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2016年加工編 法制審議会信託法部会 第17回会議 議事録
2016年02月06日

2016年加工編

法制審議会信託法部会

第17回会議 議事録

 

 

 

第1 日 時  平成17年7月1日(金)  自 午後1時02分

至 午後6時49分

 

第2 場 所  法務省第1会議室

 

第3 議 題

信託法改正要綱試案(案)第1~第42について

 

第4 議 事 (次のとおり)

 

 

 

議        事

 

  •  それでは,法制審議会の信託法部会を開催したいと思います。

きょうは,信託法改正要綱試案(案)について,御議論いただければと思います。

 

(幹事・関係官の異動紹介省略)

  •  本日席上配付の資料が2部ございます。1つは,信託協会の方から「信託法の改正について」という意見書を出していただいておりますので,これにつきましては,その趣旨を簡単に○○委員の方からお願いできればと思います。

 

 

  •  それでは,時間もありますので,ごく簡単にしたいと思います。

 

本件のペーパーにつきましては,先ほど○○幹事の方からお話ありましたように,信託協会としての意見を取りまとめたものでございます。

 

 

ただ,1点だけちょっとお断りしたいのは,要綱試案での対応というのが間に合いませんでしたので,基本的には二読の資料をベースにしたものでございます。

 

 

内容につきましては,要旨といいますか,結論だけ簡潔に御説明したいと思います。

 

まず1点目は,信託宣言についてでございますが,もう結論だけ申し上げますと,導入に反対したいということでございます。

 

 

 

2点目,2ページの2の忠実義務のところでございますが,これについては,総論的には規律の外延とか内容について明確化していただきたいということと,各論的には,4のところの利益取得行為の禁止と利益吐き出し責任についての規律というのを不要としていただきたいということでございます。

 

 

 

次に,3ページのところの3の受託者の有限責任信託の許容についてでございますが,まず1の新たな類型の信託の創設については,法務省の提案に賛成ということでございまして,ただ,①に書いていますけれども,工作物責任のような無過失責任を受託者の固有財産が負担しないこととされるべきであるということと,それと,明示というのは必要だと思いますので,公示制度の導入というのはいたし方ないのかなというふうに考えておりますが,それに当たっては簡便で低コストのものにしていただきたいということでございます。

 

 

次に,(2)の既存の類型の信託でございますけれども,これについては法務省の提案に賛成ということでございまして,明確化する意味合いでも規律化していただきたいということでございます。

 

4ページの4の補償請求権につきましては,これは以前から申し上げていますけれども,受益者から補償を受ける権利を受託者が有することをデフォルトルールとしていただきたいということと,特に補償請求権を信託の外側で締結された従たる契約とするというような考え方には反対であるということでございます。

 

 

 

次に,5の多数受益者の意思決定における,みなし賛成制度と公告についてということですが,これについては現行の実務も踏まえまして,公告による特別決議事項の賛否を諮ることを信託法上も可能にしていただきたいということと,あと合同運用信託のところの部分についても多数決ができるような形のものにしていただきたいということでございます。

 

 

 

 

最後に,5ページの6の不動産の公示制度についてですけれども,これについては,信託法の改正の内容に踏まえまして,特に忠実義務の任意規定化によって,固有勘定と信託勘定が取引ができるような形になりますので,そういうものであるとか,抵当権の信託の解禁等がございますので,これを踏まえたような登記法制にしていただきたいということと,その手続を明確化していただきたいということでございます。

以上です。

 

 

 

  •  ありがとうございました。

それからもう一つ,やはり席上に日本弁理士会知財流通流動化検討委員会の方から,「信託法改正」に関する意見ということで,やはり部会の方に御意見をいただいておりますので,これについては,ここに御出席の方がおりませんので,内容を御紹介することは差し控えさせていただきますが,今後の検討議論の参考としてごらんいただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

 

 

 

  •  それでは,きょうの本来の議題でございますけれども,この信託法改正要綱試案(案)というのを御議論いただくということでございます。きょうの議事の進め方も含めまして,○○幹事から説明お願いします。

 

 

 

  •  本日の進め方でございますが,第42番までを議論していただければと思っておりまして,分け方はこちらの方で適宜させていただきますが,基本的には,これまでの提案から変わったところを中心に御説明をさせていただきたいと思っております。

 

 

総則関係を最初にやって,信託財産関係をまとめてやりまして,受託者についてはいろいろと議論もあるかと思いますので,これを4つなり5つなりに分けて適宜時間を割り振っていきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

 

 

 

  •  予定は5時ですけれども,前回アナウンスしましたように,ちょっと延びることもあるかもしれませんので,その点をお含みおきいただきたいと思います。

 

それでは,早速分けて説明してください。

 

  •  それでは,総則関係というところでございますが,まず前提といたしまして,まず資料に記載しております★印の関係でございますが,これはこの規律の中で何が強行規定になるのかというものを★で示しているものでございます。

 

ここでの対象になります事項は,受益者の権利を信託行為で制限できるかにかかわるものと考えておりまして,信託の構造ですとか枠組みに関する事項,例えば第5の受託者の利益享受の制限ですとか,第8の信託財産の範囲ですとか,あるいは第11の受託者の相続財産からの分離ですとか,こういうものについては,そもそも信託行為がここでいう強行規定か,任意規定かを議論する前提を欠くものと考えておりますし,第3の詐害信託のように,第三者の権利に係る事項についても,やはりここでの議論の前提を欠くものだと考えておりまして,あくまで受益者の権利を信託行為で制限できるかという観点から,★を付しているものでございます。

 

 

 

 

 

それからもう一点でございますが,全体を通じてのルールということで,委託者についての書き方でございますが,デフォルト・ルールとして委託者に権利があるもの,例えば第37の受託者の解任・辞任につきましての1の(1)ですとか(4),それから2の(1)と,こういうものにつきましては委託者を明記しておりまして,このようにデフォルト・ルールとして委託者に権利があるものについては文中に「委託者」と明記しております。

 

 

他方,デフォルト・ルールとして委託者に権利がないもの,すなわち後ほど説明いたします委託者の権利の別表で×とあるもの,信託行為で付与して初めて委託者に権利が認められるものにつきましては,「委託者」というのを明示しておりません。

 

 

 

例えば一例を申しますと,第12の2の第三者異議のようなものですとか,第23の帳簿閲覧請求権のようにデフォルト・ルールとしては委託者には権利が認められないもの。

 

 

損失てん補請求権とか,差止請求権,検査役選任請求権なども同じでございますが,そういうものについては「委託者」と書いてありません。

 

 

書いていないから絶対だめだというのではなくて,信託行為の定めで委託者に権利を付与すればいいということで,統一的に御理解いただければと思っております。

 

 

以上を前提といたしまして,第1の信託の意義から,前回までの提案からの変更点を中心に御説明いたします。

 

まず,1の信託の意義につきましては,この2つの要素を信託の意義づけとする点について特段の変更はございません。

 

 

2の信託契約の効力というところですが,細かい点ではございますが,前は「信託は」と書いておりましたが,ここを「信託契約は」と直しておりまして,

 

 

これは,遺言信託は遺言者の死亡によって受益者となる者の承諾にかかわらず効力が発生しますので,ここから除外されることを明らかにいたしますとともに,前はたしか「当事者の合意」と書いてありましたのを,ここは委託者となるべき者と受託者となるべき者との諾成契約であるということを明らかにすべく,このような書きぶりをしているものでございます。

 

 

 

 

それから,第3に信託契約の効力発生時における債務の引受けというところでございますが,これも前は「信託設定の時」としておりました。

 

 

ここで申し上げたいのは,債務につきましても,信託の効力発生の当初から信託財産に含めることができるということでございまして,遺言信託で債務を含む包括財産を信託するということもあり得るのでしょうが,遺言信託では受託者が職務を引き受けないと債務が移転しないと思われますので,信託効力発生時に信託財産の一部として債務の移転の効果が生じさせることはできるということが申し上げにくいという事情がございます。

 

 

そういうことで,ここは契約と同時にということを強調したいために,信託契約ということで限って明記させていただいているものでございます。

 

 

なお,セキュリティトラストに係る民事執行法とその他の法令との関係につきましては,従来どおり,引き続き検討をさせていただきたいと思っております。

 

 

 

 

続きまして,第2でございますけれども,脱法信託の方につきましては従来と変更はなく,訴訟信託の禁止というところにつきましても,現行規定の趣旨を維持するものとするとさせていただいております。

 

 

基本的には現行規定の方向で考えておりまして,最終的に当法制審の意見やパブリック・コメントの結果を尊重して決定をすることとしたいと考えているものでございます。

 

 

第3に,詐害信託についてというところでございますが,これは前回の提案では,ただし書きで「受益者として指定されたことを知った当時において」と書いてあります。

 

 

前回の提案では,「受益者として指定された者が受益者となったことを知った当時」と,実質的には同じ文言でございますが,このような文言を提示して御意見を求めておりましたところ,特に反対がなかったということなので,それで確定させていただいております。

 

 

続きまして,次のページの2でございますが,これは「この場合において」からの書きぶりに係るところでございますが,この2といいますのは,詐害信託取消権に準じます信託法上の特別の請求権として受益権の譲渡請求を認めたものであるということは,従来より御説明申し上げてあります。

 

 

ただし,前回の提案におきましては,債務者の詐害意思を知っている受益者に対して譲渡請求できるという積極的な書き方をしておりましたのを,このように書きますと,債権者側で受益者の悪意の立証責任を負うのではないかという誤解が生じますので,ここでは受益者側で善意の立証責任を負うものであるということを明らかにすべく,ただし書の形で書き直しているというところでございます。

 

 

 

 

続きまして,第4につきましては,★印が抜けておりますが,一種,受益者を保護する仕組みの一環でございますので,★印を書き加えておいていただければと思いますが,従来から変更はございません。

 

 

なお,部内での検討では,例えば未成年者などにつきましては,当事者が未成年者でも受益者としていいと言っていれば,あえて排除をするまでもないのではないかというような議論もございまして,未成年者などにつきましても,不適格者とするべきか否かにつきまして,身分法関係との調整も併せて検討していきたいと思っていることを付言させていただきます。

 

 

 

次に,第5でございますが,まずこの規制の対象となりますのが固有財産で受益権を取得した場合であることを明らかにする書きぶりとさせていただいております。

 

 

 

前回の会議におきまして,固有財産で取得した場合と信託財産で取得した場合とを区別して考えるべきであるという指摘がありましたことを踏まえ,この記述が現行法9条と同様に,固有財産による取得に関するものであることを明らかにいたしますとともに,ここではこのような地位の兼任状態を許さないという,いわばポリシーを明らかにすることを規定するにとどめまして,信託の終了事由となることにつきましては,別途,第57の1の④と書いてございますが,他の終了事由と併せて信託の終了事由のところに列挙することといたしました。

 

 

なお,信託財産で取得した場合についてはどうなのかというご指摘も前回ございましたが,仮に全受益権を取得すれば信託財産はゼロとなりまして,一般には目的不達成により終了することになると思われるわけでございますが,なお再売却を予定しているのであれば,終了させる必要もないと思われるわけでございます。

 

 

 

この場合は,自己株式の取得と同様な状態となると思われますところ,そのときの受益権の行使の可否,議決権とか,そのようなものにつきましてどうなるかというものについては,なお検討していきたいと考えております。

 

 

 

 

続きまして,信託の公示についてというところでございますが,従来から書き加えたところは(注)の第2文と申しますか,「株券廃止会社の株式に係る公示方法を定めた同条第3項の規定の趣旨は維持するものとする」という点でございます。

 

 

前回提案におきましては,現行法の3条3項を維持する見解と削除する見解とを併せて提示しておりましたが,現行法3条3項の公示というのは,確かに信託の登記に比べて,その公示内容には限界がある。

 

 

すなわち当該株式が複数ある信託のうち,どの信託に属するかまでは特定できないという限界があるとしても,一定の限度で有用性を認めるべきである。

 

 

すなわち,少なくとも当該株式は受託者の固有財産とは異なる信託財産であるということまでは公示できるという点には意義があるという意見が大勢であったと思います。

 

 

そこで,現行法3条3項につきましては,これを維持することに結論したものでございます。

 

 

 

 

第7の裁判所の監督につきましては,現行法第41条第1項の規定を削除するという方向で,前回より提案の変更はございません。

とりあえず,冒頭につきましては以上でございます。

 

 

  •  それでは,ここまででいろいろ御意見をいただきたいと思いますが,いかがでしょうか。

○○幹事,どうぞ。

 

 

  •  最初に恐縮なんですが,いずれも細かい話なものですから,ちょっとお許しいただければと思います。

 

 

まず第1の2なのでございますが,その信託契約という言葉を使った趣旨として,遺言信託等を除くということがあるんだというふうな御説明を伺いました。

 

 

そうなりますと,この信託契約という言葉は,契約による信託という意味なんだろうかという気がするんですよね。

 

信託を設定する契約というふうな債権契約ないしは物権契約みたいなものを考えますと,それが合意によって効力を生じるというのは,ある意味では当然のような気もいたしますので。

 

そうしますと,遺言信託という言葉との対応関係から言うと,契約信託なんではないかなと。ちょっと言葉が,私の無理解だけかもしれませんが,若干誤解を招き得る言葉になっているのではないかと思います。

 

 

ポリー

「たしかに契約信託と呼ぶ方が実態と合っている気がします。」

 

 

 

2番目に,信託契約と書いてありますのでその言葉を使いますが,合意によってのみ効力が生じるということと,信託そのものの財産的な,信託財産をめぐる法律関係について効力が生じるというところとの関係なのでございますが,委託者と受託者の合意によって,信託設定契約によって,その所有権が委託者から受託者へ移るということになりますと,占有の移転というものがなくても,信託自体が,当該財産が信託財産になって,信託が発生しそうな気もするんですけれども,場合によっては管理・処分を受託者ができる状態にならなければ,信託そのものの信託財産をめぐる法律関係としては発生していないというふうに考えることもできるのかもしれません。

 

 

解釈問題として行えばよい問題なのかもしれませんけれども,立法するに当たりましては,本当はもうちょっと明確化した方がいいような気もしますし,補足説明等をお書きになられることがございましたら,若干その点についても御解説いただければというふうに思います。

 

 

 

 

2番目に,第3なのでございますが,これ受託者の善意,悪意は関係ないということででき上がっているわけですけれども,受託者は単なる導管であってパススルーされるからということとは限らないような気がするわけであります。

 

 

つまり委託者が悪意,受託者が悪意,受益者が善意という形で詐害信託の取消しがなされないという場合を考えますと,場合によっては,受託者というのは,他の債権者を詐害することに加担したということで不法行為責任を問われる可能性もあるのではないかと思いまして,場合によっては,補足説明等でお書きいただく方がよろしいんじゃないかというふうに思います。

 

 

 

第5でございますが,続けて申しわけございません。先ほど固有財産の保有する状態のことについておっしゃいまして,かつ信託財産のときはどうかというふうなことで御説明いただきました。

 

 

しかしながら,信託財産で保有するという場合には,当該信託財産で保有する場合と,他の信託を信託財産として保有する場合とに分かれるわけでありまして,他の信託の信託財産として保有するという場合は,単なる投資として持っているということですので,説明等の場合に分けてお書きになられた方がよろしいんじゃないかというふうに思います。

 

 

 

最後に第6でございますが,現行法もそうなのでございますけれども,今まで何の異議も唱えていなかったんですが,信託を対抗できないという言い方が本当に論理的に正しいのかというのがよくわかりませんで,当該財産が信託財産であることを対抗できないと言うべきなのではないかというふうな気がいたします。

 

 

 

これも,その説明等で済む問題なのかもしれませんけれども,若干御検討いただければと思います。

以上です。

 

 

 

 

  •  特に第1点目は,別な場所でも議論したときに,多少この案でもって明確でないためにいろいろ質問が出たことがありますので,場合によっては,もうちょっと明確にしておいた方がよろしいかもしれません。

 

 

 

ただ,余り議論はしていないので,そこをどうするかですね。第1点というか,第2番目の点ですか,今,○○幹事が言われた財産権の移転に関する問題というのは,ある意味では暗黙の前提にしていたような気もしますし,つまりこの信託契約があっただけで,意思主義的に信託財産の所有権が受託者に移転するものではないというふうに,私などは暗黙の了解をしておりましたけれども,必ずしもこの案でもってそういうふうに理解しない方もおられるかもしれないので,そこを……

 

 

 

  •  私はそう理解しない。

 

 

  •  事務局としては,むしろ諾成契約というところで,意思表示の合致により所有権は移転すると考えております。

 

その結果,受託者は忠実義務ですとか,信託財産である物の引渡請求権を取得することになります。

 

 

他方,物の管理は確かにできませんので,占有改定というようなものがあれば,委託者に対してしかるべく管理せよということを言えるにしても,原則として,物の管理責任というのは発生しませんし,物の管理を前提とする受益者に対する受益債務の弁済というようなものも生じないと,そのように理解しておりまして,意思主義というところに徹底していいのかどうかというのは,御疑問があるようですので,なお御意見をいただければと思うんですが,事務局側としては,諾成契約である以上は意思表示の合致のみによって,所有権も受託者に移転すると考えておりました。

 

 

番人

「物でも、管理責任と受益債務は、発生するような気がするけど。信託行為で、何も定めない限り。」

 

 

  •  忠実義務,例えば競業禁止義務とか,そういうのがかぶってくるのは当然だと思うんですね,最初の信託契約が設定された段階で。

 

 

仮にこれは財産権が移転しなくても,その場合にはこういう場合があるんだろうと思う。

 

 

問題は信託財産,どっちみち対抗要件が必要だという場合には,それで解決できるのかもしれないけれども,内部的な義務の問題と対抗要件は要らないような場合ですかね。

 

 

  •  それは物権行為の独自性みたいな,現実の引渡しがあって初めて移転するという……

 

 

  •  それをとるのはちょっと嫌なので,そこはもうちょっと違う説明をしておきたいという気がしますけれども。普通の売買契約の場合にも,純粋に意思主義というのを徹底するわけではなくて,何らかの行為があると,そのときに所有権が移転するという合意をしているという解釈をするので,そういう意味では,その信託財産の管理がなされるときに,信託財産の名義が移転するという考え方も十分あり得るかもしれない。

 

 

ちょうど不動産について,所有権が移転するのが登記のときだとか,いろいろな言い方しますけれどもね。

 

 

 

 

私の趣旨は,ここに書いてあることでもって,どういう立場を前提にしているかというのは必ずしも明確ではないために,やはりいろいろな議論が出てしまって,いろいろな議論が出ることはいいのかもしれませんけれども,ある意味で誤解に基づいた意見が出てくるというのは困るかもしれないという,そういう趣旨ですね。

 

 

ただ,今この条文を見ると,私の理解と○○幹事の理解とも違うということがわかったので。

 

 

 

  •  意思表示だけで所有権が移転するのではなくて,やはり別の何らかの管理が可能になる状態に受託者が置かれることによって,初めて所有権が移転するというような合意があるというように解釈認定するということでしょうか。

 

 

番人

「管理が可能になる状態、か。現金は財布に入れて信託財産のラベル貼っておくかな。」

 

 

  •  実際上は,対抗要件が必要とする場合が多いでしょうから,不動産だとか,そういうものについては余り問題はないのかもしれません。

 

 

つまり,占有は相変わらず委託者のもとにあるけれども,所有権は移転していて,例えば現在の16条みたいな,受託者から倒産隔離の効力が生じるかどうかという問題ですけれども,これも対抗要件を必要とするというのであれば,実際上は余り関係ないのかもしれませんね。

 

 

 

  •  恐らく,信託の終了のところでも同じ問題がありまして,終了したときに,所有権が直ちに移転するかどうかという問題については,我々はそこは沈黙しておりまして,解釈にゆだねるというスタンスをとっているわけでございますが。

 

 

ですから,2につきましてもこういう書き方をしつつも,所有権移転時期についてはあえて明確化していないという解説もできるわけですが,内々の考えとしては,所有権は直ちに移転すると思っておりましたので,ちょっと御説明させていただきました。

 

 

すみれ

「解釈認定とか解釈とか多いね。」

 

 

  •  確かに,終了の場合,全く同じ問題が生じるんですね。
  •  ただ,もちろん登記のときに所有権が移転するとの意思表示をすることもできるわけでございますが。

 

 

 

 

  •  ここでは,これをすべて一から議論し直してどうするかということを決めるのが目的ではないと思いますので,とりあえず中間試案といいますか,パブリック・コメントを求める上で適切な形で表示されているかどうかということを考えた方がいいと思いますけれどもね。

 

今の点に限りません。今その議論をしましたけれども,ほかの点も含めていかがでしょうか。

○○委員。

 

 

 

  •  細かいところで1点意見と,もう一つ,御質問,御確認の点がございます。

 

1点は,訴訟信託の禁止というところでございますけれども,この中間試案の案というのは,現行法の趣旨を維持するものとするということでございまして,としますと,第2読会で出てきました提案の中で,読み上げますと,「ただし,そのような信託行為をすることについての正当な理由がある場合には,この限りではないものとする」という点が削除されているという,こういう理解でございます。

 

 

 

この点については,一部,弁護士会の代表の方から御意見もございまして議論があるところというのは認識しておりますが,他方,第2読会の方で私の方から削除に対する反対意見を申し上げたところでございます。

 

 

したがいまして,ここではその実質内容を議論する場ではないと理解しておりますけれども,いずれにしても,その点について議論が分かれているということでございますので,中間試案で出す段階においては,この点についても一応その選択肢があるということを明記していただければというふうに思っております。

 

 

 

 

 

それから,1点,これは今さらながらの御質問なんですけれども,同じく詐害信託の(注1)のところでございますが,「債権者は,債務者に詐害意思のある限りにおいて常に取消しが可能であるものとする」ということでございますが,これは補足説明で明記していただきたいという趣旨もあるんですけれども,挙証責任が一体どちらにあるのかということが書きぶり自体ではよくわかりませんものですので,その点ちょっと御質問したいということと,明確化していただきたいと思います。

 

 

 

といいますのも,やはり目的信託の場合,使い方はいろいろ議論があるところでございますけれども,やはりその安定性によっては,仮にチャリタブル・トラスト的なものの使い方があるのであれば,それの詐害性がどれだけ壊れやすいのかどうかということについて,商品としての安定性というところにもつながるものですので,その点ちょっと議論の前提として明確化していただきたいと,そういう趣旨でございます。

 

 

  •  今,○○委員がおっしゃったのは,債務者の詐害意思の立証責任がどちらにあるかと。

 

 

  •  おっしゃるとおりです。

 

 

  •  事務局としては,取消権を行使する者が,債務者が債権者を害することを知って信託を設定した場合であるということを立証すべきであるということを書いているつもりでございまして,そこは一般の民法の詐害行為取消権の場合と同じく,債権者側で債務者の詐害意思は立証しなければいけないと。

 

 

 

それに対して,民法で言えば受益者ですか,ここでも受益者になるわけですか,側で自分の善意を立証するという同じ仕組みで考えているわけでございます。

 

 

書きぶりとしてはこれでよくて,補足説明で書いておけばということでよろしいですか。

 

 

  •  できればということですけれども,もし自明ということで,ただ単に私の理解不足ということであれば,別に結構でございます。本席において明確化したということで結構でございますけれども。

 

 

 

  •  一応,趣旨は今,○○幹事が説明されたとおり,一応明確にしてあるはずなんですが。

 

 

蒸し返すようで申しわけないけれども,さっきのあれは金銭の場合も同じように考えているの,信託財産が金銭の場合。

 

 

 

 

  •  金銭の場合も特に変わるところはないと思っておりますが,どういう点が。

 

  •  つまり,委託者が金銭を占有していますよね。それで信託を設定する意思を示して信託契約を締結する。そうすると,金銭についても受託者名義の財産になったということで,倒産隔離されるということですか。

 

 

  •  金銭については,所有と占有が一致するからという御趣旨……

 

 

  •  というか,意思主義でもって,もう金銭についても所有権は受託者に移転するものだというふうに考えて,それとも占有が残っているので,金銭については所有権は移転しないというふうに考えるのか。

 

 

  •  そこは,金銭は要するにまだ委託者が持っているわけですね。そこについては,金銭の所有権は移転しないのではないかなと考えておりますが,所有と占有が基本的には一致するというところで考えております。

 

 

 

 

  •  特定性があってもね。

 

 

  •  ええ,特定性があっても。

 

 

  •  そうであれば,実質はそんなに違わないのかもしれません。

 

さっき問題にしたのは,そういう対抗要件を要求しないで財産の移転ができるという財産について,場合によっては債権者を害することになってしまわないかという,そういう問題なので,金銭が恐らく一番問題だと思いますけれどもね。

ごめんなさい,どうぞ,○○委員。

 

 

 

 

  •  ここで申し上げるべきか,後の第68の信託宣言のところで申し上げるべきかなんですけれども,詐害信託のことにつきまして,後の信託宣言を認める場合において,一定の要件のもとで認めるという案が1つ示されておるわけですけれども,そこの中では,詐害行為があった場合については,この第3の通常の場合の詐害信託としての取消しということを行わずに,いきなり強制執行の禁止の例外として対応するという案が注に書かれているわけですね。

 

 

そこで,実際に同じ詐害行為において,信託宣言の場合とそれ以外の場合で,債権者の取消権の行使について差を設けるということについての何らかの注記なり,補足説明の中などでちょっと言及していただいた方が,ここの問題だけじゃなくて,いわゆる信託宣言における債権者の保護の観点で深い議論ができるのではないかなというふうに思われるんですけれども,いかがでございましょうか。

 

 

 

  •  そうですね,信託宣言についてはおっしゃるとおり,第68で甲乙丙案と提示しておりまして,丙案については一定の要件として,例えば詐害信託宣言の場合に強制執行を容認するという,しかし,これは1つの提案として書いているわけでございまして,必ずこれをとるかどうかというのがはっきりしませんので,もし,第3の方に書くとすると,信託宣言においては別途考慮の余地があるかを検討するというぐらいのことを書き得るかなと思います。

 

 

 

絶対に緩和するかどうかまだわかりませんので,そのような非常にあいまいな書き方であれば,一応ここに書いておいて,第68も見てくださいねという趣旨を明らかにするということにはしたいと思います。

 

 

 

 

 

  •  ほかにいかがでしょうか。さっき○○幹事が言われた幾つかの点はいかがですか。

 

 

信託の公示に関しては,言葉遣いが適当かどうかわかりませんけれども,今まで信託の公示ということで,当該財産が信託財産であることを主張する,あるいは対抗するという言葉,そういう意味で理解はしてきたので,これ自体は恐らく余り誤解はないとは思うんですね。

 

 

ただ,言葉の表現として正確さを期するかどうかということだと思います。

それから,固有財産で取得するという件についての御注意も,これはもっともだと思います。どこかで説明するか,しないかは別として。

 

 

 

  •  今の第5の点は補足説明で説明させていただこうかなと思います。

あと,公示のところの書きぶりについては,検討させていただきたいと思いますが,御趣旨を踏まえて誤解のないような書き方をしたいと思っております。

 

 

 

  •  信託契約というのは,信託を設定する契約のことなのか,契約による信託のことなのかということだけ,ちょっとお伺いできればと思うんですが。

 

 

  •  必ずしも明確な違いがよくわかりませんけれども,仮に遺言信託を除いて,普通の契約でもって信託が設定される場合において,その信託を設定する契約と信託契約とが,どこが違ってくるということになるんでしょうか。

 

 

 

 

  •  信託を設定する契約が合意によって成立しても,信託は目的物の所有権,占有が移るまで発効しない,効力を発しないという規律は十分に可能ですよね。

 

 

 

  •  それはだれもとっていない,それは僕もとっていないです。

 

  •  いやいや,可能ですよね。だから私にとってみると,信託設定契約が合意によって効力を生じるというのはある意味で当然の話であって,問題は,信託が効力をその時点で発生するかということなんじゃないかと思うんですけれども。

 

 

 

  •  わかります。そのときのまた信託が効力を発生するということの意味が多少多義的であって,そこはさっき私がいったような考え方と,○○幹事が言ったような考え方があり得ると,そういうことですね。

 

 

 

  •  少なくとも,遺言信託という言葉とパラレルじゃないんですよね,信託契約という言葉は。契約信託の方が漢字の順番としてはいいんじゃないかと思うんですけれども。余りこだわるわけじゃありません。

 

 

 

 

  •  おっしゃる趣旨はよくわかりました。うまく書き切れるかどうかわかりませんけれども,検討していただきましょう。

 

 

 

 

○○委員。

  •  表現だけの問題なんですが,第5で固有財産で保有する状態が継続した場合という書き方が,現行の9条に比べると非常に例外的で限定的な場合であるかのように読めやしないかという不安です。

 

 

まず,固有財産ということがここで初めて出てくるわけですが,当然,信託財産か,固有財産かという前提の理解があると思うんですが,初めて見ると,固有財産というのは何だろうか。

 

 

すみれ

「固有財産て他の法律に出てくるかな。」

 

 

そうすると,固有財産で取得した場合に限って信託は存続させない。現行の9条よりも随分限定されたというように理解されると,意見が適切に出ない可能性がありますので,これは9条との関係を明確にしておいた方がいいのではないかという表現だけの問題です。

 

 

 

  •  その点は誤解が生じないようにした方がいいと思いますので,表現は考えてみたいと思います。

ほかにここまででいかがでしょうか。

どうぞ,○○委員。

 

 

 

