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2016年加工編  法制審議会信託法部会  第25回会議 議事録
2016年03月17日

2016年加工編
法制審議会信託法部会
第25回会議 議事録

第1 日 時  平成17年11月18日(金)  自 午後1時07分
至 午後5時08分

第2 場 所  東京高等検察庁 第2会議室

第3 議 題  信託法の見直しについて

第4 議 事 (次のとおり)

議        事

● では,これから法制審議会の信託法部会を開催したいと思います。
● それでは,本日席上配布いたしました資料に基づきまして御審議いただきたいと思っております。

どの項目からやるかというのは,適宜こちらの方で調整していきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
● では,お願いします。
● では,まず最初に,帳簿作成義務のところから御審議いただきたいと思います。
それでは,まず内容について,変更というか検討した点について御説明いたしますが,ここでは主として2点について御審議を願いたいと思っております。

まず,閲覧拒否事由に関しまして,前回会議の提案におきましては,(注1)の③ないし⑥の事由につきましては受益者が複数の信託一般に適用があるとしておりましたが,受益者が複数とはいってもなお個人的な色彩が強い信託があることを理由に,この提案に反対する意見が示されておりました。
しかし,検討いたしますと,③ないし⑥の事由と申しますのは,いずれも請求者以外の他の受益者の利益を害する内容の要求でございまして,個人的な色彩の強い信託であれば許容されるという筋合いのものではないと思われます。
そして,本当に個人的な色彩の強い信託であれば,委託者が信託行為において閲覧拒否事由を制限するという対応をとることも可能であると思われます。

これらの事情にかんがみなますと,前回の提案,すなわち受益者が複数の信託であれば,信託行為で除外されていない限り,一律に③ないし⑥の閲覧拒否事由の対象となるという提案を維持したいと考えているものでございます。
もう1つは,前回の提案におきまして,受益者の同意を得て閲覧対象書類を制限できるとした場合に,このような制限が譲受人に承継されるのかという点が問題となりました。
この点につきましては,このような制限につきましては,受託者が受益権譲渡人に対して有するに至った一種の抗弁事由でございまして,受益権の譲渡に関する規律に従いまして,譲渡人にも対抗することができることになるというふうに整理しております。

このように承継されると考えているわけでございますが,開示制限の対象となり得る書類は,この資料にございますとおり,重要でないものですとか,第三者の利益を害する恐れのあるものに限定されておりますし,前受益者が,いわばその後の受益者も代表して閲覧対象の制限に同意しているというふうにも見ることができますので,譲受人の利益を不当に害するものとはいえないと考えるものでございます。

まずこの点につきまして,御審議をお願いいたします。
● それでは帳簿作成義務等につきまして,主として今の2つの点,説明がございましたが,それを中心にしてその点で,それ以外でももちろん結構ですので,御議論お願いいたします。

● 前回問題提起させていただいたところですので,意見を述べさせていただければと思います。
まず閲覧拒否事由についてなんですけれども,この③以下の拒否事由についてどう考えるかということですが,前回の受益者が単数か複数かで切り分けるということを維持されるという御提案なんですけれども,若干,具体的に見ると,やややはり問題が残るのではないかという感じがしておる点がございます。
御指摘いただいている内容の中で,③の受益者の共同の利益を害する目的での請求ですとか,⑤の利益を得て情報を第三者に通報するための請求については,これは個人的な信託の場合にも権利行使を認めるべきではないというのは御指摘のとおりだと思うんですが,他方で④の受益者が信託に係る業務と実質的に競争関係にある業務を営んでいる場合ですとか,あるいは⑥の過去2年以内に利益を得て第三者に情報を通報したことがある者である場合という,この類型については,こういった事情があった場合があるとしても,定型的に拒否事由としていいかどうかということについては,個人的色彩の強い信託の場合には,なお疑問があるのではないかというふうに考えております。
例えば④については,今後信託がいろいろな使われ方をしていくということを考えますと,例えば家業の一部を信託して親族を受益者とするということも,あるいはあり得るのかもしれない。
そういった場合に,当該受益者が同業を営んでいるような場合には,むしろ監督の実効を図るという観点からは,権利行使を認める場合が適当な場合もあるのではないかというふうにも考えられます。
すみれ
「複雑な場面だね。」

それから⑥については,集団信託でそういった行為をした者であっても,例えば親族間の信託の帳簿を見せてほしいといった場合に,これを定型的に拒否すべきかどうかについては,なお疑問があるように思われます。
こういった観点から,個人的色彩の強い信託には,③以下を適用することについては,なお問題があるように思われます。

こういった点から,受益者が単数か複数かで切り分けるというのは,やはりちょっと切り分けの方法としては問題ではないかというふうに考えております。

切り分けの方法について記載いただいております①,③について,御検討いただいておるところなんですけれども,何とかこれを明確化する方向でできないかというのが率直なところです。
あと,いろいろ申し上げて申しわけないんですけれども,もう1つ切り分けの方法としては,個人的色彩の強い信託を切り分ける方法として,例えば委託者と受益者が同一主体か,または親族関係がある場合とか,そういったところで切り分けるという方法はどうだろうかということも,あまりこなれた案ではないんですけれども,何とかそういった形で合理的な切り分けができないかということを考えております。
切り分けの基準として,適当な基準が見出せない場合にどうするかということは,これはその先もう1つ考えなければならないことかなという気はしてはおるんですけれども,そういった場合には,やはり拒否事由を広く認める方向ではなくて,閲覧を広く認める方向で規律することを御検討いただけないかなというふうに思います。
恐らく,あまり意見を述べる機会がないと思いますので,若干ちょっと補足させていただきますと,この間意見を述べさせていただいてきているところですけれども,やはりこの受託者の情報提供義務というのは,極めて重要なところかというふうに思います。

信託事務処理の適正確保という観点もありますけれども,さらに一,二点補足させていただきますと,信託の事務処理が受益者の目に触れることによって,信託事務処理自体が改善されていくというような効果というものも期待されるのではないかというふうに思われますし,またこの会議の場では,受託者の萎縮効果ということが論じられることがありますけれども,逆に受益者の,あるいは委託者の萎縮効果ということも考える必要があるのではないかというふうに思われます。
信託をしたことによって,情報がなかなか出にくくなるという事態があるとすれば,やはりそれは委託者ないし受託者にとっては信託を利用するに当たって,ちゅうちょする1つの理由というふうになりはしないかということが懸念されます。

こういった観点から,ぜひできるだけ広く認める方向で規律を整理するということを御検討いただけないかと。
この閲覧請求の問題については,基本的には,最終的に,例えば裁判所で結論がどうなるかということもあるんですけれども,やはり受託者との間で,閲覧の拒否を認めるかどうかをめぐって紛争となること自体が受益者にとっては負担となることですので,こうした事態は可及的に除くような方向での規律をお願いできないかというふうに考えます。

そうした観点からすると,御提案の方向とはちょっと若干違うんですけれども,むしろ規律ができないということであれば,信託法の取り決めとしては①と②を拒否事由とするということで統一するということを御検討いただけないだろうかと。

広がって考えますと,③以下の事由というのは,集団信託の場合には①の事由を類型化したものとも考えることができると思われますので,むしろこの①の中にも読めるというふうに考えるとすれば,この①と②の事由だけを拒否事由として規律すると。あとはある程度解釈にゆだねていくというような方向もあり得るのではないかというふうに考えております。
以上が,前段の問題についてです。
それから閲覧対象制限についても,長くなって恐縮ですが,一言意見を挙げさせていただければと思うんですけれども,1つ,若干この点については質問があるんですが,この要件の中で,1(2)の書類または当該請求によって受益者以外の第三者の利益を害する恐れのある情報の記載された文書ということを,要件というふうに書かれてあります。
これは,御説明の中では受益者の権利の保護,害しないということの理由の中で,対象となる書類を限定しているという記載のところで触れられているところなんですけれども,この書類の対象の限定について,実効確保を裁判所による救済を求めることができるのか,具体的にはこの文書の対象に外れるかどうかということを,裁判所に問うことができるのかとどうかということを,1つ質問させていただければというふうに思います。

それから制限の承継については,資産流動化での利用や,ライセンス契約の相手方の内容の秘匿の場合には,制限が受益権の譲受人に承継されるとする規律によらざるを得ないというふうに,私も考えます。しかし,これ前回も述べさせていただいたんですけれども,やはりこの第三者の中に,受託者を入れるというのは,やや問題があるのではないかというふうに思われます。

流動化やライセンス契約の場合には,こういった制限の承継を認めていくということに合理的理由があると思いますけれども,受託者の利益を害する書類というものについて承継を認めるということについては,やや正当化が難しいのではなかいかというふうに考えておりまして,この点については御検討いただければと思います。
長くなってすみません。以上です。
● 重要な問題でございます。ありがとうございました。
今のに関連して,御意見ございますでしょうか。
○○委員。
● 今の○○幹事の御意見のところの最終的な,最後の部分のところの,受益者以外の第三者の利益のところの部分について,受託者については排除した方がいいのではないかというような御意見だと思いますけれども,これについては前回も申し上げたんですけれども,まさに信託というのはいろいろな種類のものがございまして,そういうストラクチャーそのもの自体を売りにしているというようなものもありますので,そういった営業上の秘密であるとか,受託者が秘密にしたいことというのも当然のことながらありまして,そういうことのところへのご配慮は,やはりいただきたいなというふうに思っております。

それと,これも前回申し上げたことなんですけれども,10ページの2のところの帳簿閲覧等と請求の対象の制限の承継についてということで,これについてはこういう形で整理していただいて,規律していただくというのは非常にいいことだろうと思います。

ただ,受益者が多数の場合については,自益信託で受益権が譲渡される場合以外に,これもこの前申し上げたんですけれども,当初から他益の場合,典型的にいうと年金信託のようなものがありまして,これについての対応といいますか,実務上やはり秘密にしないといけないという部分もありまして,これについては,この規律ではなかなか対応ができないということで,これについては前回も申し上げたんですけれども,受益者代理というところへの報告をして,それで同意をするという形の規律を入れていただけないかということと,あとは,これは○○幹事の方からお話がありましたけれども,他益の信託であったとすると,他益の信託の受益者になるというところの部分で,閲覧の制限に同意しないと入れないというようなことができるのかどうか,それの方についても,認めていただけたならというふうに思っております。
以上です。

● ありがとうございました。
いかがでしょうか。
● 私は1点なんですけれども,受益者の同意を得て帳簿閲覧請求を制限した場合ということですが,信託行為で制限している場合の議論では,あくまでここに書いてあるように,個別の受益者との間で合意したというケースという理解でよろしいんですかという質問と,その場合には,その制限というのが承継していくというのは,要するに抗弁として成り立つというのは何となく,ちょっと違うのではないのかなという。

当初から信託契約の中で制限されるのは通常の議論ですし,その前段の方の議論でもあると思うので,その場合には初めから制限されていますから,そもそも抗弁ではなくて,そういう制限されたものがくっついた受益権が転々と譲渡されていくというような整理の方が通常ではないのかなと思うんですけれども。

● 確かにその方がわかりやすい気がしますね。
幾つか,○○幹事,ありますか。
● まず今御指摘のあった,同意があった場合について抗弁になるかどうかというお話ですが,私どもでは,とりあえず受益者の個別の同意でいいのではないかと思っていたわけでございますが,受益権に付随する制限だというふうに考えるとすると,やはり信託行為に定めて,これについて受益者の同意があった場合には閲覧制限ができると。

そういうふうにすれば,受益権に付随する事由というふうに説明しやすいので,承継されると,受益権自体の内容ということになりますので,そこは今お話を伺っていて,そういう考え方も1つ成り立ちうるなという気がしております。ただ,受益者の同意が必要ということについては御異論がないと思うんですが,そこはよろしいでしょうか。

● 個別の同意も要らなくて,信託行為で制限されていれば,それはこの権利だけではなくて,いろいろなものがそうだと思うんですけれども,信託行為の中で受益権の持っている契約上の性質を定めるわけですから,そういうものとして受益権は転々と移転していくものであるというんですから,もともと受益者の同意の議論ではないと思うんですけれども。

ただ,個別に受益者が同意した場合には,その方に対しては制限するのは当然ですけれども,隠れた同意が転々と譲渡されて,次の方は,もともと信託契約を見たら,フルにディスクローズされることが書いてあったんです。

いや,3代前の受益者が実は制限していましたのですから抗弁ですとは,何となくちょっと違うのではないのかなというふうに思った次第なんですけれども。

● 基本的な考え方は,受益権そのものに伴う制限となっているかどうかということなんだと思いますよね。信託行為でもって制限していれば,まさに信託の中身でもあり,受益権そのものについての制限であるということ,これは承継されて構わないと。
ですから,○○委員が問題にされているのは,信託行為で制限されていなくて個別に制限に同意したような場合ということですね。ここまで承継させなくてはいけないのかどうかという問題だと思いますけれども。
すみれ
「承継されないんじゃないかな。」
ここの帳簿閲覧請求権に対する制限というものが一体どういう性質なのかというところは,私もよくわかりませんけれども,補償請求権とかいうのはとにかく完全に外のもの,信託の外の同意だというふうにしましたが,こちらはどの程度のものなのかということですね。
とりあえず,信託行為で定めた場合には,これは承継されるということで,恐らく異論はないと思いますけれども。
● ただその場合には,信託行為で閲覧請求権を奪ってしまうということになるところが,ちょっと事務局としては懸念があるわけで,信託行為で定めた場合に閲覧請求できなくなるとしてしまって,果たしていいのだろうかと。

ここは,さらに受益者の同意というのがあるからこそというのを,受益者の利益保護を重視しているところがございますので,そういう意味で言うと,信託行為で定めれば制限できるんだったら,そもそも構造自体が,受益者の保護からすると不足だということになるので,信託行為プラス受益者の同意というのならあり得るかなという気がするんですが,受益者の同意なしというのは,ちょっとまずいのではないかという気がしておりますが。

● そうだったんですか。そういう考えで。
● ちょっと問題の整理の仕方が,私が悪かったかもしれないけれども,これは先ほどから御議論いただいているように,非常に重要な受益者の権利ですので,単に形式的にというか,受益者が知らないところで信託行為で定められただけでは,制限されるのはどうも適当ではないだろうということで,受益者がやっぱり関与しているという形の同意が必要だと。

それを,しかしどういう形で,またやるか。自益信託であれば信託行為そのものでやろうというのはできますけれども,他益信託なんかの場合に,関与していないのでどうするかというのが第1の問題であり,信託行為の形であらわれないときにどうするかというのが,次の問題ですかね。

● この点は,前回の会議でも私の方から質問差し上げたところなんですが,まず押さえておきたいのは,自益信託の場合は信託行為に書けば,これはその同意があったというふうにみなされて,受益権が譲渡されたとしてもその後に及んでいくということは,これはそういう理解でよろしいんですか。

問題になるのは,ですから他益信託のときだということでございますか。

● そうですね。自益のときもおっしゃるように,1つの紙に書いてあったとしても,それは信託契約プラスこの受益者の同意が,2つの合意がされていると見ることができると思いますので,自益信託の場合には実質的には問題が生じないと。

他益のときに,今の○○委員の御指摘を踏まえれば,信託行為で受益者の同意があれば閲覧請求権を制限できますと書いておいて,受益者の同意をとったときに,この制限がかかってくるという理解ができるのではないかと考えているところでございます。
あと,先ほどの御質問のあった点ですけれども,このように受益者の同意を必要と考えておりますので,それであれば,たとえ第三者が受託者であっても,受託者のノウハウについての制限ということについて受益者がそれを同意していれば,それは別に制限事由になっていいのではないかなというのが,我々の考えでございます。

あと,重要な情報か否か,あるいは第三者の利益を害するおそれのある情報か否かというのは,これは当然,最終的に訴訟になったときには司法判断の対象になるだろうと考えております。

あと③以降の事由は,特に③,⑤はいいと言っていただいたんですが,④とか⑥とかの事由はどうかということでございますけれども,例として出されたのが家業の維持とか,そういう場合でございますが,そうすると,そもそも受託者の方で拒否しなければいいわけなので,一般的にはこれが閲覧拒否事由になっていても,閲覧請求があった場合に受託者の方で,これは他の受益者の利益を害する性質がないなということで閲覧させればいいのではないかと思っておりまして,あくまで法律の規律としては,こういうものを閲覧拒否事由とした上で,あとは信託の性質に応じて受託者の判断にゆだねればいいのではないかなという気がしております。

共同事業を行っている場合とか,あるいは前に悪いことをしたという場合,共同事業の場合というのは,これはやはり他の受益者の利益を必ずしも害さないわけではないと。
やっぱり他の受益者に影響を及ぼすということは考えられますし,⑥は,若干制裁的なニュアンスが出てくるわけでございますが,やはり以前1度こういうことをした者については,なおこの新たな請求によって,他の受益者の利益を害する恐れが,一般的に,類型的に高いだろうというふうに言えると思いますので,この④と⑥の事由についても,他の受益者を保護するという観点から閲覧拒否事由として定めておいた上で,あとは受託者の方の判断にゆだねるということで,信託の類型に応じて対応できるのではないかというふうに考えるわけでございます。

切り分けは,確かになかなか名案がないということで,単複というのは極めてシンプルなわけでございますが,この資料には,ほかの理由は十分規律として明確ではないと。
親族関係というお話がありましたけれども,それも決して明確ではなかなかないわけでございまして,何親等以内だったらいいかとか,同居しているのかどうかとか,なかなか名案はないので,やはり単複で分けるということで,この原案維持ということで御承認いただけないかというのが事務局の考えでございます。

● 何か,いかがでしょうか。
それでは,幾つか御意見もありまして,多少修正する余地がないわけではないかもしれませんけれども,この③から⑥までについては,基本的には受益者複数の場合には,ほかの受益者を害する可能性があるということで入ってはいるわけですけれども,裁判にまでなれば,これは実際には害していないとかとうことでもって,該当しないということでもって判断されるんでしょうけれども,先ほど○○幹事が言われたように,入り口の段階でどうかというところは,確かに重要な問題ですので,あまり萎縮効果というんでしょうか,受託者の方からとりあえずは拒まれるというのは,受益者の保護という観点からすると,問題がないわけではないというふうに私も思います。

思いますが,しかし同時に,他の受益者を害する可能性があるということであれば,これらの理由,③か,ないし⑥の事由に該当する場合に,拒否できるということについて正当性が,またないわけでもないので,ここら辺は皆さんの御感触をお伺いしたいと思っておりますけれども,これで信託の健全性が図られるというのであれば,それでも許容できるという御意見であれば,この原案で,とりあえずはいってみたいというふうに思いますが。
○○委員。

● この③,④,⑤,⑥の,この点ですけれども,実際の運用の仕方がどうなるかにもよるということもあるかもしれませんが,特にこの④ですよね。これ,先ほど○○幹事の方から,受託者が家業の繁栄を考えれば拒否しない選択をすればいいんだというような御説明ありましたが,受託者に問題があると思われるときに,開示請求というのは出る場合が多いわけなので,そうすると,そういう受託者が拒否してしまいますから,そうすると実質的にというところが,どういうふうに規定されるかにもよるかなとも思ったんですが。

例えばアパートの賃貸業なんていうのは幾らでもある話で,信託財産がアパートだった場合に,アパート賃貸して運用していると。受益者の1人がやっぱり自分がアパート持っていたというと,実質的には競合関係になってしまうんですかね。そうすると拒否されてしまうと。それはやっぱり何か変な感じがあるんですけれどもね。
● そこは,だから実質的にという判断で,当然になるわけではなくてという含みが,この実質的にという言葉に少しあるんだと思いますけれどもね。

● ただ,賃借人の取り合いという競合関係なんでしょうかね。それで見られないというのが,何かやっぱり不都合な感じがしますが。
ポリー
「取り合いしても得られる利益は同じになると思います。」
● もしかしたら,今○○委員が言われたように,この中で比較的問題になりそうなのが,やっぱり④かもしれませんね。
いかがでしょうか。この④のあたりについて御意見があれば。

● 規範的な概念を少し入れることはできないんですか。ほかのところは,不当な利益を得るとか,ここだけは競争禁止上見せませんという規範になってしまって,ちょっと①,②自体が,ある意味では規範的な要素,不当性とか不適当性というのを基準としていて。先ほど○○幹事がおっしゃったように,それ以下のところは,ある意味では①,②の具体的な形で書いたようにも思われるんですけれども。
そうすると,④だけ,④があらゆる状況においていけないとは思いませんけれども,不当にとか,不当が強過ぎるんであれば,何か競争用に有利に用いるためにとか,何でもいいんですけれども,ちょっと少しだけでも規範的な概念を入れることができないかなと思います。

● 実質的にというのが,ある意味でいえば規範的な要素として。実質的には狭くなる範囲もあれば,広くなる範囲も,○○委員がおっしゃったように,これを根拠に拒む場合もあるでしょうけれども,こんなのは実質的には競争関係にないんだということで,閲覧拒否事由にならないという判断もあり得るわけでございまして,かつ受託者がおかしな人で,何でもこれに当たると言って拒めば,それは最終的には訴訟で争えば,もちろん受益者の方で勝てる場合だって十分あるわけでございまして,受託者がむやみに拒否するというのはほかの理由でも十分あるわけですので,その場合は,最終的には訴訟での解決にゆだねざるを得ないし,それをもって受益者は権利を確保できるという考え方をとることができるのではないかなという気がいたしますが。

そういう意味で言えば,会社法に倣っているということもあって,これをもって十分規範的な要素も含み,適切な対処が,最終的にはできるのではないかなという気がしております。

