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2016年加工編     法制審議会信託法部会    第16回会議 議事録
2016年02月03日

2016年加工編

法制審議会信託法部会

第16回会議 議事録

 

 

 

第1 日 時  平成17年6月3日(金)  自 午後1時00分

至 午後6時15分

 

第2 場 所  法務省第1会議室

 

第3 議 題

信託宣言について

信託の公示について

信託の終了原因について

信託の清算について

信託財産に係る破産手続の整備について

裁判所の監督について

営業信託の商行為性について

合同運用について

遺言代用の信託における死亡後受益者の変更権の留保について

目的信託について

公益信託について

 

第4 議 事 (次のとおり)

 

 

 

議        事

 

  •  時間が参りましたので,法制審議会信託法部会を開催したいと思います。
  •  それでは,今日の進行でございますけれども,終了のところだけ2つ合わせて行いまして,残りは資料の順に1つずつやっていきたいと思っております。

 

 

 

皆様御承知のとおり,これで二読を終わりまして,次は7月1日と15日になりますが,そこで中間試案に向けての取りまとめ作業をお願いしたいと思っておりますので,今日は何とか最後まで,場合によっては少し時間超過することもあるかもしれませんが,よろしく御協力をお願いしたいと思います。

 

 

  •  それでは,今日は1つずつということですので,1つずつ説明をお願いします。

 

  •  それでは,まず最初の,信託宣言についてでございます。

これは前回会議における指摘を踏まえまして,新たに3つの案を提案するものでございまして,前回会議におきましては,この信託宣言の当否について,おおむね次のような意見が示されております。

 

 

まず,肯定的な意見といたしましては,流動化取引における資金調達において,時間的・費用的コストを節約できること,あるいは損害保険会社の代理店の手元にある保険料やサービサーの回収金の資金管理スキームに有益であるというような指摘,銀行債権の流動化や事業の信託に資するという指摘,商法上のトラッキング・ストックに類した特定事業部門の切り出しによる資金調達に有益である,受託者の監督の問題については受益者によるチェックがあるのではないか,形式的には委託者と受託者は別法人でも,同一企業グループに属しているケースも多々あるのであり,実質を見た場合には異ならないのではないか,執行免脱は信託宣言だけに特別な問題ではないし,詐害行為取消しや罰則規定などの一般的な法理で解決すべき問題であるというような御意見がございました。

 

 

すみれ

「色々必要とされていたんだね。」

 

 

他方,これに消極的な御意見としては,やはり執行免脱ということが強く言われておりまして,債権者の立場からすると,執行免脱のおそれが懸念される。

 

 

契約であれば協力者が必要となるが,信託宣言では協力者を得ずして執行免脱が可能となってしまうのであり,債務者が容易に財産隠しを行えるという事情は,この信託宣言にはどうしてもついて回る問題である。

 

 

 

詐害行為取消権,詐害信託取消権の行使ができるとはいっても,訴訟をやらなければならないというのは手続的に重く,取消権の要件いかんでは,これで解決を図ることは難しい。

 

 

これと同種の御意見として,やはり訴訟を行うというのは当事者にとって大きなハードルであって,詐害行為取消権の行使を要することを前提に,その要件や立証責任を緩和するといったことで足りる問題ではないと思われ,一般的に信託宣言を認めることには反対であるといった御指摘がございました。

 

 

これ以外にも,例えば,信託宣言を有効とするとしても,いつ信託宣言がなされたのかが明らかにならないと困る場面が多いのではないかといった御指摘がございました。

 

 

 

すみれ

「訴訟の手続きって重いんだよね。」

 

 

 

これらの問題を踏まえまして,今回は,新たに3つの案を提案いたしまして,御意見を問うものでございます。

 

 

まず,甲案でございますが,信託宣言による信託の設定は,債権者詐害の危険が高いことを理由に原則として禁止した上で,現行法でも理論上,実務上認められております,いわゆる再信託についてのみ例外的に許容するものでございます。

 

 

これに対しまして乙案は,前回会議において,信託宣言による信託の設定が認められることによって,実務上さまざまな活用の可能性があり得ることが指摘されたこと等にかんがみまして,信託制限を例外なく許容することとし,債権者詐害の危険性に対しては,詐害信託取消権等をもって対応すればよいと考えるものでございます。

 

 

最後に,丙案は,いわば折衷的な見解でございまして,信託宣言を基本的に許容した上で,債権者詐害の懸念に一定の対処をしようとするものでございます。

 

 

ここでは,その対処の方法として,あくまでも一つの考え方としてでございますが,資料中に記載しましたとおり,1つは,信託財産に対する強制執行等の禁止の例外を認める方法,もう一つは,信託の効力発生時期に関する特例を定める方法とを挙げてみました。

 

 

 

まず,(1)は,委託者の債権者は確かに法律上,詐害信託取消権を有するとはいっても,現実的には常に執行の前に訴訟を提起しなければならないとすれば,その負担は重いとの批判に対応するものでございます。

 

 

つまり,信託宣言の場合には,委託者の債権者は訴訟を経ることなく,いつでも信託財産に強制執行をすることができるとしまして,この強制執行を排除するためには,委託者または受託者の側で,当該信託宣言が委託者の債権者を害するものでないことを立証しなければならないとすることによりまして,委託者の債権者による信託財産への強制執行を容易にしてはどうかと考えるものでございます。

 

 

 

次に,(2)の①でございますが,これは信託宣言による信託設定の効力が生ずる時期に関しまして,受託者と受益者との間の緊張関係,つまり受益者が現実に受託者に対する監督的権能を行使し得る状態に至って初めて信託設定の効力が生ずるとするものでございます。

 

 

これは言いかえますと,それまでは信託の効力が生ぜず,委託者の債権者は信託宣言された財産にかかっていけるものとすることによりまして,委託者にとっては,契約に比して信託宣言の方が相手方がいない分だけやりやすく,執行免脱が容易になる等の批判に実質的に対処しようとするものでございます。

 

 

 

次に,②でございますが,①によりますと,例えば,受益者が不特定または未存在の場合には,少なくとも受益者が確定するまでは信託設定の効力が生じないこととなりますが,場合によっては信託財産の委託者からの倒産隔離の効力が長期間生じないことによる不便もあり得ることにかんがみまして,信託宣言が公正証書によってなされた場合には,①の時期を待たず信託設定の効力が生ずることとするものでございます。

 

 

このように,公正証書によってなされる場合には,信託宣言による信託設定の事実及び時期が対外的に明らかにされることになりまして,委託者が信託宣言を利用して執行免脱を図ることは難しくなると考えてよいのではないかと思われます。

 

 

以上のような3つの案を踏まえまして,信託宣言による信託設定の可否についてどのように考えるべきかにつき,贈与契約による詐害行為との対比,あるいは担保・執行法制や破産法制の最近の改善内容等も踏まえまして,御審議願いたいと思います。

 

 

 

 

 

以上でございます。

  •  それでは,信託宣言について御議論をお願いしたいと思います。

前回の議論をもとに幾つか新しい提案が出ておりますので,それを含めて御議論いただければと思います。

 

 

  •  前回と重複しないようにお話ししたいと思うんですけれども,流動化という視点からお話をさせていただきますと,流動化において,ある意味では当然のことですけれども,執行免脱ということは法的にあり得ないということを申し上げたいと思います。

 

 

流動化における信託宣言は,恐らく--恐らくといいますか,確実に,自益信託型となると思うんですね。

 

 

したがって,信託財産という財産の形式を考えますと,もともとの委託者といいますか,もともとの所有者の固有財産が信託財産に変わりますけれども,その時点においては,受益権ということで固有財産は保有している。

 

 

したがって,委託者の債権者というのは何ら侵害されていないことになりますと,その受益権が譲渡されることによって今度は現金が入ってきますから,したがって,委託者のバランスシート上も何ら,資産の項目が変わっただけでして,何ら変わらない。

 

 

 

 

 

破産法改正の際にも,適正価格の売買であることは必要だと思いますけれども,流動性がない資産が現金に置きかわったからといって,それによって特に債権者が詐害されることはないだろうという方向性で,破産法の改正もなされたと思いますし,したがって,流動化という視点から考えますと,信託宣言が執行免脱になることは,考える必要はないのではないかということを,まず1点,申し上げたいと思います。

 

 

それとの関連でもありますけれども,その他,信託宣言には,○○幹事がおっしゃったように多様な利用のされ方があると思うんですけれども,1つは,本来もともと他人のものというんでしょうか,弁護士の預かり金でもそうかもしれませんし,今,おっしゃった保険会社,損保会社の代理店の預かり金もそうかもしれませんけれども,本来であれば他人のものが,現金という形式をとったがゆえに,占有者イコール所有者ということで預けた人に帰属してしまっている。

 

 

それを信託宣言ということで本来の帰属者を帰属者として帰属させる。この場合には他益信託型なのかもしれませんけれども。

 

 

 

 

その場合も,今度は逆に,執行免脱ということもあり得ませんし,信託宣言をされた方が財政状態が苦しいときに信託宣言をすることによって,本来の受益者が救済されるわけですから,余り執行免脱の点を強調すると,信託宣言の正しい利用というものが逆に阻害されてしまうのではないか。

 

 

贈与型のものに関してだけ,執行免脱的な議論というのは登場するのかなと思います。

 

 

 

 

それとの絡みで,甲案,乙案,丙案の関連ですけれども,丙案というのは立証責任の転換をした--だけではないんでしょうけれども--というのが大きなポイントかもしれませんけれども,丙案の(1)そのものが,現行の信託法第16条の信託財産の独立の原則を,ある意味では変えてしまう議論でございまして,それは,信託宣言を通常の信託とは違う信託と,要するに,信託宣言によって信託が設定できるだけではなくて,ある意味で違う信託として概念づけるような感じがいたしまして,詐害性云々という議論に関しては,通常の信託と同様に信託宣言においても考えていけば,ほぼ十分なのではないか。

 

 

 

足りない点は,場合によっては様式性とか違うところで議論して,一たん信託宣言によって信託が開始された以上は,通常の信託と何ら異なるものではないということで取り扱うことが望ましいのではないか。

 

 

 

そうでないと,信託宣言で,仮に流動化でもいいですけれどもした場合,紛争になって,その時点において過去に遡って,信託宣言した,過去のある一時点において債権者を害するものであったかどうかが争点になってしまう。

 

 

そういう状況では,恐らく信託宣言をした委託者は財政的にも非常に問題がある場合でしょうから,非常に紛争が紛糾してしまって,逆にそういうものでは使いにくいということで,使われなくなってしまうのではないかという懸念を感じます。

 

 

 

 

 

 

  •  結論的には,信託の設定の日を虚偽に遡らせて報告するということに対する何らかの歯どめを置けば,信託宣言を認めていいのではないかと思うのですが,しかしながら,現在予定されているこの信託宣言がどのようなものであるのかについて,2点質問をさせていただければと思います。

 

 

 

先ほどの○○委員の御発言に関連して,すごく気になったんですけれども,○○委員は,自益信託で,信託宣言で信託が設定される場合をおっしゃったんですけれども,そういうものは認められるのかということなんですね。

 

 

これは英米では一般には認められていない信託宣言ではないかと思います。

 

 

しかし,もちろん今回,受託者と受益者がイコールになったら即時に信託が終了するのではなくて,ある一定期間は休眠といいますか,受託者がその受益権を再び処分するという前提のもとに,信託の即時終了を起こさないという条文を置こうという話が出ておりますので,場合によっては,設定時にも一時期,3人が一緒になることを認めるということも,あるいは可能なのかもしれませんけれども,何かそのあたりは私は違和感がありまして,どうお考えなのかお教えいただければというのが第1点です。

 

 

第2点は公示の問題なんですが,例えば,信託財産が不動産であって信託宣言がなされるということになりますと,これは当該不動産が信託財産である旨の登記をしなければならない。

 

 

これは単独申請でできるというのが現在の不動産登記法の手続の中にあって,それにのるわけですが,○○委員のお話を伺ったり,あるいはこのペーパー,あるいは○○幹事の説明を伺っておりますと,何か中心になるのは,金銭債権が信託財産として信託宣言がなされるときのような気がするんですね。

 

 

ポリー

「金銭債権の場合、信託宣言と一般の信託は違うのでしょうか。」

 

 

さて,このときどうするのか。もうそれは,「この債権は信託財産である」という一方的な宣言で足りるという見方ももちろんあるでしょうが,債務者に対して「あなたの負っている当該債務は信託財産になった」「信託が設定された」ということを,確定日付ある書面によって通知または承諾をしなければ第三者に対抗できないということも,あり得ないではないような気がするわけです。

 

 

なぜそんなことを言うかというと,結局,公正証書を要求するということが,日付を遡らせることを妨げる唯一の方法ではないような気がいたしますので,2点目につきまして,解釈論になるのかもしれませんけれども,もしお考えのところがあればお聞かせいただければと思います。

 

 

 

 

 

  •  御指摘の点,私個人の現時点での考えでございますが,前者につきましては,特に自益,他益を区別して議論していたわけではございません。

 

 

そうしますと,今,○○幹事がおっしゃったように,信託設定当初の段階では3者が同一という自益信託もあり得るわけでございますが,御指摘のとおり,過去の提案で,その場合には一定の時期までにそういう状態が解消されなければならず,したがって,受託者と受益者が同一という事態は解消されるだろうということを踏まえまして,信託宣言が許容される以上は,3者が同一というものも排除する必要はないのではないかと考えております。

 

 

第2点目につきまして,金銭債権の信託宣言につきましては,債務者に対する通知,承諾ということをもって債務者に対する信託宣言の対抗要件,あるいは他の債権者に対する,第三者に対する信託宣言による信託設定の対抗要件ということにするのが平仄の取れた考え方ではないかと考えております。

 

 

 

  •  私も,遡らせるのを避けるためにはいいような気がするんですが,通常,信託事務の執行として,第三者に対して債権を取得することになって,第三者が,当該債権が信託事務の執行により生じたものかどうかが不分明である場合に,別に第三者に対して伝えるという制度にはなっていないわけですよね。

 

 

 

つまり,債権というものはそういうふうに,信託財産であるのか固有財産であるのかは所詮,公示されていないんだというふうに見ることもできるような気もいたしまして,そうすると,設定のときだけ必要だということになりますと,今度は設定のときの,日付を遡らせるのを避けるための特別な規律であると考えるのが1つあると思いますし,いや,債権についてもそういった形の公示制度を置くんだというのは,もう一つの考えとしてあり得ると思うのですけれども,ちょっとそのあたりが,公正証書の作成を要求するかどうかに若干関係してくるかと思いましたので,一言述べさせていただきました。

 

 

 

  •  我々としても公正証書というのは,日時を確定する必要があると。

 

 

遡らせるのはよくないという観点もあって,要求している点が1つございますが,金銭債権が信託宣言された場合につきましては,御指摘を踏まえて,なお検討させていただければと考えております。

 

 

 

 

  •  ちょっと今,理論的な問題というんでしょうか,最初から3者一体という形でいいのかどうか,あるいは財産が金銭債権である場合の対抗要件……,信託財産であることの対抗要件なのかな--で,債務者,それから第三者との関係,両方問題がありますが,それと公正証書との関係などが問題となったわけでございますが,いかがでございましょうか。

 

 

 

  •  多少違った観点からになるかもしれませんが,信託宣言という場合,具体的にどのような形で行われるのか考えたときに,恐らく流動化の場合には,契約書といいますか,文書がつくられることになろうかと思いますけれども,一般の形で信託宣言という要件を考えたときに,どういうことになるんだろうか。

 

 

恐らく口頭で宣言しただけというわけにはいかないと思うので,何らかの要式行為的な要件を定める必要があるのではないかという感じがしております。

 

 

 

それで,債権者詐害の弊害の除去というのは,この要式行為の工夫を図ることによってやるのも一方法ではないかと考えております。

 

 

先ほど来から御指摘がありましたように,恐らくこの信託宣言の債権者詐害の問題というのは,他人を巻き込まずにお手軽に執行不能財産をつくれるという点にあろうかと思いまして,この点を回避するためには,信託宣言を行う際に,第三者,できれば公的ないし中立的な立場の第三者がかかわることが望ましいかと思いますけれども,そういったことと,あと,日付を遡らせることができないようにすることが,先ほど来からありますように,重要なのではないかと思います。

 

 

 

そうすると,丙案の(2)の②に公正証書ということが言われておりますけれども,これは確かに一方法で,こういった形で制度を工夫していくことが一つの方向なのではないか。

 

 

ただ,ここには公正証書としか書かれておりませんけれども,公正証書に限ることなく,同じように第三者がかかわって日付を確定させるというような手段,例えば,法律家がかかわって文書を作成して確定日付を得させるとか,そういったいろいろな工夫があってもいいのではないかと考えております。

 

 

 

ちなみに,先ほど○○委員からも多少指摘がありましたけれども,丙案の(1)は,信託の安定性という観点からはちょっと問題があるような気がしますし,(2)の①も,恐らく受益者が知ったのはいつかということが争いになると思われますので,やはりちょっと難点があるのかなという気がしておりまして,②の要件を工夫していくことが一つの方法なのではないかと感じております。

 

 

 

  •  ○○委員の第1点目の御指摘で,流動化の部分での執行免脱というのは起こりづらいのではないかというお話がありましたけれども,流動化を前提にいたしますと,よく起こる類型としては,これはこの前,申し上げたんですけれども,やはり二重譲渡というのが非常に考えられるのではないか。

 

 

これは信託宣言ではなくて,普通の今,行われている流動化においても,債権の信託等についてはいつの間にか,もともとになる債権がないのにそれを引当てとしたような形の受益権が発行されていたというようなことが,事故として何例か起こっていると聞いております。

 

 

すみれ

「こわいね。」

 

 

そういう弊害が類型的にあるのではないかということが1点です。

 

もう一点は,この会議は基本的には信託業法について検討する場ではありませんので,その規制内容についてお話しするつもりは全然ないんですけれども,信託宣言という一つの類型を考えた場合に,常に委託者が受託者になるわけですから,例えば民事信託で,個人にファミリートラスト的なものをやるんであれば,それは業の関係外のところにはなりますけれども,それ以外で,例えば営利法人であるとか商人がやる場合については,これは常に「業」ということになってくると思いますので,それはイコール業法の規制を受けることになると思います。

 

 

 

前回,いろいろな方々から信託宣言のニーズが言われましたけれども,これは多分,ほとんどが信託業に当たるんだろう。

 

そうすると,例えば事業の信託をある委託者が,例えば信託銀行でも信託会社でもないところがやるということは,それについてどういう規制をしていくのかが常に--その規制の内容をどうするかということを議論するのではなくて,常にそういうことがかかわってくるということを十分認識の上で,御議論いただきたいということが2点目でございます。

 

 

 

 

 

  •  流動化,証券化の観点から信託宣言を用いる方法として,前回申し上げた例が幾つかあるかと思うんですけれども,その1つが,現に○○銀行を初め一部の信託銀行が,住宅ローン債権を証券化する際にSPCを設けて,一たんSPCに債権譲渡して,SPCを委託者,自らを受託者とする信託を設定して,その信託受益権を譲渡していくといった形の住宅ローン債権の流動化,証券化を行っているところです。

 

 

 

信託銀行が現にこのような形で住宅ローン債権の証券化を行っている意図としては,恐らく現--そもそも個人に対して住宅ローンを貸し付けた立場で,もともと自ら管理していた貸付債権,住宅ローン債権を引き続き管理し続けたい,受託者として管理し続けたいということにあるのではないかと思います。

 

 

そういう意図を最も単純にといいますか,実現させるには,もし信託宣言が可能であれば,SPCをつくってSPCに一たん債権譲渡して,SPCがオリジネーターである信託銀行を受託者として信託設定するというような一連の行為は必要なくなって,行おうとしていたことが実現できるのではないかと思います。

 

 

このような仕組みでの住宅ローン債権の流動化,証券化は,我が国の信託法とほぼ同じ体系の信託を持つ韓国において,韓国住宅金融公社が行っているところであるかと思います。

 

 

すみれ

「韓国もやってるんだ。」

 

 

 

そういった観点から,今回の丙案の(1)に関しては,そのようにオリジネーターが受託者となるような信託を考えた場合に,いわゆる倒産隔離といいましょうか,オリジネーターに対する人的抗弁等を持っている者の影響が及んでしまうということで,好ましくないかと思いますので,丙案の(1)についてはちょっと困るなと思っております。

 

引き続き証券化,流動化に活用していくという観点からは,特に制約を設けない乙案が最も好ましいのではないかと考えております。

 

 

  •  実務的な立場から発言したいと思います。

第1回,第10回で申し上げたことの繰り返しになって申しわけありませんが,本事項に関する銀行界としての意見は内部で分かれておりまして,今の段階でどの案がいいのかは申し上げられません。ただ,その後,追加的な議論も含め,各案についての意見を御紹介したいと思います。

 

 

まず,信託宣言を推進する立場からは,ニーズはいろいろあるよということについては,前回,申し上げたところでございます。

 

 

特に銀行債権の流動化については,我が国においては銀行と借入人との関係を維持するというところが非常に重視されておりますので,信託宣言というのは,その手法としてメリットがあるということは申し上げたとおりでございます。

 

 

 

 

御参考までにということなんですが,この点について若干付言するのであれば,仄聞するところによれば,欧州では近時,カバーボンドというものが注目されており,例えば,ドイツではファンドブリーフ法というものを制定していると聞きます。

 

 

 

これは信託宣言は直接関係しないという認識でございますが,1つの法によって,銀行,顧客の関係を変えずに一定のオリジネーター倒産リスクを排除した金融商品でございます。

 

 

 

すみれ

「カバーボンド?ファンドブリーフ法?」

 

 

 

ここで申し上げたいのは,本商品は直接信託宣言とは関係ないかもしれませんが,やはり他国も,法的インフラということを非常に重要視して,金融の活性化という観点から,こういう法制度を入れるところもある。

 

 

よって,我が国も活発な経済活動を支えるためには,実務ニーズに応じた法的インフラを考える必要があるのではないか。

 

 

もちろん,信託宣言だけに限られるわけではありませんが,先ほど申し上げました顧客と銀行とのリレーションということを考えれば,信託宣言というのは,この可能性を秘めているのではないかと思っております。

 

次に,信託宣言について消極的に考える立場からは,従来から議論されています執行免脱のおそれとか,権利関係が複雑になる,また,ニーズが余り具体的によくわからないにもかかわらず,デメリットが多いのではないかといった議論がございました。

 

 

その両論を考慮して,次に,丙案といいましょうか,何らかの制限を付すことでよいとするという考え方もございます。

 

 

ただ,その点,例えばということで,今回の提案について見ますと,先ほど○○委員もおっしゃったとおり,丙案の(1)はいささか問題があるのではないかと思っております。

 

 

と申しますのは,やはり信託の倒産隔離ということの,ある意味,原則が逆転しておりまして,委託者が債権者を害さないという挙証責任を負うことになれば,実務的には,証明を持つということはなかなか難しいかもしれませんし,また,格付機関がそれを認めて高格付けの金融商品を出すことを認めるかどうかについても,ちょっと疑問があります。

 

 

 

そうであれば,実際,信託宣言を認めたとしても使えないものになってしまうおそれがあるのではないかと思っております。

 

 

 

 

 

そこで,丙案(1)の趣旨を確認するための御質問が2点ございます。

 

この要件なんですが,主観的要件はないと認識しておりますけれども,この「債権者を害する」ということの中身について,若干御紹介いただければと思います。

 

 

例えば,資産超過であれば十分なのかということ。もし資産超過で十分であったならば,これは皆様方いろいろ議論あると思いますけれども,一緒に抱くという考え方もありますし,いや,そうではないということであれば,やはり実務的には受けがたい要件ではないのかなという議論にもなりそうです。

 

 

 

次に,先ほど自益信託か他益信託かという話も出てきましたが,現行,あえて(1)のような要件を定めなくても,現行の信託法第12条の詐害信託の規律で十分対応が可能ではないのか。

 

 

もちろん要件は若干変えておりますが。そうすると,考え方として,詐害信託というのは自益信託だけを観念しているので,ここであえて信託宣言に関する規律を設けようとしているのか,そこら辺の位置づけがよくわからなかったもので,御質問する次第でございます。

 

 

以上3つの案に対する意見を述べましたけれども,付言いたしますと,別途セキュリティ・トラストが議論されております。

 

 

この関係で信託宣言を考えますと,1点検討すべきことが出てくるのかなと思っております。

 

 

と申しますと,いろいろやり方があるとは思いますけれども,例えば,一たん設定を受けた抵当権を受託者が信託宣言をして行う,そして債権者に受益権をばらまくという方式であれば,例えば,実務においては,調達をするときに一たんアレンジャー的な人がアンダーライターとして総額引き受けを行うということもあるわけです。

 

 

そうした場合に,では,他人に売却する時点というのは,委託者が受託者になってしまうということもありますので,また,受益者ということも,3者並ぶということもあるんですけれども,そうした場合に,信託宣言の問題が出てこないか。

 

 

 

つまり,信託宣言を認めないと難しくならないかということでございます。

 

 

 

 

 

また,セカンダリーマーケットで,今まで持っていた銀行債権を,では今度,セカンダリーマーケットで売りましょうといった場合に,やはり信託宣言というツールがなければ,そういうことが難しくなるのではないかとも思っておりまして,セキュリティ・トラストの議論においては,この点もあわせて御検討いただければと思っております。

 

 

 

いろいろ述べましたけれども,最後にお願いでございますが,いずれにしても,現段階においては各--甲,乙,譲歩の丙案ですけれども,いずれの案か絞る段階ではないのではないかと思っておりまして,その点,広く意見を募って判断すべきだと思っておりますので,ちょっと先走った議論で恐縮でございますが,要綱試案を作成する際には各案を併記していただければと思っております。

 

 

 

  •  今,○○委員から御指摘があった,債権者を害するとの要件の中身という点でございますが,これは詐害行為取消権の場合と特に区別しているわけではございませんので,例えば,信託宣言をする前であれば資産が十分あったのに,それによって債務超過に陥ったとか,あるいはもともと資産が債務超過にあったわけですが,信託宣言によってさらに悪化したというような,客観的に債権を害する状況を作出すれば当たるものと考えております。

 

 

ただ,この(1)の特徴というのは,先ほどから詐害信託取消権でいけばいいのではないかというような御指摘もあったわけですが,前回会議のときに,訴訟をするのが非常に負担だという御指摘があったことも踏まえているわけでして,訴訟しなくてもかかっていけるというところにございます。

 

 

 

 

 

その上でさらに,詐害信託取消権であれば債権者を害することを「知っている」という主観的要件が必要になるわけでございますが,ここは客観的に債権者を害しているか,いないかという状況を問題にするのであって,委託者に詐害の意思があったかどうかとか,そういう主観的な要件も問題にしない。

 

 

訴訟をしなくてもいいし,主観的な要件も問題とならないという意味で,詐害信託の取消権をもっては代替し得ない,かなり委託者の債権者にとって有利な規律を設けたつもりでございます。

 

 

ただ,詐害信託取消権ですと,まず信託のスキームを一たん壊した上で,委託者の債権者が信託財産とされていたものにかかわっていくわけでございますので,信託財産の独立性との抵触はないと思うのですが,各委員が御指摘になっておりますとおり,信託があったことを前提にしつつ,委託者の債権者が--その場合,信託財産ですので--信託財産にかかっていけるというのは,確かに信託財産の独立性との観点からの抵触というのは否めないのかなという気がしておりますので,そのような点も踏まえて,丙案については考えていきたいと思っております。

 

 

あと,まだ甲乙丙の各案を絞る時期ではないというご指摘につきましては,こちらでも検討したいと思います。

 

 

番人

「家族信託で自己信託をすると、認知症などになった場合、ちょっと大変だね。」

 

 

あと1点,ちょっと気になっていますのは,○○幹事が,公正証書とか,それ以外の方法もあるだろうということをおっしゃったわけですが,およそ信託宣言をするに当たってはこういう手続的要件が必須であるのかということでございまして,実務上の話を仄聞しているところですと,例えば再信託のような場合についてもすべて公正証書ということになると,これは結構大変であるという話も聞いておりまして,およそ再信託の場合は例外であるのか,それとも,もう信託宣言に当たるものは常に手続的な要件がかぶってくるのか,そこら辺についての御理解について教えていただければと思っております。

 

 

 

  •  今の点については,私も詳しいことを存じ上げませんのて,詳しく検討しているわけではないんですけれども,基本的には,こういった第三者が関与する形で何らかの手続的要件を設けることを原則とした方がいいのではないかと,現段階では思っております。

 

 

 

ただ,実情に応じて弊害除去の措置が合理的な形でとられるのであれば,それは別途の手続なり監督といいますか,方法によることはあり得ようかと思いますので,それは具体的に御検討をお願いできればと思ったりしておるんですけれども。

 

 

