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2016年加工編  法制審議会信託法部会  第20回会議 議事録
2016年02月14日

2016年加工編

法制審議会信託法部会

第20回会議 議事録

 

 

 

第1 日 時  平成17年9月16日(金)  自 午後1時02分

至 午後4時41分

 

第2 場 所  法務省第1会議室

 

第3 議 題

信託法改正要綱試案に関する意見照会集計結果について

信託の公示について

裁判所の監督について

信託財産の範囲について

信託財産の付合等について

受託者の相続財産からの分離について

信託財産に係る混同について

受託者の権限の範囲について

合併又は会社分割による受託者の変更について

解任及び辞任以外の受託者の任務終了事由について

受託者の選任について

受益者の利益の享受について

受益債権についての物的有限責任について

 

第4 議 事 (次のとおり)

 

 

 

議        事

 

  •  ただいまから第20回信託法部会を開催したいと思います。

(幹事・関係官の異動紹介省略)

それでは,今日の議事の進め方も含めて,これも○○幹事からお願いします。

 

 

  •  では,本日の議事でございますけれども,まず最初に事務局の方から,今回のパブリック・コメントの集計結果について,資料に基づいて概要を御紹介させていただきたいと思います。

 

 

それが終わりましたら,本日はパブリック・コメントの結果なども踏まえまして,基本的にさほど争いがないであろうと思われる点について御審議の上,この部会での意見を取りまとめさせていただきたいと思っております。

 

その項目をあらかじめ申し上げておきますが,全部で12項目ございまして,1つは,第6の信託の公示について,第7の裁判所の監督について,第8の信託財産の範囲について,第9の信託財産の付合等について,第11の信託財産の相続財産からの分離について,第15の信託財産に係る混同について,第30の受託者の権限の範囲について,第36の合併又は会社分割による受託者の変更について,第38の解任及び辞任以外の受託者の任務終了事由について,第40の受託者の選任について,第43の受益者の利益の享受について,最後に第50の受益債権についての物的有限責任についてでございます。

 

 

 

  •  それでは,以上のように進めていきたいと思います。

最初に,パブリック・コメントの関連について○○幹事から説明をお願いします。

 

 

  •  では,パブリック・コメントの結果について,第1から順次御説明していきたいと思います。

 

 

まず第1,信託の意義についてでございますが,まず1,このa,bの2要件が満たされるものを信託というという点につきましては,圧倒的に賛成意見ということでございます。

 

 

部会の中では,分別管理義務を信託の意義に含めるかどうかという議論もございましたけれども,特にそのような要素を定義に含めなくてもよいのではないかという意見が何件か示されているところでございます。

 

 

続きまして,太字の2,これは信託契約の効力の発生時期についてでございますけれども,これも,信託契約が合意によって成立し,かつその契約により信託の効力が直ちに生ずるという諾成的な契約であることについては,多数から賛成意見をいただいているところでございます。

 

 

補足的意見のところにありますが,そのように,諾成的な契約であるということで異論はない,ただし,財産の移転以前には分別管理義務や帳簿作成義務は生じないということと,給付請求に応ずべき責任財産は存在しないということで,給付義務もないという前提で賛成するという意見が示されているところですが,事務局の考え方も,ほぼこれも同様でございます。

 

 

第3番目に,信託契約の効力発生時における債務の引受けにつきましても,御意見をいただいたところからはすべて賛成意見をいただいているところでございまして,そのように当初から債務の引受けをできるとすることが,社会的資源の活用手段の多様性の観点から望ましい。

 

 

あるいは,信託設計後において債務の引受けができるのであるから,信託設定の段階で認めても問題ないということなどが補足意見として示されているところでございます。

 

 

以上のようなところで,第1については圧倒的に賛成意見が多かったという状況でございます。

 

 

次に第2でございますが,まず,1の脱法信託の禁止につきましては,意見をいただいているところからは,すべて賛成意見をいただいているところでございます。

 

 

続きまして,2の訴訟信託の禁止につきましては,やや意見が分かれておりますが,賛成意見の方,すなわち現行法の規定の趣旨を維持するという意見がやや優勢であったかなというところでございます。

 

 

 

続きまして,第3の詐害信託についてでございますが,これは太字の1の(1)(2),太字の2,(注)も含めまして,意見をいただいたところ,これも圧倒的に賛成意見。○○弁護士会の方から反対意見が述べられていることを除きますと,すべて賛成意見と申し上げていいかと思います。

 

 

 

若干細かい話でございますけれども,例えば破産法上の否認権についても,これと平仄を合わせた規定の整備が必要であるといった意見が散見されますし,それから,1の(1)の取消しの場合は受託者を被告とするというのが事務局の考え方でございますが,その場合の受益者の権利保障を何らかの方法で講じる必要があるのではないかといった意見も示されているところでございます。

 

 

そういうことで,基本的な信託に関する規律としては,これで圧倒的に賛成意見をいただいたと認識しているところでございます。

 

続きまして19ページ,第4,受託者不適格者についてでございますが,圧倒的に賛成意見が多数でございました。

 

 

第5,受託者による受益権の全部の継続保有の禁止についてでございますが,これも反対意見はございませんで,意見をいただいたところは,すべて賛成意見でございました。

 

 

補足意見ではいろいろと意見がございますけれども,例えば,受託者が受益権を保有している間の権利行使に何らかの制約が生ずるか否かについては,明らかにされたいというような意見も示されているところでございます。

 

 

しかしながら,規律としては,国有財産での保有を継続したら信託は存続させないという規律に賛成するという意見が圧倒的に多数であったところでございます。

 

 

続きまして,第6,信託の公示についてでございます。

これにつきましても,試案の本文に書いてあるところにつきましては,一部に反対意見があった以外には,(注)の部分も含めて賛成意見が示されているところでございます。

 

 

これにつきましては,後ほどまた改めて御審議いただく予定の項目でございますので,もう少し詳しく御説明の上,御意見を伺えればと思っております。

 

 

第7,裁判所の監督について,24ページでございます。

これにつきましても,2件の反対意見が示されている以外は大多数から,規定は削除するということでいいという賛成意見をいただいているところでございます。

 

 

これにつきましても,後ほど御審議をいただきたいと思っているところでございます。

 

続きまして,第8,信託財産の範囲についてでございます。

これは,御意見をいただいたところからは,すべて賛成意見でございました。

後ほど御審議をいただきたいと思っております。

 

続きまして,第9,信託財産の付合等についてでございますが,これも本文につきましてはすべて賛成意見。(注)で分割に関する規律を設けること,中身はともかくとして,このような規律を設けることについても,すべて賛成意見でございました。

 

 

これもやはり後ほど議論をお願いしたいと思っております。

続きまして,第10の識別不能に関する規律でございますけれども,こちらは何件か反対意見もございましたけれども,太字の1,2,3を合わせまして,大多数は賛成意見をいただいているところでございます。

 

 

意見はいろいろとございますが,例えば,識別不能についての共有擬制の場合に,その識別不能だった当時における価額をもって共有とするという規律を提案しておりますところについて,事後的に価額の変動があった場合,それが反映される必要があるのではないかといった意見が何件か示されております。

 

 

それ以外につきましては,このように,基本的に共有の擬制をすることにつきまして,圧倒的多数から賛成意見をいただいております。

 

 

続きまして,第11,受託者の相続財産からの分離につきましては,念のため規律を設けるべきではないかという御意見が1件あった以外は,すべて削除することへの賛成意見をいただいているところでございます。

 

 

後ほどこの方向で御審議いただきたいと思っております。

続きまして,第12,信託財産に対する強制執行等についてでございます。

 

 

1の,信託財産に対して強制執行することができる列挙された権利の中身,それから,違反して強制執行等がされた場合に異議を主張できることにつきまして,御意見をいただいたところからは,すべて賛成意見をいただいているところでございます。

 

 

なお,若干補足的に申し上げますと,この(1)から(4)以外に,前回,補足説明でしたか,それ以外にも,例えば租税債権ですとか信託財産を所有することにより負担する法定の損害賠償債務に係る債権などにつきまして,信託財産に対して強制執行できるといったことを書くべきかというところについては,明確性の観点から書いた方がいいのではないかといった意見が示されておりました。

 

 

 

それから,この試案の(注)のところで,信託事務処理につき不法行為をした場合について,不法行為に基づく損害賠償に係る債権者が信託財産に強制執行ができるかという問題がございまして,それについては部会でもさまざま御審議をいただいたところでございますが,やはり意見も区々に分かれておりまして,一まとめにできないのですが,大まかに言いますと3種類あって,1つは,取引的不法行為の場合,それから信託財産たる工作物の所有者責任のようなもの,それから事実的不法行為,その中でも,事実的不法行為を過失によって行った場合と,受益者の指図によってそういう行為を行った場合,そのように類型を分けて考えるべきではないかという意見がございました。

 

 

 

なお,本来強制執行ができない権利に対して受託者が任意に弁済してしまった場合に,不当利得の返還請求を受益者ができるかという問題について,補足説明で付記させていただいたところでございますが,不当利得請求できるとすべきであるという意見が1件ございました。

 

 

続きまして,第13,受託者の倒産の場合における信託と倒産手続との関係についてでございます。

 

 

これにつきましても,太字の1,2,(注1)(注2)をあわせまして,多少の異論もございますが,ほぼ圧倒的多数から,このような規律を設けることに賛成するという意見をいただいたところでございます。

 

 

なお,資料で言いますと38ページになりますが,破産管財人等の双方未履行双務契約の解除権についてというところで,受託者が破産した場合,受託者の破産管財人にはそのような解除権がないということは一致した意見と言って問題ないと思われますが,委託者が破産した場合につきまして,当部会では,あえて規律を設ける必要はない,解釈で十分対応できるということで,ほぼ御意見を一致させていただいたと認識しておりますが,パブリック・コメントの結果を見ますと,38ページに書いてありますように,解除権を明文で規定すべきという意見が幾つか示されているところでございます。

 

 

 

意見がないところは,部会の結論のように特に規律を設けなくていいということかと思いますが,あえて規律を設けるべきだという意見がかなり示されていたところもございましたということを付言させていただきます。

 

 

40ページに参りまして,相殺に関する規定の取扱いでございますが,太字の1と太字の2につきましては,反対意見はありませんでした。(注1)(注2)の債権者保護規定を設けるかというところにつきましては,若干意見が分かれておりまして,反対という意見も数件示されているところでございます。

 

 

反対といいましても,細かく言いますと,およそ不要というよりは,中身によって,例えば信じるに足りる正当な理由というのでははっきりしないので,善意無過失という要件にすべきではないかといった意見がかなり示されているところでございます。

 

 

そうしますと,およそ規律を設けることに全く反対だという意見はなくて,書き方の問題かという気がしているところでございます。

 

 

続きまして46ページに参りますが,第15,信託財産に係る混同についてでございます。

 

 

これは反対意見は全くございませんで,意見をいただいたところは,すべて賛成でした。後ほどこの方向で御審議をいただければと思っております。

 

 

第16,委託者の占有の瑕疵の承継についてでございますが,規律を削除するという甲案と,現行規律を維持するという乙案を併記させていただきましたところ,これは双方の意見がございまして,分布を見ますと,甲案に賛成する意見,削除すべきというのが5件程度,現行規定を維持するという意見が9件程度ということで,乙案が多数であると言ってよろしいかと思っております。

 

 

甲案につきましては,受託者の独立の占有を認めるべきであって,これを削除するのはそれに資するということ。乙案は,規律を削除してしまってすべて公序良俗,権利濫用等で対応するのは現実に対応できない場合もあり得るので,削除することは好ましくないといった意見でございました。結論的には,乙案が優勢であったということでございます。

 

 

 

続きまして,受託者関係に移らせていただきます。

まず,49ページの信託事務遂行義務につきましては,「信託の本旨に従い」という言葉を改めるべきだという御意見を一部いただいた以外は,すべて賛成ということでございまして,逆に,49ページ上から3つ目にありますように,○○弁護士会からは,実質的な意図に沿って,信託事務を処理するという意図を明らかにすべく,「信託の本旨」とすることは妥当であるという意見も示されているところでございます。

 

 

大多数が試案に賛成ということでございます。

続きまして第18,善管注意義務についてでございます。

 

 

これも,善管注意義務を任意規定とすることについては,多くのところから賛成意見をいただいております。反対意見なり補足意見というのも,任意規定をすること自体に反対というよりは,加重軽減はできる,しかし免除までは許されないことを明記すべきではないかという方向の意見でございます。

 

 

そういう観点からは,事務局としても免除までできるとは思っておりませんので,第18の規律については,大多数が賛成ということでよろしいのではないかと思っております。

 

 

 

 

 

 

あと若干の補足意見では,例えば,第18に関する具体的な規定も設けるべきではないかといったものもございます。部会のかつての審議では,そこまでする必要はないであろうということを申し上げたと思いますが,やはりそのような具体化も必要という意見も示されているところでございます。

 

 

それから(注)につきまして,現行法第21条を削除するという点につきましては,あった方がいいだろうという意見が一部示されている以外は,すべて削除でいいという意見でございます。

 

 

続きまして52ページから,忠実義務でございますが,まず一番最初,1の規律を設けることにつきましては,反対意見が1件あった以外は,すべて賛成意見でございます。このような規定を設けることは,効力規定として賛成であるという意見でございました。

 

 

なお,54ページの【その他の意見等】にございますが,一般条項である1においても禁止例外規定を置くべきであるという○○の御意見ですとか,1について利益相反取引の禁止の例外規定,他の2,3,4の例外規定に該当するような行為は忠実義務違反にならないことを明らかにしてほしいという○○の御意見がありました。

 

 

部会でもそのような御意見は出されているところでございますが,ここでもそのような意見が示されているところでございます。

 

 

それから,太字の2でございますけれども,これは後でちょっと詳しく申し上げますが,基本的にはこのような規律を設けることに賛成である。

 

 

太字の3につきましても,このような規律を設けることに賛成であるという意見が多数であったと言ってよろしいかと思います。

 

 

この資料の中では,例えば55ページに一部反対ということを書いておりますし,57ページ,競合行為の禁止のところでも反対という意見がございますが,特に55ページの一部反対という意見などを全般的に総覧いたしますと,これは規律を設けることがおよそだめだという意味ではなくて,試案では,受益者の利益を犠牲にして第三者の利益を図る目的という主観的な要件を示していたところでございますが,そこは客観的な基準を用いるべきであるといった御意見が何件かあるところでございますし,仮に主観的な目的要件を定めるとしても,その立証責任は受託者側が負うべきであることを明らかにすべきであるといった意見も示されていたところでございまして,そういう観点から,一部反対という意見が結構あったところでございます。

 

 

 

それから,かつて部会の中で,受益権の取引が利益相反行為になるかという御議論がございましたけれども,それにつきまして資料の55ページ,「受益権に係る取引について」というところに書いてございます。

 

 

これは忠実義務の問題とすべきではないという意見を○○,○○からいただいておりますし,56ページの【その他の意見等】の2つ目では,○○からも,受益権に係る取引については利益相反行為として禁止の対象としないことを要望するという御意見で,意見をいただいたところはすべて,受益権取引は利益相反取引の規律の対象には入らないという意見が示されたところでございます。

 

 

 

続きまして57ページ,4の利益取得行為の禁止のところでございますが,これは一番幅広く禁止規定を設ける甲案と,およそ規律は不要とする丙案に意見が分かれまして,中間的な乙案という意見はございませんでした。

 

 

甲案,鑑賞料のようなものをとるとかリベートのようなものを受け取ることを禁止するという規律に賛成という御意見が11件ほど,およそ規律は不要であるという丙案が14件ほどございまして,規律を設けないという丙案がやや優勢かなというところでございます。

 

 

甲案に賛成する意見では,申し上げるまでもなく,受益者の保護とか受託者の権限濫用の防止に有用であるという意見を述べておられますし,他方,丙案に賛成する意見では,このような規律を設けると受託者に萎縮的効果を与えることになり,結果として受益者の利益に反するとか,利益相反行為の規律あるいは第14条の信託財産の範囲に関する規律,あるいは忠実義務の一般規定をもって補足することができるので,あえてこのような利益取得行為の禁止の規律を設ける必要はないであろうといった意見でありました。

