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2016年加工編 法制審議会信託法部会 第14回会議 議事録
2016年01月28日

2016年加工編

法制審議会信託法部会

第14回会議 議事録

 

 

 

第1 日 時  平成17年4月22日(金)  自 午後1時02分

至 午後5時02分

 

第2 場 所  法曹会館 高砂の間

 

第3 議 題

受託者が複数の信託に関する規律について

信託財産の管理人について

受益者の利益の享受について

受益者を指定又は変更する権利について

信託管理人等について

受益者名簿について

受益権の放棄について

 

第4 議 事 (次のとおり)

 

 

 

議        事

 

  •  これから信託法部会を開催したいと思います。

いつものように,幾つかに区切って事務局の方から説明をいたしますので,その点につきまして○○幹事からお願いします。

 

 

  •  まず最初に,皆様の席上に「信託法の改正を検討されるに当たり投資信託に与える影響からご留意頂きたい事項について」というペーパーが置いてあるかと思います。

 

 

これは本日付で社団法人投資信託協会から,この部会での検討に当たって,参考資料としていただきたいということで事務局にいただいたものですので,今後の議論にお役立ていただければと思います。

 

 

それでは,本日の議論の順番でございますけれども,一番最初が受託者複数の問題,その次が信託財産管理人の問題,それから信託管理人の問題,それから受益者の利益の享受についてと受益者を指定,変更する権利,それから受益権の放棄の問題を3つまとめてやりまして,最後に受益者名簿ということで,よろしくお願いいたします。

 

 

それでは最初の,受託者が複数の信託に関する規律について,御説明をいたします。

 

 

今後,信託の利用が進みまして受託者が複数の信託も増加することが予想されることにかんがみまして,受託者が複数の信託について,信託財産の帰属形態,信託事務処理の方法,受託者の責任などに関する規律の整備を提案するものでございます。

 

 

 

 

 

前回の提案からの主要な変更点を中心に,御説明申し上げます。

まず,提案の3になります。受託者間の信託事務処理の委託の関係で3点ほど御説明いたします。

 

第1に,前回の提案では,共同受託者による信託事務の処理につきまして,原則として受託者の過半数で決定するものとした上で,不在,病気その他のやむを得ない事情があるために信託事務の処理に関与することが困難な受託者があるときには,受益者保護の観点から,信託事務の停滞を避けるために,その受託者を除いた共同受託者の過半数で意思決定できるということを提案しておりました。

 

 

これに対しまして,第6回会議におきまして,この例外要件のもとでは,特に取引の相手方から見た場合に,いかなる場合に残りの受託者だけで意思決定できるのかが基準として不明確ではないかとの指摘がなされました。

 

 

 

このような指摘を踏まえまして,残りの受託者としても,この例外要件に該当し当該受託者を意思決定から除くことができるか否かの判断には確かに困難を伴うと思われますので,この例外要件をなくしますとともに,他方,受託者の一部に信託事務の決定に関与できない事情が生じた場合にも,信託事務処理が停滞しないようにする配慮はやはり必要であると思われますので,3の(1)のとおり,受託者は,やむを得ない事情がある場合には他の受託者に対して信託事務の決定を委託することができるとすることで,解決を図ることとしてはどうかと問うものでございます。

 

 

 

 

 

もっとも,この場合におきましても,委託が可能となるやむを得ない事情がある場合に当たるか否かは,やはり不明確ではないかとの問題指摘はあり得ると思うのですが,そもそもある受託者を意思決定から除外してしまうこととなります前回の提案に比べれば,今回の解決方法は,委託を通じて少なくとも形式的には受託者全員による意思決定という形が維持されることに加えまして,委託の過程において,ある受託者にやむを得ない事情があることが明らかになることも考えられますので,取引の相手方の保護にはより資することになるのではないかと,事務局としては考えているところでございます。

 

 

 

 

 

第2に,受託者間において信託事務の決定の委託が禁止されますのは,重要な信託事務に限ることとしました。

 

 

軽微な信託事務の決定についてまで委託できないとすることは,共同受託者による円滑な信託事務の処理に支障を来し,委託者の合理的な意思にも沿わないと考えられるからでございます。

 

 

なお,何が重要な信託事務に当たるかにつきましては,当該事務の信託財産に与える影響や委託者の合理的な意思などを勘案して,事案ごとに決すること

になると思われます。

 

 

第3に,信託事務の執行の局面につきましても,過半数の意思決定に基づく信託事務の執行につきましては,原則としては各受託者が執行権限を有しておりますものの,信託行為において,共同受託者を代表して執行権限を有する受託者が定められている場合もあり得ることをかんがみますと,そのような代表受託者に不都合が生じた場合にも,信託事務処理の円滑を図る必要があると思われます。

 

 

そこで,このような場合を想定しまして,信託行為に定めのある場合はもちろん,このような定めがなくても,やむを得ない事情が生じた場合には,信託事務の執行についても他の受託者に委託することができるとの規律を設けることを提案いたしております。これが3の(2)でございます。

 

 

次に,提案4の(2),共同受託者の第三者に対する責任の関係で,5点ほど説明をいたします。

 

 

第1に,共同受託者の場合における,信託事務の執行によりまして各受託者の固有財産と信託財産が責任を負担する関係でございますけれども,まず,職務分掌の定めのない一般の共同受託の場合におきましては,ある受託者と他の受託者とは相互に執行上の代理権を授与しているものと見なしますので,まず第1といたしまして,ある受託者が共同名義で執行した場合につきましては,顕名を伴う有権代理といたしまして,全受託者の固有財産と信託財産のすべてに効果が及ぶと考えております。

 

これに対しまして,第2としまして,ある受託者が共同名義を出さずに単独名義で,自分だけの名前で執行した場合につきましては,顕名を伴わない無権代理となりまして,その受託者の固有財産のみに効果が及ぶようにして,ほかの受託者の固有財産はもちろん,信託財産にも効果は及ばないと考えているものでございます。

 

 

すみれ

「信託財産にも及ばないのか。取引した人が信託の受託者と思っていた」

 

 

すなわち,前回の提案では,この後者の一人だけの名義で執行した場合につきましても,他の受託者の固有財産には効果が及ばないが信託財産には効果が及ぶとしておりましたが,この見解を改めまして,信託財産にも他の受託者の固有財産にも効果が及ばないと考えるものでございます。

 

 

 

次に,職務分掌の定めのある共同受託の場合におきましては,分掌された職務の限度で独立に信託事務を決定し,執行できるわけでございますので,ある受託者が単独名義で執行した場合であっても,その受託者の固有財産のほか信託財産にも効果が及ぶと考えているものでございます。

 

 

 

今,申し上げましたことを前提に,第2といたしまして,前回の提案におきましては,共同受託者の固有財産が負担する債務につきましては,原則として分割債務になるとの考え方を示しておりましたところ,民法においても分割責任の原則は慎重に認定すべきと考えられていること等に照らしましても,共同受託者の固有財産が負担する責任は連帯責任とする考え方もあり得るのではないかとの指摘がなされました。

 

 

 

この指摘を踏まえて改めて検討いたしましたところ,共同受託の場合におきましては,各受託者が共通の信託目的のもとに共同して信託事務処理の決定を行い,他の受託者を代理するという形で,信託事務の執行も共同して行うものであることにかんがみますと,共同受託者は信託事務の処理によって,第三者に対し,固有財産で負担する債務について連帯責任を負うこととするのが相当と考えられます。

 

 

 

そこで,前回の提案を改めまして,現行信託法第25条後段の解釈と同様に,信託事務の処理により共同受託者が第三者に対して債務を負担したときは,共同受託者は固有財産をもって,連帯して弁済の責任を負うことと提案を変えたものでございます。

 

 

 

 

 

第3といたしまして,信託事務処理による債権を有する信託債権者が,各受託者の固有財産及び信託財産に対して執行していくための方法についてでございます。

 

 

第6回会議におきまして,固有財産に執行するための債務名義と,信託財産に執行するための債務名義とは同一であるべきであって,信託財産に執行するためには受託者全員に対する債務名義を揃える必要があるとか,ある受託者に対する債務名義をもって信託財産に執行していった場合において,合有財産であることを理由に当該受託者あるいは他の受託者らが異議を主張できるとすれば適当ではないのではないかなどの見解が示されました。

 

 

このような意見も踏まえまして,今回の提案におきましては,以下のように考えております。

 

 

すなわち,信託債権者としましては,ある受託者に対する債務名義をとることによって,その受託者の固有財産はもちろん,共同受託者の合有に属する信託財産に対しても,その所有名義の如何を問わず執行できること,ただし,信託財産に対して執行できることとするための前提といたしまして,資料2ページの※4にございますとおり,共同受託者の1人に対する確定判決は,信託財産を責任財産とする限度で,他の共同受託者にも効力が及ぶ旨の規定を設けることとしてはどうかと問うものでございます。

 

 

なお,このように確定判決の効果が拡張するとの規定を設けることの相当性に関する実質的な理由でございますが,これは資料7ページの注にも書いてございますが,受託者は,信託財産について固有の利益を持っていないから,信託財産を責任財産とする限度で他の受託者に確定判決の効果を及ぼしても個人的な損害が発生するとは言えないことであるとか,共同受託者間には相互に連絡関係があると考えられますので,ある受託者に対する訴訟提起,確定判決の効果を他の受託者に及ぼしても酷とは言えないと思われることなどによるものでございます。

 

 

 

第4に,資料の6ページの末尾におきまして,一番最後のパラグラフでございますが,職務分掌の定めのある場合に関して「他方で,提案1により信託財産は共同受託者の合有となるとしているから,このような場合にも,信託財産を引当財産とする責任の限度では,他の受託者に対して効果を及ぼす必要があると考えられる。

 

 

(この点に関し,いかなる規律を設けることとするかについては,その要否を踏まえ,なお検討する。)。」とある点に関しまして,その趣旨を若干敷衍して御説明しておきたいと思います。

 

 

 

職務分掌の定めのない一般の共同受託におきましては,受託者は共同で意思決定をし,相互に執行の代理権を授与しているものと見なしますので,ある受託者が職務を執行することにより第三者に対して信託債務を負担した場合には,当該受託者によって代理された他の受託者も第三者との間で契約関係に入っており,固有財産レベルにおいて受託者全体が連帯責任の根拠となる債務を負っているので,信託財産レベルにおいても実体法的にも受託者全員について信託財産も責任財産となる,そして手続法的には,先ほど述べましたように,受託者の1人に対する債務名義の効力が信託財産を責任財産とする限度で他の受託者にも拡張するようにすることにも違和感がないように思われます。

 

 

 

ポリー

「受託者は相互に事務執行の代理権を与えているのですね。」

 

 

 

これに対しまして,職務分掌の定めがある場合につきましては,各受託者は,分掌された職務の限度で独立して職務を執行することになりますので,ある受託者が職務を執行することにより第三者に対して信託債務を負担した場合には,当該受託者のみが第三者との間で契約関係に入っていると見るべきであって,固有財産レベルでは,当該受託者のみが責任の前提となる債務を負っていることになりそうでございます。

 

 

 

しかし,職務分掌の定めがある場合でも,信託財産を責任財産とする限度では実体法的にも他の受託者に効果を及ぼす,すなわち債務を負担しているものと考える必要があると考えられますところ,その説明として,1つは,特別の規定を設けずとも信託財産は合有財産だからということで足りるのか,それとも,もう一つの考え方としまして,特別な規定を設けて,この場合,他の受託者は固有財産レベルでも,いわば責任なき債務を負うことを擬制する必要があるかという点について検討する必要があると思われるというのが,ここで書いている趣旨でございます。

 

 

 

最後に,以上の改善点のほか前回提案時からの積み残しといたしまして,また資料の2ページに戻りますが,※2におきまして,第三者に対する信託債務に関し,過半数による信託事務の決定に反対した受託者が固有財産をもって責任を負うべきか否かにつきまして,ここに書いてあります両様の考え方がありますところ,いずれが適当かという御意見をいただきたいと思っております。

以上でございます。

 

 

 

  •  それでは,ここまででお願いいたします。

いろいろ理論的にも難しい問題が入っていると思いますが,いかがでしょうか。

 

 

  •  抽象的に議論するとわかりにくいので,私なりに現状における共同信託というのはどういうものかなと思って,3類型考えてみました。

 

 

 

 

1つが土地信託の例だと思うんですが,ある土地を受託者が共同受託する。

 

 

この場合,登記法上,単独名義しか認められていないがゆえに,ある特定の信託銀行の名義になりますけれども,それでいい場合と,実質,本当に合有であるような場合があるのではないか。これが恐らく一番わかりやすい共同受託のケースだと思います。

 

番人

「受託者は、単独名義での登記しか認められていなかったんだ。」

 

 

 

それ以外に,よく本などで紹介されている年金の場合は,私の理解が間違っているかもしれませんけれども,ある適格退職年金等をシェア割りするような形で,それぞれの信託銀行が運用していく。

 

 

この場合も,合有という概念を観念することは,それはそれでいいのかもしれませんけれども,恐らくお互いの信託銀行間において,その運用の内容とか詳細については関知していないのではないか。

 

 

事務を管理しているところの代表受託者は,信託事務としては知っているでしょうけれども。

 

 

 

その場合に,合有概念ということでいろいろな論点に絡んでくるということなんですけれども,例えば,今,最後の方でお話がありましたように,既判力が信託財産に及ぶかどうか。

 

 

 

固有財産に関しては及ばないが信託財産に関しては及ぶという議論がございましたけれども,そういう場合,職務を分掌しているからという議論だと思うんですが,果たしてそれでいいのかどうか。

 

 

 

3つ目の類型が,資産管理専門銀行というシステムを担当しているところ,要するに,ある信託銀行は事務周りのみ,別の信託銀行が資産管理といいますか。

 

 

 

 

 

ですから,先ほど申し上げました年金のシェア割りをするような場合とは違って,完全に信託財産をある信託銀行のみが管理しているような場合。

 

 

これも共同信託で行っている信託銀行もありますし,再信託ということで,全然違った法律構成で全く同じことを行っている銀行もある。

 

 

この場合も,事務周りのみを行っている信託銀行に,合有ということで,あえてその信託財産に対する権利を認めるべきか否か。

 

 

 

こんなふうに3つを分けて,実際には各論のところだと思うんですけれども,今,幾つか御提示のありました御質問とか論点の主眼ですけれども,例えば,前回ちょっと議論になりました,ある共同受託者の1社が倒産した場合,第三者性とか信託の公示が必要か否かという論点があったと思います。

 

 

 

 

信託の合有概念であった場合,たまたま登記という観点からある特定の信託銀行の外見を呈していたとしても,まさしく実質においても合有であるものに対して,果たしてその信託銀行の破産管財人の固有財産と……,破産管財人が第三者性を持っていて,信託の公示がないからということで固有財産と同じ扱いになっていいんだろうかと考える反面,2番目と3番目の類型であるところの年金の場合とか資産管理会社の場合には,それぞれ年金を管理している銀行が倒産した場合,またシステムを持っている銀行が倒産した場合においては,今まで単独受託者の場合で議論したのとほぼ同じような発想で考えてもよろしいのではないかと思うところです。

 

 

 

 

あと,既判力の議論がございましたけれども,これも同様でして,やはりこの3つの類型,特に最初の類型とあと2つの類型において分かれるのではないか。

 

 

 

特定の信託銀行が運用している信託財産に対してのみ既判力が及ぶと考えるのが適切な場合と,まさしく共同受託している土地のような場合であれば全体に対して及ぶ,なぜならそれは合有であるから,こういうような考え方もできるのではないか,かように思った次第です。

 

 

 

そういう議論を,今の御提案では職務分掌ということで恐らく切り分けていらっしゃると私は理解していますし,それによって多くの問題点が解決できると思うんですけれども,どうしても,そういう3つの現実的な状況を踏まえて議論しないと,それぞれの論点について考え方がある場合においては,こういう考え方が妥当かもしれないけれども,別の場合においては違う考え方が妥当かもしれないというように分かれていくのではないかと思ったので,最初に発言させていただきました。

 

 

  •  具体的に考えるきっかけを与えていただきましたが,今の御意見についていろいろな補足……,実務的な感覚から。

 

 

 

  •  基本的には,○○委員がおっしゃったような3つの形態はもともとイメージしていまして,それについて,この規定に照らし合わせて,私どもの考え方としては,全般的な方向性についてはほぼこれでいいのかなと理解しています。

 

 

 

その中で1点,確認なんですけれども,先ほどの財産分属型というところの形態については,ここで言う職能の分担というか,職務分掌型という類型の中に入れてしまっていいということですよね。

 

 

何となく,以前は3類型で考えていたのがいつの間にか2類型になったような感じがするんですけれども,そこは,それでよろしいんですよね。

 

 

 

  •  財産分属型も,この職務分掌の中に入るものと,我々としては考えております。

 

 

  •  先ほどの○○委員の問題提起も,職務分掌ということで全部ちゃんときれいにといいますか,ここに書いてあることで大丈夫か,そういう御質問でもあったわけですね。

 

 

 

  •  今の御議論で財産分属型というのは,○○委員のおっしゃった類型では,年金とかの話のことをそう呼んでいらっしゃるんですか。

 

 

 

  •  私は,そのつもりで申し上げました。

 

  •  それは職務分掌の1つであるということなんですか。つまり……

 

  •  それらも含んで。

 

  •  ……ということは,その場合は信託財産は合有ではない。

 

 

  •  いえ,職務分掌の中での合有で,その合有である共同受託の中で,職務分掌のある場合とない場合に分かれるという記述でございますので……

 

 

  •  いえ,したがって,各信託銀行が年金の信託においてばらばらに信託財産を帰属させている形は,そもそも「合有である」という記述に乗ってこないわけであって,その「財産分属」の意味なんですが,当該財産の処分,管理等をする権限が分属しているという話なのか,その財産の所有権がばらばらになっているという話なのか。

 

 

後者ですと,これはそもそも合有ではないわけですから,これに入ってこないわけですよね。そ

 

 

うなると,○○委員が「年金の場合」とおっしゃったのは,そもそもここにのってきていない類型なのではないかと私は考えていたんですが,そのあたりの言葉の問題を確認させてください。

 

 

 

 

 

 

  •  我々としては,権限が分属している場合が合有になるという理解でございまして,そもそも所有権自体が分属している場合は合有の前提を欠くことになりますので,ここの類型に入ってこないことになります。

 

 

 

  •  確かに今まで,議論の途中では,所有権レベルでも完全に分属しているタイプが年金などにもあって,それは意識はしていたんですけれども,ルールをつくる際に,私も余り細かい経緯まで記憶がありませんけれども,今のやりとりの中であったように,所有権レベルで分属しているのは分掌型ではないという……,これはどの段階でそうなりましたっけね。前回もそうでしたっけ。

 

 

 

  •  私の方から補足いたしますと,我々としましては,年金信託についてもここで言う職務分掌の定めの中に入ると理解しております。

 

 

確かに現在の年金信託の取り扱いは,A信託銀行がある信託財産を持っていて,B信託銀行がある信託財産を持っている,そういう形をとってはおりますが,信託財産自体は,共同受託の場合はすべて合有という形をとった上で,権限自体が分かれている,そういう形で実質的には対応できるのではないかと考えております。

 

 

  •  所有権レベルで完全に分かれているようなものは,この共同受託という形にのせて一緒に扱おうとするとお互いに縛りが強くなり過ぎて,もうちょっと各受託者の間で割り当てられた財産については自由に行動できるようにした方がいいので,ここからむしろ落としたということでしたかね。

 

 

 

 

 

  •  結局それは,現在の年金のそういうふうな,いわゆる共同受託と言われている複数受託者の契約解釈の問題ということなんですかね。

 

 

つまり,ばらばらにやっているときに,各信託銀行にそれぞれの信託財産が単独帰属していると認定するならば,そもそも第43の1に入ってこないわけですから,これにのってこない。

 

 

 

しかるに現在の実務のあれを考えると,これはそれぞれの割合で分掌はしているけれども,それぞれが全部合有になっていると考えてもいいのではないかという話ですよね。

その理解について,信託銀行には異論はないんでしょうか。

 

 

 

  •  現行実務において年金の信託の形も2つありまして,全く本当に別の契約という形にしているものもありますので,それは多分このレベルにはのってこないお話で,そうではなくて,いわゆる共同受託と呼ばれている一つのものとしては,この規律にのっかって一応チェックしてみたところ,とりあえずワークするのではないかと考えております。

 

 

  •  今までの年金実務のもとで行われていた,いわゆる共同受託というのがどっちのタイプかというのは,恐らく余り明確でなかった点があったと思うんですね。

 

 

 

○○委員は理論的に整理されたので,今,2つのタイプがあり得るということでお話しされましたけれども,今後もしこういうルールができると,そこがもっと明確になって,この共同受託のルールにのせたくないタイプについては,とにかく所有権レベルで分属していると。

 

 

所有権レベルでは合有だったけれども,それ以外のいろいろな権限のレベルで職務分掌型にすることもできて,それはこれにのりますよ,そういう使い分けがされることになるんだと思います。その上でさらに,これでいいかどうかという問題がまたあると思います。

