委託者と受託者の意向がそこには反映していて,第三者に事務を処理するときに受託者の意向もそこには反映しているという場合ですね。
● それは幾らでもあります。
● それもあると思います。
ただしここでの,恐らく原案の考え方は,そういう場合であっても信託行為ですから,受託者だけで決めているわけではなくて,委託者もある程度具体化した第三者を想定してこれでいいといって第三者を選んでいる場合なので,そこで受託者だけが自由に選ぶとかいう場合とは少し違ったルールにしようと。
ですから,一方の極には受託者の方だけでもって第三者を選べる場合があって,これについてはここに書いてあるように,(1),(2)のルールがそのまま全面的に適用されるわけですね。しかし,それ以外の,以外のといいますか,受益者が指名したり信託行為でもって定められた場合には(2)のルールを少し変えようと。今の○○委員は,少しその中間があるのではないかという,そういうことになるんでしょうか。それとも……
● 今の場合が一番納得のいかないケースで,そうでない場合でも,デフォルト・ルールとして監督を一律にこういう場合とってしまうのがいいのかどうかということについては,むしろそれはとらない方がいいのではないかという意見です。

● ○○委員。

 

 

 
● 今の御意見で,私も問題点が一層,私の中では明らかになりましたけれども,やはりこれは,普通に読めば,委託者とか受益者がはっきりこの人に頼みなさいよという話ですよね。そう言われても仕方がなくそうやっていたのに何で我々がという,こういう感じはやはりわかるんですね。そういう場合には善管注意義務ですけれども,結局○○委員がおっしゃるように。善管注意義務が一定の程度軽減されていいでしょうという趣旨をどうやってあらわすかということだと思いますので,それがやはり言葉の上で,ワーディングがなかなか難しいので,それがなかなか伝わらないんだろうと私は思うんです。
だから,今言ったような趣旨だけで言えば,本当に信託行為の定めではなくて,委託者または受益者の指名に従いと,はっきりそういうふうに言ってくれた方が非常に明快になって,そういう場合は少し善管注意義務を軽減していいでしょうと。

善管注意義務を軽減するという言い方が,実際ワーディングがきっと難しくてこんなような,こんなようなという言い方は別に蔑称ではないんですけれども,こういう工夫された言い方にしかならないのかもしれないという印象を受けましたけれども。

だから,ちょっと○○委員の御意見にフリーライズすれば,いっそ信託行為の定めではなくて,今のような趣旨から言えば委託者とはっきり書いておいた方が非常に筋道がわかりやすいのかもしれません。

 

 

 

● いかがでしょうか。
○○委員。
● この点ですけれども,これは実務の観点から言いますと,やはり実際の信託契約の量的なことを考えますと,信託契約によって信託が成立することが多くて,かつその中に信託契約の一部として指名がされると。それを指名というのか,それとも信託行為によるのかということにもよると思うんですけれども,ただ,そこの実務的には判別が難しいものですから,やはり実務的な観点からすると信託行為の定めというのは残しておいた方がいいのではないのかと思います。

その中で,仮に,もちろん交渉におけるバランスの問題,例えば実質上指名に近い,これでなければ飲めないというような形で受託者が飲んだ場合なのか,それとも受託者もある程度納得して,ある程度もちろん責任をとるという形で,そういう認識のもと信託契約を結んだのかということによって,内容によっては,それは具体的にはデフォルトローですので,責任分担について信託行為で定めておくという整理でよろしいのではないでしょうか。

● ○○委員。

 
● 今,○○委員から御発言ありましたけれども,同じようなとこで,まさに実務的に落としますと,受益者の指名って,最終的にどうあらわすかというと,信託契約に書くということでしかあらわせられないのかなと。また,別の悪い受託者からすると,だれそれさんを指名しますというようなものを何か書面でもらうとか,何かそんなような話になりますので,ここでいう信託契約に入れる定めというのは,基本的にはやはり受託者と委託者とがいろいろと話し合いをして承知した上で契約を締結すると。その中に入れるということを前提にしているはずですので,そういう観点からいきますと,信託契約の定めによってこの規定が適用されるというのは妥当ではないかなというふうに考えております。

 

 

 

 

● ○○委員あるいは○○委員の御意見と,実質はそんなに違わないんだと思いますけれども,委託者の意向が反映していて,ただどういう形で反映するかというと,やはり信託行為の中で書かれるということになるので,ここで「受託者が信託行為の定め」でという,この文言を今の2つの意見の間で,そんなに結局違った意味には理解していないと思います。

○○委員の御懸念があるとすれば,ここで言う信託行為の定めということの意味を少し,先ほどのように明確にして,説明のところで懸念がないように,ここでの考え方というものを明らかにしておくということで対応することが1つ考えられる。
どうぞ。
● もともとは○○委員がおっしゃられましたけれども,自己執行義務というのがあって,それがある以上は他の者を使ってはいけないという前提から出発していたのを,今回はそれを改めるということであって,もともとはおよそ使ってはいけないというところが第三者を使ってもよいと。ただし,使うときには,本来だったらすべてについて受託者が善管注意義務をすべての事務について負うところが,その第三者の選任監督を適切に行うという義務に,いわば限定されるということにしたということですね。それは第三者を使っていいんだから,受託者が全面的に義務を負うのではなくて,第三者を使っていい,その第三者を適切に専任,監督するという義務を負うと。これは説明が可能だろうと思うんですね。

 

 

 

 

ところが,今,問題となっていますように,信託行為に第三者を使ってよいというだけではなくて,特定の第三者を使うということが定められているというときに,その第三者を使うということはもう決まっているわけですから,そのものを選任するということは当然だろうと思うんですけれども,この信託行為に特定の第三者が書いてあるというだけで,なぜ監督をする義務というものまで免責されるか,免れるのかという理由が,やはり必要ではないんでしょうか。
信託行為に第三者を使うというだけで,なぜ受託者が監督しなくてもよくなるのか。これはちょっと飛躍があるように,私は思うんです。

○○委員がおっしゃいますように,本人が指名したんだと。信託で言いますと委託者あるいは受益者が指名したんだからというのは,1つの理由になるかなと。
そして,民法の105条2項というのも,まさにそういう書きぶりになっている。それならまだわかるんですけれども,信託行為に書いてあるというだけではちょっと正当化できないのではないかと,私は思うんですが,いかがでしょうか。

● ○○委員の御意見の趣旨も,受益者が指名したのと同じように信託行為において委託者の意向によって定められたという場合,そういうふうに限定すれば,受益者の指名の場合と同じように理解することはできるということで,そこまでは全く同じなんですが,そういう意味で信託行為の定めというのは,少し表現として広いのかもしれないので,少し案としては受益者の指名と同じようになるように,表現を少し検討してみるということでいかがでしょうか。そうすれば一応,理論的には説明は。--よろしいですか。
○○委員,どうぞ。
● それは望ましいことだと思うんですけれども,冒頭の発言を繰り返すようになっても恐縮なんですが,流れがちょっと違ってきてしまったんで申し上げるんですけれども,もともと自己執行義務からこういう規定に変わったというのは,私の理解では,監督責任に変わったというのは,この監督責任も信託の目的に沿った非常に高度な監督責任であると。

 

 

 

 

番人
「受託者が誰かによって少し変わってくるような気がする」

 

 

 

 

それに関しては,指名されたときにはその信託法に基づいた高度な監督責任というものは負わなくてもいいですよというに過ぎないんであって,また,そこまでを規定しているんであって,一切,またほとんど監督責任がなくなったのではなくて,善管注意義務の範囲内における通常の受任者としての監督責任,監督責任というと,また語弊があるかもしれませんけれども,善管注意義務を負っているという理解で,初めて整合性がとれるのかなと。
ですから,○○委員がおっしゃったように,これは確かに具体化しているんですけれども,では,これによって免責されたらもう何も残らないのかというと,冒頭,○○委員も善管注意義務は広く負っているはずですという話だったと思うので,指名して高度な監督責任はなくなりましたと。ただし,一般の善良な管理者としての注意義務というものは,そういう場合でも負っていますと。
ですから,何も知らなければ一番安全なんだというような立場での行動というのは,まさしく善良な管理者としての注意義務には反していると思いますから,その面における注意義務はまだ負っているんだという理解がいいのではないかと,私は思うんですけれども,いかがでしょうか。

● 私はそういうふうには理解していたんですけれども,少し皆さんの間で温度差があるのかもしれません。
今の御意見について,○○幹事,どうぞ。
● 今の件に関連いたしまして,1点,御発言させていただき,もう1点,ちょっと戻って恐縮なのですが,第22の1の(3)について御質問させていただければと思います。
この規律が善管注意義務の具体化だと,2の(3)でございますけれども,だといたしますと,私も多くの先生方,実務の方々が指摘されたような問題意識,すなわち当該第三者が不適任または不誠実であることを知ったときだけこういった通知義務ですとか,解除をしなければいけない義務が生ずるというのでは,やはり狭いのではないかと。
もし善管注意義務の具体化であるとしたら,少なくとも第三者が不適任または不誠実であることを知るべきであったような場合も,これは当然含まれてしかるべきではないかという気がいたしますので,そういう意味ではこの(3)の,広い意味での緩和された形での監督責任というのがどこまであるのかという点については,もう少し議論する必要があるのではないかと思います。
それから,戻って恐縮ですが,第22の1の(3)について,1点御質問させていただきます。
この信託行為で委託を禁止するという場合に,やむを得ない事由があれば条項を破っていいということなのですが,他方で今回の信託法改正の議論の中では,信託の変更について非常に細かい,充実した規律を置いておると思います。信託の目的に反しないで,かつ受益者の利益に適合することが明らかなときは,書面や電子的記録による意思表示で信託契約自身を変更できますし,この裁判所に信託の変更を申立てるということもできると。

 

 

 

このように,信託の変更の規律が充実しているのにもかかわらず,それによらずに1の(3)に基づいて,条項に反して委託をするのがやむを得ない場合であるというのは,一体どのような場合なのかについて,教えていただければと存じます。
● 第1点は,この(3)の書き方をどうするかという問題で,実質の部分は相当皆さん合意ができていると思いますので,これはちょっと申しわけない。そういうことでお答えはこれ以上いたしませんが,第2点についてはいかがでしょうか,○○関係官。

● その信託の変更のところに,確かに詳細な規律を設けたことは,まさしく○○幹事の今,御指摘になられたとおりかと思いますが,ただ,常に受益者の利益に適合することが明らかであると,常にあそこの要件にあたると言えるかどうかというところについて,常にやむを得ないときには委託することがあたるのかどうかということまで考えますと,必ずしもその変更だけで対処できるかどうかという限界事例はあるのかなと思いまして,それでこのような規定を,実質は同じことが起きるわけですから,設けさせていただいているということではないかというふうに思います。

 

 

 

 

 

● もしその変更では不都合であるという場合があるといたしましたら,少なくとも,このやむを得ない理由があると認めて,その条項に反して第三者に委託したときには,それを通知する義務ぐらいは認めてもいいような気もするのですが,それは必要ないでしょうか。
● すみません,御質問を私だけ理解していなくて恐縮なんですが,条項に反してという意味は,受益者の利益に適合するか明らかでないにもかかわらず,信託の変更ができないのに変更していると同じようなことをやっているという,そういうことではない……。すみません,条項に反してという意味は,単に委託したということですか。
● 第三者に委託してはならないと書いてあるのに委託したときには,少なくとも受益者に対し通知する必要はないのでしょうか。
● 受託者の受益者に対する説明義務とか,あるいは通常の善管注意義務とかいう中から,その解釈上というか,その規定の解釈としてそういうときに,当然通知しなければいけないという義務があると言えばあるような気はいたしますが,明確に規定を設けた方がいいかどうか。

● ちょっとこれは検討させてもらいましょう。
○○幹事のようなお考え方も十分成り立ち得ると思いますので,ちょっと検討させてください。
○○委員。
● 1の(3)のところなんですけれども,言わずもがなかもしれませんけれども,してはならないと書いてあったのに,やむを得ない事由があったら委託することが認められるということですけれども,何となくこの方向性からいくと,何か委託義務があるような感じもしてくるんですけれども。

こういうふうに第三者に委託してはならないというふうに書いていない場合については,例えばそういうような必要性が出たときには,やむを得ない事情が出たときには委託しないといけないというような感じを受けるんですけれども,そういう義務はないと私は思っているんですけれども,その辺のちょっと確認だけさせていただきたいと思います。
● なかなか難しい問題だな。
● すみません,禅問答のような答えになるかもしれませんけれども,1の(3)は委託してはならない旨の定めがある場合においてのことを規定していますので,今,○○委員のおっしゃられたのは,そういう定めがあるわけではなくて……

 

 

 

 

● そういう定めがあるにもかかわらず,やむを得ない事情があると認められるときには委託できるという規定になっていますので,それであるとすれば,委託してはならない旨の規定がないような状況であったら,やむを得ないような事情があったときには委託しなければならない義務があるように,何となく感じてしまうんですということなんですが。

● 信託行為にそういうふうに委託してはならない旨の定めがないというときに,信託の目的に照らして適切な者に委託しなければならないわけですから…
…。

すみません。どういう状況を見ているか誤解があったら申しわけございませんが,信託契約の趣旨が,例えばこれはあなたが一種の見立てがうまい人なので預けると。しかし,まさか君が全部やるのではないよねというような信託契約であれば,それはいわば目利きとしての受託者として注目されて,あなたが統括的にやるからあなたに頼んで,目利きだからね,あなたはと。

だけど,あなたはこういうことをできる人をたくさん知っているけれども,まさかあなた自身ができるわけではないよねというときに,それはその受託者が自分で,いや,おれができると言ってやったら,それは委託しなければいけないという基本的な,そういうものの1つのありようの延長として考えると,委託してはいけない旨がないときに委託しなかったということであれば,それは場合によっては善管注意義務違反を問われても,それは仕方がないのではないかなというような気がちょっといたします。
● この規定は,私の理解では,いずれにせよ第三者に委託することができるという場合はどういう場合かということを規定したもので,委託しなくてはいけない場合がどういう場合かということについては,直接は規定していない。これは受託者の,まさに一般的な善管注意義務の問題として判断すればいいことだろうというふうに思います。

 

 

 