  •  確かに,過去の法務省の通達などでは,そもそも信託宣言ではないというような見解も示されているようですので,そうだとすると,再信託はそもそも信託宣言の範疇外だということで,仮に○○幹事のおっしゃるように,信託宣言については手続的要件がかぶるんだとしても,再信託はその範囲外だという整理もできるかなという気がしましたので,付言させていただきます。指摘を踏まえて検討したいと思います。

 

 

ポリー

「合同運用みたいなものでしょうか。」

 

 

 

 

  •  現実の信託銀行による住宅ローン債権の証券化についてなんですが,先ほど私が説明したような仕組みを用いて,○○銀行が○○銀行の信託勘定の住宅ローン債権の証券化を行ったケースが過去に3件ほどあるかと思うんですが,この場合に,オリジネーターが信託勘定で受託者として保有していた住宅ローン債権が,別の信託財産に変わっているわけですけれども,もちろん,先ほど申し上げたように一たんSPCをつくって,SPCに債権譲渡して,SPCを委託者としてオリジネーターを受託者として信託設定するということをやっているわけですが,もし甲案で改正されるとすれば,この場合のみ信託宣言の方法を用いた,SPCを使わない住宅ローンの証券化を行えると理解してよろしいんでしょうか。

 

 

 

 

 

  •  ○○銀行の例というのは……,今の御説明は,もともとの信託財産をまた別の信託財産にすると理解してよろしいですか。
  •  はい。

 

  •  さっきの再信託にちょっと似ているけれども,再信託の器が最初からあるわけではなくて,新たな独立の信託をつくるということですよね。まさに信託銀行,信託財産でもって信託宣言をする,そういうタイプですね。

 

 

再信託との関係,私も前に民事局長の通達で,再信託は許容されるという結論だけは知っていますけれども,理屈としてまだよく飲み込んでおりませんけれども,なかなか切り分けが難しいところがあるかもしれないけれども,今の○○銀行のは,恐らく典型的な再信託ではないんですよね。

 

 

再信託というか,通常やっているやつと。つまり,再信託というのは,○○委員に御説明いただいた方がいいかもしれないけれども,例えば何かマザーファンドみたいな……,もう別に既に信託があって,そこに信託財産が,いわば受益権を取得するというのを信託……

 

 

 

 

  •  再信託といいますよりも,二重信託という言い方の方が当たっているかもしれませんけれども,例えば幾つかあるファンドがあったら,それを集めて1つのファンドに信託というものをつくって,下のファンドが委託者になって合同運用するために1つの信託をつくりますという,ある意味,運用機構の1つというふうに考えていただいたらいいと思いますし,多分そのときに許されたのは,基本的には実質的法主体説みたいなものがベースにあって,結局は,これとこれとは違いますよというのと,最終的には,それぞれのベビーの方,どのような受益者がいるということがあって,それの運用機構の一部分ですよというような位置づけで,基本的には信託宣言がないというようなことになっていたんであろうと思います。

 

 

 

 

  •  たしかそんなことだったかもしれません。思い出しました。

実質的法主体説みたいにして考えて,信託財産自体は受託者とは一応別の利益を代弁しているといいますか,実質的に別の主体であると考えると,典型的な信託宣言とは違ってくるわけですね。委託者が受託者とは別にいるということになりますから。

 

 

○○銀行のも,あるいはそういうふうに説明しようと思えばできるということですね。

 

 

それはちょっと今,再信託とか民事局長の通達がどこまで効力を持つかということを議論してもしようがないというか,もうちょっと一方的な議論をしたいと思いますけれども,あるいは現行法でもできるという理解のもとでされたのではないですか。

 

 

  •  実際に行われた取引は,信託銀行が一たんSPCに債権譲渡して,SPCが委託者として,信託銀行を受託者として信託設定するという取引です。

 

 

  •  最初のお話と同じですね。
  •  そうです。
  •  そのフローを通る必要はないという。
  •  はい。

 

 

 

  •  今まで信託宣言についていろいろ御議論をいただいておりますけれども,いろいろなレベルの議論があって,1つはニーズのレベル,それから,ニーズがあるとしても,そういうことを認めることのメリット,デメリットというんでしょうか,そういうレベルの議論,さらに3番目には理論的に,○○幹事などから提起された,三者一体というのはそもそも英米の信託でも認めているのか。幾つか議論があると思いますので,さらに幾つか御議論いただければ。

 

 

 

 

 

 

  •  先ほど業法との関連が出たもので,一言あれなんですけれども,もちろん,この場は信託法という私法の議論なので,業法的規制をまた別の視点からどういうふうにかけていくか,それはまた別の局面で議論されればいいのではないかと思います。

 

 

まず,やはり日本の私法として信託宣言をどういうふうにとらえるのかという議論で考えるべきではないか。

 

 

すみれ

「日本の私法。」

 

 

そう思うと,やはり多様な利用価値というのがあるので,これはやはり認められる方がいいのではないかと思います。

 

 

それから1つ,業法の観点を言っても仕方ないんですけれども,例えば,事業の信託の局面で,現行法であれば,例えば営業譲渡といったようなやり方をせざるを得ない場合に,もしこの信託宣言が認められると,もっとうまく使える局面があるのではないかと思うんですね。

 

 

 

例えば,A会社がある事業部門を持っている。その事業部門の事業に対して,B会社が一緒に事業をやりたいというか,ある意味ジョイントベンチャーを組みたい,こうなったときに,現行の考え方だと,多分このA会社のこういう事業を別会社化して,それでA会社とB会社が株主になってやる,そういうような切り出しの方法が1つ考えられるかと思いますけれども,例えば信託宣言が認められれば,A会社が,自分のある事業部門を信託宣言によって信託財産にして,この受益権の一部をB会社に出す。

 

 

そうすることによってB会社もこの事業に参画することができる,こういうようなやり方が,利用価値があるのではないか。

 

 

そうすると,これは引き続き受託者,A会社の事業として運営されますから,例えば従業員の雇用関係も変わらないし,表向き何も変わらない。

 

 

ただ,B会社がこの事業に受益者として参画する余地が出てくるということができるのではないかと思います。

 

 

さらにこれ,場合によっては期間限定を設ける。B会社がこの事業に参画する期間の限定,例えば10年間だよというようなことを設けて,10年間だけ受益権があり,10年後にBは離脱して,またAの単独の事業に戻るというような使い方もできるのではないかと思います。

 

 

 

すみれ

「利用している人いるかな。」

 

 

例えばこういうような,これはそういう利用価値があるのではないかということなんですけれども,こういうようなときには,しょせんA会社とB会社でやっていることですから,業法的規制というのがどれほど必要なのかなという気もしますので,こういう観点からの利用も考えられるので,ぜひ積極的に考えていただきたいと思います。

 

 

 

  •  私も,実務の観点から意見を述べさせていただきたいんですけれども,流動化をやっている立場からすると,この信託宣言については,乙案ということになるかと思うんですけれども,それ以外の立場も当然ございますので,執行免脱を許さないということを考えると,やはり何らか一定の要件で歯どめをかけざるを得ないかなとは思います。したがって,乙案ないし丙案を支持するという形になるかと思います。

 

 

 

ただ,その場合でも,先ほどから御意見出ていますけれども,(1)にあるように,いきなり信託財産にかかっていけるようなことについては,流動化を考えますと混乱もあるでしょうし,それ以外のケースでも,やはり望ましくないのではないかと思います。

 

 

 

そういう意味で,(2)の②の公正証書を作成するとか,先ほど○○幹事がおっしゃったような確定日付というのが一番いいのかなと思います。

 

 

ただ,1回こっきりの信託宣言であれば,それで全然問題ないのかなとは思うんですけれども,例として挙げられている損保の代理店の収入の部分とか,私の方で前に申し上げたサービサーの回収金の信託宣言とかいうときに,継続して入ってくるわけです。

 

 

そうすると,最初に1回だけこういう設定をしておいて,追加の分はもう全部継続してやられるという形でできるのであれば,全然問題ないとは思うんですけれども,毎回というようなことであれば当然……,毎回とか,余り長期間のあれは認められないといったことになると,ちょっと問題かなと思っているんですけれども,そういうことはないという理解で,1回でよろしいということでいいでしょうか。

 

 

 

  •  一遍設定して,その後,追加していくことは,その部分は問題ないと思いますけれども,仮に,さっき○○幹事が問題にされた,委託者と--追加される部分は委託者が違うというふうに考えることはできるかもしれませんね。

 

 

でも,仮に委託者,受託者,受益者が同一だという状態ができたときには,恐らくこれは相当な期間内に解消しなくてはいけないということになるので,それをずっと続けることは,恐らくできないということになるのではないでしょうか。

 

 

ただ,損保などの場合ですと,先ほどちょっと言いましたように,一遍,最初に受け取ったお金で代理店が持っているお金を,その段階で信託宣言で信託をつくって,その後,入ってくるお金は送金する人間が委託者だと考えると,信託宣言ではない形でもって信託財産に入ってくるので,そこは何とか解消できるのではないですかね。

 

 

 

  •  これまで証券化,流動化との関係が出ておりまして,私,おくれて参りましたので,既に出た話題だったら申しわけないんですが,一般的に信託法で信託宣言を認める場合に,委託者兼受託者が自然人である場合にどうなのかということも詰めて検討しておく必要があるのではないかと思います。

 

 

とりわけ死亡との関係で,その先どうなるのか,相続法のルールとの関係でどうなるのかということを検討する必要があるのではないか。

 

 

一般の信託の場合に比べて,結局は信託宣言でも事実上の違いにすぎないのかなという気もするんですが,さらに私も考えたいと思うんですが,自然人にも及ぶということで,先の問題も検討しておく必要があるだろうということでございます。

 

 

 

 

  •  信託法の中で制度をつくる以上は,法人だけに適用されるとか,そういう制度はつくりにくいところがあって,信託宣言を認めれば,当然自然人についても一応当てはまる。

 

 

 

  •  まず第1に,先ほど○○委員からニーズあるいはデメリットという幾つかの次元のお話が示されまして,私はニーズの方はよくわからないんですが,伺っておりますと,証券化等でニーズがあると。

 

 

仮にニーズがあるということを前提にしますと,特段信託宣言に対して,これを敵対的にある必要はないのではないかという印象を持ちます。

 

 

詐害行為あるいは執行免脱のおそれというのは別にここだけの問題ではございませんし,ここだけで過度にそこを強調するというのは,どうもアンバランスではないかという気がいたしまして,その点から,甲案は,ほかの財産の移転の法制との関係では,やや神経質なのではないかという気がします。

 

 

 

それに関連しまして,第2点ですが,冒頭の御説明にも,あるいは資料3ページの一番最後の3行にもございますけれども,強制執行法における財産開示制度,あるいは破産法の改正で新規に入ったのは重要財産開示義務ですが,これをどう評価するかですけれども,これは実は余り役に立たないのではないかと思います。

 

 

 

つまり,財産開示制度あるいは重要財産開示義務というのは,その時点でどういう財産を持っているかでありまして,過去どういう財産の移転があったかというのは追いかけない制度であるという整理でつくられていると承知しております。

 

 

したがいまして,1年前に不動産だったものが今,なくなっているということは,この制度では出てこない仕切りになっているはずでありまして,したがって,第1点とやや方向が逆のことを言うようですけれども,これは余り頼りにならない。

 

 

 

 

一般の,これ以外のツールで物を考えるしかなかろうということであります。

 

そう考えますと,乙案よりは丙案の方がいいではないかということになるのかもしれませんが,先ほど来,丙案の※についている(1)というのは,これまた過度な委託者の債権者の保護であるというのは先ほど来,御指摘があるところで,詐害性がないことをこの訴訟を受ける委託者,受益者側で証明するというのは,いかにも行き過ぎではないかという気がいたします。

 

 

仮にこういう手当てが行き過ぎで,しかし中間の案が考えられないとすると,もういきなり乙案まで戻ってしまうことになるのかもしれません。

以上が第3点です。

 

 

 

第4点は,質問でございます。

この(1)の中にある強制執行,仮差押,仮処分まではわかるんですが,競売というのは何を想定されているのか,ちょっとピンと来なかったのですが,これは担保権の実行なので,もともと委託者が持っていた財産に担保権がくっついていて,信託設定されたことで追及効がなくなるようなタイプのものを想定されている,つまり追及効の,典型的に言うと動産の先取特権みたいなことを考えていらっしゃるのでしょうか。

 

 

もし追及効があるなら,こんなことをしなくてもどうせ認められるのではないかと思いましたので,ちょっと御質問させていただきます。

 

 

  •  最後の点でございますが,正直に言いますと,第16条とかの規律をそのまま持ってきたということで,余り詰めて考えたわけではありません。確かに,担保権がついていればそれで執行すればいいわけですから,ここに入ってこないので。

 

 

 

 

 

  •  信託設定することで追及効がなくなって,担保権が行使できなくなるタイプのものがあれば含まれるのかもしれませんが,それをお考えだったのでしょうか,それとも,もっと一般的にお考えだったのでしょうかということです。

 

 

 

  •  例えば動産売買の先取特権みたいな。そう言われればそうかもしれない。ちょっと考えてみたいと思います。

 

 

1つ,お伺いしたいことですが,財産開示制度というのは,当然委託者の現有財産が対象ですが,この信託宣言の場合には,委託者,受託者といったって同じ人なので,自分が信託財産として持っているものも開示の対象にするということは,およそ考えられないということでよろしいでしょうか。

 

 

 

  •  これは強制執行の準備段階ですから,委託者が自分の固有の財産……,これ,財産開示制度の前提となっている債務名義は,委託者に対する債務名義であるとすれば,当然委託者の固有財産だけを開示するということになるのではないでしょうか。

 

 

 

  •  たとえ受託者が同一人であっても,信託財産と性質を変えている以上はもう対象外なので。

 

 

  •  むしろ信託債権について債務名義があるのであれば,今度は委託者相手に,その信託財産について財産開示をかけられる,そういう整理になるのではないでしょうか。

 

 

 

  •  細かい点で恐縮ですが,丙案の(1)について1点だけ。

今までいろいろな方がおっしゃった,実質論ではなくて形式論でございますけれども,たとえ(1)の強制執行の禁止の例外が認められたとしても,恐らく債権者には詐害信託の取消権自体はあるという理解でよろしいのでしょうか。

 

 

恐らくあるということなんだろうと思うんですが,その場合には,実体権としての詐害信託の取消権と,それから詐害的ではないものでない場合を除いて強制執行ができる,これが二重の規律になってしまって問題が生ずる場合もあるのではないか。

 

 

 

例えば,詐害信託の取消権を行使して訴訟して負けた債権者が,なおこの(1)によって強制執行することもできるといった状態になってしまうということで,そのような規律でよろしいのか,そういった二重の規律をすることが適当なのか若干疑問だということでございます。

 

 

第2点目も御質問でございまして,乙案であれ丙案であれ,仮に信託宣言を認めた場合に,例えば委託者と受託者が合意すれば何かができる,あるいは委託者と受益者が合意すれば何かができるという,いろいろな場面でそういう規律があり得ると思うんですが,そのような場合の規律について,特段,何といいますか,固有の規律を設けることを今のところ考えておられるのかどうか,ちょっと今,思いついたものですから,伺っておきたいと思っております。

 

 

  •  どうですかね,詐害行為信託と,それから丙案の(1)との関係。

 

 

  •  まず後者の,個別の類型ごとに問題があるかどうかの分析というのは,これまで十分検討しておりませんでしたので,類型ごとに少し検討してみたいと思っております。

 

 

前者については,確かに併存する。そうすると,訴訟物としては別なので,一方で負けても他方でできるということにならざるを得ないとなります。

 

 

解決するとすると,例えば,丙案(1)の方が一般の詐害信託より明らかに委託者の債権者に有利なので,この場合には特別法として,丙案の(1)が優先して,一般の詐害信託取消権はないというような整理ができればと思うんですが,そういう点はいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

  •  今のお話だと,例えば,詐害的な信託の時点では当該債権者の債権が弁済期になっていなかったような場合には,多分,詐害信託の取消権自体はあるんだけれども,強制執行できるのは,例えば5年後であるというような事態が生じ得るので,丙案(1)が優先するというような形の規律は難しいのではないかと考えておる次第でございます。

 

 

  •  わかりました。

 

 

  •  先ほどからのいろいろな御意見を伺っていても,丙案の(1)というのは,どうもいろいろ問題があるということなので,仮に債権者を保護するにしても,詐害信託の中で多少要件を─これも可能かどうかわかりませんけれども,信託宣言の場合について軽くするとか,そんなことは考えられるかもしれないけれども,制度を別に設けるというのは適当ではないのかもしれませんね。

 

 

 

  •  ちょっと違う観点から。

先ほど○○委員から,事業の信託について,例えば営業譲渡であるとかそういったときにも利用価値があるのではないかというお話で,理論的に言ったら確かにそういう部分もあると思うんですけれども,例えば,今,ここで議論しているのは,その範囲というのは全然限定しなくてやるんでしょうかというお話なんですね。

 

 

先ほど○○委員の方から,個人も視野に入れたことを考えないといけませんというお話がありましたけれども,この範囲というのが,もともとは流動化の,ケイマンのチャリタブル・トラスト的なものであったり,直接自分が持っている債権を流動化したいとか,大体その2点ぐらいが主なニーズかなと私は思っていたんですが,要するに,範囲を非常に広げてしまいますと,先ほどの事業ということを前提にすると,果たしてそれだけでOKしてしまっていいんだろうか。

 

 

 

業法で規制する問題ということではなくて,多分,それこそ事業をやるということになりますと,事業についての私法的な規律をきちっと決めてからでないと,そういうことを参入させて果たしていいんだろうかという問題があるので,もしもそこまで視野に入れられているのであれば,この場において私法上の問題として,例えば事業についての信託宣言がなされたときの規律を詰めていかなければいけないのではないかと考えています。

 

 

 

 

 

そういう観点からいきますと,実際の皆さんが思っていらっしゃるニーズ,私は全くの反対派なんですけれども,流動化ということにほぼ限定されているのではないかという気がしますので,それをあえて幅広くとらえなくてもいいのではないかと考えていまして,ここから先はもう全く私の個人的な今回で,業界に戻ったら怒られてしまうかもしれませんけれども,それであるとすれば,それこそチャリタブル・トラストみたいなものをつくるような法制を考えれば,それによって信託宣言が必要だということであれば,それを組み入れた形のものをつくれば,それが私法のものがいいのか業法がいいのか,そこはすみません,私には判断つきませんけれども,そういう観点でやっていってもいいのかなと。

 

 

付言しますと,そういう観点で見ても,これは前にちょっと申し上げましたけれども,信託宣言というのはチャリタブル・トラストにとって不可欠なものではなくて,そもそもケイマンになぜチャリタブル・トラストを置いてそこに持っていくのかというと,基本的には,委託者からの倒産隔離と支配権を排除するということと,それと,信託を使うということになりますと当然,受益者からの排除ということになりますので,今,検討されている改正案の中で検討しますと,受益者からの支配を排除する方法はとられていますし,委託者の権利をゼロにすることもできる。

 

 

そうすると,あと何が必要なのかといったら,受益者というのをつくるか,つくらないかという話になると思います。

 

 

そうすると,信託終了時点まで受益者を確定しないような信託をつくるか,または目的信託を利用するか,そういうものをつくりましょうというのであれば,この場の議論としてよくわかるんですけれども,そうではないのに信託宣言をしましょうというのが,ずっとお話が出ていたので,私は全然よくわかりませんと。

 

 

そうしたら,あえて弊害があるようなものを入れるのではなくて,工夫して,限定して,みんなが有効に使えるものをつくればいいのではないですか,そういうことを以前から申し上げたかったので,今,ちょっと最後に申し上げました。

 

 

すみれ

「たしかに。」

 

 

  •  ここでの信託宣言というのは,流動化のスキームの中で使えると便利だ,あるいは幾つかの事業の信託というのが例に挙がっておりますけれども,ニーズはニーズとしていろいろなものを挙げていただくと思いますけれども,ここで最後,決め手になるというんでしょうか,信託宣言を認めるかどうかというのは,やはりもうちょっと一般的に,先ほど○○委員が言われたような,個人の信託宣言というものもあり得る,あるいは○○委員が言われた,むしろ業法の適用のないようなというんでしょうかね,そういうところまで視野に入れた上で,一般的な形で信託宣言というものが適当なのか,適当でないのかということを詰めるべきなんだろうと思うんですね。

 

 

 

 

 

 

 

その際の一番の問題が,大体これは皆さん共通しているようではありますけれども,信託宣言の一番の問題は何かというところは,やはり債権者を害する可能性があるところだということなので,その点についての手当てが何とか十分できるというときに,さらにあえて信託宣言を積極的に否定しなくてはいけないのかというところが問題なのではないだろうかと思いますけれども,いろいろなお立場もあると思いますので。

もし新たに何か御意見を伺えれば伺いますが,大勢としては……

 

 

 

  •  何か流動化で必要で,ケイマンのチャリタブル・トラストというところに議論が飛びますけれども,先ほどの○○委員の議論でも,例えば,信託銀行でなくてもノンバンクでもいいですし,事業会社でもいいですから,事業会社が今後,流動化をするときに,自ら信託宣言をし,自益信託型で流動化もできるんですよね。

 

 

 

ちょっと議論が,何かチャリタブル・トラストの議論に持っていって違う方に行くという論旨は,何しろ納得できないところがあるということ。

 

 

 

それは立場が違うからあれでしょうけれども,今,○○委員に触れていただいたように,これまで判例で「信託的」と認定されてきたものが幾つもあると思うし,また今後,そういうような事例も出てくると思うんですけれども,そういう解釈論,また,そうなったときの裁判所による認定というのは今後とも重要だとは思いますけれども,当初,信託設定行為ができなくても,人から預かっているもの,他人に渡さなければいけないものを信託宣言ということで自らの債権者から隔離するニーズというのは,掘り起こせば幾らでもあると思うんですね。

 

 

 

 

 

先ほど触れましたけれども,現金の場合,それを担保で現金を渡しても相手のものになってしまいますけれども,場合によってはそういう信託宣言をするとかですね。

 

 

 

ですから,○○委員が流動化に限られて,流動化がチャリタブル・トラスト云々というのは,もう全然そんなことはないし,流動化でも違いますし,今,○○委員におっしゃっていただいたように,かなりいろいろ出てくる。

 

 

 

今までこれがないことによって,紛争になった後に初めて「信託的である」ということで認められてきたものが,ようやく当初の段階で,信託宣言によって正しい形で法的に受益者の保護ができるようになるというような方向性もあると思うので,ちょっと申し上げておきたいと思います。

 

 

すみれ

「信託宣言てけんかの予防でも使えるんだ。」

 

 

  •  幾つか出された御意見に関係して,私もちゃんと出席できていなくて申しわけないんですけれども,間が抜けたことかもしれませんけれども,(1)が評判がよくなさそうで,しかし,これをやめてしまった一般的な話でいいのか,あるいは何か工夫するのかということに関連して,非常に単純な例で,先ほどから挙がっている例ですけれども,例えば私が100万円の現金を持っていた。

 

 

 

もうちょっと現実的に言うと,A銀行に100万円の普通預金を持っていました。ある日,そのうちの50万円を,Bさんを受益者とする信託を設定しますと私が勝手に宣言するわけですね。

 

 

それで有効に成立したときに,私の債権者が,(1)のところで言えば,その100万円の普通預金を差し押さえて取り立てようとした。

 

 

このときに,○○幹事がおっしゃった,私の信託の設定というのは何の公示も何もなしで,さっき時間が遡るという話が中心だったと思うんですけれども,それに関係なく,私がただ「50万円はBさんのために今日から信託します」と言った瞬間,財産が分離できる,そういう制度が信託宣言という制度なんだと思うんですけれども,何となく,(1)がいいかどうかは別として,何かないと,一般的な詐害信託ですとかでいいのかというのがちょっと気になるんですね。

 

番人

「普通預金なら、新しい口座名義の通帳を作れるんじゃないかな。一旦現金で引落してからだけど。」

 

 

 

それから,似たような話かもしれませんが,今の例で言うと,今度はその財産債務者というか,銀行に対する対抗要件というんでしょうね,銀行は何も知らされていなくて,私はただ宣言すれば,その瞬間,信託が有効に成立するということだとしますと,もちろん銀行は知らないわけですから,私の債権者がそれを差し押さえてきたときには,銀行は払う。

 

 

しかし,そこは,私が一方では異議を言うのか,いずれにしても,銀行は準占有者に対する弁済等で保護はされるんでしょうけれども,非常に困る。実務上,非常に混乱すると思うんですね。

 

 

 

すみれ

「預金債権については、譲渡禁止特約が付いていて信託宣言もできないんじゃないかな。」

 

 

ということで,恐らく抽象的に言えば2つあって,私がある日,宣言すればそれでいい,今の例で言いますと,半分だけでも幾らだけでも信託を設定できるという制度を設計したときに,何かやはり(1)的なものであって,先ほどのお話ですと,これをやめたとしても,それにかわるものというお話だったと思うんですけれども,では,どういうふうに構想しておられるのか。

 

 

それから,それが典型的な金銭債権のような場合に,債務者との関係で,普通預金の場合で言えば銀行との関係で,どうなのか。

 

 

 

もう一点だけ追加させていただきますけれども,これ,信託宣言が有効だとしますと,信託は成立しますけれども,私は多分,分別管理義務に違反しているんだと思うんですけれども,そのままにして何もしていないわけですから。

 

 

 

そういう場合は,前の信託法第1条の話とも関係してくるのかもしれませんけれども,結局,銀行の方は金銭債権いっぱいついているけれども,債務者の方からしてみれば何も起きていないわけですから,どうしようもないという話なのか。

 

 

 

その辺,もし整理がなされていたとすれば,復習になってしまったら申しわけないんですけれども,方向観を教えていただけるとありがたいと思います。

 

 

 

  •  今,○○委員が挙げられた例で,信託宣言をしたときに口座が○○名義のままで,それで差押えが来たら,そうしたら口座名義もそのままで一方的に宣言したというだけですと,先ほど御指摘されたとおり,何の分別管理もされていませんので,固有財産の債権者,○○委員の債権者に差し押さえられて終わり。

 

 

銀行はそれで,差し押さえて債権者に弁済して終わりということになるだけのような気がいたします。

 

 

 

 

  •  今の場合は,だから,信託がそもそも成立していないのか,信託は成立しているけれども対抗できないのか。どっちの整理なんでしょうかということなんですけれども。

 

 

番人

「成立しているとしても、対抗はできないような気がする。」

 

 

  •  先ほどからの多くの御意見は,この(1)がよくないという前提で考えているときに,やはり信託は信託宣言で成立する。

 

 

ただ,その成立する要件としていろいろな要式行為を要求するか,あるいは債務者に対する通知まで要求するか,そこは幾つかあり得ると思いますけれども,信託宣言で信託が成立するというときには,そういう付加的な要件,行為さえしていれば,そこで成立する。

 

 

あとは,分別管理していなければどうなるかという問題は,次の問題ということなのではないでしょうか。

 

 

どんなものがあり得るかですけれども,今のような事例ですと,公正証書で設定するだけではまだ足りなくて,やはり債務者に何か通知が必要であろう,そういう御示唆も含まれていたということでしょうか。

 

 

  •  よくわからないんですけれども,どういうふうにお考えなのかなと。

 

 

 

  •  理論的に考えたときに,信託宣言というものは,さっき○○幹事が言ったように,もう要式行為と考えようということで,その要式としては,例えば公正証書作成を要求するというのが1つの考え方なんだと思いますけれども,ただ,それだけでは今の債権の場合に済まない問題があって,債務者に対する通知というものが必要だとなると,それを一体どうやって説明するかですね。

 

 

 

 

  •  ついでに,もう一点だけ。

公正証書を仮に要求しても,要式行為に,公正証書で「私が持っている100万円の普通預金のうちの50万円」というのでいいのかというのもあると思うんですね。

 

 

 

  •  要するに,信託の定義のところに戻ってくるかもしれないけれども,財産は,やはりある程度分けなくてはいけないというところの問題かもしれませんね。

 

 

 

債権自体はそのまま全然変わっていない状態で置いてあるので,そういうものを信託宣言でもって「違う財産になりました」と言っていいのかどうか。

 

 

ポリー

「違う目的を持った財産になりました、ですかね。」

 

 

なかなか……。まさにそういうところは,少し理論的な問題として,もうちょっと詰めなくてはいけない問題があるような気がいたします。

 

 

大分御意見いただきました。大体の意見の分布は,信託宣言,できれば認めていった方がいいのではないかという御意見が多かったと思います。ただ,いろいろ課題もあるということで,今,○○委員が挙げられたような問題,あるいは債権者詐害に対してどう対応したらいいかといった問題も,なお残されております。ここに一応原案として出てきたものでは不十分といいますか,(1)が評判悪かったものですからね,何か代わりのものを考えなくてはいけないかもしれない。

 

 

 