  •  1点,第3の詐害信託の(注2)のところなんですけれども,ここに記載されている内容は,受益者が悪意の場合に,現物を受領している場合に債務者への返還を請求することができるということで,こういう規律は必要だというふうには思うんですけれども,民法424条1項の取消権の行使でこれをするという御説明が若干よく理解できないところがありまして,424条でいくということになりますと,受益者が悪意であることが必要になるということになりますし,この424条の場合でいくときには,そうすると取消しの対象が何になるのかというところがちょっとよくわかりにくいところがありまして,この辺はちょっと御説明いただけると助かるかなと思っておるんですけれども。

 

 

 

  •  ちょっと私も議論の経緯は忘れたけれども,卒然とこれを読むと,民法424条1項の取消権を行使するということの意味ですね,要するに。それがどういう趣旨だったのかというのが。

 

 

 

  •  前回から実質を変えているつもりはないのでございますが,424条でいくときには,当然相対的取消しということなので,別に受託者が善意である必要もなくて,悪意の場合であっても,その受益者に対してその取消権を行使することができて,そのときは仮に信託財産で詐害して設定した物が委託者から受託者のもとにいって,受託者から受益者のところにいっているときは,通常の受益者に対する取消しプラス請求ということで,その委託者のもとに返しなさいということをすれば,現行の枠組みの中で解決できるのではないかというふうに,それであくまで相対的取消しですので,その物が債務者たる委託者のところに戻ってくる。

 

 

 

 

  •  すると,そのときには受託者の主観的要件というのは……

 

 

  •  いや,別に現在でしたって,例えば受益者,転得者とあるときに,その転得者に対して取消権をやるときに,受益者が善意である必要はないですよね。

 

 

それと同じことではないですか。受益者または転得者が善意であるときはこれにあらずというふうに424条では書いてあるかと思うんですけれども,ただし書で。

 

 

 

  •  申しわけありません,私の理解がちょっと十分でないのであればよく考えてみたいと思うんですけれども,そうしますと,取消しの対象というのは信託行為自体を相対的に取り消すと--ごめんなさい,先ほどのあれですと信託契約になるんでしょうか。

 

 

  •  行為自体ではなくて,信託に伴ってなされた財産の処分を取り消す。

 

 

  •  恐らく問題は,424条を信託の場合に適用するときに,その要件も完全に424条そのものの要件を要求して,かつ取り消される行為が委託者と受託者との間の行為を取り消すと,そういう形でもって,ここで考えているのかということですよね。今,相対的な取消しというのはわかりますけれども,要件としては……

 

 

  •  要件としては,民法の規定です。

 

 

  •  民法の規定そのものの要件で,そのもとでやはり取り消すことは取り消すと,そういうことですか。

 

 

  •  はい。ということが,その物に着目して返すというときには,そういうふうに処理すれば足りるのではないかと。

 

 

したがって,2の本文で,以前は受益権の譲渡の請求と,それから現物の返還というふうに書いていたんですけれども,現物の返還の方は民法の方でいけるというふうに書けば,信託法で規定すべきは受益権の債務者への譲渡の請求だというふうに書いておけば,足りるのではないかと。

 

 

 

 

  •  必ずしも,まだ僕の理解がよくわかって--どうぞ,どなたか説明していただければ。

 

 

 

 

  •  先に説明じゃなくて,わからないことを伺ってから説明いただくと。

 

これ,第3の1は詐害行為取消しの特則で,要するに詐害行為である信託契約を取り消すというもので,2の方は受益権が存続するわけですから,信託契約は取り消さないものだという,そういう位置づけではないんでしょうかという質問なんですが。

 

 

  •  1の方は,受託者に対して請求することになるかとは思うんですけれども,1に通じて,この取消権が行使された結果として,その信託契約全部がなくなってしまうということではなくて,例えば取消権だって,現行法だって民法第424条第1項に規定する取消権を行うことを得ですから,あくまで被保全債権の範囲でなされた処分を取り消すというところの前提は変わらないわけですから,信託自体を取り消して,委託者であることも,受託者であることも全部なくしてしまいましょうということではなくて,信託に伴ってされた財産処分行為の一部を取り消すという考え方であります。

 

 

1の取消権が行使されたときに,その信託契約が全部なくなってしまうということを必ずしも前提にしているわけでもないのだということだと思いますけれども。

 

 

  •  今ちょっと詐害行為取消しとの関係について,私自身が理解しているところとつき合わせていただきたいのですけれども,先ほどのお話ですと,受託者の悪意を要件としないのは,受託者が詐害行使取消しで言えば受益者になり,受益者が転得者の地位になって,かつ受益者と転得者の双方悪意を民法上は要求されていないからというお話で,もう一つ,この場合の取消しの対象となるのは,信託に基づくいわばその履行前の給付行為の部分であるという御説明だと伺ったんですが。

 

 

まず,前者について言いますと,受託者が詐害行為取消しにおける受益者に当たり,受益者が転得者に当たるという構造自体がそうとらえていいかというのが,信託の場合問題ではないかという点が,1つは理論的な問題としてはあるだろうと。

 

 

 

 

さらに,若干一般論的なことを申し上げますと,受益者と転得者の双方悪意は要求しないというようなたしか最高裁の判決があったと思いますけれども,どのくらい確立した判決なのかという問題はあったようにも思います。

 

 

それで,私自身はむしろ,受託者の悪意を要求しないというのは,信託の特殊性から,そもそも信託において詐害信託的に,424条的なことをやるときには固有の利益を有しないということで除かれるのかなというふうに理解しておりました。

 

 

それからもう一つ,信託に伴って,あるいはそれを基礎としてされた給付行為を取り消すということの意味なんですけれども,先ほどのような受益者,転得者の位置づけをした場合なのですけれども,これ私の誤解でなければ,一般的に民法424条の詐害行為取消しの場合は,転得者との関係でも取り消されるのは大もとのところ,債務者と受益者の間のところは取り消されて,それに乗っている転得者が無権利者になるということで,転得者に対する給付行為の部分,受益者から転得者への部分を取り消すということではないように理解していたのですが,仮にそういう理解が正しいとすると,単純に424条パラレルではなくて,やはり特殊な取消しをここで用意しているという説明になるのではないかという気がしたものですから。

 

 

 

 

  •  ええ,そういう感じがしますね。

○○委員。

 

 

  •  今の○○幹事の後段との関係ですが,前の文章ですと,信託を設定するために財産の処分をした場合というふうになっていて,取消しの対象はその処分であるということが表現からは受け取りやすくなっていたんですが,今回の案ではそこを簡略化して,処分というのがなくなっておりますので,その結果,信託設定自体が取消しの対象になるのではないかというような理解が出てくるんだろうと思います。

 

 

ですから,そこはまず明確にした方がいいと思うんです。

 

 

 

さて,それを明確にした上で,果たして一体何が取り消されるのかということになりますと,先ほど○○幹事は給付とか履行というようにおっしゃったと思うんですが,信託設定行為と,それからそれに基づいてなされる財産処分との関係が一体何なのか。

 

 

 

特にその信託契約を諾成契約と見た場合に,それに伴ってなされる財産処分というのが,完全に単なる履行なのか,それとも別個の取消しの対象となる独立した契約なのかというあたりがどうもはっきりしないから混乱が生じると思うんです。

 

 

 

いずれにしても,問題点を明らかにするためには,もとの文のように,財産処分をということを出しておいた方が,議論の対立点が明らかになるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

  •  ○○委員,どうぞ。

 

  •  よくわかっていないで質問というか,発言するんですけれども,この受益者として指定されたという表現からすると,これは他益信託だけを意味しているのかなというふうに思えるんですけれども,その辺の確認と,もし仮にそうだとすると,金融商品等では自益信託が使われることがほとんどだと思うんですけれども,自益信託については前段だけで,信託設定時に債務者が悪意ですと,転々と譲渡されている金融商品に対して詐害信託ということで取り消されてしまうのかなと,ちょっとわからなくて質問なんです。

 

 

 

その自益信託,他益信託とか,この自益信託の場合の受益権が転々譲渡されたときの悪意,善意とか,あと自益信託の場合は受益権が分割されますから,その場合の関係とか,その辺をちょっとお知らせいただければと思うんですが。

 

 

 

 

  •  ちょっと自益信託の部分が,他益信託を念頭に書かれていることはたしかであるんですけれども,自益信託の場合どうなっていくかというところが少しわかりにくいんですが,いかがですか,これは。

 

 

 

  •  自益信託の場合に,そもそも自益信託の設定自体が詐害と認定されることがどれくらいあるかという議論はあったかと思うんですけれども,自益信託の設定自体が詐害的になるときには当然債務者も悪意ですし,受益者も悪意ですから,それは取り消せるということになるかと思うんですけれども。

 

 

 

それが,その受益権が転々譲渡されたときには,その受益権を取得した人が取得した時点において善意か悪意かということで考えていくということになるかと思います。

 

 

 

 

  •  すると,この指定されたことを知ったというのは,自益信託も前提として受益権の--当初,委託者兼受益者というのは悪意なんですけれども,必ずそれを譲渡する前提ですから,その受益権の譲受人が譲り受けた時点で悪意かどうかで,個々別々に判断していくという,この条文が適用になっていくということですか。

 

 

 

 

  •  はい。

あと,○○委員から御指摘のあった前回は処分と書いてあったではないかと,今回,信託というふうに書いたことによってという点については,前回から実質を変えるつもりはございませんで,あくまで信託設定のための処分ということで今回も考えていたのですが,やや表現が冗長過ぎたかなと思って,今回信託を設定したというふうに書けば,それでわかるかなと思って表現をちょっとまとめてしまったということでありまして,もう少しわかりやすく書いた方がよろしいということであれば,ちょっとまた検討させていただきたいと思います。

 

 

 

  •  じゃ,ちょっと表現を検討していただくことにしましょう。

それでは,次に行きましょうか。

 

 

 

  •  では続きまして,信託財産関係というところについての説明に移らせていただきます。

 

 

まず,第8でございますが,これは文言自体は前回までと変更ございません。

 

 

なお,前回の部会におきまして,通常の信託の運用によって得られた財産が信託財産になるということと,非常に例外的な事態によって得られた代償物が信託財産になるということを同一の条文で規定するとわかりにくいのではないかという御指摘がございました。

 

 

この点を踏まえれば,例えば1つの案として,「信託財産の管理又は処分その他信託目的の達成のために必要な行為により受託者が得た財産」というのを第1類型,それから「信託財産の滅失,毀損,その他の事由により受託者が得た財産」というのを第2類型として,別個に提案するということも考えられるわけでございますが,これはかなり法制的なマターでありまして,中間試案,パブリック・コメントの段階でそこまで区別する必要はないだろうという考えのもとに,原案のまま書いているということを付言させていただきます。

 

 

 

それから,第9,第10,実質本体には変わりないのでございますが,第9の(注)のところで,ここにも財産の分割に関する規律を設けるという注を書かせていただきました。

 

 

 

 

前回の提案におきましては,第10の識別不能の局面についてのみ,共有物分割のルールを設けるものとしておりましたが,この共有物分割のルールは第9で共有とされる場合についても必要となりますので,第9の局面でも規律を設けることとしております。

 

 

両者の規律内容は,基本的に同じ内容になるかと思われるところでございます。

 

 

それから,続きまして第11は,これは何も変更はございません。御異論はなかったところかと認識しております。

 

 

第12がちょっとややこしいところでございますが,まず変わったところといいますと,①と②という規律を設けたところでございますが,第12は第31の権限違反行為の取消権のところと密接に関連しておりますので,両者をちょっと絡めながら,まず第10について御説明いたしたいと思いますが,第16回の会議,前回の会議におきまして,第31の信託違反行為の取消しのところで,受託者が信託財産のために行為をする意思を有していることはもとより,受託者との取引の相手方も受託者が信託財産のために行為をしているとの認識を有している場合に限定して第31を規定してはどうかという取りまとめがなされたものと理解しております。

 

 

 

このような取りまとめを踏まえますと,第31におきましては,後ほど御説明いたしますが,受託者が信託財産のためにした行為で,相手方も当該行為が信託財産のためにされたものであることを知っている場合,すなわち両者とも信託財産のために行為したとの認識を有している場合に限定して規定するものといたしました。

 

 

そのような第31においての取扱いを踏まえまして,第12の(3)の①のとおりの手当てを行うこととしておりまして,これは要するに両者とも信託財産のためにと認識していたけれども権限外でありましたというときには第31の取消権の対象となりまして,取消権が行使できないもの,あるいはしないものにつきましては,信託財産にも固有財産にもいける。

 

 

すなわち,信託財産に対して強制執行できるという規律を書いているものでございます。

 

 

同じ趣旨は前回の提案にも書いてあったかと思いますが,第31条について,両者とも信託財産のためにした行為と認識している場合に限定したことを踏まえたものであるということが,解釈上違ってくるところかと思います。

 

 

 

 

 

問題は②の方かと思うのですが,まず受託者が信託財産に属する財産に関する権利の設定又は移転,これは典型的には信託財産に属する特定物の売買でございますが,このような行為をした場合におきまして,受託者の取引の相手方が,その行為が信託財産のためにした行為との認識を有していないというときには,それが権限違反の行為だという認識についても当然有しないはずであるということになるわけでございます。

 

 

 

この場合,しかし,当該相手方というのは,その財産が信託財産であるということは認識してはおりませんが,ともかくその受託者が権利者であるところの信託財産に属するその財産を信頼して取引に入ったのですから,その財産に対する相手方の信頼を保護する必要があると思われるわけでございます。

 

 

そこで,第12の(3)の②を規定いたしまして,相手方は,この信託財産に属する特定物に対して執行していくことができるということにしたわけでございます。

 

 

 

これに対しまして,例えば,受託者が信託財産のために借入れをしたんだけれども,権限違反であったという場合につきまして,取引の相手方が,受託者が信託財産のための行為をしたという認識を有していないという場合,この場合におきましては特定物を信頼したわけでもありませんし,信託財産を引当てにすることを信頼したわけでもありませんので,信託財産に対して執行を認めるほどまでに相手方の信頼を保護する必要は必ずしもないのではないかと思われます。

 

 

 

そこで,②のいわば反対解釈といたしまして,信託財産に属する権利の設定または移転に当たらない場合,例えば今申し上げた債務負担のような場合には,相手方は固有財産にはかかっていけるとしても,信託財産にはかかっていくことができないということにしたというのが,この②の趣旨でございます。

 

 

それから,あと差押えでございますが,従来より,(1)の信託財産について信託前の原因によって生じた権利,(2)の受託者の権限に属する行為により生じた権利につきまして,もう少し細分化して書くべきか,例えば受益債権ですとか,租税債権ですとか,信託財産による所有者責任に基づく不法行為責任ですとか,設定時の債務の引受けによる債権と,そのようなものについてまで細かく書くべきかどうかという点については,なお検討させていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

それから,注のところでございますが,受託者の不法行為について生じた債権について,信託財産にもかかっていけるかという問題は従来よりございまして,信託財産を保護する観点からの否定説と,債務不履行との平仄から取引的不法行為は含むとする説,信託財産が利益を得ているということを重視して事実的不法行為まで含む説など,種々の説が示されておりましたが,この点についてはなお検討させていただきたいというところでございます。

 

 

ポイントは(3)の①と②を,特に②を新たに設定したと,こういう場合だけは信託財産への執行を保護するということにしたというところでございます。

 

 

続きまして,第13の受託者の倒産の場合における信託と倒産手続との関係というところでございますが,まずここで説明したいことは3点ございまして,第1は,前回提案におきましては,差止請求権,1の(2)のところでございますが,これを受託者倒産の場合における信託財産の取扱いとして説明しておりました。

 

 

破産管財人による処分の差止め,再生債務者等による処分の差止めについて1の(2),2の(2)で提案している点でございます。

 

 

このような差止めの制度を設けることについては特段異論がなかったと思いますが,その位置づけを変えたというところにポイントがあるわけでございまして,本来,信託財産の管理・処分は受託者にゆだねられまして,受益者はいわば背後に控えているわけでございますが,現行法は第16条,ここでいうと第12に当たりますが,に相当する個別執行の局面では,受益者が前面に出て異議の訴えにより換価を阻止することが認められております。

 

 

 

 

 

これに準じまして,包括執行としての性格を有する倒産手続の局面におきましても,各受益者が前面に出て差止請求権を行使することによって,信託財産の処分を阻止することができるとすることが整合的でありますので,両者を連続的に位置づけることがこの理解を明らかにするということで相当であると思われまして,第12に続けて,第13のところに差止請求権を持ってきたということでございます。

 

 

続きまして,第2に,前回の会議におきまして,信託財産の保護をより実効的なものとする観点から,このような差止めの制度を認めることに加えて,さらに受託者が破産したときには,裁判所が職権で信託財産管理人を選任してはどうかという御指摘がございました。

 

 

しかし,受託者が適切に分別管理を果たしている場合につきましては,必ずしも信託財産管理人を選任する必要はないと思われますが,信託財産管理人を裁判所が職権で選任することとした場合には,無用な費用負担が受益者に及んでしまうということですとか,信託財産管理人の選任は相当な費用を要するものであることにかんがみますと,選任は受益者の意思決定によるとするのが合理的でありますので,これらの観点から,職権で信託財産管理人を受託者破産の場合に選ぶというのは,必ずしも相当ではないというのが事務局の当面の見解というところでございます。

 

 

 

 

 

最後に第3といたしまして,前回の会議で委託者の倒産の場合に,委託者の破産管財人が双方未履行双務契約に係る解除権を行使することができるか否かという問題が提起されていたところでございます。

 

ところで,信託契約に関連した債務のうち未履行状態にあるものとして想定することができますのは,例えば委託者の債務の局面で言いますと,委託者が報酬を支払う旨の定めがある場合が未払いのある場合の報酬支払債務というもの,それから委託者が一定の事由が発生した場合に,追加的に信託財産を拠出する旨の定めがある場合の追加信託義務,あるいは信託契約締結後において,まだ信託財産の引渡しが未了である場合の引渡しに係る債務などを観念することができるものでございます。

 

 

 

他方,受託者の債務といたしましては,信託事務遂行義務と,あとは法定帰属権利者たる委託者に残余財産を支払う義務というあたりを観念することができるわけでございます。

 

 

もっとも通常の信託契約におきましては,委託者が報酬を支払うことですとか,追加信託をするというような特約が締結されることは少ないと思われますし,引渡し未了という観点につきましても,通常の信託契約では締結直後に履行されているだろうと思われますので,これが問題になってくることはまれであろうと思われます。

 

 

 

 

また,万が一,これらの債務の未履行状態になりまして,破産法53条1項の適用があるといたしましても,これによって契約を解除することは,相手方に著しく不公平な状況が生じることによって解除権の行使ができないと。最高裁が平成12年判決に出した,たしかゴルフ場会員権に関係する判例で,解除権の濫用ということで排斥した事例があったかと承知しておりますが,そのように解されるところでございます。

 

 

 

以上を考えますと,多くの場合については,委託者の破産管財人が解除権を行使することはできないと,特段の規定をあえて設けなくても不合理な事態は生じないと考えられるところでございます。

 

 

 

 

 

 

 

他方,仮に破産管財人の解除権の行使を一律に禁止するといたしますと,例えば信託財産の引渡しが未了である場合についても解除権の行使が制限されることとなってしまうとすれば,不合理ではないかと思われるわけでございます。

 

 

以上の点を踏まえまして,委託者の破産管財人等による解除権の行使につきましては,特段の規定を設けないのが相当ではないかというのが当面の事務局の見解ということでございます。

 

 

 

続きまして,第14でございますが,相殺につきましては,これも特に変更するところはございません。

 

 

ただし,(注1),(注2)というところでございますが,これは従来,受託者の権限違反の行為というところで記載していたものでございますが,ここで問題となりますのは,受託者の権限の有無という問題ではなくて,受託者と相手方との間で取引の効果の帰属先について認識が異なる場合についての問題でございます。

 

 

特に相殺の場合には,相手方の相殺の規定を保護する必要が高いと思われるところから,相殺のところに位置づけを変えたわけでございます。

 

 

ただ,あえて規定を設けなくても,債権の準占有者弁済に関する解釈によって対応可能ではないかという考え方もあり得ると思われますので,規定を設けるか否かについてはなお検討したい。位置づけについては相殺のところに持ってきたということでございます。

 

 

 

 

第15につきましては変更ございません。

 

第16でございますが,これは従来,部会では甲案ということでほぼ一致した御意見をいただいておりまして,民法187条の原則と,あとは権利濫用などの一般原則にゆだねていけばいいということであったわけでございますが,部内で再検討いたしましたところ,甲案がいけないというわけではなくて,現行法13条に特に不都合な部分がないのではあれば,あえて削る必要までないのではないかという考えもあり得るのではないかと思われまして,そういう観点から,現行法を維持するという乙案と対置させることによりまして,あとは一般の方の意見を聞いた上で最終的に決定したいということで,両案併記になっているというところでございます。

以上です。

 

 

  •  それでは,ここまでで御議論お願いします。

○○幹事。

 

 

 

  •  1点だけなんですが,第12の,これはまさに問題だとおっしゃったところなんですが,1の(3)の②なんでございますが,これはある財産が信託財産であるということを第三者に対抗できるということとの関係についてはどのようにお考えでしょうか。

 

 

つまり,不動産ですと,もちろん登記がないと第三者に対抗できなくて,登記を見たときには,それは知らない場合でいいのかという問題にも結びつきますけれども,知っているということになるのかもしれませんけれども。動産等で登記登録がなくても信託財産であるというふうに言えるということになりますと,信託財産のためであることを第三者が知らないで当該財産を購入するというふうにいったら,当然に執行できるのかというと,例えば民法192条とかの適用がないとだめなんじゃないかという気もするんですが。

 

 

ちょっと私も頭を整理できていないんですが,もし対抗の関係がありましたら,教えていただければありがたいんですが。

 

 

 

 

  •  ちょっと対抗の問題が果たしてここで生ずるのかというのは,我々ちょっと十分認識しておりませんで,特定の財産を信用している場合には,その財産についてかかっていけるというのがここでの趣旨と先ほど申し上げましたが,それにつきましては,その財産について第三者に対する信託の対抗要件を備えている必要が,果たして執行債権者の関係であるのかというと,それがちょっとどういう局面で問題になってくるのでしょうか。対抗要件がないと執行できない可能性があるという御趣旨でございますか。

 

 

  •  違います。対抗要件がなくても,当該財産が信託財産であることを受益者は取引の相手方に対して対抗できるんじゃないか。

 

 

そして取引の相手方は,例えば動産なら何でもいいですけれども,特定物の購入契約が信託事務の執行としてなされたものと思っていないわけですから,通常ならば,当該財産に係る受託者の個人的な契約というのはできなくて,受益者は,当該財産は信託財産だから,受託者が--信託財産はされているからいいのか。

 

 

 

  •  僕もちょっと似た疑問を持ったので,続けて便乗しますけれども。ここで問題となっているのは,やはり信託財産であることが,むしろ本来であれば対抗できるというんでしょうか,信託財産であることがむしろ当然の前提で,この相手方,第三者に対しても,信託財産であることは本来は主張できるんだけれども,こういう要件,知らないという要件が第三者の方にあると,そうすると信託財産であるにもかかわらず,かかっていけるようになると,そういうことですよね。

 

 

 

 

  •  信託財産であるにもかかわらず,しかも相手方は信託財産のためにしたということは知らなくてもいけると。それは,そのものを信じているからだということでございます。

 

 

 

  •  ええ,だからある種の善意取得を使うのかどうかわからないけれども,信頼保護ですよね。そういう規定なんだな。

 

 

それで,信頼保護だとすると,こういう知らないというだけの要件でいいかどうかという細かい問題はまたあると思いますけれども,これは議論したんだったっけ。知らないということだけでいいのか……

 

 

 

  •  知らない場合は保護する必要はないのではないかというような話がございました。

 

 

そもそも権限違反についての善意(無重過失)ということを書いておりましたところ,知らない場合には,そんな善意(無重過失)ということを問題にするのはナンセンスであると,そういう御指摘をいただきまして,改めて考え直したわけでございますが。

 

 

 

それでは,知らない場合は一切信託財産にかかっていけるとする必要はないかなというのが,最初部内では議論したわけでございますけれども,しかし,ある特定の財産を信用して買った人にとってみれば,それが果たして受託者の固有財産であったのか,信託財産であったのかにかかわらず,保護されてしかるべきではないかと。

 

 

何の落ち度もないのに,そのものに着目して買った人が保護されないのは,それはちょっとおかしいのではないのかという観点から,特定物の売買のようなものについては,第三者が知らない場合であっても,認識にかかわらず,そのものを引き渡すよう請求することができるというふうにしたわけでございます。

 

 

他方,例えば貸し付けたというような場合であれば,それは確かに受託者の財産総体を認識しているかというと,信託財産も受託者の固有財産と勘違いするということもあり得ないではないんですが,やはり保護の必要性という観点からしますと,特定の財産に着目している場合に比べれば,保護の必要性が劣るだろうということで,信託財産に対してはかかっていけないというのがここの考え方で,そういうふうに分けたというのが筋道ではございますが,ちょっと対抗関係というのはちょっと私も理解できないんですけれども。

 

 

 

 

 

  •  従来のというか,現行法の16条と31条の関係と似ているわけですけれども,債務負担行為みたいのはだめなわけですよね,16条に。

 

 

31条の方はもうちょっと広く相手方を保護しているところがあって,その考え方はある意味で発展させている。

 

 

典型的には,要するに信託財産の中に入っている,例えば動産を第三者に売却したときに,相手方は特定の財産を買うつもりで買っているわけですね。こういう取引行為が,相手方が信託財産のためにされたものであることを知らないときには……

 

 

 

  •  知らなくても。
  •  知らなくてもですか。知らなくても,要するにその信託財産に対する債権を持って引渡しを,その当該信託財産についてということなのかな。

 

 

 

  •  そうですね。当該信託財産に対して,この場合は特定物ですから,引渡し……。

 

 

  •  要するに簡単に言えば,今のように信託財産に入っている財産を買った人間は……。

○○幹事。

 

 

  •  ですから,例えばAさんがBさん所有の動産を占有しているという状態にあって,そのBさん所有の特定動産を第三者Cに売ったという場合ですよね。それで,Cは当該動産のことをまさに当てにしたのだから,当然に所有権が取れるとか,引渡請求ができるとかということにはならなくて,それをCの保護を規定するのが民法192条なわけですよね。

 

 

 

そうすると,そこには一定の要件が係っているわけですが,信託財産であるときには,確かに第三者所有の動産ではなくて,自己所有の動産であるということで,先ほどの192条の典型的な場合とは異なるわけですが,しかしながら,当該財産が信託財産であるということは,登記登録なくして第三者に対して主張できる状態にある。

 

 

 

主張できるというのは,このときに受託者が主張できるというふうに考えますと,わけがわからなくなるんですが,例えば受益者が主張できる状態にあるわけであります。

 

 

そうなると,ここにも本来は192条みたいなものが起こらないとという条文がないと,本来は第三者は保護され得ないんじゃないか。

 

 

 

占有改定による引渡ししかなされていないとすると,判例法理に従いますと,これは保護され得ないんじゃないかというふうに思うわけですし,そうすると,信託だから通常の192条が適用される場面よりも,より保護するということの正当化が何かの形で必要であるということになるんじゃないかと思うんですが。

 

 

 

 

  •  ○○幹事の御指摘は,例えば固有財産に対する債権者が,その信託財産たる動産に執行していったときに,通常であれば分別管理していますよと言って,それを証明さえすれば執行をカットできると。

 

 

ところが,今回の取引行為のような場合には,信託財産でしたよということを受益者が言ってもだめで,執行されてしまうというところのバランスがとれていないのではないかというような趣旨かなというふうにお伺い申し上げました。

 

 

それで,それもいろいろと議論をしたわけではありますけれども,まず固有財産に属する債権者が執行していったときには,その債権者は別にその財産を信頼したというわけではないので,そういう場合には証明ということで対抗できるだろうと。

 

 

ところが,ともかく信託財産に属するその財産をというものを信じて取引をしたときには,その信頼は保護していいのではないかと。

 

 

192条の適用がまさに適用される場合ではないという場面はそのとおりでありまして,ここでの問題は,この財産を預けてくださいと,預けて管理してくださいとお願いしたその受益者と,それからそれを信頼して取引に入った第三者との利益の利益衡量をどの範囲で行うかという問題かと思いまして,これはもう定型的に受託者に対して預けているのですから,それでその財産だということを第三者というのは信じたのですから,その場合には,これを保護していいのではないかと。

 

 

 

現行31条でも,こういう場合は多分取り消せない,今回の我々の提案でも取り消せない。

 

 

取り消せないんだけれども,その執行はできないというような状況にするのではなくて,やはり取り消せなくて,取引は所有者たる受託者との間で有効に成立するという考え方をした以上は,それをやはり執行できるというところまでいけないとおかしいのではないかというふうに考えた次第であります。

 

 

先ほど座長が御指摘になりましたように,16条と31条がそろっていないというところは,従来から指摘があったことかと思いますけれども,31条で取り消せないとしたもののうち,信託財産を信頼したと。

 

 

とにかくもう信託財産にあるその物を信頼したというときには,192条よりもさらに進めて執行できるというふうにしていいのではないかというふうに,前回の議論を踏まえてちょっと考えたということかと思います。

 

 

 

 

  •  わかりやすくするために,ちょっと質問させていただきたいんですが,要するに趣旨は大体わかったような気はするんですけれども,そうしますと,紛争が起こったときにだれが何を主張,立証すればよいということになるんでしょうか。

 

 

 

先ほど○○幹事が言われたAさん,Bさん,Cさんで,Cから強制執行していくんだろうとしますと,Cは何を言い,それに対して受益者なんでしょうか,は何を言い,そしてまたそれに対してCは何を言えばいいのかというのをちょっと整理して教えていただけますでしょうか。

