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2016年加工編 法制審議会信託法部会 第24回会議 議事録
2016年03月08日

2016年加工編

法制審議会信託法部会

第24回会議 議事録

 

 

 

第1 日 時  平成17年11月4日(金)  自 午後1時00分

至 午後6時50分

 

第2 場 所  検察庁17階東京高検第2会議室

 

第3 議 題  信託法の見直しについて

 

第4 議 事 (次のとおり)

議        事

 

  •  それでは,時間になりましたので,これから法制審議会の信託法部会を開催したいと思います。

 

 

今日もたくさんの議題がございますが,大変申しわけございませんけれども,この間と同じように,私,5時から授業がありますので,いったん,5時で休憩して,その後○○委員に座長を引き継いでいただきたいと思います。

それでは,きょうの資料から,○○幹事,御説明お願いします。

 

 

  •  では,本日用の資料,検討課題の(18)というものでございますが,4点ほど修正といいますか訂正がございます。

 

 

一番最初は,既に皆様のお手元にメールか何かで届いたかと存じますが,詐害信託の取消しについて,当初の資料から差しかえたものをお配りさせていただいております。それが第1点でございます。

 

 

 

それから,もう1つ差しかえという意味では,当初の資料では36ページ以下の受益権取得請求権についての資料も差しかえさせていただいております。

 

あとは誤記の訂正が2カ所ございまして,1つは,資料の28ページになりますけれども,報酬請求権のところの3の(1)でございますが,第32の1(3)及び(6)となっておりますが,これは(7)の間違いでございますので,御訂正いただきたいと思います。

 

それから,あともう1つは,資料の31ページと35ページのところで,「受益者名簿の閲覧等請求権」という文言が使われておりますが,これは「他の受益者に関する情報を求める権利」というように,第24に合わせて訂正させていただきたいと思います。

以上が,資料の修正,変更でございます。

 

 

それでは,きょうの進行でございますけれども,今回の資料,それから前回の積み残しの資料とございますが,きょうは,会場の都合で,何とか延長できるということですので,今後の都合もございますので,積み残しも含めて全部できればいいと思っておりますので,ぜひとも御協力をお願いいたします。

進行につきましては,事務局の方から,まず議論をいただいた方がいいと思われるものから,順次分けて行わせていただきたいと思っております。

 

 

 

  •  では,お願いします。
  •  それでは,まず一番最初,本日の資料になりますが,信託の意義等についてという方から始めさせていただきます。

 

 

この第1といいますのは,信託の意義及び効力発生時期に関する試案の第1と,それから委託者みずからが受託者となる信託,すなわち信託宣言の有効性に関する試案第68の双方に相当するものでございます。

 

 

それで,信託の意義と効力発生時期につきましては,賛成意見が大多数を占めましたので試案の内容を実質的に維持しております。

 

 

また,信託宣言につきましては,パブリック・コメントによりますと,民事,商事双方の分野において,多様な利用可能性・ニーズが指摘されておりまして,信託の目的ですとか信託当事者の属性に注目して許容できる範囲を一定に制限するということは,相当ではないと考えられます。

 

 

 

そこで,信託宣言を一般的に許容するとともに,債権者詐害のために濫用される懸念にも配慮して,次のような種々の措置を講じる予定でございます。

 

第1に,提案1の(3)のとおり,設定方法の特例として,常に公正証書等の書面によってしなければならないものとしております。

 

 

それから,2番目に,提案の2の(3)のとおり,効力発生時期の特例といたしまして,一般の信託のように,合意または遺言のみによってではなくて,公正証書等の証明力の高い文書が作成された時点,または受益者に対する確定日付ある通知がされた時点としております。

 

 

第3に,その下の「※」のとおり,信託宣言におきましては,詐害信託取消しの要件を緩和することとしております。

 

 

第4に,資料ですと4ページの上段になりますが,仮に受益者の定めのない目的信託を認めることといたしましても,信託宣言による目的信託の設定につきましては,特段のニーズも指摘されておりませんこともあり,認めないこととしたいと考えております。

 

 

そのほか,4ページのその次に書いてございますが,公益的見地から,会社の解散命令の制度に準じた,いわば信託の終了命令の制度を導入いたしまして,これも,信託宣言の濫用防止にも資するものと考えております。

 

 

とりあえず,以上について御審議いただければと思います。

 

  •  それでは今の信託宣言を含めまして,信託の意義につきまして御議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。

 

 

  •  信託宣言について,意見とそれから確認をしたいと思います。

銀行界としましては,パブリック・コメント意見の際に意見集約しましたところ,試案の乙案ないしは丙案,つまり,何かの形で信託宣言を導入するということに賛成というのが多数でございました。

 

 

この立場から,総論的には本案は条件付きであるが信託宣言を導入するものであるということと理解しておりますので,非常に評価しているということが言えます。

 

 

その観点から,では実際に,条件が一体どういうものが適当なのかということについて,先ほど御説明あったところですけれども,ちょっと整理いたしますと,まず第1に,信託宣言の日付をさかのぼらせない等,法律関係の明確化のために書面化を行うこと。

 

 

それから2番目に,詐害行為に対する対応として,その救済コストの低減による一定の抑制と理解しております。本点は,非常に難しい論点でありまして,信託宣言の推進と,それから弊害防止のバランスをいかに図るかということでありまして,いろいろ考えるところあるわけですけれども,仮にその信託宣言を推進する立場に立った場合に,まず述べました,書面化につきましては,中間試案の段階での案,つまり公正証書等ということでございましたけれども,それとの比較においては,確定日付による案ということも付加されておりまして,こういった,これは公正証書よりも費用及びその手続も非常に簡単でございますので,そういうところでいきますと,例えばエスクローのように,小額,迅速性を要求する取引にも利用されやすくなったということで,これも一定の評価ができると思います。

 

 

問題は,ここに2のところの「※」のところで書いてあります点でございますけれども,これは特に流動化を利用する立場から,これは正当な流動化だということとしても,債権者の行為によって,キャッシュフローが一時とまってしまうということの懸念がありますので,そうしますと,倒産隔離性の観点から,格づけ機関等,投資家がどう判断するのかというところは,ちょっと非常に気になるところでございまして,その点,慎重に検討をいただきたいと思っております。

 

そこで,質問でございますけれども,2つございまして,1つは,この「※」の規律でございますが,これ第3の詐害信託の規律との関係はどうなるのかということでございます。

 

 

この案でやりますと,例えば受益者が善意の場合では,これはどうなるのかということですが,これは,私思うに,詐害信託の本則第3が適用されると。

 

 

したがって,取消しの対象にならないという,そういう理解でおりますけれども,つまりこの第1の「※」のところと第3の関係を教えていただければと思います。

 

 

2つ目のご確認のところですが,ここで「※」のところの上から4行目のところで,「受益者等による異議の主張があったときは」ということで,「等」という言葉がございますが,この「等」には何が入るのか。

 

 

具体的に,受託者というのは入るのかどうかということでございます。つまり,もしこれが受託者が入ったとすると,例えばその受益者に対する善管注意義務であったり,または場合によっては,信託行為によって差押えがきたとしても,受託者としては迅速にそれに異議を申立てるということをした場合には,例えば流動化において,そのキャッシュフローがとまってしまうことの問題を極小化することができる。

 

 

つまり,受益者からの請求を待つまでもなく対応することができるというふうに思うわけですけれども,この点,受託者が「等」に入るのかどうかということについてお尋ねしたいと思います。

 

 

 

  •  それでは,ご質問の,まず1点目でございますけれども,これは,前も御説明しましたとおり,訴訟を要しないという点で,特殊性あるわけですけれども,それ以外の点につきましては,基本的に第3と同じ規律になってきますので,受益者が善意であれば,この執行に対しては止めることができるということになると考えております。

 

 

それから,受益者等の「等」の意味でございますが,これは御指摘のとおり,受託者も入りますので,受託者が異議を言って,とりあえず止めるということができると考えております。

 

 

 

  •  ありがとうございました。
  •  この信託宣言のところの,この簡易な,いわば詐害行為取消しを裁判でやらなくても簡単にできるというやつと,詐害行為本来の規定との関係というのは,確かにちょっとわかりにくいところありますけれども,今の説明のとおりですね。裁判でやらないところ以外は詐害行為取消権のところの規律が,全面的にかぶると。

 

ほかにいかがでしょうか。

 

 

  •  信託宣言のところで,2点ちょっと確認させていただきたいんですけれども,1つは,信託勘定でやっている信託は,二重信託ですけれども,前回,試案の方ではそれの規律があったかと思うんですけれども,今般については,なくなっているということは,それは,信託宣言でないというふうに理解したらいいのか,それとも,信託宣言なので,同様の様式を整えないといけないということなのか。

 

 

私どもの方は,こういう規律になったとしても以前の民事局長の回答というのは生きているというふうに理解しておりますので,そういう方向でお願いしたいということであります。

 

 

2点目は,信託宣言で,登記登録制度のある財産については,登記登録制度というのは創設されるのかどうか。これは創設されるべきだと思いますけれども,その2点について,ちょっと確認させていただきたいと思います。

 

 

 

  •  まず第2点目の方から先ですけれども,登記については,当然信託宣言に合わせて整理する方向で検討を進めております。

 

 

それから第1点目の方の,二重信託の関係なんですけれども,今現在実務でよく行われているそのマザーファンドをつくってというようなあたり,あのあたりの実際の法律構成がどういうあたりなのかというところを,また少し教えていただきながら,もう少し検討をした方がいいのかなという感じでおりまして,つまり,本当の信託を,そのたびに設定しているというふうに見るべきなのか,また別の見方があり得るのかなど,ちょっと実務の方の実際の仕組みの方をよく見てみないといけないのではないかなという気もしているところでございます。

 

 

  •  よろしいでしょうか。
  •  ご相談させていただきます。
  •  ほかに。

 

 

 

  •  導入について賛成です。パブリック・コメントでもそういうことなので,ほぼ明らかではないかと思うのですけれどもちょっと1点確認をさせていただきたいんですが,信託宣言において委託者兼受託者がみずから受益者となることを指定するということも,もちろん許容されるという前提でよろしいでしょうかということですかね。

 

 

あとパブリック・コメント,補足説明の方に弁護士の場合とか,そこら辺出ていませんか,金銭を預かった場合のことが出ていますけれども,そういう多様なニーズというものはいろいろと考えられるのではないかと思います。

 

 

番人

「この前、お墓業者さんの件で少し話があったな。」

 

 

あと,事業を担保にするというようなこともこの信託宣言によって非常に可能になるのではないかと。ですから,まだまだいろいろ,パブリック・コメントによって新しい用途とかいろいろ例が記載されておりますけれども,そのほかにもいろいろとこの信託の転換機能というものと組み合わせますと多様な用途があるのではないのかと思いますので,導入について賛成です。

 

 

  •  1点目の御質問の点ですけれども,おっしゃるとおり,委託者,受託者,受益者が同一人というものも可能と考えております。

 

 

  •  こちら資料の4ページに,信託宣言に対する,消極に考える考え方に対する基本的な考え方,御説明いただいておりまして,大変わかりやすくて感謝をいたします。

 

 

他方,私どもといたしましては,やはり3つの論点に分けてこの信託宣言に関する,いわば懸念というものをちょっと述べさせていただければと思います。

 

 

1点目でございますけれども,これは具体的に言うと,4ページの下から8行目ですけれども,私ども念頭に置いておるのは資産流動化スキームの場合なんですけれども,信託宣言で,資産流動化がされた場合に,やはり私どもといたしましては,資産の裏づけのない信託受益権,あるいはその資産を過大に評価した信託受益権を販売される恐れはないのかという,そういった懸念を持っておりまして,こちらに書いていただいておりますように,子会社株式の売却とどこが違うのかという論点もあろうかと思いますけれども,会社法では,会社設立に伴うガバナンス等が発揮されるわけでございまして,そういった意味では,この信託宣言では,特に資産流動化のスキームに照らしてみれば,いわば構造的に,資産の裏づけのない信託受益権等が発行されるこの恐れを内包しているのではないかという懸念がございます。

 

 

 

それから2点目でございますけれども,これはページ4の一番下のところでございますけれども,私どもといたしましては,信託宣言において,信託設定時に,固有財産から信託財産への移転が明確に,本当に行われるのかどうかという心配をもう有しておりまして,例えば,その信託期間中に信託財産に帰属すべき財産が,第三者に二重譲渡される恐れがある場合に,具体的にどのような措置が講じられるのかといったことを心配しております。

 

 

ここに御説明いただいておりますように,債権譲渡等につきまして,第三者や対抗要件は確定日付ある通知承諾でいいんだということで,ここでも具体的に言うと,前のページの2の(3)の②で,例えば確定日付ある証書による信託の通知というような措置が講じていただいておられるわけですけれども,本当にこれで足りるのかどうかということを心配しております。

 

 

その第2点に関連するポイントで,例えばその信託の設定時に,固有財産から信託財産に財産が明確に移転したかどうかについて,例えば第三者の検証を入れるというような補完する措置が必要なのではないかなというふうに考えております。

 

 

 

それから第3点でございますが,二重譲渡につきましては,債権には帳簿を備えて分別管理義務を課しまして,ちゃんとやるということでありますし,善管注意義務違反,忠実義務違反を問うていけばいいと,違反した場合にはですね,ということも考えられようかとは思いますけれども,他方,その信託行為で別段の定めをしていればそれに従うという,いわば任意規定化の流れがございますから,その信託宣言の場合,こういった別段の定めで善管注意義務,忠実義務等について緩和が可能ということでございますので,果たしてこれは本当に大丈夫なスキームであろうかということについて若干懸念がございまして,以上,この3点,述べさせていただきます。

 

以上です。

 

  •  3点,ないし,あるいは4点目もあったかもしれませんけれども,これについては。

では先にどうぞ,○○委員。

 

  •  今ちょっと,流動化に関連して資産の裏づけがないとか,もしくは資産に比べて過大な信託受益権が発行されてしまう可能性があるということの御指摘をされたかと思うんですけれども,確かにそういった御懸念はあるのかもしれませんけれども,実際に流動化をやっている立場からしますと,小口もしくは私募的なものであれば別ですけれども,一般に我々の方として,率先している多額で多数の投資家向けに発売,販売するということでのスキームをやる場合については,基本的に,格づけ機関等の第三者を入れて,格づけをとってやっておりますので,その中で資産の裏づけ等がないかどうかというのは当然のチェックがされますし,今回のスキームの中でも我々としては一定の要件の,全く条件なしでの信託宣言というのは希望はしておったんですけれども,確かに一定の懸念はあるので,今回,公正証書等でもって設定の日付とか設定事実が明確にされるということもございますし,この要件のもとであれば,先ほどのような御懸念というのは非常に少ないのではないかなというふうに思っておりまして,流動化の観点で,先ほど言われた第1の観点の部分は,ちょっと当たらないのではないかなというふうな感想を持っております。

 

 

 

 

  •  では,どうぞ。同じ関連でしょうか。
  •  その関連でございます。

経済産業省といたしましては,この信託宣言の制度つくるということ自体について,基本的な条件を課することなく認めるべきだという意見を出しておりまして,その点について,あまり,基本的には考え方変わっていないんですが,というのは,少なくとも我々の理解しているところ,現在の消費信託の多くというというのは,自益信託ですので,そういった意味で,そもそも詐害行為について,どこまで懸念する必要があるのかというところについても若干疑問を持っております。

 

ただ,いろいろと御議論をいただいておりまして,特に債権者保護とのバランス等々,いろいろな関係者の利益保護というのは重要な課題だと思いますので,少なくともその公正証書等の客観的な形式要件を課すると,この点については賛成です。

 

 

 

すみれ

「消費信託というのはなんだろ。」

 

 

それで,他方で,この詐害信託取消しについて,若干,非常に,特例的な取り扱いを設けるということについては,ちょっと我々,当初のパブリック・コメントを出した時点の検討との関係で言うと,若干,忸怩たる思いというか,あまりもろ手を挙げて賛成というわけではないのですけれども,ただ他方でいろいろな懸念もありますし,これをもって信託宣言自体のクレデビリティが下がるということがあってはいけないと思いますので,そういった意味では,こういった厳しい特例的な扱いをされるということ自体については,やむを得ないのかなというふうに思っております。

 

 

それで,ただ,他方で流動化スキーム等々については,プロではないんですが,ただ一般論として申しますと,そういった受益者への空売りのリスクとか,そういった御指摘だと思うんですけれども,金融庁さんからの御提言というのは。

 

 

しかしながら,この資料にもありますとおり,まさに子会社を設立して売却する場合とどこが違うのかという点は,ございますし,会社法のガバナンスという御議論もあるんですが,ちょっと必ずしもここにそこがきれいにパラレルに,対応しているのかというところも疑問ありますので,それほど,会社組織の場合には,保護が全うされていて,こちらの信託法のこの新しいスキームで,その点についての手当てがされていないとまでは,われわれとしては言えないのではないのかなというふうに思いますので,そういった意味では,あまりそういった点の懸念を強調されることというのは,必ずしもよくないのではないかというふうに思うところであります。

 

 

それで,一般論として,当然,受益者の保護という観点ももちろん重要なことだと思うんですけれども,ただ,この信託宣言の場合は,これちょっと信託業法の規制ですので,基本的には金融庁さんの話だと思うんですけれども,ただ,信託宣言の場合,あくまでも委託者と受託者は,これ同一,定義上,そういうことになっておりますので,そういった意味からすると,受益者保護のみという観点であれば,例えばいろいろな大衆,一般投資家保護という観点のためには,現在であれば証券取引法の規制がありますし,また,現在金融庁の方で,より一般的な,横断的な投資サービス法というのも検討されていると聞いておりますので,そういった意味で,必要があれば,むしろそちらの方で機能的に対応されるのが望ましいのではないかなと思いますので,あまりこの信託宣言について,そういったリスクを強調して,あまり抑制的に,規制的に制度を設計すること自体に,非常に懸念がございますので,その点申し上げたいと思います。

以上です。

 

 

 

  •  どうもありがとうございました。

では,ちょっと先に,いろいろな委員の方がこの点御意見がおありなので,○○委員,どうぞ。

 

 

  •  私も先ほどの○○関係官からの御意見に対しては,ちょっと異論がありまして,ざっくり言って,資産の裏づけがない場合があるかもしれないではないかということについては,やはりそれは,委託者なり受託者なりが,同一人物ですけれども,きちんとしたことをやっているかどうかということは,例えば,事業者間で行われる,プロ同士で行われるといいますか,そういう中では,ちゃんとそういう確認が行われた上でなされている。

 

 

 

例えば,子会社をつくって株式の譲渡のときだって,子会社の中身がどうか,ちゃんとした資産なり営業権みたいなものを持っていて,その株式の価値に見合うものを持っているのかどうかというのは,ちゃんと確認の上,譲渡を受けるということをやっていますので,少なくとも事業者間,プロ間あるいはこういう民事基本法というレベルでは,そういうことを前提にした上での規制,ルール化ということでいいのではないかなと思います。

 

 

そういうことができない,そういう信託の中身について,きちんと精査することができないような一般消費者向けといいますか,そういうものについては,今度一般消費者保護の観点から,保護をすべくどういうルール化をしていくかというのは,それは別の視点からあるかとは思いますけれども,この民事基本法という意味では,現在ここで御提案いただいている枠組みということでいいのではないかな,十分なのではないかなというふうに思います。

以上です。

 

 

  •  どうもありがとうございました。

○○委員もどうぞ。

 

  •  特にお話ししないでおこうと思ったんですけれども,いろいろと御意見がありましたので,ちょっと一言だけ申し上げたいと思います。

 

二重譲渡であるとかについての弊害のお話が○○関係官の方から出まして,私自身はやはりかなり類型的にある話なんだろうと,債権については非常にやりやすいものだろうと思います。

 

ここに書かれているのは,子会社を売却するときの話というものの従前のやり方とは全く違うと思いますので,ですから,私自身の考え方としては,ここに書かれているような規律があったとしても,弊害は防止し得ないのではないかと。

 

 

 

それで,基本的には反対なんですが,とは言うものの,皆様方もこの方向でということであったとすれば,ここにつきましては,まさに○○関係官がおっしゃっていますので,信託業法の方で,例えば,兼業規制であるとか,あとは一般事業会社が参入する場合については,当然,業であるわけですから,業法の規制をかけると,そういう形のものをご検討いただければなと。この場の議論にはなじまないかもしれませんけれども,そのあたりのところをよろしくお願いしたいと思います。

以上でございます。

 

 

  •  皆さんが議論されている点の追加のポイントなんですけれども,先ほど私の方から,受託者が受益者として指名可能ですかという質問をいたしまして,もちろん可能ですという回答だったと思うんですが,流動化の側面で言いますと,これは受益権を販売するという行為を受託者がすることになりますから,通常の信託と異なりまして,受益者と受託者の間で契約関係が成立いたしますと思うんですね。

 

 

したがって,ガバナンスの提示についてはさんざん議論したように,信託法そのものがガバナンスのシステムですから,受益者というのは受益権として独自に,別に契約関係立たなくても独自にいろいろな権利を持っております。

 

 

それは,いろいろな信託においてもこういうフロードがあってはいけない。また,受託者に対してちゃんと監視しなくてはいけないという観点からの議論ですけれども。

 

 

それにつけ加え,契約関係に立つということで,先ほど○○委員もおっしゃっていましたけれども,通常の市場取引として契約関係立てるということになりますから,または間に証券会社が介在すれば,そこで引受行為が行われるかもしれませんし,ですから,そういう信託宣言だからフロードが強いということは逆に,委託者が一たん受益権を取得して,それを販売するときの,そこで受益権の中身をかえるということはないかもしれませんけれども,委託者経由で,委託者がもし困窮状態になったときの問題という別の側面を考えると,逆に,より健全な流動化のスキームではないのかなと。

 

要するに委託者がみずから信託宣言をするというケースもありますし,私が申し上げているのは,信託銀行に対して譲渡した後に,信託銀行がみずから信託宣言をして,流動化するという,こういうケースもあると思うので,後者の場合,前者の場合,後者の場合にだと,より委託者のフロードから委託者自身の問題が解決できると思いますし,先ほど冒頭言いましたように,契約関係に立つことができるので,受託者,受益者間というのも,それなりに契約の中で規律することはできると思います。

 

 

 

  •  御議論の中で,会社との比較のお話がございましたので,会社法を勉強している者の観点からコメントさせていただきたいと思いますが,完全子会社の株式の売却とのアナロジーで言うと,信託宣言を利用する場合に,大きな制約をかける必要がないのではないかと,会社法のガバナンスのようなものはそれほど大きなウエートを置くべきではないのではないかというような御指摘もございましたけれども,会社法的な観点からいたしますと,やはり信託と会社との間には幾つかの大きな違いがあろうかと思いますので,その何点かを御指摘させていただければと思います。

 

 

 

やはりまず第1は,設立規制でございますけれども,もし子会社を設立するという場合であれば,出資が確実に履行されるようなもろもろの諸制度がございまして,先ほどの財産の裏づけがあるかないかというところにもかかわってくるかと思いますけれども,一応会社法の方では,少なくとも,資本,払い込まれるべき資本に相当する額が実際に払い込まれているかということについては,会社法上,さまざまな手当てがなされている。

 

 

例えば現物出資の制度などは,その代表かと思いますけれども,もしその信託財産を金銭以外で当初信託財産として設定しようというようなときに,その評価について,やはり会社法の方は現物出資による調査等の制度があるという点があると思いますし,その点とも関連いたしますが,資本制度というのがそもそも会社法の方にはございまして,信託には資本制度に相当する制度がございませんので,ここでも,簡単に会社と信託とを比較するということはできないかと思います。

 

 

また,計算書類の公示,それから計算書類に当たっての監査等も,やはり信託と会社とでは違いがございますので,完全子会社の株式の売却,あるいはその募集,発行等が,特段の制約がないからという議論が,ただちに信託宣言に当てはまるかどうかということについては,もう少し慎重に議論をする必要もあるのではないかというふうに感じた次第でございます。

 

 

 

  •  今の御指摘のありました,例えば株式会社をつくるときはそうですが,例えば合同会社をつくるときなどにありましては,別に裁判所の選任する検査役の調査というようなものは必ずしも必要ということではないのかと思います。

 

それから,○○幹事御指摘のとおり,設立の際に,確かに裁判所の選任する検査役の調査などが必要だということは御指摘のとおりなのでございますが,これは何のためにこれは要請されているかというと,設立した会社に対して,債権を有した債権者の保護ということになっているのではないかと思います。

 

 

したがって,設立して取得した完全子会社の株式をだれかに譲渡するときに,そこに検査役の調査が入って会社を時価で洗い直すというようなことは,特に要求されているわけではございませんで,むしろ設立した会社の債権者の保護という観点から株式会社制度の信頼性という観点から想定されているということかと思いますので,先ほど御指摘があったような,受益権を売却するときに,受益権の信託財産自体がどうかというところ,すなわちここで言うと,完全子会社の株式を譲渡するときにその会社の資産の裏づけがどうかということで,裁判所の選任する検査役の調査が生きているわけではないということだと思います。

 

 

 

 

例えば,会社を設立した後,確かに出資資本はそれだけあったということは確保されますけれども,その後,いろいろな営業やってまいりますと,それは資本が棄損したりすることも多々,いろいろあるかと思います。

 

 

それはむしろ,その会社法のガバナンスという観点から申しますと,ある会社の株式をだれかに譲渡するときに,その会社法の規定がかかってくるということでは,必ずしもございませんで,それはむしろ一般の私人間の取り引きに,会社法の世界でもゆだねられているとうことなのではないかなと思います。

 

 

ここで書かせていただきましたのは,情報の非対称性という観点が存するから,受益権を売却するときに情報の非対称性というものが存するから,これは認めてはならないんだというような御指摘に対して,信託であれば信託財産ということなんですけれども,設立した会社ということになりますと,事業内容はさまざまですから,普通の信託の場合よりも情報の非対称性というのは高いと思われます。

 

 

それにもかかわらず,そこについて,規制はないではないかという観点から,このような規律を書かせていただいているということかと思います。

 

だからといって,では対象を相手にするときにディスクロージャー規制もなくていいかとか,そういう問題はまた別のお話として議論する話でございまして,情報の非対称性が存するから,信託宣言をというような話であるとすると,それは違うのではないかということを,もっと情報の非対称性が高いものを,高いと思われるものを例にして書かせていただいたというのがここの規律の趣旨でございます。

 

 

 

あと,受益権を売却するときの情報の非対称性という話をいたしますと,別に信託宣言ではなくても,通常の委託者と受託者が別の場合であっても,自益信託であれば受益権を高く売却したいというような欲望には駆られるのが通常であると思います。

 

 

資本主義社会であれば自分のものを高く売りたいというインセンティブが働くのは当たり前のことですので。そのときに,譲受人は別に受託者と比べて,第三者なんではありますから,そこについても当然情報の非対称性というのは存在するわけで,そのときに信託財産の中身をチェックしなくてはいけないというときに,譲渡人にここを見せてくれと言うか,第三者に見せてくれと言うかという,言ってしまえばそれだけの違いと言えばそれだけの違いでありまして,どちらの方がどうだというようなことではないのではないかというふうに思います。

 

 

それで,もっとさらに情報の非対称性が高いものと言いますと,例えば新株発行を会社が募集するというようなときであっても,言ってみれば,これは自分の会社の株価を所与のものとして,この株価が適正な価格でいかがですかというふうに応じるわけですけれども,その場合であっても,別にまさに自分自身を売っているわけですけれども,そのときに,第三者のチェックが必要だというような話は,あるかもしれませんが,それはその法的なものとして要求しているというよりは,通常の格づけ機関が,この会社の信頼度はAAAですとかBBですとか,そういうような話の中で解決されていく。その延長線上で同じように考えればよろしいのではないかというふうに提示させていただいているということかと思います。

 

 

二重譲渡につきましても,例えばこれは信託宣言ではなくても,委託者から受託者に対して,例えば動産を信託しましたと,それでところが,動産,委託者から他の人に対して,それを売ってしまいました,信託とは別の第三者に売ってしまいましたとかいうようなことで,最初は信託設定したつもりだったんだけれども,そうでもなかったというようなことは別にあり得ることかと思いますので,特段ここで取り上げるというような話ではなくて,それはむしろ,何か大衆性のあるもので問題があるとすればディスクロージャー規制等々という,そちらの方でちょっと考えられるべきではないかなというふうに書かせていただいていると,そんなことでございます。

 

 

 

  •  いろいろな議論がありますけれども,先ほどから議論になっておりますのは,ちょっといろいろ局面が違う問題はあったように思いますけれども,1つは,信託宣言という形でもって信託が設定されることが必ずしも明確でないとか,あるいはその時期の問題ですとか,それが明確でないために,債権者が害される,委託者が債権者を害される可能性があるということについての問題点。

 

これは設立の時期を明確にするとか,書面性を要求するとかということによって明確にし,かつ債権者は簡易な手続でもって詐害行為取消権に実質的に行使することができるという形の手当てをすることで対応しようというのがこのスキームですね。

 

 

それから,先ほどから主に議論されておりますのは,こういうふうにして設定された信託宣言で設定されたときのその受益権の中身,これが,その財産は裏打ちがないとかいうことから来る問題点。

 

 

これも先ほど会社との比較などからいろいろな議論されましたけれども,そういう観点からの正当化が可能であると,私はここら辺,あまり専門ではございませんけれども,お話を伺っておりますと,信託と会社の場合の比較の議論はそれなりに意味があると思いますし。

 

 

それから,○○委員が指摘されましたように,受益権の中身について利害関係を持つのは,恐らくやっぱりその後の受益者権を譲り受ける人間だと思いますので,その観点から大丈夫かどうかと,受益者権を買い取る人間自身もチェックをするでしょうし,そこが十分できるようなことになっているかどうかという問題だろうと思います。

 

 

 

それから,それ以外のもうちょっとテクニカルな問題として,二重譲渡の問題が大丈夫かとか,いろいろな問題があるんだと思いますが,少なくとも二重譲渡に関しては,今,○○関係官が説明したように,恐らく信託宣言特有の問題ではなくて,普通の信託でも二重譲渡,受託者に譲渡して,それがさらに別な人間に譲渡されると,委託者から別な二重譲渡がされると。対抗要件がある財産については,一応,一義的に明確でしょうが,対抗要件のない財産もありますし,対抗要件と言っても動産の場合には明確でないために,実際上,二重譲渡的なことが行われる。

 

 

 

そういう,大きく分けると3つの問題群があるのではないかと思います。

それぞれについて,さらにもし御意見があれば伺いたいと思いますが,いかがでしょうか。

 

 

  •  すみません,ちょっと今回の提案の内容について1つ御確認といいますか質問なんですけれども,まず,信託宣言による信託の効力の②のところで,受益者の1人に対する確定日付ある証書による通知ということは提案されているんですけれども,これ,委託者兼受託者が受益者でもある場合は,自分自身に対する通知で確定日付ある証書による通知でいいのかという点,ちょっと教えてください。

実務上の,ちょっと問題になりますが。

 

 

 

  •  確かに1つの問題かもしれませんね。登記ですと,もうちょっと客観的かもしれないけれども。

 

 

  •  ちょっとそこのところは,まだ十分想定していなかった局面でございますので,ちょっと検討させていただきたいと思います。

 

 

  •  それで,信託宣言に関しましては,民事的な目的含め,さまざまな用途あろうかと思いますけれども,ちょっとあえて,資産流動化,証券化に限定してちょっと申し上げたいんですが,資産流動化,証券化,想定した場合でも,いろいろ使い道があるということは以前からこちらの部会でも私の申し上げてきたところかと思うんですが,今まで指摘されてきている弊害についてちょっと現実踏まえて,私自身の感触申し上げさせていただきますと,資産の裏づけのない信託が設定されるのではないかとか,あるいは二重譲渡の懸念があるのではないかといった御懸念,御指摘というのは,受託者によるチェックが働きにくいということではないかなと思うんですけれども,受託者による牽制,チェックが働きにくいとしても,流動化,証券化の場合は,究極的に受益権をだれかに販売することで,資金調達する仕組みですので,受益者または受益権を取得する人によるチェックというのは,当然入り得るのではないかという気がいたします。