 

 

 

それから,所有権が分属する型については,これは共同受託ではないけれども,全然……,あとはもう契約レベルの問題なんですかね。

 

 

もし各受託者が何らかの連携をするとね,帳簿をつけるとか。ちょっとそこは私,言い過ぎですけれども,皆さんの実務的な感覚なり,お聞かせいただければ。

 

 

 

  •  ちょっと確認したいんですけれども,私が申し上げた3番目の類型ですね,ちょっと説明が悪かったかもしれませんけれども,新聞等で報道されて,多分,日本で大きい2つの,マスタートラスト銀行とかJTSBとかありますが,そちらの方は分属する信託財産すらない信託銀行が存在する形になるんですけれども,でも,今の○○委員のお話のように,その信託契約の中で,とはいいながらもこれは合有なんだ,こういうふうに観念すれば共同受託に入っていく,そうでなければ全然違ったものになっていく,こういう理解なんでしょうか。

 

 

 

 

 

  •  今,マスタートラストで再信託という形でやられているようなものも,再信託ではなくて共同受託の形をとっていて,そのときの財産の帰属の仕方を,当事者間で「合有なんだ」と。そこは強引にできるのかどうかわかりませんが,合有だとすることも可能な気がしますね。

 

 

 

そのときに,しかし,ここに掲げたルールがすべて適用されると困るのか,困らないのか,そういうのが次に問題になってくるんでしょうか。

 

 

--いや,これは個人的な意見ですので,事務局なりほかの方は違った理解をされているかもしれませんけれども。

 

 

  •  事務局としましては,マネージング・トラスティとカストディアン・トラスティの関係についても検討はしたのですけれども,このような提案内容で一応は整理できるのではないかという理解でおります。

 

例えばマネージング・トラスティとカストディアン・トラスティという形で,一律に信託財産が一方の受託者になっているものであればわかりやすいかと思うんですけれども,例えばマネージング・トラスティが信託財産の一部を持っていて,もう一人のカストディアン・トラスティもまた一部持っているといったものも,年金信託以外にも今後あり得るかなと考えておりまして,ここで言う職務分掌の定めという形で規律することによって,そういうものも含めた広い意味での規律が1つできるのではないかと考えております。

 

 

 

  •  今の場合も,全体として見ると,とにかく合有財産として信託財産はあるという。だから,合有というものを今までより柔軟に認めていくという考え方につながるのではないでしょうか。

 

 

 

  •  今の話につながるのではないかと思うんですが,財産について,公示制度があるものがあります。不動産ですとか,有価証券もそうではないかと思うんですが,そのときの合有の公示について,どういうふうにお考えになっているのか伺いたいと思います。

 

 

 

 

不動産登記には合有というのはなくて,組合を例にして考えると,恐らく共有の登記をすることになるんだろうと思いますが,しかし,今のマネージング・トラスティとカストディアン・トラスティのようなものも緩やかな合有と考えた場合に,共同所有の形で公示されるのであれば「これは信託だから合有だ」という議論はあり得ると思うんですが,どっちになるんでしょうか,カストディアン・トラスティの単独名義になったときに,しかしそれは,この第43の考え方からすると1個の信託行為で始まっているので,合有である,そういう議論になるということをお考えなんでしょうか。

 

 

すみれ

「緩やかな合有か。」

 

 

 

  •  先ほど○○委員が言われた最初の問題ともちょっと関係……,私の理解が誤っていなければ,土地信託などで共同受託なんだけれども,どれか1つの信託銀行の名義にしているということですよね。

 

 

 

 

 

  •  はい。

 

 

  •  だけれども,これはほかに共同受託者がいるので,○○委員の先ほどの御意見だと,実質的には合有と考えた方がいい場合があるだろうと。

 

 

 

 

  •  もしそれが動産とか金銭の共同受託であれば--そういうものがあるかどうかわかりませんけれども,まさしく合有というものが出てくるんですか。

 

 

 

 

  •  金銭とかは公示制度が,占有という公示もあるのかもしれませんが,名義を厳密に観念する公示制度がありませんので,「それは合有だ」と言って,それに基づく法律構成を組み立てていくことは可能だと思いますので,適切ならばそれでよろしいんだろうと思います。

 

 

ポリー

「信託財産の形で分けて考える方法もあるのですね。」

 

 

しかし,もう少し名義という観点が公示制度にしっかり結びついているものについて,単独名義になっているにもかかわらず「合有」と言って処理した方がいい場合があったとしても,果たしてそれを合有という共同所有の一形態に,一たん性質決定をした後で処理をするのが望ましいのかと考えると,私は,今のところは躊躇がございます。

 

 

 

  •  所有権のレベルで,実質は合有だけれども登記がうまく対応していない,それが1つの問題ですけれども,○○幹事が言われたのはむしろ次の問題で,例えば権限などについては,意思決定の仕方とか代表の仕方とか,そういうものは表示の仕方ね,不動産の登記の仕方に関係なくこのルールを適用しようと思えばできなくはないけれども,それが果たしていいのかどうかということですよね。

 

 

 

例えば単独名義で不動産について,ある受託者が名義されているときに。

 

 

 

 

 

 

  •  そうですね。

 

 

  •  事務局から補足いたしますが,まず,共同受託の場合,所有名義も合有という登記はできるものと理解しております。所有権移転の後ろに「(合有)」と記載されます。また,通常の共有と異なり,持分も登記されません。

 

その上で,しかし単独名義になっている場合もあるではないかというのはおっしゃるとおりでして,そこは事務局として,個々の受託者の単独名義になっている場合について,あるいはある受託者の単独名義になっている場合について,それが本当に実態上も別々の所有に属している場合であれば,この規律は当てはまらないですし,ある受託者の単独名義になっていても,信託行為でほかにも受託者がいる。その解釈としては合有だという解釈がとられていると考えれば,それはこの規律が当てはまる。

 

 

そこがどちらかというのは,先ほど議論もありましたけれども,それは信託行為の解釈によって,この規定が適用される合有か,そうではなく別々の所有か決まってくるのではないかと考えております。

 

 

 

 

  •  要するに,単独名義で書かれていても,当事者の意図が合有であってその実質があれば--実質があればというのはつけ加えていいかどうかわかりませんけれども,合有であれば,例えば意思決定の仕方,あるいは代表の仕方というのは,このルールにのせることができるということですね。

 

 

 

  •  私,実務をすべて知っているわけではありませんけれども,私の存じ上げている範囲内では,土地信託に係る,要するに不動産にかかわるようなものについては,基本的には,単独名義で登記することはほとんどない。

 

 

特別な事情があるものは別ですけれども,基本的には,単独名義で登記しているものはほとんどないと思います。

 

 

 

  •  そうすると,先ほどの合有といいますか,共同受託者の名前だけを掲げたという形の登記ですね。

 

 

それだったらば,それで実質と登記が一致しているので,実務的には,そういう合有登記をすればいいということで対応できるわけですね。

 

 

あとは例外的に,当事者としては合有にする意図であったけれども,登記だけは対応していないというときにどうなるのかという問題でしょうか。

ほかに,いかがでしょうか。

 

 

今の問題も,つまり合有という所有関係が反映して,このいろいろなルールが出てくるのか,あるいはこういう形で処分,権限を行使しようという方の合意が,合意と所有権の問題をある程度分けて考えることができて,しかし一般に共同受託というときには所有関係が合有で,その上にのっかるいろいろな権限の行使の仕方も,それなりに共同性があるものになっている。

 

 

 

だけれども,分けることができるのかどうかというところが理論的にはね,おもしろい問題だと思います。

 

 

 

  •  確認的なことなんですが,少し前の研究会で,どうも名義がAという人なのにBもCも受託者ですという信託があることに非常に抵抗感がありまして,それは実際にもあるし,ニーズもあるということであれば余り言う必要もないかなと思っていたんですけれども,どうも法律関係が,そういう意味では確認でいいんですけれども,Aという人の名義で,今,○○幹事がおっしゃった不動産が登記されていて,実は信託行為によればBもCも受託者ですというときに,例えばAが倒産したような場合には,BやCはそれをよこせと言えるのか。管財人との関係で。受益者は言えるんでしょうけれども。それがどういう関係になるのかが……。

 

 

 

 

 

 

 

比較して言う場合は,BとかCは受託者ではなくて,例えば単なる受任者としておきましょうか。

 

 

そうきれいにいくものなのか,いかないものなのかというのがいま一つ釈然としない。もうちょっと具体的に御質問すべきなんですけれども,ここでの考え方は,要は,登記の例で言えばA単独で登記されていても,ここでの規律の適用があるかないかは信託行為で決まるんだ,そういうふうに割り切っておられるわけですよね。

 

 

ですから,その点を確認させていただければいいのかもしれませんけれども,ほかのBとかCというのはどういう権利,義務を持つのか。

 

 

 

ここで規律されている限りではいいんですけれども,第三者との関係ではどうなのか,そういう問題があるように思うんですけれども。

 

 

 

 

 

  •  重要な問題提起ですね。

 

私は,これは個人的な意見ですが,むしろ登記名義がなくてもAにもBにも受託者としての権限を与えてもいいかもしれないということで申し上げている,まさに○○委員が言われたように全く逆なタイプといいますかね,本当はそれはよくなくて,そういうものには受託者としての権限を与えられないという考え方もあるかもしれない。

どうですか。

 

 

 

 

 

  •  6の(2)あたりに関係してくるのかと思うのでございますが,任務が終了した場合には,原則としてほかの受託者に権限が承継されることになりますので,今,○○委員がおっしゃったABCという例で,Aが破産したとなりますと,Aは任務が終了するというのが原則でございます。

 

 

そうしますと,B,Cは既に合有者として所有権を持っていますので,Aに名義があるのであればB,Cの名義に移すようにという請求ができるのではないかと思っておりますが。

 

 

 

  •  ABC間ではそうだと思うんです,ここで決めていることですから。そうすると,確認なんですが,それは第三者にも言えるということですね。

 

 

A名義の登記のままでAが倒産したときに,B,Cは6の(2)に従って「今は自分が受託者になりました,だから登記名義を移してください」と第三者に対しても,第三者という表現は正確ではないのかもしれませんけれども……

 

 

 

  •  破産管財人に対して。
  •  ええ。
  •  それは言えると思っておりますが。

 

 

番人

「合有の責任も負うんだったら、言えることになるのかな。」

 

 

  •  今の説明ですが,私はさっき,所有のレベルと権限のレベルを分けるということで,名義がなくても受託者としての地位を与えていいと思っていたんですけれども,ただ,ほかの債権者に対する対抗の問題は,やはり何か,対抗要件と言うとちょっと大雑把ですけれども,何かないとまずいのかなという気もちょっとしていた。今の説明はもうちょっと割り切って,いや……。

 

だけれども,ここはいろいろな考え方がありそうですね。

何か御意見ございましたら。

 

 

  •  ○○委員も少しおっしゃっていた判決効の拡張の問題ですけれども,いろいろ代理権構成とかを考えておられるので,それなりにある程度考えておられるところがあるのはわかるんですが,ただ,実務的な観点からいくと,最初の判決をとるときに全く手続保障がされていなかった共同受託者に対して判決効を及ぼす根拠として,共同受託者相互が密接な関係にあること,あるいは受託者固有の利害関係がないことが掲げられているわけですが,それのみをもって十分かは非常に疑問があるのではないかと考えております。

 

 

 

 

 

例えば組合については,組合員相互の連携というのは当然あるんでしょうが,判決効は原則としては拡張されないこととなっている。そういったこととの平仄で,どうかということはあるのではないかと思われます。

 

 

 

それから,受託者に固有の利益がないということではございますが,例えば共同受託者が不適切な訴訟行為,訴訟の追行を行った結果,敗訴したといった場合において,共同受託者相互が緊密に連携されていることが前提となって信託財産に執行が可能だということにはなるんでしょうが,そういった形で信託財産が最終的に執行の対象となることについて,共同受託者に善管注意義務というような責任は本当にかかってこないのかという意味で,本当に固有の利益が全くないと言えるのかどうかも疑問な点はあるのではないかと考えられるところです。

 

 

 

一方,第三者の方なんですが,第三者はそもそも共同受託者の一方のみを相手方として訴訟を行っていて,もとから他の共同受託者名義の財産を引き当てとするという期待があったとは言えないのではないか。

 

 

 

いわば,たまたま他の共同受託者名義の財産が存在するというのは,言ってみれば望外の利益ではないか。

 

 

そういう意味では,少なくとも共同受託者,固有必要的共同訴訟とは言わないまでも,やはり当初の債務名義の取得の際に何らかの手続保障があることが必要なのではないかと思われます。

 

 

 

 

 

それから,実務上の問題について申し上げますと,仮に判決効を拡張した場合には,恐らく共同受託者,仮にAとしますと,Aに対する債務名義がまず取得されて,それについて共同受託者Bがいるということで,承継執行文を付与してくれと第三者がその付与の申し立てをするといった制度設計とすることを恐らく法務省はお考えなのではないかと思うわけですが,承継執行文の付与というのは,文書によって明白に証明されるものについてされると思われます。

 

 

 

この場合,承継執行文の付与に何が必要かと考えますと,恐らく信託事務処理としてされた債務であることと,Bが共同受託者であること,この2つを証明しなければならないことになろうかと思われますが,これを通常執行の現在の実務で行われていますように文書によって明白に簡潔に証明していただけるかとなると,非常に疑問があるところでございます。

 

 

さらに,これは確認的にということではございますが,共同受託者の1人に対する確定判決は,信託財産を責任財産とする限度で他の受託者にも効果が及ぶと書いてございますが,そういった承継執行文を付与するときに,別に責任財産が書いてあるわけではございません。

 

 

承継執行文にも債務名義にも責任財産が何かということは書いていないということでございますので,結局,それをもって共同受託者Bに対する強制執行が行われるときには,債権者が何を差し押さえるかによるんですけれども,公示されているような財産であれば,裁判所は前もってそれが固有財産か信託財産かわかりますから,それでもって強制執行するかどうか判断することもありましょうが,そうでなければ,通常は裁判所はそこを判断できずにまず差し押さえなりをする,しかる後,異議によって争っていただくほかないということでございます。

 

 

 

 

そういった形で,共同受託者はその固有財産についてもある程度,一定のリスクを負う結果になるとは思われますので,そういった結果になることについて,当初の債務名義取得の際から共同受託者において手続保障がなくてもよいのかという観点から,やはり再検討していただく必要があるのではないかと考えております。

 

 

番人

「債権法改正で変わるかな。」

 

 

  •  第1点ですけれども,先ほど○○委員の挙げられた,共同受託者がA,B,CといてAの単独名義になっている不動産があるとして,Aが倒産したときに,Aの管財人との関係でB,Cは信託財産だということを言えるかということですが,とにかくB,Cの名義では信託の登記はなかったということなので,B,C名義の登記がないので管財人に対抗できないという場合とのバランスは本当にとれているのか。

 

 

やはり何か公示がないと,管財人に代表されるところのAの一般債権者との関係で,信託の公示がない場合,一般との平仄がとれるのかどうか,私もまだ自信がないところであります。

 

 

 

第2に,今,○○幹事がおっしゃった点に重なるんですけれども,共同受託者の1人に対する確定判決は,この他の共同受託者にも効力が及ぶ。

 

 

その根拠として,お互いに代理権を持っている--代理というのか,自己名義で行使できる管理・処分権なのか,この辺はいろいろな考え方があろうと思いますが,この考え方の前提は,恐らく共同受託者間に非常に緊密な関係があって,お互いどの場面で切っても任意的訴訟団体と認められるような強い関係を想定しておられるのではないかと思います。

 

 

それで説明はできるんでしょうけれども,実態として,そういう当然にお互いに訴訟担当を認め合っているような関係があることが前提にできるのかどうか,そこが私はよくわからないわけです。

 

 

 

それから3つ目に,これも○○幹事が指摘された点に大きく重なるんですが,この資料7ページには,債務名義上の債務者,確定判決の上での被告債務者と執行対象財産の名義がずれる場合が幾つかあるわけですが,執行法第27条第2項で,簡単に承継執行文が出ないとなると,結局執行文付与の訴えをしなければいけなくなる。

 

 

それは結局,ほかの受託者に対してもう一回給付訴訟をやるのと同じ手間なわけで,既判力が拡張されるとしても,執行力の拡張がなければ多分,意味がない議論ではないかと思いますので,本当にこういう手当てで十分なのかどうかということですね。

 

 

今の第3点に関連して,4つ目と言うのかどうかわかりませんが,判決以外の債務名義の場合にどうするんだろうかということが問題になろうかと思います。

 

 

例えば,共同受託者が被告になって訴訟が起きて,和解をした。その和解調書についてどう考えるかを考えておかないと,2ページの※4だけでは多分,手当てし切れない。

 

 

同じように規律しないと多分,意味がないと思うんですけれども,つまり,判決だと拡張されるけれども和解だとほかの受託者にいけないというのでは意味がありませんので,それをどう規律するかを考えておく必要があるのではないかということです。

 

 

 

  •  訴訟法の手続的なことはよくわかりませんけれども,何か事務局の方で。

 

 

  •  手続的な点で御指摘をいただきました。

事務局の考えているのは,例えば,ある受託者の訴訟追行が非常にまずかった。

 

 

それによって信託財産にも執行されて,信託財産が非常に害を被ったということであれば,その場合は第27条の責任を追及していくしかないのかなとか,それからあと,承継執行文で対応できるかどうかは,やはり確定判決の効力が拡張される以上は承継執行文で対応していくことになって,どういう場合に執行文が付与されるかよくわからないところもありますが,承継についても判断できるだろうと考えたものでございます。

 

 

 

それから,○○幹事がおっしゃったように,債務名義は,責任財産が書いていない。

 

 

だから,例えばAに対して債務名義をとって,その承継執行文をとって,ではBの固有財産にいったらどうかというときについては,御指摘を踏まえて検討したいと思っております。

 

 

番人

「被告の表示を、A個人と受託者Aの2つ書いてもだめなのか。」

 

 

 

なお,判決以外の債務名義の場合も同様に考えておりまして,例えば,Aに対する債務名義の効力がB,Cにも拡張されることになるのではないかと思います。

 

 

ただ,1人に債務名義をとって,信託財産全部にいけるというのは難しいとしますと,では必要的共同訴訟にするのか,それともA,B,Cに対する個々の債務名義をとって,そして3本揃えて信託財産にいくのか,そういう方法の可能性というのにまた回帰しなければいけなくなるわけでして,この提案にかかっているやり方には問題があるというのは御指摘のとおりかと思いますが,逆に「では,こういうやり方でやったらいいのではないか」というのがあれば,ぜひ御指摘をいただければと思うんですが。

 

 

 

  •  判決と執行のあり方については,いろいろ場合分けして考えないといけなくて,私は今,それについては発言しませんが,○○幹事がおっしゃった--その前に○○委員もおっしゃいましたが,○○幹事の1番目の話は,A名義単独で登記されているという話になっていましたが,信託の登記はあるという前提ですよね。

 

 

 

したがって,破産管財人等は,それが破産財団に含まれないということは,そもそも対抗される地位にあるわけですので,B,Cの名前が出ていなくてもB,Cに移っていくというのは,他の債権者との関係でも,そんなに不当ではないと思うということだけ。

 

 

 

  •  破産とか差押えについては,まさにそうだと思うんですね,私も。

 

 

 

ただ,ちょっと考えたのは,むしろ倒産だとかいう場面ではないときに,まだAが倒産しないときに何か問題が生じないか。

 

 

さっきから考えていても余りいい例がないんですけれども,例えば,信託財産が毀損されたことを理由とする損害賠償請求の訴えを提起するといったときに,Aのところに名義があるので,Aという受託者が提起できるのは当然だと思いますけれども,名義を持っていない他の受託者がそういうことをできるだろうかとか,そんなことがさっき気になって,考えていたんです。

 

 

番人

「できない理由はなんだろ。」

 

 

 

この辺は,もうちょっといろいろお考えいただきましょうか。

小さい問題なんですけれども,ちょっと私が気になったのは,前回の案と今回の案で違っているところで,やむを得ない事情で共同受託者の1人で受託者としての権限を行使できないときに,何という部分でしたっけ,ほかの……,「委託できる」か。

 

 

 

その「委託できる」ということの意味なんですが,要するに,残った人たちでただ決めてくれということなのか,それとも権限を行使できない受託者が自分の分の権限を……,例えば残り2人受託者がいるときに,どちらか一方に自分の権限を委託するとかですね。

 

 

そうすると,A,B,Cがいるとして,Cが権限を行使できないのでBに委託するという形にして,Aが1票,Bが2票といった形になるのか,あるいは最初に言ったように,Cが権限を行使できないのでA,B間でとにかくやってくれということで,1・1でやるのかですね。

 

 

従来のやり方は明確だったんですけれども,今回のでは一体どっちになるのか,それとも意思によってどちらにでもできるのか。

 

 

 