 

 

そうしますと,この1の(1),(2),特に(2)と(3)の①,②の意味がわかるんじゃないかなと思うのですが,いかがなんでしょう。ちょっと説明をお願いできればと思います。

 

 

  •  そこに対して僕は答えることはちょっとできませんけれども,前提としてもう1回自分の理解を確かめたいんですが。

 

 

 

これは,信託財産に対する強制執行ということで,要するに16条に相当する現行の規定の問題ですよね。

 

 

一定の債権者がその信託財産に対して強制執行していく。この場合,当該第三者が買った信託財産の範囲を超えて,およそこの第三者はいわば信託財産一般にかかってくる債権があるというふうにみなしている。

 

 

だから,その分が192条の問題より少し範囲が広がっているわけですよね。そこで債権者が差し押さえをしてきたときにどうなるかという,そういう状況を扱っているわけですね。その上で何を証明して,どっちが何を言うのかということ……

 

 

 

  •  受益者等の異議が問題なんでしょうから,正確に言いますと,やはり受益者からまず何を言えば足りるのか。それに対して強制執行をした人間は何を言えるのかという形で整理していただけますと,わかりやすくなるんじゃないかなと思います。

 

  •  そういうことですよね。

 

 

  •  まず,権利者の方から執行していくわけですね,特定の財産に。それに対して,受益者の方が,それは信託財産ですという異議を言うと。異議を言うといたしまして,それに対してしかし……

 

 

 

  •  信託財産であるというだけで言えるということは,先ほど○○幹事がおっしゃったように対抗できるということですよね,その限りでは。

 

 

 

 

  •  第三者が執行していって,それで受益者の方で信託財産ですというふうに言ったのに対して,第三者の方で,私は受益者が信託財産のためにした取引で,この財産がそういう契約に基づいて取引に入ったのであって,その財産が信託財産であるということは知りませんでしたということを言うと。

 

 

12の1の(3)の②の要件に当たりますよということを第三者の側で主張するということになります。

 

 

  •  もう一度おっしゃっていただけますか,ちょっと聞き逃してしまったので。

 

 

  •  第三者が執行していって,それで受益者の方でこれは信託財産ですよということを主張したら,もう1回第三者の方で,私は12の1の(3)の②の要件に該当しますということを,その権利を主張する第三者の方で証明する。

 

 

  •  今のことと,12の1の(3)の柱書きの受託者の権限に属しないというのは,どこに出てくることになりますか。

 

 

  •  それは受益者が恐らくまず言うんでしょうね。これはやはり状況はあれでしょう,従来の31条の状況を前提にしているわけですよね。

 

 

信託財産であって,それを処分したけれども,その権限違反の処分であって,そういう意味では本来効力は生じないけれども,従来の31条でも相手方が一定の範囲を……

 

 

 

  •  執行してきまして,第三者に言うといたしまして,それは信託財産のためにしたけれども,権限外だと言うとすると,今度,第三者の方で,それはしかし自分は受託者個人に帰属するものと思って買ったんだということを主張するというような仕組みになってくるのではないかと。

 

 

 

 

  •  この行動としては12の1の(2)が来るんでしょうね,(2)になるかどうかわかりませんが。

 

 

要するに,信託財産だと受益者が主張したときに,第三者の側で,いや,これは信託財産に帰属するような行為が行われたんだということを言えれば,それで大丈夫ですけれども,仮にそれが言えないとすると(3)が出てくるという構造という御説明だったわけですか,今のは。

  •  はい。

 

 

  •  恐らくシチュエーションはちょっと違って,相手方が信託財産であることを知っているような場合には権限に属するという言い方をするんでしょうけれども,相手方がそもそも信託財産であることを知らないというときには,権限の範囲かどうかということは恐らく言えないので。

 

 

 

そうすると,3の方に来る。しかし,いずれにせよ,相手方は2を言うか,3を言うかでしょうね。その上で,3の問題として何を言うか……

 

 

 

 

 

  •  普通の人間にとってわかりやすいのは,(3)の②の部分というのは,多分受託者の固有財産に属するものだと思ったという,信頼を保護するのだという方が,多分普通の人間はわかりやすいんだろうと思うんですね。

 

 

それが②のような書き方になっているので,ちょっと頭の中で相当大きい変換をしないとわからないという状況になっているのかなと思います。そうしますと,しかし本当に②のような書き方でいいのだろうかという気はちょっとしないではないですね。

 

 

 

そして,受託者の固有財産に属するものと信じたんだという言い方をしてきますと,先ほど○○幹事がおっしゃいましたように,これは民法で言うと192条の問題と近い制度として位置づけられるのかなという気がしてくるとなると,本当に善意要件だけでいいのだろうかという問題が,やはりまた浮かび上がってくるような気がするんですが,いかがでしょうか。

 

 

 

  •  大分問題点は明らかになってきたと思いますけれども,ほかの皆さんもいかがでしょうか。

 

 

○○委員。

 

 

 

 

  •  先ほどの○○関係官の説明のときに,分別管理されていることを前提に話があったような気がするんですけれども,分別管理は別に対抗要件ではなくて義務だけですので,別に受託者がぐちゃぐちゃに管理していようが,信託財産は信託になると思うんですけれども,それが議論の出発点が1つあったので少し気になった,それはたまたまそうおっしゃっただけなのかもしれませんけれども。

 

 

あとも,○○幹事がおっしゃられたように,公示との関係が,今192条との関連で持っていくんだと,要するに対抗関係ではないんだという議論に引っかかっているのかなと思うんですけれども。

 

 

そうすると,不動産,動産,債権,動産,債権だけで区別すれば,債権なら準占有者弁済の192条だけじゃなくて,議論になっていくのかなとも思いますし,果たしてそういう整理だけではなくて,何かやはり公示制度に対する特例みたいな意味合いがどうも出てきちゃうような気がしますと,そうすると,せっかく公示の方が緩和されたにもかかわらず,結局信託財産というのは受託者が処分することによって,結構保全が図られなくなってしまうというようなところもあってですね。

 

 

 

 

 

あと,もし対抗関係の議論,まだちょっと私はこだわっているのかもしれません。

 

 

対抗関係の議論をする場合,通常の場合,対抗というと,債権の譲受人,動産の譲受人でも,差押債権者でも,破産管財人でも同列に扱われますから,この場合だけ,対抗関係で議論する前提であれば,譲受人だけがより優遇されているというような状況も何となくちょっとぴんとこない。

 

 

もちろん192条で議論するんだということで全体が整理されれば,それはそれでいいのかもしれませんけれども,という感想めいた意見ですが。

 

 

  •  いかがでしょうか。これは,前からある意味で二転三転している難しい問題の一つだったと思いますけれども。

 

 

ちょっと今恐らくいろいろな問題が関連して,公示の問題,対抗の問題,それから要件もこれでいいのかどうかも含めて,ちょっと今とっさに答えるよりは……

 

 

 

 

  •  次回15日がありますので,そのときまでに,今の御指摘を踏まえて,なお書き直すべきかどうか,ちょっと検討して再提示させていただければと思いますが。

 

 

 

  •  非常に難しい,かつしかし重要な問題だと思いますので,慎重に検討した上でもう1回御提案したいということにさせていただければと思います。

 

 

 

 

 

  •  現行法の解釈の問題として,例えば現行法である財産が信託財産であって,それを権限違反で処分をしましたと。

 

 

取引の相手方は,それが仮に特定物だったとして,それは信託財産であるという認識は全くないわけですから,当然,権限外であるということについて悪意(重過失)であるはずもないというような場合には,31条によって当然受益者から取り消されるということはないわけですけれども,この場合,16条の世界にいって,現行法はどういうふうに解されているかといいますと,信託事務の処理というところを厳格に解していきますと,もうこれは執行できないんだということになっちゃうんですけれども,その31条では取り消せなくて,契約自体は有効に成立するんだけれども,その執行はできないということは,現行法ではとりあえずそう考えているのか。

 

 

それとも,それは当然の前提として,そういうものは執行できるんだというふうに考えているのか。

 

 

現行法はどのように解したらよろしいかですが,それがちょっと明らかにこれまで文献,論文,議論等でされてこなかったものですから,とりあえずこう考えてはどうかということで,③と②というのを想定してみまして,○○幹事がおっしゃられた固有財産のためだと思ったということを書くのが普通,信頼したというのが普通じゃないかとおっしゃられたところは,まさにそれを裏から,だから信託財産のためだと思わなかったというふうに変えてみたということで,実質的におっしゃられたことと同じことと書いているつもりではあるわけですけれども。

 

 

 

 

 

 

  •  もう1点よろしいでしょうか。次回までに御検討いただいて,解明していただきたいということだけなんですが,取消しが問題になるケースでは,多分強制執行が起こったケースで取消しが問題になるようなケースとしては,強制執行が起こったときに,受益者の側が,これは受託者の権限外の行為であって,実際には取引行為が行われたのかもしれないけれども,それを取り消すと言ってしまえば,第三者の強制執行を行う権利が消滅するということになりますから,これでまさしく異議を述べることはできるんだろうと思うんですね,それは1つのルートとしてあると。

 

 

 

もう一つが先ほどのやつで,強制執行が来たときに,いや,これは信託財産だと。

 

 

だから,強制執行は許されないのだというルートもあるような気がするんですよね,あるような。

 

 

そうすると,これは2つが並立するのかという問題をちょっと考える必要があって,本当に取消しのルートは割とわかりやすいんですけれども,先ほどの信託財産だというようなことで異議を述べるというのが,本当に成り立っているのか,成り立っていないのかというようなことをちょっと次回までに御検討いただいて,御説明願えればありがたいなと。

 

 

ちょっとそのあたりの整理をきちんとしておきませんと,何か平仄を合わそうとして,返っておかしなことになる可能性もあるかなという気がいたします。

 

 

 

ひょっとすると,相当議論があったところなのかもしれませんけれども,そのあたり,次回にこちらの頭がすっきりするように説明をお願いできればと思います。

 

  •  どうぞ,○○幹事。

 

 

 

 

 

  •  なるべく短く済ませますが,○○関係官がおっしゃった問題というのは,まず第1に,登記登録すべき財産に関しては,悪意とか関係なく取り消すことができるということになりますので,そうなりますと,先ほど第12の1の(3)の②というものについて,単なる知らないという話なのか,登記登録があればそれは対抗できて,知っているというふうにみなされることになるのかという問題が出てくるような気がいたします。

 

 

次に,じゃ,登記登録すべからざる財産については,31条と16条はおかしいじゃないかという話なんですが,それはおかしいと思うんですね。

 

 

結局,処分という言葉の解釈で合わせようとすると,31条の処分というのは占有改定による引渡しなんかはなく,現実の占有が移った場合だけなんだと,現実の引渡しがあった場合だけなんだという解釈論も成り立ち得ないではないんですが,ちょっとそれは余り妥当な解釈だとも思いませんで,それは多分31条と16条は,取り消せない場合には--ごめんなさい,矛盾しているんじゃなくて,取り消せない場合には,私は引渡し請求は16条でできるんだというふうに思います。その点では○○関係官に賛成なんですが。

 

 

 

そうしたときには,他人の財産を持っていて売買したときには,192条で善意(無過失)という要件とか,占有改定では足りないという要件が係ってくるのに対して,信託財産であるならば,悪意または重過失の場合にだけ限るとか,あるいは現実の占有が移っていない段階でも保護されるというところで,その違いが出てくるわけですが,その違いについて,192条というのはあくまで他人の名義の財産であると。

 

 

しかるに,信託に関しては受託者の自己名義の財産であると。だから,違う結論が出てきてもいいんだというふうに説明するか,あるいは合わせるかということが必要となってくるわけであって,○○関係官がおっしゃるように,特定の物を信じた人を保護しなきゃいけませんよねという話は,やはり独立して考えることはできないわけであって,日本の法制度として,いろいろなところに特定の人,特定の物を信用した,特定のものが引当てになるということを信用した第三者の保護の制度があるわけであって,そこともし仮に要件を変えるとするならば,それは何によって正当化されるのかということが,やはり明らかにされる必要があるのではないかというふうに思うわけであります。

 

 

 

 

 

  •  今の点がまさに問題となる点だと思いますので,それを踏まえて,もう1回整理しておきたいということであります。

ほかの点はいかがでございましょうか。

○○委員から。

 

 

 

  •  ちょっと1つ,単純な質問なんですけれども,第13の受託者の倒産の場合における部分なんですが,こちらの1の破産のところは★にしてあって,2の再生のところはしていないその意図といいますか,趣旨を御説明いただけますでしょうか。

 

 

  •  ちょっと済みません,こちらの間違いで,これもつけておいていただければということでございます。
  •  よろしいですか,今ので。
  •  はい,ありがとうございます。

 

 

  •  同じく第13の受託者倒産に関連して,先ほどの事務局の御説明がありました委託者及び受託者の倒産があった場合の管財人による解除権について意見を述べたいと思います。

 

 

本論点につきまして,私の方から問題提起をいたしまして議論をいただきまして,また事務局からも,その受託者の倒産に関しましては,検討課題の(8)のところで御説明いただきまして,また委託者の倒産に関しましては,先ほどいろいろ実務の観点及び判例の観点からの御説明をいただいたところでございます。

 

 

そういう点からしまして,大体は実務的には安心できるのかなというふうには思っております。

 

 

 

 

ただ,これもどこまで追求するのかという話でございますけれども,やはり実務の観点から,その説明だけで十分安心できるのかどうか。

 

 

または信託というものについて,やはり倒産隔離というのが主要な要素であるということであるのであれば,ここであえて双方未履行双務契約の解除に関して,破産法の特則になるのかもしれませんけれども,双方未履行双務契約を破産管財人が解除できるという規律は適用されないということを明記してもいいかなというふうに思っております。

 

 

これについてはもちろん,いや,そこまで必要ないという,そういういろいろな議論があると思いますものですから,またその要否についても十分この本席においてもまだ議論はされていないと思いますので,そうしますと,この時点では,中間試案のパブリック・コメントのときには,こういう規律の明確化ということについてどうかということも1つ提案として書いていただければとありがたないというふうに思っておるわけでございますけれども。

 

 

 

  •  いかがでしょうか。先ほど一応この13のもとでどういうふうに考えるべきか,これ直接は触れておりませんけれども,委託者の倒産についてはどういうふうに考えるべきかについての見解は今まで議論してきたところを踏まえながら,先ほどのような説明があったわけですが,さらにもうちょっと明確な形で意見を聞く際に書いた方がいいということですね。

 

 

 

 

  •  パブリック・コメントに載せるということ自体は別に問題ないかと思うんですけれども,1点だけ確認させていただきたい点というのは,先ほどこちらから申し上げたのは,基本的には契約による努力で回避可能でしょうと,あるいはさらには,その判例まで踏まえれば,ほとんど大丈夫な場合が多かろうということは申し上げたわけですけれども,他方で,じゃ,完全に解除権を適用除外するということの説明が容易なのかというと,そこはまた倒産には倒産の方の理由といいますか,双方未履行双務契約の解除権を認めた理由というのがあると思いますので,一律に解除権を排除するというのは,説明は容易ではないということも,私どもとしては申し上げたかった点ではあります。

 

 

 

 

 

ただ,それを踏まえてもなお,やはりパブリック・コメントで聞いた方がいいという御趣旨であれば,載せた方がいいのかなとは思いますが。

 

 

  •  多分2つのレベルだと思います。おっしゃるとおり,大層の話としては,従前の判例等の確認をするという意味で,これ立法的には非常に難しいかと思うんですけれども,明確化,確認的な意味として行うということもあるわけなんですが,もう一つのレベルとしては,先ほど申しましたように,信託というのはその倒産隔離というのが非常に重要なものであるということであれば,あえて破産法の特則として,これについてはかかる解除権というものはもう適用がないということを明確にする。

 

 

つまり,従前の判例等,また実務的な議論を超えて,倒産隔離を重視するという立法を創設的につくるということについてどうなのかということを世に問うということが必要ではないのかなという意見でございます。

 

 

  •  私から言うべきことじゃないかもしれませんけれども,信託もいろいろなところを乗り越えるというんでしょうか,民法とも違うようなルールをつくったり,倒産法関係の破産とか,そういうものの考え方のいわば例外を設けたりするということはもちろん不可能ではないんですが,恐らくなかなか倒産は倒産の方でもって,そういうことでは困るというような強い意見も出る可能性があって,なかなか出しにくいのではないかという感触を持っております。

○○幹事,どうぞ。

 

 

 

 

  •  今の点について2点申し上げたいのですが,まず第1点は,解釈上,仮に解除権というのはめったに発生しないと,あるいは類型的に発生しないという解釈論をとるとしても,確かに破産法では,この改正で56条という対抗要件が,賃貸借については53条で適用しないという明文をつくって,この場合にははっきり解除権は発生しませんという規律をしていますので,そういう規定ぶりはないわけじゃないんですけれども,しかし,ほかにも解除権って発生しないんじゃないかと言われている類型のものはあるわけでありまして,そういうものとの対比で,信託契約における委託者破産の場合は解除権が発生しないというルールを,その条文で書くことが,果たして法制上バランスがとれているかということを考えなきゃいけないだろうというのが1つであります。

 

 

 

 

 

それから2つ目は,先ほど御説明があったことの事例のいわば裏返しになるんでしょうけれども,解除権って類型的に発生しないと言っちゃっていいんだろうかと。

 

 

 

つまり契約だけ結んで何もまだ履行していなくて,管財人はどう考えてもこれは負担だと思っていると,委託者の財産状態が悪くて。

 

 

こういう場合がおよそないかと言われたら,実際はないのかもしれないですけれども考えられるわけで,解除権を類型的に発生させないということ自体が判断としていいのかどうかだと思いますので,パブリック・コメントに載せて,委託者破産の場合の規律の明確化をする必要があるかどうかを試案本体あるいは補足説明で聞くことがよいのではないかと思いますが,やや慎重に考えた方がいいかなという印象を持っております。

以上です。

 

 

 

  •  ○○幹事がおっしゃったとおりだと思っておりますし,私自身は事務局の御説明にあったように,解釈によるということでいいんじゃないかというふうに思っておりますけれども,仮に制約するといたしましても,先ほど例に挙がったようなものは,むしろやはり解除権を認めるべき場合もあるのではないかと思われまして,もし制約するとすると既に現実に引渡しがされて,受託者による運用等が開始しているとか,何かもう一つ限定を付すことになるんじゃないかと思われまして,もし仮にパブリック・コメント等にもその旨を書くとすると,仮にそういうことを置くとすると,どういう限定が必要かというようなことまで聞いていただく必要があるんじゃないでしょうか。だから,繰り返しますが,私は解釈でできるのではないかと思っております。

 

 

 

  •  私も○○,○○両幹事に賛成でして,破産法53条については,いろいろなところで例外を認めるべきだという意見があちらこちらへ出てくるわけですが,それを一つ一つ類型化して規律していくということはかなり難しいわけでして,ここでも委託者破産の場合だけを取り出して規律するというのは,どうも全体として見るとバランスがよくないのではないかなと,解釈にゆだねるということでいいのではないかと思います。

 

 

 

 

  •  第12の2の強制執行に対する受益者等の異議というところですが,これ異議を言えるのが受益者と受託者ということで委託者が抜けていますが,それについては先ほどの説明でデフォルトとしてないだけで,入れようと思えば入れられるんだということで,それでいいと思うんですけれども。

 

 

 

 

民事信託で受益者が知的障害者のような場合に,もう受益者から異議は期待できないと。

 

 

受託者が例えば倒産状態で何もできないというような場合は,やはり委託者が異議を出すしかないということが想定されますので,いずれにせよ,委託者が異議を言えるような形態もちゃんとできるということがはっきりわかるようにしていただく必要があって,この★印が強行規定的なものだってぱっと理解しちゃうと,あれという感じになるんですが,受益者に不利な定めを強要しないという趣旨で,委託者に異議を言えるようにすることが受益者に不利な定めかどうかとか,それをとにかく考えなきゃいかんということになっちゃいますので,何か一言,そういうのもできますよというのを書いておいていただけるといいかなと思ったんですけれども。

 

 

すみれ

「受益者代理人か。」

 

 

  •  いかがですか。最初の一般的な説明,委託者の扱い方と関係しますけれども。
  •  委託者,今ありました2点のうち,恐縮ですが,後の方は委託者に権限を付与するのは当然受益者にも有利だと思っておりますので,あえて書くまでもないのかなとは思いました。

 

 

他方,受益者が能力的に問題があるとか,要保護性が強いという場合があるということですが,我々の提案では,後の方になりますが,信託管理人制度の拡充というところで,そういう受益者のためには受託者監督人というような制度を設けることができるということを提案しておりますので,必ずしも委託者にその権限を当然に付与するということにしなくても,原則どおり,信託行為があれば付与することにしておいて,必要がある場合には,このような受託者監督人のようなものを選任すると。

 

 

 

これは選任権者は利害関係人ですよね。利害関係人ですから,だれであっても必要があると思えば選任請求はできるわけですので,そちらをもって対応すればいいのではないかなという気がしておりますので,あえて規律を逆転させるまでの必要はないという気がしております。

 

 

 

 

 

  •  いずれ,もうちょっと細かいレベルで,この試案といいますか,案のところで議論しなくてもいいと思いますけれども,今の場合,成年後見制度を発動させることももちろん……

 

 

  •  だれがということですか。
  •  今の受益者について。
  •  それはできますね。

 

 

番人

「成年後見人が信託管理人の選任を請求するのか。」

 

 

  •  そういうことの議論もどこかではされていると思いますが,成年後見の方,私は両方どちらも選択的にできるんだと思いますけれども,成年後見の方で後見人を選ぶということもできるし,今の何でしたっけ……

 

 

  •  受益者監督人でございます。

 

  •  受益者監督人ですか,そちらを選任することでもできる。しかし,どっちがよろしいかということについては,また第2ラウンドとして,もうちょっとこれから議論した方がいいんだと思いますが。

 

 

そういう形で,受益者で自分でみずから権限を行使できない者については,一応制度はあることはあるということだとは思いますが,いかがでしょうか。あるいは何か。

 

 

  •  やはり弁護士会で議論したときも,そういう制度がありますねという議論もあったんですけれども,といっても,通常設定するのは生前,まだ生存中なわけですから,委託者がまさしく自分の障害者の子供,受益者たる子供に対して最もふわさしい監督といいますか,いざというときの権限があることは何も失わなくていいんじゃないかみたいなのが大層を占めたのと,あと手続規定だと思うので,当事者適格の問題があるので,デフォルト・ルールとしての云々という冒頭のお話はわかるんですけれども,ここではっきり書いておかないと,当事者適格なしということを言われてしまうのではないかというふうな議論もございました。

 

 

 

  •  確かに,委託者は何といっても,少なくとも,当初--当初からという場合はまたちょっと別かもしれませんけれども,委託者が少なくとも受益者を選んでいるというような場合には,受益者についての一番の利害関係を持っている可能性が高いですから,委託者が出てくること自体は全く問題ないでしょうね。

 

 

 

ただ,デフォルト・ルールといいますか,最初から書いていないとできないということですよね。

 

 

  •  信託行為で,最初から変更とか,信託行為に書いていないと……

 

 

  •  委託者の場合は。そこが1つ制約になるかもしれませんね。

 

 

  •  さっき言ったのは,デフォルトで委託者を入れた方がいいと,そうおっしゃっているわけではないのでございますね。

 

 

ポリー

「家族信託の契約書には書きづらそうですね。」

 

 

  •  そうですね。書いておかないと,契約で入れたとしても,手続論としては,契約で入れたから当事者適格が生じるわけではないと。

 

 

ですから,信託行為に入れれば,当事者適格ありますことを明文化しておくことが重要なのかなと。

 

 

  •  それはおっしゃるとおりだと思いますけれども,そのあたりは委託者の方の権限のところで,表の形になっているのでよく読みにくいかもわかりませんけれども,その中で別段の定めを置いて権利を行使できますということを注とか表とかで記載しているところでございますので,合わせて読んでいただければわかるということにはなっているかと思います。

 

 

もちろんこれ条文ではございませんので,全体としてわかりやすい試案ということにしなくちゃいけないとは思うのですが。

 

 

逆に,その委託者を1つずつ書いていきますと,信託行為に定めがある場合に限るというようなこともいろいろ出てきまして,非常に読みにくくなったものですから,とりあえずそういう整理をさせていただいたということでございます。

 

 

補足説明の方で記載することは十分可能でございますので,それでよろしいのではないかと。

 

 

 

 

 

  •  よろしいでしょうか。今説明の中にもありましたように,これに関しては,むしろデフォルト・ルールで,つまり信託行為がなくても委託者がいた方がいいんだという考え方ももちろんあり得るのかもしれませんけれども,すべての場合にそれが望ましいかどうかというのは,必ずしも言えないかもしれない。

 

 

つまり,最初から知的障害といいますか,受益者自身が自分で権限行使できないような場合には,これは逆に恐らく委託者は自分の権限を留保するような形で入れると思いますけれども,そうでないごく普通の信託において,後から受益者が権限行使できなくなったときに,デフォルト・ルールで委託者が入ってきていいのかというと,そこはまさに委託者と受益者の間の利害の対立の問題として,そう簡単に言えないところはありますよね。

 

 

ほかにいかがでございましょうか。--よろしいですか。時間もちょうど3時になったので,一たんここで休憩しましょうか。

それでは,15分休憩いたします。

 

(休     憩)

 

  •  時間になりましたので,再開したいと思います。

また幾つかに区切ってということですので,○○幹事からお願いします。

 

 

 

  •  では,受託者関係に入りますが,ちょっと1個ずつが割と重たいものですから,信託事務遂行義務から信託事務処理の委託までご説明を申し上げます。

 

 

第17と第18でございますが,これは,これまでは善管注意義務等についてとして両者を含めておりましたが,受託者の信託事務遂行義務と信託事務処理に当たっての注意義務の基準というのは明らかに違う問題でございまして,現行法でも,4条は前者の問題,20条は若干あいまいではありますが,一般的には後者の問題と解されております。

 

 

そこで,ここでも明確に分けて規律することが相当だと考えまして,第17と第18と分けているところでございます。

 

続きまして,忠実義務等についてというところでございます。

 

 

まず,表題でございますが,1のところで公平と書いてございますが,ここでは従来,公平義務というのを別途取り上げておりましたけれども,一応合わせて書いておりまして,忠実義務に関する1,2,3,4,それから公平義務に関する1,5を合わせて規律しているものでございます。

 

 

 

 

 

今回非常に丸めて書いておりまして,むしろこれの方がわかりやすいという方もいるのかもしれませんが,まず2の(1)でございますけれども,受託者は,受益者の利益と自己または第三者の利益とが相反する行為をしてはならないものとすると。

 

 

 

これは従来言われておりました,いわゆる第1類型として,自己取引で受益者と受託者間の利益が相反するもの,例えば受託者が信託財産を購入するとか,信託財産に権利を設定するとか,そういうものでございます。

 

 

それから第2として,前回まで言われておりました信託財産間取引で,受益者間の利益が相反するもの,受託者が複数の信託財産を受託している場合。それからもう一つが,いわゆる第三者間取引と言われておりましたものでして,そのうちの1つは,受益者と受託者の利益が相反すると。

 

 

例えば,受託者が自己の債務のために第三者に信託財産を担保に供するというようなものがありますでしょうし,もう一つが,受益者と第三者の利益が相反する場合。

 

 

これは典型的には,信託財産を受託者が直接第三者に安く売ってしまうというような場合とかがあると思います。

 

 

 

このように,利益の相反関係というのは,受益者と受託者間,受益者と第三者間,受益者・受益者間とあるわけでございますが,それらを全部まとめて,この(1)というところに言い尽くしているつもりでございます。

 

 

 

それから,3の競合行為の禁止というところにつきまして,(1)が今回のパブリック・コメントでの提案でございますけれども,これも従来は,受益者と受託者または第三者の利益が相反する場合と,それから受益者と受益者間の利益が相反する場合。

 

 

後者は,複数の信託を受託して他の信託の計算でやった場合でしょうし,前者の方は,受託者が受益者に信託財産に属するべき機会を奪って,例えば有価証券を購入して利益を得たというような場合が典型だと思いますが,そのようなものをすべて含めて競合行為の禁止というところで挙げているつもりでございます。

 

 

 

 

若干,細かいところに入りますと,まず例外の2の(2)の③で,受益者の利益を害しないことが明らかであって,かつ受益者がその行為をすることについて合理的な必要性が認められるときと書いておりますが,これは受益者の利益を害しないことが明らかであるときに,受託者がいつでも自由に自己取引ができるというわけではなくて,受益者の利益を害しないことをもって直ちに自己取引等が許容されるわけではないという趣旨を明らかにするという観点から,合理的必要性という要件をここに書き加えているというところでございます。

 

 

それから,次に4の利益取得行為の禁止につきましては,これまでどおりの甲乙丙案を提案して,意見を聴取したいと考えているところでございます。

 

 

 

それから,5の(1)でございますが,これがいわゆる公平義務について規律しているところでございます。例外要件もあわせて,公平義務の観点をここにまとめて書いているということになります。

 

 

なお,ここには書いていない点で1点補足でございますが,受託者が受益者から受益権を取得する行為についてどう考えるかというご指摘がありまして,一方では,受託者の忠実義務は信託事務,すなわち信託財産の管理処分の対象である信託財産にかかわる行為に関する問題であって,受益権に関する取引については忠実義務の問題とはしないという考え方と,受託者と受益者の間における受益権に関する情報量の差異や,受託者は受益者のために行動しなければならないという点を重視すると,受益権の取引についても忠実義務の問題とする考え方がございました。