ただ,(1)も,考え次第だけれども,これは結果的にどういう結論になったか覚えていませんか,英米の例を持ち出してあれですが,遺言代用生前信託などでもって設定者が変更権を持っているような信託の場合に,これはもう委託者の財産と同じである,信託は設定しているけれども委託者の財産と同じように考えて,委託者の債権者がそれにかかわっていけるという考え方は十分あり得る考え方ではありますよね。

 

 

 

それと同じように考えるということも1つではありますけれども,ただ,一方で信託宣言の効用というのか,まさに倒産隔離機能をねらって,それをもとにしていろいろな事業なり何かをしていこうというときに,委託者の債権者が比較的自由にかかわっていけるというのは,さっきの遺言代用の生前信託とは,やはり違った状況にあるかもしれないので,もうちょっと検討すべきかと思いますね。

 

 

 

 

 

まだ御意見あるかもしれませんけれども,一応今,方向性は確認させていただきましたけれども,よろしゅうございますでしょうか。

それでは,次にいきましょう。

 

 

 

  •  続きまして,公示の問題に移らせていただきます。

第8でございますが,先般,信託法に第3条第3項という規定が入ったわけでございますが,それについての質問をさせていただいているところでございます。

 

 

現行法第3条第3項によりますと,株券廃止会社であっても,振替制度を利用していない会社の株式については,株主名簿に信託財産である旨を記載又は記録しなければ信託を第三者に対抗することができないこととされております。

 

 

 

このような株券廃止会社の株式については,その流通性が乏しいと想定されることにかんがみますと,信託の対抗のためには株主名簿への記載等を要求する現行法第3条第3項を維持することとしても不都合はないとして,甲案を支持する考え方が一方においてあります。

 

 

 

他方,前回提案いたしましたが,有価証券に関する特例を定めた第3条第2項の方は削除するという提案をしておりまして,これを踏まえますと,有価証券一般については信託の公示を不要とするのであれば,株券廃止会社の株式についても,信託の公示として株主名簿への記載等を要求することとしない方が整合的ではないか,特に不動産に関する信託登記とは異なりまして,株主名簿におきましては,当該株式が複数ある信託のうちどの信託に属するかまでを特定して記載することを要求するのは難しいと思われることにかんがみまして,株主名簿への記載等をもって信託の公示方法としても,信託の公示のみで信託に関する対抗要件を決することとはならず,結局不十分な内容のものにとどまってしまうのではないか,そうだとすれば,この第3条第3項は削除して,株券廃止会社の株式についても信託の公示を要しないとする乙案を支持するという考え方もあり得ると思われます。

 

 

 

 

 

 

そこで,この甲案と乙案のいずれの考え方が適切かについて,御意見を賜りたいと思っております。

 

 

なお,ここで仮に甲案を採用しますと,このような形での公示をどのように評価するかについても御意見を伺えればと思います。

 

 

つまり,これは6ページの(注4)にも書かせていただきましたが,信託の第三者対抗要件に関しまして,まず,動産や金銭債権のように特段の公示なくして,実体をもって第三者に対抗できるとするもの,それからもう一つは,ただいまの株券廃止会社の株式のように,受託者の固有財産とは区別される信託財産であるということについてまでは公示を要するとするもの,さらに,不動産のように受託者の固有財産のみならず他の信託の信託財産と区別される信託財産であるということについてまで公示を要するもの,こういう3類型があることになります。

 

 

すみれ

「3つの種類。」

 

 

現行制度のもとでは,登記・登録制度のある財産ではあっても信託の公示制度の用意されていないもの,このような種類の財産の公示についてどのように対処すべきかという点について,参考となりますので,御意見を伺えればと思っております。

 

 

なお,振替社債や預託株券等についての信託の公示の取扱い,それから不動産の信託登記における登記事項の取扱いの問題につきましては,現在,実務上のニーズを調査中でございまして,事務局内でなお検討を進めているところであるということを付言させていただきます。

 

 

 

  •  では,これについての御議論をお願いします。

新しい第3条第3項というのが設けられたばかりですけれども,第3条第2項を落とすこととの関係で,どうするかということですね。

 

 

 

  •  どちらかということを明確に言えないので,ちょっと控えさせていただこうかと思っていたんですけれども,ここの甲案,乙案という,ここの部分だけに限定いたしますと,基本的には,できるだけ省力化とか効率化を図った方がいいので,基本的には乙案の方がいいのではないかと考えています。

 

 

 

 

しかしながら,(注4)に書いてありますように,基本的に信託の公示という制度をどういう形でとらえるのかという問題では,若干業界内でも議論がありまして,多分,もともと第3条第2項を廃止したという観点からいきますと,それと第31条的なものがなくなったということからすると,信託の公示の目的というのは,どの信託財産に属しているかということで,対受託者であるとか対他の信託財産の倒産から隔離するための対抗要件だろうということだと思いますので,そうしますと,②みたいな形のものというのは中途半端な状況になる。

 

 

 

そういう観点からは外してしまった方がいいというのが,多分,理屈からいくとそうだろうと思いますので,そういう意見の者もありますし,とはいうものの,これはちょっと過去からの歴史的な経緯がありまして,昔といいますか,少し前ぐらいですけれども,銀行全体が信用不安になったときに,やはり銀行からの倒産隔離を図るための何らかの手段,対抗要件としての一つの制度があったということが,かなり対お客さんに対しての説明ということでやりやすかった部分もありますので,そういう観点からすると,やはり②的な対抗要件も残してもらいたい。

 

 

 

そういうことで,非常に煮え切らないんですけれども,どちらがいいとはなかなか言えないわけでございます。

 

 

ただし,1つだけ言えることは,例えば,対抗要件としてなくしてしまったとしても,これが信託財産であるという表示の制度は,例えば振替制度の中で残していただきたい。

 

 

 

これは多分,対抗要件という意味合いではなくて,分別管理の部分でどうしても必要なので,そういうところだけ残していただきたいというのは共通の認識なんですけれども,対抗要件のところまでいくのか,そうでないのかというのは,すみません,まだちょっと明確に申し上げられませんが,そういう状況でございます。

 

 

 

  •  確かにこれは,公示制度一般をどう考えるか,特に信託財産……,ある信託財産と別な信託財産との区別も明確な公示が,いわば完全な公示だとすると,そこまでいかないような公示ですね。

 

 

そういうものをどうするかという問題とも関係しているということだと思います。

 

 

 

分別管理との関係は,これはあれですか,分別管理義務を実行しているということを示すことができるようなということですね。そういう制度は,やはりあった方がいい。

 

 

 

 

  •  また間が抜けた質問だったら申しわけないんですが,ただ,第3条第3項の意味がいま一つ,私,理解ができていないと思うんですけれども,さっきと似たような例で,私がある会社に対して1,000株の株を持っていて,株主名簿に私の名前が記載されています。

 

 

 

そのうちの,例えば500株は信託,つまり私は受託者として持っておりますということを書かないと,第3条第3項の言葉は,これをもって第三者に対抗することを……,その信託をですね─ということだと思うんですけれども,これは発行会社との関係でもそうだという趣旨なんでしょうか。

 

 

 

ちょっと今,何条になっているのか商法はあれですが,発行会社の方は信託でないということを示せば,例えば議決権の不統一行使を拒むことができるんですね。

 

 

 

ですから,私が1,000株持っている分について,500株についてはイエス,残りの500株はノーという議決権行使をしていったときに,仮にこの制度があって,これを発行会社は拒めるのか。

 

 

 

ちょっと今の条文は,私のこの六法によると第239条の4の第3項なんですけれども,それは別の話で,発行会社との関係には関係なく,第3条第3項というのは信託の公示ですから--という整理をされたのか。

 

 

本質でない質問でしたら結構ですけれども,すみません,もともと第3条第3項の趣旨が私,必ずしもよくわかっていないものですから。

 

 

 

 

  •  確かに,言われてみると発行会社との関係も問題になりそうだけれども。いや,私はそっちは入らないのではないかと思っていたけれども,そういうものでもないのかな。

 

 

 

  •  すみません,そこはまだ事務局で十分検討しておらないところですので,ちょっとお時間をいただければと思います。

 

 

  •  それでは,少し検討させていただくということで。

 

 

  •  公示一般という話が出ましたので,それについてお話しさせていただきたいと思うのですけれども,(注4)に関連しまして,あるいは第3条第3項の取り扱いの基底になる考え方としてどうかという点につきましてなんですけれども,1つ,(注4)に書かれているような幾つかの公示制度の中で,②のようなあり方をどういうふうに考えたらよいかというところの評価が問題になっているのではないかと思われます。

 

 

先ほど○○委員からは,ある意味,中途半端なやり方ではないかと,そういう点からすると,こういう中途半端なやり方はよくないのではないかという含みを持った御指摘が一方であり,しかし,そうはいっても……という点だったと思うんですが,私自身は,②のやり方というのもかなり有用なものではないかと考えておりまして,不動産登記のような非常に詳細な情報を出すというやり方が唯一の公示の方法ではなく,まず信託財産であるということはわかっていて,それが一体どの信託財産,どういう信託の,あるいは受益者がどうであるのかといった詳細については,そこには明らかにされないけれども,信託財産であるということは明らかになっているので,そこから先はさらなる調査という形のものは十分あり得るし,現行法でもあり得るのではないかと考えております。

 

 

すみれ

「たしかに。」

 

債権譲渡登記なども同様な考え方ではないのかと思っておりますし,それから,少し違う話ではありますけれども,対抗力はそれで付与されるけれども,どういうことが対抗されることになってくるのか自体は調査してみないとわからないというのは,若干不規則ではありますけれども,借地借家法の対抗力などはそういうもので,どれだけ敷金があるのかというようなことは調べてみないとわからないというようなことですから,こういう2型のものというのは,並べてみると中途半端かもしれませんけれども,公示のあり方としてはそれなりに意味があって,もっと積極的に評価されるべきではないかという気がしております。

 

 

 

それから,公示一般については,制度がなければ,信託財産であるということが証明できれば信託であるということを対抗できる,そういう意味では,そんな公示なんてない方が省力化になるという面はあるんですけれども,他方で利害関係人ということを考えますと,当該人の名義になっているものが,一体自分たちがかかわっていける財産であるのかどうかがわかる手がかりというのは,なるべくあった方がいいのではないかと思いますので,むしろ公示は充実させていく方が本来で,ただ,それが「そんなことまでやるようでは,とても実効性がない。負担ばかりが増えて」というふうなときは,やめてしまった方がいいのではないかという気がしております。

 

 

 

 

第3条第3項というのは,正直この第3条第3項自体はどういうものかわからないのですけれども,したがいまして,もしこれが実務的にさして問題がない,それほどのコスト増でないのであれば,公示制度としてはあった方がいいのではないかと一方で思う反面,これがどういうふうな運営になっていくのか。

 

 

 

例えば,これをきっかけとして何かを知るというときに,これがきっかけとなるような仕組みになっているのか,だから見ることができるのかですとか,そういったあたりがちょっとよくわからないものですから,第3条第3項自体がどうなのかということは,正直言って,いずれともよくわからないということなのですけれども,一般的な問題としては,個人的にはそのように考えております。

 

 

 

  •  私も前半部分については同感といいますかね,ほかの幾つかの公示制度でも,信託財産であることしか公示できないというのが幾つかあるという……

 

 

  •  信託財産であることの公示ができなくて,普通の所有権の登記・登録しかできないというものがあるわけでございます。信託の登記ができない。

 

 

  •  あ,それがそもそもできないんですね。

 

  •  はい。それを導入しようと思っているときに,②型のもの,あるいは③型までいくものとか,そういうものがあり得るなと。

 

 

  •  信託財産であることの公示はできるけれども,どの信託財産かということまでは公示できない,そういうタイプもありますか。

 

 

  •  それは今のものと,あと振替社債とかそういうものですね。
  •  自動車なんていうのは,何でしたか。

 

 

  •  自動車などは,所有権移転の登録はできますが,信託の登録制度がそもそもない。ですから,②型のものというのは,今の株券廃止会社の株式と,振替社債,登録社債のようなものだと思います。そして新たな制度を導入するときに,②型というのも考えてみるか,②型はやめるかというようなところです。

 

 

  •  しかし,この公示というものは,恐らく○○幹事の御意見,私も賛同するところが多いけれども,公示が簡単にできるものであれば,それはやはりあった方がいいだろう。

 

 

ただ,有価証券みたいに全部に公示しなくてはいけないというのは,これはとても現実的でもないし,適当ではないので,こういうものはやめていく,そういう切り分けだとしますと,結局同じことを繰り返して言うけれども,簡単に公示ができるんだったら残したらどうかという御意見でしたね。

 

 

 

  •  今の流れと同じような議論なんですけれども,信託の公示というのは対抗関係と必ず結びついている。もともとそういう制度ですから。

 

 

だから公示が必要となると,しないと負けるという制度になっていると,やはりいろいろな観点から,やはり公示制度というのは縮小すべきではないかという議論になっていると思うんですけれども,他方で,何人かの委員がおっしゃったように,信託の公示というのは有意義な制度ではないか,こういう議論もあります。

 

 

弁護士会でも同じような議論がございまして,ですから,ここでの公示の議論というのは違うんですけれども,公示をできるような制度をつくっていただくけれども,かといって公示しないから負けるわけではなくて,公示しなければ,分別管理が不十分であれば,またそこで争いがあれば,場合によっては識別不能であるというような形で争いになっていくというようなことも,場合によってはあり得るのかなと思います。

 

 

あと,ちょっと間違っているかもしれませんけれども,債権譲渡登記のところで,譲渡原因のところに信託譲渡があったような……,もしかすると動産譲渡も今回それで変わりましたから,それは信託の公示ではなくて,単に譲渡原因の公示なんでしょうが,あれは,ある意味では信託として譲渡しているんですよという,広い意味で皆さんに告知をするような機能は,場合によっては果たしているのかなと。

 

番人

「債権譲渡登記自体はできるんじゃないかと思うけど。限定責任信託の登記では、対応が難しいのかな。」

 

 

 

 

ですから,それが違うところにチェックされていれば,もしかしてその登記自体が有効ではないということになってしまうかもしれませんけれども,そういう議論を差し置くと,あれは信託の公示制度ではないから,そこで公示しなくても別に負けるわけではないけれども,何らかの形で信託譲渡されているということは見ることができる,そういうような制度というのも他方,全然違う議論なのかもしれませんが,あってもいいのかなと思います。

 

 

 

 

 

  •  そういうこともあり得ますね。

そういう意味では,不動産も信託を原因とする,要するに登記ですか,信託登記そのものとは違って,ちょうど所有権移転のレベルにおける信託を原因とする登記というのは,あり得るということでしたよね。

 

 

違いましたっけ。--だから同じように,そのレベルだけにとどめて信託の情報を提供するということは,あり得る考え方で,不動産登記は別として,ほかの登記制度,あるいは公示制度においてそういう考え方を当てはめていくというんでしょうか,それがあるから……,その後,どうつながるかですね。

 

 

あえて本格的な公示までしなくていいというふうにいくかどうかというところでございます。

 

 

いずれにせよ,公示についての基本的な考え方をどうするかということと関係しているのが1つと,それから,この株式会社の株主名簿ですか,この登記というか,そこでの記録ですか,これ自体は非常に簡単なもので,できるということなんでしょうか。先ほど○○幹事が言われた2番目の問題。

 

 

 

 

 

  •  関連して,○○幹事がおっしゃったことに私も賛成なんですけれども,仮にこの公示制度を維持するとしたら,利害関係人が株主名簿の,少なくともこの部分が見られないと機能しないと思うんですよね。

 

 

 

現在,株主名簿が見られるのは株主と債権者だけで,最近商法がしょっちゅう変わるものですから,私,条文に全く自信がないんですが,この六法によれば第263条ですけれども,そこの手当てを,だからといってほかの部分も見られていいかというのは……,ですから私,ちょっと前からこの第3条第3項というのがいま一つよくわからない--と言ってしまっては申しわけないんですけれども,いずれにしても,先ほどの○○幹事の趣旨に賛成でして,そういうことで言えば,もしこういう制度を維持するというか,つくっていく……,維持なのか何かよくわかりませんが--だとすれば,少なくとも信託についての利害関係人は,その部分は見られることにしないと公示としての意味をなさないのではないかと思います。

 

 

 

 

 

  •  大体検討すべき論点は出てきていたような気がしますけれども,最後,決断としてどうするかは,やはり株主名簿における記載というものはどういうものであるかということにも大分関係するのではないでしょうか。

 

 

 

  •  第3条第3項というのは,発行会社で振替制度を利用していないものとすると,非上場会社である。

 

 

そうすると,割と少人数な会社であって,そうすると,そもそも譲渡性もないような場合があって,名義書換会社のようなものも使っていない。

 

 

そうすると,果たして株主名簿に書かないと信託であることを対抗できないと言っても,実効性が果たしてどれだけあるのかといった実務的な観点からの懸念は,ないわけではございません。

 

 

すみれ

「事業の承継で利用されることはあまり考えられていなかったのかな。」

 

 

  •  公示制度全体については,まだ今後も議論は続くと思いますけれども,とりあえず今の,現行法の第3条第3項について,今,結論が必ずしも出たわけではありませんけれども,検討すべき課題を明らかにしていただいたので,それを検討した上で考えていきたいということにしたいと思います。

 

 

 

  •  では,終了原因と清算についての説明に移らせていただきます。

 

第61でございますが,これは信託全般に通ずる終了原因を包括的に定めた規律でございまして,前回提案から変更はございません。

 

 

なお,前回会議では,信託行為の定めにより受託者ですとか受託者以外の者に信託の終了権限を付与する場合において,このような終了権限を信託行為の定めにより無制限に付与することができるか,それとも受益者保護の観点からは,そのような終了権限の付与についても一定の限界があるものとすべきかという点について議論されました。

 

 

この点につきましては,まず,信託行為により信託の終了権限が付与された者がいる場合には,その者の判断により信託が終了する可能性があることは,受益者にとって予見可能であることですとか,終了権限が信託行為によって付与されたものである以上,原則として信託目的に反するような終了権限の行使はできないという,いわば内在的な制約が当然にかかるものであって,この意味においても受益者の保護は最低限図られていると思われるということにかんがみまして,特段の制限を設けずに終了権限を付与する信託行為の定めも許容されると考えているものでございます。

 

 

 

 

 

 

 

次に,信託の清算の方に移らせていただきます。

 

 

これは終了に引き続く清算手続の提案でございまして,前回会議での指摘事項を踏まえた新たな提案内容についてのみ説明申し上げます。

 

 

まず,軽微な点で,太字の3でございますけれども,前回提案においては現行商法等の規定に倣い条件付債権等については常に鑑定人の評価によらなければならないものとしておりましたが,利害関係人全員の同意があれば鑑定を不要とし,合意された金額の弁済をもって足りることを明記いたしました。

 

 

第2に,やはりこの条件付債権の評価という点に関しまして,前回会議において,例えば条件付債権が信託財産の清算手続では8割と評価された場合において,無限責任を負う受託者個人に対する債権としても8割になってしまうのではおかしいのではないかとの指摘がございました。

 

 

 

この点に関する事務局の検討結果は,資料11ページの1(2)に書かせていただいておりますが,具体的な処理手続について説明する前に,ここでの基本的な考え方を述べますと,信託が終了したからといって,いわば信託外部の関係者である信託債権者に有利,不利の影響が及ぶのはおかしくて,信託債権者の立場は信託終了前と変わるべきではないであろう。

 

 

 

他方,受託者及び受益者は,いわば信託内部の当事者なのであるから,信託の終了に伴い条件付債権が清算される過程で,仮に不利益を被ることとなってもやむを得ないであろう,以上を基本的な発想として考え方の整理を試みたものでございます。

 

 

番人

「当事者で信託は終了して、清算が終わると、信託財産がどこかへ移転したり、権利が消えたりするのか。」

 

 

その上で,まず,原則的な受託者が無限責任を負う信託債権の清算の方法については,次のとおりに考えております。

 

 

便宜上,合計100万円の停止条件付債権が信託財産の清算手続で50万円と評価された場合を念頭に置きますと,まず,①と書いてございますが,受託者と条件付の信託債権者との債権債務関係は,信託の清算手続とは無関係に,従来どおりの内容で続くものと考えます。

 

 

②として,信託財産の清算手続の方では50万円を受託者に交付して,停止条件の成就,不成就が確定するまで受託者に保管させた上で,残りの財産をもって信託財産の清算手続の方は結了させてしまいます。

 

 

 

③といたしまして,受託者は,停止条件の成就,不成就が確定した段階において,この結果に従って,預かっていた保管中の50万円を所持するものといたします。すなわち停止条件が成就した場合には,受託者は保管中の50万円に加えて固有財産から50万円を追加して,100万円を信託債権者に支払うことになります。

 

 

信託債権者の立場は,信託財産の清算の前後を通じて変わらないのに対しまして,受託者は50万円を自己負担しなければならなくなりますが,信託財産の清算手続は済んでしまっておりますので,改めて信託財産や受益者に補償請求することはできなくなります。

 

 

 

 

 

一方,停止条件が不成就に確定した場合には,受託者は信託債権者に支払う必要がなくなりまして,信託債権者の立場は,信託財産の清算の前後を通じてやはり変わらないのに対しまして,信託財産の清算手続は済んでしまっておりますので,受託者は,保管中の50万円を改めて信託の清算手続に回す必要はなくて,いわば50万円を利得できるという結論になるものというのが事務局の一つの考え方でございます。

 

 

以上に対しまして,受託者が個人責任を負わない有限責任信託債権の場合には,信託財産清算手続の中で直ちに50万円を信託債権者に支払う。

 

 

 

信託債権者は条件成就,不成就を待つ必要はなくて,評価に従って,その信託財産の手続の中で50万円もらうことによって,その弁済はすべて終了し,債権債務関係は一切残らないとしてはどうかというふうに考えているものでございます。

 

 

すみれ

「この方が分かりやすいよ。」

 

 

次に,提案9の方に移りますが,提案9に関しましては,清算受託者の便宜あるいは信託の柔軟性という観点から,保管の継続か競売かの二者択一に限らず,清算受託者としては,適正な任意処分による換価という方法もとり得ることを認めるべきではないかとの意見が前回,示されました。

 

 

しかし,前回会議でも示唆されたところでございますが,清算受託者としては,まず,清算目的のためであれば信託財産を任意処分して換価する権限を有しております。

 

 

これは2の(2)に書いてございますが,そもそもそのような権限を持っております。

 

 

しかも,信託終了時には信託財産を換価して,金銭でもって返還するという定めを信託契約に入れるという方法もありますし,仮に信託契約上は現物返還と定められている場合でありましても,例えば腐敗物については別であるというふうに約定の趣旨を合理的に解釈する方法によりまして,さらに場合によりましては,保管費用に要する補償請求権を行使するために信託財産を処分するという方法によりまして,すなわちこのようなさまざまな方法をもって帰属権利者の受領拒否等の事態に対応することは可能であると思われます。

 

 

 

したがいまして,このような場合には,保管義務軽減のために,この9の手続によるまでもなく,信託財産を任意処分できることが少なくないと思われます。

 

 

そうしますと,清算受託者がこの9の手続によらざるを得なくなるのは,かなり例外的な場合に限られると思われまして,このような場合についてまで任意処分の権限を認める必要はないと思われますので,保管の継続または競売の権利,両者どちらでもいいわけですが,これらの権利を認める前回の提案を維持することとしております。

 

 

なお,前回会議においては,この競売のための手続費用はどこが負担することになるのかとの問題も提起されました。

 

 

この競売は,厳密には清算目的のためというよりは,清算受託者の保管義務軽減のために行われるものでございますが,残余財産の給付に向けた清算事務処理の一貫として,清算受託者が信託事務を処理するために必要な費用と言うことはできると思われますので,補償請求権に関する規律に従い,信託財産から償還されることになりまして,その結果,当該信託財産に係る受益者または帰属権利者全員の負担に帰することとなるのが原則だと思われます。

 

 

といいましても,例えば,特定の帰属権利者が受領拒絶をしている結果として競売に至ったような場合につきましては,この者に対する競売費用相当額の賠償請求権,これは法的には民法第485条の弁済費用増加額の支払請求権と位置づけるものだと思われますが,このような請求権が別途,信託財産に帰属しまして,競売による売却代金からこの拒絶者に給付すべき金額と,この賠償請求金額との差引計算をすることによりまして,最終的には,この拒絶者の負担に帰することになると考えております。

 

 

 

  •  この信託の終了に関連して,何か御意見があれば伺いたいと思います。

 

 

 

  •  終了原因について,若干御意見を申し上げておきたいと思うんですが,この終了原因について,1の(1)の⑥のところが前回も議論となって,今日コメントをいただいているところかと思うんですけれども,この点について,受益者の予見可能性ということが言われております。

 

 

 

この予見可能性ということについては,本当にそうであろうかといいますか,やや慎重に見る必要があるのではないかということを,一言申し上げておきたいと思います。

 

 

 

 

オーダーメイドの自益信託等の場合には,恐らく委託者兼受益者が契約内容を慎重に検討しながら作成していくということになりますので,予見可能性は確保されていると言えるんだろうと思うんですけれども,例えば他益信託の受益者や,その受益権の譲受人の場合に,多様性のある信託商品の中で,信託条項の1項目である変更権についてどれほど自覚的にこの受益権を取得することになるのか甚だ疑問であります。

 

 

 

 

この記述の中でも,終了権限などの内在的制約とか限界ということが言われているかと思いますけれども,恐らくそういった内在的制約や限界が争いになって検討される場合にも,そういった受益権の取得の実情ということも,その解釈に影響を与えるのではないかと思います。

 

 

 

終了権限が付与されることが認められるとしても,その権限行使は,場合によっては相当程度限定されたものとなる場合がかなりあるのではないかと思われるところでして,権限付与が認められるとしても,広くこれが認められるかのような記述は,若干慎重にお願いした方がいいのではないかということが,御検討いただきたい点であります。

 

 

 

それから,この権限行使の限界について,条項上,明確に限界の条項を定めないことにする場合にも,やはり解釈上,その限界についてはある程度の考え方といいますか,そういうことを示す必要があるのではないかと思います。

 

 

それから,終了権限を受託者以外の者に付与する場合には,これはやはりどのような者に付与するかということも重要ではないか。

 

 

そういった権限を付与される者があるとすれば,これはやはり受託者と同じように忠実義務を負うというような形の規律といいますか,そういったことを検討する必要があるのではないかと感じております。

 

 

それからもう一点,これは質問なんですけれども,もし終了権限の行使が濫用的であって問題があるというふうになった場合に,この権限行使はどういうことになっていくのか。

 

 

 

無効になるのかということと,それから,その場合に受益者がとり得る手段について,考えられるとすれば,例えば受託者の解任ですとか,あるいは受託者以外の者が終了権限を持っている場合には,その者の解任とかいうことが考えられるのかもしれませんけれども,もし問題になった場合の対応といいますか,そういった点について,もし御検討されているのであれば教えていただけると助かります。

 

 

 

 

 

  •  もし終了権限行使が濫用的な場合,無効であろうということは,事務局の考えでは終了自体が無効になるのではないか。

 

 

濫用的な権限行使であっても,いわば訓示規定にとどまるわけであって,終了自体は有効というわけではなくて,終了自体が無効になるのではないかと思います。

 

 

そうしますと,受益者がどういう方法をとり得るかということですが,無効確認というようなことまでしなくても,終了していないことを前提に,例えば配当の給付請求権を行使するとか。受託者であれば解任するということもできますが,それ以外にも,信託が終了していないことを前提とした受益権の行使ができるのではないかと考えております。

 

 

 

  •  終了権限者に受託者と同じ忠実義務等を負わせることができるかどうかは,何か少し難しいかなという感じ……。これはつまり,どういう立場でこの終了権限を行使するかということですよね。

 

 

これは当然に,受益者の場合に終了させる場合だけではなくて,いろいろな場合があるんでしょうし,そんなところが1つ問題なのではないだろうかと思いますけれども,何か御意見があれば。

 

 

 

  •  流動化という視点なんですけれども,終了,清算という流れでして,当然流動化でも最後がございまして,ウォーターフォールで終了するわけです。

 

 

 

それがここで言う信託法上の終了なのかどうかという議論はあるかもしれませんけれども,不用意につくった契約であれば終了と書いてあるかもしれませんが,そうすると,清算規定が信託行為とはかなり異なるケースがいろいろ出てくるのではないかと思います。

 

 

 

ということで,この信託の清算についてはデフォルト・ルール,信託行為に別段の定めがある場合にはそちらでも構わないというような,そういう趣旨なのか,信託の清算というような,ある意味では強行法規的な側面があるのか,どちらかわかりませんでしたけれども,現実的には,信託の終了時まで信託契約の中で書いてございますから,デフォルト・ルール化ということで御検討いただきたいということが1つ。

 

 

 