  •  事務局のとりあえずの考え方としては,委託をすることによって,例えば今の○○委員のお話ですと,CがBに委託したというときであれば,AとBが1票ずつになるのではないかと考えております。Aが1票,Bが2票になるのではなくて,1対1。

 

 

 

  •  実質は,やはり残りでやってくれということですね。
  •  はい。
  •  ほかに,いかがでしょうか。

 

 

 

 

  •  1点目は,共同受託者の1人が第三者に対して不法行為を行ったような場合ですけれども,これは取引的な不法行為と一般的な不法行為がありますけれども,この場合については,他の共同受託者は固有財産で連帯責任を負うのか否か。

 

 

 

2点目は,先ほど来お話が出ているかもしれませんけれども,訴訟を受ける場合ではなくて訴訟を提起する場合の話で,共同受託者の1人が信託事務の執行の一環として訴訟を提起しますと。

 

 

その場合について,全員が一応参加して行わないといけないのか,それとも執行行為をする人だけでいいのか。

 

 

その場合,職務分掌がある場合とない場合,それによって違いがあるのかどうか,その辺のところを教えていただければと思います。

 

 

 

 

 

 

  •  難しい問題ですね。

 

 

 

  •  まず前段の御質問で,共同受託者の1人で不法行為をしたときに,ほかの受託者はどうなるかというところは,こちらとしては,信託だから共同受託者も重い責任を負うということはなくて,一般の民法の理論で考えていけばいいのではないかと考えております。

 

 

したがいまして,他の共同受託者も第三者に対して責任を負うべき故意,過失ないし違法性が認められるかどうかを個別に判断していけばいいのではないかという考えでおります。

 

 

ですから,絶対責任がないとは言いませんが,共同受託者だから常に責任を負うわけではないということでございます。

 

 

それから,訴訟,執行の方法でございますが,まず簡単な方で言えば,職務分掌のある場合は単独で事務執行ができます。

 

 

したがいまして,訴訟提起,それに基づく強制執行も単独でやっていけていいのではないか。

 

 

他方,職務分掌に定めのない場合には,全員の名義を出して職務を執行することが原則でございますので,そうすると,訴訟の局面,執行の局面で結局,全員の名義を出してやるということは,そこは必要的に共同してやらなければいけないのではないかと理解しております。

 

 

 

  •  まず,今の話の関係ですが,債務不履行の場合に,全くかかわっていない共同受託者にも連帯して責任を負わせるという考え方をとるとすると,同じ行為が債務不履行にもなるし不法行為になるというのは時々あることですけれども,不法行為だって結局同じことになるのではないかという気がちょっとします。

 

 

それから,先ほどの判決効の拡張の問題と関連してくるわけですが,そういうこともあるので,判決効の拡張で,ほかの共同受託者に対する手続的保障がないこの考え方は,やはりいろいろなところでつかえてしまうのではないかという懸念を感じます。

 

 

 

それから,特に執行の方で,○○幹事が説明された承継執行文のことは,本当に現実的に債権者の立場で執行するんだということを考えた場合には,まず無理ではないかという感じがいたしますので,方向として,この方向をさらに細かく考えて,突き詰めていってうまくいくかどうか,ちょっと難しいなと。感想なんですが。

 

 

 

特に,この名義ですね。例えば不動産が信託財産であるような場合に,先ほどのように,合有の登記もできるし実務も複数の名前で登記していますよということだとすれば,そういった状態を,そうではない方向でできるようにするふうに動くのではなくて,信託の一番基本は財産の移転というところがスタートですから,そこをもとに考えていった方がいいのではないかという気がしました。

 

 

すみれ

「信託の一番基本は、資産の分別だと思うんだけど。移転と同じかな。」

 

 

 

債権者の立場で執行ということを考えると,少なくともA,B,Cと3人いて,そのうちA名義でだけ登記されている場合に,B相手に訴訟なんてやりたくないという感じですので,やはり名義には入れないと,多分その先のことが,障害が大き過ぎて見通しが立たないという感じになるのではないかという気がいたします。

 

 

 

  •  債務不履行と不法行為の連帯というか……

 

 

  •  今の○○委員の意見に賛成なんですけれども,ただ,今の議論にのっかっていくと,職務分掌の定めというのは非常に重要なポイントだと思うんですが,取引の相手方,取引の相手方ではない不法行為を受けた被害者たる第三者とか,職務分掌の定めをどうやって認識できるのかということと,あと,職務分掌の定めというのは信託契約の中にいろいろ書いてあって,どこまで言うと,この大きなメルクマールとして職務分掌の定めがあってということで権利関係とかいろいろ分かれていくのかというのは,非常にキーワードにはなると思うんですけれども,それが公示性とか,あと内容においての明確性というのはどの程度なのかが極めて重要な概念になるように,ちょっと疑問に思ったというか,質問として,どの程度のものをもって職務分掌を定める--年金の場合ですとほぼ明らかですけれども,そうではない,さまざまな類型になっていくと,土地信託のような実質型なのか,そうではないのか分かれていくのかなと思ったんですけれども。

 

 

  •  何か今ここで答えられることはありますか。

 

 

  •  「職務分掌の定め」という言葉は包括的なものであって,これがどういうものを意味しているのかという問題点があることは,事務局としても認識しております。

 

 

年金信託みたいなものですと,○○委員もおっしゃるとおり明確であるということですが,ほかについてどの程度まで法律の中で明確にできるのかについては,今後も考えていきたいと考えております。

もう一点,職務分掌の定めがある場合について,こういうふうに特出ししている理由の1つなんですけれども,例えば第三者から見ますと,職務分掌の定めの場合には,当該受託者が独立して執行することになっておりますので,取引の相手方というのは,その当該受託者しか出てこない。

 

 

 

そうすると,債務名義をとるときも,やはりその受託者に対してしか目が向いていないということですので,やはりその場合に,他の受託者に対しても債務名義をとらないと,信託財産が合有であることを理由に執行できないというのは,やはり第三者の方に酷なのではないか。

 

 

仮に他の受託者に対して債務名義をとらなければならないとした場合にも,結局,他の受託者は,違う一方の受託者がやっている職務を認識していませんので,結局,認諾するというようなことしか考えられないのではないか。

 

 

 

そうだとすると,一方の受託者に対してとった債務名義をもって,その他の受託者にも効力が及ぶとしてもいいのではないか。

 

 

少なくとも職務分掌の定めがある場合には,そういうふうに考えられるのではないかと事務局としては考えています。

 

 

 

 

 

  •  いろいろな問題点があることはよくわかりましたので……

 

 

 

  •  反対の見解が多かったので,○○関係官に賛成であるという見解も1個出しておきたいので述べさせていただきますと,おっしゃるとおりだと思うんですね。

 

 

かつ,Aが単独なら単独で出てきているんだから,Aの財産しか当てにしていないじゃないかということはあり得るんですが,それは日本の信託法全体の枠組みに大きくかかわってきていて,単独受託者のというか,信託財産というものがいつも一切当てにできない財産であるというふうになれば,それはよくわかるんですが,日本の信託法の枠組みとして,信託事務の執行により生じた債権者であるならば信託財産を差し押さえ得るとなっていることとの関連から言うと,単純に,Aの名前しか出ていないんだから期待はしなかったはずだという理屈は通らないのではないか。

 

 

皆さんおっしゃるような執行法上の難しい問題があって,まだまだクリアしなければいけないことがたくさんあるというのは,もうおっしゃるとおりだと思うんですけれども,価値判断としては,私は事務局の原案に賛成であるということを一言だけ述べさせていただきます。

 

 

 

 

 

  •  一言だけ。今後,お考えいただく上でということなんですけれども,私の感じでは,A,B,Cで合有の登記がなされている場合と,Aだけで登記がなされている場合とはやはりちょっと違うような気がするということで,Aだけで登記がされていてA,B,Cにこの実態がある,あるいは信託契約がある場合に,先ほど若干御議論がありましたが,B,Cの方から第三者に物を言うときは,確かに破産管財人と,それから処分があったような場合とか,場合分けはいろいろあると思いますけれども,常に言えるというのは若干抵抗があるんですね。

 

 

しかし,逆に第三者の方から実態を主張して,AだけではなくてB,Cの共同受託なんだということが立証できれば,それは第三者の方からBもCも受託者ですという主張は認めていいというのは,私は基本の発想にあっていいと思うんです。

 

 

その意味で,難しい--とつい言ってしまいますけれども,手続法の議論は詰めていかなければいけませんけれども,A名義だけで登記されていても,Aに対する債務名義を得ればあるいはB,Cにも拡張はありという発想はありなのかなと思うんですけれども,逆に,先ほど○○委員がおっしゃったことかもしれませんけれども,A名義だけで登記されていたとき,何らかの事情でBが信託事務を執行していた。

 

 

したがって,実務は余りないのかもしれませんけれども,B名義に債務名義をとった。

 

それでAにいけるかと言われると,またこれもよくわからないなという感じがするものですから,いずれにしましても,総体的に場合分けして提示していただければ手がかりになります。

 

 

 

  •  いろいろな御意見,ありがとうございました。

この点は,今,いろいろ出されました御意見を踏まえまして,さらに検討していきたいと考えております。

 

 

 

 

  •  それでは,次にいきましょう。
  •  続きまして,第44,信託財産の管理人についての御説明に移らせていただきます。

 

 

 

今後,信託の利用が進みますと,受託者が欠けた場合に関する信託財産管理人の需要も高まることが予想されます。そこで,現行法では,信託法第48条と非訟事件手続法に若干の規定のみを有する信託財産管理人につきまして,その選任されるべき場合,権限及び義務,任務終了事由等に関しまして規律の整備を提案するものでございます。

 

 

すみれ

「信託財産管理人の需要って高まることが予想されていたんだ。

 

 

これも前回の提案からの主要な変更点を中心に御説明申し上げます。

まず,提案1の信託財産管理人の選任との関係で,3点ほど御説明いたします。

 

 

 

第1に,信託財産管理人が選任される場合につきまして,前回の提案では,受託者の全部または一部が欠けた場合であれば,その任務終了事由を問わないこととしておりました。

 

 

しかし,前回会議において事務局の方から,第40の受託者が欠けた場合の取扱いについて提案いたしましたとおり,特約辞任及び承諾辞任の場合には,受託者は原則としてそのまま受託者としての権利・義務を有し続けることとしましたので,これらの場合には,信託財産管理人の選任の要件である,「信託財産を保護するために必要があると認められるとき」という要件が定型的に欠けることになるのではないかと思われ,したがって,信託財産管理人を選任できるとする必要はないと考えたわけでございます。

 

 

 

 

もっとも,特約辞任や承諾辞任の場合も,ここで言う「任務が終了し,受託者の全部又は一部が欠けた場合」に含めた上で,「信託財産を保護するために必要と認められるとき」という要件を満たすか否かで一律に判断していく方がよいという考え方もあり得ると思います。

 

 

そこで,細かい点ではございますが,提案の1及び※3に書いてありますとおり,信託財産管理人を選任できる場合から,特約辞任及び承諾辞任の場合を除くことの当否を問うものでございます。

 

 

第2に,前回の提案では,受託者が欠けた場合だけではなくて,職務を執行することが困難または不適当な受託者がある場合にも,信託財産の保護の観点から相当な場合には,信託財産管理人の選任の余地を認めることとするか否かについて検討することとし,検討の対象とする場合として,受益者が多数のため受託者を迅速に解任することが難しい場合ですとか,受託者が委託者及び受益者の同意を得られないため直ちには辞任できない場合などを挙げておりました。

 

 

 

しかしながら,第6回会議におきまして,受託者としては,職務の執行が困難な事情が生じた場合には,原則として他人に信託事務の委託をすることができる反面,みずからは,その他人に対する選任監督責任を負うはずであるが,裁判所の監督に服することとなる信託財産管理人を選任してもらうことによって,みずからは責任を免れることまでも認めることが果たして必要なのかという問題指摘がされました。

 

 

 

 

 

もっとも,他方におきまして,現に裁判所に対して受託者の許可辞任あるいは解任の申立てまでがされている場合におきましては,それにもかかわらずその受託者に信託事務処理を継続させ,あるいは選任監督責任を果たすべきものとすることが適当でない場合があることも無視できないと思われます。

 

そこで,このような相反する要請を調和する観点から,今回の提案におきましては,受託者について,職務の執行が困難または不適当な事情が生じたことのみをもってしては信託財産管理人を選任できる場合とはならないとした上で,11ページの※1にありますとおり,さらに裁判所に対して受託者の許可辞任または解任の申立てまでもがされた場合には,信託財産の保護のために必要があると認められるときには,信託財産管理人を選任することもできるとすることの当否について問うものでございます。

 

 

 

なお,御参考までに,米国統一信託法典によりますと,裁判所は,受託者の解任の申立てについて最終的な決定を行うまでの間などに,信託財産または受益者の利益を保護するために必要とされる適切な救済を命ずることができるとされておりまして,この適切な救済の中には,特別受認者と言われる者を選任し,信託財産をこの特別受認者のもとに移して信託の管理・運営を命ずることや,受託者の職務の一時停止を命ずることが含まれるとされております。

 

すみれ

「特別受任者という人がいるんだ。」

 

 

受託者に対して解任の申立てがされた場合に信託財産管理人の選任の余地を認めることは,このような統一信託法典の考え方との親和性があるようにも思われるところでございます。

 

 

 

第3に,資料16ページ(注2)に記載いたしておりますが,信託財産管理人の選任の要件をどのように定めましても,これとは別個に民事保全法第23条第2項の要件を満たせば,受託者についても職務執行停止,職務代行者選任の仮処分が認められることとし,職務代行者の権限についても,信託財産管理人と同一とするなどしてはどうかという考え方を問うものでございます。

 

 

次に,提案2に戻りますが,(2)の信託財産管理人の権限についてでございますが,前回の提案では,信託財産管理人は臨時の受託者であるとの位置づけから,信託財産管理人の権限は前受託者と同一であるとした上で,不在者の財産管理人や相続財産管理人の場合などに準じまして,民法第103条に定められた権限を超える行為をする場合には裁判所の許可を受けなければならないものとし,必要があると考える場合には,信託財産管理人は,このような裁判所の許可を受けなければならない義務があるものと考えておりました。

 

 

 

この提案に対しましては,第6回会議におきまして,信託財産管理人の権限をより拡大すべきであるとの意見と,より限定すべきであるとの意見との双方向の見解が示されておりました。

 

 

そこで,改めて考えてみますと,信託財産管理人は,受託者が欠けた場合に信託財産保護のために,あくまでも一時的に選任されるものにすぎず,裁判所によって選任・監督され,信託財産の名義人ともならず,固有財産で責任を負うこともないなど,受託者とは大きく性格の異なるものであることにかんがみますと,信託財産管理人の権限を受託者の権限と同様とすることは適当ではないと考えられます。

 

 

 

 

他方におきまして,取締役の職務代行者のように,原則として常務まで行う権限を有しているとしてしまうと,取締役と比較して受託者の事務が幅広いことが予想されるにもかかわらず,信託財産管理人に常務まで行わせることは適当とは言い難いように思われます。

 

 

 

そこで,今回の提案におきましては,信託財産管理人は,臨時の受託者であるというよりは裁判所が選任した法定の特殊な財産管理人であると位置づけた上で,原則として,民法第103条に定められた権限を有するにとどまり,裁判所が必要であると考える場合にはこれを超える権限を付与することができますが,信託財産管理人には,原則としてこのような許可を求める義務まではないとの考えに改めたものでございます。

 

 

このような考え方の当否について,意見をお尋ねしたいと思っております。

 

次に,提案3の信託財産管理人の義務でございますが,これも前回の提案では,信託財産管理人は臨時の受託者であるとの位置づけから,受託者の義務に関する規定を準用するものとした上で,受託者との性格の相違から生ずる差異につきましては,信託財産管理人の義務に関して特例を設けることによって対応してはどうかとの考えを示しておりました。

 

 

しかしながら,第6回会議で指摘されましたとおり,このように考えますと,受託者固有の義務とは何であり,しかるに,信託財産管理人についてはそれをどこまで外すことができるのか,あるいは委任や代理,その他の制度における管理人はどうなるのかといった困難な問題に直面します上,先ほど申しましたとおり,信託財産管理人の位置づけやその権限が受託者に比してかなり縮小された性格のものであることにかんがみますと,信託財産管理人については,現行の非訟事件手続法の規定と同様に,委任における受任者の義務を準用するにとどめることが適当であると思われ,その旨の提案に改めたものでございます。その当否について,御意見を伺えればと思っております。

 

 

最後に,細かい点でございますが,提案5の信託財産管理人の任務終了事由につきましては,辞任,解任,新受託者の選任の場合のほかに,信託財産を保護するために必要があると認められる事情が消滅した場合を新たに選任取消事由として,5の(3)の②として挙げているものでございます。

 

 

 

以上で終わります。

  •  それでは,信託財産の管理人について御議論をお願いいたします。

 

 

 

  •  極めて抽象的であることはわかるんですが,やはり受託者の全部または一部が欠けたときを前提としているということは,信託財産管理人というのは受託者--極めて抽象的,形式的であって実質は伴わないんだと思うんですが--になるという理解でよろしいのかどうかということ。

 

 

これが何に関連してくるかといいますと,弁護士等が信託財産管理人に任命されることもあるかと思うんですけれども,何らかの形で違うところに受託者を認識するという前提ですと,信託財産管理人として,管理人であるということだけですべてできるのかもしれませんけれども,例えば受託者が破産している場合の不動産についての信託の公示をするといったことが必要になってくると思うんですけれども,そのときにしっかりと権限が与えられていないと,これで十分なのかもしれませんけれども,信託の登記をするための手続の問題とか,場合によっては受託者のところに行って信託財産を預かるような行為とか,現実的にはもう少し対応が必要になるのかなと思ったりしたのと,形式的,抽象的にも受託者になるということであれば,包括承継なのかもしれませんけれども,その「信託財産管理人になった」ということによって,みずからが預かる財産として保存行為を粛々と行っていけばよいのではないのかな,かように思って,その辺でも多少分かれてくるのかなと思っての質問なんですけれども。

 

 

 

 

  •  信託財産管理人の立場でございますが,事務局としては,受託者と同一ではなくて,あくまで新受託者が選任されるまで,前受託者がいなくなって新受託者が選任されるまでの一種つなぎ役であるという位置づけでございますので,受託者と同一の権限まで有させる必要はない。

 

 

したがいまして,この提案では,民法第103条に定めておりますような保存行為ですとか,あと権限の性質を変ぜぬ範囲内において利用,改良を目的とする行為,それだけできればいいのではないかと考えております。

 

 

 

例えば登記をするということであれば,保存行為ということでいいと思いますし,もしもそれ以上に何かやる必要があるということであれば,そこは信託財産管理人を裁判所が選任するに当たって,第103条を超える権限を付与する許可を与える,そういう交渉というんですかね,選ばれる人との間で裁判所と意見交換をしていただいて,それらの許可を付与してもらうことによって対応していくことになるのではないかと思っております。

 

 

 

 

  •  辞任による場合が除外されている点についてなんですが,辞任にもいろいろありますので,「やめてくれ」「わかった。では辞任する」「あんたには頼みたくない」そういう辞任もありますので,これをあえて除外しなくてもいいのではないかという気がいたしますが,いかがですか。

 

 

  •  そうですね,本当にいろいろなことがあり得ますね。

 

 

  •  ここは,提案では※3にありますとおり,裁判所が許可辞任した場合は含まないで,特約辞任と承諾辞任の場合を含んでいる。

 

 

ここは,辞任にいろいろな事情があることはもちろんかと思いますが,その権利・義務の関係だけで言いますと,前回提案いたしましたとおり,特約辞任,承諾辞任は前受託者と同一の権利・義務を負っているという立てつけをとっておりますので,そうすると,あえて信託財産管理人を選ぶまでの必要はないのではないかということで,除外しているということでございます。

 

 

 

もちろん,それにもかかわらずというか,そうはいっても,辞任といってもいろいろな事情があるんだから,とりあえず含めた上で,保護の必要があるかどうかで判断していくべきだという考え方ももちろんあると思いますので,そこら辺についてはどちらがよいかという御意見を伺えればと思っております。

 

 

 

  •  もちろん,権利・義務についてはそれを前提で,この「信託財産を保護するために必要があると認められるとき」というところで判断すればいいのかなというのが私の意見です。

 

 

 

  •  信託財産管理人の権限のところで,先ほど○○幹事から選任時に民法第103条を超える権限を行使することの許可をするというようなお話がありました。

 

 

確認なんですが,この許可は選任時にしなければならないという前提なのでしょうかというお尋ねです。

 

 

信託財産管理人が何を許可していいのかというのは,許可を求める義務はないというところが資料に書いてはありましたけれども,裁判所から見ても,必ず選任時にこういう行為を許可しなければならないという形で信託財産管理人を選任しなければならないとなりますと,選任時において,この信託はどういう信託で,この人を選んで,この人にどういう許可をするかというのをすべてワンセットで判断しなければならないということなのか,それとも,むしろ選任後も含めて信託財産管理人と相談しながら,そういった許可を適宜与えていくというようなことをお考えなのかというのが,御確認させていただきたかった点です。