 

 

 

この受益権の取得行為が忠実義務違反行為になり得るか,なお検討したいと思うわけでございますが,ただ,この場合,取引の相手方は受益者本人でありますので,当該取引が詐欺等によって取り消される可能性があるというようなことは別といたしまして,受益者本人の同意がある以上,少なくとも真意の同意があれば,忠実義務違反の問題はいずれにしても生じてこないのではないかという気もいたすところでございます。

 

 

 

もし御意見がありましたら,補足説明で書くことかと思われますが,いただければと思うところでございます。

 

 

 

次に,第20の忠実義務違反等の効果でございますが,これも忠実義務違反と公平義務違反とを併せて規定しているものでございます。

 

 

まず,1の①でございますが,いわゆる自己取引と信託財産間取引は無効とするものとするといたしまして,行為の有効・無効は,第三者の注意や故意過失と無関係に判断すると。

 

 

他方,受託者の忠実義務違反等を理由とする損失てん補責任等については,あちらが故意過失があるというのが原則になっておりますので,それと併せて過失責任であろうと。

 

 

もちろん立証責任は受託者が負うわけでございますが,過失責任だろうと考えているということを付言させていただきます。

 

 

それから,②は従来どおりでございまして,③につきまして,ここに①の取引に係る信託財産に関する受託者と第三者との取引というのは,直接想定しておりますのは,まず信託財産Aを受託者Bが自己取引で買いましたと。

 

 

これは①の取引というところによりまして無効でございますが,そのように無効であるにもかかわらず,その信託財産を第三者に売ったという場合,言ってみれば,転々譲渡のような場合をここで書いている趣旨でございます。

 

 

 

実は,ここで抜けておりますのは,受託者が信託財産を直接第三者に売ったという場合が抜けているわけでございまして,そのようなものにつきましては補足説明で書くつもりでおりますが,その③のところにもしもやはりきちっと書くべきだということであれば,そのようなことでちょっと書きぶりを改めて,受託者が信託財産を第三者に売却した場合,信託財産について第三者と取引をした場合とか,1の取引に係るという要件をかぶせないような書きぶりを考えていくべきかなと。

 

 

補足説明で書くべきか,本文で書くべきかなどについて,ちょっと検討しているというところでございます。これは,3の③でも同じということになります。

 

 

 

 

 

それから,3でございますが,これが公平義務違反の効果について定めたものでございまして,①にあります信託財産間取引というのは,あえて申し上げるまでもないとは思いますが,受託者が複数の信託を受託している場合における他の信託財産との取引ということで考えております。

 

 

公平義務違反とは関係のない信託にとってみれば,別の信託の公平義務違反のため無効というのは厳しいのではないかと。

 

 

第三者との取引と同様に扱うべきではないかという考え方も示されているところではございますが,この場合,同一の受託者内の取引でありまして,第三者との取引に比べて取引安全の要請が低く,かつ,仮に第三者取引として取り消すべき行為としますと,だれの悪意(重過失)を判断すべきかという問題も生じてくると思われますので,この場合は信託財産間取引についても無効と考えているところでございます。

 

 

 

最後に,利益吐き出し責任でございますが,これまでと同様,甲案と乙案の両論併記とさせていただいておりまして,難しい問題でございますが,このままパブリック・コメントに付させていただきたいと思っているところでございます。

 

 

 

 

次に,分別管理でございますけれども,まず1の細かい点でございますが,これまでは,信託財産は固有財産及び他の信託財産と分別して管理しなければならないものとするとしておりましたが,「信託財産は」という始まりがどうかなという気がいたしましたので,「受託者は信託財産を」という書きぶりに改めているというところを付言させていただきます。

 

 

 

 

それから,11ページの2でございますが,これは,これまでは金銭については分別管理義務の例外として位置づけておりましたが,金銭についても,あくまでも分別管理義務の対象ではあって,ただし帳簿管理の方法をもって分別管理義務を尽くしたと考えればよいのではないかということで考え方を改めまして,実質的には変更はないんですが,帳簿をきちっとつけていれば,分別管理をしたことにすると。

 

すみれ

「帳簿をつけていたら、分別管理はされている気がする。したことにする、じゃなくて。」

 

 

分別管理をしなくて帳簿をつけるというのではなくて,考え方を改めたという点でございます。

 

 

 

 

次に,第22の信託事務処理の委託についてというところでございますが,まず一番最初,1の出だしでございますけれども,本提案が現行法の自己執行義務につき方針転換をしたものであることが明らかになるように,現行第26条1項に定める自己執行義務を見直しというのをうたったというところでございます。

 

 

 

次に,「信託行為の定めによる場合」というのを新たに追加しております。

 

これは信託行為で委託を許容する旨の定めがあるにもかかわらず,例外的に委託が不相当とされる場合がある可能性があるというのでは,現行法よりかえって厳しくなる懸念があるというところの指摘があったことを踏まえまして,現行法と同様に信託法に定めがあれば,常に委託可能であるという趣旨を明記しているものでございます。

 

 

次に,太字の2でございますが,従来は甲案だけだったのでございますが,新たに乙案というものを加えております。前回の部会では,甲案として,選任・監督のみを提示しておりましたけれども,選任・監督だけでなく,すべての責任を負うことをデフォルト・ルールとするのが当事者の意思にかなうのではないかとか,選任・監督に責任を限定し,かつ26条3項を削除するということになりますと,受益者の保護が現行法に比べて後退するのではないかという指摘がされました。

 

 

 

そこで,受益者としては,第三者に適法に委託した場合であっても,最終的な履行まで責任を負うべきであり,特に第三者が受益者に対し直接に責任を負う旨の26条3項を削るのであれば,それとのバランスから受託者の責任を重くしておくべきであるという考え方もあるというところに照らしまして,甲案のほか,乙案を新たに併記させていただいたものでございます。

 

 

あとは,3については従来どおり,これは削除するということで,2の方で検討したいと考えているところでございます。

 

 

  •  それでは,ここまでで御議論いただきたいと思います。

○○関係官,どうぞ。

 

 

  •  個別論点というよりは,若干一般的な話で恐縮ですので,最初に話させていただきます。

 

 

信託業法を所管している立場としまして,この信託法が柔軟化しまして任意規定化するということは,基本的に望ましいと思っています。

 

 

というのは,受益者保護というのが大事であると同時に,信託が自由に使われ,いろいろな形で多様な形で使われて,より取引が発展していくということが,マクロの日本の金融とか経済にとって望ましいことだと思っているからでございまして,そういう前提でお話ししたいんですが。

 

 

 

 

信託業法は行政法規でございますので,基本的には,そのルールを定めた場合強行規定になりまして,それに反した人については行政的なサンクションでいくということになるんですけれども,昨今,金融証券で言われている部分のエンフォースは,行政処分でやっても余り効果がないんじゃないか。

 

 

特に何らかの形で一般投資家と言われている方が被害を受けたときには,民事的に損害を取り戻せると,あるいは不当に得た利得を吐き出させるとか,そういった形でのエンフォースの方がより効果的だという御意見,それから行政だとリソースが限られているので,十分な被害救済がされないということで,いわゆるプライベートアトーニーというのを日本ではなかなか導入できないみたいなんですが,それもわき見に見て,一般人がそのルールを守っていただくような手段があった方がいいという御意見もあります。

 

 

 

すみれ

「プライベートアトーニー?」

 

 

最初に申し上げたとおり,任意規定化に基本的に賛成で指示しているということでありますので,決してこれでどうこうということではないんですが。

 

 

 

そうしますと,行政のルールがあるから,受益者保護はそっちで図りましょうというふうにはなかなかいかなくて,受益者保護のためには,やはり民事法規で十分なものができた方がいい。

 

 

それは商事だけ,あるいは業としてだけじゃなくて,一般のルールも含めて一般法ですので,おのずと業法のようなハイスタンダードなものにはならないと思いますが,そういった考え方で幾つかチョイスが示されているところがあります。

 

 

あるいは,信託協会からいろいろな論点が示されていることがあって,個別の話は今後業界調整の後の話なものですからコメントはいたしませんが,全体的な哲学としては,民事的な効果,特に受益者の保護の効果というものを少し念頭に置かれて,いろいろ御指針を賜れると,マーケットの活性化なり,自由化の中で効果があるのではないかというふうに考えている次第であります。一般的な話で恐縮でございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

  •  どうもありがとうございました。非常に重要な指摘だと思いますので。今のことは,別に強行法規をふやせということを意味するわけではなくて,そのサンクションとしてのところを十分にせよということにつながる……

 

 

  •  デフォルト・ルールの設定であるとか,あるいはその効果の考慮に当たってということであります。

 

 

  •  どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

 

 

  •  弁護士会で議論したところで大きな話だけのところなんですけれども,忠実義務のところで,法令及び信託行為の定めに従いというふうに書いてありまして,例えば信託事務遂行義務ですと信託の本旨に従いと,こう書いてありまして,やはり忠実義務というのは先ほどの御発言でもありましたように,信託の根本みたいなものですから,これは信託行為の定めに従いということよりも,やはり信託の本旨に従いとか,その方がより適切ですし,他との平仄もありますし,なおかつ,信託行為の定めの方は,第19の2の(2)の①の方で信託行為にその他許容する,要するに信託行為の中で具体的に書くこと,また軽減できるような書きぶりになっておりますから,その方がよろしいんじゃないかというような議論がございました。また,私もそう思います。

 

 

 

 

それから,これは個人的見解なんですけれども,公平義務と忠実義務,法律によっては一緒に書いてあるものもありますけれども,これを並立的に並べることというのは,単に表現だけの問題なのかどうなのかなというところもあります。

 

 

 

今まで別途の議論として議論してきたところということもありますしというのが第2点目。これはどっちがいいということではなくて,単にそう申し上げるだけなんですけれども。

 

 

あと,以前これが議論になったときも,この目的とか,結構強いんじゃないかというような議論もあったと思うんですけれども,害する意図とか,それぞれ出てきますけれども。

 

 

この辺も前回のこの場での議論でも,ちょっと主観的要件が強過ぎるんじゃないかという議論もあったと思うので,何か選択的な提案といいますか,もうちょっと軽めの--軽めといいますか,義務が十分履行されるような提案というのもあってもよろしいのかなということ。

 

 

ポリー

「信託事務、信託の職務になっていくんですね。」

 

 

最後にもう一つ,何度もこの場で議論ありましたし,あと○○委員の方からもこの場でも,また信託法学会の場でもありましたけれども,一般的免除というものはもともと認められるような筋合いのものではないという話もあったと思うんですけれども,その辺はこの提案の中で書くのか,補足説明の中で書くのかわかりませんけれども,柔軟化ということで信託行為を定められる場合は別ですよというところで,一般的免除が認められるようなものではないんだというあたりも必要なのかなと。

 

 

それは翻って言うと,先ほどの忠実義務のところを,信託行為の定めに従いというよりも,法令及び信託の本旨に従いとかというふうに変えていくことで,多少はカバーできるのかなというふうに思います。

とりあえず大きなポイントだけ。

 

 

 

 

 

  •  いずれも重要な御指摘でありますが,皆様の御意見はいかがでしょう。

 

  •  第19,忠実義務等及び第20,忠実義務違反等の効果に関して意見2つと,それからちょっと確認というか,御質問が1つございます。

 

先ほどの○○関係官のお話にも関係するわけなんですが,総論として,やはり○○関係官のおっしゃられたこと,個人的には非常に賛同するところがあるわけなんですが,私のこれからの意見というのは,それを踏まえてということになるかもしれませんが,やはりそうしたときには,そのルールの明確化,それから当該ルールの妥当性といいましょうか,過度なルールづけであれば,その実務に効果がありまして,ゆえにバランスのとれた合理的なルール化を目指したいと,そういう意味で,この19,20について本席において議論したところでございます。

 

 

 

その点,これは前回も申し上げたところでございますが,2点意見ございまして,1つは,総則のところでございますけれども,総則については効力規定とするということを前提とした規定ぶりだというふうに思っております。

 

 

そのときに,それを効力規定とするのであれば,例外規定ということを明確化すべきであるというお話を申し上げました。

 

 

その点,本件については法令及び信託行為の定めに従いということで,信託行為について別の定めがあるのであれば,それは別のものであると,例外になるというようなことにも読めるとは思うんですが,ただ,例えば19の1の(2)の①,②,③のような例外規定というのが,第1の類型に当たるのかどうかというような,その例外規定の範囲についてまだ明確ではないのかなというふうには思っております。

 

 

 

 

 

また,これも前回の議論と同じことを繰り返すわけなんですが,第19の1と,それから2,3,4,5の関係がちょっと不明確であると。

 

 

例えば2のところの頭書きのところに,3の競合行為を除くというふうに書いてございますが,もし1と2以下の関係が,2,3以下に係る部分については1は含まないということであるのであれば,1の受託者の忠実義務等というところで括弧して,2,3,4,5の行為を除くというようなことで,もしそれを意図されているのであれば,それを明確化していただいた方がよろしいのではないかというふうには思っております。

 

 

 

それから2つ目でございますが,今回,忠実義務とそれから公平義務を一つの規律として整理されたということでございまして,これは私も精査しておらないんですけれども,そういう整理は可能かとは思います。

 

 

ただ,やはり前回から問題視と言いましょうか,ちょっと疑問視しています第20の4の利益吐き出し責任ということがどうなるのかということに,今回の整理について不明確になっているということでございますので,その点ちょっと申し上げたいんですが。

 

 

 

私の理解によれば,従前の議論というのは,その公平義務に関しては,利益吐き出し責任というのは余り明確な議論として出てこなかったと思っております。

 

今回それを改め,ここの書きぶりでも受託者が第19に違反することにより利益云々というようなことが書いてございますので,これは公平義務違反の場合の場合でも,特則としてその利益吐き出し責任が出てくるというふうな理解でおるわけですけれども,それはこの審議の流れからいかがなものかなというふうには思っております。

 

 

もちろんパブリック・コメントでそういう意見を聞くということも正しいかと思うんですが,ただ,そうするのであれば,やはりここの点については,忠実義務の問題と公平義務の問題と別に聞くということも一つの案ではないのかなと思います。

 

 

 

 

 

と申しますのも,公平義務において利益吐き出し責任が出てくるという場面というのは,なかなかちょっとにわかに想起しにくいということもありまして,そういう意味で,そもそもここに一律に規律をするのかどうなのかというのは,ちょっと疑問に思っております。

 

 

 

最後に,これは質問でございますが,これは前回の議論の不連続性の話でございますけれども,検討課題(10)のところでの忠実義務等の効果のところで,検討課題の(10)の1ページのところでございますけれども,*1のポツ3つのところで,こういう効果も書いてあるわけです。

 

 

読み上げますと,第三者が善意(無重過失)である場合,または悪意(重過失)の第三者に対して,受益者が取消権を行使しない場合にあっては,受益者の選択により,第三者間の取引の効果が信託財産に帰属する旨の主張,損失のてん補,原状回復(または利益吐き出し)の請求を行うことができるということでございますけれども,この規律というのは,今回の提案では一体どうなったのかということについて,ちょっとお尋ねいたします。

 

 

 

拝見するところによれば,確かに第20の2のところの②で言えば,信託財産の帰属主張というのは認められているのかなというふうには思いますけれども,その1の場合には書いてございません。

 

 

これは当然,無効ということだから書く必要がなかったというのかどうか,ちょっと私にはよくわからなかったところです。

 

 

また,損失てん補とか原状回復,利益吐き出しについてはどう整理されているのかということも併せて,確認のためお尋ねしたいところでございます。

以上です。

 

 

 

 

 

  •  ちょっと論点がいろいろ今多岐にわたっておりますので,少し集中的にと言いまいりますか,その論点についての議論も少し方向が違う議論もありますので,とりあえず忠実義務,これも余り簡単に整理できませんけれども,順番にやっていきましょうか。

 

 

今,一応忠実義務と,それから公平義務を含めた議論がされていると思いますので,そこからいきたいと思いますけれども。順番に1の方から言えば,1については,○○委員が言われた受託者の忠実義務の総論的な規定を設けるということについてのその意味合いということですね。

 

 

  •  これは,我々,効力規定と理解しておりまして,デマケーションとしては2ないし忠実義務,公平義務も入っていますが,2から5までに当たるものはそちらで言って,それに入らないもの,例えば前に挙げている例で言うと,非常に重要な情報利得行為のもの,特に悪質のものについては1でかぶってくるかなと。

 

 

その場合は,例外の規定が必要になってくるかなというのはおっしゃるとおりでして,そこをちょっとどうするかというのは検討しなければいけないと思っておりますが,信託行為の定めという書き方をしている限度では,例外の①みたいなものは入っておりますので,あと承認のようなものを書くかどうかとか,その辺はちょっと考えたいと思っております。

 

 

 

 

  •  明確化,補足説明ないしはこの文章でその関係がわかるようにしていただければ,よろしいのかなというふうには思っております。

 

 

  •  これ皆様に,補足説明というのは別途つくということを……

 

  •  ちなみに,補足説明は従来配っているような資料をまとめたものを取りまとめますので,200ページ程度のものになると思います。そちらにもちろん解説を書きますので,念のため。

 

 

  •  ということで,この忠実義務1の方はよろしいでしょうか。あとは……

はい,どうぞ。

 

 

  •  先ほど1のところで,情報利得行為で悪質なものは含まれると,こういう御説明でしたけれども,これ条文ではないので文言にこだわるのもどうかと思うのですが,信託事務を処理するに当たってという文言は,例えば純粋に自己の営業のために使うときには,およそ信託事務の処理とは無関係にそういう行為がなされていると思いますし,典型的には9ページの4で挙げられているような,その信託財産を利用して不当な利得を得ると。

 

 

これも信託事務の処理とは全く関係ない,個人的な事情で行われていることもあるかと思いますけれども。

 

 

この忠実義務の射程は,これは信託事務を処理するに当たってという文言とどのような関係にあるのかというのをちょっと御確認させていただければと思います。

 

 

 

 

  •  2,3,これは信託事務処理に当たってということで,4のようなものがもし入るといたしますと,これはおっしゃるとおり,信託事務処理プロパーではないんですが,いわば信託財産ないし受託者の地位を利用してというようなことで,広い意味で言うと,信託事務処理に当たってと考えることもできるのではないかと思っております。

 

 

他方,もうちょっと正直な理由といいますか,表面的な理由は,信託事務を処理するに当たってを書かないとしますと,受託者は受益者のために忠実に行動しなければならないという,言ってみれば非常に間が抜けたような文章になってしまうものですから,何か修飾があった方がいいのではないかということで,信託事務を処理するに当たってはということで,2ないし4も含めているというつもりでございます。

 

 

  •  決して狭くとらえるつもりではなくて,今の○○幹事が言われたようなものを含めるつもりではあるんですけれども,表現がなかなか難しいということですので。これは少し検討させていただくといたしましょうか。

 

 

それから,○○委員から出ましたこの法令及び信託の定めに従いというところに,信託の本旨というのが入るべきではないかということはいかがでしょうか。

 

 

 

 

  •  第17のところで信託の本旨に従いという文言を使っておりますのは,第17では受託者が処理しなければならない信託事務の内容というのはどういうものなのかというところを問題にしており,その場合につきましては,信託行為に明確に書いてあるものだけではなくて,その裏にある委託者の設定した目的というものに従わなければならないというふうな形にするために,信託の本旨に従いという文言を使っております。

 

 

 

それに対しまして,第18では,信託行為に別段の定めがあるときは,その他の定めに従うという形にして,これは任意規定であるということを明確にしていると。

 

 

それと関連いたしまして,第19の1のところにつきましても,信託行為の定めに従いという形にしておりますのは,まさに第17のところでどういう信託事務の処理をしなければならないのかというのが決まった上で,その信託行為の定めに従うと。

 

 

要するに忠実かつ公平に行動しなければならないということに関する例外を認めるという趣旨で書いているようなところがありまして,ここで信託の本旨に従いという文言を使ってしまうと,その例外を認めるというのが非常にあいまいになってしまうのではないかというようなことも考慮いたしまして,信託行為の定めに従いという文言を使っているというようなところがありますが,ここのところは前々から,その信託の本旨に従いという文言の方がいいという意見があることは認識しておりまして,信託行為の定めに従いという文言がいいのか,信託の本旨に従いという文言がいいのかにつきましては,議論をしていただければというふうに考えております。

 

 

 

すみれ

「一つ一つ言葉を考えてるんだね。」

 

 

 

 

  •  どうもありがとうございました。ということではありますが,いかがでしょうか。

 

 

  •  先ほど指摘させていただきました2の(2)の①が,ちょうど17と18の関連,信託行為に許容する旨がある場合ということで,例外だからいけないんですかね。

 

 

忠実義務の具体化は2の(2)の①には入っていないということなんでしょうか。何かちょっとリダンダントな……

 

 

 

すみれ

「リダンダント?」

 

 

  •  確かに,ここのところの書きぶりも,信託事務を処理するに当たっては,受益者のために忠実かつ公平に行動しなければならないものとするとした上で,ただし,以下の場合には例外を認めるとした上で,①,②の要件を書くという方が明確なのかもしれません。

 

 

  •  ややこしくするだけかもしれませんが,もともと聞きたいと思っていたことなんですが。

 

 

まず,例外の方についてお聞きしたいんですけれども,2の(2)の①もそうですし,ほかのところでも何度か出てくるんですが,信託行為にその行為をすることを許容する旨の定めがあるときというのが例外だと。

 

 

この定めがあるときって,どういうものをイメージしておられるかということは,先ほどのことともちょっと関係するんですが,何か明示的な約定を定めておくというようなイメージが,この言葉によって思い浮かぶのかなと思います。

 

 

 

ただ,例外に関して言いますと,明示の定めが必ずしも明確な形であるとは言えないけれども,当該信託行為の趣旨に照らすと,受益者がそういう行為をすることは許容されるということが法意全体の趣旨からは出てくるという場合も,やはり例外というのは認められるのではないかと思います。

 

 

 

明確にこれはできますということを書いておかない限りはだめだというものでは,やはりないんじゃないかなという気がいたします。

 

 

そうしますと,例外の書き方としましては,定めがあるときだけではなくて,定めがあるとき,その他信託行為の目的に照らしてそういうことが許容される場合という書きぶりに本来なるんじゃないかなと思います。

 

 

 

 

例外に関してもう少し続けて言いますと,(2)の③なんですが,害しないことは明らかであって,合理的な必要性が認められるときですが,合理的な必要性というのが,信託行為の趣旨と離れて何か客観的に判定できるという趣旨だとするならば,ちょっとそれはいかがなものかなと。

 

 

やはり当該信託行為の趣旨から見て合理的だということでないとやはりいけないだろうとしますと,①と③というのは実は同じようなことを,つまりは信託行為の目的に照らして許容されるような場合に当たるのかどうかというふうに統合できるのではないかなという気がいたします。

 

 

同じことは,次のページの4の(2)の①にも言えますし,そしてまた5の(2)の①及び③も言えるんじゃないかと思います。正当な理由があるときというのは,やはり信託行為の目的に照らして正当と言えるかどうかということがやはり問題でして,何かそれと離れて客観的な正当性というのが問題になるわけではなかろうという気がいたします。

 

 

 

 

そうしますと,定めがあるときというのはもちろん入れていただいていいんですけれども,もう少し広く契約の目的から,信託行為の目的から見て許容されるというのが出てくるのではあろうと。

 

 

そうしますと,翻って言いますと,一番もとへ戻るわけですが,19の1の法令及び信託行為の定めに従いというのも,何かこの定めというのが明示的なものに限るというような事柄ではなかろうと思うわけですね。

 

 

やはりその契約なり,信託行為の趣旨に照らして忠実かつ公平に行動しないといけないというのが,やはり流れからというと自然なのかなという気がします。

ちょっとだらだら申し上げて申しわけありません。以上です。

 

 

  •  半分ぐらいは賛成だけれども,ちょっと半分は少し違う意見を持ちます。全体をカバーする方は広くていいんだと思いますけれども,例外の方は,特に2の(2)の①を,ここを信託の本旨まで入れると,なんか少しあいまいになってしまう感じがして……

 

 

  •  ③を統合してというようなイメージなんですが。

 

 

  •  ③はもうちょっと何か限定的なものではないかという感じがしますので,この辺,皆さんいろいろ感触はあると思いますけれども,○○幹事のように1つにまとめたらどうかという御意見もあり得ると思いますし,私はどちらかというと,信託行為でも明確に許容するという場合には,忠実義務の例外になるわけですが,あるいは個別の承諾。

 

 

しかし,それ以外は非常に客観的に何か定型的に限定された場合にだけ認められる,許容される,これは③の場合ですね。

 

 

ちょっとそういうふうに考えていましたので,ちょっとニュアンスが違った理解の仕方をしているかもしれません。

 

いずれにせよ,しかし,いろいろこれニュアンスを込めて理解すると,いろ

いろな理解の仕方があり得て,ちょっと皆さんの御意見を伺った方がよろしいのではないかという気がいたします。

 

 

○○委員の意見は,例えば信託の本旨というのを入れるとしても,19の1のところには入れるけれども,あとの方にはむしろ入れないという御意見なんでしょうか。それとも○○幹事的な御意見だったんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

  •  心配しているのは,忠実義務が一般的に免除されるとまずいのかなと思ったりするところもありまして,ですから,1の方で信託の本旨ということを入れることによって,大きな意味での忠実義務というのは存在しているんだということを一応高らかにうたっていただいてということで。

 

 

ですから,2の(1)のは○○委員のおっしゃるように,限定的にといいますか,明示されている範囲においてのみ軽減されるという理解でよろしいかと思っております。

 

 

番人

「裁量信託とかもここら辺にかかるのかな。」

 

 

  •  ほかに御意見いかかでしょうか。

○○委員。

 

 

  •  19の1の先ほどの○○関係官のお話は,忠実義務の規定が余り不明確になるのは安定性を欠くから,信託行為の定めで限定できる,例外を認めることをはっきりさせておいた方がよかろうという御趣旨だったと思います。

 

 

明確化するというのは私も賛成なんですが,しかし,ここに信託行為の定めに従いと書くことで明確になるだろうかというと,かえって複雑になるんじゃないかという気がいたします。

 

 

つまり,これを一読しますと,忠実義務という広いものがあって,さらに法令,信託行為の定めにも従ってきっちりやりなさいよというように読めるのですが,ところがそうではなくて,むしろ信託行為で定めれば,何か例外を設けることができるという趣旨だとしますと,2以下との関係が不明確になりますので,むしろ1は一般的な規定であるんだとすると,そこでその例外をわざわざ書くのはかえって混乱するのではないだろうか。むしろ1はより一般的に規定しておいた方がいいのではないかなというふうに思います。

 

 

  •  ほかにいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

○○委員,どうぞ。

  •  私おくれて参ったので,一番重要なところをお伺いしていないので,1点,きっとリダンダントな話になって恐縮なんですが,この忠実かつ公平にというので,忠実義務と公平義務をとにかく1つに組み入れたということ,私だけのためにこういうことをちょっとお願いするのは申しわけないのかもしれないんですが,ちょっとお聞かせ願えれば。

 

 

 

その1項で言えば,法令及び信託行為の定めに従いというのがなくて,とにかく忠実義務の一般理論だよという方が簡明かなという,今の○○委員のおっしゃることの方が私も簡単なような気がしますが。

 

 

 

ついでにもう1点ですが,これは○○幹事のコメントについてのということなんですが,やはり○○幹事の発想は,これやはり信託契約ですから,契約の解釈の一般理論で,契約の趣旨,目的というので例外というのが出てくるんだという,そういうところから出てきていると思うんですね。

 

 

ただ,やはり信託の契約は少し性格が違っていて,明らかに裁量権を一般の場合ですけれども,受託者の方にゆだねて,そのかわり,そのリスクを普通の司法たる,一般法たる,司法的なということですが,信託に関する司法的規定の一般法たる司法のところでできるだけ,先ほどそちらの方からも御発言がありましたけれども,濫用の危険を防ぐような司法のスキームをつくっておくというのが普通の考え方かなと私は思うんですね。

 

 

そうすると,この例外については,やはりまず普通に例外をつくりたいんだったら,明示の規定を入れておきなさいよ。

 

 

そうでなければ,重要な事実を開示して受益者の承認を得ておきなさいよ。それでもやはり足りない場合があるので,③で定型的に何のかんのという話だと思うんですが,こういう非常にやはり限定的な話であってというところを強調しておかないと,やはり忠実義務というのも結局単なる契約上の一つの義務であってという話になりかねないような,普通の契約の解釈論で持ってこられるのは,ちょっと信託という契約の趣旨から,それこそ本旨からして少し感触が違うのかなというふうに理解しております。

ちょっと短くていいんですが,一番初めのところだけ。

 

 

  •  義務と一緒にするという点ですか。これは一つの大きな問題かもしれないけれども,いかがですか。

 

 

  •  忠実義務と公平義務というのは非常に似ているというのが事務局の理解でございまして,複数の信託財産がある場合は忠実義務,1個の信託財産で複数の受益者がいる場合は公平義務という理解をしているわけでございます。

 

 

そうすると,その要件とか効果につきまして,確かに公平義務が教科書などでは別途独立に記述されていることは認識しておりますが,その要件,効果につきましてはさほどの違いが出てこないのではないかと理解しておりまして,そうすると,規律としてあえて別個にしなくても,1つのものとしてくくって提案していってもおかしくないのではないかなというところが事務局の理解で1つにまとめているというところでございます。

 

 