そういう意味で,(1),(2)と来て(3)と来て,ですから(3)のところは,委託してはならないという旨の規定があるけれども,しかし,こういう特殊なやむを得ない事情がある場合には委託することができますよということを,その限りで述べたもので,その裏から逆にやむを得ない事情の場合には,かつ委託してはならないという定めがないような場合には委託しなくてはいけない義務が出てくるかどうかということまでは,ここからは直接読まない方がいいのではないかというふうに思います。
しかし,具体的な実務の場面においてはどうしたらいいだろうと迷うことがあるということは,よくわかります。
大分御議論いただきましたけれども,先ほど幾つか留保した点を……。

どうぞ,○○幹事。
● 2の(4)に関しまして,これも1点確認を。
先ほど,(3)につきまして受益者の指名,それから委託者の指名の方向でというお話があったかと思うんですけれども,最初,○○幹事の問題提起のところでも言及がありましたが,例えば受益者の指名による場合で,これもしばしば,やはり特定の人を指名しているけれども,監督はよろしくお願いしたいということは,十分あり得るところだと思うのです。

 

 

 

 

そうしましたときに,その趣旨を,このデフォルトですと,(4)で読み込むということになると思うんですが,信託行為の定めでいいのかというのが気になっておりまして,つまり,委託者が指名するときには,結局は信託行為に結実させるのでということだと思うんですが,受益者の指名というのがどういう形で導かれるのか次第で,そもそも枠組みが信託行為で決まっている場合にしか,そういう指名というのはあり得ないのだというふうに考えるとするとそれだけなんですけれども,むしろ指名の趣旨ではないのかという気がするものですから,ちょっとそこが。

● そこは広く入れるように文言を考えた方がいいかと思います。

 

 

 

 

 

● 2点ぐらいなんですけれども,議論をお聞きしていて方向性自体はあるのかもしれませんけれども,1つは,言葉として出てきたモニタリングという言葉が出てきましたが,モニタリングを全く外してしまうというのは,やはり信託が継続的な契約関係であることからすると,ちょっとまずいのではないかという気がしております。
これは,先ほどの議論からすると,(3)のこの表現の問題なのかもしれませんけれども,そこは何とか拾えるように御検討をお願いできないかということと,それから,これは全体の方向性とはちょっと違う意見なのかもしれませんけれども,もし信託行為に書くという方向なのであれば,むしろ具体的な指名と,さらに責任についても信託行為に書くというふうにすれば,もう少し当事者の合理的な意思といいますか,そういったものに合致してくるのではないかという気がしております。

以上です。
● 第1点の方の趣旨は必ずしも十分理解できませんでしたが,先ほどから問題となっているモニタリングというのは,仮に善管注意義務の具体化であるにせよ,やはり他人を使ってという,当然に出てくるものではなくて,やはりある種の高度な義務であるということが前提になっているんだろうと思うんですね。それを……
● そうすると言葉の使い方がちょっと適切ではなかったかもしれませんけれども,継続的に信託を見るといいますか,監督義務なりモニタリングという言葉をどこまで拾うかということの問題かもしれませんけれども,やはり継続的に見ていくという義務があるんだということは,何らかの形で表現していただけると助かるなというふうに。

● 受託者には他人を使っているときには,どんな場合であれ一定のモニタリングというのは強いかもしれませんけれども,一定の注意をしている義務はあるんだと,そういうことですね。
● そうですね。ですから,○○幹事の,先ほどのあれともちょっと重なるかもしれませんけれども,ただし書きだとやはりちょっと軽過ぎるという気がしておりまして,ちょっとその辺のバランスといいますか,善管注意義務の内容が適切に表現できればというふうに思っております。
● ○○幹事。
● 2の(3)の「信託行為の定め」という文言が先ほど問題となって,委託者の指名という方向にという意見もあったかと思うんですが,それは確かに信託の契約というものを締結したときに,受託者の意向で入れるという場合もあるだろう,それはそのとおりなんですが,そういうことを言い出しますと,さまざまな条文における信託行為の定めというものの全部の正当性が疑われてくるということになりまして,ここだけ委託者の指名というふうにしていいのかというのが,私はかなり疑問なような気がします。
先ほど,○○幹事の方から民法105条2項という話で,本人の指名というのがあるではないかという話が出たんですが,これは○○幹事に言うのは釈迦に説法なんですが,民法自体は代理と委任を分けたところに規定しておりますので,105条のところに委任契約とは書けないという仕組みになっているんだと思うんですね。
では,代理権を授与する委任契約において,複代理人の選任についての定めがあった場合に,では105条2項は適用されないのかというと,それは委任契約によって本人による指名がなされているんだということになって,その105条2項が適用されるのではないかというふうに私は思うわけでありまして,ここだけ私は委託者の指名というふうに直すのはおかしいのではないかと思います。

● 私,先ほど申し上げたのは,これを委託者の指名という言葉に,そういう書き方をするかどうかは,それも選択肢の1つでありますけれども,受益者が指名したのと同じような意味で委託者の意向によって定まっているというような場合をここでは考えているということをうまく表現したいということで,表現として信託行というのを当然に落とすかどうかは,もうちょっと検討させていただきたいというふうに考えています。

 

 

 

 

 

● そうしますと,ほかのところも全部そうではないんでしょうか。善管注意義務を軽減するとかいろいろありますけれども,やはり委託者が軽減してよいというふうに考えたということが前提になって,今まで正当性がいろいろなところで認められてきたのではないかというふうに思うのですが,ここだけそういうふうなニュアンスを入れるということはアンバランスなのではないかという気がするのですが。

● 確かにそういうところはありますね。
信託行為というのは委託者が合意しているという,先ほど私はそういう説明をしたんですけれども,委託者がやはり合意があるので受託者との間の附帯でもって合意した,あるいはつくった信託行為であっても,委託者の意見が反映しているという限りにおいては,受託者にただ引きずられてそういう行為をしているものではないというふうに考えるというものが恐らく信託行為だと思いますので,一般論としてはいろいろなところでもって例外規定を設けるときに,委託者の意向が反映しているからこそ,信託行為に反映されているからこそ,いろいろな例外ができるわけですよね。それは○○幹事のおっしゃるとおりであります。
ですから,そういうことも考慮しながら,しかしここで受益者の指名と並べておりますので,それと同じような意味に信託行為の意味を,信託行為の意味と言いますか,受益者の指名と同じような意味での委託者の意向が反映している第三者の指定というのがうまく表現できるかどうかを検討したいということを先ほどは申し上げたつもりでありまして,○○幹事の言われたことも含めて検討したいと思っています。
もう1点,何かございましたか。
● いえ。
● よろしいですか。
では,○○幹事。
● 今まで言うつもりは余りなかったんですけれども,仮に信託行為の定めのみになってしまいますと,やはりデフォルトとしては監督の義務はあるということにならざるを得なくて,むしろ監督の義務も免れるというような特約が本当に必要であれば必要になってくるという構造にならざるを得ないだろうと思います。ですので,その点を視野に入れながら文言等の工夫をお願いできればということを,ちょっと補足させていただきます。
それともう1点は,もう一度恐らくおかけになるのかなとは思うんですけれども,そのときまでにお考えいただければということなんですが,第1の(1),(2),(3)で,以前に私,何度か質問させていただいたときには,(1),(2)に相当する部分というのは,証明責任は受託者の側が負うというふうにお答えいただいていたかと思います。

(3)というのがちょっと難しい位置づけになるのかなという気がしないでもありませんので,ちょっとその点をお考えいただいた上で,次回のときにでも御説明をいただければと思います。

委託をしてはならない旨の定めがあるということの証明責任というのは,ちょっとよくわからないところがありまして,やむを得ない事由があるんだよということは受託者の側が言うというのはわかるんですけれども,こういう定めがある,ないというのはどういう位置づけになるんだろうというのは,私,ちょっとすっきり理解できないところがありますので,次回でもよろしいですので,お教えいただければと思います。
以上です。
● どうもありがとうございました。
それでは,今までの御注意をいただき,文言調をいろいろ検討したいと思います。
それでは,次にいきましょうか。

● では,受託者が複数の信託に関する規律についてというところでございまして,今回は前回部会で検討事項としていたもの,つまり職務分掌型の共同受託における職務分掌者による訴訟の追行と,強制執行のあり方についてさらに検討を加えた上での結論を示すものでございます。
まず,訴訟追行につきましては,職務分掌者は分掌された職務に関して実体法上の管理処分権を専属的に有するということになりますので,信託財産に関する訴えにつきましては,当該職務に関しては,この職務分掌者のみが他の受託者のために原告または被告として訴訟を追行することになるという明文の規定を置くということ。つまり,法定訴訟担当の構成をとることとするものでございます。
次に,このように考える以上は,職務分掌者が原告または被告として判決を得た場合の判決の効力につきましては,被担当者である他の受託者に対しても及ぶことになるところでございますが,この判決に基づく信託財産に対する執行方法につきましては,※の2に書いてありますとおり,組合の考え方を参考にしてはどうかと考えるものでございます。

つまり,組合の場合におきましては,業務執行組合員をもって被執行担当と認めまして,勝訴債権者は単純執行文の付与を受けて業務執行組合員を執行債務者として組合財産に強制執行ができるという見解が有力でございますので,この見解に従いまして,共同受託の場合におきましても,当該職務分掌者をもって執行担当ないし被執行担当と認めまして,単純執行文の付与を受けて信託財産等の関係で強制執行ができると考えるものでございます。

これを,従来より問題となっております資料中の事例2の場合に当てはめてみますと,信託債権者は職務分掌者を被告とする債務名義について,単純執行文の付与を受けて職務分掌者を執行債務者として信託財産に対する強制執行ができることになります。

ただし,※の4に記載してございますけれども,例外的に,例えば当該信託財産が合有に係る信託不動産である場合には,執行手続の要請上,当該職務分掌者に関する単純執行文のほかに,他の共同受託者に関する承継執行分の付与をも受けた上で,これらを合わせて合有不動産に対する強制執行をしていくことになると考えられます。

以上をまとめますと,信託財産に対する強制執行につきましても,債務名義としては職務分掌者に対するもののみを取得すれば足りまして,あとは執行文付与手続の問題として処理するとの考えに至ったわけでございます。
ただし,このような強制執行上の取り扱いにつきましては,明文のない組合の場合にも共通する問題であることにもかんがみまして,※の4に記載しましたとおり,民事執行法の解釈にゆだねることとして,明文の規定までは置かないこととしてはどうかと考えるわけでございます。
以上でございます。
● この点についていかがでございましょうか。
これは今までの御議論でもって多数意見だったと思われるものを取り入れたものでございますので。
どうぞ,○○幹事。

● 2点申し上げますけれども,まず第1点は,注の4にございますところを含めて,全体として訴訟担当の旨の明文を置く以外は解釈論にゆだねるというのは,ここはもうしようがないのではないかと。ここだけ細かく書くというのも,全体とのバランスがございますので,明文の規定を設けるのは訴訟担当者の部分だけでいいんだろうと思います。以上が第1点です。

第2点は,注の3,4あたりのところですけれども,債務名義に表現された被告と,それから登記がずれている場合には結局こういうことになるんだと,資料にあるとおりになるんだろうと思います。

特に注の3の末尾にありますとおり,簡易な手続,承継執行文を出せない場合も多々あるでしょうから,執行文付与の訴えによらざるを得ないと。手続的には非常に重たくなるわけですけれども,これも仕方がないのかなと。事例の2で申しますと,Bを被告とする債務名義の主文で,例えば信託財産を持ってというようなことは主文で必ず書けという解釈論が定着すればまた別なんでしょうけれども,それは大分距離があるような気がしますので,執行文付与の部分が訴えになって重たいのは気にはなるところなんですけれども,そう簡単には乗り越えられないという感じもしますので,こうならざるを得ないのではないかと思います。
以上です。

● どうもありがとうございました。
ほかに御意見いかがでしょうか。--よろしゅうございますか,○○幹事からもほかには難しいだろうという御意見もいただきましたので。

それでは,これは御承認いただいたということにしたいと思います。
それでは,次もいきましょう。

● では次に,第65の営業信託の商行為性という問題に移らせていただきます。
以前の部会におきまして,信託業法における業の概念と,信託法における営業の概念とが同じ内容のものと解されているとの理解を前提といたしまして,一定の行為が信託業法の規制対象となることを回避するためには,信託法における営業の概念を見直してはどうかという点が出されたところでございます。

ただ,信託業法における業の概念と,信託法を含む私法における営業の概念とは,論理的には,あくまでも別個のものであると言わざるを得ませんで,信託法における営業的商行為の概念については,より一般的な商法502条の解釈との整合性も考慮せざるを得ないところでございます。指摘にかかる問題意識は,やはり信託業法の議論において検討されるべき問題であると言わざるを得ないと思われるわけでございます。
したがいまして,営業信託に関する信託法上の規律としては,現行法の考え方を維持する規定を設けることが相当と,やはり結論したわけでございます。
なお,現行法6条につきましては,営業的商行為として商法502条に1号を付加したのと同義と解すべきであると説明されておりまして,今回の改正を期に,この規定については,商法502条の方に編入することを考えていることを付言させていただきます。
以上でございます。

● いかがでしょうか。
○○委員。
● この点は私の方から何度か発言した点で,結論としては当然なのかもしれません。

1点だけ,しつこいですけれども申し上げたいんですけれども,商法502条そのものの営業概念に,プロフェッショナルの場合,私どもですと弁護士,医者,あと商法の方では,例えば画家とか,画家が継続反復して費用,報酬をもらったとしても,それは商行為には該当しないと。ただ,502条からは読み取れない,また営業の通説である収支相償うことということからも読み取れないという,解釈論と一般的常識としての法律的な理解と言葉が一致していないという状況が商法施行以来,今日まで継続しているわけですけれども,これは商行為法が将来改正になったときに改められるべきものという理解で,今のままとどまるということだと思うんですが,ただ,残念なことに,論理的に説明できないけれども,常識として一般的に理解されているところのプロフェッショナルが商行為に該当しないということが,繰り返しになりますけれども,信託業法の方にも影響してしまっていると。
ですから,信託業法の議論をするわけではないんですが,502条のこの営業概念を,この場でも例外的な場合について,一言述べるということは決して現行の何か新しいことをつくり出すとか,商法の502条に相反することをするとか,また商法学者が今まで議論してきたことと違ったことを言うわけでは,必ずしもないと思うんですけれども,その辺も,やはり商法,プロパーの問題があって困難であるという理解なんでしょうか。というか,そういう理解だと思うんですけれども。

