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2016年加工編  法制審議会信託法部会  第21回会議 議事録
2016年02月16日

2016年加工編

法制審議会信託法部会

第21回会議 議事録

 

 

 

第1 日 時  平成17年9月30日(金)  自 午後1時02分

至 午後5時45分

 

第2 場 所  法務省第1会議室

 

第3 議 題

第16 委託者の占有の瑕疵の承継について

第17 信託事務遂行義務について

第21 分別管理事務について

第22 信託事務の処理の委託について

第23 帳簿作成義務等について

第25 受託者の損失てん補責任について

第29 検査役選任請求権について

第32 費用等の補償請求権について

第37 受託者の解任及び辞任について

第39 前受託者等の義務等について

第48 受益権の譲渡について

第52 受託債権等の消滅時効等について

第53 私益信託における委託者の権利義務等について

第63 遺言信託について

第64 契約による私益信託における委託者の相続人の権利義務について

第71 受益者が複数の場合の損失てん補請求と原状回復請求の関係

 

第4 議 事 (次のとおり)

 

 

 

議        事

 

  •  それでは,これから信託部の部会を開催したいと思います。

皆さんお忙しい中おいでいただきまして,ありがとうございました。

それでは議事の進め方につきまして,○○幹事からお願いします。

 

 

  •  それでは本日の議事でございますが,全部で16項目ございますけれども,16から22までを1番目,23から29までを2番目と,32から39までが3番目,48と52を4番目にやりまして,最後に53から64と。

 

 

あと71は新たなテーマでございますので,これだけちょっと独立して御議論いただければと。細かく言いますと6つになりますか,そういう感じでやらせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 

  •  それでは続けて。
  •  それでは,まず第16の委託者の占有の瑕疵の承継について御説明を申し上げます。

 

 

 

結論的には,試案にありました乙案を採用しまして,13条1項の趣旨を維持することを提案するものでございます。なお,2項は削除することを提案いたします。

 

 

パブリック・コメントの結果でございますが,信託の安定性や受益者の利益の観点から,1項を削除すべきであるという意見と,信託の濫用防止の観点から1項を維持すべきであるとの意見がございましたが,維持すべきであるとの意見が多数を占めました。

 

 

また,委託者が信託を濫用的に利用することによって,占有の瑕疵の治癒を図るという弊害を防止すべきであるとの要請は改正法のもとでも妥当すると考えられます。

 

 

そこで,1項の趣旨を維持してはどうかと提案するものでございます。

また2項は,占有の行使力の点で特殊性を有する有価証券についても,占有の瑕疵が承継されることを示す注意規定であると解されておりますが,信託の場合におけるこのような特殊性をあえて2項を置かずとも1項により明らかであると解されます。

 

 

そこで,2項の注意規定は削除してはどうかと提案するものでございます。

 

 

 

なお,パブリック・コメントでは,いわゆる自益信託と他益信託とで区別して取り扱ってはどうかという意見もございました。

 

 

しかし,両者の区別は相対的なものでございまして,例えば,とりあえずは他益信託で設定し,その後直ちに委託者が受益権を譲り受けるという形をとった場合でも,この見解によりますと占有の瑕疵を治癒できることになってしまいまして,妥当ではないと思われます。

 

 

そこで,この区別する意見は採用しないということとしております。

また,学説上,13条を根拠といたしまして,権利変動に関する対抗の問題でも,自益信託の信託財産すなわち受託者には第三者たる資格を認めるべきではないという解釈が存することを踏まえまして,仮に1項を維持し,委託者の占有の瑕疵が承継されるということになりましても,受託者が第三者たる資格を否定される根拠とはならないという旨を明示すべきであるという意見がございました。

 

 

しかし,本提案の立場は,自益信託か他益信託かの区別を採用しないものでございますので,この学説の考え方を採用する前提を欠くというべきものでございます。

 

 

さらに申しますと,委託者からの倒産隔離が信託における重要な機能の一つであることには異論はないところでございまして,そのことは,委託者の債権者は,原則として詐害信託取消権を行使できる場合以外には,信託財産に対してかかっていけないとしていることからも明らかでございます。

 

 

1項は,あくまでも占有の瑕疵の承継についての局面に関するものでございまして,これを維持したからといって,それ以外の委託者の倒産からの隔離の場面におきまして,受託者が委託者とは,法律上独立の地位を有するものであることは,明示するまでもなく否定するものではございません。

 

 

 

 

 

もっとも,受託者にこのような法律上独立の資格を認めることと,権利変動に関する対抗の局面や権利の瑕疵の承継の局面において,通常の取引の局面とは異なる信託の特質性を考慮した解釈を行うこととは矛盾しないものでございまして,受託者が権利変動の局面において対抗要件を必要とする第三者に当たるか,あるいは権利の瑕疵が原則として切断されるべき第三者に当たるか,といった点につきましては,一律に決するのではなくて,当該信託のスキーム,殊に受益者の利益を保護すべき必要性の程度に応じまして解釈によって対応することが,適切な結論を導くと考えるものでございます。

 

 

以上が,第16についてのパブリック・コメントを踏まえた再提案ということでございます。

 

続きまして,第17の信託事務遂行義務についてでございますが,これは試案のとおりとすることを提案するものでございまして,試案につきましては賛成意見が大勢を占めております。

 

 

もっとも「信託の本旨に従い」という抽象的表現を多用すべきではなくて,現行法4条のとおり「信託行為の定めに従い」とすべきであるとの意見もございました。

 

 

しかし,民法の委任におきましても,「委任の本旨」という文言の用いておりまして,「信託の本旨」というものを用いることは,このような立法例とも平仄が合うものと考えられます。

 

 

そこでこの提案でも「信託の本旨」との文言を用いることが相当と判断したものでございます。

 

 

 

 

 

続きまして,第21の分別管理について御説明申し上げます。パブリック・コメントにおきましては,試案の方向に賛成する意見が大勢を占めましたが,金銭債権など物理的管理を観念し得ない金融資産ですとか,信託財産の管理を第三者に委託した場合などにつきまして,規定の明確化を望む意見がございました。

 

 

そこで,分別管理の方法につきましては,信託財産が適切に確保される方法として,法務省令で定める方法によるべきものとする,ということに規律を改めることを提案するものでございます。

 

 

このように法務省令で定める方法に委ねるとすることによりまして,信託財産の性質に応じた具体的な分別管理の方法,すなわち登記登録ですとか,帳簿によるか,物理的分別が必要か,などという点。

 

 

それから証券保管振替機構ですとか,海外カストディ等の適切な第三者に信託財産,特に券面のある有価証券の管理を委託した場合の分別管理のあり方,さらには新たな財産の取得の形態が開発された場合における分別管理のあり方,などにつきまして,信託法自体に定めをおく場合よりも,より具体的かつ明確に,さらに時期に応じた柔軟な対応が可能となると思われるからでございます。

 

 

なお,法務省令の制定の際には,改めてパブリック・コメントを通じて内容を確定していくことになりますが,想定される方向性といたしましては,基本的には試案及び補足説明に記載した内容を踏襲いたしまして,この資料の7ページに記載したような方向性で考えているところでございます。

 

 

 

 

 

 

また,試案の補足説明におきましては,この資料の5ページの下の方に,少し小さなポイントで記載いたしましたとおり,信託財産が信託の登記または登録をすることができる財産である場合においても,信託行為において受託者が経済的な窮境に至ったときには,遅滞なく信託の登記登録をする義務があるとされていると認められる限りは,分別管理義務が課されていると解してよいと述べたことに関しまして,1つは一般的にこうした取り扱いを許容すべきではないという方向性の意見,その対極といたしまして,信託行為で定めれば登記登録義務を完全に免除できるものとすべきであるという意見,それからいわば中間的な意見といたしまして,現行実務では抵当権付債権の信託がされる場合の抵当権ですとか,重要性が低く,あるいはすぐに除去される予定の建物などについては,一時的とはいえ登記を免除することが一般的でありますので,この趣旨を明確化すべきであるという意見,などが寄せられました。

 

 

 

 

 

 

しかし,最初の2つの両極の意見につきましては,まず信託の登記登録義務を完全に免除してしまうということは,要するに受託者からの倒産隔離を放棄してしまうものでございまして,もはや信託としての意義を認めることはできず,相当ではないと思われますし,他方におきまして,補足説明が許容しているような一時的な免除というものは,分別管理義務の主たる目的である,受託者からの倒産隔離を害することなく信託財産の効率的運用を通じて受益者の受益に資する場合があると評価できるのでありまして,信託行為に定めがあることを前提に,このような一時的な免除を認めることまで否定する必要はないというふうに思われるところでございます。

 

 

 

なお,最後の意見につきましては,経済的な窮境と申しますのは,信託財産の倒産隔離効果を確保するために信託の登記登録をすべき現実的な要請が顕在化する典型的な場合,これを挙げたものでして,抵当権付債権の信託における抵当権ですとか,除去予定の不動産の信託についても,信託の登記をすべき現実的な要請が顕在化する一定の事情が発生するまでは,登記登録義務を免除することができる,といたしましても,なお信託の意義を失うものではなくて差し支えないと思われます。

 

 

もっともいかなる事情が生じようとも,登記登録義務を免除してしまうということは,先に申しましたとおり,信託の意義を認めがたく妥当ではないと思われます。以上のような考え方を前提といたしますと,補足説明に述べたような,この小さなポイントの考え方を維持することでよいと思われるというのが,事務局の見解でございます。

 

 

番人

「特約とかで定めるのかな。」

 

 

最後に,信託事務の委託について,第22について御説明を申し上げます。本日はこの第22のうち,提案の2の(1)にかかります甲案と乙案についてのみ審議願いたいとの趣旨でございます。後日,改めて全体について本日の御審議を踏まえて御提案する予定でございます。

 

この点につきまして,パブリック・コメントの結果は,受託者は原則として選任監督責任のみにとどまるとする甲案が,より多数意見を占めました。

 

 

なお,甲案と乙案を指示する理由として挙げられている意見の趣旨は,それぞれ資料の8ページと9ページに記載させていただいたとおりでございます。

 

 

いずれの考え方をとるべきかを改めて御審議願いたいわけですが,ただ社会の分業化,専門化が進んだ現代社会の経済実態を重視しまして,現行に比べて信託事務の趣意を他人に委託できる場合を実質的に拡大するという提案1の趣旨からいたしますと,甲案の考え方の方が一貫しているように思われるところでございまして,乙案によるときは結局受託者が相当な委託をもちゅうちょしたり,信託報酬の上昇を招くことになりまして,かえって受益者の利益にも資さない結果になるのではないかと懸念されるところでございます。

 

 

 

また,甲案をとった上で,現行法26条3項を削除するとなりますと,受益者の保護が後退するのではないかとの意見に対しましては,資料の9ページから10ページ,ぽつが3つございますが,そこに書きましたような方法があることにかんがみますと,決して受益者の利益の方が現行法よりも劣る結果になるとは言えないのではないか,と思われることにつきまして付言させていただきます。

以上でございます。

 

 

 

 

 

 

  •  それでは,今説明があったところについて,順次御議論いただきたいと思います。

 

 

これからいろいろ決めていかなくてはいけないわけですので,合意ができるものについては決めていきたいと考えておりますし,また,いろいろ意見が対立するものについても,もしある方向性が出せるものであれば,その方向性を確認しながら進んでいきたいというふうに考えております。いずれにせよ,今の範囲で御自由に御議論をお願いいたします。

 

 

 

 

皆さんから御意見がなければ,ちょっときっかけにということですけれども,順次ということで,この占有の瑕疵の承継ですが,現行13条の1項の趣旨のこれは非常にもっともなことで,一番典型的には,自益信託で設定して委託者には本来その瑕疵があって,例えば短期の取得時効などが認められない,そういう瑕疵のある占有であるときに,受託者に占有を移して,それは独立の占有だということで,そこで取得時効が認められるというのはおかしい,というのがその趣旨ですよね。

 

 

 

やはりそういう趣旨は生かした方がいいだろうということで,その点については全く問題がないというふうに思います。

 

 

ただ,この規定だけがあったとき,13条以降ないし今度の第16のこの規定があったとき,これはちょっと確認ですけれども,本当に委託者と全然関係ない受益者が設定されて,委託者と全く関係のない者が受益者になって信託が設定されて,その信託のもとで受託者の,例えばその今の取得時効とかですね,こういうふうなものは今後一切認められないということになるのか,あるいは何か余地があるのか,ここら辺はどうですかね。

 

 

 

 

 

  •  そこはこの規定を維持しますと,原則として信託財産の瑕疵を承継されるということになりますので,基本的に難しいということになると思われます。

 

 

 

  •  私はですね,そもそも,ちょっと日本の法理とうまく合うかどうかわかりませんけれども,今の他益信託の受益者というのは,無償の受益者ですのでね,あんまり強い保護は与えなくてもいいかもしれないというふうに一方では思うんですが,ただ贈与などと比較すると,一切取得時効が認められる余地がないというのはどうかという気もちょっとするのでね,そこら辺のバランスをどう考えたらいいかというのは,この立場をとるのであれば少し説明を要するのではないかという気がします。

 

 

 

 

 

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ,○○委員。

 

 

  •  ちょっと飛んでしまってもよろしいですか。21の分別管理義務のところなんですけれども,前回の要綱試案のところから変わって,政省令で定める方向をとりましょうというような御提案ですけれども,この方向性につきましては,やはり信託財産というものが多様化してきて,今後もますますいろいろなものが出てくるだろうということで,典型的な規律というのがいつまで持つかわからないという部分がありますので,そういう観点からいくと,割と柔軟に対応できるようなこういう省令で定める方法というのは,方向性としてはいいんではないかなと。こういう方向は賛成するということでございます。

 

 

 

 

 

ただ,当然のことながら,細かく規定される限りにおいては,当然解釈というのがものすごく限定されますので,実務の立場からいくと,それでちょっと違ってしまえば全然適合しなくなるという,そういうような恐れもありますので,ここら辺については実務上の配慮というのをお願いしたいと。

 

 

具体的にはですね,例えばということで,ここでは7ページで動産というのが物理的な保管管理というふうに書いてありますけれども,例えばその動産においても動産信託で,もうちょっと具体的にいうと,例えばパソコンを信託をしているような場合については,ユーザーのところに貸し出したりしていますので,そうするとその物理的な管理というのに当たらないような,文言上かもしれませんけれども,そういう管理方法もありますので,その省令を書かれるときには,その辺のところの御配慮もお願いしたいと。

 

 

 

 

あとは有価証券を預託した場合,これについては御配慮いただけるということで書かれていますけれども,証券の振替機構であるとか,カストディであるとか,あとここだけで切れてしまえばいいんですけれども,ほかに預託するようなものもありますので,ここで切ってしまうのか,それともそういうものを全部含めた形で規定されるのかというのは,ここら辺も実務上大きな問題があると思いますので,そういうところを御配慮いただきたいと。

 

 

そこら辺が明確に規定できるということで,こういう方法をとられるということですので,そういうことを期待しまして,ぜひとも実務上の配慮をお願いしたいということであります。

 

 

 

 

 

 

  •  今の御意見についてですが,資料の7ページのところに書かせていただきましたけれども,もちろん法務省令を制定する際には,またパブリック・コメントを通じて内容を確定していくわけでございますが,今,○○委員から御指摘がありました,物理的な分別管理に限るのはちょっと規則が厳しいという点につきまして,資料7ページに「信託行為において別段の定めを置くことも許容されることを定めていく」という方向性で考えておりますので,最終的にはパブリック・コメントになるとはいえ,その点は,今までの提案と変えるところはなくて,御懸念には当たらないのではないかと思っております。

 

 

それから,第三者に例えば有価証券を預託する場合も,まさに法務省令に落としておりますのは,いろいろな形態がこれから生み出されてくるということに柔軟に対応できるということを考慮してのものでございますので,現行法にありますような証券保管振替機構ですとか,海外カストディ以外についての預託の方式について,どのような分別管理をすべきかということについても,当然しかるべく協議の上,対応していきたいと思っております。

 

 

 

 

 

  •  はい。先に○○委員,どうぞ。
  •  この21番分別管理のところですが,まず今回の御提案のとらえ方としては,分別管理義務は強行規定であるけれども,法務省令で信託行為で別段定めを置くことも許されるというのは,要するに分別管理の方法について信託行為では定められると,そういうような理解でよろしいんでしょうか。

 

 

 

  •  大きな問題だと思いますけれども,どうですか。
  •  先ほどちょっと御説明したところの補足でございますが,法務省令で定めますのは,あくまでも分別管理の方法なのでございますが,ただその法務省令で定めることによって,何か定めた方法をとったから任意規定になるとかいう話ではなくて,あくまでも法務省令で定めるのは,基本的には分別管理の方法であって,この規定自体は強行規定であるということの性質自体が変わるものではないのだというふうに思います。

 

 

 

 

ただしその動産,これは補足説明のときから考え方を変えているわけではございませんが,その登記登録することができないような財産については,信託行為で固有財産と集合して管理するというようなことを,許容されていくことにはなるのだろうというふうに思います。

 

 

その場合には,また今後扱うことになる識別不能のルールで,倒産隔離のルールはまあ働いてその信託の倒産隔離的な機能というのは維持される,という整理になるのかというふうに思います。

 

 

  •  わかりました。それでこの7ページの法務省令制定の際の考え方として,次のようなことだということで書かれているところで,債権がですね,信託帳簿上の計算管理というふうに書かれていますけれども,例えば預金債権でこの委託者1人,受託者1人,受益者1人というのは,素朴な信託で考えてみますと,口座は自分の固有財産の口座とは別の口座で,信託財産を分けて管理することを義務づけるというのは相当であるし,それを実行するのは簡単だと思いますので,そういうかなりきめの細かいつくり方になっていくのではないかという気がしますが,そうでしょうか。

 

 

 

 

 

  •  処理の定め方については,またパブリック・コメントの際に検討されていくこと,より具体的に検討されていくことになると思いますが,基本的な考え方としましては,原則は口座を別々に個人の固有財産にかかる口座と別々に開設すること自体は困難なことではないと思いますので,受託者なにがしと書いて,それで固有財産と別の管理でやるというのが恐らく原則になりながら,ただ帳簿上,出し入れをはっきりときちんと管理している限りにおいて,どこまで認められるかという御要望もまたちょっとあるかもしれませんが。原則はおっしゃられたような形になるのではないかなと思います。

 

 

 

  •  今の第1点と第2点に関係するんですけれども,この分別管理義務の規定が一応強行規定という形で規定されていて,だけど先ほど○○幹事から説明がありましたように,5ページの小さい字で書いてあるように,その一定の範囲での分別管理の措置をとらなくても許容されるようなことがあるという意味で,強行規定で出発しながら,ある程度緩くしている部分があるわけですね。

 

 

今,○○委員の質問は,その大きなレベルの条文のレベルよりはもう一つ下の,法務省令で規定したときの信託行為において別段の定めを置くということの意味であったわけですけれども,もう一つ上のレベル,法律のレベルでこの分別管理義務というものが,多少その性格がはっきりしないところがあって,繰り返しになりますけれども,強行規定で出発しながら多少許容されるところがある。

 

 

 

 

分別管理の処置をとらなくても分別管理義務に反したことにならない,という解釈を許容すると。

 

 

これは我々ここで議論してきたことなので,我々共通の理解があると思うんですけれども,条文にしたときですね,それが明確に出るのかどうかというのが気になっておりまして,もし今のようなある種の許容性というのを認めるのであれば,それはもうちょっと明確にした方がいいのではないかということを,ちょっと私は個人的に思っております。

 

 

これはちょっと○○委員の信託行為による別段の定めということとも少し関連する問題です。

もう1点はですね,これも今,法務省令でもってどの程度のことを書くのかということと関係するんですが,分別管理義務というのは非常に重要な義務ですので,法律のレベルでも,例えばこの7ページ書いてあること,この程度のことは法律のレベルで書いておいて,さらに細かいこと,あるいはさっきの証券保管振替機構を使う場合の話とか,いろいろなことがたくさんほかにもあるでしょう。

 

 

こういうものは法務省令で対応できるように,そういうふうにした方がいいのではないかということを,ちょっと思っております。事務局とは少し違う考え方ではありますけれども,皆さんの御意見を伺えればと思います。

 

 

 

 

 

 

  •  私,議論をしたことをすぐに忘れてしまいますし,そもそもこの話は私が考えついた話ではなくて,ここにいらっしゃるある幹事の方に教えていただいた問題ですので,その幹事の方に発言していただいた方がいいのかもしれないんですが,抵当権付債権の信託のときの抵当権の登記の話なんですが,例えばある債権について譲渡がなされたというときに,抵当権がそれに対して随伴していくわけですが,指名債権譲渡の対抗要件を備えていればですね,その抵当権についての登記をしなくても第三者に対抗できる,と言葉遣いは難しいんですけれども,それで抵当権行使できるんじゃないかという気がするというのか--。

 

 

そもそも抵当権者として登記面状に記載されている人が倒産した,破産したというときに,倒産財団,破産財団にその被担保債権が譲渡されている抵当権だけが帰属するということは考えられないわけでして,からっぽになりますから,そうするとそこでは第三者に対抗の問題が生じてこないわけですよね。

 

 

そこで,その被担保債権の方について,その信託の分別管理なり,あるいはひょっとしてその登記登録というのがあるかもしれませんが,こうしておけば抵当権についてはしておかなくてはいいのではないかというのが,恐らくパブリック・コメントに出てきた意見なのではないかと思いまして,私は他の法制度との関係で考えますと,またそして第三者に対抗できるという意味から考えますと,そのパブリック・コメントの意見というのは,ごもっともなところがあるんではないかという気がするわけです。

 

 

さらにまた,例えば信託銀行が受託者となって,ある行為をしているというときに,例えば根抵当権を取得している。

 

 

根抵当権が銀行取引によって生じた債権であると--銀行取引だという言葉にするとまた問題があるかもしれませんが--ある種の広く被担保債権が規定されていると。

 

 

しかるに,例えば信託銀行が第三者に貸付をするというときに,その貸付の原資が銀行勘定の固有資産であるという場合と,信託の事務として貸し付けるという場合とがあり得るわけでありまして,しかしながら,それを両方とも根抵当権の被担保債権基準によりますと,被担保債権として含まれるという場合には,別段その信託の登記というものがなされていなくても,当該信託財産に含まれている債権というのは,担保つきのものになるのではないかという気がするんですよね。

 

 

したがって,すぐに壊す建物というのと,抵当権付債権の信託のときの抵当権というのが,並べてやっぱりやらなければいけないというふうに論じられるものなのか,この抵当権付債権における信託のときの抵当権の登記というものは,もうちょっと細かく考える必要があるのではないかという気がするのですが,いかがでしょうか。

 

 

 

 

 

  •  私も実務の方からお伺いしているような話でもあるのですけれども,○○幹事の最初におっしゃられた抵当権付債権が譲渡されたときに,確定日付ある通知とか承諾があれば,第三者に対しても債権についてのそれがあれば,抵当権の登記を移さなくても対抗できるじゃないかというようなお話は,確かにそういう話になってこれまで進んできているところは,御意見の中でもあったかと思うのですけれども。

 

 

1点目として,さもさりながら実務の方に聞くと,じゃあ債権の譲渡人の方でですね,転抵当とかを設定してしまったとかいうときに,本当に登記がなくて対抗できるんだろうかというようなところは,多少なりともその不安感を感じながらやっているというようなお話を伺ったこともあるのですけれども,そういう不安感もありながらやっている中で,例えば抵当権を実行するときとかいうことになりますと,いずれにせよ,これは移転の登記を経た上できちんとやっていかないといけないと思いますので,何も今回の手当てをしたからといって,現行の抵当権の実行があるときまで,抵当権の移転の登記を留保するという実務をやめましょう,というか,やめてくださいと言っているつもりもございませんで,今回の提案に基づいても,現行の実務はそのまま維持されて矛盾なくできるんではないかというのが,説明させていただいた趣旨なのですけれども。

 

 

 

 

 

 

  •  第2点も伺いたいのですが,第1点のことから申しますと,例えばですね,ある信託銀行が債権の譲渡を受けたというふうにします。

 

 

そしてそれが信託財産に帰属したと。そうしたときに,実行しなければ,実行する際には当該信託銀行が抵当権者のところに記載されている状態にならないと実行できない。

 

 

それはそのとおりだと思うんですね。しかしながら,それが信託財産であるということを登記しなくても実行できますよね。

 

したがって,その実行のときには信託の登記が必要ではないか,ということにはならないんじゃないかと思うんですが。

 

 

  •  おっしゃる趣旨は,移転の付記登記さえされていれば,信託の登記がなくても実行はできるという趣旨でございます。

 

 

ただ実務上,移転登記だけして信託登記をしないといったことはできないといいますか,一緒にせざるを得ないという事態になっていますので,そうすると両方しないか,まとめてするかということになると,両方しないんでは実行できませんので,移転の付記登記と合わせて信託の登記を,実行の局面になったらせざるを得ないんではないかと。

 

 

しかしそれは,我々のその提案の窮境な状態というのを,「など」というふうに読めば,実行の必要性が生じた場合にも受益者の保護の必要性が生じて,信託の登記登録義務が生ずるという余地があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 

 

 

 

 

  •  根抵当権の方はいかがでしょうか。
  •  今回の提案に基づきましても,現在の現行実務で行われていることについては,個々の被担保債権それぞれが信託財産,固有財産のいずれかに帰属するかということが明らかにされている限りにおいて,現在の実務はそのまま,別にこの規定に違反するということを言われることなく,肯定されてよいのではないかというふうに考えますけど。

