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2016年加工編  法制審議会信託法部会  第23回会議 議事録
2016年02月29日

2016年加工編

法制審議会信託法部会

第23回会議 議事録

 

 

 

第1 日 時  平成17年10月21日(金)  自 午後1時03分

至 午後6時40分

 

第2 場 所  法務省第1会議室

 

第3 議 題  信託法の見直しについて

 

 

 

第4 議 事  (次のとおり)

 

 

 

議        事

 

  •  それでは,これから法制審議会の信託法部会を開催したいと思います。

前回の積み残しも若干ありますので,それを含めてまた適宜区切って行っていきたいと思いますが,最初にちょっとお断りをしておきたいのですが,私が大学の仕事の関係で途中で退席をさせていただきまして,その後,議論が残っていた場合には○○委員に部会長代理として議事の進行をお願いしたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。

 

 

  •  最初に,審議スケジュールのことでお手元にお配りしました紙について御説明いたします。おかげさまで部会の審議も着々と進んでいるわけでございますが,しかし,御承知のとおりなお議論すべき論点も多々ございまして,あくまで予備日という位置づけではございますが,1月20日ということで,部会長とも相談の上,案として提示させていただきました。

 

 

予備日とはいってもほぼ確実な予備日ではございますが,ただ実質的な議論は12月中に終えまして,1月20日は実質的議論はほとんどないものを期待しているところでございますので,そういうことで1月20日を追加するということで御了承いただければと思いますが,よろしいでしょうか。

 

 

では,そのようにさせていただきますので,どうぞ御協力をお願いいたします。

 

 

  •  では,本日の議事に入ってください。

 

 

  •  それでは,本日の議事でございますが,まずは前回の積み残しからやらせていただきたいと思います。前回の最後の時間で,信託管理人等と受益債権と信託債権との優先劣後関係,それから営業信託の商行為性と受益権の有価証券化,この4つについて御説明いたしまして,信託管理人等につきましては議論が終わっていると承知しておりますので,本日は前回途中になりました受益債権と信託債権との優先劣後関係からまた御意見をちょうだいできればというふうに思っております。

 

 

  •  それでは,積み残された議論につきましていかがでございましょうか。

優先劣後関係につきましては,これもかなり理論的には重要な問題だと思います。

 

 

従来余りはっきりしていなかった点でございますが,ある程度明確にし,まだ解釈でいろいろ多少グレーゾーンが残るかもしれませんけれども,大体こんなところでいいかどうかということですね。

 

 

では,○○委員から先にどうぞ。

 

  •  前回の議論の続きということでちょっと確認ということですが。優先劣後に関して,議論の土台を明確化してほしいという問題提起をしたわけでございますが,その後に○○委員の方から,例えば株式会社における違法配当の場合には結果として債権者が株主に対して取り返すことができることがあるという御指摘であるとか,あと○○関係官の方から債権の方に有限責任性があるというような指摘があったと思いますけれども。

 

 

ただ,もちろん受益債権と信託債権についていろいろな制限があるということは承知しておりますが,ここで多分議論すべきということはそういう特質は別として,じゃあ,例えば倒産した場合に配当表において一義的にそれが劣後債権となるのかどうかというその基本的な考え方をここで議論するのがよいのではないのかなと,そういう問題提起でございます。

 

 

ちょっと前回の意見を再度繰り返させていただきました。

 

  •  そうですね。私が申し上げたのもある程度そういうことなんですけれども,これ細かい問題はいろいろ残るかもしれませんが,基本的にはどういう立場をとるのか。

 

 

ただ,基本的といいましても,この受益権が具体化する前と具体化する後で違うかもしれませんので,そういうことも含めて,しかし,基本的な考え方を一応ここで確認しようと,そういうことです。

 

では,○○委員。

 

  •  ちょっと前回の繰り返しになるので一言だけで。やはり理論的なというと大げさですけれども,ちょっと理屈の面での幾つか指摘を前回させていただきましたけれども,ぜひその辺についてクリアにならなければなかなか難しいのではないのかということと--これはほぼ前回の繰り返しですけれども。

 

 

あと,ちょっと別の研究会で議論したときに出た議論なんですけれども,例えば既発生の信託債権といってもいろいろなバリエーションがあり得るのではないかということ考えられると思います。例えば実際に信託の解約で済むようなもの--例えば信託元本を10年に分けて10回ずつ払いますと。

 

 

 

 

ですから,収益部分の株式配当のような収益部分に対する信託元本を配当しますと,配当といいますか配りますと。ですから,その信託の解約でもいいと思うんですけれども。

 

 

じゃあ,それがどの時点で既発生で,どの時点で未発生なのかとか,いろいろなバリエーションがあって,それぞれについての優先劣後を考えていくんだろうかというようなことも考えます。

 

 

 

また,理論的に,民法の世界の議論かもしれません,理論的に債権について優先劣後を設定するというのは極めて困難な問題が多いのではないか。

 

 

私の投資実績,例えば中間法人の出資とか債権だと思うんですけれども,そういうのに関しては例えば払い戻しができないとか,要するに弁済をしないという形で優先劣後性をある程度担保していると思うんですけれども,信託債権についてはそういうことはもともと意図されているものではありませんし,株式についても本来出資したものは戻ってこない立て付けになってますけれども。

 

 

信託というのはやはり受益者に配当して初めて意味があるわけですから,それに対して一般的に劣後ですということにしたときの弊害もありますし,それは考え方というか政策的理論だからいいですけれども,理屈の面でなかなかすべてのシチュエーションに立法的に対応するというのはどうしても漏れが出てきてしまうのではないのかなと,こんなふうに思いますけれども。

 

 

  •  重要な御指摘だと思います。なかなかすべてを見渡した上でどういうルールが建てられるのかということだと思いますけれども,なかなかそれが難しいであろうと。

 

 

特に優先劣後をつけるとなると難しいだろうと,そういう御指摘ですね。

ほかに御意見ございますでしょうか。

 

 

  •  パブリックコメントの結果をちょっと見せていただくと,この点については必ずしも甲案支持が圧倒的多数というふうに私感じませんで,乙案を支持している意見,あるいは補足,どちらでもないけれども,いろいろな意見が寄せられているわけですけれども。それ踏まえて,ちょっと意見というよりは質問になってきてしまうかと思うんですが。

 

 

 

提案の中で乙案の方の注として,乙案を採用した場合において信託行為によって劣後特約が一律に効力を有しないことにはならないことを前提としているというようなことを書いてあるんですが。

 

 

甲案についても,特約による同順位の合意を強制力あるものだという形で認めるということはできないんでしょうか。

 

 

 

 

甲案について合意による同順位化を認めるというふうなことにすれば,ひょっとしたら恐らく,いろいろな意見を提出された方はいらっしゃるかと思うんですけれども,大多数の方の,少なくとも実務面でのニーズは満たされてくるのではないかなというふうな気がしておるんですけれども,いかがでしょうか。

  •  どうぞ,何か。

 

 

  •  甲案の場合ですと,信託行為で定めたことによって信託債権を劣後させるということはできませんけれども,ただ個々の取引において受託者と信託債権者が合意することによって受益債権と同順位するという特約もすることは可能だと考えております。

 

 

ですから,契約ごとにやらなければいけないという手間はかかりますけれども,そういう特約も当然できるのではないかという前提で考えております。

 

 

  •  よろしいですか。そこまでは恐らく甲案を指示される方も大体認めてくださると思っていますけれども。甲案というのは,私が言うべきことではないかもしれませんけれども,信託実務などではある程度こういうものだという前提で考えてきたものでありまして,そういう意味ではどういう順位にするという立場は多少実務的な感覚からするとかなり大きな変更を強いられるというところがあるわけですね。

 

 

 

ただ,理論的に甲案というのは難しいということになってしまえばもちろん甲

案はとれないと思いますけれども,いかがなものでしょうか。ほかに御意見ございますか。

○○委員などはどういうふうに。信託協会はもう既に御意見が出ているかもしれませんが。

 

 

  •  信託協会というふうにいいますと意見が割れておりますので,明確にどちらかということは言えないんですけれども。いわゆる実務的感覚といいますか,今まで信託業界にとってはやはり甲案といいますか劣後するというような感覚のもとで実務を行ってきたというところがあります。

 

ただし,やはり乙案のところのよさというものもありますので,今のところは業界内で議論していても両案あるというところですので。

 

 

  •  確かにどちらも特約である程度乙案から出発しても優先劣後つけることはある程度できるし,甲案から出発しても同順位にする特約もある程度可能であるというので,両者はかなり接近はするんでしょうけれども,非常に細かいことをいうといろいろそのしやすさというか,難易度があったりするんだと思いますが。

 

 

ここでの御意見は,甲案,乙案,相半ばしているとそんな認識でよろしいんでしょうか。今までもし御意見を言っておられない方は,あえすどちらを強く支持するほどではないというそういう御意見だということでございましょうか。

 

はい,○○幹事。

 

 

  •  どちらを支持するというわけではないんですけれども,解釈論的にはいろいろわからないところがありまして,もちろん債権について責任財産限定特約がついている場合とついていない場合で大分利益状況が違うんだと思うんですが,仮に受託者が債権者に対して固有財産から弁済したということになりますと,その求償権というのは現行法ですと他の債権者が先立つことになるわけですよね。

 

 

そうなりますと,その信託債権より恐らく勝つんじゃないかなという気がするんですが。

 

 

それでいいのか,そういう解釈論でいいのかというのが1つ前提にありまして,そうなりますと甲案かなというふうに思うんですが。

 

 

先ほどから出ております特約との関係でそのシステムというのがどういうことになるのかというのがちょっと頭の中で整理がついておりませんで。

 

 

つまり,債権者同順位であると,破産状態では同順位であるというふうになったときに,では,受託者が固有財産から支出したということになりますと,その求償権というのは同順位であるという性格を持った形で生じるというふうに考えないと,受託者が弁済すると債権者がといいますか,同等ではなくなるという,受益債権の額が減っていくということになりますので,その辺もちょっと解釈論的にはよくわからないですね。

 

 

さらにもっと言えば,これ私発言したのかだれかの発言なのか思って書いたかわからないんですが,私のところのメモには受益債権に担保を信託財産からつけたらどうなるのだろうかという鉛筆書きのメモがあるんですが,これはどなたかが発言されたのか,自分が思ったのか,2週間たつと全部忘れてしまいますのであれなんですけれども。

 

 

 

そういうときにはどうなるのかなというのがわからないんです。私は基本としては甲案の上でそういうふうなところについての解釈的な整備をしていくということなのかなと思っていますが。

 

 

 

  •  ほかに,○○委員,どうぞ。

 

  •  私も甲乙どちらかというわけではないんですが,甲案が理論的に不可能かというとそれは必ずしもそうでもないんじゃないかという気がいたします。

 

 

すべての債権は平等であってという原則があるのかもしれませんけれども,しかし,それは一定の場合に比例弁済を受けるということであって,政策的にあるカテゴリの債権を優先するあるいは劣後するということはできなくはないんじゃないかなというふうに思います。

 

 

ですから,最終的には実務の御要請との関係にも立つと思いますが,理論的に甲案が不可能だというわけではないのではないかと思います。

 

 

  •  ○○委員。

 

 

  •  基本的というところで○○委員に反論するのは極めて大変なチャレンジなんですが。

 

先ほど○○幹事もおっしゃられた,債権だと担保つけられますけれども,そのときに一般債権との関係で担保実行しようとしたときの関連はどうなるんだろうかということと。

 

 

あと,前回も申し上げたかと思うんですけれども,年金なんかであり得るかもしれません,ずっと配当していって企業が破綻して,最後の方の配当をしようとしたところにちょっと足りなかったと,信託債権も残っていたというような状況のときに,以前に配当された方々は不当利得,全員といいますか比例配分でしょうけれども,不当利得になると思うんですね。

 

 

実行の理論は別としまして。そういう場合に,政策的にそれでいいのかという議論もありますけれども,これは政策の議論なんですかね。

 

 

そういうことになるとすると,結局最後まで銀行の劣後ローンとかそういうのもそうですけれども,要するに債権に順位があるというとやはり既に上位債権は全部払った後に初めて払うというところまでその優先劣後性というのが担保されることになるんじゃないかと思うんですけれども。

 

 

ちょっと後者の方がやや理論的なのかもしれませんけれども。政策的かもしれませんけれども。配当管理の点,○○委員が書かれた信託協会のところにもちょっとその辺の議論はされていたと思うんですけれども。

 

 

それは強制執行との関連でもそうやっていうんですが,その辺はどういうふうに理論的に解決されるのかお伺いできればと思うんですが。

 

 

  •  何かございますか。
  •  その優先劣後が一体どの舞台,場面で出てくるかという問題だと思うんですね。それで,その執行の場面でどういう順位をつけるか。それは,実体法ルールに従って配当するということになると思うんです。

 

 

それから,破産の場面でどう扱うのかというような,その場面場面で優先劣後が決まってくるわけでして。それぞれの場面においては,優先劣後というのは政策的に決まり得ることだろうと思うんです。

 

 

そうしますと,一律にある債権について優先させられ劣後させるということが絶対に不可能だということにはならないだろうということです。

 

 

  •  わかりました。どうぞ。

 

 

  •  ○○委員がおっしゃっている,○○幹事がおっしゃったところなんですけれども。劣後するという前提のもとでの受益債権に担保をつけるというのがおかしいのではないかというか,どうなるんだろうということなのですが。

 

 

すみません,ちょっとよくわからなかったんですけれども,一般債権に担保をつけることは可能で,そうすると労働債権と優先権のある債権が結局優先していってしまうわけなんですけれども。

 

 

それとはちょっと違うことになり得るだろうということなんでしょうか。つまり,抵当権なら抵当権の効力が勝つのは当然なのかなという感じがいずれにしてもするのですが。

 

 

  •  劣後に担保がついたときに一体順位がどれぐらい繰り上がるのかという議論だと思うんですね。それは倒産の手続の中に入っても劣後的債権との順位はどうなんだろうかとか。

 

 

劣っているもの同士の中でもいろいろな順番づけがまた出てくると思いますし,担保というのは普通は1ランク上といいますか,担保がつくことによって一般債権よりも優先弁済権が確保されますけれども。劣後債権に優先弁済権が確保された都に一般債権との関連ではまだ一般債権は超えられないんじゃないのかと思うんですよね,一般的に劣後していれば。

 

 

そこも立法的に対応して担保つけた場合には,一般債権よりも上になりますという2段階しますということで対応するのであれば,それは1つの考え方かなと思いますし。

 

 

○○委員がおっしゃるように,それは執行のところで法整備をするということであればそれはそれかもしれませんけれども。理屈では別につけられないんじゃなくて,つけた後の一般債権との順位はどうなるのかという質問なんですけれども。

 

 

 

  •  恐らく一般債権よりも優先権のある債権等々,先取特権ですね,そういうものよりも上にいくというのが抵当権の効力として認められているので,そちらが優先していくんじゃないのかな。

 

 

つまり1個上がる2個上がるという議論というよりは抵当権の効力として優先権のある債権よりも,先取特権よりも上にいく,あるいは一般債権よりも上にいくということにならざるを得ないのかなという気がするのですが。そういう整理ではよろしくないのでしょうか。

 

 

 

  •  それはそれでもいいというか,よくもないんですけれども,気がするんですけれどもね。弁済はされたけれども,受領した後はとっている人が先受領してしまったみたいなことになるんじゃないかなと思うんですけれども。

 

 

ですから,普通劣後債権とか無担保であることが多分前提だと思うんですよね。

 

銀行の劣後や何かで。担保つけるということ自体の,議論自体の整合性がなくなってしまうので。

 

 

  •  今まで余り議論したことのない問題で。

どうぞ,○○幹事。

 

 

  •  感想めいたことで恐縮なんですけれども。一般的にはやはり○○関係官のおっしゃったようなことになるのではないかと。抵当権という形で担保権がついているのであれば,被担保債権が本来は劣後する性格の,もともとは一般債権であれば劣後するものであったとしても,担保債権になっている以上はそちらでカバーされるのであれば,優先的な地位がそのまま付与されることになるのではないかと,破産手続後に発生した利息ですとかそういうのは本来劣後的な破産債権でなるところ,被担保債権であればカバーされるということになるのではないか。間違っていたらまた訂正していただきたいのですが。

 

 

 

ただ,○○幹事のおっしゃった点は,本来資本的なというか,そういうような性格であるものについておよそそのような優先的地位を付与することが受益債権の性質に反しないかという問題提起ではないかというふうに思いまして。例えばこういうことがあるのかわかりませんけれども,株主の地位から発生する一定の請求権を被担保債権として抵当権をつけることができるのかとか,約定劣後破産債権になるようなものに論理矛盾に近いわけですけれども,担保権をつけることができるのかとか。

 

 

そういう点から出てくる御議論なのではないかと思います。

 

 

 

ただ,その点につきましても,もともと甲案であれ乙案であれ,合意によって債権の順位を左右するということは可能であるという前提で,したがって,もう少し高くするということは妨げられない,あくまでデフォルトの問題だという整理をしているということと受益債権というのはやはりそういう完全なエクイティーよりはもう少し操作性の余地のあるものと。

 

 

ただ,それによって実質的に劣後する人の合意なくして設定できてしまうということが若干嫌らしい面はあるのかもしれませんけれども,そういうふうに考えますと,○○関係官のお答えのようなことになるのではないかというふうに今は理解しております。

 

 

 

 

 

  •  ○○委員も同じ問題に関連してでしょうか。
  •  ちょっとごめんなさい,混ぜ返す話になるかもしれませんけれども。劣後という意味がやはり大切であって,例えば劣後債権と相殺をするという場合に,例えば一般債権と劣後債権と相殺を考えるときに,例えば相殺適状状況が劣後債権の方が早かった場合に相殺してしまったというときに,結果としてどちらが優先しますかというと劣後債権が優先することもあるわけです。

 

 

 

また,劣後といっても例えば銀行劣後債みたいに劣後のやり方として停止条件付きな劣後債権ということであれば,そもそも担保をつけたとしても当該被担保債権が発生しないからそれは劣後になるという話だと思いますので。

 

 

 

ですから,ここは私のきょうの一番の話と同じで,やはり想定するシチュエーションをどこに置くかということを定めて,基本的にはどう考えるかということを議論しなければ,多分いろいろなパーツパーツでやるといろいろな状況があってそれは違いますよねという議論になるので,非常に混迷するのではないのかなと。実際にその内部で検討したときも非常に混迷していますので。

 

 

そこまでいろいろ議論するのであれば,非常にこの議論,テーマというのは重いというかもっと検討すべきことが多いとは思っております。

 

 

  •  それはおっしゃるとおりでして,今もいろいろなシチュエーションごとに必ずしも同じでなくて多少政策的な観点からもバリエーションがあり得るということでもありますし,すべてを詰めきって議論するというのは非常に大変な問題なんですね,これは。

 

 

そういう意味で理論的に本当にこれで耐え得るかというところはもうちょっと検討しなくてはいけないと思いますけれども,ここでは皆さんの御意見の中で必ずしもどちらでなくてはいけないというほど強い御意見はなかった。

 

 

ただ,理論的にはどちらの方がいいのではないかということで,今,甲案を支持される方と乙案を支持される方とが両方おられるという状態ですけれども。しかし,理論的に十分どちらかでも耐え得るものであればどちらでもそれほど異論はないと,そういう御意見だったというふうに一応理解いたしましたが,それでよろしいでしょうか。

 

 

 

もしそれよろしければ,これは理論的に詰めますけれども,甲案であっても乙案であっても理論的に詰めた結果であればどちらでも構わないという御意見だったのかなと思いますが。

 

 

○○関係官,何か補足がございますか。

 

  •  これはもしかしたらこういう考え方があるのかという程度のお話ではあるんですが。甲案と乙案の違いのところで,特に甲案側からの意見として,会社であれば配当規制のようなものがあるけれども,信託においては一般的に配当規制はとにかく今はないということなので,やはり甲案がいいのではないかというような御意見がありまして。

 

 

あるいは乙案の方がいいという御意見の中にも実は一般の信託においても配当規制,会社と同じような配当規制というのは通常での信託にというのは無理なのかもしれないですけれども,例えば純資産額がマイナスになっているときに,それを超えて受託者が弁済というか,支払をしたというときには,何らか受託者が責任を負うとか,あるいは受益者のところに取り戻しに行くというか,不当利得の返還を請求するというようなこととセットで乙案なんだというようなお考えもあるやに聞いているんですけれども。

 

 

 

その乙案を御支持される,御支持というか,いいかもしれないというような御見解の方の中にはやはりそういうほかの,つまり,ここでどういうようにするというだけにとどまらず,そのほかのもう少し手当とセットで乙案がよいのではないかという意見もありそうだという話も少し伺ったのですが,その辺いかがか,もしよろしければとお話を伺えればという気が。

 

 

 

 

  •  いかがでしょうか。○○委員の意見は少しそれに近いですか。
  •  ですね。私は近いといえば近いし,甲案というのは理屈で成り立たないんじゃないかといまだにちょっと思っているところがあって。

 

 

政策的に甲案の趣旨はわかるし,乙案にとってもセットでという議論もわかるんですけれども。ですから,そういう趣旨だといったらいいんでしょうか。

 

 

  •  わかりました。どうぞ。

 

  •  先ほどの,ちょっと私どもの立場を明確にするために発言するだけなんですけれども。

 

 

どちらでもいいという強い希望があるというわけではないんですけれども,どちらかということであれば,銀行業界としては債権者の立場から立つと甲案の方が望ましいなということは前回の審議でもお話ししましたとおりでございます。

 

 

ただ,強い希望があるのかと言われると,そこはまだ検討中だということでございます。

 

 

  •  わかりました。恐らく御意見の分布はこういうことだと思いますけれども。多少政策的な観点を入れると甲案の方がいいのではないかという御意見が,政策的な観点からは多少多いのではないかと思います。

 

 

理論的に甲案で本当に大丈夫なのかということについての,しかし,御懸念もあり,そういう観点から乙案を支持される方もおられる。意見分布としては大体そういうことなのではないでしょうか。

 

 

 

その政策的な観点からということであれば,甲案の方が支持者は若干多いと。

 

しかし,本当にこれで理論的に大丈夫かということは,まだちょっと詰めますけれども,基本的に甲案でいけるかどうかという観点から議論させていただいて,やはり理論的に難点があるということであれば,また乙案に戻ることはあり得るかもあれませんが。

 

 

とりあえず今の段階でそういう整理をさせていただくということでいかがでしょうか。

 

 

それでは,理論的に本当に大丈夫かという観点から甲案をもう一回詰めていただくけれども,甲案の方で基本的にいくということでよろしいでしょうか。

 

 

はい。それでは,あと営業信託の商行為性と受益権の有価証券化ですね。

 

  •  私ちょっと発言しますと申し上げたので,すみませんけれども,しばらくちょっと発言させていただきたいんですけれども。日弁連としてパブコメで書きましたように,信託業法と信託法はそもそも実体法と業法というので違うんだと,これはだれから見てもそのとおりなんですけれども。

 

 

 

商行為に関する信託法の定義規定,現行法でも今回の改正案でもそうですけれども,と,信託業法における定義規定がほぼ,ほぼというか全くといっていい,同じ表現を使われております。

 

 

それぞれの業法に応じて解釈が違うんだという議論も今後あり得るのかもしれませんけれども,現在のところ信託業法の解釈でも商行為法における解釈と同じ解釈をとられているようでして,昨日も議論したときに国会答弁みたいなところまでいきまして,営利を目的として反復継続ということで,反復継続はしても営利目的が例えば弁護士とかにはならないんじゃないか。

 

 

弁護士である必要はなくてNPOの場合もならないんじゃないかというような議論があったところ,いや,国会答弁においては営利性というのは収支合い償うことというふうに答弁されていると。

 

 

 

それは商行為法における営利性の,商行為の502条の営利性に関する通説の見解ですから,特段それはそれでいいと思うんですけれども。

 

 

 

 

 

そうすると,収支合い償うことということは弁護士が報酬を得てやることということも入ってしまいますし,弁護士ということを強調すると余り皆さん御賛同いただけないかもしれませんけれども。両方とも違う法律だと言いながらも,今申し上げましたように,文言も同じですし解釈も同じだろうということの結論としましては,民事信託においても収支合い償うことが前提で反復継続すればすべて信託業法の対象となってしまうと。

 

 

もちろん,信託業法というのは非常によくできた精緻な法律ですから,それによって悪質な信託行為,信託業が取り締まれるという側面もありますけれども,かたや実体法としての信託が使われればたまたま民間の人が一生に一回やる場合だけであるということですと,ここでの信託法の改正の議論,また弁護士会でも相当時間を割いて議論しておりますけれども,高齢化社会において今度信託法改正によって民事信託というのをいろいろな形で使っていきましょうという議論からすると,ちょっと流れというか方向が違うのではないかと。

 

 

 

 

 

もちろん,民事信託一般について信託業法とは別な形で何らかの規制法ないし規律というものを設けられるかどうかは全然別の議論ですけれども,商事信託を前提としている信託業法が民事信託についてもほぼすべからく適用になってしまうという状況というのはやはり問題ではないか。

 

 

番人

「受託者以外は、信託業法の適用はほとんどないんじゃないかな。」

 

 

 

特に弁護士会としましても今後この民事信託の分野で活躍したいというふうに思っているわけですから,そのときに信託業法の世界に入る。現行法ですと株式会社しかできませんから,弁護士はそこから排斥されているといういうことになります。

 

 

 

 

ということで,両者違う法律なんだということは今申し上げたように,とはいいながらももう理屈の解釈論でも同じなんですよということが1つと。

 

 

それから,じゃあ,例外規定を設けることは解釈論でも可能じゃないですかというのは今回の検討課題での御説明ですけれども,それは今申し上げたように,解釈論,営業についての解釈論というのは商行為法で何か争いがある議論ではなくてもうほぼ確立された一般通説ですから,その中で新たに解釈論を展開するというのは,孤立無援で頑張ることは不可能ではないかもしれませんけれども,普通の弁護士であればそこまでチャレンジングにやるということはあり得ないわけでして。

 

 

ということで,解釈論での対応というのは極めて困難であると思います。

 

 

 

ただし書きのことの適正さという議論もございますけれども,趣旨は違いますけれども,商法502条の本文にはただし書きがあります。

 

 

小規模事業者に関しては商行為にならないというようなただしがありまして。信託業というのはすべからく一般的法的性格として商行為性を帯びているのだということであれば,本来ただし書きがあることが不適切ということになるかもしれませんけれども,信託というのは民事信託から発展して商事信託が盛んであるという現状からしましても,信託行為そのものがそもそも行為として,受託行為するということはそもそも行為として商行為性を帯びているわけではありませんので,という意味においてはただし書きをおくということは502条の立てつけからしましても信託法,信託の受託という視点からしましても,特に不思議ではない,おかしくはないのではないのかなと思います。

 

 

 

あと,また弁護士会で議論したとき,立法例というところまでいきまして,そうすると何か--何かといいますか,手元には資料あるんですけれども--米国のイリノイ州のフィディシャリアクトの中に信託業に対する例外規定として,弁護士業だけじゃなくて幾つか載っているんですけれども,会計士さんとかですね,やはり弁護士の業務として受託をする場合にはそれは例外ですというような例外規定もございます。

 

 

ポリー

「そうなんですね。」

 

 

 

 

ですから,一見弁護士会の身勝手なパブコメのように思われるかもしれませんけれども,決してそんな趣旨ではございませんでして,立法例もありますし,やはり弁護士が今後活躍する,弁護士である必要はなくて,その方,それ以外の正当な業務をされる方々でも適切なただし書きの文言が考えられればそこに含めても構わないと思うんですけれども,商行為に該当しないということを明確にしていただくことによって,信託業法の適用がないということがまた明らかになると思います。

 

 

 

  •  ほかいかがでしょうか。

 

  •  まず,信託はそもそも商行為性がそれ自体あるものではないというお話ですけれども,例えば商法502条を見ますと,寄託の引受とかあるいは作業または労務の請負とか,ここらになってくるとこれもやはり当然に営業行為といえるかと,商事性を帯びるかというと,やはりそうも言えないのではないかという気がしますので。

 

 

信託だけ特別扱いできるかというのは商法502条との関連でいうとなかなか難しいのではないかなという気がするというのがまず1点でございます。

 

 

それから,おっしゃるとおり,弁護士の方とかNPO法人が民事信託のために活躍していただきたいというのは,それは発想自体は非常に歓迎しているところでございますけれども,じゃあ,どこまでの範囲が主体が果たして商行為性を省かれるのかという規律の仕方も難しいところでございますし,民事信託という言葉自体もなかなか定義しにくいというところがございまして。あとは仮に少額の報酬であっても,1件10万円とかそういうのでも反復継続して民事信託やればやはりそれは商法の観点からいうと商行為と言わざるを得ないのではないかなという気がしているのでございます。

 

 

 

 

 

○○委員のおっしゃる趣旨は,問題はむしろ商法あるいは信託の引受が営業的商行為になるというところではなくて,むしろ業法が弁護士の方が活躍するにあたっての支障になると,そちらの方の問題ではないかなという気がするわけでございますが。

 

 

そこは何か商法の適用があるとまずいということなんでしょうか。それともやはりこれは業法の方から引っ張られている議論だというふうに理解させていただいてよろしいんでしょうか。

 

 

 

 

  •  繰り返しになってしまうんですけれども,信託業法は同じ定義を使っていることによって実質商行為についての信託の受託について業として取り締まっている法律ではないのかなと,こういうふうに解釈されるんですけれども。

 

 

その場合,今の御発言にありましたように,現行法でも弁護士がやることは解釈論として十分できるんだろうと。それはある意味では弁護士会が萎縮しているだけであって何の問題もないんだということであれば,日弁連としても確認規定はぜひ入れてほしいとは思いますけれども,現行法における解釈がネックになったということでそれはそれでありがたいことだとおもうんですけれども。

 

 

 