● いかがでしょうか。
これ,会社法は全く同じ文言なんですか。
● 会社法は,請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み,またはこれに従事するものであるというときということですので,同じ文言でございます。

● 基本的にはここら辺は,いずれも会社法に則りながらつくったわけですね。

● 特に受益者が複数の場合は,株主が複数の会社と基本的に似た構造になるのではないかということでございます。
● いろいろ御意見があるかもしれませんけれども,会社法であるルールというのを,ここでも大体同じようなルールを設けるということで入っているものでございまして,さっきの④に関しては,私もちょっと,どこまでこういうことでもって拒んでいいのかという感じはしないではないんですが,実質的にという概念を,それこそ規範的に適用してもらうと。あるいはそういう前提で,この④を考えるということでいかがでしょうか。
なかなか条文をつくる際に,会社法と違う条文をつくるというのはつくりにくいということもあるかもしれませんが。
● 必要があると思えば会社法とは異なる条文とすることは当然ですが,ここは会社と似た構造にあるのではないかなというわけです。
● それでは,とりあえずはこの原案の方向で少し進めさせていただいて……。
どうぞ,○○委員。
● ちょっと質問なんですが,受益者複数の場合で全員が一致した場合には,単数と同じように考えてよろしいんでしょうか。
● 全員が一致して何をするわけですか。
● 請求を。
そうしますと,個人的な色彩の強い場合に,全員が一致することによって,請求できるようになるかなと思ったんですが。
● それでよさそうな気もしますね。
2人受益者がいて,2人とも請求しているという場合であれば,これは。
● それはいいのではないかと,1人と考えるんだろうなと思います。他の受益者の利益を害するというのが,この③~⑥の趣旨ですから,2人が一致しているんだったら,あとは①,②だけの問題かなというふうに思います。
● ちょっと今の場合も,今○○委員が言われて直ちにみんなそうだろうと思ったと同じように,解釈でそうなるとは思いますけれども,文言としても明確にできるのであれば。
● 条文でどこまで入れるかはこちらで対応させていただきたい,ゆだねていただければと思いますが。
● よろしいでしょうか。
● ちょっと1点よろしいですか。
● はい,どうぞ。
● 先ほど○○委員が御指摘されたことをもう1度確認させていただきたいんですけれども,我々事務局の提案といたしましては,委託者と受託者の合意だけで,帳簿等の閲覧請求権の一部というのを制限するということは適当ではないのではないかという考えのもとに,信託行為の定めプラス当初の受益者の合意というものがあれば,一部制限していいのではないかというように考えておりまして,当初の受益者が合意している以上は,受益権の内容として,そのような帳簿が見られないという権利が受益権の中に発生しているので,それを承継した後の受益者についても,それが及ぶというように考えておりまして,これについては合理的な考え方ではないのかなというふうに思われますのが,まず1点と。
あと,先ほど○○委員の方から,受益者代理でこの合意というのをすることができないのかというような御指摘がありまして,この点につきましては事務局の中でもいろいろ考えておりまして,受益者代理というのは受益者に対して善管注意義務等の義務を負うという観点からは,合意を受益者にかわって受益者代理がするというようなことをしていいのではないかというようにも思える反面,やはり受益者の合意がなければ,このような重要な権利の制限というのを認めるべきではないのではないかというようなところが,なかなか悩ましいところでありまして,この点につきまして,ここで御審議いただければというように考えております。
よろしくお願いいたします。
● いかがでしょうか。
● 私の関連のところだけ,一応簡単に。
ここの規律としては,受益者保護になるから,それはそれでよいと私は思います。
ただ,ほかではそういうもの出てこないし,あと信託というのは,受託者と受益者が合意しても,それが受益権の中身になるというのは,あくまで個別合意であるということでほかのところはきていると思いますので,ちょっとここだけ特殊な,特別な扱いということでいいのかなとは思うんですけれども。
何か他に影響すると,知らない間に受益権の内容が,あるとき変更していて,それが信託行為とは別に存在しているというのが,ここだけの規律であればいいんですけれども,ほかのところとの関連でもそういう解釈が出てくるのは,ちょっと心配かなと思うんです。
ただ,ここでは全然それで構わないと思いますけれども。

● 確かに実質論としては,何かよさそうな気もするけれども,信託の構造論として考えたときどうかという問題ですね。

ちょっと,少し留保させていただきたいと思いますけれども,信託行為で定められていて,受益者が同意していることについては,これは問題ないと。
しかし,信託行為で書かれていない形で受益者の同意があったというときに,どういう扱いをするかということについては,ちょっとこれは引き続き検討させていただくと。
● やはり,これは個人的な見解ではありますけれども,受益者だけの合意があった場合について,信託行為の定めがない以上は,それは承継されないと。
もちろん自益信託であれば別ではありますけれども,他益信託の場合は,信託行為に書いてあって,かつ受益者の合意がある場合に限って,承継された受益者にもそのような制限というのが及ぶと。
だから少なくとも受益権を譲り受けた受益者というのは,信託行為を見れば,そのような制限がある信託の受益権を譲り受けたんだなというのはわかるというところで,受益者の保護は図れるのではないかというようには思いますけれども。

その点につきましては,もう1度検討いたします。

● 今の場合も,信託行為の中に書かれるという,信託行為に書くのは,他益信託であれば委託者と受託者ですけれども,それにプラスして受益者の同意があるという場合には,受益権そのものの制限として承継されて構わないだろうと。恐らく実質的には,そこは御同意いただけるんだと思いますけれども。
それ以外の場合に承継というのがあり得るかどうかということについては,もうちょっと検討させていただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
● 今,○○関係官がおっしゃったことに,私賛成いたしますけれども,1点ちょっと確認させていただきたいのは,もう既に御議論がなされたことかもしれませんが,承継する場合,受益権が有価証券化されていたときに,有価証券上に,こういった制限がなされているということは必要的記載事項とされることを考えておられるのか。有価証券化されている場合とそうでない場合とで,随分またシチュエーションが違うかと思います。
特に有価証券化されている場合には,有価証券上にその旨がやはり書かれていないと,不測の損害と申しますか,生ずる恐れがあるような気がいたしますけれども,この証券化されている場合の承継の扱いについて,コメントいただければ幸いでございます。

● いかがでしょうか。
● 現時点では,ちょっと直ちに考えていなかったところでございまして,また追って返事させていただければと思いますが,○○幹事の御意見としては,そこはやはり載せておいた方がいいということですね。
● ええ。有価証券化された場合には,それは必要的な記載事項とすべきではないかと考えます。

● ほかに。
○○幹事。

● 記載の意味内容なんですが,それというのは,受益者の同意が必要であるというふうな実体法規があるとするならば,制限されるというふうに書いてあっても,それは制限されるという意味には解釈されなくて,受益者の同意があるときに制限されるという解釈になるんだと思うんですね。
そうすると,それが信託行為に書かれているから,譲受人はわかると,そして対抗させてよいということには,やはりならないと思いますし,有価証券化するときに書くとしましても,書いたとしても,それはあくまで同意があったときには制約されるという意味内容でしかありえないのではないかと思うんですが。
● 理論的には,何かそんな感じもするし,難しいですね。
今の問題は,しかし,有価証券の場合はまたちょっと,基本的には同じ問題だと思いますけれども,とりあえずはさておいて,普通の信託行為の場合に,ただ書いてあっただけでは承継されないだろうと。実質的に受益者の同意があったという。それはそういうことでいいのではないんですかね,しかし。結論は。
だから,ちょっと不明確にはなりますけれども,例えば受益権を承継した人間からすると,信託行為には一応制限が書いてあると,だけれども実質的に同意がないということを証明できれば,そうしたら閲覧請求できるということになる。ですから信頼したことによる,何か不利益が受益権の承継人に生じるというわけではないと。
● 有価証券が発行されているときに,どういうオペレーションになるか,ちょっと具体的にうまく想定できないんですけれども,次のようになるのであればこうなるのではないかと思うんですが。
一たん有価証券が,信託が設定されたとともに受益者に渡されると。しかしその後受益者が同意をしたら,その同意は受託者に対してするんだろうと思いますので,そのときにその有価証券に同意が行われたということを,追加して記載するということはできないんでしょうか。そうすると,今○○幹事がおっしゃった問題は,そこで解決するように思うんですけれども。
しかし,有価証券というのは,その後信託が成立した,信託行為が行われたときの有価証券というものは,記載内容がその後変更できないんだということになると,○○幹事の,恐らく最初の疑問の発端にある,そこで書けるのは閲覧が制限されているということではなくて,同意があったら閲覧は制限されると,その状態しか書けないのではないかということかと思うんですが,その前者の方の,操作というか取り扱いが可能であれば,○○幹事の御提案の問題も解決するように思います。

● ちょっと,有価証券に後から書けるのかどうかとか,よくわかりませんけれども。
どうぞ,○○幹事。
● 有価証券はわからないんですが,問題は,有価証券になったとしても信託行為になったとしても,共通のところがあるのではないかというふうに考えておりまして,仮に有価証券では逐一書かなくてはいけないということになると,信託行為オンリーである場合に,自分が譲り受ける受益権が,閲覧制限がかかったものであるのかどうかというのは,それはやっぱりわからないわけで,恐らく信託行為等で逐一追加してというようなことは,なかなか,逆に考えにくいのかなと。
個別対応を,個別同意というのは考えているわけですので,有価証券の場合は,エキストラでということは対応可能であればできるのかもしれませんけれども,大元の信託行為の問題は残るのではないかという気はいたします。
その際なんですけれども,1つは,記載の内容がどういうふうなものになるのかということで,同意があれば制限される性質のものであるというときも,その同意をだれからとるのかというと,先ほど御説明の中では当初受益者という限定をされていて,文章の中ではそういう限定は必ずしも明確ではないと思うんですけれども,当初受益者の同意があれば,そのような性格のものとして譲渡されていきますということまで記載されていれば,制約が当然自分に,自分が同意していなくてもかかってき得るものであるというところまではわかると。

そのときの記載は,同意そのものを明らかにしているというよりは,そういうような性格を持った受益権であるということと,譲受人に対しては一種の公示の性格でしょうから,そこは一種の警告の公示になっていて,そのような制限のかかったようなものを,あなたは譲り受けようとしている可能性があるので,実際に,では制限がかかっているかどうかは,当初受益者の同意があったのかどうかにかかってくるわけですので,そこは調べてくださいという,一種のノーティスファイリングみたいな,そういうような機能を,そこで実は,譲受人との関係では持たせているということになると説明せざるを得ないのではないかと思うんですが。

ただ,さらに言うと,そうしたときに,そういう当初受益者の同意はないので制限がありませんという説明を受けて購入したところ,実はそうではなかったというような場合にどうなるのか等々の問題はかかってくるように思いますけれども。
● それは,また次の段階の問題として,ただ信託行為に書かれている内容の意味については,私も今の○○幹事と基本的に同じ考え方ですけれども,それによって警告を受けるということですよね。譲受人としては。実際に同意があるかどうかは,その同意があるかどうかを調べて,どちらかということを判断すればいいと。
少なくとも信託行為に記載されていることを信用したことで,何を信用したかということですけれども,当初の受益者が本当に同意していれば,この制限を受けますよという警告があり,そこまでを信じているわけですね。
実際に同意がなかったので請求できるんだということになれば,これはこれでもちろん受益者にとっては,いずれにせよ受益者としては信頼を害されたということは別に生じないわけで,そういうことで問題はないのではないかという気がいたします。
ただ,○○幹事が言われた次の問題ですね。記載がそこまでにとどまっているために,つまり受益者の同意があるということまで記載されていないために,受益権を譲渡する人間が,同意があるんですよと言って譲渡したけれども,実はなかったときにどうなるか。
ただ,これは,また個別の取引の問題として,そういう受益権を譲渡した人間の責任の問題として解決すればいいのではないかという気もいたしますけれども。
● それで,今のような理解が御提案のものであるとしたときに,ここからちょっと確認をさせていただきたいのですけれども,承継も含めて,問題となる同意をする受益者というのは,当初受益者に限るという理解でよろしいんでしょうか。
仮に,机上の空論かもしれませんが,有価証券でもなくて,何者かに譲渡されていった場合に,当初の受益者は同意しなかったけれども2番目の人が同意したというような場合は,この場合の話ではなくて,実は信託行為の定めプラス個別同意でセットによって,受益権の性格自体を抗弁権つきのものにかえていくというものには乗らなくて,それは単にその人が,いわば閲覧制限,単純に放棄したというだけで,後の人には承継されないと,そういう理解でよろしいんでしょうか。

● 私の説明では最初と言ったかもしれませんが,別に2番目でも3番目でも,譲受人が承諾をすることは可能でして,その場合は,当初の受益者が同意していなければ,それは完全な閲覧請求権があるような受益権であったと。
しかし,譲受人のところで同意が得られれば,そこで,言ってみれば受益権の性質が変じまして,閲覧制限つきの受益権というものになって,それがその後の受益者に転々譲渡されて引き継がれていくということになるのではないかなという気がしております。
ですから答えを端的に言いますと,別に当初の受益者に限らず,その後の譲受人であってもいいし,そのときに初めて受益権の性質が制限つきになるというふうに考えているものでございます。
● そういう旨を,さらに記載していくことになるのかと思います。
● どこまで記載できるかというのは,一たん引き取って記載するとか,できるのかとかありますので,それは記載事項等の問題がありますので,ちょっとお時間をいただければと思いますが,性質的にはそういうことかと思っておりますが。
● ○○委員。

● 金融商品的に考えますと,まさに有価証券化したものということを前提に物事を考えますと,やはりそういう,途中で同意したり同意しないとか,そういう話になると,非常にややこしい話ですし,そういうものが金融商品として成り立つかというと,なかなか難しいのではないかなというふうに思います。
したがいまして,やはり信託行為で,一番最初にどういう形になっているかという,この受益権の性格というのはこういうものだということを書いて,もちろん有価証券化した場合には,それを有価証券に書いて,それでも,例えば保有した人については同意したものとみなしますというような形でないことには,なかなか実務上の観点からいくと,回っていかないのではないかなという感じがするんですが。
● 確かに,今の○○委員の御意見はもうちょっと先を行く意見かもしれませんけれども,途中の受益者の同意で制限つきになったりならないというのは,何か不安定な感じはちょっとしますね。
ちょっとここは検討させていただきましょうか。それでさらに,今○○委員が言われたようなことが可能なのか。特に証券化のときのことにまでは,私も証券となると,本当にはどういうのが一番いいのかというのはなかなかわかりにくいところありますので,ちょっと検討させていただきたいと思います。

○○委員。

● 参考になるかどうか,単なる考え方の1つとしてのみお聞きいただければいいんですけれども,今の話お聞きしていますと,やっぱり信託行為で,基本的には帳簿閲覧請求権が制限されるという効力が基礎づけられるんでしょうけれども,しかしその効力の発生が受益者の同意によって,それによって効力が発生するというような構成に近いのかなと思いました。
それで,受益者の同意というのが,当初受益者ではなくて,とにかく受益者が同意したことによって,この制限というのは効力が生ずるというような構成に近いとしますと,ではどういう要件,条件があれば効力発生を認めていいのかと。
そのときに同意という厳格なものが必要だと考えるのか,今おっしゃったような,もう少しそれを広くとらえるような考え方でもいいのかというような問題の整理になるのかなという気はしたんですが,そんな感じでよろしいんでしょうかというだけです。

● 御指摘のとおりでございまして,今簡単な方法というのは,最初に○○委員がおっしゃった,この受益権を取得した人は,おおよそ同意したものとみなすというやり方ですよね。
それがいいのかどうか,実はよくわからないのですけれども,そういう点も含めて,そういう同意を擬制するに近いものでございますが,それが受益者の利益保護の観点から,果たして可能なのかどうかという点を含めて,その点もちょっと時間をいただいて検討したいと思います。
● 2点だけなんですけれども,今の議論の方向の中で,受益者の同意について若干薄めるといいますか,そういったあれもあるような気がするんですけれども,私はそういう方向には必ずしも賛成しませんが,もしそういう方向で議論をするとすれば,やはり実質のところといいますか,書類をどの範囲で閲覧制限するかということについては,やっぱりきっちり決めていただく。
そこのところで,そこをきっちり決めることによって,保護の実効を図るというようなアプローチが必要なのではないかというふうに感じておりますのが1つと。
それからもう1つは,実は前回の会議の中で,同意については承継されない場合であれば,○○委員の方から,では同意した場合だけに譲渡をするというようなことは許されるのかといった発言があったかと思うんですけれども,あれはどちらかというと,そういうことはちょっと難しいのではないかというニュアンスをちょっと感じたんですが。

規律のあり方というか現場のやり取りを考えますと,そういったあり方というのが,ある意味,1つ合理的な解決の仕方としてあり得るのかなという気がしておりまして,理屈づけとしては,本来,要するに譲渡制限もなし得るわけですから,譲渡制限したものを解除する条件として,そういった同意を要件にするということを許容するとか,そういったアプローチがあり得るのではないかというふうに感じております。
以上です。
● 確かに,今の○○幹事の御意見,もっともな点たくさんありまして,やっぱり同意の意味,それが薄まるのであればルールを明確にしてほしいと--制限の範囲といいますか--ということでございますので,それも含めて,仮に薄めるというような方向の提案をするような場合には,その点も含めて検討したいというふうに考えます。
それでは,まだ御意見があるかもしれませんけれども,今申し上げたような点を中心に,特に承継の場合について,もうちょっと検討してみたいと思います。
それでは,次いきましょうか。
● では次は,受託者が複数の信託の問題というところでございます。
これは,ちょっと詳細に。5点ほど御審議いただきたい点がございます。

まず,説明資料に基づきまして,説明の(1)でございますが,職務分掌型の共同受託では,この規律によりますと実体法上合有になるわけでございますが,実務上は単独名義で登記・登録をしたり,特に有価証券につき,証券口座を単独名義でしているということへの配慮を求めるという意見がございました。
しかし,共同受託の場合における信託財産の所有関係につきまして,信託行為の定めをもって任意に規律できるとしますと,各受託者の信託財産に対する共有持分を認めることにもなりかねず,妥当ではないと思われます。

やはり共同受託の場合の信託財産の所有関係は,一義的に合有と解することが,法律関係の複雑化を避けるためには有益だと考えるところでございまして,公示においても,このような合意という法律関係を適切に公示することが望ましいと考えるものでございます。

次に(2)でございますが,信託事務の執行の場面における委託につきましては,他の受託者に対する委託を原則として禁止するまでもないと考えられますので,相当な委託を認める一般原則を定めた第22の規律にゆだねることで差し支えないと考えまして,今回の提案からは落としております。
これに対しまして,重要な信託事務の意思決定については,他の受託者に委託することは原則として禁じられるべきであると考えられまして,これとは発想の異なる一般原則の規律にゆだねることは適当でないと思われますので,ここに3として残しているところでございます。

次に説明の(3)に関しまして,提案の4の(2)②,アンダーラインの部分に書いておりますが,職務分掌の定めのある共同受託において,一定の要件のもとに取引の相手方を保護する特別の規律を設けることとしております。
一般の共同受託の場合におきまして,受託者の1人が適法な意思決定は得たものの,他の受託者の名前は顕名せずに,自己の名で取引をした場合,あるいは職務分掌の定めのある共同受託の場合において,受託者の1人が,その所掌事務に関して単独で信託事務を決定し執行した場合,いずれも他の受託者は,その固有財産をもってしては責任を負わないのが原則でございます。
そして,この場合には,他の受託者の名前が出されていない以上,取引の相手方としても,相手となった受託者以外の受託者の固有財産をあてにしてはいないのが通常であると考えられるわけでございます。
しかし,仮に取引の相手方において,他の受託者も固有財産で責任を負うと考えるのが相当であると認められるような場合には,その信頼を保護する必要もあるのではないかと思われます。
ところで,今申し上げた例のうち,一般の共同受託の場合におきましては,各受託者はその固有財産との関係でも相互に代理権を授与しているとみなしておりますので,民法100条ただし書きの類推適用によりまして,取引の相手方は,いわば本人というべき他の受託者の固有財産にもかかっていくことができることになりまして,特にこの信託法で規律をするまでもないと思われます。
これに対しまして,職務分掌の定めのある共同受託の場合におきましては,相互の代理権授与との擬制というのは,信託財産に効果が及ぶ限度にとどめておりまして,他の受託者の固有財産との間でこのような擬制をしておりませんので,民法100条ただし書きの類推適用によって,他の受託者の固有財産にもかかっていけるとすることは困難であると思われます。したがいまして,取引の相手方を保護するために,特に規律を設ける必要があると考えるわけでございます。
そこで,取引の相手方におきまして,当該取引が信託事務の処理としてされたことと,他の共同受託者が存在することを認識していること,これで顕名があったのと同様になるわけでございますが,これに加えて職務分掌の定めがあることについて,善意・無過失であるということの要件を満たせば,他の共同受託者の固有財産にもかかっていけることとしたものでございます。
次に説明の(4)におきまして,従来より問題になっております,合有の信託財産に対する強制執行の方法について論じております。
パブリック・コメントでは,1つの債務名義でいくべきであるという考え方と,執行手続き上の難点から,共同受託者全員に対する債務名義を取得する必要があるという意見とに分かれておりました。
ところで,職務分掌の定めの有無にかかわらず,共同受託者の1人よる取引の実体法上の効果は,少なくとも信託財産を責任財産とする限度では,他の受託者にも及ぶと考えているわけでございますが,執行手続き上は,合有の信託財産の帰属者である受託者全員に対する執行力が現存していることを明らかにするために,執行文が必要になると解されます。