 

 

それから第5,これはいわゆる公平義務に関する規律でございますが,若干の反対意見があったものの,大多数は,このような規律を設けることに賛成という意見でございました。

 

 

 

 

 

ただ,60ページ【その他の意見等】の一番上にありますように,忠実義務と公平義務の規律は分離して,独立の項目とすることがわかりやすいと考えるという意見が複数のところから示されているところでございます。

 

 

続きまして,忠実義務違反等の効果についてでございますが,まず,太字1の利益相反行為の禁止に違反する行為を無効とした上で,追認できて,第三者が絡むと権限外としての規律に服するというところにつきましては,賛成意見が多かったところでございます。なお,62ページの下に【一部反対】と書いてございますが,この反対というのは,信託財産間取引に関するところでございまして,試案では,信託財産間取引も当然無効としているわけでございますけれども,そこは他の信託の受益者の利益がありますので,取引を無効としないことを要望する,無効とする必要はなくて,第三者間取引に近い取扱いをするのが適当であるという意見が何件か示されているところでございます。

 

 

 

続きまして,2の,競合行為の禁止及び利益取得行為の禁止というところでございますが,これは有効と見なした上で,いわゆる介入権類似の規律を設けるということで,すべて賛成意見で,あえて言及すべき反対意見,補足意見はございませんでした。

 

 

問題は4番目,いわゆる利益吐き出し責任のところでございまして,甲案は,会社法と類似の損害の推定規定の規律を設けるにとどめるという見解,乙案は,いわゆる利益吐き出し責任を正面から認めるという見解でございますが,65ページに書いてありますように,甲案に賛成という意見が8件。余り数で言うのもよくないんですが,一応数で申しますと,8件。

 

 

それに対しまして,利益吐き出し責任の規定を正面から設けるべきだという乙案に賛成する意見も,66ページにありますように8件。バランス的にもいろいろな分野から御意見をいただいておりまして,意見伯仲というところでございます。

 

 

先ほど言いましたように,利益取得行為の禁止については設ける必要がないというのが多数でありましたが,こちらについては,両方が伯仲しているところでございます。

 

 

 

 

 

 

続きまして,分別管理義務のところでございますけれども,これにつきましては4件ほど反対意見をいただきましたが,賛成意見が多数であったところでございます。反対意見,補足意見の中身は,76ページまで挙げさせていただきましたが,区々に分かれております。

 

 

目につくものを一つ二つ挙げますと,試案の提案では,登記・登録できるものについては,一定の猶予は認めつつも,最終的には必ず登記・登録が必要だということになっているわけでございますが,それはやはり信託行為の定めをもって排除できるとするべきではないかと。

 

 

例えば,抵当権付の金銭債権の信託の場合には,被担保債権の分別管理がされていれば抵当権に係る登記は必ずしもしていないこともあるので,その点に配慮してほしいという御意見ですとか,券面のある有価証券については,商慣習に従って預託を行っているので,信託行為に別段定めをしなくても分別管理義務違反にならないようにしてほしいというような意見,実務の現状に照らして,登記・登録できるものは信託行為の定めで外すことを許さないというところについては,少し規律が厳し過ぎるのではないかという意見が何件か示されているところでございます。

 

 

続きまして77ページ,信託事務の処理の委託に移らせていただきます。

まず1の,現行の規律の方向性を見直して,より委託できる幅を広げるという方向性につきましては,反対意見もありますものの,圧倒的に賛成意見が多いと言わせていただきたいと思います。

 

 

1つ飛ばして,3の,委託を受けた受任者の責任を削るというところにつきましても,81から82ページになりますが,1件反対意見があったほかは,多数の方が,このような規律を削除することに賛成の意見でございます。

 

 

意見が分かれておりますのが,甲案,乙案を併記しているところでございまして,大勢を見ますと,甲案に賛成しているところが乙案に賛成しているところの倍ほどございまして,結果的には甲案の方が,かなり優勢であったと言ってよろしいかと思います。

 

 

 

 

主な意見の内容を見ますと,第三者への委託可能性を広げることによって信託事務処理の円滑を図るという観点からは,受託者の責任もある程度限定することが受益者の利益にもかなうのではないかというのが甲案を支持する意見として出されているところでございます。

 

 

他方,先ほど第3項の受任者の責任を削ると申し上げましたが,そこは異論がないといたしましても,それは乙案が前提だという意見も示されておりまして,受益者の権利保護を後退させる事態を招かないためにも乙案に賛成するというような意見が,乙案の側からは示されていたところでございます。

 

 

意見はさまざま分かれておりますが,甲案,乙案ということで言えば,甲案が優勢であったと言わせていただきたいと思っております。

 

 

以上が第22の概要でございます。

なお,2の(2),1に違反して委託をした場合には,不可抗力を理由として責任を免れることはできないというところについては,反対はありませんでした。

 

 

続きまして,83ページからの第23,帳簿作成義務等についてでございます。

 

これは規律自体が細かいのですが,1個ずつ意見をいただいております。総覧いたしますと反対意見は非常に少なくて,少なくとも太字の1,2,3に関する限りは,圧倒的にこのような規律を設けることに賛成だという意見が示されたところでございます。

 

 

(注1)と(注2)(注3)につきましては若干意見が分かれておりまして,87ページ以降にそれぞれ意見の概要を示させていただいておりますが,例えば(注1)につきましては,受益者多数の集団信託に関する限り,会社法と同様の規律を設けることに賛成するという意見が示されておりますし,(注2)については,信託行為による制限を認めることについては相当ではないのではないかという意見が示されております。

 

 

また,○○からは,重要なものとそうでないものを分けて閲覧請求の対象を限定するのは望ましくないといった反対意見が述べられているところでございます。

 

 

89ページの「その他について」でございますが,これは情報請求権全般に関する規律のあり方に関係いたしますが,信託財産が金銭債権である場合の債務者のプライバシーの保護ですとか,他の受益者のプライバシーの保護に留意した規律を望むというコメントが付されていたところでございます。

 

 

そういうことで,(注)のところでは若干意見が分かれておりますものの,試案の本文についてはおおむね賛成の御意見をいただいているところでございます。

 

 

それから90ページ,第24,受益者名簿作成義務についてでございます。

 

これも多くのところから賛成意見をいただいているところでございます。

 

91ページにございますように,特に複数受益者がいるときには受益者名簿を作成することを原則とすべきであって,受益者多数の場合で受益者集会などを導入する場合には,必要的に作成すべきだという反対意見はありましたものの,90ページの〔補足的意見〕の一番最初にありますように,自己の情報を知られたくない受益者の存在であるとか,そもそも受託者自身が受益者を把握していない信託類型も存するので,任意規定とすることは妥当であるという意見が大勢を占めている状況でございます。

 

 

(注1)から(注4)につきましては,91ページにございます。(注1)から(注3)までは特に反対といった意見はありませんが,(注4)については,閲覧拒否事由を法定する,あるいは信託行為で制限できるようにすべきかどうかというところについては若干意見が分かれているところでございまして,特に信託行為で制限することについては,91ページの下にございますように,妥当ではないという○○の御意見,また,○○も,受益者名簿の閲覧の利益が勝るので留意していただきたいという御意見。

 

 

その下の下になりますが,○○からも,信託行為の定めで閲覧請求を制限できるのは妥当でない。その下の,○○の御意見も同じでございます。

 

 

他方,92ページの上から2つ目ですが,○○,○○からは,濫用的な閲覧を防ぐことができるような適切な制度設計を望む,また,下から2つ目の○○からも,やはり信託行為の定めで制限することを認めるべきであるという御意見が示されておりまして,これは賛否が分かれているところでございます。

 

 

続きまして,第25,受託者の損失てん補責任等についてでございます。

これは別に反対意見はございませんで,1,2,を含め,こういう規律を設けることにすべて賛成意見をいただいているところでございます。

 

 

(注)の,損失てん補請求権と原状回復請求権の行使のあり方については,なお検討するというところにつきましては,94ページの〔補足的意見〕にございますように,いずれかの満足が得られればその他の請求は認められないという考えもありますし,原則として原状回復が優先されるべきであるといった御意見も示されているところでございます。

 

 

これにつきましては,後ほどまた検討を続けさせていただきたいと思っているところでございます。

 

 

続きまして95ページ,消滅時効のところでございますが,これは太字の1から4まで特に異論はなく,補足説明の中身と同じで,このままでいいのではないかという印象でございます。

 

 

(注)につきましては,利益吐き出し責任のところがペンディングでございますので,消滅時効を設けることについては賛成だという意見が多くございますことを踏まえて検討していきたいと思っているところでございます。

 

 

第27,法人役員の連帯責任についてでございます。

これも1件反対意見はございましたけれども,本文については,おおむね賛成意見でございました。

 

 

なお,(注)については,やはり時効と同じように,利益吐き出し責任のところについては追って検討することにしておりますが,ここでは連帯責任を課すかどうかというところにつきまして,連帯責任を課すことに賛成という御意見が4か所からありました反面,連帯責任を課すことに反対であるという意見が,やはり4か所から示されているところでございます。

 

 

これも,利益吐き出し責任の規律をどうするかということとあわせて検討していきたいと考えております。

 

続きまして,第28,違法行為の差止請求権につきましては,こういう規律を設けることへの反対意見はございませんでした。

 

 

補足的意見の細かいところでは,受任者に対して差止請求を認めるかという問題で若干意見が分かれておりまして,例えば○○はその必要性を認めないと言っておりますが,○○は,できるべきであると言っているところでございます。

 

 

さらにその下の○○は,受託者に委ねているのだから受任者に対する差止請求は否定するのが妥当ということで,いろいろ分かれているところでございます。

 

 

続きまして101ページ,第29,検査役選任請求権につきましては,このような検査役選任請求権の規律を設けることに賛成であるという意見が圧倒的多数ですので,その意見に基づきまして,規律の整備を図っていきたいということでございます。

 

 

 

 

 

 

第30,受託者の権限の範囲につきましても,これは後ほど御説明いたしますが,試案の規律で反対なしということでございましたので,このような方向でいきたいと考えているところでございます。

 

 

第31,受託者の権限違反行為についてでございます。

まず太字の1の規律の仕方につきましては,意見をいただいたところ,若干分かれておりますが,多くのところがこのようを規律をすることに賛成だと。

 

 

103ページの賛成意見の方が104ページの反対意見よりも優勢であったという状況でございます。

 

太字の2,取消しの効果が他の受益者にも及ぶというところにつきましては,105ページに示させていただいたように,圧倒的多数がそのような方向に賛成であるということでございます。

 

 

取消権の消滅期間につきましては,太字の3と(注2)にかかわるところでございますが,若干意見が分かれております。

 

 

105ページに挙げさせていただいているように,現行法どおりでいいという賛成意見がかなりの件数あるところでございますが,それに対しまして,期間について,短過ぎるということで反対の御意見もかなりの多数,むしろちょっと多いぐらいでございますが,示されたところでございまして,期間をより長くした上で催告の制度も整備するのが妥当ではないかという意見が比較的多いのではないかという感じでございます。

 

 

これが太字の3と(注2)をあわせた意見の分布状況でございます。

それから(注1)と(注2),特に(注1)相手方の主観的要件の証明責任をどうするかというところにつきましては,この審議会でもかなり御議論いただいたところでございますが,パブリック・コメントの結果でも意見が五分五分でございまして,106ページになりますが,受益者が立証責任を負うという見解,これは取引の安全の観点とか,取引当事者ではない受益者が取り消すんだから,詐害信託取消権の場合と同じように受益者が責任を負うべきであるという御意見と,受益者は十分情報を有しないのだから相手方が立証責任を負うべきであるという御意見とに分かれているところでございます。

 

 

 

(注3)の,民法第117条に類する責任を設けるべきかどうかといったところにつきましては,あえて賛否とはしておりませんが,意見が分かれている状況でございます。

 

 

続きまして,第32,費用等の補償請求権,109ページ以降でございます。

 

まず太字の1,信託財産から費用の補償を受ける権利につきましては,(1)から(5)まで,おおむね賛成意見をいただいたところでございます。

 

 

ただ,○○と○○から反対意見がございました。この反対というのは,全部についてではなくて,(4)になるんでしょうか,一定の権利に対してのみ優先権を付与するという規定は非常に複雑なことになるということから,そのような規律は望ましくないのであって,優先関係については権利者単位とすべきではないかという御意見が示されておりました。

 

 

次に,太字の2,受益者からの費用償還請求権の問題でございますが,109ページに書いてございますとおり,甲案は本来受益者にいけるという考え方,乙案というのは,特別に信託外の合意をして初めて受益者にいけるという考え方でございます。

 

 

これにつきましては,112ページにありますとおり,さまざまな分野から御意見をいただいておりますが,甲案に賛成と乙案に賛成が同数でございまして,伯仲しているところでございます。

 

 

甲案,すなわち受益者には当然にいけるという案を支持する方からは,利益を享受する受益者がリスクも負担するのが相当であって,補償請求権は信託実務にも根付いていて,それを前提に実務が運用されているということ,あるいは,個別の合意をすると受益者によって補償請求できるかどうか区々になってしまって,公平を害するおそれがあるというようなことが述べられているところでございます。

 

 

これに対しまして,個別の合意をすべきだという乙案の方からは,同意なくして義務を課されることはないのが民法の大原則であるとか,あるいは,そもそも信託というのは受益者に利益を与えるものであるという信託のあり方,それから,特に高齢者,障害者などが受益者になった場合に,当然に請求権があるというのでは問題が大きいというような考え方,あるいは比較法的な考え方などもあわせて,乙案を支持するという意見が出されているところでございます。件数としては,ここは平等というところでございます。

 

 

 

あと3,4,5につきましては,すべて賛成意見をいただいているところでございまして,基本的に,この試案の規律でよろしいのではないかというのが,このコメントを踏まえた考えでございます。

 

 

(注1)から(注5)につきましても,特にここで言及するようなことはございません。意見はところどころ示されてはおりますが,基本的にこのような方向を御支持いただいたものと認識しているところでございます。

 

 

次に,第33,報酬請求権についてでございます。

 

まず1,原則無報酬であるというところにつきましては,全部から賛成意見をいただいたところでございます。ただ,117ページの〔補足的意見〕にございますように,信託行為に額の定めなどがない場合におきまして,受託者が相当な額を決定したときは異議権を受益者に認めて,その場合は裁判所による報酬額の決定の手続を設けるべきであるといった御意見が何件か示されたところでございます。

 

 

 

それから,2の(2),受益者に対する信託報酬請求権につきましても甲案,乙案を提示させていただいております。甲案は,信託行為をもって信託の一環として報酬請求権がある,乙案は,個別の合意が必要だという考え方でございますが,こちらの方は乙案の方がやや優勢でありまして,受益者の意思を重視して乙案によるべきだという意見の方が,甲案によるべきだという意見よりも数は多かったかなということでございます。

 

 

 

先ほど言いましたように,補償請求権については平等というか,対等だったわけでございますが,報酬につきましては,特別の合意が必要だという意見の方が優勢であったというのが意見分布の状況でございます。

 

 

2の(1)(3)(4)につきましては特に異論なく,意見をいただいたところからは,すべて賛成意見を示していただいたところでございます。

 

 

続きまして,第34,受託者が複数の信託に関する規律についてでございますが,太字の1から4まで,試案の規律自体は,意見をいただいたところからは反対意見はなかったところでございます。

 

 

 

 

 

試案の本文には書いていないところで若干意見がありましたのが,1つは,共同受託の場合の名義のあり方でございまして,121ページの【その他の意見等】に幾つか出てくるわけでございますが,職務分掌型の共同受託においては単独名義で契約ができて,登記・登録も単独名義でできることを明確にしていただきたいというかなり強い御意見が○○からございましたし,○○からも同じように,やはり単独での公示を望む趣旨の御意見をいただいているところでございます。これが1点目でございます。

 

 

それから,123ページから124ページにわたりますが,これも部会では御議論いただきましたけれども,受託者の1人に債務名義をとることによって,信託財産に対して強制執行することができるかどうかという問題につきましては,意見が2つに分かれております。

 

 

例えば,123ページの一番最初の意見であれば,他の共同受託者との関係でも債務名義をとる必要があるという意見が述べられている反面,124ページの上から2つ目,○○でございますが,1人に債務名義をとれば信託財産に強制執行することができるという意見でございます。