端的に言うと,若干違うとは言え,法的に区別するような問題とまでの必要性はないのではないかというのが現時点での事務局の理解でございます。

 

 

 

  •  先ほど御質問があったと思いますが,そうすると,公平義務違反の効果についてというのも第20に含まれるということなんですね。

 

 

 

  •  ええ,第20の3ですね,公平義務違反というのは。1つの信託の受益者間の利益が相反する行為の禁止に違反する行為の効果というのが公平義務違反の効果で,ただ,利益吐き出し責任は公平義務にかかわるかというのは,確かに問題があるところでございまして,もしも利益吐き出し責任というのが,受託者が忠実義務を負っているのであって,受託者の責任を重視するという観点を重視いたしますと,公平義務の場合には多分受益者というんですか,受益者間の問題なものですから,受託者が利得を得るというのがちょっと想定しにくいと。

 

 

そうすると,果たして利益吐き出し責任というのを公平義務に観念することができるかというのは,確かに一つの問題かなという気はしております。

 

 

現時点では明確に排除できるかというまでの自信もないので,このようにひっくるめて書いてあるわけでございますが,4について,公平義務が係るかどうかという問題はちょっとここではあえて触れていないというのはございます。

 

 

3は明確に公平義務の問題で,4は,そこはちょっと沈黙しているということでございます。

 

 

  •  私も今の○○幹事の説明に賛成ですけれども,公平義務の場合に問題となるのは,もちろん1つの信託の中のある受益者とほかの受益者の利益が相反するような場面において,受託者が公平に扱わないで一方の受益者の利益を優遇したという場面ですよね。

 

 

したがって,責任としては受託者に責任が生じますけれども,受託者が利益を吐き出さなくちゃいけないような場面というのは,やはり出てこないんじゃないかという感じがしますね。○○委員もそういう御意見だったと思いますけれども。

 

 

ですから逆に言えば,一緒にしても,その利益吐き出しの問題はそちらにはかぶってこないということになるのかもしれない。

 

 

 

 

  •  結果的にはそうなのかもしれませんけれども,文の明確化という観点から,及び繰り返し言いますけれども,従前の本席における議論の流れからすると,今の段階で公平義務というのを4というところも含めて議論するのが適当なのかどうかということですので,もちろんこれはこれからの議論になるかもしれませんけれども,4に関しては,私としてはその現状,忠実義務のサンクションとして考えて,もしパブリック・コメントでそういう新たなで議論が出てくるのであれば,あわせて議論するという方が,この本席の議論に沿っているのかなというふうに思っているわけです。

 

 

 

  •  わかりました。あるいは少し説明のところでつけ加えていだたくか,何らかの形で。

 

 

○○幹事,どうぞ。

  •  本当は2に戻らないといけないのかもしれませんが,ちょっと公平義務の関係が出ておりますので,中身を確認させていただきたいだけなんですが。

 

 

先ほど,公平義務違反の効果の中心点は第20の3だという御説明がありまして,このうちの一番典型例とされている自己取引と信託財産間取引というこの例なのですが,公平義務違反で自己取引ですとか,信託財産間取引というのを何だか非常に異例な感じがいたしまして,どういうものを具体的に想定されているか,ここちょっと中身を御説明いただけると。

 

 

余り例外的かなと思っておりまして,そうすると,単純に効果の点でもパラレルに置くというのもどうなのかなという気がしているというのが背景にありまして,お伺いします。

 

 

  •  自己取引というのは,受託者は当然のことながら信託財産の取引をして,受益者が複数いて,受益者間で利益が違う。

 

 

 

例えば,ある受益者は社債によって利益を得ていて,ある受益者は株式によって利益を得ていて,しかし,受託者がその信託財産のうち株式だけについて自己取引をしたということであれば,株式を有している受益者には利益になって,社債を有している受益者にとっては不利益になるというような場合が,公平義務違反の自己取引ではないかなという気がいたしますし……

 

 

 

  •  自己取引なんですよね。

 

  •  ええ。

 

  •  ですから,両方かぶってくるということですね,忠実義務違反でもあり,公平義務違反である。

 

  •  自己取引は忠実義務違反ですから,そうですね。

 

  •  普通,株式というのは,市場から株式を買ってくるとか,第三者と取引するんだけれども,その取引の類型がこっちに有利とか,こっちに不利とか,そういうことじゃないかと思うんですけれども。

 

 

  •  それは非常にわかりやすい例ですね。

 

 

 

 

 

  •  むしろ,そういうのが典型例じゃないかと思ったものですから。ただ,念頭に置かれているのはそういう事例で,したがって,当然忠実義務違反でもあると。

 

 

  •  自己取引という概念自体が信託財産との取引になりますので,そうすると,忠実義務と確かにかぶってきてしまいまして,その中で受益者が複数いて,受益者間に利益の不均衡が生ずる場合,忠実義務の中で特に公平義務に違反する場合かなと思うんですが。

 

 

受益者が1人であれば自己取引ですけれども,受益者が複数いて不利益が生ずるような自己取引は,公平義務違反の自己取引に当たると--にも当たるといいますか,両方にひっかかるという考え方でございます。

 

 

  •  信託財産間の方は,そうしますと……

 

  •  これは,受託者が複数の信託を受託しておりまして,ある信託と別の信託間で取引をするという場合を念頭に置いているわけでございます。第三者との取引と同じようなものでございます。

 

 

  •  それで,特定の受益者がこちらの信託についても受益者であるような場合で,ある信託受益者が複数の信託の受益者を兼ねているような場合は想定しておられるんでしょうか。

 

 

  •  ある信託の受益者が複数いて,その間で不利益が生ずると,ある信託と別の信託--別の信託は別に受益者1人でも何でもいいわけでございますので。その取引によって,A信託の受益者が複数いる場合には,その複数の受益者間で不公平が生ずると。

 

 

 

例えば,今の社債と株式の例で言えば,社債についてだけ他の信託財産と取引をしたことによって,もとの信託財産の受益者間に不均衡が生ずるという場合が,この信託財産間取引という例でいいのではないかなと思っておりまして,受益者が共通な場合を念頭に置いていたわけじゃないんですけれども。

 

 

 

 

  •  具体例はわかりましたけれども,それは信託財産間である必要もなく,自己取引である必要もないのではないかと。それが典型例だとも思えないのですが。

 

 

 

  •  例えば,信託財産間,公平義務ですから,1つの信託の間の受益者が--受益者というか,その1人の受託者のもとに--そうか,いろいろな場合があるのかな。

 

 

1つの信託でもって受益者が複数いる場合,その受益者間で利益が相反するような行為,これはさっき○○幹事が言われたやつですね。

 

 

それから,1人の受託者のもとに複数信託が--しかし,これは複数の信託にしちゃうと,これはやはり忠実義務の方の問題にすべき問題かもしれませんね,そっちは。

 

 

それから,さっき○○幹事が言われた自己取引であり,かつ受益者の一方に利益を与え,他方には利益を与えないという場合が,余りそうたくさんはあり得ないと思いますが,観念的にはあるのかもしれませんが,そのときは○○幹事が言われたように,忠実義務違反であり,自己取引ですから。

 

 

 

同時に,受益者間の利益を公平義務に反するということで,両方のルールがかぶさってくるということは,観念的にはあり得るということなんじゃないでしょうか。具体的にどういう場合が一番いい例かはよくわかりませんけれども,観念的に考えるとあり得るかもしれない。典型例ではない。

 

 

 

  •  その限りではおっしゃるとおりだと思うんですが,これを一番最初に出してきて,義務違反の効果はこれですと言われることに,やや。

 

 

 

これはそもそも忠実義務とセットにしたことによって出てきたんじゃないかなというところに端を発しておりまして,問題意識はそういうところです。

 

 

 

  •  また例によってアメリカの話になって恐縮なんですが,やはりアメリカでも,公平義務というのは忠実義務とは別個の意味で,非常に難しい問題だと言われているんですね。

 

 

ただ,アメリカの場合は,信託法自体は民事信託から出てきているものだから,やはり民事信託の例でまず悩みを抱えるわけです。

 

 

一番典型的なのは,ちょっとここにおられる方にはみんな釈迦に説法になるかもしれないんですが,一番簡単なのは,とにかく信託を設定して,まず収益受益者というのを,普通は例えば配偶者だったりしますが,配偶者が生きている間は収益を,生きている間ちゃんと生きていけるように,生活していくようにと収益を,つまり例えば株式なら配当がそこへちゃんといってというわけですよね。

 

 

 

債権なら,そこから利息が毎月毎月払われてという,この収益がいくという収益受益者というのがいますね。それで,この奥さんが亡くなったときに,子供にとにかく残った元本を全部ぽんとあげるというのが一番簡単な民事信託の原型みたいなものだと思うんですが。

 

 

 

 

そのときに,公平義務というのは,1つの信託の中に収益受益者と元本受益者という異なる種類の受益者を抱え込むために,この単純に平等ということが言えなくなる。

 

 

 

同じ収益受益者で,2人いてというなら2分の1ずつでいいわけですよね,何も規定がなければ。ただ,信託行為にこっちに厚くと書いてある,優先劣後が書いてあればそのとおりにするだけの話ですから。

 

 

 

でも,今みたいな質の違いがあると,3つの点でまず問題になるんですね。

 

第1点が運用のやり方ですよね。運用の方針を定めるときに,株式で運用すると下がるかもしれない。国債だったらきっと大丈夫だろうというんだと,元本受益者は国債にしてもらいたいんですね,元本だけは絶対大丈夫ですから。

 

 

 

でも,国債の利率が本当に低いときには,やはり毎月の生活費を考える収益受益者の方は,やはり少しリスクが高くてもリスクの高い方へという,これでどっちを選ぶかというので,ここでの公平というのは一体何なんだろうかというのが1つ,まず問題になりますよね。

 

 

すみれ

「目的と受託者の権限じゃないかなぁ。」

 

 

 

それから2つ目に,もう3つはやめて2つにします。2つ目に,例えば信託で運用するその費用というのを,もちろん費用を受益者が費用補償請求権でもちろん回収するし,報酬の方もここの中から回収するんですが,一体元本部分から取るのか,収益部分のところからもらっていいのかというのも,これもまた1つ問題になって,これはこれでまたという話になるんですね。

 

 

 

これはやはりなかなか悩ましい問題でという話になっていて,おのずからこういう,この受益者間には利益相反の関係があるわけです。

 

 

だから,公平義務というのに一体どういうふうに立ち向かえばいいかというのが難しい問題になるので,それは忠実義務と非常に似てはいると思うんですけれども,その信託財産間の取引と似た面を持ってはいると思うんですが,ちょっと今みたいなシチュエーションを日本で今すぐ考えなければいけないかどうかという問題がまずあるのかもしれませんけれども,余り単純に公平という概念を使っちゃって,忠実かつ公平だというので,その概念自体が今まで実質がないものだから,概念がひとり歩きしてというのも困るかなというような懸念を少し持ったということなんです。

 

 

 

  •  わかりました。恐らく,今これ最後まで突き詰めて議論するというのはなかなか難しい感じがするんですが,私も忠実義務と,それから公平義務というのは似た義務であるという認識までは共通していますけれども,これまた感触で申しわけないけれども,公平義務の方が多少受託者の裁量性が少し広いかもしれないので,そういう意味では,忠実義務ほど厳しくないかもしれないという感触もちょっと持っていたりします。

 

 

 

 

ただ,それを一緒にできるのか,最終的にはできるのかもしれないし,あるいは一緒にするのは適当じゃないのかもしれないんですけれども,そこはなかなか今すぐに決めかねるところがありまして,皆さんもいろいろな御意見があるという感じであります。

 

 

 

そういうことで,ちょっとこれは時間の関係もありますけれども,今御意見があれば伺うということにして,ここで最後までは詰めないということで御議論ください。

 

じゃ,どうぞ,○○幹事。

  •  恐縮なんですが,先ほどの3の点で,いずれも自己取引,信託財産間取引に当たるということになると,基本的には忠実義務違反の類型で,しかしながら,忠実義務違反にはならない,要件が足らないということで,その例外に当たるような場合を,この部分が一番意味のあるものとして考えればいいんでしょうか。

 

 

 

  •  何か例を挙げていただけるとありがたい。忠実違反にも該当し,それから公平義務の問題にも該当しそうな例で……。

 

 

 

 

  •  この3を置くことにどういう意味があるかということで,それで公平義務違反の効果が--10ページ,第20の3の効果のところを置くことがどういう狙いであるのかということでして,自己取引,それから信託財産間取引が無効であるということで,この局面を本文では挙げておられる,3も含めて。

 

 

そうしたときに,自己取引や信託財産間取引ということになれば,自己取引,双方代理の類型ですから,基本的に忠実義務違反にいくんだと思うんです。

 

 

そうすると,これがあることの意味は,その類型であるにもかかわらず,忠実義務違反にはならないけれども,公平義務違反がなるがゆえに無効とするということを導きたいのか,そうでなければ,忠実義務違反で常に無効で,そうすると,一方で公平義務違反の効果というのが,このように無効というのがいいかというと,何かちょっと強過ぎるような気もしておりまして,典型的に念頭に置く場面というのは,自己取引とか信託財産間取引ではないだろうと思うものですから,そういうものを念頭に置いたときに,典型例として出される効果がこれ以外にもあると思うんですが,ここでわざわざ入れておくということの意味がどこにあるのかというのがちょっとわからなくて。

 

 

 

 

  •  まさに最初に,○○幹事がこの①についてどうかということの御意見を伺いたいということだったと思いますけれども,やはりここで言う自己取引というのに該当しちゃうと忠実義務違反に本当は当たって,そちらで解決すべきだけれども,そこで何らかの理由で無効にならないときに,こちらでさらに重い規制が待っていて,忠実義務の違反では無効にならないようなやつがこっちでなるというわけではないですよね。

 

 

 

  •  それは,それで救われれば大丈夫だと思っております。

 

 

  •  だから,そうするとやはりここでの自己取引というのは要らないのかもしれないという気もしたけれども。

 

 

  •  3のところで自己取引というのをあえて入れておりますのは,恐らく公平義務違反の場合と,それからいわゆる忠実義務違反の自己取引の場合とで,行為の外形的な側面は信託財産と固有財産の取引ではあるんですけれども,その例外要件を見てみましたときに,公平義務の観点からいくと,例えば不利益を受ける受益者の承諾を受けてというような要件になっており,あるいは別段の定めを置くときも,公平義務に着目した置かれ方がするだろうと。

 

 

 

そういうところで,例外まで考えますと,同じ行為であっても,これは忠実義務によって無効になる,それからこれは公平義務違反のため無効になる,両方あり得るので,①というので自己取引も入れているのではないかと。

 

 

 

ここにはちょっと書いておりませんけれども,それとは別に,受託者と第三者が取引をする第三者間取引みたいなものもあって,それはあるとは思っているんですが,ちょっとここでは書いていないということであるんですけれども,もう一度申し上げますと,自己取引の方も公平義務違反だから,自己取引の中で一部無効に帰結してしまわざるを得ないものも一応観念はできると。

 

 

 

その例外要件が違うからということはあり得るのかなと思ってやったんですけれども。

 

 

 

 

 

  •  例えば,受益者が2人いて,AとBという受益者がいて,信託財産を固有財産に,自己取引だから,受託者が自己取引をしたときに,忠実義務の方の問題だと,ちょっとシチュエーションは違うけれども,その当該受益者の同意があればオーケーだということになるけれども,公平義務の場合ですと,その利益が対立している,例えば両方の受益者の合意がないとだめだとか……

 

 

 

  •  忠実義務だと,受益者全員の合意が原則ですし,公平義務だと,不利益を受ける人から,とりあえず承諾をいただければいいという考え方はあり得るんだろうと。

 

 

  •  利益を受けるね,利益を受ける……。
  •  不利益を。
  •  不利益を。まさに受益者間で対立するような自己取引がされて,そのときの不利益を受ける方の受益者がと。確かに形式的にはあり得るのかな。

 

  •  形式的な話として,論理的な可能性としてはあり得るかなということでございます。

 

 

 

 

  •  幾つかお話しさせていただきたいと思うんですが,まず,この忠実義務と公平義務の点について,例えば忠実義務の例外要件にはなっている,つまり,信託行為の定めでこういうのはいいですよと書いてあると。

 

 

 

したがって,忠実義務の方は信託行為の定めでクリアするんだけれども,それにのっとって行っていることが,特定の受益者にとって非常に有利になって,ある別の受益者にとっては非常に不利益になると。

 

 

このシチュエーションというのは,忠実義務には触れていないけれども,公平義務の違反にはなり得ると。私はそういう意味では,論理的にはあり得る話なのではないかと思っております。

 

 

 

 

ちょっとこれ2つ目の話に入るのですが,この受託者による受益権の買取りについてなのですけれども,私は実は一番そういう局面が起こるのは,この受託者が受益権の取得のようなケースだと思っているんです。

 

 

 

ただ,これは忠実義務の範囲には入りませんよという,そういう最初の御説明だったと思うのですけれども,やはり受託者による受益権の取得というのは,本来やはり忠実義務の広い網の中にかけて,あとはその情報をきちんと出すと。

 

 

先ほど,民法の一般の原則によっても,それこそ詐欺ですとか,あるいは錯誤等あり得るということでしたけれども,一般的なこの情報提供義務というのは,普通の取引だったらそう簡単には認められないのではないかという,私が誤解しているのかもしれません。

 

 

 

むしろこういったものも含めて忠実義務を構成し,そうやって受託者による受益権の取得を含めたときには,この公平義務の局面で3の①のようなシチュエーションが問題となることが現実にあり得る,

 

 

つまりある受益者からは買い取ってやるけれども,別の受益者からは買い取ってやらないと。

 

 

そのやり方が非常に不公平であると,そういうシチュエーションがあり得るのではないかと思いますので,ちょっと話が混乱してまいりましたけれども,私の理解では,公平義務というのは,むしろやはり信託義務の処理に際して問題となる局面が中心であるのではないかと。

 

 

これに対して忠実義務というのは,信託事務の処理の内と外にかかわらず起き得るという点で,公平義務というのは忠実義務に重なる部分はあるけれども,むしろ善管注意義務の方に近い部分もあると。

 

 

そういう忠実義務と善管注意義務のまさに中間的と申しますか,狭間にあるような義務なのではないかと理解しております。間違っているかもしれませんが,私は以上のように考えております。

 

 

 

 

  •  恐らくそういう問題とつながってくるのは,論理的には,だからこういうことがあり得るにしても,無効ということでいいのかという問題にちょっとつながりそうな気がしますね,あるいは損害賠償だけなのかもしれません。

○○幹事,どうぞ。

 

 

  •  今最後に○○委員がおっしゃったことと同じことになってしまうかもしれません,お許しください。

 

 

○○幹事の疑問を私なりに敷衍させていただくと,10ページの第20の3は,これいずれにしてもちょっとお考え直しいただくことになるんじゃないかと思うんですが,ここで,今も話題に出た受益権の取得とか,それからその運用を,今まで株式と国債半々ぐらいにしていたのを一方に傾斜させた運用方針を変更すると,そういうようなまさに公平義務違反になるような行為についての効果が,この3からはちょっと全然読み取れないというところが,次の場面に検討していただくことなのではないかと思います。

 

 

今のような受益権の取得とか,国債を大量に株式に入れ替えるというのは,第三者の証券会社と取引するわけでしょうから,それが義務違反になったときに,この3では有効になるのか,無効になるのか,無効になるところだけ書いてあるから,有効なのかもしれないんですけれども,そういう解釈をする必要は今ないと思いますので。そこをどっちかお考えいただいて議論の対象にすると,公平義務に対する効果ということが,見通しがよくなってくるんじゃないかと思います。

 

 

 

  •  わかりました。大体いろいろ御意見が出て,問題点も明確になってきたと思いますけれども。ちょっと公平義務のところは,少し整理をするという形でもう1回議論していただく……

 

 

 

  •  確認だけさせていただきたいのですが,自己取引も一応はあり得るという前提で,こちらは無効と書かせていただきました。

 

 

 

 

 

それから,今,○○幹事から御指摘ございましたように,第三者と取引をした場合の効果というのが抜けておりまして,これは1も同様なのでございます。

 

 

 

1の方ももちろんあり得るわけですけれども,書いていないと。そこは一応補足説明レベルで書こうかなという内部の話だったんですが,やはりよくわからないだろうというのは御指摘のとおりだと思いますので,それも書きたいとは思います。

 

 

ただ,先ほどからそれはまた別に,善管注意義務の系統ではないか。それで,その場合には恐らく利益相反による無効とか,取消しとかということは観念しづらいのではないかということを恐らくおっしゃられているような感じもいたしまして。

 

 

 

ただ,その点につきましては,これまでの公平義務違反についての議事進行というか,議論の中では,どちらかというと無効,忠実義務違反と同じ系統の効果を与えようということではありましたので,どういたしましょうか。

 

 

 

善管注意義務として整理する方向にシフトすればよいのか,あるいは忠実義務として,つまり先ほど私が申し上げましたような無効あるいは第三者間との取引については,恐らく取消しということになろうかと思いますけれども,そういう整理でいくのか。

 

 

 

 

  •  これは大問題なのでそう簡単に決められないと思いますけれども,ただ,第三者との取引が取消しまでいくのかどうかというのは,ちょっと気になることは気になるな。

 

 

  •  信託外の第三者ですか。
  •  はい,信託外の。

 

  •  これは今ちょっと説明がありましたが,それはやはり権限外の行為と,第三者取引は,その取引の安全を図る必要が大きいので,原則有効だけれども取消しができるという規律をかぶせていくと。

 

 

 

  •  ええ,まさにだから公平義務違反というのが,そこまで強いかどうかということなんですよね。

 

 

  •  取消権すらもないようなものではないかということですか。
  •  ちょっとそんな感じもしないではない。いや,ほかのいろいろな御感触があるかもしれませんけれども。

どうぞ,○○幹事。

 

 

 

  •  完全に忠実義務と全く並列にするということが,必ずしも効果の面を見ても適切ではないんじゃないかというふうに申し上げたつもりで,善管注意義務の系統にいけというような趣旨ではもちろんなく,かつ,○○幹事がおっしゃいましたように,忠実義務の類型に形式的に該当するものであって,かつ信託行為の定めで許容されている行為,自己で株式の取引をするとかであっても,特定の受益者により有利になるというようなものであるときには,公平義務の観点から問題視されることがあり得るというような点は,まさにそのとおりかと思いますので。

 

 

 

ただ,先ほどから繰り返しておりますように,忠実義務の系統であるという決定をした上で,まずは自己取引類型を無効にするという立て方が,もともと一番公平義務が典型に置いていたものとはかなり性質が違うのではないかと,そういう局面があるということは了解いたしておりますけれども,それを完全に善管注意義務に持っていけとまでは申し上げているつもりはないものです。

 

 

 

 

 

  •  なかなか扱いが難しいですね。僕も善管注意義務に完全に解消するというわけでもないような気がしているけれども。

 

 

ちょっと今結論,方向性もいろいろな議論があるので,ちょっと今ここでまとめ切れませんので,大変申しわけないけれども,ここはちょっと検討させていただくということで,少しいろいろな意見が反映できるような,そういう案にさせてください。

 

 

それからもう一つ,○○幹事から出てきた意見,それから○○幹事からも説明があった受益権を取引する,受益権を取得するというやつですね,受託者。

 

 

これはまた本当に大変大きな問題で,アメリカなどでは一応忠実義務の問題に入れた上で,恐らく受益者が同意しているということでもって許容されるんだと思いますけれども,それを入れるかどうかというのはなかなかこれも難しい問題。現に信託実務では,それを今までずっとやってきたということもあって,なかなか難しい問題ではあります。

 

 

 

ただ,理論的にも両方あり得ると思いますけれども,仮に入ったとしても,これも○○幹事が説明をされましたように,実際には受益者の承諾があるということで,その承諾がちゃんとしたものであれば許容されるということで,実害はないのではないかとは思いますけれども,ここも何か感触があれば,御意見を伺いたいと思いますが。

 

 

 

  •  やはり信託実務的な観点からいきますと,やはり忠実義務というような理解のもとで全然やってきておりませんので,まさに忠実義務的なところで判断しないといけないのは,みずからが判断しないといけない。みずからが双方の立場に立って判断しないといけないというところが悩みの種で,それを解決するためにはどうするんだろうというときには,一番簡単な方法はお客さんの了解をとりますと。

 

 

 

要するに,相手方との間で契約関係に立ってしまえば,それで--もちろんその情報をちゃんと伝えるとかというものはありますけれども,それがちゃんとした取引でしょうというところがあって,受益権を売買するに当たっては,受益者という1人のちゃんとした人が出てくるわけですから,その人との間で合意してやっていくということですので,実務的な観点からいくと,忠実義務の範囲外というふうに整理していただきたいというふうに考えています。

 

 

  •  わかりました。これは説明の中で……
  •  これは補足説明の中で,両論あり得るということを書くかなという感じで考えております。

 

 

  •  そのようにさせてください。

ちょっと大変時間をとってしまいましたけれども,ほかの分別管理と自己執行義務もありますが,ここはいかがでしょうか。

 

 

 

 

  •  済みません,その前に忠実義務のところのまさに利益吐き出しのところでございまして,もう前からずっと申し上げていますので,どうこう言うつもりはございませんが,基本的には丙案を立てていただきたいということでございまして,今までサンクションとして重過ぎるであるとか,外延がよくわからないのでというようなことで反対であるというふうに申し上げていましたので,要するに丙案として特段の規定を設けないものとするというものを立てていただいて,皆さんの御意見を伺いたいというふうに考えております。
  •  どうぞ,○○幹事。

 

 

 

 

  •  今のところとは違って,忠実義務のところで1点といいますか,幾つかちょっと申し上げたい点があるんですが,競合行為の禁止のところについてです。

 

 

1つは,この競合行為の禁止の(1)のところの要件が,やはりなかなか受益者の立場からすると重いので,受益者の方でこれを使うというのはなかなか実際のところ難しいだろという感じがしております。

 

 

 

それと,この(1)と(2)の関係なんですけれども,文章を素直に読ませていただきますと,(1)の方で受益者の利益を犠牲にして,自己または第三者の利益を図る目的の行為を禁止して,(2)のところでその例外というような書き方になっておりまして,この書き方を素直に読みますと,(2)で定めると,こういった受益者の利益を犠牲にして,自己または第三者の利益を図る目的ができるかのような印象を受けるんですけれども,ちょっと文章の書き方としてどうなのかなと,ちょっとこういった書き方はやや問題があるのではないかというような印象を受けております。

それと,競合行為についてもう1点意見を申し上げておきたいのは,競合行為が問題となり得るなり方としては,場面としては2つあるのではないかというふうに思っております。

1つは,受託者が受益者の利益を奪う場合。これは典型的な競合行為の禁止の場面ということで想定されている,例えば信託財産の取引を行っていたものが,その中で有利な条件とか情報に接したときに,これを固有財産の取引としてやってしまう場合,これは典型的な場面だと思うんですけれども。

 

 

 

 

 

もう一つは,受託者が受益者の利益を損なう場合というのが,信託の場合には出てくるんじゃないかと。例えば,受託者がその信託財産と固有財産の区別をはっきりせずに投資取引を行っていて,そこでマイナスが出てしまったと。そのマイナスを信託財産に帰属させるというようなことをしてしまった場合。これは,商事信託の場合には余り考えられないのかもしれませんけれども,民事信託の場合には十分あり得る話で,こういった行為もある程度目配りをして,こういったことが起こらないようにしておく必要があるのではないかというふうに考えております。

今の通常の競合行為の場合と違って,信託の場合というのは,要するに取引を行う名義が受託者,信託でやる場合も,固有財産でやる場合も受託者ということになるので,その取引の振り分けといいますか,そういう問題が出てくるわけで,そこで信託の競合行為特有の問題が出てくるのではないかというふうに思っております。

 

 

 

すみれ

「信託でやる場合は、受託者〇〇、固有財産でやる場合は〇〇になるんじゃないだろうか。」

 

 

 

今の後者の問題について,もし御検討いただいている点があれば教えていただければと思います。もし,その点についても何か御検討をお願いできるのであれば,御検討いただけないかというふうに思っているんですが,何かパブリック・コメントの直前で申し上げて申しわけないんですけれども,御教示いただければ助かります。

それからあと1点だけ,(注1),(注3)で記載されているこれは情報提供に関する問題ですけれども,以前にも意見を述べさせていただきましたので詳細は述べませんけれども,やはり受益者が権限行使をする際の入り口となる重要な権利ですので,ここに書かれているように,一般的にその情報提供の内容について緩やかにするというのは,やや問題があるのではないかというふうに考えております。

以上です。

  •  ちょっと御確認だけさせていただければと思うのですが,固有財産で取引をしてきて,それでマイナスが生じたので,それを信託財産に帰属させるというのは,例えば具体的にはどういう取引が。

 

 

 

 

  •  民事信託の場合には,余り受託者の方が,これは信託財産,これは固有財産というふうに区分けせずにといいますか,余り意識せずに取引をする場合というのがあるのではないかと。そういった場合に,例えば後で損が出たことがわかったと。じゃ,これは損が出たから信託の方にくっつけようとか,あるいは逆に得が出たから固有財産の方にくっつけようとかというようなことが可能になってしまうのではないかという事態をちょっと懸念しておるんですけれども。

 

 

すみれ

「そうかな。」

 

 

  •  何か物を買うときに,例えば固有財産で株式を買ったと仮定して,それが固有財産から出ていて,それでその物が入ってきたら,それは固有財産ですよね。それを損が出たので信託財産に押しつけようということであれば,それは自己取引になる……

 

 

 