商行為ということが信託業法の対象とほぼオーバーラップしていると,こういうふうに解釈されるものですから,そこで弁護士が行う反復継続している信託の受託というものは商行為ではないということを明記していたたくことには意味がありますし。例えば弁護士は委任業務,請負業務というものを民法的に言えば反復継続してやることを業としておりますけれども,だれもが常識としてそこで報酬を得たとして収支合い償っていると思うんですが,商行為とは思っていない,思っていないというか商行為ではないはずですから。今の仮にそれが法律事務の処理として民事信託を継続して行う,弁護士も専門化しておりますから,高齢者を対象とするような専門の弁護士であれば継続反復して何らかの形で高齢者とか弱者のために受託者になると思うんですが。

 

 

それは決して今の○○幹事の御発言とは違って,現行上においても商行為にはならないとこういうふうに理解するんですけれども。はからずもそういう御発言があるぐらいですから,やはりここでは明確にした方がいいんじゃないのかなと今ちょっと強く思いましたけれども。

 

 

 

 

  •  なかなか商法とも関連して難しい,商法の先生はきょうはおられないのかな。

 

どうぞ。

  •  商法の専門ではございませんけれども,信託業法という話が出たもので。

 

  •  はい,どうぞお願いします。
  •  補足だけさせていただきますと。○○委員が御指摘のとおり,先般の国会答弁,信託業とは何か。

 

 

例えば反復継続であるとか収支に対するような形である営利目的であるか,そういったことも考慮して,これは事実でございますし,私どもの解釈も変わっておりません。

 

 

問題は,恐らく私ども信託業法の中でいわば参入規制に当たるところがあって,いかなるものが信託業できるのかというところにあるわけですけれども。御指摘のように,これは株式会社経営体でやっていただいて登録または許可制というふうになっています。

 

 

 

 

事実,これは事実の御説明だけなんですけれども,実は私の記憶に間違いがなければ,あれば訂正しますけれども,確かに法曹関係の方が株式会社をつくられて信託会社として参入しておられるというケースも最近ございます。

以上です。

 

 

 

  •  その例は信託業法にのっとるために会社をつくったんだというふうに当然理解できますし。そこで法律業務やるとすると,株式会社は法律業務できませんから,逆に弁護士法違反の問題が生じているのではないかと,これが日弁連での議論なんですけれどもね。

 

 

ですから,それはそういうふうに何か問題点を指摘するというよりも,やはり弁護士が,営業として,商売としてやるという弁護士さんがいれば別ですけれども,弁護士がある意味では多少純粋な気持ちで,もちろん収支合い償う必要はありますけれども,高齢者から財産を預かるというような場合,高齢者といいますか弱者から財産を預かるというような場合に,じゃあ,わざわざ株式会社をつくってやらないといけないんだと。かたやそれは弁護士法違反じゃないですかという議論もかいくぐらなきゃいけないというような制度ではないんじゃないのかなと思うんですけれどもね。

 

 

 

 

 

悪質な例をとらえると信託業法というのはより広くカバーすべきだという議論になってしまいますが,ここではどちらかというと純粋な議論とか悪質な弁護士じゃなくてまっとうな弁護士が純粋な気持ちでやるという前提で構わないと思うんですけれども。

 

 

現在の信託業法でも営利を目的として信託の引き受けをするというところで,弁護士が報酬を得て高齢者から財産を一度ならず2回預かった場合にはそれは信託業法違反であると,このような解釈になるのでしょうか。

 

 

  •  個別の多分事例に照らしてみてそのとき考えてみるということになるんだと思うんですけれども。

 

 

  •  純粋な事例で,悪質事例じゃなくてですね。
  •  どうなんですかね。

 

 

  •  悪質なものまでそれでいいんですかという議論になっちゃうのはもちろん心配だと思うんですけれどもね。

 

 

  •  まさにそこのところを気にしているわけでして。主観的な要件が入るもんですから,そのときの個別の案件のいろいろな要素絡めて見てそのときに監督あるいは業法の立てつけの観点から判断していくということになるのだろうと思うんですね,そこは。

 

 

アプリオリにこのケースはもうガバッと排除してくれというのはなかなかそれは難しいと思います。

 

 

すみれ

「アプリオリ?」

 

 

 

  •  取締監督当局としてそういう御発言されるのは同じ立場に立てば理解できるんですけれども,結局そういうことによって弁護士会は今までも,また今の解釈のままですと今後とも受託者になるという選択はとっていないですね。

 

 

ですから,信託法改正になってこれほど議論して,また日弁連のバックアップチームが毎回何時間も議論して,結局弁護士会は何もできないという,株式会社をつくるということは弁護士会株式会社をつくるなんていうことは現実的にあり得ませんから。

 

 

もちろん個人的に商売といいますかね,本当に営業目的で株式会社をつくるようなケース,大阪とか東京で1件ずつあったという話を聞いておりますけれども。そういう目的じゃない場合にもできるようにしていただけるというのが解釈論として正しい方向ではないのかなと思うんですけれども。

 

 

 

 

 

  •  これは弁護士会の問題だけでなくて,業法に関連しますと私も個人的には,この中でもそういう御意見持っている方がおられると思いますけれども,やはり先ほど○○幹事からも説明ありましたように,非営利法人ですかとこれからは場合によっては公益法人が幾つもの公益信託を受託するということが現実的な問題としてあり得る。

 

 

そのときに,これは業法の問題ですから,ここで今議論しなくてもいいかもしれませんが,業法の問題としては収支合い償うというところの解釈によるのかもしれませんけれども,それによって,公益法人の場合は弁護士とまたちょっと違う点もあるかもしれません,必ずしもそれでもって収益というか利益が上がらなくても,それこそトントンでゼロであっても公益法人の場合に受託するということはあり得ると思いますけれども。

 

 

そういう形態による信託の受託,場合によっては反復受託が業法でいうところの業としての信託でないという解釈ができるとそれは非常にありがたいのではないかというふうに思いますので,ちょっと要望ですけれども。

 

 

 

 

ただ,その問題とここでいう商行為とするかどうかという問題とが,確かに関連はあるのかもしれませんが,理論的には直接は関連がないということでよろしいですか。

 

 

つまり,両者が実質上影響するというのではないかということですよね。

 

  •  ちょっとこの論点ばかり議論して申しわけないんですけれども。そこは理論的に違うというのは恐らく法律家としては当然でそうだと思うんですけれども,ただし,ただし書きを置くという点については,弁護士は収支合い償う目的を持って継続反復したとしても,それは商行為にならないという。

 

 

ですから,あくまで商行為性の有無だけの議論としてそれについてはぜひ御検討いただければと思いますし,それは弁護士がということだけじゃなくて,今先生御指摘されたようなほかの形態であっても一定の場合には商行為にならないという例外規定,たまたまこれ以外にもあるのかもしれませんけれども,イリノイ州のフィディシャリアクトの中では10項目にわたって例外規定が書かれていますけれども,その中の一部は弁護士に限らず会計士さんもそうかもしれません。

 

 

あと,業法上お金を扱った,資産を扱わざるを得ない場合,それを今後信託宣言するかもしれませんけれども,そのときにそれが業法ですということにならないと思いますね。

 

ですから,例外規定を検討するということにはぜひこの場の議論としてはそこまでの要望にしたいと思うんですけれども,ぜひ今後とも御検討いただければと思うんですけれども。

 

 

 

  •  それはちょっと検討はしてもらうということにいたしますが,ただこれ本当に商法とも関係する恐らく問題でもあると思いますので,直ちに適切な回答が出るかどうかわかりませんけれども,要望事項として検討するということにしたいと思います。

 

ほかにこの点についていかがでしょうか。

 

 

 

よろしゅうございますか。それでは,金融庁の方には業法との関係についてはいろいろ御配慮をお願いしたいとは思いますけれども,ここでの検討課題としては商行為の問題でして,これについてはただし書きというのは可能なのかどうかということについての御要望があったということで一応まとめさせていただきたいと思います。

 

 

それでは,あと残り1つ,有価証券化はいかがでしょうか。

 

○○幹事,どうぞ。

 

  •  恐らくここにいろいろな先生がおられると思いますけれども。この受益権の有価証券化,現行の証券取引法やこれを改組拡大するプロジェクトである投資サービス法と密接に関わっておりますので,現在金融庁が検討していることを御紹介しながら幾つかコメントをしておきたいと思います。

 

 

証取法のカバレッジが狭く投資家保護の必要性に機動的に対応できていない背景に,法律の構造が画一的で硬いということが挙げられてきました。

 

 

すなわち,有価証券に指定すると,発行体には原則開示義務が課せられ,販売するのは原則証券会社になり証取法の行為規制がついてきますので,もっと自由にお金を集めたいという人はなるべく証取法以外の手段を模索するということになっております。

 

 

 

例えば組合という法形式によるファンド,最初はベンチャーファンドとして使われておりましたが,そのうち公開株式や金銭債権などにも投資したいということになってきますと,それは投資信託とどう違うんだということになりまして,昨年の証取法改正で一定の類型の組合への出資持分がみなし有価証券ということになりました。

 

 

このように必要が生じるたびに証取法を改正して有価証券を追加するのはいたちごっこになりますので,投資家保護のための基本的なインフラとして分立した投資関連の法制を一元化し,有価証券の概念もより包括的にくくり直そうとうい構想が投資サービス法でございます。

 

 

一元化するとさまざまな投資商品というのが対象になりますので,当然規制も画一的では困るということになりまして,投資商品によっては開示は相対でもいいとか,販売業者として証券会社並みの要件はいらない,例えば自己資本規制というのは必要ないとか,公益性も投資商品の性質に応じて,○○委員の言葉でいう柔構造化,柔らかい弾力的な構造に仕組んでいくといことになります。

 

 

 

この法律のもとでは当然信託受益権についても投資商品の1つとして規定する方針でございまして,信託受益権という投資商品の性質に応じた規制の柔構造化が図られるということになります。

 

 

 

要は,伝統的な投資商品である株式や社債のみならず,組合であれ信託であれ合同会社であり,投資のビークルとして使われるものは投資サービス法に取り込んで,過不足のない規制の枠組みを整理していこうとしております。

 

 

したがって,ここにございますように,信託法で受益権の有価証券化を可能とするのであれば,その仕方,施行のタイミングなどについては今後よくよく御相談をさせていただきたいということでございます。

 

 

 

つまり,今申し上げた投資サービス法の施行前に信託受益権を証取法の有価証券にしますと,先ほどの硬い構造が適用されますので,受益権の販売業者を新たに証券会社にならなければならないとか,株式などと同じ発行継続開示規制が課せられるということになりますし。

 

 

逆に,信託受益権を証取法上の有価証券にしませんと,同じ有価証券でありながら投資家保護のルールに差異が生じますし,振替制度の対象とすることもできないということになります。

 

 

両方の法制というのが同じタイミングでいきますと受益権販売業者も自動的に投資サービス法の販売業者,投資サービス業者に吸収されて過不足ない規制がかかるということでございます。

 

 

 

 

また,この資料,受益権について有価証券,受益証券を発行できるようにするという提案は券面の存在を前提にしているように見えますので,証取法の構造について念のため申し上げておきますと,先ほど組合の出資持分を見なし有価証券に指定したと申し上げましたが,券面が存在するかどうかという区分はしておりません。

 

 

株券や社債券のように券面が存在するものは存在しない場合もみなし有価証券,有価証券とみなすという構造になっておりまして,株券不発行会社の株式もみなし有価証券でございます。

 

 

先ほどの振替制度も証取法上の有価証券しか対象にできませんのが,信託受益権全般が券面の有無に関わらず証取法上の有価証券になりますと振替制度の対象にできるということになります。

 

 

なお,やや細かいところですけれども,証取法の発行継続開示規制の適用上は信託自体を発行者とみなす必要があるという指摘があったという記述がありますが,財産である信託を発行者とみなすということはあり得ないので,信託の当事者である受託者ないしは委託者または両方が開示義務者ということでございます。

 

 

 

いずれにしても現在の証取法を前提に信託受益権の有価証券化を検討しますと,双方の関係の整理とかつなぎが結構なものになってしまうんですけれども,たまたま私たちまさに信託のようなさまざまな性格を持ち得るツールを投資のビークルとしてみるとどう整理すべきかという検討を並行的にやっておる最中ですので,両方がうまくつながっていくように御相談させていただきたいということでございます。

以上です。

 

 

 

 

  •  それはぜひ連携を持ちながら進めていけるとありがたいと思います。

 

この有価証券化についてのこの提案につきましてはいかがでございましょうか。

 

○○委員。

  •  まず,投資サービス法の御議論かと思うんですけれども。投資のビークルとして信託が利用された場合という前提で,なおかつ前提かと思うんですけれども。

 

 

その場合に,現行法でもいろいろな法律の適用がありますから,いろいろな証取法だけじゃなくて,証取法の適用がなければ信託業法,不動産特定事業法とかいろいろありますけれども。

 

 

 

 

投資ビークルとして利用される場合というのはそれはそれで当然といいますか,1つの流れかなとは思うんですけれども。信託の場合には,先ほどの議論でもそうですし,民事信託としての利用というものを強く日弁連としてもまたこの審議会でも考えておりまして,その場合に民事信託についてまで過剰な規制が及ぶということはまた,過剰といっては申しわけないですけれども,民事信託で本来民法の行為が実は投資サービス法ですといって,なぜならば民事信託と商事信託というのは区別はつきませんという議論に巻き込まれていくんじゃないのかなという--懸念のしすぎかもしれませんけれども,持たないわけではないです。

 

 

というのは,投資サービスというのは広く横断的にというのが前提ですし,信託というのはそこに財産を入れて転換機能を果たすわけですから,その転換機能の結果,その信託受益権を販売するのか,それを弱者のためにまた相続のために利用するのかとか,そこの差だけのような気もしますから,その辺の民事信託における利用というものが投資サービス法に一たん入ってその後に出るというような,それによって制度が担保されているんだということになりますと,実体法としての信託法というものが何のための議論なのかという議論にもなりますし,やはり制度としては違うんじゃないか,先ほどの議論ともつながると思うんですけれども。

 

 

商売として民事信託やる方はそっちで下がってもいいのかもしれませんけれども,通常の弁護士の場合でもその他公益法人の場合でもそうですけれども,本来投資サービスの適用ではないのではないかと,その辺についてはぜひ御配慮いただきたいということと。

 

 

 

 

 

 

 

 

あと,有価証券化できる受益権というのは株券と同様じゃないかというような趣旨のもし御発言だとしますと,株券というのは別に発行する前から,発行しても発行しなくてもそれが有価証券であるということはまた議論する余地すらなく明確ですけれども,この場合にはもともと信託受益権という指名債権類似ですけれども,法律上の権利について一定の場合,また当事者が選択した場合,有価証券化ができるという議論ですから。

 

 

もともとの有価証券と信託受益権というのはやはり法的性質が根本から違うんじゃないかというふうに思います。

 

 

なおかつ,私法上の有価証券と証取法上の有価証券というのはもともと概念的にも,先ほどの議論にもつながりますけれども,根本的に違うわけですから,私法上の有価証券がすべからく証取法の対象になるという議論ではもちろんないかとは思うんですけれども。

 

 

 

 

 

仮に今後議論が拡張して証取法の議論でも投資サービス法の議論でも私法上の有価証券について,証取法上の有価証券が発行できるということはそれは投資性がある,流通性があり得るんだという議論になりますと,やはり民事信託においての有価証券の利用というのは今のところ余り深く考えられていませんけれども,それが利用されるケースもあり得るかと思うので。

 

 

ですから,その辺について民事信託において萎縮効果がないようにぜひ御配慮いただきたいというふうに思うんですけれども。

 

 

 

 

 

 

  •  重要な御指摘だと。

○○委員,どうぞ。

 

 

  •  先ほど○○委員の方から民事信託ということでの御指摘ございましたが,信託業界の方としましても,私法信託といいますよりも営業信託というふうに考えていただいた方がいいと思うんですけれども。

 

 

私法上の有価証券化につきましては,もう何年も前から信託業界としてはお願いしていた件でありますけれども。その理由といいますのは,当然今はほとんどないですけれども,今後の信託の発展のことを考えますと,当然受益権の中には転々流通させて受益権が多数の者で,なおかつ転々流通させた方がいいような種類のものがあるということでこういうお願いをしてきまして,法務省の方からもこういう御提案をいただいたということでございますけれども。

 

 

そのときの私どもの考え方というのは,基本的には有価証券化するというのはある一定の受益証券に限定したものであって,転々流通する必要のないものについては基本的には当然必要がないわけでから,私法上の有価証券としても必要もありませんし,ましてや業法的な問題としての例えば証取法とかの対象になるというようなことは今まで考えてもみなかったもんですから,ちょっと驚いているような状況でございます。

 

 

営業信託におきましても,今回の御提案で出ていますけれども,遺言代用の信託であるとか,後継ぎ遺贈型信託というのが当然ありますから,これが証取法であったり投資サービス法,投資サービス法の範囲というのがまだ検討中ですので,どういう形になるかそこがよくわかりませんけれども,投資のビークルというような形の観点で見られるというのはやはりちょっと違うんではないかなというふうに考えておりまして。

 

 

今,法務省の方でもこういう私法上の有価証券化の方を御検討されていますし,金融庁の方では投資サービス法等を御検討されておりますので,私どものニーズというのはこういう状況でございますので,お含めいただいて,両省庁でいろいろと御協議いただいて,すべからくうまくいくような形でお願いしたいと思います。

 

 

 

 

以上でございます。

 

  •  今大体共通する御意見だったと思いますけれども,○○委員,どうぞ。

 

  •  私は○○委員とほぼ同じことで,かぶってしまうんですけれども,私法上の有価証券を認めるということについては,先ほど○○委員がおっしゃられたように,流動化の観点からも非常に喜ばしいということで歓迎している立場なんですけれども。

 

 

先ほどの○○幹事のお話のように,将来の投資サービス法の関係であればそれはそれまたいろいろなこれからの議論がされていかれると思いますので,そこについてはここでコメントするということではないとは思うんですけれども。

 

 

 

現行の証取法の対象の有価証券となると,先ほどもある程度の御配慮をいただいているような御発言だったかとは思いますけれども,いろいろ障害が出てくるのではないかなというふうに考えております。

 

 

流動化の場合,現行信託受益権が投資家の方で持ちきりになっているケースがかなり多いとは思いますけれども,今後もっとこの市場拡大する場合においては転々流通するということが当然考えられますし,その場合の権利移転が容易になるという点では有価証券化というのは非常に望ましいわけでございます。

 

 

 

 

しかしながら,最初からそういうふうに転々流通するというふうに仕組む場合と,そうじゃなくて,一定程度まで特定の投資家が持っていて,その後に改めてまたそれを分割して流通させるとかいろいろな手法がございます。

 

 

そういったことを考えますと,最初から一律に有価証券化された場合についてはやはり証取法の規制になるということは,先ほどもお話ありましたように,硬い規制の中の問題でありますとか,オリジネーターとしてその取扱いの資格の問題とかそういったことも出てまいりますので,ぜひそのあたりも配慮していただきまして,一律の規制にならないようにということでお願いしたいというふうに思います。

 

 

  •  どうぞ。

 

  •  経済産業省でございますけれども。投資サービス法についてはいろいろとそのファンドの多様な形態とかそういうこともありますので,そこは個別に実態に合った本当に必要な規制にしてもらいたいということで,これは当省と金融庁の方でもお話をさせていただいているところであります。

 

 

その関係でいきますと,そういった意味では本件につきましてもそういった意味で実態にいかに合わせて必要に合わせてということが確保されることが必要だというみなさんの御意見に全く同感でございます。

 

 

それから,○○幹事からお話がありました投サ法,新しくできる制度では非常に柔構造の規制になるので,こちらにうまくつながるようにというそういった御趣旨の発言だと思いますので,そういった意味でぜひ,特定の今の証券取引法で硬い規制の方に入って,この新しい信託の制度がいろいろな意味で動かなくなるということをどうやって防ぐかというそういう方向性での御議論かと思いますので,ぜひそういった方向で政府内でも意見を調整させていきたいと思います。

 

 

 

 

 

  •  どうもありがとうございました。先ほどから出ている議論は,やはりこの有価証券化といっても受益権の有価証券の場合には,もちろん投資のために有価証券化される場合がほとんどでしょうけれども,将来的にはそうでない場合もあり得て,そういうものについては,これは投資サービス法との関係の問題なのでここでの問題ではないかもしれませんけれども,投資サービス法の関係では御配慮をお願いしたいということでございました。

 

 

それでは,有価証券化の中身については特に御異論がないというふうに了解してよろしいでしょうか。

 

 

では,先に○○委員,その後○○関係官,お願いします。

 

  •  注4の部分なんですけれども,信託財産のみを引き当てとする債権,信託債を認めるかどうかというところで,今回有限責任信託に限定するというようなことを提案されているわけですけれども。

 

 

信託債権を認めるのであれば,必ずしも有限責任信託に限定せず,既存の形態の信託であっても特に構わないのではないかなという気がいたします。

 

 

それとあと,受託者が株式会社である必要も必ずしもないのかなという気がいたします。

 

 

 

 

  •  信託財産を引当てにした債権,ちょっと一種の社債みたいなものかもしれませんけれども,そういうのを発行するのを有限責任に限定しないで,既存のものについても認めたらどうかと,そういう御意見。

 

 

 

  •  そうです。現実にABLと呼ばれている仕組み,アセット・バックト・ローンと呼ばれている仕組みで,受託者が信託財産のみを引当てに借入を行うということは広く行われいるわけですけれども,それに代用するということを考えれば,実態的には変わらないと思うんですけれども,それをただ単に債権に置き換えるということが可能になってもいいんじゃないかというのが。

 

 

 

 

 

それとあと,受託者が株式会社である必要があるかということなんですけれども,これは恐らく社債が発行できるのは株式会社だからというところからきているのかもしれませんけれども,受託者は必ずしも株式会社に限らないんじゃないかなと。

 

 

外国法に基づく会社であるとか,その他いろいろな形態はあり得るのではないかなと。

 

 

場合によっては法人であるということを要求するということはあり得るかとは思いますけれども,株式会社でなくても,例えば学校法人債とか医療法人債いったものも現実にございますし,それとバランスとる上では株式会社に,受託者が株式会社であることを要求する必要はないんじゃないかなという気はいたします。

 

 

  •  わかりました。

ここまで何かありますか。

 

 

  •  こちらの意見というのは別にその株式会社に限定したらどうかということを申し上げているつもりではありませんでして,恐らく実務上のニーズという意味ではさすがにこういったことをやるのは信託業務なのかなということで,とりあえず今の規制ですと株式会社ということですし,寄せられている意見も恐らくは株式会社が発行するということなのかなということで社債というふうに書き,その上で取締役会決議というのをまずは書いたということですので,具体的なニーズとしてこういう形態の法人でというのがあれば,それはそれでということなのかなというふうに思います。

 

 

 

それから有限責任信託にするかどうかという話は,まさに個別の責任限定特約を置き換えて債権の性質として信託財産に責任が限定されると,そういったものをつくってはどうかという御趣旨のそういう立法提案だったのかなということでして。

 

 

そうしますと,限定責任信託というところと規制の調和というのが必要になってくるんじゃないか,そういう指摘がありましたということでございますので,それが必要と考えるのか,それともそうではないのかというところが1つ議論していただくとよろしいのかなということなんですが。

 

 

 

  •  そういう意味では原案は別に限定しているわけでは必ずしもないと。
  •  すみません,手短に。

 

 

  •  すみません,さっき○○関係官も手を上げて,関連して。

 

  •  実は,注4,○○委員の御発言と関連するものですから,ちょっとすみません。

 

少しだけ心配性なものですから,もう少し掘り下げて御質問したいんですが。恐らくこれは信託の事務及び管理ができるということから信託に係る借入,アセット・バックト・ローンみたいなものができるというところから始まって,じゃあ,その借入でやればよいのであればこの信託債というのが発行できるのではないかという,こういうロジックでこの信託債という仕組みが考えられているのでしょうか。

 

 

 

 

 

ちょっと,なぜ信託債というのがここで突然出てきているのかいうそのロジックみたいなものを御説明いただけるとありがたいです。

 

 

なぜならば心配性だと申し上げた理由は,さっき○○幹事から申し上げたのと同じ理由で,社債に関してもいろいろな発行開示規制等も,流通する場合にはですね,関わらざるを得ないと考えている場合があるものですから,ちょっとその背景を伺おうと思いまして。

 

 

  •  はい,いかがでしょうか。
  •  この注4の記載が出てきたというのは,もともと前段階の研究会でやっておったときもそうですし,この法制審でも指摘がされたから入れたということでございまして。

 

 

恐らくそのときは言われておりましたのは,信託財産を引当てとする社債,あるいは社債という必要はないんですけれども,債権ですね,券面を発行したいというニーズが実務上ありますという話がありまして。

 

 

 

しかもそのときには,責任が限定されたタイプを望んでいるんですというような話がございました。

 

 

恐らく御提案者の方たちはそれが信託債というような性質のものであって,社債というような位置づけではなくて,もうちょっと別の社債なんかとはまた異なるタイプの券面だというお話だったのかなと思うんですけれども。

 

 

そういった御提案を踏まえてこちらの方で検討していったところ,とりあえずのところは社債であって,しかも責任が限定されるタイプの社債なんだというふうに整理するのではないかなと。

 

 

特に株式会社が発行する場合には。そういう整理で,しかもなおかつ限定責任信託との整合性をどういうふうにとるのかといったところを議論していただく必要があるのではないかということでこうしてきたということでございます。

 

 

それと,開示の話とか証取法上の開示の話とかというのはその上でお考えいただくというような話になるんじゃないかなと思いますけれども。

 

 

  •  よろしいでしょうか。バックグラウンドは今のようなことだということです。

 

それでは,○○委員,どうぞ。

 

 

 

 

  •  手短かに。実務のニーズですけれども,例えばジェイリートなんてリート債というのが盛んに発券されています。

 

 

ですから,ローンでできるからツールとして債権というのも必要だという,そのとおりなんですけれども。これができるようになると非常に使われることになると思います。

 

 

すみれ

「そうなんだ。」

 

 

他方,法的考え方ですけれども,これを社債と裏づけちゃいますと,それこそ何々銀行,何々信託銀行債社債ということになって,それ自体投資家にとっても非常に混乱を来すものだと思いますし。

 

 

私の記憶が間違っていなければ,海外の信託財産が社債を発行しているケースも,法的には受託者なんですけれども,信託財産というのは全面的に出てきて債権だという格好をしていまして。

 

 

いわゆる企業の社債だというようなイメージではなかったと思うんですね。ちょっとそれは事実関係の問題ありますから余り強くは言えませんけれども。

 

 

ですから,社債という整理をすると,会社法の問題とか,もちろん証取法の関係とかありますけれども,複雑になりますし,なおかつこれ特に責任財産限定特約つきの債権とみていただいてといいと思いますが。

 

 

その場合に,信託銀行にとって別に多額な借財をしているわけでもありませんし,本来社債規制の中が前提としていることと全然違うものですから,立法論である以上,これは信託債という社債とは性質の異なったものだよ,特に責任財産限定特約がついている場合という前提でいいと思うんですけれども。

 

 

というような議論がされると,また機動的に信託で借入をするのとほぼ同じように機動的に発行できて,それが実際に市場とかのニーズにも見合うのではないのかなと思うんですけれども。

 

 

 

 

 

  •  恐らくこちらの趣旨もそういう意味で社債であることを積極的に主張しているということではありませんので,今,○○委員が言われたようなものであるというふうに理解しております。

 

 

説明等につきましては,またもうちょっと適切な説明で検討するということでよろしいですかね。

 

  •  基本的には社債と言わざるを得ないのではないかという話と,あと恐らく社債の規定を相当借りてこざるを得ないのかなというようなところもあって社債と言っているわけですが。

 

 

仮に限定責任信託となりますと当然名称を付すと,限定責任信託として取引行為を行うには名称を使用するということになるんだと思いますので,登記もしておりますし。そういったことが券面上には表示されるというようなことにはなるわけですけれども,それとはまず……。

 

 

 

 

  •  おっしゃったように,それはそれでそうだと思うんですけれども,限定責任信託がきょうも議論されますし,制度設計によってどの程度利用されるかという議論もあるとは思うんですけれども。

 

 

 

現状,ノンリコースローンというのは非常にボリューム等も多くて非常に使われていますから,ノンリコースローンの代替として,またローンとしての貸付ができないけれども,それは貸金業とかいう手順ありますけれども,社債という形式であれば投資家として投資してもいいという機関投資家というのは多々あると思うので。

 

 

ですから,限定責任信託を利用しなくても責任財産限定特約つきの債権形式であれば,社債とは違った規律,また社債の特例としての規律というものを考えてもいいというような議論があってもよろしいのではないかなという提案なんですけれども。

 

 

 

  •  そうすると,まさにその信託についての限定責任の信託におけるいろいろな規制と,それからその特約とのバランスをどう考えるのかというようなところなんだろうと思うんですけれども。恐らく有価証券ということにしますと,転々流通しても次の譲受人に対してその限定責任の効力が対抗されるというようなことになりますので,恐らく,これはパブリックコメントで寄せられた意見ですけれども,限定責任と同じような規制をやはりかけておかないとまずいのではないかというような話はあったわけなんですが。

 

 

そこは特約があるからその効力を譲受人との間で認めていいだろうと,そういう御趣旨。

 

 

 

 

  •  そうですね,実際今SPC形式で社債形式で出す責任限定特約付社債ということで一応流通する可能性があって発行しております。それは有効であるということは,多分それほど疑われていないと思います。

 

 

 

  •  それも含めて検討してもらいましょう。

 

ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 

  •  今伺っておりまして,結局受益権が信託法に定めて受益証券になった場合の規制の仕方については別途検討するとしまして,この1,2についてはこのとおりでいいというふうに事務局としては理解しておりますので,それでよろしければこの方向で進めたいと思います。

 

 

この資料の中では1点,無記名式の受益証券については受益証券の占有によるというのが受託者対抗要件として我々考えているわけでございますが,その中でもエというところに書いてあるんですけれども,受益者名簿を作られた場合には受益者名簿への記載をもって無記名式であっても対抗要件をするべきだという要望はあったわけでございますが。

 

 