 

 

 

 

 

それと,これも何度か申し上げたことあるんですけれども,現実に信託銀行が住宅ローン債権を証券化する際に,みずから保有している住宅ローン債権を一たんSPCに譲渡して,SPCが委託者,みずからが受託者として信託設定するというスキームでの住宅ローン債権の証券化というのが多々行われているわけですけれども,この場合,委託者はSPCなわけですけれども,もともとその住宅ローンを生み出して,原取得して維持管理してきたのは委託者ということで信託宣言ではないんですけれども,事実上,委託者と受託者が同一ではないかと思われるような資産流動化の取り引きというのは行われてきているということ,ちょっと御指摘させていただきたいと思います。

 

 

それと,信託宣言に関するさまざまな弊害があるがために,今回の御提案ということで,詐害信託取消しの手続を経ることなく簡易にその効果を得られるというようなところなんですけれども,これは流動化,証券化考えた場合に,多少ちょっとこういう条件というのは制約になるかな。

 

 

ただ,異議の主張ということで,受益者等が先ほど受託者も含むということだったわけですけれども,これで相当程度緩和されているのではないかと。

 

 

あと,また,指摘されている懸念の,固有財産から信託財産に移ったことが,明確にわかるようなものがないのではないかということなんですが,資産の流動化,証券化考えた場合,ほとんどの場合が債権ですね。

 

 

貸付債権等の債権ですし,債権は不動産というものが大多数だと思います。今後,一部に動産というものもあり得るかも知れませんけれども。

 

 

例えば,信託の公示制度を手直ししていくとかですね,あるいは流動化,証券化される資産としても債権が圧倒的に多いわけですけれども,債権に関しては,例えば動産・債権譲渡特例法の手直しによって,固有財産から信託財産に移ることについて何らかの公示制度で,公示制度をもって対抗要件にするというようなことも併せて考えていくことで,手当てはできないのかなというような気はいたしております。

 

 

 

  •  最後の点に関連して,ちょっと私も思いますけれども,不動産の方は公示制度をそれなりに検討するということのようでございますが,ほかの公示制度もいろいろありますので,信託宣言をもし設けるとすると,できるだけその部分では対応しなくてはいけないという気がしますね。

 

 

どうしても公示制度はないものが,少し不明確な部分が残って,これはちょっと嫌なところではあるんですけれども,ただこれは信託宣言だから特有の問題ではなくて,信託宣言であると一層わかりにくい感じがいたしますけれども,しかし,理論的には信託宣言特有の問題ではなくて,どこかで申し上げた機会があると思いますけれども,金銭などについても,一体いつ,信託が設定される時期は一応明確になっていますけれども,実際財産がいつ移転するのかなんていうのは,必ずしも明確でないところが残って,ただ,これは申し上げたように,信託一般に恐らく関係する問題なんだろうというふうに思います。

ほかに御意見があれば。

 

 

 

  •  先ほど○○委員が整理していただいた以外の問題でもよろしいでしょうか。
  •  どうぞよろしくお願いします。

 

 

  •  2点ございまして,1点は,この「※」の内容についてお教えいただきたいと思います。

 

3つほどありまして,1つは「※」の権利,債権者の権利というのは期間制限があるかないかということです。

 

 

それから2番目は,委託者兼受託者が死亡するなどして,2つの地位が分離した場合に,この規律は及ぶのかどうかという点です。

 

 

それから3番目は,委託者兼受託者が破産した場合にどうなるのかと。特に倒産隔離との関係で,○○委員からも御指摘があったわけですが,破産の場合の処理について,もしお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

まとめてご質問してよろしいでしょうか。

 

 

  •  はい,どうぞ。
  •  全然流動化と関係ない話なんですけれども,相続との関係でどうなるかということです。遺留分減殺の対象になるのかどうか。

 

 

なるとした場合に,いわゆる自益型の場合と,それから他益型の場合とで基準値が変わってくるのかなというような感じもいたしますけれども,その点について,お教えいただければと思います。

 

 

 

  •  大きく分けると2つの問題ね。

最初の「※」のところに関連しての説明としていかがですか。

 

 

  •  期間制限は,この規定は詐害行為取消権が行使できなくなったときには,この規定はかからない,この規定の適用はないというのが論理的な帰結になるのかなというふうに思います。

 

 

委託者兼受託者が,その後に分かれてしまったような場合についても,このような規律がかかるかという話につきましては,以後,分かれてしまったら,このような規律はかからないということでいいのではないかというふうに思いますけれども。

 

 

あと,正しく御質問を理解したかあれですけれども,受託者が死亡したような場合におきましては,受託者が死亡して,受託者の任務が終了して,それでその受託者交代が起こるということで,別に,受託者の地位を,委託者が相続するわけではないわけでありますから,どなたかほかの方が受託者として選任されて,それで,受益者から見ると,典型的な民事だとすると,例えば,障害をお持ちの方が受益者だったときに,自分の親が受託者だったんだけれども,破産しましたというときに,今度は受託者が,自分のおじさんになるとかいうような形で続いていくということではないかというふうに,とりあえず考えております。

 

 

 

  •  よろしいですか。今の「※」の部分に関して。

 

 

 

  •  破産の関係につきましては,一般の詐害信託取消権についても同様の問題があるわけでございます。それは後日,破産について,まとめて提案するときに規律を提示しようという方向で考えておりまして,基本的には否認権の問題に近いと思うわけでございますが,破産した場合には委託者の破産管財人になるんですか,同じような権利を行使していくことができるということになるのではないかと,今の時点では考えております。

 

 

あと,遺留分減殺というのが,ちょっと私もよくわからなかったんですが,どういう局面で,どういう問題になってくるという御趣旨でございましょうか。

 

 

  •  委託者の相続人たちが,相続財産が減ってしまったということで,遺留分減殺をしたいと考えるわけですが,そのときに,自益型の場合ですと,受益権が相続財産になるのでしょうから,遺留分減殺の対象にならなくて,受益権を贈与なりしたときに,対象になるのかなと。

 

 

 

 

それに対して他益型の場合ですと,信託宣言をしたときに,受益者に対する贈与になるのかなというふうにぼんやり思ったんですが,そういう理解でいいかどうかということです。

 

 

  •  そうなるんではないでしょうか。

そもそも詐害行為になるかどうかというところも似たような問題が恐らくあると思うんですよね。今までの財産が信託設定されて,受益権に変わっているだけだ。

 

 

自益型ですと。そのときに,先ほどもちょっとどなたか御発言ありましたけれども,詐害性があるのかどうかという問題,これはこれでちょっと恐らく信託の中身に関連して,一種の定期預金をしたようなものだというふうに考えると,別に詐害性はないのかもしれませんけれども,非常に拘束性の強いものを,それで設定したなんていうことになると,詐害性が出てくる可能性もあるかもしれないと思っておりますが。

 

 

 

遺留分の方は,もうちょっと,恐らく単純なのかな。受益権という形で残っていれば遺留分の侵害というのは基本的にないのではないかと思いますが。

 

 

 

 

  •  私が申し上げたのは,そんな本質的なことではございませんで,それは信託宣言特有の問題というよりは,例えば委託者がだれか信託銀行に信託財産を,預けまして,それで受益権をもらって,その受益権を相続人に渡すというときと一般的に他益信託の形で設定したときとどう違うか。

 

 

そのときに遺留分減殺の規定はどのようにかかってくるかという問題と全く同じ問題で,検討はいたしまして,○○委員が御指摘いただいたとおりだと思うのですけれども,信託宣言特有の問題ではないということだけちょっと確認させていただいたと。

 

 

 

  •  恐らく,今,○○関係官のおっしゃったようなことだと思いますが,事実上,その遺留分減殺にとって,しにくくなるのかなということがあるかないかがまだ十分自分の中で整理できていないところです。

 

 

多分,理論的には今おっしゃったようなことになると思うんですが,さらに,これが相続の場合にどうなるかということは,詰めて検討しておいた方がいいのかなというふうに思います。

 

 

  •  それでは,○○幹事,どうぞ。
  •  私,個人的には,信託宣言の必要性及び妥当性そのものに疑問も持っておりますけれども,その点はひとまず置きます。

 

 

その上で,試案の中身について伺いたいのですが,ちょっと話が難しいものですから,議論をずっと伺っている間についつい自己の世界に入って陶酔してしまいまして,考えにふけってしまって,十分に皆さんの議論を拝聴できていないような気がしますので,ひょっとして出た問題をもう1度繰り返すことになるかもしれませんで,その点は大変申しわけなく思います。

 

 

 

第1の質問なんですが,先ほどから自益型という話が出ているんですけれども,信託宣言で自益型というのを本当に認めるのでしょうか。もちろん資産流動化等の局面において,一たん自分を受託者としてある財産を取り分けて,それでその後に受益権を販売するという形をとるというニーズがあるというのはわからないではないのですけれども,もしそのときに限って,その自益型というのを認めるというのでしたらば,どのような,今まで信託の終了のところで,受託者が受益権の全部を固有財産で取得した場合には適当な時期で売らないとだめだよという規定があるわけですが,それでは,その信託宣言でみずからを受益者にしたといったときには,それではいつまでそれを持っていてよいのかというのは,この信託の意義等についてという条文案,試案ですが,からはどうもわからないような気がするわけです。

 

 

 

私個人的には,売却をするために,一たん持つというのならば,信託の効力自体を売却して受益権が第三者になった時点で発生させるべきであって,自分の財産を取り分けて,自分が受益者であるというふうな形の信託宣言を認めるというのには,賛成できません。

 

 

 

 

 

2番目なんですが,2番目,3番目は細かい話なんですが,先ほどから出ております「※」のところなんですが,これは最後の行,「債権者は,当該信託の設定が債権者を害することを債務者が知っていたことを証明しなければならないものとする」というわけですが,これは受益者の善意,悪意は,この場合は問わないというふうなことなのでしょうかということ。先ほど,何か○○委員の方からも出たような気がしますけれども,ちょっと確認をさせてください。

 

 

 

  •  今の御指摘で,自益型のものであれば,改正試案の前のときに御指摘もありましたように,○○委員からも御指摘がございましたように,基本的に,債権者詐害にならない方向で活用がされることになるかとは思うのです。

 

 

ずっと委託者兼受託者となって,受益権を持ち続けているということではなくて,これは既に,前回の,前々回かもしれませんが,御審議で御了承いただいたとおり,1年間,だれにも売らずに持っているということになると,その信託は終了するということになりますので,そこと同様の規律がかかってまいりまして,1年以内に売却できなければ,それはその時点で信託は終了するということになろうかと思います。

 

 

 

例えば,これは諸外国,例えば米国などにおきましても,このような使い方もされるのではないかというふうに理解しております。

 

 

それから「※」のところにつきましては,先ほど○○幹事の方からお答えをさせていただきましたが,受益者の善意というのを受託者が証明すれば,これは他の人に売買したときに,その売買,ある物を買った人が善意であった場合というふうに機能的に同視できるでありましょうから,その執行はとまるという手続で考えております。

 

 

 

  •  よろしいですか。○○幹事。
  •  とりわけ,最後の説明に関連するのですが,そうすると,その信託宣言の原則形態というのは自益型なんですか。

 

つまり,受益者というのがほかにいるということを前提にすると,その「※」のところの案においても,受益者の話を正面から書かなくてはいけないような気がするんですが,債務者に受益権が帰属して,それがいくのだというふうに考えると,この債務者に同視することができるというふうな理屈が出てくるような,それは棄却するんですが,そうすると,委託者兼受託者兼受益者であるというのを原則形態として,受益者が第三者になるというのをそれのバリエーションとしてとらえていくという,こういう発想になるんでしょうか。

 

 

 

  •  すみません。ちょっと御質問を正しく理解したかどうかわかりませんけれども,自益が原則であるか他益が原則であるかというのは,それは民事,商事の使われ方で,言ってみれば,国民の皆さんがお決めになることではと,私どもとしてどちらが原則で,どちらが例外というようなことを申し上げるようなつもりもないのですけれども,その場合に,適時適切に債権者,関係者の利益保護に配慮するようにルール整備をしたい。その結果考えたのがこの案であるということでございまして。

 

 

 

すみません。そんなことを聞いているのではないんだという話かもしれませんが。

  •  「※」のルールとの関係。

 

 

  •  ニーズがどちらが原則かという話ではなくて,条文の書き方とか法の定め方として,どちらを原則形態でどちらをバリエーションとして考えるのかと,というふうな形で規定していくのかという問題ですから,国民が決めることではない--国民がもちろん決めるんですが,法律は,利用者が決めることではないような気がするんですが。

 

 

すみれ

「法律は使わないで良いように、使う時に使いやすいように決めたらいいと思うよ。」

 

 

  •  まさに「※」のルールのところがどういう書き方をするかという問題ですけれども,これはだから受益者が別にいる場合には,先ほどの御説明のように,その受益者が善意であるということになると結局取消しができないのと同じように,こちらの簡易な形でもかかっていけなくなると。

 

 

受益者が同一人物である場合には,これは恐らく第三者と考えないということになるんでしょうけれども,それはそれで別な扱いをするという,それだけのことなのではないでしょうか。

 

 

  •  今,○○幹事が指摘された点と関係する点で,まず第1点申し上げさせていただきたいと思いますが,この信託宣言で,例えば流動化のようなニーズを考えているときには,たとえ一時的には委託者イコール受託者イコール受益者となるにしても,いずれはやはり第三者たる受益者が出てくるということを念頭に置いているはずではないかと思われます。

 

 

逆に言うと,委託者イコール受託者イコール受益者で,ずっと最後まで行くようなものというのは,考えられないのではないか。そんなことのために信託宣言を認める必要は全くないのではないかと思いますので,そういう意味では,この自益か他益かという言葉自体が非常にコントラバーシャルだというのは承知しておりますけれども,信託宣言の場合は,やはり受益者は別に,最後はいるんだという,こういう前提で議論を進めないといけないのではないかと思いました。

 

 

 

ちょっとそれとはまた関係なく,3点,申し上げさせていただきたいのですが,ちょっと話がまた戻って恐縮なのですけれども,先ほど会社との比較の中で現物出資に対する検査の制度があると。

 

 

これは専ら債権者保護のためであるという○○関係官からの御説明ありましたけれども,むしろ資本制度自体の債権者保護の機能が低下していることと相まって,最近の会社法の方では,むしろこの調査というのは内部的な株主間の公平の確保になると。

 

 

つまり,金銭で出資した人と現物で出資した人とがいて,現物で出資したものの評価が過大に高ければ,いわば,それだけ割り負けると言いますか,そのような不公平が生ずると。

 

 

この,例えば受益者間の公平の問題のようなことを考えると,私はこれは契約ベースで解決するというのは,非常になかなか難しい問題があって,もう少し組織的と言いますか,制度的にとらえて考える必要も出てくるのではないかと思っております。

 

 

 

それから,第2点は,先ほどこれまた○○関係官より合同会社は設立の規制が非常に緩いので,それと比較すれば信託もという話がありましたが,この合同会社については,業務執行社員の忠実義務とか強行法規にされておりまして,新会社法の593条の第5項でございますけれども,それともアナロジーで考えると,この信託の方は原則として任意法規化しようという動きがありますので,やはり合同会社と簡単に比較していただくことにも,難しい点があるのではないかというような気がいたしました

 

 

 

 

それから,3番目に,これ,もうちょっと根本的な点なのですけれども,情報の非対称性についてどう見るかということなのですが,私はむしろ信託法というのは情報の非対称性があると。

 

 

それが簡単には埋まらないということを前提に,だからこそ受益者を保護する必要があると,そういう,信託法というのはまさにそのためにあるのではないかというふうに思っていたのですが,むしろ今までの議論の中では,そういう必要があったら開示だったら証取法,あるいは投資サービス法でやればいいと。消費者保護だったら消費者契約法ですか,その他あるいは民法の一般法類でやればいいと。

 

 

このように,むしろ信託法の受益者の保護の多くの役割がむしろ信託法以外のところに期待されているような,そのような印象を受けたのですけれども。

 

もちろん,私も方向としては信託法の任意法規化に賛成している者なのですけれども,この情報の非対称性がある点は,例えばほかの会社なんかと同じではないかという議論を,信託法の改正の論議の中ですること自体が,私は信託法における受益者保護という考え方から,やや,伝統的に考えられてきた受益者保護とは,やや違和感があるような感じを持ちましたので,その点について,御教示賜れればと思います。

 

 

 

 

  •  今の,現在の,最初に御指摘いただきました検査役の調査の件ですけれども,確かに裁判所の選任する検査役の調査は債権者保護だけではなくて,株主間の平等を図るためにあるというのは御指摘のとおりかと思います。

 

 

 

それは,しかし,どういう局面で問題になるかと言いますと,既に既存の株主がいて,第三者割当増資で,その第三者に現物出資でやってもらいましょうというときに,その価格が不相当だったりしますと,株主間の利益の移転が,実質的に起きてしまうもので,そこを調整しましょうということだったかなというふうに思います。

 

 

かつて商法部会で,100%子会社の現物出資をするときには,裁判所の選任する検査役の調査はいらないではないかということを議論したことがございました。

 

 

そのときは,株主間の利害の調整というのは必要なくて,むしろ株主はこれでいいと言っているだけであると。すなわち,現物出資した親会社,完全親会社たる会社のB/S,帳簿,仕分けを見てみますと,左側に資産50と立って,右側に株式50と立てるだけで,それで,株主が1人である限りにおいて,株主に対する配当化の利益というのは,その後の仕分けがきちんとつけられている限りにおいて,全く変わりません。

 

 

例えば,子会社の方で,資産X,資本Xというふうに置いた上で,このXが幾つになるかということが,その会社の配当可能利益に影響を与えるわけではございません。精算したときにその財産が全部返ってくるわけですから,精算したときに返ってくる財産という形でも変わらないので,要は100%子会社をつくったときの裁判所の選任する検査役というの考えますと,それは純粋に債権者保護のためでありまして,そのときに100%子会社でやるときに,株主保護のために裁判所の選任する検査役の調査が働いているということは基本的にはないのだということで。

 

 

 

それでただし,債権者のためというものがあるから,裁判所の選任する検査役は必要ですよねというのがこれまでの商法との整理だったのではないかというふうに思います。

 

 

今のような観点で,それでその後でその株式をだれかに譲渡するときは,それは,裁判所の選任する検査役が最初に入っていたからと言って,その後,転々する事業活動で会社の財務内容も変わっていますし,そこを裁判所の最初の選任する検査役が入っていたから,その後の時価が全部適正だということではないのではないかということだと思います。

 

 

今の信託宣言を,完全子会社をつくる場合のアナロジーに全く同じというふうには申しませんけれども,基本的に委託者兼受託者で,受益権を委託者が全部持っているというときには,受益権は全部同一人物に帰属しているわけでございますので,そのときに,何か株主間とか受益者間の平等を図るというような話は,ここは基本的に問題は起きないんだということだと思います。

 

 

 

したがいまして,何でも検査を入れればいいということではなくて,その検査というものが,いろいろな局面において,どういう機能を持つかということを考えて入れていかないと,整合ある法制度はできないのではないかというふうに考えているということなのでございます。

 

 

 

 

あと,売却したときに,確かに情報の非対称性というのはあって,会社もあって,信託もそれが多いからだというようなお話だったかと思いますけれども,善管注意義務というのは,基本的には会社も受託者も,今受益者になる人に対して負う,今受益者である人に対して負うというのが善管注意義務,忠実義務であるわけでありまして,これから善管注意義務,忠実義務を負うかもしれない,将来の潜在的受益者に対して負っているということでは,一応法制度のたてつけではないのだというふうに思います。

 

 

例えば,昨今いろいろ議論されているたてつけから行きますと,商法のたてつけを強調していきますと,例えば株主はひょっとしたら善管注意義務,非常に,ちょっと愚かな話をすれば,ひょっとしたら取締役というのは粉飾決算をした方がいいのかもしれないと。

 

 

株主のためにはですね。それはなぜかと言うと,株価が高くついて,その株価を高く売ったら株主は利益受けるからと。

 

 

そんな議論はないのですけれども,将来の株主に対して,今の取締役がどういう義務を負うかということを,必ずしも商法の善管注意義務とか忠実義務というところで,措定できないからこそ,証取法でディスクロージャー規制とか,こういう金融法規というのがかかってきているというのが,現在の法制度でありまして,そこがうまく措定できないから,証取法と商法をどういうふうにつなぐかというのが今まで皆さん悩まれていることなのではないかというふうに思います。

 

 

 

したがって,将来の受益者になる人のために,今受託者は,別に善管注意義務とか忠実義務を負っているわけではなくて,それはあくまで現在の受益者のために負っているのだということだと思います。

 

 

 

 

それで,一たん受益者となった人に対して,善管注意義務なり忠実義務をいかに負うかということについては,それは現在,例えば取消権の適用範囲を拡大しようとか,違法行為の差止請求権の制度を設けようですとか,ディスクロージャー規定を整備しようとか,あるいはいつでも解任できるようにしようとか,そういったところで,受益者,受託者間の情報の非対称性と言われるような問題というものを解決していこうということかというふうに思います。

 

 

それから,情報の非対称性で,受託者に対する監督ということを御指摘されることはもちろんだと思います。それは,それ自体として正当なことだと思うんですけれども,何でこういう情報の非対称性という議論が出てくるかというと,ここに,いわゆるプリンシパル・エージェントのような関係が措定されるわけでありまして,プリンシパル・エージェントのような関係というのは,そもそもエージェントの専門的な能力というもの信じて,それを生かしましょうというところが,そもそものプリンシパル・エージェントが生まれてくる前提のスタート地点なのでありますから,何も米国におきましても,情報の非対称性があるプリンシパル・エージェントで,そのエージェントを締め上げたらいいというような結論にはなっていなくて,エージェントを締め上げると,今度はエージェントの創意工夫とか能力とかいうものができなくなってくるので,かえってプリンシパルのためにならないのではないかと。

 

 

 

 

 

したがって,ではそのエージェントの創意工夫を生かしつつ,プリンシパルの監督というものをいかに働かせていきますかというのが米国での経済学での悩ましいところというか,議論だと思いますので,情報の非対称性ということを前提に,受託者を常に縛れば受益者のためになるというような結論は,もちろんそんなことおっしゃっていないんだと思うんですけれども,ということではないんだという,当たり前のことを1つ確認させていただければと思います。

 

 

それから信託宣言の場合も,常に委託者,受益者が同一であるというようなことが常に措定されているわけではございませんで,当然それは,最初は自益だけれども,その後転売されるというようなことを考えた上で,制度は,そういう場合を念頭に置いて制度をつくっているんだということを申し述べさせていただきたいと思います。

 

 

 

  •  ちょっと先ほど私の申し上げたことが誤解されているのではないかというふうに恐れましたので,あえて。

 

 

先ほどいろいろな一般大衆投資家の保護に関して,証取法とか投資サービス法でということを申し上げましたが,それは別に,この信託法自体で,受益者の保護についてのスキームを備える必要がないということを申し上げているのでは,全くございません。

 

 

あくまでも,これは要するに基本法として,受益者の保護としてのスキームというのを,きちんとこの信託法の中で整備されるということだと思います。

 

私が申し上げたかったのは,ただ,要するに,このような委託者と受託者が同一のスキームについて,信託業法で規制するということは,やってしまいますと,いろいろな意味で,過重なことになってしまって,せっかくおつくりいただこうとしている,この信託宣言のスキームが実質的に世の中でワークしないようなことになってはいけないので,そういった意味で,本当に何をどういう観点から規制しなければならないかということは,それぞれの法体系のもとで厳密に規制の必要性を検証する必要があるという趣旨で申し上げたものであります。

 

 

  •  ありがとうございます。

恐らくそういう趣旨で皆さん理解されたと思います。

いいでしょうか,○○幹事,とりあえず。

では,○○幹事からどうぞ。

 

 

  •  前の方の話にさかのぼりますが,○○委員が御発言になった中で,公示制度のお話がありましたので,ちょっとそれについて事務局のお考えが,もしあればお伺いしたいということろでございます。

 

 

 

不動産については,所有権の移転があったときに,登記原因が信託になるという制度とともに,信託財産がキャッシュを持っていたときに,いわゆる信託の設定ではなくて,キャッシュで不動産を買い取ったときに,登記原因が,所有権移転の登記原因は売買になるのとともに,さらに信託の登記というのがあるように思います。

 

 

番人

「信託財産の処分による信託か。」

 

 

したがって,それを受け皿にして考えると,今回の信託宣言について,所有権の移転は確かにないと。委託者の手元で所有権移転していないけれども,信託を公示して,それによって信託であること,受託者からの倒産隔離を図る信託であることを第三者対抗できるということは,可能だろうし,必要なんだろうと思います。

 

 

 

他方で,登記というのは,最近不動産だけではなくなりまして,債権と動産とが加わるようになりました。

 

 

この債権と動産の登記制度,実はちょっと私,自信がないんですけれども,私の理解しているところでは,動産所有権の移転とか債権の譲渡の登記原因のところに信託というのは書かれることはあるかもしれませんが,不動産について申し上げた第2の例である信託財産にキャッシュが入っていて,それで買い取った場合には,債権登記簿上,あるいは動産登記簿上,その買い取った財産が信託財産であるということは,あらわれない,あらわす余地がないのではないかと理解しております。

 

 

そうすると,債権,動産についての今の登記制度を,基本的にそのまま置いておいて,そして信託宣言の公示をそこに載せようというのはなかなか難しいだろうと思います。

 

 

 

難しいところを実現するという方法もあるかもしれませんが,難しいから差し当たってそこはできないだろうというふうに立った場合には,債権や動産については,確かに登記制度はある。

 

 

けれども,やはり登記簿上は公示されないんだということで信託宣言も行われると。

 

 

信託宣言は不動産しかできないということにはなり得ないわけですから,そういうふうに考えたらいいのかどうか。事務局の今の登記制度についての見通しをお聞かせいただければと思います。

 

 

  •  今のおっしゃったとおりで,動産とか債権については,それは信託の登記ができないということと,公示ができないということで,信託宣言はもちろんできますが,現時点での公示制度を前提にやるということでございます。

 

 

 

  •  そうすると,もう答えは用意されているんだろうと思いますが,信託宣言の中身が動産であったり,債権であったときに,それが信託宣言が行われた結果,信託宣言については,今第1のところに書いてあったような形で要件を具備することになると思いますが,その財産について,要するに信託財産に入ったんだと,要するに固有財産の債権者がそれを差押えられない,あるいは固有財産が,倒産したときに倒産隔離がそこに生ずるというのは,何をもってそれが実現することになりますか。

 

 

 

  •  それは結局は分別管理によって行って,あとはそれに基づいてそういう執行がかかってきたら立証すると。その手段としての分別管理をもって一応の公示ではないんですけれども,制度的にこれが信託財産になったということを明らかにするということでございます。

 

 

 

  •  わかりました。

私もそれしかないのかなと思いますが,さっきの○○委員の発言が,そのまま流れていると,何か動産や債権についても不動産に似たような公示制度ができるのかなというような印象も持ちましたので,お伺いした次第です。

 

 

 

  •  ちょっとそこら辺は,私もあまり専門ではないからよくわからないけれども。そうですか。できないんですか。それは。

何か登記制度があって,債権譲渡についての,一応,対抗要件の制度がそこであって,しかしそれは信託宣言のときは使えないという……。

 

 

  •  登記という観点からいきますと,分別管理という話になるんですけれども,通常の,普通の信託で受託者が委託者から債権を信託されたとき,あるいは動産を信託されたときというのは,基本的に分別管理で,帳簿で書いてありますとか,あるいは倉庫を別にしていますということで,固有財産の債権者が入ってきたときに,それを証明することになるわけですけれども,幸か不幸か,書面を要求しておりますので,信託宣言でやった場合はですね,こちらの方が,債権者に対する証明度という点では,書面がないとそもそも信託設定を対抗できませんので,こちらの方がまだ証明度の高さはやや高くなっているのではないかと,ちょっと感想めいた話ですけれども。

 

 

 

  •  はい。どうもありがとうございました。
  •  ただ,書面は存在するけれども,外からは調べにかからない限りはわからないわけですね,そういうことですよね。

 

 

ですから,さっきの期間制限の問題と関係するかもしれないけれども,いつ設定されたかというのがわからないと。可能性がある。

○○幹事,よろしいですか。

 

 

 

  •  はい。
  •  いや,何か解決策の提案があるのであれば。

 

 

 

  •  質問に入る前にずっとお話し申し上げたように,私ももうそれで仕方がないのかなと思いますが,信託宣言については,なるべく何が移ったか,はっきりさせる方法いろいろあるのを動員しようという雰囲気はあったように思いますので,したがって,その雰囲気はうまくいかなかったんだということかなと思います。

 

 

  •  雰囲気というか,いじらないとするとうまくいかないということよね。
  •  ええ,そうですね。

 

 

  •  まさにその問題は非常に関心がございまして,どこから言ったらいいのか,いろいろあるものですから。

 

ちょっと今の債権のところから言いますと,信託の公示の問題は財産権の処分そのものについてどうかという話と,それから信託であることの公示という2面があり,信託宣言ということになりますと,財産の移転そのものについての公示が,一切,基本的に使えないと,今の制度ですと,手当てをしないと同一人格のもとでということですから,不動産登記も,そもそもどうなるのかというのがちょっとよくわからないのですが,そこから。

 

 

 

  •  今の不動産登記法の世界でも,実は実例として信託財産から固有財産に移るというのはありまして,委付の登記とこれは呼ばれておりますけれども,それ自体は,所有権はもちろん移転しないわけですけれども,信託の登記が結果的にははずれることになっていて,実際上は,所有権移転の登記と似たような,固有財産とする旨の登記と,たしかそういう表題の登記が,所有権とともにされるということになっております。

 

 

ですから,それのいわば応用形というのが,信託宣言の行われる逆になるだけだというような認識でおります。

 

 

番人

「信託財産となった旨の登記か。」

 

 

  •  それは債権の場合はどうかという話ですね。
  •  すみません,ちょっと不動産の話にせっかくいきましたので,そうしますと,例えば抵当権設定なんかも現行法では登記もできるということで理解してよろしいですか。

 

 

つまり固有財産のための信託財産に対する登記設定,忠実義務の問題はないとしまして,あるいは信信間での登記設定なんかもできるという理解でよろしいでしょうか。

 

 

つまり大もとの,これが完全にできるとなると,ほかのものにもいろいろ波及するだろうと,まず不動産ですけれども,現行法でできるかどうか調べてきませんでしたので,申しわけございません。

 

 

 

 

  •  それは,つまり信信間で,あるいは信固間で,あるいは銀貸しとかですね,それに抵当権が設定できるかということですか。

 

 

  •  できるかどうかは,実体法の問題としてはできると思うんですけれども,忠実義務の問題とかをはずせば。できると言っていいのか,ちょっと悩ましいところですが。登記がどうなっているかと。

 

 

 

  •  そこがまさに1つ問題だと思っておりますが,まず,つまり銀貸しみたいなものを行ったときに,契約をしたと言えるのかどうかですね。ここまで言っていいのかどうかよくわかりませんけれども,同じ人格同士で,意思表示と意思表示の合致があった契約と言えるのかどうかというような話がありまして,そこに債権が発生したと見ることができるのかどうか。債権が発生していれば,担保権は恐らくつけることができるのでしょうということになりますので,それを受ける公示というのが要請されてくると,そういう関係になるんだろうとは思いますが。

 

 

 

今の取り扱いの中では,私の聞いている限りでは,そういった申請は多分なかったはずですので,考えられてはいないんだろうと思います。

 

 