ちょっとしつこいようですが,特に理屈で説明できない例外が今日存在していると。学者の本を読んでも理屈では書いていなくて,それは常識ですというふうにしか書いていない。そこのところが,結局大きな問題になってしまっていると思うんですが。

● 御趣旨はよくわかりました。いかがでしょうか。
ほかの皆さんの方で御意見があれば。
○○委員の積極的な御提案としてはどういうことになる……

● 現在の通説でもプロフェッショナル,一般的には画家,医師,弁護士とか書いてありますけれども,そういうプロフェッショナルについてはこの営業概念に該当しませんというのが商法の通説でもあると思うので,そこについて,従前の主張となってしまうんですけれども,決して新しいものをつくり出してほしいとか,信託業法との関連で何かを議論してほしい,そういう趣旨でも今まで発言していましたけれども,ここの今の場での議論としては,この商行為に弁護士が反復継続して何かをしたとしても,信託における商行為には該当しないというような規律を設けることは,決して現代化という意味においては通説を条文化しただけですから,特に問題ないのではないかという趣旨なんですけれども。

● いかがでしょうか。--商法系の先生方,何か御意見ございますか。
○○委員。
● ぜひ一言だけ。
○○委員のおっしゃっていることの実質はよくわかるんですけれども,結局,501条,502条の問題なんですね。これをどうするかと,501条なんかはもう昔から廃止せよという意見が多いわけですけれども,ですから,501条,502条をそのままにしておいて,今,502条の方へ入れようということなんですが,この場合だけ,今おっしゃった実質の方で書くとなると,502条も全部,この際変えるかという。そうすると,ついでに501条も変えますかということになると思うんですよね。

ですから,そこはむしろ抽象的な言い方をすれば,法務省の中での計画の中の話で,いつ501条と502条の見直しをするかという話で,今,501条,502条に手をつけないのであれば,502条に追加するというのは法律的に言えば原案ですけれども,自然な姿で,ですから,あとおっしゃっていることというのは,今までのような解釈でやるということですし,ということではないかというふうに思います。

● ほかの皆さん,いかがでしょうか。
なかなか502条そのものの問題であるということなど,なかなか信託法の,この規定をそもそも信託法に入れるかどうかも1つ問題ですけれども,ここで条文の形で明確にはなかなか書きにくいという事情が若干あって,あるいは1つ考えられるのは,今,○○委員が言われたようなのは一般的な解釈であれば,ちょっとその商法の方でどう考えているか,私よく知りませんけれども,それをここで繰り返して説明するまでの必要もないのかもしれませんけれども,説明の中でそういうことを確認するということは,あるいは可能なのかもしれませんね。

● 営業については収支相償うこと,ただし,プロフェッショナルは常識として別ですよと。常識というのは一般的常識になるんですけれども,ただ,理屈ではないので,そこは商法の先生方,どういうふうに理屈的に説明されているのか,その辺だけちょっと教えていただけると,我々としても今後議論するときに,我々は別ですと言ってもなぜですかというところで答えられる。

あの本にはそう書いてありますというだけになってしまうんですけれども,その辺はどのような法律論,解釈論によってそれが導き出されるのかというところを,ちょっと教えていただけるとありがたいんですけれども。

● いかがでしょうか。

● 先に○○幹事が話してから入れた方がいいと思いますので,そこまで御指摘をいただいたなら,多少具体的に申し上げたいと思うんですけれども,時間とって恐縮ですけれども,現在の商法というのは,商人という概念と,それから商行為という概念がありまして,これは御存じのとおりだと思いますけれども,商行為という概念をまず決めて,それから商人概念を定義しているというのが501条,502条と4条の関係なんですね。今,個人の商人については会社について言えばちょっと違いますけれども。
それで,どういうことかと言いますと,商人概念がある前に,最初に商行為概念ありきということになるわけです。その商行為概念を決めているのが501条と502条で,501条は絶対的商行為ですから,だれかは全く関係なく,かつ一遍でも,反復継続性も関係ない,ただ,ここに書いてあることをしたらもう商行為ですよと。

そうすると,例えばそれによって処理した債権の時効は10年ではなくて5年になりますよとか,法定利率は6分になりますよと,こういうふうになっているわけです。それは,商人がということは問題にしないで,商行為について,もちろん,商人がと商行為がと両方問題にして適用になる規定もある。それは500何条以下をずっとごらんいただければわかることです。

502条の方はそうではありませんで,そこに掲げてある行為はいろいろありますけれども,それは営業としてこれをしたときには,主体を問わず,繰り返しになりますけれども,商人であれそういうことは問わない。商人は後から定義しますので,商行為とすると,こう書いてあるんです。

 

 

 

 

 

 

 

したがって,今,○○委員がおっしゃった話というのは,502条に言う営業というものの解釈として自由職業と言われている,プロフェッショナルでもいいと思いますけれども,人が502条に列挙しているものは営業にはあたりませんというふうに解されているのではないかというお話なんです。
まず申し上げなければいけないのは,その解釈では501条は解決できないんですね。それは,例えば弁護士の方が501条に上がっている,例えばもうけるつもりで何かを譲渡しました。これは一発でアウトなわけですよね。一々言いませんけれども,例えば。そうすると,そもそも商行為というか商法の規定を適用する上で,こういう絶対的商行為のような規定というのが適切かというと,昔から学説上は少なくとも非常に批判が多かったと思いますので,そういうことになってくると501条の見直し,そしてあわせて502条の見直しという作業を恐らくしなくてはいけない。あるいはせずに済んでいるのかもしれませんけれども,その問題があるということで,先ほども申し上げたかったのはそういう趣旨なんです。
それで,長くなって恐縮ですけれども,502条に,今,おっしゃった弁護士等がやる行為は当たらないという解釈はどういうふうになっているんですかと言えば,これは502条に言う営業という概念を,文言上の解釈によるしかないんです。ほかには手がかりがない。

ですから,反面501条の方に当たってしまう,これは否定しがたない。502条については営業に当たらない。そうすると,そこでの営業をどういうふうに解釈するかというのが従来の解釈だと思うんです。

ですから,そうだとすると,信託についても,それは全く同じ話だという御主張だと思いますので,やはり502条を変えない限りは,今の文言で,いわば502条につけ加えるということしか道はないのではないかということであって,もし502条の営業というところを,今言われているような実質に変えるんだとすれば,それは502条の改正問題として恐らく変えることなるのであって,信託の場合だけ502条のほかのものは違いますよと。信託の場合だけはあれですよということを書くというのは非常に困難な話だと思いますし,それは本当にそういうニーズがあるというんでしたら,やはり502条の改正を,この際,議論した方がいいように思うんですね。

ですから,余りお答えになっていないかもしれませんけれども,従来はそういうことだと思います。ですから,○○委員の御指摘の,どうなっているんですかということだけ聞かれれば,現在の条文を前提に言えば,502条の営業という概念の解釈としてそういうふうに解いてきた。それはもっと大きなあれで言えば,結局501条も含めてなんですけれども,501条とか502条という立法のやり方というものについてある不都合というか,不便を何とか解釈で制限的な解釈をしようとしているということではないかと思います。
● どうも明快な説明,ありがとうございました。
私もこの問題自体は502条,本来はやはり理論的には502条の問題で,信託法の中で,この規定だけをただ繰り返すのは現在もあるのでともかくとして,それもやはり502条の方に持っていってしまった方には理論的にはすっきりしているということなわけですけれども,その範囲を超えて,さらにこの規定に関連してただし書きを設けてというのは,ちょっと信託法だけ飛び抜けるというわけには,なかなか立法技術的には難しいというところがあって,そういう考え方に基づいてこの原案もできております。

○○委員の御主張は,それなりに私も理解できますけれども,そういう意味では,この場でそのことを議論したということにさせていただければと思います。

よろしゅうございますか。--それでは,これも原案どおりとさせていただきたいと思います。
では,ここで休憩をとりたいと思います。

(休     憩)

● それでは時間になりましたので,再開したいと思います。
それでは,続きを○○幹事お願いいたします。
● では続きまして,第73の損失てん補責任等の免除についてというところでございます。
まず考え方でございますけれども,受託者またはその役員に対する損失てん補請求権等につきましては,信託行為で制限することができない単独受益者権であると位置づけておりますので,この損失てん補責任等の免除についても,常にすべての受益者の一致によらなければならないということになりそうでございます。
しかし,いかなる責任についても受益者全員の同意がなければ一切免除できないとするのは,会社法における取締役の責任に関する規定などに照らしましても,硬直的に過ぎると思われるわけでございまして,ここでは受益者に与える影響の重大性ですとか受託者の悪性等にかんがみまして,一定の場合に限っては多数決をもって免責できることとしてはどうかと考えるものでございます。
まず2の(2)でございますが,ここに書いてありますとおり,受託者の責任の全部の免除,それから一部の責任の免除であっても,受託者等に一定の悪意,重過失がある場合につきましては,原則どおり常に受益者全員の一致を要することとしております。これに対しまして,2の(1)のとおり,これ以外の責任の免除,例えば受託者がその任務を行うにつき軽過失しかなかった場合の責任の一部の免除につきましては,受益者の全員一致までは必要なくて,受益者集会による多数決を認めるものといたしますが,その定足数や決議要件につきましては,株式会社における特別決議と同様の要件を強行規定として,注に記載してありますとおり課することとしております。

 

 

 

 

 

 

 

次に,3でございますが,受託者等に対する責任追及権は,デフォルト・ルールとしては受益者と他の受託者に認められているわけでございますが,本来の権利者とも言うべき受益者によって責任が免除された以上は,他の受託者も原則としてはその者の責任を追求することができないこととするものでございます。

なお,※の2に書いてございますとおり,仮に委託者が信託行為において受託者等の責任追及権を留保していた場合には,受益者による責任免除がされた場合であっても,原則として委託者は別途受託者等の責任を追及することができることになることを付言させていただきます。
以上でございます。

● それでは,この点について御議論をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○○委員。
● これは会社法との関連でパラレルに検討されているような感じを大分受けるんですけれども,まず何点かのうちの最初の質問で,この損失補てんというものは,余り具体的な場合は余りないかもしれませんが,受託者が直接に受益者に対して損害賠償義務を負うこともあるかと思うんですが,あくまで信託財産に対して損失補てんの場合だけを対象としているということでしょうかというのが第1点。

それから第2点目が,現状の信託契約の中に多く記載されていると思うんですけれども,これは重過失以外は受託者は責任を負えませんというような免責条項が入っているケース,流動化なんかですと,管理型の信託ですと多いんですけれども,それはこの会社法とのパラレルの議論になりますと,ある意味では定款の中に免責規定が入っているようなケースに近いと思うんですが,そうすると会社法というのはもっと厳格だったと思うんですね。定款に入れる場合,定款に規定して社外取締役等が契約を結ぶ場合は別ですけれども,受託者は社外取締役に匹敵するわけではないんでしょうから,そうすると,もっとその定款の中に免責規定があったとしても,信託契約に免責規定を入れること自体が,果たして会社法とのパラレルな議論だと有効になるんだろうかと。
要するに,この第73の論点というのは会社法との関連で,全当事者からの免責をもらわないと免責されないというのは不具合ではないかという視点から入ったんではないかと,またそういう説明だったと思うんですけれども,会社法とのパラレルの議論になりますと,もっと責任自体は厳格につながっていくんではないのかと思うんですけれども,その辺については,やはり信託の方が緩いということになってしまうのかどうか。
そうすると,何かここだけ信託の方が緩い規定ができ上がってしまうということにつながって,ある意味では平仄が合っていないことにもなるのではないのかと思うんですけれども。とりあえずその辺が質問なんですが。

● いかがですか。
● 2点目は,これは受益者,受託者の善管注意義務の一環だと思われまして,善管注意義務につきましては,御承知のとおり軽減できるということにしておりますので,会社法はともかくといたしまして,信託においては信託行為で受託者の責任を故意または重過失に限るということはできるんではないかと思っております。
会社法の平仄ということでございますが,これはあくまで一例として述べたもので,別にまねているわけではございませんで,やはり全員一致が原則になると。これは個々の人に権利があるからそうなるわけでございますが,それではやはり不都合がある場合があるだろうから,一定のものについては多数決を許すということにしているわけですので,そういう意味で言うとバランスが欠けるというか,それは信託は信託の問題だということでいいんではないかと思っているところでございます。

● ちょっと今の質問との関係で,私自身もちょっと理解が少しあいまいなところがあったもので気がついたんですけれども,これは事後の免責と事前の免責というのがあり得ると思いますけれども,○○委員が言われた定款等というのは,いわば事前の免責ですね。ここで書いてあるのは……

● これは事後の免責ですね。
● 事後の免責の話ですね。一応そういう意味では,事前のことはここには触れていないと。事前については,今,○○幹事が説明されたように……

● 注意義務の問題として考えております。
● つくりといいますか,ここでの提案はそういうことで,事後の免責の話をしているということであります。しかし,事前も含めて御議論いただくことは結構ですが,いかがでございましょうか。
○○委員。

● その事前のということなんですけれども,基本的に事前の責任,責任の免責という観点からいくと,それは信託契約にかけないという理解なんでしょうか。

今御説明では,軽過失の免責はできますよというところの御説明の中には,善管注意義務の義務を免除するという観点は,それは契約によってできますよということだと思うんですけれども,結構その線引きというのはすごく難しいところがあると思うんですけれども,考え方としては義務と責任に分けて,あとは当然シチュエーションによっていろいろな状態があると思いますので,そこは解釈論でというようなことになるんでしょうか。

● そうですね,そこは解釈論なんでしょうね。一応,仕切りとしては,事前のものについては義務を軽減すると。義務を軽減すれば,当然軽過失に基づく責任も免除されていると,実質的には同義かと思うわけでございますが,事前につきましては,その責任の免除ということではなくて,あくまで一応義務の軽減の問題として考えておりまして,結果的に発生した責任については事後の免責と。免責というのは事後的なものを考えているということで,あとそれがどこの範囲まで及ぶかというのは解釈の問題ではないかと考えているわけでございます。
● すみません,それでは例えば責任額の上限の定めとか,そういうようなものというのは。
● それは事前ですね。それは,できてもよさそうな気がいたします。それは一部免責になってしまうわけですね。
● そうですね。これは商法はどうなっているんですか。責任上限……。