 

 

 

 

  •  その点は後者でございます。選任時に付与するという場合があるのかなと思って言っただけでございまして,むしろ今の話ですと,事務処理の過程に当たって許可が必要だということになれば,裁判所が途中で許可をするということは,もちろんあり得ると考えております。

 

 

 

 

  •  先ほどの辞任のところで若干補足意見なんですけれども,例えば受託者に非違行為があって,本来は解任すべきだけれども辞任の形をとっている場合ですとか,あるいは,例えば受託者が事故に遭って,実際上,仕事ができない。

 

 

 

しかしながら,辞任の形をとるというような場合も世の中によくあることではないかと思いますので,やはりそういった場合も考えますと,辞任についても入れた方がいいのではないかと思います。

 

 

番人

「家族信託で登記する場合の原因は、なるべく任務終了がいいかな。」

 

 

もう一点なんですけれども,14ページの真ん中あたりのところで,民事保全法第23条の職務代行者の選任について,こういった制度を利用すればどうかということが問われているんですが,弁護士会等で議論している中では,この手続が,やはり裁判所を説得するのがかなり大変である,手続として重たいので,やはり職務代行者の選任というよりも,※1にあるような形で,この裁判所に対して辞任,解任の申し出がされた場合には,その同じ裁判所で選任していただくのがいいのではないかといった意見がありましたので,それもお伝えしたいと思います。

 

 

 

  •  先ほどの御説明で,もう既に検討された上での御提案だと思いますので,私が今さら言うのはどうかと思いますけれども,確認の意味で発言させていただきます。

 

 

 

それは,民法の受任者の義務にしたということで,何か義務を軽くしたというふうに聞こえたんですけれども,受任者の義務の方が受託者の義務より軽いのかどうかということ自体,議論の対象にはなると思うんですけれども,私が気になるのはその理由でして,信託財産の名義にならないというのが1つと,あとは,つなぎであるし,権限も限定されていると口頭での御説明と,ここに書いてある,あと裁判所の監督というか,選任,監督ということが書いてあるんですけれども,名義人にならないというのは,先ほども議論がありましたように,共同受託でAだけ名義人でも,BもCも受託者の義務を負うと思うんですね,

 

 

今度の姿の信託法によっては。ですから,名義人にならないから受託者の義務を負わないということには,恐らくならないと思うんですね。

 

 

 

 

次に,権限が限定されているというのは,これは選任,監督の裏腹ですし,つなぎであることからいっても,暫定的なものであることは確かだと思うんですけれども,それは権限の範囲が限定されているので保存行為と言っていいのかもしれませんけれども,原則は。

 

 

 

その範囲において行ったことについての義務の深さというか─が受任者でいいという意味なんですけれども,ですから,これは結局受任者の義務でも十分なのかもしれない。

 

そんなに受任者の義務と受託者の義務が違うとは思わないんです。

 

 

 

 

例えば,受託者がやめた。そこで,信託財産に金銭とか何かがあって,預金でもいいですけれども,そういうものを預かったりするわけですよね,さっきの保存行為で。

 

 

やはり分別管理してもらわないと困るのではないかと思うんですけれども,それが「いや,それは民法の受任者だって分別管理義務があります」という答えであれば,最初におっしゃった軽くした方がというか,軽くとはおっしゃらなかったと思うんですけれども,その方がちょっとどうかなと思うし,「いや,分別管理義務はないんです」と言うと,私は,やはりそれはつなぎであっても,信託財産をお預かりするなら分別管理義務は負っていただきたいと思うんですね。

 

 

ですから,何か誤解しているかもしれませんし,議論の結果,決まったことであれば申しわけありませんでしたけれども,ちょっとその辺は受託者と,類推適用と言うと……,何と言ったらいいんですかね,受託者と同等の義務でいいようにむしろ感じたものですから。それは受任者の義務でも同じ答えになるのではないかとも思うんですけれども,念のため。

 

 

 

 

  •  ここは,果たして受託者の義務と受任者の義務がどこまで違うのかというところがよくわからないという点がございますので,果たして受託者の義務を準用する,あるいは受任者の義務を準用するのでそんなに大きな違いがあるのか。

 

 

むしろそこは,あえて難しい議論をするまでもなく,非訟事件手続法が委任の規定を準用するとしているのでそれを踏襲しておけばいいのではないかというぐらいの考え方でございます。

 

 

とりあえず受任者の義務ということで考えておいて支障はないのではないかというぐらいのところでございます。

 

 

ですから,いや,それはまずいんだ,ぜひ受託者とすべきだという御意見があれば,それはそれでまた検討させていただきたいと思っておりますが,どのように違うのかというところがそもそもちょっとよくわからないということがございますし,受託者ではないんだから受任者でいいのではないかという,ほかの制度もありますしというようなソフトランディングをさせていただいたわけでございますけれども。

 

 

 

  •  確かに,先ほどは財産の名義がなくても受託者たり得るということは議論になりましたけれども,それは原則的な形というわけでは必ずしもないので,財産名義がなければ受任者というのが自然だろうというくらいの考え方で来ているんだと思います。

 

 

 

 

  •  1点だけ確認させていただきたいのですが,あるいはできた後の解釈問題かもしれませんけれども,11ページの2の(2)にあります信託財産管理人の権限で,ただし書の方で裁判所が付与する場合ですけれども,かなり個別的な付与なのか,あるいはかなり包括的な権限付与もできるのか。

 

 

例えば幾らまでの行為だったらできる,どんな行為でも,それは賃貸借でも売買でも構わないというような包括的なこともあるのか,それとも,この行為に限って権限を付与する,保存行為を超えるものをしていいということをお考えなのか。

 

 

かなり包括的なものができるようなことを考えておかないと不便ではないかと私は思うんですが,その辺はいかがでしょうか。

 

 

  •  特に考えていたわけではないんですが,ここは不在者財産管理人とか相続財産管理人の場合がどうなっているかというところにもよりますが,結論的には後者で,別に包括的でも構わないものと考えております。そこは裁判所の裁量かなと思っております。

 

 

 

 

  •  1点だけ確認なんですが,信託財産管理人というのは,信託を終了させる権限が民法第103条の権限として読み込めるかどうかという話でございます。

 

 

なぜこういう質問を差し上げるかというと,これは後ほど議論します信託管理人,また受託者監督員等の話にもつながってくるわけですが,当該管理人を行う担い手がどれだけ広がるかということにも関係しているのではないかということでございます。要は,一たん就任して抜け出せないということになってしまうと,なかなかなり手もないのではないか。

 

 

すみれ

「信託管理人、受託者監督員か。」

 

 

この提案では,確かに辞任というのがございまして,正当な理由があるときには辞任できるという話ですが,ただ,例えばですが,この信託財産管理人というのは,先ほどの御説明では一時的なものである,つなぎであるということだったわけですが,ただ,予想に反してずるずるとこういう状態が続いて,受託者もなり手がない,本当にない。

 

 

 

それで,もう信託の目的にあたわざるような状況になってしまうのかどうかもわからない。

 

 

または,その間に信託の財産がなくなって債務超過に陥ってしまうといったときに,やめることについて別に正当な理由があるわけではないが,信託自身をやめさせる必要があると信託財産管理人が判断した場合に,これが終了ないしは破産の申立てができるのかということです。

 

 

細かい話で言うと,破産に関して言うと,第63のところで申立権者という記載がありますが,この前回の議論では,具体的には検討課題第7の5ページですか--にこういうことがありました。

 

 

信託財産の管理,処分を行うものとして,受託者または信託財産の管理人が存在する云々ということで,受託者の権限を持つというベースでは,恐らくこれは,例えば破産の申立権はあると考えていたように思うわけですが,では,今回の提案で,いわゆる民法第103条ベースの受任者という権限になったときに,狭まったのかどうかは別として,本当にこういう終了または破産申立てをすることができるのかどうかわからなくなったもので,お尋ねいたします。

 

 

 

  •  まず,前受託者の任務終了から1年以内に新受託者が選任されなかった場合につきましては,信託は終了するというような提案を第61の信託の終了のところでしておりますので,少なくとも信託財産管理人は,ずるずるいったとしても1年で任務が終了することになるということは言えるのではないかと思います。

 

 

すみれ

「1年間、信託はどうなるんだろ。」

 

 

また,信託終了についての裁判所に対する申立権は,現在の我々の提案ですと,委託者,受益者または受託者としておりますので,確かにおっしゃるとおり,信託財産管理人が固有の権限として裁判所に対して終了の申立権を有しているわけではないとなっておりますが,現在我々が考えているところですと,先ほど○○幹事からお話がありましたとおり,裁判所と信託財産管理人が相談しながら,その権限の付与等をしていくということですので,必要があると認められる場合には,信託の終了についても裁判所の方から権限として与えることができるのではないかと考えております。

 

 

 

 

  •  緊急性のあるもの,1年未満の場合には,やはり裁判所の許可を得て裁判所とともにやっていく,そういう運用を行うということですか。

 

 

  •  そうですね。当然には民法第103条には入らないと思いますし,当然の権限とはならないと思いますが,そこは許可を得てということです。

 

 

  •  信託の登記の関係で,先ほど,信託財産管理人が保存行為として登記できるという話を○○幹事の方からされたと思うんですけれども,登記の申請人というのは登記名義人でなければならないとされておりまして,信託財産管理人は登記名義人ではありませんので,登記名義人でない信託財産管理人が保存行為として登記を申請できるということは,今までの登記実務でそれを認めた例はないので,信託財産管理人についても何らかの形で,ある場合には登記の申請をしなければならないといった必要性があるのであれば,何らかの対応をしなければならないのかなと思うんですけれども,現在の登記の実務では,信託財産管理人について,直ちに登記の申請を認めるというふうではないと思いますので,その点をつけ加えさせていただきたいと思います。

 

 

 

番人

「嘱託になるんだよね。」

 

 

  •  どうしても必要ということであれば,何か対応しなくてはいけないということですね。

それでは,信託財産の管理人については,このぐらいでよろしいでしょうか。

 

 

  •  先ほどの登記についての件でちょっと気になるんですが,もし仮に登記をするとなったときに,名義人はだれになるんですか。

 

 

 

 

 

  •  名義人は,前受託者ですね。そこは所有者ですので。
  •  それは,任務は終了しているんだけれども……。

 

 

  •  所有権自体は残っていまして,新受託者が選ばれると,場合によっては戻しますということです。

 

 

  •  なるほど。わかりました,結構です。
  •  それでは,時間が中途半端だけれども,次の説明ぐらいまでは。

 

 

  •  そうですね,第47の信託管理人等については,また複雑なところですので,先に説明させていただきます。

 

 

これは,現行法第8条の定める信託管理人制度を拡張し,その役割に応じて異なる3類型の制度を設けることを提案するものでございます。

 

 

 

前回の提案におきましては,現行の規定について不特定または未存在の受益者がある場合に限って信託管理人を置くことができるとするのは,受益者保護の観点から狭過ぎるのではないか,信託管理人の権限に関する記述が不明確ではないかなどの指摘があることを踏まえまして,信託管理人を選任できる場合を,受益者が不特定・未存在の場合に限らないとすること,信託行為による選任,裁判所による選任,受益者による選任の3つの選任方法を認めること,いずれの選任方法による場合も信託管理人の権限は特に排除されていない限り受益者の権利全般,すなわち単独受益者権と意思決定権限の双方に及ぶこと等を骨子とする提案をしておりました。

 

 

 

 

 

しかし,この前回提案に対しましては,第7回会議におきまして,特定の受益者が存在する場合に選任される信託管理人と,受益者が不特定・未存在の場合に選任される信託管理人とは異なる性格を有するのではないか,受益者が多数の場合に裁判所による信託管理人の選任を認める必要はないのではないか,受益者が信託管理人を選任できるというのは不適当ではないかなどの指摘がなされたところでございます。

 

 

 

そこで,今回の提案では,前回に引き続き受益者の保護を重視する観点から,信託管理人制度について改めて全面的な見直しを行いまして,まず,受益者が不特定・未存在の場合に受益者を保護するための信託管理人制度,それから,受益者が特定・現存する場合に受託者を監督して受益者を保護するための受託者監督員制度,それから,受益者が特定・現存する場合に全部または一部の受益者にかわって受益者を保護するための受益者代表制度,いずれも仮称ですけれども,この3つの制度類型に分類して創設することを改めて提案するものでございます。

 

 

すみれ

「ここで受益者代表(受益者代理人)が登場してきたのか。」

 

 

 

まず,提案1の信託管理人でございますが,これは受益者が不特定・未存在の場合におきまして,自己の名をもって信託に関する受益者の権利全般,単独受益者権及び意思決定権限の双方を含みますが,これを行使するものと位置づけておりまして,現行法第8条の信託管理人と同じ趣旨でございます。

 

 

なお,受益者が不特定・未存在である以上,信託管理人と受益者の権利行使の競合という問題は生じ得ませんので,この点に関する規律は設けておりません。

 

 

 

 

次に,受託者監督員でございますが,これは受益者が特定・現存する場合におきまして,受託者の監督をより実効的なものにすべく,当該受益者のために,原則として共益的な権利である単独受益者権のみを当該受益者と重畳的に行使するものと位置づけております。

 

 

ポリー

「受益者も一緒に権利を使うことができるのですね。」

 

 

なお,このような受託者監督員につきまして,信託行為による選任のみならず裁判所による選任を認めている趣旨でございますが,信託におきましては信託財産の所有権を受託者に移転しますので,受託者の権限濫用に備えた受益者保護のためのスキームを充実させておく必要性は,一般的に高いと言えますところ,受益者が受託者を十分に監督することができない事情が新たに生じた場合において,信託行為の変更の手続のみをもってしては的確に対応できなくなるおそれがあることにかんがみますと,裁判所による選任の方法も認めておくことが受益者保護の観点から相当であると思われます。

 

 

 

もっとも,第7回会議で指摘がありましたところですが,受益者保護のための制度を設けるに当たっては,民法の成年後見制度や保佐制度等との関連も問題になり得るところでございますが,この受託者監督員の制度は本人の権利を制限するものではなく,むしろ,単独受益者権に限ってではございますが受益者と重畳的に,権利を行使することを認めるものでございまして,信託の受益者に特に厚い保護を与える必要性があるという観点からこのような民法とは異なる性格の制度を信託法上,設けることとしても,矛盾,抵触等の問題はないと考えるものでございます。

 

 

すみれ

「信託の受益者には特に厚い保護が必要とされるんだ。」

 

 

以上のような考え方の当否について,御意見を伺いたいと考えております。

次に,受益者代表でございますが,これは受益者がやはり特定・現存する場合におきまして,受益者の全部または一部にかわって信託に関する受益者の権利,すなわち単独受益者権と意思決定権限の双方を行使するものと位置づけております。

 

 

すみれ

「受益者代表が就いた受益者は、権利が制限されるんだ。」

 

 

この受益者代表は,単独受益者権を行使することもできるものとして提案しておりますが,むしろ受託者に対する監督上の必要性を要件としないでこの類型を設けることを提案しています主眼といいますのは,特に受益者が多数に上る信託におきまして,共同受益者による意思決定及びこれに基づく信託事務の処理を円滑に行うことができる手段を設けることを通じまして,いわば間接的に受益者の利益を保護しようという点にございます。

 

 

 

そのような意味におきまして,この受益者代表というのは受託者に対する信託法上の監督機関というよりは,複数受益者の代表者という性格が強いものであるとも言えるかと思います。

 

 

 

 

この受益者代表につきましては,受託者監督員の場合と同様に,受益者が特定・現存する場合でございますので,そもそも受益者代表の権限から外れることとなります(2)ア①ないし③の信託行為をもって除外した場合ですとか,あるいは配当受領権のようなものを除きまして,やはり受益者との権利行使の競合関係が問題となります。

 

 

この点につきましては,まず,単独受益者権につきましては,権利の重要性や緊急性にかんがみまして,前回の提案からは除外していた損失てん補等請求権や信託違反行為の取消権も含めて重畳的に権利行使できるものとするということ。

 

 

他方,意思決定権限につきましては,これを重畳的な権限としたのでは,意思決定内容が異なる場合に受託者としては判断に窮することが予想されまして,せっかく信託事務処理の円滑性確保のために受益者代表制度を設けることとした趣旨に反したこととなるおそれがありますので,受益者代表のみが専属的に権限を行使できる,すなわち受益者代表だけで意思決定できるものとすることを提案しているところでございます。

以上についての当否について,御意見を伺えればと考えております。

 

 

番人

「不動産の場合、信託監督人、受益者代理人は、信託目録では受益者に関する事項等に記録される。」

 

 

さらに,この受益者代表につきましては,今回,信託行為による選任を認めるにとどめまして,裁判所による選任を認めないとすることに提案を改めております。

 

 

これは,第7回会議での指摘を踏まえまして再検討いたしました結果,受益者が多数に上る信託での信託事務処理の円滑化については,信託行為において多数決制度を採用し,あるいは受益者代表を設けるなどの私的自治による自主的な解決にゆだねるべきであって,受益者の意思決定権限を吸収してしまうこととなる受益者代表を裁判所が選任することは適当ではないと思われたからでございます。

 

 

なお,前回の提案におきましては,信託の基礎的な変更,例えば信託行為の変更ですとか信託の終了などに関する受益者の意思決定権限については,受益者が特定・現存する場合には,信託管理人ではなく受益者が行使するものとすることが相当ではないかとの指摘があることをお示ししましたところ,この指摘につきましては,今回の提案に係る受益者代表についても同様に当てはまるところだと思います。

前回の提案の際には,事務局といたしましては,契約自由の原則に照らせば,このような意思決定権限を第三者に与えることも可能であることにかんがみますと,第三者に与えることもできるんだから前回の提案ですと信託管理人に対して,かかる意思決定権限を専属的に委ねることも可能であるとした上で,受益者の保護については別途,反対受益者の受益権取得請求権に関する規律をもって対応してはどうかとの考え方を一応示したところではございますが,反対の考え方も示されたところでございまして,なお引き続き御意見を伺いたいと思っております。

 

 

 

最後に,前回の提案におきましては,受益者による信託管理人の選任に関する規律を設けるか否かについては要検討事項としておりました。

 

 

この点につきましては,委託者の意思をも反映して,信託行為の定めによる場合であればともかくとして,受益者の意思のみによって受託者監督員または受益者代表を選任できるとするまでのニーズがあると思われないことですとか,第7回会議において,受益者の意思による選任を可能としてしまうと訴訟信託と類似の問題が生じるおそれがあるとの指摘があったことを踏まえまして,今回の提案からは,受益者による選任というものは削除しておりますが,その考え方の当否について御意見を伺えればと思っております。

とりあえず,以上でございます。

 

 

 

  •  それでは,議論が途中になるかもしれませんけれども,しばらく御議論いただければと思います。いかがでしょうか。

 

 

  •  全般についてなんですけれども,まず,第7回の御提案と比較いたしまして,信託管理人というものが,現行法と同じ役割を持つ信託管理人と,受託者を受益者と併存的に監督する受託者監督員,それと単独受益者権を除いて受益者の権利を専属させる,まさに受益者の代表としての受益者代表というんですか,この3つに役割を分割させたことについては,基本的にはその考え方は理解できるわけですけれども,実務上を考えてみますと,特に現在の信託管理人の利用のされ方というところから考えますと,信託管理人と受益者代表との狭間がよくわからない部分がありまして,場合によっては不都合なところが出てくるのではないかと若干の懸念をしております。

 

 

 

 

例えばということですけれども,現行法のもとで考えますと,年金信託等につきましては,受益者が不特定であると認識して信託管理人という形のものを置いておりますけれども,今般の提案では,それと同様に考えて信託管理人を置くのか,それとも,同じように考えたら受益者代表になるのか,その辺のところが1つよくわからない。

 

 

 

それと,分析して考えると,年金の場合は特定している人もいると,不特定と言うと……。

 

 

そうすると,併存させないといけないのかといった考え方もありますし,例えばそれは兼務させることができるのか,その辺もあろうかと思います。

 

 

 

 

 

あと,信託管理人の選任後,受益者が特定する,当然不存在のものが存在するということは当然あるわけですけれども,そのときに信託管理人が職務を遂行できるのかどうかが問題になると思います。

 

 

現状の実務でいきますと,例えば社内預金引当金信託とか顧客分別金信託というのがあるんですけれども,その場合については,信託管理人が元本受益権を行使して信託財産をまず受け取って,それを確定した受益者に分配していく,そういう役割を負っているわけですけれども,その職務が遂行できないことになりますと,そういうことができないということで,これは信託契約に書けばいいということであれば,それはそれでもいいのかもしれませんけれども,その不特定・未存在というものをすごく厳格に解すると,実務上ちょっと苦しいところが出てくるのかなと思っております。

 

 

それでは,信託管理人ではなくて受益者代表だと考え方を変えてみますと,3の(2)のアの②で,受益者代表の権限のところから信託の利益を受領する権利というのが排除されていますので,みんなのかわりに信託財産を受けるといったことができなくなりますが,このタイプの信託というのは割とこれから増えてくるのではないかと思いますので,その辺の不都合があるのかなと思います。