そうしますと,無記名式でありながら,場合によっては受益者名簿への記載が対抗要件になり,場合によっては占有が対抗要件になるということで非常に区々になりまして,会社法上の無記名社債でもそこまでの区別はされておりませんので,事務局としてはこの提案のとおり占有をもって一律に無記名式の受益証券については受託者対抗要件とするという方向でいいのではないかというふうに思っておりますが,そこについてもそれでいいということで御承認いただいたということでよろしいでしょうか。

 

 

 

  •  いかがでしょうか。その方が簡易であるということだと思います。わかりやすいと。よろしいですか。

 

 

 

では,これはそれは了解していただいたということで。

 

 

  •  では,前回の積み残し分の最後として,信託の変更・併合・分割それから終了関係を説明させていただきたいと思います。

 

 

資料33ページからでございますが,提案の1と2については特段異論がございませんでしたので,変更はありません。提案3と,それから(注2)との関係で,資料ですと34ページの2の(1)のとおり,信託行為の定めに基づいて第三者に信託の変更権限を付与したという場合に,変更できる範囲を制限するべきか否かという問題点について検討したところを御説明申し上げます。

 

 

なお,パブリック・コメントの結果としては両論あるというところでございました。

 

 

ところで,制限を設けるべきであるという見解というのは,変更できる範囲に制限を設けないと関係者,特に受益者の予見可能性を害する恐れがあるということを理由としております。

 

 

しかし,事務局としてはその必要はないと考えるわけでございますが。その理由といいますのは,ここにも書いてございますけれども,まず信託行為において第三者に信託の変更権限が与えられ,しかもその範囲に特段の制限が課されていない場合におきましては,受益者としては,信託行為の内容,すなわち第三者にこのような制限のない変更権を付与されているということは認識できるはずでありまして,それにもかかわらず予見可能性を一般的に害するとまでいえるか疑問がないではないということ。

 

 

 

それから,第三者の変更権限も信託行為に与えられたものである以上は信託目的に従うなどの制約は当然かかるであろうということ。

 

 

また仮に受益者を害するような変更がなされた場合には,その内容にもよりますが,受益権取得請求権をもって救済を図ることも可能でございますし。

 

 

さらに,仮に第三者による変更が余りにも不合理な場合にはその変更が公序良俗違反として無効とされることもあるというふうに考えます。

 

 

そういうことからこのような制限は設けなくていいのではないかというのが事務局の見解ということでございます。

 

 

このような方法によっても救済できない場合は,もはや信託法の守備範囲外の問題でありまして,消費者契約法等の問題で対処すべきではないかと考えているわけでございます。

 

 

 

 

次に,提案4と(注3)と(注4),裁判所の変更の問題でございますが。これにおきましては,試案では,変更の対象を現行法どおり信託財産の管理方法に限るという甲案と,より広い範囲まで認める乙案とを対比してパブリック・コメントに付しております。

 

 

その結果,資料ですと35ページにありますが,甲案にとどめるべきである見解,すなわち裁判所の判断対象としての適格性ですとか,信託スキームの安定性,私的自治を重視する見解と,私的自治で対応できない場合の裁判所の後見的関与に対する期待から乙案を支持する見解とに分かれております。

 

 

 

いずれの考え方が適切かにつきまして,特に乙案の方向に進む場合には具体的にいかなるニーズあるいは事例が想定されるのか,あるいは乙案を合理的に限定するような第3の考え方はないかといった点も含めて御審議をいただきたいと思っております。

 

 

なお,甲案の中で示しておりました変更の要件につきましては,より明確な要点にすべきであるという指摘がございました。そこで試案におきましては,「信託財産の管理方法が信託の目的に適合しなくなることとなったとき」,としておりましたが,ここではそれを改めまして「信託財産の管理方法が信託の目的その他の事情に照らして受益者の利益に適合しなくなることとなったとき」と改めまして明確化を図っているということを付言させていただきます。

 

 

続きまして,信託の併合の方でございます。パブコメではほぼすべての意見が試案に基本的に賛成するものでありましたので,ここでは試案をそのまま維持しております。以下パブコメで指摘のあった2点につきましてのみ考え方を御説明したいと思います。

 

 

 

 

まず第1点は,信託の併合におきまして,信託の変更における第54の2の(1),資料ですと33ページになりますが,それを準用しているというところについての指摘でございます。

 

 

指摘の内容といいますのは,結局信託の併合というのは信託の関係全般に影響を及ぼす重大な事項であることにかんがみますと,併合の有効性が事後的に争われることになる可能性は可及的に排除すべきであって,三者間の合意の例外となる信託の目的に反していないことが明らかであるとか,受益者の利益に適合することが明らかという要件についてより明確化を信託の変更の場合よりも図るべきではないかという主張かと推測するわけでございます。

 

 

しかし,受託者は信託財産に固有の利害を有しておりませんので,リスクを犯してまで信託の併合による利益を追求するよりは,事後的に併合が無効とされ責任を追求されるような事態を避けようとするのが合理的な行動だと思われるわけでして,そうしますと,仮に受益者の利益に適合すると明らかといえるか疑問があるような場合には慎重を期して受益者の同意を得た上で信託の併合を実行するという運用がされることになると思われるわけでございます。

 

 

 

そうすると,この明らかという法律上の要件についてはこれ以上明確化する必要はないのではないかと考えているわけでございます。

 

 

 

 

なお,信託の併合の関係で,提案では第54の4,すなわち裁判所による信託の変更の規律も準用するという形になっておりますが,第54の4における裁判所による変更の範囲に関する審議の結果如何,特に変更の範囲を信託財産の管理方法に限るという甲案が採用される方向となりました場合には,信託の併合という行為の性質上,裁判所による変更の規律は信託の併合には準用されず,裁判所に対して信託の併合を請求することはできないということになると思われるということ,すなわち準用の対象は第54,ただし(2)及び4を除く,そのようになるのではないかと思われることを付言させていただきます。

 

 

第2点は,この2の(1)の一定の事項が明らかにされる手続を明確化する必要があるとの指摘でございます。これは例えば会社法における合併契約等の備置に関する厳格な手続的規定を信託法にも導入することを示唆するものと解するわけでございます。

 

 

 

しかし,この信託の併合の規律というのは大規模な信託に限らず,小規模・個人的な信託も含めまして,あらゆる規模,類型の信託の併合に適応されるものですので,それにも関わらず重厚な手続を課すこととなりますと,機動的な信託の併合の支障となりまして受益者の利益にも資さない結果となる恐れがあると思われます。

 

 

 

 

そこで,2の(1)の一定の事項につきましては,最低限,関係当事者が併合に合意する時点で明らかにされていることが確保されていれば足りまして,それ以上の手続規定は設けず,各事項について合意に至るスケジュールについては関係当事者の事情に応じて柔軟に定めることとしてよいのではないかと思われるわけでございます。

 

 

次に,信託の分割の方でございますが,これもほぼすべての意見が賛成意見でしたので,試案をそのまま維持しております。

 

なお,信託の併合の場合と同様に,一定の事項を明らかにする手続を明確化する必要があるという指摘がございますしたけれども,この点につきましては,ただいま申し上げましたように,最低限,関係当事者間において分割の合意がされる時点において明らかにされていれば足りると考えているところでございます。

 

 

また,(注3)になりますが,信託の分割によって信託債権者を信託財産ごとに切り分けるニーズがあるという試案の問題提起に対しましては,不動産流動化の実務においてこのような切り分けのニーズがあるとの意見がございましたので,一定の債権者保護手続を条件にそのような切り分けを可能とする規律を整備することを考えております。

 

 

なお,信託の併合のところで述べましたように,信託の分割につきましても,裁判所による変更の範囲に関する審議の結果によりましては,裁判所による変更の規律は信託の分割には準用されないということになると思われることを付言させていただきます。

 

 

 

 

続きまして,信託の終了事由,第57の方に移らせていただきます。パブコメでは試案に対しておおむね賛成意見が占めましたが,1のcの裁判所に対する終了請求権に関する規律と,1のdの兼任状態を解消するに必要な期間を超えた場合に関する規律について異論ないし意見が示されております。

 

 

このうち1のdの兼任状態の解消の問題につきましては,解消するのに必要な期間という試案の提案を明確化を図る必要があるというものでございましたが,これは前回部会で述べましたとおり,1年間という期間を明記することとしております。

 

 

これに対しまして,1のcの裁判所に対する終了請求権の問題につきましては,まず試案では信託を継続することが信託の本旨に適合しないこととなった場合という要件を要件としていたことにつきまして,信託の本旨を初めとしてこのような要件を認定することが困難であるという指摘がございました。

 

 

そこで,この指摘を踏まえまして,この提案では「信託を終了することが信託の目的その他の事情に照らして受益者の利益に適合することが明らかである場合」と改めて要件の明確化を図っているものでございます。

 

 

ちなみに1のaと1のcの関係でございますが,信託の目的が達成不能とまではいえないものの終了させる方が受益者のためになるときには1のcにより終了させることになるというふうに考えております。

 

 

また,この1のcに関しまして,流動化取引におけるスキームの安定性の観点から,委託者が請求権者となっていることに反対する意見がございました。

 

 

確かに信託をファイナンス目的で利用する場合におきましては,委託者がいったん受益者となった上で受託者が第三者から借り入れた金銭によって委託者に受益権を償還しまして,その結果委託者が劣後受益権を持ち,第三者が信託債権を持つという状態に至ることがあるわけでございますが,この場合,唯一の受益者である委託者としてはもはや本来のファイナンス目的を達成しているともいえますので,信託を終了させても債権者は害されるものの,委託者兼受益者の経済的利益は害されないようにも思われるわけでございます。

 

 

 

しかし,この場合におきましても,信託の目的その他の事情としましては,当初から折込み済みの第三者からの借入も含めた一連のスキームが円滑に機能することによってファイナンス目的を達成することにあると考えるのが妥当であると思われるわけでして,そうしますと,単に受益権の償還を受けたからといって第三者の信託債権が残っている状態で信託のスキームを終了させてしまうこととなれば,信託の目的その他の事情に照らして受益者の利益に適合することが明らかであると認めることは難しいと,できないということになるのではないかと思われます。

 

 

したがいまして,委託者を請求権者に含めても意見にかかるような不都合はないと思われるところでございます。なお,念のため申立権の不行使の特約をもって対処することも可能であるということも言うまでもないところでございます。

 

 

続きまして,資料44ページの(注1)から(注3)の問題について御説明いたします。まず,(注1)につきましては,今後信託の利用の進展が予想されることも踏まえまして,信託の濫用防止の観点から会社の解散命令の制度に準じた信託の終了命令のような制度を設けることが相当と考えるものでございまして,パブコメの結果も制度設置に賛成する意見が多数でございました。

 

 

それから,(注2)につきましては,信託行為に職務分掌の定めがある場合におきましては,欠けた受託者の権限は他の受託者が承継するということになるわけでございますが,信託行為に職務分掌の定めがあるときにおきましては,欠けた受託者の行っていた職務のうち信託財産の保管及び引継ぎに関する事務を残りの受託者が行うことにするということを考えております。

 

 

 

この資料の作成時には単独受託者につき任務終了があった場合と同様と考えていると,(注2)の説明の4行目に書いてございますが,これは現在では考え方が変わっておりまして,相続人でありましても信託財産の保管とか信託事務の引継ぎに必要な行為をするわけですから,まして残りの受託者はそれぐらいの義務は課されてもいいのではないかという考えに基づきまして,任務の終了した受託者の行っていた職務のうち信託財産の保管及び引継ぎに関する事務を残りの受託者が行うということにしたいと考えているわけでございます。

 

 

ただし,この考え方のもとにおきましても,共同受託者の一部の任務が終了したことによりまして信託財産の保護に欠ける状態が生じていることに変わりはございませんので,任務の終了した受託者と同一の権限を有する新受託者が1年以内に選任されない場合には,やはり信託は終了するということには変わりがないと考えているところでございます。

 

 

 

 

それから,最後に(注3)でございますが,これは民法653条の定める委任の終了事由といいますのは,委任者または受任者の死亡・破産ですとか,受任者の後見開始,資料では禁治産という不適切な用語を用いておりまして,おわびして訂正申し上げたいと思いますが,後見開始という当事者の一方に関わる事情でございまして,知らない相手方に対抗はできないということが非常に言いやすいわけでございますが,信託の終了事由の方は,信託当事者の全員が了知し得る事情であるか,あるいは信託当事者のだれもがあずかり知らない事情であるかというような違いが委任の場合とあるわけでございまして,そうすると信託の終了事由が生じたことを知らないことによって不測の不利益を被る当事者の救済をいかに図るべきか。

 

 

 

そもそも図るべきか,ということについて一体どのように対処したら方がいいのか,非常に複雑な問題が生じそうな気がいたしますが,御意見を伺えればというふうに思っております。

 

 

 

次に,信託の清算のところでございますけれども,パブコメにおきましては,試案全体につきましては特段の反対意見がございませんでしたので,個別意見について若干御説明を申し上げます。

 

 

まず,資料47ページの2(1)に書きましたが,提案の2の1の清算受託者の職務の内容,それから,提案3の帰属権利者等への残余財産の給付の制限に関しまして,信託行為に別段の定めがあるときはその定めに従うものとするということとすべきであるとの意見がございました。

 

 

しかし,この意見があげますような不動産流動化のための信託では現状有姿のままで不動産と債権債務関係がそのまま受益者に交付されるのが通常であるという例につきましては,こういう信託のスキームであることを関係当事者全員が合意しているのでありますから,あえて信託行為が優先する旨の定めを置かなくても当然許されることになると考えられれば足りると思うわけでございます。

 

 

 

むしろ一般的には,清算受託者は信託が終了した以上,信託債権者を含む全関係者に対しまして,いわば中立的な立場に立つものとして速やかに現務を結了して信託債権者に弁済してから残余財産を帰属権利者に引き渡すという義務を負うことになると考えるべきであると思われます。

 

 

そうすると,全債権者の同意もないのに,単に信託行為の定めのみをもちまして清算手続を行うこととしたり,行わないこととしたり,信託財産に属する債務の弁済前でも帰属権利者等に対する信託財産の交付ができるとするのは不適当でありまして,これが可能であるかのような誤解を招きかねない規律を設けるのは妥当ではないと思われます。

 

 

したがいまして,この意見は採用しないこととしたいと考えております。

 

 

 

それから,資料48ページの(2)に記載したところでございますが,受託者が長期不在のため信託が終了した場合には,裁判所が職権で清算受託者を選任することができるとすべきであるという意見がございました。

 

 

しかし,清算受託者も受託者であることには変わりがありませんのが,受託者の選任に関する規律にしたがいまして,委託者と受益者との合意,または利害関係人の裁判所に対する請求によって清算受託者を選任することができますので,この意見に対しましては既に試案の内容をもって答えているものと思われます。

 

 

なお,意見の中にはさらに信託財産管理人が当然に清算受託者に就任することとすべきであるという意見ですとか,裁判所の職権で清算受託者を選任できることとすべきであるという意見もありましたが,いずれも資料48ページに①,②で書いた理由から採用しないものとしております。

 

 

 

最後に,資料48ページの(3)に書きましたとおり,必要財産を留保して信託財産を既存権利者に引き渡した後で留保財産では債務の弁済が足りないこととなったときの措置を定めておくべきであるという指摘がございました。

 

 

この点につきましては,株式会社等の有限責任制度に見られる債権者保護措置としまして①の受託者の損失てん補責任,それから②の受託者から帰属権利者に対する返還請求権,それから③の信託債権者から帰属権利者に対する返還請求権を整備することが相当であると考えているものでございます。

以上でございます。

 

 

 

  •  それでは,ただいまの信託の変更のところから最後のところまで,いかがでしょうか。

 

○○幹事,どうぞ。

  •  それでは,信託の変更の4の点につきまして,裁判所としての意見を言わせていただきます。裁判所といたしましては,甲案に賛成する立場で意見を述べさせていただきたいと思います。

 

 

変更の場面につきまして,管理方法の変更に限定しない乙案につきましては,パブリックコメントを通じて実務庁の方にも意見を聞いてみたんですが,やはりどういった事案を念頭においているのか,それからどのようなものを対象に判断をするのか,それからどういった要件に基づいて,その要件に基づいて判断した結果,どのような法律効果を生じるのかというあたりについて全く理解することができないような状況でして,やはり裁判所として判断ができるようなたぐいのものではないのではないかという議論が体制を占めたところでして,このままこのような制度になってしまいましても結局変更というものにつきましてうまくニーズに裁判所として応えていくことができないのではないかということで,結局そういったものに応えていけないということになるのではないかということに帰着いたしました。

 

 

 

 

 

それで,ここからは意見といいますか,御質問させていただきたいところなんですが。

 

 

もし仮にそういった具体的なニーズがあるのであれば,そのニーズをうまく変更に反映できるような何らかの制度設計というものを,きょう来ていらっしゃる法務省の方々ですとか学者の先生方に何かいい案が対案としてあるのであれば,そちらの方で検討できないかというのが裁判所としての考え方でございます。

 

以上です。

  •  いかがでしょうか。

 

確かに乙案ですといろいろなのが出てきて大変は大変なんですけれども。ただ,契約なんかでも,余り裁判所は認めないかもしれませんけれども,事情変更の原則で契約の改定とかいうのは理論的にはあり得るわけですよね。

 

 

 

余りそれも範囲は限定されていない。実際上は当事者がこういうふうに変更した方がいいだろうということを申立てるんだと思いますけれども,なかなか対案は難しい。

 

 

  •  そういった場面ですと,この変更の要件にありますように,例えば受益者の利益に適合することが明らかであるとか,信託の目的に反しないことが明らかであるとか,そういった明らかであるというような事情の方が先に満たしてしまうのではないかというふうに思われるところでして,やはり裁判所の判断にはなじまないというところは変わりはないだろうというふうに思っております。

 

 

 

 

  •  ほかにいかがでしょうか。○○幹事。

 

 

 

 

  •  この乙案に対するパブリック・コメントの乙案に賛成する意見の理由を拝見していますと,裁判所の後見的な作用を期待するという意見,これはあたかも家事事件における裁判所の関与のようなものを期待してらっしゃるのかなと思うんですが,ただ(注4)がついておりまして,これがあることによって乙案の意味は大きく変わってくるのではないかと思うわけであります。

 

 

(注4)は,余りに無範囲な無限定なものが裁判所に持ち込まれることを恐らく懸念して,当事者は必ず変更内容を提示して請求しなければいけないと。

 

 

裁判所は提示された内容の許可,不許可しかしないんだということです。こうなりますと乙案のもともと,多分(注4)がなかった乙案とは全然意味が変わってきて,もともと乙案のアイデアというのは当事者は自分では無力で保護すべきものであって,裁判所が広く手を差し伸べていろいろ助けてあげようという発想だったはずなのに,(注4)がつくことで,自分で裁判所が「うん」と言ってくれる内容をつくらなきゃいけないということになってしまったわけで。

 

 

この乙案だとすると,一面では今裁判所の方から御懸念がありましたような,懸念というのは(注4)をつけ加えると余りなくなってくる,逆にですね,裁判所は不適切だとか不許可と言っちゃえばそれでいいといことになるわけですが,ただそれはもともと乙案の意図したところなんだろうかという気がするわけでございます。

 

 

 

私,結論としてはこれは甲案で仕方がないのかなと思うんですが,乙案のようにすると,結局この(注4)のようなものがつかざるを得ないとすれば,それは乙案というのはなかなかとりにくいんだろうということであります。

以上です。

 

 

 

  •  乙案のもともとのというのはいろいろな源流があるかもしれませんけれども,やはり信託財産の管理方法に限らず,変更必要とするけれども,当事者間の合意がなかなか得にくいという場合に,裁判所の判断でできるとありがたいということで。

 

 

合意ができにくいというのは当事者が判断能力がないからというよりは,いろいろ利害も錯綜していていできないという場合も当然含まれているわけですよね。

 

 

しかし,○○幹事の趣旨を逆にとってしまうことになるかもしれませんけれども,(注4)がつくことによって乙案といってもそれほど裁判所にとって大変なことではないのだから,乙案でもいいのではないかという意見にもなり得るところではありますね。

 

 

 

何か御意見があれば。いかがでしょうか。これもなかなか具体的なニーズでこういう場合があってというのが,あるいはしょっちゅうこういう場合があるんだというそういう具体的なイメージがあるわけではないので,なかなか抽象的なところだけで議論しておりますので,そういう意味では決め手がないのかもしれませんけれども,もし御意見があれば。

 

 

 

 

 

○○幹事,どうぞ。

  •  意見というよりは質問なんですけれども。やはり(注4)についてなんですが,恐らく先ほど○○委員がおっしゃられましたように,事情変更の原則で日本の裁判所では契約改定というのは理論的には認めるのかもしれませんけれども,実際には認めていないところなのではありますけれども,理論的に言うならば,契約改定を認める場合に事情変更の原則のもとで当事者の側がこういう内容への改定を請求するというようなことをしないといけないというふうに考えているかというと,恐らくそうではないと思うんですね。

 

 

要するに事態は変更して,その変更した事態に則して公平とか考えられる契約内容を確定するということであって,当事者がこれという必要があるかどうかというのが,日本では余り議論していませんけれども,もとになってますドイツの議論を見ましても,当事者の側にそのようなこういう内容での改定を請求する権利があるというような議論の立て方はどうもしていないようですので。

 

 

 

 

 

 

ちょっと違う考え方がこの(注4)ではあるのかなという気がいたします。そういう意味では事情変更の議論からしてスッと出てくるものかどうかというのがやや疑問があるというのが(注4)の内容であり,かつ,そして,ここから先はむしろ○○幹事にお聞きすべきなのかもしれませんけれども,この内容で改定してくれといったら裁判所からけられた場合に,じゃあ,この内容でという別の内容でというふうになっていく可能性についてはどう考えればいいのかというような問題等はらんでるんじゃないかなと思います。

 

 

つまり,いつまでたっても終わらない可能性もあると。

 

 

 

そういった問題をはらんているということからしますと,乙案を前提にして(注4)をつけるというのはちょっといろいろな意味で問題があるのではないかなという気がいたします。

 

 

ちょっとその点お聞かせいただければと思います。

 

  •  ○○幹事,いかがですか。

 

  •  これは現行法でそうですけれども,非訟事件ですので規範力がないということですから,裁判所がその変更申立てがあってそれを退けて,それはしかしもちろん規範力の問題以前かもしれませんけれども,いくらでも続くことはあります。

 

 

正しい答えがどこかにあるとして。近いところまでずっとグルグル回っていつまでも手続が終わらないということも理論上はもちろんあり得ますが。

 

ただ多くの場合には,こうは言いながら,非訟事件の中ですぐ近くまできてるんだったら裁判所がこんなあたりはどうですかみたいなことは事実上あって,しかるべき許可がされるということがあるんだろうと思いますけれども,ただそれに多くを期待してくれるなというのが先ほどの裁判所からの御意見ではないかというふうに私は忖度いたしました。

 

 

  •  通常の契約の場合は当事者2人しかいないという前提ですので,問題は今言われたような形で処理可能なのかもしれませんけれども,信託の場合はいろいろな当事者がほかに複数存在するわけであって,そううまくいくのかなという不安はちょっとあるかなと。

 

 

そういう意味ではやはりちょっと(注4)というのは現実に,理論的にもそうですし,現実にどうなんだろうかなというのはちょっと感じるところです。

 

 

 

 

  •  何かございましたか。
  •  先ほどの(注4)に関しましてですが,これも許可,不許可と申しましても,結局は法律要件,効果がほかのものと違いまして具体的に書かれているわけではございませんので,結局許可,不許可の判断に当たりまして裁判所としては何をよりどころにして許可,不許可の判断をすべきなのか,その反対する当事者の方々とは別の判断を下す根拠はどのあたりにあるのかというあたりについては以前問題としては残っているように思いますので,その点にもつきましてもやはり問題があるように考えております。

 

 

 

  •  はい,いかがでしょうか。何か御意見があれば。

 

  •  ちょっとずれるかもしれませんけれども,この信託の変更と,それから併合分割についての論点でございますけれども,受益者の権益の保護ということで遅滞なく通知するとか,あるいはそういったいろいろな要件をはめていただいているわけでございますけれども,どうしても私ども信託業法所管省からいうと,受益者の保護の方にかなり重点がかかるケースが考えておられまして。

 

 

例えばなんですけれども,1点御質問させていただきたいのは,例えば受益権者が多数おりまして受益権者代理などを定めている場合で,それで例えば信託行為で別段の定めをしていれば信託の併合分割なんかはそれに従うということになるわけですが。

 

例えば受益権者の代理にそういった信託の併合分割というようないわば大きな権限を委ねている場合,果たして本当にその受益権者の権限を保護できるのかという観点から,例えば受益権者でありというものについて例えば具体的に義務を負わせるとか禁止行為とか責任を規定する,そんな考えはございますでしょうか。質問でございます。

 

 

 

 

  •  いかがですか。
  •  受益権代理のことでございますれば,受益権代理は受益者の代理人という位置づけでございますので,善管注意義務とか委任の規定を準用しますと。

 

 

受益者との関係で善管注意義務をもって事務を処理するという義務は課されることになります。

 

  •  了解しました。
  •  ○○委員。

 

 

 

  •  以前も議論になったかもしれません,仮に弁護士が受託者となって財産を預かって,不動産だとして不動産の管理方法の変更というとき,その売却まで入るのかどうかというと,恐らく今の信託業法でも管理型と運用型と分けて,管理には売却というか処分はいけないというようなたしかそんな解釈だったと思うので。

 

 

そうすると,売却を仮にすべきであるというようなときに,それは上の方の受託者の決定でいいのかしもしれませんけれども,信託の目的ということの解釈論を,当然争いがあるという前提で争いがあった場合,裁判所に頼むというか,裁判所のせいにするとか裁判所を頼りきるわけではなくて,一定の解釈論を確立する,自分がそう思っても紛争の解決になりませんから,そうすると何もしない方が安全だということになってしまうと思うんですけれども。

 

 

とすると,乙案が幅広く無制限に使われたら困るという趣旨はよくわかるんですけれども,信託の変更の例外規定の確認的な意味で使われるのではないかということでたしか今までの法制審でも議論されていましし,そのたびに裁判所を頼るのはということの議論はあるかと思うんですけれども,やはり一定の法律解釈を裁判所の後見的な役割として確認できるという制度があった方が紛争を未然に防ぐという意味においても非常に有用ではないのかなと思うんですね。

 

 

 

 

ですから,無制限の乙案ではないし,また(注4)がちょっと拘束的であってちょっと違った方向がいいといったときにどうなのかわかりませんけれども,ある意味では,繰り返しになりますけれども,2に書いてある1の例外規定の確認的な意味での後見的作用としての裁判所の役割ということが恐らく現実的には必要になってくるのではないかと思います。

 

 

  •  その役割も果たすでしょうね。

はい,どうぞ。

 

 

  •  先ほど来,(注4)の評判が余りよろしくないのですけれども,もともと原案を議論しておったときには事情変更の方に対応するためというふうに考える中で,裁判所の方々からどこまで判断できるかという問題が御提示いただいた中で,(注3)のようないろいろな要件をプラスすること,それから○○幹事がおっしゃられたようなお話もあるのですけれども,当事者としては何も判断能力がないというだけではございませんで,事情変更があってやはり明らかにこういうふうにした方がいいというふうに思うような場合もあり得るだろうということで,それでそういった幾つかの御指摘に対応するために生まれてきたのが(注4)だというふうに理解しております。

 

 

 

 

 

それで,○○幹事の御指摘があったように,事情変更の法理にぴったり当てはまるかと言われると,確かに忸怩たるものがあることは否定しがたいところではありますけれども,そのさまざまな実務の必要性と裁判所の御判断される能力というものを勘案した中で生まれてきたのが(注3),(注4)ではないかというふうに思います。

 

 

それで,先ほど仮に(注4)をとって許可,不許可だけにしたときでも,裁判所の方として何を基準に判断されるかがよくわからないというお話がございましたけれども,それは単純に,別に事務局として甲案,乙案どちらにコミットするものでもございませんけれども,その点だけを申し上げれば,それは事情変更があったということを勘案して,当該変更された内容がその信託目的の趣旨に照らして適当かどうかという通常の法律判断の中で判断されるということに,禅問答のようですけれども,ありていに言うとただそれだけの話ではないかなという気がちょっといたしますけれども。

 

 

 

 

  •  確認ですけれども,○○委員の意見は,やはり乙案に一応賛成だということですね。

 

  •  ええ。基本的なことですけれども,仮に受託者で変更したいと思って,それを非訟事件じゃなくて訴訟事件として法律関係の確認をするということが可能であれば乙案もいらないのではないかと,そのときにはちょっと受益者か何かを確認して訴えるんですかね。

 

 

やはり法律関係確定させたいという希望はどの変更にとってもあり得ると思うんですね。

 

反対がなければもともと三者合意でいけるわけですが,必ず反対があるからこそ2があるわけでして。そのときに権利関係確認するときに,また乙案以外の何か訴訟,法的手段,手続的な手段があればそれによって恐らくスムーズに進行できるのではないかと思うんですけれども。

 

 

 

 

 

  •  今の御指摘なんですが,その変更された後の権利を前提に給付訴訟を提起するということについては,通常の訴訟どおり特に妨げられるものはないという理解だとすれば,先ほどの解釈論を固めるですとか,そういったことについての御懸念も払拭できるというふうに理解してよろしいのでしょうか。

 

 

 

  •  そうですね,そうだと思います。ただ,給付訴訟,給付だけじゃなくて契約関係を変えるわけですから,すみません,私の未熟さかもしれませんが,なかなか従前の訴訟形態,要するに契約当事者なりある一当事者が契約関係変えてほかの方にその契約関係でいいという確認訴訟を起こすということは現行の通常の発想でも可能,給付訴訟じゃないと思うんですね,給付に至る前の話だと思うんですが。不動産を処分するとかですね。

 

 

  •  その受託者の決定によって変更された法律の。

 

 

  •  1の例外全部そうだと思うんですけれども,三者の合意じゃないということですね。

 

 

  •  ええ。十分検討できているわけではないんですが,それは訴訟として提起された場合には,何らかの判断をするようなものになるのではないかという気がいたしますが,その点につきましては。

 

 