● 私,責任でちょっと申し上げて,違っていたらあれですけれども,資料の最後の※印の1にあるとおりで,これは事後の免責を意味しています。このほかに,今,○○委員からありましたように,事前の免責と言うんでしょうか,この一部免除ということで見ますと定款にあらかじめ書いておいて,かつ先ほど「社外取締役」という言葉がありましたけれども,社外取締役の場合には社外取締役になるときに契約で,それを決めるという意味ですね。ですから,事前事後組み合わせ免責というのがその中間にありまして,事前に定款で決めておいて,実際責任が発生してから事後的に,これは取締役会で第一次的に決めて,株主総会がそれに--株主総会というのは一定数の株主ですけれども,文句を言ったらそれは免責そのものがなしになるという,そういう中間的なものと3つのタイプがあります。
ただ,その後ちょっと②を別にすれば,①の方で言えば,総株主の同意による免除というのは基本的には事後の免責であって,事前に同意したから将来の責任をすべて免責しますというのはありませんし,それから定款に書いておいて,将来のものは一切ありませんというものもありません。他方,○○委員がおっしゃったように,強行規定に反しない限りにおいては,義務とかそういうものを軽減するというのは,余り例がないですけれども,それは定款に書いたり,あるいはその他の方法で可能だということだと思います。
● すみません,繰り返しになって。そうすると,責任--限度額を定めるというタイプというのは,○○委員が言われた,事前にあっておかしくはなさそうな気はするけれども。

● あるいは一部免責と考えるのではなくて損害賠償額の予定みたいに考えれば,免責の問題はクリアされるのかなという気はいたしますけれども。

● ここでの規定自体,今のは直接この73で書いてあることには抵触しないと思いますけれども,事前についてどう考えるべきかという問題。

何か御意見があれば。○○幹事--ごめんなさい。今のに関連して,もし○○幹事何か御意見あれば。
● 責任条件の設定を賠償額の予定と考えるのは,多分ちょっと無理だろうという,つまり趣旨が全然違いますので,損害賠償額はそれでいくという話と上限設定というのとは。ただ,有効性の点でのという御趣旨だということですよね。それだけ確認したかったんです。

● 分かりました。
では,○○委員どうぞ。

● ちょっと情報としてといいますか,現行の信託法を前提としているということもあるのかと思うんですけれども,義務の軽減ではなくて,義務の方はいろいろ,当然強行規定であるというふうに書いてありまして,ただし損害賠償額のところだけ故意,重過失を除いてということで,損害賠償額のところで免責が一部軽減されているというのは,恐らく現状の信託契約で多く見かけるものだと思うんですね。

ですから,今回の信託法の改正によって,義務の軽減の方に入っていくのかどうかというのはあるかもしれませんけれども,また現状のそういう契約のそういう規定というのは,本当に有効なんだろうかと。要するに,義務は残っているけれども,義務はあるけれどもお金は払いませんよと,こういう約束ですと,こういうことだと思うんですけれども,ということなんです。一応情報として,そういうふうになっているということをお知らせします。

● 義務はあるけれども,お金は全然払いませんというのは恐らくだめでしょうね。あり得るとすれば,義務違反があっても賠償額の上限はこれにしますという,それぐらいですよね,考えられるのは。
● 重過失,軽過失の話は……
● 軽過失の場合で,重過失のはまたちょっと別ですけれども。
事前の免責の方が今ちょっと議論が寄せられていますけれども,事後の責任の免責についてのルール,73自体は,第73はそれですけれども,これ自体はいかがでしょうか。
○○委員。

● 2のところの軽過失の方だと思うんですけれども,受益者集会における受益者の多数決ということで,これは受益者による意見の双方向性を確保するという観点からということですので,これは多分書面の決議というのを排除しているんだろうと思うんですけれども,全員一致というところの重過失のような場合,そのような場合については全員一致ということであれば,まさに全員が承諾すれば,それはそれでいいという理解でよろしいんでしょうか。

要するに,受益者集会を開催するということなく,一致であればいいと,そういう理解で理解して……。

● そういう場合は,集会を開かなくても全員が一致すればいいと考えております。
● ○○委員。

● これが書面による会議ということを予定していないということであれば,47のところで議論した受益者集会というのは書面を含むということは,これまた違う規律をここに入れるということでございますかという御質問が一つございます。
意見としては,別に書面でもよろしいのではないのかということだと思っておりまして,というのは,もし,もちろんいろいろな双方向の議論を行うということは非常に望ましいことだと思うんですけれども,恐らくは意見が整わなかった場合には,受益者はそんな免責なんかだめよという形で,その決議が否決される方向に働くのではないか。つまり,十分に説明できない,議論ができないということであれば,これは受託者側に不利に働くというのが通常でしょうから,そうすると招集権者というのは受託者がほとんどでしょうから,そうすると受託者として,ある程度受託者の書面における説明で,これが免責を受け入れるということであれば,それでそれを選択して,書面による会議を選択してやるでしょうし,それが説明できないと結果的になったならば,それはもう受託者の選択の結果,それはできないということで整理できるということでよろしいんではないかなというふうに思っておるわけなんですけれども,いかがでしょうか。
● ここは,書面による決議を排除しているわけでございますので,いわば特則ということで,まさに集会をしなければいけないと考えているところでございます。
あと,もう一つおっしゃった,書面による方法も認めていいんではないかという点は,私の感じとしては,これはしかし,やはり双方向であると認めにくい場合があるではないかという御指摘だったんですが,まさにそういう場合は認められなくていいんではないかということでございまして,やはり十分な意見を戦わせた上で,初めて免責ということが与えられていいんではないかという気がいたしております。ですから,書面による決議ではなかなか受託者の責任が免除されないという結果になるのは,それはしかし受託者の責任というのを受益者に対する非常に重大な,受益者の利益に重大な影響を及ぼすものであるという観点からすれば,それは免責されなくてもやむを得ないのではないかという感じがしているということだけ,感想ですけれども付言させていただきます。

● ほかに御意見いかがですか。
ここら辺は,そもそも受益者が追及する受託者の責任,損失てん補責任ですね。こういうものが非常に重要な受益者の権利であると。原則は単独受益権。しかし,複数の受益者がいるときに多数決で決めることができるという,もう一つのルールといいますか,その2つをどういうふうに調和させるかという,そういう問題ですね。比較的やはりこの受益者の本来の単独受益権であるというものを,できるだけ尊重しようということから,多数決で決めることができるにしても,そこはこういうふうに信託行為の定めによって受益者集会を開くということにして,受益者の多数決で決めると。多少縛りがかかっているという,そういう考え方でできております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほかに御意見は。○○委員。
● そんなにこだわるところではないんですけれども,※の2のところの最後のところなんですけれども,委託者のところが,受益者が受託者等の責任を免除しても,別途受託者等の責任を追及することができるという規定が,別にそんなに気にはしていないんですけれども,何となく今までの整合性からすると,普通契約書の中に委託者がそういう権利をもって,なおかつその責任を追及することができると書いてあれば,それはそうだと思うんですけれども,何かここだけ特別にとってつけたような感じがしてどうなのかなという感じで,もともとこの権利というのはデフォルトでないところだと思いますので,ちょっとそこは。

● 御趣旨はよくわかります。
● 考え方を変えているわけではありませんので,あくまでデフォルトでございますので,委託者がもしもこういう権利を留保した場合には,受益者が免責しても請求できるということでございますし,受益者が免責した場合には,やはり請求できないんだということまで信託行為にまた書いておけば,これは請求できなくなります。
● よろしいでしょうか。いろいろ細かい点ではまだ御意見があるかもしれませんけれども,事後の免責についてのこういったルール,73についてよろしければ御承認いただいたという扱いをさせていただきたいと思います。

事前の方は,多少いろいろな解釈論が少し残っているところがあるかもしれませんけれども,これはここでは直接規定をしておりませんので,解釈で考えるということにさせていただきたいと思います。
それでは次に参りましょうか。

● では次に,追加資料のまず1つ目でございますが,利益取得行為の禁止と利益吐き出し責任についてという問題でございます。
かねてより,この問題につきましては,利益取得行為及び利益の返還に関する特則双方につきまして,複数案を併記して御審議いただいてきたところでございますが,今回,利益取得行為の禁止に関しては,明文の規定を設けないこととしまして,利益の返還に関する特則については,忠実義務違反行為があったことを前提に,利益の額を損失の額と推定する規定を設けることを提案するものでございます。

利益取得行為の禁止に関する規定を設けない理由は,資料中に詳しく記載いたしたとおりでございますが,受託者の行動に対する過当な制約に陥る懸念ですとか,単に受益者の保護に資する制度があることなどにかんがみたものでございます。

また,競合行為違反の場合に限らず利益相反行為,その他忠実義務違反一般の場合について,利益の額を損失額と推定する特則を設けることといたしましたのは,公平の観点を背景に,損失発生の蓋然性ですとか,受益者の立証困難の回避等を考慮したものでございます。
以上でございます。

 

 

 

 
● 今,説明ありましたように,この問題についてはもう最初から意見の対立もあり,最後まで果たしてうまくその意見を集約,あるいはまとめることができるかどうか,いろいろ懸念もございましたので,多少異例かもしれませんけれども,代表的な御意見の方には事務局の方でも少し回ってもらって,意見を集約させていただきました。

その上で,この四角に書いてあるこの中身であれば,何とか皆さんの合意が得られるのではないだろうかということで,本日御提案を申し上げるわけでございます。しかし,別に議論を制約するわけではもちろんございませんので,御意見があれば御自由にしていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
○○委員。

● 私は何度か,この問題については発言もしているので,また同じ趣旨をと言われそうなんですが,ちょっと一言だけ。一言と言いながら,ちょっと3つの点を申し上げさせていただきます。
その結論としては,まず今回こういうような形でまとめるに至ったについては,やはりいろいろな御努力があって,これでどうだろうかということだと思いますので,私自身はやむを得ないというふうに考えておりますが,その上であえてということです。

今回,第1点は,結局これは信託法の改正であると。信託とは何かという話に結局戻ってきて,私が専門としている英米法では,信託が非常に大きな制度として発展してきてというので500年の歴史を誇っている。500年というのは,会社ができるより前なんですね。契約法が成立するより前なので,そういうところで,しかし信託はいろいろなところで広がりを持っているので,同じ英米法系でありながら,オーストラリアでの使われ方と,例えばアメリカでの使われ方と,あるいはオフショアでの使われ方,やはりそれぞれ違うんですね,目的信託があるところもあるし,ないところもあるしというようなことですから,だからいろいろやはりバリエーションがあって,しかし信託だというと,これは○○委員はやはり信託も一つのアレンジメントである,あるいはスキームであると。

すみれ
「500年か。すごいね。」

それを今度は幅広く利用しようというので,それは非常にいいことなんですけれども,やはりこの「信託」という名前のスキームを使うときには,やはりその信託というスキームを選んだために,どうしてもやはりそれに伴って引きずられてくる不可欠の要素というのは少なくとも3つある。

第1は,やはり信託財産というふうに銘打たれると,分別管理義務は当然伴っての話ですけれども,非常に特殊な地位を与えられるわけですよね。信託財産にやっぱり特殊な保護というか,ものが与えられると。これはバンクラプシー・リモートその他の話で,これは日本でも非常に注目されているところであるということなんですが,一体なぜそんなものが認められるかという話だと,やはり結局信託の保護あるいは信託財産の保護,つまり受益者の保護という話に帰ってきて,あとの2つがどうしても背景に,あるいは並んで出てくる。

2つ目はだから忠実義務というので,普通の契約関係であれば,普通にあなたのために全力を尽くしますなんていう話は,通常の典型的な売買なんかでは欲得だけの話になるのが,そうではなくて,まさに名義まで移してお任せくださいという話に基本的になるわけですから,そのかわり忠実にという話になってくるわけですよね。

 
だから,忠実義務というのを,今回この信託法の改正の中ではっきり大きな条文としてあらわすことができたというのは,非常にやっぱりありがたいことであり,いいことであると。それの個別の条項について,任意規定ですから外していってということはあり得るんですけれども,忠実義務を全部なくしてしまったら信託とは呼べなくなるわけです。

 

 

 
3つ目が,ここにあるところのやはり救済のところで,忠実義務その他義務をいっぱい並べても,義務違反があったときにどうするんだという話ですね,結局のところは。そのときに,これだけそんなふうな義務違反をやっても,結局元はとれませんよというか,いっぱい利益を上げていても,結局利益吐き出しということになるんですよということになると,それだったらお任せするかなという話にもなるので,やはりこの利益吐き出しというのは3本目の柱として非常に重要なものだと思うんです。

 

 

 

 

やはりこれが信託だと,日本の信託の信託ですよと。今までしかし,忠実義務については一般的な規定もなかったんだし,この利益吐き出し責任なんというのは,信託法上もはっきり認められてきたわけではないんですから,では今までだって日本は80何年も信託法があったのに,それはどうだったんだろうかというと,私の解釈ではやはり今まで信託銀行,その他,もうごく限られたところが受託者になって,立派なところだけが受託者なり,立派な規制システム--立派かどうかはちょっと規制システムを全部立派と言っていいかどうかわかりませんが,そういうものがあったからよかったという話なんだと思うんですね。
それを今度,規制緩和の中で外して,信託の受託者をどんどん広げていこうと。だから,本来の信託法に戻して私法を整備するというのが,今回のやはり眼目だと思いますので,この3本柱のうちの1本がはっきり明示されないということは,やはり私としては非常に残念だと思います。

あと2つは同じことなんですけれども,別の観点から申し上げるのは,あとの2つは,いわゆる産業界を代表するような,これから信託を業として使っていただけるというような方に申し上げたいことですが,私が別の厚生労働省のところで,ちょっと余談になって恐縮なんですが,医師の懲戒処分の検討会というようなものをこの前までやっておりまして,日本医師会の理事の方なんかもこうやって出てこられて,これは率直に言うとですが,そこで従来の日本医師会の態度は,やはり医師に対する懲戒処分を厳しくしてもらうのは困ると。16万人の会員がおられますから,16万人の中にはいろいろな人がいるけれども,やはり医師全体に対して,やはり懲戒処分が厳しくなるのは非常に困るというような話だったんですけれども,今回はそうでもなくて,やはり16万人全部が悪いということはあり得ないですよね。
大多数のお医者さんはちゃんと立派にやっているわけです。ところが,リピーターで結局悪い,バッド・アップルと言っていますが,そういう人たちがいて,そういう人たちに一定の行政処分をできないというのはおかしいではないかという話になってきている。今回,私,例えばここの会議場に出てきておられるような産業界の代表の方あるいはその後ろにあるところの全銀協であれ,信託協会であれ,そういう人たちの心配はしていないんですね。だから,それはちゃんとやってくれるだろうと私は思っているんですが,そういう方たちが,ここでこういう救済規定を入れると本当に困るんだという真意が,さっきの日本医師会の立派な理事の方と同じようにわからないんですよ。

