渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第6章民事信託の支援者(専門職) 

  • 渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。
  • 第6章 民事信託の支援者(専門職) 

P223、士業者の業務拡大のための民事信託組成の受注競争もあり、士業者だけによる民事信託の規律の維持は難しいかもしれない。―中略―地域金融機関こそ民事信託センターとなる可能性がある。との記載があります。地域金融機関にも受注競争はあり、どちら中心センターを担うのに相応しいか、という問題ではなく、依頼者が選択肢を持てることが大切だと考えます。

P225、書面作成だけで事足りる遺言書の作成等とは異なる。について・・・遺言は執行があるので、書面作成だけで事足りるとはいい難いのかなと思いました。

P230、(司法書士が代理申請の付随業務として、不動産事業者の作成した信託契約書を修正する場合もあるかもしれない)、について・・・不動産事業者が作成した信託契約書をみたことがなかったので、そういう場合にも対処できるようにしたいと思いました。併せて不動産事業者が信託の権利義務関係の図(スキーム等といわれるもの)ではなくて、信託契約書(信託財産に属する財産は金銭と不動産になるかと思います。)を作成できる根拠は、宅地建物取引業法になるのか分かりませんでした。

P233、民事信託の会計ソフトや管理ソフトも開発されつつある、について・・・

ファミトラ

https://www.famitra.jp/

980円(税込 1,078円)/月

P214、そこで、民事信託組成支援における最大の問題点の1つは、民事信託組成を支援する士業者の多くは、信託法の理論は知り得ても(これは書籍等で勉強可能である)、信託実務の実際の内容は知り得ないということだ。について・・・知り得ない、というか体験し得ない、というところではないかと思います。法律が禁止している事項について、最大の問題点の一つ、として指摘できるのか、分かりませんでした。信託会社や受託者経験者に訊く、など手探りでも最善を目指してやっていくことでは足りないのか、分かりませんでした。

P237、信託監督人は、信託監督人自体が、適切に監督され、何らかの形で支援される立場である必要がある(信託監督人が受託者と結託して不正を働き、あるいは、監督を懈怠さればどうなるか)。について・・・信託監督人は、何らかの形で支援される立場である必要がある、という箇所が、誰から、どのような支援を受ける立場なのか、根拠は何か、分かりませんでした。

P240、多数の士業による開かれたネットワークが必要である、に同感です。ただし、実務上逆の方向に行っているので、これを修正するのは困難だと感じます。士業報酬の低廉化の流れに同感です。金融機関の民事信託報酬が一種の基準として働くと考えます。

P246、司法書士を監督する司法書士会の監督・監視体制を早急に整備・充実させる必要がる。について・・・反対です。日本司法書士会連合会も司法書士行為規範に民事信託に関する条項を入れたあと、日本弁護士連合会のようなガイドライン作成の動きはありません。指針は個々の司法書士事務所(司法書士法人)ごとで作成するしかないと思います。問題が起きた場合は、懲戒委員会などにゆだねることが現状取り得る実務だと思います。

 研修に関しては少し力を入れる必要があるとは思います。参考にするとすれば、(公益)成年後見センター・リーガルサポートの研修体制かなと思います。

 東京地判平成28年7月25日判タ1435号215頁について。

 Q222民事信託の任意団体、について。民事信託について公的団体は存在しない、という事実はもっと知られていいと思います。その結果、どの団体に属していようと、民事信託に関して責任を取るのは、個々の民事信託支援者ということになります。

 運営主体者役員などを確認することで、それら任意団体の公益性の有無を見抜きたい、の記載について。任意団体なので、広義の公益性は多少どの団体にもあるのでしょうが、公益籍の軽重を見抜いたとして、直接責任を負うのは、利用者に直接接する専門家なので、委任契約書や見積書の説明を聞きながら判断することが妥当だと考えます。

P301、不動産の賃貸や売買などの場合と同様、宅建士の人々による信託不動産重要事項説明書のようなものが、リーズナブルな費用で取得できるようになるのが、信託不動産の流通にとって望ましいかもしれない。の記載について同感です。

『月刊登記情報』2024年3月号(748号)

『月刊登記情報』2024年3月号(748号)一般社団法人 金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T/

CONTENTS

 法窓一言 今年始まる新制度と司法書士の対応

東京司法書士会会長 千野隆二

 司法書士が法的支援だけではなく、IT面のサポート役としても機能していくこと。犯罪による収益移転防止法の改正により、確認項目が多くなる取引が増えるケースがあること、相続登記申請の義務化への対応。

公正証書に係る一連の手続のデジタル化―令和5年改正公証人法等の解説

法務省大臣官房会計課長(前法務省民事局総務課長) 村松秀樹

法務省民事局付兼総務課登記所適正配置対策室長 遠藤啓佑

法務省民事局総務課法務専門官 植月結可

法務省民事局総務課公証係長 山内 一

令和5年6月14日公布

民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律について

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00336.html

令和5年3月公証実務のデジタル化に関する実務者との協議会

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00062.html

 公証人法施行規則の改正待ち。

 公正証書遺言の証人もウェブ参加可能。

保証医師宣明公正証書については例外(民法465条の6など。)。

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う

相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説⑶

法務省民事局民事第二課補佐官 三枝稔宗

法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之

法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官

(前民事局民事第二課法務専門官) 手塚久美子

法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清水玖美

 条例などに基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務が承継することとなる土地について

みなし墓地について

墓地、埋葬等に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000048_20220617_504AC0000000068

第二十六条 この法律施行の際現に従前の命令の規定により都道府県知事の許可をうけて墓地、納骨堂又は火葬場を経営している者は、この法律の規定により、それぞれ、その許可をうけたものとみなす。

商業登記規則逐条解説 第15回

法務省民事局商事課長 土手敏行

商業登記法

(登記記録の閉鎖等)

第五十四条 次に掲げる登記は、登記記録区にしなければならない。

一 商号廃止の登記

二 商号の登記をした者の営業所が登記所の管轄区域外に移転した場合において、旧所在地においてする営業所移転の登記

三 会社の商号以外の商号の登記の抹消

2 前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。

用紙から記録へ。

 閉鎖・・・それ以降当該登記記録に何らの登記もしないことを明らかにする(片岡貞敏「商業登記規則逐条解説(29)」商事法務1381号42頁)。

第五十五条 次に掲げる登記は、登記記録区にしなければならない。

一 未成年者又は後見人に関する消滅の登記

二 未成年者又は後見人の営業所が登記所の管轄区域外に移転した場合において、旧所在地においてする営業所移転の登記(登記所の管轄区域内に他の営業所がある場合を除く。)

2 前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。

 後見人が退任(辞任・解任含む)して新たな後見人が選任された場合の新後見人の登記は、新後見人について新たな後見人の登記をすべきであり、退任後見人の登記に変更することはできない。・・・属人的な登記。

(数人の支配人の登記)

第五十六条 会社以外の者から数人の支配人の登記の申請があつたときは、各支配人について各別の登記記録に登記をしなければならない。

 事業の種類・・・選択できる商号の数・・・営業主である商人が、支配人に委任した商号の数・・・・登記できる支配人の登記の数。

(登記記録の閉鎖等)

第五十七条 会社以外の者の支配人に関する次に掲げる登記は、登記記録区にしなければならない。

一 支配人の代理権の消滅の登記

二 支配人を置いた営業所が登記所の管轄区域外に移転した場合において、旧所在地においてする営業所移転の登記(登記所の管轄区域内にその支配人を置いた他の営業所がある場合を除く。)

2 前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。

 破産法258条1項

(個人の破産手続に関する登記の嘱託等)

第二百五十八条 個人である債務者について破産手続開始の決定があった場合において、次に掲げるときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、破産手続開始の登記を登記所に嘱託しなければならない。

一 当該破産者に関する登記があることを知ったとき。

二 破産財団に属する権利で登記がされたものがあることを知ったとき。

(会社の支配人を置いた営業所の移転等の登記)