 

 

125ページの上から2つ目の○○につきましては,やはり全員に対する債務名義が必要だという意見でございますが,○○は1人に対してでいい,相手方からすると,だれがほかの共同受託者かわかりにくいからだというような意見。要するに,賛否入り乱れている状況でございまして,執行法との関係も含めて,なお検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。

 

 

 

続きまして126ページ,第35,受託者の職務の引受けについてでございます。

 

 

 

 

 

これは反対意見はございませんでしたが,回答の相手方が受益者になっているところについては,催告をしてきた者についても常に回答すべきであるという○○の意見もありましたし,後ほど御説明しますが,委託者は受益者に信託設定を通知したくないという利益がある場合があるわけでございまして,ここで受益者に対して常に回答すると,そのような利益を無視してしまうことにもなりますので,その点などを見直した上で,後日改めて提案したいと思っております。

 

 

 

続きまして,第36,合併又は会社分割による受託者の変更につきましては,若干の反対意見がございますものの,おおむねこのような規律を設けることで賛成という意見でございます。これは後ほど御審議いただければと思っております。

 

 

続きまして,第37,受託者の解任及び辞任についてでございます。

 

まず,解任につきましては若干意見が分かれておりまして,賛成意見がかなり多数でございました。131ページを見ますと反対意見がございますが,そこでは,任意の解任を認めるべきではなくて一定の事項を法定すべきである,特に裁判所による解任の請求権についても一定の制約を課すべきだといった御意見が出されているところでございますが,大多数の方からは,いつでも任意に解任できるという方向でいいのではないかという御意見をいただいているところでございます。

 

 

それから,2の受託者の辞任につきましては,反対意見はありますものの,ほぼ一致して,受託者の辞任を制限する現行法の規定を維持する方向でよいという意見をいただいているところでございます。

 

 

 

 

 

続きまして,第38,解任及び辞任以外の受託者の任務終了事由についてでございますが,これにつきましても,御意見をいただいたところはすべて賛成意見でございます。

 

これにつきましては,後ほど御審議いただきたいと思っております。

第39,前受託者等の義務等についてでございます。

これにつきましても,特にこれといって言及させていただきたい反対意見はありませんでしたので,この方向で,あと若干修正を加えていきたいと考えているところでございます。

 

 

続きまして138ページ,第40,受託者の選任についてでございます。

 

これにつきましては,反対意見が1件だけあるんですけれども,1も2も含めまして圧倒的に賛成意見ということで,後ほど御審議いただきますが,その方向でいきたいと考えているところでございます。

 

 

続きまして139ページから,第41,受託者の交代に伴う法律関係についてでございます。

 

ここについても,御意見をいただいたところは,すべて賛成意見でありました。なお,1点だけ申しますと,141ページの「2について」というところで3か所から御意見をいただいておりまして,前受託者の新受託者への権利義務承継後に権限外行為を行った場合の善意無過失の相手方の保護の条項,それから契約上の地位の承継があった場合の取引の相手方の保護の条項,かつて審議会で御議論いただいた記憶がございますが,このような規律があった方がいいのではないかといった示唆もあったところでございます。

 

 

 

続きまして143ページ,第42,信託財産管理人についてでございます。

これは,(注1)を除いてすべて賛成意見ということで,基本的に選任,権限,義務についてはこの方向でよいとの感触でございます。

 

 

なお,144ページから145ページになりますが,(注1)について,辞任,解任の請求がされたにすぎない段階でも選任を認めるかどうかというところにつきましては,○○,○○,○○からは賛成意見があったのに対しまして,○○は,これには消極的であるという意見が出ているところでございまして,3対1ではございますものの,実務に携わる方の中でも意見が分かれておりまして,第42の規律の中では,唯一意見が分かれていたところでございます。

 

 

続きまして147ページ,第43,受益者の利益の享受についてでございます。

 

1と2について,それぞれ1件ずつ反対意見が述べられておりますものの,圧倒的多数は試案の規律に賛成であるということでありました。後ほど御議論をいただければと思いますが,結論的には,この方向でいきたいと思っているところでございます。

 

 

続きまして第44,信託管理人等についてでございますが,これにつきましても,賛成意見がほとんどであったかなというところでございます。

 

 

ただ,反対というわけではありませんが,若干疑問を呈しているところを少しだけ見てみますと,例えば,受益者の一部のみが権利を行使することができない場合にも,その一部の者のために信託管理人を選任することを認めるべきであるという意見が,反対意見という形にはなっておりますが,示されております。

 

 

それから,○○とか○○から,ここは信託管理人の制度と受益者代理の二本立てでよくて,受託者監督人の制度は不要ではないかといった意見が述べられているところでございます。

 

 

すみれ

「信託監督人(受託者監督人)は必要ないっていう意見もあったんだね。」

 

 

 

あと,権限の中身につきましては,152ページ,153ページに関係してまいりますが,例えば,上から3つ目の○○の御意見で,受益者本人と重畳的に受託者監督人に権利行使を認めるのは疑問であるという意見が示されておりますし,受益者代理につきましては,152ページの下の〔補足的意見〕にございますが,○○から,受益者代理に基礎的事項についての変更の同意権限を与えるべきではないといった意見が述べられております。

 

 

153ページの【反対】の〔補足的意見〕でも,○○から,やはり受益者代理に信託の基礎的な変更の承諾権限を与えることと,信託の利益を受領する権利を与えることに反対するというような意見が述べられているところでございますし,あと,153ページの下の方におきましては,例えば一番下,○○からは,受益者代理に授権された範囲の事項については,受益者本人の権利行使は許されないものとすべきであるといった意見が示されているところでございます。

 

 

今,反対意見を挙げましたが,大多数は試案の内容でいいのではないかという御意見だったということは,念のため付言させていただきます。

 

 

続きまして,第45,信託行為の定めによる受益者の権利の制限についてでございます。

 

これは賛成と反対に分かれておりますが,155ページにあります賛成意見の方が,157ページにあります反対意見よりも若干優勢であったかなということで,パブリック・コメントの結果は,原則として単独受益者権は信託行為で制限できないという方向でいいのではないかという御意見の方が強かったという印象でございます。

 

 

両方ともに,さまざまな分野から意見をいただいているところでございます。

 

 

 

 

なお,(注2)の受益者多数の場合については,信託行為の定めによる制限を認めることをどうするかという点,この場合については,パブリック・コメントの結果を見る限り,むしろ制限を認めてよいのではないかという見解が比較的多数示されているところでございまして,例えば156ページの下から2つ目,○○からは,受益者多数の場合について,一定割合を超える受益権を有する受益者に限って権利行使を認めるなどの特例を設けるべきかという点については,設けるべきであるとの意見が多数を占めたという意見。

 

 

やはり同じように,集団的信託については一定の制限があってよいのではないかという御意見。

 

 

それから,157ページの【その他の意見等】の直前にございますが,○○の方からも同じように,制限を認めていいのではないかという意見,それから,158ページ冒頭では○○からも,やはり受益者多数の場合については権利行使の制限を可能とする規定を整備されたいという意見がありまして,もちろん反対意見もありますが,受益者多数の場合については制限が必要ではないかという意見が,多数示されているところでございます。

 

 

 

 

 

続きまして,第46,受益権取得請求権についてでございます。

 

これを強行規定とするか否かにつきましては,159ページの賛成意見の方が,160ページの反対意見の倍ほどと多数を占めたということで,強行規定とすることに賛成の意見の方が強いと言っていいかと思っております。

 

 

強行規定とするのは受益者の利益を保護する観点から適切であるという159ページの○○の意見に代表されているところでございますし,強行規定とするのに反対の意見は,160ページに書いてございますが,信託の柔軟性を害することですとか,換金性の低い信託においては,受益権を取得することは事実上困難であって,結果的に多数決をできないことになってしまうのではないかということです。

 

 

一言で言えば,信託の柔軟性を犠牲にしてまで強行規定とする必要はないというのが反対意見でございますが,多数は,強行規定とすることに賛成という意見であったところでございます。

 

 

続きまして162ページ,受益権取得請求が認められる要件等についてでございます。

 

 

これは賛成,反対と書かせていただいてはおりますが,よく読むと,賛成,反対と白黒つけられないところでございまして,いろいろな意見が示されているところでございます。

 

 

例えば162ページの上から2つ目,○○では,受益債権の内容の重要な変更と信託財産の管理・運用方針の重大な変更を加えるべきであると言っておりまして,賛成といっても,これはプラスするというんだから一部反対とも言えるものでございます。

 

 

 

 

 

それから,163ページには反対意見が書いてございますが,〔補足的意見〕の一番最初,○○からは,信託目的の変更と受益者間の衡平を害する受益債権の内容の変更は,削除か定義の明確化を要望するということ。○○も同じように,信託目的については明確化を図ってほしいということですとか,軽微な免責については認めるべきではない。

 

 

その下の○○や○○の方からも,衡平を害する受益債権の内容の変更については削除すべきであるということ。その下の○○からの意見は,間接的に受益債権の内容が変更されるものは含まれないと考えてよいのかどうかというように,いろいろ意見が分かれているところでございます。

 

 

また,損害を受ける受益者に限定することについても賛成意見,反対意見が分かれておりまして,164ページの一番上,○○では,損害を受けるおそれのある受益者に限定することには反対すると言っておりますし,165ページの「(注3)について」では,○○や○○からも反対する意見が示されているところでございます。

 

 

他方,166ページ,○○あるいはその上の○○の御意見を見ますと,経済的な損失を被ることのない受益者については認める必要はない,経済的な不利益を受ける者に限られるべきであるということでございまして,要するに,どういう場合にだれが認められるかは,賛否というよりは,いろいろな意見が錯綜しているところでございます。

 

 

続きまして,第47,受益者が複数の場合の信託の意思決定の方法でございますが,本文については,特に目立った反対意見はございませんでして,おおむね賛成の御意見をいただいたところでございます。

 

 

なお,一部から,定足数とか決議要件については強行規定を入れるべきではないかとか,受益者集会や決議の瑕疵を争う訴訟を入れるべきではないかというような意見も示されてはおりましたが,基本的には,規律の任意性,柔軟性を重視した試案の内容がいいのではないかという賛成意見が多数を占めていたという印象でございます。

 

 

続きまして,第48,受益権の譲渡についてでございますが,1及び2につきましては反対意見がございませんでした。

 

175ページに参りまして,3についても,おおむね賛成意見でございまして,補足意見として,異議を留めない承諾には抗弁切断の効力を認めるべきではないかといった意見が2件示されましたが,抗弁はそのまま引き継がれるという試案の考え方でいいのではないかという意見が多かったところでございます。

 

 

176ページの第49,これは受益者に対する補償請求権や報酬請求権の甲案,乙案に対応する形で,当然ながら意見が分かれているところでございます。

 

 

第32,第33の規律が決まれば必然的に決まってくるべきものかなという感じがしております。

 

 

ただ,受益権の放棄の効果につきましては,将来的な放棄も可能とすべきであって,常に当初から権利がなくなってしまうとする必要はないのではないかという意見が○○の方から出されているところでございます。

 

 

第50,受益債権についての物的有限責任については,反対意見はないということでございました。後ほど御審議いただきたいと思います。

 

 

第51,受益債権と信託債権の優先劣後関係でございます。

これは信託債権が優先する甲案と,同順位とする乙案がございますが,結論的には,信託債権が優先するという甲案がかなり多数でございました。

 

 

乙案の方は,信託債権も受託者の固有財産も責任財産となるのであるし,同順位とした上で,信託行為で受益債権を劣後する特約を定める方が柔軟なスキームを構築することが可能になるという意見でございましたけれども,素朴に考えますと,やはり信託財産の価値の維持・増加を目的とした信託債権の方が受益債権に優先するのが公平であろうということですとか,信託債権者の地位が同順位となると,信託債権者のリスク管理に重要な変更をもたらしかねないといったことなどから甲案に賛成するという意見が,数で言えば3倍ぐらいで,優勢であったというのがパブリック・コメントの結果でございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

続きまして,第52,受益債権等の消滅事項等についてでございますが,試案の本文については,特段の反対意見はございませんでした。

 

 

なお,補足的意見として,○○は184ページの一番上,1の(3)の規律は要らないのではないかと言っているのですけれども,他方,○○からは,支払ったけれども帳簿は10年たったので廃棄してしまった,しかし記録上は債権が残っているという証明がないような場合には,1の(3)の規律をもって時効にできるようにしてもらいたいという意見があるということで,1の(3)の規律をもちろん残した上で,そこについて,そういう場合も含まれるようなことを明らかにすべきではないかという意見が述べられているところでございます。

 

 

続きまして185ページ,委託者の権利義務でございます。

 

委託者の権利の中身を基本的に後退させるというところにつきましては,○○から反対意見はありますものの,大多数は,このような方向性でいいのではないかということでございました。

 

 

委託者の地位の移転につきましても,圧倒的多数が,全員が合意した場合に移転するということで問題はないだろうという意見でございます。

 

 

続きまして188ページ,信託の変更についてでございます。

 

まず,一番最初,3者の合意で変更できるということについては,反対意見はございませんでした。

 

それから2,1の例外を認めることについても,反対はない。一部,○○ですか,明確化してほしいといった御意見もありますが,基本的に,一部の者の合意ないし決定で変更できるという柔軟なスキームを法律上明確にすることについては賛成であるという意見が圧倒的多数であったといえるところでございます。

 

 

3,4につきましては,いささか意見が分かれております。

まず3につきまして,これは191ページと,197ページの「(注2)について」にも関連するわけでございますが,要するに,例えば信託行為で第三者の変更権限を与えたときに,制限を加えるべきか否かというのがポイントだと思っております。

 

 

そういうことで,3と(注2)は一体的にお考えいただければと思っております。

 

ここは御意見が分かれておりまして,比較的多くの御意見をいただいているところでございます。

 

 

特段の制限は要らないというのが191ページの賛成意見に挙げさせていただいたところでありまして,〔補足的意見〕にありますように,受益者の権利保障はほかで図られているとか,信託行為で変更権限を付与しているんだから予見可能性が保護されているので,あえて制限を設ける必要はない。

 

 

198ページをごらんいただきますと,○○,○○などからも,特に制限を設ける必要はない。○○からも,制限を設けると信託の柔軟性が損なわれるということで,制限は不要という意見がございました。

 

 

他方,191ページに戻りますが,事項を限って賛成するという意見も述べられておりまして,制限を設ける限りにおいて賛成するという○○の御意見ですとか,○○からも受益者は相対的に弱い立場にあるので,変更できる範囲について制限を設けるべきであるということが述べられておりますし,197ページをごらんいただきますと,(注2)についての〔補足的意見〕にございますように,○○からは,やはり一定の制限を設けるべきであるという意見が述べられております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし,数だけ言いますと,特に制限を設ける必要はないのではないかという意見が,○○や○○,経済的な団体なども含めて,比較的優勢であったかなという印象でございます。

 

 

次に,4の裁判所による信託の変更の問題でございます。

 

193ページ以降になりますけれども,これは管理方法の変更に限るという甲案と,管理方法の変更に限らないという乙案がほぼ同数で,伯仲しているところでございます。

 

 

193ページには甲案,狭くする方に賛成の御意見がございますが,○○では,信託行為の規定は多種多様と思われるので,申立人により提示された変更内容の当否を裁判所が判断するのは困難であると言っておられますし,○○では,やはり甲案に賛成する理由として,信託の変更は本来,関係者の自治によるべき問題であって,裁判所の判断になかなか馴染まない変更について対象とするのは現実的ではないといった御意見を述べられているところでございます。

 

 

果たしてそのようなニーズがあるのかも明らかでないといった意見も述べられているところでございます。

 

 

他方,変更の範囲を信託の管理・保護に限る必要はないという意見,195ページにありますが,これはやはり裁判所の後見的な関与を期待しているものであって,あえて範囲を限定する必要はないし,デッドロックに乗り上げたときのことを考えると,やはり幅広く変更の権限を認めておくべきではないかということでございまして,特に(注4)に挙げておりますとおり,信託の変更に当たっては,どのような変更をすべきか明示して,それについての許可,不許可を判断するというのであれば,さほど困難な判断を要求するものではないのではないかというのが乙案の賛成意見として述べられていたところでございます。