そういう人たちはちゃんとやってくれるだろうけれども,信託の利用が広がったときに,まさに信託を利用して,何か悪いことを考えるという人たちが,やはりごく少数だけれども出てくる。そうすると,この信託というスキーム自体に,だから医師というイメージ自体に非常に悪い印象を与えるようなことになりかねないのに,そのバッド・アップルをかばうような形で,もし産業界の方たちが立論をするとすると,やはりそれは非常に残念なことだと思っているんですね。

3つ目は同じことなんですけれども,今度信託業法というのがあって,私も信託業法の改正の委員会にもちょっと末席を汚しているんですが,そこで○○先生という先生が繰り返し繰り返し,信託法は今度整備されると,それに加えて信託業法を改正しないといけないという理由はどこにあるんだということをみんなに問いかけるわけです。返答のないまま議論が進んでいくんです,実はそれはなかなか難しい問題でもあるから。
しかしやっぱり,そのときに私法の,この信託法のレベルでフェアなシステムがつくられていて,今の規制緩和の流れの中で,事前に金融庁に頼って,全部事前に許認可その他で規制してもらうんではなくて,やはりその事後的な規制というのを,事後的なシステムというのを組み合わせて,フェアなシステムを私法でつくっているから,こちらの規制を外してくださいというような形の立論ができてしかるべき,できると思っているんですけれども,この利益吐き出しというのは,英語で言うと「プロフィラクティック・ルール」と呼ばれているんですね。
プロフィラクティックと何か難しい単語ですが,とにかく「予防的なルール」という意味なんです。
番人
「予防になるんだったらいいかな。なってるかな。」

結局これは救済なんだけれども,事後的なものなんだけれども,こういうものが定められていると,これでこういうものまであるんだったら仕方がないからやめようと思う人がいるんではないかというふうに思われて,英米法ではこういうものがつくられてきているわけで,だから事後の救済なんだけれども,事前的な意味を持つようなものが私法に入っていれば,事前的な金融庁その他による規制は,その分だけは少なくていいんですよということが,やはり私は強く主張できるような気がするんですね。だから,そういうふうに産業界の方も考えていただけるといいんではないかというふうには思っているんです。

 

 

 

 

 

 

最後,同じことなんですけれども,このやはり信託というスキームは,結局名義まで移して自分の所有権を全部はい,あなたにあげます,あとはお任せしますという,基本的にそういうスキームなので,非常にリスキーなんですね。だから,そのリスキーなスキームなので,さっき言ったような3つの柱をつくっておかないと,まず基本的にやはり危ない。危ないんだけれども,しかしこういうスキームは非常に便利なところがあるので,ぜひとも広げたいんです。だから,私法のところでも,もう少し御理解いただいて,私法上の救済もきちっとしていると,その上で最低限度の金融庁その他による規制も,業としてやる場合にはあるというような,こういうシステムをつくっていただきたいというふうに思っております。

すみません,長いこと申し上げて。
● どうもありがとうございました。
ほかにも御意見のおありの方は,どうぞ御発言ください。○○委員。
● 格調の高い話だったと思います。
簡単に済ませますけれども,よく立法過程の議論ということで,こういうものがなくなると,要するに不当な利益を得たとしても,それは「吐き出す」という言葉が適切かどうかわかりませんけれども,戻さなくてもいいのであるというようなことを,仮に主張がされるといけないかもしれないということの議論であって,あくまで今までのここでの議論,またここに書いてある議論でも,要するに法律上の規定するところの行為規範として不当という言葉が非常にあいまいであって,ここでは萎縮効果と書いてありますけれども,だから立法的な措置としては必ずしも適切ではないんではないかと,こういう理解でおりますから--という理解でよろしいかと思うので,別にこれによって不当な利得を得てもいいということにはなっていないんだと,ここの解釈論の議論だと思うんですけれども,というふうに理解してよろしいかと思うんですけれども,まずそういう質問と。

 

 

 

 

 

あと,利益吐き出し責任の実定法上の根拠は何かという議論もここで散々してきましたし,それはあるようでないようでよくわからないところもあったと思うんですけれども,それは場合によっては損害賠償請求の損失かもしれませんし,不当利得における利得かもしれませんし,準事務管理かもしれませんし,なおかつここに書かれているように,もともと信託財産の範囲という信託行為の合理的な解釈論の議論かもしれませんし,仮に信託行為の中で一方的な受託者が絶対それは入らないんだと書いたとしても,いわゆる何とか義務というんですか,規約にどう書いてもそういう責任があるんだというような安全配慮義務とか,そういうのと同じような忠実義務という範囲内において,場合によってはそういう利益吐き出しという言葉はもはやなくなりましたけれども,そういう責任というものは残るかもしれないと。
そういう意味において,明文化されないことは非常に残念ですし,ある意味では立法過程においてはやむを得ない妥協のところがあるかもしれませんけれども,ただこれ自体が決して不当な利得を得てもいいし,それはそのままキープしてもいいということにはならずに,今後の解釈論にゆだねられていくと,こういう理解でよろしいのかどうかという点を確認したいと思います。
● 今,○○委員がおっしゃいましたように,基本的にはもうこのあたり解釈論にゆだねられる部分が大きくなっているのは間違いないんだと思います。不当な利得という概念は一応使わないということですけれども,ここにもございますように,忠実でなくてはいけないんだという規範との関係は,例えばリベートを得たような行為であれば出てくるということは書いてございますので,あとはそこから先,いろいろな解釈が恐らく立法されれば出るのかもしれませんけれども,とりあえずここで決めましたところでは不当な利得というのを置いてはならないということは,不明確だからやりませんということではありますけれども,他方忠実にという規範もありますよというようなお話ですとか,あとここにございますように,推定規定を設けました。その趣旨等々もここに書かせていただきましたし,あと14条の問題もまたありまして,14条と申しますと物上代位の規定ですね,それによって信託財産に直接行くという余地も認めているというようなところかと思います。
● どうぞ,○○幹事。
● ○○委員のコメント,非常に格調高い,まさにそのとおり,特にその3点目のまさに私法たる信託法の世界でフェアなシステムをつくってあるということが重要であると,これはもう全くそのとおりだと思っておりますけれども,ただ確認したいのですけれども,ここの論点のところで,利益取得行為の禁止についての丙案,それから利益の返還に関する特則についての甲案をとっていることで,まさに今回のその信託法改正全体の価値が損なわれるという意味では,私はないのではないかというふうに思っております。
ある意味では,全体として非常に立派な信託法に向けた整備がなされているわけですから,そういった意味では,やはり私法というか信託全体を規律するルールとして,今回の信託法に非常に立派なものができると。もちろんその用語との関係もまた別途あるかもしれませんけれども,そういった意味で非常に立派な,フェアなシステムができるという点については,必ずしもここの組み合わせがどうかということで決まってくるのではないのではないかと。
これはその2ポツの論点,2つ目におっしゃったバッド・アップルをかばうべきではないと,これは全くおっしゃるとおりで,別に悪いものをかばうということでこういった組み合わせになるわけでは決してないわけでありまして,例えば不当なというところについても,もし仮に具体的な,客観的かつ具体的に要件をもし定義できるのであれば,そこは採用される可能性もあったんだと思うんですけれども,少なくともあの定義のままではこれは明らかに広過ぎるということで,今回見送られたというものだというふうに認識しておりますので,そういった意味で,かつ何も問わないというわけではなくて,あくまでも損失の推定ということでの規律はかかるわけですから,そういった意味で今回のこういった,この論点についての結論ですね,もちろんわかりませんけれども,もし仮にこうなるんだとしても,そのことによって信託法の今回新しくできる信託のフェアなシステム,きっちりとしたルールというところの価値が損なわれるものではないという点は,ぜひ確認させていただきたいというふうに思うところでございます。
以上です。
● ほかに御意見ございますか。
○○委員。
● 内容につきましては,今まで随分申し上げましたので,一言だけ。
まず1番の利益取得行為の禁止につきましては,私どもの方が以前からずっとお願いしていた内容の記述になっておりますので,基本的に非常にありがたいと思っていますので,感謝いたしております。

2つ目の損失の推定に関する特則,これは以前の御提案の甲案,乙案のところの甲案ということの選択だと思うんですけれども,私どもの方は甲案,乙案でもなく丙案というふうにずっと申し上げてきたんですけれども,ここの御説明に書いてありますように,受益者が損失の立証をするのが非常に困難であるとか,そういう事情が当然ありますので,ここについては十分に理解ができますので,この点についても基本的には賛成ということにさせていただきたいと思います。

どうもありがとうございます。
● ほかに御意見ございますか。○○幹事。
● もう既に○○委員,○○委員の御発言あるいは○○幹事の御発言によって明らかになっているところではあるのですが,私も重要な問題だと思いますので,意見を述べさせていただきたいと思います。

この問題につきましては,スタンスは非常に明確にしているつもりでございまして,私自身は個人的には,利益取得行為の禁止規範についても立法があった方が望ましいというふうに考えておりました。

それ自体は,やはり信託という制度からして,このこと自体が本質といってもよい,生命線とも言ってもよいような問題だからというふうに考えているからでございまして,また懸念されるような萎縮効果という点につきましても,極力予測可能性を担保するような形で不当な利益というのを具体化していく方向が模索されるべきであり,またそういう方向で,可能であればそれがいいということでしたが,そういう方向がなおあり得るのではないかというふうに考えておりましたので,それが明らかにされないということは残念なことだとは思っております。
ただ,十分に明確化を図るだけの具体的要件化は困難であったということですので,それはそれで仕方がないかというふうには考えております。その上で,この御提案の趣旨をどう理解していくかというのは,これは今後の解釈にゆだねられているところなんだと思いますけれども,現在までの議論をずっと伺っておりますと,一般的な理解としてはこういう規定を設けるかどうかについては非常に強い対立があったものの,ここで問題とされておりましたような,例の土地を勝手に利用する事例ですとか,リベートの事例ですとか,こういった場合に利益をとってはいけないということは,むしろ了解のあった点でございまして,ただそのためにわざわざ規定を置く必要があるのか,またかえって波及効果が大きくないかということが懸念されていたことでございますので,さらには一般化して言いますと,不当な利益をとってはいけないというのは当然のことであって,その当然のことをどうして規定するのかというような御反論もあったところですので,実質の問題として念頭に置かれていたような不当な利益をとってはいけないということは当然のことであるというのは,むしろ一致した理解であったと思われます。

 

 

 

 

 

ただ問題は,萎縮効果にも配慮しつつ具体化できるかということでございまして,その具体化に当たって問題となった事例が,また具体的な話として幾つかあったというふうに記憶しておりますが,一つは例えば情報などを利用して債権回収を図るというような場合,信託財産の方も十分回収を図った上で,受託者の個人の債権についても回収を図るというような場合はどうかですとか,あるいは規模の利益を受けるというようなタイプのものはどうかといった事例の場合は,これはもう当然,大丈夫だということは,それ自体はもう一致していたところで,しかしながら場合によっては不当な利益だという人がいるんではないかとか,そういう点が懸念されたところではなかったかと思います。そうしたときに,そうすると考えていくと,一体何が受託者がとってよい利益であって,何がそうではない利益なのかということを考えていくと,ある意味何らかの損失的な要素が信託財産に発生するような,そういうところがやはり問題ではないかという指摘は何度かされたところであったと理解しております。

 

 

 

 

 

 

そういう今までの議論を踏まえて,この御提案をどう理解するかという点でございますが,私自身は,そういう趣旨をまさに酌み取ったものではないかというふうに考えておりまして,したがって単純な二項対立の軸の中の一方をとったということではなくて,前から問題とされていたような,うまく区切るというところを救済の局面において,損失と連動させることによって,その部分に手当をしたものだと,そういう御提案であるというふうに理解をしております。

 

 

 

 

先ほどまさに,○○幹事から信託法改正の価値を損なうものではないんだということを御指摘あって,まさにそういう価値を損なわない解釈を今後していくということになると思いますが,その際の理解の仕方としてはそのように考えるべきだろうと私は考えておりますので,この場で明らかにさせていただきたいと思います。

● どうもありがとうございました。
よろしゅうございますでしょうか。ごめんなさい,○○委員どうぞ。
● 私どももいろいろ御意見を申し上げておりましたので,改めて繰り返すことはございません。結論だけを申し上げたいと思いますけれども,いろいろ事務局等の御努力もあって,このような案になったということで理解しております。それで,2つ御提案がございます。

一つは利益取得行為でございまして,これについては従前,私どもの意見と同じでございましたように賛成したいと思います。
それから,利益吐き出し責任に関する御提案でございますけれども,これは当初私どもの立場,つまり規定すべきでないという立場から考えますと,いろいろ考えるところはございますけれども,本審議会におけるいろいろな意見,議論は非常に説得的なものもございましたけれども,それらを踏まえれば,この案で賛成したいというふうに思います。
以上です。
● どうもありがとうございました。
○○幹事。

● これについては,もう既に発言を何度もさせていただきましたので,もう繰り返すことはいたしませんし,そしてまた利益吐き出し責任と損害賠償の推定というのは本来違うんではないかという,個人的にはずっと考えていますけれども,それはもうこれまでもちょっと述べたことですので,繰り返さないことにいたしますが,ただちょっとやはり,この損失の推定そのものの意味内容について,幸か不幸か,これまで余りそう詰めた議論というのは行われてこなかったところがありますので,若干はやはり確認だけはさせていただきたいというので質問なんですが,これは余り質問しない方がいいのだろうなと頭でちらちら思ってはいるんですけれども,しかし問題点は認識された上で決めるなら決めたというのはやはり必要かなというので,あえてなんですが,推定をこういう形で定めますと,受託者に対して訴える側のものが,この違反したという,受託者がこういう19条の1から3までに違反する行為をしたということと,当該行為によって受託者が得た利益があるのだということは言わないといけないと。何が一体得た利益なのかということは,もう解釈にゆだねるということなのだろうと思います。