  •  恐らく分別管理がきちんとできている前提であれば,余り問題が出てこないのかなという気もしなくもないんですけれども,分別管理がきちんとされていない場合に,要するにあいまいな形で取引をして,事後的にこの取引はこちら,この取引はこちらというようなつけ方をするという心配がないかということなんですが。
  •  一般的にはもちろんある問題だと思いますけれども,今,○○幹事が言われましたように,競合取引の問題なのか,あるいは分別管理の問題なのか,どちらで考えたらいいかという問題がありそうな気がしますけれどもね。御意見自体はわかりましたので,ちょっと今この競合行為の禁止の中にそういうもののルールを入れるというのは,ちょっと難しいような気がしておりますけれども,どこかでそういう説明を加えるということは可能かもしれません。
  •  それは可能かもしれません。ちょっとこの規定自体をいじるということは,今のところ考えていないというところでございます。
  •  ただ,もう1点の方の主観的な要件がこれでは厳し過ぎるのではないかというのは,御意見が先ほど○○委員からもございましたし,これはその意見があったということで対応していただくということにさせていただければと思います。

ほかにもいろいろあったかもしれませんけれども,今これ全部の案をここでもう1回一から見直すというわけはいかないので……

○○委員,どうぞ。

 

 

 

 

  •  書き方の問題ですけれども,今,○○幹事の方からあったのと同じ点なんですけれども,8ページの3の競合行為の禁止で(1)と(2)があって,(1)では受益者の利益を犠牲にして,こうこうこうの利益を図る目的を持ってこういうことをしてはならないと。例外に当たれば,そういう受益者の利益を犠牲にして自分の利益を図る目的を持ってやってもいいということになりますが,これはそういう趣旨なんですか。
  •  そういうときも,そうならないという感じなんだと思うんですけれども。
  •  もちろん,こういう目的でやることが許容されるというわけではありませんから,違うんだと思いますが……
  •  書き方の問題だと思うんです。
  •  わかりました,表現の問題ですね。
  •  パブリック・コメントをとる場合に,これだけで妙な反発が出るかなと。
  •  わかりました。じゃこれは,中身は恐らく同じことを考えていると思いますけれども,表現を少し検討するということで。

ほかに,それでは分別管理と自己執行義務の関連--自己執行義務といいますか,第22に関連してはいかがでしょうか。

○○委員。

  •  第22の内容というよりは,むしろ書き方の問題を2点指摘させていただければと思います。

まず,第22の1で処理を委託する権限で,委託できる場合として信託行為の定めによる場合,または他人に信託事務の処理を委託することが相当な場合と,先ほど申し上げたことと一緒なんですが,相当な場合というのは一体どういうふうにして決まるのだろうというとき,やはりこれは信託行為の目的に照らして相当かどうかというのは決まるんだろうと。先ほどの例外よりは,こちらの方がやはり趣旨としてはすっと来るのかなと思いますので,こちらこそやはり信託行為の定めによる場合,その他信託行為の目的に照らして,他人に信託事務の処理を委託することが相当な場合という書き方の方が適切かなというふうに思います。それが1点。

 

 

 

 

 

もう1点は,2の責任に関する書きぶりなんですが,甲案,乙案あったということで。ただ,乙案の方,それから(2)の方もそうなんですが,証明しなければと証明責任の所在を明らかにしようという書きぶりなんでしょうけれども,実体法の問題ですので,書きぶりはこう露骨に書かなくても,要するに受託者は,乙案で言いますと,信託事務の処理を委託されたものに故意または過失がなければ責任を免れることができるというような書きぶりでよいのではないかなというふうに思います。

そうしますと,甲案の方も,書きぶりとしては,選任及び監督について過失がなければ責任を免れることはできると。そうしますと,どちらがより適切かという判断をしやすくなるのではないかなという気がします。なんか一方のみが証明しなければという書きぶりというのは,なんかちょっといかがなものかなという気がします。

 

 

 

 

それとの関係では,(2)の方も,要するにこれは不可抗力を理由として免責をむしろ認めるという趣旨なんじゃないんでしょうか。ただ,不可抗力免責を認めるためには,1に違反することがなかった場合にも,損失が生じた場合に限るんだということなんじゃないかなという気がいたします。突然何か不可抗力が出てくるというのがちょっとよくわかりにくくて,やはり1の違反に関しては不可抗力免責を認めるんだけれども,こういう場合に,つまり1に違反することがなかった場合でも損失が生じた場合には,不可抗力を理由として責任を免れることができるという書きぶりの方が,私がそう思うだけなのかもしれませんが,少しはわかりやすいのではないかなという気がいたします。

以上です。

  •  わかりました。民法の中にも若干似たような規定がたしかあったような気もしたけれども,確かにここだけ証明という問題が出てくると,少し違和感を感じないではないですね。これはちょっと表現を工夫していただくこということにいたしましょう。完全に落とせるかどうかわかりませんけれども,甲と乙案のところはなしでも書けそうな気がしますね。

それから,今の1の方はどうですか。信託の本旨でしたっけ。

  •  目的,どちらでも結構だと思いますけれども,信託行為の目的に照らして相当な場合と,何もなしに相当というよりは,やはりそういうのをつけ加えておく方が明確になるんじゃないかと思います。
  •  これは目的にするか,本旨にするか,いろいろ選択肢はあるかもしれませんけれども,要するに相当性を判断する基準というものを示した方がいいということですね。これも検討させてください。

ほかに分別管理の方はよろしい--ごめんなさい,○○幹事。

 

 

 

 

  •  分別管理ではなくて,再委託の方なんですが,第22なんですが,甲案の説明を,このようなことをお書きくださればというふうに思うということであります。つまり,甲案だけ出てきますと,これよほど受益者が不利益を被るかのように見えるんですが,恐らく3つほど話があるんだと思うんですね。1つは,委託先が何か債務不履行をしたということになりますと,委託先に対して損害賠償を請求することというのは,受託者が信託事務の執行内容としてなすべき事柄であって,かつ損害賠償として入ってきた金銭は信託財産になるんだと思うんですね。そういうことは,やはり無用な誤解を甲案について巻き起こしますので,説明には書かれた方がよろしいんじゃないかというふうに思います。

同じことで2番目ですが,ちょっと話を聞きますと,再委託先との間で,再委託先が非常に低い注意義務を負うというふうな契約にした場合には債務不履行責任をとれなくなってしまうので,先ほどの1で申し上げたことですが。そうすると,その賠償が取れないんじゃないかという意見がちょっとあるようなんですけれども。それというのは,私,委託先の注意義務を不合理に軽減する契約を再委託契約として締結するということ自体が,恐らく善管注意義務違反なんだと思うんですね。そういうことをやはり説明には書かれた方がよろしいんじゃないかというふうに思います。

3番目なんですが,委託先に対して直接に受益者が責任追及できるかという問題がありまして,これは私は結構難しいような気もするんですが,何か直接いけばよいというふうなことの議論もあったような気もいたします。これは最後のところは解釈論にもなりますので,どらちかに決めうちして説明を書くべきだとは申しませんけれども,甲案については,さまざまな方法がバックアップ措置としてはあるということを補足説明でお書きいただければと思うわけであります。

  •  そうさせていただきたいと思います。ほかよろしいでしょうか。まだ御意見があるかもしれませんけれども,とりあえず42までいくというのにまだ半分しかきていないというのはどうしたらいいか。

では,次に行きましょう。

  •  第23の帳簿作成義務からご説明致します。

まず,前回の提案で1の(1)「帳簿」のみとしていたのを「帳簿その他」とした趣旨は,帳簿の作成というのを,例えば民事信託で課されると厳し過ぎるのではないかということで,帳簿またはその他の書類と書いて,必ずしも帳簿ではなくてもいいということを明らかにしたという趣旨でございます。

それから,1の(2)で,前回提案では「信託事務に関する重要な書類」としておりましたが,ここでは「信託事務の処理に関する書類」といたしまして,それとの関連で,閲覧請求につきましても,受益者はこの(1),(2)の書類を閲覧請求できるということになりまして,重要じゃなくてもいいという点では,受益者の閲覧請求の対象,それから保存義務の対象は広がっているものでございます。

 

 

 

 

 

それから,1の(3)で信託財産の状況に関する書類として,前回提案のありました信託の収支に関する書類を落としておりますが,これも民事信託などでPLのようなものをつくるとなると,ちょっと厳し過ぎるのではないかということで,財産目録に類する信託財産の状況に関する書類のみとしております。

それから,1の(4)でございますが,これは(3)の書類,信託財産の状況に関する書類は,3の(1)で閲覧・謄写の対象になりますので,その前提として保存義務があるということを明記しております。

次に,(5)でございますが,これは中間法人法や会社法で裁判所の提出命令に係る制度がございますので,それに類するものをここに新たに導入したということでございます。

次に,3の閲覧・謄写請求の方でございますが,3の(2)で1(2)の書類というのは,これはさっき申し上げましたように閲覧の対象が拡大していることになります。

それから,(注2)ですけれども,ここでは信託行為の定め等によりまして,一定の書類を閲覧・謄写請求の対象としないこともできるとするかどうかをなお検討するということで,このような検討事項を設けることは前回と同様でございます。

ただ,前回におきましては,その対象につきまして,「帳簿,これに関する資料」については常に開示の対象とすると。「信託事務に関する重要な書類」については信託行為で除外できると。言ってみれば,書類の性質に応じた形式的な区分をしていたわけでございますが,今回は,書類の性質というよりは,信託財産の状況に関する書類の作成基礎となった資料のうち重要なものを除きということで,重要なものは書類の性質を問わず,信託財産の状況に関する書類と関連性があるものであれば,すべて見せなければならないこととしております。

つまり,例えば鉛筆1本を購入したときの帳簿,伝票ですとか,そういう軽微なものについてまでは必要ないということで,信託行為で除外できるものの対象を,書類の性質というよりは重要性によって区分するという提案に改めているところでございます。

 

 

 

 

 

最後に,(注3)のところでございますが,信託財産の合同運用の場合を前提といたしまして,信託行為に定めを置くことを条件に,当該信託の受益者以外の第三者,例えば合同運用されている別の信託の受益者も,他の信託の信託財産を含む合同運用財産全体に関する帳簿等を閲覧できるとするものでございます。

合同運用形態がとられる場合には,各信託の受益者が自己の信託財産の運用状況を把握しようといたしますと,合同運用財産全体の内容の開示を受ける必要があることになるわけでございますが,本来ならば,他の信託の信託財産に関する部分についてまで閲覧請求できるかは疑問でございます。そこで,信託契約に定めを置くことによりまして,合同運用に係る受益者間については,相互に他の信託の信託財産に係る部分を含む合同運用財産全体の内容の開示を受けることを可能にするという考えに基づくものでございます。

次に,第24の受益者名簿についてでございますが,1つはただし書で任意規定としている点でございます。受益者の情報を受託者が常に把握できるとは限らないという御指摘なども踏まえまして,前回の問題提起に従い,任意規定としたものでございます。

それから,(注5)でございますが,受益者名簿につきましても,信託行為等によって閲覧等請求権の制限ができるとするかどうかについて,前回に引き続き検討事項としておいております。

続きまして,第25の損失てん補責任等でございますが,まず一番最初のところでございますけれども,「受益者が信託財産に関してその任務に違反する行為をした場合」というふうに書きました。前回提案では,「故意または過失により法令または信託行為の定めに違反する行為」としておりましたが,法令違反に故意過失を観念しがたいという御指摘ですとか,ここでは受託者側で帰責事由の不存在を立証すべきであるのに,故意過失と書くと,あたかも請求する側がその立証責任を負うとの印象を受けるということもございますので,「任務違反行為」と改めたものでございます。

それから,①と②の関係でございますが,前回の提案におきましては,1として原状回復責任,2として損失てん補責任と順序で提案していたものでございますけれども,ここでは,受益者がどちらでも任意に選択して行使できるという,従来も同様な考え方ではございましたが,それをより明確にする観点から,①,②として併記して列挙しているということでございます。

次に,第26の消滅時効等の点でございますけれども,(注)に書いております利益吐き出し請求権につきましては,その法的性格を分析した上で検討をするべきであるという御指摘がありましたことを踏まえまして,その検討を踏まえた上で規律の整備をするということを明記しております。

 

 

 

 

なお,前回の会議におきましては,この場合,委託者または他の受益者につきましては,消滅時効の起算点と,それから除斥期間の起算点がいずれも信託違反行為のときとなってしまうというのが,若干違和感があるのではないかというご指摘もございましたが,この点につきましては,受益者については特に信託違反行為の存在の認識が難しいのに対しまして,契約当事者である委託者とか,いわば仲間内である他の受託者については,受託者の信託違反行為の存在を認識すべき状況にあり得ると言えることから,受益者を保護する観点で,受益者についてのみ信託違反行為があったことを知ったときというように主観的認識を踏まえた起算点としております。その関係で,結果的に受益者以外のものについては除斥期間と消滅時効の起算点が客観的な信託違反行為の時期に一致してしまいますが,受益者保護の趣旨にかんがみて,特に御異論がなければ,このままとしておきたいと考えているところでございます。

それから,第27,第28は特に変更ございません。

第29の検査役選任請求権についても特段の変更はございませんので,一たんここで打ち切らせていただきます。

  •  それでは,ここまで御議論お願いします。

5時になったら一遍休憩するというので5分ぐらいしか時間ありませんけれども,とにかく貴重ですから,御議論があればお願いします。

○○委員。

  •  1点,小さなことかもしれないんですが,第24の受益者名簿の作成義務のところは,(注1)で電磁的記録をもってというので書いてありますね。第23の帳簿作成義務で,書類を作成しなければならないというようなことをはっきり書くのが,今どうなのかという気が少しいたしますが。
  •  この点につきましては統一いたします。帳簿の方につきましても,現在でもe-文書法というのができまして,電磁的記録で作成できるとなっているはずですので,その点は配慮いたします。
  •  どうぞ,○○委員。
  •  第23について,書類のことについてコメントしたいんですけれども,重要な書類というところから,その書類というところに変更があったというふうに認識しているわけなんですけれども。そうした場合,やはり実務の観点からどこまで保存しなければならないのかということでございまして,例えば銀行ではよく同じ書類を幾つも幾つもコピーをしてとか,いろいろな部に来てとか,そういうこともあるわけで。この提案を見ますと,それらを全部保存しなければならないという話にもなりそうでございまして,そうすると非常に窮屈な規律なのかなというふうに思っています。

 

 

 

 

その点,もし重要な書類ということが妥当でないという場合でも,やはり必要性の原則とか,そういうところである程度,不要なものは必要でないというような考え方も導入できればというふうに思っています。

したがいまして,パブリック・コメントの時点では,この書類の内容,その程度について重要なのか,そうでないのかということについての選択肢ないしは補足説明でそこら辺のことについても意見を問うということをしていただければ,ありがたいなというふうに思っております。

それから,第25に関して,前回,忠実義務のところで質問したつもりでいるんですが,その点について併せて御確認なんですけれども。繰り返しますけれども,忠実義務のところで,検討課題の10のところで2の(1)①,*1の3つ目でございます。例えば自己取引の違反の効果として,損失てん補責任,原状回復とかどうなのかという話でございまして,そこの点について忠実義務の今回のパブリック・コメントの御提案のところでは明示してなかったというわけなんですが,これは第25のところで含まれているという理解でございますかということです。

  •  そちらの方でできるということなので,あえて明示しなかったということで,受託者に忠実義務違反行為があれば,それが故意過失に基づくものであれば,損失てん補責任を負うということは,この記述を読んで明らかだから書かなかったということであります。
  •  そうしますと,前回の検討課題の(10)のところで,ポツ3のところの提案というのは,損失てん補責任,原状回復の請求というところが書いてあるんですが,その要件として,第三者の善意(無重過失)である場合とか,悪意(重過失)の第三者に対して受益者が取消権を行使しない場合とか,そういう要件が片やあったわけなんですけれども,今回の第25の提案というのは,そういう要件はないと。
  •  故意過失の要件ですか。これは受託者が,故意過失が不存在という立証責任を負うわけでございまして,任務に違反する行為とだけ書いているのは,請求者側である受益者側にはその立証責任はないということを明らかにする趣旨でございます。これは債務不履行責任の本質を持っているものと考えておりますので,受託者側で帰責事由がないという立証が必要となると理解しております。
  •  重要な書類の範囲。
  •  重要な書類の範囲,全部保存してもらいたいんですけれども,ちょっと重過ぎるという感じでございますか。
  •  その射程がよくわからないということで,関してというのは,同じ情報を幾つもコピーするということもあると思いますし,また例えばそれを集計するとか,そういうことも含むとも思いますし,ある程度その線引きが必要なのかなというふうに思っておりまして,そこら辺,この書きぶりではちょっと限界が見えないのかなと。そうすると,本質的には,事務的に非常に重い規律にもなりかねないのかなということでございますので,その辺ちょっと御配慮いただければという趣旨でございます。
  •  わかりました。今これを直すといいますか,そういうことではなくて,そういうことについての意見が出るようにということをしてほしいということですね。
  •  わかりました。
  •  それでは,これから10分休憩して,また再開したいと思いますので,よろしくお願いします。

 

(休     憩)

 

  •  それでは,再開したいと思います。引き続き御議論いただければと思いますが,いかがでございましょうか。

○○委員。

  •  第25に関連するんですけれども,これだけじゃなくて大きいポイントといいますか,私だけがわからないことかもしれませんけれども。第25あたりから,信託財産と受託者との間の行為といいますか,ここにおいては受託者が信託財産に対して義務を負う。信託財産といいましても,他の受託者が権利を持つ。あと後ろの,恐らくもうすぐ議論されると思うんですけれども,もう少したつと,受託者の方が信託財産に対して権利を持つという,要するに同一法人格内における権利とか義務の議論が出てくると思うんですけれども。

 

 

 

 

例えば,それに対して,受託者の第三者が差押えをできるのか,債権者で行使できるのかとか,要するにそういう信託のやむを得ない部分ですけれども,それをどうやって認識するのか,また考えるかというあたりを,要綱試案のこのところというわけじゃないんですけれども,その補足説明か,それについてどういうふうに考えていくのかというあたりの議論というものが,このあたりで必要なのかなと思って,ちょっと発言させていただいた次第なんですけれども。

  •  あるいは,もうちょっと具体的な例を御説明いただいた方がよろしいかもしれませんけれども,信託の内部構造,受託者と,それから信託財産あるいはほかの受託者も含まれるかもしれませんけれども。
  •  受託者に対する損失てん補等の請求を受託者の義務として認識すれば,信託財産が権利者になると思うんですね。他のところでいけば,受託者が権利者,補償請求とか報酬請求では権利者であって,信託財産が義務者ということになりまして,それは履行される分においては,別にそこに残った後の信託財産だけだと思うんですけれども,履行される前の権利として認識できれば,それを差押えたいと思う債権者もいるかもしれませんし,差押えできないとすると,例えば受託者はその権利を行使しないままいるとか,理論的な議論だけなのかもしれませんけれども。その信託の内部構造について,どうしても一定の権利とかを認識せざるを得ないと思いますし,もしこのままでいけば,それは債権なのかどうかという議論にも結びついていくと思うんですけれども。

 

 

 

 

 

  •  本来,法人であれば,そこはもうちょっと明確かもしれないけれども,信託であるということで,信託財産といっても受託者名義の財産であり,そういう意味で,受託者が信託財産に対してその権利という形のものを持っているかどうかと,そういうことですね。それに対して,例えば受託者の債権者が差押えしてくるとか,あるいは債権者代理権を行使するとか,そういう問題ですね。

どこで書くのが一番適切なのかわかりませんけれども,ちょっと私の感じでは,受託者の補償請求権とか,ああいうところで一番明確になるような気もしたんですけれども。あえてここじゃなくても,そちらで書くということでもよろしいんでしょうか。それとも,どこかで……

  •  この機会に1回議論できればということで,ちょうどここが最初のポイントだったので。
  •  ここは損失てん補だと思うんですけれども,私としては,この場合も受益者の権利という形で,ただ損失てん補という形で戻す先は信託財産ですので,そういう意味で信託特有の問題がありますけれども,今,○○委員が言われたことは,どちらかというと,受託者が信託財産に対して何か権利を持っている場面で主として問題になるかと思ったんですけれども。
  •  そうですね,それが一番わかりやすいと思いますね,受託者も債権者という……
  •  わかりました。今のことについて何か。
  •  受託者の債権者が,受託者がそういう債権を持っていることを認識する機会を付与するべきだという話でございますか。
  •  そうじゃなくて,それを債権として認識して,例えばそれを差押えるとか,そういう法律の理解,理論的な理解,そういう理解でよろしいのかどうか。
  •  被差押債権になるかということですね。
  •  そうですね。同一法人格なので,全部内部関係ですという議論がある反面,信託ですからやむを得ず,受託者と信託財産の間にどうしても権利関係を認識しての議論はしていると思うんですけれども。
  •  今まで一般的には,受託者の例えば補償請求権,信託財産に対する補償請求権も,差押えは余り考えなかったかもしれないけれども,代位行使ができるというふうに私なんかは漠然と考えていたんですけれどもね。ただ,厳密には--ただ,代位行使といっても,いろいろ難しい問題があるかな。債権であるということ,受託者の信託財産に対する債権であるということを言わなくても,代位行使などはできそうな気もしますけれども,受託者の権限をただ行使するという意味で。だけれども,差押えだとかいうことになると,ちょっと違ってくるかな,特にね。

 

 

 

 

何か御意見ございますでしょうか。恐らく,信託というものについての理解をしてもらうという観点から,今のような問題点といいますか,信託というものはこういうものであるということを書けばいいということなのか,あるいは積極的に,さらに受託者のそういう権利というものは債権者が差押えたり,代位行使できるんだということまで書いた方がいいかというと,どちらでしょうか。

  •  実務的といいますか,感覚的には,今まで準法主体説的に権利として認識して契約書をつくったりとかやってきているところもあるんですけれども,それは既存の80年前にできた信託法だからしようがないという議論で来ていたところもあると思うんですね,実務と現実と信託法との乖離であるみたいな。ところが,今般信託法が改正になるわけですけれども,割とそこの部分がどうしてもクローズアップ,理論的にもされるのかなと思うところもありまして,それについて当部会としてはこういうふうに考えているというようなところが,何か理論的に示すことができればわかりやすいと思うんですけれども。
  •  これはなかなか難しいところで,恐らく意見が一致しない可能性もあるんですけれども,一方では,今のように受託者の権利というんでしょうか,権限というんだったらいいのかもしれないけれども,権利とか債権とかという形で説明しようとすると,受託者の信託財産に対する権利というのは認めるべきではないという意見が一方でありそうな気がするんですね,やはり信託だから。同一の人格内の問題で,単に信託財産をどう管理するかという問題でしかなくて,受託者の権限の問題でしかない。

 

 

 

 

 

だけれども,他方で--他方でといいますか,私は,だから信託はどういうふうに説明すべきかというレベルで議論しようとすると,なかなか議論はしにくいけれども,個別の問題でもって,受託者の補償請求権などが債権者の代位行使の対象になるかとか,差押えの対象になるかとか,そういう問題は十分議論できるし,ここで明らかにできるものはしておいた方がいいような気がします。それをさらにどういうふうに説明するかというのは,恐らくここではなかなか統一できないのではないか,議論はした方がいいと思いますけれどもね。いかがでしょうか。

○○委員。

  •  本日出させていただいたペーパーのところの部分にもよるんですけれども,基本的に,例えば補償請求権について信託財産を担保にとるとかというようなことも当然イメージをしておりまして,そのときに本当に登記できるんだろうかというようなお話がありまして,そのときの関係というのが,やはり法主体的なことを考えれば当然できるんでしょうけれども,そうでなければ,なかなか考え方として難しいというところがあって。実務的には,やはり担保にとりたい部分も当然ありますので,その辺のところの整理といいますか,実務的な感覚としたらできるというふうに思っておりますので,何らかのそういう方向性が出ればありがたいなとは思いますが。
  •  いや,私もできるというところはあるんですけれども,どう説明するかというのはなかなか難しいので,そこが躊躇しているという点ですけれども。例えば,先ほど議論した忠実義務のところでも,自己取引というのを--自己取引そのものじゃないかな,あるいは固有財産にいっちゃうから。でも,そうですね,そこで忠実義務,形上,忠実義務の違反になりそうだけれども,信託財産の上に権利を取得するとか,ちょっと今も十分整理できていないけれども,登記が対応していない問題が大分なんかあるような気もしているん

 

 

 

 

ですけれども。ちょっとあいまいな言い方をして申しわけないけれども。

  •  今,登記の話も出ましたけれども,お二方のおっしゃったのは,基本的には補償請求権に限定して考えて,その補償請求権についての,○○委員は担保権の設定を認めてほしいと,補償請求権は債権ではないので,いわゆる担保物権が設定できるかどうかはあやしいところがありますよね。その点について,でも実際上のニーズがあるので対処してほしい,そういうお話だと伺ってよろしいですか。

 

 

 

 

 

 

  •  補償請求権にかかわらず,例えば信託勘定間においての貸し借りと言っていいのかどうかわかりませんけれども,そういうものを観念して,例えば投資信託であれば,貸付信託の勘定からお金を貸し付けていると。それについて,投資信託の土地建物を担保にとっているということを実務上観念しながらやっているわけですけれども,そういうことが本当にできるかどうかということも関係しております。
  •  今のは恐らく,まさに同じ法主体で契約を結んでいるのかというような話そのものではないかと思いますが,それをパブリック・コメントで聞いた方がいいというのではないですよね。
  •  そういうことではなくて,そういうことについての方向性,もちろん我々にとったらいい方向性でということですけれども,何らかの議論というものをしていただきたいなと。
  •  わかりました。それ自体は非常に私も重要であり,興味を持っている問題点でありますけれども,今,○○関係官からありましたように,必ずしもパブリック・コメントで聞く必要はないかもしれない問題なので,どこかで多少信託というものを説明する際に,どこか説明の中でちょっと触れていただくということはあるかもしれませんけれども,そういう扱いをさせていただくということで,とりあえずよろしいでしょうか。議論自体は,この場でもまた,後のテーマでもしていただければと思いますけれども。ちょっと今も,どういう場面が一番問題なのかわかりません。むしろ信託銀行の方がいろいろ御存じだと思いますけれども。さっき言いましたように,登記の関係でもしかするといろいろ,現在のままではうまくいかない問題があるのではないかという気がちょっとあるんですけれども。これもそういう議論はいずれにせよ,信託銀行サイドからはどっちみち意見としては出てくるでしょうから,ここであえてやらなくてもいいかもしれませんけれども,関連するテーマでもし言及しておく必要があれば,コメントしてください。

 

 

すみれ

「登記のどこだろ。」

 

 

 

  •  第28について質問したいんですが,今よろしいんでしょうか。
  •  いいですよ。
  •  これまでに聞いておくべきことだったのかもしれませんが,第28の趣旨なんですが,法令もしくは信託行為の定めに違反する行為をし云々で,やめることを請求できるというのは,差止めという言い方をすれば差止めなんですが,先ほどの忠実義務の定義からしますと,忠実義務を履行せよという履行請求と見ることもできるのではないかと思います。

そうしますと,通常の債権債務ですと,債権債務があれば,債務履行請求というのは当然できるということになるはずなんですか,この第28を見ますと,信託財産に著しい損害が生ずるおそれがあるときはという限定を加えています。ということは,ここから先は質問なんですが,忠実義務に限らないのかもしれませんが,忠実義務を例にとりますと,忠実義務というのはもう当然あるんだけれども,履行請求というのは当然できるものではない。履行請求というのは,こういう信託財産に著しい損害が生ずるおそれがあるときに限って履行請求を認めるんだという趣旨でこれを説明されるのか。それとも,ちょっと差止めに引きずられたためにこういう要件が出てきたのであって,通常の債権債務と同じように考えてよいともし考えるとするならば,当然に履行請求はできないとおかしいということになると。ですので,この趣旨を多分以前説明されたんだろうと思うんですけれども,単に失念しているだけかもしれませんので,ちょっと御説明いただければと思います。

  •  いかがでしょうか。

 

 

 

  •  ここで,信託財産に影響が及ぶということ,著しく損害が生ずるおそれがあるときとかぶせておりますのは,権利行使によりまして,それを履行請求と見るか,差止請求と見るかはともかく,他の受益者に対して影響が及ぶだろうと。それによって信託事務が停滞するわけでございますので,そういう観点からすると,常に請求できるというのは問題であるという観点から,法的な性質づけは確かに今,○○幹事がおっしゃるように,履行請求と見る見方もあるんでしょうけれども,受託者の信託事務処理の停滞を,むやみに停滞するのを防ぐ必要があるという観点から,一定の要件を請求者に課しているということでございまして,差止請求と見るか,履行請求と見るかというのは,ちょっとそういう法的な分析というのはどちらもあり得ると思うんですが,趣旨はそういうことでございます。
  •  訴えの提起を想定すればそうなのかなと思うんですけれども,ただ,ここにありますように,信託行為の定めに違反する行為をしているときに,信託行為の定めを守れという請求というのは,普通履行請求ではないのかなという気が,最初見たときふっと思いまして,そうすると,この要件設定で本当にいいのかなというのはちょっと気になったということです。
  •  これは私だけの理解かもしれないけれども,信託の場合に,受益者と受託者というものが直接の契約関係というんでしょうか,そういうのに必ずしもないということもあって,純粋な履行請求なのかどうかというのはちょっとわからない。外国の信託法の中には,しかし履行請求というのを認めるところも,理論的には認めているところもあったように思います。しかし,今申し上げたようなこともあって,履行請求まではちょっと踏み切っていないと。しかし,差止めの方は,やはりこういう要件のもとで損害が信託財産に生じるという場合には,いわば法律の規定に基づいて,この規定があるから差止めが認められるというのが一つの理解の仕方としてはあり得るのかなと思いますけれども。