 

 

意見としては伯仲しておりますので,引き続き御審議をいただく必要がある事項かと存じているところでございます。

 

 

続きまして,第55,信託の併合と第56,信託の分割についてでございます。

 

 

これは特に反対意見といいますか,こういう規律を設けること自体については,信託の併合,信託の分割とも圧倒的多数が賛成意見だと認識しております。

 

 

なお,併合,分割ともに○○から一部反対意見があるわけでございますが,信託の併合や信託の分割について,信託の変更の規律をそのまま準用して裁判所の判断の対象とするのは反対であるということでございまして,規律を設けることについては別に反対ではないのだと思いますが,裁判所の判断対象にはするべきでないという御意見が示されているところでございます。

 

 

続きまして207ページ,信託の終了の方に飛ばさせていただきまして,第57,信託の終了事由等についてでございます。

 

 

 

 

これにつきましては,1のcの場合を除きまして特段反対意見はございませんでした。例えば,終了の時期を外部的に公示する必要があるから,その公示手段を検討すべきという○○の御意見ですとか,あるいはdの,必要な期間の判断基準を明確化してほしいといった意見は付記されておりましたが,基本的に,1の規律自体については賛成ということでございます。

 

 

1のcにつきましては,何件か反対意見が示されているところでございます。

 

それは210ページに書いてございますが,信託の終了の要件として,信託の本旨に適合しないことになったというのは不明確な規定であるという○○の御意見ですとか,○○の方からは,このような規律を設けることは,申立てを排除できる可能性が高いとしても,仕組みの安定性を害するおそれがあるのであって,強行規定としてこのような権利が付与されることには反対であるというような意見が述べられているところでございます。

 

 

そういうことで,1のcについてはそのような反対意見も考慮しつつ,引き続き検討していきたいと思っておりますが,ほかのところについては,おおむね賛成意見が多いというのが全体的な感触でございます。

 

 

続きまして,信託の清算についてでございます。

これは賛成意見が示されているにとどまりまして,反対意見は特にございませんでした。

 

 

 

 

 

あえて申し上げるとすれば,受託者が長期不在で信託が終了したときの清算受託者については,職権ないしは請求によって選ばれる必要があるのではないかという御意見がございましたのと,2の(1)と3の場合につきまして,214ページにございますように,信託行為の定めがあるときはその定めに従うという文言を追加してほしいという意見が○○,○○から示されております。

 

 

賃貸借などについては,そのまま引き渡して清算することがあるということで,信託行為に定めがある場合には,必ずしもこのような清算手続を経なくても許されることを認めるべきだという意見が示されているところでございます。

 

 

 

 

 

217ページの第59,信託財産の破産についてでございます。

これは,有限責任信託を認めれば破産手続の整備をすることに賛成だという意見が圧倒的多数であります。

 

 

218ページの反対意見にございますように,破産の場合,ウォーターフォールに従って弁済すれば足りるのだから規律は不要だという意見が1件ございますが,相続財産の破産に倣った破産手続を整備することに賛成という意見が多数でございました。

 

 

なお,意見が分かれておりますのは,一般の信託について破産制度を整備するかどうかというところでございまして,218ページの「(注)について」にございますが,制度の整備に賛成するという意見と,反対するという意見が相半ばしているところで,パブリック・コメントの結果としては,優劣が決められないところでございます。

 

 

あと,信託財産破産手続の細目につきましては,それほど多くの意見も来ませんでして,特段意見が分かれているといって御紹介するほどのこともないのですが,1点申し上げるとすれば,220ページの「破産手続開始の原因について」のところで,債務超過のみで足りるという見解と,支払不能も含めるべきだという見解に分かれていたところでございまして,ほかのところは,おおむね異論がないといった状況でございます。

 

 

 

 

続きまして,第60以降の民事信託に関する規律でございます。

 

まず第60,受益者を指定又は変更する権利については,結論的に異論はございませんでした。

 

 

 

 

第61の遺言代用の信託につきましては,このような規律を設けることに賛成の意見が比較的多い状況でございますし,第62の,いわゆる後継ぎ遺贈型の受益者連続につきましても,このような信託を有効と考えていいのではないかという意見が多かったところではございますが,他方,反対意見といたしまして,そもそも相続法との調整が十分ついていないこの段階で,民事信託に関する規律を設けることについては反対である,あるいは遺留分等との関係も十分明確ではなくて,なお時期尚早ではないかという意見が,特に61,62あたりについては示されたところでございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

続きまして,第63,遺言信託についてでございます。

遺言による信託の設計ができるということについては,賛成意見が大多数でありました。

 

 

すみれ

「信託における遺言の利用、じゃなくて遺言による信託の設計、なんだ。」

 

 

1つ飛んで,3,遺言信託の受託者の選任の請求についても全員が賛成ということで,問題ないと思っております。

 

 

意見が分かれておりますのは,2の相続人の権利義務,甲案と乙案のところでございまして,これは実は第64,237ページの甲案,乙案とも関係してくるところでございます。

 

 

 

 

 

237ページの契約信託の場合で御説明いたしますと,これは承継ありとする甲案の方がかなり優勢でございまして,相続を認める方が自然でありますし,委託者の権利を害することもないだろう。

 

 

 

外したければ信託行為で承継されないとすればよいのではないかということから,契約信託の場合には相続していいのではないかというのが優勢であったと言えます。

 

 

 

 

 

他方,遺言信託の方につきましては意見がほぼ伯仲している状況でございまして,ただいま言いました相続を認める方が便宜であるという意見がある反面,利害関係に着目しまして,やはり遺言信託の場合には,相続人と受益者の利益の対立がより鮮明化しているのであって,承継を認めることは問題ではないかという見解も多くございまして,遺言信託の場合につきましては,意見が相半ばしている状況でございます。

 

続きまして,第65,営業信託でございます。

 

これは反対意見はございません。○○から,弁護士については営業には該当しないというただし書きを設けるべきであるといった御意見が1点示されておりますので,このような点につきまして検討したいと思っておりますが,この試案の本文自体には異論がないというところでございます。

 

 

 

 

 

続きまして,第66の有限責任信託のところでございますが,これは結構はっきり分かれまして,240ページに書いてございますとおり甲案に賛成の意見が非常に多くて,反対意見は,242ページにありますとおり,少しだけという感じでございますが,反対についても,別の法律において規律すべきであるという内容の反対でございます。

 

 

 

 

 

賛成意見は多数ありますが,民事信託の活用,ビジネス上の利用,不動産の流動化のための便宜,専門性の高い受託者の能力の活用など諸々のニーズ,便宜がある,法人を設立するよりもコストもかからないしというようなことで,賛成意見が圧倒的多数でございます。

 

 

 

 

 

他方(注4),すなわち明示した場合には有限になるという規律についてどう考えるかにつきましては,このまとめにおきましては,244ページに【賛成】【反対】と分けて書いておりますが,これも賛成,反対というよりは,意見全体の流れとしましては,明示という一方的な方法によることは反対である。

 

 

 

しかし,合意を要件とするのであれば問題ないのであって,有限責任特約の合意の有効性を法律上認めてもらうことには賛成であるということで,むしろおおむね一致しているのではないかという気がしております。

 

 

 

賛成,反対とは書いてありますが,全体の印象としては,このような方向でむしろ一致しているのではないかという感じでございました。

 

 

 

 

次に,第67,有価証券化のところでございます。

これは,信託法に書かなくてもいいのではないかという反対意見もございますが,246ページにありますとおり大多数は賛成意見でございまして,(注3)の振替制度を設けること,(注4)の,いわゆる信託債のようなものを発行することを認めることについても,賛成する意見が多かったという状況でございます。

 

 

 

 

続きまして,第68,いわゆる信託宣言,委託者と受託者が同一である信託でございますが,これも結構はっきりと色が分かれまして,257ページに書いてありますように,執行妨害のおそれ,信託制度への信頼なども踏まえて反対の見解も若干ございますけれども,253ページにありますとおり,ここでは乙案と丙案をまとめて賛成意見が圧倒的に多数であったという状況でございまして,民事信託の多様な展開,事業上の活用,あるいは同一人のノウハウを活用した事業の展開,民事信託,商事信託を問わず利用価値が非常に高い,貸付債権の流動化などに当たっても非常に便宜であるというようなことで,乙と丙では若干意見が分かれておりますが,導入することには賛成であるという意見が圧倒的多数でありました。

 

 

ここは非常に関心が高かったようで,多数の意見が寄せられたところでございます。

 

 

すみれ

「自己信託も民事信託で活用する見込みだったんだ。圧倒的多数の賛成って、好かれていたんだね。」

 

 

それから第69,目的信託のところでございます。

これにつきましては意見が若干分かれておりますが,方向性としては,甲案よりも乙案の方が優勢かなと。

 

 

件数で言うと2対3ぐらいの感じで優勢かなということでございました。不要だというのは,受益者のための制度であるからであるとか,だれにも処分できない財産がつくられるのは望ましくないという意見でございますが,賛成意見としては,いわゆるチャリタブルトラストの代替的機能として,国内で完結できる資産流動化のスキームが可能になるということ,あるいは,商事に限らず,公益信託に当たらないような非営利信託,民間資金を活用したボランティア活動の受け皿としての潜在的価値が期待されるということで,賛成するという意見が多数を占めているという印象でございます。

 

 

 

最後に,公益信託についてでございます。

これは今後の議論になるわけでございますが,試案で提示しております主務官庁制を廃止すべきかどうかというところにつきましては,いただいた御意見の圧倒的多数が,公益法人法制と平仄を合わせる形で主務官庁制を廃止することが相当だという意見でございました。

 

 

ちょっと長くなりましたが,以上が試案についてのコメントの概要でございます。

 

 

  •  それでは,これそのものについて議論することはできませんが,これの扱い方とか,このコメントについて,もし御意見がおありでしたら御発言ください。

 

 

  •  これだけおまとめいただいて,非常に御苦労があったかと思いますが,1点だけ。

 

 

第20の4,いわゆる利益吐き出し責任のところで,先ほどの御説明では甲案,乙案伯仲しているということでございました。この点について私の方から,設問の仕方について,「規定すべきではない」という意見も入れたらどうかということを前回,申し上げた記憶がございますけれども,種々ございまして甲案,乙案という形で提案したところでございます。

 

 

 

しかし,結論として,甲乙以外に「そもそも規定すべきでない」という意見が私が見る限り4件,また,疑問であるという意見も含めれば5団体から来ているところでございますので,そういう意見も有力であったということをテークノートしていただければと思います。

 

 

 

 

  •  ほかに,いかがでしょうか。

意見のまとめ方,ここに書いてあるようなまとめ方についても,これも丹念に読まないと適切かどうか直ちに判断できないかもしれませんけれども,もし御意見があれば伺いたいと思います。

よろしいですか。

 

それでは,パブリック・コメントはこういうものであったということで,今後の議論の参考にしていただきたいと思います。

 

 

  •  時間の関係がありますので,次の説明だけでもさせていただきたいと思います。

 

本日,若干説明することがあるとすれば,信託の公示についてでございますので,公示についてだけ事務局の提案をさせていただきまして,御審議,御結論いただきたいと思っております。

 

 

第6でございますが,結論といたしましては,現行法第3条第1項の規定の趣旨は維持する,第2項の規定は削除する,第3項の規定の趣旨は維持するとの試案のとおりとしたいと考えております。

 

 

まず,第1項でございますけれども,パブリック・コメントで言いますと22ページ,○○から,信託財産を第三者から受託者個人に寄託された財産と類似した関係にあるといたしまして,寄託者による所有権の対抗については所有者であることの証明で足りるとしながら,受益者による信託の対抗については信託財産であることの証明だけでは足りず,公示という格別の行為を要求するのはアンバランスであるとして,受託者の一般債権者に対する関係で公示を要求することには反対であるとの意見が述べられております。

 

 

 

 

 

この意見には傾聴すべきところもあるわけでございますが,取引の安全の確保と信託の濫用防止の観点からは,適切な公示の方法があるのであればその公示を必要とし,これをもって権利関係を画一的に定めることが適切であると思われまして,パブリック・コメントの結果によりましても,これ以外で意見をいただいたところはすべて,第1項の規定の趣旨を維持することに賛成というものでありました。

 

 

 

 

 

そこで,第1項につきましては,このようなパブリック・コメントの結果と,この部会におけるこれまでの審議の結果を踏まえまして,規定の趣旨を維持し,信託,より正確には受託者の有する特定の財産が信託財産に属する財産であることを第三者に対抗するためには,登記または登録すべき財産については,その旨の公示を必要とすることとしたいと考えております。

 

 

 

次に,現物の有価証券に関する公示方法を定めた第2項と,株券廃止会社の株式に係る公示方法を定めた第3項につきましては,意見として,基本的に試案に賛成しながらも2方向の意見が述べられておりまして,1つは,23ページに記載の○○の意見でございますが,第3項を維持し第2項のみを削除した場合には,株券廃止会社の株式については株主名簿に信託財産たる旨の記載または記録をすることが対抗要件とされる一方で,株券発行会社の株式については,株主名簿への記載または記録が不要になるというアンバランスが生じてしまうから,第3項を維持するならば第2項も,株主名簿等への記載等を対抗要件とするという趣旨を残すべきではないかという意見があると述べられております。

 

 

同じく23ページ,3の直前の○○の意見でございますが,株式に関する公示方法は,株券発行会社と不発行会社のいずれも同様なものとすべきであって,実務的観点を重視して第2項を削除するのであれば,株主名簿への記載または記録の負担を考慮して第3項も削除すべきであるし,信託の濫用の防止の観点から,何らかの公示方法があるものについては公示を要求するとの考えに立てば,第1項と第3項を維持するのであれば,第2項について一定の手当を検討すべきと思われるという意見があったと述べられております。

 

 

 

 

 

しかし,まず第2項につきましては,運用財産を有価証券に投資することを目的とする信託などにおきまして,大量の有価証券が頻繁に売買されることになることにかんがみますと,第2項のような信託の公示方法を要求することは実務上,煩瑣にたえず非現実的であるといえます。

 

 

それから,現物の有価証券の場合につきましては,株主名簿等には株式の移転に係る第三者対抗力は付与されておらず,発行会社への対抗要件が付与されるにすぎませんので,株主名簿等への記載等をもって信託の公示方法とする合理性に乏しい上に,現物の有価証券の場合には,株券廃止会社の株式と異なりまして,物理的な分別管理も原則として可能でございます。

 

 

 

 

そうすると,要するに実務上の負担への懸念が大きいという観点と,公示方法としての意義,有効性への疑問があるという観点の双方から,第2項の規定を維持することの相当性は疑問でございまして,加えてパブリック・コメントの結果によりましても,意見をいただいたところのほぼすべてが第2項を削除することに賛成であるということ,それから,この部会におけるこれまでの審議の結果を踏まえまして,第2項の規定については削除することとしたいと考えるものでございます。

 

 

 

一方,第3項でございますが,対象となる株券廃止会社につきましては,有価証券も発行せず振替制度も利用しないものであることにかんがみますと,通常その株式の転々流通は想定しがたく,株主名簿への記載または記録を要求しても実務上の不都合を生ずるものとまでは言えないと思われるところでございます。

 

 

 

また,株券発行会社以外の株式会社の株式につきましては,株主名簿の記載が株式の譲渡についての第三者対抗要件とされておりまして,そうすると,譲渡のみならず信託についても株主名簿への記載をもって第三者の対抗要件とすることが望ましいと思われます。

 

 

もっとも,この第3項の公示につきましては,当該株式が複数ある信託のうち,どの信託に属するかまでは公示することができないわけでございまして,すなわち信・信間の公示はできないという限界はありますが,少なくとも当該株式が受託者の固有財産とは異なる信託財産であるということまでは公示することができて,すなわち信・固間の公示はできるという点で意義を見出すことができるという御意見をいただいていたところでございます。

 

 

 

すみれ

「ここで株主名簿への記載が決まったのかな。」

 