  •  私が言っているのはコンテクストで乙案というのは非常に現実的には有用ではないかという議論だと思うんですけれどもね。

 

 

  •  重複になる部分もあるのですけれども,今,○○委員のおっしゃったことは,やはり給付訴訟なり確認訴訟なりでできる枠組みのことを多分おっしゃっているのであって,もともとの4のアイデアというのは形成作用を多分問題にしているんだと思うんですね。

 

 

先ほど私は判断能力がないというようなことを言ってちょっとそれは撤回いたしますけれども。つまりだれもが交渉を押し切る力を持ってなくて,泥んこになってる状態でどうしたらいいかということじゃないかと思うんです,問題状況は。

 

 

そのときに,この33ページの2では処理できないことについて権利関係を新しくつくるのが4の本来のもともとの役割だと思うんですね。先ほど申しましたけれども,だとすると,(注3),(注4)のない乙案というのはもともとそれは非常に広い権限で,しかし,それを縛りましょうというのは先ほどの(注4)でありまして。

 

 

それは現行法どおり,対象事項を絞ろうというのは甲案だろうということだと思うんですね。

 

 

 

 

ですから,乙案をとっても(注4)のような形で,先ほど事務局から追加で御説明ありましたけれども,なかなかなお硬直的だなという感じが払拭できないものですから,どちらかというのであれはまだ甲案の方が,現行法維持の法がいいのではないかというのが先ほど申し上げた趣旨です。

 

 

  •  はい。なかなか難しいですね。私の個人的な意見は別に言っても,言うのも適当ではないと思いますけれども。先ほど○○委員が挙げられたように,信託財産の管理だけれども,やはり売却しなくちゃいけなくて,そのときに受益権あるいは利害関係人の合意が必ずしも十分にとれない,意見が対立している,そんなようなときにやはり甲案よりは少し広い範囲で判断がもらえるとありがたいことはありがたいですね,裁判所に。

 

わかりました。どうぞ。○○幹事。

 

  •  乙案がいいかどうかはわからないんですけれども,甲案の意味がいまひとつよくわからないんですけれども。

 

 

ちょっと私が聞き逃しているないしは理解できていないだけなのかもしれませんけれども。甲案というのは受益者の利益に合致しなくなる,なっているというのが前提ですよね。

 

 

そして,信託財産の管理方法は変更した方がよいという場合というのは,2の(2)のbで一般的には受託者にいける場合ということなんでしょうか。その変更請求をできる場合ということになるんでしょうか。

 

 

もし仮にそうだとしますと,本当に裁判所の関与が必要になってくるのは,例えば子どもが3人いて経済状態が同じだから月々30万円ずつ給付するというふうになっているときに,1人が大きなけがをしてしまったとか病気になってしまったということを考えて。そうしますと,親がそもそも信託を設定した趣旨というものが子どもに安定した生活を送らせるということにあったというふうにみたときに,10,10,70というふうに変えるというふうな,受益者間の利益が対立する,つまり受益者の利益に適合するようにするのではなくて,信託目的を達成するように,どちらかといえば複数受益者のうちのある種の受益者の利益を犠牲にする場合というときにこそ働くんじゃないかという気がするんですが。

 

 

 

 

そうしますと,乙案が難しければそれは仕方がないんですけれども,甲案にそんなに価値があるのかというのがちょっとよくわからないんですけれども。

 

 

  •  甲案はやはり狭いんでしょうね,そういう意味で。今のように受益者の間の分配を変えるよなんていうのは甲案の枠ではやはりできない。

 

 

まさにそういうことが必要だというふうに○○幹事は考えられるとすれば,それは甲案では実現不可能である,だから,乙案だという脈絡なわけですけれども。

 

 

  •  甲案にそんなに意味があるとは思えないということなんですけれども。

 

  •  ですから,これは信託財産の管理方法だけの小規模な何か変更で,しかしこの2の各号といいますか,当事者間の合意あるいは単独で何かできるようなのにはぴったりと当てはまらない,そういう場合を救済するということなんでしょうね。○○幹事はそういうものはもうないんじゃないかと,むしろ……

 

 

  •  ないというか,極めて狭いですよね,2の(2)のbで。

 

 

  •  大体これが解決できちゃうから余りないんじゃないかというそういう趣旨ですね。

 

 

そういうことも言えるかもしれないし。甲案自体が確かに非常に狭いので,できれば少し拡張したいと思いますけれども。

 

何か,どうぞ。

 

  •  私は乙案が難しくなるという,私そういう意図はもともと持っていないんですけれども,しかし,にもかかわらずなんですけれども。

 

 

やはり事情変更の原則と違うものだと割り切ってしまえばいいんですけれども,割り切れるのかなというのがずっと引っかかってるもので,あえてなんですけれども。

 

 

やはり(注4)で当事者が変更内容を提示して,それがよいか悪いかのみだというのはやはり,先ほど日本の事情変更の原則では余り議論されてないとは言いましたけれども,しかし,当事者がどのような内容に変更しろと言ってるのかに拘束されずに,裁判所としては当該事態において事情変更の原則要件を満たしている限りは適当と考える契約内容を確定できるということは多分,少なくとも日本の今の議論の中では異論がないんじゃないかなと思います。

 

 

 

 

ただ,本当にそれでいいのかどうかという段になりますと,私個人的にはちょっと本当にそんな裁判所の後見的な介入を広く認めるのがいいのかどうかという,私個人的には疑問は感じてはいるんですけれども,ただ一般に言われている議論がそのようなものだとしますと,信託に関しては(注4)のようにいくのだというのは何かより積極的な理由が必要になってくるのではないかなと,その理由が本当にあるのだろうか,出せるのだろうかというのがちょっと疑問があります。

 

 

○○委員がおっしゃいましたように,信託でももちろんそうですけれども,契約はもっとより広いものであっていろいろなシチュエーションが出てくるけれども,一般法理として事情変更の原則そのように認められていてそのように言われていると。

 

 

しかし,信託は違うんですよというのはなかなかちょっと言いがたいので。ここで(注4)のようなものを認めるとしますと,何か大きく一歩踏み出すのかなという感じがします。

 

 

個人的にはそれもいいのかなと実は思っているところはあるんですけれども,ちょっとそこをしっかり考えてやりませんと影響が大きいかなという気がいたします。何度も同じことで恐縮ですけれども。

以上です。

 

 

  •  わかりました。これも単なる意見分布,御意見おっしゃらない方もおられると思いますけれども,もしかしたら私のまとめ方が正しくないかもしれませんが,やはり甲案は狭いという認識を持っている人が多いことは多い。

 

 

乙案がこのままの形でいいのか,またこの(注4)をくっつけることはかえって理論的にはすっきりしないという御意見も今ありましたけれども。できれば甲案よりは少し広いものが本当は望ましいのではないかという御意見が多いことは多いのではないかというふうに思っております。

 

 

 

今後,ここではちょっと時間でこればかりやっているわけにもいきませんのてで,甲案よりは少しやはり広げる方向で何とかできないかということで少し検討はしていただくと。

 

 

しかし,どうしても裁判所が難しいということになると,拒絶権があるというふうには私思いませんけれども,しかし,理論的な意味で難しいということであればそれは挫折するかもしれませんが,とりあえず少し広めに考えるということで,少し議論は進めさせてください。

 

 

  •  すみません,1点だけ。先ほど私が挙げたような例を考えますと,ちょっと私今慌ててほかのところを見ていて確認できないまま発言するんですが。

 

 

54の2の(2)のbの受益者というのは多数決とかで,複数受益者のときに多数決とかで決まる受益者であり,4の受益者というのは単独受益者でいいということですね。

 

だから,どうも申しわけございません。

 

  •  54の別のところなんですけれども,1つだけ。これは説明の部分の説明の仕方のお願いなんですが,35ページに極めて非常識な信託行為の定めはというところがございます。それが公序良俗に違反する点はわかるんですが。

 

 

その次に,別段の定めに基づいて不合理な変更がなされた場合も公序良俗違反と認定されることもあるというこういう説明なんですが。不合理な変更をするときはむしろ権利濫用になるのではないかなという気がいたします。

 

 

公序良俗だけですとかなり限定的な感じがいたしますので,説明だけですけれども,お願いできればと思います。

 

 

  •  そうですね。そっちの方が理論的かもしれません。では,これは改めさせていただきます。

それでは,今から休憩にいたします。

 

(休     憩)

 

  •  それでは,変更の点はいずれにせよ重要な問題がたくさんまだ残っておりますので,よろしくお願いします。

 

 

では,○○委員,どうぞ。

 

 

 

  •  信託の変更権限を第三者に与えるというその件で,35ページのところですね。これで制限を特に設けることなく与えるというそういう考えが示されていますけれども,最後のところに書いてある「消費者契約法等で対処する」というこの一言で具体的に消費者契約法でどのような対処をすることを考えられたのかをちょっと伺いたい。

 

 

  •  いかがでしょうか。

今のところすぐ思いつくのは,○○幹事の方が詳しいかもしれないけれども。第三者に非常に広範な権限を与えて,それが……

 

 

  •  前回というか,前ここ議論になったときに出てきたのが,第三者への一方的な変更権限を与えることで,不当条項にならないかと,ここのことだと思うんですが。

 

 

  •  そうですね,一般的な条文としてはそれしかないでしょうね。

 

  •  ええ。それで,この消費者が委託者兼受益者で,その消費者と受託者との信託行為,信託契約,その中に例えば受託者に変更権限を与えるとそういう条項が入っていった場合に,それが消費者契約法を適用されることによって不当条項として無効となることがあり得ると,それはあり得るかなというふうに思います。

 

 

  •  一般論としてね。
  •  それとはまた別の形の信託特有の問題として,受益権の転々譲渡ということ,いわゆる金融商品としての受益権というのを考えた場合に,受益権を取得した人というのは信託契約の契約当事者には入っていないので,例えば受託者に一方的な受益権の内容を変更する権限があるというような信託の受益権であった場合に,そのことを知って取得すればそれはそれということになるのかもしれませんが,知って取得するとは限らないと。

 

 

そういう場合に,この受益権を取得した人は消費者契約法ではやはり余りぴったり適用できないのか,それとも受益権を取得する契約の中にこの受益権はこういう受益権であるというものがあって,その受益権の内容として受託者が一方的に変更権限を有する受益権であるというのが入っていて,それが消費者契約法,受益権の譲渡契約に消費者契約法が適用されて,それで受益権の内容を一方的に受託者が変更できるという条項だけが,その受益者との関係でだけ無効になるというようなことがあり得るのかどうか。

 

 

 

 

そうすると,多分受益者が多数いる場合はちょっと余り混乱して変なことになるし。そういう場合は消費者契約法というのは使えないということになるような気もするんですが,これは消費者契約法に詳しい学者の先生方の御意見を伺いたいんですけれども。

 

 

 

  •  契約関係が移転するとかそういう場合の話ですよね。基本的には消費者契約法,いやいや,これも私も余り詳しくないのだけれども,最初の当事者間で一応まず固定して考えて,そこで消費者契約法を適用したときに不当条項になるかどうかによってその後の,もしそこで不当条項だということになればその地位を譲り受けた人間もそれを主張できるというだけじゃないかと思うんですが。

 

 

ですから,実体法的にバラバラになることはなくて,その場合には,ただ,ある受益者は主張しないという場合はあるかもしれない。ある受益者は主張する。

 

 

だけれども,当初の関係でもってその契約自体が消費者契約法でいうところの条項が不当条項に当たるかどうかというのを判断するというのが基本なんじゃないでしょうか。どうですか,○○幹事あるいは○○幹事。

 

 

 

  •  こういうのは質問した方が楽だということで質問なんですが。そうなのかなという今の御説明聞いて思うところなんですけれども,しかし,○○委員が後半の方に言われた受益権の取得契約に,一方が事業者であり他方が消費者であるというような場合に,消費者契約法が適用されないかという多分それは適用されるだろうと思うんですよね。

 

 

 

それ自体はやはり消費者契約ですから。問題は,その場合に受益権という目的物がどういうものであるかということがその信託行為によって定まっていて,その信託行為の中に不当条項に相当するようなものが仮にあったという場合に,これに消費者契約法は適用されないのだということをどうやって説明すればいいのかなというのがちょっとまだ確信持てないもので,私が聞くのはいかがなものかと思うんですが。どうなんでしょうかということですね。ちょっとまだ答え出てないので。

 

 

むしろどういう理由があり得るんだろうかということですね。それ自体消費者契約であることは間違いないという場合に。

 

 

  •  何かありますか,○○幹事。
  •  今のお話というのは大もとの受益権のところで不当条項があり,その受益権の中身を規定している信託契約の中に不当条項があり,それが消費者契約法の適用を排除するかどうかという……

 

 

 

  •  そこは事業者だったような場合ですかね。
  •  信託行為そのものが,先ほど言われましたように,消費者契約だという前提でいける場合というのは割とすっといくのかなと思うんですけれども。

 

 

そういう論理では仮に難しいというようなことになった場合に,もう1つの論理考えられるというのが○○委員の御指摘で。仮にそれが何か難しいのかなというふうに考えるときに,じゃあ,一体どうして消費者契約であることは間違いないけれども,不当条項規制というのが直接は妥当しないということになるとするならば,それをどう説明すればいいのかなというのがちょっとわからない。

 

 

 

もし説明できないとすると適用されるのかなという気もしてくるということですね。

 

 

 

  •  どんな例が適当なのかわかりませんけれども,最初の受託者と受益者の間で,受益者というか,自益信託型で,その委託者兼受益者がそれ自体も事業者で受託者に一方的な権限を与えている,しかし,その事業者はそれを販売して受益者に消費者に販売している,例えばそんな場合ですよね。

 

 

 

そうすると,やはりその場合には受益権を販売するという契約は消費者契約で,もう商品の中身といいますか,販売する中身はもう既に決まっているんだけれども,契約はその販売の中身そのものというか,それを移転するという行為ですけれども,やはり消費者契約を適用してその販売の中身の不当な条項は無効になるというふうに考えるんですかね。結論はその方がよさそうな気がしますけれども,ちょっと理論的にまだ。

 

 

 

  •  その適用をちょっと排除するような理由づけというのが,契約内容そのものは譲渡契約だけであるというふうに本当に言い切れるのかですよね。

 

 

商品自体の性状を決定しているものがあるわけであって,このような性質を持った目的物を譲渡するという契約ですから,契約内容は構成しているんじゃないかなという気は……

 

 

 

  •  そういうふうに考えれば適用される可能性は。

 

  •  はい,してくるかという気はして,そうじゃないということをどう言えば言えるだろうということですね。

 

  •  はい。そういう意味ではちょっとここでは結論は出ないかもしれませんけれども,消費者契約法がやはり今のような譲渡契約の段階でも適用される可能性はあるのではないかという有力な意見があった。

どうぞ。

 

 

 

  •  今の議論をお聞きしていて,もしこれ受益者の立場で,例えば何かその種の裁判をやらなきゃならないということになった場合には,ちょっとなかなか難しそうかなという気がしていて。もう少しやはり受益権の変更については何らかの手当というのがないと,ちょっと受益者としては……

 

 

  •  要するに,不当条項で争うよりはもっと信託法の中に制限があった方がありがたいと,そういう御趣旨ですね。

 

 

  •  ええ。まさに変更権を第三者に与えるときに無制限でいいのかどうかというそういう問題だと思いますけれども,ここについて何か御意見ございますでしょうか。○○委員。

 

 

 

  •  今変更の内容について制限を設けたらどうかというお話ですけれども。そこの制限というのは事項についてということを多分想定されているんだと思うんですけれども。

 

 

 

そうであるとすると,(注2)のところにありますけれども,基本的に合同運用というものが広く一般に信託で使われておりますけれども,その場合の意思決定といいますか,変更するときの意思決定というのがうまくいかないということになるんじゃないかと思いますので。ここは事項についての制限というのはちょっと見合わせていただきたいなというふうに思っております。

 

 

 

  •  という御意見がございました。いかがでしょうか。

 

こういう限界を設けるときには何か案はございますか。○○委員。

 

  •  先ほども私の意見も消費者契約法だけだと不安だなという前提で制限が一定限度設けられるべきではないかというそういう意見で。その場合の制限としてはやはりこの目的とかそういう基礎的事項として別の項目のところにたしか列挙されていたのがあったと思うんですが,そういったものにしたらどうかなというふうには考えたんですが。どこでしたっけ,ちょっと。

 

 

 

  •  取得請求権のところでの対象事項のような制限を設けるということでしょうか。

 

 

  •  そうですか。事務局としてはああいうのは,取得請求権の方で対処できるんだから,ここは無制限でいいんじゃないかということなんですか。

 

 

  •  結局両方が相関関係にあるわけですよね。取得請求権の方を余り制限しすぎちゃうとここで変更権を全く無制限にして取得請求権も制限されていると,かなり,というそういう選択が最悪の選択かなというふうな懸念があるんですね。

 

 

ですから,どこまでカバーできるかという問題とも言えると思います。

 

 

  •  今説明ありましたように,取得請求権の方では一応一定の配慮をしているということですね。

 

 

 

 

  •  取得請求権の方は事務局としては強行規定でいって配慮しようと思っていますので,その上にかつ信託目的の制限とかあるいは変更の公序良俗違反,あるいは権利濫用であれば排除されるということなども合わせて考えますと,変更の範囲についてまで制限を設ける必要はないのではいかというのが事務局の考えでございます。

 

 

 

  •  すみません,その取得請求権の方は反対した受益者は請求できるとかそういうのではなくて,特に不利益を受ける人が請求できるというそういう前提のされ方をしていたと思うんですが。

 

 

そうなると,前もちょっと話題になりましたけれども,当初方針を変えちゃうというような場合でもとにかくただつき合っていくしかないということになって,投資信託なんかを例に考えると大変困った事態になっちゃうなというそういう心配をしたんですね。

 

 

 

  •  反対受益者の取得請求権のところにつきましては,○○委員のおっしゃるとおり,信託目的の変更につきましても受益者が不利益を被る場合に限って取得請求権を認めたらどうかという提案を今まではしておりました。

 

 

これにつきましては,次回以降検討する予定でございますが,パブリック・コメントではその不利益を被るという場合に限らず認めるべきではないかというような意見もございましたので,これも踏まえてもう少し信託目的の変更につきましては,例えば重大な変更という形で取得請求を認めた上で,その場合には不利益を被った受益者以外の受益者,一般の受益者につきましても取得請求を認めるという方向もあり得るのかなというふうに今では考えておりまして。その点につきましては今後検討したいと思っております。

 

 

 

  •  いかがでしょうか。

 

これはその取得請求権と密接に関連する問題でありまして,とりあえずといいますか,とりあえずここでは制限をしないという原案でいかしていただいて,取得請求権のところでもしやはり十分ではないということであればまた戻って議論していただくこともあり得るということで先に進ませていただいてよろしいでしょうか。

 

それでは,そういうことでお願いします。

 

ほかの信託の併合,分割,終了事由,清算で何かありますでしょうか。

 

 

 

 

  •  先ほどの信託の変更との関係なんですが,4の議論のところで甲案の管理方法の変更という意味では狭すぎるというお考えで,それより広げることができるかどうかを今後検討していくというような方向性が示されたところですが。それを前提といたしまして,併合ですとか分割の場面にその規定を準用していくのかどうかというところなんですが,併合分割につきましては,やはり単なる事情変更のような発想とは全く違うものがありまして,信託の構造自体を変えていく,会社でいうところの合併だとか分割みたいな判断をやらなければならないところありますので,やはり簡単にそういったことを併合分割に準用していくということにつきましてはやはり裁判所の判断という意味ではなじまないということと,裁判所としては判断すべきものではないのではないかというふうに考えているところですので,御検討いただければというふうに思っております。

 

 

  •  1つの信託の中身の変更とほかの信託との問題というのは確かに性質が違うということは十分踏まえた上で,先ほどの○○委員のとりまとめも踏まえつつ,どこまで広げるか,その場合には信託の併合,分割は,しかし,除外すべきかというところは十分留意した上で検討したいと思っております。

 

 

  •  あり得る選択肢ですね,今みたいなのは。

 

ほかに,では,まず○○幹事からどうぞ。

 

  •  投資信託についても併合の規定がありませんので日本ではできないということで,これを何とかしてくれという要請がここ数年ずっとメーカーサイドからいただいておるんですね。

 

 

投資家サイドではなくて。諸外国で投資信託ファンドの併合というのは,例えば投資家に人気が出なくて規模が小さいままのファンドをたくさん維持するのが大変だから併合しようとか,あるいはパフォーマンスが悪いファンドをいいファンドで埋め合わせようとか,もっぱらと言い切っていいかどうかわかりませんけれども,メーカーの都合で行われるということで,信託一般にこれを広げていいのかどうかわかりませんけれども,金融というものをながめている目からこの話を見ると,受益者による何の関わりもないままに行われるというのはやはり相当に違和感があるということは申し上げておきたいと思います。

 

 

 

  •  いかがでしょうか,今のような御意見も踏まえまして。

 

今の御意見はある意味で受益者の利益のためになるようなものはいいかもしれないけれども,受託者のむしろ都合というか効率性とかそういうことでもって合併するのは適当ではていと,そんなことですかね。

 

 

  •  投資信託の話をどこまで一般化できるかわかりませんけれども,商品として失敗したようなものを併合するというニーズが別に悪いとは申し上げない,それはそういうニーズがあると思うんですけれども,そうであれば当然受益者集会がいいのかその他のガバナンスの方法がいいのかわかりませんけれども,受益者の意思と無関係にメーカーの都合で併合分割が行われるということが私の常識ではちょっと考えにくいというそういう意味で申し上げました。

 

 

 

 

  •  提案させていただいております案におきましては基本的には多数決原理だって別に信託行為の定めがないと適用になるものではございませんで,原則54の1と同じように委託者,受益者及び受託者の合意により行うことができるということでございまして,多数決原理が書いてなければ受益者全員の同意がないとできないというのが出発点になっているわけでございます。

 

 

 

それで,2で,(1)で信託の目的に反しないことや受益者の利益に適合することが明らかであるとき等々の要件を満たしたときに受益者の関与が一定限度外れるということだけでございまして,別に受益者の利益を無視したままできるようにするという立て付けにはしていないわけでございます。

 

 

このような手当は必要となると考えられます1つの例としまして,例えばそれこそ会社でいうところの簡易合併とかいったようなくじらがめだかを飲み込むような信託の併合のときに,くじら側信託の受益者の全員の同意を一律にとらなければいけないということが果たして受益者,皆さんの便益にかなうのだろうかというと,そういうことではないのではないかということでございます。

 

 

 

それから,米国におきましてはむしろ我々よりもさらに進みまして,もちろん受託者の義務つきという前提でありますけれども,併合などにつきましても受託者の裁量でできるというようになっているというふうに理解しておりますので,それを踏まえますと私どもの方が,そういう言い方が適当がどうかわかりませんが,適時適切に皆様方の利害に配慮した規定になっているのではないかというふうに考えているところであります。

 

 

すみれ

「それって進んでいるのかな。」

 

 

  •  ほかにいかがでしょうか。合併だけではなくて分割も含めて。

○○幹事。

 

  •  清算ですが。質問です。第58の清算を本日の最初の方での話題になった第51と関係させてお伺いしたい点がございます。第51は甲案,乙案一定の方向性,○○委員から示されましたが,まだ両方の可能性残っていようかと思いますので,それぞれとの関係で事務局に御説明をいただけるとありがたいと思います。

 

もし甲案をとった場合,第51で甲案をとった場合ですが,第58で2の(1)のbのところで,信託財産に属する債務の弁済というのがありますが,ここでは第58ではひとくくりになっているけれども,この中に第51が埋め込まれて,甲案に従ってまず信託債権に弁済が行われ,そしてその後受益債権に行うべしと,そういうふうに読むのだろうかということが質問です。

 

 

そしてもう1つは,どこで読んだらいいんでしょうか,第58の2の(1)のc,そして3,それから4のあたりを組み合わせることになると思いますが。残余財産の帰属についても,本来の帰属権利者と,それから残余財産受益者というのが2通りありますが,この受益者の方に着目したときには,残余財産受益者とそうではない一般の受益者との関係は清算の局面においては3のところで結局弁済の順序がつけられていると。

 

 

同じ,広くいうと受益者になるけれども,残余財産受益者と一般の受益者はここでは弁済の順序がつけられているので,それは第51のような規律を考えるならば,書いてくださいという趣旨ではないんですけれども,残余財産受益債権はその他の一般の受益債権に劣後すると,そういうものがあると考えたらいいのかどうかということです。2つ目

 

 

 

それから,次に乙案の方ですが,もし乙案に立った場合には,第58の2の(1)のbでは,信託財産に属する債務の弁済というのは受益債権であろうが信託債権であろうが同じなので,まさにこの58の2の(1)のbのとおり,中は区分けせずに弁済をしていくというふうに考えていいのか。

 

 

そして,もう1つは,甲案をとったときの2つ目の質問と並ぶものになりますが,2の(1)のc,それから3,それから4の(1)のbというあたりを組み合わせて出てくるところですが。

 

 

いわゆる残余財産,受益者が持っている残余財産の給付を内容とする受益債権について着目するならば,この受益債権については第51の乙案をとったとしても信託債権に劣後すると。

 

 

ここでは順序で定めていますが,実体法の優先劣後の関係におき直すことができて,第51のところの乙案をとっても同順位とすると,これでいいですが,書くとするならばですね,ただし,残余財産受益者が有する受益債権については信託債権及び残余財産受益者が有する受益債権以外の受益債権に劣後するとそういうふうに考えていいのでしょうかということをお伺いできればと思います。

 

 

 

 

  •  まず,甲案の方を前提としますと,2の(1)のbのところでいうところの信託財産に属する債務,これは本当は2つに分けられて,時期的前後関係からいくとまず信託債権を払って,その後受益債権にいきますということになるんじゃないかという御質問だと思いますが,それはそのとおりでございます。

 

 

他方,乙案の方についてもおっしゃったとおりでございまして,乙案をとれば恐らく同時期にどんどん払ってくださいというような一応の順序になるだろうということかと思います。

 

 

それから,甲案をとった場合の残余財産との関係ですね,特に残余財産受益者というのを今回新しく作っておりますけれども,そちらとの関係で順位が違うという表現をどういう意味にとらえるかということかと思うんですけれども,一等第51のところはまさに優先順位,つまり執行手続などにおいてどの順序で分配するかというような話ですので,普通は一般債権同士であれば同順位,それで優先権のある債権になっていますとその上にいってというような,その局面でいわれるところの順位を問題にしておるつもりでございまして。

 

 

 

恐らく先ほど○○幹事がおっしゃったところというのは,私の理解ですと,むしろ受益者に対する給付内容の違いであって,つまり残余財産受益者に対する給付の内容というのはすべての信託の終了が生じて,そのときにabcという職務を行うと。

 

 

その職務が行った結果,残った残余財産といわれるそういうものがあって,その給付を受けるというのがこの受益者の受益債権の給付内容なんだという整理でございまして。

 

 

そうしたときに,じゃあ,甲案で劣後という必要があるかどうかというのは余り言ってもしょうがないというか,全部終わっちゃった後のはずですねということではあるんですけれども,劣後しているといってもいいのかもしれないという気がしておるところでして。

 

 

 

 

  •  私なりに今の○○関係官の説明で理解できたところを申し上げると,経済的には優先劣後ということで,私が最初に申し上げたように並べることができるけれども,それを支えている法律構成が第51の考え方と第58の残余財産関係のところとが違って,残余財産関係の方は額面がなくて,要するに残ったものなんだと。であるがゆえに劣後するんだと,経済的にはという御説明になるわけですね。

 

 

 

  •  まさにおっしゃるとおりでございまして。
  •  わかりました。

 

 

  •  受益権の優先劣後をいろいろな形でつけるところあると思いますけれども,そういうときも恐らくその停止条件構成といいますか,そういう構成したりすると思いますけれども,それと同じようなことで考えればいいんじゃないかと。

 

 

  •  わかりました。
  •  よろしいですか。

 

ほかにいかがでしょうか。○○幹事。

 

  •  終了のところで教えていただきたいところが,細部にわたりまして恐縮なんですけれども。57の(注1)ですね,44ページの(3)で書かれている点なんですけれども。会社法824条に準じた規律を設けるとするのが相当であると。

 

 

濫用防止というのはやはり非常に重要になってくるというのは全くそのとおりだろうというふうに考えておるのですが,具体的なルールのイメージについて教えていただきたいと思っておりまして,824条ですと裁判所による解散命令という形ですので,恐らく裁判所による信託の終了命令というのが3本立てでつくと,濫用目的での設定,それから設定後の濫用的運用,もう1つは実体がないというようなタイプなのかと思うのですが。

 

 

それらについて適用されるべきものだというふうに説明されているのですが,そういうふうな裁判所による終了命令という構成を考えるということでよろしいのかということと

 

 

 

もう1つ,信託の濫用目的での設定ということになりますと,そもそも無効ではないのかという気がするものですから,有効とした上で終了というふうにかけていくというのが果たして適切なのか,あるいは無効との関係どうなるのか,会社法ですと設立の無効について期間制限等もあるようですので,そういうこととの関係もあるのかなという気がしておりますので。特に当初からそういう濫用目的で設定されている場合の無効との関係について教えていただければと思います。

 

 

 

  •  まず,手続がどうなるかということですけれども,基本的には事務局としては会社法にそろって同じような機能を果たすべきものだと思っておりますので,裁判所への申立てというのが一番ありそうかなという感じで考えております。

 

 

それから,濫用目的である場合に,会社の設立と違って契約でありますので信託でそういうような要件で終了命令を入れるのがどうかというようなお話かと思うんですけれども。

 

 

考えられる事例といたしますと,普通は委託者と受託者双方が濫用目的についてよく知っているということが一番ありそうで,そういう場合は公序良俗ではねられる可能性が非常に高いんだろうと思うんですけれども。

 

 

またそれと信託を使ったマネー・ローンダリングといいますか,そういうようなことを考えますと,受託者も余りよく知らないということもありそうな気がいたしまして,あるいは委託者と受益者はよく知っているけれども,受託者はよく知らないというようなことがあるのかと。

 

 