その方法としては,受託者全員に対する債務名義を取得して,単純執行文を得るか,あるいは1人に対する債務名義を取得して,他の受託者に対する承継執行文を得るかという,いずれかの方法になると考えられるところでございます。
しかし,後者の承継執行文という方法によりますと,債務名義上の債権が信託債権であって,かつ他にこの信託債権に関する共同受託者がいるということを執行文付与機関に証明しなければならず,これは決して容易なことではなくて,結局執行文付与の訴えの手続によらなければならないという可能性が十分あると思われるわけでございまして,それから民法上の組合財産における強制執行についても,組合員全員に対する債務名義を取得しなければならないと解されているところでございます。
あと,実際の取引相手方の保護の観点から懸念があるという点につきましては,職務分掌の定めがある場合のみでございますが,訴訟の過程で他の受託者がいるということが明らかになることは少なくないと思われまして,それがわかれば相手方としても,他の受託者に対する訴訟も追加して提起することができると思われるところでございます。

こういう点を総合考慮しまして,単純執行文による方法,すなわち全員に対する債務名義をとって,それは併せてとればいいわけで,必要的共同訴訟ではないと考えておりますが,債務名義を順次とって,単純執行文を得て執行していくということにするのが相当と結論したわけでございます。
最後に(5)でございますが,共同受託者の1人の任務が終了した場合に,これを補充するに当たって,原則として残りの受託者の同意を要するものとすべきかにつきまして,今般新たに甲案と乙案とを提示しているわけでございます。
これはあくまで,例えば3人が2人になったときに,3人に戻すという場面だけでございまして,また4人にふやすというのは,別途,信託の変更になりますので,全員の同意が必要になると考えているわけでございます。

このようにもとの状態に戻すときにつきまして,あくまでデフォルト・ルールにとどまるものでございますが,委託者と受益者の合意のみでいいのか,他の受託者の同意も要するのかという点につきまして,いずれをデフォルト・ルールとすべきかにつきまして,御審議をいただければと思います。
以上です。

● それでは,ここでもいろいろ御議論があるかもしれませんが,よろしくお願いいたします。

● 何点かございまして,ちょっと教えてほしいところもあるんですが,合有の点なんですが,まず,これ財産というのは不動産,動産,それから金銭債権,有価証券もある動産かもしれませんけれども,金銭債権の場合も,ちょっと今まで金銭債権の合有というのはあまり観念したことないんですけれども,不可分債権のような形なんでしょうかという,ちょっとその規律が,これは教えていただきたいという視点なんですが,わかりにくいなということが,まず第1点なんです。
それと,ちょっと順不同になってしまうかもしれませんけれども,民事信託の場合,受託者が複数の場合というのは,普通は商事信託を観念するかもしれませんけれども,海外,米国の例なんかですと,民事信託といいますか相続等遺言信託等の場合には,例えば弁護士と親族と,場合によっては信託会社,信託銀行がなるという,複数で民事信託の受託をするというケースが多いというふうに聞いておりますので,その場合を考えますと,これはちょっと確認的な視点なんですけれども,4の(1)のところ,2人以上の受託者がその任務に違反する行為をしたことにより損失補てん責任等を負う場合は,各受託者は連帯債務者と
すると。
これでほぼ明確なのかもしれませんけれども,職務分掌の規律があった場合に,ある人が信託行為,忠実義務とか善管注意義務に違反したときには,他の受託者は連帯責任を負わないと。
それぞれ別々に何か違う違反があったときに,違う違反であってもそこだけくっついて連帯債務になるとか,ちょっと必ずしも文言上は明確ではないので,確認してほしいという意見が弁護士会でもありましたので。

弁護士会の意見としましては,職務分掌の定めがある場合には,やはりそれぞれが責任を負っているのではないかと。その方が,恐らくよいのではないかという議論がありました。
弁護士は受託者になるケースをちょっと念頭に置いて,受益者の保護という視点が違うのかもしれませんけれども,なかなか自分の責任範囲ではないことまで責任を負うというのはちょっと厳しいのではないのかなという視点で,ちょっと確認していただきたいという視点がございました。それが2点目です。
それから,幾つかあってすみませんけれども,3番目として執行のところなんですけれども,○○幹事の御説明のように,訴訟の段階で明らかになるかもしれませんけれども,それでも執行したらまだほかにいて,第三者的なものですから請求異議かわかりませんけれども異議が出たと。そうするともう1回訴訟をすると。また債務名義とればいいのかもしれませんけれども,というよりも,執行文付与の訴えを認めることと結局は同じではないのかと。
ですから,執行文付与の訴えを認めるというルートは残しておいていただいた方がよいのではないかと,こういう議論がございました。その辺もちょっと御検討いただければと思います。

ちょっと幾つかあってすみませんけれども,あと職務分掌の定めがある場合,適格年金の場合には別の議論ですというのが,どこか(注)か何かにあったと思うんですけれども,私の情報が正確かどうかわかりませんけれども,シェアの変更みたいなことが時々行われると聞いておりますけれども。
そうすると,別々の信託ですと,シェアの変更があった場合に,一たんそれが信託を終了し再信託が行われたみたいなものを,擬制的に観念してということになるというのも,何となく現実と違うのかなと思ったりします。その辺は,どちらかというと信託銀行の方のコメントかもしれませんけれども。
ですから共同受託の場合でも,これだけが唯一の共同受託の規律ではなくて,他にもいろいろのバリエーションがあるし,それが信託の柔軟性ではないのかなというようなふうに思ったりします。
まだいろいろありますけれども,また思い出しつつ,また。

● ではとりあえず。
もし今の議論に関連する点がございましたら,まず先に御意見を伺いたいと思います。

○○委員。

● 私も,ほかにも何点かあるんですけれども,今の関連する点から申し上げますと,1つは,大きな問題として,共同受託の要件というのがちょっとよくわからないなということで,1を見ますと,1つの信託で複数の受託者であるということは,すべて,例えば共同受託の要件がかぶってくるのかということなんだろうと思います。

先ほど○○委員からもお話あったように,例えば適年のようなものについては,受託者が単独で信託事務の決定及び執行を行い,信託財産を単独で所有している者については,受託者を複数だけれども,この射程外とするというふうに書いてありますので,例えばこの規律が適用されるものというのは,ここでありますように決定が単独で行われるということであるとか,あとは結局信託財産が単独であるというものについては,ここに入ってこないと。というような形の整理の仕方の方が,わかりやすいのかなというふうに思っております。

方向性としては,ここに(※2)で書かれている方向性というのは非常にありがたいことだろうと思うんですけれども。
● 2番というのはどれですか。
● 19ページ。
● 最後の適年の話ですか。

● はい。
● ありがたいということと,1つの信託と見るということとの関係は。1つの信託と見なくて……。

● 要するに,適格年金といいますのは,基本的には1つの契約書の中に全部入っているわけですよね。そうすると,これはそうだから共同受託ですよというふうになってしまいますと,この規律が全部かぶってくると。そうすると,いろいろな不都合が出てきますと。
そうではなくて,1つの契約書に書いてあるんだけれども,でも単独で決定して,単独,分有状態になっているものについては,ここの適用はありませんという話であったとすると,それは大体,いろいろな問題があるんですけれども,8割方の問題はそれで解決されてしまうということですので,そういう意味合いでありがたいことだということです。
● 今までの,共同受託で合有だというルールをそのまま適用されては困る。それを外すという限りでは,この(※2)の方向は賛成するという意味ですね。わかりました。
いろいろなレベルの議論がありますけれども,先に,やっぱり複数の信託,この基本的な考え方,合有という考え方,それから今のと密接に関連しますけれども,合有というものとは違うタイプの複数の信託というものについて,何を考えるかと。

これはもうばらばらの信託だというふうに考えて,あとはばらばらの信託としてのルールを,ただ当てはめるだけでいいのか。それとも何か,もうちょっと中間的なものがあった方がいいのかというのが,恐らく基本的な,まず論点だと思いますので,そこについて少し御意見を伺えればと思いますが,いかがでしょうか。
ここの案は,あくまで合有というふうになるようなタイプの,複数の受託者についてのルールを設けているということだというふうに,私は理解しておりますが。

いかがでしょうか。
ではまず,○○委員から。

● 若干,実務的なところで補足いたしますと,以前は,特に年金とかについては,法律レベルではないんですけれども,例えば適格年金であると国税庁の方の所管だったものですから,例えば契約のひな形みたいなものがある程度決められていたというところがあって,そうすると共同受託でなければいけなかったというような特殊事情があったということですね。
ですから実務上,そっちの一面ではしなければいけないと。一面では実務上は,ここに書かれていたといいますか,現在の法律の規定とはギャップがあったということでしたけれども,今はそういうものがなくなっていますので,そういう意味合いからすると,単独でしてしまえる土壌ができ上がってきたということですので,ただ以前の契約がそのまま移行して,どうこうできるかというのは別の問題だと思うんですけれども,当然信託契約を,これだけ法人とかかわるわけですから,変更するということですので,そこら辺のところも変更して,対応ができるようになるのではないかなというふうに思っております。

● わかりました。
○○関係官,どうぞ。
● 今○○委員がおっしゃったこととほぼ重なるところがあるんですけれども,先ほどお話に出ておりました,1つの信託で複数の受託者があるときという点につきましては,当然適格年金信託みたいなものは入らないというふうに考えておりまして,それについては信託契約の解釈,要するに信託財産が単独で所有されており,単独で意思決定をし執行をするというような場合については,複数の信託契約というのが重なり合っているというように考えることができるのではないかというように考えておりまして,そういう観点から,この第34の規律というのは当てはまらないということになると思います。

それで,適格年金信託のような信託というものを,別個の類型として信託法に書くということもあり得るのではないかとは思うんですけれども,そういうような形で書いてしまいますと,逆に信託の柔軟性を損なうというようなこともあるのではないかというように考えておりまして,そのような観点から,現行法でもあるような,この信託財産の合有となるというような信託についてだけ,共同受託として規律しておけば足りるのではないかというように考えた次第でございます。

あと,○○委員のおっしゃっておりました,金銭債権がどうなるのかという点につきましては,これは信託財産を合有となると考えます以上は,分割債権にはならないというように考えるほかはないのかなというように考えております。
あと,職務分掌の定めがある場合につきまして,各受託者が連帯責任を負うというのは適当ではないのではないかというのはおっしゃるとおりでして,これは受託者が任務違反行為をした場合に責任を負うということを前提にしておりますので,職務分掌の定めがある場合には,前提として,ある任務違反行為について,職務分掌の定めのある受託者が2人とも任務違反をしていなければ,連帯責任にはならないということになりますので,職務分掌の定めがある場合には,原則として相互監視義務というのはないので,その受託者だけが負うということになると思います。
番人
「相互監視か。」
ということなので,例えばAという違反行為をした受託者がいて,Bという違反行為をした受託者がいて,その各受託者が責任を負うからといって,それも連帯責任になるというわけではございません。
そういう御回答でよろしいでしょうか。
● ○○幹事,どうぞ。

● 2つのタイプの分け方の点なんですけれども,第34に含まれるもので職務分掌の定めがあるものは,信託行為は1つであると,職務分掌の定めがある。しかし職務分掌が行われた後は,職務分掌が行われた限度でですけれども,すべての職務を,もし分掌しているとしますと,独立してそれぞれの受託者が決定,執行すると。
それと,適格年金について今例で挙げられたような,別々の信託であると。結果はそれでいいんですけれども,1枚の信託契約書に書かれていて,受託者A,B,Cとなっていたときに,どうやって区別するのかというのが,○○関係官のお話ですと,最後の決めどころは,信託財産が合有になるか単独所有かというところにあるようなんですが,それはある意味では効果であって,やはりその前に,信託行為のレベルでどっちなのかというのを分けられないと,論理的にはおかしいのではないかなと思うんですが,それは恐らくすべての事情を考慮してどちらかと分けるのだと思うんですけれども,ややまだ,これできっちり分けられるのかなというところがわかりません。
それから,それと関連するんですが,あともう1つは,この事務局の提案をよく理解したいための質問ですが,第34の世界に入って職務分掌がある場合に,これは信託財産はあらゆる財産は合有になるだろうと思うんですが,独立で決定,執行できるということは,独立で,単独で処分できるということになりますが,合有財産というのは,本来は恐らく合有者全員の意思によって処分をすることになるんだろうと思うんですが,そこが単独でできるというのは,この職務分掌の定めの中に,ある種の代理権が与えられていて,その他の受託者を本人とする代理権が1人の者に与えられていて,その権限に基づいて1人で処分できると,そういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。
番人
「信託行為が代理権を与えると思った。」
● そのとおりです。
● わかりました。
● 最初の方の質問,途中の処分ではなくて,信託財産の合有か単独かというのはむしろ効果であって,信託行為のレベルで何か分けられないかという点はどうですかね。
● その点は,まさにおっしゃるとおりなところがあると思うんですけれども,やはり,事務局の提案としましては,効果という点を前提にして考えていたと。要するに,職務分掌の定めがある受託者が,単独で意思決定をし執行した場合には,信託財産の限度ではその効果が及ぶと。
それに対して適格年金信託のような場合については,1人の受託者が意思決定をし執行をすると。だけれども,信託財産が単独所有になっているから,他の受託者が合有という信託財産に執行するという問題は起きてこないんだと。
やはりその効果,確かに,効果で信託契約がどういうものなのかという性質決定をしていいのかどうかという問題点はあるかとは思うんですけれども,なかなかそれ以上にうまい切り分け方はないのかなというような悩みがあるところでございます。
● あともう1つ関連して。申しわけありません。
職務分掌のところで,私勝手に自分で前提を立ててしまったんですが,これはすべての職務を分掌しても,第34に当たり,職務分掌だということになると考えてよろしいでしょうか。
ここでもし,何かは分掌できないんだというのを残すと,適格年金タイプと区別できるかなと思ったんですけれども,そうではなくて,すべてを分掌しても,やはり34の世界に入るものはあると。
● そうです。
● わかりました。
● では,○○幹事。

● 今のは入り口の定義の議論。
● どういう意味ですか,入り口というのは。
● ○○幹事,2つおっしゃいましたよね。その中の後半にかかわるものでも,今発言してもよろしいんでしょうか。それとも。
● 構いません。○○関係官も少し答えられたし。
● わかりました。
分掌のシステムが,先ほど,代理ですかというふうに○○幹事おっしゃって,○○関係官がそうお答えになったんですが,それに関連して幾つかお伺いしたいんですけれども。
現在の,ここに出てきている提案におきましては,4の(2)の②というのがあって,第三者に対して,債務を分掌に従って行為をして負担したときにも,当然②は,他の受託者の固有財産には相手方はかかっていけないという話になっておりますよね。

他方で,信託財産に対して執行するというときには,共同受託者全員の名義に対する債務名義をとらなければならないということなんですが,それではどうやってとれるんだろうかというのがわからなくて。
例えばA,B,C3人が共同受託者なんだけれども,Aが職務分掌の定めに従って,ある種の債務を負うという法律行為を行ったというふうにいたしましたときに,A,B,C3人訴えますと,A,B,C3人に対して単なる支払請求という形で訴えを提起していきますと,B,Cは,お前最初の行為時に知らなかっただろうと。

だから俺らは債務を負わないんだと。それは4の(2)の②によるんだというふうに言いますと,B,Cに対する請求が棄却されて,Aに対する債務名義しか取得できないような気がするんですが,B,Cに合わせて,債務者にする債務名義というのはどうやってとれるのかというのをお教えいただければありがたいんですが。

● どうぞ,○○関係官。
● この点につきましては,信託財産の限度においてのみ,その義務を履行する責任を負うというようになっておりまして,債務自体はA,B,C3名とも債務を負担すると。ただし責任財産が信託財産の限度になるというような理解ですので,そういう意味では債務名義はとれると。
ただ○○幹事がおっしゃるように,相手方にしてみると,取引をした相手方であるAしかわかりませんので,そういう意味では,いざ執行をしてみると,いや実はこれは信託財産に執行してしまったんだと,信託財産がA,B,C3名の合有になっているんだということで,驚いてしまうのではないのかなというようなところはもちろんあるんですけれども,その点につきましてはその訴訟の中で,訴訟告知なりを,当然Aはするであろうと。

要するに,そういうものをしなければ,信託財産に対して債権者は執行することができなくなるので,結局Aの固有財産に対して執行されるという可能性が高まってしまうというところもありますので,当然そういう訴訟の中で,これは信託債権であって,A,B,C3人の信託財産,合有のものがあるということは明らかになるのではないのかなというような提案が,今回の提案でございます。

● 先ほど私が申し上げたことは誤解であるというのがよくわかりました。ありがとうございました。

もう1点関連いたしまして,代理ということをもって説明するとしたときに,4の(2)の②というのが,どういうことで正当化され得るのかというのがよくわからなくて。
実質上としては,A,B,Cの3人が共同受託者で,Aが単独名義で取引をしているというときには,Aのことしか期待していないではないかと,これはよくわかるんですが,代理であるという説明になりますと,B,Cの固有財産にもいけるというのが筋になってしまうような気がするのですが,いかがなんでしょうか。

● それは確かに,一般の代理というふうに考えますと,責任財産が信託財産だろうが固有財産であろうが代理しているというように考えるのが当然でありますので,そのような結論になるんだと思うんですけれども,ここでは信託財産の限度においてのみ代理をするという,いわゆる特殊な法定の代理というような構成で考えておりまして,そういう意味で正当化できるのではないのかなというように考えてはおるんですけれども。
● よろしいですか。
● そうすると,相手に,これは信託事務の執行だよというふうに言ったとすると,Aが。無権代理であると。
● 信託事務の執行だよと言って,その信託財産の限度では,B,Cも責任を負うというところは前提なんですけれども,それはB,Cが固有財産で責任を負わないというところで,無権代理という御質問でしょうか。
● 例えばただし書きに当たる場合なんですが,A,B,C3人が共同受託者で,Aがあることについて単独執行権限を持っていたと。私は実はA,B,C3人が共同受託者の信託の受託者なんだよと。

でもこのことについては僕個人でやっていいんだよねというふうに言って,相手方と取引をした場合には,相手方はこのただし書きの要件を満たすことになりますから,B,Cの固有財産にも執行していけることになりそうなんですが,それは,与えられた代理権を,本当は優越しているということになるんですか。
● その固有財産の限度では,優越しているということになると思います。
● そうすると,そう言ってはいけないんですね。

● そうですね。職務分掌の定めがある受託者である以上は,その信託事務の処理ですというのであれば,これは責任財産が,自分だけが固有財産で負うんですというところまで言わなければいけませんということになるんだと思いますけれども。

● ということは,ちょっとただし書き,もう1個要件が必要だということですかね。
● 受託者側のと。
● 職務分掌は定めがあることについて,善意で過失なかったときと。そうか,わかりました。申しわけありません。どうもありがとうございました。
● ○○委員。
● 確認なんですが,職務分掌の定めがある場合の相互代理権の有無について,最初,○○幹事は,一般の場合と違って,この場合にはないというようにもおっしゃったのかなと思ったんですが,それとの今の御説明との関係を御確認したいのと,もう1つあります。
相互監視義務がないということを○○関係官おっしゃったと思うんですけれども,それも今の法定の代理があるということを前提としての,相互監視義務がないと考えていいのかどうか。

● 私の説明が不正確だったかもしれないんですが,普通の共同委託の場合は,固有財産に効果が及ぶという意味で代理権があるわけでございまして,この職務分掌のある場合には,信託財産に効果が及ぶ限度で代理権を持っているという意味で,そういう意味で,先ほど○○関係官の方から特殊な代理権と申しましたが,その代理権の向いている先が固有までいくかいかないかという違いがあるというのが前提でございます。
そういうことで,固有財産までいく方については,普通の民法の代理とかわらないと思うんですが,職務分掌のある場合について固有財産にいくというのが民法の代理の議論では難しいので,こういう特別な規律を設けてきたというところでございます。
あと,相互監視義務につきましても同じ話かと存じますが,一般の共同受託であれば,相互に代理権を授与し合っているという意味で,相互に監視義務があるわけでございますが,職務分掌のある場合については,信託財産に効果が及ぶという限度でしか代理権がないということで,固有財産間での代理権に基づく相互監視義務,そういうものは出てこないのではないかということで,職務分掌の場合には,受託者間での相互監視義務というのはないというふうに考えているわけでございます。

● ちょっと私も関連してですが,○○委員と同じ,これはきっと,○○委員がまた別のことをおっしゃるかもしれませんが,ちょっともとへ戻って,やっぱり共同受託というのは何のためにやるんだろうかという話があると思うんですね。ちょっとここまで緻密につくられた議論から,一挙にもとに戻るような話で恐縮なんですけれども。

それは2つあって,1つはやっぱり相互監視なんですね。1人では悪いことするけれども,とにかく英米法でも,やっぱり信託財産の安全ということをまず第1に,信託法というのはずっと昔からはつくられてきて,それが最近いろいろ,安全だけではだめだよという話になってきているわけですから,もともとのルールは,やっぱり共同受託者いっぱい使っているのは,何といっても1位は相互監視という話がある。

しかし,相互監視で何でも財産を凍結していても意味がないので,やっぱりそれぞれの専門家を雇用して,共同受託者にしておいて,まさに職務分掌でもいいですが役割分担をして,より効率的に運用しようという,これがある種二律背反みたいなところがあるので,この調整をうまくやるというのが,共同受託者のルールをどうやってうまくつくるかという話だと思うんですが。