 

 

 

 

ただ,ここは別の契約を締結すればいいという考え方もあると思いますけれども,どうもここの書き方は強行規定的な感じがしますので,ここら辺のところが強行規定的に入ってしまうと,ちょっと困ることになりますので,この辺の御対応をお願いしたいと思います。

 

 

  •  何点にもわたる御意見でしたが,いかがでしょうか。

 

 

年金信託が非常にわかりやすいんですが,ああいうのは一体どこに入るんだろうかということですね。私もそれはちょっと疑問に思っていたんですけれども。

 

 

 

  •  1つは,先ほど○○委員がおっしゃったとおり,この3つの類型がどういう関係になっているのか,実務的な観点からするとちょっとわかりづらいということでございます。

 

 

 

例えば,極端な話,この3つの制度を同時に入れることが可能なんでしょうか。

 

 

例えば,特定の学校の卒業生のために信託をします。将来の卒業生のために,これはまだ決まっておりませんので,信託管理人を選任する。

 

 

そして卒業生全体のためには受託者監督員を入れます。そして,例えば卒業生のうち特定の一部の人,例えば外国に行ってみずから権利を行使できない人のために受益者代表を置くといったことが一応想定されているような,つまり,この制度は重畳的なものと併存的なものとして設置するものと想定されているのかどうかといったことがわからないということでございます。

 

 

 

2つ目に,先ほどの私の担い手の話につながるわけですけれども,すなわち第47と関係し得るわけですが,これらの責任について2つございまして,1つは,この責任については基本的に民法の委任の規定を準用するということでございますが,これはデフォルトなのか,または裁判所が選任する場合に,その点について変更を行うことができるのかということでございます。

 

 

例えば重過失のみに限るとか,そういうことができるのか。

 

 

 

と申しますのも,やはりいろいろな信託のタイプがございまして,特に事業信託で今回,入れようとしているとか,また再生ファンドであるとか,非常に裁量が多い,高度な判断を要求されるものが今後,出てくるかなと思っております。

 

 

 

すみれ

「出てきているかな。」

 

 

他方,そういうものは非常に裁量が多いだけに責任が重いということになりますと,ある程度責任を明確化ないしは限定化しないと担い手が出てこないかなと思っております。

 

 

また,例えば金融商品的なものになりますと,受益者代表において複数の投資家で証券化を行うときに,集団的な権利行使をするためには便宜的に,あたかもローンマーケットにおけるシンジケーションのように,エージェントという形で受益者代表を置くことも考えられると思うんですが,そういうエージェントの今のプラクティスというのは非常に機械的でございまして,例えば意思結集のために質問状を出して,賛成票があればその賛成票に従って,それに対して行為する。その行為については免責されるといったことがございます。

 

 

 

 

よって,受益者代表といっても,すべて任されるというのも非常に酷なこともございますので,そういった,ある程度のプロセスを経て,その後は免責されるというタイプもあるものですから,そういう余地を,ここの権限ないし義務というところでデフォルト化できないものかどうかということでございます。

 

 

2つ目に,これも第47と関係するわけですけれども,報酬と費用償還請求権のお話なんですが,これは受託者の補償請求権のところで議論したことがそのまま置きかわるのかどうかという話ですが,すなわち費用償還請求権について,優先権がここでもあるのかどうか。この御説明書では,そこまで言及がないように見えますけれども,そこがどうなのかということです。

 

 

 

 

 

仮にそういう優先権があった場合に,では,受託者とこれらの新たな3類型の先取特権間の優先関係がどうなのかという細かい問題も出てきていると思っております。

総論的なところで,3つ御質問いたしました。

 

 

  •  これはまだまだ議論しなくてはいけない点がたくさんありますが,少し休憩してから再開したいと思います。

(休     憩)

 

 

 

  •  時間が参りましたので,再開したいと思います。
  •  それでは,先ほど○○委員と○○委員からお話があった件について,お答えしたいと思います。

 

 

まず,年金信託のようなものは1なのか3なのかどうもはっきりしないというお話がありました。結論的には,これは我々としては3の類型だと考えております。

 

 

 

 

1の信託管理人の類型で,不特定・未存在の場合というのは,典型的には,例えばこれから行われる大会の優勝者が受益者として指定されているときですとか,あるいはこれから産まれてくる子供などを念頭に置いておりまして,受益者複数の年金信託につきましては,その一定の時点をとらえますと受益者が特定しているとも見られますので,受益者が不特定または未存在の場合という類型には含まれてこないと考えております。

 

 

 

 

ただ,「不特定」という言葉で,今,申し上げたような意味まで表せるかどうかについては,今後なお検討はしていきたいと思っておりますが,仕切りとしては,そういう理解でございます。

 

それから,信託配当と申しますか,受領権について支障が生ずるのではないかという御指摘がありましたが,ここは我々としては,先ほど○○委員からも御示唆がありましたとおり,信託外でそのような受領権を与える契約を,従業員と例えば受益者代表の間ですればいいのではないかということで,ここで受益者代表というのは,単独受益者権,あるいは複数受益者の場合の意思決定権をかわりに行使する,それによって受益者の便宜に資するという,いわば共益性を有する立場に立つものでございまして,その中に,信託行為をもって純粋に自益的な配当受領権を行使できるということを持ち込むのは,いささか異質なことを持ち込むことにもなって,妥当ではないのではないかと考えております。

 

 

 

 

 

やはりこの点は,書いてはございませんが,別途契約をすればそれによって配当受領権を受益者代表は行使することができるという理解でいいのではないかと考えております。

 

 

 

 

なお,誤解でなければ,先ほど受益者不特定・未存在の場合について,現行の信託管理人については配当受領権があるのではないかというお話があったかと思いますが,解説書などを見てみますと,信託管理人については,やはり配当受領権というものはないのであって,その場合の受益者に供すべき信託利益については,受託者が保管しておくべきではないかというような記載がございますので,信託管理人についても受益者代表についても,我々としては,信託行為で配当受領権を付与することは考えられないと理解しているところでございます。

 

 

 

 

あと,特定・現存した場合はどうなるかということでございますが,これは,任務終了事由についてはざくっと書いてあるだけでございますけれども,受益者不特定・未存在という場合が事務局の提案で言う信託管理人の選任要件でございますので,特定・現存するに至った場合には,何らかの手続を踏むかどうかは別として,任務終了事由になるだろうと考えております。

 

 

 

そうしますと任務終了してしまいますので,それ以降は権限を行使できないことになると思います。

 

 

ただ,信託行為をもって信託管理人を定めている場合については,例えば特定・現存する場合においては信託管理人の任務が終了するという立場に立った場合には,今度は受益者代表として権利を行使できるんだというようなことを書いておけば,切り換えることはできるのではないか。信託行為の定めによるときは,そのような手当をもって対応することができるのではないかと考えております。

 

 

すみれ

「信託管理人が受益者代理人になるんだ。」

 

 

それから,○○委員から御指摘がありました3点でございますが,まず,3つの関係は併存的かどうかということでございます。

 

 

これは,1の信託管理人は受益者が不特定・未存在の場合で,2,3は受益者が特定・現存する場合ですので,1と2・3は併存しない。2と3は併存し得るということですので,例えばある特定の受益者について,受益者代表も選び受託者監督員も選ぶということも,信託行為で定めれば可能と考えております。

 

 

もちろん,裁判所による場合には少し,保護の必要があるときとか要件がありますので,重複して選任する場合はないのではないかと思いますが,信託行為で定めれば,重複して定めることはできるだろうと思います。

あと,誤解でなければ,例えば産まれてくる前の子供と産まれている子供といったときはどうかということですが,産まれてくる前の子供については,例えば信託管理人を選ぶ。

 

 

そして産まれている子供には受益者代表を選ぶ。それは1つの信託だけを見れば重複しているわけでございますが,ある特定の人を見た場合には1人しかいないわけですので,やはり制度の重複ということは,ある特定の受益者についてはないという理解でございます。

 

 

すみれ

「2人必要ってことか。」

 

 

それから,責任はデフォルトかどうかという点については,これは信託行為で定めている信託の受益者代表ですとか受託者監督員については,軽減はできるのではないかと思っておりますが,裁判所の選任についてできるかどうかというと,なかなか難しいと思います。裁判所の方から御意見を伺えればと思うところでございます。

 

最後に報酬,費用の関係でございますけれども,費用についての優先権という話だったかと思います。

 

 

これは結局,必要費・有益費,信託財産の価値増殖につながるものであれば優先権があるという理解でございますので,信託財産管理人は非常に認めやすいわけでございますが,信託管理人は受益者のかわりに単独受益者権とか信託の意思決定権を行使するのであって,ちょっと局面として信託財産の価値増殖ということが考えにくいなと。

 

 

万が一あって,それはやはり原則どおり必要費・有益費であれば優先すると言えそうでもありますが,しかし,債権者との関係まで優先すると言えるかどうか,価値増殖ということを言えるかどうか,なお考える余地があるかなという気がしております。

 

 

 

報酬につきましては,信託債権者よりは劣後するのではないか。

 

 

しかし,社債に関する規定などを見ますと,受益債権よりは優先するのではないか。

 

受託者の権利と報酬の権利の優先関係については,ちょっとまだこちらは十分検討しておりませんので,また今後検討していきたいというところでございます。

とりあえず,以上でございます。

 

 

 

 

  • いかがでしょうか。引き続き議論をお願いいたします。

 

 

  •  今,○○幹事から御回答をいただいたところで,再度確認……,ちょっと聞き漏らしたんだろうと思うんですけれども,信託の利益を受領する権利について,信託管理人については,例えば現行法においても,多分,法律上の問題として受領する権限はありませんということだろうと思うんですけれども,別にこれは,信託契約に書いた場合においては受領できると。

 

 

 

現行法にもそうだし,今,御提案されている信託管理人においても,そこは受領できるということでよろしいのかどうか。

 

 

 

同時に,受益者代表について,ここで排除していますけれども,信託契約に書けばそれは認められるということなんでしょうか。

 

 

 

それとも,それとは別の概念として,別のところで契約を締結していないとだめなのか,そこら辺のところを再度お願いいたします。

 

 

  •  信託行為などで定めると,どこまでできるかですよね。

 

 

  •  割と最近の,例えば財産を保全するようなタイプの信託は,一括して信託管理人が受け取って,それをそれぞれの保全するところの受益者に対して分配するという形のものが増えてきておりますので,信託管理人の役割というのは,そういう意味合いでかなり重要な部分がありまして,そういうタイプのことを考えると,やはりどうしても必要なものですから。

 

 

 

  •  今の例ですと,年金みたいな場合もあり得る。要するに,むしろ受益者が決まっているという……

 

 

 

 

 

 

  •  年金というよりも,一括して,例えば……

 

  •  多数の受益者等がいる場合ですね。

 

  •  そうですね。多数いて,その委託会社が倒産したらその財産を--例えば従業員の預金を保全するための信託等の場合において,例えば委託者が倒産しました,そのお金を一括して信託管理人が一たん受け取って,それぞれの従業員の預金に応じた形で分配していく。

 

 

その場合は,そういうコントロールする人が必要になってきますので。

 

 

 

  •  これは私の個人的な感想ですけれども,もし信託管理人がそうやって信託財産を受け取るといった形になると,少なくとも現行法は,信託管理人について受託者と全く同じほど強い義務などを負わせていないので,やはり適当ではないのではないかという気がするんですね。

 

 

 

財産を受け取って,また受益者に渡さなくてはいけないわけですから,倒産隔離はもちろん,結局,受託者とほぼ同じルールが信託管理人に適用されないと問題ではないかと思って,そういう意味で,信託財産そのものの給付を受けるのは適当ではないのではないかと思っているわけですけれども,しかし,いろいろな考え方があるかもしれませんね。

 

 

 

  •  ○○幹事からありましたので。

信託管理人等の責任の範囲を,裁判所の選任による場合にいろいろ動かす,デフォルトにすることができるかというお話でしたが,一般的には,裁判所が選任する種々の機関というのは権限,義務,責任が法定されていて,それがワンセットとなったものを選ぶということではないかと思っています。

 

 

 

例えば,破産管財人を選ぶときに,否認権を行使すると大変だからこの破産管財人については否認権を行使しなくてもよいといった選任ができるかというと,やはりそれは破産管財人というものの趣旨からして問題ではないかということになってしまうのではないかと思われます。

 

 

 

そういった義務と責任が一件一件ごとに変わり得るとなりますと逆に,裁判所が選ぶ立場になりますと,この信託管理人については,このぐらいの責任でということを逐一考えなければならなくなって,今度は選ぶ方で渋滞してしまうことにもなりかねないという面もあるのではないかと思った次第でございます。個人的な感想でありますが。

 

 

すみれ

「渋滞だ。」

 

 

  •  ○○委員からお話があった配当受領権の問題の理解の仕方でございますが,○○委員の御質問は年金信託が念頭で,我々は,年金信託については不特定・未存在ではないと仕切ったわけでございますが,現行法は第8条しかないので,これも信託管理人と言ってやっているんだろうということで,我々の提案で言えば,年金信託の信託管理人というのは受益者代表の仕切りの中で考えていくことになるんだろうと思います。

 

 

 

その上で,では,この受益者代表に信託行為をもって配当受領権を与えることができるのかというと,それは先ほどちょっと申し上げましたが,やはり制度趣旨から見て,そのような純粋に自益的な権利を受益者代表に信託行為をもって付与するのは適当ではないだろうという理解でございます。

 

 

 

ですから,もしもそういう必要があるのであれば,これはいわば信託の枠外において,個々の従業員と受益者代表の間で別途,受領できるという契約をしてもらえばいい。

 

 

 

現行法では信託行為でやっているということでございますけれども,我々の提案のもとでは,年金信託の場合についてはそのようなやり方をとっていく方が適当ではないかという理解でおります。

 

 

 

  •  1つは先ほどの,信託行為の定めで受領権者を定められないかという話。

 

 

それは確かに「受益者代表」という言葉遣いをすると,受益者代表の観念からは外れるような気もするのですが,より一般的に,ある種の給付をするのに,この人に給付をするということでその債務者--この場合,受託者ですが--の債務が理解されたことになるということはあり得るわけでありまして,一般論としては別段,労働基準法のように,本人に対して金銭を渡さなければならないとなっているわけではないと思うので,妨げることはできないのではないかと思うんですが,いかがでしょうか。

 

 

 

 

第2点は,先ほどから裁判所により選任された管理人等について,責任を弱めることはできないのではないかという話なんですが,できないというのは,私は,そのとおりだろうと思います。

 

 

 

しかし,それでは信託行為の定めによる場合は自由にできるのかといいますと,私は,そうも言えないのではないかと思います。

 

 

もちろん,信託行為の定めによってするときにはできるという考えもあり得るんですが,できるとするならば,信託行為の定めによって信託管理人等が選任されていてもなお,裁判所が信託管理人等を選任することがあり得ると考えなければおかしいのではないかと思うんですね。

 

 

番人

「たしかに。」

 

 

つまり,選任されているから裁判所は選任しないというのは,その人が完全に守ってくれるという状況にあるからでありまして,それが責任が弱められていることによって受益者の利益を守ることができないとなりますと,今度は信託行為によって定められているんだけれども,なお裁判所が選任するというふうに考えなければならないのではないか。

こちらは意見ですが,述べておきたいと思います。

 

 

 

  •  既存の信託管理人として年金の例が挙がっていますけれども,私が認識しているものとして,流動化の中で,信託管理人を置いているものがあるんですね。

 

 

 

ちょっと特殊なスキームかもしれませんけれども,住宅ローンの証券化で,それが他益信託構成をとっていて,他益信託の受益権は実質担保になっています。

 

 

 

不特定という認識だと思うんですけれども,受益者を取りまとめる立場としての信託管理人。

 

 

それはそれとして,今後の展開はちょっとわかりませんけれども,セキュリティ・トラストの議論があったと思います。

 

 

場合によっては,セキュリティ・トラストの受益者を取りまとめるような趣旨での信託管理人というのも,この場合,信託管理人ではなくて受益者代表になると思うんですけれども,そういうような使われ方もあるのではないかと思います。

 

 

そこからなんですが,そうすると,では,信託契約の定めに従って何が論点になるかというと,やはりどの程度,基礎的な変更というのは「基礎」の概念によりますし,また,それもできるという理解がいいのかどうかというのはありますけれども,場合によっては信託契約を変更するような状況が出てくるかもしれませんし,または受益者間において利害が対立しているときですね,受託者みずからだけでは判断できないときに,受益者代表ということで判断するような状況もあるかと思うんですね。

 

ポリー

「対立しているときに判断するって大変ですね。」

 

 

ですから,そういうセキュリティ・トラスト的な視点からすると,先ほどからの議論の中で,受益者代表が信託行為によって,どこまで何ができるのかという議論が中心だったかと認識していますけれども,信託行為の中で定めることによって,ある程度柔軟に対応できるようにしていただいた方が,そういう意味においての使われ方においては,恐らく紛争を未然に不防いだりとかできるのではないかと思います。

 

 

 

  •  先ほどの○○委員と○○幹事のやりとりで,ちょっと私,よく理解できていないのかもしれませんけれども,配当を受け取って渡すというようなことが,なぜいけないのかというのが私にはよくわからない。

 

 

信託財産そのものを管理し始めると確かに受託者になるということで,これはニワトリと卵の話なので,それなら受託者と同じに動かしたらどうでしょうかという,さっきの信託財産管理人と同じような話になるのかもしれませんけれども,受益者代表を定めておいて,信託の配当というんですかね,何にせよ,受領して渡しますというニーズは結構あるように思うんですよね。

 

 

 

そのときに,それは制度の趣旨に反します,ですから外でやってくださいというのは,制度を変えようとしているときに何かちょっと気持ち悪いなと。

 

 

外でやってくださいと言うなら,「中でやっていいけれども,こういう条件を満たしてやってください」という制度にした方がいいような感じを持ちます。

 

 

 

 

 

  •  受益者代表というのは受益者の利益そのものを,信託行為で設定するので個々の受益者の合意はないかもしれないけれども,受益者の代表として受領できておかしくないではないかということですよね。

いかがでしょうか。

 

 

 

 

  •  事務局といたしましては,信託行為に書くということのみをもって受益者から配当を受ける権利を吸収することができていいのかどうかいう点を問題にしておりまして,先ほど事務局の方からありましたとおり,信託行為の外で,各受益者の個別の同意をもって代理受領権を信託管理人ないし受益者代表に与えることは当然あってもいいと思うんですけれども,ここで問題としておりますのは信託行為に書くだけで,いわゆる他益信託の受益者から配当を直接受ける権利を奪っていいのかどうか,そういう点に問題があるのではないかということでございます。

 

 

番人

「他益信託の受益者には給付を直接受ける権利があるんだ。」

 

 

  •  そうしますと,私がちょっと誤解していました。

 

私は,信託行為において受領権を与えてもいいのではないか,そのニーズはあるのではないかと申し上げたんですけれども,その場合には,ですから併存するというつもりでいたんですね。

 

 

奪われるのではなくて。個々の受益者は受領権は持ち続けるけれども,まとめて受け取りますということは信託行為に書いてもいい。ですから,ちょっとカテゴリーを読み間違えていたのかもしれません。

 

 

 

  •  受益者自身がどういう権限をなお持ち続けるのかということとも関係するんですよね。

 

 

ここら辺は理論的に,必然的に「こうならなくてはいけない」というものではないので,皆さんのいろいろな御意見を伺った方がいいと思いますけれども。

 

 

 

  •  いつも同じことを申し上げて恐縮なのですけれども,受益者代表の権限に関しまして,特に基礎的変更に係る権限についてなのですけれども,これまでの御議論では,基本的にそういった重大な変更については受益者全員の合意が必要であると。

 

 

 

 

しかし,受益者集会を設けた場合には,例えば特別決議で行うことができる,こういう前提で考えてきたと思うのですけれども,例えば信託行為の定めの中で,一部,その3分の2まで達しない,例えば10%なり20%なりの受益権を持つ者を受益者代表に決めておいて,その者が信託の基礎的変更についても決定するとなると,先ほどの,受益者全員の合意が必要であるとか受益者集会の特別決議が必要であるというルールにやや矛盾するかのような感じを受けるのですけれども,これはどのように説明がなされるのでしょうか,お聞きできればと思います。

 

 

 

 

  •  今の点に関することなんですが,やはり基礎的な変更を受益者代表が比較的自由にできるとなると,これはやはり受益者の立場からすると,予測の範囲外と言うとあれですけれども,受益者の合理的な予測から外れたこともなし得ることになってしまうのではないかと懸念します。

 

 

 

受益者のある程度の予測可能性を確保するという観点からすると,やはり受益者代表の方が基礎的な変更権まで持つというのは,やや問題ではないかと思います。

 

 

特に,この受益者代表は,御提案の中身ですと忠実義務ではなくて善管注意義務を負うという形になっていますので,忠実義務を負わない受益者代表にそこまで広い権限を与えていいのかなと考えています。