 

 

  •  ○○委員の関係,そういうことですか。

 

 

 

 

  •  根抵当権の場合につきましては,明確に,例えば信託勘定で幾ら出していて銀行勘定で幾ら,例えば100万円ずつ出していますという,そういう単純なものというのがほとんどなくてですね,根抵当権を1つばんと設定しますと,まず銀行勘定から幾ら出しています,信託勘定から別途長期の資金を出しました,救済の必要が出てきたので,じゃあまた銀行勘定から出しました,とかという形で,状態というのが日々,ある意味極端な言い方ですけれども,日々動いているような状態ですので,我々の方の不安としたら,それで何らかの受託者についての信用力が低下したような場合,破綻に近いような状態になったときに,果たしてそれが保全されるのかどうか。

 

 

というのは,そこが明確に,どこの部分がどう担保されているというのが,明確でない部分がありますので,そういう意味合いで非常に不安な部分があると。

 

 

そこで,その辺のところの規律というのをお願いしたいというふうに,前々から言っていたものなんですけれども。

 

 

 

 

 

 

  •  先ほどの1点目の話にまた戻るようなところもあって,ちょっと確認だけさせていただきたいんですけれども,抵当権について信託の公示をしなくていいかどうかというようなお話で,先ほども少しお話出ましたけれども,抵当権は処分,委託者の権利違反で処分してしまうというような,転抵当ですとかね,お話が出ましたけれども,それとの関係での公示の問題というのがあるのかどうか。

 

 

それからちょっと考えられないのかもしれないんですが,抵当権をある種の価値権を把握しているというのは,これはありますので,抵当権そのものをその他財産権として強制執行するというようなことは,それはないという前提で考えた上で,それでしたらその信託の公示をしなくてもいいだろうと,いうようなお話をされていたということでございましょうか。

 

 

  •  そうですね。○○幹事が聞かれたのは。

 

  •  そうですね,結局,倒産隔離というふうに申しましても,かなりその意味合いがですね,倒産財団に含まれるか含まれないかというのが,倒産隔離という話として出てくるわけですが,倒産財団に空の抵当権だけが含まれるということにはならないですよね。

 

 

先ほど抵当権の処分の話が出たところで,処分は結構厄介なんですけれども,本当を言えば,空っぽのその抵当権ですと,処分されてもそれは抵当権の価値というのは被担保債権額に依存しますので,転抵当を受けてもですね,だめなんじゃないかと思うんです。

 

 

その辺は解釈論でございますので余り口出しはしないこととしましても,譲受人との形に,抵当権との処分を受けた人との関係が問題となるというのは,もし仮にそうだと仮定しても,倒産隔離が問題になるわけではないような気がしますので,そのちょっと意味合いが少なくとも,かなり違うのではないかという気がするんですね。

 

○○関係官がおっしゃるとおり,抵当権だけを差し押さえるということは考えられないわけでして。

 

 

 

 

  •  いずれにせよ,これは何か具体的に細かく,それで大丈夫だということを書く必要があるのかどうかという,そういう問題ですよね,○○委員が心配されているのは。

 

 

少なくとも法律のレベルで分別管理義務を負わせているというレベルの話としては,全く影響がない問題,実務的な現在のあれを変えるわけではなくて。

 

そういうことですので,何かさらにつけ加えて言っておきたいことがあれば伺いますけれども,これ以上細かいことも--。

はい,○○委員。

 

 

 

  •  21番分別管理に関して,ちょっと最初の問題に戻るような話で恐縮なんですけれども,やはり前回の試案の作成時点における考え方が変わっていないということを,この場で確認したいと思っている,と言いたいところなんですけれども,つまり試案時点では,まさしく本文に信託行為に別段定めある場合には,そもそもその分別管理が登記登録のないものについては免除されることもあり得る,ということを前提にして書かれていたと思うんですね。

 

 

 

現に,補足説明の51ページにそのようなことが書いてございますが,読みますと「信託行為において別段の定めを置くことにより,分別管理義務を免除できるものとした」というふうなことが書いてあります。

 

 

今回の書きぶりになりますと,政省令レベルで外すということもあるのかもしれませんが,やはりちょっと原則が変わったように思えて仕方がないんです。

 

じゃあ,この試案がパブリック・コメントを受けてこのように変わることに,何か合理的な理由があるのかどうかというのを,今さっきお話があったのかもしれませんけれども,私,ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが,ちょっと私にはよく理解できないものでございます。

 

 

やはり,柔軟性を確保するためには,こういうことについて法律レベルで書いておく必要があると思います。冒頭,○○委員がおっしゃったとおり,政省令にすることはもちろんきめ細かい対応ができるということのためにはよろしいかと思いますけれども,やはり重要なことについては法律で定めるということも,必要ではないのかなというふうに思いました。

 

 

それから,これからちょっと個別についての意見なんですけれども,2つございまして,1つは先ほどから出ていますカストディといいましょうか,第三者に委託するものでございますけれども,その考え方についてちょっと意見を述べたいと思います。

 

 

すなわち,これは信託業法でも同じような考え方をとっているんですけれども,委託先においても受託者の同等の分別管理を求めるかどうかということでございますけれども,私は少なくとも実体法レベルでは,そこまでは求める必要はないというふうに思っております。

 

 

 

 

例えばどういうことかといいますと,有価証券における帳簿であれば,受託者を置いているところは,信託A,B,Cとかなったとしても,第三者委託のところで出てくると,そこは単に受託者名だけで十分ではないのかなと思っています。

 

 

何とならばということでございますけれども,それはやはり分別管理の意味というのが,受託者が倒産した場合に財産がごちゃごちゃにならないことと,受託者の倒産リスクから分離するということが目的だというふうに思っております。

 

 

したがいまして,第三者のところでこれがその受託者のものか,また信託Aなのか,信託Bなのかということが,もちろん明らかになることは望ましいんですけれども,明確化ならないとしても,例えばその受託者の方の帳簿等で明確化されていれば十分ではないのかなというふうに思っております。

 

 

したがいまして,そこのバランスについて御配慮いただければというふうに思っております。

 

 

それから2つ目に,個別に政省令できめ細かく定めるということに関連するわけなんですが,世の中いろいろありまして,その中に例えば,これも寄託物ですけれども,その請求権というのは2つありまして,1つは所有権に基づく引渡し請求権というのがあると思うんですけれども,もう1つは何らかの寄託契約に基づく請求権というのがあると思うんです。

 

 

かように,例えば同じ経済的主張であったとしても,法律の性質決定が,例えば債権と所有権とこう一緒になっていたもの,ということもままあると思うんですね。

 

 

そうした場合に,これは決め方の問題だと思うんですけれども,例えば1つの決め手である債権はどうである,動産であるという法的な性質にしたがって定めるという方法もあると思うんですが,もう1つはいわゆる経済的な実体に即してカストディはこうである,こうであるというふうなことがあると思うんですけれども,場合によってはどれに当てはまったらいいんだろうかとか,そういったことで非常に混乱することもあるのかなというふうに思っているわけです。

 

 

 

したがいまして,これは○○委員の指摘にもあるわけですけれども,実際にその政省令を決める場合には,きめ細かくするということは大切なんですけれども,そこは実務に応じて逆に問題になることもあるかもしれませんものですから,そこら辺も十分な検討が必要だと思いました。

 

 

 

  •  第1点は,先ほどちょっと私も申し上げた,強行規定ではあるけれども任意法規的な性格を多少持つのか,持たないのかという問題ですね。ちょっとニュアンスが違ってきて--。今,何か補足説明ありますか。

 

 

 

 

  •  今の御意見についてですが,まず試案に書いた考え方と現時点での我々の考え方,別に何も変わっているわけではございません。

 

 

ただ,今伺っていても我々が理解しましたように,例えば海外カストディに預けたときにどのような分別管理をすべきかとか,あるいは寄託物についてはどういう分別管理が正しいかとか,かなり非常に今,些細というか,複雑な問題でございまして,到底それを全部法律に書くということはできないというのも御理解いただけるところかと思います。

 

じゃあ,基本的な部分を書いたらどうかという,もちろんそういう御指摘は十分あり得るところかと思うんですが,ただその一部を法律に書いて,一部を省令に書くというのも,なかなか見栄えの問題もありますし,あと実際どこで切り分けるかという難しい問題もございまして,それであればこの試案の考え方を維持することを前提として,将来的にはもちろんもう1回パブリック・コメントには付すわけではございますが,まとめて省令で書くという選択肢もあるのではないかというのが事務局の考え方でございます。

 

 

 

  •  今のような点について若干意見なんですけれども,まず冒頭の方で○○委員の方からありました分別管理義務を免除できるというその補足意見のコメントについては,その言葉を額面どおり受け止める限りでは,なかなか賛成できないというふうに考えております。

 

 

ただ,試案の段階と今回の御提案と,若干分別管理義務の射程範囲が異なってきているのかなという感じがしておりまして,補足説明の段階では分別管理義務の内容については,物理的なその分別という前提で,恐らくとらえられていて,それによってその帳簿作成義務が免除されるものではないということが,恐らく前提になっていたのではないかというふうに理解しております。

 

 

今回,分別管理義務を考えるに際しては,帳簿作成義務のところまで取り込んだ形で,義務の中身を措定するというような立て方をされたのかなというふうに受け止めておりまして,もしそういうことであれば,そういった考え方もあり得るのかなというふうには考えております。

 

 

ただ若干,先ほど問題になっておりました債権,特に預金との関係で,その先のことを御検討いただけないかなというふうに考えておりますのは,例えばその預金口座を分別するということを考えた場合に,もちろん別口座にするというのは原則だということをうたうということであれば,それはそれでお願いしたいことであるんですけれども,やはり実務上の要請から,それを帳簿だけの管理にするということも許容すべきだということが,恐らく議論としてはあるんだと思います。

 

 

その場合にも,そういったことが許容されるとしても,ただ単に帳簿だけつければいいということになるんであれば,それに対応する口座残高が確保されないという事態が起こったときに,やはりこれは分別管理義務が尽くされたことにはならないのではないかというふうに思われます。

 

 

そうすると,もし債権で帳簿上の計算管理で分別管理義務が尽くされるということを考えたときには,やはりそれとともにそれに対応する,例えば預金であれば口座残高であるとか,そういう財産が確保されるような措置といいますか,そういったものをあわせて求めていく必要があるのではないかというふうに考えているところです。

 

 

この点については,もちろん将来的にはパブリック・コメントのレベルの問題かもしれませんけれども,ぜひ債権,特に預金については,帳簿上の管理計算ということを考える際にも,そういった財産確保ということも含めた形での御検討をお願いできないかというふうに思います。

 

 

 

 

それからもう1つ,この規定の規定ぶりといいますか,どういった規定をつくるかということとの関係の御意見なんですけれども,これはもし民事信託ということを考えた場合には,一般の人たちが,やはり法律の条文を読んで分別管理義務の内容がわからない,わかりにくいというのは,できればわかりやすくしてほしいという感じがちょっとしておりまして,やはり法務省令を見なければわからないというよりも,原則的な管理方法については,できれば条文に挙げていただいて,ただし法務省令によることができるとか,そういった形の規律をしていただけると,民事信託とかそういった分野との関係ではありがたいかなというふうに考えております。

以上です。

 

 

すみれ

「34条難しいよ。」

 

 

  •  はい。ほかにいかがでしょうか。

○○委員。

 

 

  •  すみません。今,議論をお聞きしていまして,ちょっとわからなくなったところがありますので,2点ばかり確認させてください。

 

 

1点目はですね,例えば債権の場合ですけれども,信託ごとまたは固有勘定と信託財産ごとで口座を分けるということが,ここでいう分別管理なんでしょうか。

 

 

私自身は,その債権というのが帳簿上の計算管理と書いてありましたので,その必要性はないというふうに考えておりましたが,そこは口座を分ける必要性があるのかということと,もう1つは,先ほど○○委員の方から,預託しているような場合については,所有権であったり債権であったりということがあるということですけれども,所有権の場合,共有というもの自体の概念というのは別に認められているのでしょうか,認められているものだと私は思っていたんですけれども,その2点,ちょっとお伺いしたいのですが。

 

 

 

 

 

  •  まず口座を開けるかどうかという点については,前も議論がございまして,そのとき私の方から,口座まで分ける必要はなくて帳簿一本でいいんではないかと答えた記憶がございます。

 

 

ただ,書物によっては口座も分けるべきではないかという議論もございましたし,私がそういうふうに答えたときに,ある幹事の方から,じゃあ差押えが来たときに競合の有無がわからなくなるのではないかという御指摘もございまして。なお,その分別管理プロパーの問題からいたしますと,帳簿で区別していれば口座まで開ける必要はないんではないかという気がするものの,ちょっとその点はまだこちらで結論が出ているわけではございませんので,今の御意見なども踏まえて,将来的には法務省令に落とすことができれば,法務省令のパブリック・コメントの段階までに確認,検討していきたいというふうに思っているところでございます。

 

 

 

 

それから2点目の共有というのは,別に信託でも共有はあり得ると思うんですが,共有持分権が信託財産に帰属するという御理解でございますか。そういうことはあると思いますが。

 

 

 

  •  帳簿については,例えば所有権ですので,動産みたいなものも当然あろうと思いますし,運用ということを前提に考えると,一番最初に複数の信託財産からまたは固有財産と一緒に当然物を買うということはあり得ますので,そうすると自動的に共有状態になってしまうというふうに考えられますので,当然そういう管理形態というのはあり得るというふうに考えてよろしいわけですよね。

 

 

  •  ○○委員,どうぞ。
  •  先ほど分別管理のところでですね,○○幹事の方から,前は口座の物理的な区分,口座を設けての物理的な分別管理までは求めるものではないという説明があったので,ずっとそのつもりで考えてきていたんですけれども,債権の流動化の場合ですね,実際我々受託者ではないんですけれども,受託者から実際に流動化した債権の回収の委託を受けているという状況の中で,もし受託者の方の分別管理義務がかなりそういう物理的なものまで強化されるということになりますと,やはり委託者の方にもさらにそれが及んできてですね,例えば当社のように1,000万件くらいの債権のうちですね,もちろん固有の債権もありますし,A信託銀行,B信託銀行とか複数の信託銀行にお売りをして流動化しているようなケースで,かつ,個別の発生時期によって複数の流動化があるわけですね。

 

 

すみれ

「1,000万件の債権があるの。すごいね。」

 

 

こういったものが一つの対お客様との関係では1日の約定日の中で1,000万件の入金があるわけですけれども,それが実際には多数の固有財産と複数の信託財産と,それに最終的に帰属するわけですけれども,そういったところの管理義務といったところがですね,次の信託事務処理の委託のところの,受託者の責任の範囲との問題とも絡まって,また業法の方とも絡まってですね,かなり重たくなってしまうのかなと。

 

 

不必要に義務が出てきて,せっかく帳簿上の管理でできるだけ効率的にこれをやっていこうという形で,業法の方も流動化型の信託会社,A信託会社も認められるような形で体制が行われてきているわけですけれども,そこが非常に,歯車が逆に動くのではなかろうかなというふうに,そういう印象を持ちましたので,ちょっと発言をさせていただきました。

 

 

 

 

 

  •  ちょっと伺いたいんですけど,これ流動化の場面で,信託財産だったら信託財産間のね,複数の信託財産間でもってそれぞれ別に例えば預金しなくちゃいけないとか,債権として物理的に--物理的という言葉はちょっと適当じゃありませんけれども--債権として分けなくちゃいけないというのは大変だろうというのはよくわかりますけれども,固有財産との関係でもその帳簿上の計算管理でないとやっていけないと,そういうことですか。

 

 

 

  •  実際には,個別の債権ごとに譲渡している単発の債権もありますし,カード債権のように日々発生するようなものがございますので,そういったものについて,一括して請求管理,それから誰が債権者であるか,固有財産なのか信託済みの財産なのかということの区別をした上でですね,かつどの信託に入るべきものなのかというのは,コンピューター上で全部管理はされているんですね。

 

 

ですからその分が請求の時点では一律に,対銀行さんに対しては,一律に当社の口座に一たん入れさせていただきますけれども,その後の入金結果を一つ一つの分類に基づいて,固有財産に属するものと信託の何々口,信託の何何口というふうに分別の作業をやって,定められた期間までにその回収金を引き渡す,こういうことをやっているわけなんですね。

 

 

 

 

 

 

  •  まだ十分理解していないのかもしれないけど,その今,流動化の資産として債権などが問題となっている場合を考えられて--。

 

 

  •  今のは,預金の方をちょっと考えたんですけれども。

 

  •  その回収というか,取り立ての段階の話をされているんですね。

 

  •  取り立てた後の,信託銀行に引き渡すまでの管理というのがですね,現状もいろいろな方法で確実に引き渡されるような契約上の手当てとか,担保とか,そういったところで対応はされているんですけれども。

 

 

  •  仕組みがよくわかっていないせいかもしれないけれども,固有財産がその中に入っているというのはどういうことなんですか。

 

 

  •  一たん回収した段階では,すべての当社の固有財産に属する債権も,既に信託譲渡済みの債権も,一たんは同じお金として,色がついていませんので,お客様の口座を開いている銀行の当社の預金,固有財産としての預金口座の中に一たんはすべて収納されるわけですね。

 

 

  •  債権回収というのは,なかなか難しい問題がありそうで。

どうぞ,○○委員。

 

 

  •  たぶんそこでその銀行の口座に入金をしたところの部分というのは,多分それは信託固有の口座ではないかなというふうには思いますので,受託者,多分委託先のところの部分での分別管理というのはいろいろな問題があってですね,今,業法で問題になっているような形の,委託先に対して分別管理を課すとか,忠実義務を課すとか,そういう観点から見ると,今,○○委員がおっしゃったような形で,割と混在化しているような部分があるので非常に難しいと思うんですけれども,受託者単体で考えたときには,固有財産のものと信託財産を同じ口座に入れるということはほとんどないと思います。

債権として出す場合については。

 

 

 

 

 

 

  •  ちょっと私もそういうふうに今までは理解していたんですけれども,いろいろな債権の形もあり得るので,いろいろなというのは債権の形といいますか,いろいろな場面でその信託財産,債権,債権である信託財産,それから固有財産である債権,それが問題となる場面がありますので,債権についてはもう少し細かいことをいろいろと検討しなくてはいけないのだろうと思います。

 

 

ただ,ここで今,どの程度の合意を得るかということなんですが,ここでの趣旨は今のいろいろなものについてすべて細かく全部検討して,大体の方向性はここで議論して同意を得るということではないんですね。

 

 

むしろ,その法務省令に落としていいのかどうかということ,あるいは先ほど信託行為において別段定めを設けることができるというような,そういうのを,これも条文化へ落として省令のレベルでいいのかという,これはちょっと分別管理義務の性格にも少し関係しますけれども,そういうことを御議論いただければと思います。

 

 

細かいことについては,もし法務省令に落とすということであれば,またそれについては別途検討するということになります。

 

 

 

 

 

いかがでしょうか。

 

  •  恐縮ですけれども,先ほど私が申し上げたとおり,別段の定めで構わないということが,試案では本文に載っていたのが,この案ではそうでないということに変わった理由というのは,パブリック・コメントとかを受けて変わったんでしょうか。どういう理由があったんでしょうか。

 

 

  •  パブリック・コメントとかで,合意によりました基本的な考え方を変えたというわけではございませんで,基本的に管理方法を法務省令に落とすのであれば,その例外も許容されるということも,法務省令の中に1項目設けて規定したらいいのではないかという,ただそれだけの理由です。

 

 

  •  繰り返しになりますけれども,私はその今の信託行為によって別段定めができるというのは,この分別管理義務に関するかなり重要な点なので,そういうことはやはり分別管理義務に関する法律上のレベルの条文の中で,書き方はなかなか難しいのかもしれないけれども,ある程度明らかにしておいた方がいいだろうと,いうふうに思いますね。

はい,○○委員。

 

 

 

 

 

  •  すみません,多分その考え方を変えたということではないんだと思うんですけれども,温度が変わったのかもしれないんですけれども,何となく今回の規律を見てみますと,特に法律レベルで今おっしゃったような形の規律にもしましょうということになりますと,その倒産隔離とのリンケージというのが,以前よりかなり強くなったのではないかなという感じがしまして,そうすると,法律レベルでもっての分別管理義務を守っていれば,イコール倒産隔離が図られると,というようなぐらいの位置づけになっているような気がするんですけれども,そういうような意図を持たれているということではないんですか。

 

 

  •  問題は,法律のレベルで守っているということの,法律は余り書いてない--。
  •  法律で分別管理というのを強行規定でやりましょうというお話ですから,分別管理さえできていれば,それが受託者が倒産したときについては,常に隔離が図られていると。

 

 

  •  具体的なたてつけについて中身を変えたつもりはございませんで,基本的な信託の基本的な考え方自体について,分別管理を通じる基本的な考え方自体について考え方を試案から変えたということは全くございません。

 

 

その前回の試案とよく比べていただければおわかりになりますとおり,「法務省令で定める方法により--」というところを加えたのと,そのただし書きを落としたという,ただそれだけの話ですので。

 

仮にこれにただし書きを加えれば,明確になる余地がふえたというだけで,別に不明確になったと,わからなくなったという批判を受けるいわれはないのではないかというふうにも思います。

 

 

それで,特に試案で分別して管理しなければならないといったって,じゃあ債権の物理的分別なんてないので,じゃあ何をやったらいいんだとかですね,別に一般の民事信託を前提にされた方だけではなくて,実際の事業者の方からもそういう御指摘は多々いただいているところですので,そうであればもう少し明確にした方が,ユーザー,信託を活用される関係当社の皆様にとってはよいのではないかという観点から,できる限り努力をしてみましょうという気持ちを込めて書いているわけでございまして,繰り返しになりますが,1つ文言が入ったという以上に前回から全く何も変わっていないわけですから,それによって基本的な考え方が変わったとか,温度差が変わったとかいうことでは全然なくて,したがって基本的な考え方は全く同じであって,ただ不明確だという批判が幾つかあったので,それをできる限り,皆様のニーズに合わせて明確化していくように努力させていただきたいと,その旨御理解いただければと思います。

 

 

 

 

 

 

  •  ほかにいかがでしょうか。ほかの条文でも結構です。

はい,○○幹事。

 

 

  •  それでは第22の方について発言させていただければと思います。毎回のように発言しておりますので,もう言いたいことはわかったから黙っておれということもあるでしょうけれども,私なりにもう少し違う表現で問題点だけは,明らかにしておきたいと思います。

 

 

すみれ

「はーい。」

 

 

 

第22の2で(1)甲案,乙案とあって,パブリック・コメントの多数というのが,甲案賛成であるということです。

 

 

これはある程度予想はしておりましたけれども,ただやはり若干,甲案,乙案の意味についての誤解とまではいいませんけれども,そういったものがあるのではないかないう気もいたしました。

 

 

と言いますのは,例えば乙案が強行法規とまでは言いませんけれども,どのような信託であれ,必ずないしは原則として,他人に任せた場合でも,任された者の故意・過失があったときには責任を負うというようなもの,つまり適切に選任監督をしていたとしても,それだけでは免責されないというふうに必ずなるのだ,ないしは原則としてそうなるのだ,ということを前提とするならば,それは違うだろうというのが,甲案に賛成された方々の意見ではないかと思います。その解釈は非常に正しいと思います。

 

 

 

要するに,これまで私,何度か申してきましたように,重要なのは契約で一体何を約束したかということでして,契約で自分自身ではなく,適切に財産の管理等をしてくれる第三者を選ぶということを約束したというときには,適切な者を選任監督できなければ責任を負うし,適切な者を選任監督しておれば,それでみずからのなすべきことはやったわけですから責任を免れると,こういう約束をしたときは,当然そうなるはずでして,そして多くの商事信託,とりわけ複雑なシステムを前提にした商事信託では,このような約束,つまり適切な財産の管理等を行ってくれる者を選任し,監督するという約束を明示的に行っているでしょうし,あるいは明示的に行っていなくても,その契約の性質からすると,当然そうなっているだろうと。

 

 

その意味では,甲案を支持しておられる方々の意見というのは,全くそのとおりだろうと思います。

 

 

 

 

 

 

ただ,適切な第三者を選任し監督するという約束を行っているときはそうなんですけれども,そうではなくて,預かった財産を適切に管理するという約束を行ったときには,やはり適切に管理できなければ責任を負わざるを得ないと,いうことになるのではないかと思います。

 

 

そして,きょうの御説明の中では,22の1で,これまでと違って他人に処理を委託できるとするならば,甲案の方が平仄は合っていると。

 

 

要するに,他人を使っていいというんだから,適切に選任監督するという義務だけを負えばいいと,その方が平仄があるというふうにお考えなったのかもしれません。

 

 

それだけ見ているとそうかなとは思うんですが,ただ,何を約束したかというときに,財産を適切に管理するという約束をしたというときに,自分だけが1人で管理するんじゃなくて他人も使ってよいとすると,いうことが仮に1で認められたとしても,約束したのはあくまでも財産を適切に管理するということですから,結果として適切に管理されなければ,当然責任を負うと。

 

 

つまり乙案の内容というのが,当初の約束した内容,つまり財産を適切に管理するという約束をしたときには,やはり平仄は合っていると思います。

 

 

たとえ1があったとしても,乙案の方が平仄が合っているのではないかなと思います。

 

この2つの約束,つまり適切に財産を管理するという約束と,そして適切な第三者を適切に選任し監督するという約束,これどちらも可能ですし,そして自由に契約してよいだろうと思います。

 

 