  •  申し上げたかったのは,ちょっと実体法上,できるかどうかというのは,ただちに実はわからないんですけれども,仮に,できたとして,登記の部分で,あるところ手当てをすると,実は,ほかにも波及するものがないかというのは,不動産登記についても気になっているところです。

 

 

債権の方に戻しますと,債権譲渡につきましては,債権譲渡登記がかなり普及をし,非常に成功をしているというふうに聞いておるわけですけれども,そもそもやはり信託によって,既に移っているんだと,したがって,それと競合したときには負けるんだというようなことがあり得るとすると,それも本来は同じ登記制度に載った方がいいわけですけれども,その部分を手当てしていくということになりますと,結局すべて登記登録あるもの全部に手当てをしていくと,知的財産とかですね,そういうものまで含めて手当てするということになりますので,単純に信託法に1個置けばできるならともかく,申請の書式ですとか,いろいろ考えると,ちょっと非現実的ではないのかと。

 

 

 

そうだとすると,信託宣言ができる財産の種類とかを絞るか,絞らないで,もうそこはしようがないということで頑張るか。

 

 

ただ,しようがないというふうにしたときに,これからこれが入ると,債権譲渡登記を見にいって,あるいはないことの証明とかをもらっても,しかし信託設定されている可能性は,信託宣言でされている可能性はあるということで,しかもそれを知りたいと思えば,公正証書か,確定日付ある証書ですけれども,どこに公正証書あるかわかりませんし,受益者だれか何かもわからないので,端緒もないと。

 

 

ひたすら譲渡人の言うことを信じるというような話の,そういう制度を導入するということになるのではないか。どこまで信託宣言が使われるかという問題はありますけれども,かなり影響は大きい話ではなかろうかという気はしております。

 

 

もう1つは,先ほど動産の場合はよくわからないということで,私,動産の場合,ますますわからないのですが,178条の問題というふうにいたしますと,対抗要件としての引き渡しがあるわけですが,これは一体どう考えたらいいのか,自己の間で引き渡しということはおよそ考えられないので,178条の局面では,つまり,設定されたということ自体は,もう当然に対抗可であって,あとは,16条ですとか,そういう分別管理の問題というふうに考えたらいいのか,それとも占有改定はできているというようなことを考えたらいいのか。そうすると,178条は満たすけれども,192条の話は出ませんと。

 

 

先ほど二重譲渡の問題は,全くほかの場合と変わりありませんというお話をされたようにも思ったんですけれども,理論的には,ちょっといろいろ違うところあるのかなと思いますので,引き渡しの問題などは,およそ,同一人格間である以上は,引き渡しということはあり得ないという理解の上で,単に信託を対抗する強制執行なり,動産なりの局面で,その問題として考えるのみであるという理解でよろしいのかどうかというのも,もしお考えありましたら教えていただきたいと思います。

 

 

番人

「登記原因か備考に入れるのかな。」

 

 

  •  債権の問題ですけれども,例えば,債務者に,債務者情報センターというか,債務者に聞けば全ての債権がどこに帰属しているかというのが,今の法制上で,別に,そうなっているわけではもちろんないのですね。

 

 

債権譲渡登記をしたときに,譲渡人から譲受人にこの債権が移ったということは最低限わかりますけれども,譲受人がその債権をさらにどうしたかというのは,登記を見ても,必ずしも同じものかどうかというのはわからない。

 

 

債権譲渡登記制度というのは物的編成ではなくて,人的編成をとった以上,宿命として,既にどこか,何かを見れば絶対にわかるようになっているというふうには,もう既に制度としてなっていないので,その時点でもうその点についてのルビコン川は既に渡っているということではないかというふうに思います。

 

 

すみれ

「ルビコン川を渡るって引き返せないってことだっけ。」

 

 

さらに,その上で,譲り受けたときに,例えば今の債権譲渡登記で,もう譲渡人が信託設定ということであれば,債権を信託設定でやったということであれば,登記原因を見ればわかるかもしれませんけれども,受託者の方が信託設定ではなくて,受託した金銭で,信託財産たる金銭で債権を譲り受けたというようなときには,譲渡人は,譲受人がどこでとっているかというのはわかりませんし,債務者であっても単に譲渡したと通知するだけですから,債務者の方でも信託勘定でとったかどうかというのはわかりませんし,要は,分かるのは譲受人だけという世界になっているわけでありまして,それはもう,譲受人に聞いて,それでやってみて功を奏さなかったらほかの手段をとるというようなことになっているというのが現在の制度のたてつけなのであるかと思います。

 

 

それで,動産とか債権について,常にこのものがだれの所有権にあるかというのを公示していないとだめだというようなことには,我が国法上,そもそもなっていないのですね。

 

 

債権者というのは,別に固有の債権者に対する固有の財産に対する信頼を持っているわけではないわけでございまして,何かある動産を譲渡したんだけれども,引き続き賃貸借しているとか,あるいは占有改定で持ち続けているとか,そのときに執行したときに契約書を見せたら執行をとめられるということは当然あるわけでして,したがって,何かすべてのこの世の財産はだれかに実質的に帰属しますということが公示できていないといけないというような法制度には,我が国民事法上は,そのようにはなっていない。

 

 

 

したがって,その原則が維持されているという,ただ,それだけのことという言い方はちょっといけませんけれども,そういうふうに考えられるのではないかというふうに思います。

 

 

  •  信託財産であることの公示は,幾つかの公示制度で十分に対応できていないということで,今のように金銭で買って,信託財産で買ってもそれが公示できないということは,しようがないと言えば,しようがない点,そこも改正しない限りは改正できないことなんだと思いますけれども。

 

 

信託宣言の場合に,そもそもの移転の部分さえも公示ができないというところが恐らく違っていて,それは,何とか不動産の方でできるんであれば,債権譲渡の方もできないのかという感じはいたしますね。

 

 

ちょっと○○関係官もいろいろお考えの上で,相当苦労されたところだとは思いますけれども,あまり信託宣言について,やっぱり不透明な部分が残ると,結局信託宣言に対する信頼性が失われて,業法の方でやっぱり規制すべきだなんていうような議論にもなる可能性があって,私は,個人的にはやはり,こちらの信託法の方でもってできるだけ明確な形で信託宣言はされたということがわかるような手当てをすることが,できればですが望ましい。

 

 

 

 

法務省の所管の中でできることと,それから,外でなかなかできにくいこともありますけれども,せめて債権のあたりはどうだという感じはいたします。

 

 

  •  債権につきましては,確かに債権譲渡の登記というのはございますけれども,何もこれは,債権譲渡の登記が唯一の対抗要件という登記登録制度ではないので,信託法3条で言うところの登記登録すべき財産のところの登記とはまた違う意味であるということは,何度かこちらで確認されていることかなと思いますので,何かそこで載るんだったら,ここでも載らないと不整合ということでは恐らくないのだろうと思います。

 

 

 

それで,○○委員の御指摘や,○○幹事の何らか,例えば明確性とかですね,それから占有改定によるようなものというような話がございまして,それはもう,一定の様式性を要求して,それで制度の設計としてはこういうことを,こういう様式的な行為をしないと対抗できないよというふうにして,効力としては発生しているとかいうようなことでも,考えられなくはないのですけれども,書面でやらないと,そもそも効力が,書面でやらないと効力の前提を欠くわけでありますし,それから公正証書なりをつくるとか,あるいはその旨を受益者に通知するということをしていないと,そもそも効力は発生しませんという厳しい様式的な縛りをかけて,そこで初めて効力が発生するんだというような形で考えていますので,それによって,一種の普通の取引で言うところの対抗要件を取得したというふうに同じように考えられないかということでどうかということで提示させていただいているということかなというふうに思います。

 

 

 

 

  •  恐らく公示の持っている2つの機能のうちの,対抗要件の方は書面でもって効力発生要件ということで,そちらは客観的には確定する問題なんでしょうけれども,対抗要件制度が持っている公示機能と言うんですか,やっぱり外に見せるという部分がもうちょっと何とかならないかという問題なんだろうというふうに思いますけれども。

 

 

 

  •  私自身がちょっと了解していないだけかもしれませんが,○○委員がおっしゃいましたように,ちょっと3条の問題を出されましたので,3条によっても,委託者から出ているということが,基本的に達成されるわけですよね。債権譲渡登記などであれば。

 

 

そこすらも達成されなくなるということの問題をどう見るかということだと思いますので,そういう御趣旨でおっしゃったのかとは思いますが,一応,確認。

最終的には政策判断だとは思いますけれども。

 

 

  •  私どもの基本的な発想というのは,移転の部分と信託に入るという部分は,別々の段階が基本的にはあると思っておりまして,信託の公示というのは,信託になった,信託財産に入っているという,そのことであるというふうに理解しております。

 

 

そこからすると,信託宣言というのは,移転していない以上,第三者に移転していない以上,それを公示上,反映させることはできなくて,あとは信託の公示を,ではつけるかという話なんですけれども,それは確かに不動産登記は受けられる制度になっているからうまいこと動くでしょうし,不動産登記制度並びのその他の登記登録制度も所要の整備を行っていくという方向で考える,そういう話だとは思うんですが,債権や動産譲渡の登記については,債務者対抗要件,第三者対抗要件というふうに分かれているとか,ほかにも公示方法があって,なかなか信託の公示というのは載せにくいという議論が,たしかあったということで,ちょっとあそこに信託の公示を入れるのは難しいのかなと思っておりまして,そうすると,債権や動産の登記制度に信託の公示とはまた別の情報を示すというような,ちょっとまた別の登記というのを入れるということを検討するかどうかだと思うんですが,ちょっとそこまでは何か……。

 

 

 

  •  いや,登記制度でそんな無理なことはあまりお願いは難しいんだと思いますけれども,不動産で,設定の段階でもって何らかの形で信託宣言というか,どういう形で表示するのかわかりませんけれども,それができるんであれば,要するに,その場合は信託財産になったということが,示されるということなんですかね。不動産の場合には。

 

 

移転の方はできないけれども,信託財産であることを示すことはできるんだと,不動産の。

 

 

  •  それは,移転はもう公示してはいけないわけでして,移転はもちろんしていないわけですけれども,信託に入ったのは信託に入っているので,そこは信託の公示をつけるということを行います。

 

 

  •  不動産はそういう信託財産であることを示す方法があるので,できるということですね。

 

 

  •  はい。そのような信託の公示制度は,債権や動産について,つけられるのであれば同じようなことは行われると思うんですけれども,そこがちょっと難しいのではないかとずっと思ってきましたものですから,我々としてはちょっと対処が難しいかなと。

 

 

  •  理論的にはよくわかります。ただ,そのまさに移転の部分を,だから,移転とは言わないけれども。

 

 

  •  委託者から出ているというか,そういうことなんですけれども。

 

  •  信託宣言によって括弧つきの移転ですけれどもね,そういう形の公示ができないものかという,恐らく議論なんだろうと思いますけれどもね。

 

 

  •  動産の引き渡しは,基本的にそういう概念はないという理解してよろしいですか。

 

  •  引き渡しね,どうですかね。

 

  •  動産についても同じだろうと思っておりまして,動産については,信託の公示は,あるいは信託の公示なくして対抗できるということになっておりますので,信託宣言の局面で言えば,もちろん占有改定などなくして対抗できるというようなことになるのではないかと思っております。

 

 

つまり,委託者から出ていくという,まさにその部分を信託の公示というものが引き受けているのではないかと,こういう理解。

 

 

 

 

  •  なかなかこれは,信託宣言というか,信託の本質にかかわる問題で,受託者と,それから信託財産の関係,さっきちょっと○○幹事もちらっと言われた抵当権登記ができるかという問題などとも共通する,非常に難しい部分でして……。

 

 

 

  •  ぜひ○○委員おっしゃるように,つける方向で検討していかれて,何となくシステム的にはあそこに載せるだけであって,法律の目的をちょっと変えるだけかなみたいな。

 

 

あと,公示と対抗要件というように,全部論理的に結びつけるからあれですけれども,当然の理屈ですからしようがないんでしょうけれども,重過失がない限り,結局,取引第三者は保護されてしまいますよね。

 

 

 

ですから,その重過失に対するやっぱり公示制度があることによって,だから3条の公示とは違った意味だと思うんですけれども,重過失性をより認定しやすくなるという趣旨だと思うんですけれども。

 

 

  •  1つはまさに,動産の公示というのは技術的にどうされるんでしょうという単純な質問をしたかっただけですので,それは今の議論で相当難しい問題だなというのがわかったということで結構なんですが。

 

 

もう1つ,ちょっと自分の,何を質問しようとしてたのかという記憶はやや薄れつつあるんですが,「※」の部分で,もう1点だけ,非常に技術的な質問がありまして,これ,詐害信託取消しの手続を経ることなくするところに意味があるのだという,それは非常によくわかるんですけれども,その上で,これはこの場合に,この効力がどうなるのでしょうかね。

 

 

要するに,信託宣言,そのものの効力はどうなるのか,これはあくまでも手続によることなく,取り消せるということなのか,それともそうではなくて,信託宣言あったということを,否認するという表現はよくないのかもしれませんが,要するにあくまでも委託者の固有財産であるものとみなすことはできるというような趣旨なのでしょうかということです。

 

 

これ,先ほど,不動産の場合は,少なくとも公示がされ得るわけで,そして登記原因明らかにして,信託宣言に基づいて信託の登記が行われているときに,しかしその信託宣言よりも前に委託者に対して債務名義を持っていたというものであったとしても,強制執行はかけられると,これ信託法に書くのかどこに書くのかちょっとよくわかりませんが,それができるとした上で,しかしその受益者は異議を主張できるということなんですね。

 

 

 

この受益者の異議というのはあくまでも,信託宣言が有効であるということを前提にした異議なんだろうと思うんですね。

 

 

それに対して,債権者の側は,最後ですけれども,「当該信託の設定が債権者を害することを債務者が知っていたことを証明しなければならない」,このポリシー自体はいいと思うんですけれども,これが一体何らか,信託宣言の効力自体を否定するというのであれば,詐害信託の場合と同じことなんですけれども,そうではなくて,一体,これ,どういう法律構成になっているのかという技術的なところをちょっとお聞かせいただければと思います。

 

 

 

  •  質問を正しく理解したか恐縮ですけれども,別に詐害信託の取消しも,この場合も,信託自体を取消すというよりは,信託に伴った財産の移転というものを取消すわけですから,したがって,例えばA,B,2つの財産が信託宣言によって設定されて,それで被担保債権というのが1億で,その観点からいくとAだけ戻してくれれば結構だというようなことが,例えば詐害信託のあったときには,そのAを戻せというだけでありまして,その信託自体をばつにするということではないわけでありまして。

 

 

 

それとの関連でいくと,それはその信託の設定自体を取消すというよりは,その財産に執行できると。

 

 

そのときに受益者の異議というのは有効でしたというよりは,むしろ詐害意思があったということを私は知りませんでしたということを受益者は言う。あるいは受託者は,そういう受益者がいましたということを言うということになるんだと思いますけれども。

 

 

  •  相対的なと言われると。
  •  理論的にはよくわかるんですけれども,よくわかるというか,理解はできるんですけれども,ただ,一般の,通常の理解ですと,やはり委託者の所有物であるからこそ委託者の固有債権者にとっては責任財産であるという建前が普通なのではないでしょうか。

 

 

信託宣言が有効であるとしますと,同じ当事者間で,固有財産から信託財産移るということではありますけれども,それに対して,なおその信託宣言の効力自体を維持しながら,なお責任財産だと,委託者の固有債権者にとっての責任財産だというような構成というのが,一般の考え方からして,すっと出てくるのかなという疑問がちょっとあるということですね。

 

 

 

効力否定してしまえばもう簡単なんですけれども,効力維持したままというのは,何かある種責任説みたいなもの,考えるのに近いのかなという感じがちょっとしたというだけです。はい。

 

 

  •  ちょっと私も実はこの規定と,詐害信託の関係については,もうちょっと質問も,というか自分なりの疑問もあるんですが,ちょっとこれは後でやるとして,今の○○幹事の関係で言いますと,信託宣言は一応やはり有効に設定されて,たまたまこの簡易な詐害行為取消しというんですか,この権利を行使してくる債権者との関係だけで相対的に,詐害行為と同じですけれどもね,その行使する債権者との関係だけで相対的に取消しというか,取消しという観念を入れるかどうかですね。そこで。

 

 

取消しという観念を入れて,執行できるというふうに言うか,あるいは全然取消しという観念は入れないで執行できるというふうにするか。

 

後者だと説明がつきにくいだろうと。

 

  •  現行の多くの制度から見ると。

 

  •  詐害行為からとね。これはどちらでも取消しの観念を入れてもよさそうな気もするけれども,どうなんですか。

 

  •  一括してできたところ,どう説明するかという話だろうと思いまして,それはその詐害行為取消しと同じ要件であれば責任財産にかかっていけるというのは,その前提として,この執行手続,あるいは執行債権者との関係では,その信託の効力を主張させることはできない。それは無効であるといってもかまわないような気がするんですが,という前提である。そこは間違いないわけでして。

 

 

 

ただ,いずれにしても,結論的に書くところはこの要件をクリアしていけば,執行手続に入ることができるよと。

 

 

  •  その説明の仕方として,今のような,相対的な取消しという観念を入れるということでも構わないのではないかと。ただそこまではっきりと書くかどうか,条文でね。ということですよね。

 

 

  •  そこまでは必要ないのではないかなという感じは何となくしているんですけれども。理論的には,信託の効力はないという前提なんだろうなとは思いますが。

 

 

  •  ちょっとよくはわからないんですけれども,取消しという観念入れた方がわかりやすいなというのは1つあるというのと。

 

 

  •  確かにね。

 

  •  期間制限等,先ほど同じように合わせて入れるとおっしゃっていましたけれども,もし,取消しというのを入れないで,期間制限というのはどういう期間制限なのかなというのも,ちょっと,最初お聞きしたときわかりにくかったもので,この質問を思いついたということではあるんですけれども。

 

 

  •  仮に,取消し入れないとすると,これもここで書いてあるのも簡易な何か権利行使なんでしょうけれども,その権利行使についての期間制限ということにはなるんでしょうけれどもね。

 

 

○○幹事が言われたように,結果的に説明するときに取消しというのを前提に説明するという方がわかりやすい感じはしますね。特に詐害行為取消しそのものとの比較で言ったときにはわかりやすいかもしれない。

 

 

ちょっとここら辺は,少し,もうちょっと検討させてください。

 

 

 

  •  これ,どういうふうに働くかだけちょっと教えていただきたいのですが,例えば,先ほどの債権ですと,移転がないので,対抗要件を備えるというすべは全くなくて,財産債務者に対する通知とかも関係ないということで,そこで,債権者の方が,相変わらず委託者兼受託者である人の固有の財産であるということで債権を押さえてきたときに,受益者は異議を出すわけですけれども,その内容は,通常は信託であって,もう固有財産ではないという話だと思うんですが,信託宣言によってされているというときには,その異議は何ら意味を持たないということになるんでしょうか。

 

 

 

  •  今のような話ですと,例えば固有財産の債権者が来たときに,まず執行をかけてきましたと,まずそれで受託者または受益者の方が,これは信託財産ですと,まず一言言います。

 

 

そうすると債権者の方で,その財産は信託宣言によって設定された財産で,私はその詐害意思を知っていましたよということを債権者の方に言って,今度は受託者または受益者の方で,いや,私はそんな意思はありませんでしたと言って否認するか,あるいは受益者は善意ですよと言ってやってとめるかという,そういう手続フローになるのかなというふうに思いますが。

 

 

 

  •  異議の主張というのは,およそいかなる異議,ここは信託だという異議の主張があれば認定する理解でよろしいでしょうか。

 

 

 

 

  •  はい。
  •  わかりました。すみません。
  •  では,○○関係官,どうぞ。
  •  ちょっと別の観点からの御質問でもよろしゅうございますか。
  •  はい,どうぞ。

 

 

  •  ちょっと,もしよろしければ事務局の方から教えていただきたいんですけれども。

3ページの2の2行目に,パブリック・コメントからの抜き出しのところで,「これを導入することが」,これというのは信託宣言のことですが,「を導入すれば国際潮流に沿うこと」という1節がございまして,もし事務局の方で,この国際潮流とはいかなることを指すのかということについて,もしご存じであれば御教授いただければありがたいなと思います。

 

 

もちろん,信託宣言そのものについては,大正11年の立法当時から非常に議論があって,そういう意味ではむしろ国際潮流というよりは,歴史は繰り返す的なそういう問題意識なんですけれども,私どもが考えております,所管する商事信託,特に流動化スキームの場合で,○○幹事がおっしゃったような特に自益型の場合は,ひょっとしたら世界でも相当このスキームが最先端を行くようなスキームになるかもしれないという観がありまして,私ども不勉強かもしれませんけれども,何か国際潮流として,特に自益型の流動化スキームとして信託宣言を利用する場合,何かそういったことがあるのかどうか,ちょっと御教授いただければと思います。

 

 

 

 

 

 

  •  国際潮流に沿うことというのは,これは意見書の中から,いただいた中から意見があったものを書いたものでございますが,私どもが知る限り,米国とかあるいはヨーロッパ等で,信託宣言等については特段の,例えば不動産のときは何か書面がいるとか,詐欺防止法の観点から書面がいるとかいうような規制があるかもしれませんが,欧米では一般に認められておって,それで,例えばヨーロッパ信託8原則か何か忘れましたけれども,その中にもあるのだというふう伺っております。

 

 

それで,例えば,流動化的な使い方という観点から考えますと,例えばいわゆるビジネストラストのようなものを使われるときには,実際の自分の財産を信託宣言で,信託設定して,信託証書を出すということで,言ってみれば,対象となった財産というものを,それによって資金調達をして,一種流動化と同様の機能を有しているというふうに評価はできるのではないかというふうに,そういう使われ方もあるというふうに認識しております。

 

 

 

  •  よろしいでしょうか。

これも,諸外国でどういうふうに使っているかということについては,いろいろ議論あるようでございますけれども,信託宣言一般に関して言えば,一般には認められていると。どういう場面に使うかによっては,いろいろな国によってまた違うということなんであろうと思います。

 

 

 

  •  設定の方法について,ちょっと1点,ちょっと心配な点がございまして,申し上げたいんですけれども,この御提案の内容では,要するに,委託者兼受益者が,私製文書をつくって,それでその確定日付のある通知書を出せば効力を発するという方法を取り得るということになっているんだと思うんですけれども,そうしますと,要するに,みずから私製文書をつくって,通知書を出すだけで,できてしまうという点が,ややその弊害除去という観点からすると,ちょっとお手軽にでき過ぎはしないかなという心配がちょっとありまして,これ1つは,公正証書,私署証書であれば,その信託宣言自体がきちんと公に確認されるということになると,公証人で確認されるということになると思うんですけれども,その私製の証書だけで通知ということになりますと,通知の中身で,あなたは受益者になりましたという通知だけでは,多分,信託宣言の中身まではそこには盛り込まれないことになるのではないかという気がちょっとしておりまして,そうすると,弊害除去という観点からすると,ちょっと十分かなという気がしております。

 

 

 

 

 

公正証書,私署証書であれば,そういった点は,恐らくそれはないかと思うんですけれども,私製の書面でできるという点については,若干懸念がありますので,その点,ちょっと一言申し上げさせていただきました。

 

 

 

  •  通知は,信託宣言の内容も通知することになるかと思います。

それで,お手軽にできてしまうという点については,例えば贈与契約を書面でやるというようなことであってもあるわけでございまして,必ずしもこれがお手軽かというと,一部の方から厳しいというふうに,こんなことまでしなくてはいけないのかとおっしゃる方もいる反面の中で,いろいろなことを考えて,この辺でどうかということを御提示させていただいているということ,御理解いただければと思いますけれども。

 

 

 

  •  そうすると,通知の中に,その内容を盛り込まなければならないという前提での。そすると,できればその趣旨を明確にしていただけると助かるかなという気はしていますが。

 

 

 

  •  はい,わかりました。

信託宣言は,特に皆さん御関心もあり,またいろいろ議論もあるところですので,またそれに関連して,先ほど少し信託の基本的な構造そのものについてのいろいろな議論も出てまいりました。

 

 

大きな方向としては,皆さんは信託宣言を認めていくということで,大体よろしいという感触を私,持っておりますけれども,なお細かい部分,先ほどの登記制度の対抗要件についても,なおもう少し検討してみたらというふうに思いますし,今の○○幹事の御指摘の部分も含めまして,その辺はもうちょっとリファインした形で,最終的にまとめてもらうということでよろしいですか。

 

 

 

 

 

一応,そういうふうにまとめさせていただければと思います。また,恐らくこれは,あと2回議論するチャンスは恐らくないのではないかと思いますので。

 

 

  •  いや,まだあります。
  •  これについて2回議論するチャンスあります。
  •  これについて2回は。あと1回です。

 

 

  •  ないですね。ですから,恐らく次回には,もう最終的に決まると思いますので,そういう意味で,皆さんの御意見があれば,事務局の方にお寄せいただくというのが効率的だと思いますので,お願いいたします。

 

 

  •  信託宣言のところではないんですが,意義のところでよろしいでしょうか。
  •  はい。
  •  前回の要綱試案のところと比較しまして,信託契約の効力発生時における債務の引き受けというところの記載がなくなっているんですけれども,これについては,債務の引き受けというのがなくなったのか,それとも入っているんだけれども,どこで読んだらいいのかということが1点。

 

それと,債務の引き受けができることによって,事業自体の信託ができるというようなお話であったと思うんですけれども,事業自体の信託といいますのは,私自身,別に反対しているわけでも何でもないんですけれども,それだけができるということだけで,ちょっとそこは心配だなという感じがいたしまして,例えば,整備法とかで,何らかのものは御検討される予定があるんでしょうかと。

 

 

例えばですけれども,事業が商法上の営業というところまで広まった場合

ですけれども,ではこれ営業譲渡というのと,経済的効果は全く同じだということになりますと,そうすると,総会の決議というのは要るんでしょうかということになると思います。

 

 

その場合も,自益信託であったら,実際に動いていないんだから同じではないのという考え方もあるでしょうし,他益になったところで,または譲渡があったところでそれは必要だという考え方もあると思います。

 

 

そこら辺がよくわからないのと,例えば雇用ということを考えたときに,では信託で雇用されているというのは,どういう状況を言うのか,ではだれがその雇用について責任を持つのか,そこら辺のところがよくわからないところでして,例えば,今からやりましょうと行ったときに,それをどうやっていったらいいかわからないので,現実の問題として,それなりの指針めいたものであるとか,整備的なものというのは,何か御検討されているのであれば,教えていただきたいと思います。

 

 

 

  •  債務を含むというのは,別にパブリック・コメントの結果,賛成多数というかすべて賛成ということで,その方向で維持したいということでございまして,ちょっと記述がないのは失念いたしましたということで,申しわけありませんでした。その方向は維持するということで,原案どおりということでございます。

 

 

 

それで,整備法令でどこまで整備するかというお話で,ただ,今,お伺いしたようなお話ですと,例えば,それこそ事業をだれかに信託して,対価が通常の営業譲渡ではお金であるところを,それが受益権でしたというような場合であれば,それは恐らくは,今変わってしまいましたけれども,昔で言うと,245条の決議が要るということになるのではないかと,それが素直な帰結ではないかというふうに思われます。

 

 

 

それで,自益の場合に,株主総会決議は自分でやっているんだから要らないのではないかという点につきましては,私も心の中ではそういうふうにできたらなとも思いますけれども,100%子会社をつくったりとかするときの会社分割ですとか,あるいは現物出資の形でいわゆる営業譲渡のような形で100%子会社をつくるときも,現在の商法ですと,総会の特決が要ることになっていますので,それとの並びでいくと,要るということになるのではないかなというふうに思います。

 

 

ただ,○○委員が御指摘いただいた,何か,整備を図らないと何か動かないことはないかということについては,ちょっと貴重な御指摘ですので,私どもでもう1回,ちょっと関係法令を見直した上で,必要な法制度があれば考えたいと思いますし,実際の運用の面であれば,関係各方面にその旨をちょっと議論を提起してまいりたいというふうに思います。

 

 

  •  では,そういう事業の信託ということに恐らく関連するもの。

はい,どうぞ,○○幹事。

 

  •  同じような趣旨のことですが,担保権の設定が信託の意義の中に入っておりまして,これ要綱試案と同様であって,実質的には賛成でございますが,担保権の設定を信託法上の信託として行うことができるということを明らかにし,さらに何かこの信託法の中ではもう手当てしないというようなお考えでしょうか。

 

 

  •  信託法の中で,何か手当てが必要であろうという御意見ですか。
  •  いや,特に思いつくことはないんですけれども,要綱試案のときの説明では,関連法に挙げておりましたけれども,なお,スムーズに行われるようにするためにはどうしたらいいかを検討するというふうに書かれておりましたので,その答えとしては,あるとしても,関連法にとどまるということになりますか。

 

 

  •  ほかの法律の方がね,いろいろ。
  •  信託法では,この限度で,現時点での考えでございますが,あとは不動産登記法とか民事執行法とか,そちらの関連法での整備ということになるのではないかなというふうに考えております。

 

 

  •  はい,わかりました。
  •  それでは,大変時間をとりましたけれども,ちょっと次の説明だけして,お願いします。

 

  •  本当は,一番最後に行こうかと思ったんですが,詐害信託の方に,いろいろ議論が及びましたので,第3の方,続けて御説明したいと思います。

 

パブリック・コメントの意見は試案の方向性に基本的に賛成するものでございましたので,まず,個別的な指摘を踏まえたものでございますが,受益者の善意のみを要求し,無重過失までは要しないとしたこと。民法と平仄を合わせております。

 

 

 

 

 

それから,これは書きぶりを明示したというだけで,受益権の譲り受けについては,譲り受けた当時ということを各所に明文化したこと。

 

それから,あと,提案2の譲渡請求権の行使については,やはり詐害信託取消権と同様に,訴訟上の行使を必要としたこと。

 

このような3点について,明確化を図っております。

問題は,過去の部会及びパブリック・コメントでも指摘がありましたとおり,1の(1)の(b)に関するところでございまして,詐害信託の受託者が信託債務を負担した後に,詐害信託取消権が行使されたという場合に,善意の信託債権者を保護すべきではないかという点でございます。

 

 

今回の提案では,このような善意の信託債権者の保護にも配慮することといたしまして,詐害信託取消権が行使された場合には,善意の信託債権者は,受託者が委託者に移転する財産の価額の限度で委託者の財産に請求できるとすることを提案するものでございます。

 

 

その結果,委託者の財産について,取消権を行使した委託者の債権者と信託債権者,後者は財産の限度はございますが,が競合して委託者の財産にかかっていくということになります。

 

 

このように,善意の信託債権者に対する委託者の責任を,一定の価額の限度に限ることといたしましたのは,善意の信託債権者が保護されるべきなのは詐害信託取消権の行使によって,善意の信託債権者が害される金額,すなわち受託者から委託者に移転することとなる財産の金額でございまして,委託者の責任もこの限度とすることが相当であると考えられるからでございます。

 

 

この資料では,会社法の分割の例を挙げておりますけれども,取消権が行使された局面を見ますと,比喩的に言えば,分割されて新しい会社の方に,財産が一部戻っていくという関係に似ているなという気がいたしまして,それが会社法の条文ですと,承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求することができるというふうに書いてありますので,それも参考にしまして,戻った財産の価額の限度で,信託債権者は執行していくことができるとしてはどうかと考えたものでございます。

以上でございます。

 

 

  •  それでは,10分間の休憩にさせてください。

 

(休     憩)

 

  •  それでは,再開したいと思います。

先ほどの説明,詐害信託取消権のところですが,御意見伺えればと思います。

  •  簡単なことなんですけれども,確認なんですけれども,先ほどの御説明にもありましたけれども,8ページのところの,(2)のところの上の段のところのここにおいてというところの部分の意味なんですけれども,実際には,信託財産自体が委託者に戻ったところで,補償請求権がある場合については,かかっていけると。