あと,後ほどの信託の破産にも絡むんですけれども,清算している過程において,どうも債務超過であるといった状況が生じたときに,商法の議論であれば特別清算に移行することになると思うんですけれども,この場合ですと破産の議論にいくのかどうかということで,破産の方は,認めるか認めないか両方の議論があるかと思うんですけれども,仮に認められる場合というのは,この中でよきに計らうといいますか,何か特別な規定が場合によっては必要なのか否か。

 

 

必要であるという主張ではないんですけれども,その辺,どのように考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。

 

 

  •  ほかに関連してございますでしょうか。

 

 

  •  先ほどの終了権限の付与された者の義務については,○○委員がおっしゃったように,忠実義務はやや困難ではないかと私も思いますということだけ付加させていただきます。

 

 

信託の清算の方の,今回,詳しく説明していただいた条件付債権の取り扱いについて,大変細かいところで恐縮なんですが,これは,評価された条件付債権の弁済自体は受託者に交付するということになりますと,受託者の固有の責任財産になりますので,そうしますと,条件付債権の方はまだ条件成就していないけれども,他の債権者がどんどん押さえてこられるというようなことになるとお考えなのか,それとも何らかの確保措置をセットで御検討になっているのかという点でございます。

 

 

確保措置がないのであれば,私自身は,深くは考えておりませんが,まだ債権者に交付してしまった方がいいのではないかという気がするものですから,その点についてお聞かせ願えればと思います。

 

 

 

  •  具体的な措置と言われますと,ちょっとまだ十分検討しておりませんで,ただ,保管してとかプールしてとかいうのは,おっしゃるとおり,混ざってしまいますとほかの債権者がかかってこられて,意味がない。

 

 

 

あくまでこれは,この条件付債権者のための財産として確保されるべきものだというのが前提でございます。その方法については少し検討したいと思いますが,おっしゃるとおり,このような手続をとる以上は確保措置が必要になりますし,もしそれがうまくいかないようでしたら,一気に清算するということもあり得るかなと思っております。

 

 

 

  •  私も同じことを申し上げようと思ったので,ちょっと付言しますと,そういう場合には,この御説明書とは違いますけれども,清算事務が結了していないという整理ができるのが,ある意味で従前の法定信託--その部分についてだけ法定信託として,清算が結了していないので,1に従って信託が残っているというような構成もあり得るのかなと思っていたわけです。

 

 

いずれにしても,やはりここの確保措置がなされなければ,受託者のクエスションリスクを負うということですので,ちょっと問題なのかなと思ったものですから,つけ加えさせていただきました。

 

 

  •  一つの考え方かもしれませんね。

 

受託者に引き渡すというような表現がどこかに書いてあったので,ちょっと問題になったんだと思いますけれども。ほかの債権者がかかわっていけない,受託者の個人債権者はかかわっていけないような措置は必要だと。

 

 

  •  その措置があれば,このような処置の仕方で良いのかという点はいかがでしょうか。

 

 

例えば,仮に条件不成就ですと,言葉は悪いですが受託者が丸得するわけですけれども,それでも確保措置さえできていれば,とにかくプールしておいて,そして結論を見た上でどうするか。

 

 

50万円損するか50万円得するか,言ってみれば博打みたいなものでございますが。どちらがいいのか,一気に清算するというのがいいのか。

 

 

議論の過程では,こうしますと結論が長引きますので,いっそのこと,もう信託が終了したときには条件付債権者についても,仮に無限責任であっても一気に清算する方が,一気に解決できていいのではないかといった議論もございましたし,さらに申しますと,無限責任債権者は,常に信託財産にいけると知っているわけではなくて,自分は固有財産にしかいけないと思っていたら信託財産にもいけるとわかったという者,あるいは最初からいけると知っていた者について区別する必要はあるのかどうか。

 

 

 

知らなかった者についてはプールしておくという方法もあり得るにしても,知っていた者については,もう信託財産の清算の過程で一気に清算してしまうということもあり得るのではないかといった話も多少出ておりまして,そもそもどういう考え方が結論としていいのか。

 

 

これがよければプールの方法も考えたいと思っておりますが,またそういう御指摘もいただければと思います。

 

 

 

  •  仮に私の言うとおり継続するものであれば,余った場合に,例えば受益者にまた改めて返す。これは受託者にとっても面倒なことだとは思うんですけれども,そういうことも可能なのかなという気もしております。

 

 

それが仮に信託行為で最初から定めていることであれば,それも一つの商品性として歓迎するのかなというふうにも思いました。

 

 

  •  恐らく受託者のところにいってしまうわけではなくて,また受益者と--受益者というのは帰属権利者ということですね,あるいは分配しなくてはいけないということになりそうな気がしますね。

 

しかし,○○幹事が説明されたように,そもそもこういう解決でいいのかどうかというあたりが実際の問題として,もうちょっと検討した方がいいかもしれませんね。

 

 

それでは,休みの間にでも,また御意見があれば伺わせていただくことにして,ここで一たん休憩をいたしましょう。

(休     憩)

 

 

 

  •  では,準備ができたら始めてください。

 

 

  •  終了のところで○○委員からお話があったのは,破産のところにも関係するんですが,特に信託債権と受益債権の優先劣後関係についての問題の御指摘ではないかと思われます。

 

 

 

これはむしろ皆様にいろいろ議論いただきたいと思っているところでございまして,過去の提案では,受益債権の方が劣後するとしておりますが,そこら辺が自由に定められるのか,あるいはそのような規律自体が適法なのかというあたり,もうちょっと皆様の意見を伺ってみたいと思っております。

 

 

番人

「信託の債権者の方が優先しそうな気がする。」

 

 

  •  ほかに,終了のところに関していかがでしょうか。

 

  •  前回お話ししたことの繰り返しになるかもしれませんけれども,くどいようですが,61の1の(1)の④について,いわゆる58条リスクの話を申し上げました。それについて,これで十分なのかどうかについて,まだ検討の余地があるというお話でございました。

 

 

 

同じ話をいたしますと,方向性については非常に賛成するわけでございますけれども,なお,このような条項で,ファイナンス目的の場合に,果たして安定的な信託ができるのかどうかについては,格付機関も含め,いろいろな取引当事者間のコンセンサスが出てくると思いますものですから,ここについては,ぜひともパブ・コメ等で意見を聞いていただいて,その上で御判断するのがよろしいかと思っております。

 

 

 

 

 

その際,これも前回申し上げましたけれども,ファイナンス目的ということについて前回の説明でいただきましたけれども,それについては要綱試案等で書いていただきたいということですが,1点だけ加えますと,ファイナンス目的といってもいろいろなタイプのストラクチャーがございまして,また,ファイナンスといっても,例えば真正売買の関係から,これはファイナンスかどうかという話もあるぐらいですから,ある意味で,ここで言うファイナンスというのは非常に広い意味でのファイナンスで,ちょっと具体的に全部記述することは難しいと思うんですけれども,そういうことがわかるように御説明いただければなと,ちょっとお願いしたいところでございます。

 

 

 

 

  •  同じところですので,続けて申し上げさせていただきたいと思います。

私も,裁判所による信託の終了のところで,目的を基準とすることで,本当にこれで明確と言えるかどうかということは,前回,信託の変更のところでも申し上げたとおりでございます。

 

 

仮に目的が不明確であるとした場合には,目的に適合しないと認定するのは非常に困難であって,その結果,裁判所による信託の終了というのは機能しないということでもよろしいのかというあたり,仮にこの要件を維持するとすればということでございますが,そこが1点でございます。

 

 

もう一点は,他の原因によって信託が終了している,実体的に終了しているという場合,特に,例えば目的の達成が不能になって,既に信託が終了しているという場合には,既に実体的に終了していますので,④によって信託の終了の申立てがあったとしても,裁判所はこれで信託の終了を命じるということにはならないのではないかと考えております。

 

 

そのようなことでよろしいのかというあたり,若干確認的に申し上げさせていただきたい。よろしいとは思っておりますが,若干確認的に申し上げさせていただきました。

 

 

  •  前者は,目的に適合しないこととなった場合というのが積極要件となっておりますので,信託の目的の趣旨がいま一つはっきりしないということで,適合しないという認定ができないということであれば,申立て自体は認められないという結論でいいのではないかと思っております。

 

 

それから,終了するまでもなく既に達成不能になっている場合は,もう当然終了しているかということでございまして,そういう場合,それにもかかわらず,言ってみれば④の方より①の方が広いわけでして,④は①に含まれるという感じになると思いますが,それでも,確認的に終了を命じていけないのかと言われると,当然そこは①に当たるんだから,裁判所としては④の申立てを却下するということがいいのかどうか,検討してみないとわからないところです。そういう場合は,理由の中で「この信託は目的の達成が不能と認められるので,この申立ては却下する」こういう書きぶりになるという感じでございますか。

 

 

 

 

 

  •  どこまで理由を詳しく書くかというのは,よくわからないんですが,実務的に,具体的に心配しておるのは,まさにおっしゃられたように,目的の達成が不能である。

 

 

にもかかわらず,ちょっと心配だから裁判所にというような申立ては,そういう目的で,この裁判所に対する申立てという制度があるわけではないというところを確認させていただきたいということでございまして,もしそういう余地があるのであれば,「他の原因によって信託が終了した場合を除く」といったところで,むしろ要件を明確化していただくことが考えられるのではないかと申し上げたところであります。

 

 

 

  •  本来は生きている信託を終了させるのが,④の趣旨からすると,おっしゃる趣旨が妥当するのかなという直感がいたしますが,御指摘の趣旨を踏まえて検討したいと思っております。

 

 

 

  •  余り明確にしない方がいいような気もするけれども。

終了のところは,ほかによろしいでしょうか。

それでは,ほかにも関連する問題,さっきの受益債権の問題もあるし,先に生きましょうか。

 

 

 

  •  では,続きまして,信託財産に係る破産手続の整備についてに移らせていただきます。

 

 

前回会議において各論的に特に問題指摘がなされた事項についての検討結果と,新たな問題提起を示したものでございます。

 

 

4点ほどございますが,まず,前回会議におきましては,手続を設けるべき信託の範囲について,信託債権の責任財産が信託財産に限定されていない場合についてまで破産手続の対象とする必要はないのではないかとの指摘がされました。

 

 

この点については,まず,信託債権の責任財産が信託財産のみに限定されることとなる,いわゆる有限責任類型の新たな信託制度を仮に導入することとした場合には,このような信託について,破産手続を導入することには異論がないことを確認したいと存じます。

 

 

 

その上で,問題は,受託者の固有財産も責任財産となる信託一般についても破産手続を導入する必要があるかという点でございまして,現行法上,いわゆる合名会社につきましても破産制度がありますので,受託者無限責任の信託に破産手続を導入したとしても,制度間のバランスを欠くものではないと思います。

 

 

もっとも,前回会議でも指摘がございましたとおり,受託者無限責任の信託と破産制度が果たして相容れるものなのかといった問題が生ずることは,否定できないところであると思われます。

 

 

 

このような問題点を含むことを踏まえた上で,さらに受託者無限責任の信託についても破産手続を導入すべきか否かということは,契約相手は受託者個人であるにもかかわらず,しかも自己の有する債権が信託債権であることの知,不知にかかわらず信託財産をも引当財産とすることができるという信託債権者の利益がどこまで保護されるべきかという点についての実質的判断にもよるべきものと思われます。

 

 

 

この点につきましては,有限責任取引の一定の浸透を初めとする現在の信託取引の実情ですとか,信託債権者の合理的な期待内容,さらには今回の信託法改正の全体を通じて見た場合の信託債権者に対する保護のあり方などを総合的に考慮することによりまして,現段階で結論を出すこととはせず,なお引き続き検討していきたいと考えております。

 

 

 

以上の点につき,その他にも考慮すべき要素,あるいは受託者無限責任の信託について破産手続を導入することの当否自体についても,御意見があれば御指摘いただければと思います。

 

 

 

続きまして,第2でございますが,前回会議におきましては,事務局より,残余財産の給付を内容とするものを除く受益債権も破産債権に含まれるとの考え方を示しましたところ,エクイティと位置づけられる受益債権がデットと同じく破産債権に含まれるというのは矛盾ではないか,受益債権を破産債権に含めてしまうと,信託財産が債務超過状態になるとの判断が極めて容易になされてしまうことになるのではないかとの問題指摘がされました。

 

 

 

 

この点については,まず,株式において,具体的に生じた配当請求権については破産債権となるものと介されていることにかんがみますと,仮に受益債権がエクイティの性質を有するものだとしても,一定の受益債権をもって破産債権と取り扱うことが矛盾であるとまでは言えないと思われます。

 

 

 

そして,破産手続の開始等により信託が終了した場合におきまして,いまだ履行されていない受益債権がどのように取り扱われることになるのかは,信託行為の定め方次第であると考えます。

 

 

 

ただし,これを資料中の説明に即して,より具体的に検討してみますと,一応次のように言うことができると思われます。

 

 

 

例えば,まず,破産手続の開始等による信託終了時において,履行期が既に到来している受益債権ですとか,あるいは一定の猶予期間に基づき期間収益を分配することを定めた株式類似の受益権において,期間収益の確定行為が既に行われていることにより発生済みの受益債権,このものについては,株式において具体的に生じた配当請求権と同様に,信託財産の破産手続において破産債権として取り扱われ,破産手続の中で清算されることになると考えます。

 

 

 

これに対しまして,破産手続の開始等による信託終了時において,履行期が到来していない受益債権ですとか,先ほど言いました株式類似の受益権において,期間収益の確定行為が未だ行われていないことにより未発生の受益債権,こういうものにつきましては,信託の終了をもって消滅し,あとは受益者または帰属権利者に対する残余財産分配請求権が残るのみであるとの信託行為の定めがあること,あるいはそのような趣旨の信託行為であると認定されることが一般的でありまして,したがって,信託財産の破産手続において破産債権として登場してくることはないのではないかと考えられます。

 

 

さらに,前回会議で挙げられた例に即してもう少し具体的に言いますと,例えば,100万円を管理・運用して毎月末に10万円ずつ10か月間給付するという定めをした信託契約におきまして,1か月経過後に信託が破産した場合においてどうなるか。

 

 

弁済期到来済みの当初の1か月分の10万円と,弁済期未到来の残り9か月分の90万円というものについて考えますと,最初の10万円は破産債権となりますが,残りの90万円については,破産により消滅するというのが信託行為の趣旨であると認定されるならば,破産債権とはならないと考えられます。

 

 

また,例えば有価証券の投資により,利殖の上で5年後に残額を返還してほしいという趣旨で50万円が信託されたところ,4年目に信託財産が破産したとしますと,この委託者の有する債権は,破産清算後に残額があれば交付されるべき残余財産分配請求権にとどまることが一般であると解されまして,やはり破産債権には含まれないのではないかと考えられます。

 

 

 

 

 

以上によりますと,破産手続の開始により信託が終了した場合において,受益債権は,破産債権としてではなく,破産清算終了後の残余財産の清算手続において登場してくるにすぎない場合が少なくないと思われまして,信託財産が債務超過状態にあるとの判断が容易にされてしまうとの懸念は当たらないように思われます。このような考え方につき御意見を伺いたいと思います。

 

 

 

第3に,前回会議におきましては,信託財産に係る破産手続をより簡便なものとする観点から,あるいは信託の破産の場合においては受託者がまだ正常に行為し得る能力がある場合もある上に,信託財産の状況を一番よく知っているはずの者でもあることにかんがみると,「裁判所が選任すれば,受託者も破産管財人に就任することができる」との特別の規定を信託法に設けることも検討に値するのではないかとの指摘がされました。

 

 

 

しかしながら,この点につきましては,破産管財人の公平・中立性の要請ですとか破産債権者の信頼の確保等の観点からしますと,破産債権の債務者であり破産財団たる信託財産の所有者である受託者本人が破産管財人に就任することが有益であるとは言いがたく,むしろ信託財産とは何ら利害関係のない第三者が破産管財人となって破産手続を進行させることが,破産手続のスキームに適合的であると考えられること,その他,資料に書いた理由によりまして,御指摘に係るような規定を設ける合理性は認めづらいのではないかと思っております。

 

 

 

 

最後に,前回会議におきまして事務局より,信託の終了による清算の場合と同様に,信託財産の破産手続においても受益債権は信託債権に劣後することになるとの考え方を示しましたところ,このような考え方によりますと,信託債権者に比べて受益権に対する投資家の方が劣ることとなって,信託を器として利用した流動化の局面などにおいて投資を募ることが困難となるおそれがあるのではないか,会社と異なり,信託では厳格な配当規制が存しないことを考慮するのであれば,受益債権を劣後させるのではなくて,受益債権の弁済についての否認権や詐害行為取消権の活用をもって対処すべき問題ではないか。

 

 

 

あるいは,未発生のものはよいとしても,既に発生した受益債権についてまで信託債権に劣後させるのは行き過ぎではないかなどの観点から,事務局の前回示した見解を疑問視する御意見が示されました。

 

 

 

 

 

 

この点につきましては,資料17ページの(注)に書いてございますとおり,受益債権に対する関係において,信託債権には共益的な色彩が見られることですとか,否認権や詐害行為取消権の行使にも一定の限界があり得ることにかんがみますと,信託債権を優先するとの事務局の考え方にも一応の合理性があるのではないかと考えるものでもございますが,しかし,この優先・劣後関係,信託債権と受益債権との優先・劣後関係は,先ほども御指摘があったとおり,非常に重要な問題でもございますので,引き続きぜひとも御意見を賜りたいと思います。

 

 

 

  •  まだいろいろ難しい問題が残されておりますので,いろいろ御意見をいただければと思います。

いかがでしょうか。

 

 

 

  •  全体像ではなくて,いきなり最後のポイントの各論のところなんですけれども,先ほど私から信託の清算のところでコメントいたしました。

 

 

それも結局,受益債権と信託債権の関係のところを信託行為で別段に定めた場合に,それがデフォルト・ルールだから信託行為の方が優先的に適用されるのかどうかというところもありましたので,ちょっとその辺だけに絞って質問ないし意見を述べたいと思います。

 

 

いわゆる流動化でハイブリッド型というのがございまして,恐らくこの場で既に議論されているのではないかと思うんですけれども,その場合ですと,優先受益権とABL--ノンリコースローンですかね--は契約上,同列に取り扱われておりまして,それは今回の御提案ですと,既発生の部分と将来の部分とに分けておりますけれども,もちろん別にそういうわけではありませんでして,契約当事者間においては,それは同列で取り扱っております。

 

 

それが信託の清算とか,信託の破産手続を設けるかどうかの議論ですけれども,仮に設けるとした場合に,そういう局面において,ある意味では身分の違うものとして取り扱われるということ自体が,信託行為の定めとか信託の柔軟性にもとることになるのではないかと思います。

 

 

 

もちろん,新しい信託法ができて,それが序列が違うんだということが明らかになれば,そのような商品設計はされなくなると思うんですけれども,恐らく今,同列に扱われているというのは,投資家の方で,ローンで投資したいという方と優先受益権で買いたいというような投資家サイドの希望からでき上がっているものでございまして,そうすると,今までできたものが,信託法でこういう規定を設けることによってローンでしか出せなくなる。

 

 

 

それを,いや,ローンでは困るということになって,もう一回SPCに入れてそれを社債型にするとか,また手間をかけることになってしまうということで,今までできたことを,あえてそういうふうにする必要はないのではないか。

 

 

 

 

 

では,その限りにおいてはそのとおりなのかもしれないけれども,一般的な信託債権者が登場したときに一体どうするんだろうか,そういうことがこの間の破産手続の問題だとは思うんですけれども,ABL--ノンリコースローンにおける額面というものは,ある意味では信託財産が減れば,要するに,一般債権者が出ればその分へこむわけでして,ですから,ある意味では額面といいますか,表示上の額面にしかすぎないという側面を持っています。

 

 

 

その限りにおいては極めて信託受益権に近いものはございますし,片や社債型の信託受益権というのは元本があり,確定利回りであり,実績配当の信託においてなぜそれが可能かといえば,それは劣後受益権があるから可能であるということでございまして,極めて社債に近い性格を持っている。

 

 

 

ですから,経済的実質においては,単に当事者が勝手にそれを同じだと決めただけではなくて,経済的実質においてもほぼ同じものでございます。

 

 

 

ですから,これが信託清算のところの,先ほどの弁済の充当のところで,債権に先に充当し,その後に受益権に充当するというところに対しての,デフォルト・ルールでやる必要があるのではないかという発言にもつながりますし,また,この信託に対する破産制度を仮に設けるとしました場合に,その破産原因として債務超過ということを仮に規定する場合に,債務超過の債務に対して,ABLだけを取り上げるのか,場合によっては信託受益権の額面というものも取り上げるのか。

 

 

 

全く違う見方をして,ABLにおける額面というものは,ある意味では信託財産によって幾らでも減額されるものであるということになれば,債務超過のところの債務というものとしては,ABLは認識しない。

 

 

 

したがって,有限責任信託でも特約付でもいいんですけれども,幾ら一般債権者が増えたとしても債務超過にはならない。

 

 

どうしてかというと,ABLの額面が実質減っていくから。ですから,信託財産を超えてしまえば別ですけれども--というようなことで,逆に,そうすれば流動化に対して破産の手続というか,債務超過を倒産原因としたとしても,流動化には実質的に適用がないだろうというような議論にもつながっていくとは思うんですけれども,その辺が不明確なまま,または通常の発想ですとそういう発想はなかなか出てこないと思うので,そうすると,例えば信託財産,100のABLがあって,たまたま1の債務を負ってしまった瞬間に債務超過になってしまう。

 

 

すみれ

「そうなんだ。難しいね。」

 

 

でも,実質的にはそれはABLのサイガントでは99で済むわけですから,実質においては債務超過ではないと思うんですね。信託の債務超過が会計的にといいますか,この手続上どういうふうにとられるかということにも結びつくと思うんですけれども。

 

 

いろいろ申し上げて申しわけないんですが,結論としましては,今,幾つか提案がありましたけれども,それ以上に,信託行為の定めというものを優先的に取り扱ってほしい。

 

 

もちろん流動化だけが信託ではございませんから,一般論としての,また,デフォルト・ルールとしてのこういう取扱いというものは,それはそれでいいのかもしれませんけれども,既存のスキームというものが今後とも,信託法が改正された後も,ある程度使えるものであった方が,よりよいのかなという視点からの発言でございます。

 

 

 

  •  今の関連で,受益債権と信託債権の優劣関係についてでございますが,まず結論だけ申しますと,私が今,考えているのは,受益債権は信託債権に劣後することもあるということでございます。

 

 

以下,付言いたしますと,まず,倒産手続で最も先鋭化します複数の債権の間の優劣関係というのは,基本的に,まず実体法が決める問題である。

 

 

それで,今次の倒産法の改正で入りましたとおり,約定劣後のようにですね,当事者の意思で決めることもできる,こういうものだろうと思います。

 

 

実体法で決める問題でありますから,倒産固有の問題ではなくて,例えば,どちらかの債権を執行債権として強制執行が始まって,もう片方が配当要求で入ってくるという場合でも同じように生ずる問題でありまして,倒産固有の問題ではないんだろうと思います。

 

 

 

したがって,最も先鋭化する破産手続の整備のところでこの項目が入っているのは,現象としては,もちろんそれで結構なわけですけれども,問題は破産と切り離して考えるべきだろうと私は思います。

 

 

そうやって考えますと,特に一般債権として性質が違うものでなければ,プロラタが原則なんだろうと思いますが,ただ,17ページの(注)にございますとおり,信託債権として扱われるのが信託上の事務処理に関するものに限定される。

 

 

 

その「受益者全体の利益のために支出された費用と同視し得るもの」というものがあるとすれば,全部ではないと思いますけれども,あるとすれば,これは民法の先取特権の共益の費用,これを通じて優先的破産債権のような扱いをし,結果として優先・劣後の関係がつく,こういう説明をすることになるんだろうと思います。

 

 

 

 

 

信託債権がすべてこの共益債権に当たるかどうかはよくわからない,そうではない場合もあるのではないかと考えましたので,冒頭申し上げたとおり,受益債権が信託債権に劣後することもあるだろうし,そうではないときもあるだろう。

 

 

 

それから,今,○○委員からもお話ございました,約束で優先関係を決められるということであれば,約定劣後の約定と認識できる限りでは,破産手続では当事者の合意で優先順位を動かすこともできるだろう,こういうふうに説明することになるのではないかと思います。

以上が4の受益債権と信託債権との優劣関係です。

 

 

御議論があるのはこの辺かと思いますが,あと2つだけ,ほかの点について簡単なコメントをさせていただきたいと思います。

 

 

1つ戻って,3の受託者が破産管財人となることの当否についてでございますが,結論としては,これ,何も規定を置かないということでよろしいのではないかと思うんですけれども,ただ,この場の議論が,受託者というのがおよそ破産管財人に就任するのは不適当であるということでまとまってしまうとよくないなと思いまして,一言だけ申し上げさせていただきます。

 

 

 

破産規則の第23条第1項では,破産管財人というのは,その職務を行うに適した者を選べということが書いてあって,何か特段の類型の人を排除する仕組みにはなっていないわけですけれども,例えば受託者が,信託財産が危殆に瀕しているというので,いわば事業の立て直しのプロみたいな人が直前に送り込まれて,その人が受託者として頑張ったんだけれども,もう遅くて破綻したというような場合には,その人を破産管財人にすることが適切な場合も恐らくあるだろうと思いますので,この場の議論の結論が,受託者というのはおよそ破産管財人にするのは不適切だということでまとまってしまうと困るなと思いまして,一応議事録に残しておきたいということでございます。

 

 

 

 

第3点でございますが,一番最初に戻りまして,そもそも破産手続の整備に係る全体の話でございますけれども,前回の信託法部会資料の9というところで随分詳しく,今年2月ですか,いろいろ論点が挙がっておりますけれども,一言だけ,その手続を組み立てる際の基本的な考え方について私の考えを申し述べますと,信託財産の破産専用の自己完結的な,よりシンプルなものをつくるというのは,恐らく要らないだろう。

 

 

 

 

つまり,現在の破産法をベースにしながら,あたかも相続財産の破産についてなされているように,個別のところで特則を置いていけばいいだろうと思います。

 

 

別個の自己完結性の手続が必要だという御意見は,ここでもどこかで出てきたような気がするんですけれども,それは恐らく,現在の破産手続は重たいという認識を前提にされているんだろうと思います。

 

 

 

しかし,昨今の破産手続の運用を見ますと,かなり大きい事件でも相当迅速に処理されていると思いますので,先ほど申し上げましたとおり,個別に特則が必要なところだけ,例えば申立権者ですとか破産財団の範囲ですとか,そういうものだけ手当てすればよくて,別個の自己完結的な破産手続をつくる必要はないだろうと思ってございます。

 

 

 

 

  •  3点あるんですけれども,今,○○委員と○○幹事がおっしゃったことにも関係すると思います。

 

 

 

第1点ですが,優先・劣後。約定劣後はありと○○幹事がおっしゃったこと,私も基本的に,考え方としてそのとおりだと思っているんですけれども,ただ,いずれにしても,原則が平等なのか,原則が劣後しているのかということは決めなければいけないことだと思いますので,会社法で言えば,原則は株式は債務に劣後していますというのが出発点で,これは現在の商法ですと第131条の本文ですけれども,その場合に,債権の方が自分で自発的に約定で劣後していくのはいいんでしょうけれども,下の人が約定で上がるのは,多分だめだと思います。

 

 

 

 

それから破産法が,約定劣後の規定はあるんですけれども,あれは私の理解では,債権の間,下がるというものはいいと思うんですが,株式と同列あるいは株式より下に下がるという,実務で超劣後と呼んでいた,それにはどうも破産法上の文言が対応していないように思えるものですから,それは解釈問題だと思うものの,そういった点が論点としてはあると思います。

 

 

 

ただ,いずれにしてもデフォルト・ルールというか,出発点が,もともとイコールなのか優劣があるのか決めませんと,その上で約定劣後はありという話だと思います。それが1点目。

 

 

2点目は,○○委員がおっしゃったことと関係するのか関係しないのか,よくわからないんですけれども,つまり,優劣を設ければ新しい秩序になるかという話で,私は流動化の実務を知らないんですけれども,多分,信託については従来は信託債というか,株式会社形式の場合には社債で複層化というんですかね,マルチレイヤー,多層化のキャッシュフローを切り分けてやってきたと思うんですね,株式ではなくて。株式の中に優先・劣後を13種類つくるということはしませんで。

 

 

 

 

しかし,信託を使う場合には,信託債というものが今回はありということだと思うんですけれども,従来はっきりしなかったものですから,その代わりと言ったらなんですけれども,受益権を複層化するという使い方をしてきたように思いまして,ですから,どっちにそろえばいいとか悪いとかいうことではないんですけれども,もし今回,信託債というものがありということがはっきりすれば,恐らく受益権というのは流動化の器というか,箱として使われる場合には,株式会社の株式のようになっていくかもしれない。

 

 