第五十八条 会社の支配人を置いた本店又は支店について移転、変更又は廃止があつたときは、本店又は支店に関する移転、変更又は廃止の登記の申請と支配人を置いた営業所に関する移転、変更又は廃止の登記の申請とは、同時にしなければならない。

 本店の移転などの登記と、支配人を置いた営業所の移転等の登記の同時申請義務の規定。住居表示の実施も含む。

特定目的会社登記規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410M50000010037

(商業登記規則の準用)

第三条 商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第一条の二第一項及び第二項、第二条から第六条まで、第九条第一項、第三項から第七項まで及び第十一項から第十三項まで、第九条の二から第九条の四まで、第九条の五第一項から第三項まで、第五項及び第六項、第九条の六から第十一条まで、第十三条から第二十二条まで、第二十七条から第四十五条まで、第四十八条から第五十条まで、第五十三条、第五十八条から第六十条まで、第六十一条第一項から第八項まで、第六十五条、第六十六条第一項、第六十七条第一項、第六十八条、第七十条から第七十二条まで、第七十四条、第七十五条、第八十条から第八十一条の二まで、第九十三条、第九十八条から第百四条まで、第百五条の二から第百九条まで、第百十一条、第百十二条、第百十四条、第百十七条並びに第百十八条の規定は、特定目的会社の登記について準用する。この場合において、同規則第一条の二第一項中「登記所及び次の各号に掲げる区分」とあるのは「登記所」と、同規則第六十一条第一項中「定款の定め」とあるのは「定款若しくは資産流動化計画の定め」と、「、定款」とあるのは「、定款、資産流動化計画」と、同規則第九十三条中「会社法第九百三十三条第五項」とあるのは「資産の流動化に関する法律第百三十四条第四項(同法第百四十四条第二項において準用する場合を含む。)」と読み替えるものとする。

(会社の支配人の登記の抹消)

第五十九条 会社の支配人の登記は、会社の解散の登記をしたときは、抹消する記号を記録しなければならない。

 清算会社について、会社法489条2項、6項3号、482条2項。

 破産的続き開始決定がされ、その旨の登記がされた後の支配人の印鑑証明書交付について。

(準用規定)

第六十条 第五十二条の規定は、会社以外の者の支配人の登記について準用する。

 会社以外の支配人の登記申請時における。追加的な添付書面の定め。

(添付書面)

第六十一条 定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。

2 登記すべき事項につき次の各号に掲げる者全員の同意を要する場合には、申請書に、当該各号に定める事項を証する書面を添付しなければならない。

一 株主 株主全員の氏名又は名称及び住所並びに各株主が有する株式の数(種類株式発行会社にあつては、株式の種類及び種類ごとの数を含む。次項において同じ。)及び議決権の数

二 種類株主 当該種類株主全員の氏名又は名称及び住所並びに当該種類株主のそれぞれが有する当該種類の株式の数及び当該種類の株式に係る議決権の数

3 登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主(種類株主総会の決議を要する場合にあつては、その種類の株式の総株主)の議決権(当該決議(会社法第三百十九条第一項(同法第三百二十五条において準用する場合を含む。)の規定により当該決議があつたものとみなされる場合を含む。)において行使することができるものに限る。以下この項において同じ。)の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であつて、次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数(種類株主総会の決議を要する場合にあつては、その種類の株式の数)及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面を添付しなければならない。

一 十名

二 その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が三分の二に達するまでの人数

4 設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと。以下この項において同じ。)を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑についても、同様とする。

5 取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「設立時取締役」とあるのは「設立時代表取締役又は設立時代表執行役」と、同項後段中「取締役」とあるのは「代表取締役又は代表執行役」とする。

6 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑

二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑

三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

7 設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項及び第百三条において「取締役等」という。)が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと)を証する書面に記載した取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾した場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。

8 代表取締役若しくは代表執行役又は取締役若しくは執行役(登記所に印鑑を提出した者がある場合にあつては当該印鑑を提出した者に限り、登記所に印鑑を提出した者がない場合にあつては会社の代表者に限る。以下この項において「代表取締役等」という。)の辞任による変更の登記の申請書には、当該代表取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて行う場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、登記所に印鑑を提出した者がある場合であつて、当該書面に押印した印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

9 設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。

10 登記すべき事項につき会社に一定の分配可能額(会社法第四百六十一条第二項に規定する分配可能額をいう。)又は欠損の額が存在することを要するときは、申請書にその事実を証する書面を添付しなければならない。

11 資本準備金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記(会社法第四百四十八条第三項に規定する場合に限る。)の申請書には、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。

 1項2項、3項、10項は通則的な定め。4項から9項、11項は具体的な登記申請ごとの定め。

 

目で見る筆界の調査・認定事例第5回 既提出の地積測量図により筆界を認定した事案

名古屋法務局総括表示登記専門官 角間隆夫(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 隣接土地の所有者に相続が発生しており、相続人がいない事例。

 人証・・・分筆当時の土地所有者の供述。

 物証…ブロック塀、L字型側溝。

 相続財産管理人を選任しなくても、表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)に該当する事案であれば、登記官が筆界認定することができる。

法律業務が楽になる心理学の基礎

第 6 回 心理的アセスメント

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 観察法、が印象に残りました。もっというと観察が必要だと思いました。

中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント

第59話 会社のたたみ方②~解散・清算手続のポイント

司法書士法人鈴木事務所 司法書士 鈴木龍介

 期限付き解散の可否、清算人の権限、清算期間、税務上の解散事業年度など、

犯罪収益移転防止法の大改正と司法書士の実務⑹

司法書士 末光祐一

 ハイリスク取引への対応について。別途本人確認情報などの補完。

投資契約書雛形『ANGELs』みなし優先株式

投資契約書雛形『ANGELs』みなし優先株式

https://bambooincubator.jp/template/angels

誤りがあれば、指摘願います。修正します。

・臨時株主総会議事録

 議案として、募集株式(みなし優先株式)発行及び総数引受契約承認の件。

 募集株式の数(会社法199条1項1号)として、当会社普通株式(みなし優先株式)の株数。

 割当方法は、別紙「投資契約書」において割り当て、総数引受契約(会社法205条)により行う。

 議案として、定款一部変更の件。定款附則において優先株式に転換することを予定している株式であることを定める。

・株主名簿

備考欄に、みなし優先株式であることの記載。

・投資契約書

契約書名にみなし優先株式であることを明記。

 定義条項に、みなし優先株式の定義記載。発行会社により一定の要件を満たす優先株式(発行会社の普通株式以外の種類株式をいう。以下同じ。)の発行が行われた場合に、全株主の合意により当該優先株式と同種の優先株式に転換されることを予定している普通株式

本件株式の発行及び取得条項

 本件株式がみなし優先株式に該当する場合には、の記載。普通株式と併せて発行することも想定されているのかなと思いました。

他は、投資契約書(普通株式)と同じ。

みなし優先株式に関する株主間合意書

 みなし優先株主に関する定義がされています。投資契約書で定義されているみなし優先株式を取得した者として、参加契約書とみなし優先株式に関する株主間合意書、当事者一覧及び連絡先にみなし優先株主と記載されている者、とされています。

 新規株主等について、定義がされています。株主間合意書以外の者で、新たに発行会社の株主等になる者、とされています。

 適格株式発行の定義がされています。いくつか要件があります。適格株式発行の要件となる最低調達額は1億円と設定されています。

 適格株式発行の定義がされています。募集株式の発行(会社法199条~)に要件がいくつか追加されています。次回の種類株式による資金調達時を想定した設定になっているようです。

 議決権有、参加型、取得請求権付株式(会社法2条1項18号)、後から発行する優先株式よりもみなし優先株式の払込み価格が低く設定され、みなし優先株主が有利であること。

 主要みなし優先株主の定義がされています。みなし優先株式の議決権総数の過半数を有する1、または2以上のみなし優先株主、とされています。過半数を有する2人以上のみなし優先株主というのがどのような状態なのか、個人Aと法人がみなし優先株主で、法人の代表者兼100%株主が個人Aの場合なのかな、と思いました。