そうすると,要するに,ここでも実務上の負担の懸念は比較的乏しいという観点と,公示方法としての意義,有効性はあるという観点の双方から,第3項の規定の趣旨については維持することが相当でございまして,加えてパブリック・コメントの結果によっても,意見をいただいたところのほぼすべてが第3項の趣旨を維持することに賛成であることと,当部会におけるこれまでの審議結果を踏まえまして,第3項の規定の趣旨については維持することとしたいと提案させていただくものでございます。

 

 

なお,付言いたしますと,信託の登記登録制度のあり方につきましては,登記事項の簡略化ですとか,忠実義務の任意規定化,セキュリティ・トラストに伴う登記制度の整備,あるいは信託の公示制度が存在しない財産についての公示制度の整備についても要望が出されておりますが,この点につきましては,別途所要の見直しを行う方向で検討を進めているところでございまして,追って部会に検討状況をお示ししたいと考えております。

 

以上でございます。

 

 

 

 

 

  •  それでは,この点に関して御議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。

 

全体の方向は,今,○○幹事から御説明いただいたようなことで,この部会でも了承を得ていると思いますけれども,これもまた最後に説明があったように,登記に関しては,要するに,公示は必要だとしても,どの程度の公示をするかについては難しい問題があると思います。

 

 

余り複雑で面倒な公示も困る,しかし最低限の内容は公示しなくてはいけない,そこら辺の兼ね合いで,現在の登記の方がいいのかどうか。

 

 

これは不動産の場合ですけれども,そんなことは検討しなくてはいけないと思いますけれども,登記はいろいろその管轄といいますか,検討する場所が,またちょっと違うところもございます。

 

 

ですから,登記については法務省の中でしかるべく検討していただいたものをこちらに提示していただいて,この場でそれをさらに議論することになるでしょうか。

 

 

 

 

  •  制度そのものについては特にコメントはないんですけれども,以前の部会でも議論になりました,第三者にだれが該当するんだろうなと。

 

 

 

あと,この○○のコメントでも,第16条と第31条の関係をおっしゃっておりまして,それはまた別途議論するということであれば,別にそれはそれでいいと思うんですけれども,この第三者につきましては,恐らく従前の解釈どおりということで,例えば,破産管財人に関しては第三者だとか,差押債権者も第三者だ,こういう議論になるんだと思うんですけれども,不動産の場合ですと背信的悪意者ということで,悪意の人,場合によっては重過失も入るかもしれませんけれども,対抗関係から排斥される状況があると思うんですが,信託の他のところの議論でも,悪意,また重過失を排斥したりしているところもありまして,そうすると,その辺の関係をどうするのか。

 

 

 

 

 

 

管財人に関しましては,特に認識している場合,通常,受託者はどれが信託財産か公示がなくても認識しているはずですから,そうすると,その受託者の主観を管財人は,場合によっては継承しているというふうにも考えることができますし,不動産の場合ですと何となく,公示すべきではなかったのかなというふうに思ったりするところもあると思うんですけれども,物によっては,あと取引の関連から,煩雑さから公示することを留保するケースがあると思うんですけれども,そういう場合で突然死してしまったような場合,果たしていいのかなという。

 

 

すみれ

「突然死か。」

 

 

いずれにしても,この第三者制とか,第31条とか第16条との関係について,この場でもいいですし,また,そちらの方で議論してもよいかと思うんですけれども,受益者保護という視点から,特に信託財産が明らかであるような場合をぜひ検討していただければと思います。

 

 

  •  今の点について,何か御意見ございますでしょうか。

 

基本的には,私,個人的に思うには,今のような背信的な悪意者に対しては公示は要らないという考え方は,信託の場合にも適用があるんだろうと思うんですね。

 

 

ただ,普通の売買の場合における登記あるいは公示と第三者の関係と,信託における背信的悪意者というのは何かというのは多少--今,詰めて考えていません,抽象的な話ですけれども,違う場合もあるかもしれない。

 

 

ですから,信託の特徴を考えながら,そういう背信的な悪意者というものを排除する,そういう議論をするのではないかと思います。

 

 

そうすると,第31条の関係とかいろいろなところで多少関連してくることがあるかもしれませんが,それは今ここで一般的に議論するよりは,それぞれの箇所で議論した方がわかりやすいのではないかと思います。もちろん,ここで議論しても結構ですけれども。

ほかに,いかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

  •  制度そのものについてどうこうということではなくて,賛成なんですけれども,第16条と第31条の関係で,私自身は,第31条的なところの位置づけが非常に低下したと考えていまして,かなり分離してしまったのかなという意識が非常に強かったんですが,補足説明を読ませていただくと,基本的には,少なくとも信託の公示がないと取消しができないというような理解でよろしいんでしょうか。

 

 

何となく善意,悪意ということだけで判断するのかなと思っていたんですけれども,どうも最低限のところ公示がないと取消しができないと読めるんですが。

 

 

  •  この試案をまとめるに当たっての補足説明の考え方は,おっしゃるとおり,取消しの可否というのは権限違反についての悪意重過失の有無でございますが,第三者に対して取消権を行使するためには,信託であることを対抗できなければいけないという観点からは,公示が必要である,取消しのために公示が必要だというのが補足説明の考え方でございます。

 

 

 

  •  そういうことが第3条第1項の趣旨の一部分に入っているということですか。

 

  •  第3条第1項の登記が必要だと。

 

  •  取消しはできるけれども,取り戻せないことがある,そういうことですか。今の第31条の関係では。

 

 

  •  信託の登記または登録が整備されている財産については,まずその信託の登記があって,信託であることを対抗できるということを前提に,受益者は取消権を行使することができるということです。

 

 

  •  公示が必要だということですよね,単純に言うと。そこはもうちょっと緩和したのかと思っていたけれども……。

 

今の規定が,そういうことですよね。それを緩和するという……,だから,取消しに関しては債権者の差押え等を配慮するのとは違って,登記がなくても善意,悪意だけでもってやる。

 

 

ただ,その善意,悪意を判断するときに,公示があれば,もちろん相手方は悪意だということが言いやすいでしょうし,公示がないと,今度は逆に言いにくい,そういうふうに考慮するのかとつい思い込んでいたけれども,そうではなかったのかな。

 

 

  •  緩和した部分につきましては,現行法においては信託の登記・登録があるときには相手方の主観的要件を考えることなく常に取消しが可能であるところを,登記または登録があるということを前提に,主観的要件を緩和して取消権の行使を議論するというふうにしたということであります。

 

 

 

 

 

 

  •  この問題自体は,また第31条のところで議論したいと思います。ただ,そういうことも考えないと,公示として一体何を要求していいかということが厳密には議論できない,そういうことですかね。

 

 

  •  いまの点ですけれども,私の理解では,信託財産であるか否かという部分,要するに,その帰属がどうかという部分については公示がなければいけない。

 

 

ただ,権限外の行為なのかどうかというところの善意,悪意というのは,登記では見ない,そういう整理でよろしいわけですよね。

 

 

  •  はい。

 

  •  ということは,権限外の行為かどうかは登記で見なくていいということですね。

 

いや,どうするかは別にしてですけれども,役割ということからすると--ということでよろしいですか。

 

  •  はい。
  •  公示に関して,ほかにいかがでしょうか。

 

 

  •  実際上,取消しのために公示が必要だということになると,受益者にとってはやや厳しいかなという感じがします。

 

 

あと,今のところで公示を要求するのは,対抗関係の問題ととらえるんでしょうか。

 

 

それとは別の,第31条の要件の問題というようなことになっていくんでしょうか。その辺,いま一つすっきりしないところがあるんですけれども。

 

 

  •  対抗ということの意味ですけどね。
  •  厳密な意味の,二重譲渡における対抗というわけではないですが,一種の権利保護要件的な意味の,信託を第三者に主張して,取消権を行使することによって自己の権利を保護するための要件として,信託の公示が必要であると考えているところでございます。

 

ですから,今,○○委員がおっしゃいましたように,対抗の意味ということになりますが,信託財産であることを主張して取消権を行使する要件だという意味で言えば,対抗要件として必要だというふうに考えているところでございます。

 

 

  •  どちらかというと典型的な対抗問題ではないような気がしていて,もし論ずるのであれば,第31条の問題として論じた方がいいのではないかというような気がしているんですけれども。

 

 

  •  議論の場としては,事務局としては,第31条のところで要件として議論させていただければと思っております。

 

  •  いかがでしょう。よろしいですか。

今の問題は,公示として具体的に何を要求するかといった問題とも関係してくるんですね。

 

 

さっき申し上げたように不動産登記が一番問題になると思いますけれども,ここではまだ公示の具体的な中身までは十分に詰められていないので,基本的な枠組みというんでしょうか,ここに書いてある限りの方針,これを御了承いただけるかどうかということかと思います。

よろしゅうございますか。

 

 

そうしたら,この範囲で了承したということで,あと第31条の関係の問題は,またそこで議論していただくことにしたいと思います。

 

それでは,ここで休憩いたしましょう。

 

(休     憩)

 

  •  それでは,再開します。

これは一つ一つというよりは,余りたくさんはまとめないにしても,適宜まとめて御議論していただくことにしたいと思います。

 

 

 

  •  それでは,まず第7,裁判所の監督について取り上げたいと思います。

 

試案の内容は,現行法第41条第1項の規定は削除するものとするということでございまして,コメントの資料では24ページ,○○と○○からは残した方がいいのではないかという御意見をいただきましたが,大多数からは,削除でいいのではないかという御意見をいただいているところでございます。

 

 

 

事務局の方でコメントも踏まえて検討いたしましたが,この試案では脱法信託や詐害信託を禁止し,詐害信託の取消しを認めるなどして,信託が不正に利用されることがないような制度的手当てを講じているところでございます。

 

 

また,受益者に対しまして検査役選任請求権を認めるとか,受託者に対して信託財産の状況に関する報告義務を課すなどしまして,受益者による受託者の監督がより実効的なものになるように権利の充実・強化を図っているところでございます。

 

 

 

また,受託者の監督につきましては,受益者に十分な能力といいますか,十分期待できないような場合につきまして,受託者監督人の制度の整備なども提案しているところでございますし,個別に裁判所に権利が認められているところにつきましては,裁判所が請求を受けて適切に権利を行使することによって,受託者の監督ができるものと期待できるところでございます。

 

 

 

他方,裁判所というのは,通常は信託設定の事実を認識し得ませんので,仮に規律を設けるとしましても,当事者が裁判所に対して信託設定の事実を報告するといったことが必要になると思われますが,それは信託の自由な利用の阻害になるかと思われるわけでございますし,ほかに委任等の規律,法制度などとのバランスからも,裁判所が事務処理を監督するという制度は他に見当たらないところでございます。

 

 

すみれ

「たしかに。委任契約で裁判所が監督ってないもんね。」

 

 

以上のような観点,それから当部会におけるこれまでの審議結果なども踏まえまして,試案のとおり,現行法第41条第1項の規定は削除するものとすることを提案したいと存じます。

 

 

  •  これについて御意見を伺いたいと思います。

いかがでしょうか。よろしいですか。

 

 

 

 

 

 

英米の伝統とかいろいろなところからすると,それはその国には裁判所が関与する理由があるかと思いますけれども,我が国においては大体契約と同じように考えていく,司法ルールとして考えていく,そういうもとで,裁判所が一般的に監督するというのは少し異質だろうということだと思います。

 

 

 

 

 

 

  •  英米と言われましたので,一言。

これはつまり,何でも裁判所へ持っていけばいいとは私も全然思っていなくて,しかし,いろいろなところで具体的な事案があった場合に,差止請求であれ何であれ,裁判所に訴えることができますね。

 

 

そういう形で,裁判所に係属することは今後もある。そのときに,裁判所の関与の仕方として,この規定を削除すると,例えば差止請求が来たら差し止めるかどうかというような,極めて明示的なというんですか,争点が明らかで非常に限られた範囲の権限しか行使し得ないことに日本ではなるわけですね,この規定が削除されることによって。

 

 

 

 

 

だから,一般的に裁判所の後見的な役割は一切期待しないという宣言であるということですか,信託について。それは契約だから。大丈夫ですかね。

 

 

 

 

いや,実際に裁判所にどれだけのことが期待できるかというのは,英米でも,もちろん問題はあるんですが,やはりそれは……,そう言われてしまうと,どうなんだろうか。

 

 

 

 

 

特に民事信託というような部分で今後,何らかの可能性があるときに,民事信託で何か事件が起これば訴えることはできる。しかし,そのときの裁判所の関与の仕方は非常に,やはり条文ごとに対応したような限られたものであって,継続的な関与は……。

 

 

つまり,英米でも一番初めから,信託が成立しているときからいろいろ関与して,手取り足取りなんていうことはあり得ないわけですよね。何らかの問題が起きたときに,ちょっとこの受託者は危ないのではないかというので,あとしばらくの間だと思いますけれども,ちゃんとやっているかなということを見ておいて,それで手を放すわけですよね。それが後見的な役割ですが,そういうことも一切我が国ではできないということですね,これ。

 

 

すみれ

「民事信託は危ないと思われていたのか。」

 

 

 

  •  裁判所が積極的に関与する場面については,それぞれ規定を設けて対応すると思いますけれども,それ以外は,一応この私法的なルール,当事者間の私法的なルールに従って,そして,例えば相手方に何か義務違反があると受益者が思えば,受益者は裁判所に訴える,それはもちろん可能ですよね。だけれども,後見的な介入といいますか,後見的な監督をするという意味で裁判所が一般的な権限を持つようには,もうしない。

 

 

それは,やはりそういう宣言なんだと思います。これはもう私法的なルールの問題として考える。そして当事者が訴えるようなときに初めて裁判所が出てくる,あるいは裁判所において判断される。

 

 

 

 

 

 

○○委員の御懸念もわからないではないんですけれども,以上のようなことで大体対応ができるでしょうし,それから,民法のほかの制度を使っても,本来,弱者を保護するための仕組みはほかにもいろいろあると思いますけれども,そこも結局同じような仕組みで,当事者間の権利・義務の問題としては解決されるけれども,そして,それをもとにして裁判所に訴えることはできるけれども,裁判所の一般的な監督権限のもとで裁判所が介入してくる制度はない,信託においてもそういうものは今後は設けない。

 

 

 

従来は一応条文があったわけですけれども,今後,落とすわけですから,そういう一つの立場を明らかにするということですね。

 

 

 

 

  •  同じような視点なんですけれども,一般的に民事信託,非営利的民事信託について裁判所の監督というのは,時代の流れでないというのはわかるんですけれども,民事信託で,当部会で議論している中心というのは,やはり成年後見制度に代替するような意味での民事信託とか,あと,現行のやや硬直的な相続に代替するような信託制度,裁判制度で言えば家庭裁判所の管轄下にあるような制度だと思うんです。

 

 

ですから,この第7の規定とは別に,特に民事信託--私人間における信託が民事信託でしょうから,まさしく私契約としての民事信託もあるとは思いますけれども,いわゆる当部会で中心として議論してきたような,また,しているような民事信託,要するに今,申し上げたような主に2つの類型の民事信託につきましては,この規定とは別途に所要の規定を整備するとか,そのような視点も必要なのかなと。

 

 

それはまたどこかで別に議論するのかもしれませんけれども,そうすれば,今,○○委員がおっしゃったような論点について,裁判所の一定の監督といいますか,かかわりが維持できるのかなと思うんですけれども,その辺についてどのように考えたらよろしいんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

  •  私の個人的な意見ですけれども,いわゆる任意後見契約の法律がありますけれども,あそこでは一定の段階で裁判所が関与しますので,ああいうふうに非常に限定したものでは,信託制度においても裁判所の関与というのは,もちろん制度として設けることは可能なんだと思います。しかし,それをするかどうかは一つの問題ですし,一般的な監督の問題とは,やはり違う。

 

 

 

それから,後見契約,あの法律で任意後見がなされる場合は,一定の段階で裁判所が関与しますが,あの法律で言うところの任意後見でもないような,もっ

と一般的な後見というのが民法を使ってあり得ますよね。

 

 

 

こちらは,やはり裁判所が関与してこないので,信託というものを使うときは一体どっちなのかといったことも考えなくてはいけないし,それはそれで問題意識をもって,どこかでもしそういう制度を設けて,つまり信託を成年後見の場合と類似の機能を果たすような制度として使うのが適当だということになって,その場合には裁判所の関与が一定あった方がいいという御議論が多ければ,それはまたそこで考えたらいいのではないかと思います。