ただ,前置きをしましたように,これは私の理解ですので,ほかの理解もあるかもしれません。

 

 

 

 

いかがでしょうか。ちょうど株主と取締役の関係ですかね,あれも直接の関係は必ずしもないのと同じかもしれません。

よろしいですか。さっき議論してきたところと比べると,大体パブリック・コメントを聞く上ではこのぐらいでよろしいかと思いますが。じゃ,先に行ってよろしいでしょうか。

 

 

すみれ

「会社法の取締役が持っている忠実義務かな。」

 

 

  •  では,受託者の権限の範囲から,第30から第34までご説明いたします。

まず,受託者の権限の範囲でございますが,前回,甲案として,「受託者は,信託行為の定めに従い信託財産の管理又は処分その他信託目的の達成のために必要な行為を行う権限を有するものとする」と,それから乙案といたしまして,「受託者は,信託財産の管理又は処分その他信託目的の達成のために必要な行為を行う権限を有するものとする。ただし,信託行為に別段の定めのある場合には,この限りでないものとする」と,両案併記いたしまして,かなり御議論もいただいたところでございますが,結論的には,甲案か乙案かというよりも,その実質といたしまして,受託者の有する権限というのは,信託目的達成のために必要なものについては広く及ぶというのをまず原則とした上で,信託行為において,前回は信託行為に別段の定めとだけ書いてあったんですが,それを信託行為において制限する方向で定めを設けることができるということを明らかにするのが適切ではないかということで,第30というような形でまとめさせていただいたところでございます。

なお,受託者の行為が権限外であることにつきましては権限違反を主張する側で,取消権を行使するのであれば受益者の側で立証すべきものでありまして,受益者は信託行為が信託目的の達成のために必要なものではないことや,信託行為による制限に違反したものであることなどを主張・立証していくことになると思われることを付言させていただきます。

次に,権限違反行為の取消しの関係でございますけれども,まず1といたしまして,先ほど第12のところで御説明いたしましたとおり,この規律の適用対象というのは,受託者もその相手方もともに信託財産のために行為をしているのを認識している場合に限定するというまとめに応じまして,ここで1として,受託者が信託財産のためにした行為が,相手方が,当該行為が信託財産のためにされたものであることを知りという要件を付加させていただいております。

それから,あと細かい点でございますが,(注1)で相手方の主観的要件の証明責任を受益者と相手方のどちらが負うかについては従来と同様,なお検討事項としておりますのと,(注3)のとおり,有限責任の特約をしているような場合でございましても,相手方が個人にいけるかという点につきましても,引き続きの検討としております。

それから,取消権の消滅につきまして一月または1年というのは,一応ここではこう書いておりますが,特に一月というのは短すぎるというような一般的な指摘がありますこと,それから前回の部会で,取引相手方から,取消権を行使されるかどうかについての催告の規律を設けるべきではないかという御指摘があったことを踏まえまして,この点については,いずれも今後検討していくことを(注2)に記載しております。

 

 

 

 

 

次に,第32でございますが,まず1つ細かい点は,1の(2)で,前回提案におきましては,受託者に信託財産を処分する権限が付与されていない場合というのも,このただし書で任意処分できないということを明記しておりましたが,ここでこれを落としておりますのは,例えば,管理目的不動産を処分するような場合だと思われるわけですが,そのような権限違反行為というのは,結局信託目的の達成の妨げになる場合に含まれるだろうということで,あえて別途書く必要はないと思われ削除しているものでございます。

次に,大きな点でございますが,受益者から費用の補償を受ける権利について,甲案と乙案を提示している点でございます。この甲案でございますが,これは受託者は原則として受益者に対して補償請求権を行使することができるとするものでございまして,現行法の規律を維持するものでございますが,考え方として,受益権というのは受益者の要する権利義務の総体であって,補償債務は受益者が利益を受ける反面として,当然に負担すべき性質のものとして,受益権の内容として一体として組み込まれると。権利義務と一体のものが受益権だという理解をしているものでございます。

これに対しまして,乙案というのは,前回,受益権の譲渡というところで提案したものを持ってきたものでございまして,かつての乙案とは違います。ここでの乙案というのは,現行法の考え方を大きく転換いたしまして,受益権というのは権利の総体であると位置づけまして,補償債務を受益権の内容から切り離しまして,補償債務は受益権とは別個の信託外の規約に基づく責任であると考えるものでございます。

 

 

 

 

あと,(注1)の点でございますけれども,これにつきましては,甲案によるにせよ,乙案によるにせよ,受託者が受益者に対する補償請求権を有しないことがあり得るわけでありますので,受託者は信託財産から費用の前払いを受けることができるとするとともに,(注3)に書いてございますとおり,一定の手続を経た上で信託を終了させる権限を受託者に与えるという,保護を厚くするということを提案しているものでございます。受託者が費用の補償を受けられないにもかかわらず,信託事務を継続して行わなければならないとするのは酷でありますので,一定の手続のもとに信託財産を終了させると,その前提として,費用の前払いを受益者のみならず,信託財産に対しても認めるということを新たに提案しているものでございます。

それから,最後に損害補償請求権につきましては,これは前回におきまして,受託者に過失がある場合であっても,過失相殺後の損害については補償を受けられるものとすべく,提案といたしまして,自己に過失なくして受けた損害の文言を改めて単に受託者が受けた損害として提案しておりました。今回は,その趣旨をより明らかにすべく,提案本文の文言としては自己に過失なくというふうに書いておいておりますが,(注4)におきまして,過失相殺後の残額について請求できるということを明らかにして,前回と同様の趣旨を明らかにしているものでございます。

 

 

 

 

 

次に,報酬請求権の方に移りますが,まず(1)のところで①,②とありまして,実はこれまでの提案ではこのほかにさらに1つございまして,「受託者が営業として信託を引き受けた場合」というのがありました。現行法でもそのような規律になっているわけでございますが,後ほど提案いたします営業信託に関する規律によりまして,営業として信託の引受けを行う行為というのは,営業的商行為とみなされまして,その受託者は商法4条によって商人となりまして,この商人が商法512条により報酬請求権を有することは,新たなここの②によって既に明らかにされておりますので,それ以上に受託者が営業として信託を引き受ける場合というのを,ここに挙げるまでの必要はないと考えたものでございます。

 

 

 

 

それから続きまして,18ページの信託報酬を受ける権利の行使方法でございまして,ここでも甲案と乙案というのを併記させていただいております。

まず,甲案でございますけれども,これはやはり報酬債務というのが受益権の内容に一体的に組み込まれると理解する点で,補償請求権の場合の甲案と同じでございますが,ここで補償請求の場合と違うのは,こちらでは原則としては受益者にいけず,信託行為に定めがある場合に初めていけるという意味で,従来の乙案を維持しているものでございます。

乙案というのは今回新たに挙げた考え方でございまして,先ほどの補償請求権に関する乙案と同様の考え方に基づきまして,受益権は権利の総体であると位置づけまして,報酬債務を受益権の内容から切り離しまして,報酬債務は信託とは別個の,受益権とは別個の信託外の契約に基づく責任であると考えるものでございます。

最後に,第34,受託者複数の信託でございますが,これは余り変わっているところはないのでございますけれども,1つは,細かい点でございますが,19ページ,太字の3の(1)のところで,やむを得ない事由があれば委託できるというふうに規律しております。前々回の提案では,やむを得ない事由があるときについては,その受託者を除く他の受託者の過半数で決定するという提案をしていたのに対しまして,それでは他の受託者が判断に窮することがあるという理解を前提に,前回の提案では,やむを得ない事由があるときには,その受託者が他の受託者に委託できるという規律を設けることにしてはどうかという問題提起をしておりましたが,これで特段の御異論もなかったので,後者の考え方を維持させていただいたというものでございます。

 

 

 

 

それから,次に4のところでございますが,4の(1)で受益者に対する責任というところで,実はこれまでの提案におきましては,受益債務については,各受託者は信託財産のみをもって,その履行の責めに任ずるという旨の規律を置いておりましたが,その趣旨は受益債権について物的有限責任を定めるとした,後ほど説明します第50から当然のものだと理解されますので,ここでは重複して記載することはしなかったというところでございます。

最後に,(注4)でございますけれども,前回,共同受託者の1人に対する確定判決は,信託財産を責任財産とする限度で,他の受託者にも効力を有するとの規律を設けることを前提にいたしまして,ここの前段に書きましたとおり,1人の債務名義をもって合有財産であります信託財産にもかかわっていけるという考え方をお示ししましたところ,後段に書いてありましたとおり,他の受託者に対する手続保障あるいは執行文付与のあり方,執行文をとるときの問題,また別途訴訟が必要となってしまっては意味がないので,執行力も拡張しなければ意味がないのではないかというような御指摘等々ございまして,そのような批判的な見解と原案を指示する見解と両方あったわけでございますが,この点については非常に難しい問題がありますので,なお検討事項とさせていただきたいということで,留保しているものでございます。

以上でございます。

 

 

 

 

 

  •  それでは,今の範囲におきましていかがでしょうか。第30から第34までということですが。

○○委員,どうぞ。

  •  第32の費用等の補償請求権のところでございますけれども,これの2のところの受益者から費用の補償を受ける権利ということで,これは以前からいろいろと議論になっておりましたところの甲案,乙案,以前は民事信託というようなことで丙案もあったと思うんですけれども。

このうちの乙案のところの部分が,先ほど○○幹事からお話ありましたけれども,受益権の譲渡のところの部分でこういう新しい考え方が取り入れられて,乙案という形になっておりますけれども,これに加えまして,当初の前回提案におけます乙案,これをぜひとも入れていただきたいというふうに考えています。前回の規律のところを見ますと,基本的には受益者から補償を受ける権利を有するものとすると,ただしということでデフォルトルールがどちらなんですかという規定のされ方をしていたわけですので,それによって,甲案,乙案ということで書いたら入るのか,書かないと入らないのか,その違いということがありましたので,我々の方の理解としては,デフォルトルールをどちらにするんだというような理解をして議論をしていたわけですので,これについては前回分の,その案を支持するということではないんですけれども,選択肢として3つの選択肢を入れていただきたいということでございます。

  •  要するに,受益者に対するいわゆる補償請求権というのがデフォルトの状態であるかないかという問題と,それからないといいますか,契約をすれば認められるというときのその説明をどうするかというのと,大きく分けるとその2つがあるんだと思いますけれども,○○委員の今の御趣旨は……
  •  前回の乙案も残してほしいということですね。
  •  私どもの方としては,今,○○委員のおっしゃった前回の乙案というのを積極的に御支持される方が特にいなかったかなということで,3つ書くのもいろいろと複雑になりますので,2つにしたということでございます。この場で前回の乙案がいいのではないかという御指摘があれば入れたらいいと,そういうようなことではないかと思います。こちらはその程度です。
  •  いかがでしょうか。確かに,この中間試案でもっていろいろパブリック・コメントを聞くという場合でも,ある程度ここでもっていろいろ意見が対立していて,その上で意見を聞くというのが一般的でして,この中で全然支持者もいないときに,そういうのを特に甲,乙,丙という形でその一つの案として出すということは,恐らく今までもやっていなかったんだと思います。そういうことで,ここでやはり前回の乙案を支持するという方がおられれば入るんだと思いますけれども,あとは説明の中で,今ここに書いてある甲,乙を説明する中で,そこから読み取ってもらうということになるんじゃないでしょうか。
  •  ちょっと補足しますと,かつて甲,乙,丙と提案していたときは,○○委員は甲案だったわけでございますが,丙案は余り人気がなくて,ほとんどの方が乙案だったわけでございます。一体として権利義務があるという前提で,しかし原則なしと。

ところが,先ほど○○関係官の方が言いましたように,受益の譲渡のところで,新たな今回の乙案を提案したところ,我々の理解としては,従来の乙案を支持していた方々は,基本的に新しい乙案の方がよりベターであるという理解を前提として乗り換えたというか,そうなっているだろうということで,もうこの2案に絞っているということでございますので,そういう理解が正しければ,まあこの2つかなということでいいのではないかというのを,ちょっと補足いたします。

 

 

 

 

 

  •  私が申し上げたいのは,もう少し基本的なところからいきますと,要するにそもそもあるのか,ないのかというところの部分から考えると,ここで言う甲案,乙案ということになるんだと思うんですけれども,前回の甲案,乙案というのは,あることが前提でデフォルト・ルールをどうするんですかというところの話だったのではないかと思うんですよね。書き方見ていましたら,そういうふうな書き方になっていますので。そういう観点からいくと,乙案を選択しようというような考え方が出てくる可能性も結構あるのかなと。
  •  あることを前提とするデフォルトという趣旨が,ちょっといまひとつよく理解できなかったんですけれども。
  •  例えば,これ乙案をとった場合については,これ条文化するときには全然規律がなくなってしまうということではないんでしょうか。
  •  それはいろいろ選択肢はあり得るんだと思いますけれども,条文のときの話というよりは,まずは具体的なルールを世の中に問えばいいと思いますが。
  •  いや,要するにそういうところ,補償請求権というもの自体が世の中から消えてしまうという話になってしまうんじゃないかと思うんですよね。
  •  それは信託外の特約ということになったとしても,それはやはり信託法の中で,どこかで規定することになると思いますので,全然なくなるということはないと思うんですね,そういう意味では。
  •  それは規定されるということでよろしいんでしょうか。
  •  それは,私は信託外の問題であっても,やはり信託法の中に規定しないとわからなくなりますから,つまり特約をすれば補償請求権が認められるようになるということについてですね,それはなくちゃおかしいですよね。
  •  そうですね,最終的には法制的なことではございますが,わかりやすさという意味ではあった方がいいのかなと。

 

 

 

 

 

  •  ここで言う甲案,乙案のところの私どもが懸念している乙案というのは,今申し上げたところで,要するに日本においての信託法の中で,考え方として補償請求権というものがなくなるんだと,それを一番懸念しておりますので。
  •  御趣旨はかなりよくわかりました。じゃ,そのことを踏まえて御意見……
  •  場合によっては,3案立てるのが不自然だということであれば,そういうような形の補足での御説明をしていただくとか,そういうことでも別に構いませんが。
  •  御意見ありますか。

○○委員。

  •  今の点ですが,ちょっと別の角度なんですが,甲案の書き方なんですけれども,現行法36条2項の規定の趣旨を維持しという,わざわざコメントが入っているというのが少し,その甲と乙との書き方としては不均衡ではないかという気がします。例えば,4ページの第8ですとか第9においては,現行法の規定の趣旨を維持しということで,もう1つだけの提案を出しているわけです。こういうものとの並びで言うと,現在出ている17ページの甲案,乙案の甲案の方が,むしろこの部会における原案であるかのような印象も与えるかもしれませんから,これはニュートラルにした方がいいのではないかと思います。
  •  そうですね,当然これはニュートラルにすべき問題だと思いますね。

○○委員。

  •  考え方としては,○○委員のおっしゃったことと大分重なるんですけれども,信託法の中で補償請求権というのを認めるか,認めないかというところで甲案,乙案というふうになるのではないかという理解をしていて,乙案というのは,そういう意味では補償請求権というのは信託法の中では認めないのではないかというふうに思っているわけです。ちょっと私の理解が不足しているのかもしれませんけれども。

と申しますのは,そういう意味では,乙案について立てるとしても,そこは補足説明等で説明を十分にしていただきたいんですが,基本的には,信託契約外で行うということであれば,信託法の規律の入る余地が余りないのではないか。例えば,受益権の譲渡と補償債務の移転ということについては別に関係ないよと,または受益権の補償債務の契約としての引受けについて,例えば多数決の原理が働くのかとか,これも多分ないと認識しているわけなんですが。そうしますと,結局乙案というのは,ある意味信託法の中では補償請求権は認めないというようなことだと思うんです。

そうしますと,多分選択肢としては,そもそも認めるか,認めないかという甲案,乙案という整理になっていて,恐らくやはり認めた方がいいねという甲案の中で,じゃ,どういう選択肢があるかということで,どちらをデフォルトにするかという整理だと思うんですね。そこにおいて,やはりいろいろな考え方があると思うんですが,例えば乙は嫌だけれども,甲も嫌だけれども,原則は甲案的に補償請求権はあった方がいいんだけれども,デフォルトは反対だという方もいらっしゃるかもしれませんので,そういう意見も取り入れるためには,例えば3つ立てるという○○委員のおっしゃるやり方もありますし,または1つの妥協案なのかもしれませんけれども,甲案の説明のところで,どちらをデフォルト化することについてはなお検討するというようなところで,別の角度から意見があれば求めるというやり方もあるのではないかなと思います。

  •  なかなか難しいな。御意見はよくわかったんですけれども,ちょっと感触としては,信託法の中でまず補償請求権というものが信託法上あり得て,しかし,それを実際に認めるか,認めないかが,そのデフォルトをどっちに設定するかによって違ってくると,そういうことですね。

私自身はちょっと理解が違っていたのかもしれないけれども,ここで言う乙案というのを認めても,補償請求権について信託法の中に全然規定が出てこないというのは,いろいろな意味で信託法の全体を不明確にするので,仮に説明の仕方としては,信託--要するに受益者の地位に当然伴うような補償請求権あるいは受益者の方からの義務ですけれども,そういうものではないにしても,したがって,契約によって信託外のものとして認めるにしても,何かそれを理解する手がかりというのが信託法になくちゃいけないだろうと考えていたんですね。そうすると,3つというのは余り意味のない,どっちみち信託法には規定があるので,意味のない区別なのかと思ったんですけれども。信託法の中には全然規定が出ないということもあり得るということになると,○○委員や,あるいは○○委員がおっしゃることも一理ないではないという気もしてきたけれども,どうですか。

 

 

 

 

  •  今の段階でどこまでというのは非常にお話ししにくいところがございますけれども,ただ,補償請求権といっても,ここで問題にされておりますのは,受益者に対する補償請求権だと思いますが,信託財産に対しての補償請求権はもちろん残りますと。

 

 

受益者に対する補償請求権の関係で,現行のもとでも幾つか規定が置かれているところあるかと思いますが,例えば引換えというか,同時履行といいますか,そういった債務履行関係の条文とか,ああいうところで残すかどうかというのは,今後も議論の余地はあり得るんだろうというふうに思います。

 

 

あるいは甲乙案と,妨げないというふうに書いてございますけれども,こういうような確認的な条文を置くということはもちろんそれは考えられる。ただ,本当に置かれるかどうかは今後の議論だろうとは思っております。

 

 

あるいは,信託法ではないかもしれませんが,信託業法の方では恐らくこのあたりを規制するような規律は置かれるかもしれませんということもあるかもわかりませんし,それはちょっとまだ先の話になるのかなという気はいたします。

 

 

  •  いかがでしょうか。

○○幹事。

 

 

  •  もし,御懸念がこの2案併記である場合に,乙案によれば信託法から規定がなくなってしまうということに対してどう考えるかという点にあるとすると,旧来の乙案が復活しても,その点に対する答えが端的に返ってくるかどうかというのはちょっとわからないところがあるんじゃないかというふうに考えておりまして,むしろ御懸念の点がそこにあるのであれば,その部分を補足説明なりで書いていただいて,同意を立てる方がより端的に御懸念には合うのではないかという気はいたします。

 

 

それから,規定が入るかどうかという点ですけれども,もちろんその条文化作業はもっと先のことだと思いますが,あるいは先ほどお話のあった忠実義務の中で,受益権の買取りなどがどう評価されるかという話が出まして,それと同じ局面ではないですけれども,信託事務処理について受益者との間で最終的に補償をさせるという特約を結ぶことが,果たしてその受益者のために行動すべき受託者として許されるのかというのは,あるいは懸念が出ることかもしれませんし,そういった手がかりになるところはやはりあり得るし,考えられることだと思いますので,そこはまだいろいろと考える余地はあるかと思います。

 

 

 

  •  そこまで入れるとまた難しい気がして……

どうぞ,○○関係官。

 

  •  済みません,一言だけ。信託業法で,これについての規定が置かれるかどうかというのは,ちょっと私が未熟なだけかもしれませんけれども,やや違和感があると思うんですけれども。原則的には置かれないと考えた方がよろしいんじゃないでしょうか。

 

 

  •  業法の話については,○○関係官がおっしゃったとおりになるのではないかとは思います。

 

 

  •  恐らくどこかで規定をするか,しないかで重要な問題,今ちょっと○○幹事が言われたことと関係するんですけれども,こういう特約は全く信託法外の問題であるということにして,そうすると,こういう契約をしたときに,この契約の効力が認められるかどうかも余りはっきりしないと,つまり契約の一般の問題で,場合によっては忠実義務に反するという解釈が将来出てきたりして,認められなくなってしまうかもしれない。

 

 

いや,私は個人的には,この補償請求権というのはなくていいんだと思っていますけれども。

 

 

しかし,今までのこの議論の中でも,特約があれば,それは認めていいのではないかという議論が比較的多かったということを考えますと,それが完全に一般の契約の問題に解消させられて,それが認められるかどうかも今後の課題であるというのは,もしかすると,相当大きなギャップが現在の実務との間にはあるかもしれないという気はいたしますね。

 

 

 

 

 

何かいいアイデアがあればと思いますが,いかがでしょうか。少なくとも,ここでの中間試案へのまとめ方としては,今のような○○幹事が言われたように,今の乙案というのをとる場合には,今のは引き続いてそういう問題が出てくるということで,それでもいいか--いいかというか,説明を見た上で意見を述べる人たちはそれでいいかどうかということの判断を示してもらいということで,少し丁寧にこの乙案についての説明を書いておくという形で,とりあえずはいろいろな意見は出てくるとは思いますけれども,むしろ今後の実際のまとめ方の問題かもしれません,私が申し上げているのは。

 

 

じゃ,少し言葉を尽くして説明をしていただくということで,乙案をとった場合の可能性,これも確定的に今どういうふうになるというわけでもないので,可能性でしかないんですけれども。

 

 

  •  ○○委員の御意見では,乙案をとったとしても,それは信託法の中に補償請求という概念は残ってもしかるべきではないかと。私も,ここは税の議論する場じゃないんですけれども,全く第三者に対して損失補てんするみたいなことはできないという議論もあるかもしれないんですが,枠の残るということはまた別の議論だと思うんですけれども。

 

 

乙をとったら大変なことになるよという補足説明は,やはり乙案支持派としては,乙案でも別に信託法の中の規律として補償請求というのが合意すれば,もう従前と同じように機能するかもしれないということでいいと思うんですけれども。

 

 

  •  私もそういう意見なんですけれども,ですから,余りこの乙案を説明で脅かすというのはよくないわけで,しかし,乙案をとった場合どうなるかがまだよくわからないということなんで,そこで非常に中間試案の出し方が難しい。

 

 

これはかなり重要な問題だと思いますので,ちょっと今御意見がなければ,少し検討して,次回にもう1回出させてください。よろしいでしょうか。

 

 

それでは,ほかの点はいかがでしょうか。

○○委員,その後,○○幹事。

 

 

  •  34番と22番の関係なんですが,信託事務処理の委託ですね。受託者が複数の場合に,第三者に委託する場合は相当な理由があれば委託できて,ほかの受託者に委託する場合はやむを得ない事情が生じたときに限ると,これはこういう結論になるということでよろしいんですか。

 

 

 

 

 

  •  第三者の委託というのは,広く委託することが現在の世の中では信託事務の処理に当たって有益だからということで広げたわけでございますが,信託受託者が複数いるというのは,委託者としては複数の受託者にして相互の監視といいますか,慎重な事務処理をしてほしいと。

 

 

効率性を念頭に置いていることもある反面,慎重な事務処理を期待しているわけですから,お互いに委託し合って人数が減ってしまったのでは,その委託者の意思に反するということでございますが,信託の受託者間の委託については原則としてだめという現在の規律を維持しているというもので,規律は逆転しております。

 

 

  •  よろしいでしょうか。では,○○幹事。

 

  •  別の点でございますが,第31の1の権限違反行為の取消しでございます。

 

まず意見を先に申し上げ,実質的な意見を申し上げますと,2行目ですが,相手方が当該行為の信託財産のためにされたものであることを知らない場合には,1行目の場合に当たった場合,すべて有効で取り消せないということになると理解をいたしました。

 

 

 

もしそうだとすると,例えば信託銀行が信託財産のためにデリバティブ取引をしたと。

 

 

しかし,その信託行為で定めている権限に属しないという場合に,相手方である証券会社なのか,銀行なのかわかりませんが,そこが,そのデリバティブ取引が信託財産のためにされたものであることを知らなかった,要するに固有勘定で取引をしていると思っていた。

 

 

この場合は全然取り消せないということになって,そのデリバティブ取引で幾ら損失が出ても,信託財産にその効果は帰属するということを意味しているように思います。

 

 

そうすると,先ほどの第12ともしかすると関係するのかもしれませんが,第12はこれ強制執行の問題ですので,もうその損失分を支払っちゃった後に受益者が,いや,これは権限外のデリバティブ取引をしたんだから回復したいというふうに考えたときに,信託銀行ならば固有勘定で回復できるのかもしれませんが,そこでもし足りなかったときに,そういう権限外の取引をした相手方との関係を不当利得にして回復するということが,私は実質的には望ましいだろうと思うんです。

 

 

そもそも権限外であるし,相手方は要するに固有財産の取引だと思っていたわけですから,信託財産から支払ったものを取り返すことはできていいんだろうと思うんですね。

 

 

それは私の単独意見でありますから,ここで甲案,乙案を立ててほしいとは申し上げませんが,この第31の1の意味するところを,ぜひ補足説明で詳しく書いていただいて,どういう場合は信託財産に帰属し,どういう場合は帰属しないのか。

 

 

帰属する場合も,どういう場合に取消しができて,事後的に不当利得という効果が得られるのか。

 

 

その本来帰属するけれども,後から取り消せる場合がこの第31の1であると,こういうふうな形で,わかりやすい形で権限外行為についての帰属,不帰属の問題を説明していただけると,もしかすると,私と同じような意見も出てくるかなというふうに思いますので,お願いをいたします。

 

 

 

 

 

 

  •  今のデリバティブ取引の帰属という意味が,お使いになれらる方で物権的に帰属とか,債権的に帰属とかいろいろな意味で使われることがあるので,ちょっと誤解を招くといけませんのでちょっと違った言い方になるかもしれないのですが,今のデリバティブ取引の話は,まさしく証券会社は信託事務だとも思っていないわけで,したがって第31の1の要件にも当たらないので,その取消しはすることはできないと。

 

 

 

それで,たとえそれによって証券会社が信託財産に対してデリバティブ取引の--証券会社が賭けに勝ったという言い方も変ですけれども,賭けに買ったとして,それで債権を持つことになりましたというときに,じゃ,先ほど説明いたしました強制執行のところで執行できるかという話になると,ちょっと先ほど○○幹事から要件等について御指摘を受けたところなので,そこは考え直さないといけないかもしれませんが,その実態的な話からいくと,権限に属しない行為であって,(3)に当たって,それで当該行為が信託財産のためにされたものであることを第三者が知らない場合という,その(3)の②に当たって,それが信託財産に属する財産に関する権利の設定とか移転ではないので,結局その信託財産に対して執行することはできなくて,したがって固有財産に対して執行ができるだけだという結末になると。

 

 

さらに,その上を超えて,信託財産から勝手に払っちゃったときに,受益者がそれを取り消して,相手方は信託事務だとは思っていないわけですから,権限外だということもおよそ知りようもないわけですが,そのときに果たして受益者が取り消して取り戻させるということまで認める必要があるかというと,この案ではとりあえずそこまでの必要はなくて,そこは受託者と受益者の内部的な関係で整理してはどうかという案なのですが,○○幹事の価値判断もあり得るということは,補足説明で明らかにさせていただきたいというふうに思います。

 

 

 

  •  幸い,このバージョンについての私の理解は間違っていないということが今わかりましたが,その上で今のような場合に支払った分も取り替えさせること,あり得るべしだと思いますので,案を立てていただきたいということまでは申し上げませんが,そういう場合にどうなるかということを補足説明の中でわかりやすいように書いていただければと思います。

 

 

 

  •  これはたしか前の案で,この帰属についての認識の食い違いというんでしょうか,その問題と権限違反の問題というのがちょっと一緒になっていたのを分けて考えた方がいいだろうということで分けた結果,権限違反の方はそれぞれが両方とも信託財産についての取引であるということを前提にした上で権限違反の場合に,どういう場合に取り消せるかという,これは非常にすっきりしたわけですけれども,もう一つの帰属についての食い違いがある場合,この場合をどうするかについてがいろいろな意見がまだあって,○○幹事のような意見とか,ちょっと私もどっちがいいのかまだよくわかりませんけれども,とりあえず整理としてはすっきりしてきたんだと思います。

 

 

 

これをもとにして御意見を伺うということでよろしいでしょうか。その分けたことの意味なども,補足説明の中で少し明確にしていただければと思います。

ほかは,○○幹事。

 

 

 

  •  また第34に戻るんでございますけれども,お教えいただきたいんですけれども,これは複数の受託者がいたときには,職務分掌の定めがある場合であっても,常に全信託財産が合有になるというものであると考えてよろしいわけでしょうか。

 

 

 

  •  共同受託者の合有に基づいた場合には,職務分掌がある場合であろうが,それ以外の,例えば財産が分属している場合であろうが,合有になるという考え方に基づいております。

 

 