 買取の定義がされています。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=338M50000040059

第八条 3項以外略

3 この規則において「親会社」とは、他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配している会社等をいい、「子会社」とは、当該他の会社等をいう。親会社及び子会社又は子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社とみなす。

第2条

優先株式への転換条項です。1項は株式等の発行による資金調達を行うことになった場合のみなし優先株主への通知義務です。

 2項は、発行会社が適格株式発行を行うこととなった場合のみなし優先株主の手続協力義務と発行会社と経営株主がみなし優先株主の代理人となって手続きできることを規定しています。

 3項は、みなし優先株式が優先株式に転換される場合の計算です。みなし優先株式の数を、適格株式発行として発行された優先株式の、定款で定めた残余財産分配額で割った数が優先株式に転換されます。

 4項は、適格株式発行の要件を満たさない株式発行の場合の、主要みなし優先株主の権利に関する規定です。

第3条

 投資関連契約の締結です。適格株式発行がされる場合に、みなし優先株主と発行会社が投資関連契約を締結しているときは、適格株式発行に必要な手続に協力(契約内容変更や破棄。)やする義務があると定められています。

第4条

 株式等の譲渡制限です。譲渡機関は主要みなし優先株主となっています。株式を譲渡しようとする場合、株式の譲渡制限が定められているとき(会社法107条1項1号)、であれば、定款・登記記録上の承認機関とともに、主要みなし優先株主の承認も必要となってきます。譲渡人が経営株主、非経営株主等及びみなし優先株主と会社法上の種類株式とは区別されて限定されているので、登記事項になるのか、私はならないような感触を持ちましたが(会社法108条1項4号)、分かりませんでした。

第5条

 後から新規株主等が生じた場合の規定です。発行会社は、契約当事者という立場に加えて、この契約書でみなし優先株主の代理人として、新規株主等と参加契約を締結する定めとなっています。

 また発行会社以外の他の株主が株式を他の者に譲渡する場合、この契約書に従った契約をすることが条件となっています。

第6条

 発行会社によるみなし優先株式の買取請求権の規定です。株主総会の決議は不要ですが、全部取得条項付株式(会社法108条1項6号)と似たような構造になっているという印象を受けました。

第7条

 発行会社の株主に対する株式売却を、一定の条件が生じた場合に強制する条項です。発行会社の発行済株式総数の3分の2以上を保有する株主(複数名で3分の2以上の保有比率となる場合を含む。)の承諾と、事前通知が条件となっています。

第8条

1項

 経営株主以外の特定の者並びにその者の子会社及び関連会社が、発行会社の発行済株式の議決権総数の過半数を保有することとなる発行会社の株式の譲渡が行われた場合の規定です。

1,当該譲渡を行った者のみが発行会社の株主と仮定する。

2,譲渡の対価の層が鵜を残余財産の総額とみなす。

3、定款に定める規定に従って、残余財産の分配を行うことに、みなし優先株主は同意する。

定めになっています。

2項

 発行会社が消滅会社となる合併又は子会社となる株式交換、株式移転又は株式交付(但し、これらの組織再編直前の発行会社の総株主が、存続会社又は完全親会社の発行済株式の議決権総数の過半数を保有することとなる場合を除く。について、1項と同じ規定です。

3項

 残余財産の分配が金銭以外の場合の評価方法です。合理的かつ客観的な評価を行うと定められていますが、詳細な方法は分かりませんでした。

4項

 発行会社の事業の全部又は重要部分を第三者に譲渡する事業譲渡、吸収分割、新設分割等を行われる場合、主要みなし優先株主は、発行会社に対して解散請求することが出来ると定められています。

 発行会社に反対する権利はなく、解散及び清算手続きを行うと定められています。

5項

 8条に基づく残余財産の分配や発行会社の解散が行われる場合の、各当事者の手続協力義務が定められています。

6項

みなし規定が2つあります。

1つ目

 みなし優先株式は、適格株式発行のイに該当する募集株式の発行に該当するという定款の定めがあるとみなす規定です。

第1条第6号(イ)②「適格株式発行」とは、以下の条件を全て満たす募集株式の発行をいう。

ア  募集株式の発行による払込金額の合計額が100,000,000円 以上であること

イ  以下の要件を全て満たす優先株式の発行であること

① 議決権を有すること

② 発行会社の解散時に、残余財産から当該株式の払込金額相当額が普通株主に先立って分配され、同分配後の残余財産の分配についても、転換比率を調整のうえ計算した額で普通株式の株主と共に参加する内容の残余財産の分配を受ける権利が規定されていること

③ 取得請求権付株式(当該株式を取得するのと引換えに株主に対して発行会社の普通株式を交付する条項を含むものに限る。)であること

④ 優先株式の1株当たりの払込金額が、みなし優先株式の1株当たりの払込金額よりも高いこと

2つ目

 適格株式発行のイに該当する募集株式の発行より発行された株式については、残余財産の分配について1,優先株主、2、普通株主、3優先株主・普通株主の同順位、の順で受け取る、と定められています。

 また、主要みなし優先株主に権利が与えられています。

主要みなし優先株主は、上の2つのみなし規定に関して疑義があるときに、発行会社に対して、発行会社が発行したみなし優先株式の全てを、適格株式発行の要件を満たす優先株式に転換することを請求できる権利が付与されています。

第9条

 主要みなし優先株主の発行会社に対する、決算情報などの情報提供請求権が規定されています。

第10条

契約の各当事者が表明保証を行う定めです。

第11条

 契約の各当事者が秘密保持義務を負う規定です。

第12条

 契約の各当事者への通知先に関する定めです。

第13条

 他の契約との関連性を定める規定です。2項で、抵触する場合はこの契約が優先することが規定されています。契約日の前後を問わない規定です。

第14条

 費用は、原則として発行会社が負担するという規定です。

第15条

 契約の終了、契約の効力停止の定めです。

第16条

 準拠法は日本法、第一審の管轄は発行会社の本店所在地を管轄する地方裁判所とする定めです。

株式の内容の変更に関する株主全員の合意書・同意書

・株主全員でなくても良い。

・発行会社が代理権構成を取ることも可能であるが、法令、先例通達がないため分からないことが説明されています。・・・みなし優先株主にとって不利になることはないこと、民法108条の規定から可能である可能性が高いと思われます。

参考

中小企業庁

中小企業者のためのエクイティ・ファイナンスの基礎情報令和4年12月22日更新

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/shikinguri/equityfinance/index.html

規制改革推進会議スタートアップ・イノベーションWG11回令和5年4月11日(火)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2210_01startup/230411/startup11_agenda.html

令和5年度不動産登記研修会「相続登記申請義務化に関する研修会」

令和5年度不動産登記研修会「相続登記申請義務化に関する研修会」日本司法書士会連合会

令和6年(2024年)3月2日(土)

第1講 「相続登記申請義務化へ向けての司法書士の役割~」

講師 早稲田大学大学院法務研究科教授 山野目 章夫

第2講 「相続登記申請義務化と相続人申告登記の概要」

講師 法務省民事局民事第二課長 大谷 太

第3講「鼎談 大相続登記時代に向けて、相続登記義務化における司法書士としての使命について」

登壇者 山野目 章夫(早稲田大学大学院法務研究科教授)

里村 美喜夫(不動産登記法改正等対策部部長)

今川 嘉典(不動産登記法改正等対策部部委員)

「相続登記申請義務化へ向けての司法書士の役割」

早稲田大学教授 山野目 章夫

目次

第1 法体系における不動産登記制度の意義

第2 いまさらながらの復習

1 起算点は2つの事実

2 義務化の二段階の構造

3 あること証明とないこと証明

4 新しい不動産登記法164条の2つの項

第3 相続登記の実務

第4 司法書士制度の展望

第1 法体系における不動産登記制度の意義

権利に関する登記であるにもかかわらず、なぜ義務化されるか?