 

 

ということは,ほかの委託者の債権者と同じような形で,かかっていけるというような理解でよろしいのかどうかということと,もう1つは,信託の債務なんですけれども,先ほどの意義のところで,債務の引き受けも認められるということですので,当初から債務の引き受けをした分についても,やはり同様の形の整理になるのかどうか。

 

 

 

 

 

ちょっとこの2点,お聞かせいただければと思います。

  •  まず前段については,補償請求権も信託債権者と同様の取り扱いとするということでよろしいのではないかというふうに思います。

 

 

それから,当初から引き受けていた,当初から信託債権者であった人だって,当然,そういう信託財産が来るだろうなと思って,免責的債務引き受けに同意しているかもしれませんので,それが,戻ってしまうということですから,特段別異の扱いをする必要はないのではないかというふうに考えております。

 

 

  •  よろしいですか,それで。
  •  これは以前から申し上げていましたけれども,受託者がリスクを負うという部分がありますので,そこら辺のところは相殺する形で残った分だけ弁済というふうには申し上げていたんですけれども,こういう形であれば,この方向でやむを得ないのかなと。

 

 

  •  ほかにいかがでしょうか。
  •  何点か確認したいんですけれども,受益者との関連で議論しているんですが,あとABLの貸主ということで,信託債権者としての貸主ということで出てくるんですけれども,ほかにそのレンダーが信託受益権に担保を設定するということもよく行われていますので,ですから信託受益権に対して担保設定した第三者とか,あと,レンダーだけではなくて,信託財産との取引をした第三者との関係とか,いわゆる詐害行為取消権の相対効とか絶対効とかいう議論との関連で,ほかの受益者以外の第三者が登場したときの保護の関係がどうなるのだろうかというところは,ちょっと既に議論されたのかもしれませんが,私自身わからなくなってしまいまして,あと,そのときに重過失なのか軽過失なのかとかですね,権限外行為との議論とかの関連との整合性の議論も出てくるのではないのかと思いまして,その辺ちょっとお伺いできればと思います。

 

 

 

 

  •  基本的には信託財産の取引をする相手の保護の問題ですね。

 

  •  最初に,例えば信託財産にものを移転して,受託者がだれかにそれを譲渡しましたというときは,それは一般の424条と同じような取り扱いになるかと思いますので,受託者からその財産を譲り受けた人が,一種の詐害行為取消権で言うところの受益者とか転得者と言われる地位になるので,その人が,悪意であれば,相対的に委託者から受託者へのところを,その人の関係で取消すということになるのではないかというふうに思います。

 

 

信託財産の受託者のもとにあって,受益権に質権を設定したときに,その質権設定者が善意であったけれども受益者が悪意だった場合というような場合におきましては,これはたてつけをしますと,受益者が悪意だったら……。

 

 

 

  •  もうしないという立場になりますね。
  •  ということになってしまうかと思いますね。
  •  つまり絶対的になってしまうということですか。

 

 

 

 

  •  というか取引債権者は,今のような信託財産の取り戻しそのものについては,固有の利益を主張できないという考え方でできているようですね。これは。それがいいかどうかは御議論いただければと思いますけれども。

 

 

 

  •  今の設問の前者の方ですと,受益者悪意で,取引第三者が善意の場合だと,民法424条の詐害行為取消しの対象になりませんけれども,信託法における詐害信託取消しの対象になるとすると,絶対効の効果は受けてしまうんですか。

 

受益者が悪意であれば,常に信託は取消されて,信託の取消しというのは絶対的効力があるんだというたてつけなんですか。

 

 

  •  そうね。ちょっとアンバランスですかね。

いや,どうですか。専ら受益者,いわゆる信託の受益者ですね,それとの関係で決めていくという考え。今まであまり信託財産と取引関係にあった債権者とか質権者とか,そういうものについての議論はあまり今までしてこなかったような気がするので,それをどう扱うかですね。

 

 

  •  すみません,回答を誤解しまして,不動産が信託財産として設定されて,それを処分してお金にかえて受益者に分配してくれるみたいな信託で,不動産を仮に処分をしたときの譲受人が善意であったときも,一般的な詐害信託取消しがかかると。

 

 

  •  不動産の譲受人が善意であったら取消さないですね。

 

  •  それは取消さないんですよね。この信託法の詐害行為取消しの特則を使ったとしても,それは全くということですね。

 

 

  •  受託者から出てしまったら,別にこの世界の,受託者,受益者のコミュニティの信託法の詐害信託取消権で扱う話ではないので424条の方で扱って,その人が善意か悪意かということを決するということだと思います。

 

 

  •  そうですね。ただ,受益権に対する質権設定は信託設定によって移転した財産に対する抵当権設定みたいなものとは全然性質が違うという説明ですか。

 

 

すみません。回答の理解を確認しているだけなんですけれども。

 

  •  それはそうですね。

 

 

 

受益者1人でも善意であれば,そもそも取消せないわけですけれども,受益者全員悪意で受益権に質権を設定していたというふうにしたところで,それはちょっと財産自体は戻ってしまうかなと。

 

 

  •  受益権に対する,ちょっと僕もわからなくなってきたけれども,受益権に対するいろいろな取引関係にあるものと,それから信託財産に対しての取引関係にあるものと両方あるんでしょうけれども,受益権に対する取引関係にあるのは,受益権の譲受人と同じような扱いをすればよろしいのではないですか。

 

 

  •  そう言えば,そうですね。
  •  そうでしょうね。
  •  それであれば。
  •  何か,もしうまく解明する御議論があればどうぞ。

 

 

  •  ちょっと別の,大きな全体の構造を聞きたい話ですから,どうぞ。
  •  そうですか。もし今の件について,さらにもし。
  •  ○○幹事が確認したことの再確認なんですが,不動産の場合の取引の相手方が善意で,不動産を譲渡したと,信託財産の不動産の場合ですね。受益者が悪意の場合に,先ほどの御回答ですと,その場合には,詐害信託の取消しの対象にはならない,受益者悪意であっても。ただ信託は終了していないという前提ですから,対価は信託財産に入っていると思うんですけれども。

 

 

 

  •  ええ。それはだから,通常の詐害行為のときに物,例えば,受益者悪意で,転得者善意というときに,物が行ってしまいましたというときに,悪意の受益者に対して価格賠償請求ができますねという意味で,信託財産に対して価格賠償請求するという話はあると思いますけれども。

 

 

  •  最後の,だから信託財産がさらに出ていったときの,転得者とか,それが善意であればそれは取り戻せないと,そこは424条と。

 

 

  •  詐害信託には該当するけれども,取り戻せないというのと,詐害信託にも該当しないというのと。

 

 

  •  そこの言い方ですけれども,悪意の受益者に対しては,詐害信託としての権利が行使できると。だから出ていったものが,取得者が善意であれば,そこからは取り戻せない。そういう意味では424条と基本的には同じ構想ですね。

 

 

  •  なるほど。はい。
  •  これも何か議論すると,なかなかわかりにくいところがあって。今までも案は出てきたんでしょうけれども,そんなに集中的に議論がなかったものですから,今のような細かい問題についてちょっと見落としなんかがあるかもしれませんので,もし御議論があれば。

○○委員,どうぞ。

 

 

  •  細かくなくて,むしろ全体像をまず確認したいと思います。

424条のではなくて,この詐害信託について,まず被告がだれになるのかということ。それから,何を取消すのかということ。それから,効果としてさっきも出てきたんですが,信託の終了が生じるのか生じないのかという,まずその基本的なイメージを共有したいと思うんですが。

 

 

 

  •  まず1として,被告は,財産が受託者のもとにあれば,受託者が被告になると。もしそれが受益者に給付されていれば,受益者にいきますけれども。詐害信託取消訴訟の対象になった財産が受託者のもとにある限りにおいて,被告は受託者になる。受託者は,それで,受益者は善意でありますよということを証明しないといけないと。しない限りは取り戻されてしまうということになるかなというふうに思います。

 

 

  •  それから終了するかどうか。
  •  その場合,財産が戻ってくるときに,例えば,一部戻っただけで,まだこれでも当初の信託目的は達成されるよということであれば,別に信託は終了しないということだと思います。

 

 

そのかわり,ほとんど全部取られてしまって,これではこの目的を達成しようがないよねということであると,終了のところの,信託の目的達成あたわざるときというところの要件にかかって,そこで終了するという整理になるかなというふうに思いますけれども。

 

 

 

  •  2番目にお聞きした,何を取消すのかというのはどうでしょうか。
  •  財産の処分を取消す。

 

 

  •  それでは被告についてなんですが,委託者も債務を負担するという場面があるわけですよね。その場合には委託者は,別の訴訟で被告になるというイメージですか。

 

 

  •   すみません。今1の(b)の関係ででございますか。
  •  ええ。
  •  それは違う訴訟でという話になります。
  •  ○○幹事。

 

 

  •  先ほど取消し対象は,何か財産の処分を取消すと。例えば,○○幹事が出された例かもしれませんが,不動産が信託財産として信託が設定されて,その不動産を受託者が売って,金銭にかえていて,現在金銭が信託財産になっているというときには,これは取消せないんですか。

 

 

 

  •  先ほどの○○委員の質問にお答えした類例だと思うのですけれども,その場合に,仮に受益者が悪意で,あるいは全員悪意で,もちろん受益者が1人でも善意あればそもそも取消せないわけなんですけれども,受益者が全員悪意で,受託者から売った財産,不動産を譲り受けた人が善意でありますというときにはその譲り受けた人に対しては取消権は行使できないと。

 

 

それで,受託者に対しては,そこにある金銭を価格賠償という形で,取り戻せると。通常の詐害行為取消権のときに,債務者が受益者に渡して,受益者が転得者に譲渡しましたというときに,受益者は悪意ですけれども,もう譲渡してしまいましたと。

 

 

転得者は善意ですというときに,転得者から取り戻せませんねというときには,その受益者,悪意の受益者は価格賠償責任を負うというのと同じ取り扱いをするということを先ほど答えたということですね。

 

 

  •  そこへ善意とか同じなんですかね。今の場合,受益者が悪意なので,財産が処分されていなければもちろん受託者から取り戻せるけれども,処分されていて,受益者全員悪意だけれども,取得者が善意であって,かわりに金銭が入っているという例でしたか。○○幹事のは。売却したので。

 

 

 

 

  •  はい。
  •  ですからその場合には,もとの信託財産そのものは取り戻せないけれども,価格賠償,価格の返還というのができると。受託者から。

 

 

  •  それは受託者が悪意であることが要件になるわけですよね。
  •  受託者は問題にしていなくて。
  •  いや,受託者は問題にしていなくて,ここは受益者が全員悪意であればということで。受益者が1人でも善意であれば,そもそも取消せない。

 

 

  •  いや,それはそうなんですけれども,どうして財産の処分を取消すということにこだわる必要があるのかがよくわからないんですが,信託の設定行為を取消すということにはならないんですか。

 

 

  •  その設定行為を取消すという意味は,取消しされたら信託をただちに終了してしまえということですか。

 

 

  •  全部になってしまうからということですか。なるほど。
  •  ええ。そういうわけではないと。
  •  はい。

 

  •  ただ,それは同じなんではない。信託設定が取消されていても,相対的にと言いますか。

 

  •  一部しか取消しのない,目的物の一部しか戻らないときは信託は残りの財産にそのまま継続されますので,信託自体は取消すのではなくて,その財産の処分を取消すという構成にしているわけですから。

 

 

  •  でも財産が仮に1つの場合であったら。
  •  それはそれで目的不達成で信託終了という。

 

 

  •  不達成で終了になるけれども,取消しによって信託が終了してしまうわけではなくて。

 

 

  •  信託は取消しとは考えていないです。
  •  考えていないのね。だからそこは同じなんですよね。

だから,それは,普通の,信託という形ちょっと複雑だけど,普通の424条の譲渡とか譲与された場合と同じに考えればいいのではないんですか。

 

 

  •  中身が424条と同じではないかと,取消しの対象は同じ話になるのではないかと思うんですけれども,それをどう説明するかというときに,424条も法律行為の取消しを裁判所に請求するというときに,あまり厳密に考えていないのかもしれませんが,売買契約によって移転したときに,財産権移転行為を取消すというよりは,売買契約を取消すというふうに考えて,ただ一部取消しなので,残るというような説明をしているのではないかと思うんですが,この場合に,わざわざ,信託契約を取消すのではなくて,処分行為を取消すというと,何か物権移転行為の独立性を認めるのかとか,そういう議論になるのではないかというので,法律関係がどうなるかの説明としてはそういう趣旨ですという説明の方が,424条との関係でもあつれきがないような気がするんですけれども。

 

 

 

  •  私の説明が悪かったかもしれませんけれども,取消された財産についての信託関係はなくなるわけですから,その点については,○○幹事にも御指摘されたとおりの説明の方がよかったかもしれませんけれども。

 

 

  •  用語法だけの問題かと思いますけれども。
  •  今のと関係するかどうかあれなんですけれども,そうすると,例えば先ほどの事例で,受託者が不動産を例えば処分しましたと。代金が入ってきましたといった場合に,その入ってきた代金というのは,信託財産として観念されることになるんでしょうか。

 

 

  •  ええ,14条の規定が働きますから,信託財産以外の何物でもないですね。
  •  わかりました。はい。
  •  ○○委員,どうぞ。

 

 

  •  ノンリコースローンのレンダーが委託者に対して請求権を持つというような規定でここ書いてありますが,先ほどの取引した第三者ですね,物権的な処分行為だけではなくて,お金を貸すというような行為も含むというように第三者を考えると,なおかつ,ここでの説例としては,ノンリコースローンのレンダーですから,委託者の資力よりも,信託財産に対する資産の価値に対してお金を貸しているわけですから,ですから,その場合に,詐害信託が取消されたとしても,あくまで信託財産に対しての何らかの物上保証的な観念をした方が,ある意味では,レンダー保護に資することになって,今の提案ですと,それほどもともと資力のない委託者,または詐害信託をするほどの委託者ですから,あまり意味がないし,なおかつ第三者保護のさっきの議論ともちょっと必ずしも整合しないのかなと思ったことが1つ質問の点なんですが。

 

 

あと,ちょっと違うポイントなんですけれども,破産法改正のときに,適正価格売買の否認の議論がいろいろあって,一定の着地点を見つけたと思うんですけれども,そのときに,民法の詐害行為も変わるや否やみたいな議論がよく座談会何かでされていて,きっと解釈論的には変わっていくのではないですかみたいな議論があったと思うんですけれども,その場合,信託実体法の中で,詐害信託を規定するというときに,仮に取引第三者が悪意であったとしても,適正価格を払って受益権を取得,信託に入れるとかですね,または信託受益権を取得する場合に,適正価格を払っているような場合に対しては,民法と同じ規律するのか,民法を1歩踏み出した破産法の実体法と同じ規律するのか,その辺の議論はせっかく破産法であれだけ議論したんだから,それだったら破産法に,どちらかというと,寄せた方がいいのかなと思っての質問なんですが,いかがでしょうか。

 

 

 

 

  •  1つ目の物上保証みたいな話も,ちょっと内々には私ども考えたことは考えたのですけれども,ここは,いわば委託者の債権者と信託債権者とのバランスをどうとるかというような中で,どちらに寄せすぎても,利害調整としていかがなものかという中で,御提示をさせていただいている案だということを御理解というか,御議論いただくというか,いただければなというふうに思いまして,通常であれば,財産が委託者のもとに戻って終わりなんですけれども,そこについて一定の程度,執行が可能になったという意味において,信託債権者もある程度保護はしているというふうに考えられないかということでありまして,逆にそこで信託債権者が全部取ってしまうというふうにしますと,今度は委託者の債権者はどうなるのかという話にもなってまいりますので,そのバランスを考えた上で,一応,御提案させていただいているということを,ちょっと御理解いただければと思います。

 

 

 

 

  •  バランスですからあれです。でも,買った人は保護されるけれども,ほぼ同じように,買うお金を貸した人で,なおかつその方保護されないみたいな,善意の第三者まで,善意の貸主と善意の買主を前提としたときに,何か貸主がやや不利,ややというか,圧倒的不利に扱われているような。信託財産を買った人は先ほどの議論だと,保護されますよね。

 

 

善意ですから。信託財産だけを手当てにノンリコースローン出したレンダーは,ある一定の範囲では保護されますけれども,信託財産に対しての物上保証的なものはなくなってしまって,保護されないという意味でのバランスもちょっと欠いているのかなと思うんですけれども。

 

 

 

  •  その場合も,ちょっと理屈としてどうかという話もあるかもしれませんが,一応,貸し出しをしたときにあって,受託者,現金幾ら,債務幾らと書いて,現金が何か,資産に化けているんだとすると,貸したというのは,別に,単にお金を贈与したとかいうわけではなくて,貸したお金というのは何らかの資産に化けているわけですから,通常受託者がうまくやっている限りにおいては,相応の担保は,相応の財産は受託者のもとに残っているはずであるというふうに考えますと,単に受託者から買った人と比べてバランスを失しているとまで言い切れるかどうかというのは,ちょっとあれなんですけれども。

 

 

 

 

  •  物は買えるけれども,お金は残っているはずであるという。
  •  残って,何かほかのものに化けているはずであると。複式簿記を前提とする限り。現金,債務で,現金が出て,左側に何か立っているはずですから,という。

 

 

 

  •  ABLのスキームで,お金は委託者にもどってしまいますが,信託財産だけが残る形なので。

 

 

  •  というのは,信託財産にお金を貸した債権者の方は,財産が取消されて委託者に戻るけれども,それ以外に,なお信託財産のところに少しお金が,要するに,お金,別の形で残っていればそれは行かない場合があるわけですよね。

 

 

  •  はい。
  •  それが残っているであろうと,そういうことなんですね。
  •  ABLのスキームを前提とすると,お金は,委託者はそのために信託財産を信託設定したので,お金は信託の一部解約とかいう形で現物交付にかえて委託者のもとに戻っていますから,できあがりの姿というのは,一部受益権が,理想的な受益権が委託者は持っていて,信託財産としては信託財産そのもの,不動産とか債権ですね,それに対してノンリコースのレンダーがいるという,こういうたてつけなものですから。

 

 

だから,今の状況にはならないんですけれども。

 

 

 

  •  基本的には,やっぱり○○委員,あるいは○○関係官も説明されたと思いますけれども,この取消しを認めるニーズ,それは当然取消して委託者が債権者がそれにかかっていく利益と,それから貸し付けをして,特に信託なので,実質上,あたかもそれを担保に貸しているような,実際に担保権を設定するのはまた別なんだと思いますけれども,そういう債権者の保護を何か調整できないかということですよね。

 

 

 

もし,取消しを一切認めなられないということになると,委託者の方の債権者の方は0だということになるし,その取り戻しを認めておいて競合させるような形にすれば利害調整ができないだろうかというのが,恐らくこの原案なんだと思いますけれども。

 

 

 

  •  そうすると,適正価格,その対価は何らかの形で委託者のもとへ入っていると,取消す必要はないのではないかという2番目の質問とも絡んでくると思うんですけれども。

 

 

  •  なるほど。これは難しいね。

ちょっとあまり戦線を広げてもよくないかもしれないけれども,僕が言いたかったのは,普通の詐害行為取消しの場合にも同じような問題は生じ得ますよね。ただ,お金を貸したような利害関係人が出てきたときに,転得者としては保護されないということになれば。

 

 

  •  それだと困窮している企業に対してお金を貸したりすると。
  •  もっと保護しようという議論ですね。
  •  という議論ですね。処分した場合とかですね。

 

 

  •  確かにそういう問題もあるようには思いますけれども,一応,ある程度の利害関係の調整を図るという考え方からできておりまして,今の○○委員のような意見も踏まえながら,また検討してもらうということにしますけれども,とりあえず,原案を基本にさせていただければと思います。

はい。○○委員。

 

 

  •  細かい点ですが,1の(1)の(a)の,「受益権を譲り受けた当時」というのが入っておりますけれども,この解説を拝見しますと,いわゆる自益信託で受益権が譲渡された例を考えているように読めまして,それだったら理解できるんですが,この文言だけ読みますと,他益信託で,悪意の受益者が善意者に譲渡するという場合も入るかのように読めまして,そうすると,不適切な場合が出てくるかなという気もしますので,そこは区別した方がいいのではないかなと思うんですが。

 

 

 

 

  •  いや,それは悪意の受益者から善意の受益者に対して譲渡した結果,1人でも善意の人が出てくれば取消せないと。

 

 

  •  そういうことなんですか。

 

  •  ただ,悪意の受益者に対しては,価格賠償等ができるという,悪意の受益者に対する受益権の譲渡請求ができることの裏返しとして,通常の詐害行為取消権で,悪意の人が善意の人に渡してしまったからもうだめだよということはさせないぞということは,悪意の受益者に対して,価格賠償,譲渡してしまった受益者に対して価格賠償していくということになるのかなと思いますけれども。

 

 

  •  僕もちょっとはっきりしなかったんだけれども,僕も今○○関係官のように理解していて,詐害行為取消しの一般の場合と同じように,転得者を善意の場合に保護するというのを同じようにここで当てはめて考えると,受益権を譲り受けた人間が善意であった場合には,それは,保護されると,そういうことですね。

 

 

 

  •  それだったら理解できます。

もし1人でも善意者がいる場合に取消せないという効果が出てくるんだとすると,どうかなと思ったんですが,転得者とパラレルに考えて価格賠償ということであれば,それで理解できます。

 

 

 

 

  •  この詐害行為取り消しも,細かいこと考えると恐らく,まだまだ問題が出てくるのかもしれませんけれども,一通りよろしいでしょうか。御議論いただいたこと。

 

 

また後で気がついたような点がありましたら,これも先ほど言いましたように,もう時間的にあまり余裕がありませんので,御意見があれば,積極的に事務局の方におっしゃっていただくようにお願いしたいと思います。

それでは,次行きましょう。

 

 

 

 

  •  では,次は,いわゆる後継ぎ遺贈の受益者連続という問題について,御議論をいただければと思います。

 

これにつきましては,その有効性を認めて,多様な相続ニーズにこたえるためにその導入に賛成しながらも,期間的に一定の制限が必要であるという意見が多数寄せられましたけれども,他方,我が国の相続制度との調整や,遺留分制度との関係の調整がついていない現段階での導入は時期尚早であるというような反対意見も少なからず存在したところでございます。

 

 

そこで,この資料中に記載しましたような反対意見の内容も踏まえまして,このような信託の有効性については,どのように考えるべきか,仮に有効性を認めるとした場合でも,信託法において,いかなる規律が必要,あるいは可能なのかにつきまして,御審議をいただければと思います。

以上でございます。

 

 

 

 

  •  どういう規律が可能なのかということについても,ここではまだ土台となるような原案というのは出ていないわけでございまして,むしろ皆様の御意見の中から,可能であれば,こういう規律が可能,考えられるということがあれば,御提案をいただきたいという趣旨でございます。

いかがでしょうか。どうぞ,○○委員。

 

 

 

  •  弁護士会としても,この点は昨日議論しまして,○○の見解としてはパブ・コメでもそのようになりましたけれども,賛成であるということです。

 

やはり,この反対論は2点,民法の相続秩序云々という議論ですけれども,遺留分については,これは計算の問題なので,遺留分を否定するという提案ではないと思うので,計算の問題なので,それは信託受益権が金額的に計算できるという前提だと思いますから,ということは当然だと思いますので,特に問題ないと思いますし。

 

 

前者の方が,相続秩序云々ですけれども,相続秩序というのは,ここで何か大上段な議論してもしようがないんですが,所有権の議論から出てきている節もかなり強いのではないのかと思いますし,あと,何か戦前を引きずるみたいな議論も多少あるかもしれませんけれども,いい面をとらえますと,ここの場でもいろいろ議論したように,やはり障害児のいる親御さんの議論とかですね,または昨今の中小企業の事業承継の議論とか,いい面も多々あります。

 

 

ですから,相続秩序云々というニーズに,今現在の相続秩序云々というのがあるとしたら,それが多少,今日的な社会から見るとちょっと不都合になっている点もあるのではないのかと,こんな大上段に議論してもしようがないんですが,と思います。

 

 

 

あと,反論もあるかもしれませんけれども,現状でも,財団つくるとか,または公益信託を設定するとか,類似のように,自分が死んだ後も,自分の財産が何らかの目的のために使われる制度というのはあると思うので,とにかく,所有権の絶対性から来た議論という面に,やはり相続秩序の面で強いのではないのか。

 

 

 

要するに信託自体は所有権の制度を指定したわけではなくて,受託者が所有権を持つわけですからできるわけでして,この今御提案されている,後継ぎ遺贈型の受益者連続信託が持つ,今後の社会をにらんで,非常にいい面というものをやはり看過してしまうと,せっかく信託をつくっても特に,今後の社会において,十分機能しないことになってしまいますので,ぜひ導入するという方向で検討していただければと思います。

 

 

すみれ

「信託自体は所有権の制度を指定したわけではない、か。」

 

 

 

  •  私も個人的にはできれば規定というか,認められるといいと思っているんですが,ただ,ここにもありましたように,期間についての議論というのがございまして,一体先の先の先まで決めるような連続受益者と言いますか,そういうのが可能なのかとかですね,どこかで期間制限をしたらいいのではないかという議論が他方であって,そうなると,それに正直に対応しようとすると,それはなかなか期間制限の設け方というのが,どうしたらいいか悩ましいところなんですけれども,もしそれについて,もし御意見があれば,○○委員の方は。

 

 

 

  •  ○○としましては,パブリック・コメントの中で意見を,たしか一定の期間に限るべきだみたいなもの出ていたと思うんですけれども,ロジックとして,どの期間が一定の期間なのかという,理屈では説明しがたいところもあると思うので,その辺は信託の変更とか,違ったところで,別にこの形の信託ではなくても,非常に長い信託を設定したときに,それが社会のニーズとか,状況と合わなくなってきたときに,信託の変更で対応するというたてつけだったと思いますから。

 

 

 

  •  財団法人なんかですと,一応,そういうことでよさそうなんですが,またそれから信託の場合でも,ある種の集団信託,年金信託とか,そういうものについては,あまり期間ということを心配しなくてよさそうなんですけれども,個人が受益者になって,自分の子の子という,抽象的に受益者を指定しようと思えば,自分の子孫を抽象的にどんどんつけ加えていくこともできたりして,そういうのが,それでも構わないと割り切ってしまえばいいんですけれども,反対も恐らくあるのではないかと思いまして,それに対する,何か,うまい対応があればいいのではないかという感じなんですね。

 

 

 

  •  はっきり覚えていないんですけれども,たしか弁護士会の議論では,要するにあると想定できる自分の子供,孫,今の時代であれば長生きしますからひ孫とかですね,それの大体平均余命ぐらいのところまでをとらえる,ひ孫までいくか孫までいくかわかりませんけれども,というような議論があったかと思うんですけれども,どちらにしても理屈ではなくて,切らなくてはいけないところはあると思うんですが,少なくても1次相続人だけではなくて,2次相続人まではカバーする期間,またはその世代間で切るというものありますけれども,そうすると,ひ孫以降までの期間なのか,世代をとらえるのかというところの議論かなという,そんな議論が弁護士会ではしました。
  •  世代で切るというのも1つかもしれませんね

 

 

 

 

○○委員は,何か。

  •  いろいろ心配性なものですから,どんなケースがあるかということを考えているんですが,先ほど○○委員の挙げられた,利用方法として,障害児の場合と中小企業の事業承継の場合を挙げられたんですが,両者,ちょっとニーズが違うのではないかなという気がします。

 

 

生活保障というのはかなり必要性があると思うんですが,家業維持の方につきましては,半面で,世襲財産をつくり出す弊害であるとか,あるいは他の方法によってそれを実現することができる。

 

 

それから,期間の制限という意味でも,生活保障であればある程度は限定できるんですが,家業維持ですと,当然には出てこなくて,非常に永続的になってしまう。そうしますと,どうもここで考えるとしても,生活保障の方を中心に考えていく方がいいのではないかなという気がします。

 

 

 

 

とりわけ委託者が自分の死んだ後,第1次受益者の遺産やあるいは生活を事実上拘束すると。あるいはさらにその後の世代を死んだ方が長い間拘束してくというのは,どうも何か適当ではないのではないかなという気がいたします。

 

 

そうしますと,仮に第1次受益者の生活保障を主眼といたしますと,例えば世代で区切るということがあり得るのではないかなという気がします。それは期間で区切りますと,どうもその信託目的がかえって実現しにくくなるのではないかなという気がします。

 

 

それからさらに外国法では,第1次,これは受遺者ですが,第1次受遺者の資格,あるいは第2次受遺者の資格というような角度から限定している法制もありますので,そういった,だれが受益者になり得るのかという面からの限定も考えうると思います。

 

 

 

それから,もう1つ,信託設定行為自体は,本来自由であるべきなのですが,あまり複雑にしますと,委託者の死後の,さっき申し上げた人々の生活や財産を非常にコントロールするということになる,そういう弊害もありますので,できれば認めるにしても,シンプルなものにした方がいいのではないかなというふうに思います。

 

 

 

 

  •  今の,ちょっと僕も誤解したかもしれませんけれども,どこかで切るというときには,第2ぐらいまで認めるということなんでしょうか。

 

 

  •  第1を自益だとしますと,第2ということで,つまりは,委託者の死んだ後の1世代というのが,1つの目安かなというふうに思います。

 

  •  ほかに何か御意見ございますか。

では先に○○委員,どうぞ。

 

 

  •  制限というのはあまり議論したことがないので,どれが適当なのかというのはよくわからないんですけれども,実務上のニーズということだけで申し上げますと,先ほど○○委員がおっしゃったような感じでありまして,基本的には目に見える範囲内のものに対して2次,3次ぐらいの承継をさせたいということと,あとは遺留分を侵してまでというようなことは考えていないと,そういう形でのニーズで,それで,最終的にやはり何年というのもどうかと思いますので,世代として2世代というか,3世代というのか,そこら辺のところが最終的なところの,落としどころということではないかなと。実務的な観点からしたら,そういう感じがいたします。

 

 

生活の保護の問題だけではなくて,やはり事業承継というのも昨今結構そういうニーズがございますので,そういうことも視野に入れていただければなというふうに思います。

 

 

 

 

  •  信託一般からすると,まだ未存在の受益者というのを受益者にすることで切るんですけれども,1つの考え方としては,何世代というのもちょっとなかなか区切りにくいので,このタイプの信託に関しては,未存在の受益者はだめだけれども,現存する受益者であれば何世代でも構わないというようなやり方で切るというのも客観的に切れるかもしれない。

 

 

 

  •  私もそれ考えたんですが,最終的に公益に使ってほしいという場合もあると思うんですね。そうしますと,あるいは胎児でも構わないだろうと思います。

ですから,信託行為時に確定できるというようなあたりで切れるんではないかなというふうに思いました。

 

 

  •  ○○幹事,どうぞ。
  •  ○○委員がおっしゃってしまったので,同じなんですが,やっぱり民法の遺言について965条で重用される886条を基準にして,胎児まで認めるという以外に,やっぱり切りようがないような気がするんですね。そして,そういうふうに最初の設定者から特別に相続なら,相続そのものではないわけですが,相続類似の形で,胎児も含めて指定されている,つまりここで言えば,妻というのには生きている間の受益権というものがその時点で相続類似の形で発生していて,長男にはその死亡後にその受益を受けるという権利が,その時点で相続として発生していると,相続類似の形で発生しているというふうに考えないと,遺留分というのはやっぱり計算は,計算の問題だというのはそのとおりなんですが,計算できないんだと思うんです。

 

 

 

 

なぜならば,仮にその妻に行ってしまって,そして,妻のまた財産の中から,当該受益権が長男に行くときの遺留分の算定ということになりますと,ではその遺留分の侵害というのはどの時点で起きるのかという問題が起こってくると思うんですね。