番人

「適切に財産を管理する約束は必ず受託者が負う責任じゃないかな。」

 

 

としますと,問題は,何をデフォルトにすべきかということだと思います。そのときにこれは信託法ですので,信託法の中のデフォルトとしては,契約内容はやはり適切に財産を管理するということが,やはりデフォルトでないとおかしいのではないかなという気がいたします。

 

もちろん,第三者を適切に選任し監督するという約束を行うことは可能ではありますけれども,これがデフォルトになりますと,何を約束しているのかというと,適切な第三者を選んで監督するということですから,これが信託かと。これだけ取り出すと委任に近いですよね。

 

 

これがやはりデフォルトではなくて,財産を適切に管理するということが,やはりデフォルトの契約内容ではないのかと。

 

 

そうでないと,何のために善管注意義務や忠実義務のようなお話をしているのかわからなくなってしまうと。そういう意味では,約束の内容のデフォルトはもし適切に財産を管理するという内容ですと,それを貫くならばやはり乙案というのが筋が通っているのではないかなという気がいたします。

 

 

その上で,先ほども申しましたように,それに対してそれと異なる特約をすることはもちろん自由ですし,そしてまた,先ほど言いましたような契約の性質からすると,当然特約があると解釈できる場合が多いと思いますので,恐らく甲案を賛成された方が抱いておられるような危惧は,発生しないであろうというふうに思われます。

 

 

 

それが1つで,もう1つだけちょっとつけ加えておきますと,民法で従来言われてきましたものとの整合性という点ですが,これはこの中にも若干指摘されていますけれども,復代理に関する規定がこれに対応するものとしてありまして。

 

 

復代理の規定ができますときに,多分この会の一番最初に申し上げたと思いますけれども,もともとの旧民法というのは,実は乙案の考え方でできておりまして,自由に他人に任してよい。

 

 

そのかわり,復代理人が適切な行為を行わなかったときには,責任を負わないといけないと,いうような形でなされていたと,いうのが現在の民法105条以下の規定ができるときには,旧民法とは違いまして,他人を自由に使ってはいけない。

 

自分でしないといけないというふうに,そこの原則を入れかえて,ただ例外的に特別な理由があって使ってよいときには,選任監督の過失に限られるというふうにしましょうと,いうふうにしたと。

 

 

 

ポリー

「そうだったんですね。」

 

 

 

こういう2つの考え方があったんですが,今回の1で自由に使ってよいということにして,しかし,旧民法だと乙案なんですが,しかし1を採用しつつ甲案をとるというのは,旧民法とも現行民法とも違う新たな立場をとるということを意味しております。

 

 

これが果たしてうまく説明が可能なのかなというのが,民法学者の立場としては,やや心配があるところです。一体何が当事者間で約束されたことなのかと,それに応じて責任の範囲も決まってくるというのが,現在のかなり有力な流れでして,そこからしますと,やはり何度も言いますように,適切に財産を管理するという約束をしたのか,それとも第三者を選んで監督するということを約束したのか,そのどちらかに応じて責任の内容は決まってくる。

 

 

問題は,どちらをデフォルトにするかだということだと,いうことがこの問題の所在であるということを,結局同じことを言っているじゃないかということなのかもしれませんけれども,ちょっとこの場で申させていただきました。

以上です。

 

 

 

 

 

  •  いかがでしょうか。

信託において,今○○幹事が挙げられた復代理も含め,あるいは旧民法も含めてそういうのと,なぜ信託が違うのかというルールの違いをですね,やっぱり何か説明があった方がいいんだと思いますね。

 

 

 

ある種の政策的な判断もありますけれども,理論的にそれが耐え得るというためには説明があった方がいい,というふうに私も思います。

 

 

なかなか私自身も十分説明できるのかどうかわかりませんけれども,信託をお持ちの受託者の負う一番中心的な義務は,適切に財産を管理する,あるいは財産の管理だけではないかもしれない,処分もありますけれども,まあ管理するということなんですけれども,やはりどういう形で管理するかというところについての,そこまで含めてのデフォルト的な合意があって,やっぱり従来は受託者が管理するというときには,受託者1人で管理するというのから出発して,他人を使ってもいいけれどもそのときにはもちろん受託者は全面的な責任を負いなさい,というそういう形で管理すること,管理の方式も含めて,形式も含めてもちろん考えていたわけですが,今度新しい,この現在のもとでは,もちろん信託財産を管理することが中心でありますけれども,適切な場合には第三者を使って管理するという何か合意で,反対に言えば,やっぱり自分で管理するという出発点を完全に捨てた,そういうところが今度の信託法の考え方ではないかというふうに思います。

 

 

 

 

 

これだけではまだちょっと納得されないかもしれませんけれども,復代理とかいうところは,いろいろな規定の,そこでもあり得ると思いますけれども,やっぱり信託と違って代理権に基づいて何かを決定するという世界は,たとえ復代理人を使っても本来,やっぱり元の代理人の権限に集約されて,その代理人が決定すべき世界で,ちょっと信託と少し違うのかなという感想です。十分説明になっていないかもしれませんが,とりあえずそんな感じは持ちますね。

○○委員,どうぞ。

 

 

 

  •  やっぱり22ですが,これは既に出ていた話なのかもしれませんが,ちょっと確認ですけれども。この22には甲案,乙案それぞれありますけれども,これはいずれも立証責任を考えた上でのこういう表現だったということだったのでしょうか。

 

 

この請求原因がこの受任者の行為により,損害が発生したと。したがって,受託者は損害賠償なり,てん補責任で何らかの責任を負えというのが請求原因で,抗弁でこの受託者は選任,及び監督について過失がなかった,あるいは受任者に故意過失がなかったということを立証するという,そういうこれはお考えだったでしたでしょうか。

 

 

  •  どうですか。

 

 

 

 

  •  立証責任について,大分議論がございまして,その点ももちろん無視しているわけでは全くないんですが,一応ここは実体上どういう規律を置くのが妥当かという観点から提案しているわけでございます。

 

 

ただ今の御指摘を踏まえて考えれば,確かに甲案であれば,受託者の方で自分に選任監督に過失がなかったということを立証することになると思いますし,乙案であれば,受任者の方に故意過失がなかったということを受託者の方で立証するということになるというふうに考えるところでございます。

 

  •  はい。
  •  もう1点ですけれども,甲案と乙案で,甲案の方が受益者の保護が後退することになるのではないかという意見に対しては,そうはならないのではないか,というような論調で書かれていますけれども,具体的にですね,受任者が故意または過失で信託財産に損害を与えた場合--受任者ですから受託者から委任を受けた人ですね--そういう場合に,選任監督に過失がなかったということを前提として,甲案,乙案で考えてみますと,26条3項は削除するという前提で,甲案の場合は,その場合は受任者は受託者の方と,信託財産に対して損害賠償義務があると,そういうことになりますよね。

 

 

それで乙案の方だと,受託者が損失てん補責任ですか,それを負うということになるので,結局責任を負う人が受任者なのかあるいは受託者なのか。

 

 

26条3項を削除しますから,どっちか片方のみにしかならないと思いますけれども,ということになるので,結局,その受託者が資力不足の場合どうだとか,そういったところで違いが出てくるような感じがします。

 

 

 

 

それから,もう1つあるのがこの免責規定ですね。この受託者,受任者間で免責規定がある場合に,信託財産というか受託者が受任者に対して損害賠償請求しろとは言えないと。免責規定があるためにですね。

 

 

そういう場合に,受託者が任務違背になるから,受託者に損失てん補責任が発生するので,この受益者の保護としては十分なのではないかというようなことが書かれていて,その場合は結局,受任者の故意・過失のほかに受託者の任務違背も立証しなければなりませんので,受益者の立場からすれば,立証すべき事項がふえるということになりますので,やはりその限度では受益者の保護は後退していると,いうことにはなるかと思います。だから,あとはその程度ならばいいじゃないかというふうに見るかどうかと,そういうことかなというふうに思います。

 

 

 

  •  私もそう思いますけれども,どうですか。

 

 

  •  確かに資力の点とか細かいところは,いろいろ分析すれば,現行法の場合に比べて受益者の保護が欠ける部分がゼロとは言えないと思っておりますが,しかしその全体的な規律を総じて眺めますと,受託者の方の責任を追及することによって,受益者はしかし,ほぼ相当な損失の回復を受けることができるのではないかというふうに思われますので,あえてここで26条3項を維持するまでの必要性はないんではないかという価値判断が入っているということは否定できないところでございます。

 

 

 

  •  それは全然違わないとはやっぱり言えないと思うんですよね。でも一番大きなのは,今,言われましたけれども,受託者に対しては選任監督の過失がないということで,受託者にはいけなくて,受任者の方に過失があるのでそこにいかなくちゃいけない。

 

 

信託財産の方に損害を与えている,受任者が与えていますから,信託財産からの損害賠償請求があるということで,それを行使するといいますかね,受託者が行使する。

 

 

受託者が行使できなければ,場合によっては受益者がかわりに,代権的に行使することも考えられるかもしれませんけれども。そこの部分ですよね,一番もし大きな違いがあるとすれば。

 

 

ただ実体法的には,今のように信託財産に対する損害を与えているので,損害賠償請求権が信託財産にはあって,それを行使することで,まあ何とか受益者には損失を与えないようにすると,いうのがこの仕組みで。

 

 

全然違いがゼロだとは言いませんけれども,一方でこうやって社会的な分業のもとで,第三者を使わざるを得ない外国のカストディアなども使わざるを得ないと,そういう条件のもとで,どういうルールが適切だろうかということで選択された,提案されたルールだというふうに思います。

 

 

 

 

 

ほかにいかがでしょう。はい,○○委員。

 

  •  細かいことなんですが,大きなことはさっき○○幹事がおっしゃったことと,○○委員がおっしゃったことと,つまり信託の原型をどう見るかということの転換をここでどうとらえるかということに尽きると思うんですが,仮に甲案をとった場合のただし書きでございますけれども,そのただし書きでさらに軽減するという別段の定めが可能か。それはどこまで可能か。例えば選任監督について,重過失がなければとか,あるいは故意がなければとか,あるいは一切というようなことまで可能かどうかということでございますが,そこはいかがでしょうか。

 

 

  •  重過失まで軽減することは,まあできると思っておりますが,さらにそれを越えて故意とか一切責任がないというのは,公序良俗といいますか,条理の範囲から難しいのではないかという気がしております。

 

 

これは規律から明らかではないですが,一般的にその重過失は可能だというのが,一般的な理解だと思いますが,そこを越えてまで信託行為を緩めていいというのは,難しいというふうに解釈していいんではないかと思っております。

 

 

  •  今の規律は解釈に委ねるということであって,さらに,例えばこの甲案がぎりぎりで重過失なんかとんでもないという意見もあり得ると思うんですけれども,それはもう解釈任せということになるんでしょうか。

 

 

  •  重過失に緩めることが信託行為に書いてあって,それがそれを承知の上で,受益者が受益を取得しているという事態があれば,それはそれでやむを得ないんではないかと思っております。

 

 

  •  重過失はだめなんじゃないですか。
  •  はい。

 

  •  これ公序良俗の一般の議論に委ねるということですよね。

ほかにいかがですか。○○幹事。

 

 

 

 

 

  •  今日ちょっと初めて参加させていただきましたので,この会にどういうスタンスで臨めばいいのかということが,私自身ちょっとまだ図りかねているので教えていただきたいんですけれども。

 

今の論点でいきますと,業法においては乙案,事実上の無過失責任を維持するというのが,まあ私の当たり前の感覚なものですから,そういう場合に,信託法と信託業法でそういった違いが出てくるということについて,そもそもこの場ではどういうふうにお考えになっていて,この場における業法を所管するものがどういう構えで意見を言うということが期待されているんでしょうか。

 

 

質問なんですが。

  •  私から答えるべき問題かどうかわかりませんけれども,皆さんがそれぞれ違った理解を持っているかもしれませんが,ここでは信託に関する一般的なルールというのをとにかく改正というか,現在の社会に合ったようなものに変えていこうということで,現在の信託業法は,今までの信託法に基づいてつくられたものだという前提で考えております。

 

 

その上で,現在そのもとになっている信託法レベルの義務,受託者の義務などを見直しをする。そうしますと,現在の信託業法とこう食い違ってくる場面が出てくるかもしれませんが,そのときに--ここら辺からは私の個人的な意見ですけれども--できれば,それは信託,新しいこの信託法のルールに従って信託業法が調整をしていただければ一番ありがたいなと。

 

 

ただ,場合によっては,信託業法の観点から,特にこれは業法の場合には必要な規制なんだということで,正当化はあり得るかもしれません。

 

 

○○幹事には,どういう立場で御発言をお願いするというそこまでは僭越ながら私が言える立場ではありませんけれども,私は今のように,信託法と信託業法の関係を考えておりますので,それを前提に何か御発言をいただければありがたいと思っております。

 

 

  •  すみません。じゃあ先ほど私は,○○幹事がおっしゃったことに100%同感でございます。

 

 

  •  この点--はい,どうぞ。

 

  •  ちょっと事務局の方としては,これ甲案,乙案どちらがいいかというのを伺っている立場なので,事務局の立場を明らかにするというスタンスにはそもそもないわけではございますが,ただ信託における適切な管理処分のあり方は,当事者はどういうふうに見ているのがデフォルトとして考えるべきかというのはまさにおっしゃるとおりで,それについては全く賛同するところでございます。

 

 

 

 

ただ,これまでの信託法ですと,本来委託はできないというのが前提になっていたわけでございますが,今回の信託法のもとにおきましては,相当な場合にはまず委託できる。

 

 

これは自由に委託できるわけではなくて,あくまで善管注意義務のもとで相当だと思われる場合には,まず委託できるという規律があるわけでございまして,しかもその場合には,受託者は選任監督の責任はありますと。

 

 

さらに受任者は全く無責任というわけでは当然なくて,受任者の方は通常の故意・過失責任を負いますと。

 

 

そういうその相当な場合には委託できて,受託者は責任を一定限度負って,さらに受任者も故意・過失責任を負うという,一体のものとして,そういうのが現在の信託のスキームなんであると。

 

 

そういう理解を前提として,信託がつくられ,それに受益者も当事者として加わってくるということになりますと,受益者もそういうふうに,相当な場合には自分の利益のために委託してもいいんだという意思を持っているのが,むしろ合理的な意思の推測にかなうわけであって,それがその信託における適切な管理処分のあり方についての当事者の一般的な意思であるということも,不可能ではないような気がするというのが,事務局の--というか,私個人かもしれませんが--考えでございます。

 

 

 

 

 

そうすると,決して甲案というのが,通常の信託投資の意思に反していて,むしろ乙案の方がかなうかというわけではなくて,甲案になっても,この新たな相当な場合には委託できるという信託法のスキームの中では,十分当事者の意思を反映したものという理解もあり得るのではないかという気がするところ,ということをちょっと付言させていただきます。

 

 

  •  ほかの方,いかがでしょうか。

先ほど○○幹事が説明されたように,ある意味で出発点が全然違うというわけではなくて,第三者に委託するということがむしろ前提となっている,というもとでも,○○幹事の意見は甲ではなくて乙ではないかという,そういう意見だったわけですね。

 

 

  •  すみません。きょうのこの場においては,乙案の意見が多いと思いますけれども,甲案,乙案については,いろいろ実務の人数とか,今さっき○○幹事の方からありました全体のその規制のあり方といいますか,受益者の合理的な期待をもって考えるべきであって,そこはパブリック・コメントにも反映されていることも,両方併せ考えて決めるべきではないかなというふうに思っておりまして。

 

 

ちょっと甲案の方,私自身が甲案絶対賛成という,そういう立場ではないんですが,甲案もやはり十分に傾聴すべき意見だというふうに思っておりまして,あえて発言したいと思っておりまして。

 

 

と言いますのは,やはり実務においては,ここの御説明,甲案指示の理由のところの②というところが多いかと思っております。

 

 

相当の理由ということになるかもしれませんけれども,現在においてはいろいろな操作というのは十分必要なことで,それをなくしてできないという業務がございまして。

 

 

そうした場合に,それを使うことが相当な理由ということであり,かつそれが委託先が責任を負うということ自体が,全部受託者にこうリスクとして寄せてこられるということになると,結局全体として,そういう信託スキーム自体が成り立たないというようなこともあり得ますので,ここは非常にバランスの問題が重要じゃないかなというふうに思っております。

 

 

もちろん,先ほど○○幹事がおっしゃられたように,行政の立場から何らかの規制が必要でありますし,またそれは,現行信託業法もこの部分についての督促がございますので,そこは一応分離して,そこら辺においてもバランスが必要だと思うんですけれども,そこは別途検討していただければとは思っております。

 

 

  •  ありがとうございました。

これは確認ですけれども,業法の立場は今,乙案だと思いますけれども,乙案で別段の定めは許すんでしたっけ。別段的な定めで甲案的な立場をとるということはあり得るわけなんですね。

 

 

  •  別段の定めで受託者の責任を軽減・監督にするのはできるという--。

 

  •  ええ,軽くなるのはもちろんできるんだけれども。今,○○委員が言いましたけれども,確かに甲案でなくてはいけないという絶対の理由というのは,もちろんあるわけではなくて,ある程度全体のその先のパブリック・コメントとかですね,それから今までの議論の中での多数意見というものを反映させて,甲案が今のところ優勢であるということだと思います。

 

 

 

今ここでは,○○幹事の御意見もありますし,○○幹事の御意見もありますし,今ここで甲案と決めるわけではございませんけれども,大体大勢がどういうものであったかということを確認はさせていただきたいというふうに思っております。

よろしいですか。○○委員。

 

 

  •  やはり実務の立場から一言だけ言わせていただきたいんですけれども,これも前々から申し上げているところですし,きょうも議論が出てきたところでございますけれども,やはりその信託法をこう変えましょうと,現代化しましょうというところの中の1つの大きな柱として,当然その分業化,専業化というのが非常に進んでおりますので,それに対応するために,この1項のような形の規定が設けられて。この1項の規定を受けて,それじゃあ受託者の責任をどうするんだといった場合については,私自身はもう甲案しかないのかなというふうに考えています。

 

業法的な観点からいくと,別途の考え方というのはおありになるんだと思うんですけれども,信託法上の観点からいうと,受託者が受益者のために自分が執行したり,他人に委託しながら一番ベストの形のものを選択して実務を遂行していくと。

 

 

そういうことをやっていくに当たって,選任するということ自体も1つの信託事務であると思いますので,そういう観点からいくと,全面的に受託者が責任を負ってというよりも,基本的には,やはりその選任監督というのがしかるべき規律なんではないかなというふうに考えています。

 

 

それと非常に,あとはちょっと乱暴で個人的な見解なんですけれども,私の今までの実務的な感覚からいきますと,やはりその委託先が何らかの過失によって損害を与えました,といったときには,受託者としては基本的にその過失がどういうところにあって,どんな責任があるんだということを追及していって,当然場合によっては訴訟も提起しですね,それで信託財産を補てんすると,そういうふうに動くわけですけれども,乙案でありますと,基本的に委託者対受託者と受任者というような形の闘い方になってしまいますので--すごく乱暴な議論だということはわかっているんですけれども--そういう観点から言ってもですね,実際に受任者からその過失について信託財産を取り戻すというのは,甲案の方が非常にやりやすいかなというふうに感じておりますし,今まで実務的にもそういうふうに追及していく際に,それが何となく自分の責任になるんじゃないかというような不安もありましたので,甲案の規律というのは非常にありがたいなというふうに思っております。

 

  •  はい。

 

  •  今の点に必ずしも関係するかあれなんですけれども,甲案,乙案を考えた場合に,今の受託者の受任者に対する責任追及を考えた場合に,甲案ですとまずは選任監督に過失があったかどうかということを受託者は考えるんじゃないかという気がするんですけれども,そうであるとすれば,その受任者への責任追及の実行を確保する観点からは,乙案の方がむしろ適切な行動を導くのではないかなという感じがするんですが。

 

 

その点ともう1つ,これはほかの論点とも絡む点で御考慮いただけないかなと思っておりますのが,できれば民事信託のことを考えますと,そういった民事信託を利用する人たちの使いやすいといいますか,意識に合ったような規律をデフォルト・ルールとして掲げていただけるとありがたいというふうに思っております。

 

 

これは乙案の中でも,信託行為に別段定めがあるときには別段の定めが許されるというふうになっておりますものですから,恐らくそういった別段の定めをつくりやすい立場にあるのは,商事信託とかそういう分野に携わっている方々だというふうに思いますし,なかなか民事信託のことを考えた場合に,当事者の間でこの別段の定めを細かく決めていくということは,実際上なかなか難しかろうかというふうに考えております。

 

 

そういったことを考えたときには,デフォルト・ルールとしては,できれば民事信託の意識に適合するような形でのものをつくっていただけると助かるかなと考えております。

以上です。

 

 

  •  それは具体的にどっちになるんですか。

 

  •  いや,そうすると乙案かなというふうに考えております。

 

  •  民事信託の場合を考えた場合には。

 

  •  今,個人間で信託契約をしてやっていく場合には,やはり乙案に従った形で責任を負うというのが,通常の考え方なんではないかなという気がしております。

 

 

  •  それは逆にとったんだね。

はい,どうぞ。

 

 

  •  前提としてですね,先ほど甲案によるときに,受託者が受任者に対して責任追及していくときに,その選任監督について過失がないと責任追及ができないとかおっしゃいましたですかね。

 

 

そんなふうにお伺いしたのですが,選任監督について過失がなければその責任を免れるものとするというのは,それは受益者に対しての話で,受託者,受任者の間は受託者と受任者のその選任契約で,仮にその選任監督について過失がなかったとしても,受託者,受任者間で受任者が債務不履行すれば,それは当然責任追及できるということで,わざわざ選任監督について過失を証明しないと責任追及できないなんてことはないんだと思いますけれども。

 

 

 

  •  それはおっしゃるとおりであります。そういうことを前提としたときに,受託者の立場でまず何を考えるかというときに,選任監督についての過失の方をまずお考えになってしまうんじゃないかなという,それがなければみずからはその責任を負わないというようなことで,安心されたりしないかなということをちょっと心配しているところです。

 

 

  •  要するに,受任者に対する責任追及をする努力をしない可能性があると。

 

  •  どちらかというと乙案の方がしていただけるのではないかという期待をしておるところなんですけれども。

 

  •  そういうことをしないと,逆に善管注意違反に問われることになりますので,決してそういうことはないんではないかという気はいたします。

 

 

発想の順序として,まず自分の責任を免れたいなというのは,それは人間の条理かもしれませんが,しかしその後で受任者に故意過失があれば,それを責任追及すべきであって,それをしないと損失てん補責任は自分にかかってきちゃいますので,結果的にそういう恐れはないんではないかという気はいたしますが。

 

 

  •  要するに,受託者の立場でそういうやりとりをしていく際に,何をこう考えるかということで考える,ということで意見を申し上げさせていただいた限りです。

 

 

  •  2段階になっているわけですよね,自分自身の責任とそれから受任者に対する損害賠償請求権というのは信託財産になりますから,それはやっぱり適切に行使しないと,今度は今,○○幹事から説明があったように善管注意義務違反になるという。

○○委員。

 

 

  •  今の件ですけれども,やはりその受託者的な立場になりますと,選任監督責任とはいえ,当然訴訟の提起された相手方といいますか,受けるのはみずからの受託者ですので,当然のことながら,それに対してはそういうことではありませんと,選任監督責任はありませんということを言います。

 

 

当然その選任監督がありませんというところを言う際にですね,やっぱり受任者のところについても過失があったことが,過失ではありませんという形の立証をしていく可能性も結構あるんじゃないかと思うんですよね。

 

 

すみません,そういうことをやりますと言っているんではなくてですね,甲案と乙案の比較からすると,どちらかというとそういう傾向に動いてしまうのかなというふうに思います。

 

 

  •  それではいろいろ御意見が,ごめんなさい,まだ終わっていなかった。

じゃあ先に○○委員が,まだ初めてですから。

 

  •  弁護士会で意見が分かれたわけで,私はちょっと甲案の方がいいのかなと思って一言発言するんですが,パブリック・コメントでも日弁連は乙案なんですが,弁護士会によっては甲案のようなんで。

 

 

民事信託の場合を考えて,受益者の視点に立つと,○○幹事がおっしゃる視点はわかるところがあると思うんですけれども,じゃあ私が民事信託で受託者になっているとする。

 

 

不動産を預かる,といっても,私が管理行為を全部やるわけにはいきませんから,そうするとやはり選任監督のところはデフォルト・ルールであって,もしかしたら選任監督に過失がなくてもあってもいいんだ,免責されるんだということはまずおかしいと思うんですけれども。

 

 

やっぱり選任監督のところをしっかりするというところで,その中で管理業者を選任していくとかですね,そういう状況もあり,そういう状況の方がより適切なのかなと。

 

そうじゃないと何かおっかなくて預かれないなと思ってしまうし,およそ天変地変以外はですね,必ず過失があって損害が発生するわけですから,それに対して連帯責任を受託者が負わなきゃいけないと,もちろんその後で求償関係で受任者の方に請求していけばいいのかもしれませんけれども。

 

 

なかなかそれがたてつけであるということになると,ちょっと厳しいのかなと。

 

これはなかなか難しいところになりまして,やっぱりデフォルト・ルールでどこまで緩和できるのかという視点もあると思うんですけれども。

 

また受託者の方がですね,選任監督さえスキャンすればいいんだということで,全部外に出してしまって楽にするという趣旨ではないんですけれども,先ほど○○委員がおっしゃっていたかもしれませんけれども,今後の信託を幅広く利用するというときにですね,受託者ができることというのは非常に限られていると思うので,その選任監督のところでしっかりと善管注意義務を果たす,忠実義務を果たす。