対抗要件にすぎない、と難ずる者が今もある。・・・ 表示の登記(不動産登記法36条、47条)。

画期をなす改革

令和3年法律第24号により不動産登記法が改正された。

法務省 民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00501.html

不動産登記法を今の姿にした平成16年法律第123号にとって特筆すべき改正

明治からの不動産登記制度の発展のなかで眺めてみても、画期をなす改革とみなければならない。

慟哭と共に三陸の浜に立つ

土地政策の一つ

対抗要件にすぎないという言説を考える

不動産登記法は、決して私法、民法の附属法ではない。

あらためて政府答弁を読む

「不動産登記は、権利を取得した者がその権利を保全する対抗要件としての機能を有するものでございますが、対抗要件制度のためのみに存在するものでもございません。特に、近時におきましては、国土の管理や有効活用という側面から、土地の所有者情報を始めとして、土地の基本的な情報を公示する台帳としての役割を有する点が指摘されております」(法務省の小出邦夫民事局長〔当時〕、2021年3月24日、衆議院法務委員会)。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000420420210324007.htm

第2 いまさらながらの復習

相続登記の義務化ということの意義

受験論点のような話のいくつか

1 起算点は2つの事実

不動産登記法76条の2第1項前段。

  • 2つの事実とは何か?

 被相続人が死亡した事実、および被相続人が不動産を所有していた事実の双方を知った場合において、双方の事実を知った日から3年以内に、相続による所有権の移転の登記を申請。

  • 特定財産承継遺言の場合はどのように考えるか?

  被相続人人が甲土地を特定の相続人に、相続させる旨の特定財産承継遺言をしていた場合において、相続人は、相続による所有権の移転の申請をしなければならない。その根拠も76条の2第1項前段この場合において、他の相続人は、相続登記の義務を課せられない。 

  • 土地のみならず建物も義務づけられるか?

 相続登記の義務が課せられる場面は、土地または建物を目的とする相続である(76条の2は、不動産の一般に関する規定である)。土地のみということではない。

  • 根抵当権の債務者変更なども義務づけられるか?

 相続登記の義務が課せられる場面は、所有権の登記に限られる(76条の2は、所有権の登記に関する規定である)。配偶者居住権は、もともと相続による権利変動を観念すること余地がない。

登記地目が墓地の場合

本橋寛樹「祭祀承継者指定の審判と民法第897条による承継登記」登記情報20242月号〔通巻747号〕、山野目「墓地などの土地の承継と相続登記の義務」NBL1244号〔2023年〕

  • 法律を知らない一般の人びとを非難しない

 知った時から3年という起算点の「知った時」の意義は、過失により知らなかった場合を含まない。気づかなかったことについて相続人に落度があっても、3年は進行しない。

2 義務化の二段階の構造

 相続によるA→B・C・Dの法定相続分を持分とする甲土地の所有権の移転の登記が未だされていない場合において、B・C・Dの協議または家庭裁判所の審判によりBが甲土地を所有する旨の遺産の分割が成立した場合においては、Bが、相続によるA→Bの所有権の移転の登記を申請しなければならない。この場合において、C・Dは、相続登記の義務を課せられない。

また、法定相続分による登記がされた後・・・法定相続分による登記、原因は相続、申請人は相続人全員がされた場合でも、更生登記が出来る、ということ?

で同旨の遺産の分割が成立した場合において、Bは、その遺産の分割が成立した日から3年以内に、B・C・Dを所有権の登記名義人とする登記をBのみが登記名義人になる登記に更正する登記を申請しなければならない(76条の2第2項)。この更正により相続によるA→Bの所有権の移転の登記がされることとなる。 

  • 法定相続分という言葉が法文に出てくるか?

 76条の2第1項が主題とする登記のうち、法定相続分による登記とよばれるものは、精密に述べると、76条の2第2項が謳うとおり、「民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてされた」登記。

 この法定相続分による登記がされている場合において、「遺産の分割があったとき」は、その遺産の分割によって法定相続分を超えて所有権を取得した者は、その遺産の分割の日から3年以内に、所有権取得の登記を申請しなければならない(同項)。

  • 指定相続分はどのように考えるか?

  遺言で相続分の指定がされた局面も検討を要する。この局面は、76条の2第2項に基づく相続登記の義務づけの外に置かれる。同項は、その括弧書において民法900条・901条を掲げ、半面、902条を掲げない。

 AがBの相続分を半分とし、C・Dの相続分をそれぞれ4分の1と相続分を定める遺言をしていた場合において、これらの指定相続分に即して持分を登記するA→B・C・Dの所有権の移転の登記で相続によるものをしたときに、その後に甲土地(の全部)をBが取得する旨の遺産の分割が調うとしても、Bは、その旨を公示する所有権の更正の登記を申請する義務を負わない。むろん、その旨の登記を申請することは、望まれる。しかし、公法上の義務づけをしてまで当該登記の申請を求めることは要請されないとする政策が、ここでは採られる。

 指定相続分による登記がされたの遺産の分割を反映する登記を義務づける政策の採用を躊躇させる考慮要素として、相続分を指定する遺言というものの実態がある。とりわけ自筆証書遺言で相続分の指定がされる場合において、その指定の意思の表示は、相続分や指定という法律表現を用いてされるとは限らず、民法902条に言及されるとも限らない。

 その結果として、現実にされる遺言において表示される遺言者の意思の解釈において、相続分の指定であるか遺産分割方法の指定であるか、判断が難しい事例も想像される。

 実子である女と養子である男が推定相続人であり、これらの子が婚姻をしている場合において、「私の財産は夫が3分の2、妻が3分の1の割合で夫婦に継がせる」という遺言がされた場合において、一筆の土地がほぼ唯一の「私の財産」であるときに、この意思表示が相続分の指定であるとする理解のほか、示された割合を持分とする遺産分割方法の指定(終局的に夫婦が当該土地を共有していって欲しいと望む処分であり、厳密に述べると、相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定である)であるとする理解も成りたつ。後者の理解を前提として共有の登記がされる場合において、後日に土地を夫が単独で所有する旨の夫婦の協議が調うときに、それは遺産の分割でなく共有物分割になる。その共有物分割による登記は義務づけられない。このように複数の遺言理解がなりたつ場合において、特定の理解を前提として義務づけがされる可能性を生じさせることは相続人を困惑させる

 この結果は避けられるべきであり、遺言で指定された相続分について相続登記の義務づけをしない76条の2第2項の規定は、このような観点からも理解される。

  • 更正の登記の根拠規定は? 登記原因は?

 更正の登記は、単独で申請することができる(63条2項が根拠となる)。この更正の登記は、登記原因を「遺産分割」としてBが単独で申請することができる(民事局長通達令和5年3月28日民二538号)。

3 あること証明とないこと証明

 不動産登記法76条の3が定める手続。

 相続人申告登記という言葉が法文に出てくるか?

  同条の法文において言葉そのものが現われるものではないが、同条が主題とする登記は、おおづかみに相続人申告登記とよばれる。

 相続人を網羅的に知ることができる登記ではないけれども、相続人申告登記により、相続開始の事実に加え、誰が相続人であるか全く判明していないものではない、という状態が登記上形成される。このような登記の状態は、相続人申告登記が簡易な手続による申出によりされるから、迅速な実現も期待される。

  • 法定相続分による登記をする場合と何が異なるか?

 ほかに相続人がない事実を戸籍上証明することは不要。

 相続人申告登記をして申告人として付記登記をされた者は、氏名や住所が変更した場合において、付記登記の変更の申出をすることができる。できるけれども、しなくてもよい。

4 新しい不動産登記法164条の2つの項

 過料は、金銭罰であり、その点では罰金や科料と似る。しかし、罰金や科料は、刑事罰であり、これらに処する裁判は、刑事訴訟法に従い行なわれる。

  • 過料って何?