その点,意見申し上げます。

 

 

  •  ある種の共通する問題ですけれども,受益者代表にどこまで強い権限というんでしょうか,与えていいのかという問題ですね。

何かありますか。

 

 

  •  ○○幹事と○○幹事の御指摘は,我々としても,そういう問題があるということで,むしろこの審議会の場で,どこまで権限を与えるべきかぜひ御議論いただきたいと思っているところでございます。

 

一応事務局の方で示している一つの考え方は,変更権限なども受益者代表に与えていいのではないかという方の理由からいたしますと,1つは,第三者に変更権限も与えられるんだから,受益者代表に変更権限を与えることがなぜ妨げられなければいけないのかという点がございます。

 

 

 

それから,それによって不利益を被る受益者というのは出てくるわけでございます。

 

 

そこは変更の内容にもよりますけれども,受益権取得請求権の方をもって保護することでバランスをとっていくという考えでいいのではないかというのが積極説からの理由でございます。

 

もちろん反対説もあり得ると思いますので,ぜひともより一層御議論いただければと思います。

 

 

  •  第60の,反対受益者の受益権取得請求権の議論ともつながる話だと思いますけれども,やはり私としては,信託行為である程度書いたものについては,デフォルト化は認めていただきたいと思います。

 

 

そういう信託を前提に権利・義務関係に入ってきたものでございますので,基礎的な変更とかそういうものはございますけれども,そういうものを含めた信託行為だということで,そういう権限も受益者代表に委任できるといったことを基礎にするのが適当ではないかと思っております。

 

 

次に,反対者に対する受益権取得請求権の話で,これも第60の議論と同じになりますけれども,やはりそこについてもある程度,強行法規化は避けるべきではないか。

 

 

もちろん,そういう必要があるのであれば,そういうふうに信託行為に書けばいいのではないかと思っています。

 

 

そこは議論の対立があるところだと思うんですが,1つ,何といいましょうか,創造的なといいましょうか,前向きな話として,そういう受益者代表に対して信認が置けない状況になった場合に,個別の受益者が自分の分について,受益者代表の権限を取り消すことができればいいのではないかと思っているわけです。

 

 

この説明ではそこら辺がよくわからないので,逆に御質問したいところでありますけれども,確かに,この説明書の中では受益者代表を解任するといったことが書いてありますが,これはどちらかというと,受益者代表自身,いえば当該対象になっている受益者全員との関係で,解任とかいうことをイメージしているのではないかとも読めるんですね。

 

 

ただ,個別の受益者にとってもうこの代表は認められないということであれば,もちろん遡及効はないということだと思いますけれども,その後,発生する行為について自分で行使する,代表には任せないといったことができるのがいいのではないかと思っておりますので,その点について御質問したいと思います。

 

 

 

  •  今までいろいろな問題が出てきましたけれども,受益者の権限が完全に残っていれば,受益者代表を定めた場合。

 

 

そうしたら,積極的に権限を行使する必要性が出てきたときに各受益者が自分で権限を行使すればいいので,それなりに保護の手段が与えられているわけですけれども,ある程度専属的に受益者代表に権限を与えてしまうとなると,余り強い権限を与えるのはどうかという問題が出てくるわけですね。

 

 

それから,仮に受益者代表権限を個別に奪うことができるとなりますと,これもある程度は解決になるんでしょうけれども,いろいろな複雑な問題も出てくるような気がいたしますし。

何かございますか。

 

 

 

 

 

  •  ここでの解任というのは,受益者代表の立場自体を奪ってしまうことを考えておりまして,個々の受益者ごとに解任するというのは問題があるのではないか。

 

 

というのは,ここで受益者代表を認めておりますのは,単独受益者権ということもありますが,信託事務処理の円滑化ということがありまして,意思決定権限を代表して行使することによって信託事務処理を円滑にしていきたいというのが主眼の1つでございます。

 

 

そうすると,受益者の1人がその者との関係で受益者代表を解任することができるとしますと,結局もとの木阿弥といいますか,その人の合意とほかの受益者代表の合意とが必要になってくると,結局,信託事務処理の円滑化に資さないことになってきますので,制度を認める趣旨からすると,一たん選んでおきながら受益者ごとにばらばらに解任できるというのは問題ではないかという気がしているところでございます。ですから,そういう制度は今のところ考えていないということでございます。

 

 

 

  •  ちょっと関連するかどうかわからないんですが,基礎的変更の話に戻るかもしれませんけれども,大体これ,受益者がどのぐらいの数のことを……。

 

 

ロジカルには両論あると思うんです。10人,20人ならという場合と,何万人といて,例えば今,兼営法の第5条の3で処理している合同運用金銭信託,これの契約を変更しましょうと。

 

 

現在,大臣が認可して終わりと。「文句ある人は言ってきてください」と言って,文句のある人が言ってきたときにどうするかは法律に書いていない。

 

 

 

こういうのは多分,廃止してほしいと思うんですけれども,そういう兼営法第5条の3も引き取って,何万人といるようなものをここでも考えるのか,そういうのはやはりあっちでやってくれ,信託法の方では余り……,さらにそういう特別法が,場合によっては大臣の認可だというようなものはありなんだという前提で物事を考えているのか,それによって設計が違ってくると思うんですけれども。

 

 

 

  •  年金信託の場合に,今の信託管理人,新しい提案で言うと受益者代表になりますけれども,年金信託の場合だと過去の退職者が含まれますから,個々の年金によって違うと思うんですけれども,かなりの数ではないかと思うんですね。

 

 

 

恐らく,ここは違うのかもしれませんけれども,年金信託契約というのはそんなに詳細が書いていないことも多いと思うので,解釈論とか,新たに決めなければいけないこととか,たまにはあり得ることだと思います。

 

 

そのときの,今の○○委員の投資信託もそうですし,年金の場合も,やはりかなりの数を念頭に置いて,信託の効率性といいますかね,効率化,それからあと,受託者監督員と重複した議論になってしまうかもしれませんけれども,やはり数が多いということになりますと,逆に受託者の方が楽になるというんでしょうかね,少数の対立関係であればしっかり通知されるところを,しっかりした人が信託管理人になることによって,実質この受託者監督員と同様な役割も果たせるのかなと思います。

 

 

すみれ

「信託管理人は受益者がいるとできないんだよね。」

 

 

  •  重複してしまったら申しわけございませんが,1つは,先ほど○○幹事の方から,1人について取り消すと円滑化に支障があるという御指摘で,それはまことにそうだと思うんですが,他方で,25ページの3の(1)で「受益者の全部又は一部のために」選任できるとなっておりまして,幾つかの利害グループごとに複数の受益者代表があり得るという制度設計かなと考えておりますので,そんなにこだわらなくていいのではないかという気がいたしました。

 

 

 

もう一つ,言葉遣いなんですが,「受益者代表は,受益者以外の者がなることも可能である」と26ページの※6に入っております。そうすると,「代表」という言葉が適当かなという気がします。

 

 

というのは,代表というのはみんなの代表だからいいではないかという気がするんですが,それ以外の者にならせるということだと,むしろ「代理」と言う方が実態に即して明確になるのかなという気がいたします。

 

 

 

  •  ごもっともな御意見のような気がしますね。

 

 

  •  先ほど○○委員とか○○委員からおっしゃっていただいたように,信託の実務からしますと,やはり何万人とかというスキーム,特に受託者側から提供しているような集団のスキームというか,「こういう形で運用したいんです」と提供しているもの,そういうタイプについては,基本的には受託者の方がリーダーシップをとっていろいろな変更をしていく,それに対して受益者の方がのっていくか,のってこないかといったことではないかと思いますけれども,その際に当然,勝手にやってしまうということではなくて,受益者の代表をする受益者代表という人であるとか,多分次回議論されると思いますけれども,受益者複数の場合の意思決定方法というのがあって,それによって決せられる。

 

 

 

すみれ

「受益者代表(受益者代理人)て、営業の信託で想定されていたんだ。」

 

 

 

それについては非常にいろいろなパターンのものがありますので,それに応じた形のものが受け皿として必要だろう。

 

 

 

そういうことからしますと,やはり基本的には受益者代表という人に決定してもらって,それが基礎的なところに当たるものについても,集団スキーム的なものについては,やはりそういう形でないとなかなか対応できないということではないかと思います。

 

 

 

すべてのタイプの信託がそれに当たるかどうかはよくわかりませんけれども,数万とか数十万とかということもありますので,そういうことについては対応がなかなか不可能ではないかと思います。

 

 

 

  •  今,いろいろ御意見がありましたように,受益者の数がどのぐらいの信託を考えるか,あるいは受益者と受託者の間で何が問題となっているか,給付が問題となっているのか,あるいは監督的な権限の行使が問題となっているのか,変更の際の同意とか承諾が問題となっているのか,そういうことによって微妙に違うような気がするんですね。

 

 

その問題と関連して,この受益者代表の権限が専属的な権限なのか,あるいは受益者にも権限が残っているのかとか,どうも皆さんの御意見では,受益者代表というところにもうちょっと議論しなくてはいけない問題がある。

 

 

また,これも皆さんの御意見,みんな同じ方向というわけではなくて,両方の御意見があったと思いますので,そこら辺を少し整理して,もう一度議論していただく機会があるのではないかと思いますけれども,いかがでしょうか。受益者代表の点についてはもう少し検討するということで,ほかのテーマでなお御議論があれば伺いたいと思いますが,よろしいですか。

 

 

 

 

  •  先ほどから議論に出ている点,1つは,この受益者代表で想定している受益者の人数はどのぐらいかというのは,特に制限はなくて,何万人でも別にいい,特に制限はないと考えております。

 

 

 

それから,今,○○委員から,一部の受益者について選べるではないかという御指摘がありました。

 

 

 

それは私,さっきちょっと言い忘れたんですが,確かにそう書いてあります。ただ,ここで一部というのは,後ろの(注4)にも書いてありますが,種類受益者のようなものを考えておりますので,個々の受益者が「やはりやめた」というのは,ちょっと行き過ぎではないかという気がしております。

 

 

 

  •  もう一点。この受益者代表が一部の受益者のために選ばれた場合は,その受益者代表は選んだ受益者に対してだけ注意義務等を負うことになるのか。

 

 

 

逆に,その人が非常に働き過ぎてその他の受益者が害されたようなときには,その他の受益者はその解任等,何か打つ手があるのかどうか,その点をお教えいただければと思います。

 

 

すみれ

「働き過ぎて、か。」

 

 

 

  •  ほかの受益者からの解任請求は,難しそうだな。

 

 

  •  選んだ母体ではないかなという気がしております。十分詰めて考えていないので検討させていただきますが,やはり母集団たる,例えば種類受益者に対して注意義務を負い,その者が解任権などを有するということではないかと思います。

 

 

 

では,ほかの人が困ったときどうするかという問題は確かにございますので,1度考えてみたいと思います。

 

 

 

  •  今日は余り議論がありませんでしたけれども,受益者の間の利害の対立があるときに,今の例は利益相反するものではなくて,選ばれたのは特定のグループからですから,そういう意味ではほかの受益者からの権限がないので,単純な利益相反とは少し違うかもしれませんけれども,しかし,一方のグループの利益を守ると,あるいは守り過ぎるとほかのグループの不利益になる可能性がある。

 

 

 

 

 

そういう意味では,広い意味では利益相反的な行為が行われる可能性があって,そういうものをどういうふうに調整したらいいかというのは,この受益者代表とか,信託管理人もそうですけれども,結構難しい問題があるのではないかと思っています。

 

 

番人

「広い意味で利益相反かな。利益相反ではない感じがする。」

 

 

 

ただ,法律構成からすると,今の○○幹事の御指摘は,そのグループから選ばれたというか,信託行為で定める場合もあるでしょうけれども,なかなかほかのグループからの解任とかいうのは難しいけれども,善管注意義務も難しいですかね。

 

 

なかなか難しい問題ですね。ちょっと今,とっさにいい解決がないけれども。

 

 

それでは,もしほかに御意見がなければ,この信託管理人等の問題は,私としては非常に重要な問題だと思っております。

 

 

これからいろいろなタイプの多数の受益者の信託が出てきて,また,今,申し上げたようにその利害が非常に錯綜している場面があって,そういうときに単純に,ただ代表者を定めればいいという問題でもない。

 

 

 

そういうことで重要な問題ですので,これは皆さんの御意見を踏まえてもうちょっと検討させていただければと思います。

 

 

 

 

 

  •  では,残りの説明を全部やってしまいますので,よろしくお願いいたします。

受益者の利益の享受と受益者変更権,それと受益権の放棄,あと受益者名簿でございます。

 

 

 

まず,第45の受益者の利益の享受について御説明いたしますが,これは前回の提案からの変更点についてのみ御説明いたします。2点ほどでございます。

 

 

まず,提案2の被指定者に対する通知でございますが,このような通知をする趣旨は,受益者が受託者を十分に監督できるようにするためでありますので,通知すべき内容は,信託が設定された事実ではなく,受益権取得の事実であるといたしました。

 

 

 

その上で,委託者の中には被指定者に対して受益権取得の事実を知らせたくない者もあるとのニーズに配慮いたしまして,原則としては,受益者が受益権を取得した場合には受託者が遅滞なくその旨を通知すべきものとした上で,このような通知の要否自体,あるいは通知自体,いずれについても任意規定と改めております。

 

 

そこで,通知をすることを望まない受託者としては,受益権取得時期をおくらせることにより通知時期をおくらせる方法と,そもそも通知義務自体を信託行為で排除する方法との選択肢があることになります。

 

 

 

次に,前回の提案におきましては,遺贈における利害関係人の催告権に関する民法第987条の規定が,遺言信託のみならず生前信託にも類推適用されるべきであるとの有力な見解があることにかんがみまして,受託者その他の利害関係人は被指定者に対し,相当な期間を定めて,受益権を放棄するか否かを明らかにすべき旨を催告することができ,被指定者がその期間内に意思を表示しないときは,受益権を放棄できないものとするとの規律を設けることを提案しておりました。

 

 

 

 

 

 

しかしながら,第7回会議での指摘などにかんがみますと,催告に関する明確な合意を受託者と受益者の間でしたような場合であればともかくといたしまして,法律上の規定をもって受益権を放棄しない旨の明確な意思表示がないにもかかわらず,催告期間の経過をもって受益権を放棄できないものとし,その結果,受益者が多大な補償請求権の行使を受けるかもしれないリスクのある地位に立たされることとなる可能性を認めることは,受益者保護の観点から相当ではないと考えられます。

 

 

 

そこで,今回の提案におきましては,催告権に関する提案は撤回することとしておりますが,その当否について御意見を伺えればと思っております。

 

 

 

次に,第46でございます。

これは今後,遺言代用信託をはじめとする民事信託の分野において特に有効に活用されることが期待される受益者指定権者,または受益者変更権者を有する信託の法律関係を明確にすることを意図する提案でございます。

 

 

ポリー

「特に有効に活用されることが期待されていたんですね。」

 

 

ここでは,今,申しました「受益者の利益の享受について」において通知に関する提案などを改めたことなどに相応いたしまして,提案3についてのみ内容を改めております。

 

 

具体的には,受益者指定権の行使の場合には,被指定者は受益の意思表示をすることなく受益権を取得するとした上で,通知すべき内容は受益権取得の事実であるとともに,受託者による通知義務は任意規定であるとしております。(1)と(2)がそうでございます。

 

 

また,受益者変更権を行使する場合には,受益権喪失の効果は直ちに生じるとともに,受益権取得の効果は,やはり受益の意思表示をすることなく生じるものとした上で,通知すべき内容は受益権喪失の事実または受益権取得の事実であるとし,受託者による通知義務は,やはり任意規定であるとしております。

 

(3)(4)がそういうことでございます。

続きまして,第51の受益権の放棄について,御説明させていただきます。

 

 

 

資料の36ページからでございます。

 

 

 

これは受益権の放棄につきまして,受益権を放棄できる受益者の範囲や受益権を放棄した場合の効果に関して,前回の提案に引き続き規律の明確化を図るものでございますが,前回の提案から大きく2点,変更点がございますので,順次説明してまいります。

 

 

 

第1の変更点でございますが,前回の提案では,自己の意思によって利益,不利益を受けることとなった者,いわゆる自益信託における当初受益者につきましては,受益権を放棄できないことをデフォルト・ルールとしていたのに対しまして,今回の提案におきましては,受益者は信託の類型を問わず,原則として受益権を放棄できることにデフォルト・ルールを転換してございます。

 

 

 

このように変更いたしましたのは,前回の提案におきましては,いわゆる自益信託については受益権を放棄できないことを原則とし,いわゆる他益信託につきましては,受益権を放棄できることを原則とする内容の提案をしてはおりましたが,第7回会議において指摘を受けまして,また,事務局としても問題を認識しておりましたとおり,経済実態としては,自益信託と他益信託との間には実質的な相違がない場合も多く,それにもかかわらず受益権の放棄に関する規律が大幅に異なるのは相当ではないと考えられるからでございます。

 

 

このように,デフォルト・ルールとしては受益者は信託の類型を問わず受益権を放棄できることとした上で,例外的に放棄できなくなる場合を定めております。

 

 

 

1つは,自己の意思によって受益者となった者につきましては,1の(1)の①にあります信託行為に別段の定めのあるとき,または②にございます受託者に対して受益権の放棄をしない旨の意思表示をしたときでございます。

 

 

これに対しまして,自己の意思によらずに利益,不利益を受けることとなった者,従来の言葉で言えば,いわゆる他益信託における当初受益者につきましては,②の受託者に対して受益権を放棄しない旨の意思表示をしたときに限って,受益権が放棄できなくなるわけでございまして,信託行為をもって受益権を放棄できない旨を定めることはできない。

 

 

仮に置いたとしても,この当初受益者との関係では無効であるとしております。

 

 

このうち信託行為の定めのあるときを例外といたしましたのは,この場合には,放棄できないということが受益権の内容に含まれることになる,換言いたしますと,受益権自体がそのような性質の受益権,いわば放棄できない性質を有する受益権となると考えられるのに対しまして,受託者に対して受益権を放棄しない旨の意思表示をしたときを例外といたしましたのは,この場合には受益権自体の性質に影響があるわけではございませんが,当該信託から生ずる利益及び不利益を十分に認識した上で,受益権を放棄しない,あるいは当該信託から生ずる不利益を引き受ける旨の意思表示をしたにもかかわらず受益権を放棄できるとするのは,禁反言の原則に反すると考えられるからでありまして,両者の発想は異なっているものでございます。

 

 

 

 

以上を再度まとめて申しますと,受益者は原則として受益権を放棄することができますが,例外的に信託行為で放棄できない旨の別段の定めがあるとき,または当該受益者が受託者に対して受益権を放棄しない旨の意思表示をしたときには,もはや放棄できないこと,それから,放棄できた場合の効果といたしましては,原則としては,放棄の時点までに生じた原因に基づく責任のみを負うことになるが,例外的に自己の意思によらずに受益者となったものについては,一切責任を負わないものとするというものでございます。

 

 

 

第2の変更点でございますが,前回の提案では,一たん受益権を放棄することができない受益者が生じた場合には,その後,当該受益権が転々譲渡されたとしても,いずれの受益者も原則として受益権を放棄できないこととなる旨の規律を提案しておりましたのに対し,今回の提案では,受益権の譲渡があった場合に関する規律は特に設けないこととした点でございます。

 

 

前回の提案に対しましては,第7回会議におきまして,今後,金融商品として受益権が販売されていくことを考えた場合には,だれかが受益権を放棄しないとの意思表示をしたら,その後の受益者は一切放棄できなくなるという規律が適切か疑問であるとの指摘がされたことを踏まえまして,受益権の放棄の可否は,個々の受益者ごとに例外に当たる事由があるかどうかを決すればよいとの考え方に改めたものでございます。

 

 

 

 

したがいまして,例えば信託行為の定めをもって当該信託における受益権を放棄できないとした場合には,放棄できないことが受益権の内容に含まれることとなるものと考えられまして,転々譲渡されるのは,このような放棄できない性質を有する受益権でありますので,自己の意思によらずに受益者となった者は別といたしまして,みずからの意思によってこのような受益権を譲り受けたいずれの受益者も,受益権を放棄できないことになると考えられます。

 

 

 

これに対しまして,ある受益者が受益権を放棄しない旨の意思表示をしたにすぎない場合には,禁反言の効果は信託外の属人的な効果を有するにすぎず,転々譲渡されるのはあくまでも,いわばさらな受益権でありますので,当該受益者から受益権を譲り受けた者は,別途受益権を放棄することができるものと考えております。

以上が受益権の放棄についての提案内容でございます。

 

 

最後に,受益者名簿について簡単に説明させていただきます。

資料の33ページ,第50でございますが,これは受益者が複数の信託の一般化にかんがみまして,株主名簿ですとか有限責任中間法人の社員名簿の規定に倣いまして,受益者名簿の作成義務,記載事項,閲覧・謄写請求権とその例外等に関する規律の創設を提案するものでございます。

 

 

 

 