 

 

ですから選任監督というのも,もしかしたら民法上の選任監督というよりもっと非常に重い意味での選任監督義務が課せられていると。ですから,そこでのデフォルト・ルールでそれを緩和するということは,非常に問題があることではないのかなとは思うんですけれども,その選任監督が非常に重い義務であるということを前提とすればですね,受託者の視点に立っての議論になってしまいますけれども,甲案でも十分信託でも機能するのかなと思いますし,受益者も納得してもらえるのかなというふうに思うんですけれども。

 

 

 

番人

「第3者が受託者になるって大変そうだね。」

 

 

  •  そうですね,この選任監督上の過失についての解釈,これがどの程度重い判断をされるかというのは,非常に重要な問題ですね。

じゃあ,○○委員,どうぞ。

 

  •  私も○○委員と同じようなことを申し上げようと思ったんですけれども。

 

要は,リスクの負担を誰に分配するのが適当かという話だと思うんですけれども,仮に例えばその郵便であるとか,保振であるとか,誰もが使わなければならないようなことがあって,たまたまその受任をした者に過失があって,事故が起きたといったときに,結局その信託を使わなかったとしても,その委託者であった人はそれを郵便とか使ったわけですから損害を被ったと。

 

 

じゃあ,もし乙案になれば,信託を使えば,リスクがある意味信託会社が保険みたいな形でとるという形になると,それが妥当なのかどうかという話だと思うんです。

 

 

今の時代,非常に極端な例で,誰もが使うという場合だと思うんですけれども,じゃあ場合によってはこれはそうした方がいいなと。だけど誰がベストなのかと。

 

 

いろいろな絶対必要な,あるいはそうじゃないというような場合には,それなりの責任が受託者に求められると。それなりのリスクテイクが受託者に求められると思うんですけれども,そこはやはり受託者の選任監督義務をもちろん相対的な考えになりますけれども,ものによっては重くとらえて,何でこんな人に頼んだんだ,こんな危ないところに,というところで,結局は責任を追及していくというふうに,リスクの分配を図った方が適当ではないのかと。

 

 

そういう意味で,甲案,乙案ということを比べれば,甲案の方がいいのではないかなというふうには思いました。

 

 

  •  どうもありがとうございました。

それでは,よろしいでしょうか。

○○幹事。

 

 

  •  すみません。甲乙案が決まる,追加するという状況で案を絞る方向に入っているのに恐縮なんですが,2点だけ気にかかることがございますので,その点を確認ないしは御教示いただきたいと思っておりまして。

 

 

甲案による場合ということなんですけれども,1つは選任及び監督の内容をどう考えるかということが出まして,それに関連しまして,その説明の10ページ等で書かれております不相当な免責規定を置いた場合,先ほどの○○委員の御指摘により,あるいはまたここでの説明というのは,選任監督とは別の問題としての善管注意義務違反だというふうに整理されているかと思うのですけれども,不相当な免責条項というのが無効ではないという前提なのかもしれませんけれども,こういう形で選任等の契約を締結してくるということが,選任監督の内容として,果たしてそもそも適切なのかというのが気になっておりまして。選任というのは,ただ単にどういう人を選ぶかということだけではなく,その契約によってどのような義務が負われ,どのような責任を負わせる形で他人に委託できるのかということになってくるんではないかという気がしておりますので,その契約内容等も含めて選任監督を尽くしたかということが言われるべきではなかろうかという気がするのですが,自信もないところですので,どう考えたらいいか,改めて確認させていただきたいと思います。

 

 

 

もう1つ,甲案による場合ですけれども,甲案のような形をとりますと,むしろ選任及び監督にその義務内容が縮減されるというのが適切であるような場合が,1の相当な場合であるという形になって,逆に1の相当の場合はかなり絞られることにならないのかと。先ほど来,使わざるを得ない場合がかなり出されておりまして,これは○○幹事がおっしゃったように,乙案によってももう使わざるを得ないような場合というのは,選任監督というか,義務自体がそれなのですから,甲案でも乙案でも同じ結論になると思うんですけれども,もう少し自由に,よほどまずいという場合でない限り自由に使いたいというようなときに,果たして甲案によるとかえって1の場面が狭まらないか,というのが若干気になるところではあるんですが,その点はどう考えたらいいでしょうか。

 

 

先ほど○○幹事から,ここの相当の場合というのは自由に使っていいということではないという御説明もありましたので,改めて確認させていただきたいと思います。

 

 

  •  ○○幹事の御指摘のまず1点目の,不相当な免責条項を置いたこと自体が善管注意義務違反だということについて。それをしかし,例えばその内容は甲案によるときにそういう条項を置いたことが,甲案の選任監督責任のところで考慮されるべきではないかと。

 

 

仮にそこで考慮するというふうに考えたとしましても,それも選任監督の際に善管注意義務を果たしたかどうかということでありまして,適応の場面を2の(1)の選任監督についての過失で考えるか,そうではないところで考えるかという適応の場面を考えたとしましても,実際の注意義務を勘案するときには,具体的なその帰結については異ならない,ほぼ異ならないことになるのではないかというふうにちょっと思ったものですが,ちょっとまだ御指摘をよく理解していないかもしれませんが,とりあえずそんなふうに思いました。

 

 

それから,2点目の相当な場合が甲案をとるときは狭まらないかというのは,一応私どもの原案では,その信託目的に照らして相当な場合ということで,中身自体は信託行為の解釈によって,その信託目的に照らして,ここはあなたの能力に頼んだところだよという場面と,そうではないと,社会的一般的にここまでは頼んでないだろうというところは委託することができるということで,必ずしもその法社会学的にそういうことになるんではないかという御指摘は,肝に命じなければいけないかもしれませんけど,法律論としては一応客観的に信託目的に照らしてどうかという観点から考えられると,いうことではないかなととりあえず思ったのですけれども。いかがでしょうか。

 

 

  •  はい,どうぞ。
  •  すみません,余りこだわるようなところではないんですが,では1点目の方は先ほどのような例ですと,選任監督における過失があると認定される場合も十分あり得るというお答えだったと理解してよろしいでしょうか。

 

 

  •  そこの問題かどうか,ちょっと僕らもはっきりわからない--,まあそういう場合もあるかもしれませんけどね。従来,普通に考えている選任監督とはちょっと違いますよね。

 

 

  •  従来は誰を選ぶかということに力点を置いていたと思うんですけれども,先ほど来,信託における選任監督とは何か,あるいはそれは非常に重いものではないかと言われるときに--。

 

 

  •  ですから,それを含めることも可能かもしれませんけれども--。

 

  •  先ほどの議論のところでは,選任監督の注意義務の話と全く別立てに,さらに善管注意義務違反のようなことを受益者が言っていかなければいけないのか,という点が議論になったように思われましたので。ただ非常に細かいことかもしれません。

 

 

  •  少なくとも,選任監督以外の問題として,善管注意義務違反というのは一般的にはあると思いますので,ただ,今のような受任者を選ぶとき,受任者と契約するときの事柄,典型的には不相当な不適当な免責,特約を入れたような場合ですけれども,これはそうですね。

 

 

ちょっと僕の個人的な感じですけれども,本当は選任監督というよりは,先ほど事務局の方の説明からは,信託目的に照らして相当なという,これは信託目的の関係での相当な問題だ,というふうに説明されましたけれども,そこの問題ではないかという気がするんですね。

 

 

人だけではなくて,どういう形でもって人を選ばなくてはいけない,契約をしなくちゃいけないのか,受任契約をしなくちゃいけないのか,受任契約といいますか委任契約ですか,しなくてはいけないのか,それも相当性の問題の中に入ってくるような感じを,私はちょっと思いますね。

 

 

 

この原案自体はどういうふうにできているかというのは,よくわかりますね,恐らく--。

 

 

  •  原案は一応今,○○関係官が説明しましたように,1項については客観的に相当かどうかで,2項の方はそれを別の問題であると。

 

 

前の部会では,たしか1項と2項を連動して考えるべきではないかという御指摘もあったわけですが,事務局の考え方は一応分けて考えているというものでございます。

 

 

  •  その上で,不相当な契約みたいなものをどうするかという--。

 

  •  はい,それはもう2項の方の問題で。
  •  2項の方で,はい。

 

よろしいですか。これはこういう規定ができても,それについてのような考え方,解釈の問題として,まだいろいろな議論の余地があると思いますけれども。

 

とりあえず,それでは今の16から22までですけれども,幾つかの規定については若干御意見がございました。

 

 

分別管理義務のところ,それから今の22の信託事務の処理の委託については,いろいろ御意見がございましたが,私の見た限りでは,皆さん,特に別に御発言をされなかった方は,原案で大体よろしいという御意見だというふうに伺えると思いますので,大勢としてはこの原案を賛成していると--。

 

 

若干意見はあるけれども,大勢は甲案の方を指示していると,そういう理解をいたしますが,それでよろしいでしょうか。今ここで最終的な決定をするわけではございません。

 

 

後でもう1回,本当にこの決定する段階というのはまたありますので,そのときにもう一度チャンスがございますが,ここでの大勢は今のようなものであったというふうに私は理解しましたが,よろしいですか。

それでは,説明だけお願いしますね,次。

 

 

 

  •  では,帳簿作成義務から3つほど,時間の関係もありますので,説明だけいたします。

 

第23でございますが,まず提案の1に関しまして,(2)と(4)の書類の保存期間について,試案では一律に書類作成のときから10年間としておりましたのに対して,起算時を,信託事務の終了時とすべきという意見がございました。

 

 

しかし,この意見のように,一律に信託事務の終了時から10年間という保存義務を課しますと,長期間存続する信託においては,受託者の負担が過大になることが懸念されるわけですが,他方,試案のように一律に書類作成時から10年といたしますと,信託の終了以前に重要な書類が廃棄されてしまうということがあり得て,受益者の権利保護に欠けるということが懸念されます。

 

 

そこで,試案を改めまして,受益者にとってより関心の高いと思われます(3)(4)の信託財産の状況に関する書類,これはいわば資産や損益に関するBSやPLに相当するようなものでございますが,これにつきましては(4)のとおり信託の清算事務の結了のときまで保存義務を課す一方,これには当たらない帳簿その他の書類と,それから信託事務の処理に関する書類,(2)でございますが,これにつきましては,せいぜい書類作成時から10年間,それより前に信託が終わればそれまでということですが,せいぜい10年間の保存義務を課すということにして,受益者の利益と受託者の利益とのバランスを図ってはどうかと提案するものでございます。

 

 

次に3の(1)の受託者に説明を求める権利に関しましては,資料12ページの2の(1)に書きましたところでございますが,試案を改めましてデフォルト・ルールとして委託者にもこの権利を認めることとしております。

 

 

これは後で説明いたしますが。それとあわせて,委任における受任者の報告義務に関します民法645条にならって書きぶりを修正しております。

 

 

この義務というのは,信託事務処理の経過の概要を説明する程度のものでありますので,その反面として,理由の明示は不要でありますし,法定の請求拒否自由も認められないものと考えております。

 

 

それから,提案3(2)の書類の閲覧請求権に関しましては,これは理由を明示することは不要とするべきであるという意見がございました。

 

 

しかし,受託者にとりまして理由を明示されないと,どのような書類を開示すればよいかということが不明であります。資料12ページの2の(2)から13ページにかけて書いてあるところでございますが。

 

 

それから,閲覧拒否自由に該当するか否かの判断も困難であると。他の立法例,会社法を初めとして理由を明らかにすることが要求されていることですとか,株主の会計帳簿等閲覧請求権に関する最高裁の判例によりますと,理由を基礎づける事実の立証までは要しないと,具体的な理由の明示は必要だけれども,その立証までは要しないというように解されていて,この趣旨は信託にも当てはまるであろうと思われることなどに照らしますと,試案のとおり理由の明示を要求すべきものと考えるところでございます。

 

 

 

それから最後でございますが,提案の(注1)と(注2),資料でいいますと13ページ以下にかかるところでございますが,これは受託者側における一定の情報を秘匿するニーズに配慮した制限を許容すべきであるという方向性の意見と,受益者側の帳簿等閲覧請求権の実効性に配慮した制限にとどめるべきであるという方向性の意見とが対立しております。

 

 

そこで資料14ページに記載しておりますとおり,甲案,乙案,丙案の3案を提示して意見を問うものでございます。

 

事務局としては,一応の考えはございますが,まずは皆様の御意見をぜひとも伺えればというところでございます。

 

続きまして15ページの方に移りますが,損失てん補請求権ですが,これはパブリック・コメントでは賛成意見のみが寄せられましたので,試案をそのまま維持することとしたいと考えております。

 

 

ただし,この責任を任意に履行しない場合の債務名義の内容や強制執行の方法について問う意見がございましたが,分析しますと,この場合債権者としては,受託者に対する損失てん補または原状回復の作為請求をすると。

 

 

その上で,損失てん補につきましては,固有財産から信託財産に財産を移転するということになりますので,間接強制の方法によるということになると思われますし,原状回復につきましては,代替的作為義務であれば,原則として代替執行,現行法では間接強制もできるとなっておりますので,その両方,どちらかによると。

 

 

それが不代替的作為義務であれば,間接強制の方法,執行法の171条から173条の方法によって強制執行していくということになるものと思われます。

 

 

最後に,検査役選任請求権でございますが,パブリック・コメントにつきましては,試案についておおむね賛成意見が占めましたものの,(注3)のところに関しまして,試案のように受託者が請求をした以外の,受益者全員に対して常に通知しなければならないというのは厳格に過ぎるという意見がございました。

 

 

 

前は強行規定としておりましたので,その点についての指摘でございます。そこで検討いたしましたものが,資料17ページ以下に記載しておりますが,調査の結果,事務処理に問題がないことが判明した場合における受託者,それからその通知費を負担することになる信託財産の負担の軽減の必要性という点,それから受益者として指定された者に対して受益権取得の事実を知らせたくないという委託者の意図の尊重という点,それから調査の結果,重大な違反が判明した場合には,(注4)にありますとおり裁判所による命令というものの可能性があるということ,あと会社法の上でも同様な規定があるということにかんがみまして,受益者に対する通知義務につきましては,任意規定とすることに改めることを提案して二重線を引かせているところでございます。ほかには変更点はございません。

とりあえず,以上のところまで説明させていただきます。

 

 

 

  •  それでは,議論は休憩の後ということにいたしまして,ちょっと休憩ということにさせていただきたいと思います。

 

 

(休     憩)

 

  •  それでは時間になりましたので,再開をしたいと思います。

ただいま説明がありましたところについて,また御自由に御意見を伺えればと思います。いかがでしょうか。

 

はい,○○幹事。

  •  25まできましたでしょうか。
  •  25まできました,はい。

 

 

  •  何か学生が先生にする質問のようなもので申しわけないんですけれども,25とですね,先ほど大分時間をかけて議論をした22とを合わせてみると,どういうふうに考えたらいいかということを教えていただきたい点があります。

 

 

第22の2で,仮に甲案でとった場合には,受託者は選任及び監督について過失がなければ,その責任を免れるものとすると,先ほどこの書きぶりは選任監督に過失がないことを受託者が主張するべきだろうと,ということでしたが,その前提にはある場合には受託者が責任を負うというものがあるはずだと思います。

 

 

それが恐らく第25になるのではないかと思いますが,そうするとここは受託者が信託財産に関して,その任務に違反する行為をした場合において,ここに掲げている事由に該当するときには,ここに書いてある請求を受益者はすることができるということですので,そうすると任務違反をしたと。

 

 

要するにアウトソースをしている場合にもですね,任務違反をしたということをまず受益者等が主張し,そしてそれに対して受託者は,いやこれは他人にアウトソースしているのであって,加えて私はそれの選任監督に過失がなかった,ということを言えれば免責されるという構造になるように,2つを読み合わせるとなると思われるんですが。

 

 

だから,実質的に考えると,この任務に違反する行為というのが,結局何なのかということで,先ほども議論で,甲案をとった場合に甲案はどういう意味を持つか,というのが少し明らかになったと思うんですが,そこでの任務,まさに選任監督,アウトソースしたその先で起こった事故であれば,選任監督がその任務になるんだろうということですので,古い考え方で任務違反を客観的に考えて,過失を主観的に考えるという立場をとらなければですね,今恐らくこういう問題についてはとらないという考え方の方が一般的だと思いますので。

 

 

そうすると,両者がかなり競合しているように思われますので,もし今まで申し上げた私の疑問が成り立つのであれば,整理を要するのではないかなと思います。

以上です。

 

 

  •  もっともですね。これ困るね。どうしますかね。どう考えますかね。

 

端的に言えば,第22の信託事務の外部委託のときの任務違反というものをどう考えるかということですね。求償責任にも関連してね。何かうまい,それこそ○○幹事が質問するということは,○○幹事もそれなりに--。

 

 

  •  いや,わかりません。すみません,第25というのは当然のことですが第22だけを受けているのではなくて,自分自身でやることを主として念頭に置いてつくられているんだろうと思いますが,その第22で甲案のような考え方をとったときには,第25とのすり合わせが,書く必要があるのかどうかわかりませんけれども,整理が必要なのではないかなと思います。

 

 

  •  25自体はもう一般的なもので,ここでの要件,任務違反というのが要件で,こっちをいじるということは恐らくできないので,22の方で--。

 

 

  •  22の2についてですね,これはあるいは甲案,乙案どちらにも共通するのかもしれませんが,やはりこの無過失の受託者が主張して免責されるという,この構造が25に合っていないんじゃないでしょうか。

 

 

  •  過失任務違背とほぼ同じに考えますとね,ええ。

 

  •  あるいは任務違背と区別される意味での過失というのを考えるか。

 

  •  だけど今度は逆に,そういうふうに考えても,任務違背と過失を別にしても,22の場合の任務違背って一体何かというのが出てくるんですよね。

 

 

これはさっきの甲案,乙案,乙案の場合だとそういう問題は生じないのかな。余り表面化しないというだけですかね。

 

 

  •  しかし,乙案は受任者というんでしょうか,委託を受けた第三者の故意過失ですから,今の競合問題は生じない,ええ。

 

 

  •  はて,何か事務局でいい案があればあれだけど。

 

  •  今,名案は思いつきませんが,御指摘の点を踏まえて書きぶりと思いますので,検討したいと思っております。

 

  •  うん。ほかにいかがでしょうか。

ちょっとこれは個人的な意見です。25の損失てん補責任のところで,ここで原状回復と損失てん補というのが出てきまして,その2つの関係をどうするのかというのが,ここ自体,これはちょっとただ聞き流していただきたいというのは,これから申し上げることは私は積極的にこの25で改正した方がいいということではなくて,後のほうで受益者が複数いるときに,やはり損失てん補とそれから原状回復との関係というのが問題となって,後の方では原状回復を原則的な救済手段とするという考え方が出てくるんですね。

 

 

そうしますと,この25のところでも,受益者が1人しかいないときにも,論理的には全く同じではないかもしれないけど,受益者1人のときにも原状回復と損失てん補というものが,2つの救済手段の関係がですね,つまり両方が考えられるとき,全く選択的なのか,それとも原状回復というものが優先するのか。

 

 

これは特に受託者の方からその原状回復に相当するような行為を自分で申し出ると。

 

 

自分でこういうふうに回復するから,だから損害賠償じゃなくて原状回復でいきたいと,いうことを受託者が言えるかと。そんな問題とも関連いたします。

 

 

ちょうど契約だと債務不履行とかいろいろな責任のところでキュアーというのが治癒というふうに言っていますけれども,債務者の方から損害賠償を請求されたり,解除を請求されたりした者が,治癒をする。

 

 

債務不履行瑕疵を治癒するという行為がありまして,それと似たような問題があるのかなと。最近の1つの大きな流れは,そういう治癒というのを認めていこうという考え方がありますので,そういう考え方を,一方で少し頭の隅に置きながら,この規定をどう考えたらいいかというふうなことをちょっと思っています。

 

 

ただそれを言い出して,原状回復と損失てん補の関係を全部もう一回見直すということになると非常に大変なので,私としてはそんな問題もありますというくらいの,非常に消極的な発言で申しわけないけれども,ことだけ指摘しておきたいと思っています。

 

 

ほかに。25はよろしいですか。今まで少なくとも余り違う御意見はなかったと思いますし。検査役の選任と--。

ごめんなさい,○○幹事。

 

  •  いいですか。25でそれぞれ1の損失てん補責任等a,bがあって,aまたはbに定める事項の請求をすることはできる,とありますけれども,一部について変更と損失ってもう完全に分けられるものではなくて,重なって起こり得ると思うんですよね。

 

 

その場合に,変更できる部分については,変更じゃない,回復できる部分については回復請求し,その他についてはてん補というのは当然あり得るということですよね。

 

 

ですから。これも書きぶりの問題だと思うんですけれども,そういった趣旨がよりクリアになるような書きぶりをしていただいた方がいいんじゃないかと思います。

 

 

  •  原状回復して損害がなおあるという場合,幾らでもありますからね。わかりました。それは書きぶりの問題としてこちらで対応したいと思います。

 

ほかに,25はよろしいでしょうか。

それであれば,29検査役の選任請求について。○○委員,どうぞ。

 

 

  •  23で--。

 

  •  前の方ね。ごめんなさい,飛ばしちゃった。帳簿作成義務,はい。

 

  •  帳簿作成義務等のところで,ちょっと2点申し上げたいと思います。

 

1点目は1の(4)のところの信託財産の状況に関する書類についての保存義務のところでございますが,要綱試案では10年というところが,信託の結了の,清算事務の結了のときまでというふうに変わっておりまして,もちろんこれよりも短いものもあるんだと思うんですけれども,信託の中にはやはり期限がない,半永久的なものがありまして,例えば年金であるとか,そういうものも考えますと,半永久的な形で保存義務というのはちょっとしんどいかなという感じがいたしまして,この辺のところちょっと御配慮をいただけないかなというふうに思っております。

 

 

それと2点目が注1と2のところの,甲乙丙案のところですけれども,これについてはその基本的には乙案支持ということで,ここの部分につきましては,甲案につきましては当初から当方の方でいろいろとお願いしていた分でございますし,丙案につきましても文書というのが非常に種類も多いですし,重要なものから軽微なものまでいろいろあるということですので,そこら辺のところ,契約によって開示しないでいいものができればいいんではないかと思いますし,特に顧客のプライバシーであるとか,営業上のノウハウ,特に今後は多分,知財なんかは非常にデリケートな問題なんかが出てくると思いますので,そういうところを契約で閲覧拒否というのができれば,そういうニーズに合致するんではないかなと思っておりまして,ここの分については乙案に賛成ということでございます。

以上です。

 

 

  •  第1点目は質問みたいなものかもしれない。半永久的な--期間。

 

  •  半永久的な信託があって,年金信託などでというお話かと思うんです。ただここでは書類の範囲が限定されていて,我々が説明するところではBSとかPLみたいな,そういうたぐいのものくらいは,最後まで持っておいていただけないか。

 

 

それはその信託全般を並べるときに,やっぱりそれぐらいの資料は残しておいていただきたいというのが趣旨であるということが1点ございますのと,それから一応ただし書きがついておりますので,かなりの年限がたったものについては,委託者といいますか,受益者といいますか,そちらの方に引き渡すというようなことで対処しようとかですね,そういう余地があるのじゃないかないうところを踏まえていただければというふうに思っております。

 

 

 

  •  どうしてもという現行の実務からいくと,少し変えないと。少しといいますか,変えないといけない部分というのが結構あるんではないかな,というふうに考えておりまして,そういう観点から御配慮いただけれえばありがたいなと思うんですけれども。

 

 

そういうことをやらないといけないということであれば,ちょっとそこは検討したいとは思いますけれども。

 

 

  •  具体的なイメージとしては,信託財産の状況に関する,どんな信託財産がどれだけあるかとかですね,そういうことだと思いますけれども,毎年,毎年といっても書類はもっと短期間でつくるかもしれませんが,最低限毎年1回分はあるでしょうね。こういうのをずっと積み重ねて保存しておくという,そういうことになるんですかね。そういうことのようですね。

はい,○○委員。

 

 

すみれ

「一人で納得してる。」

 

 

  •  23の関係ですが,3の(2)で受益者は理由を明示して閲覧または投資者を求めることができるという,この理由を明示してというところの関係で,これはどの程度のものを想定されているのかというのがちょっとお伺いしたいんですが。

 

 

受益者である以上,信託財産の現状を知りたいというような当然の要望のはずなので,信託財産の状況を知りたいというのが「理由を明示して」ということになるのかどうか。それはいかがでしょうか。

 

 

  •  一般論から言いますと,この最高裁の判例を挙げてあるとおりでございまして,どんな書類を閲覧させていいのかと,それから請求の拒否事由に当たるかどうかという判断が可能な程度の主張はほしいと。

 

 

 

もちろん裏づけ資料までは要らないということですが,その判断が可能になる程度の理由の明示は必要ということになりますので,今,おっしゃった信託財産の状況を知りたいということでは余りに広すぎるので,もう少し具体的な理由というのを言う必要はあるのではないかという気がいたします。程度問題ではありますが,それだと全部という感じがするんですけどね。

 

 

 

  •  そういうことですと,この理由を明示してというのを入れるのに,まず反対したいということなんですが。いろいろな信託がありますけれども,一番素朴な形の信託でいくと,やっぱり受益者がこの信託財産の現状を知りたいんだというのは当然の話なので,それ以上のことを言え,言わないと見せないぞということになると,大変この,理由の明示がないから見せないということで,何かこう悪用される恐れがあると。