 

 

 

 
問題は,これで推定されるわけなんですけれども,では受託者の方は何を言えば,少なくとも損失からその利益は外れるということが基礎づけられるのかという点は,この説明を見ましても最後の方にちらほらと書かれているような気がしないではないんですけれども,いま一つ指針が定かではないかなという気がいたします。

これは,別の法律にも同じようなものがあるから,それに倣って考えればよいという御趣旨なのかなという気はいたしはしますけれども,一体何を言えばいいのかという点は,ちょっと指針でもよろしいですので,何かお考えになっているところをお聞かせいただければと思います。

● 難しい問題の一つなんですが,どうしますか,○○関係官の方で答えますか。

 

 
● すみません,すごく難しいことを問われているような感じもしてあれですけれども,推定規定ですのでそのままとっていただくほか基本的になくて,あと解釈なのかどうかわかりませんが,利益の額と同額の損失があったんだということを推定させておりますので,受託者の方では損害はないし,そんな額でもなかったということが言えない限りは,責任は免れないんだと。責任を免れないというのは,損害がなかったということには一応ならないわけです。

 

 

 

 

 

● 突っ込まない方がいいんだろうなと思いながらなんですけれども,不当なという限定の仕方が必ずしもうまい限定の仕方ではないので,利益吐き出し責任をそのまま規定するということには問題があったと。ただ表現は別として,果たして本当に不当な利益なんだろうかどうかというのが,争点になることは恐らく間違いなかろうかと思うんですね。それが,この推定ルールの中ではどういう形で問題になるのかというのが実は聞きたかったポイントなんですね。
● 不当かどうかというのは,関係は多分なくて,ここで出てくるのは禁止に違反した行為がありましたと。それとの関連性のある,こういう結果として利得があったということがありました,その両方があれば,それを前提事実として同額の損失額としてかかると。

● ただ,禁止に反する行為があったというのはもちろんなんですけれども,そこから得られた利益が,本来は得てはいけない利益だったというような評価がやはりあって,利益吐き出し責任というのが基礎づけられるというのではないわけなんでしょうか。

 

 
つまり,事実的な因果関係があれば,違反行為をして何か得た利益があれば,それがすべて吐き出さないといけない利益とは必ずしも言えなくて,通説流に言うならば相当な因果関係のあるということなんでしょうか。要するに,吐き出すべき利益に当たるものは吐き出さないといけないけれども,単にあれなくはこれなしで得た利益があるというだけではなくて,何か限定というのがあるんではないかと。それが不当に得た利益なのかどうかという評価で,それを言葉にしにくいので条文化は難しいというのはそうなのかなという気もしますけれども,しかしそれが損害の推定ルールになると,どこでどう問題になるのかというのが,ちょっと整理していただくとありがたいなというのが質問の趣旨です。
● すみません。ですから,恐らく不当な利益ということを直接は問題になるといってしまいますと,論理的に破綻しておりますので,もちろんそうは言わないわけですけれども,禁止に違反したというところと損失の発生には一定のつながりがある,そこはもう間違いないわけでして,それが不当かどうかで限定がされるのと,それから一定の関係があるのではないでしょうかというのは申し上げましたが,そこで縛られるのと2種類の縛り方があるわけですけれども--すみません,繰り返しになりますが,私どもの理解でいきますと,不当で縛るよりも,より緩やかな縛りしか,恐らくここではかかっていなくて,それに対する反証としての損失の不発生というところで受託者は勝負していくというような形になるはずです。

 

 

 

 

● そうすると,損失の不発生というところで,かなり多くの規範的な評価が入ってくるということであって,単なる事実の立証の問題とはちょっと,必ずしも言い切れないものまで含まれてくるというような理解なんでしょうか。
● 損失,損害も,もともといろいろな規範的な意味等々,議論があるところなのではないかという気もいたしますし,損失てん補責任の損失という話かと思いますし,そういったところも含めて,解釈的な余地は残っているんだろうなとは思いますが。
● すみません。
● おっしゃるように,反証はどうするのかとか,いろいろ難しい問題は残っているんですが,今ここの枠の中に書いてあるようなルールに,そういう問題がなお残っていて解釈の余地があるという前提のもとで,ここに書いてあることであれば,皆さんの御賛同が得られるのではないかということで御提案させていただいております。
○○幹事。
● 1点だけ,まず形式的に細かなことで確認させていただきたいんですが,この推定規定で行くとして,もともとのスタンスが私はむしろやはり○○幹事とかと同じなんですけれども,それはこの推定で行くとしての話ですが,受託者が得た利益とはっきり書いていますが,利害関係者のためにした場合の忠実義務違反の場合も,この規定をカバーしていますから,これは当然利害関係者が得た利益もここに加算されるというのは,それは当然ですね。

 

 

 

 

 

 

● そうでしょうね。
● それはまず文言で。
あと,○○幹事が言われたことをもう繰り返す必要はないんですが,ほかの法律で全く同じタイプの推定規定が多分に用いられていることとの関係で,やはりこれは忠実義務ということを配慮した上での解釈論をしなければいけないという前提でこれを採択したんだろうなということは,やはり確認しておいた方がいいのかと思います。

例えば不正競争防止法などでも,不当なことをした人の得た利益が損害だと推定したりします。あるいは会社法にも規定があったりするんですけれども,不正競争防止法なんかでは,やはり恐らくおのずとここでの推定の意味合いも反証すべき内容も,ニュアンスが異なってき得ることはあり得ることなんだろうと思います。

 

 

 

 

 

 

例えば競業の例をとって言うとすれば,基本的に自分でやってもうかるようなことは,まずは信託でもうけさせるのが前提であって,それは当然に信託からすると,基本的にはいぶかい利益だと言えそうなものであることを前提に,この推定はやはりあるはず,忠実義務との関係で置かれている以上はあるはずで,したがって反証するときも,いやそんなものはおよそ信託でやろうしたらできなかったんだというような反証が可能なことはあり得るにしても,単に信託財産はこれだけ,減ったのはこれだけですというのは反証にならないというのは間違いないと思いますし,そのあたりの解釈をやはり同じタイプの推定規定はほかにもいろいろありますけれども,忠実義務の解釈についての忠実義務の効果として,あえて定められた。これは恐らくこの規定の問題というよりは,その前提にある忠実義務違反の場合の損害の概念を,これがあることを前提にどういうふうに解釈するのかという問題なんだと思いますけれども,そこはやはり確認した上でこれは賛成するなら賛成したいと思います。
余り損害のとらえ方について,ここで長い間議論するのがいいかどうかわからないんですけれども,やはり最低限のスタンス,基本的な考え方の確認だけはした上で,意見,態度ははっきりさせたいと思いましたので,あえて申し上げさせていただきました。

● これは,恐らくこの案に御賛成いただける方は最低限の理解として,これは忠実義務違反に関する問題を扱っているものであって,それに伴う特有のというとちょっと強調し過ぎることになるかもしれませんけれども,その違反があったときの救済手段として,こういうものを設けているんだと。

 

 

 

 

したがって,不正競争防止法とかほかにも幾つかありますけれども,それと全く同じになるかどうかというのは,それは必ずしもわからない。そういう意味で,忠実義務違反の問題としてここに規定していると,繰り返しになりますけれども,そういうものとして御理解いただければと思います。
よろしゅうございますでしょうか。
○○幹事。
● やや異なった観点から一言申し上げさせていただきたいと思いますが,ガバナンスの視点でございます。

信託において,やはりガバナンスに配慮しようという,そのようなコンセンサスはあると考えておりますけれども,このガバナンスの観点から見た場合に,○○委員が冒頭におっしゃったことと関係あるのですけれども,受益者の保護を図って信頼できる信託という制度をつくっていくんだと。

フェアな制度であるということを明らかにしていくというためには,やはり忠実,利益相反のおそれがあるときに,そのような行為をして利得を得てはいけないという,その行為規範といいますか,行動するときの指針として一般原理として置かれる意義というのは非常に大きいものがあるのではないかと。

 

 

 

 

 

 

確かに評価規範として見た場合に,非常に不明確な部分はありますし,これは逆に具体化しようとしても,経済状況やこれだけ社会の仕組みが複雑になって,いろいろなところで利益が相反するようなときに,むしろ法律で具体化すること自体,正しいことなのかというのは疑いが多いと思いますけれども,一般的な原理として,とにかく利益相反の行為によって,利得を得てはいけないと。このことを明らかにするのはガバナンスの観点からも非常に有意義なことではないかと思っております。
この御提案では,2の中にやはり受益者が得た利益の額は結局戻さなければいけないという形で,利得吐き出し責任という形で明示されているわけではありませんけれども,実質としてやはり行為規範としてはそのような内容,内実が読み取れるのではないかと思っております。
信託の契約と違う普通の委任契約等と違う大きな特色として,やはりガバナンスの視点を入れるということは重要だと考えておりますので,そのような観点から,やや異なった観点でございますけれども一言発言させていただきました。

● どうもありがとうございます。
○○幹事。

● ちょっと従前,意見を言わせていただいたことですので,一言二言述べさせていただければと思うんですけれども,まず感想的な意見ですけれども,この間こちらの場でもいろいろ議論ありましたように,かなりいろいろな事例といいますか,限界事例的なことも含めて,議論の俎上に上っていたかと思います。

 
この問題については,利益取得をどう考えるかということについては,結局事例を重ねるといいますか,いろいろな具体的な場面で見ていくほかないんだろうなという感想を持っております。したがいまして,そういった前提で多くを解釈といいますか,その事例にゆだねるというような形で持っていくことは一つの方向性だろうというふうには感じております。

この規律の中でも,6ページから7ページにかけて記載されているところかと思いますけれども,恐らく具体的な事案においては,この信託財産の範囲に関する規定といいますか,範囲をどう考えるのかということが,この規定の適用を考えるときに問題となってくるところなんではないかという気がしております。

それはまさに,いろいろな事例に基づいて解釈をしていくということでいいんではないかというふうに感じておりますけれども,そうした前提に基づいて,こういった規律を設けるということであれば,基本的には最終的に,この案に賛成したいというふうに考えております。
すみれ
「財産の範囲とか種類によって変わっていくんだ。」
ぜひ,民事信託等の場合には,これは弁護士会でも考えることかもしれませんけれども,産業界の先生方の方では具体的な事例の方で,この点についてはよく慎重に御検討いただければと思います。
以上です。
● それでは,御意見のおありの方,一通り御意見を伺ったと思いますが,この原案で御承認いただけるということでよろしゅうございますか。--どうもありがとうございました。
それでは,次に行きましょう。
● では,本日最後の項目でございますが,第62の後継ぎ遺贈型の受益者連続という問題でございます。

 

 

 

 

前回会議におきまして,この信託につきましては,この資料中にも書いてございますが,一定の期間にかかる制限を設けるとともに遺留分減殺の対象とすることで,一般には有効に成立するものであると。こういう解釈を明確にしつつ,新法において特段の規定を設けることはせず,今後の個々のケースにおける具体的な解釈にゆだねるということを提案いたしました。

これに対しましては,このような信託の有効性を確認するためには,やはり何らかの規定を設けるべきではないかとの意見が当部会において示されましたほか,外部の有識者の方ですとか,あるいは規制改革会議の方からも,このような形態の信託を一種のビジネスチャンスととらえる観点から,明文の規定を設けることが望ましいという指摘が示されたところでございます。そこで再度検討いたしました結果,冒頭提起のような規律を設けてはどうかということを改めて提案するものでございます。
まず後継ぎ遺贈型の信託につきましては,前受益者の死亡を契機として受益者が変わるという形態であることからいたしまして,通常の信託と比べて受益者が存在しない期間ですとか信託期間の長期化が類型的に予想されるということがございますので,財産の効用維持ですとか財産権秩序といった観点から,このような信託全体が無効と解されないという懸念があるかと存じます。そのような懸念から,一定の有効期間を明記すべきではないかとの指摘がございました。

 

 

 

 

 

そこで,今回の提案におきましては,信託設定時から一定の期間内に現に存することとなった受益者との関係では,その受益者が死亡するまでの間,当該信託が有効に存続することとしております。さらにここでは,この一定の期間についてどのような期間を想定すべきかという問題がございます。

ここで考慮すべき事情といたしましては,片や個人の財産設計の自由ですとか委託者の自由の問題と財産権秩序あるいは財産の効用の最大化のバランスという問題もあるでしょうし,あるいはいわば委託者の目の届く範囲,鑑識眼の及ぶ範囲で有効と認めるべきではないかというような観点もあるかと思うわけでございます。

 

 

 

 

そのような諸般の事情を考慮いたしまして,一つの案といたしましては,資料中に記載いたしましたとおり20年とすることも考えられますが,それ以外の果たしていかなる期間を想定すべきか,またぜひとも御意見をいただければと思っているところでございます。

なお,念のためでございますが,このような類型の信託は,第二次受益者の設定までしか認めないというわけではございませんで,それ以上の数次にわたる連続受益者を定めた場合でありましても,ある受益者が法定の期間内に現存することになる限り,このような受益者との関係では,このような信託は有効ということになるというふうに考えております。

 

 

 

 

 

次に(2)でございますが,後跡継ぎ遺贈型の信託によって,遺留分制度を潜脱することができないことにつきましては,当部会において異論のないところであると思われます。そして,この場合の法律構成といたしましては,前回資料でも御紹介いたしましたとおり,すべての連続受益者との関係で委託者が死亡した時点において,一定内容の受益権が付与されたものとして,必要な算定がなされることになるものと考えているところでございます。
以上でございます。

● これについては,今までも若干は議論ありましたけれども,こういう具体的な提案として出てきたのは本日が初めてでございます。今説明がありました点につきまして,その点,それ以外の点についてももちろん結構でございますけれども,御意見を伺えればと思います。

 

 

 
○○幹事。

● この問題は15ページに書いてありますが,信託が設定されたときから一定期間内に受益者が存在するというふうにした方がいいんだということなんだとしますと,例えば30年たったらどんどん変わっていくという信託を設定したらどうなるんでしょうか。