これも前回の提案からの変更点を中心に御説明申し上げます。

まず,受益者名簿の作成義務等に関する提案1についてでございますが,第1に,受益者名簿の作成については,前回の提案では,受益者が複数の場合である以上は作成が義務的であるとの提案をしておりましたが,第7回会議におきまして,信託の類型によっては受託者が受益者の個人情報を把握していないものがあり得ること,受益者の中には,他の受益者に個人情報を知られたくないと考える者があり得ること等の事情が指摘されました。

 

 

 

そこで,このような指摘を踏まえまして,今回は,信託行為で定めれば受益者名簿の作成を要しないものとすることができるとの提案に改めることとしておりますが,その当否につき問うものでございます。

 

 

第2に,受益者名簿の法定記載事項につきましては,前回の提案では要検討事項としておりましたが,受益者の権利行使や,受益者の保護のために最低限必要な情報を明らかにするという観点から,※1に書いてございますが,受益者の氏名または名称及び住所,受益者の有する受益権の数,受益者が受益権を取得した日とする考え方につき,その当否を問うものでございます。

 

 

この提案内容は,現在,国会審議中の会社法案における株主名簿の記載事項の内容とも合致したものであることを付言申し上げます。

 

 

なお,前回の提案におきましては,一定の場合について,受益者名簿に対して一定の法的効力を付与することの可否について,なお検討するものとしておりましたが,この点については受益者集会のところで検討させていただく予定でございます。

 

 

次に,受益者名簿の閲覧・謄写請求権に関する提案2についてでございますが,第1に,閲覧・謄写請求権者がだれかということにつきましては,受益者の個人情報保護等の観点から,この提案に挙げた受益者,信託行為に定めがある場合の委託者,信託管理人,受益者集会の招集権者,それから書面決議の実施権者に限ってはどうかと考えるものでございます。

 

 

 

なお,信託管理人を閲覧・謄写請求権者に含めるのは,保護の対象である受益者について正確な個人情報を知る必要があると考えらることによるものですので,同様に受益者保護の観点から設けられます受託者監督員あるいは受益者代表についても閲覧・謄写請求権者に含まれるものであると考えていることを補足いたします。

 

 

 

第2に,前回の提案より引き続き,受益者名簿の閲覧・謄写請求権の重要性と受益者の個人情報保護の重要性との調整という観点から,※3の①から⑦の拒否事由を法定することを提案しておりますが,これは資料34ページの⑦の次に書いているところでございますが,例えば信託行為に定めのある場合,またはさらに加えて受益者の同意がある場合には,閲覧・謄写請求権自体を制限することができるとする考え方もあり得るところでございます。

 

 

 

このような考え方については,既に信託事務に関する重要な書類,帳簿等の閲覧・謄写請求権のところでも同様な問題提起をして,いろいろ御意見をいただいたところでございますが,受益者のプライバシー保護の要請は受益者名簿の方がより高いと思われることにもかんがみますと,このような制限ができることとする方向性をとることは十分あり得ると思われます。

 

 

 

また,そもそも受益者名簿の作成義務自体を任意規定としている以上は,閲覧・謄写請求権の制限についても信託行為で柔軟に決定できるというのが一貫しているようにも考えられます。この点についていかに考えるべきか,御意見を伺いたいと思ってございます。

以上でございます。

 

 

  •  幾つも論点が分かれておりますけれども,どこからなりとも御議論をお願いいたします。

 

 

 

  •  受益権の放棄の点について,意見を述べさせていただきたいと思います。

第51のところですけれども,御提案の内容からしますと,受益者が責任を負う内容には恐らく3類型あるのではないか。

 

 

1つは,受益権放棄により,放棄の時点までに生じた責任は免れ得る。

 

 

2つ目として,受益権放棄により,放棄の時点までは責任を負うが将来の責任は免れ得る。

 

 

3番目として,受益権を放棄することはできず,将来の責任をも免れることはできない,この3つになろうかと思いますが,御提案の内容を見ますと,まず,信託行為により受益者として指定された者については,原則として,その放棄の時点までに生じた責任も免れることになっておりますけれども,放棄しない旨の意思表示をした場合には,将来の責任も免れることはできないとなるように思われます。

 

 

 

そうすると,この場合には,中間的責任といいますか,放棄の時点まで責任を負う類型の責任というのは余り想定されていないように読めるんですが,そういった理解でよいかどうか,これは1つ質問です。

 

 

それから,原則として,受益権者は放棄の時点までの責任は負うとされているようです。

 

これはもちろん補償請求権について,デフォルト・ルールとしてどういったことを想定するかにもよろうかと思いますけれども,御提案の内容では,被指定者でない場合と受益権の譲受人については,恐らくこれに該当することになるのではないかと思われます。

 

 

そういった場合に,自益信託の場合には問題ないと思うんですが,受益権の譲受人にこのような責任を負わせる場合には,従前からの議論でも指摘されているところですけれども,譲受人が正確な認識のもとに受益権を譲り受ける必要があるということが重要になろうかと思います。

 

 

 

 

 

この点については,業者がその受益権を販売する場合には業法規制によることが考えられると思うんですけれども,一般民事信託の場合にこういった点をどういうふうに確保していくかについては,若干心配があるところです。

 

 

 

 

 

 

個人的には,そういうような認識を確保するとの観点もあって,例えば負担付受益権ですとか,あるいは一定の責任を負う受益権等の名称を付した受益権類型を考えてもいいのではないかという気もしますけれども,いずれにしても,そこのところの手当てといいますか,そこを検討する必要があるのではないかと思います。

 

 

番人

「負担付受益権て聞いたことあるな。」

 

 

関連して,これはむしろ受益権譲渡の問題なのかもしれませんけれども,民事信託を考えた場合に,責任を負担した受益権譲渡をどういうふうに考えるのか,負担付債権の譲渡と考えるのか,あるいは契約上の地位の移転と考えるのかがよくわからないところなんですけれども,その辺の整理も多少必要なのではないかと感じております。

 

 

 

番人

「受益権だと契約上の地位の移転に近づくんじゃないかな。受益債権だと債権譲渡に近い感じがする。」

 

 

 

 

それから,放棄できない場合として,規律の中では(1)の①と②が示されています。

 

 

この②につきましては,放棄しない旨の意思表示に当たって,受益者は間接無限責任を負うんだということを正確に認識している必要があろうかと思います。

 

 

この点は前回の議論でも意見としてあったところかと思いますけれども,「受益権を放棄しない旨の意思表示」ということになりますと権利の放棄という印象を受けて,責任の負担といいますか,そういったことが文章の表現上からはなかなか理解しにくいのではないか,誤解を与えるおそれがあるのではないかという懸念があります。

 

 

 

ですから,むしろこういった場合には端的に「責任を負う旨の意思表示」という形での規律を考えるべきではないかと思います。

 

 

 

すみれ

「その方が分かりやすいね。」

 

 

 

それから,①の信託行為に定めがある場合については,これも御説明の中で,私の理解が十分ではなかったのかもしれませんが,譲受人の場合どうなっていくのか御説明いただけると助かります。

 

譲受人の場合にも,これはかなり重い責任を負うことになりますので,やはりきちんと権利の内容を理解して譲り受けることが,もし信託行為によって責任を負わされることになるのであれば,それは重要なことになってくるだろうと思います。

 

 

やはりこの受益権の放棄の問題については,受益者が責任を負担するということに関する問題ですので,受益者が,他人が行った契約ですとか自分が関与しない契約ですとか,あるいは法律の規定によって予想外の重い責任を負わされるという事態は,やはり可及的に防ぐ必要があると思います。ですから,この点についてはぜひ慎重な御検討をお願いしたいと思います。

 

 

  •  多岐にわたっておりましたけれども,極めて基本的な問題ではありますので,いろいろな御意見を伺いたいと思いますが,今の論点に関して御意見ございますでしょうか。

 

 

 

  •  第51の内容を確認させていただきたいのですけれども,1つは,1の(1)の①の規律がどういうふうに働いていくのかということでございます。

 

 

先ほどの御説明によりますと,他益信託,自益信託は分けず,自益信託型でとらえようとしていたものは②によると。

 

 

そういたしますと,1の(2)の被指定者というのは,自益信託の場合も含めた,およそ一般的に受益者として指定された者を言うことになるのだろうと思います。

 

 

他方,37ページでは,譲受人については個々の受益者によって決すれば足りると書かれておりますので,ちょうど○○幹事から御質問がございましたけれども,(1)②の立場の承継者だけではなくて,(1)①の受益権の承継者についてもこの理由は当てはまると思われます。そうしますと,被指定者以外にどういう人が出てくるのか。

 

 

言い換えますと,ここがすべての人がそうなのだ,すべての受益者がそういうことになってくるんだとしますと,(1)の①が必要なのかがからないということです。

 

 

 

可能性としては,2の局面で分けられておりますので,この前提として,受益権に放棄不可能な性質の受益権として信託行為で設定されたものと,そうでないものというふうに分けることが2で意味を持ってくるのかと思われたのですけれども,これもまた○○幹事の御質問の内容ではあるのですが,(1)の②の受益者についてはそもそも放棄ができないことになっていますから,2にはいかない。

 

 

つまり「放棄をしたときは」という話にはならないと考えられますので,そういたしますと,2の(1)と(2)が分けられているのは,(2)というのはもともと信託行為において受益権の性質として放棄できないとされていたものについては,しかし,被指定者と譲受人は個々別々に判断として放棄ができて,そのときにはすべて免れる。

 

 

それに対して(1)が発動するのは放棄ができる場合ということになって,放棄ができる受益権となったときに放棄する場合には,およそそれまでの原因に基づく責任は免れることができなくて,放棄できないと信託行為で設定されたものについては,すべて免れることができる,そういう趣旨なんでしょうか。

 

 

 

何か大変誤解しているような気もしますので,まず中身を明らかにしていただければと思います。

 

 

 

 

  •  最初に,私もよくフォローしなかったけれども,この「被指定者」の意味が自益信託の場合も含むのかということを言われましたか。

 

 

 

  •  御説明では,含まないという御説明だったと思います。

 

 

つまり,自益・他益では分けないという問題設定でございましたので,みずからを受益者とする信託行為をしたときも,私自身は被指定者ということになり,ただ,そういう場合は②の意思表示をするであろうという御説明ではなかったかと思うのですが……

 

 

 

  •  ちょっと説明がまずかったのかと思いますが,あるいは文言自体が不明確なんですが,ここで言っている被指定者というのは,いわゆる他益信託の当初の被指定者,受益者だけでございますので,自益信託の受益者はここに入っていないという理解しております。

 

 

ですので1の(2)は,他益信託の当初受益者については,信託行為で「放棄できない」などと書いてもだめですよと。しかも,2の(2)で,放棄すれば全責任を負いませんという規律という整理をしております。

 

 

 

  •  わかりました。

そうしますと,自益信託,他益信託の区別は維持した上で,自益か他益かでは直ちに分けず,2段階目の基準として,そこはやはり入ってくるということですね。

 

 

 

  •  自分の意思によらずに利益,不利益を受けた人は1の(2)に当たりまして,そして2の(2)に当たるということの立てつけをしております。

 

 

 

それを昔は他益信託と言っていたようですが,我々の理解では,みずからの意思によらずに利益,不利益を受けることはないので,そういう人は自由に放棄できるし,放棄した場合は全責任を負わないことができるという考え方をとっているわけでございます。

 

 

 

  •  くどくて申しわけないのですが,自益,他益の概念とは違う概念をここで導入されたという……

 

 

  •  実は同じなんですけれども,言わないだけです。

 

 

  •  違うと言うとね,かえってまた難しくなってしまう。ただ,そういう言葉は使わないという。

 

 

それから,受益権の譲渡があった場合を含めて一遍に議論するとまた複雑になるので,譲渡がない段階の問題と,それから譲渡があった場合とで分けて考えた方がいいと思いますが,その上で,この中身はいかがでしょうか。

 

 

  •  私も,第51の(1)の①で信託行為に別段の定めがある場合は放棄できないというのが,信託行為にどういう……。

 

 

先ほどの説明を伺っていたら,次のように理解できる。

 

 

 

間違っているかもしれないんですが,信託行為に「受益権は放棄できない」とまず書いてあって,かつ受益の意思表示があった場合にはこれに当たると理解したんですが,そういうことでしょうか。

 

 

まず,これが今の自益,他益のお話とは関係なくて,一般的な話だと理解できるのかどうか。

 

 

もう一歩だけ進んで,そうすると,「放棄できない」と書いてある信託行為でぼやっと受益の意思表示をしてしまうととんでもないことになるということだと,先ほどの○○幹事の危惧に共鳴するところがある。

 

 

しかし,そういうものが全部……。この1の(1)の①の信託行為に別段の定めがあるときの説明をもう一度伺えるとありがたい。

 

 

  •  信託行為での定めについて我々が想定しているのは,「受益権を放棄できない」と書いてあった場合,この定めに当たるという理解でございます。

 

その場合にはそういう性質の受益権になるので,そういう受益権を譲り受けた者は,みずからの意思で譲り受けているわけですから,その者については一切放棄できなくなるということでいいのではないか。

 

 

受益の意思表示云々は関係なくて,受益の意思表示がなくてももちろん受益者にはなり得るわけですが,それだけでは放棄できないことにはならない。

 

 

ただ,信託行為で「この受益権は放棄できない」と書いてあれば,そういう受益権を取得したことによって放棄できない立場になるということです。

 

 

 

  •  その効果は,2の(1)へ行くんですね。
  •  2の(1)ですね。

 

 

 

  •  今のお話は,譲り受けの場合を想定しているようですが,譲り受けた以前のことは何の関係もないとは言えなくて,譲り受けた時点以前に生じた原因に基づく責任は免れなくなるということなんですね。

 

 

  •  そうですね。仮に放棄できてもですね。今の前提として,信託行為に定めがあったら放棄できないので。

 

 

  •  わかりました。そうすると,そこは私が全然理解が足りないんだと思います。

ああ,そもそも放棄ができないんだからね,最初は。2へ行かないんですね。

 

  •  2は,放棄できる場合。

 

  •  そうすると,繰り返しになりますが,それは○○幹事がおっしゃったように「受益権の放棄」という意味がどの程度わかっているかという……

 

 

  •  そうです。放棄したときにどういう効果が発生するかがね。いろいろな場合がある。

 

 

  •  あと簡単なことなので,ほかの項にいっていいですか。

 

  •  ちょっと私,○○幹事が中間的なものと言われたのが……。3つあって,中間のはないのではないかと言われたような気がしたんですが,違いましたっけ。先ほど最初に整理した冒頭のところでしたけれども。

 

 

 

 

  •  最初にお伺いしたのは,信託行為により受益者として指定された者は受益権を放棄できるとなっていますが,この人が(1)の②の意思表示をした場合には,もう放棄できなくなるということになりますと,2の(1)で規律されている,放棄の時点までに生じた原因に基づく責任は負うんだという場合は出てこないのでしょうかということ。

 

 

 

  •  放棄できなくなるわけですから,2にいかないことになります。他益信託だから,信託行為で「放棄できない」とはできないけれども,自分で「放棄しない」と言ったらそれは放棄できませんので,もう2にいくまでもなく,全責任を負うことになります。

 

 

 

  •  そういった場合でも,中間的な放棄ができるまでは負うということもあっていいかなと思ったりもしたんですが,そういうのは,この規律の中には入っていない。

 

 

 

  •  将来のものだけ免れるということがあり得るのではないかということですか。放棄までに生じた原因に基づく責任は負うけれども,そこから先,将来……

 

 

  •  そういうことは考えなくていいんでしょうかということ。
  •  そういうのもあるのではないかということですか。
  •  はい。

 

 

  •  我々の理解では,一たん受益権を放棄しない旨の意思表示をしてしまえば,それによって一切放棄ができなくなりますので,放棄までの原因であろうが将来の原因であろうがすべて負うという一応の考え方を示しているところではございます。

 

 

  •  ○○幹事の御意見は,放棄しないという意思表示をすると,それ以後の不利益は全部享受する。だけれども,それまでのやつは責任を負わないといったことがあってもいいだろうということですか。

 

 

 

 

  •  それまでのものについては負うといった責任の負い方もあるのではないか,そういうことは考えなくてよろしいんでしょうかと。

 

  •  あ,そっちは負うんですね。

 

 

  •  問題意識としてあるのは,要するに,受益権の放棄という枠組みで考えているので,そういった,ちょっと穴が開くようなことになってしまうのではないかという気がしていて,要するに,責任要素のどこまで負います,どこまで負いませんというような意思表示というような形で定めれば,むしろわかりやすくなるのではないかという意見なんですが。

 

 

 

 

 

  •  これは一定の時間がありますから,どこまでの責任を負うか,そっちの方から整理した方がいいだろう,そういう御趣旨ですね。

 

 

  •  関連してお伺いしますが,2の(2)で遡って責任を免れることになった場合に,その被指定者が受益権を既に一部,利益を受けていたという場合はあり得るんでしょうか。

 

 

そして,その場合に,それを返還するということになるんでしょうか。それとも,そもそも利益を受けるということはないという発想なんでしょうか。

 

 

  •  それは不当利得として返還義務を負うのが原則だと。信託行為で特に書いていない限り,責任を免れるかわりに受け取った利益は返還しなければいけないと考えております。

 

 

 

  •  放棄はできる,だけど受けた利益は返す。そうね,両方あり得るかもしれないけれども,不当利益で返すというのが一つの考え方ですかね。

 

 

 

 

 

 

  •  そうすると,○○幹事のおっしゃった真ん中というのは,ないという発想になるわけですね。

 

 

最初からゼロか,それともずっと責任を負うかという二者択一だという理解でよろしいわけですね。確認だけですが。

 

 

番人

「信託法の中では、これからの分だけ放棄はできないってことか。」

 

 

  •  とにかく放棄できる場合……,この放棄を基準にして考えると,放棄できる場合には,2の(2)の場合であればすべてを免れるわけですからね。

 

 

そういう意味では二者択一といいますか,オール・オア・ナッシングになってしまう。片や放棄ができないということになれば,全部責任を負う。

 

 

 

  •  関連するところでもあるんですけれども,私が仮に受益者になって判断を求められたときに,やはり信託財産があり,でも無限責任があるというところで判断できかねる状況があると思うんですけれども,前のところでも議論されていたようですけれども,負担付遺贈の場合の免責のような,または総則における限定承認のような,ですからここでの議論に条件付放棄とか--限定放棄と読むのか知りませんけれども,オール・オア・ナッシングではなくて,放棄に対して何らかの条件等をつけることも,恐らく民事信託の前提なのかもしれませんけれども,どういう信託を前提にするかわかりませんけれども,状況に応じて必要なのではないかと思いますし,そういう趣旨ではないのかもしれませんけれども,検討いただきたいと思うんですが。

 

 

 

ポリー

「民事信託の前提で想定されていたんですね。」

 

 

 

  •  今の前半部分は非常に重要なことで,後半も関係するんでしょうけれども,とにかく受益者が何をすればどうなるか,明確になることが重要ですよね。

 

 

少なくともそういう趣旨からこれはできているわけですけれども,そういう問題,つまり,何をすればどうなるかということが明確になっていることと,それから,いろいろな場合があるので,中間的なというんでしょうか,今,条件付と言われましたけれども,そういうようなものをうまく組み込むことができるのかどうかということと,2つ問題点があるような気がします。しかし,両者に多少相反するところもあるのかなという気がしないではない。

 

 

 

  •  でも,やはり無限というのは怖いですから,信託財産の範囲内というのは,制度的には民法の中に存在しているわけですよね。

 

 

遺言信託でも,信託財産はあるけれども片や債務もある。そのときに限定承認的な,限定放棄のようなものがあってもそんなに違和感はないような気がします。

 

 

 

  •  それは,特に利益を享受している場合に意味があるんですかね,場合によって。要するに,信託財産の範囲ということは……。受益者の補償請求権などを行使されたときに,そういう抗弁を出すわけですね。

 

 

 

  •  はい。

 

 

 

 

 

  •  確認させていただきたいのですが,今,おっしゃっていた限定承認に近いようなものは,信託がもちろん始まった後に,事後的に受益者の側から一方的にやる,受託者との契約の制度ができるのはよくわかるんですけれども,それは受益者の一つのオプションとして,常に保有させるべきものなんでしょうか。

 

 

つまり,責任は負わないけれども地位はなお保持するに近いような。

 

 

  •  補償請求のところの議論とも絡んでしまいますけれども,前々回の議論に従えば,信託行為に「補償請求あり」と書けば,恐らく補償請求ありと。

 

 

一方的に利益のみ享受するのはある意味で不当,不適切ではないかという議論は,それなりに説得力があると思うんですけれども,受益者の立場に立って,信託財産はあるけれどもよくわからない,今の時点で顕在化していて,それだけということになれば,恐らく経済的にも計算できるわけですけれども,よくわからないという前提での放棄を求められるわけですから,ですから,遺贈の場合と同じように,信託財産または既に利益を受けていればそれを吐き出す責任があるかもしれませんけれども,あくまで信託から得たメリットの範囲内においてのみ債務を負いますと。