 秩序罰であるということの意義は、行政施策の達成が妨げられ、しかも、違反行為を罰しないことにより、その施策の遂行に係る規律が実質的に損なわれることにある。相続登記の義務づけも、不動産登記行政を的確に執行し、登記簿に適時、的確に権利関係が公示される成果の確保に趣旨が見出される。

 不動産登記法164条1項は、正当な理由がある場合において過料を科さないとしており、そこにいう正当な理由も、それがあるときに控えられる過料の秩序罰としての性格を踏まえ、その存否が見定められる。

  • いきなり、とはならない

 まず、相続登記が義務づけられたところに従い履践されていない事案を認知した登記官は、申請の義務を負う者に対し相続登記の申請の履践を促す。この促す過程を省いて短兵急に過料の制裁を要請することは、適正な手続と見ることはできない(不動産登記規則187条1号参照)。

不動産登記規則(裁判所への通知)

第百八十七条 登記官は、次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、管轄地方裁判所にその事件を通知しなければならない。

一 法第百六十四条の規定により過料に処せられるべき者があることを職務上知ったとき(登記官が法第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務に違反した者に対し相当の期間を定めてその申請をすべき旨を催告したにもかかわらず、その期間内にその申請がされないときに限る。

 もちろん、これらの場合であっても、それぞれの困難がなくなったと認められる段階において相続登記をすべきであり、いったん正当な理由があるとされる事案が、事態の推移にかかわりなくずっと正当な理由があるとされるものではない。申請人が重篤な疾病に悩まされている場合などにおいて、やむをえない事情があるものとして、過料に処さない解決が望まれるが、これも、申請人の疾病が治癒した後に登記申請を促す手順が想定される。

  • 個人の便宜を口実にされても困る

余命が小さいとみられる相続人が死亡する時を待って登記をしようとしている間に3年を経たという事例は、正当な理由があるとはみられない。登記を困難にしている事情が何ら存しないからである。

  • 謙抑的な運用という基本精神

「3年経過時の過料の対象の時点で例えば重病であった、正当事由があった場合に、その重病であった状態を脱して、要するに病気が治癒した場合について、3年前は正当事由で過料は免れました、4年後に病気は治っていましたというときに、果たしてそれは遡ってまた義務や過料の対象になるのか、3年前に病気であればもうその後も過料は免れるような形になるのか、このようなところも非常に曖昧であるというふうに問題意識を持っておりますので、この辺り、やはり公平性を持った形で今後の議論がされることを切望しておりますし、我々も今後、引き続き問題意識を発言していきたいというふうに思っております」(阿部健太郎・発言・参議院法務委員会、2021415日)。

https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=120415206X00820210415

 過料は刑事罰でないから、刑法の諸理論・・・罪数を厳密に用いるということにならない。とはいえ、50筆の土地を有していて死亡した者があるとき、3年を経ると500万円の過料を科することは、いかにも機械的である。また、3年を経て10万円をいったん科せられた者が、それでも依然として登記をしない場合において、再び10万円を科する扱いは、適正手続の観点に照らし、理論的にも検討課題が残る。

第3 相続登記の実務

アドバイザーとしての司法書士

1 いずれを勧めるか――76条の2の第1項と第2項

2 いずれを勧めるか――76 条の2 と76 条の3

法務省のウェブサイトを御自分で見てみて、そのうえで御来訪ください、と案内する手順は、ひとつの工夫であるかもしれない。

 登記の手続登記の態様B による不動産の処分の登記B の住所が変更したならば
B・C・D の法定相続分による登記単独申請 戸籍の “ないこと証明”主登記 持分が登記される。B の持分の処分の登記が可能。住所の変更の登記が義務づけられる。
B を申告人とする相続人申告登記申出→職権 戸籍の “あること証明”付記登記 持分が登記されない。依然として登記名義人はA。できる。 しなくてもよい。

第2講 「相続登記申請義務化と相続人申告登記の概要」

講師 法務省民事局民事第二課長 大谷太

相続人申告登記

 法定相続情報番号(法定相続情報一覧図の番号)を提出すれば、戸籍謄本の添付は不要。不動産登記規則37条の3

 不動産登記規則158条の2第1項8号、第158条の3、158条の5、158条の8(不動産登記令12条、電子証明書不要)、158条の9、158条の10(不動産登記令16条)、158条の19(追加的記載事項)、158条の20(添付情報の省略)、

第3講 相続登記の申請義務化と司法書士業務について 個別テーマ一覧

  • 法制審議会での相続登記義務づけ議論について

 調査をすれば分かる、というのは司法書士の言い分。

 登記記録から所有者が分かる、ということが大切。

今後が大切。

  • 申請義務化が適用された場合、司法書士業務はどのように変化するか

 登記情報を最新に保つ使命・・・所有権については。  

3.いわゆる二段の申請義務が発生する場合はどのようなときか

4.相続人申告登記をする場合は、どのようなときか

・・・相続人申告登記は司法書士発(山野目章夫教授。初めて知りました。

持分を取得した分ではないことを説明する必要。

・・・付記1号の付記1号相続人申告登記も可能か。相続人申告登記を申請した相続人が亡くなった場合。

5.相続登記の申請の義務が免れる場合と過料の適用はどのようになるか

6.国庫帰属制度にどのように対応していくのか

7.登記事項のいくつかの変更

法人識別事項・国内連絡先

所有権登記名義人の旧姓併記

外国人が所有権の登記名義人となる場合のローマ字併記

DV被害者等の保護のための住所の代替措置

8.外国に住所を有する外国人等の住所証明情報の取扱いについて

9.遺産分割協議への関与はどのようにすべきか

〇法務省令第五号戸籍法施行規則

https://kanpou.npb.go.jp/

〇法務省令第五号戸籍法施行規則

戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第十七号)の施行に伴い、及び戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第百三十一条の規定に基づき、戸籍法施行規則の一部を改正する省令を次のように定める。

令和六年二月二十六日

戸籍法施行規則の一部を改正する省令

戸籍法施行規則(昭和二十二年司法省令第九十四号)の一部を次のように改正する。

次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付し又は破線で囲んだ部分のように改め、改正前欄及び改正後欄に対応して掲げる対象規定を改正後欄に掲げる対象規定として移動し、改正前欄に掲げる対象規定で改正後欄にこれに対応するものを掲げていないものは、て掲げるその標記部分に二重傍線を付した規定(以下「対象規定」という。 ) は、その標記部分が同一のものは当該対象規定を改正後欄に掲げるもののように改め、その標記部分が異なるものは改正前欄に掲げる対象規定を改正後欄に掲げる対象規定として移動し、改正前欄に掲げる対象規定で改正後欄にこれに対応するものを掲げていないものは、これを削り、改正後欄に掲げる対象規定で改正前欄にこれを掲げていないもので掲げるその標記部分に二重傍線を付した規定(以下「対象規定」という。 ) は、その標記部分が同一のものは当該対象規定を改正後欄に掲げるもののように改め、その標記部分が異なるものは改正前欄には、これを削り、改正後欄に掲げる対象規定で改正前欄にこれ正後欄に掲げる対象規定で改正前欄にこれに対応するものを掲げていないものは、これを加える。

目次

[第一章〜第四章略]

第四章の二 戸籍電子証明書等

第四章の二電子情報処理組織による届出又は申請等の特例

第五章[略]

附則

第十一条 戸籍法第十条第三項(同法第十条の二第六項、第十二条の二、第四十八条第三項及び第百二十条の六第二項において準用する場合を含む。)の法務省令で定める方法は、次の各号に掲げる方法とする。

[一・二略]

第二十一条 市町村長は、附録第五号様式によつて毎年受附帳を調製し、これにその年度内に受理し又は送付を受けた事件について受附の順序に従い、次の事項を記載しなければならない。ただし、第三号、第六号及び第七号の事項は、受理した事件についてのみ記載すれば足りる。

[一〜七略]

八 第七十九条の二の四第二項の規定による届出等であるときは、その旨

第四十八条[略]

②[略]