  •  ということは,複数の信託財産があって,それぞれについて単独で何かをするというふうな定めがあるときも必ず合有になっていて,例えば3人共同受託者ですと,3人の名義を連ねて第三者と取引をするということになる。

 

 

 

  •  本来は,名前を3人とも出すか,あるいは代表者という名前を出して第三者と取引をすると。それによって,他の受託者全員と信託財産にも効果が帰属するというのが事務局の理解です。

 

 

 

  •  それはばらばらに,甲財産はAという受託者に属させるということはできないということですか。

 

 

  •  それでもしかし,それが共同受託という合意のもとにただ名義--名義といいますか,所有名義ですか,所有者を例えばとりあえず甲にしておくというようなこともあり得ると。

 

 

しかし,それが共同受託の形態である以上は全員の合有になるという理解をしているわけでございますが。

 

 

  •  いや,それは実態と名義を分ける考え方もしれませんが,対抗要件の具備とかをする義務を負っているとすると,単独の名義にすると義務違反になるということなんですか。

 

 

 

 

  •  例えば,ある1人だけが移転登記と信託の登記を備えて,ほかの人たちは信託の登記もないと。それで……

 

 

  •  私の方で補足いたしますと,○○幹事が申し上げましたとおり,共同受託の場合は信託財産の所有形態は合有となる以上は対抗要件という点につきましても3人の名義という,そこで名義と使っていいのかわかりませんが,そういう形になると思います。

 

 

  •  それとは別に,例えばその3人が財産をいわば分属させるような形でもって名義を別々にすることは,それは合意があればできるということですか。ここで言う共同受託ではないということなのかな。
  •  そうです。

 

 

  •  ですから,○○幹事の言われたような分属というのがそういうものであれば,ここの共同受託ではないけれども,それはそれで信託契約の内容としてできるということなんだと思いますけれども。いまひとつ釈然としない……。

 

 

  •  いや,よくわかりませんけれども,現行の信託実務と整合的なのかということについて,○○委員とか御意見を伺えればありがたいんですけれども。

 

 

 

例えば,現在の信託銀行の中で,共同受託の形をとって信託財産をすべて資産管理の信託銀行に移転してしまっているという信託銀行が幾つかあると思うんですけれども,それはもはやもうできなくなるということなんでしょうか。

 

 

 

 

 

  •  僕の理解は,ここで言うある意味で共同受託というものが狭いというんですか,この共同受託ではないと。

 

 

しかし,年金だとか,いろいろなもので分属させると,それぞれが通称共同受託とは言っているけれども,それぞれが別々に財産を管理しているというタイプがあるわけですよね。

 

 

 

  •  いわゆる年金信託において共同受託的な形なんだけれども,それぞれ別々で信託を受託しているような形態のものあります。

 

 

 

それであれば,別に共同受託ではありませんので自由にできると。そういうものが今結構ふえてきています。あとは業務委託契約でもって幹事を決めて事務を執行していくと,そういうタイプのものが1つあります。

 

 

それと,今おっしゃった財産の保管をする専門の銀行がありますので,それに対して財産を移管してというようなタイプの部分については,基本的には共同受託という形になると,そこは思います。

 

 

そういう意味合いでは合有という形でもって,逆に言えば,そういうタイプのものは合有という形でやっていかないと,なかなか難しいのではないかなと思いますので,そこら辺のところを御配慮いただいた規定ではないかなというふうに考えておりますが。

 

 

 

  •  今のような資産管理をどこかに集中させる,共同受託だけれども,資産をどこかに集中させると,そういうことですね。

 

 

  •  そうですね。ですから,実際には1つの信託銀行しか資産は持っていないと,実質的にですね。

 

 

  •  それは,しかしここの規定で言うと何になるんだ。これは整合的なの,よくわからないけれども,大丈夫なんですか。
  •  合有ということ……

 

 

  •  合有であるけれども,どこかに--つまり入り口でもって,例えば3つの受託者が共同受託者として財産を引き受けるけれども,だけれども,実際にはその中のどこかに財産を集中させると。

 

 

合有だけれども,財産をどこかに集中させる。例えば登記なんかも,これはこのもとで可能だということ……

 

 

 

  •  例えば不動産を購入すると,保管受託者が不動産を購入しますという場合には,その3人の受託者がいれば,3人の受託者の名義ということになりますので,そういう点では,保管受託者だけの単独名義にするということはできなくなってしまうという点は,共同受託者という形をとればなってしまわざるをえないと思います。

 

 

 

 

  •  例えば,不動産の場合について今現在の実務だけで言いますと,不動産の場合については財産保管銀行に移すということはしておりませんので,ですから,そういう問題で困った問題というのは起きないと思うんです,現時点においては。

 

 

 

ですから,そういう形で集中しているのは大体有価証券に限定しておりますので,有価証券のところで不都合が起こるということはないと思いますので,実際の実務に影響があるというふうには余り思いませんが。

 

 

もちろん,これから先に保管するのが,不動産もすべて保管するというようなタイプのものがもしも出てきたら,それは不都合が出てくるのかもしれませんけれども,ちょっと普通に考えて,そういうものが出てくるのは現状では余り考えられませんので,そういう意味合いでは,そんなに不都合はないのかなというふうに考えていますが。

 

 

 

  •  有価証券であっても,3人の受託者の合有ですと。だけれども,どこかに集中的に保管させると,そこで1人の受託者が集中的に保管しているけれども,それは単独の名義のものではなくて,合有財産を1人が管理していると,そういう扱いになるということですよね。

 

 

 

  •  そこでは,やはり不動産と同じように,名義といいますか,それは3人名義ということに。

 

 

 

 

  •  いや,実務もわかっていないのに実務で困るんじゃないですかというふうに私が言うのは変なんですが,皆さんずっと柔軟化してくれ,してくれという話が多かった中で,なぜカストディアン・トラスティとマネージング・トラスティとを分けて共同受託の形態をとるというのが困難になるようなことについて,実務的な問題を感じないのか。それを私の実務に対する理解というものが不十分だからであるというのならば,私全然構わなくて,私,実務をやっているわけではございませんので構わないんですけれども。

 

 

 

 

本当にマネージング・トラスティとカストディアン・トラスティとを分けてやっていくということが,本当にこの要綱案で可能なんですか。

 

 

 

 

  •  有価証券が1つは集中したときに,その名義というのはやはり3人の受託者の名義なんだけれども,1人が管理しているというふうに見るのか,それとも名義自体も1人の受託者に移せるのか,その違いですよね。

 

 

それで実務がどういうことを要求していて,この規定で十分大丈夫だということなのか,もうちょっと緩和してほしいということなのか,そこですね。

○○委員。

 

 

  •  先ほど○○委員は,不動産の場合には合有になっていますという話の後,前回たしか○○関係官の方から合有登記ありますというような記憶があるんですけれども,私が聞いたある信託銀行の方は,土地信託の場合には合有じゃない例もあるような,逆に幹事名義でやっているという話もあったので,先ほどの土地の場合には必ず合有名義とすることがこれの入り口ですということになってしまうと,特定の実務だけなのかもしれませんけれども,その土地信託のある実務とはちょっと違ってくるし,それが先ほどからの議論でも,それは全然違う形での共同受託ですということになると,せっかく信託法改正の中で共同受託という規律を設けているのに,それとは違う規律が法律には書いていないけれども,でも可能だという議論がまたどこかで1回しておかないと,それは結局,個別信託での受託者間における合意にしか過ぎないんだと,決して1つの信託としては認識されないんだということでいいのか,やはり違った意味なのかというところを考える必要が出てくると思うんです。

 

 

 

 

  •  いかがですか。

 

 

  •  私自身が業界で議論していた中で不都合があるというふうな議論がありませんでしたので,こういうふうに申し上げていますが,御指摘を踏まえて,ちょっとそこは検討させていただくということでよろしいでしょうか。

 

 

 

  •  とてもパブリック・コメントに適しているのかもしれないので,今変えなければいけないわけではなくて,出してみていろいろな意見を……

 

 

  •  そうそう,ここで決める必要は必ずしもなくて,これに対するパブリック・コメントをもらえばいい。

 

 

 

 

  •  弊社でやっている実務において問題はないと思いますけれども,当然いろいろなタイプのところがありますし,○○幹事がおっしゃったように,私どもはちょっとおかしいなと思っていても,そういう形でやっておられるところもそれはあるかもしれませんので,それはそういうことを再度踏まえて,ちょっと検討させていただきたいと思います。

 

 

 

  •  わかりました。それではこれ,とりあえず今一応これはこれで1つの案になっていますので,これをもとにしてどういう結論になるかという説明を加えていただくことで,コメントとして皆さんにはそれで適当なのかどうかということを御意見いただくということで,○○委員のところも御意見いただければと思います。

 

 

 

  •  この第33の報酬請求権のところで,1の(2)のところあたりかと思うんですけれども,パブリック・コメントで聞いていただくか,若干問題提起をしていただけないかと思っておりますのが,この相当額の決め方の問題で,これまでの御提案の中で,受託者の方で決められるというような前提で,受益者の方に通知をすればというようなことで来ていたかと思うんですけれども,この報酬の決め方というのは,かなり受託者の利益と,それから受益者の利益が衝突するような側面もあるので,決め方についてはややきちんと配慮した規定が必要なのではないかという感じがしております。

 

 

 

 

成年後見や遺言執行でも,後見人の報酬や遺言執行者の報酬の決め方についての規定がありますし,これは裁判所の関与ということになっていると思うんですけれども。

 

 

そういったこととの関係ですとか,あるいは営業信託の場合には,恐らく信託契約等で決めている場合が多いんじゃないかというふうに思うんですけれども,そういった中でこういった形で受託者が決めることができるというふうな規律をするのがどうなのかというのがちょっと気になっておりまして,むしろある程度そういった裁判所の関与ですとか,手続的に決定に至るには多少ハードルがあった方がかえって,例えば契約できちんと決めるとかということの要因になっていいのではないかというふうに個人的には考えています。

 

 

 

そういった関係で,多少これまで補償請求権の陰に隠れてといいますか,ちょっと発言の機会がなかったので申しわけなかったんですけれども,この点についてもちょっと御検討いただけないかというふうに思います。

以上です。

 

 

すみれ

「受託者が信託銀行や信託会社以外で、報酬のハードルがあった方が良いというのはどんな場面だろ。」

 

 

  •  報酬請求権も,ある意味で利益相反の問題で,ただ,報酬請求権というものはその利益相反の1つなんだけれども,例外的に一定の場合に認めるというのが恐らく伝統的な信託の考え方であり,欧米の信託の考え方でもあると思いますので,今の御指摘自体は非常に重要な御指摘だと思います。説明等の中で対応していただくということにいたしましょう。

 

 

  •  1つ質問なんですが,報酬請求について甲案,乙案というのがありまして,乙案というのは今回初めて。

 

 

  •  前,受益権の譲渡請求のところに出ていたんですが,それは確かに補償請求権を念頭に置いた書き方をしておりましたが,同じことだろうということで,厳密には初出でございますけれども,受益権を権利義務の一体として見ないで,信託外の契約として報酬請求権も考えるという意味で言えば,補償請求権と統一的な考え方ができるということで挙げているものでございます。

 

 

  •  そうなんですが,報酬請求権について一般的に乙案という意見はあるんでしょうか。

 

 

  •  補償請求権でも乙案があったので,報酬請求権でも乙案はあり得るのではないかと考えたんですが。

 

 

  •  関連的にはあり得るかもしれませんが,むしろ補償請求権についてを念頭に置かれて,報酬請求権の方も2本に立てておられて,報酬請求権の方の乙案というのは余りここでは出ていなかったし,むしろ甲案の方が一般的な考え方じゃないかと思うんですが。

 

 

 

 

  •  今回新たに乙案を立てることによって,受益権の中から義務の部分,報酬義務の部分を外して信託外の契約と考える考え方を支持するという考え方も十分あり得るのではないかと思われまして,別途乙案を出してきたところでございます。

 

 

御指摘のとおり,部会での議論は補償請求権でしかございませんでしたけれども,補償請求権の中でこの新たな乙案を支持する見解が比較多かったと。

 

 

 

それが結局,受益権を権利性だけにして義務の部分を外すという考え方が適切だという理解を私どもいたしまして,そうすると,その考え方と平仄を合わせるという意味で報酬請求権についても新たに乙案を出しても問題ないのではないかと考えているわけでございます。

 

 

 

  •  統一的に理解すること自体が何か一つの判断を含んでいるような気がするんですね。

 

 

それで,報酬請求については甲案の方が多分一般的な考え方になるんじゃないかと思うんですが,それに引きずられて,補償請求の方も甲案ということにならないだろうということなんですが。

 

 

 

  •  報酬のところの甲案ですと,信託行為に定めがございますと,他益信託において受益者が報酬義務を負うということになります。

 

 

他方,費用については費用の補償の方の乙案をとりますと,他益信託の受益者は負わないと。

 

 

そうすると,報酬の方は,信託行為に書けば他益信託の受益者は負担するんだけれども,費用は負担しないというのが,どちらかというと,費用と報酬で報酬の方をより保護するべきという判断は余りないのかなということで,こちらの方で勝手に推測してということではございますが,乙案を載せたということなんです。

 

 

 

  •  補償請求権と報酬とちょっと違う感じがするのは,補償請求権というのは,本当に予想外の補償請求をされて困るということがあるために,やはり否定的な意見が強いんだと思いますけれども,報酬の方は,これも報酬がどのぐらいかによるかもしれないけれども,ある程度予測可能性があって,確かに○○委員が言われるように,余り甲案で違和感を感じない人が多い可能性はやはりある。

 

 

そういう意味で,構造は確かに同じようにすることもできるんだけれども,どうもその最後の実質的な配慮のところが,考慮のところが,ちょっと考え方が実際には違った方を選択する可能性があるということですね。それを受けて,○○委員はちょっと違和感を感じると。

 

 

ポリー

「予測できる支払いかどうかってことですか。」

 

 

 

 

  •  ええ,そうなんです。補償と報酬とを統一的なものだとすることは一つの選択で,そうすると,報酬について甲をとると,補償も甲をとるのが論理的にそうなるだろうというものじゃないんじゃないか。

 

 

 

甲と乙がたすきがけというクロスする選択もあり得るわけでして,それを答えやすいようにしておきませんと,何か説明によっては両方とも甲あるいは両方とも乙でなければいけないというようになると,ちょっと誘導することになるんじゃないかなという気がいたします。

 

 

  •  決して我々は同じ甲甲,乙乙というわけではなくて,たすきも十分あり得ると思っていますので,補足説明で気をつけて書くようにいたします。

 

 

  •  そういう理論的な議論ではないんですけれども,乙案のように書くのであればというか,乙案を見て思ったんですけれども,委託者が報酬を払うというケースも,それが非常に便利である。要するに信託財産が不動産だけでキャッシュがないときに,だれが報酬払うのかという,費用のところにも実は絡んでいて,そこでも申し上げるべきだったと思うんですけれども。

 

 

何でもそういうのは信託外で合意すればいいという議論は当然あると思うんですけれども,もしそうだとすると,例えば信託行為の中であれば,損金性というのは当然費用の負担ということで認められるべきだとは思うんですけれども,そうじゃないとすると,払う行為そのものが何か贈与みたいな議論に結びつくとか,税の議論じゃないとしても,信託の枠の中で合意できるということが必要だし,またそういう議論を聞いたことがございまして。

 

 

 

ですから,乙案があれば,逆に受益者との間,また委託者の間とか入れていただいた方がいいと思いますし,それは同じ議論でさっきも言いましたように,費用のところでも同じように,信託財産を毀損しないでキャッシュをだれが負担するかというのは,当事者は委託者,受益者だけですから,そのどちらかが負担できるようなたてつけがあった方がよろしいのかなと思います。

 

 

 

 

 

 

  •  委託者の話はこれまでも出てきたので,それもうまく含めるような形にしないとまずいかもしれないですね。

 

 

確かに,またこれ議論をし出すと,さっきの補償請求権の問題と同じでなかなか決着がつきませんけれども,問題点は十分これでわかったと思いますので,少しそれに対応するような説明にしていただければと思います。

 

 

ほかによろしければ,次の方へ行きたいと思いますけれども,よろしいですか。--はい。

 

 

  •  じゃ,あとは35番から最後までまいりますが,35番は従来どおりで,書きぶりが若干変わっているだけで,何も変わりはございません。

第36につきましても,基本的に変更はございません。

 

第37につきましてでございますが,1点だけでございますけれども,解任のところで,これまではただし書として,1の(1)でございますが,委託者の解任が信託目的に反しないときは受益者のみで行うことができるとの規律を設けることを提案してまいりましたが,このような場合については,委託者と受益者が合意で解任するとか,また信託行為で受益者のみで解任できる旨を定めておけばよいわけであるし,逆に信託行為にこのような定めがない場合にまで,受益者の解任が信託目的に反しないと言えるかは疑問ではないかというような考え方も踏まえまして,この場合を削除しているというところが変わっております。

 

 

 

 

それから,次に第38でございますが,これは解任及び辞任以外の受託者の任務終了事由についてということでございまして,これまでは,実は解任,辞任,破産手続の開始以外に受託者の任務終了事由をまとめてきた規律はなくて,ただ任務終了を前提にその後の取り扱いについて定めた規律を置くのみでございましたので,ここでその他任務終了事由を併せて取りまとめて列挙していくことにしたということでございます。

 

 

 

 

なお,①は強行規定と認識しておりますので,★がつくと。他方②につきましては,これはただし書が本来あるべきところでございまして,ただし,信託行為に別段の定めがある場合にはこれに従うと。

 

 

委任の場合と同じように考えているわけでございますので,ちょっと訂正・補足をさせていただきます。

 

 

続きまして,第39でございますが,これは何点か変わったところがございまして,まず1の(1)と,それから2の(1)と,それから3の(2)と,これはいずれも任務が終了した前受託者とか,あるいは相続人等,それから前受託者ですね,3の(2)も。

 

 

それらが通知義務を負うという規律を新たに導入してまいりました。このうち,受益者に対して通知をするといいますのは,前受託者を早期に選任し,信託財産は前受託者の固有財産や,あるいは破産財団にまぎれてしまうというようなことを防止するための措置をとるという利益を保護するために,このような通知をすべきものといたしました。

 

 

また,他の受託者に対する通知といいますのは,意思決定や責任の連帯負担など,多くの局面で共同受託者は利害関係が深くございますので,通知をしてその利益を保護するという趣旨でございます。そういうことから,この3つの通知義務を設けてきたということでございます。

 

 

 

それから,2点目といたしまして,3の(1)でございますけれども,23ページでございますが,これも新たな提案でございまして,受託者破産の場合についてのみ,前受託者の破産管財人に対する信託財産の内容等の通知義務を課しております。

 

 

 

これは,破産管財人というのは前受託者や相続人などとは異なりまして,破産者の財産の管理・換価に当たる者でありますので,信託財産が誤って売却されてしまうおそれが類型的に高いと思われます。

 

 

そこで,このような過誤を防止するために,特に信託財産の内容,所在等を認識させる機会を破産管財人に付与すべく,前受託者に係る通知義務を破産の場合には課しているというところでございます。

 

 

 

それから,3点目といたしまして,費用の償還請求につきましては,2の(3)と3の(4)には規律を置いていますが,1の(2),(3)の場合については置いておりません。

 

 

この考え方といいますのは,相続人とか管財人というのは,規律がなければ当然費用償還できないと思うわけでございますが,少なくとも1の(3)の場合には,前受託者の権利義務を有しているわけでございますので,受託者としての費用償還請求権を有すると考えられると思ったからでございます。

 

 

 

なお,(2)につきましても,権利義務が縮減されるとは言いましても,なお,受託者に類する関係にあると思われますので,あえて補償請求権の規律を置かなかったわけでございますが,(3)と異なりまして(2)は受託者とは言えないという印象もございますので,場合によっては費用償還の規律をやはりここでも置くべきかなという気もいたしますので,御指導を願えればと思っているところでございます。

 

 

 

あとは,3の(3),3の(4)につきましては,かつては,受託者倒産の場合における信託財産の取扱いについてというところから分けて持ってきたというところでございまして,その片割れは,先ほど受益者から破産管財人に対する差止請求という規律のところにいったわけでございますが,残りがこっちに来たとなっているところでございます。

 

 

 

 

第40については,今度は新受託者の選任等につきまして新たに規律を設けたということで,前回までの提案を改めてここにまとめたということ以外に何も変わりはございません。

 

 

 

第41につきましても,特に何も変わりはございません。なお,24ページの(注2)のところでございますが,1点誤植で2の(1)と書いてありますが,3の(1)の間違いでございます。

 

 

それから,25ページ,(注6)は新設でございまして,相続人等の事務の引継ぎに関する規定を設けるというのは細かい点でございますが,この4で,前受託者から新受託者への事務の引継ぎに関する規律は前から置いていたわけでございますが,相続人等から新受託者への承継,前受託者が死亡した場合に関する規律が欠けておりましたので,その規律は当然補充する必要があるということで,ここに注記させていただいております。

 

 

あと,第42につきましては,提案本文の変更があったというわけではなくて,前回問題提起していたところについて決め打ったということにとどまるわけでございますが,念のため補足しておきますと,まず信託財産管理人の選任につきましては,前回は承諾辞任とか,特約辞任のときについては除外するという提案をしておりましたが,それに対しては,これをあえて除外する必要もないし,辞任にもいろいろな事由があるだろうという御批判をいただきましたので,今回は改めまして当初に戻しまして,任務終了事由を問わないということにしているわけでございます。

 

 

 

 

それから,2の信託財産管理人の権限につきましては,民法103条の権限と同様のものを有するということを前回提案して問題提起しておりましたが,特段異論がなかったので,これを維持したというものでございます。

 

 

それから,3の民法の受任者の義務と同様とするというのもこれと全く同じでございまして,現行非訟事件手続法と同様に,民法の受任者の義務を規定するということにすることとしております。信託財産管理人は名義人となりませんので,受託者と同様の義務とするまでもなく,受任者でいいのではないかというような考え方に基づくものでございます。

 

 

 

それから,(注1)でございますけれども,裁判所に対して辞任の,または解任の申立てがされた場合について管理人を選任することができるかというものにつきましては,これも前回に引き続きましてなお検討したいと考えております。

 

 

前回は積極的な御意見もいただいたところでございますが,なお検討課題としてパブリック・コメントに付したいと思っております。

 

最後に,(注6)のところの仮処分によって選ばれました職務代行者につきましては,信託財産管理人の権限と同様の権限ということで,これは前回問題提起しておりましたところ,異論はございませんでしたので,そのまま維持するということでございます。

以上でございます。

 

 

  •  それでは,今のところ第42まで御意見。

○○幹事。

 

 

  •  小さい話で,かつひょっとして申し上げたことがあったのかもしれないんですが,第37の1の(3)の書き方なんですが,これですと,やむを得ない事由があったときにも解任できないというふうな定めもできるということになりますか。

 

 

 

 

  •  我々が想定しておりましたのは,受託者の同意がある場合とか,それから損害については損害賠償しなくても,やむを得ない事由があった場合でなくても損害賠償しなくていいという定めを念頭に置いていたわけでございますが,確かにやむを得ない事由があっても,とにかく受託者の同意を要するんだという定めも許されるのではないかという気がいたします。

 

 

 

そのかわり,(4)で裁判所に対する解任請求をしていくという方向に行くのではないかという気がしているところでございます。

 

 

  •  解釈論としてはそうかもしれませんが,それの方がいいんですかね。よくあるから,いいのかもしれませんけれども。結構です。どうも済みません,小さい話で。

 

 

  •  ほかにいかがでしょうか。

○○委員。

 

 

  •  細かいことで2点ございます。第36の合併ないしは会社分割の受託者の変更ということですけれども,これは前回の提案では法人ということであったわけですけれども,これが株式会社になっている理由がどうなのかという話です。

 

 

 

考えれば,新会社法においても持分会社の場合は合併とか,そのうちの合同会社の場合には分割とかあるとは思います。

 

 

 

また,今後,公益法人改革でどうなるかわかりませんけれども,公益法人の場合も受託者になって,かつそういう合併とか,変更がある可能性もあると思いますけれども,本提案の場合,株式会社と限定した理由は一体何なのかということです。

 

 

別にする理由はないのではないのかなというのがちょっと私の意見でございます。

 

 

 

 

それから,2つ目は第39について,通知義務を課したというところが新しいところでございますけれども,その中で,第39の2で受託者の死亡等による任務終了の場合ということですけれども,この場合,ほかの規律と違って通知義務がある場合は,その事実を知っているときはということが入っているわけです。

 

 

このような制限をした理由は何なのかという話なんですが,恐らく成年後見とか,保佐人とかいった場合には,そこまで知っている場合があるのかとかというようこともあるので,そこまで義務を課すのは過酷であるというような配慮があったのかなというふうには思っておるわけなんですが。

 

 

 

他方,これはもう価値判断になるわけなんですけれども,法人における清算人というのがその事実を知らないということによって,通知義務をなくすということが妥当なのかどうかということもちょっと疑問に思いますものですから,まさしくここの限定をした理由というのをお尋ねしたいと思います。

 

 

 

 

  •  まず,法人,株式会社についてというのはここでは代表的なものとして挙げておりまして,特別法にも会社分割,合併ができる場合はあるようでございまして,網羅的に現時点で調べておりませんので,代表的なものを挙げて,あとは整備で対応していきたいという趣旨で書いているというものです。

 

 

それから,あともう一つ,その事実を知っているときというのはおっしゃるとおりで,相続とか,少なくとも成年後見開始とかいう場合については,必ずしも後見人とか,それから相続人がその事実を知っていない可能性があって,そういう場合にも通知義務を課せられるというのは酷であろうということから除外しているという趣旨でございますが,ちょっとこれでは問題があるということであれば,またコメントをいただきたいというところでございますが,趣旨ということであれば,そういうことでございます。

 

 

 

  •  これが入っていたかどうかは別としても,そういったものであれば,清算人というのはちょっと特異なものなのかなという気もいたしましたので,そこを補足説明等で切り分けていただくような御配慮があれば,ありがたいなとは思います。

 

 

 

  •  第42の信託財産管理人なんですけれども,今の御説明,また今までの議論でも,信託財産管理人は受託者ではないということなんですけれども,その場合の財産の名義というのは,辞任した,またはやめた受託者の名義のままにとどまるということなんでしょうかという確認と,場合によっては,それはやはり何かリスクがあり得るケースもあると思うので,受託者じゃなくても信託財産管理人名義にするような規律というのも考える必要があるかどうか,考えてもいいんじゃないのかなと思いますがどうでしょうか。

 

 

 

  •  とりあえず,名義のところについて私からまず答えておきます。第41の1のところで,信託財産の帰属について書いてございますので,前受託者死亡による場合は法人とみなしますが,死亡以外の場合には前受託者に帰属するものとみなしまして,新受託者が選任されますと権利義務が承継されますので,その時点で,今度は2の(1)のアとイというような場合になって,任務終了事由が解任とか許可辞任の場合には,任務終了の時点にさかのぼって,前受託者から新受託者に所有権も移ると。

 

 

それから,それ以外の場合には,この場合は特約辞任と承諾辞任の場合につきましては,新受託者が選任された場合に初めて移るということで,ですから,新受託者が選任されるまでは,とりあえず前受託者が名義人になっているところは変わらないというところでございます。

 

あと,○○関係官の方から補足を。

 

  •  信託財産管理人というのは裁判所が選任する法定の管理人ですけれども,信託財産管理人が信託財産の所有者,名義人になるとすると,例えば所有者責任みたいなものも負う可能性というのが出てきて,そうすると,実際に就任するという人がいなくなってしまうのではないのかなというような感じが直感としてはいたします。

 

 

確かに,信託財産の名義というのを前受託者,例えば解任された前受託者においておくのは不適当であるというようなことはもちろんあるんだとは思うんですけれども,それに対する解決の方法として,信託財産管理人に対して,信託財産の所有権を移すというのが実際いいのかなというのはちょっと疑問ではあるんですけれども。

 

 

 

 

  •  これ,前受託者のもとで,例えば不動産の信託財産なんかに,何か終了したことの公示というのはできるんでしょうか,前受託者はもう現在は権限がないという。

 

 

名義はとにかく残すということですよね。だけれども,受託者としては権限が行使できないようにしておくということが必要だということですよね。

 

 

 

 

 

 

 

  •  受益者等に対する通知義務が新たに課しますので,それを受益者が知って,そういうことをしないように監視するとか,早く新受託者を選ぶとか。

 

 

 

信託財産管理人が選ばれますと,前受託者から新受託者に権限が移りますので,専属的になりますので,前受託者は法律上は何も手を出せなくなる。

 

 

 

名義だけあって手は出せるわけはない。しかし,名義はあることによって,それを例えば第三者に売っちゃって,第三者が善意無過失であれば,権利を取得できるというような懸念かと思いますが,それについてはちょっと今のところ,前受託者の善意に期待しているところでございますけれども,特に手当はないです。

 

 

 

  •  これもちょっとリスクが全然ないかと言われると,やはりあるような気もするので,何かうまい手当があればいいかもしれませんけれども,いろいろな御意見を伺うということで,原案としては今の点までは書かないけれども,コメントをいただくということにいたしましょうか。

どうもありがとうございました。ほかにいかがですか。

○○委員。

 

 

 

  •  聞き漏らしたかもしれませんけれども,37の2の受託者の辞任の(2)というのは,★印はつくんですか。
  •  ええ,入れるようにいたします。済みません。

 

 

  •  それではこれで終わります。どうも長いことありがとうございました。

-了-

 

 

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すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。新中糖産業さん、お話と黒糖ありがとうございました。」

 

 

 

ポスト123