 

 

 

そうではなくて,やっぱり最初の遺言なら,遺言代用的な話だと,その段階で,設定者が直接に長男に対して,ある一定の期間の受益権を与えたと,それを遺留分算定の基礎として計算していかなければならないと思いますので,民法886条の基準でいくほかはないのではないかというふうに気がしておりますけれども。

 

 

すみれ

「ほんとに計算はどうするんだろ。遺言代用信託は遺言みたいな話になってるけど、少しちがうような。遺言「代用」とか呼ぶからそういう考えになるんだろね。」

 

 

 

 

  •  ここまでの範囲まで,連続受益者を設けることができるかという問題と,それは今の○○委員,あるいは○○幹事,私も基本的に現存する,胎児も入れて現存するということでいいと思うんですけれども,次の問題は,今○○幹事が言われた遺留分減殺請求権というんですか,遺留分侵害をどこの時点で判断するかで,今の○○幹事の,すべて最初の段階でもって,すべてについて判断すると。

 

しかし,そのときにも,だれの相続に,つまり最初の受益者といいますか,今委託者です,か,委託者に相続があったというふうに擬制して,生前でやる場合もありますけれども,それで,例えば第2受益者が,最初は自分だとして,第2受益者が妻だとすると,妻の後に子供がいて,その子供にいく受益権が遺留分の侵害になるかどうかを判断するときに,父親の相続について判断するのではなくて,妻の相続について仮定して判断するんですか。そのときの財産を計算して。

 

 

 

 

  •  いや,だから,それは無理なんだと思うんですよ。だから最初の父親の相続のときに判断して,妻には生きている間の受益権が相続されていると,相続ではないんですが,譲渡されているということを遺留分侵害の基礎として計算をしていくというほかはなくて,その時点で,相続の法理を妻から長男への移転において考えるのではなくて,最初の委託者が当該長男に対して,妻が死亡した後の受益権というものを遺言なら遺言によって与えているというふうに計算せざるを得ないのではないかと思うんですが。

ポリー

「相続ではなくて譲渡なんですね。」

 

 

 

  •  それなら可能ですね。

では,これもまだちょっと詰めなくてはいけない問題がございますので,今のような御意見を参考にしながら,ちょっと最終的にどうなるかはなかなかまだちょっと予測できないところありますけれども。

 

 

  •  1つだけよろしいですか。
  •  どうぞ。
  •  今のは,そもそも認めるか認めないかという話で,仮に認めたとして,その後の規律は,一般の信託とすべて同じという理解でよろしいのでしょうか。例えば信託の変更や終了などのあたりというのはどうなるかというのも,一たん認めると,考えないといけない問題,それなりにあるのではないかなという指摘だけで。

 

 

 

  •  まだそこまでなかなか行き着かない,前段階でとどまっていますけれども,基本的には大体同じでいいんだと思いますが,変更だとか幾つかの問題があるかもしれませんね。

 

 

どうもありがとうございました。では,さらに検討させてください。

次,ではいきましょうか。

 

 

  •  では次は,また少し中間の,受益者複数の問題について,やらせていただければと思いますので,第45からでございます。

 

まず,受益者が多数に上る信託について,第45でございますが,信託法の定めにより,単独受益者権を制限することも,一定の範囲で可能とすべきであるとの意見が多数を占めております。

 

 

 

 

確かに受益者が多数に上る信託ですと,濫用的な権利行使によって,信託事務処理の円滑性が害されまして,他の受益者の利益が害される可能性が受益者少数の信託に比べて高いと考えられます。

 

 

そうしますと,単独受益者権の重要性に十分配慮しつつも,なお一定の権利については,株主における権利行使のように,集団的な処理を可能とすることにも合理性が認められると思われます。

 

 

 

 

 

ここで問題は,受益者が多数に上る信託を,受益者の数はナンセンスだと思いますので,数以外のどのような基準で類型化するかでございますが,この点につき,今回の提案では,受益権につき,有価証券を発行するとの定めのある信託をもって,この類型に当てはまるとしてはどうかと考えております。

 

 

その理由でございますが,受益者が,有価証券化されていれば多数に上ることが一般に多いことですとか,受益権が転々流通することによりまして,受益者間の関係が希薄になって濫用的な権利行使や意見対立の可能性も類型的に高いと思われることですとか,あるいは受益権の内容を割合的にとらえることが可能であるので,株主と同様の制限を認めることが容易であるということなどが考えられます。

 

 

 

あと,どのような単独受益者権について,信託行為による制限を設けるべきかにつきましては,その信託への影響の重大性ですとか,受益者間の意見対立の可能性などを考慮しまして,会社法などの規定も参考にいたしまして,31ページの(注2)と,それから33ページに記載しましたとおり,5つの権利,裁判所に対する検査役選任請求権と,受託者の違法行為の差止請求権,帳簿等の閲覧等請求権,以上は会社法にも規定がございます。それから裁判所に対する信託の変更,または終了請求権,これはその重大性にかんがみましてということでございますし,権限違反行為の取消権につきましては,意見対立の可能性があるということで,これらの権利につきまして,それぞれ33ページに記載したような制限を設けてはどうかと考えております。

 

 

 

あとは(注3)のとおり,受益者が訴訟を提起して勝訴したというときには,信託財産に求償をするような規定を設けていきたいと,会社法にも類似の規定があったかと存じますが,そのような規定を整備したいと考えております。

 

 

次に,第46の受益権取得請求権の問題でございますが,パブリック・コメントでは,受益者保護の観点から,取得請求権に関する規定を設けることには賛成意見が多数を占めましたが,これを強行規定とするかについては賛否が分かれましたものの,賛成意見の方が優位を占めております。

 

 

 

まず,強行規定として受益権取得請求権を導入すべきかという点につきましては,あらゆる信託の変更についてではなくて,受益者の利害に重大な影響を与える可能性のある内容の信託の変更などがされる場合に限定して,受益者が合理的な対価を得て当該信託から離脱する機会を,強行規定として認めることが,受益者の保護の観点からやはり相当ではないかと考えるものでございます。

 

 

そこでさらに問題となりますのは,このように強行規定として取得請求権を認めるべき信託の変更等の範囲でございますが,この点につきましては,受益者の利害に重大な影響を与える可能性のある事項との観点から,提案1のとおり,まず新しい資料の(1)の①から④までの信託の変更と,それから,信託の併合及び分割に限った上で,さらにその信託の受益者間の権衡に変更を及ぼすものにつきましては,信託行為の定めをもって,取得請求権の対象から外すことができる上に,損害を受ける恐れがある受益者に限って取得請求ができるとすること。それから信託の併合及び分割につきましては,損害を受ける恐れのある受益者に限って,取得請求権ができるとすることとの限定をしているところでございまして,その理由は資料中に記載しているとおりでございます。

 

 

 

それから,取得請求権を行使できる主体の限定という観点からは,さらに提案2のとおり,問題となる変更等に賛成した受益者に限り除かれるものとしております。

 

変更等につきましては,典型的には第三者に意思決定権が付与されている場合のように,受益者が常に信託の変更等に関与ができる仕組みとはなっておりませんので,反対した受益者のみに限ることが相当ではないからでございます。

 

 

なお,ここで賛成と言いますのは,あくまでも積極的に賛成の意思を表明した受益者のことを考えておりまして,たとえば信託行為の定めによって,いわゆるみなし賛成の制度を設けることも可能と考えておりますが,そこで賛成とみなされた受益者については,取得請求権は失わないものと考えております。

 

 

それから,提案3の関係では,(1)の②において,中止条件を定めるか否かは,任意的なものであるということを付言させていただきます。

 

 

その他,受益権の取得価格を公正な価格とすることの意義ですとか,取得原資を原則として信託財産とすることなどにつきましては,資料中に記載したとおりでございますので,そちらに譲らせていただきます。

 

 

最後に第47の受益者が複数の場合の意思決定についてというところでございますが,この点につきましては,パブリック・コメントを踏まえまして,次の2点につきまして,検討,改善をした以外は試案を維持しております。

 

 

まず,受益者集会に関する規律を任意規定としている点につきましては,定足数や決議要件など一定の事項については,強行規定とすべきであるとの意見がございました。

 

 

しかし,信託行為の定めによりまして,そもそも第三者に対して意思決定の権限を付与することも可能としていることに照らしますと,受益者集会について強行規定を導入する意義は疑問でございまして,定足数や決議要件についても,任意規定とした上で,受益者の保護は先ほど申しました一定の事項について,受益権取得請求権を強行規定として付与することをもって,解決することが相当と考えるものでございます。

 

 

 

次に,議決権の数の算定方法につきましてでございますが,これは2の(2)のアのところに関係いたしますけれども,試案では,信託行為の解釈に基づく受益権の個数によるとしていたわけでございますが,その後の審議の経過ですとか,パブリック・コメントの意見を踏まえまして,このアのとおりに改めております。

 

 

すなわち,信託行為の定めによりまして,さまざまな内容の受益権を創設できるという信託の特性ですとか,信託を設定した委託者の合理的な意思,受益者間の実質的な衡平,私的自治の尊重ですとか,信託に関する特別法の定めなどにかんがみまして,まず,受益権が口数,元本持分など,均等の割合を単位として数量化されている場合には,その単位の数量に応じて議決権を有するものとしまして,そうでない場合には,受益権の価格によるものといたしますが,ただ,信託行為の定めで,例えば各受益者がそれぞれ1個の議決権を有するとの定めがあれば,それが一番上に繰り上がるというような規律にすることを提案しているものでございます。

 

 

 

その他は,資料中に記載したとおりでございますので,そちらを御参照いただければと思います。

以上でございます。

 

 

  •  それでは,今の3つの問題につきまして,御意見伺えればと思います。いかがでしょうか。

 

 

  •  多数受益者の意思決定方法等につきましては,従来から,特に受益権取得請求権の強行法規化について疑問を投げかけていたわけですが,その観点から,ちょっと第46を中心に,ちょっと意見とそれから確認をしたいと思います。

 

 

今回のパブリック・コメントを受けての御提案というのは,一応,完全化しておりませんので,そういう意味で,完全に私どもの意見とはとってはいないわけですが,ただ,実際の中身を見ますと,特に,④のところで,これは特に定義がよくわからないということで,さらにちょっと問題視をしていたところですが,一定の解説等も含めての中身の明確化と,それから信託行為に定めのあるときはこの限りではないということで,一定の任意法規化が図られているのではないかというふうに思っておるわけで,そこの点については,御配慮をいただいているなというふうに認識でございます。

 

 

そこで,完全にちょっとこれについてどうかということは,また別途ちょっと発言するかもしれませんが,その前に,特に銀行界にとって,関心があるセキュリティ・トラストについて,このシンジケーションとの兼ね合いで,この受益権取得請求権がどういうインパクトを持つのかという観点で,ちょっと2点御確認したいと思っています。

 

 

 

1つは,先ほどの④の意味合いでございますけれども,ここの受益債権の内容の変更がされることについての信託行為の定めというのは,具体的にどの程度記載する必要があるんでしょうか。

 

 

なかなかちょっと抽象的な御質問でございますけれども,極端な例としては,例えば変更があり得ることについて合意をするという規定だけでいいのか,それとも,また別途の極端の話として,その変更され得る内容を,あらかじめ具体的に記載しておくというところまで必要なんでしょうか。もし何かその基準があるのであればお示しいただきたいと思います。

 

 

思いますに,ある程度,受益者に対して,そういう変更がある,その中身を予測可能性がある程度に記載されていればそれでいいのではないのかなというふうに思っております。

 

 

あまり厳格に書いてしまうと,なかなか実務としては窮屈なものになるのではないかなという問題でございます。

 

 

それから,①,信託目的の変更ですけれども,これも従前から内容について,またはその強行法規性について,会社法等の関係も含めてパラレルに考えてもどうなのかという疑問を持っていたところでございますが,お尋ねしたいのは,この信託目的について,例えばセキュリティ・トラストの観点で言いますと,例えば,この点はどうなのかということですけれども,信託財産の入れかえ自体を行うということが信託目的の変更に当たるかどうかということです。

 

 

 

これは次元の違う議論なのかもしれませんけれども,例えば,信託行為の中で,信託目的としてA債権の被担保債権として,担保を信託を設定するといった場合で,そこに当該担保目的物の特定をしないという内容であれば,いわば信託物ですね,物自体の変更,入れかえというのは,これは信託目的そのものの変更ではないということであるから,よって,①の規律には抵触しないという,そういうふうに考えてよろしいんでしょうか。

 

 

 

ちょっとここが,実務的には大きな問題,関心事ですので,あえてお尋ねする次第でございます。

 

 

  •  まず,前者の方の,受益債権の内容の変更,これがどの程度,信託行為の中に書いてあればいいかということで,恐らく抽象的には,先ほどおっしゃったように,受益者として,変更の内容,もちろん予測できなくてはいけないという話だろうと思います。

 

 

 

例えば,ある一定の条件が成就したときには,ここからここの範囲内で,受益債権が切り下げられますとか,そういうことが書いてあればもちろんここに当てはまって大丈夫ということになるんだろうと思いますけれども,どういう条件が,どういう事情が生じたときにどこまで切り下げられるかというのはおよそなしで,とにかく変更があり得ますというのだとちょっと厳しいのではないかなというような気がいたします。

 

 

すみれ

「条件も付けられるんだ。」

 

 

つまり,手続的な,だれがどういう手続をとったら変更する,あるいはその前提としての条件とか,その結果どの範囲内で減ることがあり得るのかといったことが書いてあれば,大丈夫だというようなぐらいのことで,考えているということでございます。

 

 

 

それから,セキュリティ・トラストにおいて,担保の目的物の変更があったときに,信託目的の変更と言えるかどうか,当たるかどうかは,恐らく一概には言えなくて,やっぱり担保は非常に重要なので,担保目的物が変わるというのだったら,それはもう信託の目的の変更に当たるのだと言わなくてはいけない場合はあるかもしれませんけれども,ただそこはいずれにしても,契約条項に書き込んでおけば,つまり担保の入れかえについて,書き込んでおけば,それはその信託の目的の変更には当たらないということが逆推知というか,逆に推認されるというような関係になると思いますので,実務上は,そういうふうに手当てをしていただくのではないか。

 

 

繰り返し申しますと,信託目的の変更に当たるかどうかは,一概には多分言えないんだろうと思いますけれども,信託,担保目的財産の変更というのが,この信託においてあり得るんだということが書かれているのであれば,それが信託目的の変更に,つまり担保の入れかえが信託目的の変更に当たるということは多分ない,こういうような話なのかなと思います。

 

 

 

  •  ですから総合的に考えて,その当該入れかえとかの変更がその目的に当たるかどうかと,抵触しないかということが,その信託行為全体から見て読み込めるかどうかと。

 

 

細かい話ですけれども,よって,例えば信託契約の中に目的何とかというようなことだけではなくて,ほかのところで入れかえがあり得るようなことが前提であるのであれば,それを含めて目的を判断して,この①に抵触するかどうかということを判断すると。

 

 

 

よって,結果的に見れば,実務上,契約行為の工夫いかんによれば,大分柔軟な対応が可能であろうという,そういう整理になるという理解でよろしいでしょうか。

 

 

  •  おっしゃるとおりでして,信託財産が変更すること自体,一般的にあり得る,信託に通じてあり得る話ですので,基本的には信託財産がかわったからと言って,信託目的に変更があるというふうに直結する話では,もともとないわけですし,それに加えて,信託の契約書の中に入れかえがあり得ると書いてあるんであれば,それが信託目的の変更に当たらないというふうに言いやすいのではないかと。そういう認識でいますが。

 

 

 

  •  わかりました。
  •  私はあまり詳しくよくわかっていない部分だから,口出しするものではないのかもしれないけれども,信託財産,ここでは信託目的の変更であるということになってしまうと,これはおよそ信託行為でもって,例外を設けることはできないという前提ですね。

 

ですから,信託財産の変更というのが,信託目的の変更でないということを明らかにするようにしておくと,そういうことなんですよね。

ほかにいかがでしょうか。

 

 

  •  この45から46,47の規定についての方向性なんですけれども,私ども,実務化の方から見まして,信託の柔軟性と受益者の保護というのを兼ね合わせたい規律ではないかなと思いますので,賛成いたします。

 

 

賛成した上で,1点ちょっと要望と,1点御質問ということで,要望の方は46のところの1の③,今回変わったところですけれども,受託者の義務の全部または一部の免除というところなんですけれども,ちょっと細かいところで恐縮なんですけれども,例えば運用を目的とするような信託で,運用の対象財産がいいものができて,それを入れましょうと言ったときに,分別管理のところの義務については一部契約で免除したりとか,そういうようなことも結構あるのではないかと思うんですけれども,こんな場合についてはやはり入ってくるというようなことになるのではないかなと思いますので,受益者にとって,そんなに問題があるようなものでなければ,ここら辺のところに御配慮をいただきたいというのが要望としての1点です。

 

 

 

質問は,31ページのところの部分で,これも言わずもがなということだろうと思うんですが,2のところの(1)の下の方のところですけれども,ここの,権利の行使に関して協定を結ぶということですけれども,これについては基本的に信託契約,自益信託であれば信託契約で書くということが,これを満たすことだと思うんですけれども,その場合は,当然(注2)というものに限定されることなく,そういう協定が結ばれるのかどうか。

 

 

これはそうだと思うんですけれども,それが1点と,それとあと,それを敷衍してということなんですけれども,ほかの局面で,よく受益者の個別の承認というのが出てくるんですけれども,この承認というのは,当然,不利益についての説明等があって,それで受益者の方がオッケーすればそれはそれでいいということだと思うんですけれども,例えば,受益権が譲渡されるような場合について,受益権の譲渡人が譲受人に対して,こういう受益権ですよというような,いろいろな説明をすると思うんですけれども,そういうところで,例えば説明がなされているということであれば,これはそういう,協定と言ったらおかしいですけれども,受益者の個別の承認がとれたというふうに考えていいのかどうか。

 

 

 

 

こちらの方,ちょっと教えていただきたいと思います。

 

  •  まず一番最初の③の点,これは確かに,事務局としてもいささかもしかすると広いなというので,例えば,善管注意義務や忠実義務であればいいのかなという気はしますが,分別管理義務とか,それから第三者への委託などについて,一部の軽減,そういうものも入ってくるというと,ちょっと確かに広いかもしれないという気もしておりまして,④とのバランスなどもありますので,今の御指摘なども踏まえまして,この③についてはどのようにするか,検討をしたいというふうに考えております。

 

 

それから,2番目の信託契約ですることができるという点は,御指摘の点は,(注2)に限定されず,いかなる権利についてもできると考えております。

 

あと,譲渡人が合意をしたときに,それが譲受人に承継されるかという点でございますが,これは,信託行為で制限しているのであれば,それが受益権の中身になると思いますので,そういう受益権を譲り受けた場合には,それは譲受人もそれに制限されるということになると思うんですが,全く個別の合意ですと,ちょっとそれを説明したからといって,直ちに承認があったとみなすのは難しいのではないかなと。

 

 

やはり,個別の同意を新受益者から得てもらわなければいけないのではないかと。もちろん,裁判所が認定する場合に当たって,1つの事情にはなると思うんですが,最終的な立証すべき事実は,新受益者が承認しているということではないかなという気がいたします。

 

 

 

 

  •  よろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。

 

 

  •  3点ほど意見及び質問があるんですが,1つは,受益権取得請求権についてなんですが,この規律を前提としますと,受益者の立場からすると,受益債権,ある受益権の内容が,例えば切り下げられるですとか,それから,受益権あるいは受益債権がリスクが大きなものにかえてしまう,かわってしまうという場合に,問題となるといいますか,紛争となる場合が比較的多いように思うんですが,そういった場合であっても,基本的にはこの衡平を害さない限り,この買取請求権の対象とはならないということになりますと,そういった場合には,もし受益者がそれを問題に,何か問題があるかどうか検討するとすれば,もともとの変更の点を問題にするといいますか,その変更が合理的であったかどうか等を検討することに,恐らくなるのではないかと思うんですけれども,何と言いますか,全体のたてつけとしては,そういうように思われます。

 

 

果たしてそれでいいかどうかというのは,ちょっとやや受益者の立場からすると,どちらで争う,変更を争う余地があるほうがいいのか,それとも買取請求権で救済されるというふうに確定的に決まってしまうのがいいかというのは悩ましいところかという気はするんですけれども,ややそういったあり方でいいかなということについては,ちょっと疑問を感じております。これは意見です。

 

 

それから,2点目は確認なんですけれども,第45の先ほどの受益者の権利の制限についてのところで,33ページのこの条件についてで,100分の3以上ということが書いてあるんですが,この括弧内が,これを下回る割合を定めた場合には云々というふうにあるんですが,これは下回るというのがどちらの方を指しているのかというのが,ちょっと,という点の確認なんですが,要するに,100分の4とか5とか,そういうふうに要件を加重することは許されないという趣旨という理解でよろしいですか。

 

 

 

  •  そういうことでございます。
  •  それから,もう1点,これもちょっと感覚的な意見で申しわけないんですけれども,複数の場合に意思決定方法について,45ページのあたりで,基本的には受益権買取請求権で解決するというような方向が示されております。

 

 

これも,受益者の立場からしますと,多数決によって,みずからの権利内容等が変更される,あるいはその信託のあり方が変更されるというようなことですので,果たして,この受益権買取請求権だけですべてカバーされるというふうになるのかなという気がしておりますけれども,ここの多数決との関係では,例えばこの多数決によって,これ前に,信託の変更のところでの質問させていただいた点とも関連するんですけれども,例えばこの多数決で,信託目的の,全く別のものにかえてしまうとか,あるいは信託の内容を全く別のものにかえてしまうとか,そういうことも,許容されるというような前提なのか,あるいはそれはまた,要するに,そういった一般的な信託の縛りがある程度あって,多数決で決められる事項についてある程度限界が,これは解釈上ということになるのかもしれませんが,あり得るのかどうなのか,その辺について,ちょっと教えていただけると助かるんですけれども。

 

 

 

  •  事務局の考え方といたしましては,特に,多数決で変更できる事項については制限はないと。したがいまして,御指摘のあった目的ですとかについての変更も多数決でできると。

 

 

そのかわりに,そういうものについては,受益権取得請求権を強行的に付与すると。信託行為でそれはなしとすることはできないということでバランスを図っているというつもりでございます。

 

 

 

  •  そうしますと,目的について,全く異なるものについての変更ができるということになるんでしょうか。あるいは,何らかの信託行為の解釈等によって限定を図るということがあり得るということなのか,その辺はいかがでしょうか。

 

 

  •  信託目的の変更につきましては,原則として委託者の合意というのも必要になりますので,受益者が多数決で合意したからといって,直ちに信託目的が変更できるというわけではありませんで,その場合には,委託者,受託者の合意というのも必要になりますので,そういう観点からしますと,信託目的が今までのものとは全くかわったとしても,信託目的の変更をされることによって,委託者の権利というものが害される可能性というのはあるわけですけれども,委託者の合意というのを要するので,問題ないのではないかというふうに考えております。

 

 

 

  •  ある種の歯どめというんでしょうか,逆に言えば歯どめにもなるわけですよね。委託者も同意しなくてはいけないという。しかし,そういう要件をクリアした場合には,どんな目的の変更でも可能であると。

 

 

  •  先ほどの○○幹事からの御発言と関連する点でございますけれども,またおしかりを賜るかもしれませんが,信託の併合,分割などの重大な変更についての意思決定の仕組み,かなり御工夫をいただいておりますけれども,やはり,他方,一方で,任意規定化という流れは,これはもう重々承知しておりますけれども,例えば,こういった重大な信託の併合,分割について,本当に任意規定の中で,うまく受益者保護の仕組みができるんだろうか,意思決定の仕組みがどうなるのと,ちょっと私は懸念をしております。

 

 

2番目のポイントは,これと関連するんですが,受益権の取得請求権は強行規定化するという御方針であるとしても,例えば,定足数とか決議要件といったことについて,これは,委託者と受託者の合意で自由に決められるという点についても,さらにもう少し強い何らかの規律が必要ではないかという懸念を持っております。

以上,テークノートしていただければ幸いです。

 

 

 

  •  まず,第1点目の信託の併合または分割についてという点ですけれども,我々としましては,お答えになっているかどうかわかりませんけれども,やはり受益権取得請求権というものを強行規定とすることによって,受益者の保護というのを図ることができるのではないかというように考えておりまして,その限度において,信託の併合または分割の方法については自由に決定できるというのが契約自由の原則から妥当なのではないかというふうに考えているところでございます。

 

 

2点目の点につきましても,やはり,契約自由の原則からすれば,原則としてその変更の方法等につきましては,自由にするというのが信託の柔軟性という観点から適当なのではないかというように考えております。

 

 

 

  •  ○○幹事。
  •  1点質問させていただきたいんですけれども,46の受益権取得請求権の1の(1)の④で,ひょっとしたらさっき○○幹事が質問されたことと重なるのかもしれませんが,これを素直に読みますと,受益者間の不平等な変更がある場合だけがこれでカバーされているように読めて,一律に非常に大きな権利の制約を課す場合というのは,これはかぶらないようにも読めます。

 

 

一番その典型は,譲渡を制限する場合で,これは別途書かれているからよろしいんですが,それ以外に,一律に受益者の受益権の中身を変更してしまうというケースで,というのは,ちょっと信託目的の変更にもかからないようなものになると,ちょっと何か落ちていないかなという心配があります。

 

 

例えば,信託であるかどうかわかりませんが,会社法なんかですと,株式について,会社が買取請求できるという,会社の方の意思決定で強制的に株式を取得できるような条項をつけるというのは非常に慎重な,総株主の同意みたいなものが要求されたりするという形になったりするんですけれども,それに類するようなこと,例えば,受益者の多数決によって,一定の値段で受益権を買い取りますと,多数決でいつでも特定の値段で追い出されるという,信託の変更が例えばされるとき何かは,これは,1の受益権取得請求はかぶらないというようにも読めるんですが,ちょっとそういうことなのかどうか。

 

 

 

また,それだったら,ちょっとそれでいいのかということを,お答えいただければと思います。

 

 

  •  まず,④のところにつきましては,受益者間の取り扱いを異にするような変更がされた場合に限っておりまして,前に部会で議論されたときにも受益債権の内容を一律切り下げるというものにつきましては,受益者の多数決で決まったんだから,それに従うというのが妥当なのではないかということで,今のところは,このような形にしております。

 

 

確かに,○○幹事おっしゃるとおり,受益権を強制的に取得することができるというようなものにつきまして,受益権取得請求権を認める必要が,もしかしたらあるのかもしれないと,今,個人的には思いましたけれども,今のところそういうものは含まないというふうに考えております。

 

 

 

  •  取得請求だからではなくて,その変更を認めたら,その後で確実に例えば多数少数の問題が起きるようなタイプのものというのは少なくとも何か考えておかないと,1回,一律に,形式的に権利を,内容を変更するかのような,ステップをかませれば何でもできるということにだけ,ならないように工夫していただければと思います。

 

 

 

  •  はい。なかなか規定の仕方が難しいのかもしれませんが,趣旨はよくわかりましたので,ちょっと検討してもらうことにいたしましょうか。

○○委員,どうぞ。

 

 

  •  細かい点ですが,47の受益者複数の場合の意思決定方法で,受益者集会の招集権なんですが,信託監督人も招集権を持っているわけですけれども,任意規定化するという場合には,ここも任意規定になるんでしょうか。むしろこれは何か残っていてもいいのかなという気もいたしますが。
  •  そうですね。いかがですか。

 

 

 

  •  一応,現時点では任意規定化なので,これも信託行為定めれば不要ということになるというのが考え方でございます。

 

 

  •  ちょっと検討させていただきましょうか。

ほかにいかがでしょうか。

○○委員。

 

 

  •  この46番,受益権取得請求権のところですが,先ほどまで出てきた幾つかの点と重なる部分がありますけれども,この1の(1)①,②,③,それから(2)で,損害を受ける恐れのあるというのを意識してとられたというのはよくわかります。

 

 

ただし,このやっぱり,④が何かあまりにも狭い感じがして,これを受益権を金融商品として流通して取得する受益者という立場で見ると,自分の,やっぱり知らない,例えば,第三者に変更を権限を与えた場合とか,ちょっと考えてみますと,知らないところで,受益債権の内容をかえられて,しかもそれを持ち続けなければいけないということになってしまいますよね。

 

 

そうすると,そもそもそんな受益権は買うなという,そういうレベルの話になっていってしまって,私募投信なんかで考えれば,市場で売れないような受益権になりますから,それを内容をかえられても持ち続けなくてはいけないということになってしまうので,ちょっとこれはもうちょっと広くすべきなのではないかと。特にこの権衡に変更を及ぼすものと,やっぱりこの限定が限定し過ぎなのではないかという気がします。

 

 

 

  •  先ほど○○幹事の意見と共通するような問題で,これはちょっと検討させていただきたいと思います。

 

 

ほかよろしいでしょうか。大体御意見を伺ったというふうに思いますが。

 

それでは今出てきました意見を踏まえまして,また最終的な案は検討させていただくということにいたしたいと思います。特に御意見が多かったところについては検討したいと思います。

 

それでは,次。

 

  •  では次は,償還請求権と補償請求権の問題でございまして,第32と第33のところでございます。

 

 

 

 

 

まず,費用の補償を受ける権利につきましては,まず,提案2のとおり,受益者に対する費用の償還を受ける権利については,信託行為の枠外において個別の合意をするものとして位置づけることを明らかにいたしました。

 

 

あとは,細かい点として,1の(1)では,委任に関する民法650条に規

定振りを合わせたところが二重線の部分でございます。

 

それから,提案1の(2)におきましては,受任者の費用前払請求権に関する民法649条を参考にいたしまして,受託者に信託財産から事務処理費用の前払いを受ける権利を認めまして,あと3の引渡拒絶権ですとか,4の損失てん補義務の先履行,それから(注1)の信託の終了をさせる権利についてもそれぞれこの前払いを受ける権利も対象とする内容に改めております。

 

 

 

あと,提案1の(3)におきまして,受託者による信託財産の任意処分権が任意規定であることを明らかにしております。

 

 

問題は,提案1の(5)と(6)のところでございますが,これはいずれも受託者が信託財産から費用の補償を受ける権利につきまして,他の信託債権者に対する優先性を付与する場合と,その優先性の内容について,合理性が認められる範囲に限定したものでございますが,試案にあった(5)に加えて(6)を新たに加えております。

 

 

まず,(5)におきまして,信託財産に属する特定の財産の価値の維持,増加に寄与した必要費や有益費については,当該財産の代価に限ってではございますが,最優先の効力を認めるとしております。この点は試案から変更はないつもりでございます。

 

 

これに対し,今回の提案では,(6)を追加しまして,受託者の支出した一定の共益性のある費用については,共益費用の一般先取特権と同じ程度にとどまるわけですが,しかし信託財産に属するすべての財産に対する効力を付与することとしております。

 

 

具体的に言いますと,例えば,A,Bの各信託財産があるといたしまして,A信託財産が競売に付されたというときに,受託者がこのA信託財産に必要な保存費用を支出していたというのであれば,受託者はA信託財産の競売代金につき,(5)に従いまして,一般の信託債権者はもちろん,A信託財産につき,登記済みの抵当権を有する信託債権者にも優先することができることになります。

 

 

 

これに対しまして,B信託財産に必要な保存費用を支出していたというのでございますと,受託者はA信託財産の競売代金につきましては,(6)に従いまして,一般の信託債権者には優先しますが,A信託財産につき,登記済みの抵当権を有する信託債権者には劣後するということになるわけでして,これは民法336条でも同じような規律になっているわけでございます。

 

 

 

このような具体例自体は,かつて第5回部会でも示していたところでございますが,このような結論を導くには,(6)があることが相当であると思われましたので,今回(6)を追加することとしたわけでございます。

 

 

 

 

 