③第一項の書類の保存期間は、当該年度の翌年から五年とする。

第五十二条の二 戸籍法第四十八条第三項において届出の受理又は不受理の証明書の請求、届書及び届書等情報の内容に関する証明書の請求並びに同法第百二十条の六第二項において届書等情報の内容を表示したものの閲覧の請求(以下この条において 「証明書等の請求」 という。 )について準用する同法第十条の三第一項に規定する法務省令で定める方法及び事項については第十一条の二第一号から第三号まで及び第五号イ並びに第十一条の三本文の規定を、同法第四十八条第三項及び第百二十条の六第二項において証明書等の請求について準用する同法第十条の三の規定を、同法第四十八条第三項及び第百二十条の六第二項において証明書などの請求について準用する同法第十条の三第二項に規定する法務省令で定める方法については第十一条の四の規定を、証明書等の請求の際に提出した書面の原本の還付については第十一条の五の規定を準用する。

第五十三条の四[略]

【②~⑥略】

⑦ 第二項の書面及び第五項の取下げに係る書面の保存期間は、 当該年度の翌年から一年とする。

第六十八条 戸籍事務を電子情報処理組織によつて取り扱う場合には、市町村長(戸籍法第百十八条第一項の規定による指定を受けている市町村長をいう。以下本章、次章及び第四章の三について同じ)は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製された戸籍及び除かれた戸籍の滅失及びき損並びにこれらに記録されている事項の漏えいを防止するために必要な措置を講じなければならない。

第六十八条の二 戸籍事務を電子情報処理組織によつて取り扱う場合において、氏又は名に漢字を用いるときは、次の各号に掲げる字体で記録するものとする。

一 常用漢字表に掲げる字体(括弧書きが添えられているものについては、括弧の外のものに限る。)

二 別表第二に掲げる字体

三 その他法務大臣の定める字体  

第六十九条 戸籍法第百十八条第一項ただし書の電子情報処理組織によつて取り扱うことが相当でない戸籍又は除かれた戸籍は、電子情報処理組織による取扱いに適合しない戸籍とする。

[号を削る。]

[号を削る。]

第七十三条の二 戸籍法第百二十条の二第一項の規定により同法第一条第一項の請求 (本籍地の市町村長以外の市町村長に対してするものに限る。) をする場合において、請求をする者は、市町村長に対し、第十一条の二第一号の方法により、当該請求をする者の氏名及び住所又は生年月日を明らかにしなければならない。

2 戸籍法第百二十条の二第一項の規定により同法第十条の二第二項の請求(本籍地の市町以外の市町村長に対してするものに限る。) をする場合において、現に請求の任に当たっている者は、市町村長に対し、第十一条の二第一号の方法により、当該請求の任に当たつている者の氏名及び所属機関、住所又は生年月日を明らかにしなければならない。

3 前項の請求をする場合において、戸籍法第十条第3項の規定により戸籍証明書等の送付の請求をするときは、第十一条の二第5号ロの方法によることができる。

第七十三条の三 前条第一項又は第二項の請求により交付する戸籍証明書等には、市町村長が、その記載に接続して付録第二十九号書式による付記をし、職氏名を記して職印を押さなければならない。

第七十三条の四 市町村長が第七十三条の二第一項又は第二項の請求により戸籍証明書等を交付した場合は、本籍地の市町村長に対してその旨の情報を提供するものとする。

② 第七十三条第三項から第九項までの規定は前項の戸籍又は除かれた戸籍に関する証明書に、第十四条第一項ただし書及び第二項の規定は前項の場合に準用する。

第七十五条 戸籍又は除かれた戸籍が磁気ディスクをもつて調製されているときは、市町村長は、戸籍又は除かれた戸籍に記録をした後遅滞なく、当該戸籍の副本(電磁的記録に限る。以下この条から第七十五条の三まで、第七十九条及び第七十九条の九の二において同じ。) を電気通信回線を通じて法務大臣の使用に係る電子計算機に送信しなければならない。

【②・③略】

 ④前三項の規定は、戸籍法第十一条、第十一条の二第一項及び第二項(第十二条第二項において準用する場合を含む。) の規定により再製された戸籍又は除かれた戸籍の原戸籍(以下「再製原戸籍」という。) の副本について準用する。

【⑤略】

第七十五条の二 法務大臣は、前条第一項又は第二項(第四項において準用する場合を含む。) の規定によつてその使用に係る電子計算機に戸籍若しくは除かれた戸籍又は再製原戸籍の副本の送信を受けたときは、これを保存しなければならない。 この場合において、法務大臣は、前に送信を受けた戸籍又は除かれた戸籍の副本を消去することができる。

②略

③ 次の各号に掲げる再製原戸籍の副本の保存期間は、 当該各号に定めるとおりとする。

一 戸籍法第十一条(第十二条第二項において準用する場合を含む。) の規定による再製原戸籍の副本   

当該年度の翌年から一年

二 戸籍法第十一条の二第一項(第十二条第二項において準用する場合を含む。) の規定による再製原戸籍の副本 

当該年度の翌年から百五十年

三 戸籍法第十一条の二第二項(第十二条第二項において準用する場合を含む。) の規定による再製原戸籍の副本   

当該年度の翌年から一年

④法務大臣は、除かれた戸籍の副本又は再製原戸籍の副本で、前二項に規定する保存期間を満了したものを廃棄するときは、あらかじめ、その旨の決定をしなければならない。

 ⑤ 法務大臣は、前項の廃棄をしたときは、本籍地の市町村長にその旨を通知するものとする。

第七十五条の三 市町村長は、戸籍事務の処理に必要な範囲内において、戸籍若しくは除かれた戸籍又は再製原戸籍の副本に記録されている情報を参照することができる。

② 法務大臣は、戸籍法第四十条又は第四十一条第一項の規定により大使、公使又は領事に届出又は提出された書類の確認に必要な範囲内において、外務大臣に対し、戸籍又は除かれた戸籍に記録されている情報を参照することができる。

③ 法務大臣は、戸籍法第百二条、第百二条の二、第百四条の二又は第百五条の規定に基づく戸籍の記載が適正に行われることを確保するために必要な範囲内において、次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める事務に関し戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている情報を提供することができる。

一 法務省職員 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第三条第一項、第十七条第一項若しくは第二項の規定による国籍取得の届出、帰化の許可申請、選択の宣言又は国籍離脱の届出に関する事務

二 外務省職員 国籍法第三条第一項若しくは第十七条第二項の規定による国籍取得の届出、選択の宣言又は国籍離脱の届出に関する事務

④ 第二項及び前項第二号の規定による情報の提供は、戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織と外務大臣の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用してするものとし、当該情報の提供の方法に関する技術的基準については、 法務大臣が定める。

第七十六条[略]

②[略]

③ 受付帳が磁気ディスクをもつて調製されているときは、市町村長は、受付帳に記録した後遅滞なく、当該受付帳に記録された事項(以下「受付帳情報」という。 ) を電気通信回線を通じて法務大臣の使用に係る電子計算機に送信しなければならない。

④ 前項に規定する場合において、法務大臣は、同項の規定にかかわらず、いつでも受付帳情報を電気通信回線を通じてその使用に係る電子計算機に送信させることができる。

⑤ 前二項に定める電気通信回線を通じた送信の方法に関する技術的基準については、法務大臣が定める。

第七十六条の二 法務大臣は、前条第三項又は第四項の規定によってその使用に係る電子計算機に受付帳情報の送信を受けたときは、これを保存しなければならない。

② 受付帳情報の保存期間は、当該年度の翌年から十年とする。

③ 第七十五条の二第四項及び第五項の規定は、受付帳情報について準用する。

第七十八条の二 戸籍法第百二十条の四第一項の届書等は、次の各号に掲げるものとする。

一  戸籍の記載をするために提出された届出、報告、申請、請求若しくは嘱託、証書若しくは航海日誌の謄本又は裁判に係る書面(戸籍法又はこの省令の規定により添付し、又は提出すべきこととされている書面を含む。)