 

 

すみれ

「裁判所が関わらない後見もあったのか。」

 

 

 

 

 

 

  •  私の方から,うまく申し上げられるかどうかわかりませんが,裁判所の監督を,確かに一般規定として外しているというのはそのとおりですけれども,他方で,今回,受託者監督人の選任を利害関係人が申立てできるとか,そのほかにも検査役や差止請求権といったことで,受益者,それから受益者に限らず利害関係人の権限なども拡大しておりまして,裁判所は少なくともそのような,拡大された申立てにこたえて活動するという体制,監督行為を行うという体制を整えているという意味におきましては,一般的な職権で監督するということではなくて,むしろもっと実質的に,信託の関係者からの申立てというか,駆け込みというか,そういったものに応じて動く体制は,今回はそれはそれでつくられているのではないかとも考えられるところでして,監督という一般規定を外すということが持っているイメージ的なものはあろうかと思いますけれども,他方で実質的なところも見ていただく必要があるのではないかという感じがいたします。

 

 

 

 

  •  現実で裁判所の監督権限が最もよく行使される局面というのは,私が少し調べた限りでは,信託契約に書いてあるけれども,それと違うことを受託者がしたいと。

 

 

しかし,信託を変更している余裕はなかなかないので,裁判所にこういうことをしてもいいだろうか,そうかいう申立てを行う。そういう受託者から裁判所に対してお墨付きといいますか,こういうことをしていいだろうかという承認をもらうといいますか,そういうタイプが多いと思いますけれども,この信託の変更のところで,裁判所に対する変更の請求というのがあって,したがって,多くの場合はここで解決されることになるのではないかと思うのですが,先ほど申したように,非常に緊急を要して変更まで間がない,そのときに,受託者がある具体的な行為をしていいか,いけないかについて裁判所に駆け込んできたときに,この要綱試案の考え方だとどのように扱われることになるのでしょうか。

 

 

 

 

 

  •  これも私限りの個人的な意見ということでお聞きいただければと思いますけれども,今,○○幹事が挙げられた例は,恐らく監督権限の問題とは違うので,変更といいますか,契約関係の変更とか受託者の権限の変更とか,そういうものが緊急を要して本来の手続ではうまくいかないときの,いわば仮の解決というか。

 

 

そういうときに,やはり裁判所がそれをやってくれると便利だろう,そういう発想なんだと思うんですね。

 

 

それも信託法の規定の中で,それぞれの問題のところで,変更だったら変更のところである程度柔軟な規定が設けられればいいことなのかと思いますけれども,何かそれを理由に一般的に,今,ここで問題にしている裁判所の監督の権限を残すということにはつながらないのではないだろうかと思います。

 

 

ただ,今,言われたような場面で,裁判所がそういうのを認めてくれると便利なことがあるだろうということは,よくわかります。

 

 

 

 

  •  補足しますけれども,もしもそれが信託目的の達成に必要な行為と言えれば,それは受託者の権限に入ってくるわけでございますが,それを超えてしまう場合には信託の変更になってしまいまして,ただ,試案によりますと,例えば信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるときは,受託者の決定をもって信託の変更ができる。

 

 

そうすると,この要件を満たしていると判断できるような場合であれば,受託者が迅速に変更の決定をして,みずから動くことができるのではないかという気がいたしますので,必ずしも裁判所をかませなくても対応することはできるのではないかという気がいたします。

 

 

  •  よろしいですか。今の問題についても,変更のところでまた御議論いただけるとは思いますけれども,とりあえず,この一般的な裁判所の監督ということについては今ここで,これは今後は落とすということでよろしいかどうかということです。

 

 

  •  そのことについての反対ではないんですけれども,ちょっと頭出し的な部分で,先ほどは成年後見制度だとか相続関係で申し上げましたけれども,それ以外のところでの民事信託に対しての何らかの監督的な機能というものは,裁判所である必要はないと思うんですけれども,商事信託であれば信託業法のもとで金融庁の監督下にあると思うんですけれども,それ以外のところになりますと,一応現行の建付けは裁判所ですけれども,これが外れることになりますと,だれも監督できないことになってしまう。監督は必要ではないのかもしれませんけれども。

 

 

ただ,そうすると,濫用事例を危惧して民事信託自体が余り活用されなくなってしまうおそれもなきにしもあらずだと思います。

 

 

 

 

 

 

したがって,第7の議論そのものではないんですけれども,民事信託がより有効に使われるように,「監督」という言葉は適切ではありませんけれども,適切な規律を定めて,それを正しい方向に持っていくような,そうすると,それは民事信託の議論ですから,やはり金融庁ではなくて,普通に考えると法務省ではないかと思うんですけれども,そういうような視点からの議論も今後する必要があるのではないかなと。

 

 

この辺はよく弁護士会では議論しているんですが,どのポイントでこういう議論をしたらいいんだろうかというところで,いつも行き詰まってしまうので,ちょうど監督ということが議論の対象になりましたので,一言申し上げたいと思いました。

 

 

 

 

  •  今の御意見はあれですか,さっき○○関係官から説明がありましたけれども,いろいろな問題について受益者等が権限を持っていて,それが規定されているわけですけれども,それで足りないようなものが相当あるかもしれないということですか。

 

 

  •  そうですね,先ほどの,65でしたか,論点とも絡むところなんですけれども,弁護士が今後,民事信託の分野で活躍したい,活躍する,こういうふうに宣言したわけですけれども,他方において信託銀行もそれなりに,また今後とも活躍してほしいと思うんです。

 

 

 

そうすると,その残りの部分ですかね,信託業にも該当しないし弁護士が受託するところの民事信託でもない,それ以外のところというものが,野放図になるといいますか,事後的または個別的側面において,しっかりと信託法の適用に従って行使していけばいいのかもしれませんけれども,それ以外のところに対して何らかの法律の規制,規律というものが必要なのではないか。

 

 

すみれ

「野放図か。」

 

 

 

ですから,実態法の議論ではちょっとずれるんですけれども,法制審の最終回のときに,○○が報告された後に○○委員が比較的長目に,そういうものが必要ではないかとおっしゃっていたことを覚えておりまして,その延長線の議論ですけれども。

 

 

ですから,監督という言葉そのものではありませんけれども,商事信託が信託業法の世界であれば,民事信託において弁護士以外の方々が何かやる場合,それを届出をするとか資格要件をつくるとか,また一定の開示義務,報告義務を監督官庁に課すとか,そういう柔軟な制度である必要があるとは思いますが,そういうものがないと,結局すべてが,ある意味では商事信託である,信託業法の世界である,そっちに流れていってしまうのではないか。

 

 

 

 

 

 

それであらゆる民事信託が信託銀行,また信託会社が救ってくれればいいですけれども,やはり信託業の対象となれば当然ビジネスという視点もありますから,やはりリスクの高いもの,利益が出ないものは恐らく受託の対象になっていかないと思いますし,そうすると,本来,民事信託として必要とされている部分が社会から,信託法には書いてあっても実際には制度として取り上げられていかないこともあるのではないか。

 

 

 

この辺は弁護士会で繰り返し議論していて,では,そこでは弁護士が活躍するんだというところで話が終わってしまうんですけれども,他方において,弁護士だけにしかできないのかという疑問に対してどう答えるんだろうかというところも絶えず弁護士会の中においてありまして,それに対して現行法の,今回の制度でいろいろ対応はされていますけれども,何か一般的な規律が必要なのではないかという趣旨です。

 

 

 

 

  •  今,お話を伺っていますと,要するに,受託者に対してある種の規制をかけろ,そういうふうに聞こえますけどね。それで,そういう規制から外れるのは,信託業がカバーしている部分は金融庁が監督するので,弁護士はどうなのか,ちょっとよくわかりませんけれども,何も今のお話では監督がないような話だったけれども,その部分も含めて,あるいはそれから弁護士以外の者が民事の信託を受託するときに何らかの監督法があった方がいい,何かそういうように……。

 

 

 

すみれ

「弁護士会ではだめなのかな。」

 

 

信託法の議論なのかどうかわかりませんけれども。

 

  •  今,出発点になっている第41条第1項の裁判所の監督というのは,やはりどう考えても,これからの信託法に適当ではないという感じがします。

 

 

 

それで,今,○○委員がおっしゃっている,しかし何らかの監督機関が必要ではないかというのは,1つは,受益者の保護という観点,それからもう一つは,今回の信託法によって,非常に柔軟な制度ができることによって,例えば相続の規律であるというものの例外ができる。

 

 

その例外を設けることによってほかの法制あるいは社会の利益をどうやって保護するかということが,多分,問題関心としておありだろうと思うんです。

 

 

 

ただ,それを何か受託者の監督とか,あるいは行政機関等による監督というのは,やはり筋が違うのではないか。

 

 

むしろ各論的な部分で,その部分で一体どういう制度,あるいは社会的利益が損なわれる可能性があるのか,それをどうやって抑えたらいいのかというように個別に考えていったらいいのではないかと思います。

 

 

  •  私も,この24ページに書かれているように,裁判所に監督機能を期待することは実際上,困難であり現実的ではなく,それから現代にも合わないしどうのこうのという,全くそのとおりだと思うんです。

 

 

ただ,英米でも本当に裁判所が監督しているのか。「監督」という言葉なんですけれどもね,何をやっているかというと,やはり違法性判断をしているのであって,妥当性のところまで踏み込んで,「こうやった方が運用がうまくいくよ」なんていうことを裁判官がやっているわけがないんですよね。

 

 

すみれ

「法定後見もそんな風になってるしね。」

 

 

だから,ある意味ではシンボルというのかな,結局イメージかシンボルかという,そういう意味では,○○委員がおっしゃるように,各論のところできちっとやっておけば大丈夫ですよという話はあるんですが,シンボルとしては,やはり何か総論的なところが必要かもしれないと思うんですね。

 

 

ここにあるように,このページですけれども,信託の自由な利用とか信託法の任意規定化というのは私は全く賛成なんですが,そのことと,この裁判所の監督とかいうものに対して,これは合わないんだというのは次元が違うと思うんですね。

 

 

これは実体法の問題として,あるいは私法の問題として,これだけの権利義務関係を明確化して「受益者の側にもこれだけの権利が与えられているから大丈夫だよ」というのは,はっきり言うと机上の空論なので,それが実際に動くかという話になって,そのときにはやはり,シンボルかもしれないけれども,最後の駆け込み寺になるものを置いておく方がいいような気がするんです。

 

 

 

ここで外すということに非常に大きな意味を持たせようというのであればということなんですけれども。

 

 

すみれ

「駆け込み寺か。たしかに。そんな風にして条文置いたりするんだ。」

 

 

つまり,もはや私的自治であって個人責任ですよと。しかし,信託は--また私,同じことを言いますけれども,何度も言うように,貴重な財産とか権限を人に委ねて,そして自分は監督なんてできない人たちが「お願いします」というものなんですから,そこへ「それは私的自治ですよ」「自己責任ですよ」という話では済まないと思うんですね。

 

 

とりわけ典型的に現れるのは,商事ではなくて,いわゆる民事の場面だと思うんですが,そのときに,本当は裁判所でなくてもいいんですが,どこか象徴的な意味でちゃんと守ってくれるんだよという話がないといかんだろうに,この信託法では「こんな権利があなたに与えられていますよ」と。それを行使して……。

 

 

 

弁護士のところへ駆け込むというのが,これから時代なのかもしれませんけれどね,そういう形で。それならそれでという何か手段的な話がないといけないだろうに,その最後のところで裁判所は一般的に何の監督権も--「監督」という言葉がちょっと,本当はイメージが悪いのかもしれませんけれども,「国民を保護する役割は裁判所は果たせませんよという,信託関係については」というのはいかがなものかなと。そういうイメージを与えるということなんですけどね。

 

 

すみれ

「子供が親に私的自治ですよ、自己責任ですよ、っていうのかな。」

 

 

 

  •  受益者の権利はどっちみち,侵害があるようなことがあれば,あるいは受託者の行為が違法だと思われるようなときがあれば,これは受益者が権利を行使することはできるわけですね。

 

 

今回の信託法というのは,できるだけ受益者の権利を充実させて,受益者の保護を図る,そういう仕組みでできている。ですから,ここで裁判所の監督を残すというのは,そういうものでは保護されないようなときに,要するに,信託法には許されると書いてあるけれども,裁判所が判断して「これはいかん」というものをやめさせる,そういう権限を裁判所に与えるか,そういうことになるのではないか。

 

 

それは果たして現在のこの信託法といいますか,これから使っていこうとする自由な信託法の考え方になじむのかどうか。やはり何か基本的な理念のところでぶつかるのではないかという気がするんですね。

 

 

 

特に受益者の保護が必要であり,受益者の権利行使が十分できそうもないというところは,それはまたそこで制度をいろいろ考えればいいんだと思いますけれども,今ここで問題となっているのは,そういう信託の基本的な性格,当事者間の権利義務関係では解決できないようなところを裁判所に,駆け込み寺として何か設けるかどうか。

 

 

先ほどの○○委員も,別に受託者の規制といいますか,監督を一般的に設けた方がいいということでは恐らくないと思いますので……

 

 

 

 

 

  •  老人とか障害者といった弱者の保護といいますか。

 

  •  成年後見等で信託が使われる場合について,これも○○のこの間のお話の中でも,もうちょっと考えてくれというようなことはございましたので,これは信託管理人だとかいろいろなところに関係してくると思いますけれども,そこで考えるということで,ここでの一般的な裁判所の監督権限,監督については現行法の規定を削除する方向で考えるということでよろしいでしょうか。

 

それでは,そういうことでいきたいと思います。

 

 

 

 

  •  では,続きまして,第8から幾つかまとめてやりたいと思います。

まず,第8の信託財産の範囲でございます。これはコメントで言うと25ページになりますけれども,おおむね賛成意見で,補足的意見が2つほどございました。

 

 

1つは,無償取得した財産であっても信託財産に属することを明記すべきだという意見です。

 

 

しかし,信託財産のここの規律というのは,直接の代替物に限られないということは一般的に言われておりまして,信託財産が法主体であると言わなくても,受託者が受託者としての地位に基づいて取得した財産は信託財産になると考えればよいのでありまして,民法第304条の場合とは異なって「その他の事由等により受託者の得た財産も」ということも書いてございますので,この規律によって,無償取得した財産であっても信託財産になるということは十分読めるのではないかと思っております。

 

 

それから,補足的意見のもう一つは,○○から,例えば損失てん補請求権などについても信託財産を構成するものと解されるところ,「受託者が得た財産」との表現になじまないという御意見でございます。

 

 

 

 

 

損失てん補請求権は受益者が債権者でございますし,その請求権が行使された結果でございますが,それは,例えばAという人がいれば受託者であるAが個人であるAから得た財産が信託財産になると考えれば,ここで「受託者が得た財産は信託財産に属する」と表現したからといって問題はないのではないかと思われるところでございます。

 

 

部会の審議におきましても,第14条の関係につきましては特に御異論もないところでございますし,賛成意見も大多数でございますので,この試案のとおり,現行法第14条の規定はその趣旨を維持し,「信託財産の管理,処分,滅失,損傷その他の事由により受託者の得た財産は,信託財産に属するものとする」ということでまとめさせていただきたいと思っております。

 

 

 

 

 

続きまして,第9の信託財産の付合等についてでございます。

 

これにつきましては特段反対意見はございませんで,前に御説明申し上げましたとおり,ここでは信託財産と受託者の固有財産ないし他の信託財産との間において付合または混和,加工があった場合に各別の所有者に属するものと擬制して,民法の規定を適用するということは合理的であって,特にこれを改める必要はないということで,部会の方でも御審議をいただいていたところかと思っております。

 

 

パブリック・コメントの結果につきましても賛成意見のみでございますので,この規律につきましても,現行法の第30条の規定の趣旨を維持するということでまとめさせていただきたいと思っております。

 

 

なお,(注)の共有するものとされた財産の分割に関する規律を設けるという点でございますが,これは識別不能になったために共有と見なされる財産も含めまして,この分割手続に関する規律につきましては,別途第10とあわせて提案させていただくということで,こちらは留保するといたしまして,本文につきましては試案のとおり確定させていただきたいと思っているところでございます。