 

 

これは立派な信託銀行のレベルの話ではなくて,もっと個人レベルで信託がたくさん利用されるということになった場合に,大変困るのではないかと。やっぱりデフォルト・ルールとして,そういう理由,財産の現状を知りたい,今どんな財産がどれだけあるのか知りたいんだという,そういう程度の理由で十分だという,そういう制度の方がいいと思うんですけれども,いかがでしょう。

 

 

 

  •  ただ,今どういう信託財産があるかというのは,信託財産状況に関する書類として1の(3)に当たりまして--。

 

  •  年に1回しか来ないんですよね。

 

  •  年に1回,まあ未満でもいいわけでございまして,それを見ることによって,あとはその説明,説明というか状況報告義務を求めるということによって,相当程度カバーできるんではないかなという気がいたしますので。

 

 

しかも会社法とか,中間法人法でも理由の明示ということは要求されていますので,信託だけ理由の明示がなくても一切財産状況の書類が見れるというのは,少し幅が広すぎるんじゃないかという気がしているところでございます。

 

 

  •  その点は,例えばほかの会社法でこういう場合に拒絶事由があると。それを参考に決めるという,そういう書き方がされていて,それを広げる方向で何か検討されているようなんですが,その点も含めてですね,何か全体に拒否的な方向に行き過ぎていないかという心配があるんですが。

 

 

  •  最後の点は,必ずしも広げるのがいいと我々が思っているわけではなくて,そこはまさに甲案,乙案,丙案で御議論ぜひともいただきたいところで,確かに乙案は先ほど御支持があったものは,あるいは甲案でもそうですが,広げるという方向に,方向性としてはあるわけでございますが,果たしてそれでいいのかという観点から,御議論いただければというふうに思っているところでございます。

 

 

  •  もっともな趣旨が含まれていると思いますけれどもね。どういうのが一番--○○委員が言われているのも,帳簿閲覧請求権一般の問題としてさっきの3の(2)のところですけれども,これが1の(2)か,だから,もし1の(2)が全体を受けているとすれば広すぎるかもしれない。

 

 

信託財産の状況だけであれば,おっしゃることはそれなりに相当,妥当するような気もしますけれどもね。

 

 

  •  ええ,私もそんな気がします。

 

  •  一応,今,○○幹事が言ったように,信託財産の状況に関しては,1の(3)があることはあるけれども--こういうのは--。

 

  •  もしかすると,想定する信託がやっぱり違うことによって,明示すべき理由の範囲が,それは個別の信託を前提にして考えなくちゃいけないと,変わるということを前提にすれば,同じような思いでいるのかなという気もいたします。

 

 

つまり,今,○○委員がおっしゃっている話というのは,恐らく個人と個人の間でやられていて,信託財産が別にそんなにいっぱいあるとか,そういうような話ですとか,あるいは帳簿につきましてもものすごく多数に上ってというような,いわゆる商事的な理由ではない状況を考えれば,見たいですよという,なぜ見たいのかといえばそれはやっぱり心配だからだということなんだろうと思うんですけれども,見たいですよと言えば出すのは簡単ではないかと。

 

 

つまり今,信託財産に入っているのはこれとこれとかですね,その程度のことだから,それを見せる理由としては,つまりどの範囲かというのを限定するという趣旨も,この理由の明示には含まれているというふうなことのようなんですけれども,範囲を限定するといっても2つしかないんだから,あんまり限定する理由もないし,それであれば理由は,心配だからちょっと今どういう状況になっているのか,信託財産の内訳はどうなっているのか教えてくれ,というので足りるのではないかと言われれば,それはそうなのかもしれないなと。

 

 

すみれ

「ちょっと見せて。嫌だ。何で。疑ってるの。いや、じゃ信託終わろうよ。」

 

 

 

ただその信託についても,当然御存じのようにいろいろ違いまして,合同運用していたらどうかとか,そういうような条件がありますので,一般には入れますけれども,個別の当てはめでは,やっぱり解釈はそれぞれ事柄の性質に応じて変わってくるんだろうとは思います。そういう御理解では難しいのでございましょうか。

 

 

 

  •  一番最初の質問が,そこにかかわるような質問だったんで,そういうような解釈ならば,こういう書き方でもいいかなというふうに思いますけれども。

 

 

  •  確かに,つい我々もこの会社と同じようにたくさんの受益者がいて,またたくさんの財産が日々いろいろ変動してたり,複雑な信託を念頭に置いてこれを考えてきましたけれども,非常に単純な信託におけると,民事信託なんかの場合だったら,もうちょっとこの理由というものを,少なくとも判例が言っているよりは,緩く解する余地はあるんじゃないかという気はしますよね。まあ,そういうことで。

 

はい,どうぞ。

 

  •  今のことと関連するような話ですけれども,今も議論があったように,理由明示について,信託の性質に基づいてかなりリアルに会社に被害あるということであれば,それではいけないのかなという気がします。

 

 

そうすると恐らく会社法ですとか,あるいは中間法人が想定しているような規律ですとか,あるいはその最高裁の判例が示しているような規範とはちょっとやっぱりずれてくるのではないかなというふうな気がするんです。

 

 

それで弁護士会の方でもその議論をしていた中で,やはりここらあたりの規律というのは,会社ですとか中間法人とは大分やっぱり様相が違うのであろうと。

 

 

したがって,その解釈としては御指摘あったような,特に個人信託の場合にはそういったその解釈があり得るんではないかというようなこともあったところで,それはぜひそういった方向で整理していただけないかというふうに考えております。

 

 

具体的には,実は今回御提案いただいた3の(1)のところで信託事務の処理の説明を求めることができるということになっていますので,この説明を求めていく中で,帳簿等の閲覧請求を求めることに多分なっていくのではないかなという気がしておりますけれども,そういったときに理由の明示をつい立てとして,特に個人信託の場合に受益者が困るような状況がないように,ぜひ規律をお願いできないかというふうに考えております。

 

 

全体のここの枠組みとしては,多分閲覧を認めるかどうかということを考える際に,3段階ハードルというか検討するところがあるんじゃないかと思うんですけれども,今の理由の明示のところと,それから一定の拒否事由に該当するかどうかどうかというところと,それからあとは対象となる書類の範囲を制限するというところとの関係で,恐らくどこの段階でどういうふうに規律するのが一番切りわけとして適当なのかという問題かなという気はしておるんですけれども,ぜひ適切に切りわけができるような規律をお願いしたい。

 

 

理由の明示の点に関しては,それがないと拒絶事由の該当性が判断できないじゃないかというような議論があると思うんですけれども,それは恐らく拒絶事由として,どういった事由を設けるかということに絡んでくる問題かと思いますが,例えばこの検討課題の15の13ページの一番下あたりで御指摘いただいております,信託財産に属する債権に係る債務者の情報ですとか,知的財産権の信託におけるライセンス契約における内容等の取得については,これは理由云々という問題よりも,むしろ情報の性質にかかわる問題ではないかなという気がしておりまして,そうするとその理由の明示との関係は薄いんじゃないかという気もしますし,また会社法の規定の中では,競業者からの請求を排除するような規定もありますが,これも理由とはちょっと関係がないかな問いう気がしておりまして,そういった観点からもこの理由の明示の問題について,御検討いただけないかなと。

 

 

ちなみに拒否事由に関しましては,会社法等の規定に基づいてというようなことが提案されておりますけれども,これは恐らく追っての御検討ということになろうかと思うんですけれども,競業については,例えばどういった形で競業を考えるのかとか,そういった点についてよくわからないというような議論が多少ありましたので,その点だけ御紹介しておきます。

 

 

それから,先ほどの13ページの下の中で,受託者の営業上の秘密ということがうたわれておるんですが,これについては多少弁護士会で意見交換した中でも,ちょっとなかなかピンと来ないというとあれですけれども,例えば債権の債務者情報ですとか,ライセンス契約の内容等については,これは受益者の立場から,それをある程度出さないことが受益者の立場からも利益になるということが想定されるのに対して,やや受益者の立場とは対立的な受託者の営業の秘密ということを保護するという点では,かなり慎重に御検討をお願いしたいというような意見がありましたので,ぜひその点についてはよろしくお願いしたいと思います。

 

 

それから,あと14ページの甲案,乙案,丙案についてなんですが,これについては若干留保つきで丙案を支持したいと考えています。

 

甲案についてはここに記載してある合理的に認められる限度を越える請求ということがあったときには,こういうふうになりますと,なかなか基準として判断が難しい。

 

 

これは基本的には受託者の側で,これに該当するかどうかを判断することにとりあえずはなるということになると思いますので,ややこれでは受託者の方が拒絶しやすくなり過ぎないかということを懸念しております。

 

 

丙案についてですけれども,これは先ほどの知財の関係ですとかを考えるとこういったことはあり得るではないかというふうにかんがえております。

 

 

ただ,丙案の内容ですと,文書を開示,閲覧させるかどうかという問題,文書全体というような書き方のようにお見受けするんですけれども,文書によっては,文書自体は出すけれども,例えば氏名の欄を伏すとか,かぶせるとか,そういったことも対応としてはあり得ると思いますので,できるだけ拒絶事由ですとか,あるいはいろいろな法益を保護することとの関係で,配慮しなければならないというところは理解できるんですけれども,そういったできるだけ受益者の開示請求を認めるような形での規律をお願いできると助かるのかなと考えております。

以上です。

 

 

  •  どうもありがとうございました。

○○委員。

 

  •  内容的なことではなくて,表現だけの問題なんですが,11ページの2,受託者の情報提供義務という見出しでございます。

 

 

これは試案の段階では,信託財産の状況に関する報告義務となっていたのが,非常にこう一般的な見出しになっている。その結果,3の(1)あるいは(2)との関係が,この2の見出しとどういう関係にあるのかというのがちょっとわかりにくい。

 

 

さらに言うと,2に情報提供義務という見出しをつけることによって制限的な影響はないだろうかと。

 

 

これだけだ,というふうになってしまわないだろうかという気がいたしますので,この見出しに変えられた御趣旨をお聞かせいただくとともに,もう少し整理した方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 

 

  •  今回お渡ししている資料では,見ておわかりになるとおり,変更箇所については二重下線を引いておりまして,今の見出しのところに引いておらないんですが,恐らく何か貼りつける際に間違えたというか,試案の表現がそのまま書いていたつもりだったのですが,いつの間にか間違っていたようでして,試案のとおりでございます。変更したつもりのところは,すべて傍線を引いてわかりやすくしているつもりでございます。申しわけございませんでした。

 

 

  •  私の持っている資料が間違っているのかもしれませんが--。

それはそれで結構なんですが,その結果今申し上げたように,一般的なことで情報提供義務という大きな見出しにすることに伴って,それがかえって混乱が生じないかということなんですが。

 

 

  •  試案のとおり,信託財産の状況に関すると。報告義務という見出しを変えます。元に戻します。

 

 

  •  元に戻すということですね。はい,わかりました。
  •  といいますか,変えたつもりではなかったということです。すみません。

 

 

  •  先ほど14ページの甲,乙,丙というふうに3つ案がございます。これもさっき○○幹事から説明がありましたように,事務局としてはそれなりに考え方があるようですけれども,皆さんの御意見をむしろ,ある程度の御意見を伺っておきたいということですので,もし御意見があればお願いしたいと思いますが。

 

 

○○委員は乙案を主張され,それから○○幹事は丙案を主張されたという状況でございますが--。いかがでしょうか。

 

そうですね,もしあれでしたら事務局の考え方を。

 

  •  まず甲案につきましてですけれども,まず1つは会社法にない閲覧拒否事由を加えることが適当かという問題があると。

 

 

それから甲案によりますときは,最終的に先ほど御指摘があったとおり閲覧対象から外れるかどうかというのは,現実に閲覧請求がされた上で,閲覧拒否事由に当たるかどうかが判断されるまでは明らかではないということになりますと,受託者,その信託の他の受益者ですとか,あるいは信託外の第三者,信託債権の債務者などにとっての予見可能性という点からは,どういう書類が外れるのかは実際やってもらわないとわからないという点で,いささか難点があるんじゃないかという気がしているところでございます。

 

 

それから乙案についても同様に,会社法にない閲覧制限事由を加えるということの問題と,甲案と異なりまして,信託行為の定めによる閲覧制限を認めるという点は,受益者の閲覧請求権の制限について,委託者の意思も反映できるという点で妥当とは思われるんですが,他方,一定の重要な書類については,この閲覧制限は認められず閲覧に供されてしまうという点がございますので,やはり予見可能性という点からはそれに反する嫌いがあるということと,なお信託行為の定めのみによって閲覧制限ができるといたしますと,受益者に閲覧請求権に対する配慮にやはり欠けるところがあるのではないかという気がするわけでございます。

 

 

丙案でございますが,甲案と乙案と異なりまして,会社法にはない閲覧拒否事由を加えるという問題点はございませんことと,乙案と異なりまして,信託行為の定めによる閲覧制限のためには,受益者の個別の同意をも必要とするとしておりますので,委託者の意思にも受益者の意思にも,利益にも配慮した内容となっております。

 

 

もっとも乙案と同様に,一定の重要な書類については,この閲覧制限が認められないわけですが,最後に書いてあります当該請求によって,受益者以外の第三者の利益を害する恐れのある情報の記載された文書につきましては,その重要性ということではなくて,受益者の同意をもって,あらかじめ一律に閲覧制限を対象としていくことができますので,予見可能性という点からもすぐれているのではないかという気がするわけでございます。

 

 

総じて受益者らと受託者,信託以外の第三者の利害調整がバランスよく図られる内容と,丙案はなっていると思われるのが,事務局の考え方ということでございます。

 

 

  •  いかがでしょうか。

○○委員

 

 

  •  ちょっと確認なんですけれども,丙案のところの先ほどの御説明で,信託行為の定めで委託者の方の意思をと,受益者の個別の同意によって受益者の意思をということですけれども,当然自益信託であれば,信託契約に書いてあればいいということですね。

 

 

  •  要するに,信託契約の設定と合わせてこういう同意もされているというふうに,2つの契約があったと見ることができます。その辺は大丈夫と思います。

 

  •  あるいは,まだ皆さんの御意見が必ずしも,考慮中ということなのかもしれませんが。

 

 

それでは,ちょっとまだ皆さんの意見が十分固まっていないということだと思いますので,この点はもう一度いずれ確認したいと思います。

 

 

先ほど説明があったほかの点はいかがでしょうか。そうしますと,検査役の選任の請求はこれでよろしいでしょうか。

 

 

それでは,特に反対はないというふうに判断いたしますので,ここまでは基本的に承認をいただいたと。さっきの甲乙丙に関しては,もう一度ぐらい御意見を伺う機会を設けたいと思います。

 

それでは,次にいきましょうか。

 

  •  それでは次,第32から3つほどでございますが,まず19ページの費用の補償請求権のところでございます。

 

本日は,この中で提案2の受益者から費用の補償を受ける権利についてのみ,御審議願いたいという趣旨でございまして,その上で後ほどまた全体について改めて御提案申し上げます。

 

 

パブリック・コメントの結果というのは,甲・乙案というのが数の上でも,実質的にもほぼ同数にわかれております。それぞれの案を支持する理由として挙げられている意見の要旨は,この20ページから21ページのとおりでございますが,総括して言いますと,受益者の補償債務というのが,受益者が信託の利益を享受する反面として負担されるべき性質のものであるという甲案的な考え方をとるか,債務の負担に関する一般原則に照らして信託行為の当事者ではない受益者が,当然に補償債務を負担するというのは不自然であるという乙案的な考え方をとるかというところであろうと思われます。

 

 

なお,資料21ページの太字2に書きましたとおり,この甲案,乙案以外に仮に甲案がされない場合にはという留保も付したものもございますが,その上で信託行為に定められるときは受益者から補償を受ける権利を有するものとすべきであると。

 

 

 

補足説明の注に書いておきましたが,旧乙案の見解を支持するものも複数ございました。以上のようなパブリック・コメントの結果を踏まえまして,いずれの考え方を採用すべきか御審議いただきたいと思います。

 

 

次に,第37の方に移りますが,受託者の解任につきましてでございますが,委託者及び受益者に自由な解任権を認める試案に反対する少数意見もありましたが,パブリック・コメントの大多数の意見は,試案に基本的に賛成するというものでございます。

 

 

もっとも,裁判所に対する受託者の解任請求の要件はより厳格化されてよくて,軽微な任務違反についてまで解任権を付与するのは妥当でない,との意見がございました。

 

 

現行法の47条の任務違反につきましても,ささいなミスや怠慢や不正確な行為については,解任事由に当たらないと解されております。

 

 

そこで,このような理解を正確に反映すべく,裁判所による解任事由に当たるためには,任務に違反したことだけでは足りず,その結果として信託財産に著しい損害を与えたことが必要であると,いうことを明記するように試案を改めることを提案しております。

 

 

さらにパブリック・コメントにおきましては,多数の一般投資家を対象とする金融商品の場合には,受益者に対しての評価はさまざまなものになると考えられることから,一部の受益者による解任の可能性は回避すべきであって,一部の者からの裁判所に対する解任請求権についても,一定の制約が課されるべきであるという意見がございました。

 

 

しかし,考えてみますと,受益者が多数による場合におきまして,委託者との合意による解任権を行使するには,そもそも原則として全員の同意を要するものでありますし,この自由な解任権の規律というのは,1(3)のとおり任意規定でございまして,信託行為の定めをもって受託者の解任のためには一定の非違行為を必要とするとか,受託者自身の同意を必要とするというような制限を課すことも可能でございます。

 

 

 

また,裁判所に対する解任請求権につきましても,解任事由があるとされるためには一定の重要な事実が必要とされることにかんがみますと,この提案のもとでも,金融商品のスキームの安定性が損なわれるとの懸念は当たらないと思われます。

 

 

なお,辞任に関しましては,パブリック・コメントの大多数が試案に賛成する意見でございましたので,試案の規律をそのまま維持することとしたいと考えております。

 

 

次に,第39の前受託者の義務というところでございますが,試案につきましては以下の2点を除きまして,賛成意見が大多数を占めましたので,以下の2点につきまして,変更すべきとの意見がなければ,試案をそのまま維持することとしたいと考えております。

 

 

第1点は,この試案と同じ文言でございますが,1の(1),2の(1),それから3の(2)におきまして,前受託者等の受益者及び他の受託者に対する通知義務,これをこの試案ではデフォルト・ルールとしているわけでございますが,これを強行規定とすべきであるという意見がございました。

 

 

しかし,受託者に通知義務を課した趣旨というのは,受託者が欠けた場合におきまして,通常は受益者や他の受託者には速やかに新受託者を選任して,信託財産を適切に管理処分させる必要性があるということに配慮したものでございまして,そうすると,信託行為においてあらかじめ受託者が欠ける事態に備えて,後継の受託者を定めているような場合には,このような必要性は既に満たされていると言えるわけでございます。

 

 

それにもかかわらず,通知費用の負担をあえて信託財産に課してまで,他の委託者,場合によっては多数に及び得る受益者に対する通知を義務づける必要はないものと思われますので,試案を維持して任意規定にすることを提案するものでございます。

 

 

第2点は,試案の1(1)につきまして,受益者以外の者に受託者の解任権が付与されている場合に,解任された受託者ではなくて,解任権者が受託者に通知することが期待されるのであって,解任されたものが通知することは期待されないのだから,解任された前受託者に通知義務を課すのは適当でない,という御意見がございました。

 

 

しかし,この意見のもとにおきましても,裁判所による解任の場合に誰が通知するのかという問題が残ります上に,信託行為によって解任権が付与された第三者が解任権を行使する場合には,解任事由も当該信託行為において定められるべきところでございますが,裁判所によって解任される場合と異なって,必ずしもその受託者に重大な非違行為があった場合には限られないわけですので,通知はおよそ期待できないとまでは言い切れるかは疑問がないわけではございません。

 

 

 

それから,解任権者は受益者や他の受託者を把握しているとは限りませんので,解任権者に通知義務を課すといたしますと,多大な負担を課すことになったり,実効的な通知が困難になる恐れもございます。

 

 

また必要があれば,解任権を付与する信託法の定めにおいて,解任権者に通知義務があることを規定することで,対処することも可能でございます。

 

 

以上の点をかんがみますと,通知義務のデフォルト・ルールにつきましては,解任の場合にも前受託者に義務づけるということが相当で思われるということで,そのまま試案を維持することを提案するものでございます。

以上でございます。

 

 

すみれ

「受益者は受託者を解任して欲しくないのに、第3者が解任しちゃう場合もあるってことかな。」

 

 

  •  それでは,ここまでまた御議論いただきます。

いかがでしょうか。それではですね,皆さんから御意見を伺いますが,きょう欠席された○○委員から第32の受益者に対する補償請求権についての意見を書面でいただいておりますので,ちょっとそれを読ませていただきます。

 

  •  それは○○関係官の方から御紹介させていただきます。

 

 

  •  それでは,私の方から御紹介させていただきます。文章をそのまま読ませていただきます。

 

 

受益者に対する補償請求権について,我が国では現行信託法36条のもとでそれが認められており,ただし放棄可能ということの解釈によって,実際にはその意味を失う可能性があるということだと理解しております。

 

 

今次改正において,この問題が焦点の1つとなっており,既に私はみずからの意見を繰り返し述べているところですが,ここに再度申し上げる機会をいただければ幸いです。

 

 

受益者に対する補償請求権は,英米信託法では認められないものであり,それは信託の本質にかかわるものです。それは次のような意味です。

 

 

受益者に終局的なリスク,無限責任が及ぶようであれば,勢い受益者は信託の運用に口を出したくなる,あるいは出さざるを得なくなり,それは共同事業であってもはや信託ではなく,英米法ではパートナーシップと見なされます。

 

 

だからこそ,受益者にも無限責任が及ぶことが認められることになります。繰り返しになりますが,これは信託ではありません。

 

 

仮に,受益者に終局的なリスク,無限責任が及ぶのに,受益者には一切口を出させないということであれば,信託はもっとも危険なスキームになります。

 

 

会社よりもリミテッド・パートナーシップよりも危険なものになります。投資スキームとしてばかりではなく,民事的な関係でも同じく危険なものであって,全財産を裁判所の監督のない後見人に委ねるようなものです。

 

 

以上を要約すると,信託のあり方について,日本独自のことを考えるのは一般論としては否定しませんが,受益者に対する補償請求権は,概念的に信託というものの本質にかかわる点であり,しかも実際上も信託に対する不信を抱かせるような利用法に道を開くものであって,補償請求権なしということを明示するような改正が強く望まれることを申し上げます。御高配のほどよろしくお願いいたします。

以上です。

 

 

  •  以上のような意見が出ましたので御紹介します。

それでは皆さんの方から,御意見をいただけたらと思いますが,いかがでしょうか。

 

○○委員。

  •  私の方も,この点に関しましては繰り返し申し上げていますので,そんなに追加で申し上げることもないんですけれども,先ほど○○委員の方からの御意見ということで紹介されました,例えば共同で事業を行うようなものについては,パートナーシップというふうに見なされて,それはトラストではありませんと,そういうことから補償請求権はないんです,ということですけれども,日本における信託といいますのは,○○委員がおっしゃっている信託というのも当然ありますし,もう何回も言っていますけれども,土地信託みたいな形で共同の事業的な形で進める信託もあると。

 

 

要するに,かなり受益者の意思というのが反映されて,指図等を受けるようなものもあると。

 

 

なおかつ,特定金銭信託等については,運用の指図そのものを受益者が行うというものもあります。

 

 

番人

「受益者が指図権を持っていると、共同事業みたいになるんだ。」

 

 

そういう観点からすると,○○委員のいう英米法においては補償請求権があるということではないというふうに思っておりまして,それを日本に置きかえた場合については,受益者に対して補償請求権があってもそこはおかしくないんではないかなというふうに考えております。

以上です。

 

 

 

  •  ほかにいかがでしょうか。この部会--。

○○幹事,どうぞ。

 

 

  •  私もパブリック・コメントを経てなお意見は変わらないということで,以前にかなり長い時間をちょうだいして説明をさせていただいたかと思いますけれども,私自身は結論として,その○○委員の御見解として示されたところにやはり賛成で,乙案の方が適切ではないかと。

 

 

ただ,確かに共同事業的なあるいは受益者が指図をするというタイプのものもおよそ信託として認められないかどうかというと,そこは私自身はかなり疑念を持っておりますけれども,どちらがあるべき,あるいは典型的な信託像なのかというふうに考えたときには,受益者が指図をし,共同事業的なものはかなり特別なものではないかと。

 

 

 

またそういったときは,まさにみずから信託行為にかかわっており,その中で対応していくものでしょうし,乙案の立場によっても補償請求は最終的に認められるという点ではかわりがないのではないかと,いうふうに思っております。

 

 

パブリック・コメントの中で寄せられた各種の理由につきましても,ざっと申し上げますと,甲案支持の理由として出されているところは,利益を享受する受益者が負担すべきであるという利益を得る者が損失もという報償責任的な考えかというのは,単純にそういうことではなく,指揮命令があるとか,やはり一定のコントロールを及ぼしているという場合にこそ認められるものではないかと思われますし,第2点目の受託者がリスクをコントロールできない場合があるということについても,より受益者の方がコントロールできるというのが信託なのかというと,そうではないだろうと思われます。

 

 