 

 

だから,放棄なのかわかりませんけれども,条件的なそういう言い方があっても,そんなに不自然ではないのではないか。もちろん,債務と信託財産が明確に算出されている状況においては……

 

 

 

  •  前提は,やはり受益者に対する補償請求権の問題と密接に絡んでいるんだと思いますけれども,それがなければ,もう全然問題ない。

 

 

補償請求権があるときに補償請求されてきて,あるいはその危険性があるときに,受益者の方でどうするかということですね。放棄をするのか。

 

 

番人

「補償ってそんなに高いのかな。信託から受ける給付よりも。」

 

 

しかし,放棄すると信託の利益が享受できなくなってしまうから,願わくば安全といいますか,何とか信託がプラスでやっていけるのであれば利益は享受したい,信託の給付も受けたい。

 

 

だけれども,そうすると今度は補償請求権がついているので,万が一のときには請求されて困るというので,条件付,限定承認付的な,何なんですかね,万が一補償請求をされるような状況であれば放棄していたという,そんなあれですよね。

 

 

それは受益者にとってはありがたいけれども,どういうふうに構成したらうまくいくのかな。

 

 

  •  今おっしゃる話は,例えば,これまでに受益者として既に給付を受けていて,あるいは将来も受ける,そこを限度として責任を負うといったオプションを用意してはどうかということでしょうか。
  •  そうですね。
  •  ですから,具体的に求償がどのくらいかかってくるかはわからないので,少なくとももらったものは吐き出します,だけれども,それ以上は負わない。だけれどもそれ以下の,ダウンサイドのリスクはとりませんといった責任の負い方がないかということですか。
  •  そういう提案です。

 

 

 

 

  •  今の点に関連して,どういうものをイメージするかなんですけれども,株主有限責任みたいなものをイメージすれば,信託行為であらかじめ……,結局これは○○幹事がおっしゃったように,放棄という切り口ではなかなか切りにくいのかもしれないんですけれども,信託行為であらかじめ,将来給付はいただきますと。

 

 

 

今おっしゃったようにもらったものを吐き出すなら要らないんですけれども,信託財産までは失います,これは合意します。

 

 

しかし,それを超えては失いません,来るものはいただきます。これは株主の世界なんですけれども,そういう内容に合意することも,合意というか,あらかじめ決めておくのに合理性があるのではないかということですよね。

 

 

 

これは,株式会社と競争するような場合には,当然そういうスキームにしないと競争が成り立ちませんので。

 

 

 

さらに超えて,今,○○幹事のお説によると,もらったものまでは返します,だけれども,それに追加して払うのは勘弁してくれという類型も,もう一つあるかもしれない。

 

 

 

ですけれども,恐らく○○委員がおっしゃったその名前のところで,株式会社的類型というか,そういうものもあっていいのではないかというのは私は正論だと思うんですけれども,放棄というテクニックを使って組み合わせると,何か三重にも四重にも書かなければいかんように思うものですから,ちょっと放棄というところで,どこまでいけるのかなという課題を投げかけているように思うんですけれども。

 

 

 

  •  ○○委員の第1段階のは,むしろ正当なやり方は,やはり補償請求権がないという形をとるのが一番いいわけですよね。

 

 

だけれども,信託条項の中に補償請求権はあると明記されている。そのときに,どうしたらいいか。

 

 

補償請求権があると書いてあって,補償請求権がないような効果を導くというのは,やはりなかなか難しいかもしれないので,やはり何か放棄というものをかませないと,どこかで放棄という行為を入れないと,補償請求権は行使されてしまうのではないかという気がするんですね。前提は。

 

 

 

  •  そういう発想に立つと,やはり条件付ということで,次の何かを入れないと。

 

 

  •  それがうまく入るのかどうか,さっきから考えていたんですけれども。

 

 

  •  今の話は私は,○○委員と一緒なのかどうかわかりませんが,補償請求権の定め方のオプションの問題ではないかと思います。

 

 

私は,本当にこれが理解できているのかどうか,すごく不安になってきたんですけれども,これ,受益者になるよという意思表示をするということと,受益権を行使しない旨の意思表示をするというのは異なることなんですよね。

 

 

 

  •  異なります。

 

  •  異なるものであるということが前提になったときに,○○委員の質問に対する回答がよくわからなかったんです。と申しますのは,放棄をしたら今までの受益分が不当利得になると。

 

  •  放棄をすると,全責任を免れるかわりに受益者の地位を失うということですね。

 

  •  遡及的にですか。
  •  遡及的に。
  •  それは2の(2)の場合ですよね。
  •  他益信託の場合ですね。
  •  2の(1)のときには遡及しない。
  •  それは,放棄の時点までに生じた原因の責任を免れないので,遡及しないですね。

 

 

 

  •  2の(2)は遡及するということは,被指定者は一たんは「受益をします,私,指定されているみたいですね,これは結構ですね」といって受け取るんだけれども,その後,遡及的な放棄をするということですか。

 

 

  •  いわゆる他益信託の受益者については,とりあえずはもらえるので受け取ったけれども,後からよく聞いたらリスクもあるということを十分認識して,「それなら放棄しましょう」ということで放棄することができます。

 

 

 

そして放棄した場合には,2の(2)にいきまして,遡及的に責任も免れるかわりに受け取ったものも返さなければいけないのではないかという理解をしているところでございます。

 

 

 

  •  さっき,ちょっと小さい声だったかもしれないけれども,私は「そういう考え方もありますね」という言い方をしたんですが,返還しなくてもいいという可能性もあり得るとは思うんですね。

 

 

従来の受益権放棄のときは,もしかしたら利益は返さないと考えていたのではないかという気もするけれども,どうですかね。

 

 

 

  •  もちろん,それは将来に向かっての放棄だったと思いますけれども……
  •  あ,それは将来に向かってのね。

 

 

 

  •  ええ。ですから,そういうものを放棄と呼ぶのだったらば,一たん受益の意思表示をしても,遡及的にその受益の意思表示を取り消すことができるという話であって,「受益権の放棄」という言葉で呼ぶこと自体がかなりミスリーディングな感じがするんですが。

 

 

  •  わかります。要するに,受益者の地位を取り消す,遡及的に取り消すという意味での受益権放棄と,もう責任を負いませんというか,これから負いませんというのか……

 

 

 

  •  逆に「受益をしません」でいいんですが,将来にわたってもうやめてしまいますという話とは,かなり違う話ですから。

 

 

  •  ここら辺は,確かに従来からいろいろな議論があるところで,受益権の放棄の効果の問題として,いろいろな考え方がある。○○幹事もどこかに書いておられたと思うけれども。

 

 

ここでは,とりあえず事務局としては一つの考え方に基づいてできているということだけですが……。

 

 

  •  先ほど○○委員がおっしゃった限定承認的な形というのは,基本的に契約に書いて,放棄なのか補償請求なのかは別な問題として,契約に書いた形であれば問題はないんですけれども,法定化という形になりますと,何となく受託者にとっては踏んだり蹴ったりということになりますので,そこら辺で,ちょっと御勘弁いただきたいなという感じがいたします。

 

 

すみれ

「踏んだり蹴ったり、か。」

 

 

 

それと,1点確認なんですけれども,受益者全員が放棄したときのお話なんですけれども,その場合には当然,信託が終了して,法定帰属権利者に信託財産が帰属するという形になると思います。

 

 

その場合は,第62のところで規定されていますけれども,法定帰属権利者は放棄ができないといった規定がありますので,受益権の権利,義務は委託者に帰属したままになります。

 

 

その場合,補償請求というのが--これはまだ決まっていませんけれども,認められている,法律なのか契約なのかは別にして認められている場合については,法定帰属権利者というのはデフォルト状態で,要するに,放棄ができないと考えてよろしいんでしょうか。

 

 

 

 

 

  •  事務局の理解としては,補償請求権があるかどうかにかかわらず,法定帰属権利者は放棄できないという理解です。

 

 

補償請求権があったら放棄できるのではないかという御指摘かもしれませんけれども,そういうことはなくて,補償請求権があっても放棄できないという理解でございます。

 

 

 

  •  委託者ですからね,もともと自分の財産だったわけで,そういう一つの考え方があり得ると。

 

 

受益権の放棄については,どうもまだもう少し整理しなくてはいけない問題がありそうなので,また議論するとして,ほかの論点についてはいかがでしょうか。もう時間が余りないものですから。

 

 

 

  •  これはここの論点だけではなくて,まず,第45と第46について質問しておきたいんですが,ここだけではなくて全体の関係があって,今のところもそうですね。

 

 

結局,補償請求権のデフォルトルール化をどうするかという話と密接に関連している。

 

 

 

第45では,2に「ただし,信託行為に別段の定めがある場合には」云々とあるんですが,この問題はアメリカの信託法でも,「あなたが受益者だよ」といった受益者への通知のところ,あるいは説明義務というのか,情報に関連する義務のところで強行規定になっている部分があり,それについての反論,批判がありという,なかなかアメリカでも難しいんですが,ここは,この信託行為に別段の定めがある場合には--これはだから全体としての情報提供義務の話との関連なのですが,とにかく受益者が受益権を持っていることを知らなくても構わないという全体構造の中でこうなっていると理解するんですか。これが第1点です。

 

 

 

次は,第46の受益者を指定または変更する権利について,特に変更する権利の話なんですけれども,信託行為の変更の提案の中にデフォルト・ルールがありますね。

 

 

 

ここには受益者を変更する権利というのは,一応「受益者を変更する権利はだれそれにあります」と信託行為に書いておかないとだめでしょうから,そういう意味では信託行為に一種,デフォルトではなくて,何か書いてあるというだけなんですけれども,そこで,一般に信託行為の変更のときには,私が批判している,これからもそうかもしれないんですが,受託者の利益を害さないといったような要件があったんですけれども,この受益者の変更権についてはそういうことは一切考えないで--ありそうもない話ですが,今まで受益者が1人でした,これからは100人にします。構わない。

 

 

 

それは信託行為の変更でも,ここで意思表示があればいいということで,これは特別な話なんですよということなのかということです。

 

 

 

 

  •  まず最初の御質問は,結局,任意規定にしたことによって受益者だということを認識していない受益者が出てもいいということになるのかということですが,そこは委託者の意思にかんがみて,そういう事態も仕方がないなと。

 

 

 

受益者が知らないうちに,意思表示なく受益者になっているわけですが,それを知らないでいる受益者が存在することを許容したということになります。

 

 

また,受益者変更は,信託行為の変更でももちろんやることができるんでしょうが,この場合,特に第三者なり受託者にこういう変更権を与える場合があり得るだろうというか,特に多いだろうということから,特にここに規律を設けているということでございます。

 

 

 

  •  1人が100人になると受託者の負担は増えるかもしれないけれども……
  •  構わないんですか。

 

 

  •  やむを得ないのではないでしょうか。構わないというか,限界を設けるのも難しいと思います。
  •  それ自体はいいのかもしれないけれども,当然かかる費用みたいなものは請求できるんでしょうしね,別の問題として。

 

 

  •  信託行為の変更ですから,信託行為を変えることが当然明らかになっているということですよね。

 

 

  •  恐らくさっきの質問は,そういうふうに受益者変更権があって,その権利を行使することが全く無制限にできていいのか,受託者などにいろいろ影響することもあるのではないかという。

 

 

 

  •  受益者変更権者の義務みたいなことが前回も議論になりました。

 

 

最低限信託目的には拘束されるでしょうし,あとは信託時変更権を付与した委任における受任者としての義務というものはかかってくると思うんですが,では,およそ無制限に変更できるかどうか,あるいは変更にそれ以外の縛りがあるかどうかというと,ちょっと具体的に,では何人以上に増やしていいかといった縛りは思い当たらないということでございますので,目的だけの縛りで「受益者の人数を増やし過ぎてはいけない。」と言えるかというと,そういうふうに一義的には言えないのではないかという気がします。

 

 

番人

「誰から付与されているんだろ。委託者かな。」

 

 

  •  何か一般的な原則,権利濫用とかいろいろなものがかかってくるとは思いますけれども。

 

 

 

  •  第50の受益者名簿について,信託の本質的な議論とは違うところで,時間がないところで恐縮なんですけれども,これは注意した方がいいのかなということで一言申し上げたいと思います。

 

 

提案のように受益者名簿の作成義務,それから受益者名簿の閲覧・謄写の請求権を強行法規化する場合は,今からいうことについては問題ないわけですけれども,任意化した場合の問題点ということで,個人情報保護法を考えないといけないのかなと考えております。

 

 

 

 

 

あくまでも個人の場合で,受託者が個人情報取扱事業者の場合ですけれども,御承知のとおり,個人情報保護法では原則として本人の同意のない第三者提供が禁止されているんですけれども,この受益者等からの閲覧請求,謄写請求というのは,個人情報保護法でいう第三者提供に当たると考えられるのではないか。もしそうだとするならば,強行規定があれば今の解釈では法令に基づく場合に該当しますので,同意なく提供できることになるわけですけれども,そうでない場合については,法律上の規定があったとしても,必ずしも個人情報保護法の第23条第1項第1号ですか--の適用除外にはならないという解釈がかなり有力でございますので,そうなると,特に有価証券化した受益証券等について名簿化するとなりますと,その収集自体は問題ないと思うんですけれども,他の人たちに開示するというところで,ちょっと問題になってくるのではなかろうか。

 

 

 

かなりの部分で,同意をとっていけばよろしいわけですから,できなくはないかと思いますけれども,有価証券化等を考えますと相当難しいので,これは,必ずしも私が強行規定化することに賛成ということではないことは申し上げておきますけれども,そのあたりも考えて,ここは最終的な整理をしないといけないのではないかと考えまして,発言させていただきました。

 

 

 

  •  「法令に基づく場合」というのは,今の吉元委員の解釈よりは広いと思いますが,そちらの方がもしかしたら専門で,有力だとおっしゃるから,私は有力でないと思いますけれども,私の方の関係では,宇賀先生などに聞いてももう少し広くて,これがあれば根拠としては大丈夫と解釈できると思います。

 

 

  •  そういう解釈を明確にしていただければ,それでいいと思います。
  •  これが法律上の根拠になるかどうかということですね。
  •  まず,第45のところで,受託者に対する通知の趣旨は信託の設定された事実の通知であると説明されているんですけれども,先ほど私の発言に対して○○委員もおまとめいただいたように,これは補償請求との絡みで,やはりもう少し説明義務を尽くすといいますか,信託の内容,特に「受益権」と言いながらも実は債務の部分もあるんだという,その具体的債務の内容についても知らせるといった趣旨ではないか,このように思います。

 

 

 

それから次は,今,○○委員が議論していたところの変更権とか受益者の指定権ですけれども,弁護士会における議論では,前回も議論されているようですけれども,執行免脱等の関連から,濫用といいますか,悪用といいますか--されることに対して,何らかの,どういうのがいいのかというのはありますけれども,目的とか何らかの規律を1つ入れていただきたい。

 

 

何が適切かはわかりませんけれども,一般的に,信託というものは指定権,変更権があるんだということだけですと,場合によっては執行免脱的なことに使われる,また,それ以外の濫用に使われるのではないかという危惧があります。

 

 

 

3番目は,受益者名簿なんですけれども,信託行為の定めを置けば不要であるというような,柔軟性という視点からは必要なのかもしれませんけれども,片や受益者集会というものも今回の信託法の改正では議論されておりますから,受益者名簿がなくて受益者集会をどうやって機動的に運用するんだろうかということがあります。

 

ですから,受益者集会を開く可能性がある信託においては,やはり受益者名簿の作成は,必要ではないか。

 

 

  •  最後の点,全くごもっともだと思います。

これはどこかに規定がありませんでしたっけ。受益者集会の方か。

 

 

  •  受益者集会の方でも,特に受益者名簿については規定はなくて,単に有価証券のところで,無記名証券とする場合にはつくらなくてもいいといった規律を設けるかという提案をしておりますが,またそれは受益者集会のところで,受益者名簿の効果のみならず受益者集会があるときは,そもそも強行規定であるというふうにすべきかどうかという点も含めて,検討したいと思います。

 

 

 

  •  1点目は,利益の享受のところでございますが,これにつきましては第7回の会議で,2の受益者の被指定者に関する通知義務をデフォルト・ルールにということでお願いしまして,そういう規律にしていただきましたので,これについてはぜひとも維持していただきたいということでございます。

 

 

あと,通知を要する事項というのが,先ほど御説明ありましたように,被指定者が受益権を取得した事実であるということ。これについては,基本的には異論はございません。

 

 

 

また,利害関係人の被指定者に対する催告権に関する提案を削除したことについても,基本的には賛成でございます。

 

 

もう一点は,受益者名簿ですけれども,作成義務の方と,それから閲覧・謄写請求ですね,これについても両方とも基本的には任意法規化の方向でという形の規律にしていただきまして,これも前回,第7回でお願いしたところでございますので,非常にありがたく思っておりまして,これもぜひとも維持していただきたいと思います。

 

 

 

これについては前回も申し上げましたけれども,基本的に,物理的になかなかできない部分がございまして--物理的にできないというのは,受益者名簿の作成ができないタイプの信託がございますので,これについては,基本的には任意法規化していただかないと,実務上かなり厳しいものがあるということを御理解していただきたいと思います。

 

 

あと,これはそういう意図ではないと思うんですけれども,御説明の中には個人についてのみ書かれていますけれども,基本的には,機関投資家とかは基本的には自分の投資の手法やノウハウを知られたくないということもありまして,個人だけではなくて法人についても,やはりこの規律を生かしていただきたいと考えております。

 

 

 

  •  名簿を物理的につくることが難しいというのは,例えばどんなことでしょうか。

 

 

  •  投資信託等につきましては,販売会社が基本的には受益者の名簿を持っておりまして,それを営業上の観点から,なかなか見せてもらえないという部分がありますので,基本的には受託者として,各受益者がどこにいて,どういう名前なのかを知らないということになるんですよね。

 

 

  •  それは投資信託の仕組みとの関係もありますね。

 

 

  •  今の○○委員のお話ですが,そうすると,受益者集会がある場合には強行規定ということも困るということですか。

 

 

 

  •  そうですね。
  •  それについて,○○委員の方から何か御意見はありますでしょうか。

 

 

  •  受益者集会がある場合でも……
  •  今のお話ですと,物理的につくれないんだから,受益者集会がある場合には強行規定というのも困るという。

 

 

 

  •  それは,どうやって受益者集会を……。ですから,○○委員がおっしゃることはわかるんですけれども,その場合の受益者の意思決定というのは,受益者集会ではない違う方法をとるとか,そっちの議論がないと何か……,そっちもわかるけれどもこっちの……

 

 

 

  •  集まってくださいという形ではなくて,何らかの多数決ということはあり得るのではないかと思うんですけれども。

 

 

  •  今おっしゃったことは,先ほど○○委員がおっしゃったような投信法の中の枠組みで今,対応しているわけですよね,受益者集会ではなくて。

 

 

 

ですから今後は,今の枠組みになるか,全く違う枠組みになるのかわかりませんけれども,そういう枠組みで対応するんであって,受益者集会を開かなくても受益者の保護にはちゃんとなるんだというような議論が片やあることによって成り立つ議論なのではないか。

 

 

今後は受益者集会はやりますということになると,やはり受益者名簿がないことには集会が開けないような気がするんですけれども。

 

 

ポリー

「たしかにですね。」

 

 

  •  そこは実務上,何らかの工夫の余地があるのかもしれませんが,申し上げたいのは,基本的に現行実務を踏襲して考えますと,そういうことは極めて難しい面があるということです。

 

 

  •  今のは,○○委員がまとめられたけれども,信託法そのものとしては,受益者集会があるときに名簿がなくていいとは言えないけれども,投信法の方で仕組みを設けているのであれば,投信法の方で特別ルールをつくってもらうということなんでしょうね。わかりました。

 

 

 

  •  最後に1点だけ補足でございますが,1つは,先ほど○○委員から通知の内容について,受益者となったことだけではなくて内容についても通知すべきではないかという御指摘がありましたが,ここは仕切りとしては,受託者が通知すべきはあくまで受益者となったという事実だけであって,それ以上の受益権の内容については,逆に受益者側から説明請求権等を行使して知ることができるからよいのではないかというのが事務局の考え方でございます。

 

あと,受益者が何人になってもいいのかという,先ほど○○委員からお話があった点,ちょっと今,内部でいろいろ話しておりまして,もう一つの考え方としては,受益者指定権というのはそもそも信託行為に淵源を有するものであるから,信託行為で定められている場合に初めて受益者を増やすことができるんだということで,目的のみならず信託行為の制限がかぶっているという考え方も確かにあり得るなと思いますので,結論はまだこれから検討いたしますが,そのような考え方もあるということを補足させていただきます。

 

 

 

  •  時間が足りなくて申しわけございませんけれども,一応一通り御議論いただいたことにしたいと思います。

それでは,これで終わります。

どうもありがとうございました。

─了─

 

 

 

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すみれ・ポリー・番人

「お疲れ様でした。隷書体の印鑑が届きました。」

 

 

ハガキ1320151226