 

 

 

 

 

 

 

続きまして,第11,受託者の相続財産からの分離についてでございます。

 

これにつきましても,念のためといいますか,規律を置いておく意味があるという御意見はあるのでありますが,受託者が死亡したことによってその任務が終了し,受託者が欠けたときには信託財産は法人とみなす旨の規律を設けることとしておりまして,この場合には,信託財産が相続財産に含まれないことは言うまでもなく明らかであると思われます。

 

 

重複的に規律を設ける意味はないと思われますので,試案のとおり,「現行法第15条の規定は,削除するものとする」ということでまとめさせていただきたいと思っております。

 

続きまして,第15,信託財産に係る混同についてでございます。

 

この点につきましても特段反対意見はない,全員賛成ということでございました。

 

 

所有権又は制限物権が信託財産に属する場合又は固有財産に属する場合,時間的な前後も含めまして。

 

 

あるいは債権・債務が信託財産と固有財産に属する場合。すべてを含めまして,混同の例外の規律を設けることは有意義であるということは,部会の審議でも異論がなかったと思われますので,その審議の結果,パブリック・コメントの結果も踏まえまして,第15については試案のとおり決定させていただきたいと思っているところでございます。

 

 

 

 

とりあえず,以上で切らせていただきます。

  •  ここまでで,いかがでしょうか。

 

ここまでは,今までこの場でも「これでいい」という御意見が出てきましたし,特に反対はなかったと思いますので,よろしいでしょうか。

 

 

  •  第8の信託財産の範囲について,結論については全く異論がないんですけれども,むしろ内容についての理解ということになるのかもしれませんが,それから,これは利益吐き出し責任のところと絡む議論なので,もしかしたらそちらで議論すべきことなのかもしれませんが,信託財産の範囲と言ったときに,信託財産を利用した得た利益というのは,この規律との関係ではどこまで含まれてくるのか,若干その整理が必要なのではないかという気がしておりまして,そこらあたりのことについてどう考えたらいいのか,もし検討されているところがあれば教えていただけると助かるんですけれども。

 

 

 

 

 

  •  利益吐き出し責任との関係というお話でございます。御質問の趣旨を私が正しく理解したかどうかでございますけれども,例えば,甲案をとるか乙案をとるかといった話があろうかと思いますけれども,その前提として,例えば競合行為のようなものがあったときに,いわゆる介入権みたいなものを行使した場合についてまず考えてみますと,その場合に,介入権行使前は固有財産であった,行使後は,それは物権的に信託財産に帰属するとなると,行使後は信託財産になるという整理になるかと思います。

 

 

それから,甲案,乙案を別として,仮に利益吐き出し責任みたいな責任を,仮に乙案をとって認めたといたしますと,受益者が,これは一種,受益者が受託者に対する債権的な請求になるかと思いますので,利益を受託者に吐き出しなさいという請求をいたしまして,受託者は固有財産のところにある利益の幾許かを信託財産に分別管理という形で移転しなければいけないという作為債務を負うことになって,その作為債務が履行された結果,信託財産のところに分別管理がされた時点で,それは信託財産に帰属した財産になる,そういう整理になるかなと思います。

 

 

 

  •  今,多分,利益吐き出し責任との関係で先の方の議論をいただいたんだと思いますが,利益吐き出し責任が問題になる以前の問題として,どっちにこの財産が帰属しているのかという問題が,多分この信託財産の範囲のところで規律されるのではないかという気がしているんですけれども,例えば更地を信託財産として預かった場合に,これをそのまま保管しておいてくれというのが信託の趣旨であったときに,例えばそこに駐車場をつくって収入を得た場合ですとか,あるいは,そこに建物を建てて収益を得たような場合,利益が何段階か出てくるわけですけれども,例えばこの信託財産の範囲という規律を考えたときに,果たしてどこまでがこの規律によって信託財産の範囲となっていくのか,その辺の外縁がどうなっていくのかがよくわからないところなんですけれども。

 

 

 

  •  基本的なお答えになってしまうかもしれませんけれども,駐車場を使って利益を得て,何らかの利益が固有財産に入ってきましたと。

 

 

その段階では,その利益が他に信託財産に帰属するということでは恐らくないのではないか。

 

 

すみれ

「駐車場だとなるかなって思ってた。」

 

 

 

利益吐き出し責任の追及というものを,受益者が受託者についてしていきまして,それで何かしらの利益が確定されて,それで受託者が幾許かの財産を作為債務に基づいて履行したときに,それが信託財産になるんだというようなことになるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

  •  似たような問題は,いろいろなところで出てきますよね。受託者が権限に反して信託財産を処分して何か代わりのものを得てきたとか。それは権限違反だということで考えれば,受託者が入手した財産は直ちには信託財産に入ってこないわけですが,しかし,そこで受益者が,例えばその権限違反行為を承認して信託財産であると見なすというか,承認すると,信託財産に入ってしまう。

 

 

 

 

そういう意味で,確かにおっしゃるように,いろいろ限界的なところでは,果たして信託財産に今,なっているのかなっていないのか,あるいはどういう行為があるとなるのか,そういうのは,非常にわかりにくいところはたくさんあるんだと思います。それは従来の規定でも同じような問題があったわけで,今回も,そういう解釈上の難しい問題はそのまま残るんだと思いますけれども,そういう意味で,先ほど○○幹事が言われたように,この規定を適用したときに,具体的にこういう場合はどうなるのか,そういう問題なわけですよね。この規定自体が理論的におかしいということでは恐らくないと思うんですね。

 

 

 

 

 

そういう難しい問題は,恐らくたくさんあるのではないでしょうか。今の,信託契約に反して土地を駐車場として使って,そのときの利益というのは,これも権限違反で何か取得したのと似ているのではないかと思いますけれども,あくまでそれは権限違反だということで受益者が主張していきたいときには,その利益は--これは私の個人的な解釈が入るかもしれませんが,当然には信託財産に入ってこないのではないかという感じがします。だけれども,いわばその行為を追認することによって信託財産にはなってくる。

 

 

 

  •  多分この辺は,もしかしたら裁判例の積み重ねで解決すべき問題なのかなという気もしておるんですけれども,恐らく受益者の方から,この財産の帰属について争っていく場合に,利益吐き出し責任ということではなくて,この帰属の問題で争っていくということが考えられるのではないかという気がちょっとしたものですから。

 

 

 

 

 

 

 

その問題と,それから,権限違反の問題といいますと,第31条の取消権や権限の規定との関係では,取消しをしない限り,例えば権限違反で処分した場合にも信託財産に帰属することになるのかなという気がちょっとしておるものですから,ちょっとその辺,私の方も十分整理できていないんですけれども,恐らく将来的に,紛争のあり方としてそういったことが考えられるのかと思ったものですから,質問させていただきました。

 

 

 

  •  権限違反の点につきましては,今,御指摘のとおり,この試案の考え方におきましては,取消しがされない限り一応有効で,信託財産に帰属するということですので,そのように物権的に信託財産に帰属させるというふうにしておいた方が当然受益者のためにもなりますし,そういう前提で試案自体は,第31条と,それから第14条の関係は,そういう前提でつくられているのかなと理解しております。

 

 

 

  •  この規定自体でまだ具体的にはどうなるかというのはわからない場合が出てくると思いますけれども,少なくともここに書いてある限りの規定自体は特に問題ないということであれば,あとは解釈の問題として,恐らくいろいろな場合,さっきの権限違反の場合も含めて,解釈でどうなるかということを明らかにしておくことが必要なんだと思いますけれども,それは解釈の問題の方に委ねるということで,この規定自体はよろしいでしょうか。

 

 

ほかの条文についても,よろしゅうございますか。

それでは,ここまで一応御承認いただいたということで。

 

 

 

 

すみません,これは私の理解がまだあれかもしれませんけれども,ここで承認するということの意味なんですけれども,一応ここに書いてあるようなことでやっていこうという,その大方針が決まるわけですね。

 

 

 

そして実際にこの後,またさらに条文の案みたいなものがもう一回出てくるんでしょうか。そこまでいかないのかな。

 

 

  •  この部会には条文の案まで提示することはなくて,この考え方を踏まえて事務局の方でまた法制的に条文の詰めをしていくことになります。

 

 

  •  条文までいかないにしても,法制局の審議の中でとか,細かいところで多少修正がされるとか,そういうことはあり得るということでしょうか。

 

 

 

 

 

 

  •  今後もし見直しの必要があれば,またそれは当部会の方で。実質的なところは,もちろん議論させていただきますが,ここで御承認いただいた上で,細かな規律の規定の仕方については,もうこちらにお任せいただきたいということでございます。

 

 

  •  ここで承認するということの意味は,そういうことであります。

それでは,今の範囲まではよろしいということで,次をお願いします。

 

 

  •  続きまして,第30,受託者の権限の範囲についてでございます。

試案では「受託者は,信託財産の管理又は処分その他信託目的の達成のために必要な行為を行う権限を有するものとする。ただし,信託行為に別段の定めを設けることにより,当該権限の範囲を制限することを妨げないものとする。」ということで,コメントでは102ページから103ページにあるとおり,賛成意見のみで反対意見はございませんでした。

 

 

 

受託者の権限が必ずしも管理または処分に限定されるわけではなくて,信託目的の達成のために必要な行為であれば権限を有することを明確にした上で,しかし,委託者の意思を尊重して,信託行為の定めにより制限する方向で定めを設けることは妨げないとすることで,合理的なものと思われるところでございます。

 

 

 

部会でも,いろいろ議論は従前はございましたけれども,結論的に,このような方向であれば問題はないという御意見をいただけるものと思いまして,このような中身でいかがかということで,この試案のとおりとしたいということで提案させていただきたいと思っております。

 

 

 

 

 

 

続きまして第36,合併又は会社分割による受託者の変更についてでございます。

 

 

これは,コメントですと127ページからになりますが,何点か異論といいますか,補足的意見をいただいております。

 

1つは,試案では受託者が株式会社の場合ということを書いておりましたところ,株式会社の場合に限定する必要はないという方向の意見を多方面からいただいたわけですが,それは事務局も当然認識しておりまして,合併,分割の対象が株式会社に限らないのは御指摘のとおりでございますが,試案で網羅的に書くのは生産的とは思われないので,あえて代表的な例として株式会社を挙げたにとどまるわけでございます。

 

 

 

合併または会社分割の場合には任務が承継されることについては,株式会社の場合に限らす,その対象となる法人である限り同様に考えておりまして,試案としては,この株式会社を代表例として挙げるということで,あとは整備で対応していくということで対応したいと思っているところでございます。

 

 

 

 

第2点目といたしまして,債権者保護手続の関係で,受益債権を除くのは反対であるという御意見を○○からいただいております。

 

 

考えてみますに,会社において債権者保護手続が必要とされておりますのは,会社財産を唯一の担保とする会社債権者の利益に重大な影響があると思われるからでございまして,そうしますと,物的有限責任,後ほど御審議いただきますが,物的有限責任,信託財産のみが受益債権の責任財産となるという考え方を前提とする限り,会社分割や合併が受益債権の引き当てとなる財産の基礎を害するということは定型的に存在しないと考えられるわけでございます。

 

 

 

そうしますと,多数意見のとおり,受益債権については債権者保護手続を不要ということで,問題はないのではないかと思われまして,部会でもそのような御審議だったかと思いますので,その方向で試案を維持したいと考えているところでございます。

 

 

 

 

3番目に,128ページで○○から提案をいただいておりますが,委託者は,合併があれば受託者の任務を終了させることを希望する場合もあると思われるので,信託行為によって別段の定めを置くことができることを認めるべきである。

 

 

会社分割の場合についても同じことを書いていただいておりますが,これは後ほど御審議いただきます試案第38,任務終了事由のところで,信託行為の定めをもって任務終了事由を定めることができるとしておりますので,それで対応しているところでございます。

 

 

 

それから,129ページですけれども,○○から,受益者の同意がない辞任が制限されているのであるが,信託行為に別段の規定がないのに事実上辞任に等しい効果をおさめてしまうのではないか,会社分割の場合にそのようなコメントがされております。

 

 

 

確かに,合併や会社分割による場合には,形式的には受託者が変更するわけでございますが,包括承継であって,実質的には同一であると言えるわけでございまして,他方,同じ包括承継であっても相続の場合とは異なりまして,一般には,新設合併の設立会社であるとか吸収合併の存続会社,新設分割の設立会社,あるいは吸収分割の存続会社の方が信託事務遂行能力に劣ることはないと考えられるわけでございます。

 

 

相続の場合には,必ずしもそうは言えないわけでございますが,合併や分割の場合にはそのように言っていいと思われますので,一たん任務を承継させた上で,あとは委託者と受益者の解任の要否の判断に委ねるという方向性で,不合理とは言えないものと考えますので,合併や会社分割の場合には任務を承継するという規律を設けることでよいのではないかと考えているわけでございます。

 

 

 

 

 

以上のとおり,いろいろ指摘をいただきましたが,いずれも今,申し上げたように,試案のとおりで問題ないと考えておりますので,この試案のとおりということで部会での御審議,御承認を賜れればと存じているところでございます。

 

 

 

もう一つ,第38,解任及び辞任以外の受託者の任務終了事由についてでございます。

 

これにつきましては,コメントで言いますと134ページになりますが,まず,個人の方から,補助開始の審判を受けた場合も終了事由とすべきであるという御意見がございますが,ノーマライゼーションの観点から,補助開始の審判を受けたことは不適格事由にも任務終了事由にもならないと結論したいと考えております。

 

 

 

 

 

それから,○○から,cは個人の場合だけであって,会社については常にbに当たるのではないかという観点から御意見がございました。

 

これはおっしゃるとおりでございまして,会社の場合には,破産手続の開始決定を受けますと解散いたしますので,cにもbにも当たることになりまして,仮にcのただし書きのようなものがあったとしても,bに当たることによって当然に任務が終了してしまうということでございます。

 

 

その理解については指摘と違わないところでございますが,あとは,わかりやすい信託法をつくるという観点から,規律を実際に策定する過程で考慮すべき事情があれば考慮したいということで,このとおりとすることで御承認をいただければと思っているところでございます。

 

以上でございます。

  •  ここまでで,いかがでしょうか。

 

部会では,もちろんこの原案の立場でいこうということになっておりましたが,パブリック・コメントに出てきた幾つかの反対意見について,今,○○幹事から説明があり,そういう対応でいいかということですね。

 

 

 

  •  第30ですが,102ページ,受託者の権限の問題については,英米では歴史的な流れの中で,大きく言うと,ずっと昔--つい最近までかもしれませんけれども,原理原則は,受託者の権限というのは極めて限られていて,安全第一だという話になっていて,それではいかんという話になって,この受託者の権限の範囲を広げてきた,こういう理解ですので,その一番最先端のところでこれだというのはわかるんですけれども,2つの点を確認しておきたいと思います。

 

 

 

 

 

これで信託証書あるいは信託条項というのが今度できまして,その中に,受託者の権限については新信託法によるか,あるいは全く何の規定もない場合には,これどういう条文になるかわかりませんが,とにかく管理,処分その他信託目的の達成のために必要な行為を行う権限を有すると書いてあるものだから,だから当該信託目的の達成というので,そこで一つの絞りは,その信託の性格上,出てくるとは思うんですけれども,一般論--だから一般論は言えないかもしれませんが,今まで特に問題になったのは,やはり信託財産の売却権限と借り入れ権限ですね。

 

 

それはこの信託……,はっきり借り入れ権限があるとか売却権限があるとか,そういうようなものが一切書いていなくても,この条項で,当該信託の性格を踏まえた上でという1本絞りはありますけれども,できるようになる,こういう考えでよろしいですね。

 

 

 

 

  •  それは目的の達成のために必要であれば借り入れることもできまして,あとは受託者の義務の問題に解消されていくのではないか。忠実義務に違反したかどうか,そういう判断になるかと考えております。

 

 

 

 

  •  これは念のためなんですけれども,ここで考えられている権限なんですけれども,受託者が行うことというのは大きく分けると2つあって,信託財産の管理・運用の部分,それを安全に保持し,かつ収益を上げるという部分と,収益を上げたものを分配する部分がありますね。