次に,提案1の(7)でございますが,受託者が信託財産から費用の補償を受ける権利の性質につきまして,債権ではなく,一種の形成権であるという理解を前提に,信託財産につき,競売手続が開始された場合には,受託者は費用補償を受ける権利を有することを文書で証明することによって,配当要求できるとしたものでございます。

 

 

なお,この場合の証明文書につきましては,一定の証明力の高い文書に限定することが相当かつ可能であるのかという点につきまして,もし御意見があれば伺いたいと思っております。

 

 

その他,資料の26ページの(5)以降の記述は,パブリック・コメントでの個別の指摘に対する解釈を示したにとどまりまして,提案に具体的に反映させているものはございませんので,資料中の説明に譲らせていただきます。

 

 

次に,第33の報酬請求権でございますが,これも提案2のところで,受益者から報酬を受ける権利につきましては,信託行為の枠外で個別の合意を要するものとして位置づけております。

 

 

その他,試案に対しましては,おおむね賛成意見が占めましたので,試案の内容を基本的に維持しております。

 

 

ただ個別の指摘を踏まえまして,(注1)のところで,受託者は受益者に対してのみ通知義務を負う。委託者に対してはそういう義務を負わないとしまして,しかもこれは任意規定であるということ。

 

 

それから,信託行為に信託報酬の額とか算定方法の定めがあるときには,デフォルト・ルールとしての通知義務をも負わないとしたことなどに改めております。

 

 

なお,パブリック・コメントには指摘がございましたものの,受託者が信託報酬の額を決めたときの受益者による異議ですとか,裁判所による報酬額の決定につきましては,特段の手続を設けることとはしないということにつきましては,資料の29ページに記載したとおりでございます。

 

以上でございます。

 

  •  それでは,32と33のところについていかがでしょうか。

○○委員,どうぞ。

 

  •  まず,1点,御質問なんですけれども,今般の御提案で,前払金について,受けることができるというのを入れていただいたんですけれども,これは,時期的に言って,例えば,極端な例でいくと,借り入れをしましたといったときに,借り入れをしたという時点において,当然債務は確定するわけですから,それで前払いができるのかというのと,逆に,いや,やっぱり期限の利益というのがあるので,そこのときまではというのか,これは,いずれなのかということが1点です。

 

 

 

  •  これの時期だとか,いろいろな問題はありそうな気が。
  •  それはちょっと委任の前払請求権と同じ考え方をしていますので,そちらがどう解されているかで,それ次第ですので,民法に詳しい方から教えていただければと思いますが。

 

 

  •  委任の方も,あまりはっきりしないけれども,ただ,信託は,深刻というか,信託の場合にはこれは形式的には自己取引的な,信託財産を移すわけですよね。自己取引に該当して,利益相反行為の禁止に一応形式的には該当するけれども,これが認められる限りでは,利益相反行為とならないということですね。

 

 

では,どういう範囲で利益相反行為にならないのかということで,今のように,一体いつ前払いを受けられるのか。それから,逆に,今度,前払いを一応受けたけれども,結局その目的に使わなかったというようなときに,ちょっとどういう扱いを受けるのかというのも,ちょっとよくわからないんですが。

 

 

  •  損失てん補責任とかそういうことで対処していくのではないかなと。
  •  損失てん補責任。
  •  基本的には,前払い請求を認めることについての議論もあったわけでございますが,資料に書いたように,受益者は受託者を監督できるしというようなことで,前払い請求権自体は認めているわけでございますので,あとは,受託者のもとに帰属した前払いに基づいて受けた財産を目的に使わなかったということは,任務違反行為ということになって,それはそれに対して損失てん補でいくのではないかなという気はしておりますけれども。

 

 

 

  •  いろいろな場合があるんでしょうけれども,本来使う目的があって,しかし,使わなかった,あるいは流用してしまったとか,そういうところの違反なんでしょうけれども,使う予定だったけれども,使う必要がなくなったとかね。そうするとやっぱり戻すというようなことをどこかでするんでしょうけれども,いずれにしても,どこからどこまで,さっきの○○委員の一体いつからという問題でしょうけれども,いつからいつまでが,この前払費用として信託財産から受託者に財産を移すことが許容されるのかという,そこら辺があまりはっきりしないというところですね。

 

 

 

何かいい御意見があれば,あるいは,何かもう既に考えたことがあれば。いかがですか。

 

あまり早く,さっきのように,借り入れをしたので,もうそのときから前払費用をもらっておくというのは,それはちょっとおかしな感じがしますけれども,いつからいいのかと言われると。普通はやっぱりどうなんですかね。やっぱり弁済する……。しかしそんなに遅く。

 

 

 

  •  先になってしまうと,ちょっと意味がなくなってしまうので。
  •  あまりそんなすぐではないんでしょうけれども,しかし,弁済期そのものではないでしょうけれども,ちょっと前というぐらいなんでしょう。感覚としては。

○○幹事。

 

 

  •  すみません。前払いの時期そのものではないんですが,現在の四宮先生の教科書とかにも書いてあると思いますし,英米の教科書にも書いてあることですが,支出権限というものは書かなくていいんでしょうか。

 

 

つまり,今考えられている債務を支払うというのを,前払いプラス固有財産からの支出というふうにとらえるのか,それとも信託財産を使って,その費用の支出ができるというふうにとらえるのか,後者もできるわけですよね。

 

 

  •  直接やる場合ですよね。
  •  それが本則であって。
  •  本当はね。

 

 

 

  •  委任の場合,前払いであるのは,もちろん財産がある程度来ている場合もあるかもしれませんけれども,ある種の債務の支払いを行うに際して,原資が受任者にないわけですよね,基本的に。

 

 

そこで委任者から原資を移してもらうという行為をしなくてはいけないわけですが,信託の場合には,信託財産としてそこにあるわけであって,そうすると,委任で前払いがあるから信託でもあるという形にはならなくて,もちろんあってもいいのかもしれませんけれども,基本は,支出権限の方ではないか。例外的に前払いが認められる場合があるというだけではないのかと思うんですが。

 

 

 

  •  僕も基本的にはそう考えているんです。だけれども,前払いがあっても,あるいは必要な場合もあるかもしれないので,それはあえて反対しないというぐらいのニュアンスなんですけれどもね。

 

 

 

  •  だから,例外的な位置づけを与えるのか,それとも前払いというものが権利として,前払請求というものが権利として1個確定したものとしてあるのかによって,先ほどのいつもらえるのというものも,議論の雰囲気といいますか,方向性は大分変わってきますよね。

 

 

  •  おっしゃるとおり。
  •  私は例外ではないのかと思うんですが。
  •  信託は直接支弁しようと思えばできるという前提ですからね。

何かいい整理の仕方,あるいは提案ございますでしょうか。

ちょっとこれ,僕は出てきた経緯も今ちょっとあまりはっきり覚えていないけれども,実務的に,やはりこういうのは必要な場合があるという御感触だったんでしたっけ。

 

 

 

  •  これもともと出てきた経緯は,結局例の甲案,乙案,あのあたりの議論の中で,受託者として有限責任信託であれば,もちろんでしょうし,そうではない信託においても,費用等を取りっぱぐれることがあってはいけないのではないかと,そことの見合いのようなもので,委任において前払いが認められているんだから,それと同じような限度においては認めても構わないのではないかというようなところで,費用の前払いを認めて。

 

 

費用の前払いを受けられないのであれば,その信託事務できません,その信託を続けることはできませんねというようなことになってくるのではないかと,そんなような話だったんではなかったかなと思います。

 

 

 

費用の前払いと,それから債務負担の場合の関係については,民法はどうも649条で費用を要するときはその前払いと,それから,650条の2項の方で,受任者は委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは,委託者に対して代払いを請求できる。弁済期にないときは,相当の担保の提供を求めることができると,こういうような規律になっておりまして,こちらの方では649条を見てつくっておりますので,恐らく債務負担,すぐに,前払いというようなことには多分ならないはずでして,現実的にもう債務を固有財産で負担せざるを得ないということがわかった時点とか,恐らくそういう解釈になるのではないかなと今思うのですが,その点については,ちょっと,なお検討してまた部会の方で御報告したいと思います。

 

 

 

  •  ちょっと今,細かいことまではちょっとつけ加えませんけれども,今○○関係官が言われたような,基本的な両者の関係を押さえておくということで,よろしいでしょうか。

 

 

今も直接弁済をできるわけだし,しかし他方で固有財産から弁済しなければいけない場面が予想できて,補償請求を取りっぱぐれるという可能性があるというような状況のもとでもって,この前払いを求めることができるというのが基本的な考え方であると。

 

 

それに基づいて,具体的に何か規定がかけるのかかけないのか,ちょっとそこはよくわかりませんけれども,少なくとも,解釈のスタンス,考え方を明らかにしておこうということはできるのではないかと思います。

 

 

  •  今,○○関係官がおっしゃったことはよくわかるんですが,もしそういうふうな実務的なニーズにこたえようとするならば,弁済期が到来しなくても,早めに取っておかなければ怖くて仕方がないという,こういうことになると思うんですよね。

 

 

それに対して,弁済期が到来して,まさに固有財産から支払わなくてはいけなくなったときに取れるというんだったらば,直接の支弁をすればそれで済むわけであって,そういうふうに考えたときに,それでは,実務的に怖いと,責任財産限定特約を付していないということになったときに,受託者が個人的に債務を負担せざるを得なくなって,かつ費用が取れなくなるということになったらかなわないということで,前払いを受けたいと,そこにこたえようとするのだったらば,それなりの要件が必要になってくるような気がしまして,まさに650条の2項に近いような話なのかもしれませんけれども,ちょっとこのままでは使えないのは明らかですが,何か,先ほどおっしゃった○○関係官の解釈というのが,○○関係官のおっしゃった,出てきた経緯というのとうまくつながっていないような気がしたんですけれども。

 

 

 

  •  おっしゃるとおりかもしれませんが,結局のところ,費用を現実に,固有財産だと思いますが,固有財産の方から費用として負担せざるを得ないことが,予見できるのではないかと,今言われたような,受託者としてこれはできないと,この信託事務として債務負担はできない,なぜならばというのは,それはやっぱりある程度客観的な裏づけをもって将来これは費用負担せざるを得ない,そういったような客観的なところを重視したのが,たしか649条の費用を要するときというような解釈だったかなと思いまして,そういう意味でございますが,なおちょっと検討したいと思います。

 

 

 

  •  ではこの点に関しては,そういうことでよろしいでしょうか。少し検討させてください。

 

ほかに何かございますか。

  •  ほかのポイントといいますか,確認の点と質問の点があるんですけれども,この優先権といいますか,先立ちてという権利ですけれども,何か四宮先生の本を見ると,両説あって,通説と違う説がある。

 

 

1つが先取特権説で,もう1つは絶対権説であるということを書かれておりまして,これの説明は通説の方の絶対権説を取って,担保権よりも優先するというような解釈を,今回は正式に採用するという趣旨,そういう説明,それの確認ということなんですが,そうすると,前回でしたか,前々回でも私の方が発言しました,債権に優劣があるところの議論ともちょっと関連してくるのかなと思いまして,そうすると,債権の優劣の規定も,こういうような形での記載ぶりになり得るのかなとかですね,またはこういう絶対権的なものを明示するということは,あのときの議論と同じように,債権譲渡した後に,その債権の絶対権的な性質がどうやって,維持されていくんだとは思うんですけれども,とかですね,全部理屈っぽい議論で申しわけないんですけれども,ほかの論点もあるのかなと思います。

 

 

 

 

わからないというのは,行為に明確にする必要性がやっぱりあるから,こういう議論なのかもしれませんけれども,そういう債権の優劣という従前からの議論とも関連するというところの御質問,確認なんですけれども。

 

 

それとあと補償請求権について,金銭債権とみなすということで,執行の側面での議論をされていると,これは非常にわかりやすいと思うんですけれども,他方において,やはり形成権という,従前からの説明といいますか,信託法の説の中でもそのように説明されていますけれども,形成権というのは,形成的なものということだと思うんですけれども,信託財産か固有財産かの分類というのは,形成権というと,いつでも随時形成権を行使して,右行ったり左行ったりできるみたいな感じになってしまって,何か,説明的としての形成権というのはわかるんですけれども,ある意味では,固有財産と信託財産というのは,要するに形成権の行使は何をもってやるかというのは,単独行為で何でもいいみたいな感じで書かれているので,ここはある意味では本質的ですし,なかなか答えが簡単に出ないから議論になるんだと思うんですけれども,信託財産と固有財産の分類というのはそう簡単に,右行ったり左行ったりしていいものなのやらどうなのやらというあたりとか,では,補償請求権を差押えたいと思ったときに,一体どういう規律になっていくのかとかですね,恐らく事務局としてもこの辺深く検討して,こういう形で報告されたと思うので,その辺の,信託内部における,このみなす権利のたてつけの議論とか,優先性についての議論についても,その辺の議論をお知らせいただければと思うんですけれども。

 

 

 

 

 

 

  •  まず最初の,この優先権というのは,確かに現行法上,先立ちてに解釈はあるのは御指摘のとおりですが,必ずしも優先権説をとったというわけではなくて,ご覧のとおり,およそあらゆる補償請求権が優先するというわけではなくて,その財産に限り,かつ必要費,有益費と認められるものに限って,一番優先するということで,むしろ民法の第三取得者の担保物に対する必要費,有益費の支出の規律に合わせている方でございまして,信託法の四宮先生の書いておられます優先権説をとってきたというのとは発想が違うかなと考えるところでございます。

 

 

それから,補償請求権が形成権かどうかというお話で,行ったり来たりというか,一たん行ったらそれっきりではないかという気がして,固有財産から,これの場合ですと,信託財産から固有財産に行くんですかね,それを1回行使するかどうかという問題だと思っております。

 

 

差押えられるかどうかという問題は,前から○○委員がおっしゃっていたところでございますが,請求権でしたら,差押え,もちろんできるわけでございますが,請求権だと,だれか,人に対して,ある履行を請求して,それによって実現するというものですが,こちらの方はだれか相手がいて実現するというものではないので,請求権なり債権という構成は,どうしても難しいのではないかと思います。

 

 

むしろ一定の意思表示によって,法律効果を発生させることはできるという考え方からすれば,形成権類似ということでいいのではないかなと思って形成権と書いているわけでございますが,その上で,差押えができるかというと,この補償を受ける権利とは違うんですが,取消権とか解除権とか,そういう形成権が差押えできるかという問題がございまして,それは,債権ではないことは当然ですが,民執法167条のその他の財産権にも当たらないというふうに解されております。

 

 

他方,代位行使はできるかというと,代位行使はできるというんですね。そうすると,こういう形成権それ自体は財産的価値がないけれども,その結果,生ずる,その形成権の行使の結果生ずるところまで見ると,全体として責任財産を構成するというふうに言えるのではないかと思われますので,差押えはできないけれども,代位行使はできると。

 

 

そうすると,この補償を受ける権利についても,やはり差押えはできなくて,ただ,債権者が,この場合は受託者の債権者が代位行使をして,受託者のもとに移ってきた固有財産化した財産について強制執行していくというプロセスを経ていかざるを得ないのではないかなと。

 

 

ちょっと差押えを直にするというのは,どうしても,民執法には乗らないのではないかという気がしているところでございます。

 

  •  差押えはできないということですけれども,これ譲渡もできないということですよね。

 

  •  差押えというのは譲渡ができるから差押えできるわけですから,無理ですね。

 

  •  私もですが,差押えできないということは,受託者はそしたらその中に入らないということになるんでしょうか。それも妙だなという気もするんですが。

 

 

  •  そこはまた別に,受託者の権利を現実化させるんだと思うんですね。つまり,難しい話なんですが,受託者が交代した場合に,新受託者に対して,この補償請求権というのは信託財産の限度ではあれ,かかっていけるというふうに現行法も書いてありまして,そこでは形成権が受託者が,別人格になったことによって,債権に転ずるというようなことに多分なっているのではないかなと思いまして,破産の局面ではそちらに合わせることになろうかと思うんですが,では,そうではなくて,形成権でなおあり続けている状態で,差押えや譲渡を観念できるかというと,なかなかちょっと簡単にはいかないのなかと。

 

 

 

 

恐らくここは,所詮は解釈論の世界に入ってしまうのだろうとは思いますけれども,そう簡単ではないのかなというのが,とりあえずの我々の検討の方向です。

 

 

  •  先ほどちょっと途中で問題になったのと関連しますけれども,やっぱりこれ,受託者が信託財産に対して持っている権利というのは一体何かという問題なんですよね。

 

 

 

さっきの強制執行との関係では金銭債権とみなすという形になっていますけれども,それ以外の場面では,形成権だという説明をしていて,要するに,自分の財産に対する権利なので,債権だというふうには構成しないという,一応説明ですね。

 

 

これは,議論しだすと,大変な問題に,行き当たるところがありまして,私の感じでは,ある程度解釈論にゆだねた方がいいのではないかと,ここで全部詰め切って,これはだめだというふうに否定してしまうよりは,解釈論にしておいた方がいいのではないかという感じがするんですが。

 

 

ほかの点で,そういうことでちょっと議論を封じるわけではありませんけれども,ちょっとそんな感触を私は持っております。

 

関連して,あるいはほかのことでも結構です。いかがでしょうか。

 

  •  考え方の確認なんですけれども,受益者から費用の補償を受けるとか,受益者から信託報酬を受けるとか,そういう個別の合意をすると,それができるということになっていて,こういう場合に,受益者が費用補償分を払うとか,あるいは信託報酬分を払った場合に,これ考え方としては,受益者は信託財産に求償できるという,そういうのが原則的な位置づけになるんでしょうかということ。

 

 

  •  受益者から信託財産にですか。
  •  ええ。
  •  あまり考えたことないけれども。どうですかね。
  •  それはこの受益者が受託者と合意をした趣旨とかいうんですか,本来信託財産からだと考えれば求償できそうなんですが,やっぱり自分は請求を受けたら払いますと。

 

 

別に求償するということまで予定せずに合意をしているのであれば。ただ,当然信託財産にいけるというわけでもないという気がするんですけれども。

 

  •  そうですね。明確にそこに,別個に払いますという合意があれば,そういうことになるんだと思うんですが,特に原則的な考え方というんですかね,この前,このテーマが議論になったときに,保証債務的なものだよという御意見というか,御説明があったような気もしたんですが。

 

 

例えば,報酬請求権だと,信託行為で,信託財産から信託報酬を払うというふうに決めてあるという場合に,受益者と個別に合意して,受益者も請求あれば払いますよと。払った場合には何か信託財産に求償できていいような気もするんですけれどもね。

 

 

  •  受益者に対する請求権というのは信託の枠外の合意であると。ということなので,もしそういうことを言い出すと,例えば,では信託財産と受益者,どちらが先に行けるかとか,いろいろ問題になってくるので,そこはもう受益者に対する補償をした場合に,求償できるかどうかは,まさにそのときの約定次第と言わざるを得ないのではないかなという位置づけをしているところではございます。

 

 

 

 

  •  一種の連帯債務的なものなのかもしれないし。ちょっと考えさせてください。

 

信託財産が負担するのが原則だというときに,こういう特約があって,受益者にもいけるというときに,受益者が最終的に負担してしまうのはおかしな感じもしますので。ちょっと理論構成も含めて少し検討させていただければと思います。

 

 

  •  2点要望と,1点質問です。

 

要望といたしますのは,抵当権付の債権者に,受託者が弁済した場合,代位するということで,1の(3)と書いてあるんですけれども,当然そのときの抵当権というのは,混同消滅しないということだろうと思います。

 

 

それと,あと,受託者への債権譲渡した場合について,その抵当権も生きるということだと思いますので,こういうところからしますと,先ほどの信託宣言のところで議論がありましたけれども,○○幹事からもお話ありましたけれども,銀信間の取引とか,信信間の取引のときに,抵当権を設定するということが実務上,これからもニーズがありますので,その辺のところをよろしくお願いしたいと。

 

 

 

これが金銭債権なのかどうか,よくわかりませんけれども,抵当権が設定できるような形の規律をお願いしたいというのが1点です。

 

 

2点目は,(7)のところの,証明力の高い文書というのが,すみません,本を読んでも受託者としてはどういうものを出したらいいのかというのがよくわからないので,こちらの方への御配慮をお願いしたいというのが要望の2点目です。

 

 

3点目の質問については,(3)のところの,ただし書きで,別段の定めがあるときは,その定めに従うものとするということが入っているんですけれども,これというのは,待機義務を外すというようなことは考えられていないんですかということです。

 

 

  •  1の(3),待機義務。
  •  説明にはそのような説明はないんですけれども。
  •  わかりました。

 

 

  •  1の(3)のところ。
  •  そこだけ。
  •  外し方として,両面いけるのかということですね。
  •  そう。

 

  •  一応,両面いけるということになっていますね。
  •  第1点は,ちょっとまたさっきの大問題にいくことになりそうなので,ちょっと私も言いたいことはあるんだけれども,ちょっと後で,後でというか,また御議論伺って,どこかで言うチャンスはあるかと思います。

 

 

それでは申しわけないんですが,10分休憩させていただきたいと思います。

 

(休     憩)

 

  •  それでは,お疲れのところ恐縮ですけれども,再開させていただきます。

この後の進め方ですけれども,とりあえずは,今議論しております第32,

第33について,もう少し御議論いただきました上で,今回の資料,それから前回の積み残しの資料を検討していくということになります。

 

 

それでは,補償請求権,報酬請求権について,御意見ございましたら,お出しくださいますよう,お願いいたします。

 

  •  最終的に債権がどうかというのは,解釈論に寄るのだからあまり深入りするなというのは○○委員のおっしゃるとおりだと思うんですが,これ,利息はつくんですか。

 

 

  •  補償請求権にですか。
  •  そう。
  •  つきます。

 

 

  •  英米法はそもそも,法定利率という観念がないわけですが,アメリカ法のこと,ちょっと調べる機会があって調べてみますと,これは裁判所の許可によって,一定のレートがとれるという仕組みになっているようで,そういう。それは一般の法定利率そのものがそうですので,結局法定利率がつくというのがアメリカ法であるというだけで,別にそれが特に決定的になるわけではないんですが。それだけです。

 

 

すみれ

「法定利率がない国もあるんだ。」

 

 

 

  •  今おっしゃったように,性質論について,これはやり出すと大変なことになるという,○○委員の残されたこともあるわけですが,もちろん議論してよろしいかと思いますけれども,大体問題点が出てきたでしょうか。

 

 

  •  別のところで,報酬請求権で,すみません,ちょっと一言だけお願いなんですけれども。

 

 

報酬額に対する異議については,確かにちょっと制度上どうするかというのは難しいかなという気はしておりますが,やはりお手漏りの危険があるという構造はありますので,これで,例えば会社法ですとか,あるいは忠実義務等の規定との関係で,バランスがとれているのかというのは,若干ちょっと疑問には感じております。

 

 

ただ,今回の御提案の中では,(注1)のところなんですけれども,ただし書きのところで,この通知に関して,別段の定めがあるときには,それに従うという言い方だと,これを任意法規化することが提案されています。この点については,ぜひ従前の規律を維持する方向でご検討いただけないかというふうに考えております。

 

 

忠実義務違反の問題もあるんですけれども,この報酬請求権の問題というのは,信託である以上,必ず出てくる問題で,かつ濫用はやはり起こりやすい場面だというふうには思いますので,何らかの形で,第三者のチェックが入る機会というのはやはり必要ではないかと。

 

 

そういう観点から,最低限この受益者に対する通知ですとか,あるいは委託者に対する通知というものを維持する形で御検討いただけないかというふうに思います。

 

 

この理由のところで,30ページのところで,受益者として指定されたものを知らせたくないというニーズがあるとういうことは,これはこういう場合あろうかと思うんですけれども,こういう場合には受益者にかえて,委託者に通知をするとか,そういった形で,だれかには知らせるというような形での規律をぜひお願いできないかと思います。

 

以上です。

 

  •  ちょっといただいた御指摘を踏まえて,委託者ですかね,委託者に通知というのはもしかするとあり得るかもしれないので,ちょっと検討いたします。

 

  •  ○○幹事。

 

  •  記録にとどめるためだけに発言しておきますが,先ほど私が委任費用の前払いとの関係についてちょっと発言をさせていただいたんですが,休み時間に○○幹事の方から御教授いただきまして,私のような見解というのは,結局,委任の費用の前払いの話ではなくて,保証人の事前求償権の話に類似したものとしてこれをとらえようという話なのではないかと。

 

 

 

そこと平仄を合わせるということも考えられるのではないかというふうなことを御指摘いただきました。

 

まさに仮に責任財産限定特約がない場合の受託者の地位というものを,保証人的にとらえるというふうに仮定しますと,そこらあたりに類似が求められるのではないかということを,全くもって休み時間中の受け売りでございますが,発言だけさせていただきます。

 

 

 

 

  •  確かに何と近づけて考えるのかというのは難しいですよね。委任と考えるのか保証と考えるのか。別のところで,650条の3項が出ていますけれども,それも委任の方は無過失で,こちらは過失ですから,また違うのではないかとかということありますが,多分,参考のために参照しているということではないかと思います。

 

 

 

ただ,今の御意見もまた,検討させていただくことになると思います。

 

  •  今の○○幹事が触れた委任との関連の650条のところの注2のところの議論なんですけれども,私が読んだ理解では,そういう説明があったかないかちょっと忘れてしまったんですが,第三者に損害賠償ができる限度において過失があってもと書いてあるので,ですから,結局過失相殺した後の金額ということで,実質過失がないときの,一切過失がなくて,差額分というんですか,そういう趣旨において,もしかしたら民法の規定との整合はとれているというような金額をという趣旨なのかなと理解しているんですけれども,その辺確認できたらと思うんですが。

 

 

 

  •  結論的にはおっしゃるとおり,過失相殺後の損害額について,両方にいけるという理解をしているわけでございますが,よろしいでしょうか。

 

 

  •  それでいいです。はい。
  •  結論については多分,御異論がないと思うんですが,その650条の,本来の趣旨と比較すると,ちょっとずれているのかもしれない。650条の3項というのは,もうちょっと別の局面で使われていたのが広がっていったというのがありますので,そのずれがあるかもしれませんが,結論としては,これでよろしいということでしょうか。

 

 

ほかに。32,33について,御意見はございませんでしょうか。

では今いただきました御意見,御指摘を踏まえて,さらに検討していただくということで,基本的にはこの方向でいくということで進めさせていただくということになると思います。

 

 

 

 

 

  •  では続きまして,相殺について,御説明いたします。

第14,10ページでございます。

 

太字の1には,賛成意見のみでしたので,そのままにしております。問題は(注1)と(注2)のような第三者保護規定を設けるべきかという点につきましては,賛成意見は多数を占めておりますが,1つは,民法478条の類推適用によれば足り,信託のみに特殊な救済を設ける必要はないという,本質的な反対意見と,信じるに足りる正当な理由という書きぶりをしておりました点が不明確である。これは反対意見というよりは,修正意見みたいなものでございますが,その2点の指摘が,結構多数ございました。

 

 

 

まず,規律は不要だという意見でございますが,相殺について,民法478条の類推適用は問題となる通常の場面でございますが,これは私が申し上げるまでもないことかと存じますが,例えば銀行からの相殺について考えますと,自動債権となります銀行の貸付債権の債務者と,受働債権となります銀行への預金債権の債権者,これが別人であります。

 

 

 

これに対しまして,信託でございますと,自働債権と受働債権というのは,いずれも受託者という同一人に帰属するという点で特殊性を有するわけでございまして,このような点にかんがみますと,資料13ページに記載しましたとおり,民法478条と同じ趣旨の第三者保護の規律が及ぶことを確認的に明示しておくことが相当であると考えられます。

 

 

 

ということで,こういう規律を設けてはどうかと考えているところでございます。

 

また,信じるに足りる正当な理由というのは不明確だという指摘につきましては,表現ぶりを今回改めまして,民法478条と同様に,第三者の善意,無過失を要する行為であるということを明確化して,(注1)の1,2と(注2)に書いてございまして,これによって,批判にこたえているものと考えております。

 

 

以上のとおり,(注1),(注2)のような規律を明文で設けてはいかがかと考えております。

 

その他,パブリック・コメントの指摘についての解釈論を示したものにとどまりまして,提案に具体的に反映したものはございませんので,資料中の説明に譲らせていただきたいと思います。

 

以上でございます。

 

  •  それではこの相殺についていかがでしょうか。
  •  細かな議論になって,テクニカルな議論になってちょっと申しわけないんですけれども,1点,質問させてください。

 

受託者からの相殺については,ここでは扱わないという整理をされると書かれておられまして,それは忠実義務でカバーしている話なんだという整理だと,これは論理的には確かに考えられる整理であって,それできれいに,忠実義務の方の,利益相反取引などの処理で,うまく収まればそれでいいと思うんですけれども,ちょっと忠実義務の規定ですね,利益相反行為の禁止に関する規律の方で,ゆだねると,どういう帰結になるかについて,確認させていただければと思います。それしないとゆだねていいかどうかが,ちょっとはっきりしないものですから。

 

 

 

ゆだねるとどうなるかなのですが,まず,14の1に相当する状況ですね,信託財産に債権が帰属していて,固有財産が債務を負っているときに,これを相殺,受託者の側からするということを考えますと,これは固有財産の債務を信託財産で返していることになりますので,忠実義務の方の規定で言いますと,受益者の利益と相反する行為の,幾つか挙がっている中で言うと,(1)のウというやつで,固有財産に属する債務に係る債権の担保として信託財産を第三者に提供したりとか,いうのが挙がっていますが,それとほぼ同じなので,これに当たって,忠実義務との関係が問題となるという整理になりそうに思いました。

 

 

 

それで,もう1つ,逆のケースなんですが,2の方で,信託財産に債務が帰属していて,固有財産が債権を持っている,固有財産に債権が帰属していて,信託財産が債務を負っている場合に,14の2に相当する場合に,受託者の側からする場合ですが,これは,信託債務を固有財産で返すのですから,原則構わないのですが,原則何にも引っかからない,忠実義務の問題起こさないんですが,仮に信託財産も同じ債務者に対して,お金貸していたとすると,信託財産に属する債権で相殺するのか,固有財産に属する債権で相殺するのかという問題が起きてしまうので,したがってその場合にはいわば競合貸付の債権回収と同じ問題が起きるということになるために,14の2で相当するシチュエーションで,受託者から相殺する場合は,競合貸付的な状態が存在する場合に限って,今度は忠実義務の規定で言うと,第19の3の競合取引の禁止に引っかかって,規制されると,こういうことに,仕切りでよろしいですね。

 

 

 

  •  そのとおりでございます。
  •  仮にそうしますと,その効果はどうなるかなのですが,忠実義務の方の第20にいきますと,前者のケースですと,1のdに当たる,つまり利益相反取引の場合ですから,1のdに当たって,第三者が利益相反行為であることを知り,または重大な過失によって知らなかった場合は取消すことができるということで,原則相殺は有効なんだけれども,相手が悪意である場合であったりすれば,これは相殺を取消せると。

 

 

その場合,悪意の対象というのは,普通に考えれば利益相反であることの認識は,自分がどちらから借りているか,つまり,自分は信託財産から借りて,固有財産に対して債権を持っているんだという認識があれば利益相反であること,その相殺が利益相反であることはわかるはずですので,当然それは,取消せることになるんですが,14の(注1)で書いているような状況で,どちらから借りているかわからない的な状況があった場合は,仮に重大な過失がなければ,取消しはできないということで,同じ借り入れ先が混同しているようなケースであっても,14の1のように,第三者から相殺していく場合と,受託者から相殺された場合では,有効性の要件は変わってくるという理解でよろしいのか。

 

 

仮にそうだとすれば,その説明はどちら側からイニシアチブとったかで,保護要件が変わっても構わないからだという整理なのかということが,この有効性に関する1つ目の疑問です。

 

 

 