第3点につきましては,これはむしろ別途手当てをすると。最終的には信託の終了に向けて各種の手当てを講じていくということですので,ここの部分は十分な手当てが図られると思われますし,また,第4点目で出されている受益者間の公平を害するということですが,むしろ指図があるような共同事業的なという場合の受益者を考えますと,そういう能動的な受益者と受動的な受益者がいるときに,一律に同じように補償債務が負わされるということの方がかえって不公平ではないか,というふうにも思われます。

 

 

そもそも基本的な考え方が違うところかと思われますから,ある意味水かけ論かもしれませんけれども,やはりパブリック・コメントを経てなお,乙案の方が適切ではないかというふうに考えております。

 

 

  •  ほかにいかがでしょうか。

○○委員。

 

  •  確認をさせていただきたいんですけれども,そもそも私どもの立場としては,甲案支持ということで専ら議論あるところが,ここに書かれている理由の1のところでありますけれども,それはちょっとさておきですね,2のその他意見について出されたものについて,ちょっと前に議論が出たのかもしれませんけれども,ちょっと確認をしたいんですけれども。

 

 

すなわち信託行為で負担をするということを書いた場合に,それは例えば受益権が譲渡されたとき,そうしたときにその譲受人というのは,当然に補償債務を負うのかどうかということですけれども。

 

 

民法でいくと債務引受になりますから,なかなか当然にということにはならないとは思いますけれども,ここに書かれている前提となっているのはそれのどちらなのかと。

 

 

仮に,そうではないと,単に自益信託だから信託契約にサインをしたわけだから,当然別途の合意と同様に補償債務を負っているだけであって,受益権の譲受人はそうではないというような,もし整理になるのであれば,逆に2の御解説の「その反面として,乙案を支持する立場から--」というところで,「信託行為に定めがある場合だけでは足りず」というところがちょっとよく理解できなくなってしまうわけで,何とならば別に,信託行為,少なくとも受益権である場合は,別にその別途の合意というのは信託行為に書かれようが,別途の合意であろうが,別途の契約であればそれは意思の合致があるわけですから,乙案をとったとしても,その合意がある限りにおいては,信託行為が定めがあった場合には,自益信託について補償債務を負うということが1つの整理ではないのかなというふうに思っておりまして。

 

 

ちょっとこの点についてお尋ねしております。仮に,もし受益権の承継に伴って,補償債務が当然に承継されるということであれば,甲案と乙案のその違いというのが,非常に隣接的になるのではないかなというふうに思いました。

 

  •  はい。
  •  受益権譲渡の場合の考え方で,質問と1対1で対応しているかどうかわかりませんが,まず信託行為の定めを置いた場合に補償義務が生ずるというのは,これは何度も言うことでございますが,受益権の中に権利義務が含まれる,一体の物となると。

 

 

そうしますと,受益権が譲渡されれば補償債務もくっついていきまして,新受益者が補償債務を承継すると。

 

 

そのかわり,前受益者は特段の手当てをしない限り,補償債務を免れるという形になると思います。

 

 

これに対しまして,個別の合意によって補償義務を負担するということになりますと,受益権の譲渡があったからといって,新受益者が補償義務を負ういわれはないわけでございまして,別途合意をしない限り新受益者は補償義務を負わない。

 

 

そのかわり,前の受益者は譲渡したからといって,責任を免れるものではない。そのような結論になるというのが,我々の理解でございます。

 

 

  •  乙案にとってもそういう--。
  •  乙案がそうなるわけですね。乙案がこうおっしゃったように別途の合意ですから,譲渡人は残るけれども譲受人はないということになります。

 

 

  •  ほかにいかがでしょうか。

私の理解では,この部会の中では今まで御発言いただいた方の中では,甲案の支持よりも乙案の方が多かったように思いますが,そういう理解でよろしいでしょうか。

 

 

まだこれは恐らく,○○委員あるいは○○委員,甲案の方がいいという御意見をきょうも表明されましたが,それがパブリック・コメントの中は半々だったかもしれませんけれども,そのパブリック・コメントを踏まえた上でも,きょうは○○幹事が乙案の方が適当であるという意見を表明されました。

 

 

 

ほかの方々は,特に御意見を判明されませんでしたけれども,乙案が適当であるという御意見だというふうに理解させていただいてよろしいでしょうか。

 

 

それじゃあ,これはきょう最終的な決定をするというわけではございませんけれども,いろいろな後のたてつけというんでしょうか,ほかの関連もありまして,放棄のところとかいろいろなところに影響しますので,基本的には乙案をベースにしてこれからほかの点も詰めていきたいというふうに思います。

 

 

よろしいでしょうか。

ほかの点については,いかがでございましょう。今の32が一番大きな争点の1つだったわけですが,そこは解決したとして,37,39あたりはいかがでしょうか。

 

 

これも先ほど一応事務局から説明がありましたが,その説明を了承するということでよろしゅうございますか。

 

 

じゃあ,そういうことで37,39は御承認いただいたというふうに考えたいと思います。

 

それでは先にいきましょうか。

  •  では次は,受益権の譲渡と消滅時効につきまして,御説明を申し上げます。

第48,27ページからでございます。試案につきましては,次にあります2点を除きまして,賛成意見が大多数を占めましたので,これから申し上げます点について御異論がなければ,試案をそのまま維持するということとしたいと思います。

 

 

 

まず,試案の3に関しまして,受益権の譲渡の場合においても,異議をとどめない承諾に抗弁切断の効果を認めるべきであるという意見がございました。

 

 

 

しかし,受益権の性質を権利義務の総体と位置づけた場合というか,今の一応のまとめですと,権利の相対と位置づけるという方向性でございますが,その場合でも単純な指名債権の場合と異なりまして,受益権というのは性質・内容の異なる各種の権利を包含するものでございますので,契約上の地位の移転の場合に準じまして,抗弁切断の効力を付与しないということも十分にあり得ると思われます。

 

 

 

また,仮に承諾に異議をとどめない限り抗弁が切断とされるといたしますと,受託者としては抗弁を承継させるためには,受益権の包含する権利総てに関して,いちいち異議をとどめる必要があることになりまして,受託者に相応の負担を課すことになると思われます。

 

 

また,異議をとどめない限り抗弁が切断されるとしますと,例えば信託行為が無効であって受益権が発生しない場合におきましても,受託者はその瑕疵を対抗することができないということになりまして,そのような結論というのは受益証券の有因性となじまないという指摘があり得るところでございます。

 

 

これらの事情にかんがみますと,受益権譲渡の場合には,受託者の抗弁は常に承継されるとの試案の考え方が相当であって,反対意見は採用しないとすることでよいと思われるがいかがでしょうか,というのが第1点でございます。

 

 

次に,試案の1の(2)につきまして,受益権の譲渡に関する信託行為の別段の定めを対抗できない第三者の要件について,善意に加えて無重過失,重過失がないことを要請すべきであるとの意見がございました。

 

 

ところで,この第三者について,善意のみならず無重過失が必要とされるという考え方自体には異論はございません。

 

 

しかし,指名債権の譲渡に関する民法466条2項におきまして,譲渡禁止特約を対抗できない第三者に当たるためには,善意のみならず無重過失を要すると判例上解されておりますが,その上で同項は現代語化された後も,善意とのみ規定されておりまして,そうしますと試案のとおり,善意とのみに規律しても,ここに無重過失まで読み込むことは当然に可能でありますし,民法の規定にも平仄が合うと思います。

 

 

そこで,試案を維持して無重過失の要件を明文化しないということでよろしいのではないかと思われます。

 

 

以上につきまして,御異論がなければ原案維持ということにしたいと思います。

 

次に,29ページの消滅時効の点でございますが,試案につきまして,次の3点を除いて賛成意見が大勢を占めております。

 

まず,第1に残余財産に関する権利の消滅時効に関する試案の2につきまして,信託終了後の帰属権利者の権利に関しては,残余財産が金銭以外の財産権である場合には,帰属権利者に所有権が移転して,帰属権利者が所有権に基づく物権的請求権を有することになりますが,物権的請求権が消滅時効にかかるか否かについては,消極的に解する見解が有力であるという疑問の指摘がございました。

 

 

試案におきまして,消滅時効にかかる残余財産分配請求権として観念しておりましたものは,あくまでも受益債権と同列に論ずべきものでありまして,つまり債権的な信託財産の給付請求権でありましたが,その趣旨を明確にするためには,試案では残余財産に関する権利としておりましたところを,残余財産の給付に関する債権と改めて明確化してはどうかと考えるものでございます。

 

 

 

次に,試案の1(2)につきまして,通知だけではなくて権利行使の催告も必要とすべきであるという意見がございました。しかし,受益債権の消滅というのは,あくまでも消滅時効の援用によって生ずるものでございまして,通知に対する受益者の不回答によって生ずるものではありませんので,権利消滅の前提として権利行使の催告を要するという,論理的な関係にはないと言えます。

 

 

また,受託者にこのような通知義務を要求しましたのは,受益者に対する忠実義務ないし公平義務を負っている受託者の地位にかんがみまして,本来禁止されるべきものとは言えない時効援用権に付随して,いわば最低限の義務を課したにとどまりまして,それ以上に受託者の負担を重くする必要性があるかは疑問でございます。

 

 

さらに受益債権の存在及び内容の通知に加えて,権利行使の催告まで行うということをするか否かによって,受益者の利益に大きな違いが生ずるとも考えがたいところでございます。

 

 

そこで,権利行使の催告も必要であるという意見は,採用しないということでよろしいのではないかと思われますが,御意見を賜れればと存じます。

 

 

最後に,1の(3)に関しまして,受益者の所在不明以外に正当な理由があるという場合は想定できないから,正当な理由は削除すべきであるという意見がございました。

 

 

しかし,この資料の31ページの①,②で挙げた事例など,事情のいかんによりましては,常に受益者に対する通知義務を課すことが相当ではないと思われる場合もあるわけでございまして,そうしますと,所在不明以外にも正当な理由がある場合には通知不要とする規律を設けることに合理性があると考えられます。

 

 

 

そこで,正当な理由がある場合を削除すべきとする意見につきましても,採用しないということでいきたいと考えておりますが,御意見を賜れればと存じます。

以上でございます。

 

 

  •  それでは,ここまでで御意見を伺いたいと思います。

はい。では,○○幹事。

 

 

  •  ここで聞くことではないのかもしれないんですが,48の受益権の譲渡の3の抗弁の話で確認させていただきたいんですが,これ有価証券が出た場合というのは,どう考えているんでしょうか。

 

 

有価証券のところを見たら,抗弁の話は全く書いていないように記憶しているんですけれども。

 

 

たしか67なんですけれども。この考え方は基本的にそのまま有価証券ででも当てはまるとお考えなんでしょうね,多分。つまり,理由づけが一体として地位を譲り受ける,包括承継的な性格なんだというんであれば,その譲り受けのやり方が有価証券であろうが,この民法の債権上と類似--類似と言ったのは,包括承継的な性格があるから,そう言ったんですけれども--それであろうが同じで,ただ善意取得についてだけ,証券の所持に基づく権利者としての推定が働くからそこは違うと。そういうふうに理解したんですが,それでよろしいんでしょうか。

 

 

  •  そういう御理解で結構かと存じます。
  •  受益権の譲渡に関してはよろしいですか。

それでは今,○○幹事が指摘されたのが,もちろんこの前提になっている理解ですけれども,それも含めまして,受益権の譲渡48についてを御承認いただいたというふうにしたいと思います。52の時効はいかがでしょうか。

 

 

若干の改正部分がありますけれども。

はい,どうぞ。

 

  •  本文については,これで結構かと思います。1つだけ御質問ないし御確認なんですが,31ページに正当な理由の例を2つ挙げておられますが,そのうちの第1の例の方なんですけれども,最終計算の承認行為があった後は云々とありますけれども,これは試案でいうと58信託の清算についての6の最終計算を指しているのでしょうか。

 

 

そうだとしますと,それに伴う免責の効果があることになると思いますが,それと時効との関係はどうなのかということです。

 

もう1つ,この①についてより一般的なことなんですが,信託行為で定めることによって,その時効あるいは援用に伴う忠実義務の規範をどこまで自由に変えることができるのか,という問題がさらにあると思います。

 

 

そういう意味で,①については少しわかりにくいことがあると思いますので,御説明いただければと思います。

 

 

  •  はい,いかがでしょうか。
  •  ①の例というのは,おっしゃるとおりでたしかに信託行為でどのような定めを置いた場合に,それがそのまま正当な理由として認められるかどうかというところの1つの問題だろうと思います。

 

 

最終計算の局面のところで,確かに免責というのは入っておりますけれども,私どもの理解ではここでの免責は,若干範囲狭いものではないかというふうに考えておりまして,つまりどのような責任でも免責されるわけではない,ということになりますと,それと並存的にあらかじめ受託者が信託行為の中で消滅時効も--共益債権についてということになるんだろうと思いますけれども--定めておくということもあっていいのではないかなというふうに考えて,ここではとりあえず例に挙げたと。

 

 

つまり,そういうことを受託者サイドとして現実的にやるのではないかと,やり得るのかなということで,とりあえず書いたというところでございます。

 

 

じゃあそれを越えて,今はこのような信託行為の歯どめを例に挙げたのですけれども,じゃあ一体どのような例がそのほかにも許容されるかというのは,ちょっとなかなか一概には申し上げにくいところはありまして。信託行為で消滅時効の援用を自由にできますという例を挙げていないのは,何でもかんでもというわけにはいかないのだろうなというのが,1つの判断ではあった。

 

 

ただ,じゃあどのような条件でというところまでは,ちょっとまだ解釈に委ねざるを得ないのかなというようなところで考えていたということでございますが。

 

 

  •  今の御説明の中で,最終決算に伴う免責の効果については,またその部分で具体的に検討すればよろしいかと思います。

 

 

それから,信託行為に定めれば何でもこの時効に関する規範を左右できる,というのは適当ではないという御説明は,私もそのとおりだと思うんですが,であればこそ,①の例というのよりも,もう少しほかの例の方がいいんじゃないかなという気がいたします。

 

 

 

  •  わかりました。これはちょっと適当な例に考える,変えるかどうかね。

ほかに御意見ございますか。

はい,どうぞ。

 

 

  •  何回か出た話の蒸し返しのようで恐縮なんですが,これ消滅時効,時効消滅したときには,その弁済の事実があるにもかかわらず,それを証する資料がないという場合は別なんですけれども,弁済していないんだけれども期間が経過したということで,かつそれを消滅時効を援用したという場合には,その財産は信託財産ではなくなるんですか。

 

 

当該その受益者がそのときに給付する権利がなくなるだけ,給付を請求する権利がなくなるだけであって,信託財産であることの性質は変わらないんでしょうか。

 

 

  •  一番端的に申しますと,受益債権について受益者が放棄したのと同じ状態になるんだと思っておりまして,そうしますと,信託財産性というのが失われるということではなくて,それに対して実質的な次順位の方が取り分をとられるということになっており,例えば残余財産として,残余財産を帰属権利者にいくとか,そういうような関係になるんだというふうに整理しております。

 

 

  •  それが適当だと思いますね。よろしいでしょうか。

それでは,52の消滅時効のところも御承認をいただいたというふうに考えたいと思います。

 

 

それでは,先にいきましょう。

  •  では,続きまして遺言信託と契約信託の問題,第63と第64についてでございます。

 

 

まず第63の36ページ以下でございますが,パブリック・コメントによりますと,遺言による信託設定を許容する試案に対しては,1件反対意見がありましたが,それ以外は賛成意見であったということ。

 

 

それから3につきましては,受託者の選任請求に関するものでございますが,反対意見はなかったので,1,3についてはいずれも原案どおりとしたいと思っております。

 

 

問題は2でございますが,これはやはり実質的にも意見が同数にわかれたところでございます。

 

 

ところで,この甲案と乙案,補足説明にもいろいろ書かせていただきましたが,ちょっと切り口を変えて御説明しますと,まず委託者の地位が相続になじむか否かという法的性質論から考えてみますと,資料の37ページのイ以下に書きましたとおり,遺言信託における委託者の地位は,その性質上相続になじまないという乙案のA説の考え方と,それから遺言信託における委託者の地位についても民法の一般原則と異なるところはなくて,その性質上は相続の対象となるという乙案B説の考え方,それから当然ながら甲案の考え方とに分けることができると思われます。

 

 

その上で,この乙案A説によりますと,委託者の意思を介した説明をするのではなくて,そもそも委託者の地位の相続性を否定してしまいますので,法律行為の当時者としての地位,例えば詐欺を理由とする取消権や信託財産の受託者への引き渡し義務といったものが観念できると思われますが,こういうものあるいは信託法上の法定帰属権利者としての地位も承継されないこととするのか,仮に相続される権利義務があるとすると,その区別の基準や承継の法的根拠--相続ではないとするとどういう根拠で承継されるのか--というような問題について解決する必要が生じてくると思われます。

 

 

一方,委託者の地位の法的相続性を肯定する甲案と乙案のB説では,このような問題は生じてこないと思われるわけですが,この両者の結論としては,正反対となりますのは,法的性質論とは別に,受益者と委託者の相続人との利害関係にかんがみまして,委託者の通常の意思をどのように考えるかについての実質論からの違いから生ずるものと思われます。

 

 

つまり甲案におきましては,委託者の相続人も委託者の地位を相続により承継することを原則とした上で,受益者との利害対立の恐れを回避するために必要があるのであれば,被相続人としては,信託行為である遺言において委託者の権利を縮減ないし消滅させるという定めを置けば足りるというふうに考えるものと思われます。

 

 

 

これに対して乙案B説によりますと,委託者の相続人と受益者とは信託財産に関して類型的に利害が対立する関係がある,という理解を前提といたしまして,被相続人の合理的な意思というのは,委託者の相続人に委託者の地位を承継させないということを,類型的に意図しているとみるのが相当である,としまして,このように委託者の意思の推定のもとに,原則として委託者の死亡を契機として,法的帰属権利者としての地位以外の委託者の権利義務を喪失する,という定めが置かれていると,いわば擬制するものと言えると思われます。

 

 

 

それから次に,委託者の相続人は委託者の権利義務を有しないことをデフォルト・ルールとします,結論において共通するこの乙案A説とB説でございますが,信託行為の定めによってデフォルト・ルールと異なる取り扱いをしようとする場合の説明の仕方が異なってくると考えられます。

 

 

つまり,乙案B説におきましては,委託者の地位の相続性自体は肯定するものでありますところ,委託者の相続人が委託者の地位を有しないことをデフォルト・ルールとするのは,あくまでも委託者の意思を推定したことによるものに過ぎませんので,委託者が信託行為である遺言において明示的に相続人は委託者の権利義務を有するということになるということ。

 

 

つまり,相続を契機として委託者の権利義務が消滅するということはない,ということを定めれば,この定めが優先しまして,民法の一般原則に戻って相続人が委託者の地位を承継することとなると。

 

 

このように被相続人の意思を介した説明が可能であると思われます。正確に申しますと,ここでの信託行為の定めは,権利の相続性という属性を決定しているのではなくて,相続されるべき権利の範囲を信託行為によって決定しているのでありまして,あとは一般的な相続のルールにのるというふうに考えているわけでございます。

 

 

すみれ

「権利の相続性じゃなくて、相続される権利の範囲、か。」

 

 

なお,パブリック・コメントにおきましては,乙案を支持する見解の中でも,このB説のように委託者の地位を相続性自体を否定するのではなくて,委託者の通常の意思を推定に根拠を求める見解が多かったという印象でございます。

 

これに対しまして,乙案A説によりますと,そもそも相続性を否定しますので,委託者が信託行為である遺言におきまして,相続人に権利義務を付与すると定めた場合におきまして,遺言によっているにもかかわらず相続以外の理由,つまり第三者のためにする契約というような特殊な法律行為として相続人が委託者の権利義務を原始的に取得するのだというように説明すると思われます。

 

 

しかし,この考え方につきましては,かなり技巧的な法解釈をとることが妥当であるかどうか。あるいは私人が遺言によって裁判所に対する権利を創設することになるということになりますが,このようなことが説明可能であるのか。

 

 

仮に相続人が委託者の権利義務を欲しないときに,相続放棄ではないわけですので,いかなる方法が可能であるかなどの問題を解決する必要が生じてくるというふうに思われるところでございます。

 

 

以上が乙案A説の場合の難点という感触でございます。

次に,第64の契約による私益信託における委託者の相続人の権利義務につきましてでございますが,これも同様に甲案,乙案を挙げておりますけれども,パブリック・コメントの結果といたしましては,委託者の信託上の地位の相続承継を原則として肯定する甲案の方が優勢でございました。

 

 

 

それぞれの理由として述べているところは,この39ページに書かせていただいているとおりでございます。これも法的性質論から分析いたしますと,この資料の41ページの(3)というところに書いてございますけれども,委託者の地位はその性質上相続性になじまないとする乙案のA説の考え方と,相続性自体は問題ないと,対象となるという乙案B説の考え方と,甲案の考え方にわかれるということになると思います。

 

 

 

なお,この資料におきましては,42ページの「いずれにしても--」以下に書いているところでございますが,これは基本的な視点でございますけれども,委託者の地位の相続性という法的性質論に関する限りは,遺言信託の場合と契約信託の場合とで特段区別される点はなくて,両者は統一的に解されるべきであると考えているわけでございます。

 

 

委託者の地位がその性質上,相続になじむかどうかということ。つまり,帰属上の一身専属性があるかどうかということは,設定方法によって変わることはなくて,あとは委託者の相続人と受益者との利害関係の相反性という実質的な点を考慮して,相続されるかどうかを決定することになると考えられるわけでございます。

 

 

その上で,委託者の地位の相続性を否定する乙案のA説の考え方によりますと,すべての権利義務の承継が否定されるのか,承継される権利義務があるとすればその区別や承継の法的根拠は何かという問題が生ずることにつきまして,先ほど述べさせていただいたとおりでございます。

 

番人

「不動産の場合、委託者の地位を承継すると登記も変更する必要があるのか。」

 

 

 

次に,委託者の地位の相続性を肯定する点において共通する甲案と乙案B説が,結論として正反対になることにつきましても,性質論から離れた実質論から生じるものであるということは,先ほど述べたところと同様でございます。

 

 

また,委託者の相続人が権利義務を有しないことをデフォルト・ルールとする結論において共通する乙案のA説とB説におきまして,信託行為の定めによって異なる取り扱いをする場合の説明の仕方が異なってくるということ。

 

 

 

特に原則として相続性を否定した上で,しかし契約信託において権利義務を付与するという定めをした場合に,若干特殊な説明を必要とすることになるという点も,遺言信託に関して述べたところと同様でございます。

 

 

 

なお,特に遺言信託ではなくて,契約信託の場合におきまして,乙案B説のような考え方,つまり法的性質論としては地位の相続性を肯定するものの,実質的観点から委託者の地位の承継を否定するという考え方,これが相当であるかどうかという点につきましては,このような前提となる理解が,自益信託の場合にも妥当するのかどうか,他益信託の場合についても信託の経済的利害,信託が経済的利益に基づいて設定されている場合ですとか,公益,準公益や扶養目的として設定されている場合には,相続人による権利行使を認める方が目的達成のためには望ましく,委託者自身にもかなうのではないか。

 

 

あるいは委託者の地位の承継を実質的に否定する考え方というのは,委託者の地位の移転を認める考え方との平仄が果たして合うのであろうか。

 

 

さらに言えば,委託者の相続人による不適切な権利行使が懸念されるという点は,遺言信託ではなくて契約による信託による場合においても,委託者の地位の相続を意図しないことが一般的であると類型的に推定するに足りるほどの社会的事実があるものと言えるか等の問題点をクリアする必要があると思われるところでございます。

 

 

これが契約の場合には,特に乙案をとった場合に特に検討する必要があると思われる点についてのお話でございます。

 

 

次に,第53のところに戻りますが,試案に対しましては以下の3点を除きまして,賛成意見が大勢を占めております。32ページ以下でございます。

 

 

まず試案では,委託者の権利を基本的に現行法よりも後退させる考え方をとっているのに対しまして,これとは逆に,委託者に原則として従来どおりの権利を残すべきであるとの意見がございました。

 

 

もともと信託においては,委託者が受託者を選任したのであって,信認関係も委託者と受託者間にあったのだから委託者の方が監督に適切である,というような理由を挙げるものでございます。

 

 

 

しかし,受益者の保護をいう点につきましては,試案の考え方におきましても,委託者としては信託行為に定めを設けて監督的権能を留保することができるということに加えまして,法定代理人が受益者の利益を代弁することも可能であると思われます。

 

 

ポリー

「法定代理人というのは、親や(未)成年後見人でしょうか。」

 

 

 

また,受託者が委託者との間においても信認関係を有することを否定するわけではないのですが,委託者と受益者の意見衝突を避けて,信託の運営を効率化させるためには,委託者の権利と受益者の権利のいずれか一方を尊重する選択をせざるを得ないわけでございますが,信託の設定後は受益者こそが当該信託にもっとも強い利害関係を有すると考えられることにかんがみますと,受益者の権利の方を後退させるのは適当ではなくて,委託者の権利の方を後退させる方が妥当であると思われます。

 

 

 

これらの事情にかんがみまして,試案の考え方を従来どおり維持したいと考えております。

 

 

第2に,別表の権利のうち,4の説明請求権と6と12の差止請求権につきまして,原則として委託者にも付与すべきであると。

 

 

 

試案では,デフォルト・ルールとしてはなしとしておりましたが,デフォルト・ルールとしてありとすべきであるという意見がございました。

 

 

ところで,この6と12の差止請求権につきましては,資料34ページに書きました理由によりまして,試案どおり委託者には原則として付与しないということでよいと思われます。

 

 