そこで,今のような,ちょっと○○幹事の御発言も私が誤解しているのかもしれませんが,こういう職務分掌を役割分担を決めると,もう相互監視がないんだよという話は,やっぱりそういう趣旨ではないんでしょうね。幾ら何でも。つまり職務分掌,役割分担はあるけれども,やっぱり相互監視義務は残るというのが普通の発想だと思うんですね。
それがしかし,相互監視義務の程度というのが,一定の限度で当然これが少なくなって,ここでも,例えば共同受託者の全員一致で合手的行動なんていう話が,もうなくなってきているのと同じ発想になっていると思うので,職務分掌したら,もう相互監視義務はないんだよと,それが何とかの財産の限度の範囲内であれ何であれですが。とりわけ信託財産については,同じように何らかの関係が残っているというのなら,やっぱり何らかの相互監視義務はちゃんとありますよと。
アメリカの統一信託法というのではっきり言っているのは,信託違反をやっているようなことに気づいた場合には,当然何か言わないといけないというのがはっきり書いてありますので,相互監視義務が全くなくなるという話はないですねということを,確認しておきたいということです。
すみれ
「何でアメリカではっきり言っていることは、日本でもはっきり言わないといけないんだろ。」
● 確かに全くなくなるというか,レベルの問題かと存じておりまして,一般の共同受託であれば,例えばパーフェクトな相互監視義務があって,お互いに注意していて,信託が違反行為があればそれに気づくべきであると。
ポリー
「レベルがあるっていうのは納得です。」
それに気づかなければ,過失があって連帯責任ということになると思うんですが,職務分掌のある場合にはそこまでの相互監視義務はなくて,ただおっしゃったように,仮に違反行為があることを認知していれば,それは差し止める必要があると。
共同受託でもなければ,知っていてほうっておいてもいいわけでございますので,そういう意味でいえば,職務分掌のある場合には,中間的な相互監視義務がかかっているという方が,より正確かなという気がいたします。そういうことで理解しております。

● そうすると,その中間的な相互監視義務に違反したときは,やはり連帯して損害賠償責任を負うということでよろしいわけですか。

● そうです。知っていてほうっておいたら,そこは任務違反行為があったということになります。
● ちょっとさらに関連して教えていただきたいのは,共同受託者で,多数決で行為を決定することができますよね。そこの話が,ちょっと私うまくリンクできていなくて。
多数決で,一番簡単なのは5人なら5人いて,3対2であると。3人で決定したということに対してほかの2人が,これが信託違反になるような行為を決定するんだと,今のような完全に相互監視義務というのがありますので,3対2で負けたからあと仕方がなかったという話では済まなくて,2人は何かしないと,4対1でもそうだと思いますけれども。
しかし信託違反になるような行為ではないけれども,自分としては信託財産というのはもう少しうまく運用できると思ったけれども,多数はこういう方針でやっているというような場合に,その行為に対する責任関係というのは,これは職務分掌のときと同じような話だと考えてよろしいですか。それとは全然また別の話で,これはもちろん,たまたま4対1,あるいは3対2で決定しただけであって,全体の話なんだと。

● 反対している場合については,原則として任務違反に当たらないというふうに考えておりまして,ですから意思決定に関与しているか,意思決定で賛成しているか,あるいは反対していてもみずから職務執行した場合については,任務懈怠責任を負うと思うんですけれども,意思決定で反対し,かつ執行にも関与していないということであれば,これは責任は生じてこないというふうに理解しております。

● そのあたりは善管注意義務違反の問題でして,反対はしたから直ちに責任を負わなくなるとまで言えるのかどうかというところは,ちょっと問題があるかと思いますけれども,○○幹事申し上げましたとおり,反対をしていれば責任を負う可能性が少なくなるという限度では,そのように言えるのではないかと思いますけれども。

● ○○幹事。
● 相互監視義務と,それから先ほどの○○幹事の御質問とも関係するのですが,もし仮に,この相互監視義務というのが程度が緩和されたものであれ,存在するのだということになりますと,第34の規律が適用される共同受託と,それ以外の複数受託者がいる場合の境界といいますかその区分は,やはり監視義務があるかどうかということに求められることになりますでしょうか。

先ほど,効果の方から規律を考えられたということがございましたけれども,これまでの議論を伺うと,むしろ相互の監視義務が残っているか否かということが,1つ大きなポイントとなるようにも思われ,実は前田庸先生を座長として商事信託要綱というのを構想いたしましたときには,相互監視義務の有無という点で,単なる複数の受託者がいる場合の規律と,それからいわゆる共同受託者がいる場合の規律を区別するという,そういうことを提案したということがございますので,○○幹事の御質問の繰り返しになりますけれども,もう1度確認させていただければと思います。
● おっしゃるとおり,相互監視義務がかかっているのは非常に重要なメルクマールでございまして,最終的には信託行為の解釈になりますが,信託行為を解釈した結果,共同受益者間に何らかの相互監視義務がかかっているものは,やはりここでいう共同受託になるのではないかというのが,素直な解釈だというふうに考えております。

● どうぞ,○○委員。
● 今の相互監視のところで,相互監視義務は必要だとは思うんですけれども,先ほどちょっと前の発言で,相互監視義務違反があって,ある受託者が違反行為をし,善管注意義務違反をし,何か米国のニューズレターか何かで取り上げられている例だと,使ってしまったとか,あわてて共同受託者がそれを報告し対応したというようなケースがあるとか聞いたことあるんですけれども,最近の。
そういう場合ですと,片一方で監視義務違反が仮に軽微なものがあったかもしれませんけれども,その下にもう1人の悪質な善管注意義務違反の連帯債務まで負うというのは,何となく,それぞれがそれぞれの義務違反の範囲で責任を負えばいいのであって,ですからその程度がひどくなれば,ある意味では共同不法行為に近づくような形になるかもしれない。お互いに善管注意義務違反があったかもしれない,に近づくと思うんですけれども。

先ほどの4の(1)で私が確認求めたところの規律の話なんですけれども,今も申し上げたように,相互監視義務違反の違反行為と,監視された側が犯したところの善管注意義務違反とは,それぞれ別個の違反行為であって,損害についても別個に考えるべきだと,4の(1)には,やはり該当しない。
ですから4の(1)が適用になる場合というのは,ある意味では書かなくても当然,民法の原則の当然みたいな状況なのかなと思うんですが,あえてこう書いてあるところが,やはりちょっとでも違反があると,連帯債務になってしまうのかなというのも,ちょっと思って確認する次第なんですけれども。

● 難しいですね。
何か,○○関係官,ありますか。
● そのあたりにつきましては,やはり受益者の保護という観点からは,ある任務違反行為があって,それについて一方の受託者が相互監視義務に違反するようなことをやったのであれば,その受益者は連帯責任を負うという方が適当なのではないかというような考え方でして,先ほど私が御説明しましたのは,Aという任務違反行為があって,それに対してBさんは何もその責任がないというようなケースは,当然連帯責任を負いませんよというようなものでしたので,Aという任務違反行為をして,それについて受託者Bが監視義務を怠っているというのであれば,それについてはやはり連帯責任を負った上で,受託者相互間での求償関係の話とすればいいのではないかというような考え方でありますけれども。

● それは厳しいですね。わかりました。

● 少し考え方の対立が今あると思いますけれども,やっぱり相互監視義務がある以上は,その義務違反というのがあれば,やはり連帯責任を生じるというのが原案であり,先ほど○○委員も,恐らくそういう考え方に近い考え方だったんだと思いますね。

今,議論の中で明らかになってきたことは,職務分掌型であってもとにかく,適格年金型と言っていいかどうかわかりませんけれども,単独の信託が幾つもあるという場合と違って,やっぱりそれなりに相互監視義務,その程度がどのぐらいかはまた別ですけれども,相互監視義務があると。これが,複数の信託や,単独の信託がただ同時に存在しているのとはやっぱり違うということですね。
その効果,この辺が議論されていると思いますけれども,一応原案,それから先ほど○○委員等が言われたのは,やっぱり相互監視義務を前提とした上での義務違反があれば,連帯責任を負わざるを得ないのではないかと。その点はちょっと重いかもしれませんけれども,一般的には,やっぱりそうなるのではないですかね。
それはもちろん,分割まではいかなくても,それぞれの義務違反の程度に応じた責任というのは,これは議論としてあり得ると思います。ただ,こういう共同受託の場合に,やっぱりそれなりに,その共同受託によってねらおうとするものとの関係ですよね。○○委員の言われた。

それによってある種の信託が健全に行われることを,やっぱりねらっているということがあるとすると,やむを得ないのではないでしょうかと。○○委員の言われるのもよくわかりますけれども。
● 信託で統一した方が,共同受託者に弁護士がなって,この先信託銀行も出てくると思うんですけれども,信託銀行も金を預かり,多分弁護士とかが不動産の管理を担い,当事者に何も担わせないということはないのかなとは思うんですけれども。

● ですからそのときの……。
● ちょっと,かなり萎縮的な……しようがないのかもしれませんけれども。
● そのときの,信託銀行が片方で財産を管理していて,そのとき,万が一管理の失当というか,あるいは信託違反による損害というのは莫大なものが予想されるとき,もう1人の受託者がどの程度の監視義務を負っているかという,そのレベルで恐らく調整するんだと思いますけれども。
その義務違反をすることを知っていて,もう1人の受託者がやっぱり見逃しているということであれば,これはやっぱり連帯責任を負わざるを得ない。

大分議論が煮詰ってきて,いろいろなことが明らかになってきたと思いますけれども。

○○委員。
● 確認のためだけの質問なんですけれども,先ほど来から,職務分掌の定めがある場合について理解は深まったと思うんですけれども,職務分掌の定めがない,通常の,どっちが通常がわかりませんけれども,共同受託の場合に,相手方が共同受託者のうちの1人と取引行為をして,かつほかに共同受託者がいることを知らなかったという場合であっても,この場合に,後で他に共同受託者がいるということがわかれば,他の共同受託者に対して,その固有財産にまで責任を追及することができるという理解でよろしいわけなんでしょうかと。
● いかがですか。普通の職務分掌がないタイプの信託の場合。
● それは勝手に自分の名前でやってしまったときですね。意思決定はあったけれども,単独名義でやってしまった。

● そうそう。
● そういう場合,それは相手方において,これは共同受託であって,それを知り,または知り得べきというんですか,民法の100条のただし書きで言うと。本人,実質的には他の受託者が本人に当たると考えられますので,その顕名がなかったかわりに,他の受託者が責任を負うべき場合ということを認識していることを立証すれば,かかっていけるのではないかと考えております。

● 行為時に,他の共同受託者がいるということを相手方が認識していたということが要件になるということですか。
● これが共同受託者であるということを知っているか,または知り得べき場合であったということであればいいのではないかと思います。
● それは要件になるということですね。
● はい。

● やっぱり顕名に相当するようなもの,かわるものが要るという御理解ですね。

そうすると,やっぱりそれは条文に書かないとだめなのではないですか。

● 代理の場合には御承知のとおり,授権と顕名と法律行為でしたか,授権と法律行為はあるので,顕名がなかったというときなので,顕名のかわりに代理意思を知り,または知り得べき行為だったですか,民法100条ただし書きの要件。だから書かなくてもあちらでいけてしまうのではないかなというふうに思ったんですが。
● ただ,今のパターンで,相手方が他の共同受託者の固有財産にも責任を追及しようという前提で主張してきているというときに,他の共同受託者の方は,いや職務分掌の定めがあったのだということを言うと,固有財産についての責任は原則免れると。
それに対して,この4の(2)②の二重線が引いてあるところで,他の共同受託者がいることを知っていて,かつその職務分掌の定めについては知らなかったと,過失もなかったということも立証するんでしょうか。そうすると,固有財産に対する責任追及はできるという流れに乗ってくるわけですよね。

そうすると,何か一連の流れからすると,原則規定が信託法ではなく一般法理だというのでよろしいんでしょうかね。

● 職務分掌の定めがあるときだけは,やはり信託法に書かなければいけないのではないかと思っておりまして,職務分掌がある場合であれない場合であれ,顕名にかわるものとして,代理意思とそれを共同受託と知り,または知り得べきであったと相手が言えば,これは原則として他の受託者の固有財産にもかかっていけると。

しかし職務分掌のある場合については,受託者の側で,いやこれは職務分掌があるんだというふうに別の受託者が言えば,とりあえず責任は免れるわけですが,これに対して,さらに再抗弁になるんでしょうか,善意,無過失だと,こういうふうに言えば,今度はまた,他の受託者にかかっていけるという構造になるのではないかと思っておりまして,第1段階は民法100条でいけると思うんですが,職務分掌の中に,域に入ってくると,これは信託法に書かないといけないのではないかなと考えているんですけれども。
● 今のでちょっとわかってきた点と,ちょっとわからない点が残るんですが,この二重線が引いてあるところでは,他の受託者が存することを知っていたというのが,少なくとも要件になるはずですよね。

しかしこれは,今の御説明ですと,一番最初の請求をしていく段階で知っていたということが言えれば,それと重なるということなんでしょうけれども,最初の請求をする段階で,知り得べきであったということまで広げるんでしょうかね。
知り得べきだったというので,責任追及はできるということなんですかね。一応原則としては。そこはいかがなんでしょうか。ちょっとさっき素通りしたところですけれども。

● 民法100条ただし書きでいけると思っていましたので,その知り得べきでもいいかと思ってはいたんですが,そうするとここも同じように並べなければいけないということになりますね。
● 何か,なぜ違うのかという問題が生じはしないかという点なんですが。

● ここのところは,職務分掌の定めがある場合については,原則として1人の受託者で意思決定をして執行をすることができると。第三者が責任財産として期待をしているのは,その職務を実行した受託者であるので,一般の代理と比べて保護する場合というのを限定していいのではないかというような観点から,他の受託者が存することということを知っている場合に限るという形で限定をかけているということを,事務局としては考えていたのですけれども。

● そうすると,立証責任どうなるんでしょうか。最初に知り得べきであったというだけで請求できるというときに,どうすれば受託者免責可能かというところなんですけれども。それはやはり職務分掌が定めがあったということを言えば足りると。

それに対して再抗弁で,自分が知っていたということまでわざわざ言わないとだめなんでしょうかね。かつ職務分掌の定めについては全員無過失だったという。
何かちょっと,何か若干の違和感があるんですけれども。違和感がないでしょうか。
● 他の受託者が存することを知っていたか否かは,職務分掌の主張があって初めてで初めて問題になってくるので,もしフローチャート的にいうと,○○幹事がおっしゃったように,とりあえず知り得べきだったと言って,職務分掌だと抗弁で言われたら,再抗弁で初めて,いや知っていたというふうに言わなくてはいけないという流れになってくると思うんですね。
それはその最初に知っていたのに,主張しなかったからそうなってしまうわけでございますが,ちょっとそこについては,今○○関係官の方から言いましたように,特に保護をすべき要請が高いときなので,このようにしたということでございますが,ちょっと1度,今すぐにはちょっとわかりませんので,検討します。

● ○○幹事。
● 今のちょっと○○幹事のお答えが,少し疑問が生じてきたので申しわけありません。
代理に基づいてこの問題を考えるというのは私も賛成なんですが,今の顕名にかかるところは,民法100条のただし書きというのは,私は依拠すべきルールではないのではないかと思います。
なぜならば,実質論を先に申し上げますと,100条のただし書きというのは,これが主張できると,代理が成立しますので,代理人が法律関係から離脱できるということだと思うんですね。
だから,相手方が知り得べきだった場合にも,行為をした代理人は,行為をした人は代理人になるので,離脱ができるということだと思うんです。
ただこの今第34では,行為をした人間は受託者として固有財産でも責任を負った上で,そして,しかし代理のような関係で,他の受託者との関係が代理あるいは代理類似の問題になると。
そうすると,相手方が知り得べきだったというのは,それ,相手方にある種の責任を求めようとしているわけだと思うんですが,そういう状況があって初めて相手方が,ほかの受託者に対しても,権利行使ができるようになるというのは逆転しているんだと思うんです。
したがって,代理のように考えるというのはいいんですが,行為者が離脱するという状況がありませんので,100条のただし書きで考えるべきでないと。
そうするとどうなるかというと,○○幹事の最初の多分御意見と逆の方向に行くんだと思うんですが,ここでは顕名なしで,客観的に共同受託であれば相手方が知っていようが知るまいが,知るべきであったであろうがなかろうが,他の受託者に対して責任追及できるということになるのではないかと思います。
そうすると,多分理由は少し違うんですが,形式論というんでしょうか,条文の構成だけでいうと,商法の代理が顕名に関して,民法のような要件なしに,顕名のない場合にも代理成立させますので,それに近いものになっていると。商事だからというのではなくて,そういうふうに考えたらいいのではないかなと思います。

● 今ので非常によくわかってきたんですけれども,今の○○委員の御意見に関して,さらに説明を要するであろうというのは,商事ではないけれども,しかしにもかかわらず,なぜ信託の共同受託の場合には,顕名なしでも,当然に他の共同受託者に効果帰属ができるというふうに考えるのかというのは,やっぱり1つは,それでいいともし考えるとするならば,やっぱり説明はつけ加える必要があるのではないかなという気がいたします。それだけです。
● 先ほど何人かが関連して恐らく手を挙げられていたのは,○○委員と○○幹事が……。
● ○○幹事と全く同じでした。
● では○○委員から。
● ちょっと私は,直接関係するんだけれども,どうもちょっと方向が,自分で言うのも何ですが,ピント外れのような感じですが,○○幹事も○○幹事も,それからそれに全面的に賛成する○○幹事も,やっぱりちょっと,私からすると違うような感じなんですが。
つまりこういう問題は,私が多分勉強不足なんでしょうけれども,アメリカ法ではあんまり問題にならないというのはどうしてかということを考えながら聞いていたんですね。それはやっぱりさっきのことに戻るんですが,共同受託制度というのは何のためにあるのかというと,2つの目的があって,1つは相互監視で,1つは役割分担だというわけですよね。
この間が,なかなか緊張関係があるけれども,いずれも結局信託の安全と運用というか,つまり受益者のためという話で出てきているわけですね。今ここで問題になっているのは,取引の相手方をどういう形で保護しようかということを考えて,皆さん物すごく苦労されていて,代理構成であれ何であれという話が,アメリカの信託法というのを私が本当に理解しているかどうかわかりませんが,アメリカの信託法が考えている話で全然ないですよね。

そうすると,これ一般的に,職務の分掌も何にもなくて,私が受託者の1人です。複数の。それで取引関係に入っていますね。だれかに。相手には全然信託の話もしていないわけです。

共同受託者がこれだけいましてねという話もしていなくて,普通にやっている場合には,だから当然,それで何らかの責任を負う場合には,信託財産で責任を負うだけではなくて,私の固有財産で負うわけですよね。責任を。それは当たり前のことだというだけの話で,あと共同受託者は何の関係もないというのが普通だと思うんですね。

● ただ,共同の意思決定が介在すれば,もちろん責任問えるわけですね。
● 取引の相手方に対してですか。取引の相手方が。
● 実質がそういうものがあれば。背後にね。
● しかし私だけが取引の相手方になっているんですよ。
● わかりました。もしかすると,少し,今ここで信託の大議論まではちょっとしたくないんですけれども,信託についての英米的な考え方というのは,やっぱり非常に,信託のために行為をする受託者にだけ,法人格があって,まさに行為をしているのはその人間だと。
だけれども,信託財産という特別な財産がくっついている。そういう発想なので,それを共同受託の場合にも当てはめていって,少なくとも行為のレベルではそれぞれの受託者の行為というものを考える,そういうことですよね。お互いに信託行為の債権者との関係で共同受託であるということによって,特別な責任は生じないと。

すみれ
「英米法ってそういう考えなんだ。」

● 共同受託というのは,取引の相手方のための制度ではないから。
● それは1つの考え方なのかもしれませんけれども,恐らく従来の共同受託,日本の共同受託は,そこは連帯責任的に考えてきていて。

● 受益者に対して連帯責任を負うのは当たり前のことですよね。だから相互監視という話が出てくるので。相手方の取引のときでも,これだけの共同受託者でみんなでやっているんですよということをわかっているんならみんなで責任を負うのは当たり前だと思いますけれども,何もなくて私が堂々とやっているというときに……。

● ですからこそその相手方が出てきているのが1人だけのときに,その背後に共同受託者がいないようなときに,そのときに他の共同受託者に対する責任まで追及できるのかと。
できるのであればその理論は何かというのを,○○委員から言わせれば信託の重要な部分ではないということになるのかもしれないけれども,その部分を今議論しているんだと思います。

● いや,わかっているんですけれども。
● ですから,もしかしたら○○委員の意見は,突き詰めれば,そういう場合に行為をしている人間についてだけ責任を負わせればいいということなのかもしれませんが。
● 多分そうなっていると思うんですね。アメリカで。
こういうタイプのものでかかっていく場合は特に。
● ただ合有タイプで,信託行為の決定については原則として全員が関与するというタイプで,その関与の仕方はいろいろな,さっきの相互代理とかいろいろな形があると思いますけれども,そういう形で実質的には同意していると。だけれども行為に出てきているのは1人だというときに,ほかの共同受託者に対しての責任を問えるかということですね。

● だから,すみません。もうおわかりと思うんですが。
取引の相手方が,私に対して,私の固有財産にまでかかっていって,それで十分で,その後私はどうするかというと,これみんなで決めたからではないのと。
こっちの方へ私が持っていく話であって,この取引の相手方が何ら期待していない,これら一連の人たちに,何でかかっていけるんだろうという発想になるような気がするんですね。
● そこでさっきから,民法にある顕名しなかったときの本人の責任とか,そういうものとの関連を議論していて,民法には,一応そういうときには本人の責任を追及できる余地があるので,それと同じような解決はどうかというところから,いろいろな議論が,今出発しているんですけれども。