そうすると,そういった事例に対処するためにその設定者,委託者の意思を問題,委託者だけの意思を問題にするというようなところで何か差がつくのかなというようなことを少し考えておりまして。

 

 

ただ,もしそれが一般の公序良俗との関係でそういう議論はちょっとおかしいんじゃないかということがあれば,恐らくは設定段階というよりもその後の使われ方に着目して終了させるというのが基本的な機能になるのかなというような気がいたします。

 

  •  よろしいでしょうか。何かどうぞ。
  •  いえ,御説明はわかりました。何となく脱法ですとか動機の不法ですとかそういうもので,かつ今の例ですと,受託者は本来余り利害関係を持たない,実質的な利害関係を持たないのだとなると,そもそも終了命令になると前提としてそういうのが有効であるということが前提になってしまうのかなというのが気になったものですから。問題関心だけお伝えします。

 

 

  •  最初から有効じゃないという方がすっきりしてるということでしょうね。

 

  •  そうですね,そんな感じがちょっとすることはするのですけれども。

 

  •  舌足らずだったのかもしれないですけれども,恐らく双方の当事者の意思なんかが公序良俗の判断の中では忖度される部分が相当あるのかなということで,受託者が知らないときにちょっと公序良俗で無効とはしにくいと,ただ相当悪質な目的で使われているということなので,そこはまた別な配慮でというようなことがあり得るのかなという,そういうことです。

 

 

つまり,ちょっと有効といわざるを得ないんだけれども,設定時の不法な目的あるいは実際の使われ方も不法になっているんだろうとは思うんですけれども,それで終了させるというような位置づけで考えられないかなということなんですが。

 

 

 

 

 

  •  とりあえずはよろしいですか。はい。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ,○○委員。

 

 

  •  第57の1のc,また58条リスクのことを申し上げますけれども。いわゆる証券化,流動化における解除リスクというのを排除したいという中でいろいろ議論がなされて検討されたということでございますけれども。

 

 

 

この新たに出てきました第57の1のcの文言を見ると,若干以前の議論,つまり試案に書かれている議論と,それから委託者の云々ということでこの本資料においても43ページのところの(2)のところで書かれていることとちょっと整合性がないのではないのかなというようなことがありまして,ちょっとその趣旨の御質問と,もしできるならば御配慮いただきたいということで申し上げたいと思います。

 

 

58条リスクというのは特にファイナンス目的の場合には信託は壊れないという期待をもって当初もそういう期待を,受益者も当初はそういうスキームの中で投資家が集まって,またその利害関係人と債権者も含む利害関係人もそのスキームに加わると。

 

 

そこでそういう予測可能性のもとにリスクが明確になってバランスがとれてビジネスができるという,そういう文脈だと思います。

 

 

 

現に例えば試案の補足説明でも証券化,流動化目的の信託では中途で信託が終了することは関係当事者に大きな不利益を生じるのが通常であるため云々ということで,関係当事者ということも2つ目には書いてるわけですので,当初の受益者の期待と,それからごめんなさい,ちょっと話を戻しますけれども。

 

 

その当時,おかしくなってからの受益者ということと状況が違ってきたとしても,事情が変更があってその当時において受益者の利益にかなうとしても,やはり当初の受益者の利益のために成立したスキームであれば,事情の変更後の場合で当該受益者に対して仮に確かに受益者のためになるんだろうかと思ったとしても,やはりそこはそれだけを忖度して終了とすべきだというふうに考えるのはちょっとやりすぎなのかなというふうに思っています。

 

 

 

また加えて,ちょっと戻りますけれども,補足説明のところで,関係当事者への配慮というのが書いてあります。

 

 

そこはさっき申し上げたところですけれども,いわゆる信託債権者とかも含む関係当事者の不利益がないように組み立てられているわけですから,そこの利害関係も含めて合わせ勘案して終了させることが妥当かどうかということを考えるべきだと思います。

 

 

現にまた43ページのところで,繰り返しになりますけれども,中ほどに書いてあるのは,中途で信託を終了することはその他関係当事者にとっては大きな不利益を生じることが通常であるから云々と書いてあるわけですので。

 

 

そういう意味で終了させるときに考えるべき事情というのは,この原案の文言だけを見ますと,受益者の利益に適合することが明らかである場合というふうに書いていますが,そうではなくて,やはり当初の受益者を含む利害関係人の利益関係を含んで全体的に見て判断すべきだというふうに思っているわけです。

 

 

 

そうすると,1つの考え方としては,批判はあるところかもしれませんが,試案の考え方の方がいいのかなとも思うわけなんですけれども,その点いかがでしょうか。

 

 

 

  •  試案の考え方というか,試案で懸念していた,あるいは達成しようとしていたことを変更しようというふうに事務局が思っていないということはもちろん重々御承知で,問題は書き方あるいは読み方の問題なのかなという気がしておりまして。

 

 

事務局も当然ながら信託の目的あるいは信託の本質といったような契約,最初の信託契約締結時の諸事情に照らして受益者の利益というふうに言っていいのかどうか,そういうところからこの照らして云々というような文言を入れているところでして。

 

 

つまり,受益者の利益と裸で言うと恐らく裁判時点における受益者にとっての経済的利益とかそういうことだけで判断されそうなんだけれども,そういったような受益者の利益ではなくて,信託の目的なのか,あるいは契約締結時の事情などに照らして縛られた中での受益者の利益なんだと。

 

 

つまり,ファイナンス目的であれば自分のことだけ考えて中途で終了してしまえば,今取り分が多いと,そういうのは信託において受益者の利益と,信託における受益者の利益として認められているものではないんだと。

 

 

理解としてはそういう理解で。問題はそれをどういうふうに文言に落とすかというところだと思うんですけれども。そのあたりの考え方を目的に照らしたところでの受益者の利益なんだ,あるいは受益者の利益に適合すると目的に照らしてもいえる,そういう場合であればというのはまさに今申し上げたような趣旨でして。

 

 

 

 

あとは,この書き方だと,ちょっとそのあたりの趣旨がよくわからない,あるいはそのあたりについてはよく解説なんかで処置してくれというような話なのかもわかりませんけれども,考えていることは試案の段階からさして変わってはいなくて,あとはその表現の問題なのかなと。あるいは事務局はそういうつもりで表現を変更してみましたということでございます。

 

 

 

  •  今さっきの○○関係官の話であれば理解できました。要は,当初の受益者を含む関係当事者も含む広い意味での受益者の利益を考えるという話なんですが。

 

 

ただ,繰り返しになりますけれども,お願いとすればやはりちょっとこの文言だけで法文化になってしまうと,多分誤解が出てきますので,そこら辺はこの趣旨が明確になるように条文等には御配慮いただきたいと思います。

 

 

  •  はい。そういう意味では先ほどの事務局からの説明の繰り返しですけれども,裁判時の受益者の利益だけを考えるものではないと。ただ,若干どこまで広がって入ってくるのかというのはもしかすると微妙に○○委員の意見と同じではないのかもしれませんけれども,いずれにせよこれはこういうふうに限定するものではないので,文言でうまくあらわすことができれば検討してもらうということにいたしましょう。

 

 

 

それでは,ほかにいかがでございますしょうか。よろしゅうございますか。

 

この42ページ,信託の終了のところの(注3)のところが,「なお検討する」というふうになっておりまして,これももし御意見があれば伺いたいと思いますが。信託の終了事由の対抗について。

 

 

 

民法の規定を参考にして整備するかどうかということですけれども。いかがでしょうか。

 

 

では,これは直ちには御意見がないかもしれませんので,御意見をお寄せいただければ子細検討いたしますけれども,一応事務局の方に任せていただけるということでよろしいでしょうか。

 

 

 

 

それでは,終了,変更から清算までいろいろ御意見いただきました。必ずしも皆さんの御意見すべてをうまく取り入れることができるかどうかはわかりませんけれども,大体のところは御承認いただいたというふうに考えます。

 

 

個別にまた異なる御意見をお持ちの方もおられるかもしれませんけれども,それもできるだけ配慮するよな形でまとめていきたいと考えます。

 

 

それでは,ここまでは終了させていただいたことにさせていただいて。次に,本日の問題。

 

 

  •  では,本日の資料に基づきまして,まず最初に忠実義務とその違反の効果と,この2つにつきまして御議論をいただきたいと思います。資料でいうと2ページからになります。

 

 

概要を説明いたしますと,まず忠実義務の提案1でございますが,パブコメでは受託者の忠実義務について総則的な規定を設け,これを効力規定とするという試案の考え方については賛成意見が大多数を占めておりますので,以下個別的な意見に対する検討の結果について御説明いたします。

 

 

まず,資料4ページのアというとおり,そもそも忠実義務は強行規定とすべきであるという意見がございますしたが,受益者の利益の保護と私的自治の尊重の観点から受託者の忠実義務は任意規定とするのが相当と考えるものでございます。

 

 

次に,イのとおり,提案1について禁止対象と例外規定を明確化すべきであるとの意見が複数ございました。

 

 

しかし,まず,提案1で総則的な規定を設けておりますのは,受託者の忠実義務違反として具体的に想定される行為類型といいますのが提案2以降でほぼ網羅しているとは思われますものの,なおこれ以外に違反行為はないと断言することもできないという理由もございます。

 

 

したがいまして,提案1の対象となる行為類型をさらに具体化するということは困難である上に相当でもないと考えるものでございます。

 

 

 

 

また,ここでの「忠実」というのは,提案2以下の利益相反行為のように形式的に判断されるべきものとは異なりまして,実質的に判断されるべき概念であると考えておりますので,問題となっている行為について信託行為で許容されている場合ですとか,受益者の承認がある場合などにおきましては,あえて例外規定を設けるまでもなくここの「忠実」義務に違反していないと評価することができると思っております。

 

 

 

つまり,例外規定を設けますのは,利益相反行為など忠実義務違反行為の該当性を一たん形式的に判断した上で実質的に違法性がない場合を救済するためでありますので,そもそも忠実義務違反性を実質的に判断することとしている提案1に関しては例外規定を設ける必要はないと考えるものでございます。

 

 

それから,ウでございますが,忠実義務を一切免除することはできないことを明らかにすすべきであるとの意見がございました。

 

しかし,この①,②で記載しましたとおり,あえて画一的な規定を設けるよりも信託を設定した当事者の意思の合理的な解釈によって適切な解決を導くことができると思われます。

 

 

また,③に記載しましたとおり,具体的な違反類型を定めた提案2以降におきましても相当程度特性された行為を信託行為の定めで許容していれば禁止の例外を認めるということから推論いたしますと,提案1に関しましても相当程度特定された行為を許容していれば禁止の例外が認められる反面,包括的な免除規定は許容されないということが含意されているといえます。

 

 

したがいまして,意見のような特段の規定は要しないものと考えております。

 

次に,提案2の利益相反行為の禁止でございますが,受託者と受益者の利益が形式的に相反する行為を広く禁止の対象とした上で例外要件を求めるという試案の考え方自体については賛成の意見のみが占めております。

 

 

その上で試案の考え方の一部に対する反対意見なども踏まえまして,提案内容の一部を変更しております。まず,提案2の考え方でございますが,2の(1)で受益者の利益を受託者が害する恐れが高い,いわばより悪性の強い行為類型といたしまして,受託者が単独で行い得る行為,すなわちアとイと,それから受託者と受益者の利益が相反する行為,すなわちウでございますが,これらを取り上げた上で(2)で例外要件を定めているといういうものでございます。

 

 

まず,個別的な意見のうち5ページのアのところにございますが,信託財産間取引については受託者の主観的意図を問うことなく客観的に利益相反性を判断すべきであるという意見がございました。

 

 

この意見は直接的には提案本文の(1)のイの①に関するものでございますが,この②も含めまして,これらの行為は民法108条の双方代理に類似するものでございますので,この意見のとおり受託者の主観を問うことなく利益相反性を判断すべきものと考えております。

 

 

この点は試案では明示しておりませんが,それまでの審議を含め,試案でも同じように解していたところでございます。

 

 

 

 

 

次に,5ページのイに関しますが,試案では受託者と第三者がする取引でありまして,かつ受益者の利益と第三者の利益とが相反するもの,例えば信託財産を外部に売却する場合については,「受託者が受益者の利益を犠牲にして第三者の利益を図る目的」がある場合に限り利益相反行為になるものとしておりました。

 

 

しかし,これに対しましては,利益相反行為となるか否かは客観的な基準によって判断すべきであるとの意見が複数示されました。

 

 

そこでこの提案におきましては,受託者と第三者がするいわば外部取引につきましては,利益相反行為に該当するか否かの判断基準から受託者の主観的目的要件を外しますとともに,利益相反行為となる行為類型はを受益者を害する恐れが高い場合に限定するために,次の2類型に絞っております。

 

 

 

1つは,受託者,または経済的に受託者と同視し得る例えば子どもですとか妻ですとかそういう者と受益者との利益が相反する場合,すなわちウの場合,間接取引のウの場合のみが忠実義務の問題となるといたしまして,先ほど言いましたように,受託者が第三者と取引をして第三者の利益のもとに受益者に損害を与える場合。

 

 

受益者と第三者との利益が相反する場合,例えば,信託財産を外部に安く売ってしまったというような場合につきましては,忠実義務ではなくて善管注意義務違反の問題となるにすぎないものとして整理を改めているところでございます。

 

 

番人

「忠実義務より善管注意義務の方が軽いのかな。」

 

 

それから,次に6ページのウでございますが,利益相反行為の例外に関しまして,試案におきましては,「受益者の利益を害しないことが明らかであって,かつ受託者がその行為をすることについて合理的な必要性が認められるとき」というのを挙げておりました。

 

 

これにつきまして,本案では,提案本文にありますとおり,信託目的,行為の性質,受託者の事情,受益者側の事情など,より幅広い事情を総合的に考慮するとの要件に改めているところでございます。

 

 

また,試案におきましては,受益者の承認を例外要件として挙げておりましたが,この提案では(2)の②というところにございますとおり,共同受託の場合で他の受託者がいる場合にはその他の受託者の承認をもって受益者の承認に代えることとしているわけでございます。受託者がいる以上は受益者は前面に出てこないという発想でございます。

 

 

 

 

 

それから,7ページのエでございますけれども,受益権に係る取引については利益相反行為の禁止に該当すると考える必要はないという意見がございました。

 

 

事務局でも基本的にはその方向性でいいのではないかと思っておりますが,御意見があれば伺いたいと思っております。

 

 

次に,提案3の競合取引の禁止でございますが,規定を設けること自体については賛成意見が大多数を占めております。

 

 

もっとも試案では受託者の固有財産による取引の機会を不当に奪うことがないように,競合行為が禁止されるのは受託者に受益者の利益を犠牲にして受託者または第三者の利益を図る目的がある場合に限られることとしておりました。

 

 

しかし,この点につきましても,競合行為となるか否かは客観的な基準によって判断されるべきであるとの意見が複数示されております。

 

 

そこで,この競合行為の禁止につきましては,甲案と乙案の2案を資料2ページ,3ページにありますとおり示しております。

 

 

甲案といいますのは,基本的に試案の考え方を維持いたしまして,受託者が自己または第三者の利益を図る目的をもって競合取引をする場合に限って禁止の対象とするものでございます。このように主観的要件を付加いたしますのは,会社が営む一定の事業の部類についてのみの競業を避ければよい取締役の場合と異なりまして,受託者の場合には固有財産で行い得る行為との競合が広範に及ぶということがあり得ますことからしますと,取締役の競業避止義務のように客観的基準のみによって違反性を判断するときには,禁止されるべき競合行為の範囲をしかるべく限定することができず,過剰な規制に陥る恐れが懸念されるということからでございます。

 

 

 

そこで,主観的要件を付加することによりまして,競合取引の禁止の対象を合理的な範囲に制限しようとしております。

 

 

 

 

 

これに対しまして,乙案といいますのは,パブリック・コメントの意見を入れて試案を改めまして,受託者の主観的要件を排除し,受託者が「信託事務処理として行うべきであった取引を自己または第三者の計算で行った」か否かを客観的,形式的に判断しようとするものであります。

 

 

もっとも,乙案の場合には甲案に比しまして,受託者が固有財産で行う取引が広く禁止の対象となりかねませんので,提案本文の(2)①の②の例外に加えて,3ページにアンダーラインが引いてあります③の例外もこの乙案の場合には加えることが不可欠になってくると考えております。

 

 

それから,提案4の利益取得行為の禁止につきましては,パブリック・コメントの結果では甲案と丙案にそれぞれ極めて多数の支持が集まりましたが,規定を設けないとする丙案がやや優勢でございました。

 

 

それぞれの意見の概要は,資料の9ページから10ページのところに示させていただいているところでございます。

 

 

この点につきましてはパブリック・コメントの結果なども踏まえまして,いかなる考えをとるべきか御審議願いたいと思っております。

 

 

 

 

 

次に,忠実義務違反の効果の方でございますが,試案に対しましては,いわゆる利益吐き出し責任の部分を除きまして,次の指摘以外は賛成意見が占めております。

 

 

その指摘といいますのは,信託財産間取引については各信託の受益者の利益を考慮する必要があるから,受益者の善意,悪意を問わず一律に無効との取扱いをすべきではないという意見が複数示されていたところでございます。

 

 

しかし,これには事務局としては反対でございまして,やはり信託財産間取引というのは,自己取引と同様に,受託者が単独で行い得る行為で,典型的な忠実義務違反行為の一類型でありますので,これを無効とすることがこのような行為の抑止につながると思われますし,また信託行為の定めや受益者の承認がある場合はもちろん,「信託の目的,その行為の性質及び態様,その行為をするに至った経緯その他の事情に照らして受託者がその行為をすることについて正当な理由があるとき」という要件に該当すれば無効とはならないのでありますから,必ずしも受益者が不測の損害を被るというわけではないと考えられます。

 

 

そこで,やはり受託者内部で行われる利益相反行為の危険性に鑑みまして,試案のとおり,例外事由に該当しない限り無効と解することが相当と思っております。

 

 

 

 

次に,提案4に関係します利益吐き出し責任につきましては,甲案の支持する見解と乙案を支持する見解が相半ばしたほか,そもそも何ら規定を設けるべきではないという意見も12ページの上に示したとおり6件ほどございました。

 

 

それぞれの意見の概要はここに○で記しているところでございます。

 

このパブリック・コメントの結果を踏まえまして,いかなる考え方をとるべきであるか。仮に甲案によったとしても,その規律の対象を会社法と同様に競合取引に限るべきか,それとも利益相反行為にも及ぼすべきかなど全般につきまして御議論をお願いしたいと思っております。

 

以上でございます。

 

  •  それでは,重要な忠実義務の部分でございますが,これについて御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

 

では,○○幹事からどうぞ。

 

  •  忠実義務の中の主に3と4項について意見を述べさせていただきます。

この3については甲案,乙案並立されておりますけれども,甲案ではやはり主観的要件がこの許容される行為と許容されない行為を切り分ける基準ということになっておりますので,受益者がこの目的を立証するということはかなり困難だろうというふうに思われます。

 

 

こうした観点からすると,甲案にはかなり難点があるのではないかというふうに考えております。

 

 

先の部会の中でも,こうした忠実義務違反等の問題については,私的エンフォースメントの観点から適正な規律をという御意見もあったかと思いますけれども,そうした観点からもこの甲案というのはやはり難点があるのではないかというふうに考えております。

 

 

これに対して乙案ですけれども,乙案は今回新たに御提案いただいた中身で,この忠実義務違反の行為をまずは形式的,客観的な基準によって切り分けようということですので,こういった形であれば比較的受益者の立場から問題提起をする,責任を追求していくといったことを甲案に比べるとできやすいのかなという印象を受けております。

 

 

 

 

他方で,この考え方というのは恐らく例外事例,③のところで実質的には適正な行為をどう切り分けようという御発想かと思うんですけれども。

 

 

この規律の仕方を,表現の仕方を拝見しますと,恐らくこれについては受託者の側でこの正当な理由であるかどうかということを立証せよというような前提になっているかと思うんですけれども,こういった規律のあり方であれば,信託においては本来受託者が情報を基本的に持っていて,受託者がその受益者に対して情報提供義務を負っているというような構造からしても,それを訴訟上の立証責任の分配ということに引きつけて考えますと,そうした立証責任の分配という観点からも合理性があるように思われます。

 

 

それから,この乙案については,アメリカの統一信託法典の条項を拝見しますと,基本的にこういったような形での規律がされているようにお見受けしますけれども,もしそういった形で米国との法律との平仄といいますか,海外でもこういった立法事例があるということであれば,国際化という観点にもかなうものではないかというふうに思います。

 

 

 

 

 

 

それから,4についてなんですけれども,これはちょっとなかなか意見を申し上げるのがちょっと微妙な問題もあるんですが。

 

 

基本的には甲案の考え方を支持したいというふうに考えています。ただ,甲案に対する批判意見を拝見しますと,若干甲案の中身といいますか,禁止される対象というものをもう少し整理する必要があるのかという印象を受けております。

 

 

禁止される行為が利益を生み出した行為自体なのか,それとも利益を信託財産ではなく保有財産に帰属させた行為なのかといったことがややちょっと意識的にもう少し整理されてもいいのではないかというふうな気がしております。

 

 

例えば従前の議論の中では土地を更地として管理すべきことを依頼された受託者が,その上に店舗を立てて商売をして収益をあげてしまったというような事例ですかと。

 

 

あるいは不動産を売却した受託者が購入した相手方から自動車が収受した場合というような例が挙げられておりましたけれども,こういった例を見たときに例えば前者の例ですと,土地の上に店舗を立てて収益をあげる行為をこの忠実義務違反の規律として規制するのか,あるいはそれとも収益を自己のもとに帰属させた行為を忠実義務違反としてとらえるのかと,そういった2つの局面といいますか,側面というのがあり得るように思われます。

 

 

後者の自動車の収受の場合についても,自動車の収受が問題なのか,それともそれを自己の財産に帰属させたことが問題なのかといった整理の仕方というのがあり得るのではないかと。

 

 

 

 

そういうふうに考えますと,前者の問題,つまり例えば建物を立てるですとか,自動車をもらった行為自体はむしろ善管注意義務の問題として整理をして,自己に帰属させた行為を忠実義務違反として整理することも可能なのではないかというふうに思われます。こうした観点から,この甲案を整理することができないかというのが,というふうに考えております。

 

 

 

すみれ

「なるほど。」

 

 

それから,甲案への批判的意見としては,今のように考えますと,結局それは利益相反の問題ではないかと,2項ですか,の問題ではないかというような意見があるいはあり得るかと思うんですけれども。

 

 

やはり自己取引の場面と今の場面というのは恐らく違ってくるだろうと思われますので,そういった観点からするとやはり独立に利益取得行為をきちんとした規定を置くということは大事なことではないかというふうに思います。

 

 

それから,もう1点,この甲案の支持する意見の中では,この要件の中に不当な利益を取得する行為という文言に対して,「不当な」という限定は必要ないのではないかというような意見が,これは○○でしたでしょうか,出されているかと思います。

 

 

本来の信託財産を利用した利益の帰属からすると,基本的にはやはりこれは信託財産に帰属させるべきであるということが本筋であるというふうに思われますので,この「不当な」という限定を除くというのは検討されてよい考え方なのではないかというふうに思われます。

 

 

 

 

そうした場合には,さらに,それではいかなる場合にも自己の利益に帰属させることはできないのかといった議論があるいはあるのではないかと思います。

 

 

この場合には,私は必ずしも現段階ではそうするのがいいと思っているわけではないんですけれども,例えば先ほどの3項の競合取引の禁止のところの(2)の3のような規定をあるいはむしろ例外規定として設けるというようなことも選択肢としてはあり得るのではないかというふうに思われます。

 

 

基本的には以上のようなことで,3の競合取引の禁止については乙案,それから4の方については若干ちょっと留保付きではありますけれども,甲案を支持したいと思います。

以上です。

 

 

 

  •  どうもありがとうございました。いろいろ難しい問題を提起するところでございますけれども,できるだけ多くの方に御意見いただきたいと思いますが,いかがでしょうか。

 

○○委員,お願いします。

 

  •  何点かありますので,続けてお聞きしたいと思います。

 

 

 

まず,19の1のところの一般規定でございますけれども,これにつきましては前回の要綱試案のところと変わっておりまして,補足説明を見ますと,忠実義務というのは基本的に任意規定だという記載がございますので,任意規定であるのであれば前回の要綱試案と同様に信託行為の定めに従いという形のものがあってもいいのではないかなというふうに考えております。

 

 

私どもの方の営業信託で考えますと,基本的には信託契約というのが基本ですので,信託契約の定めに従ってやっていればそれは大丈夫だろうというところが非常に強くございますので,そういう形の規律を入れていただければなというふうに思います。

 

 

次に,2の利益相反行為のところの(1)のウのところです。これは第三者との間における利益相反行為,間接行為の部分と思うんですけれども,ここについては基本的には自己との利益相反行為のみであるということと。

 

 

あと,信託財産に関して,ここには担保設定とか書いていますけれども,信託財産に関して行うものに限定されているのか否かということをお聞きしたいということであります。

 

 

次に,2の(2)の②,複数受託者の場合の例外規定なんですけれども。先ほど複数の受託者の場合については他の受託者の承認を得れば受益者の承認を得る必要がないといことでしたけれども,逆に受益者の承認があればそれはそれでいいのではないかと思いまして。

 

 

 

これ両方ともいいですよというのであればいいんですけれども,受益者の承認があってもだめだというのはちょっとおかしいのではないかなと思いますので,ここは受益者の承認があってもいいという形にしていただければなというふうに思います。

 

 

 

 

それと,次に2の(2)の③のところでございます。ここの部分につきましては,要綱試案では受益者の利益を害しないことが明らかであって,かつ受託者がその行為をすることについて合理的な必要性が認められるときというところから比較いたしまして,極めて実務的に落として考えますと,信託目的のほかいろいろなファクターを勘案しながら受託者というのは判断してきますので,ここの部分については非常に実務に則した形の規定になったなというふうに考えております。ここについては積極的に賛成したいというふうに思います。

 

 

 

 

 

 

続きまして,3の(1)の競合行為でございますけれども,これは以前から申し上げているように,競合行為といいますのは,信託銀行といいますのはもう本当に何回も申し上げますけれども,信託業務と銀行業務,その他いろいろな業務をやっておりますので,象徴的に言えますのは,信託勘定と銀行勘定の両方から貸出している場合というのも非常に多うございます。

 

 

そういうことを考えますと,非常に日常的な形の事務でございますので,これを厳しく規制されますともう身動きがとれないということでありますので,ここにつきましては主観的要件による限定がかかってきます甲案,これ前回と同じような考え方と思いますけれども,甲案の方を支持したいというふうに思います。

 

 

 

 

 

4番のところにつきましても,実はちょっと別の研究会でこういう忠実義務のところの契約書の検討をやったわけですけれども,そのときにこの利益取得行為とかというのをどういう形であらわしたら忠実義務違反にならないのだろうというふうに検討いたしましたが,やはりこれは全部書いていくしかないのかなということで,そういう観点からしますと,要するに間接的な取引でどこでどういう形の収益が得ているかというのがわかりませんのが,全然これ普通の銀行業務または併営業務等をやっている中で得ている収益,そういうものがございますので,ここについてはかなり限定的にしていただかないと困るということで,基本的には丙案というふうなものを支持したいというふうに考えております。

 

 

それと,最後に,例の利益吐き出しのところでございますが,これはもう今まで何回も議論がありまして,特に象徴的に書いていただいていますのは,12ページのところの部分で忠実義務違反の行為につきましては,まず無効ということが主張できますと。

 

 

それと,介入権的権利がありますということと,あとは物上代位みたいなものも当然あるということですので。

 

 

私が考えるに,これでやはりほとんど満たされるのではないかなと思います。それにプラスアルファーで利益吐出し責任というのをわざわざ入れる必要性というのがないのではないかなと思います。

 

 

前回,先ほど○○幹事の方からもお話ありましたけれども,普通の更地の上に建物を立てて営業をして収益を得ると,こういうのはすごく希有なケースであって,こういうケースまでも勘案しながらこれが利益取得だからとか,これは利益を吐き出すんだと,こういう形のことまでは考えることもないのかな。

 

 

これについても,例えば先ほどの無効であるという主張であるとか,物権的な形の主張というのが十分でき得るのではないかなと。

 

 

当然損害賠償という形でもできると思いますので,これについては利益吐き出しのところの部分についても甲案,乙案ではなくて,こういう規律はなしということでやっていただければなというふうに考えております。

 

 

 

以上でございます。

  •  ほかにいかがでしょうか。

 

 

  •  忠実義務についてでございますけれども,恐らくこれ先ほどお話ししました信託法と信託業法とのパラレルの関係のところでの1つでございまして,1点ちょっとまずファクトの御説明からいたしますと。

 

 

私ども信託業法28条の方に忠実義務の規定を入れさせていただいておりまして,これは法令及び信託の本旨に従い信託財産に係る受益者のため忠実に信託業務を行わなければならないという規定になっておりまして。

 

 

この規定が入った趣旨は,やはりプロである信託会社と一般投資家との間の情報量,交渉力の格差ということを留意するとともに,私どもどちらかというと委託者,一般投資家である委託者,受益者を保護するという観点がございまして,そこでかなり忠実義務のいわば任意規定化については慎重に考えた結果こういうことを入れさせていただいているというまずファクトでございます。

 

 

先ほどほかの委員からも御指摘ございましたけれども,これまでの要綱試案でございますと受託者は信託事務を処理するに当たっては法令及び信託行為の定めに従いというふうに入っていたわけです。

 

 

ここの総則のところですけれども,確かに御説明を○○幹事の方からいただいたわけでございますけれども,逆にこれ1点御質問で,法令及び信託行為の定めに従いというのをあえて落とした方がよいというか,その方がよろしいという何か理由のようなものがございましたらちょっと教えていただきたいですけれども。

 

 

逆にいうと入っていても構わないのではないかとも思われるんですが。

 

  •  ここでは忠実という言葉を先ほど言いましたように実質的に考えていますので,あえて書かなくてもこの「忠実」の意味として読み込めるのではないかということもありますし。

 

 