2つ目は逆に,2の方のシチュエーションですと,固有財産が債権を持っていて,信託が債務を負担していて,競合貸付的な状況で,受託者が相殺した場合,この場合は,競合取引ですか,それの禁止に引っかかるので,第20の2によって,効果が決まることになります。

 

 

その第20の2というのは,当該行為は第三者の,受益者は,当該行為が信託財産のためにされたものとみなすことができるという規律でありまして,第三者の利益を害する場合は,その限りではないと。

 

 

これで考えるということは,これのみなしによって,相殺がなかったことになるというよりは,信託財産との方で相殺が起きた状態になるんですが,問題はただし書きで,第三者を害する場合というのはあるだろうかということなんですが,これは,第三者は,どちらの債権が消えるかだけなので,基本的にそういうことはないと考えてよいのかどうか。

 

 

もしそうだとすると,借り入れ先を誤解していたようなケースみたいなケースであっても,およそ無効になることはあり得ないということで,第14の(注2)に,相当するシチュエーションですね,第三者からする場合であれば,第14の(注2)に相当するシチュエーションについては,忠実義務違反的な場合について,受託者がする場合については全く考慮しないという,そういう整理をされたんでしょうか。

 

 

 

仮にそうだとすれば,それは今言ったすべてのケースの結論というのは,整合的に説明できているんだろうかという疑問がないわけでもないんですが,ちょっと最後のところの結論は,仮に正しいとしたら,簡単に説明お願いできますでしょうか。

 

 

  •  結論と帰結については,今○○幹事の御説明されたとおりであるかというふうに思います。

それで,相互の整合性についても,ついているはずだと信じているわけでありますけれども。

 

 

  •  相手方が,つまり借り入れ先を誤解していたケースについての,有効性というのが,随分いろいろなところで違ってくるんですね。相殺が有効になる要件が。それが受託者がイニシアチブをとった場合が,第三者がイニシアチブをとった場合かだけで変わってくるんだったら,まだわかるんですけれども,そうではない違いも出てきているところで,そこがちょっと整合性があるのかなというのが,素人的によくわからなかたということなんですけれども,それは問題ないんでしょうか。

 

 

 

  •  ちょっとすみません。検討してみます。直ちにすぐ答えられませんが,ぱっと考えた感じでは問題はないはずだと思いますけれども。

 

  •  ○○幹事。
  •  実は言われた,第1のシチュエーションで,紛争,いろいろな形で起こり得るとは思うんですけれども,まず単純に,受託者が債務者に対して,履行請求をしていくときに,債務者の方が,第2のシチュエーションは逆ですね,受託者の方が相殺するという場合が外れるのはどうかという問題ですね,そちらで言いますと,債権者が受託者に対して履行請求するときに,受託者の方が,その相手方に対して反対債権を持っているというので相殺するというようなシチュエーションで,この段階だけだと,債権持っているとさえ言えば,相殺はできそうなんですけれども,それに対して,相手方の方が,いや,受託者が持っていると称する債権というのは信託財産に属する債権ではないのかと言ったところで,忠実義務の問題になりますと,受益者が取消さない限りは,債権,債務そのものはあり,かつ相殺も効力も否定されることはないですから,この2人の当事者間だけだと,相殺が有効として扱われてしまうと,悪意だったとか,重過失だったとかいうこともそもそも言うまでもなく,これだけだと相殺ができてしまうと。

 

 

 

ただ,この紛争が終わった後で,ひょっとすると,受益者が取消してくるかもしれないと。取消されると,相殺効力を失うので,改めて債権者が受託者に対して履行請求していくというような手間をどんどんとっていくという形になっていく。

 

 

それが果たしていいのか。要件が平仄合わないというのは,かもしれないというような○○幹事が指摘されたことですけれども,紛争形態として,こんなパターンになっていいのかというのが,よりちょっと実践的にいいのかなという問題としてあると。

 

 

第14の中に両方全部含めてしまうのだとすると,相手方が今のような相殺というのは許されないのではないかということで,履行請求そのまま認められるという可能性出てくるわけですけれども,この規律から外すというのは,今のような二度手間になる可能性を,容認するという立場決定でもあるというのはちょっと意識する必要があるのではないでしょうか。

以上です。

 

 

 

  •  そうすると,○○幹事は,この外すということ自体,もう1度考えたほうがよい。

 

 

  •  もう1度考える余地があるのかなという気がしないではないなというのをお聞きしていて思ったということですね。

 

 

もちろん,受益者が取消すかどうかが,決定的なポイントであって,受益者が取消さないんだったら,別に相殺認めてもいいのではないかというのは1つの立場だとは思いますけれども,何か後で取消してくると,何か本当にこれでいいのかなというもやもやとしたものが残るという,それだけのことです。

 

 

  •  恐らく,相手方が無資力の場合に,どういう問題が出てくるかということがさらにあるでしょうから,忠実義務の一般ルールにゆだねる場合の効果をさらに詰めて,検討していただいて,詰めていくということでよろしいでしょうか。

 

 

今,多分,即座にすべての細かいところまで詰めきれないと思いますので。

今の点を含めてほかに相殺について。

 

では,○○委員。

 

 

 

 

  •  これもちょっとはっきり書いてあるので,確認的な発言なんですけれども,何度も議論しているように,取引のときは善意,重過失ですけれども,相殺という,これとりひきとはちょっとずれるというような,これだと過失という要件で,やはり相殺についての取引保護については少し弱める,または通常の取引と同じように扱うと,こういうような判断をやっぱり事務局としてはされた,相殺はちょっと違うというそういうこと,そう書いてありますので,そうだと思うんですが。

 

 

 

  •  通常の権限違反の場合には,信託事務であるということは認識した上で,その権限内か権限外かという話であるのに対して,これは信託財産に帰属するか固有財産に帰属するかというときに,実際固有財産に帰属はしているんですけれども,その帰属自体がわからなかったというのを,弁済という局面に限って,信託という特性に関して救済しましょうということですから,別に主観的要件が異なったからといって,別に理論的な整合性がとれないということではなくて,むしろ,478条との整合性を考えれば,このような主観的要件をとるのが妥当なのではないかというふうに考えているということであります。

 

 

 

  •  13ページの説明のところに,相殺は可能であることを確認して融資を受けたがみたいな,だから,何となく通常の取引行為において,お金を借りる場合に,後に相殺を考える場合には,信託からの借り入れか否かを確認するような注意義務が,いけないという議論ではないんですけれども,ちょっとそんなふうに読むのかなみたいなことで,弁護士会でも議論していたこともありまして。

 

 

 

だから,一般の人,金融機関同士であれば別に当然でして,銀行取引する人はある意味ではそこまでの義務あるというのは。なかなか一般の人が信託銀行から住宅ローン借りるときに,それがどこからの借り入れだったかというのも,過失ありという認定はちょっと厳しいのかなと,そんな議論なんですけれども。過失がないということなんでしょうが。

 

 

  •  普通はそうなんでしょうね。

それでは,この14の方向性については,パブリック・コメント前から出ていたことで,特に御異論がないかと思いますが,しかし,効果の点をさらに詰めて,検討するということで,14についてはその程度でよろしいでしょうか。

それでは次に進ませていただきます。

 

 

  •  では続きまして,第23と第24について,御説明申し上げます。

まず,帳簿作成義務等についてでございますが,帳簿の閲覧拒否事由が問題になっておりまして,第21回の部会におきましては,甲,乙,丙案をお示しいたしましたところ,乙案を指示する見解と,丙案を指示する見解とが示されました。

 

 

 

 

 

今回はその際の審議内容ですとか,その後の検討も踏まえまして,丙案をベースとしつつ,受益者単数の信託の場合には,閲覧拒否事由をさらに限定するという考え方を提案するものでございます。

 

 

 

すなわち,受益者,委託者,受託者,信託外の第三者のそれぞれの利益のバランスをよく図ることのできる内容であるという点からは,丙案が基本的に妥当と思われるわけですが,ただ会社法の規定を参考に閲覧拒否事由を定めることにつきましては,そもそも多数の株主を前提とする会社の規定の中には,受益者が単数の信託には適切に当てはまらない事由があると思われるわけでございます。

 

 

 

そこで,受益者以外にその利益を保護すべき者がいるかどうかという観点

から,提案の3の(3)と(4)の①,②というものにつきましては,受益者の単数,複数を問わず閲覧拒否事由となるとする反面,(注1)の③から⑥の事由につきましては,他に保護すべき受益者がいる場合,すなわち受益者が複数の場合の信託についてのみ,閲覧拒否事由となるとすることによりまして,丙案よりも関係者の利益保護のバランス,特に受益者の閲覧請求権の実効性に配慮した趣旨でございます。

 

 

 

なお,第21回の部会では,帳簿閲覧請求に当たり,理由の明示を必要とすることの妥当性についても議論が及びましたが,資料の16ページに記載しましたとおり,理由の明示はやはり必要とは考えておりますが,その理由の明示すべき程度や内容は信託の類型によって異なってくるものと考えておりまして,この点は,前回の審議会で,最後にそのように御説明させていただいたところと承知しております。

 

 

 

続きまして,第24の,他の受益者に関する情報を求める権利と。前は,受益者名簿の作成義務に関する規律としておりましたが,この試案の考え方に対しましては,賛成意見が多数を占めております。

 

 

 

ところで,受益者名簿の作成に関する規律を提案いたしましたのは,意思決定に関する権利行使を望む受益者のために他の受益者の情報を知るための方法を確保することにあったわけでございますが,そうだとすれば,端的に受益者が他の受益者に関する情報を求める権利を有するということを確保すれば足りるわけでございまして,名簿の作成に固執する必要はないものと考え直したわけでございます。

 

 

 

このような観点から,今回の提案1におきましては,受益者の複数の場合には,受益者が理由を明らかにすることによって,他の受益者の情報の開示を求めることができるといたしまして,そのために,受益者が受益者名簿を作成するかどうかについては,あくまでも信託行為を定める委託者及び受託者の任意の判断にゆだねることとしております。

 

 

 

 

もっとも,自分の個人情報ないし,プライバシーを他人に知られたくないという受益者の正当な期待ですとか,あるいは他の受益者に関する情報をわからせたくないという委託者のニーズにこたえることのできる信託の設計を可能にするという観点から,他の受益者の情報を開示する義務については,あくまで任意規定にとどまると。

 

 

原則は義務があるわけですけれども,信託行為で外すことができるという位置づけにしております。

 

 

さらに,提案2におきましては,株主名簿の閲覧請求に関する会社法の規定を参考にいたしまして,他の受益者の情報の開示請求に対する受託者の拒絶事由を法定することとしております。

 

 

もっとも,提案1のとおり,そもそも情報開示請求の権利自体を任意規定としていることですとか,株主名簿については信託外の債権者にも閲覧請求権があるわけですが,ここでは他の受益者に関する情報を求める権利を有するのは受益者に限っているということなどにかんがみまして,この拒絶事由に関する規律も任意規定でございまして,信託行為をもって増減できるものと考えております。

以上でございます。

 

 

 

  •  この23,24について,御意見ございますでしょうか。
  •  若干意見とお願いを述べさせていただきます。

 

23の3のところですけれども,まず,これもしかしたら前回申し上げるべき点だったのかなという気もするんですけれども,御容赦いただければと思います。

 

3の(1)のところで,状況の報告を求めることができるというふうに,表現ぶりが改まっております。今回,これに合わせて表題もかえられているようですけれども,これは,報告という表現よりも,むしろ現行法どおり,説明という表現の方がよろしいのではないかということで,できれば,そういった形でお願いできないかと。

 

 

 

 

例えば,個人の不動産の管理の信託を,考えた場合でも,報告という言葉ですと,事後的な報告という印象を受けますし,他方,説明ということであれば,管理方針等についても説明を求めることができるというようなこと,あるいは不明点については質問ができるというような感じがいたします。

 

 

報告という言葉は,国語的に告げ知らせることということになっておりますし,結果を,与えられた任務の結果などについて述べることというようなことになっていて,説明という,よくわかるように述べること,解き明かし教えることというその国語的な意味でも,やはりこちらの方が適当なのではないかというふうに思われます。

 

 

 

民法の委任の規定に倣って報告という表現にしたということが前回の御説明であるんですが,委任と信託を比較しますと,委任に比べて,信託というのは,他人の財産を預かるものであるということですとか,あるいは期間も長期にわたる,それから,委任のように当事者に当然にその解除権が認められているわけではないということですとか,という特性がありますので,やはり,委任に比べて受益者や委託者等,関係者の監督を図る必要性が高いのではないかというふうに考えております。

 

 

 

そうするとやはり,言葉としては,報告という言葉よりも,説明という言葉をぜひ維持していただけないかというふうに考えております。それが第1点です。

 

 

 

 

それから2番目ですけれども,3(3)の規律についてです。この規律については,基本的な方向性については賛成したいというふうに考えておりますけれども,閲覧対象から除外する範囲が広範になり過ぎないように,合理的な切り分けができるように,ぜひお願いしたいというふうに考えております。

 

 

この規律の内容については,何点か御質問をさせていただければと思います。

 

1つは,この規律の中で,信託の定めということが言われておりますけれども,これはどこまで具体的に定める必要があるのかという点です。具体的な書面を特定することまで必要なのか,あるいはその抽象的な定めでも許容されるのかどうかという点。

 

 

それから,また,この規律の中で,受益者以外の第三者という表現が用いられている文がありますけれども,この第三者の範囲をこの信託行為の定めの中で定めておくことが必要かどうか。信託行為の定め方について御教授いただければというふうに思います。

 

 

それから今の点に関しまして,第三者の中には受託者が含まれるのかどうかと。これは,個人的には,この第三者に,受託者を含めるというのは,若干問題ではないかというふうに考えておりますけれども,この点についても御教授いただければと思います。

 

 

 

それから,この要件の中で,受益者の同意が要件とされておりますけれども,受益権が譲渡された場合には,この要件の充足についてはどう考えればいいのかということについても,教えていただければ助かります。

 

 

それから,あと,(注1)についてなんですけれども,この点については,基本的には集団信託と個人の場合の切り分けで,こういった別異の規律を設けるという方向性については,基本的に賛成したいと思うんですが,ただ,この切り分けの方法として,この御提案の中では,受益者が単数か複数かということによって,切り分けがされております。これは,やや切り分けの線として,ちょっとやや厳しいのではないかという感じを持っております。

 

 

 

 

個人的な色彩の強い信託の中には,親族の何名かが受益者となっている場合も少なくないというふうに思われるんですけれども,こういった場合については,やはり(注1)の規律にいかずに,(4)の規律で収めることが適当ではないかというふうに思われます。

 

 

なかなかこの切り分け方が難しいであろうというふうには拝察するんですけれども,感覚的には受益者が一定の個性を持った特定少数のものである場合には,この(4)の規律だけでいくというふうにするのが適当なのではないかという感じを持っております。

 

 

 

もし,その切り分けの方法として考えられるのであれば,例えば,信託の目的が特定のものの利益のために設定されたものかどうかということとか,あるいは受益権が不特定の者に譲渡が予定されているかどうかとか,そういった切り分け方とか,あるいは,どうしても難しい場合には,人数的な切り分けとか,そういった規律を御検討いただくことはできないかということです。この点,もし御検討いただければお願いしたいと思うんですが,よろしくお願いします。

以上です。

 

 

 

  •  3点について,御意見,御質問があったわけですが。
  •  報告のところだけ,後で説明いたしますが,まず,第三者のこの信託行為の定めの具体性ということですが,これ,結局ここは第三者が,受益者が予見可能な範囲の状況を書いておけばいいだろうということでございまして,およそあらゆる文章なんていう書き方はだめだと思いますが,他方具体的に一々特定しなくてはだめというのも厳しすぎますし,そこは条理で判断するしかないのかなという気がしているところで,ちょっとそれ以上に,事務局からこう書かなくてはいけないとか,そこまで言えるような筋合いではないかなと思っております。

 

 

 

 

 

 

 

それから,受託者も第三者に含まれるかというのは,これはやはり,信託債権の債務者であれ,ライセンスを受けている第三者であれ,受託者の場合でも入るのではないかというのが事務局の考え方でございます。

 

 

それから,あと,個々の受益者,信託行為定めて,受益者の同意を得た場合に,それが譲渡されたらどうなるかということでございますが,これは個人的な感じでございますけれども,信託行為だけで定めれば,それが受益者の内容になって,それが転々流通すると思うんですが,受益者の同意がかんでおりますので,やはりそれによって,直ちにそういう性質の受益権になるということは難しくて,やっぱり譲渡されたら,また新たに譲受人の受益者の同意がないといけないのではないかという気がしているところでございます。

 

 

 

人数の切り分けというのは,ちょっとなかなかそれはしかし,どういう,なかなか難しいとは思うんですが,ちょっとそこは検討させていただきたいと思います。

 

 

あと1点,ではちょっと説明をお願いします。

 

  •  すみません。3の(1)の報告の書き方の問題でして,このあたりは結論的には法制的な事柄ですので,ある程度お任せいただきたいと思うんですが,その前提としての,実質のところが問題なのかと思います。

 

 

先ほどおっしゃったお話というのは,基本的には信託であれば,受託者から何が聞けるかというのが委任と違って,質的に違いがあるんだと,恐らくそういう前提で説明という言葉のほうがいいのではないかということをおっしゃったのかなというふうに思うんですけれども,むしろそのあたりは信託事務の処理の状況についての,受託者に対して,報告を求められますし,それから信託財産の状況については,これはまた,信託法においては,一定の時期になったら,積極的に報告しなくてはいけないということですし,さらには,信託の帳簿なり何なり,これを作成し,あるいは取得したものを保管して,見せなくてはいけないと,こういうようなルールになっておりますので,むしろ我々としては,そこが上乗せになっていると,信託財産というものを委託者から預かり,受益者のために保管するという点において,そこが上乗せになっているということなのかなというふうに認識しておりまして,そうすると,別に3の(1)のところの信託事務の処理の状況,これを報告というふうに言ったから問題があるという感じは,正直あまりしていないと。

 

 

むしろ説明と言うと,何かいま一つあいまいな感じもいたしますので,そこは委任と同じような表現ぶりで,別に報告と言ったからと,委任でも同じだと思うんですが,事後的な報告だけというふうなことでは恐らくないはずだと思いますので,表現ぶりですけれども,その前提の実質については,今申し上げたようなところを,事務局としては考えているというようなところでございます。

 

 

 

 

 

それから,若干,先ほどの○○幹事の発言の補足ですが,3の(3)ですが,同意を得るため何を書かなくてはいけないかということで,ここは,ほかのところの同意なんかとちょっと違いまして,あるいは信託行為ですね,何を書くかですけれども,ある程度,秘匿することができる情報について,法律で定めを設けておりますので,つまり第三者の秘密的なところですね,そういった情報でなくてはいけないとかいったような制限を設けておりますので,そのあたりも踏まえて,判断されることになるはずではないかと思います。

 

 

 

あとそれから,受益者の同意を得ておいた場合に,ではその譲受人に対しては,どうなのかと新たに同意を取り直さなくてはいけないのかどうかという話ありまして,ちょっとここは,検討が必要かなというふうに思います。

 

 

先ほど○○幹事が申し上げたように,同意の効力は譲受人に引き継がれないんだということもあるかと思いますけれども,あるいはそれだとちょっと第三者の情報の秘匿なんかの関係では少しどうかなというようなところもありますので,あるいは,こういうふうにもう信託法で,同意を得た受益者,閲覧,当初の対象にしないというような記述まで設けるという前提ですので,そこまでしてしまったら,その効果は引き継がれるんだと,譲受人ですね,そういうことも考えられてもいいのではないかなというような気もいたしますので,ちょっとそこは,なお検討させていただきたいというような感じがいたします。

以上です。

 

 

 

 

  •  その点については,慎重に御検討お願いできればと思うんですけれども,先ほどの報告のところについては,要するに受益者の立場からすると,多分質問をしたり,いろいろなもう少し詳しく教えてくださいというようなやり取りを,多分したくなる場面が,特に個人的なものの場合,多いのではないかと思うので,そういったことができやすいと言うとあれですけれども,そういった形の表現ぶりを御検討いただければと思います。

 

 

 

  •  おっしゃることはよくわかります。恐らく我々の認識は,委任でも,報告を一方的に受けるというような話ではなくて,もちろんそれに伴って,質問したりというのは想定されているはずなので,何か特に今言われたようなことを想定して表現ぶりをかえるというと,何か,委任の方に変なバックフラッシュがあっても困るかなというような気もいたしましたので,発言いたしました。

 

 

  •  多分,実質的なイメージはそんなに違っていないと思うので,その表現の問題だと思いますが,多分,ほかの法制との関係もあるでしょうから,今のような,趣旨は共通の理解だということで,よろしいでしょうか。

 

 

 

  •  先ほどの,受益者の同意を得たということで,譲受人との関係の話で,意見といいましょうか,確認なんですが,基本的には譲受人も新たにとらなくてはいけないという話であるという,その趣旨というのは,結局,もしそうであるのであれば,譲受人というのは,例えば,受益者以外の第三者の利益を害する恐れのある情報についても,閲覧謄写請求ができるという,そういう趣旨ですか。

 

 

もしそういうことであれば,やはりこれは,そういう規律というのは,やはり受益者の譲渡によって,そういう情報が開示されるか開示されないかと分かれるというのは,ちょっと合理的ではないなというふうに思うわけなんですけれども。

 

 

 

 

ちょっとそこで御質問なんですけれども,そもそも,私も議論は追いついていっていないのかもしれませんが,この「かつ受益者の同意を得た場合には」という要件が入った経緯というのは,これ,ちょっと20回の会議で提案された甲,乙,丙案からは,ちょっとかけ離れているような気がするんですが,ここの趣旨,そもそもこれを置いた趣旨と,つまり,信託行為に書いただけでは足らず,受益者の同意を個別に,当初の受益者は信託行為だけで十分なのかもしれませんけれども,置いた趣旨というのは,これは一体どういうところなんでしょうか。

 

 

 

  •  これは前回の丙案にも,受益者の同意によりという要件が入っているような気がいたしますが,入れた趣旨といいますのは,信託行為の定めで一方的に受益者の閲覧請求権を奪うというのは受益者の権利保護の観点から望ましくないので,ここの受益者の同意も要件とする必要があるのではないかという,受益者の権利保護の重要視というか,そちらの方向から入れたということでございます。

 

 

そういう経緯で入ってきたわけでございまして,ただ,最初のときに,信託スキームをつくるときに,自益信託であれば,同意を要件として設定すればいいわけですし,他益信託の形であれば,同意しなければ受益権を売却,取得できないというようなスキームをとれば,受益者となる以上は,同意しなければいけないということになるかと思うんですね。

 

 

 

 

 

 

 

先ほどちょっと私の方からは,同意が,よって,信託の受益権の中身になると言えるのかどうかというような疑問もあるというふうなことも言ったんですが,この点はなおちょっと検討したいと思っております。

 

 

 

  •  よろしいでしょうか。
  •  今の関連なんですけれども,ここで閲覧除外にする根拠として,実質的にどういったことが考えられるかということで,1つは受益者の同意ということと,それから文書の性質ということと,2つの要素があるのではないかという気がちょっとしておりまして,例えば,この記述していただいております受益者以外の第三者の利益を害する恐れのある情報というのは,これはむしろ文書の性質から除外することが正当化されるような気がするんですけれども,例えば,前段の方の,1の(2)の書類については,むしろ同意がその根拠になるのかなという気もしておりまして,ややちょっと性質が違うという見方もあり得るのかなという気がしているので,そういったことも含めて検討いただけないかというふうに思います。

 

 

 

それから,そういったことで考えたときに,文書の性質から,同意要件は比較的薄くてもいいというような発想がもし出てくるとすれば,この第三者に受託者を含めるというのは,ややちょっとやはり問題があるかなという気がしておりますので,併せて御検討いただければと思います。よろしくお願いします。

 

 

 

  •  今の○○幹事の御発言で,確認なんですが,前半の資料というのは,信託財産の状況に関する資料を作成する基礎になった資料のうち,重要でないものということでして,それに対して,後半の方は確かに第三者の利益を害する恐れがあるものではありますけれども,逆に言えば,これは信託財産,例えば,信託財産に属する債権の債務者情報とかで,詳しいものみたいなことになっていたときには,それは知った方が受益者にとってはためになるんだろうけれども,見せないという選択をするものですので,むしろ性質に応じてということであれば,前半の方は,重要性が乏しいものという縛りになっていますので,こちらの方がむしろ性質上ではないか。

 

 

後半の方については,確かに,第三者の利益を害する恐れのある情報ではありますけれども,ではそれは信託の受益者にとってみたら重要な情報であるかもしれない。

 

 

それを見せなくていいということなので,こちらについては,同意というのを考えたというのが事務局の方の整理ではあるんですが。とりあえず,申し述べた上で,また検討いたします。

 

 

  •  受益者保護という観点からいきますと,○○幹事のおっしゃることもよくわかるんですけれども,受託者としてのやはり信託事務の執行ということからいたしますと,前回乙案というのが提示されておりましたけれども,今回についても,基本的には乙案を支持したいというふうに思っております。

 

 

受益者が単独と複数であるものに分けるということについては,こういう方向性はいいのではないかと思うんですけれども,本当に極めて実務的なところからいくと,他益の信託の場合がやはり困るかなと。御承知のように,適格年金とかでありますと,年金に係る情報というのは非常に大量でなおかつ長期間にわたるものがありますので,これが全部見せられるということがなかなか厳しいものがありまして,(3)のところの規律でいきますと,他益の信託ですので,受益者の同意というのが,これとれないということになります。したがいまして,実務上,かなり制約を受けるようなことになりますので,ちょっと考え方としてどうかなと思うんですけれども,例えば受益者代理の同意のみであるとか,年金信託ということに限定して考えますと,委託者というのが非常にきちっとしたところですので,そういうところが監視しているというところもありますので,何らかの特別の配慮をお願いできればなと思います。

 

 

 

そういうことがなかなか理論的に難しければ,やはり乙案支持で,甲案に書かれているような要素も入れていただかないと,なかなかちょっと厳しいかなということで,御配慮をいただきたいということであります。

 

 

それと,先ほど○○幹事の方から,受益者以外の第三者の利益というのも,受託者が入るか否かというところですけれども,これはぜひとも入れていただかないことには営業上の秘匿というのは絶対必要なことですので,ここはお願いしたいと思います。

 

 

以上であります。

 

 

 

 

  •  24のところでのちょっとだけ確認なんですけれども,先ほどの○○幹事の御説明のところで,2の受託者の拒絶事由のところで,ただ信託行為に別段の定めがあるときはその定めに従うものとするということで,この拒絶事由の増減ができるという御説明をいただいたかと思うんですけれども,1の(2)の趣旨と,これが設けられているのは,基本的に個人情報保護ということで,制約する方向ということで,御説明があったと思うんですけれども,その趣旨からすると,2の方も,これをふやすのはわかるんですけれども,ここの中から減らすというのはどういうことかなというふうに,ちょっと疑問に思いました。

 

 

と申しますのは,これ任意規定でございますので,個人情報保護法の適用がある場合とすると,例えば株主名簿の閲覧請求の商法の規定の場合であれば,これ強行規定的に規定されているので,今たしか第三者提供の制限の例外で,法令に基づく場合という整理がされているかと思うんですけれども,こういう任意規定だということになると,以前も発言させていただいたことがあると思うんですけれども,なかなかそこが難しいのではないかと。

 

 

そうなると,もう1つの適用除外である,人の生命,身体及び財産の保護のために必要であって,同意を得ることが困難である場合というものが該当するということになって,例えば2の①,こういうケースでは本人の意に反しても,他の受益者等の権利,受益者としての権利行使のためにどうしても他の受益者と一緒になって行動しないといけないというようなケースがあるようなときには可能だというふうに考えられると思うんですけれども,こういったものを,例えば外してしまうというようなものだと,やはり問題ではないかなと,個人情報を考えた場合は問題ではないかなと思うので,この拒絶事由を減らすというのは,ちょっと私の中で納得いかなかったものですから,ちょっとそのあたりの御説明をいただけたらと思うんですが。

 

 

 

 

 

 

  •  あくまで信託行為で初めて減らすわけでして,一応デフォルトとしてはこれだけあるわけですが,ふやすのはいいんだというのは御異論ないと思うので,減らすのも,信託行為で減らせばいいわけで,減らしたら,そういう信託に入りたくない人は受益者にならないというだけではないかと思うんですが,何かその。

 

 

  •  そういう理解です。最初に契約の方で,受益者が契約の中に入っていれば,いいんですけれども,後から転々流通するものであればそこまで明確に理解できるのかな,どうなのかなというふうにちょっと思ったものですから。

 

 

 

  •  後から減らすのであれば,信託行為の変更の要件を満たす必要が出てくると思いますが。

 

 

  •  後からというか,そういう信託行為がある分を,明確に認識した上でやっていれば,もちろん問題はないのかなとは思うんですけれども。

 

 

  •  後から受益者が気づいた場合ですか。
  •  はい。
  •  それは,どうしようもない……。ちょっと気づかなかったのが悪いというか,そう言うと厳しいんでしょうか。しかたがないのではないかなという気がいたしますけれども。

 

 

  •  ○○幹事,関連ですか。
  •  まさに同じ点を聞こうと思っていたんですが,24の1も2もいずれも任意法規化されていると。その趣旨はおおむねは理解できるんですけれども,やはり拒絶事由をふやしていく方向でも実は問題が本当にあって,一切見せないのだというような形での定めが信託行為に最初からあってと,それが果たして常に許されるのかというのは,やっぱり考えないといけないポイントで,もともとの制度の趣旨というのは,やっぱり受益者の権利行使を容易にするというような制度趣旨があって,やっぱりその,およそこういうものが見られないことによって,受益者の権利行使が,実際上,権利はあるんだけれども,行使できない,非常に困難になってしまうというようなときには,やはりこのような信託を設定する以上は,そして受益者というものを存在を認めるということである以上は,やはり,いかに個人情報といいましても,他人の権利がそれによって大きく制約されるということであれば,管理しないといけないという側面もあろうと思いますので,完全任意法規化ではなく,何らかの制約がやっぱりちょっとないと,困ったことが生じるのではないかなという危惧は,私も持っていまして,その意味では,今の御発言,全くそのとおりかなという気がいたしました。

 

 

 

逆の意味でも,この完全任意法規化という点については,ちょっと考えるべきポイントがあるのではないかなという気がいたしました。

 

 

 

 

 

 

  •  方向は逆の方向ですけれども。
  •  同じ趣旨ですね。はい。

 

 

  •  今1についても触れられましたけれども,逆に1で,開示事由を広くしたときに,今度は個人情報保護法との関係でどうなのかということもあるでしょうから,両面ですね,信託行為で決めれば何でもできるのか,それから逆に個人情報保護法の23条でしたか,その規定との関係でどう考えるのかという,両方の方向でさらに検討するということでしょうか。

 

 

 

ちょっと私,先ほどうっかりしまして,○○委員の御発言と○○委員の御発言が関連するかと思って続けてしまったものですので,○○委員の御発言について,事務局の方から。

 

 

  •  乙案,丙案がどちらがいいかというのは,御指摘を踏まえてまた検討したいと思います。

 

基本的にやはり,受益者の権利の重視という観点からは,乙案よりは丙案ではないかなというのが今の考えでございます。その後は,譲渡されたときにどうかというのはまた改めて検討したいと思っております。

 

 

あと,受益者代理に言えばいいかというと,やはり受益者代理は個々の受益者の権利までは奪えませんので,やはり個々の受益者が同意をする権利というのは受益者代理によっては代替できないのではないかということで,そこは,受益者代理に通知すれば同意というのは難しいのではないかなと考えております。

 

 

あと,これは先ほど他益信託のとき困ると言っておられたんですが,他益信託のときに,例えば,この情報の開示をしないことに同意しない者については受益者となることができないとか,そういう定めをして,同意をあった者しか受益者になれないとすることは難しいということでございますか。