● こういう議論を見たことがなかったものだから,非常に斬新であるということなんだけれども。

● 民法等との整合性も,やっぱりとれるものならとっておきたいということですね。

● 現行法を前提にいたしますと,全員で意思決定をし,全員の名前で執行をするというようになっておりまして,今回のこの提案につきましても,過半数で意思決定をするという意味では現行法は維持してはいないんですけれども,3人の名前で執行するという点では,現行法を維持しているというようなところがあるということを前提といたしまして,なぜこのようにしているのかと申しますと,先ほど○○委員がおっしゃいましたとおり,第三者の側から見て,各受託者の固有財産に対して執行をするということを認めるのは,第三者から見て,受託者が顕名をしているという場合に限れば足りるのではないかというようなことを前提としておりますが,これが果たして,共同で意思決定をしていれば,別に各受託者の名前を原則形態である共同受託の場合にも,出さなくても各受託者の固有財産に対して執行をすると,そこまで第三者の保護というのを図る必要が,果たしてあるのかという点につきましては,今の○○幹事と○○幹事の話を聞いていても,ちょっとどうかなという感じはいたしておるんですけれども,この点につきまして,もう少し審議をしていただけますと助かりますけれども。
● 先ほどの○○幹事の意見には賛成される方がおられたと思いますが,○○幹事はちょっと逆の方向なんでしょうね。
● 仮にそうだとしても,まさに今のような御意見あるわけであって,説明が絶対に必要になってくるであろうというのは,間違いなかろうという気がします。

仮に,何の顕名に相当するものなく固有財産にいけるという前提とりますと,先ほど言いましたように,それに対して,他の受託者の方は,職務分掌の定めがあるのだということを抗弁として出し,それに対して職務分掌の定めがあることを知らなかっただけではなくて,他の受託者が存することを知っていたというようなことまで,やっぱり言わないといけないのかというのは,やっぱりちょっと要件として違和感があるところかなというのは検討課題としては残るかなと。

それに対して,最初から他の共同受託者の固有財産にまでいくとするならば,最初からやっぱり知っていたと,そういうものの存在を知っていたということは要件だというと,整合性は出てくるのかなという気はするというのが,私の一番最初の質問とつなげて言うとそういうところですが,やっぱりちょっと,どういう理由に基づいて,全く顕名がなく,かつ知っていたということも要らないと言えるのかというのは,ちょっと問題としては残るであろうということですね。

信託財産についてはいいと思うんですけれども,固有財産になると,やっぱりちょっと問題が残ると。

● 大変御議論いただきましたけれども,恐らく,ほかにもまたいろいろなバラエティあるかもしれませんけれども,論点は明確になったと思いますので,少し検討させてください。今の点に関しては。
この共同受託者に関しては,一通り,御意見,今いただきましたけれども……。

○○委員が,別なことでとおっしゃっていました。ごめんなさい。

● 別というか,関連してということになるかもしれませんが,職務分掌がある
場合のところのお話なんですけれども,4の(2)の②のただし書きのところの要件なんですけれども,ここの要件で,実際に職務分掌を与えられてやっている方はいいんですけれども,やっていない方の分の救済といいますか,そういうようなことというのは,ちょっと考えられないのかなと。
例えば,何らかの帰責事由があるというようなことを要件的に追加してもらえないかなということが1つと,あとはそれに関連して,登記についてはまた後で議論があるんだと思うんですけれども,職務分掌とかという場合については,信託目録が残るんであれば,そういうふうなところも記載があるのではないかと思うんですけれども,そういう記載があれば,要するに受託者としては固有財産で責任を負わないというようなことが言えるのではないかなと思うんですけれども,その辺のところをちょっと御検討いただければと思うんですが。

● その点につきましては,検討いたします。
あと1点,最後にお願いなんですけれども,(注4)の甲案,乙案につきまして,今のところ何も御意見出ておらないんですけれども,事務局としましては甲案のような考え方も十分あり得るのかなというふうに考えておりますけれども,この点につきまして,御意見をいただければ幸いでございます。
● ○○委員。
● すみません。引き続き。
これについて,乙案でぜひともお願いしたいということでして,やはり,すみません,いろいろな受託者の方々が入ってくるということもありまして,ただ別段の定めがあるということでありますので,どうしてもこだわるという話ではないんですけれども,例えば,これによって業法で強行規定になってしまったと,そういうことになってもあれですので,基本的には,やはり受託者というものの意向を聞いていただいて,やっていただきたいという趣旨で,乙案ということであります。
● ほかにいかがでしょうか。
3人いたうち1人が減ったときに,もとに戻すのに,残りの受託者の意見を聞かなくてはいけないのかという問題ですね。何か御感触あれば。
○○委員。
● これもさっきの相互監視義務と連関していると思います。
程度が弱いものであるにせよ,もしそれがあるのであれば,乙案もあり得るかなと。

● 今の甲,乙の関係ですけれども,裁判所の選任のときは,結局自分のあずかり知らない受託者が入ってきてしまうわけなんですが,それはもうしようがないというのはあきらめた上で,合意の場合は,何かそことの関係を考えるとしようがないのかなという感じもしないではないんですけれども。感想だけです。
● では,○○委員。
● 同じ方向の意見ではつまらないと。
委託者が,最初に共同受託者を複数決めているわけですから,そのうちの1人が書けた場合,委託者と受益者が合意すればそれで十分だというふうに,理屈の上では考えられますし,現実的に考えれば,委託者及び受益者は,自分たちに不利になるような受託者を選びたくないわけですから,その際には既に残っている受託者とうまくいくかどうかというのは,当然検討した上で選ぶであろうということなので,この甲案でいいのかなというふうに私は思います。
● なるほど。理論的には十分,あるいはそっちの方がすっきりしているのかもしれません。

わかりました。これはやはり両方の御意見があるということで,ちょっと最終的な検討は,また次回にさせてください。皆さんの方から御意見があれば,また改めて長い時間をとって議論をすることはできないかもしれませんので,メール等でもって御意見を伺えればと思います。

● 強制執行の件は,いかがでしょうか。
先ほどの弁護士会での議論を,もう1度繰り返させていただきますと,全員を当事者とするのではなくて,執行文による訴えを認める方向を残していただいた方が,結果的にはわからない人が出てきたらどうするかということの議論なんですけれども,その方がいいのではないのかと。
● 非常に重要な問題で,別にネグレクトするつもりはなくて,休みの後にしようかと思っただけです。
はい,どうぞ。
● ただ,執行文の訴えというのは,前提として執行文付与機関に申立てなければいけないわけで,そこでの判断,いろいろ異議とか複雑なそういう手続とかもあり得るわけでして,それよりもやはり,組合の場合などの規律の仕方にもかんがみて,各受託者に対して債務名義をとって執行していくというルートさえ認めておけば,あえてそれ以外の複雑な手続のルートを認めるまでの必要はないのではないかなというふうに考えてはおります。
事務局としては,ここはやはり共同受託者それぞれに対して,債務名義をとって執行していくというルートがオーソドックスではないかなと考えているんですけれども。
● すみません。あまりしつこくなって嫌ですが,ただ取引するときは職務分掌の定めが1人,相手方だけでいいんですよね。取引するときは1人でいいんですけれども,裁判するときはみんなでないといけないというのは,何となく,本来裁判によって担保されているのが取引ではないのかと思いますし。
あと,どう頭を整理していいかわからないんだけれども,組合の場合にも任意で訴訟担当は認められるという議論があると思うので,あと,大体被告になる場合が事例で,こんな議論しています。
任意訴訟担当だと原告になる事例が趣旨かもしれませんけれども,では原告になって訴えるときにはどうするのかというと,また全員なんですかという抗弁で,実はほかにいるのではないですかみたいなのも,さっきの職務分掌の定めというのは,結構1つの規範として機能しているにもかかわらず,裁判になったときにだけ,全員相手ですというのは,何か整合性がなくて。
ですから,どちらでもいいのか,結果は同じようにも感じるんですけれども,ちょっとその辺が問題ではないのかというような議論もありましたということを,御紹介いたします。
● 事務局といたしましては,執行文付与の訴えで立証していくのと,その第三者,他の受託者に対して債務名義をとるのとでは,債権者が要する労力については,ほぼ代わりがないのではないのかなというようなことを検討いたしました。
それに,まず加えまして,一般に信託債権に対して訴訟が提起された場合には,先ほど申し上げましたとおり,被告になった受託者が,自分のほかにも共同受託者がいるんですよと,信託財産がありますよというようなことを言った上で,訴訟告知等をするということがほとんどではないのかなというように考えておりまして,さらにそれに加えて執行文付与の訴えというようなことまでするのが,実際問題あり得るのかなというようなことを考えております。
この点につきましては,実務の裁判所の方の御意見も聞いてみたいところではあるんですけれども,事務局としてはそのように考えた次第でございます。
● 何かございますか。

● 私の感覚といたしまして,共同受託者に対しまして,訴訟を提起して債務名義をとる過程というのは,通常考えてもそんなに簡単に終わる裁判ではないんだろうと思うんです。
請求原因にしても抗弁にしても,いろいろな事実認定ですとか,法律上の判断入ってくると思われるものが,それが承継執行文の手続に乗せることによって,裁判所の書記官の手続の中で,しかも相手方の言い分を聞かないで出せてしまうというのは,非常に違和感を感じているところでして,あくまで手続保証という観点で,第一次的にせよ,執行文付与機関によって判断を経るということが,少し問題があるのではないかというふうに考えているところです。

● なかなかこれも重要な問題で,皆さんの御意見があればお聞きしたいと思いますけれども,ほかの方の。

● ちょっと確認ですけれども,先ほど説明の中で,訴訟告知をするであろうからという御説明がありましたが,それは要するに訴訟告知をするであろうから,ほかの受託者がそれでわかるので,その受託者相手にまた別個に訴訟を起こして債務名義をとれと,そういう趣旨なんですかね。
● その3人に対して債務名義をとらなければ,信託財産に対しては執行できないというような考え方を前提にしておりますので,そのような形になると思われます。
● 訴訟告知をしておくと,ほかのA,B,CのうちのAだけに,訴訟を起こして,B,Cが訴訟告知されれば,B,Cに対する訴訟が簡単に済むだろうと,そういうレベルのことですね。
● 簡単に済むだろうというと,この内容によるかとは思うんですけれども,一般的に職務分掌の定めがある場合につきましては,そのAという受託者だけが意思決定をし執行をしておりますので,BとかCとかは,その内容については把握をしていないということになりますので,仮にBないしCに対して訴訟をされたとしても,なかなかB,Cとして有意な抗弁等というのが本当に言えるのかなというのは確かに問題としてはあるんですけれども,やはり信託財産が合有という前提をとる以上は,3名に対して債務名義をとると,組合の考え方と同じように整理してはどうかというように考えている次第です。
● この点についても,まだ異なる御意見をお持ちの方もおありだというふうに認識しておりますけれども,とりあえず今の御意見ももう1回踏まえながら,一応検討いたしますけれども,原案を軸にしながら,どの程度今のような方向が取り入れられるのかどうか,もう1回裁判所の御意見も改めてお伺いしながら検討したいというふうに思います。

それでは,大変時間がかかりましたけれども,やっぱりこの共同受託者の問題は重要な問題であり,恐らくまだ本当は問題は残っているかと思いますけれども,とりあえずここで一たん終えたいと思います。

時間がないので10分の休憩ということで,お戻りください。

(休     憩)

● それでは,また再開したいと思います。
● それでは,資料冒頭の方に戻りまして,第13,第39,それから第51というところについて御説明をいたします。
第13でございますが,ここでは主として3点について御審議いただければと思っておりまして,1つは,差止請求権の創設と範囲に関する問題でございまして,試案の段階では信託の本質である倒産隔離の面での受益者の保護の観点から,破産管財人に対する差止請求権のみを認めておりました。

しかし受益者の保護の観点からしますと,倒産隔離の場面に限らず,受託者不在の間の信託財産の保護のための権能を受益者に与えることが望ましいと考えられます。
つまり,破産管財人等に限らず相続人や前受託者も,保管すべき信託財産を処分してしまう恐れがあり得るので,これらの者に対する差止請求権を認めることが,受益者の利益保護にかなうと考えるわけでございます。
そこで,信託財産の保管義務に伴う債権的な正確を基本としつつ,信託財産の保護のための物権的な性格をも具備した特殊な権利として,広く保管義務者全般に対する差止請求権を,受益者に対して認めますとともに,保管義務に伴うことの裏面として,前受託者の保管義務が失われる時点,すなわち新受託者等が事務処理をできるようになった時点をもって,この差止請求権は消滅するものと考えております。

すなわち受益者不在の間の受益者の差止請求権に関する判決の効力というのは,新受託者等には承継されず,新受託者等は別途所有権等に基づく引渡請求訴訟を提起することができるし,かつ提起しなければならないと。そしてこのような個別的な解決の積み重ねこそが,結局は紛争の解決に資するのだというのが,この資料の趣旨でございます。
もっとも,このような考え方に対しましては,受益者による差止請求権に関する判決の効力が新受託者に承継されないのは,紛争の一回的解決や,信託財産の保護の観点から問題ではないかという指摘もされております。
そこで,受益者が差止請求訴訟で勝訴した場合には,新受託者等に判決効が拡張されると。その反面,受益者が敗訴した場合には,新受託者は別訴を起こすこともできるとしまして,いわば判決の効力を片面的に拡張してはどうかという主張がございます。
このような指摘を踏まえまして,どのように考えるべきか御審議いただきたいと思います。

第2に,この差止請求権は,前述のとおり,基本的には受託者の保管義務,受益者に対する保管義務に由来するものですので,信託債権者には認められないものと考えております。
第3に,委託者破産の場合の双方未履行双務契約による解除権の問題でございますが,この場合の解除権を制限する規定を設けるべきだという意見が寄せられておりますが,しかし制限に関する明確な要件を定立することが困難であるということや,双方未履行債務の対立状態を解消する手立ても,資料に記載したとおりあるということなども考慮すれば,このような規定を設ける必要はないと引き続き考えるものでございます。

続きまして,少し飛びまして第51の信託債権と受益債権との優劣関係というところでございます。
前回会議におきまして,受益債権は信託債権に劣後するという考え方を前提にした上で,その実務上の弊害の有無や,理論的な説明の可否について検討すべしということにされました。
まず実務上の弊害についてでございますが,信託債権の劣後特約は有効でございまして,その効力は信託財産の破産手続においても維持されるという手当てをするとともに,すでに発生した受益債権に対する弁済は有効であって,不当利得とはならず,しかも受益債権に担保権を付すことも可能であるなどと考えることによって,実務上の弊害の恐れは排除できるのではないはないかと考えております。

また,理論的な説明といたしましては,信託債権は信託財産の価値の維持増加に貢献するものであって,かつ信託をコントロールする権利を有してもいないことなどを根拠にして,信託債権が優位になるということができると思っております。

なお,仮に受益債権と信託債権とを実体法上同順位といたしますと,信託財産が不当に害されることを防ぐためには,受益債権に対して,いわゆる配当規制を併せて導入することが不可欠であると思われるわけですが,このような配当規制を信託一般に導入するといたしますと,信託スキームの硬直化を招くことになりかねず,決して妥当ではないと思われます。
また,未弁済の受益者の保護という問題がありますが,これは資料中にも記載いたしましたとおり,一般的な規律として信託債権の優先性を否定すべきほどのものとまでは言えないというふうに考えております。
以上のような考え方を前提に,実体法上,受益債権は信託債権に劣後するということを改めて提案するものでございます。

以上でございます。
● それでは以上の点につきまして,どうぞ。
○○委員から,まず。

● すみません。第51もあるんですが,まず委託者破産についての3番,双方未履行双務契約の解除権について,質問と意見を述べたいと思います。
この点は従前から,私どもとしてちょっとこだわっているところでございますけれども,改めてちょっと述べさせていただきたいと思います。
双方未履行契約については,委託者倒産の場合の倒産隔離を図るためにぜひとも規定化をお願いしたいというのが私どもの立場でございますけれども,他方その立法技術上容易でないということも理解しておりますので,いかに解釈等で倒産隔離を実現するかが課題だというふうに理解しております。

この点,今回も御検討いただいておりまして,この点事務局の努力は多といたしたいと思いますけれども,なおその倒産隔離が十分に図られたと安心するためには疑問も残りますので,その点,隔離主体という観点から質問を行いたいと思っています。3点ございます。
1つは,これはそもそも論でございまして,大分前の議論のときでも申し上げたことではございますけれども,そもそも委託者と受託者の間の権利義務において,双方未履行で問題となる対価関係,対価性がないというふうに整理ができないかどうかということでございます。
すなわち今までの事務局の整理に従えば,委託者の債務とすれば費用報酬支払債務,追加信託履行債務,信託財産引渡債務というのがございまして,受託者サイドの債務としては,ここに書いてございますとおり,信託事務遂行債務,残余財産支払債務いうことがございます。
ですからこの権利らが,それぞれ両当事者で対価性がなく,よって双方未履行契約にそもそもならないと整理できないかということでございます。

考えましたのは,コメンタールによれば,こういう双方未履行契約の解除権という制度の趣旨というのは,法律上並びに経済上,相互に関連性を持ち,互いに対価性な意味を持ち,互いに担保視するべきものであって,民法の同時履行抗弁権と同様,両者の公平を保持するためとされていると。
委託者と受託者とのかかる対価関係があると言えない場合は,そもそもこういうものに当たらないと解釈できないのかということでございます。
従前にも御質問したかと記憶しておりますけれども,現時点における事務局の見解を改めてお聞きしたいと思います。
なお,この点考えますと,以上述べた両当事者の個々の債務のうち,信託事務遂行債務については,費用報酬債務と対価関係が一見ありそうにも思えます。
これも何か苦しいところではありますけれども,ただ信託事務遂行債務を考えれば,これは専ら受益者に対するものであるというふうに考えることができますので,そういう意味で,ここで言う委託者と受託者の対価関係と言えないというふうに議論が整理できないかどうかということでございます。

2つ目は,これは単なる確認でございますけれども,今回受託者の債務からの説明,ある意味では理論武装をいただいたわけなんですが,これは従前の御説明でいただいた委託者債務の説明と,付加的に考えていったらどうかという御提案の趣旨なのかということでございます。

すなわち,これら2つの考え方と,それからそれぞれに従う実務上の手当てとを,合わせ技であれば倒産隔離が図られるような実務が図られるのではないかというのが,事務局としての御提案の趣旨なのかということを,確認したいと思います。
3番目でございますが,今回の御説明のことでございます。今回の御説明のことについては,自益信託でも妥当するのかどうかということです。もしそうであれば,実務上は信託事務遂行債務とか,帰属権利の受益者に対するものに対しては,これは受益者に対するものとして組み立ててやれば,倒産隔離は実現可能になると思います。

これは考えますに,やはり事務局がおっしゃるとおり,実際上もやはり証券化においては対応可能ではないのかなということと思われますので,実効性も高いのかなと。それでとりあえずここの御説明で実務は回るのかなというふうには,私は思っています。
ただ,ちょっと考えますに,やはり自益信託でもそういうふうになるのかなというのは,ちょっと若干疑問でございますので御質問しているわけなんですが,すなわちこれは,信託契約は委託者と受託者との間で成立するというものであるので,あくまでも委託者と受託者の間の契約で双方未履行性を考えればいいということで,ではそういう債務が受益者に寄せられれば,双方未履行契約性がその契約にはないという,そういう整理だと思います。
ただよく考えてみれば,自益信託の場合には,同じ人が,方や寄せられた受益権にかかる債務を負っているわけですから,そうすると非常に何かレトリック的に,それで本当にいいのだろうかと。かかる双務性というのは,個人と個人との間では解決されていないのではないのかなという疑問がございます。
もしこういう1つの契約関係で2つに立場を分けるということが可能であれば,例えば通常の取引であったとしても,権利関係を2つに分けて,契約自由の原則ですから,そして一方の地位,権利を全部寄せてしまえば,残った権利義務関係については倒産隔離が図られると,双方未履行契約の関係にならないというふうに整理されるようなことも可能となっているような気もするんですけれども,果たしてこの考え方でよいのかなというふうに思います。

今申し上げたのは非常に極端な話なのかもしれませんが,これはそうではなくて,信託だから,つまり委託者と受益者という地位が法律上明確になっているから,ちゃんと委託者の債務というのは消すことができるのであれば,双方未履行性がないと。
よって受益債権であったとしても,御説明があるように,双方未履行契約性を消すことができるということかということでございます。
決して今回の説明を否定したいとかそういうことではございませんで,本説明をより強固にしたいと,安心して倒産隔離ある信託を使いたいということでございますので,よろしく御見解を賜りたいと思います。
それで最後でございますけれども,前回も申し上げましたが,いずれにしても解釈で解決するということであれば,これは法律に書かれないものですので,いずれにしても本解釈については後日,立法後,法務省担当者としての解説書で,この点を詳細に明らかにしていただければというふうに思います。

以上です。

● いろいろ質問が来ましたけれども,いかがですか。
● まず第1点目だと思いますが,信託事務遂行債務,対価的な関係というか,債権債務が双方に対立する関係になるかどうかですね。この信託事務遂行債務が。
○○委員がおっしゃっていたのは,信託事務遂行債務というのは対価的な関係にはないというふうに言えないかということかと思いますが,ただここはやはり一概にはちょっと言いにくいところがありまして,つまり確かに他者に対する,第三者,他益信託を特に前提にしますと受益者に対する給付をしてもらう,させる,そういう債権があり,その債権の報酬をまた支払っているという関係ですので,基本的にはやはりこれはやってもらうから報酬を払っているんだという関係にあると言わざるを得ないのではないかというのが,大原則かと思います。