つまり,後継ぎ遺贈型ということでずっと話が出てまいりましたけれども,受益者連続一般の問題と後継ぎ遺贈型受益者連続という問題は,それこそ連続している問題であって,死亡を契機として次の受益者が出てくるという形にしなくても,延々続けることは,もちろん失敗することもあるんだと思うんですけれども,可能であり,かつ現行信託法のもとでも,いまだ不存在の受益者というものがいる場合というものが前提とされていますので,できるんではないかと思うんですが。

ですから,①のように--②ですね,とりわけ問題なのは,①もそうですが,受益者の死亡時に受益権が次の新たなる受益者がまた出るとか,あるいは委託者の死亡時に効力が発生するという要件が,果たして妥当なものなのか。この場合にだけ本当に期間制限をすればよいのかというのが,ちょっと私よくわからなかったんですが。
● では○○関係官。
● ここは,いわゆる後継ぎ遺贈型のものだけを規定したのですけれども,受益者が連続してどんどん出ていくときに,それが,では100人続いたらとか,そういうものが例えば絶対100人いるようなものを受益者として指定したら有効かと言われると,それはもう永久禁止則とか死手支配の禁止とかという一般則の中で,やはり考えざるを得ないんだということかなというふうに思います。

それで,そのような観点から考えますと,別に期間が問題になるのは受益者連続だけではないわけでございまして,いろいろな多様な信託があって,受託者の権限も多種多様であるというようなときに,これらすべてについて期間制限を設ける,あるいは何らかの期間設定をするということは,それは恐らく信託というのはまさしく柔軟性とかいったようなものを考えるんだということを考えたときに,そのようなことはどうせできないんですけれども,できませんし,適当でもないんだろうということだと思います。

 

 

 

 

 

 

そのような観点から,後継ぎ遺贈型の信託につきましても,別に現行法や今度提案させていただいている信託法におきまして,別にできないということではなくて,それはできるだろうというふうにも考えて,ただ期間制限のところ云々ということは,同じような解釈で考えられるかどうかということで提案をさせていただいていたところでございますけれども,特にこういうタイプの信託については,受益者が不存在になる期間が長期化するとか,あるいは信託の設定自体が長期化するという可能性が,類型的,定型的に高いというふうに思われているがために,実務の方からするとやった時点で無効だというふうにされてしまうのではないかという懸念があって,それがパブリック・コメントにおきましても明確化してほしいとかできるようにしてほしいというような御意見につながっているのではないかなというふうに,前回の審議をして我々どもで考えたというようなところがございます。

 

 

 

 
したがいまして,そういうものの中で,こういったタイプの信託については,一種の期間設定みたいなものを設けて,今後の利用というものの促進を図っていってはどうかということでございまして,したがって,これを設けたらあとが全部どうなるかということについては,こういう規定があることを前提に,これが一つの一種の解釈指針となって,いろいろなほかのタイプの信託では運用はされていくのではないかなというふうに考えているところでございます。

● 今,○○関係官の説明にありましたように,ここで考えているのはあくまで,これは定義自体も若干問題がありますけれども--問題があるというか御議論をいただいた方がいいと思いますけれども,いわゆる後継ぎ遺贈型というものについてだけ一定の期間制限を設けたらどうかということで,それ以外のものについては直接関与はしない,そちらについても問題はあるにしても,そちらについては一定の期間制限を設けることが適当かどうかも含めていろいろ問題があるし,同じような期間がいいのかどうかも問題ですし,そういうことでそちらはここでは一応議論しないという前提でできております。

 

 
その上で,この①,②というこの要件のもとで,この特別な期間制限を受ける信託の定義がなされているわけですけれども,それについての御議論,それから先ほど○○幹事から御説明がありましたように,そもそも期間をどういうふうに定めたらいいかということなどについての御意見を伺えればと思うわけでございます。

○○幹事,一応そういう立場なんですけれども,何か御意見があれば。
● 僕ももうちょっとしてから,ちょっと考えます。
● 今改めて説明を聞きながら見ていて,①の要件なんですけれども,受益者が委託者の死亡のときに受益権を取得する定めのあること,ちょっと意味が不明というのは,こういう場合はどうなのかということなんですが,信託を設定するときに,第一の受益者というのは,もう信託を設定したときに既に受益者になっているのがいて,これは別に委託者の死亡によって受益権を取得するわけではなくて,その後死亡によって順々に行くと。
そういうのを別に排除すべきことではないでしょう。ですから,①はもうちょっと,そうすると表現は,ちょっと今のような排除する意図ではないということでお考えいただければと思います。
何か期間の点などについて,あるいは別に期間に限りませんが。
○○幹事,どうぞ。

● 期間ともかかわるんですが,この内容がちょっと十分に理解できないものですから教えていただきたいのですが,仮に一定期間を20年というふうにした場合に,自分が死んだら生存配偶者に,生存配偶者が死んだら子供にというタイプのものにした場合に,婚姻のときにもうそれを決めておきましょうと,お互いにそうしましょうみたいなことを仮に決めたといたしまして,しかし長生きをして,その後40年後に死亡したという場合は……

● それは大丈夫です。
● 一体……
● 受益者が20年の間に出てくれば,その受益者についてまでは有効な信託であるというふうに考える。

● なるほど。そういたしますと,25年後に子供が生まれたという場合ですね。ですから,20年間に生存配偶者はもちろん現存しているんですが,20年内に子供がいなかったと。だけれども,25年目に子供が生まれて,亡くなった40年のときには配偶者と子供がいるというときは,この御提案は,生存配偶者までは行くけれども,その受益権が消滅したら子供にはいかないと,そういう御提案ですか。
● その場合,形式的に当てはめるといかないのですけれども,子供が生まれた段階で,もう一度設定し直すということは,生きているわけですから,できるのだろうというふうに思いますけれども。

● 一応ルール自体はそういう場合,今○○幹事が上げられたのは,受益者が20年後に出てくるので,20年という期間を設定すると,その受益者についてはだめだということになると。そういうことも考えながら,期間としてこういう形で期間を制限するのがいいのかどうかも含めてですけれども,仮に20年とかという期間がいいのかどうかというのをお考えいただれければありがたい。
○○委員。

● 期間については,これは実定法上のどこかに根拠を見出して議論するしかない議論だと思うので,実際,目的信託で20年も出てきていますし,所有権の取得時効とか,ですからこれはある意味ではこれでよくて,やはり前回の議論のときに解釈論でという話だったのは,その後事務局の方でいろいろ御検討いただいて,これが入るということは極めて意義のあるところだと思います。ですから,ある意味では期間はもっと短くたって長くたって,ある意味では何でもいいと言っては申しわけありませんけれども,

何かを入れていただくと。私は出たさっきの,やはり大分前に信託法学会でこれが議論されたときも,やはりそもそも難しいんではないかと,現行法でもですね。

現行でもできるんではないかという議論は相変わらずあると思うんですけれども,というところで例えばこの遺留分制度についてもそこまでの議論が進まないわけですね。多分,税法的な点にも議論が進む前にそもそもできるのですかというところでとまってしまうわけですから,ですからこういうふうに,ある意味では制限的な形ででもできるということを前提として議論がされている,またそれが規定として入るということは非常にすばらしいことだと思います。
それは当然で,期間の点はある意味ではこういうものの期間というのは,なかなかロジックを見出すのは非常に困難なことですから,現実的に利用がされる期間ということであれば,20年というのは十分配偶者,その子,孫ぐらいまでカバーできるでしょうから,それ以上のところをカバーするためのダイナスティー信託みたいものまでとは言いませんけれども,それが社会的なニーズがあるかというと,そんなことはない。ある意味では一種の福祉信託の一類型だと思いますので,ですから,この20年というのは現実的にも利用できる妥当な期間だと思います。
● ほかに御意見ございますか。--期間は,今,○○委員も言われましたように,なかなかどのぐらいがいいかというのは簡単に決められませんけれども,ある種のこの財産を計画的に承継させるという仕組みで,そういうものが合理的に判断できるような期間というのが一つ抽象的ですけれども,考えられるのかなと。それが20年なのか30年なのかわかりませんけれども,20年先まで一応見越して,そういう承継の仕方を考えると,信託を使ってそれを設計するというのは,それなりに相当のことができるだろうという感じはいたしますね。
ほかに,特に御意見がなければ,一応何か,ぜひ聞いておきたい点がありますか。どうぞ。

 

 

 

 

 

● 特に意見ではないんですが,○○委員が御指摘になられました①の要件は不要ではないかということについては,どうなったのかということです。私はそのとおりではないかと思うんですが。

● すみません。私は○○委員が御指摘いただいたのは,委託者が死亡する前に受益者がいてもいいのかどうかということではなかったかと。委託者が死亡のときに,さらに受益者が生じるということを①で書いているだけですので,委託者が死亡する前に受益者がいるかどうかということについては,特に何か規制をしているわけではございませんので,その意味からこの規定でも○○委員のおっしゃられた信託は,当然に排除されないというふうに思えるのではないかというふうに思ったのですけれども。
● いや,それはそうではないんではないでしょうか。というのは,例えば私がもう,ちょっと病になっているというときに,今の段階で配偶者を受益者とするといって,私が死亡したときに何らかの,さらに受益者変動が起こるわけではなくて,今度はその配偶者が死亡したときに,さらに私の子供が受益者になるというときには①の要件を満たさないですよね。

委託者の死亡時にだれかが受益権を取得するわけではないんだから。それを入れて考えるべきだという御発言ではなかったのかというふうに理解しているんですが。

● すみません。ですから,先ほどここでごちょごちょっとやったのは,1については少し考え直しましょうということでありました。--よろしいでしょうか。
● 1点,ぜひとも御意見を伺いたいのは期間の点でございまして,今,○○委員から20年もあれば十分だというお話があったわけでございますが,子供ぐらいまでとか孫が20年ぐらい以内に,結婚してすぐ自分に子供ができて,その子が孫を産むのに20年以内にできるかというと,それはなかなか難しい問題でございますし,○○幹事がおっしゃったように25年目に子供ができた場合は,変更しなければできないということですが,そのときに,例えば委託者である夫が死んでしまっていれば,もうその人はできないわけでございますので,そういう観点から果たして20年という期間でいいのかというのは,意見を伺っておりますと,ちょっと20年では短過ぎるのではないかという意見も少なからずあるところでございまして,そういう観点から部会としてはどのように考えるかと。

我々は,一応20年という期間を資料中には書かせていただいているわけでございまして,それは所有権の取得時効とか,言ってみればある一時代の中で決めるのが一つの財産の使い方としては,その効用の発揮という意味で合理的ではないかという観点で書かせていただいているわけでございますが,なお,もう少し委託者の処分の自由というのを尊重して,期間を延ばすべきではないかという御反論が部会の中で強くあれば,それはその方向で考えていきたいというふうに思っているわけでございまして,今後のこのような跡継ぎ遺贈型の受益者連続信託の活用という観点から期間についてどのように考えるかというのを,なるべくたくさんの御意見をいただければと思っているところでございます。

 

 

 

 

● どういうふうに使うかもありますけれども,本当に個人で,親族間でもって,いろいろ財産を承継させる場合と,それから事業承継絡みで,そういう財産を承継させる場合,いろいろなタイプがあると思うんですけれども,事業承継というんでしょうか,そういうタイプの事業などに使う財産を承継させるときには,これはちょっと私の個人的な意見ですけれども,そんなあんまり先に,まだ生まれていない孫というんですか,そんなところまでやるのは,そんな合理的な処分であると余り思えないですね。
もう既に生まれている孫でもって,それなりに能力がいろいろわかっているとか,そういうときですと3代ぐらい財産の承継の仕方を考えるというのは,それなりに合理性があるだろうという気がしております。

だから,今のような考え方を述べたからといって,20年なのか30年なのかと,全く決め手がないんですけれども,感じとしては20年か30年ぐらい,いろいろな意見の中にはもっと長い50年という意見もあるようですけれども,ちょっと皆さんの感触,本当に決め手がないので,感じで御発言いただいても結構だと思います。
○○幹事。

● いや,私の専門と何の関係もない話なんですけれども,今,○○委員がまさにおっしゃったとおり,何か論理的に何年と決まるわけではないと思うのですが,民法その他の規定の中で,今20年の例はこの資料の15ページに上がっていますけれども,ほかに長目の期間でどんなものがあるのかですね。
つまり,恐らく事務局内部でも幾つか調べていらっしゃるんではないかと思うんです。例えば,今手元に思いついたのは,借地借家法に基づく借地権の存続期間はデフォルトですと30年とか,あれもつまり使用収益権をほかに出すときにはデフォルトは土地だったら30年と,実定法を考えているということだと思うんですが,何かそういう類似の例との関係で,どの辺という相場観ではないかと思うんですけれども,もし何かあったら教えていただければと思いますが。

● 借地権は30年で,あと地上権と永小作権ですと50年以内でしたか,あと定期借地権も50年ですから,20,30,50あたりですね。例としてはそういうところで,メルクマールとしての意義はあると思います。

● ほかに決め手がないので。
● ちょっと今の期間と違うんですよね。借地権だったら借地権そのものが存続期間ですけれども,信託ですからその間に受益者が出てくると,そのさらに受益者の生きている間はずっと信託は続くので,実際には相当長い期間続くことになると。
はい,どうぞ,○○幹事。

● 多分一番大きい立場決定のポイントは,委託者が死亡した後に生まれたものであっても受益者にするとするかどうかだと思うんですね。わかりやすい考え方は,委託者が死亡したときまでに生きているものであればよいとするのは,これは割と筋が通っている立場だと思いますね。
つまり,生きていれば処分できたはずであって,処分可能性がある範囲内でのみ効力を認めるというのは,これは筋が通ると思うんですね。しかし,その立場ではなくて,委託者死亡後に生まれたものであったとしても,一定期間内のものであれば受益者になり得る,この跡継ぎ遺贈型の受益者連続を認めるというのは一体なぜかというのを,やはりちょっと考える必要があるんではないんでしょうか,期間の前にですね。その立場をとるとした上で何年という話になるんではないんでしょうか。