二 戸籍法第二十四条第二項の規定による戸籍の訂正に係る書面

三 戸籍法第四十四条第三項の規定による戸籍の記載に係る書面

四 第五十三条の四第二項の書面

五 第五十三条の四第五項の取下げに係る書面

② 戸籍法第百二十条の四第一項の規定による届書等情報の作成は、前項の届書等に記載されている事項をスキャナ(これに準ずる画像読取装置を含む。 ) により読み取つてできた電磁的記録及び当該届書等に記載されている事項に基づき市町村長の使用に係る電子計算機に入力された文字情報を当該電子計算機に記録する方法により行うものとする。

③ 市町村長(第一項第二号から第五号までの書面にあっては、本籍地の市町村長に限る。)は、 第一項の届書等を受理した後遅滞なく、前項の規定に基づき作成された届書等情報を電気通信回線を通じて法務大臣の使用に係る電子計算機に送信しなければならない。ただし、電気通信回線の故障その他の事由により電気通信回線を通じた送信ができない場合は、この限りでない。

④ 前項本文に規定する場合において、法務大臣は、同項の規定にかかわらず、いつでも届書等情報を電気通信回線を通じてその使用に係る電子計算機に送信させることができる。

⑤ 市町村長が、戸籍法第四十二条の規定により書類の送付を受けたときも、前三項と同様とする。

⑥ 前三項に定める電気通信回線を通じた送信の方法に関する技術的基準については、法務大臣が定める。

第七十八条の三 法務大臣は、前条第三項から第五項までの規定によつてその使用に係る届書等情報の送信を受けたときは、これを保存しなければならない。

② 次の各号に掲げる前項の届書等情報の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

一 前条第一項第一号から第三号までの書面

当該年度の翌年から十年

二 前条第一項第四号の書面

当該年度の翌年から百年(ただし、第五十三条の四第五項の取下げその他の事由により効力を失つた場合は、当該年度の翌年から三年)

三 娣前条第一項第五号の書面

当該年度の翌年から三年

③ 第七十五条の二第四項及び第五項の規定は、第一項に規定する届書等情報について準用する。

④ 第五十二条の規定にかかわらず、前条第二項の規定により作成された届書等情報の基となつた届書、申請書その他の書類は、適切と認められる方法により保存すれば足りる。

第七十八条の四 戸籍法第百二十条の五第一項及び第三項の通知は、同法第百十八条第一項の電子情報処理組織を使用してするものとし、当該通知を受けた市町村長は、前条第一項の届書等情報(当該通知に係るものに限る。 ) の内容を参照することができる。

② 戸籍法第百二十条の四に規定する場合において、第二十五条から第二十九条まで、第四十八条第二項、第四十九条、第四十九条の二、第五十四条及び第七十九条の規定は、適用しない。

③ 第四十一条第一項の規定は、原籍地の市町村長が第七十八条の二第三項の規定によつて届書等情報を送信した場合について準用する。

この場合において、第四十一条一項中「新本籍地の市区長村長にこれを送付し」とあるのは、「第七十八条の二第三項の規定により当該届書等に係る届書等情報を送信し」と読み替えるものとする。

④ 第二十条第一項、第二十一条第一項、第三十条及び第四十一条第二項の規定は、市町村長が戸籍法第百二十条の五第一項又は第三項の通知を受けた場合に準用する。この場合において、別表第三の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第七十八条の五 戸籍法第百二十条の六第一項の法務省令で定める方法は、日本産業規格A列三番又は四番の用紙に出力する方法とする。

② 娣届書等情報の内容に関する証明書には、市町村長が、付録第三十号書式による付記をし、職氏名を記して職印を押さなければならない。

第四章の二 戸籍電子証明書等

第七十九条の二 戸籍法第百二十条の三第一項の戸籍電子証明書又は除籍電子証明書(以下「戸籍電子証明書等」という。)の電磁的記録の方式については、法務大臣の定めるところによる。

② 戸籍電子証明書等には、市町村長が、付録第三十一号書式による付記をしなければならない。

③ 第七十三条の二第一項の規定は、戸籍法第百二十条の三第一項の規定により同法第十条第一項の規定により同法第十条第一項の請求(本籍地の市町村長以外の市町村長に対してするものに限る。 ) をする場合に、第七十三条の二第二項及び第三項の規定は、戸籍法第百二十条の三第一項の規定により同法第十条の二第二項の請求(本籍地の市町村長以外の市町村長に対してするものに限る。 ) をする場合に準用する。

第七十九条の二の二

戸籍法第百二十条の三第一項の戸籍電子証明書提供用識別符号又は除籍電子証明書提供用識別符号(以下「戸籍電子証明書提供用識別符号等」という。) は、アラビア数字の組合せにより、戸籍電子証明書等ごとに定める。

② 戸籍電子証明書提供用識別符号等を発行するには、付録第三十二号様式によらなければならない。

③ 戸籍電子証明書提供用識別符号等の有効期間は、発行の日から起算して三箇月とする。

④ 第七十三条の四の規定は、戸籍電子証明書提供用識別符号等を発行した場合に準用する。

第七十九条の二の三 戸籍法第百二十条の三第三項の法務省令で定める者は、別表第四の上欄に掲げる者(法令の規定により同表の下欄に掲げる事務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあつては、その者を含む。以下「戸籍情報照会者」という。)とし、市町村長は、戸籍情報照会者から同表の下欄に掲げる事務の処理に関し戸籍電子証明書提供用識別符号等を示して戸籍電子証明書等の提供を求められたときは、戸籍電子証明書提供用識別符号等に対応した戸籍電子証明書等を提供するものとする。

② 戸籍法第百二十条の三第三項の規定による戸籍電子証明書等の提供の求め及び戸籍電子証明書等の提供は、同法第百十八条第一項の電子情報処理組織と戸籍情報照会者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用してするものとする。

③ 前項の戸籍電子証明書等の提供の求め及び戸籍電子証明書等の提供の方法に関する技術的基準については、法務大臣が定める。

④ 市町村長は、第一項の規定による戸籍電子証明書等の提供をするときは、法務大臣により電子署名が行われた戸籍電子証明書等と当該電子署名に係る電子証明書を併せて法務大臣の仕様に係る電子計算機に備えられたファイルに記録しなければならない。

第四章の三

第七十九条の二の四 戸籍若しくは除かれた戸籍の謄本若しくは抄本又は別表第五に掲げる書面(以下「戸籍謄本等」という。)) の交付の請求は、戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織と請求をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用してすることができる。

② 市町村長に対してする別表第六に掲げる届出又は申請(以下「届出等」という。)は、前項の電子情報処理組織を使用してすることができる。

③ 市町村長に対してする戸籍電子証明書等を戸籍法第百二十条の三第三項に規定する行政機関等に提供することの請求(以下「戸籍電子証明提供用識別符号等の発行等の請求」という。)は、第一項の電子情報処理組織を使用してすることができる。

第七十九条の三 前条第一項の交付の請求、同条第二項の届出等又は同条第三項の戸籍電子証明書提供用識別符号等の発行等の請求をする者は、戸籍法又はこの省令の規定により交付の請求書、届書若しくは申請書又は発行等の請求書に記載すべきこととされている事項に係る情報を戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織に送信しなければならない。この場合において、戸籍法又はこの省令の規定により交付の請求、届出等又は発行等の請求の際に添付し、又は提出出すべきこととされている書面等(以下「添付書面等」という。)があるときは、当該添付書面等に代わるべき情報を併せて送信しなければならない。

【②~④ 略】

第七十九条の四 削除

第七十九条の五 別表第七に掲げる書面の交付は、戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織と交付を受ける者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用してすることができる。

② 戸籍電子証明書提供用識別符号等の発行(以下「符号の発行」という。)は、前項の電子情報処理組織を使用してすることができる。

③ 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号。以下「情 情報処理組織を使用する方法により前二項 報通信技術活用法」という。)第七条第一項ただし書に規定する主務省令で定める方式は、電子情報処理組織を使用する方法により前二項の書面の交付又は符号の発行を受けることを希望する旨の市町村長の定めるところにより行う届出とする。