果たして除外事由というのが信託行為の定め,それから承認,それ以外にも例えば正当な理由がある場合といろいろなものがあるわけでございますので,そういうのを全部書き切るということもできませんので,忠実という言葉の中に全部ひっくるめて読み込んでもらいたい。

 

 

その一部たけ抜き出して書くというのはちょっと非常にアンバランスでありますので,あえて落としたということでございます。

 

 

  •  今の点ですけれども,法令というのを落とすのは○○幹事が説明していた以上に私が補足することはないとは思うんですけれども,私はこれは落とした方が絶対いい,体系的にいいと思います。

 

 

恐らく信託業法の規定がどこからきているかといいますと,全くいきなり出てきたのではなくて,これは商法254条の3,現在の会社法とは別の規定ですけれども,会社法の規定にもとがあるんだと思います。

 

 

254条の3は簡単に言いますと法令,定款に従い忠実にと書いてあるんですね。

 

そこで書かれている意味は,法令定款遵守義務,狭い意味での忠実義務,善管注意をまとめてその1行で書いてあるわけです。

 

 

 

それで,信託業法,どうしてそういう書き方になったか私わからないんですが,28条の忠実義務の方は狭い意味での忠実義務と法令遵守義務が規定されていて,注意義務だけまた別の条文になっているんですね,こういう体系というのは私ちょっと整理の仕方としては理解しがたいと思います。

 

 

現に投信法などは法令定款遵守義務なくなっておりまして,忠実義務と善管注意義務だけの2本立てになっております。

 

 

法令遵守義務を書くのであれば,書いて私はいいと思いますが,少なくとも忠実義務とパッケージで書くのはおかしいと思います。

 

 

それは法令を守って,かつ忠実に,かつ善管注意義務を果たしてやるべきだと書くのであれば,例えば信託事務の執行の一般規定の方に入ってきて両方にかかると。

 

 

それと別に忠実にもやるしという規定があり,善管注意義務に尽くしてやるというそういう整理になっていれば非常にきれいなんですけれども,忠実義務の中にこれを放り込むと非常に体系的に変だと思いますし,信託業法の方こそなぜ商法の注意義務だけ抜き出して別立ての条文にして全然性格の違う法令遵守義務と忠実義務でパッケージのようなつくりをとったのは,私はむしろそっちの方が疑問に思われますので,私こういう整理はむしろ概念としてはきれいになっても中身が根本的に変わるかどうかわかりません。

 

 

ただ,中身に関して言いますと,法令違反があった場合,例えば独禁法とか信託の利益を守らない法令違反があった場合に直ちにそれが何らかの法的効果をもたらすか否かという議論が商法の方では254条の3の規定,つまり法令定款遵守義務をめぐって最高裁判例までありまして,またそういうある種の難しい問題を引きずり込むという意味でも余りこういうところで妙な言及の仕方もしない方がいいと思いますので,少なくともつくるとしたらこれがずっときれいだと思いますし,信託業法もでき得るならこれに合わせて直していただけないかなというふうにむしろ思うわけであります。

 

 

 

 

 

  •  今,○○幹事がおっしゃって,私も思い出しまして。信託行為の定めを落としたというのはまさに実質的に判断しているからということでございますが。

 

 

法令というのは,今,○○幹事がおっしゃった難しい問題もあるのと,あといわば当たり前のことなので書くまでもない,そういうことの議論がありました。ちょっと補足いたします。

 

 

  •  原案ができた理由はそういうことだということでございますね。

○○委員。

 

 

  •  ちょっと長くなるかもしれませんけれども,19,20について一連の意見を述べたいと思います。

 

この点については,私から何回も同じようなことをお話ししていますし,また○○としても意見書を提出しておりますので,骨子だけということになるのかもしれません。また,新しい提案に関してはちょっと若干お話ししたいと思いますけれども。

 

 

まず,第1の忠実義務の話ですけれども,ここは試案と比べて「信託行為により」という言葉が落ちているということについて,ちょっとこれはどうしたのかなというふうな疑問があります。

 

 

先ほど○○幹事の方から御説明は一応ありましたけれども,やはりここは任意規定ということであれば,これは全体的な条項立てもそうですけれども,任意規定であればその任意規定であることを明確化するということではなかったかと思いますものですから,ここだけあえて任意規定であるということであることを前提とするけれども,書かないというのはやはりおかしいものですので,そこは書いていただきたいなというふうに思っています。

 

 

2つ目に,従前からの例外規定を設けてほしいという話をしております。

 

 

その点,先ほどの御説明ないしは今回のペーパーでは承認を得ている場合とかについては当然忠実義務として評価できることはできるというふうに書いてございます。

 

 

一種の解釈論で解決しようということだと思いますけれども,果たしてそういう解釈論が成り立つ得るのかどうか。もし解釈論があるのであれば,別に2,3,4で例外規定をこと細かく書く必要はないわけですので,なぜその2,3,4で例外規定を明確に書いておいて1で例外規定が明確に書かないのかというその差がちょっとよくわからないところであります。

 

 

 

 

もちろん,1は総則規定ですので例外規定を具体的に書くということは限界があることは承知しておりますけれども,それならば何らかの例外規定があるということを明確化する必要があるのではないかと思っております。

 

 

 

それから,総則的な話かどうかわかりません,ちょっと付言しますと,公平義務というのが一体どういう扱いになったのかというのがちょっとわからないんです。

 

 

その点ちょっと後でお教えいただければと思います。従前から私どもは公平義務と忠実義務というのは別にして議論すべきではないかというふうに思っているわけですが。

 

 

今回の提案でどういうふうに整理されているのかというのは今改めてお尋ねしたいと思います。

 

次に,2でございますが,その点は特段ございません。

 

3の競合行為のお話でございますが,この点は先ほど○○委員からお話があったように,銀行としては特に信託を兼営している銀行としてはいろいろな業務をしているということでございますので,やはり競合行為というのが過剰に制限されてしまうと非常に動きがとれなくなってしまうということは事実でございます。

 

 

加えて,なぜ専業信託会社に頼まなく信託銀行に頼むか,お客さんが依頼するかというのは,やはりいろいろな業務を行っていると,それによってノウハウがあるというそういうシナジー効果を期待して取引に入るというようなこともあると思いますから,そういう競合行為を過度に縛ることによってかかる兼営的な行為を過度に萎縮させるということはやはり避けていただきたいというふうに思っております。

 

 

 

その観点から今回の甲案,乙案というのを見ますと,ちょっとどちらの案に賛成するのかというのは今決めかねているところでありますが,ただ,甲案,乙案の柱書きについてどれほどの差異があるのかなというふうに思っているわけです。

 

 

もちろん立証責任が違うということは先ほどもお話があったと思いますけれども。

 

 

と申しますのは,例えば甲案に関してですが,どちらも広いという話を申し上げたいんですけれども,甲案でいうと,確かに目的を持ってという主観があるわけですが,競合行為といっても結局およそ商人であれば自己のためにいろいろなビジネスをするということがあるのは当然の話であって,そうしますと自己の利益を図る目的をもって行うということは当たり前の話なのかなということを思っているわけです。

 

 

そうしますと,今回いわゆる受益者の犠牲の行為をという要件を外しましたけれども,その外したことによってここの残った意味というのが非常に明確さを欠くのではないのかなと。

 

 

ここでいう目的を持ってというのはどういうものなのかというのがちょっとよくわからなくなったということでございます。

 

 

他方,乙案で信託事務処理として行うべきであった取引というこの「べき」ですけれども,これもそうであるべきというのがどこまで客観的に言えるのかどうかという話と。

 

 

また,べきというのは,これもここで明確化したいわけですけれども,例えば信託事務処理として行える,行うことが可能であるものはすべて,じゃあ,これは信託のものであるというふうにするということであれば,これは非常に広い概念になると思います。

 

 

そうしますと非常に受託者としては萎縮的な効果が出てきますけれども,そういうときに,じゃあ,どういうときに行うべきであるのかどうかというのが不明確であって,その不明確さが残る限りにおいては非常にこの乙案でとらえる事象というのは非常に大きいのではないのかなと思っています。

 

 

 

そうしたところ,結局乙案の(2)というのは,甲案と乙案の柱書きが乙案が広いということを前提にしてその救済のために③というのを入れると,そこで正当な理由があれば救おうというそういう配慮があるいうことの御説明がありましたけれども,今度は正当な理由ということが一体何なのか,またその正当な理由を立証するのは受託者のサイドであるということからすると,この例外規定を実際使えるというのが本当に多いものかどうかということもありまして。そうしますと,この甲案,乙案の中身をもっと明確にしないとどこまでワークするのかなということがちょっと疑問であったということでございます。

 

 

 

続きまして,4でございますが,これは従前から申し上げているとおり,私どもとしては丙案ということでございまして。結局「不当な」という言葉が非常に不明確なものですから,効果が出てくること等が大きなことでありますし,またほかの2,3等の類型によってすっきりさせることが多いのではないかというふうに思っているわけなんですが。

 

 

ここは次に申し上げます利益吐出しのところと合わさって4という,ここが拡大になると非常に大きなインパクトがあるということを懸念しているということでございます。

 

 

そこで,最後に,利益吐出しの話をいたしますと,ここもまず第一に前々回に指摘しましたように,パブコメの結果は甲案,乙案ということの意見が同数が多かったという話ですけれども,ただ,選択肢にないにもかかわらず設けるべきではないという意見がここに書いてあります,少なくとも6件あったということをメンションしたいと思います。

 

 

また,甲案の中でもよく見ますと甲案,乙案とどちらかと選べれば甲案だという言い方をしているように見えるものもあります。

 

 

実際はもし選択肢があるのであれば設けるべきではないというようなことと思われるようなものもあったことを合わせてメンションしたいと思います。

 

 

やはり利益吐出しルールがなぜ問題なのかということは,これは従前いろいろ申し上げたことで,ここではそれほど繰り返しはいたしませんし,先ほど○○委員からもお話がありましたけれども,やはり1点,この法的体系が今の日本でどれだけの位置づけを持っているのかということの議論をいたしましたけれども,やはりこのルールがほかの取締役であるなり委任であるなり,その影響がどういうものになるのかどうかということも合わせて考える必要があるのではないかというふうに思っております。

 

そういうことを考えると,やはりこの時点で整理がないまま決めてしまうということはちょっと時期尚早ではないかとも思います。

 

 

ちょっと長々お話しいたしますけれども,以上です。

 

  •  両案になっているところはちょっと議論いただくとして,1,2だけ答えますと。

 

まず,信託行為の定めを書くべきかというのは,これはほかのところも任意規定であることを表すために書いているという意味だけからすると書くということもあり得るかなという気がしますが,ちょっとそこは検討したいと思いますが。

 

 

他方,ほかの除外事由も書くということになると,何か逆にそれ以外の事情というのは除外事由にならないのではないかという反対作用みたいなものを起こすのではないかという気がしますので,むしろ忠実という中で読み込んでいくということで十分対応できるのではないかという気がしております。

 

 

それから,なぜ2から3あるいは4を設けるとすれば例外規定を書いたのに1には書かないかというと,これは2の(1),3の(1)とかでは形式的にまず判断して,その実質で飛ばすのを例外規定でやっているからでございまして,1の方は忠実で全部読むものですから,あえて例外規定はいらないという整理をしているわけでございます。

 

 

それから,公平義務については,今回,忠実義務の方がある程度見込みがついたらやろうと思っておりまして,これは別途規律を設けるという方向で考えているところでございます。

 

  •  ○○委員。

 

  •  まず,1について一言述べたいと思います。忠実に,あるいは法令か信託行為というところは今の議論に特に意見をさしはさむところではないんですが,信託事務を処理しなければならないというところについて一言申し上げたいと思います。

 

 

前の要綱試案と比べますと,ちょっと限定されてているように思います。このような文言で規律ができ上がったとしても,全体として忠実義務ということの趣旨を,例えば競合取引が禁止されている,あるいは利益取得行為が禁止されているということを合わせて読むことによって,厳密な意味での信託事務の処理に限定せずに,その周囲にある信託事務の処理として行わなかった行為についても忠実義務はかかるんだという解釈十分にあろうかと思いますが,しかしでき上がってしまったらそういうふうな解釈を試みるということになると思いますけれども,現段階でどういうふうにつくっていこうというときには,忠実義務というのは信託事務の処理についても係る義務だと思いますが,信託事務の処理に関連するそれ以外の受託者の行動についてもまさに競合取引の禁止とか利益取得行為の禁止が問題になるようにかかってくるものだと思いますので。

 

この1の信託事務を処理しなければならないというこの表現,もう少し工夫できないかということをお願いしたいと思います。

 

 

ただ,どういうふうにすれば今の私が申し上げたことを実現するかというちょっと案が持ち合わせておりませんので,そういうレベルでの意見でございます。

 

 

それから,もう1つは,2の(1)のウなんですが,これ○○幹事の最初の御説明の中にありましたところですが,間接取引であって,そしてどのような間接取引をここで外形的にまず原則禁止するかというと,受益者と受託者の利益相反であると。

 

 

これはさかのぼってみると,アに対応する間接取引だと思うんですが。イに対する間接取引というのもあり得るのではないかと。

 

 

同一の受託者が2つの信託を預かっていて,A信託で借入をすると。だけれども,貸主はそれだけでは貸してやらないと。それでB信託を持っているのでB信託で保証するとか,この今のウの表現をそのまま使うならば,B信託で物上保証するというようなこともあり得るんだろうと思うんですね。

 

 

すみれ

「B信託の受益者って何か良い事あるのかな。」

 

 

それもイの間接取引型としてまさに双方代理ですか,双方代理の信託版になろうかと思いますので。同じようにここに規制にせしめるべきではないかなと思います。

 

 

確かに自己取引型のものと信託財産型取引のものとを禁止する趣旨は少し異なるんだろうと思いますが,間接取引に広げたときに信託財産間取引の間接取引をあえて外す理由はないように思います。

 

それから,あともう1つですが,2の(2)の①と②の関係について一言申し上げたいと思います。これも具体的な意見があるということではないんですが,工夫をお願いしたいという趣旨のことなんですけれども。①で信託行為に許容文言があればそれでいいと,これもちろん賛成でありまして,そこにはどの程度具体的に許容するかという問題があるというパブリック・コメントでも指摘された問題があると,それもそのとおりだと思います。

 

 

しかし,その上で1つ具体的な例を挙げると,例えば信託行為に重要な事実を開示せずに受益者の承認を得たときに許容するというような定めがあったときにどうするかというような問題があるんだろうと思います。

 

 

私実質的にはそれは(2)の①で許すべきではないんだろうと思うんですね。2の②の趣旨を反映させるべきなんだろうと思います。

 

 

そして,そうだとすると今の私の意見,実質的な意見に御賛成が得られるとすると,①と②を今のような形で並列して書いても確かに解釈でそのくらい出てくるだろうということかもしれませんが,これも今これからルールを書こうというときですから,あるいはそういうことをにじみ出すことができる書き方があるならば,工夫をお願いできればと思います。

以上です。

 

 

  •  何かございますか。

 

  •  信信間の間接取引は恐らく入るんだろうなという気がします。

 

  •  これは入るでしょうね。

 

  •  それから,①,②の書き方については検討したいと思いますが。一番最初のところは,おっしゃるとおり,ここで固有事務なら何でもやっていいというわけではもちろんなくて,事務局としては信託事務処理遂行義務の中にはこういう例えば競合取引をしないという不作為義務も入っているというようなことで読んでいるつもりですし,会社法でも株式会社のために忠実にその職務を行わなければならないと355条でありまして,その上で競合取引の禁止とか利益相反行為の禁止とか書いてあるので,それとの平仄も合っているのではないかという気はしているところでございますが,御指摘を踏まえて検討したいと思います。

 

 

 

  •  実質は全く異論がないところなんですけれども,表現がね,競合取引みたいなのはこれで入るのかというのが気になるということだったと思いますけれども。

 

 

いろいろな論点がまだございます。とてもちょっとあれですけれども。

ごめんなさい,○○委員,どうぞ。

 

 

  •  すみません,重要なポイントなので,大分重複わたるところあるかもしれません,なるべく簡単に申し上げたいと思うんですけれども。

 

まず,1の規律ですけれども,これは非常に重要な変更であったと私理解します。

 

やはり具体的な忠実の具現化のところで別段の信託行為の定めということが書いてありますけれども,この説明の中でも忠実義務を一切免除するようなことはもともと信託の本質に反すると書いてあるわけですから,2からのところで信託行為の別段の定めでどんどん免除されていったとしても,やはり信託の本質であるところの忠実義務は残るという趣旨においてもこれは単に表現だけの問題ではなくて,信託行為の定めに従いということがなくなったということは非常に重要ですし,やはりこの規律というのは今のままであるべきではないかというふうに思います。

 

 

それから,ちょっと細かいようですけれども,善管注意義務と忠実義務を論理的に分けて議論しましょうというところで説明をされていますけれども,やはり忠実義務というのは信託のかなめであって,それの対応が利益吐き出し責任であると,こういうふうに学んできた次第ですから,利益吐出し責任の議論は後ほどいたしますけれども,忠実義務と善管注意義務と果たしてそんなに論理的区別できるんだろうかと。

 

要するに受益者のために忠実に,要するに受益者の利益ということを最大限図りましょうという議論だと思いますが,ほぼ善管注意義務と一部,またかなりの程度オーパーラップしているところもあると思うので,信託と第三者との取引のところで受託者の利益を図る場合と第三者の利益を図る場合を分けて考えるということは,考えようによっては整理としてはわかりやすいんですけれども,その効果の利益吐き出し責任というところからすると,そこをそんなに截然として分けるべきかどうか,果たして分けられるのかどうかというところではちょっと考え方としてやや疑問がなきにしもあらずというように思います。

 

 

 

それから,競合行為のところ,甲案,乙案,先ほどの○○委員も話していたところですけれども。

 

 

信託事務処理として行うべきという乙案の,この「べき」のところで一定の価値判断が入っているわけでして,そうすると乙案をとった場合でも信託事務処理として行うべきであったけれども,正当理由があるという状況というのは果たして考えられるんだろうかというところで,乙案をとる場合はやはりこの3の正当事由の場合の例外というのが本来いらないはずではないのかなというふうに思います。

 

 

それとか,信託銀行の方とかこの4のところの反対が強いようですけれども,信託銀行がこういう信託勘定ではなくて銀行勘定において業務を行う場合というのは,どう考えても信託事務の処理に当たってとかいうところに該当しないわけでして,それが該当しているんだけれども,固有業務,銀行業務であるというところの議論自体が非常にわかりにくい議論なのかなというふうに思います。

 

 

そんなに懸念するような話ではなくてですね。もうちょっと濫用事例を考えていただければ,この4の意味というのは十分あるわけでして,固有業務でやっていることが4で不当であるという議論が登場する可能性というのはあり得ないし,なおかつもともと信託契約の中で特段の規定を書けばいいだけですから,心配なところが,限界事例があるようでしたらそのように対応すればほぼまかなえるのではないのかなと,かように思いました。

 

 

あと,利益吐出し責任,今のところと絡むんですけれども,不当な利益という言葉の不当性というものの議論の仕方とまた解釈論の議論あるかもしれませんけれども。

 

 

私の理解では,利益吐出し責任の利益と不当というのはある意味では対応関係にもあるのかなと,それは利益吐出し責任の論理的根拠をどこに求めるのかという議論ともつながるかと思いますけれども,かように思います。

 

 

ですから,4というのはやはりあってしかるべきものではないのかと考えます。

 

あと,最後の利益吐出し責任ですけれども,既に繰り返し述べておりますけれども,忠実義務と善管注意義務というのはかなり近いんだけれども,そこに差があるのはやはり忠実義務の信託の,委任と違って信託のかなめであって,その効果として利益吐き出し責任があると,ここで初めて意味があるんだと。

 

 

利益吐出し責任がなくて忠実義務があるといったらほとんど善管注意義務があるというのに等しい,完全とはいいませんけれども,近くなるわけでして。

 

 

やはり信託のかなめであるところの利益吐き出し責任というものをなくすというような立法というのは不適切ではないのではないのかなと思いますし。

 

 

あと,今回の検討課題の説明の中で両説については説明書いてありますが,これよりも補足説明における説明の方が非常に説得力がありまして,今の甲案,乙案支持だけでいきますと,何か乙案が随分弱気みたいなあれですけれども,皆さんパブコメ読んだ方はこの補足説明にさらに加えて言う必要はないのではないかと思って議論されていると思うので,ここだけの理由づけでは決してなくて,補足説明にしっかり書いているところを,要するに信託の中心のかなめであるというあたりがやはり重要なポイントだと,かように思います。

以上です。

 

 

 

  •  すみません,ちょっとまだこの忠実義務についてはまだこの後続けていただきたいと思いますけれども,先ほど最初に申し上げたように,ちょっと私5時で退出しないといけないものですから,途中で退出いたしますけれども。私は今,○○委員の利益取得行為の禁止ですとか,利益吐出し等については個人的には全面的に賛成ですが。

 

 

それから,忠実義務と善管注意義務との関係というのは非常に難しい問題でして,構成としてはどっちに構成するということも可能なんだと思いますけれども,やはり効果が違ってきて,第三者との間接取引において,第三者の利益を図るというタイプですね,これが今度は善管注意義務の方に出ちゃったというので忠実義務の問題になっていないので,これはしたがって効果としては,利益吐き出しの問題もありますけれども,一応有効であると,行為としては許されると。

 

 

だけれども,損害を与えれば損害賠償の問題になるということで善管注意義務の問題になっているというそういう整理なのかというふうに思いました。

 

 

この辺もこれでいいのかということも含めてさらに続けて御検討いただきたいと思いますが,1,2分交代のために時間をいただきます。

 

 

(休   憩)

 

  •  それでは,再開させていただきます。

 

本日の進行でございますけれども,今まさに御議論していただいています忠実義務というのは非常に重要なところでありますので,さらに議論を深めていただくというわけですが,なかなか部会長もいらっしゃらないところで最終的に決定することも難しいかもしれない。

 

 

そこで,今からしばらくの間さらに御議論を深めていただいて,事務局でも検討を深めていただくというふうにしたいと思います。それを大体20~30分ぐらいいたしまして,その後できる限り進めていって,進行については後ほど○○幹事の方からお願いいたします。

 

 

 

それでは,先ほどの点についての補足と進行についてお願いいたします。

 

  •  まず,進行ですけれども,最初に,今,○○委員かおっしゃったように,忠実義務等をやりまして,あとは最後の限定責任信託をやりまして,あとはできるところまでということでございます。

 

 

2点補足ですが,1つは,先ほど○○委員がおっしゃった忠実義務と善管注意義務の仕切りというのは,○○委員もおっしゃったとおり,事務局としては自己取引類型ですとか受託者と受益者の利益が相反するのは悪性が高いから効果に及ぶと。

 

 

受益者と第三者の利益が相反する場合はそこまで悪性が高くないといいますか,そういう観点から効果までは及ぼさないで損失てん補の問題にとどめるというような仕切りをしているという,行為の悪性と,あとやはり受託者内部でできる行為かどうかという容易さとかそこら辺で区別をしているということでございます。

 

 

あと,信託財産間取引で先ほど○○幹事の方から間接取引型の信託財産間の取引も書き忘れているではないかという御指摘がありまして,私それはそうかもしれないと申したんですが,ちょっと内部での打合せを確認した結果,これは意図的に外しているんでございまして,結局事務局としては受託者と受益者の利益が相反するのが基本的に忠実義務の問題で,外部のもの,第三者との利益が相反する場合はそれは善管注意義務の問題だとしておりますので,他の信託財産をある信託財産の債務のために担保に供したというのも第三者の,第三者というか他の信託が第三者でございますので,そこに効果が及ぶ行為であるということになりますと,これは事務局の認識しています忠実義務の範囲からは外れてくるわけでございます。

 

 

いわゆる信託財産間取引というのは例外的に民法108条の仕切りに入るので含めておりますが,それ以外の信託外の第三者が絡むものについては善管注意義務の問題というふうに考えておりますので,その仕切りからいたしますと先ほど○○幹事の方から御指摘があった問題は善管注意義務の問題であるというふうにこの提案では考えているところでございます。

 

 

 

  •  それでは,今の点も含めまして,忠実義務あるいはその効果について議論を続けたいと思います。

 

 

○○幹事。

 

  •  簡単に。今までの議論を伺っていてちょっと1つ気になった点なんですけれども。

 

 

1項,一番最初のものですね。ここで「信託行為の定めに従い」というのを復活させるべきであるという議論が出て,それを契約自由とのコンテクストで議論されているようなのですが,ここを従来の表現に戻してそういう効果が得られるかというと私そんなことはないと思うんです。結論としては○○委員と同じなんですけれども,ちょっと理由づけは違うとは思うんですが。

 

 

 

従来の規定ぶりは受託者は信託事務の処理をするに当たっては法令及び信託行為の定めに従い行うと書いていたんですが,法令が落ちたのはさっき言った理由で私支持するんですが。

 

 

これは会社法の規定でいえば定款遵守義務に相当する定めでありまして,これは違反すれば結果責任ですよという規定,忠実にやっても違反すれば責任はありますよという規定であって,決して任意法規化を定めている意味合いはもってこないし,このまま条文化してもそんな意味は持って来ない,解釈されないと思います。

 

 

もし任意法規化を書きたいのであれば善管注意義務と同じように,ただし信託行為に別な定めがある場合はみたいな書き方をしなきゃいけないんですが,こういう書き方をしますと,今度は2項以下と完全にオーバーラップしますので,非常に書きにくい。

 

 

したがって,私はさっき言った「信託行為の定めに従い」というのを入れるとちょっと忠実義務の性格がまた違う種類の義務をここに書き込むので,純化されないという問題はありますが,内容は別段反対するわけではありませんが,さっきから言われているような効果はそれでもたらされないと思いますので,それを前提に議論した方がよろしいのではないかと思います。私は余りそういうことというのは入れない方がいいと思います。それが1点です。

 

 

 

2点目は,善管注意義務,忠実義務の関係なんですが,取引の効果については今整理されたとおりなんですけれども,観念的にある行為が忠実義務違反行為であり,かつ善管注意義務違反行為であり,かつ違った取引の効果のみならず責任の内容においても違う内容をもたらすということは,従来からも会社法の領域ではよく認識されてきたことです。

 

 

有名な最高裁判例がありまして,利益相反取引をした場合に無過失責任の規定が従来あったんでが,それを生じる以外に内容がばかげていたという理由によって善管注意義務違反,従来は266条1項5号の法令違反なんですけれども,それにも当たる。

 

 

両方は併存するというような整理がされていました。新会社法のもとではまた変わったんですけれども,観念的にはこういう発想が維持できると思いますので,そういう観点で別次元のものとしてこの責任と善管注意義務違反というのを別次元のものとして整理するという方向性は私は正しいと思うのですが。

 

 

正しいとすると今度は気になるのが競合行為の禁止の甲案,乙案であります。

 

 

とりわけ乙案で,これは○○委員が指摘されたことがほぼ私も同じ印象を持つのですが,信託事務処理として行うべきであったと書いてあるここのところに善管注意義務的な内容が読み込まれてしまう危険が非常に高いような懸念を持っております。

 

 

 

つまり,信託事務処理として行うべきであった,やれることでやったら信託がもうかったはずでしょうと。しかし,やらなかったと。

 

 

それは基本的に善管注意義務の中身でもあり得るんですけれども,ちょっとやったらよりもうかったことを例えばほかのお客さんのためにやっていたら当然これに当たる,あと救済は2の(2)の③ですというのはちょっと整理としてやや問題,乙案は広いところをカバーしすぎているのではないかと懸念を持っています。

 

 

恐らく行うべきであったというのは,これは○○委員も指摘されたと思いますが,ある種の価値判断を含んでおりまして,「べき」の内容というのは利益相反関係がなかったなら恐らく信託としてやったであろう,やることが自然であっただろうというようなそういうふうな内容が暗黙のうちに含まれているんだと思うんですが。

 

 

ちなみにアメリカの統一信託法典を言及された方がいらっしゃいましたので,今ちょっと古い草案なんですが見てみますと,やはりそこでも単純にやれたこととは書いてなくて,あるいはやるべきであったこととは書いてなくて,利益相反関係があったようなことが書かれているんですね。

 

 

フィデュシャリー・インタレストとパーソナル・インタレストの対立みたいなものはそこでも適用の要件になっていたと思いますので,だからやはり「行うべきであった」の中にはそういう利益相反的な環境を読み込まないといけないんだろうなと,乙案をとるとすれば,と思います。

 

 

そうなってくると,甲案とそう変わってこなくなって,ただ目的というふうに書いてあるところが唯一違うんですが,目的というのがちょっと狭すぎるというのであれば,甲案の目的を客観化するという方向でドラフトし,あるいは乙案の行うべきであったの中にある種利益相反的なものをさらに具体的にイメージ的に書き込んでいく。

 

 

結論は同じところに収れんすると思うんですけれども,そういう形でこれは解決すべき問題なのではないかと思います。

 

 

ちなみに,昔ありました受益者は信託の利益を犠牲にしてとか何とかいう表現は,あれはさすがに何といいますか,善意みたいなものを,ことさらに害するような目的があるようなことが要求されるように理解されるとすれば狭すぎますので,それを落としたことはよいと思うんですけれども。

 

 

さらにこれ客観化,利益状況を書くことで客観化した方がいいのかなという気はしております。そうすることによって善管注意義務とのオーバーラップといいますか,マージしてしまうことを概念的には防げるんだと思います。

以上です。

 

 

  •  今,甲,乙の収れんの方向性を示唆されたわけですけれども,何か具体的な御提案というのはございますか。

 

  •  そこまではよく考えていません。
  •  はい,わかりました。

では,ほかに。○○幹事。

 

 

  •  甲,乙の話ではなくて別な話なんですが,まず先ほど○○幹事がおっしゃったことなんですが,私もなるほどとというふうに思ったんですけれども。第三者との間でやった取引というのはここの忠実義務違反の中には含まれていないと。

 

 

 