これに対しまして,4の説明請求権につきましては,これまで原則として認めておりました21の信託財産に関する書類の閲覧請求権に加えて,この信託事務の処理の状況に関する報告を受ける権利というのを,原則として認めることによりまして,委託者としては信託財産の状況のみならず信託事務の処理の状況も合わせて,信託の概況全体を把握できることになりまして,信託目的の設定者によりふさわしい地位を有することになると思われます。

 

 

つまり,信託の委任的側面として信託事務の処理の状況の報告を受ける権利というのを認め,財産的側面として信託財産の状況に関する書類の閲覧請求権を原則として有する,ということになるわけでございます。

 

 

 

そこでこの4につきましては,試案を改めましてデフォルト・ルールとして,委託者が有する権利と位置づけるべきと考えるところでございます。

 

 

第3に,委託者の地位の移転に関しまして,試案に明記しておりました信託当事者全員の合意を得て移転する方法に加えまして,信託行為の定めによって移転することもできることを明記すべきであると,いう意見がございました。

 

 

この資料でいいますと,本文の2に関するところでございますけれども,この意見につきましては,補足説明でも実は備考欄の注で付記していたところでございますが,信託行為の定めに従って委託者の地位の移転を否定する理由はないと思われますので,これを本文中に明記することとしてはどうかと考えるところでございます。

 

 

すみれ

「委託者が何名もいたらか。」

 

 

  •  それでは,委託者に関連する問題ですけれども,53からいかがでしょうか。

 

53のところは,ある意味で原案的というんでしょうか,修正も含めて原案という形で出ているわけですが,遺言信託のこの63の2のところ,甲案と乙案が出ておりますし,また64のところも契約による私益信託の場合においての,委託者の,相続人の権利義務です。

 

 

これも甲案と乙案がございますので,これは皆さんの御意見を伺って決めていきたいと考えております。

 

 

私の記憶も余りはっきりはしませんけれども,私がまとめることに対して御異論があれば,また御異論いただきたいと思いますけれども。

 

 

委託者の地位につきまして,遺言信託に関しては,これは最後の甲案,乙案をとるかとは別にですね,遺言信託の場合の相続人というのは遺言者,つまり信託を設定した遺言者としたがってまたさらに言えば受益者と,利害対立する関係にあるので,相続人には権利を与えない方がいいのではないかという御意見が多かったように思います。

 

 

そのときの法律構成の仕方として,ここはいろいろな御意見があったと思いますけれども,一切委託者の地位というものを相続しないんだと,遺言信託の場合ですけれどもね,そういう考え方と,これは今甲案ですが,それから乙案のように一応相続性を否定するわけではないけれども,遺言者の意思,委託者の意思というのは相続人に権利を与えないことだというふうに考えて,結局相続人には権利義務を与えないという立場と,両方あり得る。

 

 

今のが乙案のB説ですけれども,これは必ずしも十分ここでは御議論はいただいてないように思います。

 

 

しかし,まあ結論は今申し上げたように,少なくとも遺言信託の場合については,委託者の相続人には権利義務を与えない方がいいのではないかという御意見であったのではないかと思いますが,いかがでしょうか。

 

 

今のまとめ方でよろしかったかな。

どうぞ,では○○委員。

 

  •  意見が出ないので,今の乙案B説に賛成します。これは遺言者の意思からすれば,相続人に承継させないと。そういう意思であると。

 

 

だから乙案のA説の方は,理屈がやっぱり難しくなってしまう。Bの方は信託行為の定めで承継させることもできるんだという,そういう設定ですから,大変合理的でいいかと思います。

 

 

  •  どうもありがとうございました。

ほかに御意見ありますでしょうか。

 

 

私も個人的には,乙案のB説がいいのではないかというふうに思います。ただ,その何かやっぱり規定が必要なのかなと。つまり,遺言の解釈だけで一般論として,相続性があるというのを前提でなるべく,だけど遺言者の意思を根拠にして,一般的な意思を根拠にして,委託者の相続人に委託者の権利義務を与えない,相続させないというわけですが。

 

 

何か規定が,そういうことを可能にする規定が信託法の中に必要なのかもしれない,というふうに思うんですね。単に解釈だけでそういけるかというと,ちょっとそこは危惧をしているところなんですが,この点についても何か御意見があればと思いますが。

 

 

これはどうですかね。何か--。

  •  事務局としても,遺言信託だったら当然そうだというふうに読み込むのはなかなか難しいので,乙案B説の場合でも,規定があった方がいいんではないかなという感触を持っているところでございます。

 

 

将来的には,法制的なことですが,そういう印象でございます。

  •  そういうことでよろしいですか。

では,余り反対はなさそうでございますので,今の乙案のB説でいくということで,何か適当な規定も考える。

 

 

 

生前のといいますか,契約による私益信託の場合の甲案,乙案はいかがでしょうか。パブリック・コメントとしては甲案の方が多かったということですね。

 

 

 

それから説明の仕方,それから実質を考えても,甲案の方が支持者が多かったようでございます。この部会では--ちょっと私もはっきり覚えておりませんけれども--甲案を積極的に否定される方は,そんなに多くはなかったように思いますね。

 

 

 

じゃあ,どちらがいいかということを理由づけは結構ですけれども,御意見だけでもいただかないと方向が決まらない。

 

指名してあれですけれども,○○幹事,いかがですか。

 

  •  私は実を申しますと,遺言信託においても,そんなにA説がとれないものかなという感じがして,実を言うとそういう気はしておりまして,相続人が何らかの権利取得をするというのも,相続人という立場にある人にそのような権利義務を認めるということで,いろいろ説明はつくんじゃないかという気は,実はしておったのですが,しかし乙案であることにかわりはありませんので,B説でということであればB説でもよろしいかなというふうに思っております。

 

 

ただ,恐らくA説かB説かというのは,この契約による設定の場合に,もう少し変わってくるところがあるのかなという気がしておりますが,ただ,そうですね--。

 

 

  •  整合性を考えなくてはいけないところがあるかもしれませんね。

 

  •  はい。むしろ結論を先にありきなのかもしれませんけれども。
  •  そんな結論はありません,こちらとしては。

 

 

すみれ

「ぴしゃっとしているね。」

 

 

  •  私自身は,もうちょっと理論的な説明のところをおきますと,かなり委託者の意思というものが相当に尊重されていい話ではないかという気がしておりまして,委託者自身がもう自分で終わりたいというのであれば終わらせ,別の人に移転したいというのであれば,別の人に移転させるということでいいのではないかというふうに考えておるのですけれども,ただ一方で,委託者の地位の移転のところで,他の委託者,受益者及び受託者の同意を得て移転することを妨げないということですから,基本的に全関係者の同意を得ないと誰に自分の地位を承継させたいかということは決められないという設定になっており,かつ大もとのところ,それをやりたくなければ信託行為のところであらかじめ定めておいて,委託者の一方的な意思表示によって移転できるとか,そういうふうに定めておくという法制なので,そう委託者自身の意思が最大限尊重されるというようなことには,全体としてなっていない。

 

 

ある程度制約がかかってくるという仕組みなんだろうと思っていまして,それが本当にいいのか,っていう気にはなっているのですが。そうですね--。

 

 

  •  それは遺言信託の場合は,遺言者が自分で信託を設定するときにあらわす意思であるから,それはその委託者の地位を後から移転する場合と違って,その意思だけを考えればいいということで済むわけですよね。

 

 

 

  •  自分は抜けるわけですので,最初から別の人しかあり得ないわけですから,別の人に最初から設定できるという想定ですよね。

 

 

その際はやはり,相続人でしかやっぱりあり得ないかというと,第三者を指定してもよろしいわけでしょうか。委託者としての各種の監督権限はだれだれに与えるという,信託行為で決めてよろしいものでしょうか。

 

 

  •  不可能じゃないかもしれないですね。
  •  可能かどうかによって,また違ってくるのかなという気はしているんですけれども。

 

 

  •  委託者の地位を承継させるというのは,それはちょっと違うと思いますけれども,信託行為の中で委託者が持っているような権限を,信託行為としてだれに与えるかというのは,全く不可能ではないような気がしますけれどもね。

 

 

  •  恐らく今言われたのは,それこそ細分化すれば,損失てん補はこの人を委託者として,また解任の申立権はこの人を委託者として,というようなことが可能になるんだとすると,まだそこまでは言えないんだろうと思いますけれども。

 

 

  •  委託者なのかどうかね,それが。いろいろな権限を与えるということは可能性があるような気がするけど--。

 

 

  •  そこを自由に決められるのであれば,もう相続も否定してしまって,意思一本でというふうに実は考えていたのですけれども,そこは委託者の地位としてはもちろん別で,ある程度相対であって,かつ全体として移っていくとすると,相続による承継をするというのでもいいのかなという程度なんですが。すみません,ごちゃごちゃと申し上げながら。

 

 

 

委託者の地位という点では,無理だろうということでしょうかね。ですから,自分はこれだけ持っているけど,相続人に対してはこの半分しか与えないとか,そんなことは基本的にできないという--。

 

 

 

 

  •  個別的に委託者の地位の,地位に含まれるような各種の権利ございますけれども,そのうちの一部だけ個別に承継させるというのは,相続人でありましたり,それから個別の承継がもちろん念頭に置かれると思いますけれども,そういった切り売りのようなものではなくて,地位に基づいて各種の権利を法律上認めているということだと思いますので,ある程度の一体性というものが必要だという理解をしております。

 

  •  ありがとうございます。

 

  •  最後,結論がよくわからなかった,契約の場合はどういうことになるんですか。関連するということだったと思いますけれども。

 

 

  •  いや,そうであるでの法理でよろしいんじゃないかと。

 

  •  ほかに何か御意見がございますでしょうか。

どうぞ,○○委員。

 

 

  •  私ども自身,別にどっちの案ということではないんですけれども,単なる関心なのかも,ちょっと御確認したいところがございまして,それは法律関係が複雑になるのか,ならないかということについて,僕の意見でもありましたのでちょっとその観点から御質問したいんですけれども。仮に承継された場合に,複数になると思うんですけれども,その複数,多分2人とか3人とか承継された場合に,監督権を行使する場合には共同して行うことになるんでしょうか。

 

 

それとも一種の共有というふうに考えて,監督権の行使というのが管理権みたいなものだから,おのおの1人ずつが係る監督権を行使できるというふうになるんでしょうか。

 

 

そうするのであれば,結局受託者からすると,監督権を行使される人がふえてしまうと,そういう単純な整理ということでよろしいんでしょうか。

 

 

  •  準共有っていうふうになるんだと思いますけれどもね。だから全員でという。相続人が数人いたときには,委託者の地位の権利行使をするときには,まとまってしなくちゃいけないということになるんだと思います。

 

 

内部でどういうふうに決めるかはまた別ですけれどもね,多数決で決めたいかどうかは,その内部で決めることができると思いますけれども,合意がなければ準共有ということで説明すると思います。

 

 

 

  •  だから,受託者の側の権利を行使するときにも全員でという。

 

  •  恐らく,例えば書類帳簿閲覧請求権みたいな,単独で行使しようと思えばできなくはないのがありますけれども,これもやっぱりまとまっていくんだというふうに思いますけどね。僕はそう思うけれども,どうなんですか。

 

 

すみれ

「相続人がたくさんいると受託者も大変だね。」

 

 

  •  基本になるのはそうかなと思いました。あとはちょっと考えたこともないんですが,その権利の性質によって果たして処分までいくものなのか,管理的なものなのかによってわかれてくるのかなと。

 

 

帳簿ぐらいですとどうでしょうかね。管理行為だったら過半数とか,あるいは保存行為だったら1人でもできるでしたでしょうか。そこら辺は権利の性質によってではないかなという気がいたします。

 

 

 

一概にはちょっと言えないですが。基本になるのはそうだと思います。

 

  •  私が余りリードしては,本当にそれほど強いどっちかっていうわけじゃないので。皆さんの御意見を伺って決めたいと思いますけれども。今の何人かの御意見は,契約の場合は甲案で構わないという,そういう御意見だというふうに変わってよろしいでしょうか。

 

 

 

それでは,規約64の場合には甲案で,それから遺言の場合には乙案のBという線でいければと思います。そういうふうに組み合わせをとったときに,先ほど○○幹事が言われた整合性の観点から言えば,一応相続性はあるというもとで扱いますので,整合性はとれているということになりますね。

 

それでよければ,じゃあ残りの最後のところで。

 

  •  すみません,53に一言言いたいんですけれども,受託者の権利義務ということで,今回説明請求権をこのデフォルト・ルールで認めていただくということでいただいているんですけれども,先ほどちょっと話も出たところなんですけれども,帳簿閲覧請求権はどうでしょうかということなんですけれども。

 

 

これは委託者の立場で何か問題があったときに,とり得る対応を考えたときに,説明請求権を行使して説明を受けるというのが,まず第1段階あると思うんですけれども,その次にとり得る手段というのが,考えられるところが,受託者監督人を選任するか,あるいはその解任とかいうことになるとちょっとドラスティックなところにいきなりいってしまうような気がしておりまして。

 

 

 

できれば,その帳簿等を見られると助かるかなという気がしておるんですけれども。その点,もし御検討いただけると助かるかなという気がしますが。

 

 

  •  今の説明請求権と帳簿のところございますけれども,こちらの方ではパブリック・コメントに付された意見も踏まえて,意見の方も説明を求めるという方だけで,帳簿などの細かい資料についての閲覧というのはさすがに行き過ぎだろうという,恐らくそういう御判断で意見が寄せられていましたものですから,それに従ったというのが1つと,もちろんそれに加えて,じゃあもう一歩進んだらどうかという点も問題になります。

 

 

その点については,こちらでももちろん検討はしたわけなんですけれども,やはり信託についての状況を知りたい,ということについては,契約当事者ですので当然に付与しましょうという判断は適当だろうと思っているんですが,それに加えて,信託についてのその先にある帳簿ですとか細かいような資料になりますと,これについては,信託によってはかなりのものがいろいろ出てきたりしますので,信託が大きな信託,あるいは商事的な信託ということになるのかもしれませんけれども,そこにはやっぱり受託者の負担という点もあるのかもしれませんし,利害対立あるいはそういったもろもろの委託者の地位について後退させるとしたことについての,制度的な理由かと思うんですけれども,そういったものがあり,信託についての説明を求めるというのと,やはり帳簿その他のものについて閲覧あるいは謄写をさせるというのとでは扱いを変えた方が,今回の委託者に関する全体の考え方の中ではふさわしいのではないかなというふうに考えたというところでございますが。

 

 

 

  •  今のは説明ではありますけれども,何かさらにもし御意見があれば。

 

  •  全体の御意見のあれでしょうから,この点には余りこだわろうという気はないんですけれども,実際上のことを考えるとその方が助かるかなという気がちょっとしておるという,意見だけ申し上げさせていただければと思います。

 

 

  •  御意見を伺って,もし検討してみて委託者も加えた方がいいということになれば,また提示いたしますが,一応原案ということでよろしいでしょうか。

 

それじゃあ,次いきましょう。

 

  •  受益者が複数の場合の権利の関係でございまして,提案1というのは,受益者が複数の場合における損失てん補請求権と原状回復請求権につきまして,資料ですと45ページの(注2)のとおりに,各請求権がいわゆる単独受益者権であるという考え方をとることを前提といたしまして,ある特定の任務違反行為について,受益者ごとに別々の請求権を行使した場合に,受託者がいずれの義務を履行すべきかという点について検討したものでございます。

 

 

ですから,(注2)が前提となっております。

ところで,信託における受託者というのは,信託の本旨に従いまして,信託財産をあるべき姿で管理処分することが求められていると思われます。

 

 

そこで,みずからの任務違反行為によって信託財産に損失及び変更を生じさせた受託者としましては,受益者に対して信託財産をあるべき姿に戻すこと,すなわち信託財産の原状を回復することをその債務の内容として負担しているものと思われます。

 

 

そうすると,原状を回復請求権と損失てん補請求権とが競合して行使された場合は,原状回復請求ができないとする特別の事情がない限り,原状回復請求が優先するものと考えるのが相当であると思われるわけでございます。

 

 

そこで両者が競合して行使された場合には,提案1のとおり受託者は原則として原状回復義務を履行することを要しまして,その上でなお信託財産に損失が生じております場合には,資料45ページの(注1)に書きましたとおり,その損失についてさらに損失てん補義務を履行すべきこととなるとしてはどうかと考えるものでございます。

 

 

次に,提案2でございますが,一部の受益者から損失てん補請求がされた受託者がとることのできる対応について,検討したものでございます。

 

 

原状回復の優先性を前提といたしますと,一部の受益者の損失てん補請求に応じて,受託者が損失てん補義務を履行してしまった場合に,他の受益者はもはや原状回復請求をすることができないとの考え方をとるのは妥当ではないと思われます。

 

 

その反面,受託者が自発的ではなくて請求に応じて,損失てん補義務を履行した場合においても,その後に原状回復請求権がなされれば,受託者は常に原状回復にも応じざるを得ないといたしますと,受託者は二重に義務履行を強いられることになりまして,酷に失すると思われるわけでございます。

 

 

そこで,一部の受益者から損失てん補請求権を受けた受託者は,この義務を二重に履行せざるを得なくなる事態を避けるために,提案2のとおり,他の受益者に対して原状回復請求をするかどうかを催告することができるといたしまして,催告に対して回答しない受益者は,もはや原状回復請求をすることはできなくなるとしてはどうかと考えているわけでございます。

 

 

ところで,視点を変えて付言いたしますと,受益者からの請求のされ方については,どちらもまだ何も請求されていない場合,それから一部の受益者から原状回復請求されている場合,全部の受益者から原状回復請求がされている場合,一部の受益者から損失てん補請求がされている場合,全部の受益者から損失てん補請求がされている場合と,こういう5通りがあると思われるわけでございます。

 

 

 

まず,提案1で述べましたような優先性からいたしますと,一部または全部の受益者から原状回復請求がされていれば,受託者は原状回復義務を履行すべきことになると思われます。

 

 

そこで,まだどの受益者からも請求がない場合について,検討してみたところでございますが,この両請求というのは,いずれも受託者の任務違反行為に対する受益者の救済手段ですので,救済対象である受益者が原状回復ではなく損失てん補の方を望むのであれば,その意思を尊重するのが適当であるように思われるところでございます。

 

 

原状回復の優先性というのも,それは一般的には受益者の利益にかなうものと考えられることを根拠にするものですので,まずは救済対象である受益者の選択を尊重しつつ,選択が競合したときに原状回復の方を優先すればよいと考えるわけでございます。

 

 

そうしますと,いまだ請求がない場合におきましても,受益者の選択の尊重ということを重視しますと,受託者としては受益者全員の意思をまずは確認するのが一貫した考え方ということになると思われますが,しかし請求が全くない段階におきまして,任務違反行為を自覚した受託者としてみずから責任を履行するのではなくて,あらかじめ受益者の意思を確認すべきだというのも,いささか違和感のあるところでございます。

 

 

そこで,いまだ請求がない場合におきましては,受益者の意思の尊重の要請を働かせるべき局面には至っていないものと考えまして,受託者において原状回復と損失てん補のいずれを履行することもできると考えてはどうかと思うわけでございます。

 

 

ただ,信託の性質と受益者の保護の要請からきます原状回復の優先性といいますのは,この場面でも尊重されるべきでございまして,損失てん補をしたものの後から原状回復請求がされた場合には,受託者は原状回復を履行せざるを得ないことになると思われるわけでございます。

 

 

 

そうすると,受託者としては二重の義務履行をしなければならなくなる危険性を回避するためには,原状回復の方を履行しておくべきことになろうと思われるわけでございます。

 

 

以上は,資料の45ページの(注3)というところの考え方でございまして,このように考えてはいかがかと思うわけでございます。

 

 

そうすると,次に資料45ページの(注5)に書きましたとおり,全部の受益者から損失てん補請求のみがされていた場合について,それにもかかわらず受託者が原状回復の方を履行して損失てん補を免れることができるかという点が問題となってまいります。

 

 

もちろんこの場合,受託者としては損失てん補義務を履行しておけば,一切の責任を免れることになると思われますが,例えば任務に違反して信託財産の株式を売却したというような場合におきまして,任務違反行為のときの株価に比して現在の株価の方が下がっているというときには,受託者としては現状回復の方が得策だと判断する可能性があるわけでございます。

 

 

 

原状回復の優先性にかんがみますと,全部の受益者から損失てん補請求がされているとしても,なお受託者の方で原状回復の方を履行することが許されそうでございますし,受託者が現状回復をしてしまえば,結局損失の要件が欠けることになりまして,もはや損失てん補請求を追及し続けることができなくなると,いうようにも考えられるところでございます。

 

 

 

しかし他方,受益者の意思の尊重ということを重視すれば,全部の受益者が損失てん補請求をしているのに,受託者の方でいわば勝手に原状回復をするのは妥当でないように思われますし,原状回復がされれば,常に損失が回復されたものと言えるかという点につきましても,反対の見解があり得るところでございます。

 

 

このような(注5)の問題については,どのように考えたらよいかという点が,この(注5)の問題提起の趣旨でございます。なお,類似の問題は,一部の受益者のみから損失てん補請求が現にされている場合にも生ずると思われるところでございます。

 

 

 

最後に,以上の説明でございますが,これは受益者に両請求権のいずれを行使するかの選択権があることを前提にしたものでございますが,これまでお話申し上げましたとおり,選択権があることに起因してかなり複雑な法律上の問題が生じてくることは否定できないところでございます。

 

 

そこで,資料46ページの(注6)に記載いたしましたとおり,法律関係の簡明化の観点などからいたしますと,受益者は原則として原状回復請求のみが可能であって,特別な事情がある場合には,逆に損失てん補請求のみが可能であるというふうにする考え方もあり得るところでございます。

 

 

 

この点につきましても,どのように考えるべきか,御意見を賜れればと思っております。

以上でございます。

 

 

  •  それでは,この点について御意見を伺いたいと思います。なかなかこれを考えると難しい問題をたくさん含んでいるんですが,いかがでしょうか。

 

はい,○○幹事。

 

  •  難しいところで,何が問題なのかをちょっと突き止めたいという意味での質問をさせていただければと思います。

 

これは前の第25で,15ページですが,の書きぶりをどうするかということで,先ほど指摘させていただいたところとも関係するかと思います。

 

 

要するに,原状回復請求と損失てん補請求,それぞれの内容がどういうものかということをもうちょっと詰めないと,難しくなるのかなと思います。

 

 

いずれにしましても,原状回復の優先性という御提案の考え方は,私も基本的にそれでよろしいかと思うんですが,それはあくまでも両者が重なる範囲内においてだと思うのですね。

 

 

ですから,重なるというのがどういう場面か。同一な任務違反行為に基づき,であっても,何て言うんでしょう,損失てん補請求の方からいいますと,原状回復請求にあるいは原状回復にかわる損失てん補というものと,原状回復をしてもなお残る損失のてん補というのがあり得るんだと思います。

 

 

 

請負でいいますと,修補と損害賠償の関係はまさにそうでして,修補にかわる損害賠償と,修補とともにする損害賠償というのは区別されておりますけれども,それと同じようなものがここでもあるのかなという気はいたします。

 

 

ただ,原状回復としてどういうものをイメージするかによって,それがまた実際上は変わってくるのかもしれませんが,いずれにしましても,損失てん補に関して2つ分けられるとしますと,原状回復請求の優先性というのはあくまでも原状回復にかわる損失てん補と原状回復の関係に言えることであろうと。

 

 

原状回復とともにする,原状回復しても補われないような損失は,またそれとは別ではないかなという気がいたします。それがわかるような書きぶりをこの第71でもすべきかと思いますし,それが第25の書きぶりにもまたはね返ってくるのではないかなという気がいたします。

 

 

どうすればいいかというのは,なかなかちょっと具体的に御提案することができないんですけれども,そういったあたりが実は問題じゃないかなという気がいたしました。

以上です。

 

 

  •  全くそれはその点から同感ですが,規定の仕方を言われますけれども,○○幹事が今言われたように,原状回復とそれから損失てん補の優先性が問題になるのは,まさに重なっている部分だけであって,重なっていない部分は別途損失てん補が請求できると。

 

 

それは受益者が多数であっても同じであると。単独の場合はもちろんですけれども。という理解でよろしいんじゃないかと思います。具体的な何かいい例がもしあれば--。

 

 

  •  具体的にいい例かどうかわかりませんけれども。

例えば信託財産,ちょっと今ある例と違うかもしれませんけれども,信託財産に何か機械があってそれで何か生産していましたと,それでその機械が壊れてしまいましたと,したがって原状回復しろと言ってその機械を修理するなり設備を直すなり,新しい機械を入れるなりする,というのが1つの原状回復であると思うんですけれども,その壊れていた期間,それが稼動して売り上げが上がって利益があったじゃないか,というのはまた,その壊れていて放っておいたので,その間活動ができなくてその収益が落ちたじゃないか,というのはまた損失ということで追及できるというのが,いい例かどうかわかりませんが,それが1つの例かなと思います。

 

 

番人

「現状回復って登記もあるんだよね。」

 

 

 

  •  はい。○○幹事。
  •  今,○○幹事がおっしゃったことと矛盾することではないという趣旨で発言をしたいんですけれども,○○幹事は損失のてん補と現状の回復という効果の方からおっしゃいましたが,損失と変更というこの要件について,事務局がどう考えていらっしゃるのかというのを少し伺いたいと思います。

 

 

例えば金銭がなくなった,盗まれたということが明らかだと,いうときにはこれどっちと言ってもいいんだと思う,原状回復も恐らく金銭の支払いになるでしょうから,一緒だと思うんですが,損失と考えて損失てん補,aの方の号で考えていらっしゃるのかなと思います。