第七十九条の六 市町村長は、前条第一項の規定による書面の交付をするときは、第六十六条第一項又は第七十三条第一項各号の証明書に記載すべきこととされている事項に係る情報(第七十三条第一項各号の証明書については、付録第三十三号書式に係る情報を含む。)を、これについて電子署名を行い、当該電子署名に係る電子証明書を併せて戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織に備えられたファイルに記録しなければならない。

第七十九条の八

① 第七十九条の二の四第一項の戸籍謄本等の交付の請求は、当該請求をする戸籍又は除かれた戸籍の本籍地でしなければならない。

② 第七十九条の二の四第二項の届出等は、届出事件の本人の本籍地でしなければならない。ただし、戸籍法第六十一条及び第六十五条に規定する届出は母の本籍地で、同法第百二条の二、第百十条及び第百十一条に規定する届出は新本籍地で、外国人に関する届出は届出人の所在地でしなければならない。

③ 第七十九条の二第二項の届出等は、届出事件の本人の本籍地でしなければならない。ただし、戸籍法第六十一条及び第六十五条に規定する届出は母の本籍地で、同法第百二条の二、第百十条及び第百十一条に規定する届出は新本籍地で、外国人に関する届出は届出人の所在地でしなければならない。

④ 第七十九条の二の四第三項の戸籍電子証明書提供用識別符号等の発行等の請求は、当該請求をする戸籍又は除かれた戸籍の本籍地でしなければならない。

 第七十九条の九  第七十八条の二から第七十八条の五までの規定は、第七十九条の二の四第二項の規定による届出等がされた場合に準用する。

② 前項の場合においては、第七十八条の二第二項の規定にかかわらず、電子情報処理組織により届書等情報を作成することができる。

第七十九条の九の二 法務大臣は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律附則第六条第3項に規定する情報提供等記録閲覧システムを通じて第七十九条の二の四第一項の交付の請求、同条第二項の届出、等又は同条第三項の戸籍等電子証明書提供用識別符号等の発行等の請求(以下本条において「請求等」という。)に対して、当該請求等に必要な範囲内において、戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている情報のうち本籍及び戸籍の筆頭に記載した者の氏名その他の当該請求に必要な情報(電子情報処理組織により自動的に特定したものに限る。)を提供することができる。

② 前項の規定による情報の提供は、戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織と請求等をするものとし、当該情報の提供の方法に関する技術的基準については、法務大臣が定める。

第七十九条の十二 戸籍法第百二十六条の規定による戸籍等に記載した事項に係る情報の提供は、戸籍又は除かれた戸籍の副本に若しくは抄本又は戸籍等に記載した事項についての証明書を交付することによって行うものとする。この場合において、戸籍等に記載した事項についての証明書は、付録第三十四号書式によって作らなければならない。

【②・③略】

⑤ 前項の場合において、第二項の書面は、付録第二十二号様式(第三及び第六を除く。)又は付録第三十五号様式によって作らなければならない。

⑥ 第三項の場合において、第二項の書面には、市町村長が、その記載に接続して付録第二十三号書式による付記をし、職氏名を記して職印を押さなければならない。

別表第二(第六十条、第六十八条の二関係)

一 【略】

二【略】

注括弧内の漢字は、戸籍法施行規則第六十条第一号に規定する漢字又は第六十八条の二第一号に規定する字体であり、当該括弧外の漢字又は字体とのつながりを示すため、参考までに掲げたものである。

別表第三(第七十八条の四第四項関係)

第二十条第一項

その送付を受けたときは、その書類

戸籍法第百二十条の五第一項又は、当該通知に係る届書等情報

第二十一条第一項本文及び同項第五号

送付を

戸籍法第百二十条の五第一項又は第三項の通知を受けたとき

第三十条第五号

前項の書類の送付を受けたときは、これ

戸籍法第百二十条の五第三項の通知を受けたときは、その届書等情報

別表第四(第七十九条の二の三第一項関係)

外務省

旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)第三条第一項の発給の申請に係る事実についての審査

別表第五(第七十九条の二第一項関係) 略

別表第六 (第七十九条の二の四第二項関係)略

別表第七 (第七十九条の五第一項関係)略

附録目録

附録目録 [第一号〜第二十八号略]

第二十九号第七十三条の三の書面の付記の書式

第一 戸籍の全部事項証明書 第三十二号戸籍電子証明書提供用識別符号等の様式

第二 除かれた戸籍の全部事項証明書

第三十号 届書等情報内容証明書の付記の書式

第三十一号 戸籍電子証明書等の付記の書式

第一 戸籍電子証明書提供用識別符号

第二 除籍電子証明書提供用識別符号

第三十三号 第七十九条の六第一項括弧書きの情報の書式

第一 戸籍の全部事項証明書

第二 戸籍の個人事項証明書

第三 戸籍の一部事項証明書

第四 除かれた戸籍の全部事項証明書

第五 除かれた戸籍の個人事項証明書

第六 除かれた戸籍の一部事項証明書

第三十四号第七十九条の十二第一項の書面の書式

第三十五号第七十九条の十二第四項の書面の書式

第一 戸籍の一部を証明した書面

第二 除かれた戸籍の一部を証明した書面

第三十六号第七十九条の十二第五項の書面の付記の書式

 備考表中の[]の記載及び対象規定の二重傍線を付した標記部分を除く全体に付した傍線は注記である。

附録第七号番号2、8、11、12、14、16、17、21、27、33から37まで、39、41、45、47、51、62、65、68から72まで、76、79から81まで、84、88、9 0から92まで、94、102、104、106、118、119、140、147、150、154、157、165、167、170、183、188、189、191、192、194、195、 198、205及び207中「区長から送付」を「区長から通知」に改める。

附録第七号番号6中「市長から送付」を「市長から通知」に改める。

付録第二十四号中 「【認知日】令和5年1月7日」を 「【認知日】令和7年1月7日」に、 「【送付を受けた日】令和5年1月10日」を 「【通知を受けた日】令和7年1月10日」に、 「【届出日】令和5年1月15日」 を 「【届出日】令和7年1月15日」に、 「【親権者を定めた日】令和5年1月20日」を 「【親権者を定めた日】令和7年1月20日」に、 「【民法817条の2による裁判確定日】令和5年2月12日」を 「【民法817条の2 による裁判確定日】令和7年2月12日」に、 「【届出日】令和5年2月15日」を「【届出日】令和7年2月15日」に改める。

 付録第二十五号2、6、8、11、12、14、16、17、21、27、33から37まで、39、41、45、47、51、62、65、68から72まで、76、79から81まで、84、 88、 90から92まで、94、102、104、106、118、119、140、147、150、154、157、165、167、170、183、188、189、191、192、194、 195、 198、205及び207中 「 【送付を受けた日】」を「【通知を受けた日】 」 に改める。

 附則 (施行期日)

 第一条この省令は、戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第十七号)附則第一条第五号に掲げる規定の施行の日(令和六年三月一日)から施行する。

(届書等の保存に関する経過措置)

第二条 この省令による改正前の戸籍法施行規則第四十八条第二項の規定によって送付された書類の保存については、なお従前の例による。

(請求することができる書面等に関する経過措置)

第三条 戸籍法第百二十条の二第一項の規定により第十条第一項又は第十条の二第二項の請求(本籍地の市町村長以外の指定市町村長に対してするものに限る。)をする場合においては、当分の間、戸籍又は除かれた戸籍に記録されている事項の全部を証明した書面に限り、請求することができるものとする。

2 戸籍法第百二十条の三第一項の規定により第十条第一項又は第十条の二第二項の請求をする場合においては、当分の間、戸籍又は除かれた戸籍に記録された事項の全部を証明した電磁的記録に限り、請求することができるものとする。

PAGE TOP