 

 

 

  •  いや,そういうようなことは許されるのであれば,比較的検討はできるのかなという感じはしています。

 

 

  •  ただ,それが適法であれば対応策はあるけれども,そういうことが許されるかどうかということですか。
  •  はい。
  •  ちょっとそこは,また考えたいと思います。
  •  お願いします。
  •  ほかにいかがでしょうか。

 

 

  •  24の関係ですが,任意規定として,この拒絶できる範囲をどこまでも広げられるということにしてしまうと,45番で,この受益者の権利の制限のところで100分の3という,有価証券化した場合ですね,という要件を設けた案が出ていますので,それとの関係で,帳簿閲覧請求権があると言ってみても,100分の3,集めることが,ほかの受益者だれかがわからないので,できませんというようなことになってしまいますが,その辺は何か,そういう場合でもこれがあるから大丈夫だというのはありましたか。

 

 

 

  •  特にそこについては,対応しておりませんので,多数決,全員一致,100分の3いずれも,ほかの受益者がわからないとできないということから,受益者の情報を求める権利が必要ではないかという話が出ているわけでございますが,ここではそういう必要性はわかりつつも,個人情報の保護という観点からその制約を設けることは可能ではないかという仕切りをしているわけでございますので,100分の3ということにした結果,100分の3を持っていない人が帳簿閲覧できない結果になるということは,もし他の受益者に関する情報を求める権利が付与されていない場合には,それは仕方がないのかなという気がするところでございます。

 

 

 

  •  そうすると,この100分の3という方を,ちょっと帳簿閲覧請求権ぐらいは外していただくとか。

 

 

  •  これは一応会社法の規定に倣ってのことでございますので,もしそういう御意見であれば,そういう御意見は,それはそれであり得るというか,検討はいたしたいと思いますが。

 

 

24とのバランスといいますか,どちらをとるかというか,そういう観点はございますけれども。帳簿閲覧は外したほうがいいのではないかということですか。

 

 

 

  •  ええ。と思います。はい。
  •  その場合には,情報を求める権利の方は,任意規定でいいと。
  •  そういうセットになりますね,はい。

 

 

  •  1つだけよろしいでしょうか。

先ほどからの説明もありまして,これまでの説明もそうなんですけれども,最初から,こういう他の受益者に関する情報を求める権利などがもう制限されているような信託だったら,最初から入らなければいいではないかというのは全くそのとおりの側面あるんですけれども,こういう点まで熟慮の上,受益者になるかというと,そういう場合もあるでしょうけれども,そうでない場合決して少なくなかろうという気がするんですね。

 

 

要するに本体部分とは別の細々とした権利が,実は制約されているというところまで,目が届かないまま受益者になるというような場合は,今日の休憩2回ありましたけれども,何回かの前の議論にも若干出てはいましたけれども,信託法以外の問題なのだという図式で本当にいいのかというのは,ちょっと気にはずっとかかっているところでして,そういう意味では,任意法規化するという全体の流れはよろしいのかもしれませんけれども,やはり一定の制約というのをちょっと考えないと,行き過ぎたところが出てくるのではないかなという気がいたします。

 

 

 

特にこの問題に関して言いますと,ちょっとそういう思いが,先ほど発言しましたように,あるなという気がいたします。

 

 

そういう意味では今の100分の3の云々の問題がクリアされたとしても,なおちょっと問題残るのはあるのではないかなという気がいたします。それだけです。

 

 

  •  今もう既にお帰りになった○○委員が言っておられたことですが,今回デフォルトで他の受益者の氏名などを把握することをほかの受益者に認めましょうということにしているんですが,いやそれと逆になぜほかの受益者の名前などが見られることになるんだろうねと,つまり受益者が複数いるんだけれども,何かそこに集団性みたいなもの,あるいは団体性みたいなものが信託においてはあるんだろうか,そういうところに私は若干の疑問があるというようなこともおっしゃっておられまして,それに対しては,私はそれはそれなりに答えはできるのかなとは思ってはいるんですけれども,例えば,今言ったような,つまり受益者間に団体性があるのかというような問いが発せられた場合,どのようなことを考えるべきなのかというようなところ,もし何かございましたら少しお教え願いたいのですが。

 

 

 

  •  今のところに関係するかどうかは,直接関係するかどうかはちょっとよくわからないところあるんですけれども,その受益者がほかの受益者の情報を求める必要性というのは,基本的には,ここには全会一致の原則だということが書かれていますけれども,多数決で決める場合には,やはり多数決で決まったことを,受け入れるといいますか,それが強制されることになる以上,その多数決の意見の形勢については,ある程度,やっぱり参加の機会ではないですけれども,働きかけの機会というのが保証されてもしかるべきなのではないかなという感じがちょっとしております。

 

 

 

それで,実質的には,これ,氏名,名称を必ず知らなければそういう機会が得られないのかどうかという点については,いろいろな制度を設ければ,それにかわるものができるのかもしれないというふうにも思いますし,あるいは,受益者が見られない場合に,ほかの人がそれを閲覧して,代替的なことができるというようなことも制度としてはあり得るのかなという気がしなくはないんですけれども,いずれにしろ,受益者が全くそういった働きかけといいますか,ルートが全くないというのは,ちょっとやっぱり厳しいかなという感じがしておりまして,実は弁護士会で議論したときも,これが全くないというのはちょっと行き過ぎではないかという議論がかなり出ておりましたので,何らかの工夫というものをお願いできないかなと。具体的なあれがなくて申しわけないんですけれども,という気はしております。

 

 

 

  •  すみません。これも基本的に受託者的な立場と言いますか,営業的な感覚からいきますと,例えばここに書いてある24のところの,デフォルトルールとして氏名または名称及び住所であるとか,受益権の内容と書いてありますけれども,例えばこれ開示するんですけれども,これ買いますかというお話を金融商品でしたら,やっぱり私自身が考えても受益権の内容を開示されるというのは嫌だなという人が結構いるのではないかと思うんですね。

 

 

そうしますと,やはり,逆に当然そういうものは重要だというふうに考える方もいらっしゃると思いますので,ここはやっぱりいろいろな信託商品というものがありますので,デフォルトというのを堅持していただけたらなというふうに思います。

 

 

 

 

 

 

  •  大体,御意見が出てきまして,一方で受益者の権利,あるいは受益者たちが集合するという機会を保証すべきではないかというのがある。他方で,幾つかの要素があるんですが,プライバシーとか個人情報の保護の問題,それから信託行為で自由に定められるというのが原則ではないかということ。あるいは受託者としての仕事の円滑というのも,ひょっとしたらあるのかもしれませんが,そういった関係を調整していくということが必要になると思います。

 

 

本日も幾つか出ておりますけれども,その両者を何とか調整する具体的なアイデアとか工夫とかございましたら,ぜひ事務局の方にまた出していただきたいと思います。

 

 

それからもう1つ,任意法規化をどの範囲で認めるのかということが,またこれ大きな問題でありまして,これについては,さらにまた検討していただくということにしたいと思います。

 

 

ほかにこの2つの23,24について,ございますでしょうか。

 

  •  大分以前の議論のとき,信託実体法と業法との関連で,業法において実体法よりも緩めるわけにはいかないという議論が,私うろ覚えであったかと思うんですけれども,もしかしたらこの議論というのは,皆さんの議論はいろいろな側面で議論したかもしれませんけれども,弁護士会的に言えば,民事信託において,だれが受益者か知らないのは変だなと思う反面,○○委員がおっしゃるように,金融商品買ったときに,どこのだれがそれを買っているかというのは別に知る必要もないし,教えたくもないというのはわかりますから,ここではある意味では議論が逆転していて,信託業法の方で,やっぱり金融商品としての方は緩めればいいのであって,ここでの議論はどちらかというと,民事信託的な発想,ですから,受益者多数といってもある意味では少数多数という,複数かもしれないけれども,少数であると,要するに,ぐらいのつもりで議論しないと,この溝は埋まらないのかなと。

 

 

 

もちろん,民事信託でもという議論はあるかもしれませんし,業法と信託実体法がどちらが緩くてどちらがきついということのもともとの,何か原理原則論が別個あるのかもしれませんけれども,一応,かつてその議論があったことによって,どうしてもこちらがデフォルトルールでなくてはいけない,任意規定でなくてはいけないというのは,まず大前提にあるのが,多少議論の出発点であると,今みたいな議論も多少は役に立つかなと思いついたんですけれども。

 

 

 

 

 

  •  そうですね。信託法と業法との関係を含めて考えるということですが,ここはまず信託法のあり方を考えていくと。その際に,今おっしゃったような,今までと違う発想もあるのではないかという,御示唆だと思いますが。

 

 

 

  •  今の点について,簡単にちょっとコメントしますと,必ずしも業法で規制されるべき場合ということと,それから,金融商品等で,受益者の匿名性を求める場合というのは,一致しない場合もあるのではないかなと思いますので,ちょっとそのすみ分けがうまく本当に適応するかどうかというのは,ちょっと慎重に考える必要があると思います。

 

 

 

  •  事務局の中では,民事信託につきましてもこのような規定というのは任意規定にする必要があるのではないかというようなことを考えました。

 

 

その点につきましては,この19ページ以下に書いてあるようなことなんですけれども,具体的に申し上げますと,受益者の中には仲の悪い人がいて,委託者である親が,子の兄弟の1人については,どういう内容の受益権を与えたかということを受益者間同士では知らせたくないというようなニーズも,もしかしたらあるのではないかと,そうだとすると,こういう規定について,強行規定として,絶対受益者間でだれが受益者になったかとか,その受益者がどういう受益権の内容を持っているのかとかいうのを知らせなければいけないとまでする必要はないのではないかなというようなことを考えた次第でして,そういう意味からは商事信託も民事信託も,任意規定とするのがあるべき姿ではないのかなというふうに考えた次第でございます。

 

 

 

 

 

すみれ

「そうなんだ。」

 

 

  •  基本的に任意規定にするということは大体了解が得られていると思うんですが,それをどこまで徹底できるのか,貫徹できるのかという問題だろうと思います。

 

それをさらに詰めていただくということにいたしまして。

ほかにございますでしょうか。

では次に進みましょう。

 

 

  •  申しわけありませんが,もう一頑張りで。前回の積み残し分をやってしまいたいと思いますので,恐縮でございますが,いつまでも積み残しておくわけにもいかないものですから。

 

差止請求権からでございまして,前回資料の18ページからでございます。

受託者の違法行為の差止請求権というところでございますが,試案では,提案1のみを示していたところ,賛成意見のみでございました。

 

 

 

ただし,委託を受けた受任者の違法行為について,受益者の受任者に対する差止請求権を認めるべきかについて意見が分かれましたが,この点につきましては,受任者に対する差止請求については,受益者が前面に出るのではなくて,受任者との契約当事者であり,信託財産の管理を含む信託事務処理をゆだねられています受託者の適切な判断に任せることが信託のスキームに適合的である等の理由から,これは認めないこととしたいと考えております。

 

 

 

次に,新たな提案2にかかわるところでございますが,受託者の衡平義務違反のケースでは,受益者間に不公平が生ずる結果,信託財産全体を見れば損害が生じないものの,一部の受益者には損害が生ずる場合がありますので,損害を受ける恐れのある受益者に差止請求権を認めるべきであるとの意見がございました。

 

 

 

 

 

この意見は基本的に正当であると思われますが,一部の受益者に多少なりとも衡平を欠く損害が生ずれば差止請求ができるとするのでは,信託事務処理の円滑性が損なわれるという恐れがございます。

 

 

そこで,信託事務処理の円滑性の利益の保護と,各受益者の利益の保護とのバランスから,一部の受益者に著しい損害が生ずる恐れがあるときに限って,この受益者に差止請求権を認めることを新たに提案するものでございます。

以上が第28についてでございます。

 

 

続きまして第41の受託者の交代に伴う法律関係でございますが,パブリック・コメントの結果は試案に総じて賛成意見でございましたので,本提案では試案をそのまま維持しております。

 

 

資料の21ページの2以下でございますが,個別意見を踏まえた検討結果を示したものでございます。

 

このうち,最初の(1)のアというところでは,前受託者の任務終了後,権利義務承継前の権限外行為については,取引相手方の保護を図ると。これに対し,権利義務承継後であれば,もはや相手方の保護を図る余地はないという考え方を示しているわけでございます。

 

また,資料23ページの(3)におきましては,共同受託者の一部の任務が終了した場合のデフォルト・ルールの考え方について示しているものでございます。

 

 

特に,職務分掌の定めがある場合につきまして,任務の終了していない方の他の受託者は,職務分掌により,権限外の事項であるから,何もタッチしなくてよいというのではなくて,曲がりなりにも受託者である以上は,相続人等にすら課されている義務の内容,すなわち任務の終了した受託者の行っていた事務のうち,信託財産の保管及び事務の引き継ぎに必要な行為くらいは義務づけることを考えていることに御留意いただければと思います。

 

 

 

 

 

それ以外につきましては資料中の説明に譲らせていただきたいと思います。

 

続きまして第42の信託財産管理人というところでございますが,まず,基本的に賛成意見が多数を占めておりますが,試案におきまして,共同受託者の一部が欠けた場合にも信託財産管理人の選任を認めておりましたが,この提案では,全部が欠けた場合のみに選任を認めることとしております。

 

 

また,裁判所に対して,受託者の辞任または解任の請求がされたに過ぎない段階でも,信託財産管理人を選任することを認めるかにつきましては,試案では検討事項としておりましたが,この提案では消極的に考えております。

 

これらの点についてのみ,簡単に御説明しまして,あとは資料中の説明に譲りたいと思っております。

 

まず,試案を改めまして,受託者の全部が欠けた場合に限ることとしたという点でございますが,これは資料26ページのイというところに詳しく書かせていただいておりますが,簡単に申し上げますと,共同受託者の場合におきましては,職務分掌の定めがないときは,受託者の一部が欠けても残りの受託者が信託事務の処理をすればよいので,問題は職務分掌の定めがある場合でございます。

 

 

しかし,職務分掌の定めがある場合におきましても,残りの受託者に対して,任務が終了した受託者の行っていた職務のうち,信託財産の保管及び引き継ぎに関する事務を行う義務は課すことを考えておりますので,そうであるとすると,これに加えて信託財産管理人の選任の余地まで認めておく必要はないと考えられるわけでございます。

 

 

 

そういうことで,受託者の一部が欠けた場合については,信託財産管理人の選任は認めないというふうに考えを改めたものでございます。

 

 

次に資料の27ページの(3)のところになりますが,試案の(注1)というところで書いていたんですが,裁判所に対して受託者の辞任または解任の請求がされたに過ぎない段階でも,信託財産管理人を選任する余地を認めるかどうかにつきまして,検討事項としておりました。

 

 

この点,パブリック・コメントでは意見が分かれておりますが,1つは,受託者の権限を失わせることになる信託財産管理人の選任には相応に慎重な判断を要しまして,辞任,解任の申立てがあったに過ぎない段階で,この判断をすることは容易ではなくて,相当の審理時間を要すると思われるということがございます。

 

 

 

そうだとすると,むしろ非訟事件であります受託者の解任の裁判を経た上で,信託財産管理人の選任の要否を判断するというプロセスをとっても,時間的なロスは少ないと思われるわけでございます。

 

 

そういうことで,この問題について,あえて申立てがあった段階で,管理人の選任を認める必要性というか,緊急性というか,そういうことはないのではないかということで,消極に結論しているわけでございます。

 

 

もっとも,このような非訟事件を本案とする保全処分の申請は認められないと,信託財産管理人と同様,職務代行者の選任も認められないと考えておりますが,他方,選任決議の無効確認の訴えですとか,受託者の地位不存在の確認の訴え,これは訴訟事件でございますので,これを本案として,受託者につきまして,民事保全法上の職務執行停止,代行者選任の仮処分の申請をすることは可能と考えられます。

 

 

したがいまして,この場合の職務代行者の権限等につきましては,結局規定を整備する必要があるものと考えているところでございます。

 

 

続きまして,第49の被指定者による受益の拒絶の説明をさせていただきます。

 

 

この提案は,前回までの部会で,受益権は権利の総体であるとの位置づけをとることとした結果を踏まえたものでございます。

 

一般的に権利の放棄は自由ですが,放棄の効力は遡及しないと考えられるわけでございます。しかし信託では民法の一般原則と異なりまして,受益者として指定された者は,受益の意思表示をすることなく,信託の利益を享受できることになるわけでございます。

 

 

 

そこで,被指定者が信託の利益の享受を自己の意思に反して強制されるものではないということを明らかにするために,被指定者は受益を拒絶する旨の意思表示をすることができることと,その効力は第三者の権利を害しない限度で,遡及するということを明文化したものでございます。

 

 

 

なお,このように受益の拒絶がされますと,被指定者は,既に給付を受けた部分については,不当利得として信託財産に返還することになりますし,被指定者の受益権は,当初から消滅することになりますので,ほかに受益者が指定されない限り,その信託は目的不達成により終了することになると考えております。

 

 

 

なお,被指定者は,過去の利益は享受した上で,将来の信託の利益のみ拒絶するという選択肢をとることも可能だと考えております。これは,法律的には一般的な債権の放棄というか,債務の免除と,特に異なるところはなくて,将来の受益債権の放棄ないし受益債務の免除と構成されることになると思われますが,いずれにいたしましても,この場合は受益権は将来に向かって消滅しまして,他に新たな受益者が指定されない限り,当該信託はやはり目的不達成により終了することになると考えております。

以上でございます。

 

 

 

 

 

 

  •  全部で4項目ありますが,最初に28の差止請求権についていたしまして,その後41,42をまとめてして,最後に49というふうに進めたいと思います。

 

 

まず,差止請求権について,御意見ございますでしょうか。これは新たに入ったのは,2の公平義務違反の場合ということですね。特にこの御提案でよろしいというふうに受け賜ってよろしいでしょうか。

 

それでは,28については,この御提案ということで。

それでは次に,41と42,受託者の交代,それから信託財産管理人について,御意見お出しいただけますでしょうか。

 

 

  •  意見というか,確認的なところなんですが,たしか包括承継か個別承継かという議論を以前したときに,これは個別承継であるというような話だったかと思うんですが,41の方で,新受託者が権利義務を選任のとき,就任したときに引き継ぐということで,信託財産の帰属と権利義務がずれるのはやむを得ないというような理解なんでしょうかというような確認です。

 

 

それからもう1つはちょっと違うんですが,3の方で,ノンリコースローンをしていたときで,受託者の交代があったときに,前受託者が固有財産を持って弁済の責任を負うと書かれているんですが,そういう場合は違うという,通常の場合を前提としているのであると,こういうふうな読み方でよろしいのかどうかと,その辺を確認したいと思いました。

 

 

  •  前者に関しては,信託に関する権利及び義務の承継というのは,信託財産の移転も含めておりますので,権利義務の承継時点と財産の帰属時点はずれないということになると思っております。

 

 

  •  では,権利は移るけれども,もし残っていればそこに対して承継に基づく引き渡しがと,そういう……。

 

  •  そうですね。そのときに信託財産の所有権も前受託者から新受託者に移転するということになるわけでございます。

あと,もう1点は,すみません。3の。

 

 

  •  すみません。つまらない質問かもしれませんけれども,債務の3のところで,前受託者が,ノンリコースローン,信託財産のみを引き当てとする借り入れを信託がしていたときに,承継したときにはその約定どおり,別に固有財産で債務を負わないという理解でよろしいでしょうか。

 

 

 

  •  それは(注3)の信託財産のみを責任財産とする債務というのと同じということになりますので,限定特約があるときも負わないと。新受託者にのみ移るという理解でございます。

 

 

  •  わかりました。

42の方でもよろしいですか。

  •  はい,どうぞ。

 

 

  •  似たような質問なんですけれども,信託財産管理人はあくまで管理するだけであって,その所有権までは取得しないというような,たしか以前の説明であって,そのとおりかなと思うんですけれども,それでも,管理人として保存行為をするというような,以前の議論の確認なんですが,ということでよろしいんでしょうか。

 

 

すみれ

「信託財産管理命令が出て、信託は止まるってことかな。」

 

 

  •  そのとおりでございます。

 

 

 

 

  •  そうすると,前受託者といいますか,任務を終了した受託者のところに所有権が残っていて,その受託者が取引行為をすると,これは,きょうも随分議論しているところの,重過失がない限りは取引の相手方は保護されるという規律から,全く外れてしまって,所有名義は残っているけれども,本来一切権限がない財産で,なおかつ受託者でもない財産の取引という,それがどう保護されるかわからないんですけれども。

 

 

 

  •  資料中に書いたかと思うんですが,任務は終了したけれども,まだ新受託者が選任されていない段階では,所有名義が残っておりますので,その場合には……すみません,信託財産管理人が選ばれてしまった後ですか。

 

  •  そうですね。
  •  そうすると,全く無権限になるわけですね。

 

 

  •  所有名義は残っているけれども無権限。

 

 

  •  この資料中の説明は,信託財産管理人が選任される前の段階だと,まだ保管の限度での権利義務は残っているので,権義違反ということだったんですが。信託財産管理人が選ばれると,名義人ではあるけれども,全く無権限ということですね。そこはどうなるのか,ちょっと考えさせてください。

 

 

 

  •  今の点は,信託財産管理人が選ばれていない場合については21ページに,前受託者がどうなるかというのは出ているわけで,信託財産管理人が選ばれた場合にどうなるのかというのは,今の御質問であったわけですね。

 

 

  •  そうですね。
  •  第42の信託財産管理人の(注6)ですが,この職務代行者につきまして,選任の要件について,どのようにお考えになっておられるかということと,その終了時期について,どのようなことを今の時点でお考えになっているのかというあたりをお聞かせいただければと思います。

 

 

  •  私の方からお答えします。

まず,職務代行者の選任の要件につきましては,民事保全法23条2項と同じ要件であるというふうに考えております。ですので,それ以上でもそれ以下でもないということになると思いますけれども。

私がもしかしたら問題意識を理解していないのかもしれませんけれども。

 

 

 

  •  その御説明ですと,受託者の解任を本案とする仮処分というような御説明だったように思うんですが,この要件が参考になるという理解でよろしいんですか。

 

 

  •  ここの説明のところで書いておりますのは,受託者の解任を本案とするようなものではなくて,例えば選任決議無効の訴えを本案とした場合に,民事保全法23条2項に基く代行者の選任ということになりますので,そう考えますと,民事保全法上の要件に当てはまる。一般の民事保全の話というように考えているんですけれども。

 

 

 

 

  •  私の説明がちょっと不正確だったかもしれないんですが,解任の申立ては非訟事件なので,保全の本案にならないと。これに対して,当初の選任決議の無効確認の訴えとか,地位不存在確認の訴えというのは訴訟事件なので,そういうものを本案とする職務代行者の選任というのは普通の民事保全法23条2項に乗ってやっていくということでございますが。

 

 

 

要件は,民事保全法と特に変わるところはないというふうに考えております。

  •  終了時期についてはいかがでしょうか。

 

 

  •  終了時期につきましては,例えば本案で結論が出たというものであれば,また民事保全法一般の要件として終了するということになるかと思いますけれども。

 

 

  •  裁判所の方で実際に審理されるお立場で,今ので大体大丈夫でしょうか。

 

  •  この職務代行者というのは,受託者解任の裁判の継続中に,信託財産管理人を選任できないという,間隙を埋めるための制度という理解でよろしいんですか。

 

 

 

 

  •  いえ,前はそういう提案をしていたんですけれども,受託者の解任の申立てというのは非訟事件ということになりますので,その非訟事件を本案として民事保全法上の職務代行者というのは選任できないというふうに考えまして,さらに非訟事件を本案として特別の保全処分というものを設ける必要があるのかどうかということも,以前は検討しておったのですけれども,きょう○○幹事の方から説明ありましたとおり,そういうものを結局非訟事件類似のものとして設けたとしても,受託者を解任するという場合の判断とほぼ変わらないということになりますので,そういう形での職務代行者なり,信託財産管理人というのの選任は認めないというように,考え方を改めております。

 

 

 

  •  そうすると,結局,特別の規律というよりも,民事保全法に乗るようになったということでございますね。

ほかに41,42についていかがでしょうか。

大体,それでは,この御提案,これ自体が41については,要綱試案から変わりがないわけですし,42についても若干の修正はありますけれども,今御説明いただいたというようなことで,よろしいでしょうか。

それでは,41,42については,こういうことで,最後49,被指定者による受益の拒絶についてですが,いかがでしょうか。

 

 

 

  •  私が,初歩的なこと理解していないがための発言になるかもしれません。お許しください。

 

 

まず1点は,これは他益信託にかかわることと理解いたしました。そうだとしますと,次に,この他益信託の受益者である第三者は,信託の利益を享受することに確定する方策は特にないように思うんですが,それは必要がないというふうに考えられたのでしょうか。

 

 

 

享受しない旨の意思表示をすると,そこで決まるわけですが,享受する旨の意思表示は必要ないと。しかし,享受する旨の意思表示をしないままずっといくと,いつでも享受しない旨の意思表示ができるということになりますでしょうか。

 

 

 

 

  •  利益の享受については,意思表示を要しませんので,ずっと黙っていればもらえて,いつでも放棄すれば遡及的に放棄ができるという考え方でございます。

 

 

  •  それはそれで,論理的には一貫しているようなんですが,そして確かに何か不都合が生ずるかと言われると,だれも痛まないのかもしれませんが,何かやや不安定な感じが,直感的にはするんですが。

 

 

  •  知っていてもらっていてという場合なら,放棄が権利濫用みたいな,放棄と言ってはいけないですね,拒絶の意思表示が権利濫用みたいなことはあり得るのかもなという気はいたしますけれども。

 

 

 

  •  それはもう,この外で,一般的な民事法の権利濫用の考え方でいくと。
  •  特に受益者の受益の意思表示というような文言持ってこない限り,権利濫用でいくしかないのではないかと思います。

 

 

 

 

  •  仮に考えますと,もう一歩進むと,この1の,享受をしない旨の意思表示をすることの放棄みたいなことがあり得るかなと。しかしそれは煩雑かなと,私も固い意見があって申しているわけではないんですけれども,権利濫用の一歩手前か一歩先にはそういうものもあり得るかなと思ったんですが,それは必要ないだろうというお考えですか。

 

 

 

  •  そこまでは必要ないのではないかと考えております。
  •  最初に申し上げた自益信託ですと,それで受益をすることを覚悟というか,当然意図しているから,この規律いらないということだと思うんですが,他益信託の場合にも,それと実質的に同様の場合というのはあるのではないかなというふうに考えたからであります。

 

 

 

 

  •  恐らく,そういうのはあっていいんだろうと思うんですが,ただそれをあらわすほどのものなのかというか,それは一般的に,放棄すると,ある種の権利を行使しないということ,それはあってもいいと思うんですけれども,明記するかというようなところの感覚の問題かもしれませんが。

 

 

 

つまり受益を拒絶しないという意思表示に,何らかの効力を認めるというのは,あってもいいんだろうとは思いますけれども。

 

 

  •  ちょっと最後まで詰めて考えていないんですが,受託者に立たれる側の方に伺いたい面もあるんですけれども,補償請求権が受益者に対しては,原則できないということになりましたから,問題は生じないのかなと思うんですが,何か受益者にチェリーピッキングと言うんでしょうか,うまくいけばそのまま黙っていて,何かだめになると,ずっとたった後で放棄と言って遡及してしまうと。

 

 

それは,最後は権利濫用で封ずることができるのかもしれませんが,何かちょっとそれが気になったところがあります。

ですが,ちょっとこれ以上は,具体的な意見があるわけではありませんので,結構です。

 

 

 

 

  •  今の○○幹事のお考えというのは2つがあって,不安定なのがよくないというのと,それから,受益者が選択をして,後になって拒絶することで利益を得るのがおかしいというのと,両面ありますね。
  •  おかしいですね。そうですね。

 

 

  •  両方の意味で,もう少し考えた方がいいという御意見かと思いますが,場合によっては,もっと早期に確定した方がいい。つまり,消極的に規定するのではなくて,受益の意思表示の方から規定した方がいいと,そういう御意見ですか。

 

 

  •  いえ,そうではございません。そうではございませんで,パブリック・コメントの中にあったという29ページの下から2つ目のパラグラフの,被指定者が相当の期間にわたって受益者として行動している場合には,放棄できない場合があり得るのではないかというのが1つと,それから,あともう1つは,今既に申し上げたように,信託の利益を享受しない旨の意思表示をすることの放棄というのがあり得るかなという,その2つです。

 

 

 

 

  •  すみません。もう1度繰り返させていただきますけれども,あり得ていいんだと思うんですが,それは例えば,ある種の権利を与えたというときに,その権利の放棄ができるというのは,何か当たり前のような気がして,だから要らないのではないかと。

 

 

 

ここであえて受益の拒絶というのを書いているのは,普通の権利放棄ではなくて,遡及的に何か権利を取得しなかったということだから書いているのだと思うんですね。

 

 

 

今○○幹事がおっしゃっている,享受をしない旨の意思表示をしないということすらも,一般法理の世界で,先々行使しないからというのは,それは当然できるのではないかなという気がするんですが。

 

 

 

 

  •  それは要求されると。わかりました。それでしたら結構です。
  •  ほかにいかがでしょうか。

 

 

では,この49につきましても,今,御指摘をいただきまして,内容がさらに明確になったと思いますので,大体このあたりで。

どうぞ,○○幹事。

 

 

 

  •  大変細かいことで,今ちょっとお伺いをしていて,何となく実質論として若干違和感があるというところはあって,例えば履行請求までしている受益者が,後ほど拒絶の意思表示をすると,いうようなものが,でも禁反言とするほどのこともないのか,後から返してもらっても,別にそうたいして,受託者としては,変えてくる分には手間ではないというようなことでいいのであれば,濫用でもないということで,実質はそれでいいのかなという感じはするんですが,若干,自己の前の行為と矛盾しているという感じがするときに,法定追認的なものが入ってもいいのではないかというのは,何となく理解はできるところ。

 

 

 

 

もう1つ,すみません,これ拒絶の意思表示なのか,放棄なのかというところなんですけれども,確かに,さかのぼってやるという分は,最初からなかったことにという意味で,受益の意思表示をしない,拒絶の意思表示をするという説明の方が適うようにも思うんですけれども,他方で能動的な行動をしていた場合に,いわば一たんは権利取得をしたけれども,放棄をするという説明の方がなじむ場合もあるのかなという気がしまして,ただ何か,口座に振り込むというのは口座情報出さないと無理でしょうから,何らかの権利行使的な行為をしていて,しかしそれはなかったことにというのは,これ放棄になじむと思うんですが,それを拒絶の意思表示というふうにしてしまうと,まさに矛盾していないかという話が出そうな気がしまして,すみません,内実に反対しているわけではないのですが,ちょっと若干いろいろ気になるところあるのかなと。どういう説明をするかだけの問題かもしれませんので,何が気になるかまた改めて整理させていただきたいと思いますけれども。

 

 

 

 

  •  言葉遣いの問題とかの関係かなという気もしますが,御指摘を踏まえてちょっとどのように記述するかについては検討したいと思います。

 

 

 

  •  権利濫用でいくのか,信託の利益を享受しない旨の意思表示をすることの放棄なのか,それとも自己の先行行為に矛盾するという信義則で否定するのかということの整理をしていく必要があると思います。

 

 

 

先ほど法定追認ということもおっしゃいましたが,それも1つの構成をとったことが前提になるのかなという気がいたしますので,さらに検討して詰めていただくということでお願いしたいと思います。

 

 

ほかにございますでしょうか。

それでは,随分遅くなってしまいましたけれども,ないようでしたら,この程度にいたしまして,あと次回。

 

 

  •  では次回,2週間後の18日1時から,またこの会議室でやります。よろしくお願いいたします。

-了-

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すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。おおかみこどもの雨と雪観ました。」

 

フェルメール20160308