 

 

それに対して,ある会社のですね,新日鉄でもソニーでもいいですけれども,株券が1万株盗まれたというときに,先ほど○○幹事が価格が変動したときの考え方を例として挙げられましたが,そのときは変更が生じたというふうに考えて,原状回復がまずあると。

 

 

しかし損失が生じたとも考えられると。同じ事実について,変更と損失,要件の方では両方に当たるということがあり得るという前提があって,原状回復の救済方法としての優先性,何かそういう話になるんでしょうか。

 

 

 

そこが,ある一つの事実である部分が損失,ある部分が変更がある,というのは認めた上でですね,同じ部分について損失でありかつ変更であるということを,あると考えているのか,それとも変更である以上は損失ではない,と考えるのか,そこがちょっとわからないので教えてください。

 

 

  •  そこはやはり,その物の見方で両方あり得るんではないかと思っておりまして,その株券を失った場合というのもまさに原状回復であれば同じ物を返すということですし,それを金銭的に損失と見れば損失てん補だと。

 

 

どっちでいくかというのは,受益者の自由でございますけれども,どちらでも,それは構成の仕方次第ではないかと思っております。

 

 

 

  •  ○○幹事が特に強調されたのは,25の1のa,bというところに書いてある要件のところですね。同じ事実が損失にも該当し,変更にも該当することがあるかと,簡単に言えば,ね。

 

 

  •  今,あるということで。わかりました。
  •  はい。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ,○○委員。

 

 

  •  71の1,2ともですけれども,例えば1番の原状回復請求の優先性であるとか,受託者の催告の規律という,いずれも少人数の非営業信託というのであればこういうのが妥当しますし,そういう規律なんだろうなというふうに思うんですけれども,やはり営業信託でなおかつ集団投資スキーム的なもの,これについてちょっと考えた場合,なかなかやっぱりワークしないんじゃないかなという感じがいたします。

 

 

1つは,営業信託ですから,○○委員がよく言われる,金もうけの信託ということの観点からいきますと,やはり金銭賠償というのを投資者が念頭に置いてやっておりますので,損失てん補というのがやっぱり最初に来るんだろうなというのが1つ,それとあと実際上の問題で考えた場合ですけれども,ワンワン方式で1対1で考えればわかりやすいんですけれども,例えば投資信託みたいなもので,株の売買を日々やっていますというのと,受益者の入れかわりも激しくありますといったときに,それじゃあ原状回復というのは何か1つすぱっと切れば,そのときの財産はどれだけあって,じゃあその分を補てんしないといけないというのは出てくるかもしれませんけれども,それは多分大変な作業だろうなという感じがいたします。そういうことが1点。

 

 

 

それとあと,我々信託銀行で信託事務をやっていましたら,やはり失敗もありまして,補てんすることもあります。そのときに基本的に金銭で補てんする場合もありますし,例えば株式とわかっていれば株式でそこを入れるという場合もあります。

 

 

ただ,例えばそれが数万円の場合もありますし,場合によったら数十円とかですね,そんなような場合もあると。そうすると,それをいちいち催告してどうなんでしょうかと,数千人,数万人のお客さんに聞くと,そういうのはやはり非現実的なところではないかなというふうに考えています。

 

 

そういう観点からいきますと,1つは営業信託というものについて,デフォルトとして金銭賠償という形,損失てん補というのをデフォルト・ルールにしていただけないかということが,要望として1つあります。

 

 

 

それが難しいということであれば,せめて信託契約,信託行為に書くことによって,てん補であるとか原状回復とかですね,そういう方法を記載してそれに従うような形にしていただけないかなというふうに思っております。

 

 

  •  後者は可能だと思いますけれどもね。
  •  後者はあり得る。前者はなかなかそれは厳しいかなという感じです。

 

 

  •  少し確認させていただきたいんですが,商事,営業信託であれば金銭であるという認識でいるというふうに今,発言されたと思うんですけれども,その実際にいろいろと今言われたようにミスをするということは当然あって,それを戻していると思うんですけれども,それは原則お金で戻しておられると,今,そういうおっしゃり方をしたんでしょうか。

 

 

 

  •  それは,その物自体が明確であれば,それはまさに原状回復するのを前提に考えていますけれども,例えば本当に原状回復といったって,例えば数万円のものがあったときに,それじゃあそれを原状回復するんですかといったら,その場合はその,どういうんですか,原状回復という定義というか,意味自体がどうなのかよくわからないのですけれども,それだけ損失が出たときに,物自体が外に出たことによって損失が出た,といったらそれを戻すという行為について,わかる限りにおいてはやっていますけれども,それがどこまで調査してですね,やっていけばいいかというのはわかりませんので,そこはその金銭賠償でやることというのが,金額が低額の場合には多いんじゃないかと思います。

 

 

 

  •  今のは恐らく原状回復を認めることについての問題というのを御指摘されているんだと思うんですが,どちらかというと我々としては,商事信託,営業信託においても原状回復というのが受託者が人から財産を預かっているので,まず第一義的なものじゃないか,というふうに考えております。

 

 

 

その中で,試案の考え方というのは,原状回復は難しいですよというような場合はしなくてもいいです,というような考えをとっておりますので,今言われたところと試案において原状回復を認めているというのが,余り矛盾するような感じがしないのですけれども。実際の営みに近いような規範に,原状回復はなっているんじゃないかという気がするのですけれども。

 

 

 

  •  そういう形で明確に認めていただけるんであればですね,その原状回復するためにどれだけ特別の事情ですか,そういうものがあるのかないのかというのが,やはり複雑な信託になればなるほどわかりづらいですよね。

 

 

そうすると,ひょっとしたらこれをもうちょっと調査すれば,きちんと財産というのがわかって,それを原状回復できるのかもしれないけれども,まあそこまですることはないでしょう,ということも結構あるんじゃないかと思うんですよ。

 

 

明確に,例えば土地信託で建物の一部がどうかなりました,と言ったらそれはそれを修復しましょう,という話になると思うんですけれども,複雑な信託でなおかつ当事者が多くて,お金の出入りも多いというものについて,果たしてそういうのがわかるのかどうか。

 

 

 

そういうものをそんな調査をかなり要して,手間暇かかって仕方がないものについては,別にそれは金銭賠償でもいいですよというんだったら,それはそれで構いませんけれども,

 

 

  •  その調査がしにくいので金銭賠償ということなんですが,その金銭賠償すべき額というのは当然,その適切な額を算定しなくちゃいけないわけで,受益者との間でももちろんそういう義務があるということだと思うのですが,原状回復は調査してもなかなかできないんだけれども,お金に換算するのは非常に簡単だというのが,何となくよくわからないんでございますけれども。どういった例を,複雑な信託というのは--。

 

 

 

  •  例えば,運用しているのが,たくさんの運用財産があった場合,例えば投資の中だったら基準価格が間違っていましたという形があって,入ってきたお客さんに対して高い基準価格だったらお金は高い基準価格で購入していますから,そういうお客さんに対してどういう形で対応していくかというふうに考えたときに,やっぱり考えていくとわからないところってたくさんあるんですよね。

 

 

 

  •  今のは,仮に原状回復でやろうとしたら,どういうふうにしたらいいかというのはよくわからないと,そういう意味ですよね。確かに。

 

 

  •  ですから,そんなのは金銭賠償でいいですよ,っていうふうに割り切るというか,この規律というのはそういうことなんですよ,というんだったらそれは安心できるわけですけれども。

 

 

  •  どこまでカバーするかわかりませんけれども,25の方でしたか,原状回復と損失てん補の一般原則の方ですけれども,そこは著しく困難といわれて,これはちょっとあれかもしれないけれども株の費用がかかるとか,そういう場合は原状回復ではなくて損失てん補で構わないという考え方で,それでうまくカバーできないかという感じがするのが1つです。

 

 

しかしそれではうまくいかないので,損失てん補だけにというわけにはいかないでしょうけれども,受託者の方で,責任を負う方の受託者の方でどっちか選べるということになると,ちょっとこれは行き過ぎで,なかなかそこまでは行けない気がするんですね。

 

 

 

  •  そこのルールみたいなものを信託契約に書くというのは,それは別に構わないということですね。

 

 

  •  それは構わないと思いますね,僕の意見ですが。

はい。

 

 

  •  これはやっぱりかなり難しい話で,催告権にも絡むんですけれども,受託者がすべき事柄なんですけれどもね。まず損失てん補請求を受けたとしますよね。

 

 

それに対して,原状回復を自発的にやったら,それはそれでいいわけですか。今,○○委員は--。

 

 

  •  僕はさっきそういうことを言ったけれども--。
  •  だめかもしれないという。

 

 

  •  そこまで強くは言わなかったわけね。そういうこともあり得るんじゃないかという話をしたので。

 

  •  それで,そうすると催告はしなくてよいわけですね。
  •  そう,その立場をとればね。

 

 

  •  それとですね,その損害賠償をしてきた人がいるときに,損失てん補請求をしてきた人がいるときに,原状回復をすると過分な費用がかかるというふうな事情があるときには,催告はしなくていいんでしょうか。

 

 

  •  これは催告義務の関係ね。催告がなかなか難しいものがたくさんあるような気がする。

 

 

  •  これやっぱり催告は本当に,その商事信託で受益者が多数になると,やっぱり大変なことだと思いますので,どうやったら催告をすることを免れるのかというのは,考えておいた方がいいような気がするのですが。

 

 

  •  これは催告義務というよりは,催告することができるということですので,ちょっと紋切り型で恐縮ですけれども,自信があれば,来られてもただし書きでいけるというふうにすればやらなきゃいいし,自信がなかったらやるしかないということだと思うんですけれども。

 

 

  •  はい,○○委員。
  •  例えば訴訟が提起されてですね,損害賠償請求の提起がされて,そういう観点からいくと訴訟告知をしても,まあわかる限りやりますということかもしれませんけれども,それで例えば負けてしまったらどうなるんですか。

 

 

 

  •  訴訟をしなかった--。
  •  いや,ごめんなさい,訴訟告知をしても,全員にできるということは多分できないと思いますので,じゃあそれで訴訟をやったら負けてしまいましたっていって,そのうちをてん補しました,でもある人が出てきて,いや原状回復でないと嫌だというふうに--。

 

 

 

  •  それはしかし,その告知できない人には効力が及んでおりませんので,その人が請求するのは自由になりますので,我々の提案の考え方ですと,原状回復が来たらそれに応じなきゃいけないということになってしまいますね。

 

 

  •  そうすると,原状回復もやるということになってしまうという--。
  •  損失てん補した部分については,不当利得として信託財産に求償していくと。そういう帰結でございます。

 

 

  •  今までに少し関連するところなんですが,受益者が多数おりまして,受託者の1つの行為を理由に多数の受益者から損失てん補なり原状回復の訴訟が提起された場合に,そういった訴訟全般について,合一的に判断するというようなことについては,特に考慮する必要はないという前提でよろしいのかどうか,ということが1点目でして。

 

 

それから第2点目で,その原状回復の裁判と損失てん補の裁判が2つ係属している場合に,それぞれの訴訟がどういった形で影響を与えるのかという点について,少しイメージが沸かないところがありますので,受託者として抗弁としてそういった原状回復の裁判がなされているということを,もう一方の訴訟に対して出せば,何らかの効力が生じるという整理になるのか,そのあたりについて御教示いただければと思います。

 

 

 

  •  私の方から御説明いたしますと,まず原状回復請求訴訟と損失てん補請求訴訟について,類似必要的共同訴訟という形にして,両方が違う裁判所に提起された場合には,同一の審判をしなければいけないというふうにするという方法もあるのかとは思うんですけれども,なかなかそこまで,例えば期間を区切って一定の期間までにそのいずれかの請求をしなければいけない。訴えを提起しなければいけないという形にするのは,やはりその受益者の保護という観点から難しいのではないかと,いう形がいたしますので,今の前提というのは,各受益者が訴えを提起できて,仮に原状回復請求と損失てん補請求訴訟が両方起きた場合には,その受託者,被告である受託者の方が,現状回復請求訴訟も一緒に来ていますという形で,一緒に併合して審判をしてくれという形にして,同一の裁判所でやるようになれば,当然この原状回復優先性というルールが働きますので,原状回復の方を判断していくという形になるというようなことを考えておりますけれども。

 

 

 

  •  そうしますと,損失てん補の請求の方はその場合どういった終わり方になるんでしょうか。

 

 

  •  そちらの方は,現状同一な任務違反行為に基づいて原状回復がされましたと。原状回復がされたことによって,損失が発生していないということになれば,棄却されるということになると思いますけれども。

 

 

 

  •  いや,裁判のことまで考えるといろいろ難しいですね。これはまあ,きょう,ある意味で初めてお出しするもので,原状回復と損失てん補については,一般原則の方は既に御議論いただいておりますけれども,それとも若干は関連するし,きょうはここでは御承認いただくということとかしないでですね,次回以降もう一回検討するということでよろしいでしょうか。

 

 

ただ御意見があれば,伺っておきたいと思いますが。今,大体出たような御意見を,またこちらで検討したいと思います。よろしいでしょうか。

どうぞ,○○委員。

 

 

  •  1点だけ確認なんですけれども,先ほど損失てん補か原状回復かを信託契約に書いてということはいいんではないかということですけれども,催告の仕方とかというのもよろしいんでしょうか,考え方として。

 

 

  •  例えば公告であるとか,そういうことでございますか。そこまではちょっと十分均一考えておりませんが,そこも合わせて検討したいというふうに思います。

 

 

  •  ちょっと催告のところはね,受益者多数だとちょっとネックになりますよね,たしかにね。

はい,どうぞ。○○幹事。

 

 

  •  今のことにも関係するんですが,信託契約でどちらの請求権を選択するか。例えば多数決あるいはその他の集団的意思決定の対象にすることは,これは認めないという前提と理解してよろしいでしょうか。

 

 

  •  そうすれば話は簡単なんでございますが,ここはやはり受益者の保護という観点からは,単独受益者権という規律がいいのではないかというのを前提にしていきたいと。これは後日,また議論されるところでございますが,一応それが前提の上での話でございます。

 

 

 

  •  バランス論として,受託者の責任を免除するのは,これは多数決でできるという御提案ではなかったでしょうか。

 

 

  •  受託者の責任を免除するためには,原則として全員一致ということで,その多数決にするかどうか,多数決できるかどうかにつきましては,確かに我々の従前の提案というのはできるとすることが相当なんではないかと,いうことはしておりますけれども。

 

 

  •  免責は多数決でできるけれども,救済の方法を選ぶことはできないと,多数決では。

 

 

  •  これは1人でできるんです。各自がそれぞれどの請求をするかでひしてしまうということで,多数決にできるかというか,信託行為で多数決でないとできないとしてしまうかという意味でございますか。

 

 

 

  •  多数決で,少なくとも多数決で決められて,多数決ができなかったときには原則に戻るといいますか。

 

 

  •  原則1人でできるという強行規定に考えておりまして,それをその信託行為で加重することはできないというふうに考えておりますので,常に1人でできるという方向で考えているところでございます。

 

 

  •  請求権自体は多数決で免除できる。
  •  責任は原則全員一致なので,本当は全員一致が必要なんですが,多数決でも許されると。こちらの方は,本来一人一人ができることでございまして,それを過重することはできないと。出発点が全然逆でございますので--。ちょっと検討してみますけれども。

 

 

  •  なかなか--。

どうぞ,はい。

  •  なかなかあのわからないんですけれども。今の1人が請求した後に,多数決で免責することはできない。

 

 

 

  •  それはできるんです。それはできます。免責自体はできますから。
  •  免責ができるっていうのはもう,その1人が損害賠償請求訴訟を起こしても,棄却になるわけですよね。

 

 

  •  棄却でしょうね。結論的にはそうなってしまいます。
  •  そうすると,幾つかあと検討していただければありがたいんですが,これは例えば100万円損害が生じたといって損失てん補請求権をしたある受益者がいて,で,それに100万円支払ったと。しかしその後の人がやってきて,実は200万円だったからもう100万円払えというふうに言えば,それも認められるわけですね,ずっと。

 

 

  •  それは本当に200万であれば,残りの100万は認められるということになります。追加的な部分ですね。
  •  はい。
  •  よろしいでしょうか。何かほかに御意見があれば,伺っていきたいんですけれども。この規定自体がもうちょっと検討しないと。

はい,どうぞ。

 

 

 

  •  1点お伺いしたいことがありまして,損失てん補請求が受益者からされましたという場合に,原状回復を履行することが受託者の方で自発的にできるのかと。

 

 

受益者の方で原状回復か損失てん補請求かの一方の方を選択した以上,受託者はそれに従うべきなのかどうかという,ここの(注5),(注6)で書いたところについて,この点につきましてはどのように考えるべきかというのを,いろいろ事務局の方でも考えておりまして,例えば注文者のところですと,瑕疵修補請求と損害賠償請求の方は選択的に行使することが,原則としてできるという形になっておりますので,このあたりどのように考えたらいいのかというのを今後検討する参考に,御議論いただけると助かるんですけれども。

 

 

  •  なおさら難しいんだな。

直ちに,すぐにこれだという意見がなかなか出にくい,難しい問題だと思いますので,もし御意見があれば,今の--。

  •  今の話は2つに分けて考える必要があるような気がするんですが,つまり,損害賠償請求訴訟が起こって,それで判決が出てですね,それは履行方法と原状回復をしたということになりますと,そもそもその債務名義の内容と原状回復の内容とがイコールとは限らないわけですが,そういう判断の手続というものがどこかに必要となってきますよね。

 

 

それに対して,口頭弁論終結時までの間に原状回復してしまいますと,損害がないという抗弁ができるような気がして。そうすると,自発的な原状回復をしますと,実質的にはいずれにせよ選択的にできるという結論が出てくるんじゃないかという気がしたりもするんですが,よくわかりませんけれども。余り自信はないですけれども。

 

 

 

  •  私も○○幹事と同じ意見です。損失てん補請求される前に変更が生じて,損失てん補請求される前に自発的に回復する場合というのがありますよね。そのときに一たん変更があったんだから,損失てん補請求をそれ以上認める必要はないと思うんですね。そうであるならば,さらに損失てん補請求が一たんされたということで,みずから変更された状態を回復するということで,受益者から訴えられるということを避ける利益を,受託者から奪う必要はない。したがって,訴訟が提起されたとか,あるいは訴訟前でその損失てん補請求をされたからといって,受託者がとり得る方策は限定されないんだろうと。

 

 

多分最後のところは,○○幹事の話の最初のところですが,判決が出てしまうと,それに基づく執行というのを封じるには,請求異議を出さないといけないですよね。請求異議で修補したんだからというのでは通らないんじゃないかなと。金銭の支払いを命じる,これは支払いじゃなくて作為なんですかね,こういう勘定から信託勘定に移しなさいという作為を命ずる判決に対して,修補したというのでは請求異議が認められる事由にはならないんだろうと。実質的にはやっぱり履行になってないんだろうというふうに思います。

 

 

  •  はい,どうぞ。
  •  今,○○幹事,○○幹事,お2人とも,損害の基準時というのはやっぱり口頭弁論終結時になるんであるという,まず御見解だと思うんですが,すみません,私の理解が間違っているのかもしれませんけれども,一般的には債務不履行時を原則としてという理解なんですけれども,ここはなぜ口頭弁論終結時に遅れるのかと,それがその信託だからなのか,どういう理由なのかがちょっとよくわからなかったんですけれども。そこはどのような御説明が--。それとも前提が違うのかもしれませんが。

 

 

 

  •  それは損害賠償の額の評価時点というのと,損害賠償債権が存続しているかどうか,という問題は違うという話じゃないでしょうか。

 

 

  •  損害の存在なんだろうと思うんです。損害の存在は口頭弁論終結時がやはり基準時であって,そこでその要件が満たされなくなってしまうので,損害賠償額のあるいは損害額の基準時の問題には入らないということなんじゃないでしょうか。

 

 

  •  大体わかってきました。そうしますと,例えば価値の修補と損害賠償が選択できるというような場合について考えますと,私は君に瑕疵修補してくれなくていいから,お金で返してくださいということを言ったんだけれども,いやいや私は直したからと言われたら,それを受け取った上で,本当に瑕疵修補されているかなというのを調査するというのが結論になる。まあそれと同じ結論になんだろうと,そういうことになるわけですね。

 

 

  •  わかりました。
  •  なかなかね,請負なんかのことを考えるとちょっと難しい。信託はちょっと--。

 

 

  •  そうなんですけれども。請負はですね,そういうのが問題になるときに,注文者が引き渡し後のことが多いので,人のものをさわれるかという問題がそこに出てくるのに対して,自分の占有物に対してある一定のことをするという信託の場合と,なかなか微妙に違った問題が起こってくるのかもしれないですよね。事実としてはね。

 

 

  •  はい,○○委員。
  •  最初に○○幹事がおっしゃったところに戻ると思うんですけれども,原状回復にかわるてん補と,原状回復とともにするてん補で,ともにするということは登記事実として残るわけで,あとは何をすれば原状回復をしたことになるかという問題だと思うんですよ。ですから,その組み合わせだけでそんなに難しいことはないのではないかと思うんですけれども。

 

 

 

  •  といってもまだ難しい問題がありそうだけれども。

はい,○○委員。

 

 

  •  架空の問題ではなく,現実的といいますか,あり得る現実性,本当かどうかわかりません,年金なんかですとおびただしい数の受益者がいらっしゃると思うんですけれども,あとまだ年金受給者にはなっていなくても将来の受給者の方のような方もいるとおもうんですけれども,そういう場合に受託者が何かこの損失てん補請求といいますか,何らかの形で信託財産を毀損してしまったときの解決が,やっぱり効率的に解決される必要があると思うんですけれども。

 

 

その場合のことを考えると,個別の何人かの受給者たる受益者が訴訟を起こしてですね,多くの訴訟がほとんど和解で終わると思うんですが,和解で終わる分,和解では終わらせられないということがまず大きな問題として1つ生じるのかなと思いますし,訴訟告知をするといってもできないケース,または現在確定していない受益者がいるということになりますと,何か永久に,永久というと大げさだけど半永久的に訴訟は,とにかく判決で確定し,その確定した判決が間違ったということでちゃんと抗弁として利用でき,抗弁になるんですかね,既判力が及んでいませんからその判決が正しいんだということを主張して,みたいなことになってしまうので,何か多少既存の法的な,民訴的な視点でもそうですけれども,理屈もそうですけれども,効率的な解決が図れるようにしておかないと,数えられる範囲の複数の受益者の場合は構わないと思うんですが,ちょっとそれが何千,何万とかいう状況になってきますと,個々に権利があるということは非常に受益者保護にとってはすばらしいことだと思うんですが,解決できないという視点からすると,非常に何か社会的な問題になり得るのではないのかなというふうに感じたんですが。

 

 

 

  •  おっしゃるとおりですね。今御議論いただいているのも,いろいろな点を御議論いただいておりまして,損失てん補と原状回復,2つの救済手段の間の単なる抽象的な関係といいますか,1人の受益者の場合にも生じる問題ですよね。

 

 

それが多数の受益者でもって,今○○委員が言われたように,あるいは○○委員も指摘されましたけれども,多数の受益者のときの優先関係のルールというのを設けたときに,果たしてうまく機能するのかどうかという,そういう問題を御指摘いただいたと思いますけれども,これはもう一度検討したいと,そのように考えております。

 

 

 

  •  今の○○委員の関係で,事務局の中でも1人の受益者が訴訟を提起したその効果が他の受益者にも及ぶ,というような制度をつくれないかどうかということを検討はしてみたんですけれども。

 

 

例えば株主代表訴訟のような形にすれば,1人の株主が訴えを提起して,その効果が会社に及ぶと。会社に及ぶということの反射的な効果として,他の株主に及ぶということで,1人の株主の訴えの提起が究極的には他の株主に及ぶということなので,それと同じような制度にすることによって,1人の受益者は訴えを受託者に提起しましたと。

 

 

 

その訴えの確定判決の効果が,他の受益者にも及ぶというようなことができないかなというふうに考えたんですけれども,やはり他の受益者にとってみると,自分のあずかり知らないところで確定判決の効果が及んでしまって,それによって損失てん補請求とか原状回復請求をするという機会が奪われてしまうと。

 

 

そうだとすると,何らかの訴訟告知を受託者に義務づけるとか,訴えを提起した受益者に義務づけるとか,そういう制度も一応あり得るのかと思うんですけれども,そうだとすると受託者が任意に訴訟告知をするという,現行の民事訴訟法にあるような制度を用いるとしておけば足りて,特に他の受益者の情報を知らないことがありますので,訴えを提起した受益者が訴訟告知をするというのは現実的ではありませんし,かといって,受託者に義務的に訴訟告知をさせるというよりは任意で,この場合には訴訟告知をしようというケースと,これはほかの受益者は多分言ってこないだろうから訴訟告知はしなくていいだろうというような,それを選択というのかどうかわかりませんけれども,そういう裁量の余地は与えておけば足りるのではないかなということで,今のところはそういう制度は設けていないということなんですが,これはあくまで事務局の中で考えたことに過ぎませんので,ここで何か御意見等ありましたら,ぜひ述べていただけますと大変助かりますけれども。

 

 

 

  •  いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは,ただいま出てきたような御意見をまた参考にしながら,もう一回練り直して,もう一回御提出したいと思います。

それでは終わります。

どうもありがとうございました。

-了-

 

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すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。菊と刀のルース・ベネディクトさんって女性だったんだ。」