● 非常に重要な御指摘だと思います。
はい,どうぞ。
● 答える資格があるかどうかという点もあるんですけれども,仮に受益者が現在生まれて,委託者の設定時あるいは委託者が死亡した後出現するような受益者であったとしても,一応信託制度でいわゆる跡継ぎ遺贈を使ったときに,委託者が死亡したときに他の相続人はどういう利益を得るかと。
遺留分減殺,遺留分権利者というのは,それは保障されるんだということの前提で考えたときには,その遺留分が保障されるという限りにおいて,それ以上の財産というものをどういうふうに処分するかというのは,基本的には委託者の意思というものを尊重していいのではないかというふうに思いますので,その限度において何らかの公益目的に使うことだってできるわけですし,将来のある,これから登場する方に,仮に委託者死亡時に現に存しなかったとしても,そういう者に経済的な価値を帰属させるということは,それ自体としては別に財産法の秩序とか相続の秩序とかいう中で,何かおかしなことではないと,むしろ信託を使って有効な利用というものは考えられる方法の一つとして,そういうのは考えていいのではないかというふうに思うところであります。

● ○○幹事。
● 2点申し上げたいんですが,1点目は細かな話ですが,○○幹事がおっしゃった20年間に次のが出現しないというときという話なんですが,それは子供がまず生まれたときに,私がもう既に信託を設定して,そのときにその赤ん坊の子供に行くというふうにしたときの話ですよね。それというのは……

● その赤ん坊の子供が20年以内に生まれないと終わってしまうんです。

● だから,それというのはすごく,普通ではないというのは変ですが,やはり一般的には,ある程度の年齢になった子供なら子供を対象にして,まず第一に受益者にするんだと思いますので,私は20年間でも構わないというふうには個人的には思いますが,決め手があるかというと全くないんですけれども。

2番目は,今度は非常に細かい話なんですが,いまだ存在していない第二次受益者に対して,非常に多額の,価値にすると多額の受益権が帰属するという制度,信託を設定した場合に,遺留分減殺請求権の行使の相手方はだれになるんだろうかということなんですが。
● 一つの考え方は,その場合はまだ受益者が存在しないわけですから,例えば一つの考え方ですが,遺言信託でそういうことをしたということであれば,その受託者を相手として,受託者のもとに処分された財産を取り戻すということになるのではないかと思います。

すみれ
「相手は受託者で信託財産に戻るの?」
これはただし,何も跡継ぎ遺贈に特有の問題というわけでも必ずしもないかと思いまして,遺言信託で受益者は一人だけでいいんですけれども,将来受益権を取得する人が委託者が死亡した後,何年後かに出てくるというようなときに,その信託財産というのは将来だれの実質的な帰属かが決まっていないから遺留分の算定のとき問題にならないということでは全然なくて,そこはもう当然相手がいなくたって,それは贈与した財産--贈与というか遺贈の方で,遺留分算定の基礎には入ると思いますので,それと同じことではないかというふうに思います。
● 遺留分算定の基礎に入るということは全く異論はないんですが,信託設定行為を取り消すのだから,受託者が相手になるという考え方ですね。減殺すると……。
● とりあえず信託設定と--考えればそういう考え方にもなります。
● あとは,解釈論の問題だと言えば解釈論の問題なんですが,そうすると常にそうなりますかね。現存受益者であっても,取り消すのは設定行為だから。
● 減殺請求権のことを考えているんですか。遺留分減殺請求権で取り消される……
● 減殺される対象は……。
● それが何らか,もちろん,基本的には処分行為ということになるかと思いますけれども,考え方として条件つきの権利を付与させたんだということで,受益者を相手にして,全部召し上げた上で,召し上げた額マイナス遺留分を差額として渡すとか,受益権のところでということも,例えば信託受益権をだれかに贈与したというような場合であれば,そういう解決がなされるかと思いますので,それと同じようなことになるのかどうかという問題は,もちろん跡継ぎ遺贈の問題とは別にあるのだとは思いますけれども。

● 遺留分減殺請求権はどういうふうに行使するかという問題は,遺留分減殺請求権そのものの一般的な解釈にゆだねたいということで,仮に連続受益者を認める跡継ぎ遺贈が実際に行われたときに,どういうふうに遺留分減殺請求権を行使するかということは,今まで余り議論がないので,まさにこれからしなければいけないわけですけれども,ただ一般的な考え方は--一般といいますか,遺留分が問題となるわけですから,遺留分が問題となる以上は,どこかで委託者が死亡して,その段階を基準にして,そのときに行われている処分,それが遺留分権者の権利を侵害しているかどうかということで,遺留分権利者の方は自動的にといいますか決まりますよね。それから減殺の対象となる方は,これは連続受益者でいろいろなところに財産が移転することは設計されていても,恐らくやはり受託者を相手にして減殺するんでしょうね。

つまり,遺留分権利者の方に十分な財産が行かない,逆に言えば,受託者の方に遺留分を侵害するような財産が行っていれば,それを取り消すということで,その財産が受益者の,連続受益者ですから幾つも受益者がいたときに,どの受益者に行くかということは内部問題みたいなのものなので,余りそこは問題にしなくていいんではないかというふうにちょっと思っております。
しかし,それも含めて,ここで御議論いただくことは結構だと思いますけれども,遺留分減殺請求権を行使できることは,恐らく問題なくて,あと具体的にどういうふうに行使するのかということは,ちょっと残りますけれども,それはそちらの解釈論にゆだねたらどうだろうかということですね。
先ほど○○幹事が言われた根本的な問題で,以前の案としてではなくて,ここで議論されたものの一つとしては,現存する受益者に胎児も含めてですけれども,そういうものに連続的に財産が行くという案が一つ出ていたわけですが,それに対して今回のはちょっと違った形になっていますので,大分説明の仕方といいますか,制度説明の仕方も少し違うところがあるかもしれません。
ただ,先ほど○○関係官から説明がありましたように,遺留分を侵害しない限りでは,財産所有者の処分の仕方の自由を基本的に認めるのであれば,未存在の受益者を連続受益者の一人にする,あるいは場合によっては2人にするということでも構わないのではないかと,そういうお答えだったと思います。これについてはもちろんいろいろ御意見があるところではないかと思いますが。

○○委員。
● ちょっと私自信がなくて,だから不勉強をさらけ出すようなものですけれども,これはやはり英米でどうなっているんだろうかというのは,もう今考えるんではなくてもっと前に考えておくべきだったと思うんですが,いわゆる永久拘束禁止則というのは,ルール・アゲンスト・パーペチュイティーズという話ですよね。

それで信託の存続期間をそれによって限定しているんだと。最近は,もうそれ自体をやめてしまおうというところもあるので,というような話が一つあるんですが,伝統的なルールは,ここが自信がないのが本当に残念なんだけれども,今自分が,孫も生きていれば孫まで指定していると思いますが,今生きている人の,だから誤りがあったらちょっと○○幹事が直してくれるからそうしますけれども,とにかく一番若い,今生きている受益者が生きている間プラス21年だと思うんですよね,多分ね。
そうすると,一番若ければ0歳とか1歳とかあって,それが70年生きるとしてプラス21なら91年間存続するんだという話かなと思っているんですが,それがこれは流動的ですよね,存続期間はね。最近の立法例では,もう存続期間自体を信託を設定するときは80年とか100年にしようとかという例がある。それから,そもそもそんなものをやめてしまって,信託の変更その他で対処する方がいいんだというので,ルール・アゲインスト・パーペチュイティーズ自体をなくしてしまうという立法例もふえてきていると,こういう理解です。
今回のは,ちょっと違う決め方をしていておもしろいねということなんですが,こちらの方のルールは,ルール・アゲンスト・アキュミレーションズというのがあって,これはつまり,例えば私が死んだときに受益権を取得する,だれかにあげるよということだと,その人がとにかくまだ生まれていない孫かもしれないんですが,とにかくずっと私が死んで,その人が20年なら20年,30年なら30年の間は配分しないわけですよね。
信託財産を運用しておいて,蓄積していくわけですよね。そうすると,完全に信託財産はそのまま凍結されているというか配分はしませんから,配分されれば,またその財産がもらった人がどんな形で使うかという話で,いろいろな形で資金がいろいろなところへ流れることになりますけれども,ここの信託財産の中にどんどんふえていればですけれども,蓄積して,これはどうなんだろうかというので,ルール・アゲインスト・アキュミレーションズという,利益をただずっと蓄積していく形の信託に対して,何らかのルール・アゲインストですから,があるはずなんですね。
こちらの方がどうなっているのかなというのを,これはちょっと不勉強で,だから今これはこうですよと。今回のルールはこちらに近いような,いやこちらにのっとったような話をしておられるのかなというふうに考えて,だから今の例ですと20年間の間に例えばだれかが生まれてくるであろうと,その人が生まれてくれば,これは有効に成立して,その人が生きている間,受益権が続くということは,20プラス,だから日本人は80ぐらい生きるのかもしれませんから100年という,そういう感じなんでしょうね。

● そういうタイプも可能だと。典型的なタイプはどういうようなものかわかりませんけれども,仮に親族間での財産承継を考えると,例えば夫がまず第一受益者を生きている妻にして,その後,妻が死亡した後には子供にして,子供の後は生まれてくるそのまた次の子供というふうにして,その一番最後のはまだ未存在の受益者ですけれども,これが20年内に生まれてくるのであれば,そこまでの信託はとにかく有効で,最後の受益者が生きている間といいますか,その間のずっと信託は続くと,こういうタイプが一つですね。

それから,今,○○委員が言われたのは20年の間,まだ受益者が一人もいない,将来の最初の受益者がそもそも将来生まれてくる子供で,それまでの間は財産は全然処分されない,蓄積されたままになっていると,こういうタイプですよね。そういうものも,この20年という期間の中に出てくればいいんだというふうにすれば,もちろん。
● そうすると20年の間は蓄積されていくと。

● これは今までルールがなかったと思うんですね。日本でも未存在の受益者,将来の子供など,受益者にすることはできるという議論は一般的にはあったと思いますけれども,余り明確なルールではなかった,そこに関連しますよね。

なかなか決め手がないところですけれども,先ほどから少し問題になっているのは,期間の定め方についても,幾つか御意見が出たと。定め方というのは長さだけではなくてですね。
いかがでしょうか。○○幹事,さらに何か,引き続き御意見ございますか。
● 特段つけ加える点はないんですけれども,これまでの議論というのは,現存するというのは恐らく信託設定時に現存するだったということで,これが一つの基準であるというのはもちろんで,しかし先ほど言いましたように,委託者死亡時までにあらわれたものというのは次のポイントであり,それをさらに超えるかということなんだろうと思います。
ですので,わざわざ委託者死亡後にあらわれたものまで含める理由というのが一体どこにあるのかなというのは,ちょっとさっきからずっと考えはしているんですけれども,そうなっていれば便利だろうというようなこと以上に,何か積極的なものというのがあるんだろうかなと。
そうすると,この14ページから15ページにかけてありますように,一世代が後続世代の財産処分の可能性を縛ってしまうというようなことは認めないという,もう根本的な秩序感というのがもしあるとするならば,委託者死亡後にあらわれたものまで含めるというのは,ちょっと抵触してしまう可能性があるのかなと。10年,20年だったらいいではないということぐらいしか,ちょっと言いがたいのかなという気がします。

何かもう少しあればいいんですけれども,問題になっているのは,相続人の遺留分さえ侵害しなければよいではないかということだけであれば,もうそれさえ侵害しなければ,どんな長い信託だって別に構わないということすら言えるわけなので,やはりもうちょっと違うところがポイントなのかなという気がいたします。
ですので,信託行為時に現存するというのは一番わかりやすいですし,仮にそうでないとしても委託者が生きている間であれば処分可能であったわけであって,生きている限りにおいては一定の縛りがあり,かつ処分は可能だということで,正当化がぎりぎり可能なのかなという感じはちょっとしています。別に確たるものはありませんけれども,そんな感じです。

● ○○幹事の御指摘の中で,確かに死手契約の死手支配の禁止というか,一人の人が死んだ後も財産を決めてはいけないという原則があることは承知いたしておるつもりでおるわけですけれども,それはしかし,何も委託者が死んだ後に登場する受益者というものを認めてはいけないというふうにまで厳格に解されては,既に現時点でいないと思うのですね。

例えば将来登場する受益者を対象とする信託を設定して,その後死んでしまいましたというときに,ああ委託者死んだからと,それでまだ受益者登場していないよねと,したがってこの信託は無効だというような考え方をすることまでに,死手契約,死手支配の禁止というのが貫徹されているというふうには考えておりません。
それが結論として正しい結論なのではないかと思うんですけれども,その上で考えたときに,したがって,もちろんだからといって,遺留分を侵害しながったら,常に何でも将来までありだというようなことについては,それは確かに一定の財産欠如というか,ある時代の財産というのはある時代の人が決めていくんだというお考え,そういう財産権の秩序というのがあるというのを前回の会議でも,まさしく○○幹事から御指摘いただいたところでございますので,委託者が財産処分をした信託設定時から相当の期間内に登場する受益者というものを対象とするようなものであれば,いわば委託者と同じ時代,ちょっと情緒的な表現で恐縮なんですけれども,委託者と同じ時代に生きている人の中で信託設定をしているというふうに見られるではないかということで,そういう観点から一種,信託設定があったときから相当の期間というようなことで,○○幹事の前回の御指摘には配慮したつもりでありますし,相続法の秩序という観点からいけば遺留分のところを勘案させていただいて,確認させていただいていると。
それから,ルール・アゲンスト・パーペチュイティーの方は,こういう制度を設けたことによって担保されるのではないかなというふうに,一応それぞれの観点から考えてこういう設定にさせていただいているということは御理解いただければというか,御検討いただければというふうに思います。

● それでは,これはちょっと,やはり相続法のルールももうちょっと,英米のも少しこの間に調べて,もう一回考えたいと思いますが,基本的にはこういうものを設けるということで,何らかの解釈上の手がかりになるような,こういうものを設けるという方向ですけれども,今の○○幹事などからの御意見に対しても,いろいろな形のお答えができるように,あるいはまた期間の制限のかけ方自体についても,少し検討させていただければと思います。ということで,これは次回17日,もう一度おかけすることにいたします。

ほかに本日,一応これで一通り終わったわけでございますが,よろしゅうございますか。
それでは,次回の予定を。
● では,次回でございますが,17日,火曜日の1時から5時まで,今度は法務省の17階の会議室の方で行わせていただきます。本日御指摘いただいた若干の論点の積み残し分を議論させていただくことと,遅くとも当日までには要綱案をお配りいたしまして,御意見を賜りたいと思っておりますので,宜しくお願いいたします。

● それでは,今日はこれで終わります。どうもありがとうございました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
すみれ・ポリー・番人
「お疲れ様でした。法務局で一時間半待つとあまりやることもないですね。」

フェルメール20160308