ただ現行法と違って,少し話しがかわってきているのではないかという話がありそうでして,それは委託者の地位を後退させたということの影響がどう出るのかなということなんですが,ただそうは申しましても,受託者の解任ですとか,受託者選任するとか,そういった局面においては委託者の権利は残しておりますし,その他裁判所に対する申立て権等々もろもろ,デフォルト状態では残しているということがあり,その前提としては,やはり信託事務を着実に遂行させて,受益者に受益をさせるということについて,委託者の権利を一定限度残しているというふうなたてつけなのではないかなという気がいたします。

そこまで考えると,一概に委託者について,何らの対価性のある債権が残っていないというふうに言い切れるのかどうかというのは,これはもう解釈論と言わざるを得なくて,そこは解釈次第ですので,どちらでもあり得るのかもしれませんけれども,絶対大丈夫ということが言えるのかというのは,我々としてはどうなのかな……むしろ委託者としての権利義務というものをなくしてしまえば,もちろんそういうような議論はないはずですので,委託者の地位のところで議論いたしましたけれども,信託行為に定めを置いて,信託法上の委託者の権利というものを失わせると,これはもう全然できていいでしょうということについては異論がなかったわけですから,そちらの方に従って,委託者の権利を失わせるということをすれば,恐らくは実務上は問題ない。
安心してやりたいというのが実務界からの強い要望だと思っておりますので,安心してやる観点からすると,そこまでやっていただければ大丈夫。
これは言えるんだと思うんですけれども,ではその手前どのあたりまで言ったら対価性があるのかないのか言われても,なかなかちょっとお答えは難しいのかなというところであります。
ただ,絶対に対価性があるというつもりもないんですが,そこは解釈で明らかにできる範疇を超えているかもしれないなというのが,我々の認識というところかと思います。
それから今回は受託者の債務についての面を取り上げておりますけれども,○○委員が先ほどおっしゃいましたように,補足説明で書いたような委託者側からの債権,こちらの方を失わせるという手立てで,双方未履行双務契約に当たらないと言うことができるというのも,これはもちろん当然の前提と。それに加えて,こちら側についてもこのような考え方ができるのではないか。
これらの選択を組み合わせることによって,特に資産流動化を初めとした商品スキームにおいて,倒産隔離効を万全なものとするということは,商品設計に若干の影響を与えるかもしれませんけれども,できるのではないかなというような気がしているところでございます。
それから最後3点目のところの,自益信託との関係をどう考えるかということですが,正直申し上げて,ここもまた解釈論ではないかという気がするんですけれども,確かに委託者と受託者との契約関係を見て,それから受益は第三者にいっているところを形式的にとらえれば,他益型についてはこのような形になるでしょうと。それがたまたま自益だった場合はどうかと。
それはもう,たまたまそうだったんだから,関係がないということも相当程度言いたくなるんですが,他方でやっぱりそこは実質を見ざるを得ないのではないかと○○委員のような議論があり得るのではないかと言われれば,それはそうかもしれないなという感じがいたしまして,そこはちょっとどちらがいいのか,我々としてもよくわからないなというような感じがするところでございます。
最後に,法律上規定を設けるか設けないか,これからの御議論かと思いますが,設けないこととなった場合に,この法制審における議論がこれこれこういうふうにされましたということは,もちろん議事録上は明確になっておりますし,それに加えて解説書等の中で,こういう議論がされたということを言っていくというのはもちろん,ここでの議論を一般の人たちに知っていただくというのは1つの重要なことだと思いますので,そういうことは恐らく法務省としてやっていくことになるんだろうなという気がいたしておりますが。

● 1点確認したいんですけれども,先ほど私の方の3番目の質問で,自益信託型についてどうなのかという点について,事務局としては解釈は分かれるのではないかということでございました。
もちろん解釈の問題ですからそういう問題もあろうかと思いますけれども,仮にでは,それは,やはり疑問があるねといった場合に,そうすると例えば今回の事務局の御提案のとおり,信託事務遂行債務とか,残余財産の関する支払債務とかを受益権に寄せただけでは,やはり倒産隔離の問題は完全に消えないということですか。

● 一番典型的に問題になりそうなのは,形式的に考えれば,私は当たらないと思うんですけれども,双方未履行双務契約というような範疇にですね。たまたま受益者が,だけれども委託者と同一人物だったときにどうかと,そういう議論ではないかという気がいたしまして。
つまり,委託者が多数の受益者のうちの1人でした。たまたま。というような事例をここで想定するのか,それとも先ほど言われたような,よく言うところの委託者兼受益者,1人の委託者が1人の受益者を兼ねていて,受託者1人ですというような一番典型的な自益信託を考えるかで,話はそれは随分違ってきそうな気がいたしますけれども,私が申し上げたのは,1人の受益者が1人の委託者を兼ねている場合どうかと。
実務上はそういう例はあまり想定されていないのかなと思いましたのでそういう答え方をしたんですが,そうではなくて,多数の受益者がいる中でたまたま1人だけという場合は,私はそれは全然話が違うのではないかなという気がしますけれども。

● ありがとうございました。
● なかなか立法化は難しいので,いろいろな解釈,あるいはいろいろなやり方で何とかならないかということについてのやり取りだったと思いますが。
○○委員。
● この件ですけれども,やはり流動化,証券化関係者の間からは,信託契約を双方未履行双務契約の解除権の対象にならないようにすることを明確化してほしいという,非常に根強い需要があるわけですが,今の議論ちょっと伺った限り,委託者サイドのことにちょっとフォーカスされていたかと思うんですけれども,もちろんそれは十分よくわかるわけですが,受託者サイドの解除権については,これを排除するような規定を設けることは検討できないのかなと。
と言いますのは,受託者の破産は信託の終了事由になっておりますし,受託者の民事再生あるいは会社更正は当然に終了事由にはなりませんけれども,受託者の交代の規律等をきちんと設けますので,受託者サイドの解除権を排除することによる弊害というのは,ちょっと素人考えかもしれませんけれども,特に思いつきませんので,委託者サイドの解除権の排除に比べれば,信託法の中での立法化というのはやりやすいような気がするんですけれども,いかがでございましょうか。
● それについてどうでしょうか。
● 受託者倒産の場合の双方未履行双務契約の解除権については,補足説明にも書きましたし,昔部会でも議論したかと思いますけれども,基本的には適用はないはずであるというふうには考えておりますが。
それを明文で明らかにする必要まであるのかと,こちらの方は相当程度明らかで,ほかにも破産法上も,自由財産関係の契約は適用にはならないのは当然ですねと言われているところでもあり,そこまで明確化する必要は果たしてあるのかという感じがしております。

逆に,委託者の解除権の方は手をつけないということになると,それはそれで変なアンバランスで,委託者の方の解除権は相当広く認められるのではない
かというようなふうに受け取られても困るような気もいたしまして,そこはいずれにしても両方とも解釈論で,ただ解釈の内容というのは,受託者の倒産の場合については基本的には適用はないはずだということで,全く御異論はなかったかと思いますし,委託者の解除権については,もう少し難しい問題あるけれども,ここにあるような手立ては十分に可能であろうというようなことを,我々は今のところ考えているということですが。
● ○○委員。
● この論点で。
○○委員と○○委員がおっしゃったとおり,反対ではあるんです。やむなくこういう規定になるような感じしまして。なおかつ排除はできなくて,一応この双方未履行双務契約の適用がある状況になってしまったという後のことを,ちょっと確認したいんですけれども。

通常の契約関係と違って信託の場合は,信託との取引が行われている第三者が,この場合は特にあり得ると思うんですけれども,ちょっと上のところに出てきますが,特に責任財産限定特約つきのノンリコースのレンダー,貸主との関係で,この双方未履行双務契約の解除が行使された後はどうなっていくんだろうかと。

取引ですから,信託財産の譲受人との関連というのもあるかもしれませんけれども,一番現実的なところですとノンリコースレンダーはどうなんだろうかとか,あと観念的にはあり得ないのかもしれませんけれども,自益信託の受益権を対価を払って取得した受益者がいる場合,その場合の受益者,何もゼロになってしまうのかもしれませんけれども。
いろいろな側面で信託との取引関係が生じていると思うんですが,その場合はどういうふうになるのかというあたりを,ちょっと教えていただければと思うんですけれども。

● いかがでしょうか。
● 今の双方未履行双務契約の解除権があった後の,特にノンリコースローンの債権者どう扱うかというのは,○○委員が前から心配されているのはよく存じ上げているので。なかなかどういう帰結になるのかというのはよくわからないところありまして,信託に限らず,ほかにも似たような状況は十分生じ得るんだろうと思います。

つまり,ほかの契約がたまたま双方未履行双務契約で解除されてしまった場合に,第三者が何らかの利益を持ってその契約に入ってきていたと。1つはノンリコースローンかもしれませんし,もう1つは第三者に譲渡されていたような場合とかあるのかもしれませんが,そのあたりの帰結というのは,一般の破産法の中でも解釈論となっているのかと思いますけれども,今言われた例についてどうなのかというのは,今この場では,ちょっとまだよくわからないようなところはありますが,第三者保護は何らかの形で図られる必要はあるのかなというような気はするところではありますけれども。
今すぐどうかというのは,すみません,ちょっとよくわからないところありますので。
● 信託の清算になるわけではないんですか。信託の終了,清算という理解では,あくまでない。

● 双方未履行双務契約の解除によって,信託が終了を来すのではないかということですか。

● はい。そうすると清算規定の適用があるという考えもあり得るのかなと。ちょっとわかりません,私もちょっと……。

● ○○委員。
● 何点かあるんですが,今の点にだけ特化して私の意見を申し上げますと,まず53条の管財人の解除権を排除するのは,やはり理論的にはかなり難しいだろうと思います。
53条全体について,どこまでが解除権の対象となる契約かというのは,ここ以外にもいろいろな問題があるのですが,あるいは53条に当たるんだけれども,解除権がないと,この平成12年の最高裁の判決とかあって,確かに議論全体が不明確なのですが,だから変な言い方になりますけれども,ここだけ難しいわけではなくて,全体に難しい業務なんだというふうに考えざるを得ないんだろうと思います。
ぎりぎりの場面で,やはり解除権は残しておかないといけなない局面というのは,どこかに残る可能性があり,それが絶対ないといわない限りは,やっぱり解除権を排除するという理屈はなかなか出しにくいのかなという気がいたします。
以上が前半で,仮に解除した場合にどうなるのかという○○委員の御質問ですが,私は信託の終了の規律にいくものだというふうに思っております。

ちょうど信託の契約というものは相対の契約のようでもあり,何か組織をつくる契約のようなものでもあるのですが,その後者の側面に着目しますと,ちょうど会社の設立の場合の規律にやや似てくるのではないかと。結局会社の解散みたいな規律をしていくことになるんだと思うんですけれども,それとのアナロジーで考えられるのかなというふうに私は考えておりました。
以上です。
番人
「相対の契約のようでもあり、何か組織をつくる契約のようなものでもある、か。」
● 何となくそういうのが素直な感じの,素人ながらいたしますけれどもね。
あるいは○○委員が問題にされていたのは……。
● 1つとして信託債権,債務がある以上,支払われますけれども。ちょっと受益権の譲受人は不利ですけれども。

● 確かに。
ほかに,先ほどこの倒産関連では,前回とかわった部分についての説明等がありましたけれども,いかがでしょうか。差止め請求の根拠なり,差止め請求できるもの,そして差止め請求を判決でもってとった場合の,効力の及ぶ人的な範囲ですね。

● 今の,まさに判決効のあたりどうなのかというのは,ちょっとまた手続法の観点もありますので,事務局の方でもう少し検討してみたいなというふうには思っているところです。

● これは私の意見を申し上げるというよりは,議論の整理だけしておいた方がいいかなという程度の話なんですけれども,受益者の差止請求権,これはつまり受託者が解任等でいなくなった場合,それから死亡等で相続人が保管している場合,あるいは破産して管財人がやっている場合,以下破産管財人で代表させていただきますけれども,こういう場合に受益者の差止請求権というのを,理論的にどうやって根拠づけるかというところで,事務局はずっと御苦労されているというふうに拝見しております。
今回は5ページの4行目に書いてあるとおり,保管義務に伴うものという形で整理されているわけで,これが1つのあり方なんだろうと思います。こう考えますと,将来受託者が出てきたときに持つ引渡請求権,物権的な権利とは切り離された存在ということになる。
受益者固有の権限というふうに考える方向に傾きがちであり,果たしてそういう受託者が持っているような物権的な権利とは別に,保管義務からは差止請求権のような権利が導けるかということが理論面で問題となると同時に,受益者が,例えば処分禁止の仮処分か何かかけている。あるいは申立てをしている。

あるいは仮処分命令が出た後に,新受託者が選任されても,実体権が全然違うわけですから,新受託者は受益者が得ていた有利な地位というのを引き継がないということになるんでしょうが,果たしてそれでいいのかどうか。ということが問題になろうかと思います。
以上の保管義務で整理するのが1つ目の構成だとしますと,2つ目の構成は,新受託者が将来持つべき物権的な権利というのを,受益者が暫定的に保全をするために前倒しで借りてきて使う。訴訟でいうならば,訴訟担当のような,時間的に先行する管理権限を持つという構成が考えうるんだろうと思います。これは,多分もとの案がこれに近かったんだろうと思います。

こう考えますと,受益者が行使している権利というのは,新受託者が登場するまで,法律に基づいて与えられた質的な一部,新受託者だったら引き渡せと言えるところを,処分するなという形で質的に縮減されて持っている,いわば保全を求めるための権利だということになりましょうから,新受託者が出てきたら,もとの姿に戻って,しかもそれは承継されて,引き渡し請求なり何なりにつないでいけるということになるんだろうと思います。
受継を説明できる点では,そちらの方がいいわけですが,ただ問題は,そういう訴訟担当のような構成をしますと,一受益者が,仮に受益者がたくさんいて一番訴訟の下手くそな受益者が出てきてそれで負けてしまった場合に,新受託者,あるいはほかの受益者が,損を,敗訴判決の効力を受けるという形で不利益を被らないかということになるわけですが,問題は,だから最後,先ほど○○関係官がおっしゃったように,一受益者が負けたときに,新受託者がなお引き渡し請求できるという説明ができるかどうかにかかってくるということなんだろうと思います。
特に,私の強い意見を申し上げるというわけではないんですが,問題としてはそういうことなのではないかということであります。
以上です。

● ○○委員。
● 私も議論の整理だけでして,もし○○幹事のおっしゃっているような方向でいくと,非常に便利でいいなという気はいたします。ですからぜひその方向で検討していただきたいんですが,最後のところの,受益者が負けたときに新受託者がもう一遍やって勝つことができるということを,非常にうまい話なんですけれども,少しうま過ぎるかもしれないので,そこが理論的にうまく説明できるかどうかというところだろうと思います。
他方で,本日お出しいただきました第1の構成につきましては,○○幹事からおっしゃいましたような弱点と申しますか,差止め請求権の実体的な根拠は何だろうかということが,必ずしもはっきりしないという御指摘だったと思います。
多分この原案というのは,保管義務を前受託者等が負っている。逆に受益者の方から言うと,保管請求権を持っている。それが受託者不在の場合には,受益権を保護する必要性が高まるものですから,差止め請求権にまで強まるというような説明になるだろうと思います。
そうするとそこでの問題は,受託者不在の場合とは何かということでして,1つの考え方は,就職するまでというのが一番理論的にはすっきりすると思います。
その間は保管義務を負っている。ところが原案は,事務処理ができるようになるときまでということになっておりますので,新受託者が就職後,事務処理ができるようになったときまでの間は,保管義務が果たして観念できるのかどうかという問題が出てくるんだろうと思います。

ただ,それも受託者不在の場合というものの解釈の仕方によるわけでして,受託者不在の場合というのは,受託者が存在しない状態と,受託者が就職したけれどもいまだ事務処理ができない状態と。いずれにおいても受益権の物権的な保護の必要性が高まるというふうに考えれば,それは何とかなるのではないかと思います。
そうすると,その先の問題がありまして,新受託者が自己の権限に基づいて引き渡し請求を前受託者に対してしたという場合,あるいは仮処分を申請したというときには,事務処理が既に可能になっているではないか。
とすると,受益者の差止め請求権は,実体上の根拠を欠いて,かつ新受託者の引き渡し請求が認められるまでの間に,時間的な空間があいてしまって,そこが問題ではないかということが次に出てくることだと思います。
それもしかし,受託者が就職したけれどもいまだ事務処理ができない状態というものの解釈によるわけでして,前受託者が争っている以上は,まだ仮処分申請をしたとしても事務処理ができないというように,もし解釈することができれば,そこは理論的には何とか説明ができるかもしれないというところだと思います。
結局そうしますと,どちらも理論的な特質があるわけですけれども,実際上考えて,2回訴訟と申しますか,差止めをすることがいいのか,それとも1回で引き継がせる方がいいのかということの実質的な判断。それから,あと実際上の便宜ということになる。そのあたりが大体問題点かなというふうに思っています。
● どうもありがとうございました。
先ほど事務局の方からも少し説明がありましたけれども,判決があったときにどうなるかということについては,もうちょっと詰めて考えたいということでございます。

差止請求権の根拠等につきましては,先ほどから2人の御指摘もございましたけれども,なかなか説明の仕方は苦しいところあるのかもしれませんけれども,少しこの範囲を拡張する,請求権延長の範囲を拡張するということに伴って,説明の仕方を工夫しなくてはいけないということからきているものでございます。
しかし,それで何とか説明ができるということであれば,それはこの点は御承認いただければと思いますが。
● 今,○○幹事と,それから○○委員にまとめていただいたようなところが,理論的にはいろいろあると。ただ,いずれにしても一応は説明は可能だというふうに,我々もちろん思っておりまして,まさにこれも先ほどおっしゃいましたけれども,最後の最後,受益者は,何人かいれば勝つまでずっと訴えが適宜できるというようなのは,非常に受益者保護には資するありがたい考えなんですが,果たしてそれができるのかどうかと,そこだけですね。
できるのであればやれればいいのではないかというふうに,我々としても思いますので,そこだけちょっともう少し考えさせていただいて,結論をだしていきたいなということでございます。
● では,○○幹事,どうぞ。
● たびたびすみません。

受益者が特にたくさんいる場合に,1人出てきては負け,1人出てきては負けと,そうすると相手をする破産管財人等はたまらないわけですけれども,こういう場合には,ほかにも例がありますが,口頭弁論を必要的に併合するとか,あるいはその前提として,管轄もし1つに絞れるならば,併合も非常に容易になるだろうとか,そういうところで手当てをしていくことになるのかなというふうに思っていまして,何回も応訴しなければいけない破産管財人等の地位は,一応,どこかでは配慮が必要だろうという気がいたしております。
以上です。

● ほかの点についてはいかがでしょうか。先ほど13と39,51について事務局から説明があったわけでございますが。

どうぞ,○○委員から。

● 結論についてどうこうとか反対とかそういう趣旨ではなくて,何度も同じような議論していて申しわけないので,ちょっと手短に質問したいんですけれども,そもそも実体法的にそういう債権の優劣を区別することはいかにというポイントが私の中にはあったんですけれども,聞くところによると,中間法人の基金とか,生保の出資金とか基金とか,そういうのは立法例としても存在するということなんですけれども。
今回この実体法レベルで規定するとして,どのような規定の仕方になるんであろうかという質問なんですけれども,それぞれの問題になるような側面において返還請求できないとか,基金とか出資類似であれば清算するまで返しませんと言えば済むんですけれども,なかなかそうもいかないので,先取特権みたいな形もあるかもしれませんし,優劣という形で書くのかもしれませんけれど。
ただ,優劣というような形で実体法上書くと,さまざまな側面において疑義が生じてくるのではないかという懸念もあります。懸念があっても,別にいけないという趣旨ではないんですけれども,この実体法レベルでの,今回取り扱うということの方法,規定の仕方等をお知らせ願いたいということと,それとの関連で,実体法レベルでどういう側面で優劣が登場してくるのであろうかと。
弁済期において支払いができる場合には,別に優劣の議論ではないですと,たしか解説があったと思うんですけれども,それでは,受益権と信託債権が同時に弁済期が来れば,足りなければ優先するものが払うと,これはこれで簡単な話なんですけれども,倒産する前の話ということで考えると,来るべき将来,不足することが予想されている場合に,受益権に対して支払わないということが,その優劣から来るのかどうかとか,実体法レベルで規律した場合に,どういう側面においてその実体法が適用されるのであろうかというあたり,特に弁済期においては問題ないんだけれども,いつかそうではないときが来る。

そうするとこれは,いつかが近い将来なのかずっとなのかということになると,またもとの議論に戻ってしまって,最終的に言うと大概と不当利得になるのではないですか議論が登場してしまうかもしれません。その議論をぶり返す趣旨ではないんですけれども,その辺をお知らせ願いたいということと。

それと反面的な趣旨で,そうすると優先権を持った債権者というのは,受託者に対して一般債権者としての地位以上に優先権としての何らかの法的な権利を取得し,そうするとそれの義務を履行しなかった受託者に対して法的な責任を負うというような,そういう,今までは何か優先劣後というのは反射的なあれで,それは契約で決めますから,何ら優先の方には権利を与えていないようなのが普通の契約条項の取り決めの仕方なんですけれども,ある意味では優先の方にも何らかの実体法的な権利が与えられるようになるかとか,ちょっとその実際にこの優先劣後を規律するという前提においての議論として,その辺をちょっとお知らせ願えればと思います。