 

 

分配の方の権限については,ここでは扱っていない,あるいはそれも含めて,何というか,信託目的の達成のために必要な行為というのに全部包含されるのかを確認しておきたい。

 

 

 

 

  •  それも入ると思っておりまして,信託目的が,収益を上げて受益者に利益を分配することを目的としていれば,当然その目的に従って収益活動を行って,その上で収益の分配を行うことは目的達成のために必要ですから,目的がそう定められていれば,当然権限の範囲だと考えております。

 

 

 

  •  そうすると,裁量信託の話とも絡むんですが,分配の仕方について,今年度についてはこうやって,何というかな,濃淡を,複数の受益者を考えていますから,そういうことも,この一般条項の範囲で,何といいますか,受託者の方で適正に判断すればできるし,場合によっては,この規定は今年はなしというようなこともあり得るということですか。分配についての,実際上は,裁量権を与えるようなことも権限の範囲としてはあり得る。

 

 

 

 

 

  •  権限の問題としては,あると思います。あとは受託者がそのような分配をしたことが,先ほども申しましたが,受託者の公平義務ですとか善管注意義務の問題として適切であったかどうかという判断になりますので,権限の問題にはならない,違反はないと考えております。

 

 

 

  •  英米の権限が広がってきたのは,私の理解が間違っていなければ,前者の方のアドミニストレーションの方でいろいろなことを縛ったりするのはかえっておかしいからという話で分けてあったような気がするんですけれども。

 

 

このアドミニストレーションの話とディストリビューションの話は。こういう一般的な条項で,ディストリビューションも含めてどうぞということはなかったような……,ちょっとうろ覚えみたいな話で恐縮ですが,本当にそういう大きな話でいいのかどうか。前者はわかりやすいと思うんですけれども。

とりわけ権限の問題というのは第三者との関係があって,こうやって広く認めておけば,権限外,ウルトラバイレスなんていう話がなくなりますのでね,だから,そういう意味でも信託の安全,取引の安全みたいな観点から言えば,これは非常にいいことだと思うんですけれども,あとの方のディストリビューションの範囲の話は対内的な話ですから,そういうところからも要請はないので,こうやってはっきり,それだけ広い裁量権をディストリビューションのところで認めるんだという,民事信託が発展していってですが,そういうことが,将来的な話で夢みたいな話なのかもしれませんが,そういうところまでここへ,もう当然入るんだよと今,言っていいのかどうか。

 

 

すみれ

「アドミニストレーション?ディストリビューション?ウルトラバイレス?」

 

 

 

  •  横から口出しするようなものかもしれませんけれども,分配の問題についても,やはり信託目的等で明確になっていれば,それは権限の範囲に入りますと。

 

 

だけれども,当然に分配が自由だという結論は,この規定からは出てこない。それはあくまで信託の目的との関係で考えます,そういうことなのではないでしょうか。

 

 

確かにおっしゃるように,対外的に処分するときの権限と,それから内部的な分配というのはちょっと違うような問題があると思いますけれども,ただ,ここで仮に少し権限を,分配の問題まで含めて考えたときにも,分配についてどんな権限があるのか。

 

 

それはやはり信託目的によって基本的には決まる。当然にその中で,その上でさらに解釈の問題かもしれませんけれども,この条文に書いてあるようなことしか書いていなかったときに,裁量的に分配する権限が当然に出てくるのかというと,そこは,やはり信託目的が明確でないと,そういうことをしていいということが明確でないと当然には入ってこないのではないですかね。裁量的な分配をしていいという権限までは。

 

 

○○委員は,それが入ってくるだろうという前提で考えておられるんでしょう,この規定だと。

 

 

 

 

  •  いや,わからないんですけどね,本当は。

ただ,3人の子供がいて--受益者ですね。3人の子供の幸せのためにこの信託を設定します。3人の子供の運命はその年々によってアップス・アンド・ダウンズがありますから,そこで当然に,3人の子供の幸せを考えると,3等分の1だという話にはならんかもしれないでしょう。

 

 

 

 

 

  •  申しわけありません,○○委員に私から質問させていただきたいんですけれども,信託受託者が信託事務として信託財産を使って第三者と取引をするときには,義務違反があったときの救済と権限違反としたときの救済が異なっていて,義務違反があったという救済だけでは足りない場合があるので,多分,権限外,あるいはその後,取り消すということで信託財産,受益者の利益を回復しようということになるんだろうと思うんですね。

 

 

 

 

しかし,受託者の受益者に対するディストリビューションの局面では,義務違反に対する救済と権限外の救済が,今の第三者との取引のような関係に必ずしもならないのではないかなと。したがって,ディストリビューションが義務違反であり,かつ権限外であるからもとに回復させるということが意味を持って登場してくる局面というのは,どんなものがあるんだろうかというところが○○委員の御発言の中でよくわからないところで,もしそこであるならば,内部的な権限の問題--内部的な権限というか,受益者に対する配分のところの権限の問題と,第三者との信託事務としての取引のところの権限の問題を一応分けて考えて,同じ基準でやるかどうかを考え直さなくてはならないというところはわかるんですが,ちょっとその手前のところが私にはわかりかねておりますので,御説明いただけるとありがたいんですが。

 

 

 

  •  とりあえず私の質問は,この第30が,受託者の権限というのが,さっき私が分けたところの第三者も関係するような,いわゆる信託財産の管理または処分というか,英語で言うとアドミニストレーションという部分ですよね。

 

 

そこだけに適用があるのかなと思っていたんだけれども,確認のために,ディストリビューションはまた別ですよねと。信託の本旨に基づいて何かしないといけないというのは,別の義務として当然あるので,そこを何でも権限というところで,権限と義務というのはなかなか難しいですけれども,権限のところで,ここの条文があるからもうすぐ信託目的の達成のために必要な行為として,収益についての何とかというところまで,収益配分についてですが,このところが対象とするというのではないんでしょうねと勝手に思っていたわけですが,そうではないとおっしゃるので--ということだけなんですよ。それ以上のことではないんです。

 

 

 

 

 

権限外と義務違反の話は,ちょっとまた別の話が本当はありますけれども,英米法では,基本的にはそれを区別していませんので。

 

 

  •  裁量で分配できるかどうかというのは,義務の問題はそこが出てこないわけですよね。そういう権限を与えているかどうかの問題になって。そういう意味では……

 

 

  •  入れる必要はないような気がしますけどね。収益を分配したり元本を最後に引き渡したりというのは当然の権限であり義務であるというようなものなので,ここへ何か持ってくる必要は,ちょっと私が小さいことにこだわっているのかもしれませんが,本当は前の部分しか考えていなかったのではないでしょうか。

 

 

  •  そっちが中心であることは,確かですね。

 

ただ,そのような裁量的な分配の権限があるかどうかという問題を考えると,それは一体どこで解決されるんだろうかというと,それも一種の権限なのではないか。それは当然には与えられないので,やはり権限として明確に与えられないと,そういうものは含まれない,そういう理解なのかと思ったんですが。

 

 

  •  先ほどから利益の配分の問題とおっしゃられているところの関係で,恐らく弁済するとか引き渡すとか,そういうところをこの権限でとらえようとしているという局面を話されているのではなくて,むしろ信託契約において,あれでしょうか,利益をこういうふうに分配する,例えば受益の内容は年幾ら幾ら,だれだれに払いますというふうに書かれているのが恐らく普通の信託だろうと思うんですが,今の日本では。

 

 

ところが,そういう定めが置かれていないときであって,かつ,では利益分配について受託者に任せましょうということが信託契約の内容として認定できない場合であるというときに,なおこの第30で受託者には目的に入っていると言えるのであれば,利益分配に関する決定権限を与えましょうというふうに言うかどうかの問題で,非常に何というか,認定の問題とリンクしているというか,目的から権限を有するんですと,利益分配の権限を有するんですというふうに言える場合というのは,ほとんどニアリーイコールで,契約の内容になっていると言えると考えれば余り差はないのですけれども,ただ,他方で,だとすれば契約の趣旨解釈の問題と言えばいいという感じもして,そういったあたりの問題だと理解してよろしいんですか。ちょっと違いますか。

 

 

 

 

 

  •  そうかもしれません。
  •  多少不明確な点がまだ残っているかもしれませんけれども,○○委員が言われたように,本来は,対外的な処分権限のところを中心に考えていることは確かです。

 

 

しかし,それ以外のことも,分配の問題についても,今,○○関係官が少し説明されましたけれども,この権限の問題ではないとは言い切っていなくて,やはりそこは一種の権限の問題。ただ,そういう権限が当然に与えられるわけではないと思います。

ほかに,よろしいでしょうか。

 

 

 

 

  •  第38なんですけれども,この集計結果で申しますと,133から134ページに書かれている,先ほど御紹介がありました○○の御意見についてなんですが,非常に細かい話で,かつ確定的な意見というよりは,もう一回だけ見直そうという話なんですけれども,法人の中でも破産が解散原因になっていない,極めて例外的なものがあります。

 

 

そういうものについてはbでは受けられなくて,cで受けるしかないわけで,cを自然人に限ってしまうと,そこが落ちてしまうわけです。

 

 

ただ,私が今,思いつく法人は,多分,受託者には余りならないようなものばかりなので,しかし,どんなものがあるかわかりませんので,事務局におかれてはというか,私ももちろん自分で考えますけれども,破産が解散原因になっていない法人で受託者になりそうなものがもしあるのであれば,この御意見を少し慎重に考えた方がいいかなということです。

お願いまで。

 

 

  •  その部分はさらに検討していただくことにいたしましょう。

よろしゅうございますか。

それでは,次をお願いします。

 

 

 

 

  •  では最後,第40,第43,第50でございます。

まず,受託者の選任についてでございます。

合意による受託者の選任という規律につきましては,これまでもそのようなものは可能であると解釈されていたのを明確化するものであって,相当であるという意見が大多数でございましたので,それを維持したいと考えております。

 

 

裁判所による受託者の選任につきましても,全員が賛成意見でございました。

なお,このコメントの138ページから139ページで個人の方から御意見がありまして,受託者の選任に関しては,受益者あるいは明示・黙示の約定のあるときは委託者の申立てにより,信託行為の趣旨に従って,裁判所が関与して決定されるべきであると考えるという御意見がございまして,恐らく常に裁判所が関与すべきだという御意見だと思われるわけでございますが,しかし,私的自治の尊重の観点からは,必ず裁判所への申してを経なければならないとする必要はなくて,委託者と受益者の合意によって選任することができるとすることが相当であると思われますので,この御意見については採用しないことにしたいと思います。

 

 

 

 

 

そういうことで,これまでの部会の審議の状況,コメントの結果を踏まえまして,第40の1,2につきましては試案のとおりで部会の意見とさせていただければと考えているところでございます。

 

 

続きまして,第43,受益者の利益の享受についてでございます。

コメントで言いますと,147ページからになります。

 

この点につきましては何点か御意見がありますので,補足的に申しますが,まず,主な意見の内容,147ページに○○の方から,信託行為の定めによる例外を認めるべきではないという御意見があります。

 

 

しかし,受益者として指定された者を保護するために受益の意思表示を必要とする民法の原則と異なりまして,原則として,この被指定者に受益権を帰属すると信託法では考えますし,我々も考えているわけでございますが,この原則は,委託者と受託者の一種の例外規定の設定を許さないというほどまでに強行的に解する必要はないと思われまして,信託行為の中で受益権の意思表示を必要としたり,受益権の帰属の時期を定めれば,それに従うのが相当であると思われます。

 

 

 

 

 

現行法のもとでも同様に解されておりまして,この考え方を改める必要があるとも思われませんので,1については,信託行為の定めによる例外を認める試案を維持したいと考えております。

 

 

それから,147ページの〔補足的意見〕の2つ目,○○からの,受益者と指定された者に受益権を帰属する時期や要件について,信託行為に別段の定めを設けることができるようにすべきであるという御意見につきましては,今,申し上げましたように,できるようにすべきであると考えておりますので,できるようにしたものでございます。

 

 

その下の,○○からは,受託者への財産権移転等の前に受益権が発生し,取得すると解しなければならない理由はさほど存しなくて,受益権の発生時期は,受託者への財産権移転等と同時と解すれば十分と解されるとの御意見がございます。

 

 

これは試案の第1,信託契約の効力の発生時期と義務の発生時期に関するものでございますので,詳細はそちらでまた御議論いただくのかと思っておりますが,試案の考え方では,契約による信託は,委託者と受託者の意思の合致があれば財産権の移転がなくても効力が発生し,受益権が発生すると考えておりまして,ただ,信託行為の定めをもちまして受益権の帰属時期を定めることができるものと考えているわけでございます。

 

 

 

 

いずれにしましても,財産権の移転がなくても信託の効力が発生し,受益権が発生するという試案の考え方の妥当性については,第1のところで改めて御審議いただくのが適当ではないかと思っております。

 

 

 

 

4番目といたしまして,148ページの一番上でございますが,○○から,受益者が受益権取得について既知である場合には,通知が不要であることを明らかにしていただきたいという御意見がありました。この点につきましては,立法でやるのか解釈でやるかはともかくといたしまして,受益者が自分が受益権を取得したことを知っている場合については,通知が不要であるということでいいのではないかと考えております。

 

 

 

最後に,○○からの反対意見でございますが,受益権を取得したことの通知を不要とするのは反対であって,むしろ受益者に受益権が帰属した時期の定め方を工夫することで対応すべきであって,通知義務は必ずあるものと解釈するのが相当であるという御意見でございます。

 

 

これは従前部会でも御審議いただいたところでございまして,確かに通知義務を強行規定とした上で,受益権帰属時期を遅らせるという方法もあるとは思うのですが,これだと委託者としては,通知を避けるためには受益権帰属時期まで遅らせることとせざるを得なくなるわけでございまして,そこまでさせる必要があるのか,委託者のニーズにかなうのかが疑問でございます。

 

 

そこで,受益権帰属時期を遅らせて通知時期を遅らせるというオプションのほかに,受益権取得自体は直ちにさせつつも通知をしないというオプションも可能であるとすることが相当であると思われますので,通知義務を任意規定とすることを提案しているところでございます。

 

 

 

以上は,何点か反対意見があったところについて事務局の検討結果をお示しいたしましたが,結論的には,大多数の意見がこの試案に賛成しておりますことも踏まえまして,第43の1のとおり,この審議会での御意見とさせていただければと考えております。

 

 

 

最後に,第50,受益債権についての物的有限責任についてでございます。

コメントで言いますと178ページになりますが,反対意見はございません。現行法の文言は,「信託財産の限度に於いてのみ」と書いてあって,場合によっては固有財産にもその限度額でいけるというふうにも読めかねないので,そこは不明確であるという判断を踏まえまして,あくまで信託財産のみをもって,信託財産のみが責任財産となるという明確な文言に改めたものでございまして,179ページの〔補足的意見〕にございますように,○○からも,それはそのような方向で明確な文言に改めるべきであるという試案と同様の意見をいただいているところでございます。

 

 

そういうことを踏まえまして,また,記憶では,ここはこの審議会でもこれまで全く御異論もなかったところでございますので,この試案のとおり「受益債権に係る債務については,受託者は,信託財産のみをもってその履行の責めに任ずるものとする。」ということで御意見としたいと考えております。

よろしくお願いいたします。

 

 

 

  •  それでは,ここまでについて御意見ください。

先ほどの受益権の通知,受益権を取得したことを知っている者に対しては通知をしなくても済むようにできるという……,これは解釈または,何ですか,先ほどの説明は。

 

 

  •  法文に「知っている場合は,この限りでない」と書くか,あるいは単に,ここで通知しなければならないと考えてあれば,当然解釈として,知っていれば通知しなくてもいいだろうというのが出てくると思いますので,それで対応するか,それはお任せいただきたいと思います。

 

 

  •  そういうことでございます。

いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

ここら辺までは余り皆さん異論もないところかと思いますので,御意見がなければ,ここまで承認したということにさせていただきたいと思います。

よろしいでしょうか。

特に何もなければ,今日はこれで終わりたいと思います。また次回もよろしくお願いいたします。

どうもありがとうございました。

-了-

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すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。ポリーいたんだ。ちゃんと聞いてましたよ。」

 

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