気持ちはわかります。と申しますのは,第19のつくり全体がまず形式的な形で該当,不該当というのを押さえて,それである一定の場合にはいいというふうに解除をするということになると,第三者との間の取引が形式的に全部忠実義務違反になるということはあり得ないわけですから,それは外した方がきれいにいくというのはよくわかるんですが,しかしながら,これは一時別のコンテクストだったと思いますが,○○幹事がおっしゃったと思いますけれども,例えば代理権の問題につきまして自己取引だけではなくて,第三者の利益を図るという目的を持って取引をしたというのも代理権濫用という領域で考えられてきたわけでありまして,第三者の利益を図る目的で第三者と信託財産との間での取引をしたというときに,なぜ忠実義務違反から外されて善管注意義務違反の問題になるのかというのは私にはよくわからないわけです。

 

 

 

それには若干また関連するところがありまして,あと内容について2つ申しますと。

 

 

1つは,やはり相手方が知っていれば無効になっちゃって全然おかしくないという気がするのが第1点と。第2点は,先ほど○○幹事がおっしゃったように,善管注意義務違反というのはいずれにせよ起こるんですね。

 

 

これは確認しておきたいんですが,仮に利益相反行為に関してここに,現在の第19に書いてある利益相反行為に関して受益者の承認があったとしても,それは起こるんですよ。

 

 

不当な判断が悪い取引をした場合に善管注意義務違反が。つまり,利益相反行為に,だからつまり,善管注意義務というのは広く全体に及んでいるわけであって,第三者の取引は善管注意義務違反の問題になり得るというのは当たり前の話なんですが,それをそれだけでよいのかというと,僕はおかしいのではないかというのが第1点です。

 

 

 

第2点は非常につまらない話なんですが,4の利益取得行為の禁止のところの文言が私よくわからないですが,と申しますのは,不当な利益を得ちゃいけないと。

 

 

不当な利益を得ちゃいけないのは私当たり前だと思うんですが。そうなると,許容する旨の定めがあるなんていうことがあり得るんだろうか。ないしは受益者の承認を得たら不当な利益でもいいんだろうかというのがすごく気になってくるわけでありまして。

 

 

その不当性という評価的な概念を表のところに置いているので,(2)のところと多分合わなく,解除事由のところと例外事由のところと何か平仄が合わなくなっているような気がするんですが,ちょっと。

 

 

もちろんこれ多分善解いたしますと,何を主張,立証すれば受託者側は一応その責任を免れ得るのかという問題に関わってきて,同意があるいうことがあれば,それでもなお善管注意義務違反である等々について受益者側から主張,立証していかなければならないということで,立証責任を転換させるとか,あるいは忠実義務のフェーズではなくて善管注意義務のフェーズに移すというふうな意味なんだとは思うんですけれども,何かこのまま率然と読みますと不当なときも許容するときはいいみたいになって何か変な感じがするんですが。後ろの話は細かい話ですけれども。

 

 

  •  まず,○○幹事の御指摘になられました忠実義務という問題があったと

しても善管注意義務の問題も起きるというのはおっしゃるとおりでして,例えば信託行為にその行為をすることを許容する旨の定めがあるときというこの中で例えば自己取引をすることができますというふうこと等が書いてあったとしても,実際に自己取引をする場合にその価格というのが適当でなければ当然善管注意義務違反を問われることになりますので,そういう意味では忠実義務違反と善管注意義務違反とはその範囲でオーバーラップしてくると,両方とも問題になる場合があり得ると。

 

 

 

それに対しまして,第三者と取引をする場合,受益者の利益と第三者の利益が相反する場合につきましては,今回の整理ですとそれは善管注意義務違反の問題として考えれば足りて,忠実義務違反の問題というのは原則としては出て来ないと。その例外というのがここで申し上げました間接取引というものでして,第三者と受託者が取引をするけれども,受益者の利益と受託者の利益,ここはかぎ括弧つきの「受託者」ということでして,例えば○○幹事も申し上げましたとおり,受託者の配偶者とか子どもとの利益が相反する場合については間接取引に当たるというふうに考えておりますけれども。

 

 

そういう形で第三者との取引につきましては第三者も出てきますので,基本的には忠実義務違反というよりは善管注意義務違反の問題として考えた方が適当なのではないかというふうに考えております。

 

 

このように考えるようになりました経緯といたしましては,パブリック・コメントの意見の中で受益者の利益と第三者の利益が相反するようなケースについても客観的に判断すべきではないかというような意見が多数寄せられまして,それで考えてみたんですけれども,そうしますと,受益者の利益と第三者の利益が相反するというのはまさに善管注意義務違反の問題ではないかと。

 

 

試案ですとそこのところは第三者の利益を図る目的をもってというような形で整理していたんですけれども,第三者の利益を図る目的というのはまさに善管注意義務違反の行為で善管注意義務違反をしたというものに当たるのではないかというふうに考えられますので,そのように考えるのであれば第三者の利益と受益者の利益が相反するような受託者と第三者の取引につきましては善管注意義務違反の問題として考えれば足りるのではないかというふうな整理を今回したところでございます。

 

 

 

  •  ○○幹事,よろしいでしょうか。

 

 

  •  そういう論理をとりますと,自己取引でもそうですよね。善管注意義務違反でよいということになりませんか。

 

 

  •  そこのところも自己取引をしてその経済的な利益というのが第三者に帰属するというのも当然あり得るかと思うんですか,それは内部的な取引をするので特に悪性が強いということ,双方代理,自己契約みたいなものが民法108条で禁止されているので入れていこうというふうに考えております。

 

 

その点では確かに完全に論理一貫しているとまでは言えないんですけれども,そういうふうに整理をしています。

 

 

  •  ちょっとすみません,続けて申しわけございません。例えば第三者の利益を図る目的で第三者と信託の財産の取引をしたとします。第三者が故意または重過失でもいいんですが,悪意または重過失ですね,ごめんなさい。

 

 

で,それが自己の利益を図るというものであったということを知っていたというふうにします。このときは権限外取引なんでしょうか。もしこれが仮に善管注意義務違反の問題であるということになると,権限内取引であって,31条によっても取り消せない取引になりますよね。

 

 

そうしますと,第三者が悪意,有過失ないしは重過失であっても,当該取引が取り消された無効になったりすることはないということになりませんか。

 

 

それはその民法の代理の議論とかとの間で平仄が僕は合わないような気がするんですが。

 

 

  •  そこのところにつきましては確かにおっしゃるとおり検討したところでございますが,確かに代理人ですと権限濫用行為をしたことについて第三者の方が悪意であれば無効ですとかになるというのに対して,ここでは善管注意義務違反の問題となりまして,あとは損失てん補請求の話になってしまって,確かにその限度では一貫していないところはあるといえばあるのですが,そこのところは信託で全く代理と同じように考えなければいけないわけではないのではないかというのが事務局の考えでございます。

 

 

 

  •  それはそれでもいいんです。信託は全く代理と同じ考えでなくてもよい,それはそのとおりだと思うんですが。じゃあ,その信託の何がそれを正当化するんですか。

 

 

  •  確かに第三者の方が知っているという前提ですので,このように言えるのかどうかわかりませんが,信託の場合は代理と違って顕名等をするということもありませんので,本人,完全権者であるというところに違いがあるのではないかというふうに考えておりますが。

 

 

 

  •  それは私は過失なのか重過失なのかというところに反映されている処遇ではないかというふうに思うんですが。ちょっとそれは水かけ論になりますのでやめますけれども。

 

4の不当の話,ちょっとだけ。つまらない話ですが。

  •  ここは確かにおっしゃるとおりでして,前にこの部会の中でほかのところのコンテクストでも議論がされたかと思うんですけれども。例えば前の議論ですと受益者の利益を犠牲にして自己または第三者の利益を図る目的を持ってと書いてあるの信託行為で許容する旨の定めがあるときというのは適当ではないのではないかというのはおっしゃるとおりです。

 

 

そこのところは今回受益者の利益を犠牲にしてということをとったことによってある程度合理的になったかと思われますが。確かにここのところでも不当な利益を取得する行為となっていて,それを許容するという定めがあるなんていうのはあり得るのかというのはおっしゃるとおりのところはありまして。

 

 

 

経緯を申し上げますと,当初は例外規定の中に③として正当な利益,正当な理由がある場合にはオーケーなんですよと書いてあったんですけれども,そうしますと原則として利益を取得する行為というのはすべて禁止されるというのが本当に適当なのかどうかというところがちょっと疑問がありまして,もう大分前からでありますけれども,不当な利益を取得する行為というのを利益取得行為の禁止として対応していこうという形になっております。

 

 

 

  •  まず,1点目の,第三者の利益を図る目的をもってというところを考えたときに,例えば何か,○○委員がどういうお考えであるかですけれども,何か信託財産を処分する権限は信託行為に与えられていたと。

 

 

それで,ある市場価格より安い価格で売りましたと。それはもう両者みんな知ってましたというようなときに,それが何か利益を図っているということで無効などということにされてしまいますと,これは世の中的にも健全な状態にはならないのではないかというような実質判断も1つあろうかと思います。

 

 

それから,2番目の不当な利益というのは,確かにこれはまさに不当なというところがうまく説明できないじゃないかということがあるとすれば,ひょっとしたら甲案とか利益吐き出し責任を設けるということの議論の脆弱性をあらわしているのかもしれない。

 

 

すなわち何かといいますと,ここでやりたいことは,何かの信託財産に損失を超えていないにも関わらず,受益者が信託財産に返さなければいけいというものは何かというものをとらえなければいけないと。それを利益という形でとらえましょうという提案をしているわけでございます。

 

 

ただし,例えば補足説明にも書かれておりますように,大口,信託財産と固有財産と大口のロットで売ったら手数料が大幅にディスカウントされれ,それで信託財産も固有財産も利益を得たと言われるウィン・ウィン・シチュエーションのような場合に,じゃあ,固有財産が利益を得たんだからそれ返せというようなてことがハッピーな結果を招きますかというとそういうことではないですということで。

 

 

したがって,これまでの部会の議論の中でもすべての利益を返還しなければいけないのではないのではないかという御指摘があったことを踏まえまして,ここは一応不当なということで書かせていただいているわけでございまして。

 

 

この不当なというのはむしろ何か利益吐出し責任とかあるいは利益返還の特則みたいなものを設けようとするのであれば,何等かの外延をもって規定しなければ,確定しなければいけない文言がそこに入るということでありまして,それが私どもにただちにいい知恵がないものですから,ちょっと不当なという言葉でとりあえず置かせていただいているということで,むしろ御議論いただくべきは,この実質というのをどういうふうに確定していくかというふうなことなんじゃないかというふうにちょっと拝察いたしました。

 

 

  •  ○○幹事。

 

  •  今の利益取得行為の禁止で(1)と(2)の関係なんですけれども,単にこういうことにすぎないんじゃないかと思いますが。(2)で1の禁止の例外と書くからこれわけわからなくなるということがあるだけであって,(2)で①,②の場合は不当な利益を取得する行為に当たらないものとするというだけのことではないんでしょうか。

 

 

  •  まあ,そういう構造をとるかどうか。

 

  •  そういう書き方をする以外に多分,○○幹事言われるように書き方がないんじゃないんじゃないかなという気がしたというだけのことです。すみません。

 

それと,もう1点,ちょっと今言われた点で前半の方に言われた世の中的にはうまくいかないことになるんじゃないかという点に関して言いますと,これ○○幹事言われましたように,代理の場合につきましては第三者の利益のために図る行為をするというのが相手方について相手方が知りまたは知ることができたという場合には,代理権濫用の問題として無効とするということを認めていますから,ちょっとやはりそれとの平仄の問題はどうしても出てくるんじゃないでしょうか。

 

 

私最初に伺ったときに,善管注意義務の問題にするというふうにされるのはそれはそれでいいのかなと思ったんですけれども,その場合でもやはり相手方が知りまたは知ることができた場合というのは代理権濫用のような一般法理にのせていかれるのかなというふうに思っていたんですけれども,そうではないという趣旨だったのでしょうか。

 

 

 

  •  そうですね。ただ,事務局内で検討いたしましたときはそういうものは善管注意義務に問題とせず第三者が悪意,重過失の場合には取消し得べし行為と,無効ですかね,にするという余地はあるのかという議論はいたしたんですけれども,結論としては今のところはそう考えていないと。

 

 

 

  •  否定だったわけです。そうすると,ちょっと一般法理との平仄がやや合いにくいのかなという気はいたします。そして,仮に一般法理と同じように考えるとしますと,広く善管注意義務の中に2種類が少なくともあり得て,第三者の利益を図るような行為をするという善管注意義務違反と,それ以外に本来きちっとやってないといけないのがばかなことをやったという意味での善管注意義務違反あって,前者の第三者のためを図ってはいけないというような意味での善管注意義務違反については相手方がそれを知りまたは知ることができた場合は一般法理により無効になるけれども,それ以外のばかなことをやったというだけのときには多分無効にはならんのだろうと思うんですね。

 

 

そういう意味では善管注意義務の中に2種類を設けることになる,果たしてそれがいいのかどうかという問題はちょっと残るのかなと思います。

 

 

ただ,事務局のお考えがそもそも一般法理にもうのせないのだとしますと,その問題は発生しませんけれども,そうすると代理との平仄がちょっとかなり合いにくいのではないかという気は私もいたします。

以上です。

 

 

  •  ○○幹事が先ほどからの後段の論点なんですが,実は私もこれは変だなと思って考えてみたんですけれども。そもそもこの甲案というものの規定自体がある意味ではトートロジーみたいな書き方になっていることから多分そういうことになるんじゃないかと思っていまして。

 

 

それで,この甲案の不当なという要件をもう少し客観的な,外形標準で仕切れるような概念になってれば逆側で(2)の方でもそれを許容するとかという書き方ができるんでけれども,ある種トートロジーになっているのが変なことになっているということだと思うんです。

 

 

それで,他方でこの不当というのを落としたらいいじゃないかというような御指摘も一部から出ていますけれども,この不当を落とすとこれは明らかに処理に当たって利を受け入れてしまった,けれどもこれは全く受益者,あるいは委託者等と関係者にとって何ら実損を与えていない,むしろ利益を図っているような行為についてまで否定することなのでこれは明らかにやりすぎだと思います。

 

 

 

したがって,こういった極めて不明確で,かつある種トートロジーというか論理矛盾みたいな難しさのままでこういった規定をおく意味が一体どこにあるのか必ずしも理解できないと思いますけ。

 

 

それからもう1つで,これはコストがある話で,こういった非常に不明確な要件の禁止行為があるということになると,当然先ほどから議論出ていますけれども,特約で何でも置かなきゃいけないんじゃないかとか,あるいは怖いからやめておこうかというビジネスを萎縮する効果の方を私は非常に懸念いたしますので。

 

 

そういった意味でやはり事業者の創意工夫をいかに生かすかという観点も踏まえると,これは丙案しかないのではないのかなと思います。

以上です。

 

 

  •  先ほど○○幹事が甲案について4の(1)について問題を提起されたわけですが,これは甲案をとるとしたらこういう問題があるということでしょうか,それとも甲案あるいは乙新よりも丙案の方がいいという御趣旨でしょうか。

 

 

  •  丙案がいいという趣旨はありません。

 

  •  ほか,先ほど文言について御発言された方も○○幹事と同じように理解してよろしいわけですね。

 

○○幹事はむしろ丙案の方がよいという御意見だと承りました。

なかなか議論が収れんできない状況でして,19の1については試案との対比でこれでいいのかどうか。ここでは多分任意規定,任意法規ということの概念が人によってちょっと違っているのかなという感じもいたします。

 

 

全面的に排除するというのを任意規定というのか一部なのか。あるいは信託行為との関係についても先ほど○○幹事が分析されたような問題があると思います。

 

 

それから,3については,甲案,乙案,両論あるわけですが,第3の方向としてむしろ甲,乙の間,収れんを図れないだろうかという御提言もありました。

 

 

それから,4については,これも対立が多いわけですが,甲,乙をとる場合の表現の問題と,それから要件効果が一緒になっているのではないかという問題と両方あるでしょうから,それを整理するということになると思います。

 

 

 

ここではそれぞれのお立場からの御議論があったということで,また次回に続けて次回に決着をつけるということにしたいと思います。よろしいでしうょか。

 

 

それでは,20についても利益吐出しは,これも両論あって,ただ受託者の立場になられることが多い信託銀行あるいは銀行の方はどちらかというと消極的で,同じく受託者の立場になられることがおありになる弁護士会の方では必ずしもそうでもないというように理解いたしました。

 

 

というあたりがもしよろしければ次に進めさせていただきます。

 

  •  一言言わせていただいていいですか。
  •  どうぞ。

 

  •  利益吐出し責任に関しての規定化の懸念の1つとしてちょっと述べ忘れましたので。いわゆるこれはビジネスが萎縮してしまうという類型に入るかもしれませんけれども,濫訴的な請求というのが出てくるのではないかと,それが萎縮効果になるのではないかというお話でございますけれども。

 

 

19の忠実義務の意味合いが不当だということも含めてあいまいであることに相まって,何らかの形でその受託者に責任を追求することというのが多くなるのではないかということがあります。

 

 

また加えて,その規定のやり方が結局ある意味,たとえていうならばサブマリン訴訟みたいな形で,いえば受益者がずっとそういう違法的な状況があることを知って,そのままずっと待って,利益がたまったところである日訴訟するというようなことも考えられます,もちろんそういう人が世の中にいっぱいいるとは申しませんけれども,そういったことも考えると,やはりその可能性を斟酌する受託者からすると,なおビジネスに対する萎縮効果が出てくると,そういう点も合わせて考えていただければと思います。

 

 

 

  •  では,今の点も含めて検討し,さらに次回に議論を進めていただくということにいたします。

 

それでは,次,お願いします。

 

  •  では,ずっと飛びまして,資料の最後の限定責任信託というところでございますが。31ページでございます。名称の問題ですが,試案では有限責任信託といっておりましたが,ここでは株式会社等の他の有限責任類型の制度とは異なりまして,出資者や受益者の有限責任性が問題となるわけではなくて,一定の種類の債権を除けば責任財産が信託財産に限定されることになって,業務執行者である受託者がその固有財産をもって責任を負わないという点に特徴があるということを明らかにすべく,限定責任信託との名称に改めているわけでございます。

 

 

すみれ

「受託者の責任を限定する、か。そうだったんだ。」

 

 

パブリック・コメントにおきましては,このような制度が導入されれば民事,商事を問わずさまざまな分野で有効な活用が可能であるとの意見が大勢を占めております。このような結果を踏まえまして,本提案では限定責任信託の制度の創設を提案するとともに,制度の骨格案を示したものでございます。

 

なお,限定責任信託の受託者としては,法人のみならず個人もなれることは当然のこととして考えております。

 

 

提案2でございますが,取引相手方の利益を考慮いたしまして,必要な事項が登記されて公示され,第三者の予見可能性が確保される状況にいたって初めて限定責任信託の効果を享受できることとすることを提案するものでございます。

 

 

それから,3の(1),(2)でございますが,これは一般の信託における帳簿作成義務等の規律に準じますとともに,作成すべき帳簿等の内容をこの信託の性質にかんがみまして,具体的に会計帳簿,BS,PLなどとしたものでございます。

 

 

それから,(3)と(4)でございますが,これは債権者にとって唯一の引き当てとなる信託財産を確保するための措置として財産分配の制限規定を設けるとともに,制限に違反した場合の受託者や受益者の責任内容について会社法等の規定と同様の内容を提案するものでございます。

 

 

それから,提案5の方にいきますが,限定責任信託における取引債権者や不法行為債権者の保護の強化のために,受託者に対していわゆる第三者責任を課すことを提案するものでございます。

 

 

それから,提案4と6でございますが,この類型の信託の受託者と取引した場合には,責任財産が信託財産に限定されるということにつきまして,取引相手方の予見可能性を確保するために受託者に対して限定責任信託の受託者であることの明示を義務づけますとともに,客観的な公示手段としての登記制度の整備を提案するものでございます。

 

 

なお,受託者が個人責任も負う既存の類型の信託につきましても,受託者において信託財産に責任が限定される旨を明示して取引をすれば,限定責任の効果か導かれるとするか否かにつきましては,一方的な明示のみで限定責任の効果を発生させることについて消極の意見が大勢を占めましたが,合意に基づく責任財産限定特約の有効性を確認する規定を置くべきであるとの意見がございました。

 

 

この点でございますが,しかし,当事者間で責任財産限定特約を締結することは実務上一般的に浸透しておりまして,これが無効であるとは解されていないことなどにかんがみまして,あえてその有効性を確認する特段の規定を設ける必要まではないと考えているものでございます。

以上でございます。

 

 

  •  それでは,新しい名称ですが,限定責任信託について,御意見をお出しください。

では,○○幹事。

 

 

  •  一言申し上げておきたいという趣旨で,以前に大分時間をちょうだいしましたので,私自身はこのような制度を現時点において,かつ信託法の改正作業の中で取り上げることが適切なのかという点については非常にもともと疑問を持っております。

 

 

その点は変わっておらないということを申し上げたいということが1つございます。仮に信託と名のつく組織法制を整理する必要性があるということであれば,そのようなものとして別途取り上げるべきでしょうし,また,仮につくるといたしましても,信託法とは別立てで別立法によって各種の組織法制との関係を考えつつこれが何を担うのかということを整理してやるべきではないのかというふうには思っております。

 

 

 

一般的にはそう思っておるのですけれども,そうは申しながら,この中身について少し以前から気になっております点を改めて確認させていただきたいのですが。

 

 

大変細かい点ではあるのですけれども,4の特定の有限責任信託の受託者である旨の明示というのが義務づけられておりまして,このしなかったときの効果がどうなるのかというのが以前から気になっております。

 

 

たしか最初にこの提案がされたときにお伺いしたときは,それは信託契約の中身に書き,それによるのだというような御回答もあるのかと思うのですが,それでは取引債権者からはわからないでしょうからそうではないのだろうと思うのですけれども。

 

 

なぜかと申しますと,もしこれが明示されなかったと,それによって相手方が誤認したというような場合には,これは受託者も固有で責任を負うんですというような場合には取引債権者であればわからないときにそういう保護が与えられるにもかかわらず,不法行為債権者等一切そのような機会のないものについてもなお限定責任ということがどう正当化さていくのかというのが前から気になっておりますものですから,個別の話ではあるのですけれども,その点についてお考えをお聞かせ願えればと思います。

 

 

 

  •  まず1点目の明示されなかった特定の限定責任信託であるということを明示されなかった場合におきましては,通常の信託と同じように受託者は無限責任を負うということになって,それが権限内の行為であれば信託財産に対して執行することができる,そういう期待のもとに取引をしているわけですから,そういうことになるのであろうというふうに思います。

 

 

それから,取引的な不法行為をしたような場合につきましては,5に書いてございますように,第三者に対する責任ということで,5の要件を満たすときにおきましては,受託者が固有財産で個人責任を負うということもあり得ることになろうかというふうに考えております。

 

 

 

  •  そうしますと,そういった一切機会のない工作物責任の被害者とかそういった人との関係で限定責任になる理由,正当化はどういうところに求められているのでしょう。

 

 

  •  そういった方々との関係で限定責任が認められる理由といいますのは,通常の信託とは違いまして,財産分配規定とか違法に分配したときの受託者の責任とかいったように,通常の信託とは異なった債権者保護手続,保護的な規定が設けられているからということになるかと思います。

 

 

 

その合名会社が工作物を持っていたとき,株式会社が工作物を持っていたとき,あるいは合同会社が工作物を持っていたとき,あるいは有限責任組合が工作物を持っていたときにおきまして,これらの各種の組織法制と債権者保護手続という点におきまして遜色がない手当がされているのであれば前者の場合において債権者が有限責任になるのと同様に,本件においても有限責任になるというふうに考えればいいのではないかというふうに考えております。

 

 

 

  •  取引債権者については特段に保護を過重していると,そいう制度をつくっていると……

 

 

  •  いや,取引債権者の保護を加重してというよりは,その取引債権者はそういう期待をもって入ってきているわけでから,そのような保護を過重してというわけではなくて,期待に見合った手当をしているというだけのことではないか。
  •  では保護行為責任のようなものだととらえればよろしいですか。

 

 

  •  保護行為責任ですか,まあ,すみません,ちょっと。
  •  いや,結構です。
  •  ○○委員。

 

 

  •  もちろんこの制度等については賛成です。そういう賛成を前提として今の議論の関係についても幾つか質問なり意見を述べたいと思うんですけれども。

 

 

何となく今の質疑の中で1つの新しい組織形態としての認識のような形での議論があったかと思いますし,なおかつそういう使われ方もあり得ると思います。

 

 

それを全然否定する趣旨でもないんですけれども。これをもって活発に利用できれば,要するに信託自体に法人格はないにしろ,こういう制度を導入することによって類似の効果がもたらされる。それはちゃんと公示制度によって担保されているというような趣旨で。

 

 

そうすると,これは質問ですし,なおかつ多分制限されていない趣旨だとは思うんですけれども,これを利用するといったら別にSPCをつくってそれが有限責任信託をやるというような趣旨じゃなくて,信託銀行がある信託についてこれは有限責任信託ですと,ですから決して組織形態とか事業形態を前提としなくてもよろしいわけですよね。今,納得されているみたいですけれども。わかりました。

 

 

 

そうでないと利用されないといいますか,要するに会社法の一メニューであると,今,○○幹事がおっしゃったように,別の法律というのはいかにも何か会社法の特則みたいな形のイメージになってしまっていますけれども,決してビジネストラスト,類似の機能もあるかもあるかもしれませんけれども,そうでない機能も果たし得るという前提ですと理解します。そうじゃないとなかなか利用促進にはならないと思います。

 

 

 

あと,公示制度というのは今後検討されるんだと思うんですけれども,そうすると重装備の公示制度か軽装備なのかといろいろあると思うし,重装備の方がいいという議論もある反面,そうすると何か非常に重い制度になってしまってなかなか利用できないというところはあると思うんです。

 

 

 

公示制度についてどんなイメージでいらっしゃるのかなということと。一定の公示がされていれば,その取引のときに明示する必要というのは,それは明示しないことによる責任というのは違う形で生じるかもしれませんけれども,明示している形で限定責任信託とは違った効果になるみたいなのもちょっと何か違和感を感じないでもないですけれども。

 

 

 

  •  まず,1点目の訂正でもないのですが,確認でございますけれども。ちょっと組織法制というふうに申し上げましたけれども,何もだからといって事業を前提としたような会社法の特則みたいなものを意識したものでもございません。

 

それから,米国でも別にビジネストラストというふうに俗称言われており

ますけれども,その規定を詳細に読んでまいりますと,別に営業のためではない公益または収益を伴わないもの,あるいは,パーマネントのものであるかテンタティブなものであるかも問わない,ある種合法的なものすべてに使えるんだという確認規定があったりしますので,そのビジネストラスト,米国におきましても別に事業だけの目的でできているわけではないという点も踏まえまして立法させていただいているんだということも確認させていただきたいというふうに思います。

 

 

 

それから,登記事項は何かということにつきましては,イメージというか,公示すべき事項でございますけれども,基本的には例えば限定責任信託の目的ですとか,あるいは何か信託に名称をつけるのであれば限定責任信託の名称ですとか,それから受託者の氏名とか住所とか限定責任信託の効力の発生といったようなことを登記することになるのではないかというふうに,そのような方向で関係当局と調整をさせていただきたいというふうに思っております。

 

 

それで,やはり,ただ取引のときに限定責任信託ですよということが,しかもどの限定責任信託ですよということがわかりませんと取引をした相手方は登記所にいってどれだろうかというとっかかりがございませんので,その点での明示はやはりいるのかなというふうに,取引のときにはいるのかなというふうに思っております。

 

 

 

  •  わかりました。追加で,関連して。そうすると,組織法じゃない使われ方もあるし,いわゆる器としての使われ方,また弁護士が受託するときもこういう財産で何も知らなくてもいいわけですから,という使い方をすると,この分配制限のところ,一定の何か必要だというところまで理解できますけれども,例えば組織法的に300万とかいうのが出てきてしまいますと,別に高額な受託をしているときには300万は大した金額じゃないかもしれませんけれども,もっと弱者のためといいますと300万といいますと300万というのは結構大きい金額ですので,その辺については組織法ではないケースということもよく知っていただいて御検討いただければと思います。

 

 

あと,感覚的な発言で申しわけないんですけれども,UCCのファイリングのように何か問い合わせをするということによってその信託財産の範囲がわかるとかそういうような方向もあり得るのかなと。

 

 

そうじゃないと非常に重い装備になってしまって全部公示しましょうとかいうようないわゆる物権と同じような議論になってしまうとなかなか使い勝手が悪くなってしまうし,そこから漏れているのが結局どうだったのかみたいなことにもなってしまうのかなというふうに感じました。

以上です。

 

 

 

  •  限定責任信託に関して,今出ています公示制度のことも含めてちょっと意見を述べたいと思いますけれども。私どもとしてはいろいろなビジネスニーズがあるということで,それを前提に限定責任信託というのは賛成であるという立場をとっております。他方,債権者としましては,やはり十分な債権者保護の手当が必要だというふうに述べております。

 

 

具体的には,そんなに詳細に詰めているわけではないですが,ここに書かれているようなある意味で会社法並びになるのかもしれませんけれども,であれば実務感覚としてはそんなものなのかなというような感触は今のところしております。

 

 

ただ,他方,今度ユーザーの立場としてこれでは重すぎるよと,これではワークしないよということであれば,ワークしないので,そのユーザーサイドの意見もちょっと聞いてみたいとは思っております。

 

 

そこで,公示制度について述べたいと思うんですけれども。我々債権者としては当該貸付が有限責任信託であるかどうかということを探知したいというニーズがございます。

 

 

もちろんこの提案にあります4のところで明示があるというところである程度カバーできるのかもしれませんが,ただ取引に入る場合の調査として当該相手方が限定責任信託なのか,それとも信託だけれども無限責任を負っているものなのかということが非常に関心事があるわけです。

 

 

そこで,探知しやすい制度というのが望ましい話だと思っております。そうしますと,これは公示制度の個別論になるのかもしれませんけれども,ほかに登記制度がありますよと,そっちも見て,例えば法人であれば商業登記簿も見てください,またほかの登記簿を見てくださいということになると,取引コストとしては上がってしまう,かさんでしまうのかなというふうに思っていますので。

 

 