 

「かもしれない」としか言えないんですけれども,そこの「信託債」というところとの関係があるような気がするというのが2点目です。

 

 

 

 

 

3点目は,この資料に書いてあるお話で,もともと優劣をつけても,株式会社の株式の場合には株主に--何というんですかね,発生した具体的なというんですかね,どこかに書いてある--配当請求権というのは劣後していない,破産債権で同等でやるという御指摘があるんですけれども,これはそもそもなぜそうかというのが私は疑問でして,今,考えられる答えというのは,それは株式会社は債権者保護のための配当規制をしていまして,配当規制を守って初めて具体的な配当請求権が出てくるはずなんですね。

 

 

 

したがって,配当規制に違反した,現在の条文だと第290条に違反した利益処分決議をしても,具体的な配当請求権は発生しないと私は思うんです。

 

 

したがって,そういう配当規制を前提としているからこそ,具体的に発生したものは同等ということになっているんだと思いますので,ちょっと信託の場合には,それは配当規制を想定しているわけではありませんので,この話は例の有限責任,無限責任も含めて,そう簡単ではないんですけれども,株主は原則は商法第131条で劣後だけれども,具体的に発生したものは同等なんだからというところは,ちょっと注意を要する。そのまま信託には当てはまらないような気がいたします。

 

 

 

  •  2に関してでございますが,これも前回申し上げたところでございますが,結局,債務超過概念というのが明確でないというところもありまして,信託の安定性というのがどうなのかというところに若干の疑問があるということの文脈で,もちろん銀行として,債権者の立場からすると,破産をさせやすいというのも1つのメリットでありますけれども,総じてそういうプログラムに入るものとして,想定外の信託の上,破産がある場合には問題になりますので,そこら辺のバランスを考える必要があると思います。

 

 

その観点から,第1に,受益債権が破産債権であるということになった場合には,やはり信託が壊れやすいということにもなり得ますので,そういう意味で,やはりエクイティ的な取り扱いにしていただきたいということだと思います。

 

 

 

もっとも,やはり信託の柔軟性ということもございますものですから,そこら辺,デフォルト・ルールということで考え方が設計できるのであれば,それも一つの手なのかなと思っております。

 

 

ただ,第2に,受益債権についても手当てできたとしても,例えば不動産についても,これも前回お話しした例ですけれども,今,一瞬時価が下がった場合に即,債務超過になってしまうということもあり得て,そういった場合でも,予想外の債権者からの破産申立てがある場合にみんなが困ってしまうという状況があるということについて,どうするのかという話でございます。

 

 

 

そういう意味で,債務超過概念を考え直す必要もあると思うんですけれども,そこで,1つ中で議論が出ているのは,これは商事信託要綱の中で,具体的には第713条の第7項を読み上げますと,前項による債権者の破産申立てに対し,受託者が弁済をし,または相当の担保を供した場合には,裁判所は破産を宣告しないことができるということでございます。

 

 

 

 

受託者がかかる義務まで負うのかどうかという議論は別途あるかもしれませんが,やはり予想外の場合に,こういう救済手段を置いておくというのも一つのアイデアなのかなと思いました。

 

 

 

 

続きまして,4に関してでございますけれども,受益債権と信託債権の優劣関係でございます。

 

 

 

ここも,基本的にはデフォルト・ルールということもあるのかもしれませんが,ただ,実務的な感覚からすると,やはり受益債権は信託債権より劣後しているのかなと思っておりますので,原則的な取扱いというのは,そのようになるべきなのかなと思っております。

 

 

 

もっとも,これに対しては,投資家から十分な資金を集めることができるのだろうかとか,債務を負担することを禁止せざるを得なくなるのだろうかという疑問点がこの報告書にも書かれておりますが,前者については,これも実務的な感覚でございますが,そういう懸念はないだろう。後者についても,ストラクチャーの問題であろうと思っておりますので,懸念材料はそんなにないのではないかと思っております。

 

 

 

 

続きまして,3番目でございます。これも前回において私から問題提起したところでございます。

 

 

その場においてはなかなか賛同がなかったものでございますけれども,少なくとも,先ほど○○幹事からお話があったように,やってもいいなというケースもあるものでございますので,ここでは,多分この報告書もそういう趣旨だと思いますけれども,禁止はされていない,明文に規定をもってできるということは,例えば商事信託要綱にも書いてありますけれども,そういうようなことはしないけれども,逆に否定まではしていないということを確認したいと思います。

 

 

 

 

最後でございますけれども,そもそも破産の類型をどうするのかという話で,有限責任信託だけに限るのかということでございますが,これは理論的なことはともあれ,実務的な立場からは,やはり信託が立ち行かなかった場合の最後の出口としての破産制度,ないしは債権者の最終的な回収手段としての破産制度というもの,特に受託者が余り資力がない場合においては,やはり信託財産から回収したいということでございますので,そのニーズはあると思います。

 

 

 

例えば,これは保証人付の債権ということもあると思うんですけれども,幾ら保証人がそういう意味で無限責任を持ったとしても,当該債務者は破産制度の対象となるということでございますので,そういう意味で,受託者が無限責任を負っているからといって,通常型の信託類型において破産制度が妥当でないという考えには,必ずしもならないと思っております。

 

 

 

そういう意味で,通常型においても破産制度というのは必要だと思っています。ましてや有限責任類型においては当然必要になると思います。

 

 

 

  •  なかなか難しいですね。
  •  ○○委員から2番のお話が出ましたので,ちょっと言及させていただきたいと思います。

 

 

 

 

第9回の本席で私の方からも,受益債権を破産債権に入れるというのは,基本的には違和感がありますと。

 

 

エクイティと見るかデットと見るか,そういう問題は別にして,実務的な感覚からすると違和感がありますということと,やはり設定してすぐに債務超過になる可能性も大きいのでというお話をさせていただいて,それに対して今回の規律といいますのが,説明は15ページの②にありますけれども,履行期が来ていないものについては,信託の終了事由が発生したことを解除条件とする債権と位置づけることによって解決を図っていただいているということでして,正直言って,実務的な感覚はちょっと違うかなという感じはするんですけれども,こういう整理をしていただいて,履行期が来ていないものについては破産債権に含まない,そういう結果を生みますので,その結果といいますのは,基本的に実務上,非常にありがたい規律になっておりますので,こういう方向性で検討していただければと考えております。

 

 

 

 

  •  この破産の問題,実は弁護士会の方でも議論をしておるんですけれども,なかなか意見が進んでこないというようなことで,難しい問題だなと受けとめております。

 

 

 

現在の破産法との関係では,法人格がない者に破産能力を認めるという点で,かなり異例ですし,相続財産との関係でも,相続財産は,相続発生時点で財産が固定される状態になるんですけれども,そうではなくて,信託は日々動いているということで,かなりこれまでのものとは異質なものを破産させようとしているんだなという受けとめ方をしておりまして,いろいろ議論があるところで,未だ固まった意見になっていないのが実情です。

 

 

 

 

個人的な観点から,何点か意見を述べさせていただきたいと思うんですけれども,まず,第1点,この破産制度を導入する範囲についてですが,これは基本的に有限責任信託,新しい信託類型については債権者保護の観点からということがわかりやすいんですけれども,通常の信託の場合には,債権者保護というよりも,むしろ信託を終了させるメリットですとか,あるいは公正な第三者により信託の最後の処理をするというメリットの方が,むしろ重視されるような場合なのではないかと受けとめております。

 

 

 

 

そういったことを考えますと,通常の信託の場合にも破産の手続を整備した方がよいように思いますし,また,例えば受託者が破産した後に信託を処理しなければならないとなった場合に,やはり通常の信託の場合にも,手続がないとちょっと困るのではないかという感じがしております。

 

 

他方で,恐らく有限責任信託の方が,破産手続を具体的にどう規律していくかということを考える際には比較的やりやすいのではないかという気もしておりまして,どこまで法律,制度をつくるべきかというところは,ちょっと悩ましい問題かなと受けとめております。

 

 

 

 

 

それから破産原因について,基本的に債務超過を破産原因とするという前提で議論されているかと思うんですけれども,債務超過というのはなかなか難しい議論があるところですし,特に通常の信託の場合には,合名会社等の規律との平仄等も考えると,そこまで破産原因とせずとも支払不能を破産原因とするというような規律でよろしいのではないかと感じております。

 

 

 

関連して,受益債権の取扱いについて,今回,緻密な議論をいただいているかと思うんですけれども,1点気になっておりますのが,残余財産の給付を内容とするものを除くとしている点です。

 

 

 

この点については,いろいろな信託の類型があろうかと思うんですけれども,信託の中によっては,例えば土地信託で元本収受権を残余財産分配請求権的に構成している場合もあるように思いますが,こういった債権が破産債権から除かれるというのは,ちょっと違和感があるように思います。この点については再検討いただければと思ったりしております。

 

 

 

それから最後の,受益債権と信託債権の優劣関係について二,三,受益者の立場からということで御検討願えないかという点なんですけれども,信託財産が破産するに至る過程の中で,受託者の地位にあった元受託者といいますか,この方が,恐らく信託財産に費用償還請求あるいは報酬請求をしてくることになろうかと思うんですけれども,これとの関係で見たりしますと,受益者としては,受益者の債権が劣後するというのはどうも納得いかないという感じを持つのではないかと思います。

 

 

これは何というか,そういうものであると言ってしまえば,それはそうなのかもしれませんけれども,ちょっとここは慎重に検討する必要があるのではないか。

 

 

また,同じように,「信託債権者」と言っても多分いろいろな信託債権者がおられて,受託者の関連会社が信託債権者として登場してくる場合もかなりあるのではないか。

 

 

こういった場合でも,そういったところがみずからの報酬を確保して,あるいは費用の点はしようがないのかもしれませんけれども,確保して,みずからの受益権が劣後するというのは,どうも受益者の立場からすると,どうなのかなという感じがちょっとしています。

 

 

 

この辺については,恐らくいろいろな御意見や受けとめ方があるところかと思いますけれども,ぜひそういった点も若干御考慮いただければと思います。

 

 

 

この優先・劣後の問題については,弁護士会の中でもいろいろと議論のあるところで,劣後債権にすべきだという意見ももちろんありますけれども,この辺の取り決めについては,ぜひ慎重に御検討をお願いしたいと思います。

 

 

 

  •  先ほど,優先・劣後を考えるときにどちらを出発点にするかというのが基本的な問題で,そこをまず決めてからその先を考えるべきだという御指摘があって,その上で,株式会社の場合,エクイティが劣後するのははっきりしていて,ただ,確定した配当請求権などは平等扱いになっているけれども,そのアナロジーも,そのままきかない面もあるかもしれない,それは配当規制などとの関係で違いがあるというふうな御指摘がありました。

 

 

 

 

それで,ちょっとよくわからなくなってしまったんですけれども,ここで言っている破産債権になるような受益債権というのは,実はかなり限定されているようなイメージなんですね。

 

 

 

清算時に生じる債務財産の給付の内容とするものは除いていますし,それのみならず,14ページから15ページあたりを細かく検討すると,結局破産債権にならないようなものも相当あるんだというようなことが書かれていることを前提とすると,一体何が残るんだろう,どういうものを典型的なものと想定したらいいのかというのがよくわからなくなってきたんですが,例えば,こんなものを考えると,エクイティに近いから劣後するという議論は成り立たないのではないかと思うようなものも多々あるような気がするんですね。

 

 

 

例えば配当は,信託の配当を決めた。所在不明だったので実際は配れなかった。それが破産になったら出てきたのでまとめて返さなければいけない。

 

 

こういうものが普通の信託債権と比べて劣後するんだろうかというと,何か非常に違和感があると言えばある。

 

 

あるいは,もっとひどいものだと,単に受託者が払い忘れていたというようなケース,後でまた払うんでしょうけれども。

 

 

これは受益債権なんだと思うんですけれども,かつ,これは破産債権になる受益債権だと思うんですけれども,こういうものを考えると,何か劣後……,これはもとはエクイティだからというのが余りアナロジーとして成り立たないような,性質決定として余り適正ではないように思います。

 

 

 

先ほどの,配当規制がない世界と配当規制がある株式会社は違うという議論も,今のようなものに関して,もう既に,ほかの受益者は過去ずっと前に得てしまっているようなものに関しては,やはり余り論点として関係ないような,違いとしては関係ないような気もいたします。

 

 

 

ですから,破産債権となる受益債権というのは大体どういうものがあるのかというイメージをもう少し固めないと,デフォルト・ルールも設定できないのではないか。

 

 

そういうものの中には,実は余り劣後という性格が適切ではないようなものが,実は結構あるのではないかというのが,今の私の印象です。

 

 

 

ただ,それはもう少しきっちり検討しないとわからないかもしれませんので,結論は留保したいんですけれども,もう一点確認させていただきたいんですけれども,仮にデフォルト・ルールとして設定した場合,どういう形で,そのデフォルト・ルールをどういう手続で変えるかということまで踏み込まないと,適切なデフォルト・ルールの設計はできないと思うんですね。

 

 

 

例えば,受益債権が劣後するというルールをとった場合には,ほうっておくと劣後するので,さっき言ったような種類の人たちまで劣後するんですが,この人たちを仮に対等にしようと思ったら,だれとの関係で,だれとどう約束すればいいのかがよくわからないんですね。

 

 

 

信託行為で書いたって,そんなの多分だめで,各債権者との関係で,同じところまでおりてくださいというのを個別に約束するとは思うんですけれども,何かそういうものが本当に適切なのかどうか。

 

 

 

原則平等としておくと,劣後するような種類の受益債権について劣後しようと書くことになるんですが,それは信託行為で書けば,多分できると思うんですね。

 

 

そうなると,デフォルト・ルールをどっちに設定するかによって,後で適切なアレンジメントをするときのコストが変わってきますので,まずどっちが原則かをネイチャーに応じて決めて,そこから先は適正な手続を考えればいいという手順だけではなくて,設定の仕方でその後の手続が変わって,コストが変わることも念頭において適切なデフォルト・ルールを考えないと,やはり手落ちかなという気がして,それを考えると,ますます何か平等扱いの方が,むしろ適切に,信託行為の中でうまく設定できるという意味でいいのかなという印象を,現段階では持っております。

 

 

 

 

 

 

 

  •  関連するんですが,ちょっと違うポイントで,なおかつ解釈論的な議論なんですけれども,有限責任信託には適用があってもいいのではないか,こういう議論で,それは恐らく,有限責任信託は事業的なものに使われやすいだろうという前提だろうと思うんですけれども,場合によっては,有限責任信託というものはいろいろな,民事信託でも,仮に弁護士等が民事信託を受けようとしたら,固有財産まで引当てにする必要はないと思うので,有限責任信託を使うかもしれませんし,流動化の世界でも,でき上がれば使うかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

そうすると,事業をするから有限責任信託ということではなくて,有限責任信託は有限性だからという議論だと思うんですけれども,その中で仮に流動化とか,倒産手続の適用がないためにどうしたらいいかというと,恐らく破産申立制限条項を信託契約の中に入れるだろう,こういうようになると思うんですけれども,この辺は従前の実務でもやっているところなんですけれども,その辺でやや,解釈論的なんですが,確認的なところで,受益者は当初,当事者ではありませんけれども,通常は受益権を分割して投資家に売っていくという形なので,当初の破産申立制限条項というものは,恐らく転々と譲渡していく。

 

 

 

仮に有権証券化された場合でも,そういうものは譲渡していく。実際に社債型の流動化ではそういうふうにやっていまして,解釈論的にそういうものも有効なんだというような議論--どこまで有効かどうかわかりませんけれども--していますけれども,この場合,破産手続の適用を回避したいということを信託行為の中で定めることの有効性みたいなものも,可能であれば法律の中で確認していただけると,それによって破産の適用があるものとないものが,ある程度分けられる。

 

 

 

 

とはいっても破産債権者,債権者というのは第三者があらわれるわけですから,そういう身内だけの取り決めではどうしようもないところはあると思うんですけれども,そうすると,そこから先が先ほどからの債権と受益権の優劣の議論になると思うんですけれども,受益権で,先ほど優先受益権で非常に社債に近いものということを申し上げましたけれども,片や監督的機能しかないような受益権もあったりとか,受益権の債権額というものをなかなか確定しがたいというもう一つ別の側面もございます。これはあくまで流動化の世界だけの話なんですけれども。

 

 

 

 

 

そうすると,これも解釈論的な議論であって,立法論ではないのかもしれませんけれども,制度の中で,仮にABLの債権者は債権者としての身分を取得して分配を受ける。

 

 

 

それで原則に戻って,受益者はあくまでエクイティなんだからということによって,劣後的な分配しか受けられない。

 

 

といっても,信託契約の中でお互いにパリパシである,同じ身分であるという約束をしているわけですから,当事者の任意の履行に期待するというよりも,破産管財人なのか受託者の最後の権限として行使するのかわかりませんけれども,もう一度その中で再分配できるような仕組みをとっていただいて,最終的な身分の同じであるというところを確保できるようにしていただけるようなことも,これは契約でやればいいのかもしれませんけれども,そうすると,もう一つ当事者をつくり出す必要があると思うので,そのようなこともぜひ考えていただければと思います。

 

 

 

 

ですから,手続の中だけの特約有効性だけでは対応できないことを,分配した後にもう一回再分配するような機能を果たすというようなことです。

 

 

 

何か昔,議論したときに,劣後債の議論のところで,アメリカなどではそういうところまで破産管財人といいますか,トラスティがやるような機能を持っているというようなことも聞いたことがありますので,日本の倒産法では,今現在はそういうことは,それは当事者間において勝手にやればいいでしょうという議論なのかもしれませんけれども,そういう制度的な立てつけもあり得るのではないかと思いました。

 

 

 

 

 

  •  2つ前の○○幹事の発言に関連することで,私の理解が十分でないから生ずる疑問なのかもしれませんが,ちょっとお話しさせてください。

 

 

63について申し上げたいと思いますが,62のところに,恐らく適切な,参照すべきことが書いてあるように思いますので,それを使わせていただきますと,2の(1)の②,③,④というところに3種類の債権が挙がっているように思います。それが63のところでも基本的な構造をつくっているのではないかと理解いたしました。

 

 

 

そうすると,債務超過を判断するときにどの債権をカウントするかという場合には,②と③を参入して④を外す,これはかなりクリアになったと思うんですが,優劣のところでの対象になっているのが何なのか,ちょっとよくわからないところがあります。

 

 

 

すなわち,②と③だけを比べていて,その劣後を16ページの4のところで言っていて,④が劣後するのはもう当然のことなのか,それとも,16ページに書いてある劣後に対する反対意見というところで念頭に置いてあるものは,④も②,③と同列にしようとしているのか,その辺の議論が私にとっては少し不透明に思います。

 

 

 

それから,私自身が優先・劣後を,②,③,④を,3段階にするのか,2段階にしてどこで切るのかというところについて意見を持っていないんですが,あるいは1段階のままというような意見を持っていないんですけれども,優先・劣後については今の点を明確にして事務局から問題設定をしていただけると,もう少しクリアに展開するのではないかと思います。

 

 

 

  •  ②と③と④の関係につきましては,事務局の考え方といたしましては,②と③の間が主たる争点で,④というのも一応観念できなくはないのかもしれませんが,破産との関係では,破産後の清算というところでしか問題になりませんし,一般の執行の局面などで残余財産というものが出てくることもあり得ないので,そういう意味で,実質的には②と③の間だけ議論すればいいという前提で考えておりました。

 

 

 

  •  ④が劣後するのは,もう当然であるということですね。
  •  はい。

 

 

 

  •  そうしますと,16ページの一番下の方のパラグラフですが,イの(ⅰ)は,よくわからないんですが,こういう意見を私が持っているわけではないんですが,これは④とも同列にすべしという議論なのではないかと思うんですけれども。既発生の配当分だけ同列であればいいということなのでしょうか。

 

 

 

  •  ただいま検討中です。
  •  聞けば聞くほどいろいろ難しい問題があって,どういうふうに規律したらいいのか,ちょっとわかりませんけれども。

 

 

すみれ

「うん。聞けば聞くほどって感じだ。」

 

 

  •  まず,信託財産破産を認める範囲ということとも関連するんですが,先ほど○○幹事の方から,支払不能だけにしたらどうかというようなお話もあったんですが,今,検討しております限りでは,受託者が無限責任の場合に,その破産の原因となる支払い不能というのがどういうことなのか,非常に難しい問題があるのではないかと懸念しております。

 

 

 

要は,そのような場合には,信託財産の支払能力と受託者の支払能力をあわせ持ったような支払能力というものを観念しなければならないのか。

 

 

 

そうだとすれば,そのようなものを算定して,それで債務を支払うことが可能かどうか認定することになるのか。それは極めて困難な場合があるのではないかということを懸念しております。

 

 

 

さらに申しますと,今回,特約による有限責任債権というものを認めたといたしますと,特約による有限責任債権を支払う能力というのもあわせて検討する必要もあり得るのではないかということになりまして,問題がさらに複雑となるのではないかということを懸念しております。

 

 

 

 

相続財産破産につきましては,支払能力が観念できないということから,債務超過のみが破産原因とされておるわけでございまして,信託財産については,もちろん信託財産については支払能力があるという場合がかなり多いだろうということはあり得るとは思いますが,ただ,財産そのものが支払能力があると必ずしも言えない場合もあることをかんがみますと,支払不能を破産原因としない,少なくとも受託者が無限責任の場合には,支払不能を破産原因としないということも考えられるのではないかというふうに,今,考えておるところでございます。

 

 

 

 

2点目が,何点か御指摘がありました,破産管財人に受託者を選任するどうかという点でございますが,確かに規則上も,特段禁止されているわけではないというのはおっしゃるとおりでございますが,ただ,例えば破産管財人が選任されたときに,まず真っ先に何をしなければならないかといいますと,破産財団である信託財産を受託者の固有財産から分離することがまず真っ先に必要となるわけでございまして,そのときに,受託者と破産管財人が同一人であるということでいいのかというのが,恐らく裁判所が破産管財人を選任しようとするときに,当然懸念することになるのではないかということでございまして,この点はかなり,もちろん法律または規則上,不可能ではないというのはおっしゃるとおりでございますが,運用上はかなり慎重な検討を要するところではないかと考えておるところでございます。

 

 

 

 

最後に,受益債権の優先・劣後の問題でございますが,もちろん実体法の問題でございますので,むしろ実体験の問題として,現在の破産手続と整合的な範囲で御検討いただきたいと考えております。

 

 

 

 

デフォルトというお話ではございますけれども,それはある意味,信託に限った話ではない問題ではないかと考えております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  •  お時間とってすみません。ちょっと劣後合意の点だけ。

既に○○幹事も,あるいはそういう含みをお持ちなのかもしれませんし,○○委員からも御指摘があったんですけれども,相対的な特約行為をどこまで認めるかというのは,破産法の改正の際には,絶対的な劣後特約についてはその効力を認めるけれども,相対的な劣後特約については,これは破産手続内では対応しないという判断をし,ただ,破産手続外での効力に影響を与えないという立場をとっていると思われますけれども,今回おっしゃっている特約による処理という話が,それを超えて「特定の債権者との間では」ということであるのだとすると,たとえ全員の合意を取りつけたとしても,破産手続では非常に困難ではないか。

 

 

 

しかし,信託においてはそういう処理をする必要があるということで入れるとしたときにも,もともと破産手続ではおよそ難しいのではないかという判断をしたこととの関係というのは整理が必要ではないかという点は,やはり御留意いただきたく,それを認めるのであれば,明文の規定や手当てが必要ではないかということです。

 

 

 

それとの関係で,○○委員が御説明になった幾つかの事例を考えますと,ABLと受益権が同列になるといったケースですと,これらについてはどっちも資本性を持ったものであるという,いわば絶対的劣後がされている中では,これは同等ということですから,それはやりやすいんだと思うんですけれども,しかし,そういうふうに,およそ本来はもう受益権というのも劣後的な,資本性を持った性格であるという形でやってしまいますと,ABLとの同列というのは割合に認めやすいかと思いますけれども,その中で社債型の受益権を持ってくるというのは,非常に困難を伴うのではないか。

 

 

 

 

むしろ逆に,これは○○幹事もおっしゃった点ですけれども,同列にしておいた上で,今度は劣後するようなものは,それは絶対的劣後ということで破産法第99条第2項による,そういう合意がされているんだという認定は,こちらの方はしやすいという面はあるのかなと。

 

 

 

私自身,受益債権というのは基本的にはむしろ劣後ではないかと考えているのですが,そういう相対的な劣後関係や,いろいろなものをつくり出したいというニーズからすると,今まで伺った限りでは,むしろ一般と同列にした上で,第99条第2項などを柔軟に使っていくということがあり得るのかなと思っております。

 

 

 

  •  なかなか難しい問題で,私自身は余りまとめる能力がありませんので。

今,大体の論点は出てきたと思います。何か今の段階でコメントがありますか。

 

 

 

  •  優先・劣後関係のお話とか,いろいろ出てまいりまして,結局のところ,信託財産の破産を回避したいというニーズが一般的にありますというのが,実務サイドからの基本的なお話かと思います。

 

 

この点については,先ほど○○委員からも少しお話があったかと思いますけれども,破産回避特約の有効性の議論をここにも持ってこられると,事務局としては考えております。そこまでは申し上げることができるところかなと思っております。

 

 

 

それに加えまして,先ほど少しお話がございましたが,信託行為に書けば回避できるのだというふうに法律で決めてほしいというところになりますと,私の聞いておりますところでは,破産回避特約の有効性については,基本的には公序良俗との関係が問題になり得るところなので,やはり個別的に見ないとよくないのではないか。

 

 

 

つまり,ディスクローズをどの程度やったかというようなことも,その有効性の議論の中では反映され得るというような御意見もあると伺っておりますので,そういうところからしますと,信託行為に書けば必ず破産申立てできないというふうに法律で書くのが果たして容易なことなのかというのは,ちょっと消極的に考えなくてはいけないのかなと考えております。

 

 

 

それから,手続開始の申立てをした後に,申立てをした信託債権者--あるいは受益債権者かわかりませんが--に対する弁済を行う,あるいは担保を提供するというふうなことをした場合に,手続を止めていいのか。

 

 

 

前回も,ちょっと難しいのではないかと申し上げましたけれども,恐らく弁済してしまいますと,受託者が補償請求権を持つということになろうかと思いまして,その補償請求権を受託者が放棄するということであれば,もちろんよろしいんですが,そうでもなければ,やはり弁済をして,その債権者を黙らせたからといって,総体的に見ると債務超過状態を脱していないということになりますので,難しいのかなというのが前回申し上げたことでございますが,もう一度申し上げたいと思います。

 

 

 

 

 

 

  •  今の,有益費の議論で解決できないのかと。つまり,いわば代払いというのが真に信託にとって有益であれば,その限りにおいて認められるというところで折り合いをつけることができないのか。補償請求権と……

 

 

 

  •  必然性が認められる可能性が相当低いのではないかと思いますので,それは難しいのではないでしょうか。

つまり,優先されることになるのだから考えなくていいということですか。

 

 

  •  事例としては非常に,何といいましょうか,だれが見ても破産はおかしいというときに,たまたまそういう申立てがあった。

 

 

 

そして,受託者として,そういう債権者は外した方が信託のためになるだろうといったときに,代払いをしてやるのであれば,多分,信託にとっては役に立つと思うんですけれども,多分,御懸念のところは,それが本来ならば払うべきでなくて,一般債権としてカットされる可能性があるにもかかわらず,100のものを100として払ったしまった。

 

 

よって,それを全額受託者が信託財産に対して請求するのであれば,もちろん放棄すればそれはともかくとして,全額請求するのは問題ではないのかというふ

うに理解したわけですけれども,そこ……

 

 

 

  •  抽象的には,債務超過になっておりますので,債務超過状態であるにもかかわらず破産をさせろと債権者が言うことが信託全体のためにならないからというような議論が,果たしてそう簡単にできるのかということなんですが。

 

 

 

  •  2点あると思うんですけれども,まさしく債務超過かどうかは別として,また,債務超過については会計上のこともあって争われるということで,入り口段階で,とりあえず破産手続自体をとめておきたい,それが信託のためになるというときに,こういう制度があったら便利ではないのかという話があると思います。

 

 

 

2番目に,確かに真実債務超過であったとしても,例えば不動産とか何かで,これは一時的な下落で将来は上昇することが見込まれているということであれば,受託者が100のものを100で払ったとして,100請求したとしても,最終的には,それは有益費の範囲の中で償還されるということであれば,それは理に適ったことではないかと思ったもので申し上げたわけですけれども。

 

 

 

 

 

  •  今のお2人のやりとりについて,十分なコメントをつける能力はないんですけれども,もし○○委員の御懸念が,短期的な財産の下落でたまたま債務超過になったときを捕まえて,この債務超過もちょっと括弧がつくんですけれども,債務超過になったことを捕まえて,破産申立てがされて開始決定がされることを懸念されているのだとすれば,1つの解決は,やはり資産評価の部分ではないかと思うんですね。