● 規定の仕方というのはなかなかどういう例があるのか,これからよく考えていかなくてはいけないなというふうに思うんですが,例えば相続財産破産の局面ではありますけれども,相続債権者の債権というのは,受有者の債権に優先しますというような書き方がされていたりします。
優先するというふうな書き方をするというのも,もちろん1つあるでしょうし,あるいはここにありますように,劣後するということでおくれるというふうな書き方もあるのではないかなという気がしておりまして,そこは実質の表現の仕方,どういうのがいいのかというのは,また何か御意見があれば教えていただきたいんですけれども。

その働く局面がどういう局面かといえば,基本的には執行,破産等々,民事裁判手続の中で,配当を受ける段階で,実体法上の優先順位に従うということがございますので,その局面で働くのではないかなという気がしております。
それで,先ほどおっしゃった恐らく倒産状態というか,支払い不能に近いような状態で,支払ってしまうと偏頗弁済になりますねというような状況でどうしたらいいのかというのは,恐らく,よくわからないのですが,優先劣後構造になっているから出る問題というよりかは,同順位の中で支払い不能になった状態で,一部債権者に支払っていいのかというような話があると思うんですね。
その局面と,何か劣後させたから大きく変わるのかなというのが,何か,すみません,にわかによくわからず,同じような問題なのではないかなと。
劣後するかどうかにかかわらず,支払い不能,一般的に弁済期より先払えないというような状況だと思いますので,その状態で支払っていいのかというようなことを言われたのかと思いますが,それは優先劣後とは,直接は関係がないような気も,今直感的にはしているところでございます。

● いかがでしょうか。
どうぞ,○○委員。

● 第51でございますけれども,ちょっと違う論点でよろしいでしょうか。
優劣についてもちょっと前回から御意見を申し上げているところでございますけれども,前回と同様,私どもとしては劣後という,ここに書かれている方向性で,すなわち優先劣後の範囲意味合いを明確にしてほしいと,整理してほしいという考えでございまして,その観点からしてみれば,今回の御提案の御説明を見ますと議論がその方向性で整理されてきたという印象を持っております。
ただ2点,ちょっと疑問ございまして御質問いたしますけれども,まず受益債権が弁済期になるなど,当該債権が確定または具体化された場合にどうなのかという話でございます。
この点についても,私は以前,これは同順位ではないのかというふうなことを申し上げたことがございますけれども,ただ本件を見ますと,※1の注からしても,これもこの債権だとしても,他の場合における受益債権と同様劣後するという整理だと理解しております。
ただこの点を,ぶり返しになりますけれども受益債権での物的責任とか,一般債権との差異はあろうとも,基本的には配当場面とかそういう破産状況になったときに,確定,具体化した債権としては,通常の一般債権と同じ順位ではないのかなというふうに思っていたものですから,若干違和感が残るところでございます。

これは実務的な感覚からすると,同じエクイティたる株式とパラレルに考えていたわけですが,もちろん株式とも違うわけなんですが,ここの違いがどこから来るのかという,ちょっとこれは,同順位であるということの理屈がないからということなのかもしれませんけれども,逆になぜ確定,具体化された債権まで劣後するのかということについて,理論的な根拠をお尋ねしています。
すみれ
「株式もエクイティなんだ。」
従前の御説明でちょっと若干触れられたのかなというふうには思っておりますけれども,ここにも書いてありますように,配当規制があるからこそ一般債権と株式の場合には議論できるわけで,逆にこのような手当てがないのであるから,やはり劣後にすべきだと,そういうような理解でよろしいんでしょうか。
ですから1点の御質問としては,確定,具体化した債権は劣後する,理論的な根拠を,改めてちょっと御教示いただければというふうに思っております。
なお,付言するのであれば,劣後の手当てとして,では逆に配当規制を捨てろというふうに私は言っているわけではなく,有限責任信託の議論は別として,かような規制というのは信託の柔軟性を損なうので,すべきではないということでございまして,この点は事務局の考えと同じだと思っております。

2つ目の御質問は,もっとも,確定,具体化した債権が劣後するとしたとしても,考えてみれば,実務的に,ではどういうときに問題になるのかなと思ったところ,やはりここの※1に書いた事案ぐらいなのかなというふうに思っておりますので,では劣後するから,違和感があるからということで,結論として同順位であるべきだというところまではこだわりはいたしません。
ただ1点ちょっと細かい御質問ですけれども,ちょっと確認したいんですが,先ほどの○○委員の御関心にも関係するわけなんですけれども,確定期日に弁済を受けることができなかった受益債権者が相殺をするといったときに,受益債権が劣後債権であることを理由として,他の一般債権者との問題とならないということを確認したいと思います。
つまり,実際発生したものについての回収場面において,劣後というときの意味合いの話になりますけれども,これは前回の私の関心と重なりますが,劣後というふうに整理した場合に,破産における配当における劣後ということはわかりますけれども,その他の回収手段,これは抵当権をつけるとかいうことも含みますけれども,受益債権者が相殺によって回収する場合には,別段一般債権との関係では問題にならないと。

もちろん信託法の相殺制限の範囲内ということを前提としますけれども。という点を,ちょっと御確認したいと思っています。

以上です。

● いかがでしょうか。
● まず前者の方の,確定した分について,なぜ同順位になるのかという話ですが,そのもう1歩前に,まず大前提として,受益債権を信託債権に劣後されることについての理論的説明があるんだと思います。
その点については,この資料の中では3の(1)のところで,一応2つの,これまでもずっと指摘されているところでございますけれども,そういった理由を挙げさせていただいていると。

まずここについて御納得をいただけるかどうかが1つの分岐点だと思いますので,ここで御納得いただかなければ,もちろん○○委員の御質問には入らないわけで,そこは納得いただいているという大前提で,今度入っていきますと,では劣後させなくてはいけないという実体法上の関係にはあるんだと,それは合理的あるというようなときに,では確定して具体化したということの意味ですけれども,例えば配当決議みたいなものをして,具体的に配当額が決定した。それで,そういうことをした瞬間に同順位になる,そういうことを恐らく言われているんだと思います。
ではそれが本当にいいのかどうかで,そのことと,本当はでも実体法上は劣後させなくてはいけないということとのバランスをどうとるかという問題だと思います。
その点についての1つのバランスのとり方というのが,会社法における配当規制なのではないか。つまり,過大な,上位にいる信託債権者を害するような配当額の決定というのは,いろいろな方策で実際上できない,そういうことにされているのに対しまして,信託法上はそういう手立てをつくらないんだとすれば,同順位にするということまではやっぱりいき過ぎであって,劣後化させるしかない,こういうような結論なのかなと。

恐らく実務上の,今までの御認識とは違うということは,それはあるんであろうとは思うんですけれども,他方で実務上の認識と申しましても,今まで信託財産の破産というのもございませんでしたし,実際信託が破産状態になるということも,理論的にはいろいろあったんでしょうけれども,現実問題としてはまさに直面したというほどのことはなかった。そういう状態での議論だったということなのかなという気がいたします。

ただいずれにしてもその大前提は,信託債権に対して受益債権は劣後するんだというところは,そうなんだろうなというところを,お認めいただいた上での話だと思いますけれども,今の点はそういうことになるのかなと思います。

それから相殺の関係ですけれども,各種の相殺規制,いろいろな法律にありますけれども,そういった中で行われる分には,問題はないということではないかなと思っておりますが,何か間違いがあったら御指摘いただきたいですけれども,とりあえず私はそう思っております。

● ありがとうございました。わかりました。
● ○○委員。
● 違う点ですが,追加の点で,先ほどから議論しているノンリコースローン,この中でも責任財産がいて,特約つきの,貸主ということ出てきますけれども,合理的な解決の方法として,身分が下がって受益債権と同列に扱うという対応なんですけれども,このコンテキストにおいては,それなりに合理性があるのかなという気はしないでもないんですけれども。

銀行の方々の関心かもしれませんけれども,昨今は通常の事業法人とか個人に対して,住宅,アパートローンや何か,ノンリコースローンをしています。

それは信託のコンテキストではありませんけれども,そういう場合に,その債権の地位が,他の一般債権よりも借主さんが倒産したときに下がるという議論はないと思うんですけれども,こういう信託の実体法,又は信託の倒産という側面だけ,そういうことを規律するということが,他への影響とかあり得るのではないのかというのが,ちょっと私なりに心配といいますか,整合性の議論ももちろん背面であるんだとは思うんですけれども,その辺についてどうかというのと,あとは,ノンリコースローンの特約というのにもいろいろ程度の差があると思うんですけれども,それによってあるとき身分が極めて低い立場になるというのも,なかなか整理として難しいのかなと思うんです。
結論としてはやむないと思っているのでいいので,どちらかといえば質問としては前者の方なんですけれども,それについての御意見いかがかと思うんですが。
● 私の方がうまく理解できているのかどうかわからないですけれども,物的有限責任とかといったところが理由で受益債権を劣後化しているわけではなくて,受益債権劣後化の理由は,ここに書いてありますとおりのところですので,それが一般のノンリコースローンの順位に波及するということはないのかなというふうに思っておりましたけれども。

● 一応切り離して考えたいということだと思いますが。

ほかにいかがでしょうか。--よろしゅうございますか。なお,いろいろ御議論があるかもしれませんけれども,今確認できたことは,基本的に受益債権を劣後させるという大きな考え方については,一応御理解いただけると。
これが実体法上の優劣だというときに,どういう場面でもって影響が出てくるかということについては,これはちょっと規定の仕方の問題もあるかもしれませんけれども,一応の考え方については,○○関係官から今説明がありましたけれども,多少解釈論の問題も残されていると思いますけれども,これについては,そういう意味で,すべてここで全部詰め切れているわけではございませんけれども,基本的な考え方をもとにして考えていくということになるんであろうと思います。

それでは,大変急がせて申しわけございませんけれども,もう少しだけいかせてください。

● 次は,受益者の指定変更権と目的信託のところでございます。

第60からでございますが,これは一般の受益者指定変更権の問題でございまして,特に受託者がこの権利を有する場合のデフォルト・ルールのあり方について御審議いただければと思っております。
試案におきましては,受託者以外の者が変更権,指定権を有する場合と,受託者がこの変更権等を有する場合とでデフォルト・ルールを逆転させておりまして,受託者については,遺言によって行使することはできない,かつ,死亡に伴い新受託者に承継されるとしておりました。

これに対して今回の提案では,あくまでも一般原則の場合と同様に,遺言によって行使することもできますし,死亡に伴い承継されないとすることに改めたものでありまして,このような考え方に変えた理由につきましては,資料中に記載したとおりでございます。
あくまでデフォルト・ルールに過ぎないものではございますが,このような考え方の妥当性につき,御意見があればお伺いできればと思っております。

次に,遺言代用信託における変更権等の問題でございまして,この新しい資料で言いますと第61ですね,ここについてでございますけれども,主として次の2点について御審議をいただければと思っております。
まず遺言代用の信託に関する規律を設けることについて,賛成意見が多数を占めましたけれども,現行相続法体系との整合性に疑問があるという指摘がございました。
しかし,この意見は,具体的には受益権の付与と,遺留分減殺及び特別受益の持ち戻しの対象との整理がついていないということを指摘するものだと思われますけれども,受益権の付与は遺留分減殺や持ち戻しの対象となると考えられますし,その評価も決して不可能ではない。
十分可能であると考えられるのでありまして,遺言代用の信託に関する特則を設けることを否定する理由とはならないと考えております。

次に,遺言代用の信託におきましては,提案1にありますとおり,委託者が死亡するまでの間は,受益者としての権利義務を有する受益者がいないことをデフォルト・ルールとしておりますが,パブリック・コメントにおきまして,このような制度を設ける以上,委託者が死亡するまでの間は,委託者が受益者としての権利を行使できる等の手当てをすべきであるという指摘がございました。

今回の提案2におきましては,基本的にこの指摘を容れまして,遺言代用信託の委託者につきましては,提案1により受益者として権利義務を有する者が存しないこととなる間におきましては,受益者としての権利を行使できる者がいない点において共通性を有する目的信託における委託者の権利と同様の権利を委託者に付与することとして,一般の信託の場合よりも,委託者の受託者に対するガバナンスを強化してはどうかと考えるわけでございます。

ちなみに,死亡後受益者に委託者死亡前から受益者としての権利義務を有することを定められている場合ですとか,他にも権利義務を有する受益者がいる場合は,このような委託者に権利を付与する必要がないわけでございまして,あくまでもほかに受益者としての権利義務を有する者がいないという場合でございます。

具体的に委託者にどのような内容及び性質の権利を,目的信託と並べて付与するかにつきましては,次の目的信託のところにおいて御説明したいと思います。
目的信託,第69でございますが,公益信託以外の信託で受益者の定めがない,このような目的信託につきましては,資料中に書きましたとおり,民間資金を導入した非営利活動の受け皿としての機能が期待されるということですとか,資産流動化目的に有用であることなどを理由に,その有効性を支持する見解が多数を占めております。
そこで今回の提案におきましては,目的信託の有効性を一般に承認した上で,他方におきまして,濫用の恐れやガバナンスの欠如への懸念にも配慮して,まず提案2のとおり,その存続期間,有効期間を設定から20年に限定しまして,さらに提案3のとおり,目的信託の委託者の権利を,一般の私益信託における委託者の権利よりも強化することとしてはどうかと考えるものでございます。
なお,目的信託における委託者の権利の具体的内容は,別表に詳しく列挙させていただいたところでございますが,要するに一般の私益信託と異なりますのは,第1に,信託行為で制限できないものとされている受益者の権利につきましては,強行規定,すなわちこの表で言いますと「◎」として委託者に付与することとしまして,さらに第2点として,35番以下の通知・報告受領権ですとか,免除・承認権につきましても,これもデフォルト・ルールとして委託者に付与することとしているわけでございます。

もっとも,受益者の存在を前提とします,例えば配当請求権や受益権取得請求権はもちろん,信託監督人や受益者代理に関する権利,あるいは他の受益者の情報を求める権利などにつきましては,当然のことながらここには入ってこないということになります。
なお,特に,一般の私益信託と異なりまして,目的信託につきましては,詐害信託取消権の要件を緩和するということと,いわゆる信託宣言により目的信託を設定することはできないとしているということにも御留意いただければと思います。
以上でございます。

● それでは,ここまでの御議論をお願いいたします。
もちろん,大体よろしいということであれば,あえて寝た子を覚ます必要はないんですが。

第60はいかがでしょう。どうぞ,○○委員。
● 第60のところの部分でちょっと確認なんですけれども,受益者の指定権等が行使される場合において,効力が発生する時期というのがちょっとよくわからないんですけれども,これはいつ発生する。
● これ,以前の資料には書いておりましたが,受託者以外の者が指定権を行使するときは,受託者に対する意思表示によって,行使しまして,それが到達したときに効力が生ずるということになります。
あと,受託者自身が変更権を有する場合には,これはその行使によって受益者となる者に対する意思表示によって効力が生ずると。それについては,規律に入れていくということになると思います。

● どうぞ。
● 目的信託についてよろしいでしょうか。

当省,例えば地域の産業クラスターづくりですとか,あるいは地域の中小企業支援などやっておりまして,そういったところからの要望を聞いていますと,例えばこういうケースがありまして,こういった金の使い方として,ここにパブリック・コメントにはそれで意見の概要ということで書かれておりますけれども,補足いたしますと,例えば大企業が,精密機械ですとか,あるいは計測機械,高価な物をこういった形で利用しまして,例えばある地域の工業団地ですとか,あるいは産学連携とか,そういった形での中小企業者がそれを利用すると,そういう,例えばインキュベーター施設をつくろうと。
こういう場合について,その当該機械について,これ当然各中小企業では買えないというような場合について,当該地域の特定の企業と,実際に請け負うところについては当該地域の特定の者について委託をして,その人が受託者となって,その当該機械等を信託財産とするような目的信託,これを設定すると,ちょうどそういった地域の,ある程度は限定されているけれども,特定の者には限定されないという,そういった中小企業等の利用のニーズというのにこたえることができるようになるのではないかということが考えられております。
すみれ
「使われているのかな。」
それから福祉等での利用の例がここに並んでおりますけれども,例えばこれも使い方としては,ある特定の地域の企業が,例えば社会福祉法人等に,一定の金銭ですとか財産的な価値のあるものを信託しまして,その当該社会福祉法人等がいろいろなケア施設ですとか,リハビリ施設等,そういった高齢者ですとか身体に障害のある方,こういった方のケアをするような施設,こういったものについての目的信託,これを設定することで,ある意味ではいろいろと企業の社会貢献,地域への貢献,こういったことのための手段ということでも使えるようになるのではないかという形で,ある程度地域でのいろいろな利用というのが,この目的信託については活用可能ではないかというふうに考えているところでございます。
● 今おっしゃったような使い方が,まさにできるんだろうと思いますね。
ポイントは,いずれにせよ,公益信託というものが今後できるかどうかわかりませんけれども,それに近いようなものもあるかもしれませんけれども,そこまでいかないようなもので,受益者がとにかくいないというタイプの信託,こういうものの使い道として,今のようなことがあると思います。
○○委員。
● 今のことに補足なんですけれども,例えばこういうこともあり得るかなという例なんですけれども,起業なんかを促進するために,業界団体とか経済団体のようなところが,ある一定のお金を出して,基金,信託をつくって,非常に優秀な技術やアイデアを出してきた何か母体に対して,支援をしますよと。
そういうような形での,したがって,信託の時点では受益者も決まっていないしあれなんですけれども,そういう形で,今までだと恐らく財団法人か何かの形態をとらざるを得なくなるのかもしれませんが,これは信託という形を使うことによって,容易にやれる。そういう可能性も出てくるかなというように思います。
すみれ
「違いは容易にやれるってところか。」
● 今のようにして,仮に何か給付とか支援を受けるという人が出てきたときに,その人は,決してしかし受益者ではないと。そこがポイントだと思いますけれども,今のような遣い方も十分あると思います。
○○委員。
● 以前から導入については賛成なものですから,同じように賛成の意見を述べさせていただきたいんですけれども,例えば,もうここに書いてありますけれども,オープンソフトのソフトウェアなんか,現状は何ら仕組みもなく使っている形ですけれども,十分有効性があると思うんですが,そうすると,期間は長いほうがいいと,幾らでも長ければいいという議論とは違うんですけれども,ソフトウェアの存続期間であればよりいいとは思うんですけれども,これに関しては,どこで区切るのかという,所有権のところから20年と聞いていますけれども,先ほどの事業の場合も,20年後にどうなるのかという議論があると思います。ただ,あるとないとでは全然違うので,これが導入されれば非常に有用だと思います。
あと流動化の観点ですと,流動化のために入れる必要はないんですけれども,これが入ると,ケイマンのチャリタブル・トラスト代替手段として中間法人を使っていますけれども,中間法人自体も法律が今度かわりますし,本来の姿であるところの目的信託を使ってそれを達するということも可能になります。
ただ昨今一番ボリュームの多いのは住宅ローンなんですが,その住宅ローンで,一応住宅ローンは30年とかあります。そうすると20年というのは,では住宅ローンの期間として適切なのかという。
ですから20年というのは十分長いんですけれども,一般の取引においては20年以上の取引というのはないはずなんですけれども,美術館にしろ,あと図書館をつくるとかですね。
目的信託の本来的な姿で何かしようとすると,財団と極めて類似でも非常に軽装備でできるものなので,そうすると,できれば20年がさらに延長できるような形とか仕組みとかもあればと思うんですけれども。

● ここ20年というのは,いろいろなやり方があると思いますけれども,ここで絶対的に終わるというものでは恐らくなくて,ここでとにかく一遍は見直すという,そういうことなんだろうと思うんですね。
ここで前の信託を存続させながら,延長という言い方はちょっと微妙かもしれませんけれども,ある種の延長をするとか,終わる直前に,信託財産を処分するような形で,同じ目的で処分して続けるというようなこともできるかもしれません。

ただ税の方がどういうことになるのか,ちょっと気にはなっておりますけれども。そういうところの手当てさえあれば,この20年の期間に,とにかく一遍は考慮して,続けるか続けないかをとにかく受託者としては判断しなくてはいけない。
続けるときには,何かとにかく手を打って続けることが可能なんであろうというふうに思います。

● どういう形になるんですか。
● ここではしたがって,絶対に20年を超えて延長するようなことが一切できないということまで言っているものではないと。20年で一応終わるのが原則ですけれども。あまり言い過ぎるとあれかもしれませんけれども,例えば,これは信託宣言にも関連してくるかもしれないけれども,前の受託者が再信託を,あるいは信託宣言みたいな形で持って再信託をするとか,何かそういう方法もあり得るのかもしれません。
ここで今,そういうところまですべてだめだと言っているものではないというふうに理解しております。

○○委員。

● 目的信託について疑問を呈する立場というのは2つあって,1つは受益者を中核とする伝統的な信託のイメージと違っているではないかという理念の問題が1つある。
それからもう1つは,これによって何らかの副作用と申しますか,弊害が出てこないだろうかということがあって,他方で,非常にこれは有用な制度であるということで,今回両方の,理念の点は違うかもしれませんが,両方のことを考えた御提案だと思います。

それを前提として,私自身ちょっとまだ,いいのかなという気持ちはあるんですけれども,仮にこれを前提とした場合に,二,三,御確認というか,御質問したいと思います。
1つは,先ほど来出ております非営利法人法制との関係ですけれども,この非営利法人法制の中で,非営利で非公益の財団というのが認められるかどうかというのはまだわからないかもしれませんが,仮にそれが認められたとすると,それとこの目的信託との機能分担をどのように考えるのか。
それから逆に,それぞれについて弊害防止策ということが講じられていると思うんですけれども,それ両者,やはり並び併せて検討する必要があるのではないか。
そうしませんと緩い方に流れていって,かえって制度全体としてうまくいかなくなるだろうと思います。そうしますと,今の○○委員のおっしゃった延長の仕方というのは,これは結構重要な問題になってくると思いますので,そこはさらに詰めていただければいいと思います。
それからあとは細かい問題ですけれども,詐害信託について委託者だけの詐害意思で判断するということになっておりますが,これは破産における否認の場合も同じと考えてよいかどうかです。
それからもう1つは,遺留分減殺についてはどうなんだろうか。当事者双方の認識というときに,だれの認識を考えるのか。受託者を考えるのかどうかというあたりです。
以上です。