これは私見ですけれども,何らかの関連性が出てくるような,いわゆる一覧性があるものができればいいなとは思っています。

 

ただし,そこでちょっと思いますのは,今回,先ほど個人も限定責任信託の対象であるという御説明がありました。そもそも個人まで限定責任信託のニーズがあるのかということは,記憶にある限り今までの議論でどういうニーズがあったのかというときに,例えばパイロット事業であるとかプロジェクト事業とかいうような例示の中には余りなかったようなものでございますので,そこのニーズが本当にあるのかなというところがあります。

 

 

 

そのニーズの話をなぜ議論するのかといいますと,公示制度の話に絡みますけれども,個人で公示をするということはなかなか現実には難しいのかな,プライバシーのこともありますし,あと戸籍とか住民票とかどう連関させていくのかということもありますので。

 

 

 

そうしますと,新たに取引に入るときにどういうふうに探知したらいいのかということが障害になるのかなという若干懸念を持った次第でございます。

 

 

そうしますと,そのニーズの高さと,それから取引コストの問題とどうバランスしていくのかなというようなこともちょっと思った次第であります。

 

以上です。

 

  •  個人がやられるニーズにつきましては,私よりは○○委員に補足していただいた方がいいかもしれませんが,パブリック・コメントにおきましてはそういった高齢者の皆様の不動産とか工作物などを預かるというようなお話もお伺いしておりますし,その他にもいろいろお伺いしておりますので,ニーズがないということではなくて,当部会でパブリック・コメント前に出たときにはそういう事業に関連したものが多かったということではないかなという気がしております。

 

 

 

  •  恐縮ですけれども,先ほど○○委員の質問で公示制度はどういうものをお考えなのかという話があったんですけれども。その中身についてはさっき説明があったんですが,連関といいましょうか,一覧性といいましょうか,例えば限定責任信託の登記というのが商業登記簿謄本に何らかの形で指定されるのかどうかというところまで今議論がされているのかどうか。

 

 

もしそういう場合をよしとする方向性で議論するのであれば,個人の場合にそういうことがあり得るのかどうかということ。ちょっと次の話で恐縮でございますけれども,ちょっとお尋ねしたいと思います。

 

 

  •  登記所に限定責任,例えば信託登記簿というようなものを備えまして,その閲覧というものを考えるということはあり得るかなというふうに思います。

 

 

それから,先般施行されました有限責任事業組合契約におきましても,当然これは個人が組合をつくる場合も前提にされてつくられておりまして,そのときに同様の開示手続が設けられているわけですから,別に特段何ら考えられないということではないというか,当然に考えられるということだというふうに思っております。

 

 

  •  最初のところは○○委員,○○委員の問題意識も重なるところでございますが,2点,質問をお許しください。

 

1点目は,財産分配の制限について法務省令で定める方法によって算定されるということですけれども。今○○委員の方から300万という例えばイメージの御発想がありましたけれども,ここのところはどういう具体的なイメージを持ってこの省令を定められるかどうかというのをちょっと教えていただければ,現時点においてで結構ですから,ありがたいと思います。

 

 

この問題意識は,財産分配の制限の方法いかんによっては分配の制限がされることで受益者が害されることもあり得ることでありまして,そこのところをちょっと教えていただければということであります。

 

 

第2点目の御質問でございますけれども,公示としての登記の整備のところでございますけれども,私どものような立場から考えると,例えば受益者かわざわざ登記のところを見に行くかどうかというところはちょっと,一般の投資家の方がこれは限定責任信託かどうかということで確かめにその公示を見に行くという,登記簿を見に行くということはどうなのかと考えると,果たしてその登記だけでどのような財産分配が課されているのか,受益者には本当に把握できるんだろうかと心配をいたしまして,こういう登記だけで明示性方法というのは十分なのかどうか,この辺のところをちょっと教えていただけないでしょうか。

 

 

 

  •  まず1点目の,財産分配制限の方につきましては,例えば合同会社ですとか,それから有限責任事業組合契約におきましても,両方とも経済産業省令あるいは法務省令を見ないと詳細はどういうふうになっているかはわからないわけでございますが,先般施行されました有限責任事業組合契約におきましては,当初の出資額が300万を下るときにはその出資額が限度で,300万を超える出資額のときには300万が限度というような規定になっております。

 

 

それから,LLCにつきまして,合同会社につきましては,一応純資産額すべて配当できる,要は債務超過にならない限りは配当できるというふうに規定する方向だというふうに,まだ法務省令は,ちょっとこれは言い過ぎかもしれませんけれども,法務省令の検討作業中でございますが,そんなような中で検討をするというふうに担当部局から伺っておりますので。いずれにしましても信託法ができましたときは,両方とも施行された後になりますので,そういった利用者の規定をちょっと見ながら適切にパブリック・コメント等を通じて省令をつくってまいりたいというふうに思います。

 

 

 

それから,2番目の御指摘にございました受益者との関係でございますけれども,こういう公示制度というのが要求されますのは,むしろ趣旨としましては,債権を有限責任にするというその債権者との関係で必要になるのではないかというふうに考えておりまして。

 

 

受益者が必要になるのはむしろ会計処理とか損益計算書ですとか貸借対照表とか,あるいは営業報告書的なものですね,受託者がきちんとやっているのかというようなものを受益者に適時適切に開示していくということがむしろ重要なことでございまして,それは有限責任である受託者が有限責任であるか無限責任であるかを問わず両方必要なことではないかというふうに考えております。

 

 

 

債権者と受益者は,信託債権者と受益者はむしろここでは利益相反関係にある種立ちますので,その意味から考えましても,受益者というのはむしろ計算書類とかそっちの方をいかに開示していくかということの方で関わってくることではないかというふうに考えております。

 

 

 

  •  ちょっと私の理解がもしかしたら不十分かもしれないんですけれども,この提案の中で提案5の部分なんですが,この規定との関係で不法行為,特に先ほどちらっと出ました工作物責任ですとか,製造物責任ですとか,そういった責任を受託者にとっていくということは制限されるという前提でのご提案なんでしょうか。

 

 

 

  •  工作物に関しては,まず占有者としての責任は当然に負うという前提で,所有者であるから負いなさいという責任については,信託財産に工作物の所有権があって,それについては制限はされていくということを申し上げたのですけれども。

 

 

  •  そうすると,占有者として受託者がその責任を負うということはあり得ると。

 

 

  •  それは当然にあり得ると。
  •  それから,先ほどの製造物責任については何か影響を及ぼしますでしょうか。

 

 

  •  普通に負うのではないかと。
  •  普通に負うという理解でよろしいんですね。

 

  •  法定の責任は負わないということですから,例えば所有者責任とかそういうものは負わないんですけれども,製造物責任ですとか709条の責任とかそういうものは負います。

 

 

  •  先ほど○○幹事が提起された問題,今の質疑で明らかになってきたと思いますけれども,受託者個人が709条の責任あるいは占有者責任を負うということはあるという前提のようです。

 

ついでにお聞きしますと,私聞いていいかどうかわからないんですが,使用者責任は負うんでしょうか。あるいはそれは外観理論の適用があるかどうかについて,ついでですから御確認いただければと思うんですが。

 

 

  •  いや,使用者責任は,それは一般に709条で負うんですから,それも受託者の従業員が何かやったときに受託者個人の監督責任について監督の職務をまっとうするについて過失があれば負うということになろうかと思います。

 

 

  •  今までの議論とちょっと違った質問になってしまうんですけれども,2点質問させてください。

 

 

5の第三者責任なんですが,使用者責任とかそういう話じゃなくて,文言なんですけれども。第三者と書いてありますですね。これ言うまでもなく,もともとの商法266条の3の第三者責任の規定を下敷きにしたような書き方になっていると思うんですが。

 

 

あそこの第三者は株主も含むというふうに普通は解釈されていまして,下級審判例ありますけれども。株主が直接被った損害ですね,そういったものが含まれるんですが。

 

それでいくと,ここは受益者も含み得るのかどうか。つまり,そういう問題を提起することになってしまうんですね。ただ,これは限定責任信託であるがゆえにこれが入ったんだとすれば,そういう人が入ってくれたらちょっと非常に変な感じもするのですね。

 

 

第三者責任で商法のあの規定を下敷きにしてしまったときにちょっとその辺の整理はしておいた方がいいのかなというふうな印象は受けます。

 

 

また,あそこでも間接損害,直接損害いろいろ議論があるんですけれども,あれはどっちを含んでも債権者との関係ではいいと思うんですけれども,ちょっと整理をまたしていただければと。もし答えがある,とりわけこれ受益者を含むという答えなのであれば,その実質的根拠を伺いたいとは思いますけれども,それが1点です。

 

 

 

もう1点は,もしこの手の信託が本当にいいかどうかはちょっとやや留保するんですが,仮に認めるとすれば,財産分配の制限が必要であることは異論の余地はないとは思いますが,この現在の規定は私が見たところ,新会社法の合同会社の規定を相当下敷きにしたようにも読めるんですが,よく比べますとかなり違う点がございまして。

 

 

まず,違いが私の理解しているような違いがあると理解していいかどうかを聞かせていただいて,それからどう説明されるかというのを伺いたいんですね。

1つの違いは,合同会社の場合は違法な財産分配,純資産の範囲内云々,法務省令というのは同じような額が決まると思うんですけれども,違反した場合は,合同会社の場合は受け取った社員は無条件で返還しなきゃいけないんですね,会社に対して。

 

 

 

それに対して,分配をした社員は過失責任--過失責任といっても表面的には転換した過失責任を負うんですね。

 

 

実際分配した社員から求償を受けたときは受け取った社員は善意であれば返さなくていいというそういう仕切りになっていたと思うんですが。これ見せていただきますと,まず第一の違いは,信託の場合,これ違法な分配した場合は受託者は無過失責任なんですね。

 

 

会社法の方は無過失の反証を許していますけれども,それがないということは従来の株式会社と同じ無過失責任と理解していいかどうか。それが1点目。

 

 

2点目は,受け取った受益者は,これは返さなくてよくて,ごめんなさい,悪意でないかぎりは返さなくていいのかどうか。唯一返さなきゃいけないルートは受託者が弁償して求償を受けて,その場合の悪意の場合だけが返せばいいのかどうか。

 

 

もし,これ書き方なんですが,そうじゃなくて,いや,当然に返さなきゃいけないというのを前提にしているのであれば,それは書かないと現在の合同会社の規定は違法配当が無効ではない,有効であることを前提に返還請求権を書いている,それに合わせて書いているのであれば変えておかないとこれは返還義務ないということを意味する規定になってしまうので。

 

 

そもそも,でも,理解として基本的に返さなくていいという,受益者は返さなくていいという前提,それは無過失責任と受託者がなっていることとのバランスでそうなっているんだというふうなそういう理解でよろしいんでしょうか。

 

 

ちょっと整理を教えていただければと思います。

 

  •  基本的に無過失責任というわけではございませんので,○○幹事のおっしゃられた合同会社との,まず払って,求償をするときに善意であれば株主は払わなくていいんだけれども,そうでないときには払わなければいけない……

 

 

  •  受託者は無過失責任ではない。
  •  ええ,ない。

 

  •  受託者はそうすると計算違いしたけれども,それはもうやむを得なかったという抗弁が許されるというわけですね。

 

それで,次に,その責任を負って求償するときは制約がかかる。その第3に違法な分配をしても,受益者は当然に返す義務はないと理解してよろしいですか。

 

  •  合同会社の分配を受けた社員と同様に。
  •  それは,書かないと。

 

  •  ちょっと書きぶりが,御指摘の趣旨はわかりましたので。
  •  書かないとそれはないというふうに読めてしまいますので。

 

では,全く合同会社と同じにするという御趣旨ですね。

 

  •  ええ,そうです。
  •  わかりました。

 

  •  原則的には○○幹事と同じで,そもそも反対なんですが,そうも言ってられないような雰囲気を感じておりますので,その範囲内で申し上げますと。

 

 

先ほどから工作物責任が問題となっていて,占有者としては責任を負うんだけれども,所有者としての責任というのは制約されるだろうという話なんですが,それは条文の操作としてはどのようなことによって結論が出てくるのかというのがよくわからないわけであります。つまり,限定責任信託であっても所有者であることには変わりがないと思いますので,そうなりますと責任制限がかからない。

 

 

責任制限がかかるのはどこなんだろうかと思ったら,1の,ごめんなさい,第12の1の(1)から(4)まで掲げる件についての債務について信託財産のみをもってその履行の責任を負うというところが問題だなというふうに思って12を読んでみますと,第12の1の(1)から(4)までの間に工作物責任は入りそうもないんですよね。

 

 

これは,もし私の読み方が正しいとすると,12を直すべき問題かなという気がします。

 

 

  •  そのつもりでいます。直します。

 

  •  それであって初めて,それで12の(5)みたいなのをつけ加えて,第12の(1)から(5)というふうにすることによって導かれるのかなという気がします。

 

 

  •  前回,第12の資料を御提示したときに,できる限り明確化するように努めるというふうに書きましたので,その(1)から(4)だけではなく,(5)だけでもなく,もう少しふえる。ただ,それをちょっとどこまでできるかという作業をしておりまして,そこの方を御指摘のとおり直す予定でおります。したがって,(7)になるか(8)になるかわかりませんが。

 

 

 

  •  大体御議論はこのあたりでしょうか。どうも,今,○○幹事や○○幹事のおっしゃいましたように,原則的にはどうも釈然としないがという御意見は,恐らく法人格と責任制限の分離ができるかどうかという問題と,仮にできるとして,それを信託という制度の枠の中で,特に一般法としてできるかどうかについての御疑念がおありだろうと思います。ただ,両幹事とも,しかし,パブリック・コメントの結果などからしてもこれが大勢であるので,それを前提としてさらに改良する方向を具体的に御提示いただいたというふうに理解いたしております。

 

 

 

どうもここでの大勢は,そういう消極的な容認論を含めて,この限定責任信託を導入すくというのが多数の意見だというように理解してよろしいでしょうか。

 

 

  •  消極的にも容認をしているつもりはありません。

 

  •  失礼しました。それでは,消極論もあるけれども,多数は導入に賛成であるというまとめでよろしいでしょうか。

 

 

その上で,この具体的に,例えば公示のあり方ですとか,財産の分配規制,広く言えば債権者保護手続の充実,さらに不法行為債権者をいかに保護していくかという具体的な問題についてさらに検討していただくということになろうかと思います。

 

 

  •  では,最初に戻りまして,時間の関係もあって1個ずつできるところまでやりたいと思います。

 

最初,受託者不適格者でございますけれども,1つは,破産者を除外し,その余を維持するという提案に対して,多くの賛成意見が占めております。少数意見のうち,破産者は一定期間は受託者となれないとすべきとの意見ですとか,被補助人は受託者となれないとすべきとの意見については,資料に記載したとおりいずれも採用しないこととしたいと思っております。

 

 

 

  •  では,1つずつということですので,第4について何か御意見はありますでしょうか。

 

これは前にも出てきておりますし,特に御異論がないということで進めさせていただいてよろしいでしょうか。

 

 

  •  では,次,第22でございますが,これはちょっといろいろあると思いますが。資料ですと14ページになります。

 

まず,提案2の(1)に関しまして,パブリック・コメントの結果ですとか,前々回の審議を踏まえまして,受託者は原則として受任者に対する選任,監督責任を負うにとどまるとの考え方を採用するとともに,提案3において現行法26条3項は削除するということを提案しております。

 

 

この点に関しまして,パブリック・コメントでは,受益者保護の見地から現行法26条3項の削除には反対するという意見がございます。しかし,資料15ページに記載しておりますが,委託できる場合を実質的に拡大するとともに,受任者に受託者と同一の法定責任を負わせないとした方が全体としては受益者の利益にかなうと,現代社会では特にそのように思われるということ。

 

 

26条3項を削除しても,毎回言っておりますが,なお受益者の利益を保護するための方策は種々あるということ。

 

あと,信託のスキームでございますが,やはり受任者の責任は受託者が全面に出て追求し,受益者は受託者の責任を追求するという方が適合的であるということなども考えまして,消極説といいますか,この反対意見は採用しないというふうにしたいと思っております。

 

 

2以下は五月雨的なことでございますが,1つは,提案1の規律のもとでも受託者の自己執行が必要となる場合はもちろんあり得るということは含意しているつもりでございます。

 

 

それから,他人の範囲については,会社の従業員のように独立性のない狭義の履行補助者は除くということのほかは,例えば法律義務や外貨建て資産の保管事務などの専門的な事務の委託を受ける弁護士ですとか,保管業者,あるいは機械的な事務の委託を受ける運用業者,いずれのようなものでありましても,およそ信託事務の内容,性質を問わずその委託を受ける者すべてが含まれると解しているものでございます。

 

 

それから,3番目,少なくとも信託法のもとではたとえ全部であっても,相当である場合には許容し得ると考えております。これに対しまして,信託行為によって委託を一切禁止されている場合はどうかというのは,それにもかかわらず信託目的に照らして相当である場合に該当する余地はないのではないかと考えているところでございます。

 

 

以上につきましては,資料15ページから16ページについて記載しているところでございます。

以上です。

 

 

  •  1つずつということになりますが,第22についていかがでしょうか。

 

  •  この規律で賛成なんですけれども。1つ質問させていただきたいのは,通常,第三者が過剰な負担または信託行為以外で負担をするのは大変じゃないかという議論からされていますけれども,積極的に第三者が事務委任契約の中で同じ義務を負うということを認めた場合,なぜそんなことを認めるかというと,受託者と同じ義務を負うことによってその効果といいますか,固有財産,要するに受任者の債権者から信託財産を守ることができるということになると思うんですけれども。

 

 

そういうところはそういう効果をもたらすというような議論は可能なのかどうか。要するに,信託財産が第三者のもとにいっても信託財産として守られた方がいいという観点からの質問なんですけれども。

 

 

  •  おっしゃる意味は,第三者というか受任者が直接受益者に責任を負うというような契約を受託者と結べるかということでございますよね。

 

 

  •  そういう類型もあるかもしれませんし,第三者と受託者の間が通常ですと事務委任契約のようなものを結びますけれども,その中で受託者と同じ義務を負いますと。その効果として受託者として同じ効果を享受できるかという。

 

 

  •  恐らくそれは第三者のためにする契約と同じように考えれば,そういう契約はできて,あとは受益者がその利益を享受する意思表示といいますか,享受して,受託者に対する責任と同じ責任を受任者に追求できるということになるのではないかと考えておりますから,それはできるというふうに事務局としては結論しております。

 

 

 

  •  では,信託財産として受任者の債権者から守られる。
  •  受任者の債権者ですか。

 

 

  •  はい。事務委託を受けた方ですね。
  •  受任者の債権者はそもそも信託財産にかかってこれないですよね。

 

 

  •  ええ,かかってこれないけれども,受任者名義に,そうか,名義とはまた別

ですかね。名義も移ってる場合という前提で議論しちゃってるんですけれども。

 

 

そうですね,事務処理だけであれば名義は移ってないかもしれませんね。名義が移っている場合という前提で,カストディアンとか有価証券ですと占有者が処理者となるケースもあり得ると思うので,その場合に信託財産としての。

 

 

  •  所有者となってしまうと,ちょっとそれに信託財産としての効果を付与して受任者の債権者の責任の追求から免れるというのは難しいんじゃないかという気がいたします。

 

 

  •  はい。
  •  ほかに。○○関係官。

 

  •  またかとお叱りを被るかもしれませんけれども,あえてちょっとすみません。今,○○幹事が非常に注意深く信託法の世界ではとおっしゃっていただいたので,それでフットノートをつけさせていただくようなものですけれども。

 

 

私どもといたしましても,現在非常に業務の分業化,専門化が進んでいますので,この信託法の中の世界で信託事務の処理を第三者に委託することができれば実質的に拡大しておられる点については,これは賛成いたします。

 

 

ただしというところが,私が申し上げなきゃいけない点なんですが。この業法との立て付けの世界で私ども信託業法の中の世界で申しますと,やはり委託先と直接の契約関係のない受益者の保護を徹底するという観点ございまして,受託者の責任を事務処理の委託に関して軽減するというのは私ども大変慎重に考えておりますという注釈だけでございます。

 

 

 

  •  ありがとうございました。
  •  もしかしたら今のところに関係するかもしれないこと,一言なんですけれども。御提案の中身ですと16ページの真ん中あたりで全部委託がされているということで,それで選任,監督責任ということになっているわけですけれども。それで現行法の26条3項を削除するということの御提案が一緒に出てきているわけですけれども。全部を委託するといったときに,その委託を受けた先が全くその責任を負わないというようなことで果たしていいのかと。ちょっとそれは行きすぎではないかというような気がしております。

 

 

 

ちょっと多少弁護士会の中でも議論しましたけれども,ちょっとやはり行きすぎではないかというふうな意見が出てきています。ただ,これは信託法でどこまで手当をするのかという問題かなという気も,先ほどもちょっと業法のお話をお聞きして思いましたけれども,ちょっとこの点は個人的には信託法でもし手当ができるものであればきちんとした方がいいのではないかなというふうに思ったりしますけれども,切り分けがということであればほかの場面に委ねるものかとも思います。ちょっとその点だけ。

 

 

  •  それでは,○○幹事。
  •  2点だけで,1点は,どちらも確認なんですが。14ページで二重線が引いてある部分なんですが,これは前回ちょっとありましたが,証明責任をどちらが負うかで,この書き方はやはり受託者の方が選任及び監督について過失がないことについて証明責任を負うという当初の考え方を維持しておられるというふうに。

 

 

 

  •  それはその考え方でございます。
  •  そう理解してよろしいわけですね。それが1つです。

それから,もう1点は,16ページの他人の範囲のところで,狭義の履行補助者はこの他人には入らないということを書いておられて,これは狭義の履行補助者に関しては一般法理によるという御趣旨なんでしょうかということですね。

 

 

  •  それはそういうことです。
  •  ただ,その際にはちょっと注意しておく必要がありますのは,結論は全然変わらないんですが,従来は自己執行義務があって代理人と別に狭義の履行補助者を考えることにはすごく大きい意味があったんですね。つまり代理人は使ってはいけない,しかし,狭義の履行補助者は使ってよいという意味で,従来の信託法26条1項の例外を認めることによって広く他人を使えるようにしようというような意図でこの区別が行われていたわけですね。

 

 

 

ところが,今回は26条1項を変えますので,基本的には使えるという方向へ移るわけですよね。そうすると,その限りでは,つまり26条1項限りでは代理人と狭義の履行補助者を区別する必要というのはそれほどなくなったと,そういう意味ではこの区別は26条1項に関してはそうする必要はないのですが。ただ,恐らく違いが出てくるのは,維持されるというか,26条2項の方で選任,監督の過失についてのみ責任を,選任,監督について過失がなければ免責されるというようなルールが適用されるのが代理人であって,狭義の履行補助者に関しては原則として狭義の履行補助者の故意,過失について受託者は責任を負うのだと,そこにのみ恐らく代理人というか,他人と狭義の履行補助者を区別する意味が出てきたのだと,そういうことをちょっと確認しておく必要があるかなと思うんですが,いかがでしょうか。

 

 

 

 

  •  おっしゃるとおりの趣旨で,そこだけ違いが出てくると理解しております。
  •  ほかに。22については。○○幹事。

 

 

  •  16ページの(4)なんですけれども,相当な場合であっても委託することができないという定めがあるときに,いや,相当な場合であるといって委託ができないという結論自体は全くもってそのとおりだろうと思うのですが,この間にはさまれている,前回との関係で間には有力説として,やむを得ない場合には代理人使用が認められるという考え方がはさまれて,最後,しかしながらで否定されているのですが。相当な場合とやむを得ない場合というのはそもそも別ではないかと。

 

 

 

およそ他人に委託できないということが明らかにされている場合であったら,やむを得ないという場合にまでそれが妥当するのか。あるいはそういうときにも禁止するような条項が果たして効力を持つのかというのは別途議論があり得るように思いますので,ちょっとここの論理関係と相当な場合とやむを得ない場合との取扱いというか関係というか,どうお考えになってるんだろうか。単純に「まず」以下のパラグラフがなければ余り疑問を持たないんですけれども,少し疑問に思いましたものですから。

 

 

 

  •  御趣旨を確認させていただきながらですけれども。仮に,ここに書いてございますように,相当な場合であっても委託することができないという定めがある場合に,相当な場合に当たるということで委託することができると解する余地はないとしているこの結論自体はよろしい,一般論としてよろしいのだけれども,その契約の解釈次第によってはやむを得ない場合にまで絶対やってはいけないというような契約の趣旨の理解という必要はなくて,ものによっては契約の趣旨に,この規約の解釈によれば,やむを得ない場合には確かに信託行為の,具体的に列挙はしてないんだけれども,黙示の合意を含めて考えれば,やむを得ない場合には委託できるというふうに考える余地がある場合は委託できるというふうに考えてよいのではないかという御指摘であれば,そうではないかというふうに思います。

 

 

 

 

  •  これは信託行為に照らして相当ということになるんじゃないでしょうか。その程度の信託行為の定めであれば。やむを得ないときには,しかし,委託していいよというのはそれは相当であるということで読みきれるのではないかという気がいたしましたけれども。

 

 

 

  •  そういう解釈もあるかもしれません。ただ,そうであれば,多分ここの説明はちょっと正直わかりにくいのではないかと思いますので。記載は少し検討していただいた方がいいかもしれません。

 

 

 

  •  いらないことに口はさんで申しわけないんですが,この16ページの一番下の上記の指摘というのは1段落目の指摘のことですよね。
  •  そうです。

 

 

  •  そうですよね。多分これ2段落目って後から入ったんじゃないですか。1段落目と3段落目が素直に文章が続いているんですよ。それで,多分やむを得ないというときにはこういう見解もあるから,最後の防波堤があるよねというそういう話が真ん中に入っちゃったんじゃないかと思うんです。すみません,変な勘繰りを入れてしまいました。

 

 

 

  •  以上については幾つか御確認的な質問が出ましたが。

○○委員。

 

  •  確認的な。第45の方で受益者の権利,信託行為によって奪えない権利とずっと,受託者に対する権利が出てきますよね。例えば帳簿閲覧請求権とか名簿の閲覧請求権,いろいろ説明ありますけれども。信託事務処理の一切を任せるといっても,ここに書いてあるようなものについては受託者は当然義務として負ちゃっていますし,任せちゃった後でも義務を負っているわけですから,結局は任せられないというような趣旨なんでしょうか。いろいろな状況において事務処理任せる状況でつくると思うんですけれども。受託者に最後にどの程度のものが残るのかなというところをちょっと確認したくて質問するんですが。

 

 

 

  •  どんな義務が最後に残るということになりますでしょうか。

 

 

  •  そうですね,この45の義務の中で例えば見ると,帳簿閲覧請求権がありますけれども,帳簿をつけるという義務があるとか,受益者の名簿閲覧請求とか,そのあたりですかね。説明義務も説明できないといけいなと,これは任せておいても説明しなきゃいけないんでしょうけれども。この中で拾っていくと,任せた後にどうなっていくのかなみたいなのがあって,少しは残るという前提と理解しているんですけれども。

 

 

 

  •  契約当事者としての違いはもちろん残ると思うんですが,信託法上の義務はこの考え方ですと何か帳簿の例えば作成義務でも委託できるような気がするんですけれども。だから,あえて特に残さないという選択肢もあり得るのではないかという気がするんですが。

 

 

 

  •  なるほど。そうすると,この単独受益権で強行法規といってももともと信託行為とか相当性ある場合は任せているわけですから,請求しても……

 

 

  •  受託者についてはですね。まあ,重畳的に義務を負うみたいに考えれば受託者に請求,例えば帳簿であれば,第三者にはつけてもらっているけれども,残りみたいなものが受託者にもあって,少なくとも閲覧責任は応じるというような義務が残るのではないかということですね。そう言われればそういう気もしますけれども。ちょっとはっきりわからないですね。

 

 

  •  場合によっては全部任せちゃった方が妥当なケースもあるかと思いますけれど。

 

 

  •  申し上げるほどのことではないのですが,恐らく義務自体を負っているので,帳簿閲覧請求権,請求があれば対処しなくちゃいけませんということですから,その請求があったときに対処できる体制はもちろんとっておかなくちゃいけないんですけれども,あるかどうかわかりませんけれども,作成行為自体は他人に任せた方が容易にできるというのであれば,任せた上でその結果は常に自分の手元に適時適切に保存しておくというだけのことを多分,今。

 

 

 

  •  そうですね,それすらなくなるわけじゃなくてということですね。
  •  ええ,それは義務との兼ね合いですので。

 

  •  受託者が何を委任できるかというのと,それから受益者の権利が残るのか。その反面として義務が残るのかということの整理だと思いますが,大体今のような説明でよろしいでしょうか。

 

 

 

  •  1点だけ,確認なんですが。この16ページの御説明ですと,信託事務処理のを全部を他人に委託するというふうに信託行為に書いた場合にも,相当でない場合にはそれが認められないということがあり得るという理解を前提にされているんでしょうか。それとも,書けばできるという前提なんでしょうか。ちょっとそこだけ確認させていただけますでしょうか。

 

 

 

  •  書いてあれば委託できると。それ以外に相当な場合というのか別途あるという理解でございます。
  •  書いてあればできると。
  •  書いてあればできると,はい。

 

 

  •  わかりました。
  •  御確認,御質問,多数出していただきましたが,基本的にはこの第22の原案自体はこれでよいというように承りました。その上で,細部をさらに検討していくというように承りましたが,それでよろしいでしょうか。

それでは,第22はそういうことで了承ということにいたします。

 

 

 

  •  では,第26の事項につきましては異論がなかったので,原案どおりというふうにしたいと思っておりまして。利益吐出し責任についてはその議論の状況,今後の検討を踏まえて検討したいということでいかがでしょうかということでございます。
  •  第26については試案のままということで。

 

  •  試案のままで,異論は全くなかったものですから。
  •  では,よろしいでしょうか。

では,これも了承ということで。

では,大分長時間御議論いただきました。もう時間も相当過ぎておりますので,本日はこれで閉会といたします。

どうもありがとうございました。

-了-

 

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すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。立川談志師匠遺言大全集1聴きました。」