 

 

 

つまり,DCFみたいな手法で,短期的な売り買いの値段が下がったからといって,債務超過を判断するときに資産評価まで一気に下げていいのかというところで解決すべき問題も含まれているような気がしますので,その点だけコメントしておきたいと思います。

 

 

 

 

  •  ありがとうございました。

この問題については今,伺った限りでも非常に難しい問題がたくさん入っておりますので,もう一回整理した形で事務局の方で検討いたします。

それでは,まだ御議論いただきたい点が幾つか残っておりますので。

 

 

 

  •  では,合同運用について御説明いたします。

 

まず,提案1に関しまして,合同運用を行うためには信託行為にその旨の定めを要するか否かについては,前回同様,これを必要とする甲案と不要とする乙案とを併記しております。

 

 

前回会議において,事務局としては,甲案については合同運用には主として分別管理義務上の問題があるとの観点を示しました,乙案については,合同運用には,分別管理義務上の問題も受託者の権限上の問題もいずれもないとの観点を示しました。

 

 

この点につきましては,いずれの案によりましても,実務上は信託契約において合同運用をすることを書いているのが通常だから影響はないだろうという意見が一般的でありましたものの,合同運用の理論的な位置づけあるいは考え方という観点から,まず1つの考え方として,合同運用を行うことは,規模のメリットとリスクの分散という観点から,基本的には信託目的に合致していることは明らかで,当然に受託者の権限の範囲内であると考えられ,かつ当該信託財産に帰属すべき共有持分権または受益権が計算上管理されていれば分別管理義務は果たされていると言えるから,特段の規定は不要であるとして,乙案を支持する見解と,もう一つは,受益権を購入する投資家にとって,適切なリスクの判断を可能とするためには,受託者に合同運用の権限があることが信託契約に明記されているべきであるとの観点から,甲案を支持する見解とが示されたほか,合同運用自体が利益相反行為に当たることもあり得ることにかんがみると,信託行為の定めによって忠実義務の例外に当たることを明示しておく意義もあるのではないかとの趣旨の御指摘もございました。

 

 

 

しかしながら,甲案を支持する見解のように,受益者によるリスク判断の便宜ということを強調していきますと,合同運用の権限がある旨を信託行為に定めておけば足りるというわけではなくて,取引先を初めとする合同運用の方法に関する適切な情報提供の必要性,ひいては受託者の権限を個別に限定し,その違反については取り消し得るものとすることまでが必要になってくるものとも思われます。

 

 

 

しかし,このような投資家たる受益者保護の観点からの要請は,業法の分野であればともかく民事一般法たる信託法の分野において,合同運用という局面における投資家保護の要請を重視して,受託者の権限に制限的な規定を設けることが適切かという観点については,疑問の余地があるものと思われます。

 

 

 

また,合同運用を行うことが利益相反行為に当たる場合も当たらない場合もあることにかんがみますと,当該合同運用が利益相反行為に当たるか否かという点については,特に合同運用に限った規定を設けるのではなく,受託者による相殺の場合と同様に,忠実義務に関する一連の規定にゆだねれば足りるのではないかと思われます。

 

 

 

次に,提案2及び3の本文中の説明は,集団的な投資運用を目的とする信託には,1つは,投資信託のように1信託複数受益者の信託財産が単独運用されているタイプと,もう一つは,貸付信託や合同金銭信託のように,1信託1受益者の複数信託の信託財産が合同運用されているタイプがありますが,この両者は,当事者の選択した法形式にこそ,1つの信託か複数の信託の集合体であるかという違いはあるものの,集団的な投資運用という実態には実質的な違いはないので,両者には同様な規律があるべきではないかとの問題指摘を踏まえた記述でございます。

 

 

そして,実務上の要請とかこれまでの事務局の提案内容にかんがみますと,合同運用タイプの信託における対処の必要性が高いと思われる事項,すなわち運用方法の変更をはじめとする信託契約の内容の変更に関する受益者の意思決定を,個々の信託の受益者の判断のみに委ねるのではなくて,合同運用団に属する信託の受益者全員の合意あるいは多数決によるものとすべきことにつきまして,いかなるアプローチによることが可能かについて検討したものでございます。

 

 

 

この点に関するアプローチの方向としては,(1)に記載しましたとおり,各信託における信託財産の運用実態に関する一定の客観的な基準あるいは要件を定めて,実質的に1個の信託と評価できるタイプの合同運用信託を選び出し,これについては当事者の選択した法形式の違いという点をいわば乗り越えまして,単一信託・受益者複数タイプの場合と同様の規律を及ぼすということをもって対処するという方向性が1つあります。

 

 

もう一つは,(2)に記載しましたとおり,当事者の選択した法形式の違いを重視し,合同運用はあくまでも複数の信託契約の束であるとの理解を前提とした上で,信託の変更に関する別段の定めの活用,すなわち,例えば「合同運用団の運用方法の変更は,同一の運用団に属する受益者全員の合意または多数決によって定めるものとする」というような特別の定めを,それぞれの信託契約に置く方法をもって対処するという方向性とが考えられます。

 

 

 

しかしながら,前者の,合同運用という実態に着目して受益者複数の単一信託と同様に取り扱う方法につきましては,前回会議でも指摘がありましたとおり,当事者は別々の信託という法形式を選択したにもかかわらず,実態として信託財産が合同運用されているために,例えば,運用方法の変更等の意思決定についても自己の意思のみによっては決められず,他の信託の受益者全員との共同の意思決定を要することになるとすれば,各受益者の予測を著しく害することになり,適切ではないと思われます。

 

 

もっとも,これも前回会議で示されたとおりですが,各信託契約において,自己の信託の信託財産が他の信託の信託財産と合同運用されることによって集団的な意思決定システムに組み込まれることになる可能性があるということを明記しておけば,予測を害することはないとの反論があり得るものと思われます。

 

 

 

しかし,当事者があくまでも1個の信託ではなく別々の信託という法形式を選択している以上は,受益者の予測可能性にかかわる事項が信託契約に明記されていれば足りると言うことはできず,さらに,当該合同運用の客観的な実態に関連して,受益者複数の単一信託と同一視するための適切な基準を設けざるを得ないと思われますが,これは後ほど御説明いたしますとおり,相当な困難を伴う作業だろうと思われます。

 

 

 

 

一方,後者,すなわち,信託の変更には同一の運用団に属する受益者全員の合意または多数決によるといった定めをそれぞれの信託契約に置くという方法によりますと,これによれば,自己の意思のみによることはできず,集団的な意思決定システムに組み込まれることになることについて,各受益者の予測が害されることになる懸念はないと思います。

 

 

そうしますと,「例外的な信託の変更方法を信託行為に定めることには特に制限を加える必要はない」という信託の変更に関する乙案によりますと,今,言いましたような,合意または多数決によるという定めをそれぞれの信託契約に置くことによりまして,運用方法はもちろん,いかなる変更についても,さらには24ページの(注3)及び別表に書いたとおり,変更以外にも,受益者の意思決定を要するその他の事項についても,同一の運用団に属する受益者全員の共同の意思決定によるものとすることが可能となりそうでございます。

 

 

 

これに対しまして,例外的な信託の変更方法を信託行為に定めることは不可能である,あるいは一定の限界があるとする甲案や丙案によってしまいますと,合意または多数決によるという定めをそれぞれの信託契約に置くという方法による対処にも限界があることになりまして,そうすると,合同運用されている信託財産の運用方法等の変更について,集団的な意思決定システムを導入する必要があるとの要請にこたえるためには,甲案または丙案の制限が,特に一定の合同運用の場合についてのみ緩和され得ることの合理的な根拠と,そのための客観的基準を設定する必要が出てくると思われますが,このような基準を定めることについては,23ページから24ページで一応の検討を試みたわけでございますが,容易な作業ではないと思われます。

 

以上のような問題意識を踏まえまして,合同運用に関する規律のあり方について御審議をお願いいたします。

 

  •  これも重要な問題だと思いますが。

 

 

  •  まず1点目は,第9回の本席におきまして,一般に利殖を目的とする信託の場合については,合同運用を行うことは,規模のメリットがあるということとリスクの分散を図れるということで信託目的に合致しているだろう,なおかつ権限の範囲内であるというふうに考えられるということと,あとは,合同運用している場合について,これは○○幹事からもお話がありましたけれども,それぞれの信託に共有持分権が帰属しているものと考えられて,その共有持分権が計算上,管理されていれば--多分これは帳簿により管理されていればということだと思いますけれども,分別管理義務が果たされているということで,特段の規律は要らないのではないかと一応主張させていただいています。

 

 

 

 

 

ただ,今回の規律を見て,それがよくわからなくなりました。

 

 

例えば甲案をとった場合に,書くことによって何が解除されているのかというのがよくわからなくなって,分別管理だけの問題が解除されるということなのか,それとも,ここに書いてありますように,例えば,当然忠実義務違反にかかるようなこともあるだろうし,権限にかかるようなこともあるだろう。

 

 

ところが,「合同運用しているんですよ」ということを書くことによって,そういうものが基本的に解除されますよということなのか,そうではなくて,ただ単に分別解除義務だけが解除されて,やはり忠実義務違反が起こっていたら忠実義務違反について解除するような形の,信託契約にその旨を書かないといけないのか,その辺がよくわからないので教えていただきたいというのが1点でございます。

 

 

 

もう一点につきましては,これも第9回の席上で,結局,受益者が複数の場合の意思決定についてと同じような形で,第三者に意思決定を委ねることができるのであれば,例えば単独受益者権的なことは抜きにして,それ以外の合意で行えるような行為については,他人に委ねることですべてできるのであれば,合同運用の場合についても複数受益者と同じような形でやればいいのではないでしょうかということで,これについても意見を述べさせていただきましたが,それについて,果たして規律上,全部そういうことが当てはまるのかどうかをチェックする必要があるだろうというような御指摘もありまして,私どもの方でもちょっと見てみたんですけれども,基本的に,何回も言って恐縮ですけれども,第三者に全部委ねられるということが前提であればまあいいんだろうなということで,これについてはこの前もいろいろと議論がありましたので,その結果どうなるかというのがよくわかりませんけれども,私どもの立場としては,そこで委ねられるというような意見を申し上げていますので,そういう方向でいきますと,これについても特段の規定を設ける必要はないと考えております。

 

 

 

 

  •  私は,1のところはよくわからないんですけれども,余りこだわらないんですけれども,定義なんですけれども,2のところ及び3について,先ほど御説明のように,2に書いてある2つを同様の規律にする場合には,どの範囲でかという非常に難しい問題があるというのは,そのとおりだと思うんですけれども,ただ,やはり合同運用の場合は,単独運用の場合と違ったそういう規律が要るような気がしているんですね。必要ないなら,もちろん必要ないんですけれども。

 

 

 

 

 

前にも申し上げたかもしれませんけれども,経済自体を言えば,1つの信託契約,受益権が分割されている場合と,ここに書いていただいているとおり複数の信託契約があれば同じで,それはいいとしましても,それは合同運用の場合には,ファンドは1つのはずですので,そういうふうに考えますと,例えば,そこで信託契約の変更というのを挙げていただいていますけれども,個々の信託契約が1,000本ありますということですと,これ,変更する場合にも,1人が「ノー」と言って999人が「イエス」と言ったときは,もう非常に困るんですね。

 

 

 

その部分を除くと言ってもファンドは1つですから,そこを解散するとか。全部信託契約に決められるではないかということなのかもしれませんけれども。

 

 

 

そして,実務の話というか,現在の法制度のことを言えば,信託契約の変更については,それでもまだ,業法の話をするとよくないかもしれませんけれども,業法とか特別法が面倒見てくれているので何とか回っているということだと思うんですけれども,この24ページの別表の話になってきますと,今度,信託法が変わって,では忠実義務違反の行為の承認だと。

 

 

これは受益者の承認が要りますというか,あれば一定の要件のもとでできます,こうなったときに「はい,1,000本います。50人反対して950人賛成しました」と。

 

 

同意をとりに行くのも大変だと思いますけれども,ファンドは1つですから,利益相反行為ですから行為は1つなので,やるか,やらないかしかないんですけれども,例えばファンドの運用に関してある行為をやる場合に。これはやはり困ると思うんですね。1人でもノーと言ったらだめでは。

 

 

 

では,業法は面倒見てくれるかというと,私,面倒見てくれないと思います。

 

それは信託の変更だから規定があるのであって,どんどん今後,この信託法が変わって,こういう受益者のいろいろなアクションなり今の例で言うと,忠実義務違反の承認となったときに,それは,ではまた今の業法のような規定を設けましょうかとなると,どうも本末転倒のような気がしまして,やはりそれは信託法の中で手だてが設けられるべきではないかという気がいたします。

 

 

 

 

 

それで,どういう場合が合同運用か,私もよくわからないですけれども,それはともかくとして,ファンドが1つのような場合,それは非常に困難な作業なので最後はどうなるかわからないんですけれども,したがって,信託の変更よりも,私の感覚としては,むしろ24ページの別表の方にそういうものが必要になり,もしそうだとすれば,もちろん信託の変更についても,信託法の中で何らかの手当をし,なおそれに加えて業法なり特別法が,特別の見地からそれをさらに,場合によっては厳格にし,場合によっては緩和するという,そういう体系はあり得ると思うんですけれども,信託法の中で,要るような気がいたします。

 

 

 

もう一点だけですけれども,別表にないものとして,よくこれまで実務でも言われていた帳簿閲覧請求権みたいなものについては,帳簿閲覧請求権の方で手当てがなされていたんだったら,私の見落としですので結構ですけれども,ファンドは1個しかありませんので,とにかく1,000本あって,自分のところだけ1人が見せてくれと言われたので……,ちょっとどうにもならないと思うんですね。したがって,そういうところもできれば規定が,もしまだであれば御検討いただきたいと思います。

 

 

 

 

  •  最初に,○○委員からあった甲案の意義ということですが,我々としては,甲案であれ乙案であれ,合同運用に権限の問題があるという認識はしておりませんので,甲案による場合は,これは分別管理義務を解除するための信託行為の定めということになると思っております。

 

 

 

ただ,書けば間違いなく権限があるということで,いわば当然補強するという意味はありますけれども,それがないと権限の問題が生ずるとは認識しておりません。

 

 

ただ,別途,忠実義務,利益相反行為の問題が生じてきますので,そういうときには,信託行為に定めがあれば,禁止の例外事由という意義が出てくる場合もあり得ると考えております。

 

 

それから,今,○○委員がおっしゃった前段は,もちろん合同運用というものを実質的に1つの信託と見る基準を何とか設定するという方向性は,もちろんあると思うんですが,それと対峙されるものとしては,各信託契約の中で信託の変更の権限は無制限にあるという方向性というのもあり得まして,前者の方向は,一つの十分あり得る考えとは思うんですが,後者では果たしてまずいのかというあたりが,事務局として,正直なところ,お聞きしたいというところでございます。

 

 

あと,帳簿閲覧請求権については,私の誤解でなければ,これは商法などでは100分の3とかしておりますので,合同運用を一つの信託と見ることによって分母が非常に大きくなりまして,だれもが行使できることにはならないということになるわけでございましょうが,我々の提案では,帳簿閲覧請求権は各自が持っている単独受益者権としておりますので,どのように構成しようが,その1人が見たいと言えば,それは合同運用に供されている財産全体についての閲覧請求権が生じてくるので,そこで1つの信託と見ることによって,閲覧請求権の行使がある程度制約されるという関係にはならないのではないかという印象を持っております。

 

 

 

  •  後者には若干技術的な問題があると思うんですが,それは今日は時間の関係で省略しますけれども,前者のお答えの中で,信託契約で定められないかというのは,私もいつも考えているんですけれども,例えば1,000本あるときに,この別表の忠実義務の違反行為の承認を例にとりますと,承認を数えたところ,例えばのところで申し上げますけれども,49%は承認しないと言った,51%の人が承認すると言った。

 

 

その場合は承認したものと扱います,そういうものもありということはどうも……,結論がそういう趣旨ならわかるんですけれども,今の一般の承認の規定の方から,そういう定め方が信託行為でできるというのは出てくると考えてよろしいんでしょうか。

 

 

 

  •  承認のところは,原則は全員の同意ですけれども,信託行為で定めれば多数決制度を入れることはできるというふうにしております。

 

 

この第三者に権限を付与するというところにつきましても,各信託契約に忠実義務違反行為の承認については,合同運用に供されている全受益者の多数決によるという信託行為の定めを置くことができれば,今,おっしゃった51%の賛成があれば免責されるという規定を定めることはできるのではないかと考えております。

 

 

 

 

  •  もう一点だけ。しつこくて申しわけありません。

 

そういう規定をあらかじめ定めるというなら,私も同じになると思います。

 

ただ,今の考え方だと,別々の信託契約ですから,1,000本と言っても。もしそういうふうに整理するのであれば,そういう規定を置かないと,今ある,現在の多数決というのは,1つの信託契約の中で多数いる場合の多数決,これは信託行為で決めますということですから,それだけではカバーし切れないと思うんですね。

 

 

ですから,信託契約が別々の場合であっても,それぞれの信託契約に例えばそういうものを定めると,1つの信託契約の受益者が,実は「ノー」と言った。

 

 

 

第2の信託契約の受益者も「ノー」と言った。にもかかわらず3,4,5と「イエス」と言ったら,「ノー」と言った人も拘束されますよということ,それを第1,第2の信託契約に定めておけばいいですというところまでいくのであれば,その部分の規定があればいいと思います。

 

 

そこまでいけば,ある意味で合同運用を定義しているのと同じことだと思いますけれども,ひょっとすると,テクニックとしてはその方がやりやすいかもしれませんね。立法技術としては。

 

 

  •  各契約ごとに「ほかの受益者との多数決による」というのを全部置けばという前提で,それが何か問題があるかどうかという点で気になっているわけでございまして,それがもしいいとおっしゃっていただけるのであれば,そういう方法は十分あり得ると思います。

 

 

 

  •  ○○委員は,必ずしも否定的ではない,むしろそれは構わない……

 

 

 

  •  その辺はもう実務的な問題だと思うんですけれども。実務がそれで動くのであれば,何か立法技術としては,その方がやりやすいような気がするんですけれども。

 

 

何か,どういう場合が合同運用で特別ルールを適用しますかという,そこをどういう場合かを定義しようとしますと,やはり非常に困難になるので,一つ一つ全部信託契約に書いてくださいといって,それで実務が動くんであれば,その方が私は--その方がというか,立法技術としてはやりやすいと思いますので,そこは私は,どちらかにはこだわりません。

 

 

  •  いかがでしょうか。合同運用に関して,その根拠,どういうところに根拠を持ってそれを認めていくかという,重要な問題ではあるんですけれども,大体御議論が……

 

 

  •  1の甲案なんですが,これはどういったタイプの定めがなされることが予想されるんでしょうか。

 

 

つまり,必要に応じて合同運用しますということで認められるのか。恐らくそのときにも,合同運用の合理性ということに善管注意義務というものがかかってくるんだろうとは思うんですけれども,必要に応じて合同運用するという規定で,運用の面については善管注意義務の問題として,一定の制約がかかるからそれでいいんだと思うんですが,先ほどおっしゃった,さまざまなことを多数決で決めるというふうなことが信託契約に規定されているときに,それが,善管注意義務の範囲内で合同運用がなされたらこうなりますというふうな,ある意味でアバウトな,どのような合同運用がなされるかは結局わからないという形のときに有効なのかは若干気になるんですが,有効であると言ってもいいんですかね。

 

 

 

  •  必要に応じて合同運用ができるというような定めでも,別にそれで,ここで気にしているのは,損益が個々の信託財産でなくて共通して分配されるというところが,分別管理に問題があるのではないかという観点でございますので,必要に応じて,そういう共同体になるんだよということが書いてあれば,分別管理義務上の問題は,受益者はないと予測できるので,問題ないのではないかと考えておりますので,おっしゃるような柔らかな規定でも,別にいいのではないか。

 

「必ずやります」とか「どうやります」とか細かく書いていなくても,「本信託においては合同運用の可能性があります」ということが書いてあれば,それでいいのではないかという気がいたします。

 

 

すみれ

「柔らかな規定。」

 

 

 

  •  分別管理義務の解除については,それはそのとおりかもしれませんけれども,先ほどおっしゃったように,いろいろなことを多数決で決めることになりますというふうなことを信託契約に入れたときに,非常に,必要に応じて合同運用しますということだけで,必要に応じて……。

 

 

分別管理義務を解除するために必要な特定と,多数決でいろいろな権利が縛られるというときの特定とが同じなのかというと,私は違うのではないかという気がするんですけれども。

  •  それは違うと思います。ですから「合同運用します」という規定も置きますが,それだけでは多数決にいかないわけでして,別途「この契約において合同運用されている場合には,これこれの事項については全員一致または多数決で決めます」という条項は別途必要になってくると思います。

 

 

 

  •  もちろん別途必要ということなんですが,「この信託契約によって合同運用されているときには」というのは,最初に分別管理義務を排除するという,必要に応じてというところで足りるわけですか。

 

 

  •  恐らく,甲案の言うところの合同運用というのが,単に「合同運用します」と書いてあれば何でもいいよということだとしますと,恐らくそこは,やはり先生が御示唆されているかと思いますが,違うのかなという気がいたしまして,つまり,後ろの方の「意思決定をみんなで一緒にやります」というようなところは,結局のところ,どの信託だということがかなり明確にわからなければ,やはり有効性を認めがたいということになろうかと思いますけれども,それがただ「合同運用します」と書いてあって,その合同運用された先の人たちと結果的に一緒になりますよでは,もう少し何か必要だということになるのではないかなという気がいたします。

 

 

 

  •  私は,イメージ的にそういうふうな気持ちを持っているんですが,しかし,本当にそれで実務は回るのかというのも若干気にはなるところでして,○○委員が,書いて有効ならばそれでいいとおっしゃったんですが,特定して書かなければならないとなりますと,本当にそれでいいというふうに○○委員もお考えなのかが若干気になるところなんですが。

 

 

 

  •  おっしゃるとおり,厳格な意味での特定が必要というほどのことではないんだろうと思いますが,つまり,結局のところ,公序良俗との関係ぐらいしか問題にしづらいのかなとは思うんですけれども,その中でも,およそこれでいいのかというような話と,ここまで書いてあればというような話と,事の性質に応じてと言わざるを得ないのかなと思います。

 

 

  •  どの程度特定しなくてはいけないかというところは,少し難しいかもしれませんね。

 

 

  •  直接関係ない点ですが,○○幹事が指摘されたので,私,それに関連して重要だと思いますので,直接関連する点もあるのかもしれませんが,時間の関係で1つ申し上げたいんですけれども,法律を書くときの技術の問題点があると思うものですから,私はさっきのように申し上げたんですけれども,今の○○幹事とのやりとり聞いて思ったことですが,合同運用していないのに信託契約が全然ばらばらなものが5つある。私が受託者で。

 

 

 

しかし,この1本に書いておけば,3人がイエスと言ったら全部についてやっていいかというのは,私は疑問に思っているんですね。

 

 

ですから最初,そういうことで言うと,むしろ合同運用の実態がある場合に,2の話をしているんですから,私は。それをした方がいいのではないかといこことを申し上げて,それが非常に定義しにくいのであれば,契約で定めて,それで実務が動くのであれば,それはそれで結構でしょうというふうに流れてきたんですけれども,しかし,やはりそれは合同運用がある場合に限定されるのではないかと思いますが,恐らく契約は何でも書けばいいという話ではなくて,そこはもう解釈問題なのか,あるいは事務局はむしろ割り切っていて,全然違う信託だって一つ一つ全部書いておけば文句ないでしょうというところまでいったりすると,これは私もよく考えていないんですけれども,○○幹事がおっしゃったことは,分別管理義務を解除するための要件と,それからこっちの多数決を認めるというか,共用する,多数決による意思決定を共用する要件は別,全く私もそのとおりだと思いますので,その辺もうちょっと整理ができれば--整理できていないのは私だけなのかもしれませんけれども,ありがたいと思います。

 

 

 

 

  •  後者の方は,少し難しいですね。

御指摘ありがとうございました。それでは,次に進みます。

 

 

 

  •  遺言代用信託におけるところでございます。

第68でございますけれども,前回の指摘を踏まえまして,まず,提案3についての検討結果を示すとともに,委託者による死亡後受益者の変更権の行使と,信託自体の終了との違いについての考え方の整理を試みました。

 

まず,前回提案においては,遺言代用信託のうち死亡後受益者以外の受益者が存在しない態様のものについては,受託者に対する監督権権能の欠如を補う見地から,委託者側の監督的権能を強化する特別の規定を設けるべきか否かについて問題提起いたしました。

 

 

この点につきましては,前回会議における指摘を踏まえまして,提案3にありますとおり,この遺言代用の信託についてのみ特別の規定を設けることとはしないとの考え方を採用したものでございます。

 

 

次に,前回会議においては,委託者による死亡後受益者の指定の撤回と信託自体の撤回との理解に混乱が見られるとの指摘がされたことを踏まえまして,両者の関係について,改めて次のとおり整理したいと思います。

 

 

 

前提として,提案1の定義に基づき遺言代用信託に含まれることとなる信託に特徴的なのは,このような信託が設定された場合における委託者の通常の意思を忖度しまして,次の2点につきまして,一般の信託とは異なるデフォルト・ルールを設けることとしたことにとどまります。

 

 

 

 

すなわち1つは,死亡後受益者もあくまで信託契約の時点において既に受益者となっている者である以上,本来であれば委託者が一方的にその受益権を奪うことはできないはずであり,しかもこれが信託の変更の意思であるとすれば,本来であれば受託者の同意も必要となるはずであるにもかかわらず,委託者のみの意思で自由に死亡後受益者を変更できるとしたこと。

 

 

もう一つは,死亡後受益者の定義に当てはまる受益者については,委託者の死亡時までは受益者としての権利・義務を有しないものとしたことの2点でありまして,この2点以外の事項については,一般の信託と同様のルールが当てはまることになるわけでございまして,その意味で,一般の信託と異なるわけではございません。

 

 

 

 

 

これを信託の終了について申しますと,遺言代用の信託についても,信託の終了については,先ほど説明した信託終了原因の一般原則に従うべきことになるわけでございます。

 

 

 

そうすると,委託者及び受益者が共同して信託終了の意思表示を受託者に対して行うことにより,信託を終了することができるわけでございますが,遺言代用の信託においては,死亡後受益者は委託者死亡時まで権利・義務を有しないとのデフォルト・ルールが別途かかってきますので,結局において,デフォルト・ルールとしては,委託者のみが意思表示をもって,いつでも遺言代用の信託を終了させることができることになります。

 

 

もっともこれは,あくまでも委託者と受益者の共同の意思表示による信託終了の原則の適用例に当たるとの理解でして,遺言代用の信託において,当然に委託者に信託全体の撤回権が留保されているとの理解をしているわけではございません。

これと厳密に区別されるべきなのは,委託者が死亡後受益者の変更権を行使した場合でございます。

 

 

ここで言う変更権の行使には,委託者が一たん死亡後受益者の指定を取り消したことによって,だれも受益者に指名されていない状態が一時的に作出された場合も含まれると解しておりますが,この場合におきましては,当該遺言代用の信託は当然に終了するというわけではなくて,信託契約に別段の定めのない限り,信託はそのまま存続するものと考えております。

 

 

 

もちろん,この場合においても別途,信託目的の達成,不達成という信託終了の一般事由に該当することがあり得るわけですが,これに該当するかは委託者が死亡後受益者の変更権を行使した際の意図及び事情の如何によるわけでありまして,例えば死亡後受益者以外には受益者がいないにもかかわらずその指定を取り消し,しかも,もはや二度と新たな死亡後受益者を指定するつもりはないというのであれば,目的の達成,不達成に該当することとなる場合もあり得るでしょうし,さらには,このような変更権の行使自体が信託自体の終了の意思表示に相当するのだと解釈,認定される場合もあり得ると思います。

 

 

 

 

しかしながら,委託者としては,本来の信託終了の意思表示をすることが可能であったにもかかわらず,あえてこの方法によることなく死亡後受益者の変更権の行使という方法をとったものである以上,原則としては,信託自体を終了させることまでは意図していないのが通常であると考えるべきだと思います。

 

 

 

  •  この点について,いかがでしょうか。

 

 

 

  •  遺言代用の信託の規律については,基本的にはこの方向性でお願いしたいと思っているんですが,2点ばかり要望事項といいますか,お願いがございます。

 

 

まず1点目は,この遺言代用の信託につきましては,基本的には遺贈として位置づけられるのか,生前贈与として位置づけられるのか。

 

 

 

 

ここの部分については,たしか以前の議論で線引きが困難であるということ,脱法的に使われたりするようなこともあるので,解釈に委ねるのが相当であるのではないか,そんなふうに整理されたように記憶しておりますけれども,ただ,そうしますと,実務上の観点からすると,やはりなかなか使えない。