● どうぞ。
● まず1つ目の,非営利の財団法人が仮にできた場合の役割分担というお話かと思いますけれども,まさしく○○委員が御指摘いただきましたとおり,非営利の財団法人自体は検討中だと思いますけれども,仮に非営利財団法人の要件として,まだもちろん検討中だとは思いますけれども,何らかの設立時の出資金額規制みたいなものが仮にかけられるとしますと,それ以上の財産がないとあちらの方では設立すらできないということになるかと思いますが,こちらはそういう設立時の財産規制自体はなく立ち上げることができるというような違いは,まず決定的に1つ違うのかなと思います。

それから法制的な議論ではなくて,機能論的な議論かもしれませんが,仮に財団法人をつくるというふうになりますと,1つ法人をつくって,そこに外からそれを管理できる人,役員のような形,あるいは使用人のような形で連れてくるというイメージになるかと思いますが,この信託スキームを使う場合におきましては,だれかから連れてくるというよりは,あなたの持っている組織体としての機能というものに着目して,あなただからこれをあなたにお願いするというような形で。
こういったものを仮に法人でやろうとしたりしますと,組織体の持っているノウハウ,組織に化体されたノウハウの人たちを,みんな法人で雇わなくてはいけないという話になるかもしれませんが,そうではなくて,既にそういう有機的なノウハウがある方々のところに,あなただからこの財産をお願いして,一定の目的のために使ってもらうというような使い方で,機能分担というのが図られるのではないかなというふうに,ニーズを伺った中で,そのように感じております。
それから2点目の,破産の場合も否認の場合も,それはまさしく同じような取り扱いになるのではないかなと思いまして,それから向こうの濫用防止とこちらの濫用防止をそろえなければいけないということなのでございますが,私どもの方は,いわば受託者と言われる人の主観的要件を問題にすることなく,委託者の主観的な意思で常に詐害行為の取消権の行使は可能だというふうにしておりまして,これは,要は債務者以外の者の主観的要件を問題とせずとして取消権を行使できるというのは,なかなか他の法人制度,とりわけ非営利の財団法人とかいったような場合でも,これはないのではないかというふうに思いますし,あちらの方は恐らく法人ですから,期間制限というのはかからないと思いますので,その意味でこちらの方の期間制限があるというのもございます。
それから会社法の824条並びの規定を設けて,もし仮に,これは直接目的信託に直結する問題ではございませんけれども,不当な信託がつくられたときは,終了することもあるということでございまして,その意味からいきますと,濫用防止措置という限りにおいては,一応私どもなりに万全を尽くしたかなというふうに自負いたしておるところであるかというふうに思います。

● 目的信託も,なお○○委員が言われたように,いろいろ検討しなくてはいけない点はたくさん……。

どうぞ。先に○○委員,その後○○委員で○○幹事。
● 目的信託につきましては,業界でもちょっと議論したんですけれども,今の○○幹事であるとか,○○委員が言われたような形の目的で設立してやっていくというのは,非常にいいことだろうと思いますし,信託業界の方でもやはりそういうふうに利用すればいいなという意見はあります。
一方で,全体観からいくと,やはり消極ということで,これは信託宣言と同様にやはり弊害が非常に大きいということで,私は確認しておりませんけれども,議論の中で出たところによると,欧米ではマネロンに使われ始めているということで問題になりかけているというような意見もありましたし。

それと私自身の疑問としては,目的信託で非営利的というか公益的な形で使われる部分と,基本的に自分の範囲内で使われるもの,例えば以前出ていました,民事信託でペットの信託とかというのがあったと思うんですけれども,それで考えると,基本的には自分のための信託に近いようなものから,要するに,他人の,もう完全に他人に移転してしまったのと同様の信託,それがごちゃまぜになったような状況なのではないかなということで。

例えば税のこと,これは税の議論をする場ではありませんけれども,例えば公益信託で信託したときには,それが相続財産に歳入されるかどうかというのは以前かなり問題になりましたけれども,基本的には自分の財産から離れているのか離れていないのかというのが,目的信託の場合はよくわからなくて,よくわからないというのは,もちろん目的信託だからよくわからないんですけれども,その辺のところの整理がなかなかつきづらいんだろうなという感じがいたします。

すみません。方向性として反対ですというほどのことも言えませんけれども,議論している中で,そういう弊害もありましたということだけを,ちょっとお伝えしたいと思います。
● ○○委員が言われたのと共通する面がありますけれども,非営利法人の方にも,恐らく同じような問題があって,そちらでの無条件に全面的に認めるのではないということになると,やっぱり同じような議論を,こちらでもせざるを得ないのかと思いますね。

● みずからのところに近いところであるとすると,委託者が権限を持つというのは,完全に意味がなくて,それは何をやっているのかあまりよくわからない。

弊害の防止ではなくて,委託者が権限を持って委託者がやっていくというのは,弊害防止には何も役に立たないのではないかなというふうに思いますので,ですから絶対だめですという話ではなくて,その辺の整理が,ちょっとついていない状況なのかなというふうに思いました。

それと,すみません,流動化の関係で,これというのは使えるんですか。委託者が権限を持って,これは強行規定で持つんですよね。それでもそこは割と使いやすいということなんでしょうか。

● 信託宣言に伴って,目的信託を使っている,バミューダとかケイマンとかですけれども,一番,ご存じだと思うんですが,資産流動化法の持分信託が,ある意味では目的信託類似だと思うんですけれども。現行法ですから持分信託にしているんだと思うんですが。

なおかつ現在の案と言いますか,なおかつそれが妥当だと思うんですけれども,基本的には信託をいじくるとか,受益権をどうこうするのではなくて,監督的機能なので,将来的には格づけ機関がどう判断するかでもいいんですけれども,持分信託についても格づけに元付けはあると,こういうふうに格づけは判断していますけれども,そうするとそれ以上のたてつけになっていれば,これが資産流動化に使われないというわけではないと思うんですね。

それは使い勝手として中間法人とどっちがいいのかという議論が出てくるかもしれませんし,どっちがよりガバナンスが強いのかという議論もあるかもしれませんけれども。
● そういう観点で,何となく私自身は非常に使い勝手が悪いのかなという感じがして。だから目的信託はやめましょうという話ではなくて,そういうような目的に使うためには,そういうたてつけにした方がいいのではないかなと,逆に思いますし,要するに目的信託というもので,すべてごった煮状態になっていること自体が,有用性ももちろんあるし,弊害もあるしというところの部分で,なかなかちょっと整理がつきづらいのではないかなというふうに思っております。

● なかなか利用目的でもって類型化するというのは難しいところがあると思うんですね。今○○委員もちょっと言われたけれども,やっぱり委託者の利益のためにするものではないと。
そしてまた委託者に権限が残っているのは監督的な権限であるということで,委託者が勝手にできるような信託にはしないということなんだと思いますけれども。
なお,いろいろ検討すべき点があることはおっしゃるとおりだと思います。
順番に,では○○委員,どうぞ。
● 公益信託のメリットが逆にあるだけに,実際に目的信託がどの程度使われるのかというのが,疑問だというふうな意見もあるように今思ったんですけれども,それともう1つ○○委員の方がおっしゃられた,自分のために使うのか,純粋に本当に公益的に使うのか,いろいろなものがごっちゃになっているのではないかということもおっしゃったんですけれども,そのあたりについてちょっとだけ,私の考えを述べさせていただきますと,公益信託でも結局は,先ほど税法上の話がありましたけれども,個人の場合ですと,公益信託になれば寄付金控除とかで,税法上のメリットがあると。

法人の方も損金算入されるとか,それからまた,個人のところは先ほどありましたけれども,相続財産から除外されるとかいうメリットがあるので,やはり目的は公益性であっても,結局はやっぱり自分のためというところも,やっぱりあるのではないかなと。
そういう意味では,公益信託であろうと目的信託であろうと,そこは全然かわらないのではないかなというふうに,まず思います。
それからもう1つ,公益信託のところのメリットを財団法人と比較したようなものを見ますと,同じ認可が要るんだけれども,運営コストが非常に安いですよと。
信託銀行の方できちんと管理しますから,そんなにコストかからずにできますよというようなところがあるんですけれども,したがってまた,額がそんなに大きくなくても小さな額でも公益信託ができるというようなところが強調されているようです。

そういったもの見ますと,またさらに目的信託として公益性までないものが,同様に使われるとなると,もうちょっと小さい金額でも使われるので,前○○委員が言っていたようなペット信託とか,あと○○委員の言われているような老後の管理関係の,特になくなった後の自分の墓の管理とか供養とか,そういったもののために使うとか,そういったものも考えられるのではないかなと。

それからそういったビジネスを,また弁護士さんだけではなくて,事業会社も取り組んでいくということも考えられるのではないかなというふうに思われます。
さらには,先ほどちょっと○○委員の方でもお話ありましたけれども,起業として,今度は中小企業なんですけれども,オーナーが引退すると,息子に家業を継がせたいと。
しかし親としてあまり長くいると息子が育たないので引退してしまうんですけれども,どうも受け入れ能力とか開発力とか,そういったところにちょっと心配だというときに,ファンドをつくっておいて,息子のために,この会社のために,きちんとすばらしい技術を発明するとか能力を発揮するような人に,そこの中から報奨金を支払うと,そういうような形で使うというようなことも考えられるのではないかなと。

ということで,民事的にも,商事的にもいろいろいい目的のために使えるのではないかなというふうに考えております。
● ありがとうございました。
では○○幹事,どうぞ。

● ○○委員は紳士なのでお品がよくおっしゃったんですが,現在の案における20年を超えて存続できないというのは,弊害を防止しようという趣旨で書いてあるのであって,この機会にもう1回考えようという期間ではないと思いますけれども。
したがって私は,○○委員が先ほどおっしゃったものは,ほとんど脱法行為であって無効ではないかというふうに思います。そのことは記すだけにしても,発言をしておきたいと思います。

● 私が申し上げたのは,財団法人についても同じような意見があるわけですけれども,永久に存続する,信託ですから拘束を受けて存続するわけですが,そういうものについて,財の流通性を阻害するという観点から,公益についてはともかく,非営利の目的での財団法人も含めてですけれども,公益信託とかそういうものについては望ましくないという意見があるわけですね。
それに対する,そういう立場からこれを理解した場合にはという話です。そういう場合には,財産をもう1回処分するチャンスを与えて,どうするかということを検討すると。これは財団法人についても恐らく同じ制度が,一定の期間にもう1回見直すという制度があり得ると思いますけれども,そういう観点からの説明です。

これをしかし,目的信託にはもっと積極的な弊害があるので,とにかく20年で一遍つぶせというような,そういう理解をされる方がおられることはあり得ると思います。あるいは○○幹事もそういうことなのかもしれませんけれども。
ただこの案が,どっちの立場でそれをやっているかということは,別に原案として明確にしているわけではないので,私の個人的な意見を申し上げたということです。
● 別にけんかするつもりもないんですが。
● これも説明のために。
● 1点だけ。
現在の公益信託にせよ公益法人にせよ,解散時に出資者に戻っていくということにはできないわけですよね。

● 公益法人だとできますね。
● 公益法人だとできるわけですね。
● いや,公益法人というか,条文はありますけれども,実際上そういうものができないということになっていますね。教科書的なもとで,今。
● 目的信託はできるわけですね。
● できると思いますね。
● それはやっぱり,何て言うか……。
● 帰属権利者を定めることは,恐らく。受益者はだめだけれども,帰属権利者はあり得るのではないですか。概念的には。
● そうでしょうね。
● ただそれを認めないというふうにつくることは,まだ可能ですよね。
● そこが,存続を認めていくという際に,存続を認めるということが,例えばシンプル・イズではありませんけれども,いろいろなところの,また目的にそれが動いていくというだけなのか,最後はある種のところに帰ってくるんだけれども,それの期間を自由に延長できるのかということによって,大分イメージが違うんだと思うんですね。

● その点,全く同感です。
そこはやっぱり,目的信託というものをどういうふうにつくるかということについての,皆さんの御意見に基づいてつくられていくと思いますけれども。これだけではまだ,目的信託についてのいろいろなルールとして,まだ十分なものはすべてここに書き込まれているわけではまだないので,どういうものをさらにつけ加えていくかということを,恐らく議論せざるを得ないというふうに思うんですけれども。
それからこの四角に囲みの中ではなくて,後の方にも,先ほど私,延長するときは信託宣言という形もあり得るというふうに申し上げましたけれども,設定する段階では信託宣言という形で目的信託をつくることはやめた方がいいのではないかという説明も出ているわけでございまして,それ以外にも幾つかここに書いてございますが。
無条件で全部認めていいというわけではないということなんでしょう。
○○幹事,どうぞ。
● 目的信託についてではあるんですけれども,この中身の詳細というより,今いろいろな利用方法等を伺っておりまして,若干これをどう考えたらいいのかと思うところがございますので,一応こういう問題もひょっとしたらあるのかもしれないということで。
裁量信託との関係なんですけれども,今例に出されたものの幾つかは,特定の限定された範囲の中の人が使えるようにとか,具体的に,受益者ではないけれども,結局受益ができるという内容のものが,幾つか例としてはあったように思われます。
そういたしますと,その規律自体としては,実は一定の画された範囲のものから,受託者が適切と思う人に受益させると,いわゆる裁量信託ではないのかと。そういたしますと,目的信託か裁量信託かによって,ここに記されましたような期間ですとか,委託者の地位ですとか,各種の規律が変わってくる。しかも強行規定でかかってくるということになると,いずれをいずれと考えたらいいのかといった問題が出てき得るのではないかという気がしておりまして。

とりわけ,今回の信託法の改正提案の中では,裁量信託についての規律というのがほとんどないように思われますので,そうしますと,よくわからないもの同士の間で,これをどう認定したらいいのかといった問題が出てくるように思われ,どう考えたらいいのか,目的信託も,ですからそういうものでできるものは,基本的にそれは裁量信託というふうに考えていった方がいいのか,それともまたさらに何らかの切り分けを考えていくのか,ちょっと問題としてはあるような気がいたしましたので,解決の方法も何も持っておらないんですけれども,御留意いただければと思います。

● 個人的な感想ですけれども,裁量信託で受益者がいないということになれば,これは目的信託の方に来てしまうんでしょうけれども,裁量信託で,しかし受益者に選定されたものは受益者であるということになると,受益者としての信託の監督,あるいは終了とか変更も含めて一定の範囲で,受益者がその信託を左右,常にできるわけではないでしょうけれども,できる可能性があって,その部分が単純な目的信託と裁量信託と違うところなのかな。
それによって,いろいろな使い分け,似てはいるけれども,信託を設定する者からすると,使い分けがなされるのではないだろうかと。
受益者に権限を与えて,受益者の立場からの信託のコントロールというのを認めたいと思えば,裁量信託であって,繰り返しになりますけれども,受益者に選ばれた者は受益者の権限を持っているということなのではないか。目的信託はやはり,受益者,絶対に出てこないんだと。
● ただ,受益者を選ぶかどうか,あるいはどういう受益権を与えるかどうか自体が裁量にかかっているので,そういう人が一体受益者としてのどういう権利を,どの程度で持つのかというのは,今回全く規定がないということですので,それと目的信託との機能分担があるのかどうか。
それとも,それは裁量信託になった場合はどうなるかはもちろんわからないんだけれども,いずれにせよ委託者が適切に,思うところを設定しというところでいいのかというのがあるときに出てきた場合に,これは目的信託であると認定した方がいいのか,裁量信託であると認定したらいいのかというような問題が出てこないだろうかというのが,問題かなということです。

● 限界は難しい場合があるかもしれませんね,確かに。
もちろん信託の設定のときの意思によって決まるものだと思いますけれども,やっぱり最低限受益者という者を定める意図のもとでつくられている信託かどうかということなのではないかと思いますが。

どうぞ。

● 先ほど,若干ちょっと補足でございますけれども,委託者のもとに帰属権利者として最後に財産が戻ってくることもあり得るではないかというお話がございましたけれども,それは現在の公益信託でもあり得ることですし,中間法人とかいうような法制を使ったときでもあり得ることなのではないかなというふうに思いまして。
それで濫用防止という観点から考えたときには,他のこういったある種財産の独立性を持ってやるような事業なり活動をするときに,どういう濫用防止というか,そういうところでやってはいけないことは,当然これでもやってはいけないわけですけれども,その観点から,どういう措置を講じたらいいかというところで,まず設定時を確保しましょうと。
それから○○委員から詳細に御説明ちょうだいしたとおり,財産の永久禁止則とかいうような話にひっかからないように,20年を超えて存続できないようにしましょうと。
それから期中で仮に何か公序良俗違反的なことがあれば,会社法類似の規定で,達成できるようにしましょうと。

それから何のガバナンスも効かないような財産をつくっては問題だということであれば,監督的な権能について受益者と同様のものを委託者に与えるようにしましょうということで,一応多方面から考えて,一応提示させていただいているということではないかなというふうに思います。
それで,先ほど○○委員の御指摘で,委託者の権限を行使しても濫用的な防止措置にはならないではないかというようなお話がございましたけれども,それはその受託者と言われる人が,その財産を自分の志として出資した目的に従って使ってくれているかどうか。
だれも受益者みたいな自分のところに牽制を働かせる人がいないということを寄貨として,せっかく財産を拠出した委託者という人の意思を無視して,自分のために,あるいは他の目的のために使っているのではないかということを防止できるという意味においては,それは相応に意味があることであろうというふうに考えているところなのでございます。
また,ごった煮というお話がございましたけれども,こういう法制を考えますときには,それはお使いになるユーザーの皆様がいろいろ工夫をされて制度発展のために御努力されるというのは,それは当然のことなのでございまして,何か我々が,この目的だけにしか使わせないというような,そういう傲慢な態度で立法に臨むのは不遜ではないかとも思っておりまして。

むしろあり得るとすると,濫用的な防止措置というものを,どれだけ他のものとの平仄に配慮しながら構築できるかというようなことなのではないかと思いまして,それでパブリック・コメントでもいろいろ,さまざまなニーズが指摘されておりますので,それを踏まえてこのような案を提示させていただいているということではないかなというふうに思います。

● 今の,ちょっと若干先ほど気になっておりますガバナンスのことで,○○委員も御指摘された点ともあれなんですけれども,受益者は要するにガバナンス権を行使することに利害関係を持つと思うんですけれども,委託者は一たん信託をしてしまうと,必ずしもそこに利害関係を持つかというと,やっぱりちょっとそこは落ちるのではないかという気がしていて,それでいき方としては,信託管理人とか信託監督人とかを置くというようなことで,そこを保管するというような考え方もあり得ようかと思うんですけれども,そういった御検討というのはどうなんでしょうかということなんですけれども。

● 信託管理人を置くというのは,当然選任請求権を「◎」にしておるところから明らかなとおり,それはやろうと思えば当然できるという前提で考えておりまして,それで,先ほど委託者というのは,出してしまった以上利害関係はないかと申しますと,恐らくそんなことはないのではないかというふうに思いまして,例えば今例として挙げられたようなものの中で,あるお金を出して,それを何か起業に貢献した方に,その奨励金として出すようなファンドをつくろうというようなときに,その受託者というのがその目的に従わず,他の目的に使ってしまっていたというようなことであれば,それは私が出した用途,私がベンチャー企業を推進しようと思って出した用途について,お金が使われていないということであれば,それは自分の志に歯向かうものですから,そういうときにはそれは当然に違法行為の差止めみたいなことだってできたっていいでしょうし,何か自分のところにお金が戻ってこないと自分は利害関係がないなどという,そんな考え方をとる必要もないのではないかというふうに思っているところなのですけれども。

● 要するに法律的なシステムとして,どういうふうに組み込むかということなのかなという気もするんですけれども,1つ気になりますのは,例えば,長期20年の信託を組んだときに,委託者が亡くなった場合に,その後だれがどういった形で実行あるいは監督できるのかという問題もあるのではないかという気はしますし,強行法規にするかどうかというところは問題あろうかと思うんですけれども,やはり原則として信託管理人をつけるとか,信託監督人をつけるとかいうあり方というのはあってもよろしいのではないかという気が,ちょっとするんですけれども。
● ちょっと時間がないので,このぐらいにさせていただきますけれども。信託管理人を設けるというのは,十分もちろんあり得る制度で,もし現在の法制度のもとでもってこういう信託が,現在規定はありませんけれども,できるとすれば,信託管理人を置くということになると思いますので,その点も含めて,目的信託についてはまだ相当いろいろ詰めなくてはいけない問題があると思いますので,検討させていただければと思います。

ちょっと最後時間がなくなって申しわけございませんが,きょう目的信託のところまで一応は終えたことにいたしますけれども,なお議論が残っている可能性がありますので,前回最初にちょっとだけ確認のために,前回言い残した点があるかどうかというのをお伺いして,先に進めていきたいと思います。

● では次回は,本日の残りの続きをやりまして,あと新たな資料に基づきまして議論をいただきたいと思います。
日時は12月2日金曜日で,1時から,今度はいつもの20階の会議室でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
-了-

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すみれ・ポリー・番人
「お疲れ様でした。ジュンク堂那覇店さんありがとうございます。」

 

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