 

 

やはりリスクがある上で,お客様にも説明できないということでありまして。そこで,線引きが難しいということであったとすると,例えばセーフハーバー・ルール的なもので,例えばこういう要件を満たしたら生前贈与ですよ,少なくとも生前贈与ですよといったような,これは規律と言うのはちょっと不自然かもしれませんので,説明文であるとか,そのほかの方法でも構いませんけれども,何らかのセーフハーバー的なルール,線引きが一番いいんですけれども,それができないということであればセーフハーバー的な形のルールを何らかの形で御提示いただけないかということが1点目。

 

 

番人

「受益者が権利を持つ時期によって、死因贈与や生前贈与に近づくのかな。信託は信託として。」

 

2点目につきましても,この規定とは直接関係はないんですけれども,このところで申し上げるしかないかなということで。

それは受益者連続の部分の検討についてのお願いであります。

 

これは皆さん御承知のように,例えば委託者が自分が死亡するまでは自分が受益者になって,それで死亡したときには自分の奥さんが受益者になる。

 

 

またその奥さんが死んだら,子供が何人かいて,そのうちの1人が障害を持っている,その人に受益者にならせよう,こういうタイプの信託というのが考えられまして,実際,実務上も相談があるということです。

 

 

ただ,なかなか実際,実務上やっていいのかというのが今もよくわかりませんので,やはりお断りすることが非常に多いという状況でございますので,信託法の世界ではできるんだろうなとは思っておるんですけれども,相続法との関係であるとか,そういう連続していったら何年ぐらいまでいいんだろうかとか,その辺の制約,制限というものもあるんだろうなという気もいたしますので,その辺についての規律の御検討もお願いできないかなということでございます。

 

 

 

  •  まず,遺言代用信託が遺贈なのか死因贈与なのかという点につきましてですけれども,確かに1つは,常に生前行為でありますので,遺贈は,遺言でやるのでちょっと性質が違いますし,それから,死因贈与というのは死亡を効力発生時とするのに対しまして,この遺言代用の信託は生前に既に効力を発生するという意味でも,そこも違うということで,遺贈か死因贈与かと言われると,どちらとも違うという感じがいたすわけでございまして,そういう意味でも,なかなかこれがどちらに当たるかという解決が果たしてできるのか,その場面,場面で解釈によって対応していかざるを得ないのではないか,そういう直感がいたしますが,それにもかかわらず,指摘を踏まえて,事務局の中でももう一度議論したいと思います。

 

 

 

 

 

もう一つは受益者連続の場合で,一般的に,例えば最初の10年間はAで,その次はBでその次はC,こういうのがいいということは問題ないと思うんですが,いわゆるAが死亡したらBでBが死亡したらCという,そういう形の受益者連続というのは,御指摘のとおり,いわゆる後継ぎ遺贈と同様の問題がありまして,後継ぎ遺贈については民法上,原則としては許されないのではないか,相続法秩序を曲げるという観点からそういう議論はされておりまして,他方,信託法のいろいろな教科書を見ますと,信託を使えばいいという議論が大勢かなという気はしておりますが,果たして信託法上有効であって,民法との関係においては問題がないと言えるのかどうかということなどにつきまして,これは非常に難しい問題ではございますが,こちらについては少なくとも慎重に,今後,検討していきたいと考えております。

 

 

 

 

  •  基本的に,ここの考え方は,この遺言代用信託について,委託者が死亡したらそこで受益者が確定するというような,死亡後受益者が確定するような,そういうつくりになっているかのように読んだんですけれども,2に書いてあることなんですけれども,これは死亡した後も権利がまだ不確定な,つまり撤回されるような状態に置いておいて,だれか自分の指名変更権の後継者みたいなものを指定するような種類の,そういう別段の定めはできるのでしょうか。

 

 

 

そういうことができるかどうかは,ここを見ただけではよくわからないので。

 

 

ここは別段の定めができることについて,文言上はかなり狭いものを想定しているように思えるんですけれども,どのぐらい今の点が自由に設定できるのかというのが質問です。

 

 

 

もう一つは,今,言ったような面倒くさい話ではない世界ですけれども,死亡後受益者を変更する手続,方式については何も規定しないのかということです。

 

 

 

 

なぜ伺うかといいますと,これは,実はこのルールとほとんど同じようなルールが生命保険についてありまして,また,それが私から見ると非常によくないルールをとっておりまして,要するに,こことの対比で言うと,ここですと受託者に対して変更を申し出るというのが一番素直かと思うんですけれども,生命保険の方の最高裁判例によると,だれに対して言ってもいい,生命保険の保険契約者はだれに対して言ってもよくて,それによって,当事者間では少なくとも有効に受取人が変更されて,保険会社には対抗できないけれども,後で不当利得関係が生じるみたいなルールになっているんですが,何も規定を置かないでほうっておきますと,ここも同じような解釈をされる可能性が少なからずあって,死亡後受益者の変更については,特に法律では決めていない,したがって委託者が意思表示すればそれでいいんだと。

 

 

 

 

さすがに受託者との関係では,それでは困るだろうから,受託者が知らなかったら債権の準占有者に対する弁済のような方法はもちろんあるだろうけれども,当事者間では有効に死亡後受益者が変更されているといった解釈につながりかねないんですが,言うまでもなく,それは遺言代用のシチュエーションを考えると,死亡後の無用な紛争を惹起することになるので,むしろ方式などは限定をかけておいた方がルールとしてはいいと思うんですが,何も置かないと,どうもそう債務者が解釈してくれるかどうかよくわからないような状況,生命保険との対比で言うとですね--と思いますので,場合によっては何か,意思表示の相手方なり方式なりを書いておく方がいいかもしれません。

 

 

 

もう一つ,保険でよく問題となっているもう一つの問題は,遺言によって受益者を変更できるかという話で,仮に受託者への意思表示があるなどと言ってしまうと,これ,遺言によって死亡後受益者を変更することが,受益者の変更として可能か。

 

 

遺贈の効果としてではなく,変更の効果として可能かどうかというのも必ず問題として起きそうなものですので,可能であれば手当てしておくといいと思います。

 

 

 

ドイツのBGBの第三者のためにする契約には,そういう規定も実は置かれていたりするんですけれども,参考にされればと思います。

 

 

 

 

 

  •  御指摘の2点目,3点目につきましては,確かにここには規律を置いておりませんが,一般的な受益者変更権の行使の規律というのは別途置いておりまして,例えば受益者変更権を持っている者が受託者以外の者であるときは,受託者に対する意思表示をすることによって変更し,新たな受益者になった者に通知するというデフォルト・ルールを置いておりますし,遺言によってできるかというところも,そこでは,受託者はだめだけれども,受託者以外の者が変更権を持っているときは遺言でもできるという規律を置いております。

 

 

ですからこれは,遺言代用の局面に書いていないことは信託の一般のルールに従うとなると,その規律がかぶってくるというのが答えになります。

 

 

 

第1点目の理解は,先生の質問の趣旨を私,十分理解しているかどうかわからないので,とりあえず我々の規定の趣旨だけ申し上げますと,これは遺言代用の生前信託契約がされた時点で,受益者にはなります。

 

 

 

受益者とはなるけれども,原則として受益者としての権利・義務がない受益者というものがずっと生じます。

 

 

それがデフォルト・ルールでございまして,信託契約で「この死亡後受益者には権利・義務を当初から与える」というふうに書けば,権利・義務を有することになる,そういうふうに2項では定めているというのが我々の趣旨でございます。

 

 

 

 

 

  •  それだと死亡後に,なおかつ死亡後も変更権に服するような形で不動的な状態をつくり出すことができるかどうかについては,2項は何も言っていないという理解……,私もそう読んだんですけれども,それはできるのかできないのかというのが質問だったんですけれども。

 

 

 

  •  規律によりますと,死亡すると権利・義務を有しますので,そうしますと,勝手にその権利を奪うことはできないということになりますので,その場合は,委託者が死亡すると,変更権を相続して変更できる者がいればなおこれに服することになりますが,そういう者がいない場合には確定する。

 

 

 

この場合も,受益者変更権者が死亡した場合の規律を別途設けておりまして,確定するようになっていましたね,委託者が持っている場合は。そうしますと,この場合も,受益者としての権利・義務を有する者として確定すると,もう変えられないということになると思います。

 

 

 

  •  ○○幹事の御指摘は,御質問の内容については,これは直接触れていないと思いますけれども,そういうものがあった方がいいという趣旨は全然ないんでしょうね。

 

 

余り必要ないような感じがしたんですけれども。保険などとの関係で……

 

 

 

 

  •  最初の質問については完全にニュートラルだったんですけれども,死亡後一定の期間とか,だれかに代わりに変更権を持ってもらって,もう少し様子を見てほしいというふうなことを仮に委託者が思ったときに,それを達成する手段がないのではないかという質問だったんですが,今のお答えだと,ないという答えのようなんですが,そこまで厳格にしなければいけないのかなという含みです。

確定した,決定的な反対というほどの強い意見ではないんですけれども。

 

 

 

  •  ○○幹事が答えられたように,その場合には,そうすると,死亡後だれがその権限を持っているかという問題を解決しなくてはいけないことになるわけですね。

 

 

  •  もちろん,書いておいた場合です。
  •  既に議論されたことの繰り返しなんですけれども,一応弁護士サイドの意見ということで。

 

 

 

遺言代用生前信託,今度,制度をつくるという方向性は明確なようですけれども,どうしても,民法の方の議論にやや遠慮がちなところがあるような感がいたします。

 

 

ただ,民法の方は物権を変えない限り,所有権概念を変えない限り,新しい物権制度をつくらない限り恐らく,あと,先ほど議論された後継ぎ遺贈とか受益者連続型遺贈とかできませんから,まさにこの場といいますか,この遺言代用信託をつくるということは,決して信託でいろいろなプログラムをつくって,あとは民法の世界に「どうぞ」と言ったところで,向こうには議論できる土壌がございませんから,この場での議論ということで,ぜひまず認識する必要があるのではないか。

 

 

 

当然認識されていますし,先ほど○○幹事もそういう観点から検討したいとおっしゃっていましたけれども,民法に戻したとしても,こちらの議論だと思うんですね。

 

 

すみれ

「たしかに。民法で埋めきれないところがあれば、信託法で対応するんだから、またボール返してもらっても民法も困るよ。」

 

 

信託法においては,もはや所有権ではなくて信託受益権ということに置きかわっておりますし,なおかつ受託者が存在していまして,決して死者がああしろこうしろと死んだ後まで言っているわけではなくて,受託者という財産の名義人が存在していて,その中で受益者が連続していくという規律でございますから,ですからこの中で,先ほど○○委員も,では,どの範囲だったらいいんでしょうかということをオープンエンドのクエスチョンとして今後,検討しましょうということでは,この遺言代用生前信託とか,前回議論しましたところの遺言信託とか,結局ほとんど遺言と同じものであって,別に遺言すればいいだけであって,何もそこで信託は必要ないということに帰着してしまうかもしれない議論だと思います。

 

 

すみれ

「でも遺言と違って、生前も、認知症になった後も効力を持たせることができるんだよ。」

 

 

したがいまして─これは意見だったですね。○○幹事から既に○○委員の発言に対して回答ありましたけれども,ぜひこの民事信託ということも,今回の信託法改正の中で非常に大きな目玉でございますから,そうすると,民事信託で何があるかというと,こういう時代ですから,高齢者の持っている,特に今の高齢者というのは資産をいろいろ持っていますから,それが世代間においていかに引き継がれていくかということと,引き継がれていく中で,その財産がいかに有用に,または今,持っている方がいかに自分の意思をある程度反映させた形で引き継いでいくかということが,今回の信託法改正に問われているわけですけれども,その辺についても,ここだけで,仕組みをつくるだけであって,あとは民法の相続の世界に投げるということではなくて,この場でぜひ議論していただきたい。

 

 

 

 

 

したがいまして,後継ぎ遺贈類似,また受益者連続信託型ということは重要であるということまでは,恐らく多くの方は賛同していただけると思うんですけれども,その後のこともある程度詰めておかないと,結局できない制度をつくってしまう。

 

 

弁護士が依頼されても,こういう制度があるけれども,だれかがどこかで無効という議論をされたときにどう対応するんだろうか。

 

 

 

なおかつ民法の世界の方では,もともと所有権から発想して,所有権を制限できないではないですかというところから,できないと。

 

 

 

それがあたかも相続法におけるドグマのように議論されているけれども,では,仮に新しい物権ができたとしたら,それでも相続法は否定するのかというと,多分だれもそんなところは議論されていないと思うので,繰り返しになって,しつこいようで申しわけないんですけれども,ぜひそういう点から,前向きに議論していただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

  •  大変有益なといいますか,重要な御指摘だと思います。

 

大きな視点から見ても,やはり今回の信託法の改正の中で将来のことをに

らんでおくと,民事信託というものが発展すると土壌というものも,この際,この信託ではつくっておきたい。

 

 

そういう意味では,この遺言代用生前信託というのはどの程度のものができるか。

 

今回,第1ラウンド,第2ラウンド,なかなか時間がとれませんでしたけれども,さらに引き続き検討する中で,十分その可能性も含めて,民法の議論との対決といいますか,信託の場面からいろいろ議論するということがとにかく必要になってきて,なかなか難しい議論がたくさんあるとは思いますけれども,もうちょっと集中的にやりたいと考えております。

 

 

 

すみれ

「民法と対決するのか。」

 

 

 

  •  単純な確認ですが,先ほど○○幹事が御質問された点との関係で,死亡後

に変更権の留保のようなものがあり得るかというときに,相続とパラレルに考えますと,自分が死亡した後の受益者というのは,例えば妻にする,妻が死亡すると子にするというような,これがそもそもできるかというような問題ですけれども,仮にできるとして,一応そうしておくんだけれども,妻に変更権を与えておくというようなタイプの遺言代用の信託というのは可能であると理解してよろしいんですか。

 

 

 

 

  •  今この枠組みで,ここに書いてあることでそういうことまで含んで書いてあるかどうかは別ですけれども,遺言代用の信託というものにおける変更権ですかね,受益者の変更権。

 

 

これは多少特別なルールには服するかもしれないけれども,変更権の一種で承継させようと思えば承継させることもできると考えれば,今のようなことも可能ではないかと個人的には思います。

 

 

ただ,そういうものを可能にするためには,やはりこれ明確にしないと,やはりそんなのだめだという議論が出てきて使えなくなるというさっきの問題になりますので,そういう観点から詰める必要があるのではないでしょうか。

 

 

 

今日は○○委員がおられなくて,○○委員は,恐らくこの代用の信託についてはおっしゃりたいことがたくさんあるのではないかと思いますけれども--いや,非常に積極的な御意見をいただけると思いますけれども,今日はちょっと御都合でいらっしゃいません。

 

 

 

いずれにせよ,これは中間試案を出す上での土台でして,また引き続き検討していただきたいと思っております。

 

 

 

 

  •  その議論が大切なことは全く否定しないんですが,前回も申し上げたことなんですが,第68の問題なのかということについては一言だけ申し上げておきたいと思います。

 

 

受益者連続ができるかという問題は,別に死亡を始期とする信託でなくても起こる問題であって,しかし,委託者が死亡後にずっとつけて,長い間拘束された状態といいますか,順々に受益者が変わっていくという状態にある財産をしてよいのかという問題,一般の話であって,別にそれが委託者の死亡を始期にするかどうかというのは余り大きな問題ではないと思いますので,第68のコンテキストとはちょっと違う問題だということで御議論いただければと思います。

 

 

 

  •  それを独立に取り扱っているわけではないので,そういうことで,今ここで議論していただいているんだと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

 

 

  •  そこは御指摘のとおり,恐らく新たな項目をこの近くに1個設けて。違うことは十分わかっていますけれども,この文脈でたまたま議論されたので,民事信託の一環としてここら辺に設けようかなと。独立の項目として考えております。

 

 

 

 

  •  それでは,次に移ります。
  •  目的信託でございますけれども,提案自体は変更ございません。

 

目的信託を認めるか否かにおいては,信託における受益者の中核的重要性ですとか,信託制度と法人制度との平仄,受益者がいないことから生ずるガバナンス上の問題,財の固定管理の懸念など,いわば理論的な観点からの分析,検討が必要となることは申し上げるまでもございませんが,現実的な問題として,新たに目的信託を導入することの社会的,経済的ニーズ,需要が果たしてどのぐらいあるのかという観点からの検討も重要であることは否定できないと思われます。

 

 

 

この点につきまして,これまでの会議におきましては,純粋な公益目的の信託の周辺にある信託の受け皿としての意義が認められるとか,今後のいろいろなニーズを先取りするような新たな制度としての意義はあるのではないかといった指摘もございました。

 

 

事務局としては,このような意義についてももちろん評価するものでございますが,目的信託の位置づけ,ニーズを詳細に検討する観点から,資産流動化の取引において目的信託を導入すれば,いわゆるケイマンのチャリタブル・トラストの代替的機能を営むものとして極めて有益であるとの指摘について,(注)において問題提起を行っております。この点につきまして,本日,特に御意見を教えていただきたいと思っております。

 

 

 

ここ,ちょっと付言いたしますと,例えばSPCの株式につき信託を設定した上で,SPCの発行する資産担保証券がすべて償還された後で初めて受益者が確定することとなるといった前者のスキームですとか,SPCの発行する資産担保証券を保有する投資家の多数を受益者とするといった後者のスキームをとることができると仮定いたしますと,資産担保証券の償還に先立ち信託スキームが解消されて,SPCに対して受益者等の影響が及ぶこととなって,ひいては資産流動化の目的が達せられなくなってしまう,こういうリスクが回避できるようにも思われるわけでございます。

 

 

 

 

このような信託スキームを設定することについて,法制上あるいは実務上いかなる問題があるのか,これらのスキームに比べて目的信託はいかなる点において有利であるのか,前述のような信託の設定が受益者の確定可能性ありとして許容されるのであれば,そもそも初めから目的信託としての設定を認めてしまっても大差ないこととなるかなどの諸点について,ぜひとも御意見を伺わせていただいた上で,目的信託のニーズというものをまた判断していきたいと考えております。

よろしくお願いいたします。

  •  それでは,今,説明がありましたように,このニーズについてお願いします。

 

 

  •  実際,これまでのところ,ケイマンで言えばチャリタブル・トラストをよく利用する,最近では中間法人に置きかわってきていますけれども--という大きな,ケイマンでチャリタブル・トラストを使っているというのは過去,また現在の実務ですけれども,では,もう少しグローバルに見たときに,チャリタブル・トラストがSPCの株式保有形態として一番適切かというと,もちろんそういうことはありませんでして,それが事務局からの目的信託の御提案だと思うんですけれども,実際に,日本国内はやや保守的な対応なのかもしれませんけれども,海外のABSですと,チャリタブル・トラストではなくてケイマンのパーパストラストを利用しているというケースが多々ある,このように聞いております。

 

 

 

聞いておるだけではなくて,実際そうだと思います。

そういうことで,流動化という視点からまず最初に申し上げますけれども,目的信託を導入するということは,まさしくこの目的が資産流動化とか,この当該取引ということで目的がなされるわけですから,まさしく受託者がSPCの株式を保有するに最もふさわしい信託の形態であって,そこでのもともとのチャリタブル・トラストというのは,ある意味では代用的な意味合いにしかすぎない。ですから本来,資産流動化という視点からしましても,目的信託というのは非常に有用であって,現在の,ある意味ではよそで行われている基準,標準でもあるということが言えると思います。

 

 

 

 

それから,流動化というのは,ある限られた側面ですけれども,弁護士会での議論ですと,目的信託というのは非公益ですけれども,非公益というのは非常に多様といいますか,非常に幅広い概念ですけれども,現在の公益信託というものが非常に限られているということもありまして,極めて公益に近いんだけれども,公益信託に該当しないような信託というものを遺言の中で遺言信託で設定したい,こういうような希望が結構あるということを弁護士会内部の議論をしたときに出てきました。

 

 

具体的には,具体的かどうかわかりませんけれども,やはり自分の財産を処分するわけですから,広くあまねく何々の研究のためということでは,なかなか資産家の方が遺言信託で信託を設定するということはあり得なくて,自分の出身の学校とか,何々のロースクールとか,そういうような限られた,でも恐らく一面においては公益的だと思うんですけれども,そういうような形での信託設定というのを希望する例がある。

 

 

 

ただし,現在においては公益信託という器しか用意されていませんから,そういう形での信託設定はできないということもあって,この非公益的目的信託ですかね,目的信託ということは,もし制度として導入されれば,流動化に限らず,民事信託の分野においても多様に利用されるのではないか,こういうふうに弁護士会のある委員が非常に強く言っておりました。

 

 

そういうことで,流動化という視点でも,本来,世界的な流れの一つの到達点でもありますし,なおかつ民事信託ということにおいても,公益信託の幅がどれほど広がるのか,狭まるのかというこの後の議論にもよりますけれども,非常に有用であるということで,ぜひ導入していただきたいと思います。

 

 

すみれ

「まちづくりみたいなことか。」

 

 

あと,(注)のところの議論ですけれども,現行法において,また,今回の信託法改正において,受益者が最後まで固まらない。この最初の「・」ですけれども,償還時に確定されるような信託というものは,まだ多分,制度としては検討されていないような,私益信託であれば始めから受益者は決まっているわけですよね。ですから現行法でも,また,信託法改正においても,この最初の「・」が可能であれば,これはこれで有用なやり方なのかもしれません。

 

 

2番目の「・」の投資家多数云々というのは,本来,SPCの株主というのは投資家であるという一つの究極的な側面であるかもしれませんし,なおかつ実際の証券化の世界では,そういうような仕組みもあります。

 

 

 

あと投信などでのエクイティ型では,まずこれと同じということも言えると思うんですけれども,ここで重要なことはガバナンスでございまして,そうすると,ガバナンスの多数投資家,また転々と移転する,変動する投資家が一々行使するというよりも,やはり受託者に任せるというような仕組みの方がよろしいのかな,このように思いまして,多数投資家を受益者とし,受託者に権限を行使させるという,一種のチャリタブル・トラストと同様な仕組みということにおいても,目的信託と同様な機能が達成できないわけはないですけれども,より直截的な制度としては,目的信託ということでつくり上げるということが,恐らく一番望ましいのではないのかなと思います。

 

 

 

○○幹事からも御説明ありましたように,中間法人を実際使っているというのも,ある意味では目的信託を使っているのを法人制度に代用しているというような言い方ができると思います。

 

 

 

では,中間法人制度でいいではないかというと,中間法人の場合には,中間法人という器にSPCの株式を入れますけれども,実際には,そこの理事の個人の信頼に最終的には帰着しているわけですね。

 

 

そこで変なことをしないという。受託者の場合には,最終的に受託者に対する信頼に置きかわりますけれども,信託制度を利用するということは,信託法の中に受託者の義務とかいうことははっきり書いて,受託者責任ということはかなり制度的にも明確でありますし,恐らく信託銀行とか,業としての信託を担当する方がそこでの受託者になるわけですから,より信頼性の高い制度ができ上がるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

  •  1点だけ補足いたします。

 

 

上の「・」でございますが,現行法のもとでも,受益者が現実に確定していなくても,確定可能性があればいいというのが通説でございます。そうしますと,このようなスキームも現行でもできるというのが我々の考え方でございます。

 

 

ですから,もしこれが,いい制度だとすると,では目的信託なくてもいいのかという問題が出てきます。後段については,ガバナンスの観点から目的信託の方がいいというお話だったと思うんですが,前段についてどういう点が目的信託の方が長所があるのか,あるいは,こちらに短所があるのかというところを教えていただければと思います。

 

 

 

 

  •  回答いたしますと,SPCは証券化の倒産隔離という機能もありますけれども,もう一つは,オフバランスシートの機能を果たすというところもあると思うので,最終的に確定するところの受益者と言っても,恐らく初めから,ケイマン的な発想であればチャリティとか,どこかの慈善団体とかそういうふうになるという前提だとすると,今度は公益信託の議論に絡んできてしまうというのと,そこでもう一回委託者が登場するようだと,ちょっとオフバランスシート,SPCではないのかなと。ただ,倒産隔離的な機能は,議決権をそこで制限することができるので,できないわけではない。

ちょっと今,思ったことだけの発言なんですけれども。

 

 

 

 

  •  実際の流動化・証券化取引で,ケイマンのチャリタブル・トラストが扱われている事例をちょっと考えたみたんですけれども,恐らくSPC,会社の株式をケイマンの信託会社が信託宣言の方法によって信託設定して,そのSPCは何らかの,そうですね,通常ですと資産を取得して社債なり何なりを発行して,それで償還していくということ。

 

 

 

終了するときは,その会社の残余財産,通常ですと,多分200ドルとか何かそのくらい残すんだろうと思いますけれども,数万円のお金を残して会社を清算して,それを慈善団体ですとか赤十字社といったところに寄附してお終いというような形をつくっているかと思います。

 

 

これとほぼ同じことを,信託宣言と目的信託をあわせればなし得るのかなという気がいたします。

 

 

 

あと,SPCの中立性,倒産隔離性については,例えば資産流動化法で,特定目的会社に関して特定持分信託という制度が用意されているわけですけれども,実際の流動化・証券化取引で社団あるいは法人を器として使う場合には,さまざまな事情があって,ケース・バイ・ケースですけれども,株式会社が使われる場合もあり,有限会社が使われる場合もあり,あるいは中間法人が使われる場合もあり,さらには,会社法成立後は,ひょっとしたら合同会社を使うというようなケースも出てくるかもしれません。

 

 

 

いずれにせよ,現実に用いられている証券化取引で使われる会社は,さまざまな種類があるということですね。

 

 

そのさまざまな種類の会社の持分について,それが株式であるのか何と呼ぶのかは別として,こういった形でそのSPCという会社の中立化,倒産隔離性の確保ができるという意味では,歓迎したいと思います。

 

 

 

 

(注)のところで,現行法制下で何かできないかということなんですけれども,1つ目はともかく2つ目の「・」については,税務上の問題が発生する可能性が高いのではないか。

 

 

すなわち投資家にとって,いきなり受益者ということで何らかの財産を取得することになりますから,投資家が個人であれば所得税,あるいは法人であれば法人税がかかってしまうということで,かなり敬遠されるのではないかという気がいたします。

 

 

また,1つ目の「・」の場合は,確定する受益者をだれにするかというのは非常に悩ましいところで,流動化,証券化を考えればオリジネーターにすることになるのかなという気がいたします。

 

 

それであれば特に問題は,問題はというか,税務上の問題は余りないのかもしれませんけれども,オリジネーター以外の人を受益者にするということであれば,やはり受益者になって受益権をもらってしまう人は税務上の問題が発生してしまうので,だれがなり手があるのかなというのが悩ましいところで,ひょっとしたら,海外のチャリタブル・トラストで受益者を慈善団体とか,どうせ寄附もらっても税金がかからないところにしてあるのは,そういったところにあるのかもしれません。

 

 

 

 

何か感想的なコメントになってしまって,すみません。

 

 

 

 

 

  •  私は,流動化等についてどれだけの需要があるのかは十分にわかりませんし,それをまた妨害しようというつもりもさらさらないのですが,そのように本当に必要な目的信託というものを認めていこうといったときに,本当に信託法にこのような条文を置くことでそれに対応するのがいいのかというのが,何か極めて疑問な気がいたします。

 

と申しますのは,先ほど出ました半公益といいますか,非私益なんだけれども公益信託としてはなかなか認められないようなNPO的なものをつくろうとか,あるいは資産流動化のための特別目的会社に対応する,株式を信託財産にするようなものをつくろうとか,それはわかるんですけれども,例えば,第69の乙案に書かれているような形で仮に条文化されるとすると,結局,差押不可能定期預金をつくるということですよね。

 

 

 

もちろん,そのつくった時点で債権者詐害の状態にあれば,債権者詐害信託として取り消し得ることになるわけですが,なければ,大丈夫なうちにどんどん目的信託をつくっておけばよいということになりそうな気がするんですね。

 

 

 

もしそういったことを避けようということになりますと,乙案の第2項の「一定の期間」というのを,やはりかなり短くせざるを得ないのではないか。そうなりますと,今度は,先ほど申し上げましたような準公益信託とか,あるいは資産流動化のための目的信託というものの需要に添えない結果になるのではないか。

 

 

 

したがって,目的信託というものを一般的に認めるという形で本当に書けるのかというのは,私は,かなり疑問な気がいたしまして,それならば,資産流動化なら資産流動化のためにつくればいいのではないかという気がするのですが。

 

 

 

 

  •  また重要な点でして,なかなか頭の痛いところではあるんですね。ただ,資産流動化だけではなくて,目的信託の,先ほど○○委員が言われた公益周辺的なというんでしょうか,そういうものも視野に入れたときにどうするかということですね。

 

 

単に資産流動化のための器だけではないので,もうちょっと信託一般的な問題がないだろうかというのが目的信託をこの中に置くという立場からの考え方なんだとは思いますが。

 

 

 

  •  今,○○幹事がおっしゃった差押禁止財産をつくるのではないかという懸念について,ちょっと思うところでございますが,1つは,これは委託者の財産からは離脱している財産でございまして,委託者が差押禁止としながら引き続き利益を享受するという形態のものではないという,委託者の責任財産からは離脱しているので,執行妨害というか,差押え逃れという懸念が果たしてどれだけあるのかという疑問がないわけではないという気がいたします。

 

 

 

それから,目的信託という以上は,ある程度目的が具体的に決まっていなければいけないので,そうすると,その目的に従って,例えば信託債権が発生すれば,それについては当然この信託財産となる目的信託の信託財産には,その債権者がかかってこられることになりますので,純粋な意味で差押禁止財産をつくるということには,必ずしもならないのではないか。

 

 

 

そうすると,だからその期間を短くするという議論にも必ずしもつながらないのではないかなという気がしているところでございますが,もし何か誤解があれば御指摘いただければと思います。

 

 

 

 

 

  •  帰属権利者を委託者にはできないんですか。
  •  それはできます。

 

 

 

  •  その間の受益が,信託期間中の受益者への分配によって信託財産がどれだけ減少するかというのは,当該目的財産のつくり方の問題ですから,私は事実上,やはり,差押不可の定期預金をつくることは十分に可能だと思います。

 

 

プラス目的を定めなければいけないんだからとおっしゃるわけですが,目的は完全な私益でも構わないことは,資産流動化に使えるということで明らかなわけですから,例えば私が法律の本をある一定限度購入するという形でつくろうと思っても,私はできるのではないかと思うんですが。

 

 

 

  •  私益というところはできるでしょうね。
  •  今の○○幹事のお話でございますが,中間法人--今はNPOもありますし中間法人もありますし,ですから中間法人を使ってどこかの……,何でもいいですよね,信託法改正の審議会のためということで中間法人をつくって,そこに基金を入れる。

 

 

 

そういう優良なものもあるし,全然優良でないのもあるかもしれませんけれども,現在の法制度としては,もはやそういう制度を認めているわけでして,要するに,公益法人しかない,または株式会社をつくるしかない,株式会社の場合は代用性はあったかもしれませんけれども─と違って,そうなっている以上,それは別でも構わないんですけれども,ここで目的信託,要するに非公益中間法人型信託というものをつくったからといって,それは執行免脱の要素が極めて強いという議論は,何か制度的にも,もはや許容されているものですし,本当に悪質な,病理的な目的信託の利用があれば,それはそれでいろいろと法的な対応の手段はあるのではないか。

 

 

 

制度そのものがやや病理的なものであるというふうな感覚は全く受けないんですけれども。

 

 

 

 

 

 

  •  議論の仕方としては,もうだめなのがいっぱいあるではないかという感じが,私は○○委員の話を聞いていて感じるんですけれども,そういう議論は可能なのか,私はちょっと。
  •  中間法人にということですか。

 

 

 

  •  いえ,そういうわけではないんですが,例えば差押えができない定期預金のような形で悪用しようとすると,できる制度が多々あるというのは,余りあれですよね,また新たに入れるということの理由にはならなくて,だから,○○委員がおっしゃるように,病理的なものに関してはまた別個対処すればよいということは,おっしゃるとおりで,それでよいということならばそれでよいのですけれども,私は,そのような懸念があるということになりますと,やはり「一定の期間」というのを短くせざるを得ないのではないかという気がいたしまして,そうすると,私は,最初に申し上げているように,目的信託を認める,必要な領域において認めることに全く反対しているわけではなくて,一般的な制度にすることによる一定の期間の短さ,それで全体の使いにくさをもたらすということを懸念しているだけであって,その点,誤解がないようにしていただきたいんですけれども,それならば,やはり必要な部分につくった方が合理的なのではないかというだけなのです。しつこくて申しわけございません。

 

 

 

 

 

 

  •  期間の問題は,それなりに重要な問題だと私も思います。これは目的信託をどういう形で使うかですけれども,流動化で使うときは,恐らく一定の期間が来るんでしょうけれども,それ以外の,もうちょっと非公益だけれども私的な--私的なと言うと変かな,やはり非公益なんですけれども,受益者がいないという意味では。そこに信託財産を設定して,受益者がいないので,そういう意味では受益者のイニシアチブでもって信託を終了させるということがないような信託が続く。そしてある種の財の固定化が生じるということだと思います。だれも債権者がいないわけではないけれども,債権者がかかっていけないような財産がつくられる。

 

 

その後,一定の期間が必要なのではないかという議論が出てくるというのは,そういう脈絡ですね。

 

 

  •  期間のところについて,流動化,証券化の観点から。

今,日本においては国債とか社債といったものの年限というのは,最長でも30年だろうと思うんですけれども,流動化,証券化に関しては,最近,住宅ローンの証券化が非常に盛んになっておりまして,住宅ローンを裏づけにした証券化商品の最終年限は,35年になっているものが多いです。これは金融機関が個人に住宅ローンを出す場合,通常最長35年で出しているというところに由来しております。

御参考までに。

 

 

 

 

  •  流動化の方で言えば,ある程度,今のようなものを見越して,何年ぐらいの期間を超えては存続してはならないという形で,仮に目的信託が許容されても,その期間さえ十分気をつければ何とかなるかもしれないという話ですね。

 

 

 

  •  議論の仕方なんですけれども,中間法人があって,だから目的信託もいいではないかという議論は,何かちょっと変な感じがします。

 

 

中間法人がつくられた本来の趣旨というのは,決して流動化のためにつくられたのではないと思います。

 

 

 

それが結果として,しかしこれにも使えるではないかということで現に使われているけれども,流動化の観点からすると,中間法人というのはあたかも流動化のためのものだというような雰囲気かもしれませんが,決してそうではない。

 

 

 

むしろ目的信託においても,本来,何のために必要なのか,それが仮にほかの目的にも使われるということがあり得るのかというのが筋であって,仮に流動化のためにこそ必要だというんだったらば,流動化の観点から対応すればいいのではないかと思います。

 

 

すみれ

「たしかに。」

 

 

  •  新しい中間法人よりも,今,議論されている非営利法人とか,あるいはそこにおける非営利の財団とか,そういうものとパラレルの問題があるということかもしれませんね。これも○○委員がお詳しいと思いますが。
  •  それは……,今日は次もやるんですか。
  •  はい,今日は最後ですから。
  •  では,そこでやります。

 

 

 

 

 

 

  •  今の御指摘との関係で,少し気になっているところが,通常の私益信託との関係でして,例えば子供の養育のためにやりたいというときに,未成年者なり,成人でもいいんですけれども--を受益者にして,扶養ですとか教育を受けさせるために信託を設定するというような場合,端的に受益者にしてしまいますと,莫大な債務を負って差押えがかかるというので,目的信託にすればだれも差し押さえてこないと今の使い方は考えられるわけですけれども,そういう,本来私益信託で想定されるようなものを,その部分,何らかの問題があるということで,それも適正なんだというふうに考えるのであれば,私などはそれでいいのかなという感じはしないでもないんですけれども,扶養とかそういう目的であれば。

 

 

 

 

ただ,そこの部分がやはり問題であるというときに,目的信託にすれば大丈夫というのは,何か問題があるような感じがいたしますので,何のために必要なのかというときに,一般的な,受益者がいるような形での信託と目的信託の役割分担みたいなものを考えていく必要があるのではないかという気がいたしますので,付言いたします。

 

 

 

  •  今のも,法人のところでも同じような議論ができるんだと思いますけれども,まず非営利の財団法人をつくって,実際には利益を享受するような人をそこで想定するとか,ちょうど目的信託を使って受益者ではないけれども利益がそこにいくような形をつくるということですね。

 

 

 

財団法人のときは,そんなものでも構わないのではないかという議論をちょっとしたんですけれども,信託で果たして適切かという問題がありますね。

 

 

 

  •  ちょっと御賛同を得られるとは思えないんですけれども,先ほど来,目的信託についての有用性と弊害について御議論があったと思いますけれども,これについては,今日の最初の信託宣言についても同様だと思いますので,私自身は,もう目的信託プラス信託宣言で,特別法で1つのものをつくってしまえば,それでいいというふうに考えておりまして,例えばここの公益信託の受け皿の部分については,まだ公益信託の分野で1つ議論というのがあり得るのかなと思っておりますので,そういう方向性でお願いできればと考えております。

 

 

 

 

 

  •  その弊害につきましては,銀行業界の中でも若干の議論はしております。ただ,信託宣言については,受益者が決まっているということですので,最終的な執行が,1回が2回になる,そういう議論がございましたけれども,ただ,執行がどこかの受益者に対してできるということはありますので,そういう意味で,今,○○幹事がおっしゃるような一定期間執行不可能な財産をつくるということとは,ちょっと性質が違うのかなと思っております。

 

 

 

よって,どちらかというと,そういう詐害的なことが起こり得るのであれば,ここは比較論でございますけれども,信託宣言よりは目的信託の方が悪用の--もちろん2者ということもございますけれども--あるのかなということがあります。

 

 

 

そうしますと,むしろ信託宣言と目的信託を同列の規律にすべきでないかという議論よりも,分けて議論することが必要ではないのかなと思っております。

 

 

 

  •  1点だけ,ちょっと気になっているところなんですけれども,通常の私益信託に比べて,目的信託の場合には受益者による監督の可能性といいますか,そういったものがちょっと弱まるのではないかという気がしていて,制度的に,何かそこをちょっと補完するような手当てを検討する必要があるのではないかという気がしています。

 

 

 

例えば,信託管理人ですとか受託者監督人ですとか,そういったものを活用することも1つ考えられるのかもしれませんけれども,そういった,流動化のことを考えると,強行法規とまでしなければいけないかという問題はあろうかと思いますけれども,そういった手当てがされるような方向に誘導するような規律というものを,ちょっと御検討いただけないかなと思います。

 

 

 

  •  受益者がいませんので……,信託管理人のところの規定は今,はっきり覚えていませんけれども,置くことは……

 

 

 

 

  •  ガバナンスの問題については,もちろん認識しておりまして,今回の資料には書いていないですが,たしか前に配った資料では,受益者の代表をするという意味の信託管理人ではなくて,別途ガバナンスの観点からの信託管理人というか,そういう制度を設ける必要があるのではないかということは,当然問題意識として持っておりますので,その方向で,設けることとなれば,その方向でも検討していきたいと思っております。

 

 

 

  •  これは,やはりどうも根本問題が重要な問題であって,流動化の観点からもさらに詰めなくてはいけませんけれども,先ほど○○委員からいろいろ御指摘がありましたけれども,中間法人よりはこちらの方が目的にかなっているという御議論などは,いろいろ参考になるように思います。

それでは,公益信託も含めて,また。

 

 

  •  それでは,公益信託について簡単にご説明いたします。

公益信託につきましては,今年の秋以降,当部会において公益信託に関する法改正の内容について本格的に審議いただきたいと思っておりますが,それに先立ちまして,公益信託制度のあり方に対する基本的な骨格となる部分について,改正の方向性についての当面の意見を賜りたいとの趣旨に基づく問題提起でございます。

 

 

(前注)に書いてございますとおり,公益信託と公益法人とは類似の機能及び規律を有する制度でありますところ,公益信託法制の改正に当たっては,並行して行われている公益法人法制の改正動向を注視し,その改正の具体的内容が相当程度固まったところを踏まえた上で,公益法人に関する規律と同様の規律を設けることとするかを含めて検討していくことが適当であると考えております。

 

 

 

このような観点を踏まえつつも,今後,公益信託の規律を考えていくに当たり当面念頭に置いておくべき最も基本的な事項として,次の2点を挙げることができると思われます。

 

 

 

第1は,公益信託の設定に関し,現行の主務官庁による許可制を維持すべきか否かという点でございます。

 

 

公益法人法制の改正においては,許可主義を見直し,民間の有識者から構成される委員会の意見に基づいて,一般的な非営利法人について公益性を判断する仕組みを設けることとされております。

 

 

 

この点については,公益法人と異なり,公益信託には法人格がないことですとか,公益法人の許可制について,問題視されているような弊害等については,公益信託では特段指摘されていないと思われること等の事情の違いがあることをかんがみますと,公益法人と公益信託とでは必ずしも平仄を合わせる必要はないとの見解もあり得るものの,類似の機能を有し,類似の規律が採用されている公益信託についても,公益法人の設立に関する規律と平仄を合わせて許可主義を廃止すべきではないかとの見解が有力でございます。

 

 

 

もう一つは,今の延長線にある問題でございますが,公益信託の監督に関し,主務官庁が監督する旨の現行の規律を維持すべきか否かという点でございます。

 

 

公益法人法制の改正においては,公益制の判断主体が必要な監督上の措置を講ずるとの方向で制度を検討することとされております。この点につきましても両様の見解が信託についてはあり得るわけですが,公益法人法制の改正内容と平仄を合わせるべきであるとの見解が有力であると思います。

 

 

 

この2点について,当面の考え方をお聞かせいただければ大変ありがたいと存じます。

 

 

なお,以上のほか,公益信託の終了ですとかその後の財産の帰属先の問題,あるいは(注)において指摘した各論的な問題についても,御意見があれば賜りたいと思ってございます。

 

 

  •  それでは,御意見をお願いいたします。
  •  目的信託の議論と公益信託の議論は,当然連続的な議論でして,現在,公益信託が狭いがゆえに,非常に公益性が強いところの非公益的目的信託の必要性がありまして,ただ,では公益信託の幅を広げれば目的信託は要らないかというと,そんなことはなくて,やはり公益信託の幅も広げていただいて,課税の方は課税の方でまた検討されればいいと思うので,公益信託は狭く,場合によっては目的信託ももしかしたら制度的に難しいということになりますと,やはりこれだけの資産,財産の承継ということを考えているときに,有効な形での財産の処分というか,承継ということができなくなってしまうので,今の議論だけからしますと,公益信託の許可主義ということが,やはり問題ではない。いわゆる広げてほしいというような意見です。

 

 

 

 

  •  税務問題は,今,政府税制調査会でやっておりまして,近々報告が出ると思いますが,ここはそれを切り離した形で,制度論なんですけれども,主務官庁制という問題と許可制という問題と2種類の問題があると思います。

 

 

 

主務官庁制に伴う弊害というのが,例えば縦割り行政に伴う弊害というものをやめるにはどうしたらいいかというので,第三者機関による判定というスキームが出ているんだと思います。

 

 

 

それが公益法人と公益信託とで,現在の主務官庁制に伴う問題が多いのか少ないのかというのは,これは事実の認識の問題で,よくわかりませんので,それに伴ってということになりますが,しかし,法人の方を主務官庁制をなくすのに信託だけ残すというのは,どうも何かうまくいきにくいのではないかなという感じがいたします。

 

 

 

それからもう一つ,許可制の問題なんですが,公益法人の法制では2段階を考えていて,準則主義で非営利法人を直ちに設立することができて,その上で,第三者機関の判定を受けたものを公益性のある法人と判断しようという,こういう2段階になっていると思います。それを信託の方に持ち込むとしますと,第1段階に相当するものが何なんだろうかということがはっきりしません。

 

 

 

そこで,ひょっとしたら目的信託というのが第1段階であって,その上で,公益性を第三者機関なりが認定したものが公益信託になるという,そういうスキームが考えられます。

 

 

 

しかしながら,目的信託を導入するかどうかについては先ほど来,議論もありましたし,仮に導入するとしても,目的信託に対する規律と,それから公益信託に対する規律とは相当違ってくるのではないだろうか。

 

 

 

非営利法人の上に公益法人を抽出するというのとは,ちょっと違ってくるのではないかという気がしますので,今のような2段階のスキームがうまく組めるだろうか。もし組めないとすると,むしろ一段階にしてしまって,その第三者機関が公益信託の設定について,許可ではなくて,何というんでしょうか,認定というんでしょうか--をするというようなワンステップも考えられるのかなと思います。

 

 

 

いずれにしましても,公益法人法制の方がどうなるかというのは,まさに今,詰めていらっしゃることだと思いますので,それを見た上だということになると思います。

 

 

 

あと,細かい点で1つだけなんですが,3番目の残余財産の帰属先について,これは現行の制度を維持しようというような御提案かと思うんですが,現行の制度は,帰属権利者がいないことが前提になっていて,そうすると,委託者が帰属権利者を自由に決めることができるということが前提になっていると思います。

 

 

 

私はそれでいいと思うんですが,公益法人法制の方でそのようになるのかどうか,よくわかりませんで,そことの整合性,バランスというものも問題になるかなと思います。

 

 

 

 

  •  先ほど申し上げましたように,目的信託については必ずしも賛成ではないんですが,それはちょっと置いておきまして,仮に目的信託を入れたときに,チャリティーコミッションみたいなものをつくる制度にしたときに,それは何を意味するんだろうかということが,○○委員のおっしゃったことと関係しているんですが,すごく気になります。

つまり,法人制度におきましては,第三者機関が認めなければ法人になれないわけであって,法人格を取得できないんですよね。違うんですか。

 

 

 

  •  法人格は取得できます。非営利の法人格。
  •  では,同じなんですか。
  •  非営利の法人格を取得できて,あとは税の優遇措置がくっついてくるかとか。

 

 

 

  •  では,パラレルで考えていいのかもしれないんですが,先ほど○○委員の発言にもありまして,そうかなと思いながら私,聞いていたんですが,仮に税の優遇措置に関してはまた別個の基準で考えて,チャリティーコミッションが考えるのは公益法人の認可の問題である,そしてそれは広く認めていこうという話になりましたら,何を認めるんだろうかというのがすごく気になるんですよね。

 

 

もしそれを認めてもらえなくても,目的信託として生き残るわけですよね。そして,今までは,認めてもらうというのは,恐らく受益者が確定していなくても信託として成立することを認めてもらうとともに,税法上の優遇措置を受けられるということを認めてもらうということだったんですが,今度チャリティーコミッションみたいなものをつくったときには,何を認めるのかが気になります。

 

 

 

 

2点目,これは小さな話なんですが,全体の規定の仕方なんです。

公益信託の終了時の規定とか,いろいろな規定というのが,「こういうふうな定めをしておかなければコミッションによって認可されませんよ」という話として規定していくのか,それとも「コミッションで認可されるとこういうふうになりますよ」というふうに規定していくのか,2通りの規定の仕方があると思うんですね。

 

 

 

後者の規定の仕方というのは,ある意味ではすごくおかしいような気がいたしまして,例えば,帰属権利者みたいなものがどこそこになりますという規定が仮にあったとしますよね。

 

 

しかるに,私人を帰属権利者として指定している申請が出てきて,それを公益信託としてチャリティーコミッションが認めて,しかし強行規定が適用される結果,帰属権利者が公の主体になるというのは,何か非常に持ってまわったやり方で,変な気がするんですね。

 

 

 

そうすると,結局,認められるためには何が要件になっているのかという書き方をした方が素直なのではないかという気がいたします。

後者は全くもって思いつきであり,議論すべきような話ではないと思いますが,ちょっと前者のことが気になります。

 

 

 

 

  •  法人の制度とこっちで本当にパラレルかどうかというのはよくわかりませんけれども,法人の方は,恐らく法人の類型としては,もう非営利法人しかないんですね。

 

 

 

ですから,こっちで言う目的信託,受益者がいない信託というものしかない。あと税の優遇措置がくっついてくるためには,目的が公益であることを認定してもらう,法人の場合ですと。

 

 

そうすると,重要なねらいは,課税当局が判断するのではなくて,何とか委員会というところでもって公益性を認めると,税の優遇措置がくっついてくる,それは大体よろしいんですか。税の方は今,議論しているかもしれませんけれども。

 

 

それは後で補足していただくとして,そこにだから公益性を認定するということの独自の意味があると,少なくとも当初は考えておりました。ですから,信託も同じような形がとれるのかどうかということですね。

 

 

もう一つ,さっき気になったのは,仮に信託の方では,やはり公益信託という類型が必要なので,「公益信託」という言葉は積極的に使って信託の中に置いておく,諸外国にも公益信託というのはありますから,ちょっとそこで法人と違う形をとって,ただ,そこで言う公益信託というものについて,さらに2つの考え方があり得て,税の優遇措置と連動するかどうかというのは,これは一応切り離した上で,要するに,プライベートなというか,今で言えば許可主義の,許可を受けない公益信託というものを,とにかく一定の要件を規定した上で認めるという法制度をとるかどうかですね。

 

 

 

 

例えば,帰属権利者というのは公益団体とか,要するに私人ではいけないとか,そのルールがいいかどうかは別として,幾つかの要件を定めて,その要件さえ満たしていれば,あとは公益目的で受益者がいないというタイプの信託を認める。

 

 

 

その上で,信託法としてはそこまでやって,あとその信託が本当に税の優遇措置を受けるかどうか,これは外の,先ほどの主務官庁に相当するような何とか委員会とか,そういうものに任せる。そんな仕組みが,考えようと思えば考えられるんですね。

 

 

 

 

 

税のことも含めて,○○委員から補足していただけますか。

 

  •  税につきましては,方向性としては,第三者機関が公益性を認定すると税の優遇をそのまま自動的につけるという方向の議論になっているということは,新聞でも既に報道されているとおりでございます。ただ,最終的にどうなるかは,あと二,三回の審議を経まして,近々正式な形で公表されると思います。

 

 

制度論につきましては,今,○○委員がおっしゃいました,認定されない,認定前の公益的あるいは広い意味での公益的な信託というものをどう位置づけるのか,それをさっき出てきた目的信託の重要な一部分として位置づけるのか,それとも公益信託の予備軍といいますか,準公益信託のようなものを考えるのか。その準公益信託的なものと,それから流動化目的のための目的信託とを一括りにするのか別に考えるのか,そのあたりかと思います。

 

 

 

 

  •  ○○委員が最初に発言されたこととほぼ同意見なんですけれども,ちょっとつけ加えたいこともありますので,発言します。

 

 

1と2については,私の意見としては,どちらも主務官庁による許可制は廃止し,そして主務官庁による監督も廃止すべきだと思います。

 

 

それに代わるものとしては,公益信託として何を考えるかというところが問題ですが,基本的には,非営利法人法制に付随する公益性認定の仕組みに合わせるべきだろうと思います。

 

 

 

理由ですが,社団法人とかも非営利法人法制に入ってきますので,一般化すると少しぼんやりぼやけてくるかもしれませんが,具体的に公益信託と比較すべきは,現行の民法上の財団法人だろうと思います。

 

 

 

現行の公益信託と民法上の財団法人は,ほぼ類似する目的のための社会的な存在であって,そして,民事法上の仕組みが違うけれども,他方で主務官庁による許可と監督という点は共通したものだったように思います。

 

 

したがって,寄附行為をする者,あるいは公益信託の委託者になる者は,どちらを選ぼうかというのは,基本的に民事法的な規律に着目して,コストの面とか安定性の面とか,そういうことでどちらかを選択してきたのではないかと思います。それはそれで適切なことだったのではないかと思います。

 

 

 

したがって,民法上の財団法人に代わる制度が,非営利法人制度の中の公益性認定を受ける財団法人型のものになる。

 

 

 

そこでは新設される委員会で公益性認定を受けるということになり,そして監督も,恐らくその認定の更新とかに絡む形で委員会がするというつくりになるのであれば,他方で公益信託については,これまでの縦割り,主務官庁制の許可制,監督制を残しておくというのは,公益信託の委託者,そして財団法人の寄附行為者になる者がどちらを選ぶかというときに,民事法的な規律だけでなく,別の,今までは存在しなかったノイズというんでしょうか,それでどちらが自分の考えていることがより実現しやすいかということを判断しなくてはならなくなって,恐らく今後は,こういう制度がこれまで以上に広く社会で使われることがよいと思いますので,そのためには無用な,あるいは有害な障害になってくるだろうと思います。

 

 

 

したがって,30ページのところには,公益法人にはいろいろ問題が指摘されてきて,今,改革になっているけれども,それと同様の問題は公益信託には果たしてあっただろうかということでありますが,たとえなかったとしても,制度の平仄を合わせないということが問題になる,そういうふうに考えるべきだと思います。

 

 

その次ですが,ここがちょっと○○委員もおっしゃっているところであり,私もよくわからないところなんですが,そうすると,公益的な信託をつくろうとして,受益者は特定していない。

 

 

しかし,新設される委員会で公益性認定を受けなかったときに,どうなるのかという問題なんだろうと思うんです。○○委員もおっしゃっていた問題だろうと思うんですが。

 

 

 

それは,信託としても成立しないというのは一つの答えだと思うんですが,しかし,それは恐らく適当な答えではないのではないかと思います。では,それが第69の目的信託そのものなのかどうかは,目的信託についての私の意見が定まらないのでよくわからないんですが,しかし,公益性認定を受けられなかった信託であって,受益者が確定していないのは,それで信託として無効になってしまう,そういう制度にはすべきではないのではないかと思います。

 

 

 

 

  •  今,最後におっしゃった点につきましては,法人法制の方で非営利財団法人をつくることになるかどうかはまだ決まっていないんだと思いますけれども,それとのバランスも考える必要があるのではないかと思います。

 

 

 

 

  •  非営利財団の方は比較的,これもいろいろな意見があったわけですけれども,広い非営利財団を考える。要するに,ここで言う目的信託的な非営利財団というものと,それから,今,○○幹事が言われたのは,本来,公益的なことをねらっているのであって,そういう意味では,公益とはちょっと違うということを意識しつつ,非営利の目的信託なり,あるいは目的財団,そういうものとはちょっと違うんですね。

 

 

 

ですから,恐らく3つぐらい円があって,認定を受けられるであろう公益信託と,その周辺にあって,公益なんだけれども認定を受けられない,あるいは認定を受けないでやっていきたいという場合もあるかもしれませんね。それからもっと外の,本当の非営利の,公益でない非営利のもの。

 

 

どこまで認めるか。財団法人の方もどこまで認めるか,そういう議論がいろいろ関連していて,信託も基本的には合わせた方がいいんだろうと思いますけれども,信託は信託で独自の,許可制とか主務官庁制については,これはもう完全に合わせた方がいいと思いますけれども,どの範囲でもって信託を認めるかということについては,あるいは信託独自の考え方があり得るかもしれない,そんなふうに思います。

 

 

 

 

  •  公益信託,目的信託でもいいんですけれども,事業型ということが考えられると思うんですね。要するに,単に財産を管理して奨学金のように寄附するという単純型ではなくて,何か,財団法人に近いものかもしれませんけれども,私も財団法人の理事やっていますけれども,やはり財団法人というのは寄附行為が変更できないという大きな,致命的な問題も抱えていますから,信託の柔軟性ということは非常に重要ですから,パラレルではあるけれども,信託のよさというものはある。そうすると,財団法人がやっているような事業型ということも考えられるという。

 

 

 

あと,目的信託でも公益信託でもそうですが,その担い手ですけれども,受託者。信託銀行が財産管理機能とか安全性,信用力という意味ですぐれているということは,これまでの歴史が証明するところでありますけれども,公益信託にしろ目的信託にしろ,その内容によっては,場合によっては,あとNPOみたいなところは適切かもしれませんし,ある程度紛争含みであれば--紛争含みと言うと適切ではありませんけれども,法律関係ということにおいては,また個人的な信頼という意味においては,手前みそですみませんけれども,弁護士とか弁護士会というのが適切である,かように思いますから,そういう担い手がどうあるべきかということも,今後の論点としてぜひ検討していただきたいと思います。

 

 

 

 

  •  担い手は,実際問題として非常に重要な問題ですね。
  •  公益信託それ自体というよりは,その場合の裁判所の関与という問題について若干申し上げておきます。

 

 

 

公益法人において監督のあり方がどうなるのか,まだ全く,ある意味で十分詰まっているわけではないので,どのようになるのかわからないということが前提ですが,ただ,公益性の認定を初めといたしまして,やはり公益的な観点からの監督というものがあります。その上は,その部分を裁判所が担うということは,実際上も,それから政策的に言っても不適当であって,そういうわけにはいかないだろうということだけ申し上げておきたいと思います。

 

 

 

そういう意味で,公益信託における裁判所の関与というものは,なるべく最小限,それがあるとしてもなるべく最小限のものとしていただく必要があろうかなと考えているところでございます。

 

 

 

  •  チャリティー委員会みたいなものができるのであれば,それということも考えられますよね。

 

 

公益信託についても,まだまだ議論はあると思いますが,何分法人制度の方の影響を非常に受けるもので,こちらで先行するわけにもいかないところがあります。--ということで,このぐらいで一応終えるということでよろしいでしょうか。

では,今日は長い時間どうもありがとうございました。

-了-

 

 

 

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すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。今日は空気がすっきりしています。戸籍は日本人であることの公的な証明書となります。戸籍を辿り、自分の先祖を知ることができない国もあります。」

 

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